説明

画像記録装置

【課題】トレイに載置された被記録媒体の有無を確実に検出できる画像記録装置を提供する。
【解決手段】メディアトレイを直線路に沿って搬送するローラ対と、直線路の下方に設けられたプラテンと、直線路の上方にプラテンに対向して設けられ、下方に光を照射して反射光を受けるメディアセンサとを備えている。メディアトレイには、記録メディアを載置可能な領域に第1開口が形成され、上記領域以外の領域に第2開口が形成されている。制御部は、メディアセンサが第1開口に対向した状態、及びメディアセンサが第2開口に対向した状態において、メディアセンサによる検知を行う。判断部は、上記各状態における制御部による検知結果に基づく出力値に基づいて、メディアトレイに記録メディアが載置されているか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに載置された被記録媒体に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の画像記録の方式は、例えばインクジェット記録方式や電子写真方式である。
【0003】
上述した画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、記録用紙などの他、CDやDVDなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。一般に、CDやDVDなどの剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、当該被記録媒体は専用のトレイに載置される。トレイは画像記録装置に設けられた挿入口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。特許文献1には、このような画像記録装置の一例が開示されている。
【0004】
通常、画像記録装置内を搬送されているトレイに被記録媒体が載置されているか否かは、発光部と受光部を有する光学式のセンサからの出力値によって、以下のようにして判断される。
【0005】
発光部は、トレイの表面のうち、被記録媒体が載置され得ない領域に向けて光を照射する。発光部によって照射された光は、トレイの表面で反射され、受光部に到達する。センサは発光部及び受光部による検知結果に基づく第1出力値を、画像記録装置の制御部に出力する。
【0006】
次に、発光部は、トレイの表面のうち、被記録媒体が載置され得る領域に向けて光を照射する。トレイに被記録媒体が載置されている場合、発光部によって照射された光は、被記録媒体の表面で反射され、受光部に到達する。一方、トレイに被記録媒体が載置されていない場合、発光部によって照射された光は、トレイの表面で反射され、受光部に到達する。センサは発光部及び受光部による検知結果に基づく第2出力値を、画像記録装置の制御部に出力する。
【0007】
ここで、トレイの表面は、光を反射し難くするために黒色などで形成されている。一方、被記録媒体の表面は、トレイの表面よりも光を反射しやすい。よって、第2出力値は、トレイに被記録媒体が載置されていない場合、第1出力値と略同等の値となり、トレイに被記録媒体が載置されている場合、第1出力値と異なる値となる。
【0008】
画像記録装置の制御部は、第1出力値及び第2出力値の差分の大小によって、トレイに被記録媒体が載置されているか否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−59584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、被記録媒体がトレイに載置されているか否かが、上述した方法によって判断された場合、誤判断のおそれがある。それは、以下のような理由による。
【0011】
トレイは、画像記録装置のユーザによって触れられる機会が多い。また、トレイは、画像記録装置の外部で取り扱われる機会が多い。これらによって、トレイの表面には、ユーザの皮脂や埃などが付着するおそれがある。発光部によって照射された光は、当該皮脂や埃によって、反射されやすくなるおそれがある。これにより、上記誤判断がなされるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トレイに載置された被記録媒体に画像を記録可能な画像記録装置において、トレイに載置された被記録媒体の有無を確実に検出することができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体を載置可能な載置部が第1面側に形成されており、上記載置部が形成された第1領域に第1開口が形成され、上記第1領域以外の第2領域に第2開口が形成されたトレイと、上記トレイが第1方向へ通過する搬送路と、上記搬送路に設けられたプラテンと、上記搬送路において上記プラテンと対向して設けられており、上記トレイに載置された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記トレイを上記搬送路に沿って上記プラテンと上記記録部との間へ搬送する搬送部と、上記プラテンに対向可能な位置に設けられており、光を照射する発光部、及び上記発光部によって照射された光の反射光を受ける受光部を有し、上記発光部及び上記受光部による検知結果に基づく信号を出力するセンサと、上記搬送部及び上記センサを制御して、上記センサが上記第1開口に対向した状態、及び上記センサが上記第2開口に対向した状態において、上記発光部及び上記受光部による検知を行う制御部と、上記センサが上記第1開口に対向した状態における上記制御部による検知結果に基づく第1出力値、及び上記センサが上記第2開口に対向した状態における上記制御部による検知結果に基づく第2出力値に基づいて、上記トレイの載置部に被記録媒体が載置されているかを判断する判断部と、を備えている。
【0014】
本構成によれば、トレイの載置部に被記録媒体が載置されている場合、センサを第1開口に対向させた状態で発光部から照射された光は、被記録媒体の表面で反射され、受光部に到達する。また、トレイの載置部に被記録媒体が載置されている場合、センサを第2開口に対向させた状態で発光部から照射された光は、第2開口を介してプラテンの表面で反射され、受光部に到達する。
【0015】
一方、トレイの載置部に被記録媒体が載置されていない場合、センサを第1開口に対向させた状態で発光部から照射された光は、第1開口を介してプラテンの表面で反射され、受光部に到達する。また、被記録媒体がトレイの載置部に載置されていない場合、センサを第2開口に対向させた状態で発光部から照射された光は、第2開口を介してプラテンの表面で反射され、受光部に到達する。
【0016】
つまり、本構成によれば、判断部は、プラテンの表面で反射された光に基づく出力値に基づいて、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを判断する。そして、プラテンがユーザによって触れられる機会は、殆どない。また、プラテンが画像記録装置の外部で取り扱われる機会も、殆どない。よって、プラテンの表面には、ユーザの皮脂や埃などが付着する可能性が低い。
【0017】
以上より、判断部は、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを、誤りなく検出できる。
【0018】
(2) 上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向に沿って配置されている。
【0019】
本構成によれば、トレイを搬送させるだけで、センサを動かすことなく、センサが第1開口に対向した状態と、センサが第2開口に対向した状態とを切り替えることができる。また、本構成によれば、センサが第1開口と対向している場合、及びセンサが第2開口と対向している場合のいずれであっても、発光部から照射された光が反射されるプラテンの表面の位置は同一である。したがって、判断部は、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを精度よく判断できる。
【0020】
(3) 上記センサは、上記記録部に設けられており、上記記録部は、上記第1方向と交差し且つ搬送される上記トレイの第1面に沿った第2方向へ往復移動可能であってもよい。
【0021】
(4) 上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向における上記載置部の中間位置よりも、上記第1方向のうち上記記録部が被記録媒体に画像を記録するときの向きの下流側に配置されている。上記制御部は、上記記録部を移動させながら上記発光部及び上記受光部による検知を行う。本発明の画像記録装置は、上記判断部が上記トレイの載置部に被記録媒体が載置されていると判断したことを条件として、上記センサを上記中間位置に対向させた状態における上記記録部を移動させながらの上記制御部による検知結果に基づく第3出力値に基づいて、上記トレイに載置された被記録媒体の上記第2方向に沿った中心位置及び端部位置を判定する判定部と、を更に備えている。
【0022】
本構成によれば、トレイにおける被記録媒体の載置の有無を判断する処理から、被記録媒体の第2方向に沿った中心位置及び端部位置を判定する処理への移行が、トレイを搬送させるだけで実現可能である。
【0023】
(5) 上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向に沿って連続して形成されている。
【0024】
本構成によれば、トレイに形成される開口の数を少なくすることができる。
【0025】
(6) 上記発光部によって照射された光が反射する上記プラテンの反射面は、上記発光部による光の照射向きと直交する面に対して傾斜している。
【0026】
本構成によれば、プラテンの反射面が傾斜している。これにより、発光部によって照射された光がプラテンにおいて反射されても、異なる向きに反射される。よって、反射光は受光部に到達し難い。これにより、被記録媒体がトレイに載置されている場合において、第1出力値及び第2出力値の相違が、より顕著となる。したがって、判断部は、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、判断部は、誤検出の生じやすいトレイの表面ではなく、プラテンの表面で反射された光に基づく出力値に基づいて、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを判断する。これにより、判断部は、トレイの載置部に被記録媒体が載置されているか否かを、誤りなく判断できる。つまり、本発明においては、トレイに載置された被記録媒体の有無を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、記録メディア69が載置されたメディアトレイ71の平面図である。
【図4】図4は、複合機10の外観斜視図であり、(A)にはメディアトレイ71が前側開口13から挿入されている状態が示されており、(B)にはメディアトレイ71が後側開口87から突出している状態が示されている。
【図5】図5は、マイクロコンピュータ130の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、検出制御について説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、記録部24及びプラテン42を模式的に示す縦断面図であり、(A)には第2開口83Bとメディアセンサ110が対向した状態が示されており、(B)には第1開口83Aとメディアセンサ110が対向した状態が示されており、(C)には(B)において記録メディア69がメディアトレイ71に載置されている状態が示されている。
【図8】図8は、メディアトレイ71の平面図であり、(A)には変形例1の場合が示されており、(B)には変形例5の場合が示されている。
【図9】図9は、変形例2における記録部24及びプラテン42を模式的に示す縦断面図である。
【図10】図10は、メディアトレイ71の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、前側開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0030】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されている。インクジェット記録方式のプリンタ部11が、複合機10の下部に設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、本実施形態において、複合機10はプリント機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機10は両面画像記録機能を有していてもよい。
【0031】
プリンタ部11は筐体14を有する。上下方向7及び左右方向9に拡がる前壁17が、筐体14の前側に形成されている。前壁17に対向して配置された後壁16(図4(B)参照)が、筐体14の後側に形成されている。前側開口13が、前壁17の概ね中央部に形成されている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、前側開口13から前後方向に挿抜可能である。所望のサイズの記録用紙が給紙トレイ20に載置される。
【0032】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙を給送する給紙部15と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
【0033】
また、複合機10は、記録用紙よりも厚みがあるCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア69(本発明の被記録媒体の一例、図3参照)の盤面上に、記録部24によって画像を記録する機能を有する。この際、記録メディア69は後述するメディアトレイ71(本発明のトレイの一例、図3参照)に載置される。図2に示されるように、メディアトレイ71は、前側開口13に設けられたトレイガイド76に載置されつつ、前側開口13における排紙トレイ21の上側から後述する直線路65(本発明の搬送路の一例)へ、後向き(矢印77の向き)に挿入される。なお、当該機能については後述する。
【0034】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の前端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合された駆動伝達機構27によって、給紙用モータ101(図5参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して湾曲路66へ供給する。
【0035】
[湾曲路66及び直線路65]
図2に示されるように、湾曲路66及び直線路65が、プリンタ部11の内部に形成されている。図2に一点鎖線で示されるように、湾曲路66は、給紙トレイ20の先端(後側の端部)から第1ローラ対58に亘って延設されており、記録用紙を案内可能な経路である。図2に二点鎖線及び破線で示されるように、直線路65は、前壁17の前側開口13における排紙トレイ21の上側から記録部24を経て後壁16の後側開口87に亘って延設されており、記録用紙及びメディアトレイ71を案内可能な経路である。
【0036】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から後方斜め上に延びながら、前方へUターンして第1ローラ対58に至る湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路66を搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って、図2において一点鎖線に付された矢印の向きに湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58において直線路65と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路66を介して直線路65(詳細には直線路65を構成する第1経路65A)に案内される。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19及び外側ガイド部材22によって区画されている。
【0037】
直線路65は、前後方向8に延設された直線状の通路であり、第1経路65Aと第2経路65Bとに区分されている。第1経路65Aは、第1ローラ対58から前側開口13における排紙トレイ21の上側に亘って前後方向8に延設された直線状の通路である。第1経路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52と、プラテン42(本発明のプラテンの一例)及びプラテン42を支持するプラテン支持部材53とによって区画されている。第2経路65Bは、第1ローラ対58から前方に向かって延設された第1経路65Aと逆向き、つまり後方に向かって後側開口87まで延設されている。つまり、第1経路65A及び第2経路65Bは、第1ローラ対58を境界として、連続する一つの直線状の経路を構成している。第2経路65Bは、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52及び下側ガイド部材51によって区画されている。
【0038】
記録用紙は、直線路65を搬送向き(図2において2点鎖線に付された矢印の向き)に案内される。記録用紙は、記録部24によって画像を記録された後に排紙トレイ21に排出される。また、前側開口13から挿入されたメディアトレイ71は、直線路65を搬送向き(前向き)及び搬送向きと逆向き(後向き)の双方向、つまり搬送方向(本発明の第1方向に相当)に案内される。つまり、メディアトレイ71は、直線路65を搬送方向へ通過する。
【0039】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、第1経路65Aの上側に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載したキャリッジ40を備えている。キャリッジ40は、搬送方向と交差し且つ第1経路65Aを搬送されるメディアトレイ71の上面72に沿った第2方向(本発明の第2方向に相当)に往復移動可能に構成されている。本実施形態において、キャリッジ40は、図2の紙面に垂直な方向である主走査方向、つまり左右方向9(本発明の第2方向の一例)に往復移動可能に構成されている。
【0040】
キャリッジ40は、例えば、プリンタ部11の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられた2本のガイドレール(不図示)によって支持されている。詳細には、2本のガイドレールは、左右方向9に延設されている。また、2本のガイドレールは、搬送方向に所定間隔をあけて配置されている。キャリッジ40は、2本のガイドレールを跨ぐようにして配置されている。これにより、キャリッジ40は、2本のガイドレール上を左右方向9に摺動可能である。ガイドレールの上面に、ベルト駆動機構(不図示)が配設されている。また、ベルト駆動機構を構成するベルト(不図示)は、キャリッジ40と連結されている。キャリッジ駆動モータ41(図5参照)からベルト駆動機構に駆動力が伝達されることにより、キャリッジ40は左右方向9に摺動される。
【0041】
キャリッジ40が左右方向9に往復移動することによって、記録ヘッド38が記録用紙に対して走査される。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。これにより、第1経路65Aにおいて記録部24と対向して設けられているプラテン42上を搬送向きに搬送される記録用紙に、画像が記録される。プラテン42は、記録用紙を支持し、プラテン支持部材53に支持されている。
【0042】
なお、後述するように、記録部24は、記録メディア69の盤面上にも画像を記録可能である。上述したように、記録用紙に画像が記録される際、記録用紙は搬送向きに搬送される。そして、記録メディア69に画像が記録される際も、記録メディア69が載置されたメディアトレイ71は、搬送向きに搬送される。
【0043】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向きの上流側には、直線路65の上側に配置された第1搬送ローラ60と、直線路65の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、記録用紙を挟持して前方、つまり搬送向きに搬送し、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。
【0044】
記録部24よりも搬送向きの下流側には、第1経路65Aの下側に配置された第2搬送ローラ62と、第1経路65Aの上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。また、第2ローラ対59は、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。つまり、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、メディアトレイ71を直線路65に沿ってプラテン42と記録部24との間へ搬送する。すなわち、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、本発明の搬送部の一例である。
【0045】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ102(図5参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されている。駆動伝達機構は、搬送用モータ102が正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、記録用紙またはメディアトレイ71を搬送向きに搬送させ、搬送用モータ102が正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、メディアトレイ71を搬送向きと逆向きに搬送させるように、各ローラ60、62を回転させる。
【0046】
[第1ローラ対58、第2ローラ対59及びプラテン42の姿勢変化]
図2に示されるように、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する当接姿勢(図2に実線で示されている。)と、一対のローラが互いに離間する離間姿勢(図2に破線で示されている。)とに姿勢変化可能である。第1ローラ対58及び第2ローラ対59が当接姿勢をとっている場合、記録用紙の挟持が可能である。これにより、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、記録用紙を直線路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が離間姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。これにより、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、メディアトレイ71を直線路65に沿って搬送させる。本実施形態において、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、当接姿勢から離間姿勢へ姿勢変化される。
【0047】
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合(図2に実線で示されている。)、プラテン42と記録部24の間の間隔は、記録用紙が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合(図2に破線で示されている。)、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
【0048】
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方への移動は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方に設けられた偏心カム140及びプラテン支持部材53によって実行される。偏心カム140は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体14を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム140は、軸142からの径が周期的に変化する円盤である。プラテン支持部材53は、偏心カム140に載置されるようにして支持されている。ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62は、プラテン支持部材53に回転可能に支持されている。プラテン42は、上述したようにプラテン支持部材53に支持されている。
【0049】
本実施形態では、偏心カム140は、図示されていないモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム140が回転されると、その周面がプラテン支持部材53に対して摺動される。偏心カム140の周面は、軸142からの径が周期的に変化する。これにより、プラテン支持部材53が上下方向7へ移動する。プラテン支持部材53の上下方向7への移動によって、各ローラ61、62及びプラテン42が上下方向7へ移動される。
【0050】
[メディアトレイ71]
図3及び図10に示されるように、メディアトレイ71は薄板形状の樹脂板である。図2及び図4に示されるように、メディアトレイ71は、上面72を上側にしてトレイガイド76に載置され、前側開口13から挿入される。メディアトレイ71は、搬送向きと逆向きである矢印77の向きに挿入される。メディアトレイ71は、第1ローラ対58及び第2ローラ対59によって、前側開口13から直線路65に沿って搬送方向に搬送される。
【0051】
なお、図3及び図10においては、メディアトレイ71が複合機10に挿入された状態で、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9が定義される。つまり、図3及び図10は、直線路65を搬送されるメディアトレイ71を上方から見た平面図である。
【0052】
図3及び図10に示されるように、メディアトレイ71の上面72(本発明の第1面に相当)側には、記録メディア69を載置可能なメディア載置部70(本発明の載置部の一例)が形成されている。メディア載置部70は、円形状の凹みである。当該凹みの直径は、載置される記録メディア69(円形のCD−ROMやDVD−ROMなど)の直径と同一または少しだけ大きい。また、円形の凸部73が、当該凹みの中央部に形成されている。円形のCD−ROMやDVD−ROMなどには、通常、中央部分に円形の孔が設けられている。凸部73は、当該孔と略同一の大きさであり、当該孔と嵌合する。これにより、記録メディア69がメディア載置部70に載置された場合に、記録メディア69は前後方向8及び左右方向9にずれない。
【0053】
開口82、83が、メディアトレイ71の上面72に形成されている。開口82、83は、凸部73を中心として相互に点対称となる位置に形成されている。複合機10のユーザは、開口82、83に指を挿通することで、メディアトレイ71を容易に把持できる。
【0054】
開口83は、前後方向8に長い長孔である。開口83は、メディアトレイ71の上面72側においてメディア載置部70が形成されている第1領域67(本発明の第1領域に相当)と、メディアトレイ71の上面72側においてメディア載置部70が形成されていない領域、つまり第1領域67以外の領域である第2領域68(本発明の第2領域に相当)とに跨って形成されている。換言すると、開口83を構成する空間のうち前側が第1領域67に存在しており、開口83を構成する空間のうち後側が第2領域68に存在している。
【0055】
つまり、開口83は、メディアトレイ71の上面72において、第1領域67に形成された第1開口83A(本発明の第1開口の一例)と、第2領域67に形成された第2開口83B(本発明の第2開口の一例)とで構成されている。そして、第1開口83A及び第2開口83Bは、前後方向8に沿って連続して形成されている。つまり、本実施形態において、第1開口83A及び第2開口83Bは、搬送方向に沿って配置されている。
【0056】
また、第1開口83Aは、前後方向8における第1位置54及び第1位置54を含む周辺領域に形成されている。一方、第2開口83Bは、前後方向8における第2位置55及び第2位置55を含む周辺領域に形成されている。そして、第2位置55は、第1位置54よりも前後方向8における前側の位置である。つまり、第2位置55は、第1位置54よりも搬送向きの下流側である。換言すると、第2開口83Bは、第1位置54よりも搬送向きの下流側の第2位置55に配置されている。また、開口83は、前後方向8におけるメディア載置部70の中間位置56(本発明の中間位置に相当)よりも前側、つまり搬送向きの下流側に配置されている。
【0057】
[メディアセンサ110]
図2に示されるように、直線路65を搬送される記録メディア69を検知するためのメディアセンサ110(本発明のセンサの一例)が、記録部24のキャリッジ40の下面側における搬送向きの最上流側付近に設けられている。つまり、メディアセンサ110は、搬送されるメディアトレイ71の開口83及びプラテン42と対向可能な位置に設けられている。つまり、メディアセンサ110と搬送されるメディアトレイ71の開口83との左右方向9の位置は、同位置である。
【0058】
メディアセンサ110は、発光ダイオードなどからなる発光部111(本発明の発光部の一例、図5参照)と、光学式センサなどからなる受光部112(本発明の受光部の一例、図5参照)とを備えている。発光部111は下方、つまりプラテン42側へ向けて光を照射する。照射された光は、メディアトレイ71、記録メディア69、またはプラテン42で反射する。反射された光は受光部112で受光される。
【0059】
本実施形態では、後述するマイクロコンピュータ130が、発光部111に光を照射させる。この際、発光部111は、照射される光の強さが徐々に強くなるように、マイクロコンピュータ130によって制御される。照射された光の反射光を受けた受光部112から出力された信号が、ASIC135に入力される。受光部112からの入力信号は、照射される光の強さが強くなるにしたがって大きくなる。マイクロコンピュータ130は、当該入力信号を所定の閾値と比較する。当該入力信号が所定の閾値よりも大きくなると、そのときの当該入力信号に対応する照射光の強さが検知結果(本発明の検知結果に相当)とされる。そして、発光部111及び受光部112による当該検知結果に対応する信号が、メディアセンサ110からマイクロコンピュータ130へ出力される。以上より、本実施形態では、発光部111から照射される光が強いほど、当該検知結果に対応した信号のレベルは大きくなる。
【0060】
なお、検知結果を求める方法は、上述した方法に限らない。例えば、発光部111から一定の強さの光が照射され、照射された光の反射光の強さが検知結果とされてもよい。
【0061】
[マイクロコンピュータ130]
以下、マイクロコンピュータ130の概略構成が説明される。後述するフローチャート(図6参照)に従った本発明の制御部、判断部、及び判定部による処理が、マイクロコンピュータ130によって実行される。マイクロコンピュータ130は、複合機10の全体動作を制御する。図5に示されるように、マイクロコンピュータ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0062】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0063】
ASIC135に設けられた駆動回路には、各モータ41、101、102が接続されている。各モータを駆動させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転または逆転する。
【0064】
また、ASIC135には、メディアセンサ110が接続されている。所定レベルの信号が、ASIC135から発光部111に入力されると、発光部111は、当該所定レベルに応じた光量の光を下方へ向けて照射する。照射された光の反射光を受けた受光部112から出力された信号が、ASIC135に入力される。
【0065】
[記録メディア69への画像記録]
以下、複合機10にメディアトレイ71が挿入され、メディアトレイ71に載置された記録メディア69に画像が記録される手順が説明される。複合機10の正面上部に設けられた操作パネル18(図1参照)の操作により、記録メディア69へ画像を記録する機能が選択されると、図2に示されるように、偏心カム140が回転してピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が下方へ移動する。
【0066】
その後、図2及び図4(A)に示されるように、メディアトレイ71は、複合機10のユーザによって、複合機10の前側開口13から直線路65に沿って、矢印77の向きに挿入される。この際、メディアトレイ71は、トレイガイド76に載置されつつ挿入される。操作パネル18の操作によって、記録メディア69への画像記録が指示されると、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62が逆転駆動される。
【0067】
ユーザによって挿入されたメディアトレイ71が第2ローラ対59に挟持されると、メディアトレイ71は、ユーザの手を離れ、第2ローラ対59によって、搬送向きと逆向き、つまり矢印77の向きに搬送される。搬送されるメディアトレイ71は、記録部24の下側を通過して、搬送向きの下流側から第1ローラ対58に挟持される。
【0068】
その後、2つのローラ対58、59に挟持されたメディアトレイ71は、更に矢印77の向きに搬送される。これにより、メディアトレイ71に載置された記録メディア69は、記録部24よりも搬送向きの上流側に位置される。このとき、図4(B)に示されるように、メディアトレイ71は、複合機10の最奥まで搬送され、後側開口87を介して複合機10の外部に突出した状態となる。
【0069】
この状態において、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の回転方向が逆転から正転に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が矢印77と逆向き、つまり搬送向きに搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディア69がプラテン42上を通る。このとき、後述する記録メディア69の検出制御が実行される。当該検出制御が実行された後、プラテン42上を搬送される記録メディア69に対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出される。これにより、記録メディア69の盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ71は前側開口13から複合機10の外部に排出される。
【0070】
[記録メディア69の検出制御]
以下、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されているか否かが判断される記録メディア69の検出制御が、図6のフローチャート、及び図7に基づいて説明される。
【0071】
上述したように、記録メディア69への画像記録が指示されると(S10)、メディアトレイ71は、搬送向きと逆向きに搬送され、複合機10の最奥まで搬送される(S20、図4(B)参照)。
【0072】
マイクロコンピュータ130は、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の回転方向を逆転から正転に切り換える。これにより、メディアトレイ71は、搬送向きに搬送される。マイクロコンピュータ130は、キャリッジ40の左右方向9における移動範囲の直下位置まで、メディアトレイ71を搬送向きに搬送させる(S30)。詳細には、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、第2開口83Bの第2位置55(図3参照)とメディアセンサ110とが対向可能な位置まで、搬送向きに搬送させる(S30)。
【0073】
マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動させて、キャリッジ40を、第2開口83Bと対向する位置まで左右方向9に移動させる(S40)。
【0074】
マイクロコンピュータ130は、発光部111を制御して、上述したように検知結果に基づくメディアセンサ110からの出力信号を取得する(S50)。マイクロコンピュータ130は、当該出力信号のレベルを、第2出力値(本発明の第2出力値に相当)としてRAM133に記憶する。ステップS30〜S50の処理は、本発明の制御部による処理に相当する。
【0075】
マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、第1開口83Aの第1位置54(図3参照)とメディアセンサ110とが対向可能な位置まで、更に搬送向きに搬送させる(S60)。
【0076】
マイクロコンピュータ130は、発光部111を制御して、上述したように検知結果に基づくメディアセンサ110からの出力信号を取得する(S70)。マイクロコンピュータ130は、当該出力信号のレベルを、第1出力値(本発明の第1出力値に相当)としてRAM133に記憶する。ステップS60、S70の処理も、本発明の制御部による処理に相当する。
【0077】
ステップS70において、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていない場合、図7(B)に一点鎖線で示されるように、発光部111から照射された光は、プラテン42で反射される。一方、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されている場合、図7(C)に一点鎖線で示されるように、発光部111から照射された光は、記録メディア69の上面69Aで反射される。
【0078】
ここで、記録メディア69の反射面(上面69A)は、通常、光沢面であり、プラテン42の反射面よりも光を反射し易い。よって、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されている場合、第1出力値は、第2出力値よりも大きな値となる。一方、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていない場合、発光部111から照射された光は、プラテン42において、ステップS50のときと同位置で反射される。よって、第1出力値は、第2出力値と略同一の値となる。
【0079】
マイクロコンピュータ130は、第1出力値及び第2出力値の差分を、所定の閾値と比較する(S80)。マイクロコンピュータ130は、当該差分が閾値以上の場合(S80:Yes)、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていると判断する(S100)。一方、マイクロコンピュータ130は、当該差分が閾値未満の場合(S80:No)、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていないと判断する(S90)。ここで、所定の閾値は、予め設定された値であり、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。所定の閾値は、ゼロよりも若干大きい値である。ステップS80〜S100の処理は、本発明の判断部による処理に相当する。
【0080】
なお、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていないと判断した場合(S90)、操作パネル18に記録メディア69が載置されていない旨のメッセージを表示させて、一連の処理を終了する。
【0081】
一方、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていると判断した場合(S100)、メディアトレイ71を、メディア載置部70の中間位置56(図3参照)とメディアセンサ110とが対向可能な位置まで、更に搬送向きに搬送させる(S110)。
【0082】
なお、メディアトレイ71が、中間位置56とメディアセンサ110とが対向可能な位置まで搬送されたか否かは、例えば以下のようにして判断される。つまり、第1ローラ対58の搬送向きの上流側に設けられた不図示のセンサによってメディアトレイ71が検知されてからの第1搬送ローラ60の回転量が、メディアトレイ71の端部と中間位置56との間の長さ(設計値)に相当する回転量に到達したか否かによって判断される。
【0083】
ステップS120においてマイクロコンピュータ130は以下の処理を実行する。マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動して、キャリッジ40を左右方向9に移動させる。また、マイクロコンピュータ130は、キャリッジ40を移動させながら、発光部111に光を照射させる。これにより、マイクロコンピュータ130は、受光部112から反射光の光量に応じた信号の特性を得る。ステップS130における以上の処理は、本発明の制御部による処理に相当する。
【0084】
当該特性を構成する信号のレベル(本発明の第3出力値に相当)は、記録メディア69が載置されていない第1範囲103(図3参照)に光が照射された場合に小さい値となり、記録メディア69が載置されている第2範囲104(図3参照)に光が照射された場合に大きい値となる。マイクロコンピュータ130は、当該特性を構成する信号のレベルが急激に変化している2箇所を、記録メディア69の左右方向9における端部位置105(本発明の端部位置に相当)とする。また、マイクロコンピュータ130は、2つの端部位置105の中点の位置を算出する。マイクロコンピュータ130は、算出した位置を、記録メディア69の左右方向9における中心位置106(本発明の中心位置に相当)とする。つまり、マイクロコンピュータ130は、当該特性を構成する信号のレベルに基づいて、端部位置105及び中心位置106を判定する。ステップS130における以上の処理は、本発明の判定部による処理に相当する。
【0085】
マイクロコンピュータ130が端部位置105及び中心位置106の検出及び算出に失敗した場合(S130:No)、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に記録メディア69の検出エラーである旨のメッセージを表示させて(S160)、一連の処理を終了する。一方、マイクロコンピュータ130が端部位置105及び中心位置106の検出及び算出に成功した場合(S130:Yes)、ステップS140の処理が実行される。
【0086】
マイクロコンピュータ130は、2つの端部位置105に基づいて、記録メディア69の左右方向9におけるサイズを算出する(S140)。マイクロコンピュータ130は、算出したサイズが所定範囲外である場合(S140:No)、操作パネル18に記録メディア69のサイズエラーである旨のメッセージを表示させて(S150)、一連の処理を終了する。ここで、所定範囲は、記録メディア69の種類に応じて予め登録されており、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。一方、マイクロコンピュータ130によって算出されたサイズが所定範囲内である場合(S140:Yes)、ステップS170の処理が実行される。
【0087】
マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、メディア載置部70よりも前方まで、更に搬送向きに搬送させる(S170)。マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動して、キャリッジ40を、左右方向9における記録メディア69の中心位置106(図3参照)と対向する位置に移動させる(S180)。
【0088】
マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、搬送向きと逆向きに搬送させる(S190)。また、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を搬送させながら、発光部111に光を照射させる。これにより、マイクロコンピュータ130は、ステップS120と同様にして、受光部112より信号の特性を得る。マイクロコンピュータ130は、ステップS120と同様にして、記録メディア69の前後方向8における端部位置107(図3参照)を検出し、中心位置108(図3参照)を算出する(S190)。その後、メディアトレイ71は、搬送向きと逆向きに搬送されることによって、記録部24よりも搬送向きの上流側に位置される。
【0089】
マイクロコンピュータ130は、ステップS130と同様にして、記録メディア69の検出エラーの有無を判断し(S200、S160)、ステップS140と同様にして、記録メディア69のサイズエラーの有無を判断する(S210、S150)。
【0090】
ステップS210において、マイクロコンピュータ130が算出したサイズが所定範囲内である場合(S210:Yes)、メディアトレイ71が搬送向きに搬送されつつ、記録メディア69の盤面上への画像の記録が実行される(S220)。その後、一連の処理が終了される。
【0091】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、メディア載置部70に記録メディア69が載置されている場合、メディアセンサ110を第1開口83Aに対向させた状態で発光部111から照射された光は、記録メディア69の表面で反射され、受光部112に到達する。また、メディア載置部70に記録メディア69が載置されている場合、メディアセンサ110を第2開口83Bに対向させた状態で発光部111から照射された光は、第2開口83Bを介してプラテン42の表面で反射され、受光部112に到達する。
【0092】
一方、メディア載置部70に記録メディア69が載置されていない場合、メディアセンサ110を第1開口83Aに対向させた状態で発光部111から照射された光は、第1開口83Aを介してプラテン42の表面で反射され、受光部112に到達する。また、記録メディア69がメディア載置部70に載置されていない場合、メディアセンサ110を第2開口83Bに対向させた状態で発光部111から照射された光は、第2開口83Bを介してプラテン42の表面で反射され、受光部112に到達する。
【0093】
つまり、本実施形態によれば、判断部は、プラテン42の表面で反射された光に基づく出力値に基づいて、メディア載置部70に記録メディア69が載置されているか否かを判断する。そして、プラテン42がユーザによって触れられる機会は、殆どない。また、プラテン42が複合機10の外部で取り扱われる機会も、殆どない。よって、プラテン42の表面には、ユーザの皮脂や埃などが付着する可能性が低い。
【0094】
以上より、判断部は、メディア載置部70に記録メディア69が載置されているか否かを、誤りなく検出できる。本実施形態においては、メディアトレイ71に載置された記録メディア69の有無を確実に判断することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71を搬送させるだけで、メディアセンサ110を動かすことなく、メディアセンサ110が第1開口83Aに対向した状態と、メディアセンサ110が第2開口83Bに対向した状態とを切り替えることができる。また、本実施形態によれば、メディアセンサ110が第1開口83Aと対向している場合、及びメディアセンサ110が第2開口83Bと対向している場合のいずれであっても、発光部111から照射された光が反射されるプラテン42の表面の位置は同一である。したがって、判断部は、メディア載置部70に記録メディア69が載置されているか否かを精度よく判断できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71における記録メディア69の載置の有無を判断する処理から、記録メディア69の左右方向9に沿った中心位置及び端部位置を判定する処理への移行が、メディアトレイ71を搬送させるだけで実現可能である。
【0097】
また、本実施形態によれば、第1開口83A及び第2開口83Bは、前後方向8に沿って連続して形成されている。これにより、メディアトレイ71に形成される開口の数を少なくすることができる。
【0098】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態において、開口83は、前後方向8に長い長孔であった。そして、開口83は、メディアトレイ71の上面72のうちメディア載置部70が設けられている第1領域67と、メディアトレイ71の上面72のうちメディア載置部70が設けられていない第2領域68とに跨って形成されていた。しかし、開口83は、第1領域67及び第2領域68の両方に形成されているならば、上述の実施形態のような構成に限らない。
【0099】
例えば、図8(A)に示されるように、開口83は、メディアトレイ71の上面72に2個形成されていてもよい。この場合、第1開口83Aが第1領域67に形成され、第2開口83Bが第2領域68に形成されている点において、上述の実施形態と同様である。一方、第1開口83A及び第2開口83Bは別個独立に形成されている点において、上述の実施形態と異なる。また、第1開口83A及び第2開口83Bは、第2開口83Bが第1開口83Aよりも搬送向きの下流側となるように、前後方向8に沿って形成されている。
【0100】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態において、プラテン42の反射面43は、前後方向8及び左右方向9に沿って拡がっていた。つまり、図7に示されるように、プラテン42の反射面43は、発光部111による光の照射向きと直交する面だった。しかし、プラテン42の反射面43は、発光部111による光の照射向きと直交していなくてもよい。つまり、図9に示されるように、プラテン42の反射面43は、発光部111による光の照射向きと直交する面に対して傾斜していてもよい。
【0101】
これにより、発光部111によって照射された光がプラテン42において反射されても、異なる向きに反射される。よって、反射光は受光部に到達し難い。これにより、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されている場合において、第1出力値及び第2出力値の相違が、より顕著となる。したがって、判断部は、メディア載置部70に記録メディア69が載置されているか否かを精度よく判断できる。
【0102】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態において、メディアセンサ110は、キャリッジ40、つまり記録部24に設けられている構成について説明したが、メディアセンサ110は、搬送されるメディアトレイ71の開口83及びプラテン42と対向可能な位置であるならば、記録部24に設けられていなくてもよい。例えば、メディアセンサ110は、上側ガイド部材52に取り付けられていてもよい。
【0103】
また、メディアセンサ110は、移動可能に構成されていてもよい。この場合、メディアセンサ110を移動させる構成としては、例えば、キャリッジ40を移動させるための構成と同様な構成が挙げられる。
【0104】
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態において、記録部24はキャリッジ40によって移動可能に構成されていたが、記録部24は固定されていてもよい。この場合、記録部24の記録ヘッド38は、左右方向9において、記録用紙及び記録メディア69において画像記録される領域の全域に亘って、インクを吐出可能に構成されている。
【0105】
[実施形態の変形例5]
変形例1において、メディアトレイ71の上面72に2個形成された第1開口83A及び第2開口83Bは、前後方向8に沿って形成されていた。しかし、第1開口83A及び第2開口83Bは、前後方向8に沿って形成されていなくてもよい。例えば、図8(B)に示されるように、第1開口83A及び第2開口83Bは、左右方向9に異なる位置に形成されていてもよい。
【0106】
この場合、マイクロコンピュータ130は、以下の制御を実行することによって、メディアトレイ71を、第2開口83Bとメディアセンサ110とが対向可能な位置から、第1開口83Aとメディアセンサ110とが対向可能な位置まで移動させる。つまり、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を搬送向きに搬送させるとともに、キャリッジ40を左右方向9に移動させる。これにより、マイクロコンピュータ130は、第1出力値及び第2出力値を取得できる(図6のS50、S70参照)。
【符号の説明】
【0107】
24・・・記録部
42・・・プラテン
58・・・第1ローラ対
59・・・第2ローラ対
65・・・直線路
71・・・メディアトレイ
110・・・メディアセンサ
130・・・マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を載置可能な載置部が第1面側に形成されており、上記載置部が形成された第1領域に第1開口が形成され、上記第1領域以外の第2領域に第2開口が形成されたトレイと、
上記トレイが第1方向へ通過する搬送路と、
上記搬送路に設けられたプラテンと、
上記搬送路において上記プラテンと対向して設けられており、上記トレイに載置された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記トレイを上記搬送路に沿って上記プラテンと上記記録部との間へ搬送する搬送部と、
上記プラテンに対向可能な位置に設けられており、光を照射する発光部、及び上記発光部によって照射された光の反射光を受ける受光部を有し、上記発光部及び上記受光部による検知結果に基づく信号を出力するセンサと、
上記搬送部及び上記センサを制御して、上記センサが上記第1開口に対向した状態、及び上記センサが上記第2開口に対向した状態において、上記発光部及び上記受光部による検知を行う制御部と、
上記センサが上記第1開口に対向した状態における上記制御部による検知結果に基づく第1出力値、及び上記センサが上記第2開口に対向した状態における上記制御部による検知結果に基づく第2出力値に基づいて、上記トレイの載置部に被記録媒体が載置されているかを判断する判断部と、を備えている画像記録装置。
【請求項2】
上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向に沿って配置されている請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記センサは、上記記録部に設けられており、
上記記録部は、上記第1方向と交差し且つ搬送される上記トレイの第1面に沿った第2方向へ往復移動可能である請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向における上記載置部の中間位置よりも、上記第1方向のうち上記記録部が被記録媒体に画像を記録するときの向きの下流側に配置されており、
上記制御部は、上記記録部を移動させながら上記発光部及び上記受光部による検知を行い、
上記判断部が上記トレイの載置部に被記録媒体が載置されていると判断したことを条件として、上記センサを上記中間位置に対向させた状態における上記記録部を移動させながらの上記制御部による検知結果に基づく第3出力値に基づいて、上記トレイに載置された被記録媒体の上記第2方向に沿った中心位置及び端部位置を判定する判定部と、を更に備えている請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第1開口及び上記第2開口は、上記第1方向に沿って連続して形成されている請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記発光部によって照射された光が反射する上記プラテンの反射面は、上記発光部による光の照射向きと直交する面に対して傾斜している請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−136005(P2012−136005A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291677(P2010−291677)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】