説明

画像読み取り装置及び画像形成装置

【課題】複数系統の光源を有する装置における光源の不点灯、或いは光量の低下による異常を精度良く検出できる画像読み取り装置を提供する。
【解決手段】この画像読み取り装置では、導光体が原稿の幅方向である主走査方向の両端側に設けられる光源としての複数のLED基板の各LEDからの入射光を合成して原稿に対して帯状の光束として出射するLED点灯(1301)を行い、レベル検出手段が原稿の読み取り時に白データレベルの検出を主走査方向の先端側及び後端側の光源の近傍の位置で行って第1保持部、第2保持部へ保存(1302〜1306)し、異常判定部(異常検出手段)が検出された2つの白データレベルの差分値と閾値(TH)との比較(1307)から光源の異常の有無を検出(TH≧差分値でなければ異常検出及び読取動作禁止に係る1308〜1310、TH≧差分値であれば読取動作実行に係る1311〜1313を実行)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置及び画像形成装置に係り、特に、複数系統の光源を有し、イメージスキャナ、デジタル複写機、ファクシミリ等に使用して好適な画像読み取り装置及び該装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像読み取り装置の高速化により、読み取り画像のSNの確保が課題となってきている。SN確保のためには、原稿面の光量を上げる必要があるが、従来の1系統の光源を有する画像読み取り装置は、駆動電流、発熱等の制約から所望の光量を得ることができない場合がある。このため、複数系統の光源を搭載した画像読み取り装置が提案されている。複数系統の光源を有する画像形成装置は、光源の異常が発生する確率も高くなり、異常発生による光源の不点灯が発生した場合、SNの劣化及びSNの劣化に伴う画像処理回路の誤動作が発生することが懸念されている。
【0003】
光源の不点灯等の異常の検出は、従来、予め決められたスレッシュレベルに対して光源点灯時の出力レベルが小さいことを検知して行われている。光源が1系統の画像読み取り装置は、光源の点灯、不点灯の検出を比較的容易に行うことができた。しかし、複数系統の光源を有する画像形成装置における光源の点灯、不点灯、あるいは、光量の低下による異常の検出は困難であった。
【0004】
複数の光源を有する画像読み取り装置における光源の異常を検出することを可能にした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、主走査線上の複数の位置で基準白レベルを検出してその平均値を算出し、複数箇所から検出した白レベルの比率から光源の異常を検出するというものである。しかし、この従来技術は、主走査全体のレベルが一律低下するような場合に、複数箇所から検出した白レベルの比率からでは異常を検出することができないものである。
【0005】
また、他の従来技術として、特許文献2等に記載された技術が知られている。この従来技術は、主走査線上の基準白レベルのピーク値を検出し、ピーク値が目標値になるように光源の光量を調整し、目標値に調整できない場合に光源が異常であるとする検出方法である。しかし、この従来技術は、検出までに多くの時間を要するという問題があり、原稿読み取り毎に毎回検出を行うことができないものである。
【0006】
また、この従来技術は、基準白レベルのピーク値を利用する検出方法のため、複数の発光体の合成光量が原稿面光量となる照射系を有する場合、光源である発光体の1つが不点灯の場合でも端部のピークレベルはほとんど変化しないため、発光体の異常検出を精度よく行うことができないものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来技術は、複数系統の光源を有する画像形成装置(画像読み取り装置)における光源の点灯、不点灯、あるいは、光量の低下による異常の検出を行うことが困難であり、且つ異常検出を精度良く行うことができないという問題点を有している。
【0008】
本発明の目的は、複数系統の光源を有する装置における光源の不点灯、或いは光量の低下による異常を精度良く検出することを可能にした画像読み取り装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、原稿を照射する光源を有し、当該原稿からの反射光を光電変換素子により検出してアナログ画像信号を取得し、当該アナログ画像信号をデジタル化して出力する画像読み取り装置において、前記原稿の幅方向である主走査方向の両端側に設けられる前記光源としての複数のLEDと、前記複数のLEDからの入射光を合成して前記原稿に対して帯状の光束として出射する導光体と、前記原稿の読み取り時に白データレベルの検出を主走査方向の先端側及び後端側の前記光源の近傍の位置で行うレベル検出手段と、検出された2つの前記白データレベルの差分値と所定の閾値との比較結果に基づいて前記光源の異常の有無を検出する異常検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の手段は、第1の手段において、前記異常検出手段が前記光源の異常を検出した場合、前記原稿の読み取り動作を禁止することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の手段は、第1の手段において、前記異常検出手段が前記光源の異常を検出した場合、カラー画像の読み取りを停止し、モノクロ画像の読み取りを可能とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の手段は、第1の手段〜第3の手段の何れか1つの手段において、前記異常検出手段による前記光源の異常検出結果を操作部に表示する手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の手段は、第1の手段〜第4の手段の何れか1つの手段における画像読み取り装置を画像形成装置が備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像読み取り装置、及びそれを備えた画像形成装置によれば、主走査方向の先端側及び後端側の光源の近傍の位置で検出された2つの白データレベルの差分値と所定の閾値との比較結果に基づいて光源の異常の有無を検出するため、複数系統の光源を有する装置における光源の不点灯、或いは光量の低下による異常を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用される画像読み取り装置としての被読み取り原稿処理装置(ADF)の基本構成を示す断面図である。
【図2】画像読み取り装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す画像読み取り装置に備えられる第2読み取り部の光源とセンサアレイの部分の部品配置の構成例を示す図である。
【図5】図4に示す複数のLED基板上のLEDが正常な発光を行っている場合の主走査方向の照度分布の例を示す図である。
【図6】図4に示すLED基板上のLEDが不点灯となった場合の主走査方向の照度分布を示す図である。
【図7】図4に示すLED基板上のLEDが不点灯となった場合の主走査方向の照度分布を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示す画像読み取り装置における制御動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の実施例4に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施例5に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の実施例7に係る画像読み取り装置に備えられるLED基板上の各LEDを制御するLED制御部の構成を示すブロック図である。
【図15】図14のLED制御部に係るLED制御用の各Dutyの信号のタイミング例を示す図である。
【図16】本発明の実施例6に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図17】図16の画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施例7に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の画像読み取り装置及びそれを備えた画像形成装置について、幾つかの実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明が適用される画像読み取り装置としての被読み取り原稿処理装置(ADF)の基本構成を示す断面図であり、図2は画像読み取り装置の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す画像読み取り装置は、被読み取り原稿を固定の読み取り装置部に搬送し所定の速度で搬送しながら画像の読み取りを行うものであり、被読み取り原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から原稿を1枚ずつに分離して給送する分離給送部B、給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出して搬送する働きとを行うレジスト部C、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読み取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方より読み取らせる第1読み取り搬送部E、表面画像の読み取り後の原稿の裏面画像を読みとる第2読み取り搬送部F、表裏の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部Hにより構成されている。
【0019】
また、画像読み取り装置は、図2に示すように、前述したような、原稿の搬送動作の駆動を行う各種のモータによる駆動部101〜105、前述した搬送経路に配置される各種センサ、これらのセンサからの信号を受けて駆動部101〜105を制御することにより、一連の動作を制御するADF制御部であるコントローラ部100を備えて構成されている。そして、コントローラ100は、画像形成装置の本体制御部111にI/F107を介して接続されており、本体制御部111は、操作部108に接続されている。さらに、コントローラ100は、第2読み取り部25に接続されて、読み取りの制御を行っている。第2読み取り部25により読み取られた原稿の裏面側の画像データは、本体制御部111に送られる。なお、図1、図2には示していないが、原稿の表面側の画像を読み取る第1読み取り部も、コントローラ100に接続されて制御される。
【0020】
前述において、読み取りを行うべき原稿束1は、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2の上に原稿表面を上向きの状態でセットされ、原稿束1の幅方向が図示しないサイドガイドによって搬送方向と直行する方向に位置決めされる。この原稿のセットは、セットフィラー4、セットセンサ5により検知され、コントローラ100、I/F107を介して本体制御部111に送信される。
【0021】
さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ30または31(反射型センサ、または、原稿1枚であっても検知可能なアクチェーター・タイプのセンサが用いられる)により、原稿の搬送方向長さの概略が判定される。このセンサとしては、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサが用いられる。
【0022】
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1に矢印で示すa、b方向に上下動可能に構成されており、原稿がセットされたことが、前述のセットフィラー4、セットセンサ5により検知されると、底板上昇モータ105が正転させられ、底板ホームポジションセンサ6の位置から離れて原稿束の最上面がピックアップローラ7と接触するように上昇させられる。
【0023】
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構により図1に矢印で示すc、d方向に動作されると共に、可動原稿テーブル3が上昇し可動テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がり、テーブル上昇検知センサ8により上限が検知されるようになっている。
【0024】
その後、本体操作部108におけるプリントキー等が押下されると、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、ピックアップローラ7は、給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動され、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。その回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
【0025】
給紙ベルト9は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ10は、102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙する。さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は、給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接している状態、または、原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転につられて反時計方向につれ回りする。そして、リバースローラ10は、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されており、原稿が2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に侵入した場合に、本来の駆動方向である時計方向に回転して、余分な原稿を押し戻す働きをし、原稿の重送を防止する。
【0026】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によってさらに送られ、突き当てセンサ11によって先端が検知され、さらに進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。その後、原稿は、前述の突き当てセンサ11の検知から所定量定められた距離送られ、結果的に、プルアウトローラ12に所定量の撓みを持って押し当てられた状態となる。この状態で、給紙モータ102は、停止するようにコントローラ100により制御され、これにより、給紙ベルト9の駆動が停止される。このとき、ピックアップモータ101を回転させることにより、ピックアップローラを原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0027】
プルアウトローラ12は、前述したスキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。この給紙モータ102の逆転のとき、プルアウトローラ12と中間ローラ14とは、駆動されているが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9とは駆動されていない。
【0028】
原稿幅センサ13は、図1の奥行き方向、すなわち、原稿の幅方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向に直行する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端後端を突き当てセンサ11で読み取ることにより、モータパルスから検知される。
【0029】
プルアウトローラ12及び中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を読み取り、搬送部Eでの搬送速度よりも、ターン部Dでの速度を高速になるように設定して、原稿を読み取り部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0030】
原稿がさらに送られて、原稿先端が読み取り入口センサ15により検出されると、読み取り入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読み取り搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読み取りモータ103を正転駆動して読み取り入口ローラ16、読み取り出口ローラ23、CIS出口ローラ27が駆動される。
【0031】
原稿の先端をレジストセンサ17が検知すると、原稿は、所定の搬送距離をかけて減速され、読み取り位置20の手前で一時停止させられると共に、コントローラ100、I/F107を介して本体制御部111にレジスト停止信号が送信される。続いて、コントローラ100は、本体制御部111から読み取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿を、読み取り位置20に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速制御して搬送する。
【0032】
読み取りモータのパルスカウントにより検出された原稿先端が読み取り部に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して第1面(原稿表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、コンタクトガラス21の下方に配置される図示しない第1読み取り部を原稿後端が抜けるまで送信される。この間に、原稿の表面画像が、コンタクトガラス21の下方から第1読み取り部により読み取られる。第1読み取りローラ19は、第1読み取り部におけるコンタクトがラス21からの原稿の浮きを抑えると同時に、第1読み取り部におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0033】
片面原稿読み取りの場合、読み取り搬送部Eを通過した原稿は、第2読み取り部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、排紙センサ24により原稿の先端が検知されると、排紙モータ104は、正転駆動されて排紙ローラ28を反時計方向に回転させ、原稿を排紙するが、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
【0034】
両面原稿読み取りの場合、排紙センサ24が原稿先端を検知してから読み取りモータのパルスカウントにより第2読み取り部25に原稿先端が到達するタイミングで第2読み取り部25に対して、コントローラ100から本体制御部111に対して第2面(原稿裏面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第2読み取り部25を原稿後端が抜けるまで送信される。この間に、原稿の裏面画像が、第2読み取り部25により読み取られる。第2読み取りローラ26は、第2読み取り部における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読み取り部におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【実施例1】
【0035】
図3は本発明の実施例1に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。図3中には、第2読み取り部(第二読取部)25を中心とした画像読み取り装置の回路構成を示しているが、第1読み取り部(第一読取部)に対しても、同様な回路構成をとることができる。
【0036】
図3に示す画像読み取り装置は、第2読み取り部25と、この第2読み取り部25からのデジタル化された画像データの、第2読み取りローラ26の特定位置、エリアの画像平均値を算出する平均化処理部307と、平均化処理部307からの基準データである基準白データレベル値を保持する第1保持部309及び画像読み取り直前の画像平均値である比較用の白データレベル値を保持する第2保持部308と、第1及び第2保持部に保持されている2つのレベル値の差をとる差分検出器310と、この差分検出器310からの差分値と予め定めた判定用基準値であるTH値(閾値)とを比較することにより、画像読み取り装置の光源の異常を検出し、異常を検出した場合に、コントローラ100に異常を通知するする異常判定部311と、前述の各機能部全体の制御を行うコントローラ100と、により構成されている。第1保持部309及び第2保持部308は、不揮発性メモリ等により構成しておくのがよい。
【0037】
また、第2読み取り部25は、図示しないタイミング生成回路により駆動され、原稿からの反射光を電気信号に変換したアナログ画像信号を出力する光電変換素子であるセンサIC301と、該センサIC301からのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して平均化処理部307に出力する信号処理IC302と、コントローラ100からの指示に従って、画像読み取り装置の光源であるLEDの光量を制御するLED制御部321と、により構成されている。
【0038】
信号処理IC302は、クランプ回路303と、サンプルホールド回路304と、プログラマブルゲインアンプ305と、ADコンバータ306と、により構成される。センサIC301からのアナログ画像信号は、クランプ回路303により、信号処理IC302の内部基準電位にクランプされる。サンプルホールド回路304は、クランプされたアナログ画像信号を、図示しない信号処理IC駆動信号の1つであるサンプルパルスによりサンプリングして、レベルを保持することにより連続的なアナログ画像信号にする。その後、このアナログ画像信号は、プログラマブルゲインアンプ305によりで所定の増幅率に従って増幅された後、ADコンバータ306によりでデジタル画像データに変換される。変換されたデジタル画像データは、画像形成装置を構成する図示しない画像処理部へ出力されると共に平均化処理部307に出力される。
【0039】
図3に示す画像読み取り装置での光源の異常検出のタイミングは、画像読み取り毎に行うものとするが、画像形成装置の電源ON時1回だけ行ってもよいし、ADFへの複数枚の原稿が搭載されたときの最初の1回でもよい。
【0040】
図4は実施例1に係る画像読み取り装置に備えられる第2読み取り部25の光源とセンサアレイとの部分の部品配置の構成例を示す図である。原稿読み取り用の光を照射するための光源としては、原稿の幅方向(原稿の搬送方向に対して直角な方向であり、主走査方向である)の両端側に設けられる複数のLEDが用いられる。図4(a)の平面図に示す例では、両端側のそれぞれに、LED基板401a、401c及びLED基板401b、401dが配置されて、各基板に光源であるLEDを搭載している。LED基板401aと401bとの間及びLED基板401cと401dとの間には、原稿面に光束を出射する導光体402a、402bが設けられている。
【0041】
そして、図4(b)の側面図に示すように、LED基板401a〜401d上のLEDから出射された光は、導光体402a、402bの内部で光反射及び拡散が行われて、原稿405に対して帯状の均一な照度を有する光束として出射される。光束が照射された原稿405の帯状の部分に対向して、原稿405上の画像からの反射光を等倍センサアレイ404(図に示すセンサIC301)に導くレンズであるSLA403が配置されており、原稿405上の画像からの反射光は、SLA403を介して等倍センサアレイ404により受光されて光電変換される。
【0042】
図4に示す例は、光源であるLEDを両端側のそれぞれに、2つずつ4個設けるとして説明したが、LEDは、両端側のそれぞれに1つずつ2個配置してもよい。その場合、導光体を1つとして、その両側に1つずつのLEDを配置してもよく、また、導光体を2つ設けたままとして、各導光体の反対側となる位置にLEDを配置し、LEDを配置していない導光体の端部にミラー等の光反射材を設けるようにしてもよい。何れの場合にも、原稿405に対して帯状の均一な照度を有する光束として出射できればよい。
【0043】
次に、前述したような実施例1に用いられる複数の光源を有する画像読み取り装置による主走査方向の照度分布の例について説明する。
【0044】
図5は図4に示す複数のLED基板401a〜401d上のLEDが正常な発光を行っている場合の主走査方向の照度分布の例を示す図である。図5に示すように、主走査先端側は、LED基板401a、401c上のLEDの光量が支配的になり、主走査後端側は、LED基板401b、401d上のLEDの光量が支配的になる。そして、両サイドからの光量が合成された実線で示すものが原稿面の主走査照度分布となり、図5に示す全LEDの合成分光分布がこれに当たる。
【0045】
図6は図4に示すLED基板401a上のLEDが不点灯となった場合の主走査方向の照度分布を示す図である。図6に示す例の場合、主走査先端側の光量が低下することになり、全LEDの合成光量分布は、主走査方向に対してフラットな分布にはならないが、後端側の光量への影響は小さい。この場合、主走査中のピークレベルを検出する従来技術の場合、LEDの不点灯を検出することができない。
【0046】
図7は図4に示すLED基板401a、401b上のLEDが不点灯となった場合の主走査方向の照度分布を示す図である。図7に示す例の場合、主走査先端側及び後端側の光量が同じ量だけ低下することになるので、全LEDの合成光量は下がるが、その分布は主走査方向に対してフラットとなる。
【0047】
図5〜図7に説明したように、主走査方向の両端に複数光源を配置した画像読み取り装置の場合、光源の異常により、主走査方向に複数の照度分布パターンを生成することになり、白レベル検出の出力レベルの低下、主走査方向の出力分布バラツキを精度よく検出して光源の不点灯、光量低下の検出することを難しくしている。
【0048】
以下には、図4を参照して説明したような複数光源を有する画像読み取り装置における光源の異常を容易に検出できるようにするための幾つかのパターンを説明する。
【0049】
図8は本発明の実施例1に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明する制御及び以後に制御する制御は、いずれもコントローラ100により行われる処理である。なお、図8(a)は電源投入時のフローであり、図8(b)は読み取り時のフローであるが、以下では、全体を続けて説明する。
【0050】
(1)画像読み取り装置を備える画像形成装置等の電源が投入されると、まず、前述で説明したLEDを点灯し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、異常検出用の基準白データを取得する(ステップ801、802)。
【0051】
(2)次に、取得した基準白データのレベルの絶対値と、予め決定して設定され、不揮発性メモリ等に保持しているTH1レベル値(複数設けられているLEDの全てが正常に点灯されたことにより得ることができるレベルに基づいて決められている)とを比較し、取得した基準白データのレベル値がTH1のレベルより小さいか否かを判定する(ステップ803)。
【0052】
(3)ステップ803の判定で、取得した基準白データのレベル値がTH1のレベルより小さかった場合、光源であるLEDの少なくとも1つが点灯していない、或いは幾つかのLEDの光量が大きく低下していると判断して、異常検出フラグをセットし、LEDを消灯制御し、その後の原稿の読み取り動作を禁止する(ステップ804〜806)。
【0053】
(4)ステップ803の判定で、取得した基準白データのレベル値がTH1のレベルより大きかった場合、検出された基準白レベルが正常であると判断して、この基準白レベルの値を第1保持部309に保存し、LEDを消灯する制御を行って待機状態となる(ステップ807、808)。
【0054】
(5)電源のON時に正常と判断されて待期状態となった後、原稿の読み取り動作が開始されると、画像読み取り前に光源の異常検出を行ため、電源ON時と同様に、LEDを点灯し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、検出した比較用の白部レベルの値を第2保持部308へ保存する(ステップ810〜812)。
【0055】
(6)次に、ステップ812の処理で第2保持部308に保持した比較用の白レベルの値と電源ON時に第1保持部309に保持した基準白レベルの値との差分を算出し、この差分と予め決められ、不揮発性メモリ等に保持されているTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ813)。
【0056】
(7)ステップ813の判定で、差分の値がTHレベルの値を越えている、すなわち、差分の値がTHレベルの値より大きかった場合、電源ON時から原稿読み取りまでの間に光源であるLEDの少なくとも1つが点灯しない状態になった、或いは幾つかのLEDの光量が大きく低下したと判断して、異常検出フラグをセットし、LEDを消灯制御し、その後の原稿の読み取り動作を禁止する(ステップ814〜816)。
【0057】
(8)ステップ813の判定で、差分の値がTHレベルの値を越えていなかった、すなわち、差分の値がTHレベルの値より小さかった場合、検出された比較用の白レベルが正常であると判断して、原稿の読み取り動作を実行し、読み取り終了後にLED消灯制御して正常終了する(ステップ817〜819)。
【実施例2】
【0058】
図9は本発明の実施例2に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。図9に示す画像読み取り装置は、基本的に、図3に示した実施例1の場合と同様に構成されている。図3に示す画像読み取り装置との相違は、第2保持部308のデータを第1保持部309のデータとして更新することが可能な構成とされている点である。
【0059】
図9に示す実施例2に係る画像読み取り装置は、画像読み取り終了後、または、開始時にコントローラ100からN_Load信号を制御することにより第2保持部308保持されていたデータを第1保持部309にロードし、この値をその後の原稿の読み取り動作での基準白レベルの値として利用する。
【0060】
一般に、画像形成装置は、電源ON時、原稿読み取りの開始から終了までの間に、各種の処理動作に伴う機器内部の温度が上昇する。この温度上昇により、LEDが持つ温度特性により、その光量が変化する。本発明の第2の実施形態は、このような温度上昇によるLEDの光量の変化に対応して、基準白レベルの値を更新することにより、よりSNのよい画像データを得ることができるようにしたものである。
【0061】
図10は本発明の実施例2に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、図10は読み取り時のフローを示しており、電源ON時のフローは、図8(a)に示したものと同一である。図10に示すフローの図8(b)に示したフローとの相違は、原稿の読み取り動作を実行した後のLED消灯制御のステップ818と、読み取り終了のステップ819との間に、第2保持部308のデータを第1保持部309に移して、第1保持部309のデータを更新するステップ1001の処理を追加したことだけである。
【実施例3】
【0062】
図11は本発明の実施例3に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、画像読み取り装置の回路構成は、図9により説明したものと同一である。図11に示すフローは、電源ON時のものであるが、原稿読み取り時の制御は、前述した実施例1または実施例2の場合と同一であってよい。また、この実施例3において、処理の開始時、第1保持部309には前回の電源遮断前に保持されていた基準白レベルの値が保持されているものとする。
【0063】
(1)電源のON時に光源の異常検出を行ため、LEDを点灯し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、検出した基準白レベルの値を第2保持部308へ保存する(ステップ1101〜1103)。
【0064】
(2)次に、第1保持部309に保持されていた前回の電源遮断前に保持されていた基準白部レベルの値とステップ1103の処理で第2保持部308に保持した基準白レベルの値との差分を算出し、この差分と予め決められているTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ1104)。
【0065】
(3)ステップ1104の判定で、差分の値がTHレベルの値を越えている、すなわち、差分の値がTHレベルの値より大きかった場合、前回の電源遮断から今回の電源ON時までの間に光源であるLEDの少なくとも1つが点灯しない状態になった、或いは幾つかのLEDの光量が大きく低下したと判断して、異常検出フラグをセットし、LEDを消灯制御し、その後の原稿の読み取り動作を禁止する(ステップ1105〜1107)。
【0066】
(4)ステップ1104の判定で、差分の値がTHレベルの値を越えていなかった、すなわち、差分の値がTHレベルの値と同一または小さかった場合、検出された基準白部レベルが正常であると判断して、LEDを消灯する制御を行い、第2保持部308のデータを第1保持部309に移して第1保持部のデータを更新して待機状態となる(ステップ1108、1109)。
【実施例4】
【0067】
図12は本発明の実施例4に係る画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。図12に示す画像読み取り装置は、基本的に、図3に示した実施例1の場合と同様に構成されている。図3に示す画像読み取り装置との相違は、第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出する位置を指定する位置指定部1201が設けられて、位置指定信号が平均化処理部307に与えられている点である。そして、この実施例4では、コントローラ100により平均化処理部307の平均値算出位置を制御可能としている。
【実施例5】
【0068】
図13は本発明の実施例5に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、画像読み取り装置の回路構成は、図3により説明した実施例1の場合と同一である。この実施例5では、図12に示す実施例4の場合における基準白部のレベルを検出する位置を、主走査先端部と主走査後端部とに設定した場合の例である。図13に示すフローは、原稿読み取り時のフローであり、この実施例5の場合には、読み取り動作時に、主走査の場所による基準白レベルを比較検出して光源の異常検出を行うようにしているので、電源投入時の処理は不要となる。
【0069】
(1)原稿の読み取り動作が開始されると、画像読み取り前に光源の異常検出を行ため、LEDを点灯し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを、主走査先端部の位置で検出し、検出した白レベルの値を第1保持部309へ保存する(ステップ1301〜1303)。
【0070】
(2)次に、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを、主走査後端部の位置で検出し、検出した白レベルの値を第2保持部308へ保存する(ステップ1304〜1305)。
【0071】
(3)第1保持部309に保持した白レベルの値と、第2保持部308に保持した白部レベルの値との差分を算出し、算出した差分値と予め定めたTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ1306、1307)。
【0072】
(4)ステップ1307の判定で、差分の値がTHレベルを越えている場合、主走査先端部の位置と主走査後端部の位置とで光量が大きく相違していることを意味し、片側のLEDの少なくとも1つが点灯しない状態になった、或いは片側のLEDの光量が大きく低下したと判断して、異常検出フラグをセットし、LEDを消灯制御し、その後の原稿の読み取り動作を禁止する(ステップ1308〜1310)。
【0073】
(5)ステップ1307の判定で、差分の値がTHレベルを越えていなかった、すなわち、差分の値がTHレベルの値と同一または小さかった場合、両端側に配置したLEDが正常であると判断して、原稿の読み取り動作を実行し、その後に、LEDを消灯制御して正常終了する(ステップ1311〜1313)。
【0074】
前述で説明した実施例5の処理では、図4により説明したように、LEDが両端側のそれぞれに、2つずつ4個設けられていて、両端側の1つずつのLEDが点灯しない異常が生じた場合に、異常を検出することはできないが、2つのLEDが同時に異常となる確率は極めて小さいため問題となることはなく、また、そのような状態で原稿の読み取り動作が行われた場合、多少のSNの劣化が生じるものの正常な原稿の読み取りを行うことができる。
【実施例6】
【0075】
図16は本発明の実施例6に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャート、図17は図16の画像読み取り装置の回路構成を示すブロック図である。
【0076】
図17に示す実施例6に係る画像読み取り装置は、図3で説明した実施例1の場合に対して、検出した白レベル値を保持する第1及び第2保持部、差分検出器、異常判定部を発光体の数だけ設けて構成したものである。この例では、図4により説明したように、LEDが両端側のそれぞれに、2つずつ4個設けられているものとして、4系統を有しているものとして示している。図17において、第1保持部1701〜第4保持部が、図3における第1保持部309に対応し、第5保持部1705〜第8保持部1708が、図3における第2保持部308に対応する。
【0077】
次に、図16に示すフローにより実施例6での説明動作について説明する。なお、図16(a)は電源投入時のフローであり、図16(b)は読み取り時のフローであるが、以下では、全体を続けて説明する。また、ここでの処理は、4つのLEDの異常を1つずつ検出するが、その順序は任意であり、4つのLEDをLED1〜4として説明する。
【0078】
(1)画像読み取り装置を備える画像形成装置等の電源が投入されると、まず、LED1を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、異常検出用の基準白データを取得し、取得した基準白レベルの値を第1保持部1701に保持し、その後LED1を消灯制御する(ステップ1601〜1604)。
【0079】
(2)次に、LED2を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、異常検出用の基準白データを取得し、取得した基準白レベルの値を第2保持部1702に保持し、その後LED2を消灯制御する(ステップ1605〜1608)。
【0080】
(3)次に、LED3を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、異常検出用の基準白データを取得し、取得した基準白レベルの値を第3保持部1703に保持し、その後LED3を消灯制御する(ステップ1609〜1612)。
【0081】
(4)次に、LED4を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、異常検出用の基準白データを取得し、取得した基準白レベルの値を第3保持部1704に保持し、その後LED4を消灯制御し、待期状態となる(ステップ1613〜1616)。
【0082】
ここまでの処理により、各LED毎の異常検出用の基準白レベルのデータを生成することができる。なお、前述では、LEDは、全て点灯するものとしているが、それぞれのLEDに対する点灯の制御処理を行い、基準白レベルを取得した後に、実際に各LEDが点灯したか否かを検出する検出処理を挿入する必要がある。この検出処理は、取得したデータと予め決定して設定されて、不揮発性メモリに保持されているTH2レベル値とを比較して行うことができ、点灯できなかったとき、或いは光量が所定以上低下していたとき、読み取り動作を禁止する。
【0083】
(5)電源のON時に正常と判断されて待機状態となった後、原稿の読み取り動作が開始されると、画像読み取り前に各LEDの異常検出を行ため、電源ON時と同様に、LED1を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、検出した比較用の白部レベルの値を第5保持部1705へ保存する(ステップ1617〜1619)。
【0084】
(6)次に、ステップ1603の処理で第1保持部1701に保存した基準白レベルの値とステップ1619の処理で第5保持部1705に保存した比較用の白レベルの値との差分を演算し、この差分と予め決められているTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ1620)。
【0085】
(7)ステップ1620の判定で、差分の値がTHレベルを越えていた場合、LED1が点灯しない状態になった、或いは光量が低下したと判断して、異常検出フラグをセットし、LED1を消灯制御し、その後の原稿の読み取り動作を禁止する(ステップ1621〜1623)。
【0086】
(8)ステップ1620の判定で、差分の値がTHレベルを越えていなかった場合、検出された比較用の白部レベルが正常であると判断し、一旦、LED1を消灯制御し、LED2〜LED4について、前述したLED1の場合と同様に、異常の有無をチェックし、LED1〜LED4の全てが正常であった場合、LED1〜LED4の全てを点灯制御して、原稿の読み取り動作を実行して正常終了する。
【0087】
以上に説明した各実施例では、光源であるLEDが点灯しない、或いは光量低下の異常が生じたことを検出した場合に、画像読み取り動作を停止させるとして説明したが、本発明は、異常検出結果から異常発生した光源の光量を個別に調整するようにすることもでき、次に、その場合の実施例を説明する。
【実施例7】
【0088】
図14は本発明の実施例7に係る画像読み取り装置に備えられるLED基板401a〜401d上の各LEDを制御するLED制御部312の構成を示すブロック図、図15は図14のLED制御部312に係るLED制御用のDuty1〜Duty4の信号のタイミング例を示す図である。この実施例7に係る画像読み取り装置の回路構成は、図17に示したものと同一でよく、4系統の光源を有しているものとする。
【0089】
図14に示すように、各系統のLED基板401a〜401d上のLEDの光量を制御するため、各LEDとコントローラ100との間には、定電流回路とスイッチング回路とを有する駆動回路1401〜1404が設けられ、駆動回路1401〜1404には、コントローラ100からの制御信号であるDuty1〜Duty4の信号が印加される。
【0090】
Duty1〜Duty4の信号は、図15に示すように、ラインの同期信号であるXLSYNCの1周期内での“H”期間の長さがコントローラ100により制御される。駆動回路1401〜1404は、Duty1〜Duty4の信号の“H”期間に、各LED基板401a〜401d上のLEDに電流を流し、各LEDを発光させる。Duty1〜Duty4の信号の“H”期間は、個別に制御することが可能であり、これにより、各LEDの光量を制御することができる。
【0091】
図18は本発明の実施例7に係る画像読み取り装置の制御動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。図18に示すフローは、原稿読み取り時に、画像読み取り前に行われるものであり、電源ON時の処理は、図16(a)により説明した場合と同様である。
【0092】
(1)電源のON時に正常と判断されて待期状態となった後、原稿の読み取り動作が開始されると、画像読み取り前に各LEDの異常検出を行ため、電源ON時と同様に、LED1を点灯制御し、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、検出した比較用の白部レベルの値を第5保持部1705へ保存する(ステップ1801〜1803)。
【0093】
(2)次に、電源ON時の処理で第1保持部1701に保存した基準白レベルの値とステップ1619の処理で第5保持部1705に保存した比較用の白レベルの値との差分を演算し、この差分と予め決められているTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ1804)。
【0094】
(3)ステップ1804の判定で、差分の値がTHレベルを越えていた場合、LED1の光量が低下したと判断して、LED基板1上LEDの点灯Duty制御信号であるDuty1の“H”期間を差分値から算出される期間に変更し、再度、基準白部を兼ねる第2読み取りローラ26の基準白部のレベルを検出し、検出した比較用の白部レベルの値を第5保持部1705へ保存する(ステップ1805〜1807)。
【0095】
(4)次に、電源ON時の処理で第1保持部1701に保存した基準白レベルの値とステップ1619の処理で第5保持部1705に保存した比較用の白レベルの値との差分を演算し、この差分と予め決められているTHレベルとを比較し、THレベルが差分の値を越えているか否かを判定する(ステップ1808)。
【0096】
(5)ステップ1804の判定で、差分の値がTHレベルを越えていた場合、Duty1の信号の“H”期間の設定がmax設定か否か確認し、max設定でなかった場合、ステップ1805からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ1809)。
【0097】
(6)ステップ1809の判定で、Duty1の信号の“H”期間の設定がmax設定であった場合、異常検出フラグをセットし、LED基板1上のLEDを消灯して、以後の読み取り動作を禁止する(ステップ1810〜1812)。
【0098】
(7)ステップ1804または1808の判定で、差分の値がTHレベルを越えていなかった場合、検出された比較用の白部レベルが正常であると判断し、一旦、LED基板1上のLEDを消灯制御し、LED基板2〜LED基板4上の各LEDについて、前述したLED基板1上のLEDの場合と同様に、異常の有無をチェックし、LED基板1〜LED基板4上のLEDの全てが正常であった場合、全てのLEDを点灯制御して、原稿の読み取り動作を実行して正常終了する。
【0099】
実施例7では、1つのLEDが不点灯となった場合に、正常点灯しているLEDの光量を増加させるように制御して、光量を補うことにより、異常画像が発生しないように変形することができる。
【0100】
因みに、上述した本発明の各実施例において、コントローラ100は、異常判定部311からの異常検出結果を受けて、画像形成装置の操作部108の図示しない表示装置上に検出結果を表示することができる。また、コントローラ100は、異常判定部311からの異常検出結果を受けて、異常発生時にカラー読み取りのみを停止し、モノクロ読み取りを許可するように制御することができる。
【0101】
また、上述した本発明の各実施例での各処理は、プログラムにより構成し、本発明が備えるコントローラに実行させることができ、また、それらのプログラムは、FD、CDROM、DVD等の記録媒体に格納して提供することができ、また、ネットワークを介してディジタル情報により提供することができる。
【0102】
上述した本発明の各実施例によれば、複数の光源を有する画像読み取り装置の光源の不点灯、光量低下を精度良く検出し、読み取り動作を禁止することにより、異常な画像の発生を防止することができる。
【0103】
通常、電源投入時には、基準白データレベルを比較する比較手段が、比較するための基準データを有していないため、異常検出を行うことができないが、上述した本発明の各実施例によれば、前回の電源遮断前に保持されていた基準白部レベルを用いることができるので、電源投入時にも、設計の狙い通りの基準データを用いて光源の異常を検出することができる。
【0104】
一般に、経時的に、或いは温度変化に依存してLEDの光量が変化し、それに伴って、読み取り装置の出力レベルが変化するが、上述した本発明の各実施例によれば、前回の基準白読み取りレベルを次回の比較データとすることにより、比較スレッシュレベル範囲を狭くすることが可能となり、さらなる検出精度の向上を図ることができる。
【0105】
また、装置を長年使用している場合、設計狙い値から実際の原稿読み取り装置からの出力レベルが低下するため、比較スレッシュレベル範囲を広くする必要があるが、上述した本発明の各実施例では、電源投入時の基準白データレベルの異常判定に電源遮断時の最終基準白レベルを使用することができるので、比較スレッシュレベル範囲を狭くすることが可能となり検出精度の向上をはかることができる。
【0106】
何れにせよ、本発明の各実施例の画像読み取り装置では、複数の発光体のうち1つが不点灯になった場合にも、発光体の不点灯を精度良く検出することができる。
【0107】
また、本発明の各実施例の画像読み取り装置では、異常検出のために比較する基準データを予め取得しておく必要をなくすことができ、不揮発性メモリが不要な簡易な構成で光源の異常を検出することが可能となる。
【0108】
更に、本発明の各実施例の画像読み取り装置では、複数の光源を個別に異常検出のために比較する基準データを用意することができ、複数の光源を順次点灯させ個別に比較して異常検出することができ、さらなる検出精度の向上及び不点灯の光源を特定することができる。
【0109】
加えて、本発明の各実施例の画像読み取り装置では、不点灯の発光体を特定し、不点灯の発光体による光量低下を補える位置の発光体の光量を調整することにより異常発生時でも正常な画像読み取りを行うことができる。
【0110】
その他、本発明の各実施例の画像読み取り装置では、何れも画像形成装置に備える適用が可能であり、しかも異常時の検出結果を操作部に表示することにより、異常内容をユーザに通知することができ、また、光量が低下しても影響の小さいモノクロモードを動作可能とし、カラーモードのみ動作停止することでダウンタイムの影響を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0111】
25 第2読み取り部
100 コントローラ
301 センサIC
302 信号処理IC
303 クランプ(CLMP)回路
304 サンプルホールド(SH)回路
305 プログラムグラマブルゲイン回路(PGA)
306 ADコンバータ
307 平均化処理部
308 第2保持部
309 第1保持部
310 差分検出器
311 異常判定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2000−39679号公報
【特許文献2】特開2002−368955号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照射する光源を有し、当該原稿からの反射光を光電変換素子により検出してアナログ画像信号を取得し、当該アナログ画像信号をデジタル化して出力する画像読み取り装置において、
前記原稿の幅方向である主走査方向の両端側に設けられる前記光源としての複数のLEDと、前記複数のLEDからの入射光を合成して前記原稿に対して帯状の光束として出射する導光体と、前記原稿の読み取り時に白データレベルの検出を主走査方向の先端側及び後端側の前記光源の近傍の位置で行うレベル検出手段と、検出された2つの前記白データレベルの差分値と所定の閾値との比較結果に基づいて前記光源の異常の有無を検出する異常検出手段と、を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読み取り装置において、前記異常検出手段が前記光源の異常を検出した場合、前記原稿の読み取り動作を禁止することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像読み取り装置において、前記異常検出手段が前記光源の異常を検出した場合、カラー画像の読み取りを停止し、モノクロ画像の読み取りを可能とすることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の画像読み取り装置において、前記異常検出手段による前記光源の異常検出結果を操作部に表示する手段を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の画像読み取り装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−193514(P2011−193514A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104386(P2011−104386)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2007−70304(P2007−70304)の分割
【原出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】