説明

画像読取装置、画像形成装置、及びプログラム

【課題】読取時間が長い場合でも蓄積する電荷の量が飽和量に達することなく、一定の画像信号が得られる画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】全体制御部122は原稿の読取形式に応じて、読取速度が遅く、読取時間が長くなり、CCDイメージセンサ88が蓄積する電荷が飽和電荷量に達する読取形式である場合は、光源であるLED81の消灯期間をCCDイメージセンサ88の水平転送期間に設けるように、光源制御部128に指示する。当該指示に基づいて光源制御部128は、LED81の点灯を制御する。さらに、消灯期間を設ける場合は、増幅率変更部124は、消灯期間に応じて、増幅回路104で増幅された画像信号が予め定められた大きさの画像信号となるように、増幅回路104の増幅率を決定し、決定した増幅率になるように、増幅回路104の増幅率を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿又は基準板に光を照射するそれぞれ光量調整可能なN個の光源と、原稿又は基準板からの反射光をアナログ信号に変換する光学読取手段と、前記アナログ信号をゲイン処理する調整手段と、前記ゲイン処理されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記調整手段に対してゲイン値を設定する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記N 個の光源を単独で点灯して前記基準板の読取走査を行い前記A/D変換器へ入力される入力信号が前記A/D変換器の最大入力レベルと最小入力レベルとの間でかつ前記最大入力レベル近傍のレベルの略[1/N]倍となる各光源のN個のゲイン値を取得し、前記調整手段に対して前記N個のゲイン値の中から選択された一つのゲイン値を設定すると共に前記選択されたゲイン値に係る光源以外の光源の光量調整をした状態で原稿の画像読み取りを行うことを特徴とする画像読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−51566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、読取時間が長い場合でも蓄積する電荷の量が飽和量に達することなく、一定の画像信号が得られる画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像読取装置は、光源から原稿に照射された光の反射光を受光し、受光した光を画像信号に変換し、当該画像信号に応じた電荷を、前記原稿を読み取る読取時間に応じて蓄積する読取手段と、前記読取手段が蓄積する電荷の量が飽和量に達しないように、前記原稿の読取形式に応じて前記光源を消灯させるよう制御する制御手段と、前記制御手段が前記光源を消灯させる場合に、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段の増幅率を、前記画像信号を予め定められた大きさに増幅するように前記光源を消灯させた時間に応じて変更する変更手段と、を備えた。
【0006】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記読取形式は、前記読取手段が利用者によって読取台に置かれた原稿の読み取りと、原稿送装置によって搬送された原稿の読み取りとを含み、前記制御手段は、利用者によって前記読取台に置かれた原稿の読み取りの場合に、前記光源を消灯させるよう制御する。
【0007】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記読取形式は、原稿送装置によって搬送された原稿の読み取りを含み、前記制御手段は、前記原稿送装置により搬送された原稿を読み取る読取時間よりも読取時間が長くなる前記読取形式の場合に、前記光源を消灯させるよう制御する。
【0008】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記読取手段は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送及び水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、前記制御手段は、前記電荷を垂直転送する期間の開始及び終了の前後の予め定められた時間中には、前記光源を消灯させないよう制御する。
【0009】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記読取手段は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送及び水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、前記制御手段は、前記電荷を水平転送する期間中に前記光源を消灯させるよう制御する。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、光源から原稿に照射された光の反射光を読み取って、読み取った反射光に応じた画像信号を出力する、前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置から出力された画像信号に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を備えた。
【0011】
請求項7に記載のプログラムは、光源から原稿に照射された光の反射光を受光し、受光した光を画像信号に変換し、当該画像信号に応じた電荷を、前記原稿を読み取る読取時間に応じて蓄積する読取手段が蓄積する電荷の量が飽和量に達しないように、前記原稿の読取形式に応じて前記光源を消灯させるよう制御する制御手段と、前記制御手段が前記光源を消灯させる場合に、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段の増幅率を、前記画像信号を予め定められた大きさに増幅するように前記光源を消灯させた時間に応じて変更する変更手段と、してコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項6、及び請求項7に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、読取時間が長い場合でも蓄積する電荷の量が飽和量に達することなく、一定の画像信号を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、蓄積する電荷の量が飽和量に達するのを防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、蓄積する電荷の量が飽和量に達するのを防止することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、光源の点灯による影響を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、光源の点灯による影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像読取装置の一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る照明ユニットの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図4】本実施の形態に係る制御部の一例の概略構成図である。
【図5】本実施の形態に係る制御部の一例の機能ブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る信号処理部の一例のブロック図である。
【図7】本実施の形態に係るCCD制御部がCCDイメージセンサを動作させる制御信号、及び光源制御部がLEDを動作させる制御信号のタイミングチャートである。
【図8】本実施の形態に係るCCDイメージセンサにおいて光電変換した電荷を転送する動作について説明した説明図である。
【図9】本実施の形態に係る増幅率変更処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置の概略について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す。
【0020】
図1に示す本実施の形態の画像形成装置10は、複写機能やプリント機能やファクシミリ機能等を複合的に備えた多機能装置であり、画像読取装置12と、画像形成装置部14と、で構成されている。
【0021】
まず、画像形成装置部14について説明する。本実施の形態の画像形成装置部14は、各色の画像データに基づき画像を形成する画像形成部20と、画像形成装置10全体の動作を制御する制御部40と、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネット等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置から画像データを受信する通信部44と、を備えている。また、本実施の形態の画像形成装置部14は、公衆回線を通じて画像データの送受信を行うファクシミリ(FAX)部46と、画像読取装置12や通信部40等から転送された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部42と、ユーザからの指示を受け付けたり、画像読取及び画像形成に関する情報をユーザに提示したりするU/I(ユーザインターフェイス)部48と、を備えている。
【0022】
画像形成部20は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置される4つの画像形成ユニット21Y、21M、21C、21K(以下、総称する場合は、画像形成ユニット21という)を備えている。各画像形成ユニット21は、例えば、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム22、感光体ドラム22の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器23、帯電器23によって帯電された感光体ドラム22を画像データに基づいて露光するプリントヘッド24、感光体ドラム22上に形成された静電潜像を現像する現像器25、及び転写後の感光体ドラム22表面を清掃するクリーナ26で構成されている。
【0023】
また、画像形成部20は、各画像形成ユニット21の感光体ドラム22にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写体27、各画像形成ユニット21による各色トナー像を中間転写体27に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール28、中間転写体27上に転写されて重ね合わされたトナー像を記録材(記録用紙P)に一括転写(二次転写)させる二次転写ロール29、及び二次転写された画像を記録用紙P上に定着させる定着器30を備えている。
【0024】
画像形成部20の各画像形成ユニット21は、電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット21で形成された各色トナー像は、一次転写ロール28により中間転写体27上に順次静電転写され、各色トナーが重ね合わされた合成トナー像が形成される。中間転写体27上の合成トナー像は、中間転写体27の移動(図1の矢印A方向)に伴って二次転写ロール29が配置された領域に搬送され、用紙収納部31A、321Bから供給(図1の矢印B方向)される記録用紙P上に一括して静電転写される。その後、記録用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器30によって定着処理を受けて記録用紙P上に定着される。
【0025】
次に、本実施の形態の画像読取装置12について説明する。図2に、本実施の形態の画像読取装置12の概略構成を示す。本実施の形態の画像読取装置12は、自動原稿送り装置50と、原稿の表面に形成された画像を読み取る画像読取処理部52と、を備えて構成されている。
【0026】
本実施の形態の自動原稿送り装置50は、少なくとも1枚の原稿が置かれる原稿台60と、原稿を搬送する原稿搬送路61と、画像を読み取った後の原稿が排出される排出台62と、を含んで構成されている。
【0027】
原稿搬送路61は、U字状に形成され、原稿搬送路61の周囲には、用紙送出ロール63、送出ロール64、プリ位置合わせロール65、位置合わせロール66、プラテンロール67、アウトロール68、及び排出ロール69が設けられている。用紙送出ロール63は、原稿送り時に下降し、原稿台60に置かれた原稿をピックアップする。送出ロール64は、用紙送出ロール63から送られた原稿のうち最上部にある原稿を内部に供給する。プリ位置合わせロール65は、送出ロール64から送られた原稿を一時停止させ、斜行補正する。位置合わせロール66は、プリ位置合わせロール65から送られた原稿を一時停止させ、読取りタイミングを調整する。プラテンロール67は、原稿搬送路261通る原稿を第2プラテンガラス74に対峙させる。アウトロール68及び排出ロール69は、読み取った原稿を排出台62へ排出する。
【0028】
本実施の形態の画像読取装置12は、原稿台60から自動原稿送り装置50により送られた原稿の表面を流し読みする機能と、第1プラテンガラス70上に置かれた原稿の表面を読み取る機能と、を備えている。
【0029】
本実施の形態の画像読取処理部14は、筐体75内に、CCDイメージセンサ88、及び制御部90を備えている。また、画像読取装置12は、筐体75内に、第2プラテンガラス74の読取位置に静止するか、または第1プラテンガラス70の全体に亘って走査(スキャン)しながら画像を読み取るフルレートキャリッジ76、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88に導くハーフレートキャリッジ78を備えている。
【0030】
筐体75の自動原稿送り装置50に対向する面には、図2に示すように、画像を読み取る原稿が置かれる第1プラテンガラス70、白基準板72、及び自動原稿送り装置50によって搬送中の原稿を読み取るために原稿に光を照射するための開口部となる第2プランテンガラス74が設けられている。
【0031】
フルレートキャリッジ76は、原稿に光を照射する光源を備えた照明ユニット80、照明ユニット80から出射された光を原稿面に向けて拡散させながら反射する拡散反射部材83、原稿面から得られた反射光をハーフレートキャリッジ78に向けて反射する第1ミラー82を備えている。
【0032】
ハーフレートキャリッジ78は、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88へ導く第2ミラー85及び第3ミラー84を備えている。
【0033】
本実施の形態の照明ユニット80は、光源として白色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode、以下、LEDという)が複数配列されて構成されている。本実施の形態の照明ユニット80の一例の概略構成図を図3に示す。本実施の形態の照明ユニット80は、多層基板87上にLEDチップ(以下、単にLEDという)81が複数、主走査方向に沿って配列されている。なお、本実施の形態では、中間転写体27の搬送方向(図1、矢印A方向)を副走査方向としており、これと交差する方向を主走査方向としている。
【0034】
本実施の形態ではLED81は白色LEDであり、具体的には、青色LEDチップと黄色の蛍光物質を含有させた透明樹脂とが積層されて構成されている。青色LEDチップの放つ青色光によりチップ周囲の黄色蛍光物質を励起させて、黄色の蛍光を発生させる。それにより、補色関係にある青色と黄色とを足し合わせて(合成させて)、白色光を生成する。
【0035】
本実施の形態のCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサ88は、ハーフレートキャリッジ78から得られた光学像を光学的に縮小する結像レンズ86によって結像された光学像を光電変換してR(赤)、G(緑)、B(青)の各色信号(画像信号)としての電荷を蓄積する機能を有している。本実施の形態のCCDイメージセンサ88は、具体的一例として、R、G、Bの各色用の1次元ラインセンサが3列一組で配置された構成としている。原稿からの反射光を画素単位で後援変換し、R、G、Bのアナログの画像信号を出力する。
【0036】
また、制御部90は、画像読取装置12全体の動作を制御する機能を有するものであり、また、本実施の形態の制御部90は、CCDイメージセンサ88からの各色の画像信号(R、G、B)を処理して画像データを生成する機能を有している。制御部90は、信号線によって画像形成装置部14の制御部40及び画像処理部42にそれぞれ接続され、相互に制御信号や読取画像データ等の送受信を行う。
【0037】
制御部90のハードウエア構成について説明する。図4は、本実施の形態の制御部90の一例の概略構成図である。本実施の形態の制御部90は、CPU93、RAM94、ROM95、NVM(Non Volatile Memory:不揮発性メモリ)97、及びI/F部98を備えて構成されている。CPU93、RAM94、ROM95、NVM97、及びI/F(インターフェース)部96は、コントロールバスやデータバス等のバス99を介して互いに情報等の授受されるように接続されている。
【0038】
CPU93は、原稿を読み取って生成した画像信号を処理するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する機能を有する。RAM94は、CPU93でプログラム96を実行する際の作業用の領域を確保するものである。ROM95は、CPU93での処理に使用される各種設定値等や詳細を後述する増幅率変更処理のプログラム96等が格納される。本実施の形態では、当該プログラム96がCPU93により実行されることにより、詳細を後述する増幅率変更処理が行われる。NVM97は、電源供給が途絶えた場合にもデータを保持される、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等である。また、I/F部98は、信号処理部100に接続される画像形成装置部14の制御部40や画像処理部42等の各構成部との信号の入出力を制御するものである。
【0039】
なお、本実施の形態では、プログラム96は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、外部装置(図示省略)からROM95にインストールされるように構成してもよい。また、インターネット等のネットワークを介して信号処理部100にプログラムが伝送され、信号処理部100のROM95にインストールされるように構成してもよい。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ、USB等の外部記録媒体からROM95にインストールされるように構成してもよい。
【0040】
次に、本実施の形態の制御部90の機能について詳細に説明する。図5は、本実施の形態の制御部90の一例の機能ブロック図である。
【0041】
本実施の形態の制御部90は、信号処理部100及び装置制御部120を備えている。まず、信号処理部100について説明する。図6に、本実施の形態の信号処理部100の一例のブロック図を示す。
【0042】
図6に示すように本実施の形態の信号処理部100は、サンプルホールド回路101と、黒レベル調整回路102と、増幅回路104と、A/D(アナログ/デジタル)変換回路106と、シェーディング補正回路108と、を備えている。
【0043】
サンプルホールド回路101は、CCDイメージセンサ88から転送された各色のアナログ画像信号(R、G、B)をサンプリング(標本化)するとともに予め定められた期間ホールド(保持)するサンプリングホールドを行う機能を有するものである。黒レベル調整回路102は、サンプルホールド回路101によりサンプリングホールドされたアナログ画像信号(R、G、B)について、読み取られた原稿(以下、読取原稿という)の黒に対応する出力と画像読取装置12の出力の黒レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する機能を有するものである。増幅回路104は、黒レベル調整された後のアナログ画像信号(R、G、B)を増幅する機能を有するものである。A/D変換回路106は、増幅回路104により増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)をA/D変換し、デジタルデータである画像データ(R、G、B)に変換する機能を有するものである。シェーディング補正回路108は、A/D変換回路106により変換された画像データ(R、G、B)に対して、照明ユニット80やCCDイメージセンサ88に起因する読取出力のムラを補正するとともに、読取原稿の白レベルと画像読取装置12の出力の白レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する、シェーディング補正処理を行う機能を有するものである。
【0044】
遅延回路110は、CCDイメージセンサ88を構成するR用、G用、B用の1次元ラインセンサの副走査方向における位置のずれに起因して生じる各画像データ間の読取り時間差を、Rの画像データを基準に補正する機能を有するものである。
【0045】
色変換回路112は、色変換パラメータ(色変換係数群)を用いて、RGB色空間(第1の色空間:デバイス依存色空間)の画像データ(R、G、B)を輝度色差色空間であるL*a*b*色空間(第2の色空間:デバイス非依存色空間)の画像データ(L*、a*、b*)に変換する色変換処理を行う機能を有するものである。ここで、「色変換パラメータ」とは、例えばRGB色空間の画像データ(R、G、B)をL*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換する際に、画像データ(R、G、B)と画像データ(L*、a*、b*)との対応関係を規定するものをいう。色変換処理としては、例えば、マトリクス演算や多次元(3次元)ルックアップテーブル(DLUT(Direct Look−Up Table))を用いる方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0046】
色変換回路112にて色変換処理された画像データ(L*、a*、b*)は、画像形成装置部14に備えられた画像処理部60に転送され、出力色空間であるCMYK色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等が行われる。なお、この出力色空間の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等を行う画像処理部60は、画像読取装置12の内部に設けるように構成してもよい。
【0047】
信号処理部100では、CCDイメージセンサ88から転送された3つのアナログ画像信号(R、G、B)が、サンプルホールド回路101によりサンプリングされた後、黒レベル調整回路102によって黒レベルが調整され、さらに、増幅回路104によって予め定めた信号レベルに増幅される。増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)は、A/D変換回路106によりA/D変換され、デジタルデータである画像データ(R、G、B)が生成される。シェーディング補正回路108は、これらの画像データ(R、G、B)に対し、白基準板72を読み取った画像データに基づいてCCDイメージセンサ88を構成する1次元ラインセンサの感度バラツキや光学系の光量分布特性に対応させた補正を施す。画像データ(R、G、B)は、遅延回路110により副走査方向における位置ずれが補正された後、色変換回路112によって、L*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換される。
【0048】
次に、装置制御部120について説明する。本実施の形態の装置制御部120は、全体制御部122、増幅率変更部124、CCD制御部126、光源制御部128、スキャン制御部130、及び原稿搬送制御部132を備えている。
【0049】
全体制御部122は、U/I部48等により指示された読取形式に基づいて原稿の読取りを制御すると共に、画像読取装置12の全体を制御する機能を有するものである。本実施の形態で読取形式とは、画像読取装置12で原稿を読み取る形式であり、本実施の形態では、少なくとも、第1プラテンガラス70上にユーザ等により置かれた原稿を読み取る読取形式、及び原稿台60に置かれ、自動原稿送り装置50により搬送された原稿を読み取る読取形式とを含む。また、その他の読取形式としては、特に限定されないが、例えば、原稿の拡大/縮小、カラー/白黒、及び解像度等が挙げられる。
【0050】
増幅率変更部124は、信号処理部100の増幅回路104で画像信号(R、G、B)を増幅する増幅率を、光源であるLED81の消灯時間に応じて設定する機能を有するものである(詳細後述)。CCD制御部126は、CCDイメージセンサ88の駆動を制御する機能を有するものである。光源制御部128は、原稿の読み取りタイミングに合わせてLED81(照明ユニット80)を制御する機能を有しており、本実施の形態では、全体制御部122の指示に基づいて、原稿の読取形式(読取時間)に応じてLED81の点灯及び消灯を制御する機能を有するものである。スキャン制御部130は、フルレートキャリッジ76及びハーフレートキャリッジ78の移動速度等の制御を行うことにより、スキャン動作を制御する機能を有するものである。原稿搬送制御部132は、自動原稿送り装置50の動作を制御する機能を有するものである。CCD制御部126、光源制御部128、スキャン制御部130、及び原稿搬送制御部132の各部からそれぞれ自動原稿送り装置50及び画像読取処理部52に制御信号が出力され、当該制御信号に基づいて、原稿の読み取り動作が行われる。
【0051】
本実施の形態の画像読取装置12において第1プラテンガラス70に置かれた原稿を読み取る読取形式が指示された場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40が装置制御部120に対して第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取りを指示する。
【0052】
画像形成装置部14の制御部40から第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取り指示を受けた制御部90は、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とをスキャン方向(図2矢印C方向)に移動させる。さらには、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。当該照射により、原稿からの反射光が第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、このライン方向の読取りを原稿サイズ全体に亘るスキャンによって実行することで、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0053】
このようにしてCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は制御部90に転送され、信号処理部100で画像データ(L*、a*、b*)が生成され画像処理部42に出力される。
【0054】
一方、画像読取装置12において原稿台60に置かれた原稿を読み取る読取形式が指示された場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40が制御部90に対して原稿台60に置かれた原稿の読取りを指示する。
【0055】
画像形成装置部14の制御部40から原稿台60に置かれた原稿の読取り指示を受けた制御部90は、原稿台60に置かれた原稿を原稿搬送路61に沿って第2プラテンガラス74の読取位置に搬送する。このとき、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とは、図2に示す実線の位置に停止した状態に設定される。そして、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。それにより、プラテンロール67により第2プラテンガラス74に密着された原稿の反射光が、第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、原稿全体を第2プラテンガラス74の読取位置を通過させることによって、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0056】
このCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は制御部90に転送され、信号処理部100で画像データ(L*、a*、b*)が生成され画像処理部42に出力される。
【0057】
このように、本実施の形態の画像読取装置12では、読取形式に応じてスキャン動作が異なる。そのため、読取形式により、原稿の読取時間が異なる。例えば、第1プラテンガラス70上に利用者等により置かれた原稿を読み取る読取形式では、自動原稿送り装置50を用いて読み取りを行う読取形式に比べて、原稿(画像)の読み取り速度が遅く、従って、読取時間が長くなる。このように読取時間が長くなる場合に、読取時間に応じてCCDイメージセンサ88が電荷を蓄積する時間も長くなると、露光量が増加し、CCDイメージセンサ88に蓄積する電荷が飽和してCCDイメージセンサ88の飽和出力電圧を超えてしまう場合がある。またLED81のばらつき等により、露光量が増加し、CCDイメージセンサ88に蓄積する電荷が飽和してCCDイメージセンサ88の飽和出力電圧を超えてしまう場合がある。そのため、原稿の読み取り速度が予め定められた速度以下になると、CCDイメージセンサ88が受光する光が飽和露光量以上となり、CCDイメージセンサ88に蓄積する電荷が飽和する量(飽和電荷量)に達する。このような場合、原稿の読み取りを正常に行うことが困難になる場合がある。
【0058】
そのため、本実施の形態では、CCDイメージセンサ88における飽和電荷量に基づいて原稿の読取速度を定めておき、予め定められた読取速度以下となる読取形式が指示された場合は、光源である照明ユニット80のLED81を消灯する期間を設けるように点灯時間を制御することにより、CCDイメージセンサ88で蓄積する電荷が飽和電荷量に達しないように制御する。なお、本実施の形態の画像読取装置12は、白黒読み取りよりもカラー読み取りの方が読取速度が遅く、拡大/縮小を行う場合は、行わない場合よりも読取速度が遅く、また、解像度が高くなるほど読取速度が遅くなる。
【0059】
また、本実施の形態では、自動原稿送り装置50を用いて原稿の読み取りを行う読取形式の場合には、CCDイメージセンサ88で蓄積する電荷が飽和電荷量に達しないため、当該読取り形式における読取時間を基準とし、当該読取時間よりも長い場合に、消灯期間を設けるようにしている。
【0060】
また、このようにLED81を消灯する場合、上述のようにCCDイメージセンサ88に蓄積される電荷量が減ることになるため、本来、得られるはずの電荷量(例えば、消灯期間を設けない場合の電荷量)よりも少ない電荷量がCCDイメージセンサ88に蓄積されることになる。消灯期間を設けることにより、このように、得られる画像信号が小さくなる場合がある。そのため、本実施の形態の画像読取装置12の増幅率変更部124では、消灯期間に応じて、予め定められた大きさの画像信号となるように、画像信号を増幅する増幅回路104の増幅率を変更するようにしている。すなわち、消灯期間を設ける場合は、消灯期間に応じて小さくなった電気信号を増幅するように、増幅回路104の増幅率を、消灯期間を設けない場合に比べて大きくする。なお、ここで、予め定められた大きさの電気信号とは、消灯期間設けない場合に蓄積される電荷量に応じた電気信号でもよく、特に限定されないが、消灯期間にかかわらず、画像信号の大きさが一定になるように予め定められることが好ましい。
【0061】
本実施の形態の増幅回路104には、画像読取装置12の電源投入時等に白基準板72からの反射光を読み取った画像信号に基づいた増幅率(初期値)が予め設定されている。消灯期間を設けない場合は、増幅回路104の増幅率を当該増幅率(初期値)のままとし、消灯期間を設ける場合は、増幅率を上述のように変更する。
【0062】
ここで、光源である照明ユニット80のLED81及び、CCDイメージセンサ88の動作について詳細に説明する。図7に、CCD制御部126がCCDイメージセンサ88を動作させる制御信号、及び光源制御部128がLED81を動作させる制御信号のタイミングチャートを示す。図7において上段は、光源制御部128がLED81を動作させる制御信号のタイミングチャートであり、下段は、CCD制御部126がCCDイメージセンサ88を動作させる制御信号(CCD駆動クロック(CLK))のタイミングチャートである。
【0063】
本実施の形態では、主走査方向1ラインの画像情報の転送期間をCCDイメージセンサ88における電荷蓄積期間としており、転送期間は、垂直転送期間と、水平転送期間とを含んでいる。
【0064】
ここでCCDイメージセンサ88における垂直転送及び水平転送について説明する。図8は、CCDイメージセンサ88において光電変換した電荷を転送する動作について説明した説明図である。
【0065】
CCDイメージセンサ88では、原稿により反射された光を受光する受光面にフォトダイオードPがライン状に配置されている。本実施の形態では、R、G、Bの各色に対応するフォトダイオードPが、3列に配列し、原稿に記載された画像をR、G、Bの各色で読み取るように構成されている。なお、フォトダイオードPは、1列につき例えば、7500個配列する。図8では、上記3列のうち、1列について例示し図示している。
【0066】
図8においてフォトダイオードPは、主走査方向に一列にハイされ、1つのフォトダイオードPが画像読取装置12で原稿を読み取る際の1画素に対応している。フォトダイオードPに光が照射されると光電変換が生じ、フォトダイオードPに電荷が蓄積される。蓄積される電荷の量は、蓄積される時間(蓄積期間)及び照射される光の光量に比例する。フォトダイオードPでは、予め定められた蓄積期間で電荷が蓄積され、蓄積された電荷が電気信号として取り出される。この際、一般的なCCDイメージセンサ88では、垂直転送と、水平転送とを行うことにより電荷(電気信号)を取り出す。フォトダイオードPで蓄積された電荷は、まず垂直転送され、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)からなる半導体素子である電荷転送部Dに送られる。垂直転送された電荷をさらに、電荷転送部Dから電荷を順次水平転送することで、1ライン分の画像信号として取り出される。
【0067】
フォトダイオードPにおいて蓄積された電荷は、まず図7に示した垂直転送期間において、フォトダイオードPから電荷転送部Dへ転送される垂直転送が行われる。その後、図7に示した水平転送期間において、電荷転送部Dにおける水平転送が行われる。なお、当該水平転送は、1ライン分の電荷が全て水平転送されるまで順次、CCD駆動CLKのON、OFFに応じて水平に1画素づつ転送される。また、当該垂直転送及び当該水平転送を行っている間、次の1ラインの電荷が光電変換されてフォトダイオードPに蓄積される。
【0068】
本実施の形態では、上述のように、読取時間が長い読取形式の場合は、図7の上段のタイミングチャートに示すように、CCDイメージセンサ88の蓄積期間中にLED点灯信号をONからOFFにし、LED81を消灯する期間(図7、LED OFF参照)を設けている。これにより、CCDイメージセンサ88に蓄積される電荷が飽和電荷量に達しないように制御される。
【0069】
なお、LED81の消灯期間は、CCDイメージセンサ88の水平転送期間中に設けることが好ましい。本実施の形態では、光源としてLED81を用いているが、LEDの点灯及び消灯の前後は、LEDの発光光の色味が変化しやすい。そのため、CCDイメージセンサ88の垂直転送期間にかかってLED81の消灯期間を設ける場合は、LEDの色味の変化の影響を受け、原稿を正常に読み取れなくなるおそれがある。
【0070】
また同様に、CCDイメージセンサ88の垂直転送期間の開始タイミング(図7、タイミングt1参照)及び終了タイミング(図7、タイミングt2参照)の前後の予め定められた時間内には、LED81の点灯及び消灯を行わないことが好ましい。すなわち、LED81の色味が変化しやすい期間(時間)を避けてLED81の消灯期間を設けることが好ましい。なお、このようにLED81の消灯期間を設けることを避ける、垂直転送期間の開始タイミング及び終了タイミングの前後の予め定められた時間は、LED81の特性等により、予め定めておけばよい。
【0071】
次に、本実施の形態の画像読取装置12における増幅率変更処理について説明する。図9に、本実施の形態の増幅率変更処理の一例のフローチャートを示す。当該増幅率変更処理は、U/I部48によりユーザから原稿の読み取りの指示を受け付けた場合等に実行される。なお、上述したように、増幅回路104には、予め初期値の増幅率が設定された状態となっている。
【0072】
ステップS100では、全体制御部122が読取形式を取得し、次のステップS102では、所得した読取形式が自動原稿送り装置50を用いた原稿の読み取り、及び第1プラテンガラス70上に置かれた原稿の読み取りのいずれであるかを判断する。自動原稿送り装置50を用いた原稿の読み取りである場合、本実施の形態の画像読取装置12では、CCDイメージセンサ88に蓄積される電荷が飽和電荷量に達しないため増幅率の変更は行わない。そのため読取形式が自動原稿送り装置50を用いた原稿の読み取りの場合は、肯定されて、本処理を終了する。この場合、増幅回路104では、予め設定された増幅率(初期値)により黒レベル調整回路102から入力された画像信号を増幅して、A/D変換回路106に出力する。
【0073】
一方、読取形式が第1プラテンガラス70上に置かれた原稿の読み取りである場合は、否定されてステップS104へ進む。ステップS104では、全体制御部122は、読取形式に応じた読取速度(読取時間)を取得する。例えば、読取形式と読取速度(読取時間)との対応関係を図示を省略したHDD等の記憶部に予め記憶させておき、当該対応関係に基づいて取得する。
【0074】
次のステップS106では、取得した読取速度(読取時間)に基づいて、CCDイメージセンサ88で蓄積する電荷が飽和電荷量に達するか否か判断する。例えば、上述のように予め定められた読取速度(読取時間)よりも遅い場合は、飽和電荷量に達すると判断する。飽和電荷量に達しないと判断した場合は、否定されて本処理を終了する。この場合、増幅回路104では、予め設定された増幅率(初期値)により黒レベル調整回路102から入力された画像信号を増幅して、A/D変換回路106に出力する。
【0075】
一方、飽和電荷量に達すると判断した場合は、肯定されてステップS108へ進む。ステップS108では、読取速度(読取時間)に基づいてLED81の消灯期間を決定する。例えば、読取速度(読取時間)と消灯期間との対応関係を図示を省略したHDD等の記憶部に予め記憶させておき、当該対応関係に基づいて決定する。このようにして消灯期間が決定されると、光源制御部128は、当該消灯期間の間、LED81がOFF状態になるように、LED81の点灯を制御する。
【0076】
次のステップS110では、決定された消灯時間に基づいて、増幅率変更部124で増幅率を決定し、増幅回路104の増幅率を初期値から決定した増幅率となるように変更した後、本処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10の画像読取装置12は、原稿を読み取った反射光によりCCDイメージセンサ88で蓄積された電荷に応じた電気信号を増幅する増幅回路104を有する信号処理部100と、全体制御部122、増幅率変更部124、及び光源制御部128を有する装置制御部120と、を備えている。全体制御部122は原稿の読取形式に応じて、読取速度が遅く、読取時間が長くなり、CCDイメージセンサ88が蓄積する電荷が飽和電荷量に達する読取形式である場合は、光源であるLED81の消灯期間をCCDイメージセンサ88の水平転送期間に設けるように、光源制御部128に指示する。当該指示に基づいて光源制御部128は、LED81の点灯を制御する。さらに、消灯期間を設ける場合は、増幅率変更部124は、消灯期間に応じて、増幅回路104で増幅された画像信号が予め定められた大きさの画像信号となるように、増幅回路104の増幅率を決定し、決定した増幅率になるように、増幅回路104の増幅率を変更する。
【0078】
特に、本実施の形態では、第1プラテンガラス70上に置かれた原稿を読み取る読取形式の場合は、自動原稿送り装置50を用いた原稿の読取形式の場合に比べて、読取速度が遅く、読取時間が長くなるため、LED81の消灯期間を設けると共に、当該消灯期間を設けることにより損なわれた画像信号の出力を補うように、増幅回路104の増幅率を変更する。
【0079】
このように本実施の形態では、CCDイメージセンサ88の電荷が飽和電荷量に達する読取形式の場合は、LED81の消灯期間を設けるとともに、当該消灯期間を設けることにより損なわれた画像信号の出力を補うように、増幅回路104の増幅率を変更する。
【0080】
従って、読取速度が遅く、読取時間が長い場合でも蓄積する電荷の量が飽和電荷量に達することなく、一定の画像信号が得られる。その結果、画像形成装置10により形成される画像の質が向上する。
【0081】
なお、本実施の形態で説明した、画像形成装置10や画像読取装置12、画像形成装置部14等の構成、動作、増幅率変更処理等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
10 画像形成装置
12 画像読取装置
14 画像形成装置部
80 照明ユニット
81 LED
88 CCDイメージセンサ
90 制御部
122 全体制御部
128 光源制御部
124 増幅率変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から原稿に照射された光の反射光を受光し、受光した光を画像信号に変換し、当該画像信号に応じた電荷を、前記原稿を読み取る読取時間に応じて蓄積する読取手段と、
前記読取手段が蓄積する電荷の量が飽和量に達しないように、前記原稿の読取形式に応じて前記光源を消灯させるよう制御する制御手段と、
前記制御手段が前記光源を消灯させる場合に、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段の増幅率を、前記画像信号を予め定められた大きさに増幅するように前記光源を消灯させた時間に応じて変更する変更手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記読取形式は、前記読取手段が利用者によって読取台に置かれた原稿の読み取りと、原稿送装置によって搬送された原稿の読み取りとを含み、前記制御手段は、利用者によって前記読取台に置かれた原稿の読み取りの場合に、前記光源を消灯させるよう制御する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取形式は、原稿送装置によって搬送された原稿の読み取りを含み、前記制御手段は、前記原稿送装置により搬送された原稿を読み取る読取時間よりも読取時間が長くなる前記読取形式の場合に、前記光源を消灯させるよう制御する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取手段は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送及び水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、
前記制御手段は、前記電荷を垂直転送する期間の開始及び終了の前後の予め定められた時間中には、前記光源を消灯させないよう制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取手段は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送及び水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、
前記制御手段は、前記電荷を水平転送する期間中に前記光源を消灯させるよう制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
光源から原稿に照射された光の反射光を読み取って、読み取った反射光に応じた画像信号を出力する、前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置から出力された画像信号に基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
光源から原稿に照射された光の反射光を受光し、受光した光を画像信号に変換し、当該画像信号に応じた電荷を、前記原稿を読み取る読取時間に応じて蓄積する読取手段が蓄積する電荷の量が飽和量に達しないように、前記原稿の読取形式に応じて前記光源を消灯させるよう制御する制御手段と、
前記制御手段が前記光源を消灯させる場合に、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段の増幅率を、前記画像信号を予め定められた大きさに増幅するように前記光源を消灯させた時間に応じて変更する変更手段と、
してコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−66132(P2013−66132A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204866(P2011−204866)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】