説明

画像記録装置

【課題】 画像の明瞭さを損なうことなくインクの消費量を低減する。
【解決手段】 被写体を撮影する静止画撮影用カメラ14と、このカメラ14で撮影した画像を記憶するコントローラ19と、このコントローラ19に記憶した画像をインクで印刷するプリンタ24とから成り、このプリンタ24は画像の中の不要な領域であるマスク画像を認識するマスク認識手段と、このマスク認識手段の出力に基づいてマスク画像をインクの消費量を低減するような画像に変換する画像変換手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被検眼の眼底画像を必要とする眼科に用いられる画像記録装
置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像記録装置として、被検眼の眼底を撮影する眼底カメラ、病理検査を行う顕微鏡写真機などの多様なものが存在している。例えば眼底カメラは、眼底の周辺領域へ向かう光を遮光して有効撮影範囲を明確にするマスクと、眼底画像とマスクの画像を再結像する光学系とを備えている。通常では、マスクはフィルムの直前又は結像面に配置し、光学系はマスクの背後に配置している。
そして、眼底カメラは画像の周辺に発生するフレアを取り除くことが大きな役割となっているため、画像として不要な領域であるマスクの画像を黒色とし記録ている。マスクの画像を黒の画像データとして医療画像部と合わせた形で記録している。
近年の画像記録装置は、CCDカメラ等の電子撮像素子を使用して画像を記録し、記録した画像をインクジェット式や熱転写型のプリンタで印刷するようになっている。また、この種の画像記録装置は、1つ又は複数の撮影手段に別体の画像記憶手段と画像記録手段を接続して構成する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、インクジェット式や熱転写型のプリンタはインクやリボンを消費するので、マスクの画像を印刷するためにインクやリボンを消費することは、極めて不経済なこととなる。通常、マスクの画像は黒色で印刷するので、例えばインクジェット式のプリンタで白地の紙に黒色のマスクの画像を印刷する場合には、インクを大量に消費する。その上に、インクの吐出力が大きいので、紙を波打たせたり、インク垂れを起こしたり、インクが紙送りローラやその他の部位に付着したりして、画像として必要な領域の明瞭さを損なうことがある。
【0004】
本発明の主たる目的は、上述の従来例の改良であり、その具体的な目的の1つは、画像の明瞭さを損なうことなく、インクの消費量を低減し得る画像記録装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、複数の撮影手段で撮影した画像を記録する際に、その画像と共に記憶する撮影手段の情報に基づいて、画像の明瞭さを損なうことなくインクの消費量を効率よく低減し得る画像記録装置を提供することにある。
【0006】
本発明のその他の目的は、撮影手段の情報がない場合でも、画像の明瞭さを損なうことなくインクの消費量を低減し得る画像記録装置を提供することにある。
【0007】
本発明の更なる目的は、記憶した画像を観察する際に視認性を確保することができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、被写体を撮影する撮影手段で撮影した画像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した前記画像をインクで印刷するプリンタとを有する画像記録装置において、前記プリンタは前記画像の中の不要な領域を認識し、該認識に基づいて前記画像の中の不要な領域を前記インクの消費量を低減するような画像に変換する演算手段を有することを特徴とする画像記録装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記撮影手段は被写体の周辺領域へ向かう光を遮蔽するマスクを備え、前記画像の中の不要な領域は前記撮影手段で撮影した前記マスクの画像である請求項1に記載の画像記録装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記プリンタに前記画像を出力する際に前記変換を行う請求項1又は2に記載の画像記録装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記演算手段は、画像情報に付帯する前記マスクの形状を記憶し、該記憶に基づいて前記マスクの画像を認識する請求項2に記載の画像記録装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記演算手段は、撮影情報に付帯する前記マスクの形状を記憶し、前記マスクの形状に基づいて前記マスクの画像を認識する請求項2に記載の画像記録装置である。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記撮影情報は前記撮影手段の情報である請求項5に記載の画像記録装置である。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記演算手段は、前記マスクの画像の色情報を記憶し、該記憶の色情報に基づいて前記マスクの形状を切り出す請求項2に記載の画像記録装置である。
【0015】
請求項8に係る発明は、前記演算手段は、前記画像の周辺の色情報をマスク色情報として判断し、これに基づいて前記マスクの形状を切り出す請求項2に記載の画像記録装置である。
【0016】
請求項9に係る発明は、前記演算手段は、画像情報に付帯する関心領域情報を認識する請求項1に記載の画像記録装置である。
【0017】
請求項10に係る発明は、前記プリンタは前記インクを紙に吹き付けて印刷するインクジェット式である請求項1〜9の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置である。
【0018】
請求項11に係る発明は、前記マスクの画像の色は略黒色である請求項1〜10の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置である。
【0019】
請求項12に係る発明は、前記画像は被検眼の眼底画像である請求項1〜11の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置である。
【0020】
請求項13に係る発明は、前記記憶手段に記憶した前記画像を表示する表示器を有し、該表示器に表示する前記マスクの画像と、前記プリンタに印刷する前記マスクの画像とが異なる請求項1〜12の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置である。
【0021】
請求項14に係る発明は、眼底像を撮影する眼底撮影カメラを有する請求項1〜13の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように請求項1〜3に係る画像記録装置は、画像の中の不要な領域を認識し、画像の中の不要な領域をインクの消費量を低減するような画像に変換するので、画像の明瞭さを損なうことなくインクの消費量を低減することができる。
【0023】
請求4に係る画像記録装置は、撮影手段や撮影条件によって異なるマスクの形状が存在する場合でも、プリンタのインクの消費量を低減することができる。
【0024】
請求項5、6に係る画像記録装置は、撮影手段や撮影条件によって異なるマスクの形状が存在する場合であっても、プリンタのインクの消費量をより効率的に低減することができる。
【0025】
請求項7に係る画像記録装置は、マスクの形状が不明の画像に対してもマスクを検出することが可能となり、プリンタのインクの消費量を低減することができる。また、付帯情報としてマスクの形状を記憶する必要がないので、画像を容易に管理することができる。
【0026】
請求項8に係る画像記録装置は、マスクの形状や色が予め定まっていない画像に対しても、プリンタのインクの消費量を低減することができる。
【0027】
請求項9に係る画像記録装置は、特に関心領域のみをプリントしたい操作者に対してインクの消費量を低減することができる。
【0028】
請求項10に係る画像記録装置は、安価となる上にプリンタのインクの消費量を低減することができる。また、インクの吐出力が大きく、ベースが波打ち、インクが垂れたりした場合や、インクが紙送りローラやその他の部分に付着した場合に、必要な画像領域を汚すという危険性を低減することができる。
【0029】
請求項11に係る画像記録装置は、マスクの画像の色を黒とした場合よりもプリンタのインクの消費量を低減することができる。
【0030】
請求項12に係る画像記録装置は、マスクの画像の面積が大きいので、プリンタのインクの消費量を大幅に低減することができる。
【0031】
請求項13に係る画像記録装置は、マスクの画像を加工することなく画像を表示手段により観察することができるので、従来のような見慣れた、つまり観察に適したマスクの画像を用いて画像の視認性を確保することができる。
【0032】
請求項14に係る画像記録装置は、眼底撮影カメラを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態の画像記録装置の構成図である。
【図2】静止画撮影用カメラが撮影した画像の説明図である。
【図3】静止画再生用モニタが映出した画像の説明図である。
【図4】マスクの画像を切り出す手順のフローチャート図である。
【図5】プリンタが出力した画像の説明図である。
【図6】第2の実施の形態の画像記録装置の構成図である。
【図7】第3の実施形態のマスクの画像を切り出す手順のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1は第1の実施の形態の画像記録装置の構成図である。この画像記録装置は本発明の効果を最良に発揮して被検眼Eの眼底画像Er’を記録するようになっている。
【0036】
撮影ランプ等の観察アライメント用光源1から被検眼Eの前方の対物レンズ2に至る光路上には、コンデンサレンズ3、ストロボ等の静止画撮影用光源4、コンデンサレンズ5、ミラー6、レンズ7、リング状開口を有する絞り8、リレーレンズ9、中央部に開口を有する孔あきミラー10を順次に配置する。孔あきミラー10の背後の光路上には、光軸方向に移動可能なフォーカスレンズ11、変倍機能を有する撮影レンズ12、光路に挿脱可能な切換えミラー13、デジタルカメラのような高精細な静止画撮影用カメラ14を順次に配列し、切換えミラー13の反射方向には高感度な動画観察用カメラ15を配置する。
【0037】
動画観察用カメラ15の出力はキャラクタ発生手段16を介して動画観察用モニタ17に接続している。キャラクタ発生手段16の出力は、フォーカスレンズ11と撮影レンズ12にそれぞれ接続している。フォーカスレンズ11にはフォーカスノブ18の出力を接続し、フォーカスレンズ11をフォーカスノブ18に従動させている。
【0038】
静止画撮影用カメラ14の出力は、画像メモリを有するコンピュータなどの演算器を有するコントローラ19に接続し、コントローラ19の出力はディスプレイなどの静止画再生用モニタ20と、光ディスクや磁気ディスクなどの外部記憶デバイス21とにそれぞれ接続する。静止画撮影用光源4には撮影用スイッチ22の出力を接続し、撮影用スイッチ22の出力はコントローラ19に接続する。
【0039】
撮影倍率を変更するズームスイッチ23の出力は、キャラクタ発生手段16とコントローラ19にそれぞれ接続している。
【0040】
コントローラ19には、画像のハード出力の手段としてインクジェット式のプリンタ24を接続している。プリンタ24はインクタンク25を消耗材として備えていると共に、出力媒体としての紙を収容する給紙トレイ26を備えている。
【0041】
そして、コントローラ19には更に印刷出力のための印刷用スイッチ27を接続している。
【0042】
プリンタ24はインクタンク25からインクを導いて紙の上に吹き付けることにより、眼底画像Er’を出力する。インクタンク25は交換式となっていて、インクがなくなった場合にインクタンク25自体を交換できるようになっている。給紙トレイ26は補給式となっており、紙がなくなった場合に紙を随時に補給できるようになっている。
【0043】
ここで、プリンタ24はコンピュータを内蔵し、それによりマスク画像Mを認識するマスク認識手段と、このマスク認識手段の出力に基づいてマスク画像Mをインクの消費量を低減する画像に変換する画像変換手段とを有している。また、マスク認識手段はマスクの形状を記憶するマスク形状記憶手段を備えている。
【0044】
この画像記録装置では、観察アライメント用光源1を発した光束は、コンデンサレンズ3、静止画撮影用光源4、コンデンサレンズ5を通り、ミラー6で上方に反射し、レンズ7、絞り8のリング状開口部、リレーレンズ9を通って孔あきミラー10で左方へ反射し、対物レンズ2と瞳孔Epを通って眼底Erを照明する。そして、眼底Erで反射した眼底画像Er’は、瞳孔Ep、対物レンズ2、フォーカスレンズ11、撮影レンズ12を通り、切換えミラー13で下方に反射し、動画観察用カメラ15の撮像面に結像する。
【0045】
動画観察用カメラ15に結像した眼底画像Er’は電気信号となり、キャラクタ発生手段16を介して動画観察用モニタ17に入力する。動画観察用モニタ17は眼底画像Er’とキャラクタ発生手段16が発生した例えば黒色のマスク画像Mを映出し、眼底画像Er’の周りにあるフレア部分をマスクし、眼底Erの静止画撮影の撮像範囲と一致する有効部だけを表示する。この際に、コントローラ19はマスク画像Mの形状をマスク形状記憶手段から呼び出して動画観察用モニタ17に表示する。
【0046】
撮影者は動画観察用モニタ17により眼底画像Er’を監視しながら、撮影部位、アライメント状態、ピント状態を確認する。例えばピントがずれている場合には、フォーカスノブ18でフォーカスレンズ11を駆動してピントを合わせる。そして、ピントが合ったことを確認した後に、撮影用スイッチ22を操作する。
【0047】
これにより、切換えミラー13が光路外に退避すると共に、静止画撮影用光源4が発光する。静止画撮影用光源4から発した光束は、観察アライメント用光源1から発した光束と同様な光路を通って眼底Erを照明する。眼底Erで反射した眼底画像Er’は、瞳孔Ep、対物レンズ2、孔あきミラー10の孔部、フォーカスレンズ11、撮影レンズ12を通り、静止画撮影用カメラ14の撮像面に結像する。そして、静止画撮影用カメラ14に結像した眼底画像Er’は、デジタル信号となってコントローラ19に入力し、その中の画像メモリにマスク画像Mと共に記憶される。
【0048】
図2は静止画撮影用カメラ14に結像した眼底画像Er’の説明図であり、眼底画像Er’はフレアFに囲まれていて、診断に有効な領域の境界が明瞭となっていない。従って、コントローラ19は眼底画像Er’に所定のマスク画像Mの領域のデータを黒レベル表示のデータに書き換え、図3に示すように静止画再生用モニタ20に通常は黒いマスク画像Mで囲んだ眼底画像Er’を表示し、診断に有効な領域の境界を明瞭にする。この際に、静止画再生用モニタ20には、印刷したときに有効な上下方向を示す目印Sや、被検者又は撮影状態を示すデータ表示Dをマスク画像Mと共に表示することが好ましい。
【0049】
図4はマスク画像Mを切り出す手順のフローチャート図である。印刷用スイッ
チ27をオンにすると、コントローラ19はプリンタ24に対し静止画再生用モニタ20に映出している画像データを出力し始める。ステップS1では印刷用スイッチ27がオンであるか否かを判断し、オンであると判断したときにステップS2に進む。ステップS2ではマスク形状記憶手段からマスクの形状を読み出す。ステップS3では、マスク画像Mの色を画像変換手段によりインクを使用しない色、通常は白色に変換する。この際に、マスクの形状を明瞭にするため、その縁取りを黒く残しておくことも可能である。
【0050】
ステップS4では、静止画用モニタ20上にデータ表示Dの表示があるか否かを判断する。データ表示Dの表示があるときにはステップS5に進み、データ表示Dの表示がない場合にはステップS6に進む。ステップS5ではデータ表示Dの文字部を白色から黒色に変換する。ステップS6では変換した画像データをプリンタ24へ出力する。プリンタ24はその画像データを受けて印刷を開始する。
【0051】
このとき、図5に示すように、プリンタ24はマスク画像Mをインクの存在しない白色として印刷し、データ表示Dの文字部とマスク画像Mの縁部MEを通常では黒色で印刷する。そして、ステップS7では、画像データを元に戻し、プリンタ24への画像データの出力を終了する。
【0052】
この第1の実施の形態では、眼底画像Er’をプリンタ24で印刷する際に、眼底画像Er’として不要な領域であるマスク画像Mを白色に変換して印刷するので、プリンタ24のインクの消費量を低減することができる。そして、静止画用モニタ20には従来と同様な黒色のマスク画像Mを表示するので、眼底画像Er’を観察する際の視認性を確保することができる。
【0053】
図6は第2の実施の形態の画像記録装置の構成図であり、この第2の実施の形態の画像記録装置は、静止画撮影用の撮像素子28aを備えて被検眼Eの前眼部を撮影するスリットランプ28と、静止画撮影用の撮像素子29aを備えて被検眼Eの眼底Erを撮影する眼底カメラ29と、静止画撮影用の撮像素子28a、29aに接続した第1の実施の形態と同様なコントローラ19と、このコントローラ19に接続した第1の実施の形態と同様なプリンタ24とから構成している。
【0054】
コントローラ19は画像及び撮影に付帯する情報、例えば第1の実施の形態のデータ表示Dやスリットランプ28と眼底カメラ29の情報も管理するようになっている。静止画再生用モニタ20上のデータ表示D内のカメラNo.3により撮影に用いた眼底カメラ29又は撮像素子29aを識別し、記録した画像を他の画像と比較する際や、画像処理等により画像を補正する際に有効となっている。
この際に、コントローラ19はスリットランプ28と眼底カメラ29に応じたマスクの形状を記憶していて、スリットランプ28と眼底カメラ29の情報からマスクの形状に対応する情報を引き出すことが可能である。
【0055】
また、コントローラ19は画像管理用のソフトウエアを備えていて、スリットランプ28や眼底カメラ29で撮影した画像を検索表示することが可能となっている。これにより、検者はコントローラ19のソフトウエアを用いて所望の画像を検索表示し、この検索表示した画像をプリンタ24で印刷する。この際に、プリンタ24の動作の大部分は第1の実施の形態のプリンタ24と同様となるが、スリットランプ28と眼底カメラ29の情報からマスクの形状に対応する情報を引き出す点で第1の実施の形態と異なっている。なお、画像毎に付帯する情報にマスクの形状に対応する情報を含ませても同等の効果が得られる。
【0056】
なお、眼底カメラ29で撮影する眼底は赤色を多く含んでいるので、ここで選んだマスクの黒色とは容易かつ明確に区別することができる。これに対し、スリットランプ28の場合には、スリット光の当たらない前眼透光部は黒色に近いので、黒色を選ぶと誤処理する危険性が高い。従って、スリットランプ28の場合には、第1の実施の形態と同様にマスクの形状を記憶しておくことが望ましい。
【0057】
しかし、黒色のマスクの画像とスリット画像部の間に、例えば紫色(通常では、スリット画像に紫色は存在しない)の縁部MEを有するようなマスク画像Mを用い、この縁部MEを検出するように構成すれば、この問題は容易に解決することができる。何れにしても、スリットランプ28や眼底カメラ29に基づいてマスクを最適に決定して共存させれば良いことは明白である。
【0058】
図7は第3の実施の形態のマスク画像Mを切り出す手順のフローチャート図である。第1の実施の形態では予め用意したマスクの形状を利用してマスク画像Mを切り出したが、この第3の実施の形態では画像自体の特性からマスク画像Mを自動的に切り出している。
【0059】
ステップS11ではプリンタ24のスイッチがオンであるか否かを判断し、オンであるときにステップS12に進む。ステップ12では、制御装置19に予め定めて記憶してあるマスクの色情報、例えばマスクは黒(RGB表現でR<10、G<10、B<10)であるという情報を読み出し、ステップS13に進む。
ステップS13では、重畳したデータ表示Dがあるか否かを判断し、重畳したデータ表示DがあるときにはステップS14に進み、重畳したデータ表示Dがない場合にはステップS14を経ることなくステップS15に進む。
【0060】
ステップS14では、データ表示Dの文字部の色を白から元の色、ここではマスク画像Mの色である黒色に戻し、ステップS15に進む。ステップS15では、画像データからマスク画像Mの色に近い色の画素を抜き出すか、その連続性を評価することにより、画像データからマスク画像Mを切り出し、ステップS16に進む。そして、ステップS16〜ステップS20は第1の実施の形態のステップS5〜ステップS7と同様に処理する。
【0061】
なお、この第3の実施の形態では、予め定めて記憶してあるマスクの色情報に基づいてマスクを切り出したが、例えばマスクが必ず存在すると約束された画像周辺部の画素の色情報に基づいてマスクを切り出しても、同様の効果が得られる。この場合に、マスクとして用いる色は、本来の画像として撮像する色と明確に区別し得る色を用いることが重要となる。
【0062】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、マスクを切り出すために、圧縮画像等のヘッダ領域に含まれるROI(Region of Interest)等の関心領域を認識し、非関心領域を印刷不要なマスク領域と定義することも可能である。印刷の際の動作は第1の実施例と同様となり、非関心領域に指定した領域をインクで印刷しない白色に変換することにより同様の効果が得られる。
【0063】
また、被検眼Eの眼底や前眼部を撮影してその画像を記録する画像記録装置について説明したが、被検眼Eを除くその他の被写体を撮影して記録するシステムに本発明を適用し得ることは云うまでもない。
【0064】
そして、プリンタのインクについて説明したが、インクはインクリボン等のその他の印刷用材料を含むことも云うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 観察アライメント用光源
4 静止画撮影用光源
14 静止画撮影用カメラ
15 動画観察用カメラ
16 キャラクタ発生手段
17 動画観察用モニタ
19 コントローラ
20 静止画再生用モニタ
21 外部記憶デバイス
22 撮影スイッチ
24 プリンタ
25 インクタンク
27 印刷用スイッチ
28 スリットランプ
29 眼底カメラ
D データ表示
E 被検眼
Er 眼底
Er’ 眼底画像
M マスク画像
ME 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影手段で撮影した画像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した前記画像をインクで印刷するプリンタとを有する画像記録装置において、前記プリンタは前記画像の中の不要な領域を認識し、該認識に基づいて前記画像の中の不要な領域を前記インクの消費量を低減するような画像に変換する演算手段を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記撮影手段は被写体の周辺領域へ向かう光を遮蔽するマスクを備え、前記画像の中の不要な領域は前記撮影手段で撮影した前記マスクの画像である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記プリンタに前記画像を出力する際に前記変換を行う請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記演算手段は、画像情報に付帯する前記マスクの形状を記憶し、該記憶に基づいて前記マスクの画像を認識する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記演算手段は、撮影情報に付帯する前記マスクの形状を記憶し、前記マスクの形状に基づいて前記マスクの画像を認識する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記撮影情報は前記撮影手段の情報である請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記演算手段は、前記マスクの画像の色情報を記憶し、該記憶の色情報に基づいて前記マスクの形状を切り出す請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記画像の周辺の色情報をマスク色情報として判断し、これに基づいて前記マスクの形状を切り出す請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記演算手段は、画像情報に付帯する関心領域情報を認識する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記プリンタは前記インクを紙に吹き付けて印刷するインクジェット式である請求項1〜9の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記マスクの画像の色は略黒色である請求項1〜10の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記画像は被検眼の眼底画像である請求項1〜11の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記記憶手段に記憶した前記画像を表示する表示器を有し、該表示器に表示する前記マスクの画像と、前記プリンタに印刷する前記マスクの画像とが異なる請求項1〜12の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項14】
眼底像を撮影する眼底撮影カメラを有する請求項1〜13の何れか1つの請求項に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−176281(P2012−176281A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119835(P2012−119835)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【分割の表示】特願2001−185817(P2001−185817)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】