説明

画像読取システムおよび画像読取装置

【課題】ページ単位で読取条件が異なる場合にも対応するとともに処理時間を短縮した画像読取システムおよび画像読取装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像読取システムは、コマンドを送信するコマンド送信部と、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて1枚目の原稿を所定の読取位置へ給送して原稿画像を読み取り、画像データを前記コマンド送信部へ転送する画像読取部と、2枚目以降の原稿について、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて次原稿の給送を開始する第1給送モードと、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドから独立して次原稿の給送を開始する第2給送モードとの給送モードの切替を行う切替手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマンドを発信するコマンド発信部とコマンド発信部からのコマンドに応じて原稿画像の読み取りを行う画像読取部とを有する画像読取システムおよび画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、PCという)などで構成されるコマンド発信部と、そのコマンド発信部からのコマンドに応じて原稿画像の読み取りを行う画像読取装置とを備える画像読取システムが従来から知られている(例えば特許文献1参照)。画像読取装置が原稿搬送機構を有する場合の画像読取装置システムおける、コマンド発信部と画像読取装置間の従来の画像データの送受信について以下に説明を行う。
【0003】
図15に示すように、PCとスキャナ装置は例えばUSB、SCSI、Ethernet、PCIe、などのインタフェースを介して接続され、PCには、スキャナ装置用ユーザインタフェースのアプリケーションプログラム、スキャナ装置を動作させるためのドライバプログラムが内蔵されている。
【0004】
まず、ユーザーは、図16に示すPC画面上に映し出されたアプリケーション画面上で、解像度、原稿サイズ、カラー/モノクロ、などの読取条件の設定を行ったのち(STEP3000)、読取開始を指示するスキャンボタンを選択する(STEP3001)。ユーザーによるスキャンボタン選択後は、アプリケーションとドライバ、ドライバとスキャナ装置間では図17に示す以下のようなやりとりが行われる。
【0005】
まず、アプリケーションがドライバを介してスキャナ装置の初期化を行った後(図示せず)、アプリケーションは1頁目の読取条件設定を要求するコマンド「読取条件コマンド」を送信し、スキャナ装置はドライバを介してこのコマンドを受信する(STEP3002)次に、アプリケーションから1頁目の読み取りを要求するコマンド「読取開始コマンド(Start Scan)」が送信され(STEP3003)、この読取開始コマンドを受信したスキャナ装置は、1枚目の原稿を読取位置へ搬送し、CCDなどで構成される読取センサを駆動させて1頁目の原稿画像の読み取りを行う(STEP3004)。
【0006】
次にスキャナ装置は、アプリケーションから1頁目の画像データの転送を要求する「画像データ転送コマンド」を受信し(STEP3005)、このコマンド受信後に1頁目の画像データをドライバへ転送し、ドライバはアプリケーションへ送信する(STEP3006)。アプリケーションは1頁目の全画像データを受信した後、次原稿があるか否かをスキャナ装置に問合せ(図示せず)、次原稿がある場合は、2頁目の読取条件設定コマンドを送信した後(STEP3007)、2頁目の読取開始コマンドを送信する(STEP3008)。これらのコマンドはスキャナ装置へ送信される。スキャナ装置は、2頁目の読取開始コマンドを受信してから2枚目原稿を給送して画像読み取りを行う(STEP3009)。そして、上記STEP3005、3006と同様に画像データ転送コマンドに応じて画像データの転送を行う(STEP3010)。
【0007】
上記のように、従来の画像読取システムでは、ページ単位で読取開始コマンドがアプリケーションプログラムから送信され、スキャナ装置はその読取開始コマンドを受けてから次ページの原稿の給送を開始していた。
【0008】
そのため、スキャナ装置からPCへ画像データの転送を行っている間、スキャナ装置側は次原稿の読取ができる状況にあったとしても、次原稿の給送および読取を行うことはできず、処理全体に掛かる時間が長くなってしまっていた。
【0009】
そこで、処理時間を短縮させるものとして出願人は、特願2008−157436の出願を行った。この出願では、2枚目以降の原稿については、スキャナ装置は、読取開始コマンドの受信の有無に係らず、メモリの容量に基づいて、すなわちメモリの空き容量があれば次原稿の給送・読み取りを行うようにすることで処理時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−260927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の方法は、前原稿と次原稿の読取条件(解像度、カラー/モノクロ、読取領域など)が同じであることを前提としているため、例えばページ単位で読取位置や解像度が異なる場合、対応できないという問題があった。
【0012】
本発明はページ単位で読取条件が異なる場合にも対応するとともに処理時間を短縮した画像読取システムおよび画像読取装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像読取システムは、コマンドを送信するコマンド送信部と、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて1枚目の原稿を所定の読取位置へ給送して原稿画像を読み取り、画像データを前記コマンド送信部へ転送する画像読取部と、2枚目以降の原稿について、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて次原稿の給送を開始する第1給送モードと、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドから独立して次原稿の給送を開始する第2給送モードとの給送モードの切替を行う切替手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の画像読取装置は、上位装置から送信された読取開始コマンドに応じて1枚目の原稿を所定の読取位置へ給送して原稿画像を読み取り、画像データを前記コマンド送信部へ転送する画像読取部装置であって、2枚目以降の原稿について、前記上位装置から送信された読取開始コマンドを受信した後に次原稿の給送を開始する第1給送モードと、ホストから送信された読取開始コマンドとは関係なく次原稿の給送を開始する第2給送モードとの給送モードの切替を行う切替手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて次原稿の給送を開始する第1給送モードと前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドから独立して次原稿の給送を開始する第2給送モードとを切り替える切替手段を備えているため条件に応じて両給送モードを使い分けることが可能である。つまり全ページの読取条件が同じ場合は第2給送モードとすることで処理時間を短縮することができ、ページ単位で読取条件が異なる場合は、第1給送モードとすることでページ単位で所定の読取条件で読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像読取システムの一部を構成するスキャナ装置の全体説明図である。
【図2】画像読取システムのブロック図である。
【図3】スキャナ装置における画像データ取得手順を示す説明図である。
【図4】ドライバとアプリケーションの画像データの送受信方法を示す図である。
【図5】アプリケーションのユーザー設定画面を示す図である。
【図6】第1給紙モードの実施例1の処理手順を示す図である。
【図7】第1給紙モードの実施例2の処理手順を示す図である。
【図8】アプリケーションのユーザー設定画面を示す図である。
【図9】第2給紙モードの処理手順を示す図である。
【図10】第1給紙モードの実施例1におけるアプリケーションで実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】第1給紙モードの実施例1におけるドライバで実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】第1給紙モードの実施例1におけるスキャナ装置で実行する処理「転送処理」の詳細を示すフローチャートである。
【図13】第1給紙モードの実施例1におけるスキャナ装置で実行する処理「読取処理」の詳細を示すフローチャートである。
【図14】第1給紙モードの実施例1におけるスキャナ装置で実行する処理「原稿搬送処理」の詳細を示すフローチャートである。
【図15】従来技術における画像読み取りシステムを示す図である。
【図16】従来技術におけるアプリケーションのユーザー設定画面を示す図である。
【図17】従来技術における画像読取システムの実行する処理手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
画像読取システム構成は、従来技術の図15と同様、コマンド送信部としてのパーソナルコンピュータ(以下PCという)1と、画像読取装置としてのスキャナ装置Bとを有している。本実施例ではPC1とスキャナ装置BとはUSBインタフェースを介して接続されているが、従来技術と同様、PC1とスキャナ装置Bとは例えばUSB、SCSI、Ethernet、PCIe等のインタフェースを介して接続され、その間が有線でも無線でも構わない。さらにまたスキャナ装置Bは、プリンタ、ファクシミリなどの各種機能を備えた複合機でも構わず、原稿から画像データを取得し、コマンド送信部へ画像データを転送するものであればよい。
【0018】
[コマンド送信部(PC)の構成]
本実施例のPC1は広く知られているパーソナルコンピュータで構成され、中央処理装置(以下「CPU」という)2と、ハードディスクなどで構成される記憶装置3と、キィボードなどの入力装置5と、ディスプレイなどの出力装置6、画像データなどを一時的に記憶するメモリのRAM「D」、RAM「A」を備えている。記憶装置3にはオペレーティングシステム(OS)プログラム3a、スキャナ装置Bのユーザインタフェースとなるアプリケーションプログラム3b、スキャナ装置Bを動作させるドライバプログラム3cがそれぞれ記憶されており、CPU2はキャッシュを使用しながら(不図示)これらの各種プログラムを実行する。アプリケーションプログラム3bとドライバプログラム3cはTWAIN、ISIS、WIA等の規格に準じてコマンドのやりとりをするよう構成されている。なお、アプリケーションプログラム3bは例えばドキュメント作成、画像編集、DTPなどの画像データを処理するように構成されても構わない。
【0019】
[スキャナ装置の構成]
図1にスキャナ装置Bの構成を示す。このスキャナ装置Bは原稿シートを載置する給紙スタッカ11と、排紙スタッカ12と、この給紙スタッカ11から排紙スタッカ12に原稿シートを案内する搬送経路13と、搬送経路13に配置された読取プラテン14a、14bとを備えている。読取プラテンは搬送経路13を移動する原稿シートの裏面画像を読取る第1プラテン14aと表面画像を読取る第2プラテン14bで構成されている。図示の装置は、上述の給紙スタッカ11から排紙スタッカ12に移動する原稿シートの表裏画像を読取る第1第2プラテン14a、14bとは別に原稿シートを静止セットする第3プラテン(フラットベッドプラテン)15が設けられている。この第3プラテン15は上記第2プラテン14bと略々同一平面を形成するようにケーシング10の上面に配置されている。
【0020】
上記第1プラテン14aには搬送経路13を所定速度で移動する原稿シートの裏面画像を第1読取位置R1で読み取る第1画像読取ユニット16が配置され、上記第2プラテン14bには原稿シートの表面画像を第2読取位置R2で読み取る第2画像読取ユニット17が配置されている。この第2画像読取ユニット17は上記第3プラテン15上に載置セットされた原稿シートの画像を読み取るように第2、第3プラテン14b、15の間で位置移動可能に構成されている。キャリッジ17xはキャリッジ移動モータMcに連結された走行ベルト18に連結されている。従ってこのキャリッジ移動モータMcの回転制御によってキャリッジ17xは第2プラテン14bと第3プラテン15の直下に選択的に位置づけられ、第3プラテン15では、このプラテン上にセットされた原稿シートに沿って移動しながらその画像を読み取るように構成されている。
【0021】
[画像読取ユニットの構成]
上記第1画像読取ユニット16と第2画像読取ユニット17とは、同一の構成であるので同一番号を付してその一方について説明する。図示画像読取ユニット16(17)は縮小光学系で画像読み取りする場合を示す。光源21から第1第2プラテン14a、14bに光を照射し、プラテンを通過する原稿からの反射光を、ミラー22を介して集光レンズ23に導き、この集光レンズ23で読取センサ上に結像する。図示の読取センサ24a、24bはCCDなどの光電変換素子で構成され、集光レンズ23からの撮像光を電気信号に変換して出力する。
【0022】
[給紙手段の構成]
上記給紙スタッカ11は複数の原稿シートを載置するトレイで構成され、このトレイには原稿の有無を検出するトレイセンサStが設けられている。そしてこの給紙スタッカ11には原稿シートを繰り出すピックアップローラ25と、このピックアップローラ25で繰り出されたシートを1枚に分離する分離ローラ26と、この分離ローラ26から送られた原稿シートを一時的に待機させるレジストローラ27が配置されている。また、このレジストローラ27の下流側には第1フィードローラ28と第2フィードローラ29が設けられている。そこで原稿シートは、給紙スタッカ11からピックアップローラ25と分離ローラ26で1枚に分離してレジストローラ27に給送され、このレジストローラ位置で一時停止した後、レジストローラ27を駆動回転して下流側の第1第2フィードローラ28、29に原稿シートを給送する。
【0023】
従って図1に示す装置は原稿シートを第1第2プラテン14a、14bに向けて給送する給紙手段は、上記レジストローラ27と第1第2フィードローラ28、29で構成され、これらのローラはフィードモータMfに連結され、同一周速度で原稿を給送するように構成されている。つまり図1の装置は給紙スタッカ11から先の原稿を読取プラテン14a(14b)に向けて給送した後、後続する次原稿を給紙スタッカ11から繰り出して分離し、その下流側のレジストローラ位置に待機させる(先出し待機制御)。そして後述する所定のタイミングでレジストローラ27から第1プラテン14aに原稿シートを給送する制御を前提としている。
【0024】
尚本発明にあって第1プラテン14aに原稿シートを給送する給紙手段を上述のピックアップローラ25、分離ローラ26とレジストローラ27、第1第2フィードローラ28、29で構成することも可能である。この場合には後述するCPU41の制御によりピックアップローラ25と分離ローラ26を駆動回転して給紙スタッカ11から原稿シートを繰り出して1枚に分離する。次いでこの給紙スタッカ11から送られた原稿シートを第1プラテン14aに向けてレジストローラ27と第1第2フィードローラ28、29で給送するように制御する。
【0025】
上記搬送経路13には第1プラテン14aの下流側に第3フィードローラ30が配置され、第1プラテン14aからの原稿を第2プラテン14bに給送し、この第2プラテン14bの下流側にはプラテン面から原稿シートを掬い上げる搬出ローラ31と、排紙ローラ32がそれぞれこの順に配置されている。排紙ローラ32は搬出ローラ31からの原稿シートを排紙スタッカ12に搬出するように構成されている。
【0026】
[給紙手段の駆動機構]
上述の給紙スタッカ11及び搬送経路13に配置された各搬送ローラの駆動機構は例えば次のように構成する。上記ピックアップローラ25と分離ローラ26は給紙モータMkに連結され、この給紙モータMkの正回転でピックアップローラ25と分離ローラ26を給紙方向に回転させる。これと共にこの給紙モータMkの回転でピックアップローラ25は給紙スタッカ上方の待機位置からスタッカ上の最上シートの上に降下するように構成する。また給紙モータMkの逆回転でピックアップローラ25を給紙スタッカ上方の待機位置に上昇させて待機させる。
【0027】
上記給紙モータMkの正逆転によって給紙スタッカ上の原稿シートは1枚に分離され、レジストローラ27に繰り出され、この位置に待機することとなる。そこで上記レジストローラ27と第1第2第3フィードローラ28、29、30はそれぞれ同一周速度で原稿シートを給送するようにフィードモータMfに連結されている。従ってCPU41はこのフィードモータMfを正回転させて所定方向に回転することによって原稿シートを搬送経路13に沿って第1プラテン14a、第2プラテン14bの順に所定速度で給送することとなる。
【0028】
[給紙センサの構成]
上述の搬送経路13には図2に示すように、レジストセンサSr、第1リードセンサSe1、第2リードセンサSe2、排紙センサShが配置されている。レジストセンサSrは分離ローラ26とレジストローラ27の間に配置され給紙スタッカ11から送られた原稿シートの先端がレジストローラ位置に到達したのを検出する。第1リードセンサSe1は第1プラテン14aの上流に配置され、レジストローラ27から送られた原稿シートの先端を検知する。上記第2リードセンサSe2は第2プラテン14bの上流に配置され、第3フィードローラ30から送られた原稿シートの先端を検知する。また排紙センサShは搬出ローラ31から送られた原稿シートの前後端を検知する。
【0029】
そして上記第1リードセンサSe1と第2リードセンサSe2はシートの先端を検出して下流側の第1読取プラテン14a及び第2読取プラテン14bにおける画像読取りの開始位置と読取り終了位置を設定する基準信号として使用され、また、上記各センサSe1、Se2はシート前後端を検知し、原稿シートのジャムを判断する検出信号として使用される。上記給紙スタッカ11には図示しないがトレイ上に載置された原稿シートのサイズを検出するサイズ検知センサが配置されていても構わない。本実施例では、後述の通り、PC1からユーザーが原稿サイズを指定する。
【0030】
CPU41(後述)は上記レジストセンサSrからの原稿後端の通過信号に基づいて上記ピックアップローラ25と分離ローラ26の給紙モータMkを回転起動して後続シートをレジストローラ位置に繰り出す。またCPU41は、第1リードセンサSe1のシート後端検知信号を基準に後述する条件の下で後続シートをレジストローラ位置から第1プラテン14aに向けて給送する。
【0031】
[スキャナ装置の制御構成]
スキャナ装置Bには図2に示すコントロールボード(以下「スキャナコントローラ」という)40が設けられている。このスキャナコントローラ40はスキャナ装置Bを制御するCPU41と、その制御用プログラムを記憶するROM42と、画像データや画像データに関する情報等を一時的に格納するための記憶手段(RAM)43と、読取センサ24a(24b)からの画像信号を補正処理するDSP44a(44b)と、スキャナ装置Bの制御ポート45と、画像データを外部に転送するためのUSBコントローラ48を備えている。CPU41は前述した読取センサ24a、24b(図2に示すCCD1、CCD2)、光源21(図2に示すランプ1、ランプ2)、及び給紙モータMk、フィードモータMfなどを制御する制御プログラムを実行するICチップで構成されている。このCPU41は、ROM42に記憶されている制御プログラムを実行して動作制御部としても機能すると共に、記憶手段(RAM)43を制御するメモリコントロール部としても機能する。また、後述するように、PC1からの情報に応じて給紙モードを切り替える切替手段としての機能も備えている。
【0032】
また、記憶手段(RAM)43には、DSP44a(44b)で処理する前の画像データを一時的に格納するための領域である画処理用バッファ43aとDSP44a(44b)で処理後の転送される画像データを一時的に格納するための領域である転送用バッファ(転送データ用記憶手段)43b、転送単位の各画像データ(ブロック画像データ)に関する情報を記憶するための情報レジスタ43c、読み取る次の原稿があるか否かの情報を記憶するための次原稿情報レジスタ43dを有している。
【0033】
上記制御構成について説明すると、CPU41から制御ポート(GPIO)45を介してキャリッジ移動モータMcと給紙モータMkとフィードモータMfを制御するようにそれぞれのドライバ回路に制御コマンドが伝達され、各モータの起動、停止と回転速度が制御されるようになっている。同様にこの制御ポート(GPIO)45を介して第1第2画像読取ユニット16、17の光源(ランプ1,ランプ2)21が点灯制御される。一方、前述のトレイセンサStと、レジストセンサSrと、第1第2リードセンサSe1、Se2と、排紙センサShの検出信号は制御ポート(GPIO)45を介してCPU41に伝達されるようになっている。
【0034】
原稿シートの裏面画像を読取る第1読取センサ(CCD1)24aと表面画像を読み取る第2読取センサ(CCD2)24bからの画像データは図示しないコンバータでデジタル信号に変換されゲートアレイ(FPGA)47、スキャナインタフェース(SC I/F)46を介してデータバス取り込まれる。この画像データは画処理用バッファ43aに蓄えられ、裏面画像用プロセッサ(DSP1)44a、または表面画像用プロセッサ(DSP2)44bで画像処理され、転送用バッファ43bに一時的に記憶される。この転送用バッファ43bのデータは、後述する情報添付手段49によって画像情報が添付された後データ転送手段(USBコントローラ)48を介して外部装置に転送される。
【0035】
[PCの制御構成]
上記PC1におけるデータ転送に関する制御構成について図4に基づいて説明する。図4は、PC1の画像データ転送処理に係るドライバとアプリケーションの各機能を概念的に示したものである。CPU2はドライバプログラム3cに従って読取モード(片面モード/両面モード)に応じて画像データを一時書込むためのメモリエリア(MA1,MA2,MB1,MB2)をRAM「D」に設定するとともに、各メモリエリアの状態を監視する。ドライバプログラム3cは、両面モードの場合は、RAM「D」に表面画像データ2枚分の画像データを格納可能なメモリエリアMA1、MA2と裏面画像データを格納可能な2枚分のメモリエリアMB1、MB2が設定するよう構成され、片面モードの場合は、RAM「D」に表面画像データ2枚分の画像データを格納可能なメモリエリアMA1、MA2のみが設定されるよう構成されている。そして各メモリエリアにはスキャナ装置Bのデータ転送手段(USBコントローラ)48からPCのデータ受信手段(USBコントローラ)50を介して画像データが転送されそれぞれ記憶される。
【0036】
一方、CPU2は、アプリケーションプログラム3bに従って、RAM「A」に1ページ分の画像データが記憶可能なメモリエリアMXを設定し、上記RAM「D」(MA1,MA2,MB1,MB2)から画像データを引き受けるよう構成される。
【0037】
またCPU2は、カウンタ1(51)、カウンタ2(52)を使用してメモリ監視プログラムに従って、スキャナ装置Bから転送されてくる画像データ(後述、ブロック画像データ)に添付された「最終ブロック」情報をカウントする処理と、アプリケーションから送信されるストップコマンド、STOP)の数をカウントする処理を行い、これらのカウント情報を使用して、アプリケーションからの「次原稿あるか否か」の問合せに対する回答、転送するバッファの選択、画像データを書込むバッファの選択等を行っている。上記構成の画像読取システムを用いて、二つの給紙モードについて以下に説明を行う。
【0038】
[第1給紙モード(片面読取モードで全ページ読取条件同一の場合)]
(実施例1)
まず、片面読取モードで全ページの読取条件が同一の場合を例に第1給紙モードについて図5及び図6を使用して概略説明する。
【0039】
まず、ユーザーがPC1の出力装置6のディスプレイ上でスキャナのユーザインタフェースであるアプリケーション画面を立ち上げると、図5(a)に示す給紙方法選択画面が映し出される。この画面では、自動給紙モードかフラットベッドモードを使用するかを選択でき、さらに自動給紙モードの場合は、片面読取モードと両面読取モードとが選択できるようになっている。そして片面読取モードの場合は、全ページ同一の読取条件で読み取る「全ページ同一条件」とページ毎に読取条件を設定できる「ページ毎に条件設定」とが選択できるようになっている。本実施例では、両面読み取りの両面同一条件の場合も第1給紙モードが適用されるよう構成したが、ここでは、片面読み取りモードの「全ページ同一条件」を例に説明する。
【0040】
上記の給紙方法選択画面上でユーザーが「全ページ同一条件」を選択すると、図5(b)に示す読取条件設定画面が映し出される。このページでは、全ページ共通の読取条件(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)が設定可能となっており、ユーザーはそれぞれ希望の条件を選択し(STEP1000)、読み取りを開始するスキャンボタンを選択(クリック)する(STEP1001)。
【0041】
上記のステップで「全ページ同一条件」の選択による「全ページ同一条件」設定コマンドがドライバへ送信され、これと同コマンドがDPからスキャナ装置Bへ送信される(STEP1002)。これに続けてSTEP1003では、STEP1000で設定された全ページ共通の読取条件の(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)読取条件設定コマンドが、STEP1004では読取開始を要求するコマンド「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」がアプリケーションからドライバへ送信され、ドライバからは各コマンドと同様コマンドがスキャナ装置Bへ送信される。
【0042】
この「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」を受けたスキャナ装置Bは、以下に説明するように、2ページ目以降の読み取りは、読取開始コマンドを受信かしたかに係わらずメモリ(RAM43)の空き容量に応じて次ページ原稿の給送を開始して読み取りを行う。すなわち、スキャナ装置BのCPU(切替手段)41は、コマンド送信部(アプリケーション)からの情報(「全ページ同一条件」)にもとづいて第1給紙モードを選択している。STEP1005では画像データの送信を要求するコマンド「データ転送コマンド(1ページ目)」をドライバへ送信する。
【0043】
スキャナ装置Bはドライバからの「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」を受信すると、給紙モータMk、フィードモータMfを駆動させて給紙スタッカ11上の1枚目の原稿を第2読取位置R2へ向けて搬送させるとともに、CCD2(24b)により原稿画像の読み取りを行う(STEP1006)。
【0044】
スキャナ装置BはSTEP1005のアプリケーションからの「画像データ転送コマンド」をドライバを介して受けると、1ページ目の原稿の読み取りを行いながら順に画像データをドライバへ送信し、さらにドライバはアプリケーションへ画像データを送信する(STEP1007)。ここでスキャナ装置Bは1ページ目原稿の搬送・読み取りを行っているが、RAM43の転送用バッファ43bと画処理用バッファ43aにそれぞれ2枚目原稿の1ページ分の画像データが記憶するに十分な空き容量があることが確認されると、2枚目の原稿の給送を開始するとともに、CCD2(24b)で2枚目の原稿の読み取りを開始する。この場合、読み取り条件は全ページ共通なので、先に送られてきた1ページ目の読取条件と同条件で読み取りを行う(STEP1008)。
【0045】
スキャナ装置Bは、ドライバのメモリ(RAM「D」)の空き状況に応じて2ページ目の読み取りを行いながら(2ページ目の画像データをドライバへ送信するが(STEP1009)、ドライバはアプリケーションから2ページ目の「画像データ転送コマンド」を受けていないので、アプリケーションへの画像転送は行わない。なお、図6では、1ページ目の全画像データをドライバへ転送完了後にスキャナ装置Bは2枚目(1ページ目)原稿の搬送・読み取り開始することが記載されているが、2枚目原稿の給送は上記の通りRAM43の転送用バッファ43bと画処理用バッファ43aにそれぞれ2枚目原稿の1ページ分の画像データが記憶するに十分な空き容量があることが確認されれば可能であるので、図中矢印で示すように、1ページ目の画像データ転送中でも構わない。
【0046】
アプリケーションは1ページ目の全画像データをすべて取得した後、2ページ目の読取開始を要求するコマンド「読取開始コマンド(2ページ目、Start Scan)」(STEP1010)、2ページ目の画像データを送信するよう指示するコマンド「データ転送コマンド(2ページ目、Read Scan)」(STEP1011)をそれぞれドライバへ送信する。2ページ目の画像データはすでにドライバへ転送済みでドライバのRAM「D」へ格納済みなので、STEP1011のデータ転送コマンド(2ページ目)を受けたドライバは、アプリケーションへ2ページ目の画像データを送信する。
【0047】
上述の通り、第1給紙モードでは画像データを記憶するメモリ(RAM43)に所定の空き容量ができると次原稿の給送を開始するようにしたので、アプリケーションおよびドライバからの読取開始コマンドを待つ必要がなくなり、よって全体の処理時間を短くすることが可能となる。
【0048】
(実施例2)
第1給紙モードの別の実施例2について図7を用いて説明する。1ページ目の画像データをアプリケーションに転送するまで(STEP1001〜STEP1007)は実施例1と同様なので、説明を省略する。実施例2では、上記実施例1と同様、RAM43の転送用バッファ43bと画処理用バッファ43aにそれぞれ2枚目原稿の1ページ分の画像データを記憶するに十分な空き容量があることが確認されると、2枚目の原稿の給送を開始する点では同じであるが、画像データの保管場所が異なる。
【0049】
図6に示したように、実施例1では、STEP1008で2枚目原稿の給紙・読み取りを開始し、STEP1009でスキャナ装置Bからドライバへ2ページ目の画像データが転送される。そしてアプリケーションから2ページ目の「画像データ転送コマンド」がドライバへ送信されてくるまでは2ページ目の画像データはドライバのRAM「D」のメモリ領域に保管され、2ページ目の画像データ転送コマンドを受信するとドライバは画像データをアプリケーションへ送信するようになっている。そして、2ページ目以降の読取開始コマンド(Start Scan)および画像データ転送コマンド(Read Scan)はスキャナ装置Bには送信されない。このように、実施例1ではアプリケーションから送信されるコマンドとスキャナ装置Bの給紙開始のタイミングとが非同期となっているが、ドライバ(CPU2)がそのメモリ(RAM「D」)を使用して両者のタイミングの調整を図っているのである。
【0050】
これに対し実施例2では、スキャナ装置BのCPU41が調整を行う。図7に示すように、STEP1008で実施例1と同じタイミングで2枚目原稿の給紙を開始するが、その画像データは、アプリケーションから2ページ目の「画像データ転送コマンド(Read Scan)」が送信されてくるまではスキャナ装置BのRAM43(43aまたは43b)に保管され、2ページ目の画像データ転送コマンド(Read Scan)を受信するとドライバは画像データを送信するようになっている。
【0051】
STEP1012、STEP1013で2ページ目の読取開始コマンド(Start Scan)、画像データ転送コマンド(Read Scan)が送信されるとドライバを介して各コマンドがスキャナ装置Bへ送信される。これを受けてスキャナ装置Bは、ドライバへ2ページ目の画像データを送信し、さらにドライバはアプリケーションへ送信する(STEP1014)。
【0052】
実施例1ではアプリケーションからの画像データ転送コマンドがくるまでドライバで、すなわちPC側のメモリに画像データを保管するためスキャナ装置のメモリ容量を多く用意する必要がないが、実施例2ではスキャナ装置内にメモリ容量を多く用意する必要がある。
【0053】
[第2給紙モード(片面読取モードでページごとに読取条件を異ならせる場合)]
片面読取モードでページごとに読取条件を異ならせる場合を例に第2給紙モードについて図8及び図9を使用して概略説明する。
【0054】
図5(a)で示した給紙方法選択画面でユーザーが「ページ毎に条件設定」を選択すると、図8(a)で示す1ページ目の読取条件設定画面が映し出される。この画面では、1ページ目の読取条件(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)が設定可能となっており、ユーザーはそれぞれ希望の条件を選択する。1ページ目の読取条件を設定した後、「次ページへ」のボタンを選択すると、図8(b)に示す2ページ目の読取条件設定画面が映し出され、2ページ目の読取条件を設定する。このようにしてユーザーはページ毎の読取条件を設定するが、2ページ目以降の読取条件設定画面では読取開始を選択するスキャンボタンが追加されているので、ユーザーは最終ページの条件設定を行った後、このスキャンボタンを選択することで原稿の読取を開始することが可能となっている。そこで、ユーザーは最終ページの読取条件を設定した後(STEP2000)、スキャンボタンを選択する(STEP2001)。
【0055】
まず、STEP2002では、STEP2000で設定した1ページ目の読み取り条件(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)と、給紙方法選択画面でユーザーが選択した「ページ毎に条件設定」とを含む「読取条件設定コマンド」がアプリケーションから送信され、同コマンドがドライバを介してスキャナ装置Bへ送信される。これに続けてSTEP2003では読取開始を要求するコマンド「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」がアプリケーションからドライバへ送信され、ドライバからは同様コマンドがスキャナ装置Bへ送信される。この「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」を受けたスキャナ装置Bは、以下に説明するように、全ページにおいてアプリケーションからの「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」を受けてから次原稿の給送を開始して読み取りを行う。すなわち、スキャナ装置BのCPU(切替手段)41は、コマンド送信部(アプリケーション)からの情報(「ページ毎に条件設定」)にもとづいて第2給紙モードを選択している。
【0056】
STEP2004では画像データの送信を要求するコマンド「画像データ転送コマンド(1ページ目、Read Scan)」をドライバへ送信する。スキャナ装置Bはドライバからの「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan)」を受信すると、給紙スタッカ11上に原稿があることを確認した後、給紙モータMk、フィードモータMfを駆動させて給紙スタッカ11上の1枚目の原稿を第2読取位置R2へ向けて搬送させるとともに、CCD2(24b)により原稿画像の読み取りを行う(STEP2005)。
【0057】
スキャナ装置Bはアプリケーションからの「画像データ転送コマンド」をドライバを介して受けると、1ページ目の原稿の読み取りを行いながら順に画像データをドライバへ送信し、さらにドライバはアプリケーションへ画像データを送信する(STEP2006)。
【0058】
アプリケーションは1ページ目の全画像データをすべて取得した後、2ページ目の読み取り条件(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)と、給紙方法選択画面でユーザーが選択した「ページ毎に条件設定」情報とを含む「読取条件設定コマンド」がアプリケーションから送信され、同コマンドがドライバを介してスキャナ装置Bへ送信される(STEP2007、2ページ目以降は、「ページ毎に条件設定」情報は省略しても構わない)。
【0059】
2ページ目の読取開始を要求するコマンド「読取開始コマンド(2ページ目、Start Scan)」(STEP2008)、2ページ目の画像データを送信するよう指示するコマンド「データ転送コマンド(2ページ目、Read Scan)」(STEP2009)がそれぞれドライバへ送信さドライバを介してスキャナ装置Bへ送信される。スキャナ装置Bはドライバからの「読取開始コマンド(2ページ目、Start Scan)」を受信すると、1ページ目と同様、給紙モータMk、フィードモータMfを駆動させて給紙スタッカ11上の2枚目の原稿を第2読取位置R2へ向けて搬送させるとともに、CCD2(24b)により原稿画像の読み取りを行う(STEP2010)。
【0060】
上述のように、第2給紙モードでは、2ページ目以降についても1ページ目と同様、読取開始コマンドを受信した後に次ページ原稿の給送を開始する。よって、ページごとに読み取り条件が異なる場合でもそれぞれの読み取り条件で読み取ることが可能となる。
【0061】
なお、本実施例では、第2給紙モードの例として、片面読取モードでページ毎に読取条件を異ならせる場合を説明したが、このほか、両面読み取りモードで片面毎に読取条件を異ならせる場合(図5(a)で「片面毎に条件設定」を選択した場合)や、また、片面モードでページ毎に読み取り領域の設定を変える場合や、両面読取モードで片面毎に読取領域の設定を変える場合などに第2給紙モードは適用が可能である。すなわち、本発明は、両面読取モード、片面読取モードに関わらず、ページ単位で読取条件が異なるか否かで第1給紙モードと第2給紙モードとを切り替えるものである。
【0062】
さらに、本実施例ではコマンド送信部としてスキャナ装置Bとは別体のPC1を例に説明を行ったが、スキャナ装置内部に上記PC1と同様の機能を有するコマンド送信部(アプリケーションおよびドライバ)を設けて、スキャナ装置内部でコマンドや画像データのやり取りをするようにしても構わない。この場合は、スキャナ装置自身がディスプレイなどの表示部を備え、この表示部の設定画面条でユーザーが各種読み取り条件を設定できるようにすればよい。
【0063】
第1給紙モードの実施例1の概略は図5及び図6を用いて説明したが、より詳細説明として、アプリケーション、ドライバ、スキャナ装置Bごとの処理手順を説明する。なお、アプリケーションの処理は、PC1のCPU2がアプリケーションプログラム3bに従って実行する処理であり、ドライバの処理はPC1のCPU2がドライバプログラム3cに従って実行する処理であり、スキャナ装置Bの処理は、スキャナ装置BのCPU41がROM42に記憶された制御用プログラムに従って実行する処理である。
【0064】
[アプリケーション処理手順]
図10を用いてアプリケーション処理手順について説明する。上述と同様、ユーザーがPC1の出力装置6のディスプレイ上でアプリケーション画面を立ち上げると、図5(a)に示す給紙方法選択画面が映し出され、片面読み取りモードの「全ページ同一条件」を選択すると図5(b)の条件設定画面が映し出される。この条件設定画面上で、モノクロ、カラー、グレースケールなど画像に係る設定、解像度設定、原稿サイズをユーザーが選定する。(ST001、上記STEP1000対応)、読み取りを開始させるスキャンボタンを選択する(ST002、上記STEP1001対応)と、上記のステップで「全ページ同一条件」の選択による「全ページ同一条件」設定コマンドと、ST001で設定された全ページ共通の読取条件(画像イメージ(カラー/モノクロ)、解像度、原稿サイズ)の読取条件設定コマンドがドライバへ送信され、これと同コマンドがDPからスキャナ装置Bへ送信される(ST003、上記STEP1002,1003対応)。フローには記載されていないが、これと同様コマンドをスキャナ装置Bへ送信している。
【0065】
そして、1ページ分の画像データを記憶するだけの十分な領域をRAM「A」(メモリエリアMX)内に確保した後(ST004)、読取開始を要求するコマンド「読取開始コマンド(1ページ目、Start Scan1)、画像データの送信を要求するコマンド「データ転送コマンド(1ページ目、Read Scan1)」をドライバへ送信する。(ST005(上記STEP1004対応)、ST006(上記STEP1005対応))。
【0066】
データ転送コマンド(1ページ目、Read Scan1)」を送信したアプリケーションは、ドライバのRAM「D」に1ページ分の画像データが用意できるまで待つこととなる。ドライバのRAM「D」に1ページ分の画像データが用意できるとアプリケーションは、予め定められた所定のブロックの画像データを受信し(ST007)、そのブロックデータがページの最終ブロックか否か、すなわち1ページ分の画像データを受信したか否かを判断する(ST008)。
【0067】
ステップST006からST008を繰り返すことによりブロック単位でドライバから画像データを受信し続け、1ページ分の画像データを受信すると、ドライバへ画像データの送信等を停止させる指示(ストップコマンドStop Scan、ST009)を出し、1ページ分の画像データをハードディスクなどに記憶し、その後RAM「A」を開放する。次に、次ページの画像データが有るか否か(アプリケーションへ送信する画像データがあるか否か)を含めたステータス情報を送るよう指示するコマンド(Get Status)をドライバへ送信する(ST010)。
【0068】
ドライバからの「次ページ画像データあり/なし情報」を受信し(ST011)、その情報から「次ページ画像データあり/なし」の判断を行い(ST012)、次ページの画像データがない場合は、アプリケーションの処理が終了となる。次ページの画像データがある場合はステップST003、ST005と同様に各種の読み取り条件(パラメーター)をドライバへ送信、「Start Scan1」をドライバへ送信する(ST013、ST014)。
【0069】
ここで、ステップST006で画像データの送信を指示するコマンド「Read Scan1」をドライバへ送信した後、画像データの受信開始までの待ちの時間は、スキャナ装置B、ドライバの処理状況に応じて異なる。
【0070】
1枚目原稿の場合は、アプリケーションからの「Start Scan1」でスキャナ装置Bが読み取りを開始するため長くなってしまうが、本発明では2枚目以降の原稿については、後述するようにアプリケーションからの「スキャン開始指示(Start Scan1)」のあるなしに係らず次原稿の搬送を開始させて読み取りを独立して実行するため次原稿の画像データを用意することができるので、この待ち時間を短縮することができるようになった。この待ち時間は原稿枚数分発生するので、読み取る原稿の枚数が多ければ多いほどこの待ち時間の短縮によるシステム全体の処理時間に対する効果は大きくなる。
【0071】
また、スキャナ装置Bは先行して次原稿を読み始めることで、アプリケーションからの画像データ要求があった時点で、すでに次のデータはドライバのRAM「D」に保存されている状態が作られ、アプリケーションの待ち時間は非常に短くなる。
【0072】
[ドライバ処理手順]
図11を用いてドライバの処理手順について説明する。ステップST003によるアプリケーションからの各種の読み取り条件(パラメーター)を受信すると、カウンタ1,2(51,52)のカウントをクリア(0)にし(ST015)、2ページ分画像データを記憶できるバッファMA1、MA2を用意する(ST016)。ステップST005によるアプリケーションからの「Start Scan1」を受信すると(ST017)、スキャナ装置Bとの間で画像データや情報送受信に関する以下の処理を実行する。
【0073】
[スキャナ装置との送受信処理]
「スキャン動作開始指示信号(Start Scan2)」、「データ転送の指示コマンド(Read Scan2)」を送信する(ST018、ST027)。なお、1枚目原稿の場合はステップST016で2ページ分の画像データ記憶領域が確保されているので「Start Scan2」を送信するとすぐに「Read Scan2」を送信する。このあと、スキャナ装置Bが原稿の読み取りを開始し、1枚目原稿の最初のブロック画像データが転送用バッファRAM1(43b)に用意できるまでは待ち時間となるが、これが用意されるとまず、ブロック画像データに関する情報(1)表/裏情報、(2)最終ブロック情報(ページの最終ブロックか否かの情報)、(3)次原稿有無情報、(4)サイズ情報(ブロック画像データのサイズ)が送信されてくるので、これを受信し(ST028)、その情報に応じてRAM「D」の2個のバッファのうちどのバッファに格納するかを決定する(ST029)。具体的にはバッファ1のカウント値を2で割り、その余が0の場合は、MA1(表・奇数)を選択し、その余が1の場合は、MA2(表・偶数)を選択する。
【0074】
次にブロック画像データが転送されてくるのでこれを受信し、ステップST029で決定したバッファに書き込む(ST030)、ステップST028で受信した添付情報(最終ブロック情報)からこのブロック画像データがページの最終ブロックデータか否かを判断し(ST031)、最終ブロックデータでない場合は、最終ブロックデータを受信して書き込むまで再びステップST027からST031までを複数回繰り返して1ページ分のブロックデータを取得する。
【0075】
ステップST031で最終ブロックデータであった場合、すなわち1枚目原稿の全画像データがバッファMA1に書き込まれた場合は、カウンタ1(51)を1だけプラスさせる(ST032)。そして、この最終ブロックデータの添付情報(すなわち最終ブロックデータの次原稿有無情報)から次原稿があるか否かを判断し(ST033)、次原稿がない場合はスキャナ装置Bとの処理は終了となる。
【0076】
ステップST033で次原稿がある場合は、次ページ(2ページ目)の画像データ1ページ分の空き容量があるか否かをカウンタ1、2(51,52)の値から判断し、ない場合は空きができるまで待つ。空きができると、ステップST027に戻ってステップST034までを実行して、スキャナ装置Bから次ページ原稿の1ページ分の画像データを取得する。
【0077】
[アプリケーションとの送受信処理]
また、ステップST005によるアプリケーションからの「Start Scan1」を受信した後、ドライバは、アプリケーションとの間で画像データや情報送受信に関する以下の処理を実行する。
【0078】
ステップST006によるアプリケーションからの「Read Scan1」を受信したかを判断し(ST019)、1枚目原稿の全画像データが取得されたか(バッファMA1に1枚目原稿の画像データが書き込まれたか)否かをカウンタ1,2(51,52)の情報から判断する(ST020)。具体的には、カウンタ1(51)がカウンタ2(52)より1以上大きい値になっていることを確認することで、アプリケーションに送るデータが用意できたと判断する。
【0079】
1枚目原稿の全画像データを取得していない場合は、それを待つ。そして1枚目原稿の1ページ分の画像データがMA1に書き込まれると、ブロック単位で画像データの転送を開始する(ST021)。ドライバからのブロック単位の画像データを取得するたびにアプリケーションから「Read1」が送信されてくるので、ブロック単位で画像データを送信するたびにステップST019へ戻って、ステップST019からステップST021までのステップを繰り返して1枚目原稿の画像データをアプリケーションへ送信する(すなわちRAM「A」にRAM「D」の1ページ分の画像データをコピーする)。なお、アプリケーションへ送信するバッファの選択は、バッファ2のカウント値を2で割り、その余が0の場合は、MA1(表・奇数)を選択し、その余が1の場合は、MA2(表・偶数)を選択する。
【0080】
そして1枚目原稿の全画像データをアプリケーションへ送信した後も再び「Read」を受信したか否かの判断をステップST019で行うが、上述したように、アプリケーションは1ページ分の画像データを取得すると「Read」を送信せずにストップコマンドを送信するので(ST009)、ステップST019では否定判断となり、ステップST022へ進む。
【0081】
ステップST022ではストップコマンドを受信したか否かの判断を行う。ストップコマンドを受けていない場合は、再びステップST019へ戻る。ステップST022でストップコマンドを受けたことが確認されると、ステップST010によるアプリケーションからの、次ページの画像データがあるか否か(アプリケーションへ送信する画像データがあるか否か)を含めたステータス情報を送るよう指示するコマンド(Get Status)を受けたか否かの判断を行う(ST023)。
【0082】
このコマンド(Get Status)受けたと判断された場合は、カウンタ1(51)とカウンタ2(52)の情報からアプリケーションへ転送する次ページ(2ページ目)原稿の画像データがあるか否かの判断を行う(ST024)。
【0083】
具体的に説明すると、カウンタ1(51)のカウント値はRAM「D」に書き込んだ画像データのページ数であり、カウンタ2のカウント値はRAM「D」からアプリケーションへ送信された画像データのページ数である。したがって、カウンタ1(51)の値とカウンタ2(52)の値が等しい場合は、RAM「D」に書き込んだ画像データはすべてアプリケーションへ送信されて、バッファMA1、MA2いずれも次の画像データの書込が可能な状態である。これとは逆に、カウンタ1(51)よりもカウンタ2(52)の値が大きい場合(すなわちカウンタ1の値とカウンタ2の値が等しくない場合)は、RAM「D」にはまだアプリケーションへ送信されていない画像データが残っている状態である。
【0084】
従ってステップST024でカウンタ1(51)の値とカウンタ2(52)の値が等しくないと判断された場合は、次ページ(2ページ目)画像データがあるので、アプリケーションへ次ページ画像データがあるとの情報を送信し(ST025)、ステップST019に戻ってアプリケーションからの「Read1」を待って画像データの送信を行う。
【0085】
ステップST024でカウンタ1(51)の値とカウンタ2(52)の値が等しいと判断された場合は、次ページの画像データがないとの情報をアプリケーション送信し(ST026)、アプリケーションとの間で行われる送受信に関する一連の処理を終了する。
【0086】
[スキャナ装置の処理手順]
図12、13、14を用いてスキャナ装置Bの処理手順について説明する。ドライバからのST018による「Start Scan2」を受信すると(ST035)、CPU41は原稿搬送処理、読取処理、転送処理をそれぞれ並行して実行する。
【0087】
[原稿搬送処理]
原稿搬送処理について図14を用いて説明する。給紙スタッカ11上に原稿があるか否かの判断をトレイセンサStの出力から(ONか否か)で判断する(ST051,ST052)。なお、給紙スタッカ11上には読み取りを行いたい面を上側に向けた状態(フェイスアップ)で原稿が載置されている。給紙スタッカ11上に原稿がある場合は、1ページ目原稿の繰り出しを開始する(ST053)。
【0088】
給紙モータMkを正・逆回転させてピックアップローラ25を回転させて給紙スタッカ11上の原稿を繰り出し、分離ローラ26で一枚に分離し、停止しているレジストローラ27にその1枚目原稿の先端を突き当てて一時停止させてスキュー修正した後給紙モータMkを停止する。そしてレジストローラ27に到達する直前にその先端がレジストセンサSrで検出される。
【0089】
次にフィードモータMfの回転により原稿の給送を開始する(ST054)。フィードモータMfを回転させてレジストローラ27と第1第2第3フィードローラ28,29、30を回転させて1枚目原稿を給送する。第2リードセンサSe2で1枚目原稿の先端が検出されると(ST055)、CCD2(24b)により原稿画像の読み取りを開始する(ST056)。1枚目原稿の読み取りはその後端がCCD2(24b)の読取位置を抜けるまで続けられるが、その読み取りの間に次原稿(2枚目原稿)の先出しを次のタイミングで行う。レジストセンサSrで1枚目原稿の後端を検出すると、すなわちレジストセンサSrがOFFすると(ST057)給紙トレイ11上に次原稿があるか否かの判断をトレイセンサSrの出力から行う。次原稿がない場合は、原稿搬送処理は終了となる(ST058)。
【0090】
次原稿がある場合は、ステップST053と同様処理により次原稿の繰り出しを行う(ST059)すなわち、給紙モータMkを正・逆回転させてピックアップローラ25を回転させて給紙トレイ上の原稿を繰り出し、分離ローラ26で一枚に分離し、停止しているレジストローラ27にその2枚目原稿の先端を突き当てて一時停止させる。そして次原稿のあるなし情報に対応するレジスタ(次原稿情報レジスタ43d)のフラグを「あり」にセットする(ST060)なお、1枚目原稿の後端がレジストセンサSrを抜けるとレジストローラ27はフィードモータMfの駆動が絶たれて停止している。よって2枚目原稿の先端がレジストローラ27に突き当てられるときレジストローラ27は停止している。
【0091】
次に、ステップST057でレジストセンサSrで1枚目原稿の後端を検出してからフィードモータMfを回転させる駆動パルスが予め定められた所定パルス数に達することが確認されると、すなわち、1枚目原稿との間に予め定められた所定間隔ができることが確認されると(ST061)、RAM43の転送用バッファ43aと画処理用バッファ43bにそれぞれ2枚目原稿の1ページ分の画像データが記憶するに十分な空き容量があるか否かの判断を行い(ST062)、空き容量があることが確認されると、フィードモータMfの駆動をレジストローラ27に伝達させて2枚目原稿の給紙を開始する(ST063)。このとき同時に光源21のランプを点灯する。そしてステップST055に戻って、第2リードセンサSe2で2枚目原稿の先端が検出されるとCCD2(24b)でその読み取りが開始される。このように、(1)先行原稿シートの後端検出信号から予め定められた所定長さの原稿間隔を形成でき、(2)転送用バッファ43bに1ページ分の画像データが記憶できる十分な空き容量があるとの二つの条件が整ったときCPU41は搬送モータMfを回転駆動して2枚目原稿の給送を開始する。
【0092】
このような手順を給紙スタッカ11上に載置された原稿がなくなるまで繰り返すことで給紙スタッカ11上に載置されたすべての原稿の読み取り処理が行われる。上述のように、1枚目原稿の場合は、アプリケーションからの「Start Scan1」に基づいて給送を開始して読み取りを行うが、2枚目原稿の場合は、アプリケーションからの「Star Scan1」のあるなしに関わらず、1枚目原稿との間に予め定められた所定間隔ができること、およびRAM43の転送用バッファ43aと画処理用バッファ43bにそれぞれ2枚目(次ページ)原稿の1ページ分の画像データが記憶するに十分な空き容量があること、の確認がなされることによって給送を開始させて読み取りを行う。
【0093】
[読取処理]
原稿の読取処理について図13を用いて説明する。この読取処理は、図2のSCI/F(46)を介してデータバスに取り込まれた画像データを転送用バッファ43bに書き込むまでの処理手順である。ドライバからのステップST018による「Start Scan2」を受信すると、スキャン準備処理を実行する(ST042)。例えば、ゲイン・オフセット調整、シェーディングデータ取得、さらに本説明では、原稿自動給紙モードなので、第2画像読取ユニット17を所定のホームポジションから図1の読取位置までの移動などを行う。CPU41は、RAM43の転送用バッファ43aと画処理用バッファ43bにそれぞれ1枚目原稿の1ページ分の画像データを記憶するのに十分な空き容量を確保する(ST043)。
【0094】
原稿搬送処理のステップST056で1枚目原稿の読み取りが開始されると、CCD24bからの画像データはFPGA(47)、GPIO(45)等を介してデータバスに取り込まれ、図3に示すように画処理用バッファ43aへの書き込みが開始される(ST044)。そしてCCD24bの取得した順に1枚目原稿の画像データは画処理用バッファ43aに書き込まれていき、それが予め定められた所定ライン数(本実施例では64ライン)に達すると(ST045)、この64ライン分の画像データを画処理用バッファ43aから取り出してDSP2(44b)で種々の処理を実施させ(ST046)、転送用バッファ43bに書込む(ST047)。
【0095】
そしてCPU41は転送用バッファ43bに書き込んだ画像データのライン数をカウントしているので、ステップST047で書き込んだ分のライン数を加算する(ST048)。このカウント数(ライン数)が、ステップST001におけるユーザーの設定した原稿サイズ1ページ分のライン数に達したか、すなわちステップST047で転送用バッファ43bに書き込んだ画像データが1枚目原稿の最終ラインか否かを判断し(ST049)、否定判断の場合はステップST044に戻る。そして1枚目原稿の1ページ分の画像データを転送用バッファ43bに書き込むまでステップST045〜ST049を繰り返し、1枚目原稿の1ページ分の画像データの書込が終了したら、ステップST060の「次原稿情報レジスタ43d」から次原稿があるか否かの判断を行い、ある場合はステップST044〜ST049を繰り返して全原稿について処理を行い、次原稿がない場合本処理は終了となる。
【0096】
なお、ステップST049で1ページ分の画像データが転送用バッファ43bに書き込まれた時点では、各ブロック画像データに関する情報は(1)表/裏情報、(2)最終ブロック情報(ページの最終ブロックか否かの情報)、(3)サイズ情報(ブロック画像データのサイズ)、が情報レジスタ43cに記憶されている。なお、(4)次原稿有無情報は、ステップST060による次原稿情報レジスタ43dの情報が反映されている。
【0097】
[転送処理]
画像データをドライバへ転送する転送処理について図12を用いて説明する。ステップST027によるドライバからの「Read2」を受信したか否かの判断をし(ST036)、肯定判断の場合は、転送用バッファ43bに転送一回分の画像データ(ブロック画像データ、1MB)があるか否かをメモリコントロール部41bの情報から判断し(ST037)、肯定判断の場合は、情報レジスタ43cにあるそのブロック画像データに関する情報を添付した後、転送する(ST038)。なお、ブロック画像データに関する情報は、情報添付手段49D添付され、情報が添付されたブロック画像データがUSBコントローラ48からPC側のUSBコントローラ50に送られる。情報添付手段49は、所定のプログラムに従ってCPU41が実行するもので、情報レジスタ43cに記憶されている各ブロック画像データに関する情報を各ブロック画像データに添付する。この場合の情報は、(1)表/裏情報、(2)最終ブロック情報(ページの最終ブロックか否かの情報)、(3)次原稿有無情報、(4)サイズ情報(ブロック画像データのサイズ情報)である。なお、ここでは片面読取モードを例に説明している関係で、(1)の表/裏情報は常に表となっている。そして、ブロック画像データを転送した後はそのブロック画像データが書き込まれていた転送用バッファ43b内の領域を開放して再び別の画像データを書込可能にする(ST039)。
【0098】
次に、転送したブロック画像データがページの最終ブロックであるか否かを判断する(ST040)。否定判断の場合は、ステップST036〜ST040を繰り返して(Read2の受信と画像ブロックデータの転送を繰り返して)最終ブロックデータまでブロック画像データの転送を行い、肯定判断の場合は、次ページ原稿ありの情報があるか否かの判断をし(ST041)、次ページありの場合はステップST036〜ST042を繰り返して最終原稿(最終ページ)の最終ブロックデータの転送までを行い、次ページなしの場合は、転送処理は終了となる。
【0099】
上述の通り、全原稿の読取条件が同一の場合は、アプリケーションからの「スキャン開始指示(Start Scan1)」のあるなしに係らず次原稿の搬送を開始させて読み取りを独立して実行するため次原稿の画像データを用意することができ、アプリケーションが「データ転送の指示コマンド(Read1)」を送信してから次ページ画像データを取得するまでに時間を短縮することができるようになった。したがって、アプリケーションが全ページ分の画像データを取得するまでのシステム全体の処理時間が短くなり、読み取る原稿の枚数が多ければ多いほどこの効果は大きい。
【0100】
さらに、アプリケーションからの次ページ画像データ有り無しの問い合わせに対し、従来はスキャナ装置Bとの通信により有り無し情報をアプリケーションへ送信(転送)していたため、この通信に時間がかかり、「スキャン開始指示(Start Scan1)」、ひいては「データ転送の指示コマンド(Read1)」の送信自体が遅かった。しかし本発明では、画像データに添付された情報(最終ブロック情報)を用いてドライバが回答を行うことで、これらのやり取りをPC内部で行えるようになり、「スキャン開始指示(Start Scan1)」、「データ転送の指示コマンド(Read1)」を送信するまでの時間が短縮され、結果としてシステム全体の処理時間を短くすることができる。この効果も読み取る原稿の枚数が多ければ多いほど大きい。
【符号の説明】
【0101】
B スキャナ装置(画像読取装置)
R1 第1読取位置
R2 第2読取位置
Mf フィードモータ
Mk 給紙モータ
1 パーソナルコンピュータ(PC)(コマンド送信部)
2 中央処理装置(CPU)
3 記憶装置
3a OSプログラム
3b アプリケーションプログラム
3c ドライバプログラム
5 入力装置
6 出力装置
10 ケーシング
11 給紙スタッカ
12 排紙スタッカ
13 搬送経路
14a 第1プラテン
14b 第2プラテン
15 第3プラテン
16 第1画像読取ユニット
17 第2画像読取ユニット
21 光源(ランプ1、ランプ2)
24a 第1読取センサ(CCD1)
24b 第2読取センサ(CCD2)
40 コントロールボード(スキャナコントローラ)
41 CPU(切替手段)
42 ROM
43 記憶手段(RAM)
43a 画処理用バッファ
43b 転送用バッファ(転送データ用記憶手段)
44a DSP1(裏面画像用プロセッサ)
44b DSP2(表面画像用プロセッサ)
48 USBコントローラ(データ転送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドを送信するコマンド送信部と、
前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドに応じて1枚目の原稿を所定の読取位置へ給送して原稿画像を読み取り、画像データを前記コマンド送信部へ転送する画像読取部と、
2枚目以降の原稿について、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドの受信とは関係なく次原稿の給送を開始する第1給送モードと、前記コマンド送信部から送信された読取開始コマンドを受信した後に次原稿の給送を開始する第2給送モードと、の給送モードの切り替えを行う切替手段とを備える画像読取システム。
【請求項2】
前記画像読取部は、画像データを記憶させるための記憶手段をさらに備え、
前記第1給送モードの場合は、前記記憶手段の空き状況に基づいて2枚目以降の原稿の給送を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像読取システム。
【請求項3】
ページごとに読取条件が異なる場合は、前記第2給送モードで原稿を給送することを特徴とする請求項1に記載の画像読取システム。
【請求項4】
前記読取条件は、画像データの取り込み領域、カラー/モノクロ、解像度の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項3に記載の画像読取システム。
【請求項5】
上位装置から送信された読取開始コマンドに応じて1枚目の原稿を所定の読取位置へ給送して原稿画像を読み取り、画像データを前記コマンド送信部へ転送する画像読取部装置であって、
2枚目以降の原稿について、前記上位装置から送信された読取開始コマンドを受信した後に次原稿の給送を開始する第1給送モードと、前記ホストから送信された読取開始コマンドとは関係なく次原稿の給送を開始する第2給送モードとの給送モードの切り替えを行う切替手段とを備える画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−183367(P2010−183367A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25325(P2009−25325)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】