説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】原稿サイズ検知における誤検知の発生を減少させることが可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】この画像読取装置100では、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも持ち上げられていることを開閉検知部140が検知しているとき、ラインセンサー18は、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光をライン単位で光電変換しつつ画素毎に電荷を蓄積して外乱光検知用画像データを生成し、読取制御部110は、外乱光検知用画像データに基づき、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み取って画像データを出力する画像読取装置が知られており、たとえば、複合機などの画像形成装置に装着される(たとえば、特許文献1参照)。このような画像読取装置は、原稿を載置するための載置台、原稿に光を照射する光源、および、原稿で反射された反射光を光電変換して電荷を蓄積するラインセンサーなどを備えているのが一般的である。
【0003】
そして、原稿を読み取るときには、載置台に載置された原稿に光源からの光を照射するとともに、原稿で反射された反射光をラインセンサーで画素毎に光電変換し、ラインセンサーのアナログ出力をデジタル化して各画素の画素値を示す画像データを生成する。画像読取装置で生成された画像データは、たとえば、画像形成装置の制御部に転送され、画像形成装置において画像データに基づいた印刷が行われる。
【0004】
また、画像読取装置は、たとえば、原稿の読み取りに先立って、載置台に載置された原稿のサイズを検知するためのスキャンを行う場合がある。一例を挙げると、主走査方向における原稿のサイズを検知するときには、原稿カバーが降ろされている途中で、載置台の所定箇所において主走査方向に読み取りを行う。これにより、1または複数の主走査方向のラインでの画像データを取得する。そして、この画像データに基づき、画像読取装置の制御部は、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定する。ここで、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界は、原稿のサイズによって異なる。このため、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定することにより、原稿のサイズを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−71779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、原稿サイズ検知は、原稿カバーが降ろされている途中で読み取りを行う。したがって、原稿サイズ検知時にラインセンサーに外乱光が入射する恐れがある。仮に、ラインセンサーに外乱光が入射すると、正確な原稿サイズ検知が行えなくなる。
【0007】
具体的に言うと、ラインセンサーの複数の光電変換領域のうちの原稿が存在しない画素(以下、所定画素と称する)に対応する光電変換領域では、反射光(原稿で反射される光源からの光)の入射が少ない。すなわち、所定画素は、所定画素以外の画素よりも暗くなる。したがって、画像読取装置の制御部は、所定画素は原稿が存在しない画素であると判断する。しかし、ラインセンサーの複数の光電変換領域のうちの所定画素に対応する光電変換領域に外乱光が入射すると、所定画素と所定画素以外の画素との明暗の差が小さくなる。このため、画像読取装置の制御部は、所定画素は原稿が存在する画素であると誤判断することがある。その結果、原稿サイズ検知において誤検知が発生する。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、原稿サイズ検知における誤検知の発生を減少させることが可能な画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿が載置される載置台と、原稿に光を照射する光源と、原稿で反射された反射光をライン単位で光電変換して画素毎に電荷を蓄積するラインセンサーと、載置台に対して開閉され、閉じられることで載置台に載置された原稿を押える原稿押さえ部と、原稿押さえ部が予め定められた位置よりも倒されたことを検知するための開閉検知部と、ラインセンサーの読み取りによって得られた画像データの処理を行う制御部と、を備えている。そして、原稿押さえ部が予め定められた位置よりも持ち上げられていることを開閉検知部が検知しているとき、ラインセンサーは、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光をライン単位で光電変換しつつ画素毎に電荷を蓄積して外乱光検知用画像データを生成し、制御部は、外乱光検知用画像データに基づき、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別する。
【0010】
ここで、外乱光の光源としては、蛍光灯のように一定の周期で点滅を繰り返しているものがある。そして、通常の画像読取時においてラインセンサーの光電変換時間(電荷を蓄える時間)は、一般的に外乱光の光源の点滅周期よりも短い。
【0011】
このため、外乱光の光源が明るい(発光レベルが上がっている)ときにラインセンサーが読み取りを行って得られた画像データでは、原稿が存在しない画素の画素値は、外乱光の影響を受けることに起因して、原稿が存在する画素の画素値よりも明るくなる。しかし、外乱光の光源が暗くなっている(消えている)ときにラインセンサーが読み取りを行って得られた画像データでは、読み取ったライン全体の画素の画素値が暗くなる。したがって、外乱光の光源が暗くなっているときにラインセンサーが読み取りを行って得られた外乱光検知用画像データでは、外乱光が入射する部分の画素と、原稿が存在するため外乱光の入射が少ない部分の画素との間の画素値の差が画像データ内に現れ難い。すなわち、信頼性の高い外乱光検知用画像データを得られない。
【0012】
そこで、本発明の画像読取装置では、ラインセンサーは、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光をライン単位で光電変換しつつ画素毎に電荷を蓄積して外乱光検知用画像データを生成する。これにより、外乱光検知用画像データの生成に際して、ラインセンサーの光電変換時間が通常の画像読取時の光電変換時間と同じである場合よりも、外乱光の光源が暗い期間とラインセンサーが光電変換を行う期間とが完全に重なるのを抑制することができる。このため、原稿が存在する画素の画素値は、暗いままとなり、原稿が存在しない画素の画素値は、原稿が存在する画素の画素値よりも確実に明るい値となる。これにより、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を正確に識別することができるので、外乱光に起因して原稿サイズ検知が不正確になる、という不都合の発生を抑制することができる。
【0013】
なお、ラインセンサーに通常の画像読取時の光電変換時間で読み取りを行わせて外乱光検知用画像データを生成する場合であっても、たとえば、複数ライン分の外乱光検知用画像データをメモリーに記憶させ、それら複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較すれば、原稿が存在しない部分の画素と原稿が存在する部分の画素との境界を特定することができる。ただし、このようにすると、複数ライン分の外乱光検知用画像データを同時に蓄積するためのメモリー容量を確保しなければならず、コストアップに繋がる。しかし、本発明の画像読取装置では、外乱光検知用画像データが1ライン分だけであったとしても、その1ライン分の外乱光検知用画像データは信頼性が高いので、正確に、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別することができる。すなわち、複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較するためにメモリー容量を増大する必要がなく、コストアップを抑制することができる。
【0014】
上記の構成において、好ましくは、原稿押さえ部が予め定められた位置よりも倒されたことを開閉検知部が検知したとき、制御部は、光源を点灯させるとともに、ラインセンサーに通常の画像読取時の光電変換時間で読み取りを行わせて原稿サイズ検知用画像データを生成させ、外乱光検知用画像データに基づき外乱光の影響を受けて明るくなったと識別した画素を暗い画素であると認定して原稿サイズを検知する。このように構成すれば、原稿サイズ検知用画像データに基づく原稿サイズ検知に際して、外乱光の影響を正確に除去することができる。
【0015】
上記の構成において、好ましくは、ラインセンサーは、外乱光検知用画像データを生成するときの光電変換時間を外乱光の点滅周期よりも長くする。このように構成すれば、外乱光の光源が蛍光灯などである場合において、より確実な原稿サイズ検知を行うことができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、上記の画像読取装置を備えている。このような画像形成装置では、コストアップを抑制しつつ、原稿サイズ検知における誤検知の発生を減少させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、原稿サイズ検知における誤検知の発生を減少させることが可能な画像読取装置および画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による画像読取装置を備えた画像形成装置の概略図
【図2】図1に示した画像読取装置の詳細図
【図3】図1に示した画像読取装置の原稿搬送部(原稿押さえ部)が開かれたときの図
【図4】図1に示した画像読取装置の原稿搬送部(原稿押さえ部)が閉じられている最中の図
【図5】図1に示した画像読取装置の画像読取部の平面図
【図6】図1に示した画像読取装置を備えた画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図7】図1に示した画像読取装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図8】図1に示した画像読取装置の画像読取部に設けられたラインセンサーの光電変換時間を説明するための図
【図9】図1に示した画像読取装置が行う原稿サイズ検知の一連の流れを説明するためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像読取装置100を備える画像形成装置200の全体構成について説明する。
【0020】
本実施形態の画像読取装置100を備える画像形成装置200は、たとえば、コピー、プリンター、スキャナーおよびファックスなどの複数種のジョブの実行が可能なカラー複合機である。そして、画像読取装置100は、画像形成装置200の上方に配置されており、画像読取部1と原稿搬送部2(原稿押さえ部)とを含む。画像読取部1は、原稿を読み取って画像データを生成する。原稿搬送部2は、画像読取部1に原稿を搬送する、あるいは、画像読取部1で読み取る原稿を押える。なお、画像読取装置100の各部の構成については、後に詳細に説明する。
【0021】
また、画像形成装置200は、操作パネル3、給紙部4A、搬送路4B、画像形成部5A、中間転写部5Bおよび定着部5Cなどを含む。
【0022】
操作パネル3は、画像読取部1の正面側(図1中の破線で示す箇所)に配置される。また、操作パネル3は、表示面がタッチパネルで覆われた液晶表示部31を有する。この液晶表示部31には、各種設定などを行うためのメニューおよび設定キー(ソフトキー)が表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。また、操作パネル3は、数値入力が必要な設定指示をユーザーから受け付けるためのテンキー32や、各種ジョブの実行開始の指示をユーザーから受け付けるためのスタートキー33なども有する。
【0023】
給紙部4Aは、用紙を収容し、収容した用紙を搬送路4Bに供給する。そのため、給紙部4Aには、収容された用紙を1枚ずつ引き出して搬送路4Bに供給するピックアップローラー41が設けられている。搬送路4Bは、給紙部4Aから供給された用紙を中間転写部5Bおよび定着部5Cの順番で搬送する。搬送路4Bでの用紙の搬送は、搬送ローラー対42が行う。また、搬送路4Bにはレジストローラー対43が設けられ、そのレジストローラー対43は、用紙を中間転写部5Bの手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部5Bに送り出す。この搬送路4Bによって搬送される用紙は、最終的に、排出トレイ44にまで導かれる。
【0024】
画像形成部5Aは、複数の画像形成ユニット51(ブラック用の画像形成ユニット51Bk、イエロー用の画像形成ユニット51Y、シアン用の画像形成ユニット51Cおよびマゼンタ用の画像形成ユニット51M)と露光装置52とを含む。複数の画像形成ユニット51は、回転可能に支持された感光体ドラムや、感光体ドラムの周囲に配設された帯電装置、現像装置および清掃装置などを色毎に1セットずつ有する。露光装置52は、画像データに基づき、各感光体ドラムの周面に対してレーザ光を走査露光し、各感光体ドラムの周面に静電潜像を形成する。そして、複数の画像形成ユニット51は、それぞれ、各感光体ドラムの周面に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、各感光体ドラムの周面にトナー像が形成される。
【0025】
中間転写部5Bは、各色に1つずつ割り当てられた複数の1次転写ローラー53(ブラック用の1次転写ローラー53Bk、イエロー用の1次転写ローラー53Y、シアン用の1次転写ローラー53Cおよびマゼンダ用の1次転写ローラー53M)や、中間転写ベルト54、駆動ローラー55、従動ローラー56、2次転写ローラー57およびベルト清掃装置58などを有する。複数の1次転写ローラー53は、対応する感光体ドラムとの間で中間転写ベルト54を挟み込む。このため、複数の1次転写ローラー53に転写用電圧が印加されると、各感光体ドラムの周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54に転写される。
【0026】
中間転写ベルト54は、駆動ローラー55や従動ローラー56などに張架され、駆動ローラー55の回転駆動により周回する。また、2次転写ローラー57は、駆動ローラー55との間で中間転写ベルト54を挟み込む。そして、中間転写部5Bに搬送される用紙は、2次転写ローラー57と中間転写ベルト54との間に侵入する。このとき、2次転写ローラー57に転写用電圧が印加されることによって、中間転写ベルト54に転写されたトナー像が用紙に転写される。
【0027】
定着部5Cは、用紙に転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。この定着部5Cは、発熱源を内蔵する定着ローラー58と、定着ローラー58に圧接される加圧ローラー59とを有する。そして、トナー像が転写された用紙は、定着ローラー58と加圧ローラー59との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙にトナー像が定着され、印刷が完了する。そして、印刷済みの用紙は、搬送路4Bに導かれ、排出トレイ44に送られる。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施形態の画像読取装置100(画像読取部1および原稿搬送部2)の構成について説明する。
【0029】
原稿搬送部2は、原稿セットトレイ21にセットされた用紙を引き出し、読み取り位置(後述する搬送読取用コンタクトガラ11の上方)を経由して原稿排出トレイ22に排出する。なお、原稿搬送部2は、複数枚の用紙が原稿セットトレイ21にセットされている場合、複数枚の原稿のうちから、原稿を1枚ずつ自動的に連続して引き出す。
【0030】
原稿セットトレイ21から原稿排出トレイ22に至る原稿搬送路23には、原稿搬送方向の上流側から順に、原稿供給ローラー24、原稿搬送ローラー対25および原稿排出ローラー対26が設けられている。そして、原稿セットトレイ21にセットされた原稿は、原稿供給ローラー24によって引き出され、原稿搬送ローラー対25によって搬送される。この後、原稿排出ローラー対26によって、原稿排出トレイ22に排出される。なお、原稿供給ローラー24、原稿搬送ローラー対25および原稿排出ローラー対26は、原稿搬送モーター27(図7参照)によって回転駆動される。
【0031】
また、画像読取部1は、箱形の筐体を持つ。そして、その筐体の上面の一方端部には、透明な搬送読取用コンタクトガラス11が配される。さらに、筐体の上面の中央部には、透明な載置読取用コンタクトガラス12(載置台)が配される。
【0032】
この筐体内には、ランプ13(光源)、第1ミラー14、第2ミラー15、第3ミラー16、レンズ17およびラインセンサー18なども設けられている。ランプ13は、原稿に光を照射する。そして、原稿で反射された反射光(ランプ13からの光)は、第1ミラー14、第2ミラー15および第3ミラー16の順で反射され、レンズ17に導かれる。レンズ17は、反射光を集光し、集光した反射光をラインセンサー18に入射させる。ラインセンサー18は、主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向(図2の紙面に対して垂直な方向))に向けてライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなり、反射光(原稿で反射されるランプ13からの光)を入射すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積するとともに、蓄積電荷に応じてアナログ信号を出力する。
【0033】
さらに、筐体内には、第1移動枠131、第2移動枠132、ワイヤー133および巻取ドラム134が設けられている。第1移動枠131は、ランプ13および第1ミラー14を支持している。第2移動枠132は、第2ミラー15および第3ミラー16を支持している。そして、第1移動枠131および第2移動枠132には、ワイヤー133の一端が連結されている。このワイヤー133の他端は巻取ドラム134に連結されている(巻き付けられている)。したがって、巻取ドラム134が回転することによって、第1移動枠131および第2移動枠132が副走査方向(主走査方向と垂直な方向)に移動する。すなわち、ランプ13、第1ミラー14、第2ミラー15および第3ミラー16が副走査方向に移動する。なお、巻取ドラム134の回転駆動は、巻取モーター135(図7参照)の駆動力が巻取ドラム134に伝達されることによってなされる。
【0034】
そして、原稿搬送部2より搬送される原稿を読み取る場合には、巻取ドラム134が回転し、第1移動枠131および第2移動枠132が読み取り位置(搬送読取用コンタクトガラス11の下方)に移動して静止する。この後、原稿搬送部2が原稿を搬送する。原稿搬送路23の途中には読み取り位置(搬送読取用コンタクトガラス11の上方)が有り、原稿搬送路23を進む原稿は読み取り位置を通過する。このとき、読み取り位置を通過する原稿に対してランプ13が光を照射し、原稿で反射された反射光をラインセンサー18が光電変換することによって、原稿の読み取りが行われる。
【0035】
その一方、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿を読み取る場合には、巻取ドラム134が回転し、第1移動枠131および第2移動枠132が副走査方向に移動する。そして、第1移動枠131および第2移動枠132が副走査方向に移動している最中に、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿に対してランプ13が光を照射し、原稿で反射された反射光の光電変換をラインセンサー18が連続して繰り返し行う。これによって、原稿の読み取りが行われる。
【0036】
また、原稿搬送部2は、画像読取部1に対して上下方向に開閉可能に取り付けられている。そして、原稿搬送部2が閉じられると、原稿搬送部2と載置読取用コンタクトガラス12とが重なり、載置読取用コンタクトガラス12が原稿搬送部2によって完全に覆われる。このため、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿を読み取るときには、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿を原稿搬送部2によって押えることができる。
【0037】
画像読取部1に対する原稿搬送部2の取り付け構造としては、図3および図4に示すようになっている。具体的には、画像読取部1の本体背面側に回転軸1aが設けられ、その回転軸1aに回動可能に原稿搬送部2が取り付けられている。これにより、原稿搬送部2は、本体正面側を自由端として、本体正面側を上下方向に振るようにして回動し、画像読取部1(載置読取用コンタクトガラス12の上面)に対して開閉の姿勢をとる。
【0038】
また、画像読取部1の本体背面側には、原稿搬送部2の傾倒が所定角になったことを検知するための開閉検知部140が設けられている。この開閉検知部140は、接触片141、センサー142およびバネ143などを含む。
【0039】
接触片141は、上下方向に延びる棒状の部材からなっており、上下方向にスライドする。そして、この接触片141の上端141aは、原稿搬送部2が開かれた状態において、載置読取用コンタクトガラス12の上面よりも上方に突出している。したがって、原稿搬送部2が開かれた状態から倒されると、接触片141の上端141aが原稿搬送部2に押圧され、接触片141は下方に押し込まれる。接触片141の下端141bは、幅広となっており、センサー142による検知に利用される。
【0040】
センサー142は、載置読取用コンタクトガラス12よりも下方に配置されている。センサー142は、たとえば、透過型光センサーであり、発光部および受光部を有する。そして、原稿搬送部2が開かれた状態では、接触片141の下端141bがセンサー142よりも上方に位置する。また、原稿搬送部2が開かれた状態から倒され、接触片141の下端141bが下方に押し込まれると、接触片141の下端141bがセンサー142の光路(発光部と受光部との間)を遮り始める。そして、原稿搬送部2が倒されれば、接触片141の下端141bはセンサー142の光路を遮り続ける。これにより、原稿搬送部2が倒されたことを検知することができる。
【0041】
バネ143は、たとえば、圧縮コイルバネである。このバネ143は、接触片141の下方に配置されており、接触片141を上方に付勢している。これにより、原稿搬送部2が開かれた状態では、接触片141の上端141aが載置読取用コンタクトガラス12の上面よりも上方に突出するように保持される。
【0042】
ところで、原稿搬送部2が倒されたことを検出するときの位置は、載置読取用コンタクトガラス12に対する原稿搬送部2の角度θと関連付けて予め定められている。この予め定められた角度θは、たとえば、20度〜45度である。したがって、接触片141の下端141bの位置は、原稿搬送部2の傾倒が予め定められた角度θになったときに、センサー142の光路を遮るように調整される。そして、画像読取部1は、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されたこと(原稿搬送部2の傾倒が角度θになったこと)をセンサー142が検知したときに、原稿サイズ検知を開始する。
【0043】
たとえば、図5を参照して、スキャンジョブを実行するユーザーは、原稿の読み取り面を下向きにし、載置読取用コンタクトガラス12の左上隅の基準点Pに原稿の角が合うように、原稿を載置読取用コンタクトガラス12に載置する。なお、図5において、原稿は2点鎖線で示されている。
【0044】
そして、主走査方向の原稿サイズ検知は、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されたことセンサー142が検知したときに、原稿の左端部分を読み取ることによって行われる。なお、主走査方向の原稿サイズ検知については、後に詳細に説明する。一方で、副走査方向の原稿サイズ検知は、副走査方向に並ぶ複数の原稿検知部(たとえば、反射型光センサーなど)150の出力値に基づき行われる。
【0045】
次に、図6を参照して、画像読取装置100を備える画像形成装置200のハードウェア構成の一例について説明する。
【0046】
画像形成装置200は、本体制御部210を有する。そして、本体制御部210は、中央演算処理装置であるCPU211、記憶部212、および、画像処理部213などを含む。記憶部212は、ROM、RAMおよびHDDなどからなり、たとえば、各種のプログラムおよびデータがROMに記憶され、RAMに展開される。また、画像処理部213は、画像処理専用のASICやメモリーなどからなっており、画像データに対して、拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換などの各種の画像処理を施す。
【0047】
また、本体制御部210は、操作パネル3、給紙部4A、搬送路4B、画像形成部5A、中間転写部5Bおよび定着部5Cと接続されている。そして、本体制御部210は、記憶部212に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、各部の制御や演算などを行う。
【0048】
次に、図7を参照して、画像読取装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0049】
画像読取装置100には、画像読取部1の動作を制御する読取制御部110(制御部)、および、原稿搬送部2の動作を制御する原稿搬送制御部120が設けられている。
【0050】
原稿搬送制御部120は、本体制御部210と接続される。この原稿搬送制御部120は、CPU121および記憶部122(ROMやRAM)などを含む。たとえば、原稿搬送に関するプログラムやデータがROMに記憶され、そのプログラムやデータがRAMに展開される。また、原稿搬送制御部120は、原稿搬送モーター27と接続される。そして、原稿搬送制御部120は、本体制御部210から指示を受け、原稿搬送モーター27の駆動を制御し、原稿供給ローラー24、原稿搬送ローラー対25および原稿排出ローラー対26を適切に動作させる。
【0051】
また、読取制御部110は、本体制御部210と接続される。この読取制御部110は、CPU111および記憶部112(ROMやRAM)などを含む。たとえば、原稿の読み取りに関するプログラムやデータがROMに記憶され、そのプログラムやデータがRAMに展開される。また、読取制御部110は、ランプ13を発光させるためのインバーター19、ラインセンサー18、巻取モーター135および開閉検知部140などと接続され、これらの動作を本体制御部210からの指示を受けて制御する。
【0052】
さらに、読取制御部110は、A/D変換部113および画像メモリー114と接続され、これらの動作も本体制御部210からの指示を受けて制御する。A/D変換部113は、ラインセンサー18から出力されるアナログ信号をデジタルの画像データに変換する。また、画像メモリー114は、A/D変換部113から出力される画像データを一時的に蓄積し、本体制御部210に転送する。
【0053】
また、読取制御部110は、原稿を読み取る前に、主走査方向の原稿サイズ検知のためのスキャンを行う。具体的には、原稿が載置読取用コンタクトガラス12に載置された状態で、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されたことを開閉検知部140が検知すると、読取制御部110は、画像読取部1の各部に原稿サイズ検知のためのスキャンを行わせる。
【0054】
このとき、巻取モーター135は、原稿のうちの載置読取用コンタクトガラス12の左端に位置する部分の読み取りが可能となるように、第1移動枠131および第2移動枠132を移動させて固定する。
【0055】
この状態で、ランプ13は、原稿に光を照射する。ラインセンサー18は、原稿で反射された反射光を光電変換し、1ライン分の各画素の電荷を蓄積する。なお、このときのラインセンサー18の光電変換時間(電荷蓄積時間)は、たとえば、通常の画像読取時の光電変換時間と同じである。また、A/D変換部113は、反射光(原稿で反射されたランプ13からの光)を受けたラインセンサー18からのアナログ信号をデジタル化し、1ライン分の各画素の画素値(濃度値)を示す原稿サイズ検知用画像データを生成する。画像メモリー114は、A/D変換部113からの原稿サイズ検知用画像データの転送を受け、原稿サイズ検知用画像データを蓄積する。
【0056】
この後、読取制御部110は、画像メモリー114に記憶させた原稿サイズ検知用画像データを参照し、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定することにより、主走査方向の原稿サイズ検知を行う。ここで、ラインセンサー18の複数の光電変換素子のうち、原稿が存在する画素に対応する光電変換素子では多くの反射光を受光するが、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子では反射光を受光しない(受光したとしても受光量は少ない)。したがって、原稿が存在する画素の画素値と原稿が存在しない画素の画素値との間に差が生じる。そこで、読取制御部110は、たとえば、予め設定された閾値を基準として、各画素の画素値が閾値を超えるか否かを判定することで、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)とを識別する。そして、この識別結果に基づき、読取制御部110は、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定する。
【0057】
なお、原稿が存在するか否かの判断時に読取制御部110が基準とする閾値は、記憶部112に記憶されている。この閾値は、たとえば、載置読取用コンタクトガラス12に原稿が載置されたときのラインセンサー18の出力値と原稿が載置されていないときのラインセンサー18の出力値とを実際に測定しておけば、その測定結果から算出することができる。
【0058】
そして、読取制御部110は、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定した後、主走査方向の原稿サイズ検知を行う。一例を挙げると、読取制御部110は、特定した境界が基準点P(図5参照)から数えて何画素目に当たるかを識別することによって原稿の主走査方向の長さを求め、原稿の主走査方向の長さに対する原稿サイズを定めたテーブルに基づき、主走査方向の原稿サイズ検知を行う。なお、原稿の主走査方向の長さに対する原稿サイズを定めたテーブルは、たとえば、記憶部112に記憶されている。
【0059】
ところで、原稿搬送部2が完全に閉じられる前に画像読取部1による原稿サイズ検知が行われると、外乱光がラインセンサー18に入射し、正確な検知結果が得られなくなる場合がある。このため、正確な原稿サイズ検知を行うためには、原稿サイズ検知に用いる原稿サイズ検知用画像データから外乱光の影響を除去する必要がある。したがって、読取制御部110は、外乱光の影響を除去するための外乱光検知用画像データを生成する。
【0060】
具体的には、原稿が載置読取用コンタクトガラス12に載置された状態において、読取制御部110は、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも持ち上げられている期間(原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されたことを開閉検知部140が検知していない期間)、すなわち、外乱光がラインセンサー18に入射し易い期間に、ランプ13を点灯させずに、ラインセンサー18に外乱光の光電変換を行わせる。続いて、読取制御部110は、外乱光を受けたラインセンサー18のアナログ出力のデジタル化をA/D変換部113に行わせることによって1ライン分の各画素の画素値(濃度値)を示す画像データを生成し、その画像データを画像メモリー114に記憶させる。なお、このときに画像メモリー114に記憶された画像データが外乱光検知用画像データである。
【0061】
そして、読取制御部110は、画像メモリー114に記憶させた外乱光検知用画像データに基づいて、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)とを特定する。ここで、ラインセンサー18の複数の光電変換素子のうち、原稿が存在する画素に対応する光電変換素子では外乱光を受光しない(受光したとしても受光量は少ない)が、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子では外乱光を受光する可能性が高い。すなわち、原稿が存在する画素の画素値と原稿が存在しない画素の画素値との間に差が生じる。そこで、読取制御部110は、たとえば、予め設定された閾値を基準として、各画素の画素値が閾値を超えるか否かを判定することで、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)とを識別する。なお、この識別結果は記憶部112に格納される。
【0062】
この後、読取制御部110は、原稿サイズ検知用画像データに基づく原稿サイズ検知に際して、外乱光検知用画像データを参照し、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別する。具体的には、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも持ち上げられている期間(ランプ13の光が原稿に照射されていない期間)では、ラインセンサー18の複数の光電変換素子のうち、原稿が存在する画素に対応する光電変換素子については外乱光を受光する可能性は低いが、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子については外乱光を受光する可能性がある。
【0063】
その一方、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されている期間(ランプ13の光が原稿に照射されている期間)では、理想的には、ラインセンサー18の複数の光電変換素子のうち、原稿が存在する画素に対応する光電変換素子については反射光を受光するが、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子については反射光を受光しない。しかし、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されている期間にラインセンサー18に外乱光が入射すると、ラインセンサー18の複数の光電変換素子のうち、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子が外乱光を受光し、原稿が無いにもかかわらず原稿が有りと判別される画素が発生する可能性がある。
【0064】
そこで、読取制御部110は、原稿サイズ検知用画像データに基づく原稿サイズ検知に際して、外乱光検知用画像データを参照し、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別する。そして、読取制御部110は、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を暗い画素(原稿が存在しない画素)であると認定する。
【0065】
ところで、外乱光の光源が蛍光灯であると、外乱光は一定の周期で点滅する(たとえば、50Hz地域では100回/秒であり、60Hz地域では120回/秒である)。このため、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別するための外乱光検知用画像データの生成時において、図8に示すように、外乱光の光源が暗い期間とラインセンサー18が光電変換を行う期間とが完全に重なることがある(図8中の期間T1参照)。この場合、本来であれば外乱光の光電変換が行われる光電変換素子(原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子)において外乱光の光電変換が行われなくなるので、正確な外乱光検知用画像データが得られなくなってしまう。
【0066】
このような不都合を解消するためには、複数ライン分の外乱光検知用画像データを生成して画像メモリー114に記憶させ、それら複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較すればよい。しかし、複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較するためには、画像メモリー114に複数ライン分の外乱光検知用画像データを蓄積する必要があるので、メモリー容量を増大しなければならず、コストアップに繋がる。
【0067】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別するための外乱光検知用画像データを生成するときには、ラインセンサー18の光電変換時間を通常の画像読取時の光電変換時間(原稿サイズ検知時の光電変換時間)よりも長くする。より具体的には、ラインセンサー18の光電変換時間を蛍光灯の点滅周期よりも長くする(図8中の期間T2参照)。これにより、外乱光の光源が蛍光灯であるとすると、外乱光検知用画像データの生成時において、原稿が存在しない画素に対応する光電変換素子には、必ず外乱光が入射する(必ず光電変換が行われる)。したがって、本実施形態では、1ライン分の外乱光検知用画像データだけで、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を正確に識別することができる。
【0068】
次に、図9のフローを参照して、画像読取装置100が行う原稿サイズ検知の一連の流れについて説明する。
【0069】
まず、図9のフローのスタート時点では、スキャナージョブを実行しようとするユーザーが原稿搬送部2を開けているとする。そして、ユーザーが載置読取用コンタクトガラス12に原稿を載置したとき、図9のフローがスタートする。なお、載置読取用コンタクトガラス12に原稿が載置されているときと載置されていないときとでは、A/D変換部113からの出力値(ラインセンサー18からの出力値)に差が生じる。したがって、載置読取用コンタクトガラス12に原稿が載置されているか否かの判断は、たとえば、A/D変換部113からの出力値に基づき行うことができる。
【0070】
ステップS1において、読取制御部110は、ラインセンサー18の光電変換時間の設定を通常の画像読取時の光電変換時間よりも長くする。たとえば、読取制御部110は、ラインセンサー18の光電変換時間の設定を外乱光の光源(蛍光灯)の点滅周期よりも長くする。
【0071】
ステップS2において、読取制御部110は、原稿搬送部2が開けられた状態(外乱光がラインメモリー18に入射する可能性がある状態)で、ランプ13を点灯させずに、1ライン分の読み取りを画像読取部1の各部に行わせることによって、外乱光検知用画像データを取得する。具体的には、このとき、ラインセンサー18は、ランプ13が原稿に光を照射していない状態で、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光を光電変換して1ライン分の各画素の電荷を蓄積する。また、A/D変換部113は、外乱光を受けたラインセンサー18のアナログ出力をデジタル化して各画素の画素値を示す外乱光検知用画像データを生成する。そして、画像メモリー114は、外乱光検知用画像データを記憶する。
【0072】
ステップS3において、読取制御部110は、外乱光検知用画像データを参照し、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)とを識別し、記憶部112に格納する。
【0073】
ステップS4において、読取制御部110は、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されたか否かを判断する。そして、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されていれば、ステップS5に移行し、原稿搬送部2が予め定められた位置よりも倒されていなければ、ステップS4の動作を繰り返す。
【0074】
ステップS5に移行すると、読取制御部110は、原稿搬送部2が完全に閉じられる前に、ランプ13を点灯させ、1ライン分の読み取りを画像読取部1の各部に行わせることによって、原稿サイズ検知用画像データを取得する。具体的には、このとき、ラインセンサー18は、原稿で反射された反射光を光電変換して1ライン分の各画素の電荷を蓄積する。また、A/D変換部113は、反射光を受けたラインセンサー18のアナログ出力をデジタル化して各画素の画素値を示す原稿サイズ検知用画像データを生成する。そして、画像メモリー114は、原稿サイズ検知用画像データを記憶する。
【0075】
ステップS6において、読取制御部110は、外乱光検知用画像データに基づき、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別する。続いて、ステップS7において、読取制御部110は、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を暗い画素(原稿が存在しない画素)と見做し、明るい画素(原稿が存在する画素)と暗い画素(原稿が存在しない画素)との境界を特定する。そして、ステップS8において、読取制御部110は、特定した境界に基づき原稿の主走査方向の長さを決定する。
【0076】
本実施形態では、上記のように、ラインセンサー18は、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光をライン単位で光電変換しつつ画素毎に電荷を蓄積して外乱光検知用画像データを生成する。これにより、外乱光検知用画像データの生成に際して、ラインセンサー18の光電変換時間が通常の画像読取時の光電変換時間と同じである場合よりも、外乱光の光源が暗い期間とラインセンサーが光電変換を行う期間とが完全に重なるのを抑制することができる。このため、原稿が存在する画素の画素値は、暗いままとなり、原稿が存在しない画素の画素値は、原稿が存在する画素の画素値よりも確実に明るい値となる。これにより、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を正確に識別することができるので、外乱光に起因して原稿サイズ検知が不正確になる、という不都合の発生を抑制することができる。
【0077】
なお、ラインセンサー18に通常の画像読取時の光電変換時間で読み取りを行わせて外乱光検知用画像データを生成する場合であっても、たとえば、複数ライン分の外乱光検知用画像データをメモリーに記憶させ、それら複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較すれば、原稿が存在しない部分の画素と原稿が存在する部分の画素との境界を特定することができる。ただし、このようにすると、複数ライン分の外乱光検知用画像データを同時に蓄積するためのメモリー容量を確保しなければならず、コストアップに繋がる。しかし、本実施形態では、外乱光検知用画像データが1ライン分だけであったとしても、その1ライン分の外乱光検知用画像データは信頼性が高いので、正確に、外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別することができる。すなわち、複数ライン分の外乱光検知用画像データを比較するためにメモリー容量を増大する必要がなく、コストアップを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、原稿搬送部2(原稿押さえ部)が予め定められた位置よりも倒されたことを開閉検知部140が検知したとき、読取制御部110(制御部)は、ランプ13(光源)を点灯させるとともに、ラインセンサー18に通常の画像読取時の光電変換時間で読み取りを行わせて原稿サイズ検知用画像データを生成させ、外乱光検知用画像データに基づき外乱光の影響を受けて明るくなったと識別した画素を暗い画素であると認定して原稿サイズを検知する。このように構成すれば、原稿サイズ検知用画像データに基づく原稿サイズ検知に際して、外乱光の影響を正確に除去することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、ラインセンサー18は、外乱光検知用画像データを生成するときの光電変換時間を外乱光の点滅周期よりも長くする。このように構成すれば、外乱光の光源が蛍光灯などである場合には、より確実な原稿サイズ検知を行うことができる。
【0080】
なお、上記実施形態の構成において、外乱光検知用画像データを生成するときの光電変換時間の設定変更をユーザーから受け付けるようになっていても良い。このように構成すれば、画像形成装置100の設置環境が変化した場合、その変化に応じてユーザーが光電変換時間を設定し直すことができる。あるいは、読取制御部110が光電変換時間を自動的に設定変更するようになっていても良い。
【0081】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 画像読取部
2 原稿搬送部(原稿押さえ部)
12 載置読取用コンタクトガラス(載置台)
13 ランプ(光源)
18 ラインセンサー
100 画像読取装置
110 読取制御部(制御部)
140 開閉検知部
200 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される載置台と、
前記原稿に光を照射する光源と、
前記原稿で反射された反射光をライン単位で光電変換して画素毎に電荷を蓄積するラインセンサーと、
前記載置台に対して開閉され、閉じられることで前記載置台に載置された前記原稿を押える原稿押さえ部と、
前記原稿押さえ部が予め定められた位置よりも倒されたことを検知するための開閉検知部と、
前記ラインセンサーの読み取りによって得られた画像データの処理を行う制御部と、を備え、
前記原稿押さえ部が予め定められた位置よりも持ち上げられていることを前記開閉検知部が検知しているとき、
前記ラインセンサーは、通常の画像読取時の光電変換時間よりも長い時間をかけて、外乱光をライン単位で光電変換しつつ画素毎に電荷を蓄積して外乱光検知用画像データを生成し、
前記制御部は、前記外乱光検知用画像データに基づき、前記外乱光の影響を受けて明るくなった画素を識別することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿押さえ部が予め定められた位置よりも倒されたことを前記開閉検知部が検知したとき、
前記制御部は、前記光源を点灯させるとともに、前記ラインセンサーに前記通常の画像読取時の光電変換時間で読み取りを行わせて原稿サイズ検知用画像データを生成させ、前記外乱光検知用画像データに基づき前記外乱光の影響を受けて明るくなったと識別した画素を暗い画素であると認定して原稿サイズを検知することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ラインセンサーは、前記外乱光検知用画像データを生成するときの光電変換時間を前記外乱光の点滅周期よりも長くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85047(P2013−85047A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222436(P2011−222436)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】