説明

画像読取用レンズ系

【課題】Fナンバー5.6程度と比較的明るく、被写界深度が比較的深く、-0.05倍程度に縮小して読み取る場合に、半画角30°程度にて開口効率を110%以上とした明るい画像読取用レンズ系を得る。
【解決手段】物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの第1レンズと、絞りと、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズの第2レンズと、両凸正レンズの第3レンズで構成され、第1レンズの少なくとも一面は非球面であり、該非球面は近軸部に比べて周辺部に行くほど正のパワーを強くして開口効率を大きくする形状である画像読取用レンズ系。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードリーダー等に使用される画像読取用レンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取用レンズ系の中でもバーコードリーダーのように深い被写界深度が要求される設計においては、Fナンバーが小さい明るいレンズ系を得ることは困難であった。
【特許文献1】特開2001-305425号公報
【特許文献2】特開平7-84179号公報
【特許文献3】特開2000-330015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、トリプレット型でFナンバーが5.6程度と比較的明るく、収差補正も行われているが、バーコードリーダー用としての深度が十分に確保されておらず、また、レンズ材料に高屈折率のガラスを用いているのでコストダウンを図ることは難しい。特許文献2では、球面収差を意図的に大きくすることで被写界深度を確保しているが、内視鏡用の対物レンズ系であるため、そのまま画像読取用レンズ系として使用すると、歪曲収差が大きいため画像が歪んでしまい、画像を正確に読み取ることができない。特許文献3では、フォーカシング機能を与えて合焦可能範囲を大きくしているが、可動部分があるため、機械構成が複雑化する。
【0004】
本発明は、Fナンバー5.6程度と比較的明るく、被写界深度が比較的深く、-0.05倍程度に縮小して読み取る場合に、半画角30°程度にて開口効率を110%以上とした明るい画像読取用レンズ系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像読取用レンズ系は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの第1レンズと、絞りと、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズの第2レンズと、両凸正レンズの第3レンズで構成され、第1レンズの少なくとも一面は非球面であり、該非球面は近軸部に比べて周辺部に行くほど正のパワーを強くして開口効率を大きくする形状であることを特徴としている。
【0006】
本発明の画像読取用レンズ系の第2レンズは、少なくとも一面が非球面であり、該非球面は近軸部に比べて周辺部に行くほど負のパワーを強くする形状であることが好ましい。
【0007】
本発明の画像読取用レンズ系は、次の条件式(1)及び(2)を満足することが望ましい。
(1)-0.02<(ASP2-ASP1)/f<0.00
(2)0.2<R1/f<1.0
但し、
ASP1;第1レンズの物体側の面の高さ0.2fにおける非球面量、
ASP2;第1レンズの像側の面の高さ0.1fにおける非球面量、
R1;第1レンズの物体側の面の曲率半径、
f;全系の焦点距離、
である。
【0008】
また、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)0.00<(ASP4-ASP3)/f<0.001
但し、
ASP3;第2レンズの物体側の面の高さ0.05fにおける非球面量、
ASP4;第2レンズの像側の面の高さ0.06fにおける非球面量、
である。
【0009】
また、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)-0.55λ<WA<-0.05λ
但し、
WA;軸上光束の波面収差の最小値、
λ;設計波長、
である。
【0010】
本発明の画像読取レンズ系では、第1レンズと第2レンズは共に樹脂材料から構成し、次の条件式(5)を満足することが好ましい。
(5)-0.36<f(f1+f2-d)/(f1・f2)<-0.08
但し、
f1;第1レンズの焦点距離、
f2;第2レンズの焦点距離、
d;第1レンズの第2主点と第2レンズの第1主点の間隔、
である。
【0011】
また、次の条件式(6)を満足することが好ましい。
(6)-1.7<f2/f3<-0.7
但し、
f3;第3レンズの焦点距離、
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、Fナンバー5.6程度と比較的明るく、被写界深度が比較的深く、-0.05倍程度に縮小して読み取る場合に、半画角30°程度にて開口効率を110%以上とした明るい画像読取用レンズ系を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態の画像読取レンズ系は、図1、図3、図5、図7、図9及び図11の各実施例に示すように、物体側(拡大側)から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスの第1レンズ10と、絞りSと、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第2レンズ20と、両凸の第3レンズ30とからなっている。第1レンズ10の物体側には物体側カバーガラスC1が位置し、第3レンズ30の像側(縮小側)には像側カバーガラスC2が位置している。
【0014】
以上のレンズ構成において、第1レンズ10は、非球面レンズであり、該非球面が周辺部に行くほど正のパワーを強くして、開口効率を大きくする。すなわち、通常の非球面は、諸収差を補正するために使われているのに対して、本実施形態の第1レンズの非球面は、周辺の光をより多く取り込み開口効率を大きくするために用いられている。
【0015】
また、第2レンズ20は、その少なくとも一面に、近軸球面に対し、周辺部に行く程負のパワーを強くする形状の非球面を有している。上述のように、第1レンズ10の非球面は開口効率を大きくするために用いられていて収差補正には用いられていない。このため、第2レンズの非球面は、開口効率を大きくすることの代償として発生する第1レンズの諸収差を補正するためのもので、このように第2レンズの非球面形状を定めると、第1レンズで発生した収差を良好に補正し、かつ被写界深度を大きくすることができる。
【0016】
条件式(1)は、第1レンズ10の非球面量を数式で規定したものである。非球面量は、近軸球面に比較して、周辺部において光の進行方向に形状を変化させる場合がプラス、その逆の場合がマイナスと定義される。条件式(1)(及び(3))は、非球面量(サグ量)を定義する高さを最軸外光束の主光線が通る高さ(全系の焦点距離fの何倍かを用いて定義)程度に設定している。条件式(1)を満たす非球面は、開口効率を大きくするための非球面であり、従来の収差補正の為の非球面とは近軸球面に対する非球面の向きが全く逆である。言い換えると、本実施形態では、第1レンズでは収差が発生することを許容しながら、その非球面で開口効率を大きくしている。条件式(1)の下限を超えると、第1レンズで発生する球面収差が大きくなりすぎて後段の光学系で補正しきれなくなり、所望の解像度を得られなくなってしまう。条件式(1)の上限を超えると、周辺光量の確保に不利になってしまう。従来の収差補正のための非球面は上限を越えた範囲にある。
【0017】
正のパワーの第1レンズは、周辺光量を確保するためには、軸上と周辺とのパワーの差が大きい方が好ましい。条件式(2)は、このための第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径を規定している。条件式(2)の下限を超えると、第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径が小さくなりすぎる。この状態で条件式(1)を満たせば、第1レンズの周辺部のパワーが強くなりすぎて、発生する像面湾曲やコマ収差を後段で補正することが難しい。条件式(2)の上限を超えると、条件式(1)を満たしても周辺光量の確保が困難になる。
【0018】
第1レンズが条件式(1)と条件式(2)を満足すると、球面収差が補正不足の傾向となる。第2レンズは、この球面収差を補正するものであり、条件式(3)は、このための第2レンズ20の非球面量を数式で規定したものである。上述のように、第2レンズの非球面量は、近軸球面に比し、周辺に行くほど負のパワーが大きくなる方向がよい。被写界深度を確保するために、全体として3次の球面収差を補正過剰にすることを前提とすると、第1レンズの3次の球面収差は補正不足であるので、第2レンズは補正過剰の球面収差を与えるのがよい。条件式(3)の下限を超えると、第2レンズの非球面が第1レンズで発生した補正不足の球面収差を大きくする方向に作用してしまう。条件式(3)の上限を超えると、球面収差、像面湾曲が大きくなりすぎて所望の被写界深度を得ることが困難になる。
【0019】
条件式(4)は、被写界深度を確保するための条件である。波面収差の値と被写界深度の大きさとの間には、相関があり、球面収差を補正過剰にすると被写界深度を大きくすることができる。条件式(4)の下限を超えると、被写界深度の確保が困難になる。条件式(4)の上限を超えると、諸収差が悪化し、要求される解像度を満たすことが困難になる。
【0020】
条件式(5)は、第1レンズと第2レンズを共に樹脂製としたとき、30℃の温度変化に際してfB(バックフォーカス)の変化を許容値(例えば5μm以下)に抑えるための条件である。条件式(5)の下限を超えても上限を超えても、fBの変化を許容値内に収めることができない。
【0021】
条件式(6)は、テレセントリック性を確保し、諸収差を良好に補正するための条件である。条件式(6)の下限を超えると、コマ収差がマイナス方向に大きくなってしまう。条件式(6)の上限を超えると、光量の確保が難しくなると同時に、コマ収差がプラス方向に大きくなってしまう。
【0022】
次に具体的な数値実施例を示す。諸収差図中、球面収差で表される色収差(軸上色収差)図及び倍率色収差図中のd線、g線、C線、F線、e線はそれぞれの波長に対する収差であり、Sはサジタル、Mはメリディオナル、Yは像高である。また、表中のF値はFナンバー、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、mは結像倍率、fB はバックフォーカス(像側カバーガラスC2の像側の面から像面迄の距離)、ΔfBは温度変化が+30℃のときのfBの変化量、VNTは最大像高の8割における開口効率(%)、被写界深度はMTF4本20%を確保できる領域の値、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、Nd はd線の屈折率、νはアッベ数を示す。なお、ΔfBと被写界深度の値は、数値データ中の値をmmとしたときの値である。
また、回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
(但し、xは非球面形状、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数)
【0023】
[数値実施例1]
図1及び図2と表1は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例1を示している。図1はそのレンズ構成図、図2は図1のレンズ構成における諸収差図、表1はその数値データである。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.331の位置にある。
本画像読取レンズ系は、物体側から順に、平行平面板からなる物体側カバーガラスC1、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの第1レンズ10、絞りS、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズの第2レンズ20、両凸正レンズの第3レンズ30及び平行平面板からなる像側カバーガラスC2からなっている。第1レンズ10と第2レンズ20はともに樹脂材料からなっており、第1レンズ10は非球面レンズであり、両面が周辺部に行くほど正のパワーを強くする形状である。第2レンズ20は、その両面が、近軸球面に対し、周辺部に行く程負のパワーを強くする形状の非球面である。第1レンズ10の非球面は、周辺光量を確保するために有用であり、第2レンズ20の非球面は、第1レンズの周辺の正のパワーを強くした結果生じる球面収差を補正し、かつ被写界深度を大きくするために有用である。
【0024】
また、以下の全数値実施例において、物体側と像側のカバーガラスC1とC2は共通(同一)であり、次の数値データを有する。また、物点(被読取面)から物体側カバーガラスC1までの距離は119.00で一定(各実施例共通)であり、諸収差図は、物体側カバーガラスC1と像側カバーガラスC2を含んだ系の諸収差である。
物体側カバーガラスC1のデータ
厚さ(d)=1.000
d線の屈折率(Nd)=1.4900
アッベ数(ν)=57.8
第1レンズとの光軸上の距離=5.000
像側カバーガラスC2のデータ
厚さ(d)=0.550
d線の屈折率(Nd)=1.5163
アッベ数(ν)=64.1
【0025】
(表1)
FNO.= 1:5.50
f=5.654
f1=6.193
f2=-3.557
f3=3.578
W=30.0
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=-1μm
VNT=112.07
被写界深度=110mm
面No. r d Nd ν
1* 2.003 1.050 1.5436 55.7
2* 4.033 0.462 - -
3* -1.306 0.800 1.6064 27.2
4* -4.073 0.050 - -
5 19.765 0.951 1.7292 54.7
6 -2.945 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.340
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 1.19689×10-02 5.83031×10-03
2 0.00 3.27957×10-02 -3.16564×10-02
3 0.00 3.80730×10-02 2.68196×10-02
4 0.00 3.10215×10-02 1.11283×10-03
【0026】
[数値実施例2]
図3及び図4と表2は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例1を示している。図3はそのレンズ構成図、図4は図3のレンズ構成における諸収差図、表2はその数値データである。基本的なレンズ構成は数値実施例1と同様である。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.304の位置にある。
【0027】
(表2)
FNO.= 1:5.42
f=5.656
f1=6.356
f2=-4.275
f3=3.985
W=30.0
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=+5μm
VNT=112.62
被写界深度=90mm
面No. r d Nd ν
1* 2.096 1.050 1.5436 55.7
2* 4.389 0.599 - -
3* -1.270 0.800 1.6064 27.2
4* -3.084 0.050 - -
5 17.618 0.951 1.7292 54.7
6 -3.400 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.238
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 9.70884×10-03 4.39839×10-03
2 0.00 2.23818×10-02 -1.66804×10-02
3 0.00 5.19999×10-02 5.48202×10-02
4 0.00 3.12213×10-02 4.22196×10-03
【0028】
[数値実施例3]
図5及び図6と表3は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例3を示している。図5はそのレンズ構成図、図6は図5のレンズ構成における諸収差図、表3はその数値データである。基本的なレンズ構成は数値実施例1と同様である。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.357の位置にある。
【0029】
(表3)
FNO.= 1:5.43
f=5.683
f1=6.811
f2=-3.559
f3=3.458
W=29.9
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=-4μm
VNT=111.96
被写界深度=130mm
面No. r d Nd ν
1* 2.262 1.050 1.5436 55.7
2* 4.864 0.732 - -
3* -1.211 0.800 1.6064 27.2
4* -3.447 0.058 - -
5 17.904 0.951 1.7292 54.7
6 -2.869 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.431
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 6.69502×10-03 1.71340×10-03
2 0.00 -4.56197×10-05 -2.51039×10-03
3 0.00 -1.99860×10-02 3.08273×10-01
4 0.00 2.91770×10-02 8.99079×10-03
【0030】
[数値実施例4]
図7及び図8と表4は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例4を示している。図7はそのレンズ構成図、図8は図7のレンズ構成における諸収差図、表4はその数値データである。基本的なレンズ構成は数値実施例1と同様である。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.280の位置にある。
【0031】
(表4)
FNO.= 1:5.32
f=5.662
f1=5.691
f2=-3.518
f3=3.695
W=30.0
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=+4μm
VNT=114.61
被写界深度=135mm
面No. r d Nd ν
1* 2.012 1.050 1.5436 55.7
2* 4.697 0.568 - -
3* -1.330 0.800 1.6064 27.2
4* -4.334 0.220 - -
5 17.936 0.951 1.7292 54.7
6 -3.100 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.112
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 8.71356×10-03 4.40437×10-03
2 0.00 7.63457×10-03 -8.73956×10-03
3 0.00 -3.91347×10-02 3.14919×10-01
4 0.00 2.71549×10-02 8.42642×10-03
【0032】
[数値実施例5]
図9及び図10と表5は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例5を示している。図9はそのレンズ構成図、図10は図9のレンズ構成における諸収差図、表5はその数値データである。基本的なレンズ構成は数値実施例1と同様である。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.420の位置にある。
【0033】
(表5)
FNO.= 1:5.22
f=5.788
f1=11.673
f2=-5.488
f3=3.645
W=29.3
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=-2μm
VNT=110.55
被写界深度=90mm
面No. r d Nd ν
1* 3.500 1.400 1.5436 55.7
2* 6.706 2.000 - -
3* -1.136 0.700 1.6064 27.2
4* -2.126 0.050 - -
5 13.455 1.000 1.7292 54.7
6 -3.208 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.410
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 4.14337×10-04 6.31147×10-05
2 0.00 -2.65410×10-03 9.64102×10-05
3 0.00 2.91468×10-02 3.64659×10-01
4 0.00 3.15066×10-02 2.97364×10-02
【0034】
[数値実施例6]
図11及び図12と表6は、本発明の画像読取レンズ系の数値実施例6を示している。図11はそのレンズ構成図、図12は図11のレンズ構成における諸収差図、表6はその数値データである。基本的なレンズ構成は数値実施例1と同様である。絞りSは第2レンズ(第3面)の前方(物体側)0.255の位置にある。
【0035】
(表6)
FNO.= 1:5.54
f=5.629
f1=4.902
f2=-2.813
f3=3.389
W=30.2
m=-0.0465
fB=1.950
ΔfB=+1μm
VNT=110.03
被写界深度=95mm
面No. r d Nd ν
1* 1.600 1.050 1.5436 55.7
2* 3.079 0.100 - -
3* -1.701 0.700 1.6064 27.2
4* -723.104 0.244 - -
5 115.649 0.951 1.7292 54.7
6 -2.516 - - -
第3レンズ(面No.6)から像側カバーガラスC2迄の光軸上の距離=2.160
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。);
面No. K A4 A6
1 0.00 1.90000×10-02 1.31749×10-02
2 0.00 3.38606×10-03 -1.83674×10-01
3 0.00 -1.50498×10-01 -8.24833×10-02
4 0.00 -1.17020×10-02 6.35401×10-03
【0036】
各数値実施例の各条件式に対する値を表7に示す。
(表7)
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6
条件式(1) -0.0052 -0.0041 -0.0026 -0.0041 -0.0002 -0.0112
条件式(2) 0.354 0.371 0.398 0.355 0.605 0.284
条件式(3) 0.000028 0.000011 0.000066 0.000082 0.000016 0.00015
条件式(4) -0.31λ -0.17λ -0.49λ -0.52λ -0.21λ -0.21λ
条件式(5) -0.25 -0.10 -0.32 -0.15 -0.25 -0.25
条件式(6) -0.99 -1.07 -1.03 -0.95 -1.51 -0.83
【0037】
表7から明らかなように、実施例1ないし6は条件式(1)〜(6)を満足しており、また諸収差図から明らかなように諸収差は比較的よく補正されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による読取レンズ系の数値実施例1のレンズ構成図である。
【図2】図1のレンズ構成の諸収差図である。
【図3】本発明による読取レンズ系の数値実施例2のレンズ構成図である。
【図4】図3のレンズ構成の諸収差図である。
【図5】本発明による読取レンズ系の数値実施例3のレンズ構成図である。
【図6】図5のレンズ構成の諸収差図である。
【図7】本発明による読取レンズ系の数値実施例4のレンズ構成図である。
【図8】図7のレンズ構成の諸収差図である。
【図9】本発明による読取レンズ系の数値実施例5のレンズ構成図である。
【図10】図9のレンズ構成の諸収差図である。
【図11】本発明による読取レンズ系の数値実施例6のレンズ構成図である。
【図12】図11のレンズ構成の諸収差図である。
【符号の説明】
【0039】
10 第1レンズ
20 第2レンズ
30 第3レンズ
S 絞り
C1 C2 カバーガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの第1レンズと、絞りと、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズの第2レンズと、両凸正レンズの第3レンズで構成され、
第1レンズの少なくとも一面は非球面であり、該非球面は近軸部に比べて周辺部に行くほど正のパワーを強くして開口効率を大きくする形状であることを特徴とする画像読取用レンズ系。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取用レンズ系において、第2レンズの少なくとも一面は非球面であり、該非球面は近軸部に比べて周辺部に行くほど負のパワーを強くする形状である画像読取用レンズ系
【請求項3】
請求項1または2記載の画像読取用レンズ系において、下記条件式(1)及び(2)を満足する画像読取用レンズ系。
(1)-0.02<(ASP2-ASP1)/f<0.00
(2)0.2<R1/f<1.0
但し、
ASP1;第1レンズの物体側の面の高さ0.2fにおける非球面量、
ASP2;第1レンズの像側の面の高さ0.1fにおける非球面量、
R1;第1レンズの物体側の面の曲率半径、
f;全系の焦点距離。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の画像読取用レンズ系において、下記条件式(3)を満足する画像読取用レンズ系。
(3)0.00<(ASP4-ASP3)/f<0.001
但し、
ASP3;第2レンズの物体側の面の高さ0.05fにおける非球面量、
ASP4;第2レンズの像側の面の高さ0.06fにおける非球面量。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の画像読取用レンズ系において、下記条件式(4)を満足する画像読取用レンズ系。
(4)-0.55λ<WA<-0.05λ
但し、
WA;軸上光束の波面収差の最小値、
λ;設計波長。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の画像読取用レンズ系において、第1レンズと第2レンズは共に樹脂材料からなり、下記条件式(5)を満足する画像読取用レンズ系。
(5)-0.36<f(f1+f2-d)/(f1・f2)<-0.08
但し、
f1;第1レンズの焦点距離、
f2;第2レンズの焦点距離、
d;第1レンズの第2主点と第2レンズの第1主点の間隔。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の画像読取用レンズ系において、下記条件式(6)を満足する画像読取用レンズ系。
(6)-1.7<f2/f3<-0.7
但し、
f3;第3レンズの焦点距離。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−53411(P2009−53411A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219633(P2007−219633)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】