説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】原稿の位置ズレを防止でき、画像読取ミスを軽減できる画像読取装置、画像形成装置、画像読取方法及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】電圧の印加状態によって透過率が変化するコンタクトガラスと、前記コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ部と、前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ部と、前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御部と、を備え、前記スキャナ部動作時では、前記制御部は、高透過率に制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、前記スキャナ部非動作時では、前記制御部は、低透過率に制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やスキャナなどの画像読取装置及び該画像読取装置を搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置では、原稿の画像を読み取り、読み取った画像の印刷を行うため、原稿の画像を読み取り、接続された他の機器に読取データを出力する画像読取装置を備えている。
【0003】
この画像読取装置では、読み取った原稿のサイズを拡大または縮小する変倍機能があり、この変倍機能には、自動変倍機能と手動変倍機能とがある。
自動変倍機能では、原稿から読み取った画像を所定の記録用紙のサイズに変倍して印刷するものであり、操作部において所望の記録用紙のサイズが入力され、原稿台に載置された原稿のサイズの情報を得ることで、自動的に印刷倍率を算出して印刷が行われる。
また、手動変倍機能では、使用者が所望の記録用紙サイズおよび印刷倍率を手動で操作部に入力し、この入力結果に基づいて印刷が行われる。
【0004】
ここで手動変倍機能時では、入力された記録用紙サイズと印刷倍率とによって、記録用紙上に印刷することができる原稿の画像サイズが定まり、これに伴って、原稿台上の原稿載置領域において、記録用紙に印刷される範囲である印刷可能領域が定まる。換言すると、この印刷可能領域外の原稿の画像は記録用紙上に印刷されない。
したがって、手動変倍機能時では、記録用紙上に印刷すべき原稿画像が印刷可能領域内に位置するように、原稿を原稿台上に載置する必要があった。
【0005】
そこで特許文献1では、印刷可能領域を使用者(ユーザ)が認識できる機能を備えた画像読取装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の画像読取装置では、印刷可能領域を表示する光源として原稿台の枠に沿って配置したLED(発光ダイオード)を利用し、単に主走査方向および副走査方向の位置のみを発光させて表示するにとどまっている。このため、印刷可能領域全体を認識することが困難であった。またスキャナ条件などの情報を表示させることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、原稿の位置ズレを防止でき、画像読取ミスを軽減できる画像読取装置及び該画像読取装置を用いた画像形成装置、並びに画像読取方法及び該画像読み取り方法を用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかして、上記課題を解決するために本発明に係る画像読取装置及び該画像読取装置を用いた画像形成装置、並びに画像読取方法及び該画像読み取り方法を用いた画像形成方法は、具体的には下記(1)〜(19)に記載の技術的特徴を有する。
(1):コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像読取装置であって、電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス部を有し、一面が原稿を載置する原稿載置面であるコンタクトガラスと、前記コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ部と、前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ部と、前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御部と、を備え、前記スキャナ部動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、前記スキャナ部非動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする画像読取装置である。
【0008】
(2):前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を、または画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行うことを特徴とする上記1に記載の画像読取装置である。
【0009】
(3):前記プロジェクタ部は、前記選択された画像表示を印刷する画像サイズで投影することを特徴とする上記2に記載の画像読取装置である。
【0010】
(4):画像情報を表示する表示部と、前記スキャナ部の読み取り実行および前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作を設定する操作部と、をさらに備え、前記表示部は、前記第1の画像表示を縮小した第2の画像表示を表示し、前記操作部の前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作の設定は、前記第1の画像表示及び前記第2の画像表示に連動してなることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の画像読取装置である。
【0011】
(5):前記表示部はタッチパネル機能を有し、前記操作部の機能の一部または全部を備えることを特徴とする上記4に記載の画像読取装置である。
【0012】
(6):前記表示部は、画像情報の表示に加えて、該画像情報への画像処理動作に関するユーザインターフェース情報を表示することを特徴とする上記4または5に記載の画像読取装置である。
【0013】
(7):前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を投影して、前記第1の画像表示を行い、前記操作部は、前記サムネイル表示において、画像表示する画像の選択、削除画像の指定、及び、画像データ出力順序の設定の中から選ばれた少なくとも1つの画像処理動作の設定を行うことを特徴とする上記4〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置である。
【0014】
(8):前記画像処理動作は画像を縮小する縮小モードと、画像を拡大する拡大モードと、画像を回転させる回転モードと、画像を表示面方向に移動させる移動モードと、画像の一部を切り取る切り取りモードと、から選ばれる少なくとも1つのモードを有し、前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行い、前記選択された画像を表示するときに、画像データに基づく表示に加えて印刷エリアを示す領域表示を、前記第1の画像表示及び第2の画像表示に付加して表示する印刷領域表示手段を備えることを特徴とする上記4〜7のいずれか1項に記載の画像読取装置である。
【0015】
(9):前記印刷領域表示手段は、前記印刷エリアを示す領域表示の位置、大きさ、及び傾きから選ばれる1または2以上を変更表示し、前記選択された画像は固定されてなることを特徴とする上記8に記載の画像読取装置である。
【0016】
(10):前記印刷領域表示手段は、前記印刷エリアを示す領域表示を固定し、前記操作部は、前記選択された画像の位置、大きさ、及び傾きから選ばれる1または2以上を変更する画像処理動作の設定をすることを特徴とする上記8に記載の画像読取装置である。
【0017】
(11):前記選択画像を表示するときに、画像データに基づく表示に加えて格子状のグリッド表示を前記第1の画像表示及び第2の画像表示領域全体に付加して表示するグリッド表示手段をさらに備えることを特徴とする上記4〜10のいずれか1項に記載の画像読取装置である。
【0018】
(12):前記コンタクトガラスに対して開閉可能に覆いをするスキャナカバーと、前記スキャナカバーの開閉状態を検知する検知手段と、をさらに備え、前記検知手段が前記スキャナカバーの閉状態を検知すると、前記制御部は、前記スキャナ部動作時には前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、前記検知手段が前記スキャナカバーの開状態を検知すると、前記制御部は、前記スキャナ部非動作時には前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする上記1〜11のいずれか1項に記載の画像読取装置である。
【0019】
(13):前記検知手段により前記スキャナカバーの閉状態から開状態に変化したことを検知した時に、前記記憶部に画像データが記憶されているときは、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率を低くすると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行い、前記記憶部に画像データが記憶されていないときは、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率を高くすると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報の投影を停止することを特徴とする上記12に記載の画像読取装置である。
【0020】
(14):上記1〜13のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0021】
(15):コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像読取方法であって、電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス部を有し一面が原稿を載置する原稿載置面であるコンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ工程と、前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ工程と、前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御工程と、を備え、前記スキャナ工程中では、前記制御工程は、前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ工程は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、前記スキャナ工程外では、前記制御工程は、前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ工程は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする画像読取方法である。
【0022】
(16):前記プロジェクタ工程は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を、または画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行うことを特徴とする上記15に記載の画像読取方法である。
【0023】
(17):前記プロジェクタ工程は、前記選択された画像表示を印刷する画像サイズで投影することを特徴とする上記16に記載の画像読取方法である。
【0024】
(18):画像情報を表示する表示工程と、前記スキャナ部の読み取り実行および前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作を設定する操作工程と、をさらに備え、前記表示工程は、前記第1の画像表示を縮小した第2の画像表示を表示し、前記操作工程の前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作の設定は、前記第1の画像表示及び前記第2の画像表示に連動してなることを特徴とする上記15〜17のいずれか1項に記載の画像読取方法である。
【0025】
(19):上記15〜18のいずれか1項に記載の画像読取方法を備えることを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、原稿の位置ズレを防止でき、画像読取ミスを軽減できる画像読取装置及び該画像読取装置を用いた画像形成装置、並びに画像読取方法及び該画像読み取り方法を用いた画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の構成例を示す外観上面図である。
【図3】画像形成装置100に備えられた画像読取装置2の構成を示す透過斜視図である。
【図4】本発明で用いるコンタクトガラスの構成を示す概略図である。
【図5】液晶シートの動作原理の説明図である。
【図6】本発明で用いるコンタクトガラスにおける印加電圧と平行光線透過率の関係を示す図である。
【図7】プロジェクタ部の構成を示す概略図である。
【図8】プロジェクタ部からのコンタクトガラス上の投影像の不具合例を示す図である。
【図9】プロジェクタ部の液晶パネルにおける表示例を示す図である。
【図10】本発明に係る画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の画像形成装置の制御ブロック図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置における画像読取装置の制御手順(1)を示すフローチャートである。
【図13】本発明の画像読取装置におけるスキャナ表示モード時(スキャナ部非動作時)の原稿台表示例を示す図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置における画像読取装置の制御手順(1)を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7のプレビュー表示機能の一態様、及び、表示部17のプレビュー表示機能の一態様を説明するための図である。
【図16】本発明に係る画像読取装置においてプレビュー表示された素材画像の合成処理の一態様を説明するための図である。
【図17】本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に既にスキャンされた画像と追加原稿との合成処理の一態様を説明するための図である。
【図18】本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に表示されたプレビュー画像の画像処理(切り取り処理)の一態様を説明するための図である。
【図19】本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に表示されたプレビュー画像の画像処理(回転処理)の一態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る画像読取装置は、コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力し、電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス部を有し、一面が原稿を載置する原稿載置面であるコンタクトガラスと、前記コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ部と、前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ部と、前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御部と、を備え、前記スキャナ部動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、前記スキャナ部非動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする。
また本発明に係る画像形成装置は、上記本発明に係る画像読取装置を備えることを特徴とする。
次に、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0029】
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成例を示す外観斜視図である。図1(a)は、画像形成装置の全体の構成を示す図であり、図1(b)は自動原稿送り装置(ADF)を開いた状態の本発明の原稿読取装置周辺の構成を示す図であり、図1(c)は図1(b)において原稿台用調光ガラスに原稿サイズの情報を表示した状態を示す図である。
【0030】
図1(a)に示すように、画像形成装置100は、セットされた読取対象の原稿を画像読取装置2に送る自動原稿送り装置(ADF;Auto Document Feeder)1と、本発明の画像読取装置であって、ADF1から送られてきた原稿またはコンタクトガラス(原稿台としての調光ガラス)7上にセットされた原稿を画像として読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像読取装置(スキャナ部)2と、前記印刷データに基づいて所定サイズのシート上に画像を形成する画像形成部(プリンタ装置)5と、画像形成用の記録媒体であるシートを収納し、画像形成部5にシートを供給する用紙トレイ6と、を備える。
ここで、画像形成部5は、電子写真方式やインクジェット記録方式など従来公知の画像形成を行うプリンタ装置であればよい。また、画像形成装置100の正面には、ユーザが画像形成装置100を操作するための操作パネル3、画像形成されたシートが排出される排紙トレイ4が設けられている。
【0031】
ここで、ADF1は、画像読取装置2の原稿読み取り部分(コンタクトガラス7)を覆うように該画像読取装置2上に搭載され、画像形成装置100背面側の端部が蝶番で画像読取装置2に回動可能に固定されている。また、ADF1の底面はコンタクトガラス7を覆うスキャナカバー25となっており、ユーザがADF1の装置正面側の端部を持ち上げることにより前記蝶番を中心にして回転し、コンタクトガラス7が露出するようにスキャナカバー25が開くようになっている。
【0032】
図1(b)では、スキャナカバー25を開いてコンタクトガラス7が露出した状態となっている。この状態で、例えば冊子状の原稿をコンタクトガラス7上にセットし、再びスキャナカバー25を閉じて画像読取装置2により原稿の画像を読み取る操作を行う。
【0033】
図1(c)では、スキャナカバー25が開いてコンタクトガラス7が露出した状態となっていて、さらにこの状態でプロジェクタ部15から投影された所定の画像情報等が表示されている状態を示している。
【0034】
図2は、本発明に係る画像形成装置の構成例を示す外観上面図である。図2に示すが如く、操作パネル3(表示部17及び入力部18を備える)は、ユーザが向かい合い操作する手前位置(図2における下側)に配置されてなり、奥の位置(図2における上側)にはコンタクトガラス7が配置されてなる。なお、図2に示す例ではADFが開いてコンタクトガラス7が露出した状態となっていて、さらにこの状態でプロジェクタ部15から投影された所定の画像情報等が表示されている状態を示している。
【0035】
次に、本発明に係る画像読取装置について説明する。
図3は、画像形成装置100に備えられた画像読取装置2の構成を示す透過斜視図である。画像読取装置2の部分を実線で示している。
画像読取装置2は、電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス(調光ガラス部)を有し、その上面が原稿を載置する原稿載置面として機能するコンタクトガラス7と、コンタクトガラス7に載置された原稿の画像を読み取るスキャナ部と、コンタクトガラス7に対して開閉可能に覆いとなると共に画像読み取りの際には原稿の背景としてスキャナ反射板となるスキャナカバー25と、スキャナカバー25の開閉状態を検知する検知手段(不図示)と、コンタクトガラス7の原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラス7に対して特定のパターンおよび/または文字情報を(画像情報を)投影するプロジェクタ部15と、を有する。
【0036】
ここで、前記スキャナ部は、原稿の幅方向に延びるライン状の光線を原稿に出射しながら、原稿の長手方向(副走査方向)に走査(スキャン)されるスキャナ用光源ユニット11と、原稿の反射光を集光するレンズ12と、レンズ12で集光された光を検知して信号を出力するスキャナセンサ13と、スキャナセンサ13からの信号を受けるスキャナ制御部(不図示)と、から構成されている。なお、スキャナ制御部には、スキャナセンサ13により読み取られた画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像処理部が接続されている。
【0037】
コンタクトガラス7は、スキャナ制御部により制御される電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラスを有するものである。図4に、コンタクトガラス7の構成を示す。図4(a)はコンタクトガラス7全体の構成図であり、図4(b)はコンタクトガラス7を構成する液晶シート137aの構成図である。
【0038】
図4(a)に示すように、コンタクトガラス7は、液晶シート137aの両主面それぞれを、中間膜137bを介して透明な板ガラス137cで挟んだものである。なお、中間膜137bは省略してもよい。
【0039】
液晶シート137aは、図4(b)に示すように、液晶分子101aを封入した微小なカプセル101cを樹脂101b中に分散させて厚さ20μm程度の層状とした液晶層101と、液晶層101の両面に設けられて電圧印加の電極となる透明導電膜102と、さらに透明導電膜102の外側から挟んで液晶層101を支持する透明なポリエチレンテレフタレート(PET)からなる2枚の樹脂フィルム103と、から構成されている。
【0040】
この液晶シート137aにおいて、2つの透明導電膜102間に前記スキャナ制御部から電圧が印加可能であり、この電圧印加状態によって液晶シート137aの透過率が変化し、コンタクトガラス7の透過状態が調整されるようになっている。その様子を図5に示す。
【0041】
先ず、2つの透明導電膜102間に電圧が印加されていないとき(OFF時、図5(a))、カプセル101c中の液晶分子101aの配列は不規則な状態となっていて、液晶層101に平行光が入射してくると不規則な配列の液晶分子101aに曲げられるようになる。その結果、入射光は直進できずに散乱されて液晶層101を透過するため、液晶層101の出射側からは不透明な状態に見えることになる。
【0042】
次に、2つの透明導電膜102間に電圧が印加されているとき(ON時、図5(b))、カプセル101c中の液晶分子101aの配列は規則正しく整列した状態となっていて、液晶層101に平行光が入射してくると、液晶分子101aに曲げられることなく直進するようになる。その結果、入射光は直進して液晶層101を透過するため、液晶層101の出射側からは透明な状態に見えることになる。なお、このようにコンタクトガラス7を透明にするには電力が必要であるため、画像読取装置2における画像読取時(スキャナ部動作時)や原稿サイズ検知時にのみ、電圧を印加するとよい。これにより、消費電力を抑制することができる。
【0043】
図6に、液晶シート137aにおける印加電圧と平行光線透過率の関係を示す。
図6に見られるように、0Vで透過率が最も低く、80V超で透過率が最も高くなっている。また、液晶シート137aには印加電圧によって中間の透過率が存在している。さらに、印加電圧0〜100V間において透過率は一定の割合で変化するのではなく、10Vを超えたあたりから60Vまでの間で透過率が大きく変化している。
【0044】
以上の構成のコンタクトガラス7に好適なものとしては、例えば、日本板硝子ウムプロダクツ(株)製の瞬間調光ガラス「ウム」が挙げられる。この瞬間調光ガラス「ウム」の製品仕様としては、電源AC100V(50/60Hz)、消費電力3.5W/m(ON(透視)時)、応答速度(OFF(不透視)→ON(透視))約1/1000秒、応答速度(ON(透視)→OFF(不透視))約1/100秒、平行光線透過率(透視時)72%、平行光線透過率(不透視時)8%である。
【0045】
プロジェクタ部15は、画像読取装置2の底面に配置され、コンタクトガラス7の原稿載置面(スキャナカバー25との当接面)の反対面側に対して特定のパターンおよび/または文字情報を(画像情報を)投影する原稿台表示用の液晶プロジェクタである。
【0046】
図7にプロジェクタ部の構成例を示す。
プロジェクタ部15は、下から可視光を投影する光源135aと、光源135aの光が経由する投影レンズ135bと、特定のパターンおよび/または文字情報を表示するための透過式の液晶シャッターである液晶パネル135cと、からなる。コンタクトガラス7に画像情報等を表示する際には、スキャナ制御部から表示データ(後述する記憶部22が記憶する画像データを含む。)が送られ、液晶パネル135cに該表示データを表示させた状態で光源135aが発光し、コンタクトガラス7に液晶パネル135cの表示データを投影するようになっている。
【0047】
なお、プロジェクタ部15を画像読取装置2の底面中央に配置した状態で、コンタクトガラス7のコーナー部分に原稿をおくべき領域を表示しようとした場合には、液晶パネル135cに表示された形状のものはコンタクトガラス7上では歪んだ形で表示されるようになる。
【0048】
その表示例を、図8(a)に示す。ここでは、液晶パネル135cにB5サイズ縦に相当する長方形をそのまま表示し、光源135aから液晶パネル135cを透過した光束をコンタクトガラス7に投影させてコンタクトガラス7の左上隅側に表示した場合に、コンタクトガラス7上の投影像を画像形成装置の正面から見た図を示す。このように、コンタクトガラス7上では光源135aから遠くなるほど広がった形状となって意図した図形が表示されず、原稿を適切に置くことが困難になる。また、文字表示の場合も同様である。
【0049】
また、図8(b)は、液晶パネル135cにB5サイズ縦に相当する長方形を濃度一定の領域として表示し、光源135aから液晶パネル135cを透過した光束をコンタクトガラス7に投影させてコンタクトガラス7の左上隅側に表示した場合に、コンタクトガラス7上の投影像を画像形成装置の正面から見た図である。図8(b)に示すように、光源135aと投影レンズ135bの特性や、光源135aとコンタクトガラス7の距離によって、コンタクトガラス7上において照度が低下あるいはムラが発生するようになる。より具体的には、図8(b)に示すように、コンタクトガラス7の端部では中央部に比較して投影レンズ135bにより拡大して表示されているため、光束も拡散することで照度が低下し(単位面積あたりの光束密度が低下し)、投影像において照度ムラとなる。
【0050】
そこで、これらの不具合を改善すべく、プロジェクタ部15側で修正を行うとよい。
まず、図8(a)の形状の歪みに対しては、プロジェクタ部15は、該プロジェクタ部15からコンタクトガラス7への照射角度に応じて、該コンタクトガラス7での表示形状が正しくなるように液晶パネル135cの表示情報を補正して投影することが好ましい。図9(a)にB5サイズ縦を正しく表示するための液晶パネル135cにおける表示例を示す。これを用いて投影するとコンタクトガラス7上に正しい形状のB5サイズ縦の投影像を表示することができる。
【0051】
また、図8(b)の形状の歪み及び照度ムラに対しては、図9(a)の形状の補正とともに、コンタクトガラス7における照射面での照度が均一となるように、プロジェクタ部15は、該プロジェクタ部15からコンタクトガラス7への照射角度に応じて、該コンタクトガラス7での表示濃度が均一となるように液晶パネル135cの表示情報の濃度を補正して投影することが好ましい。図9(b)にB5サイズ縦を正しく表示するための液晶パネル135cにおける表示例を示す。これを用いて投影するとコンタクトガラス7上に正しい形状で均一な明るさのB5サイズ縦の投影像を表示することができる。
【0052】
図10に、本発明に係る画像読取装置の内部構成を示す。図10(a)は、画像読み取り時の状態(スキャナ読取モード;スキャナ部動作時)を示し、図10(b)は、コンタクトガラス7上に原稿台が表示されている時の状態(スキャナ表示モード;スキャナ部非動作時)を示している。
【0053】
先ず、図10(a)では、コンタクトガラス7上に原稿8が置かれた上でスキャナカバー25が閉じられていて、この状態で通常の画像読み取りが行われる。すなわち、図10(a)の状態で、不図示の検知手段がスキャナカバー25の閉状態を検知し、スキャナ制御部14は、電圧を印加してコンタクトガラス7の透過率を高くして、プロジェクタ部15から該コンタクトガラス7への画像情報の投影を停止している。なお、プロジェクタ部15からの画像情報の投影を停止しているとは、スキャナ部2の読み取り対象となる領域(その反射光をスキャナセンサ13が受光するコンタクトレンズ7の領域)に画像情報が投影されていない状態をも含むものとしてもよい。即ち、スキャナ部2自体がプロジェクタ部15からの投影を遮るような構成となり、原稿8の読み取りにおいて何ら支障を来たさないような場合は、プロジェクタ15が何らかの画像情報を投影しているような状態でも、本発明においては実質的に画像情報の投影を停止しているものとして扱うことができる。ここで、省電力の観点からは使用に際して必要のない画像情報の投影は行わないことが好ましいことは言うまでもなく、必要なときに必要な領域に画像情報を投影することが望ましい。
【0054】
そして、スキャナスタート操作などにより、原稿の読み取りが開始される。ここでは、内部にスキャナ用ミラー9,スキャナ用光源10を有するスキャナ用光源ユニット11が副走査方向に走査される。このとき、スキャナ用光源10から読み取り用の光が出射されており、該光は透明で光を通す状態であるコンタクトガラス7を透過して原稿8またはスキャナカバー25で反射される。ついでこの反射光が再びコンタクトガラス7を透過し、スキャナ用ミラー9を経由してレンズ12を通ってスキャナセンサ13に到達する。スキャナセンサ13では受けた光を電気信号に変換してデータ化し、スキャナ制御部14に画像データとして送信する。次いで、スキャナ制御部14から読み取られた画像データを画像処理部に送り、設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとした上で記憶部22に(あるいはさらに画像形成部5に)出力する。
【0055】
次に、図10(b)では、スキャナカバー25が開けられてコンタクトガラス7が露出していて、原稿8が置かれる状態であり、この状態でコンタクトガラス7に特定のパターンおよび/または文字情報が表示される原稿台表示が行われる。すなわち、図10(b)の状態で、不図示の検知手段がスキャナカバー25の開状態を検知し、スキャナ制御部14は、電圧印加を停止あるいは印加する電圧を低下させてコンタクトガラス7の透過率を低くして、コンタクトガラス7を曇りガラス状態や黒くなった状態とする。そして、スキャナ制御部14からプロジェクタ部15に表示データを送り、プロジェクタ部15において送られた表示データを液晶パネル135cに表示させた状態で光源135aを発光させて、設定された用紙サイズを、あるいは印刷倍率に応じて読み取られる原稿の領域を、原稿台としてコンタクトガラス7にユーザに視認可能に投影する。ユーザは表示された原稿台を見ながら該原稿台に合わせて原稿をコンタクトガラス7上に置くことができる。なお、このときスキャナ光源ユニット11は、図10(a)の位置から画像読取装置2の下方向に移動して、プロジェクタ部15の投射光の光路を空けている。
【0056】
次に、本発明に係る画像形成装置における画像読取装置の制御について説明する。
図11は、本発明の画像形成装置の制御ブロック図である。ここでは、画像読取装置2に関する制御ブロックを示している。
画像形成装置における制御ブロックは、操作パネル3、画像読取装置2、画像形成装置全体の制御を行う本体制御部21、本体制御部21における種々のデータを記憶する記憶部22に大別される。なお、本実施の形態において記憶部22は画像読取装置2外部に備え付けられた構成であるが、画像読取装置2内部に備え付けた構成であってもよい。
【0057】
操作パネル3は、ユーザに認知させたり、データを表示させたりするための液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)表示部などからなる表示部17と、ユーザからの入力が可能なタッチパネル入力やハードキー等の入力部(操作部)18と、表示部17及び入力部18を制御し、本体制御部21と通信を行う操作パネル制御部19と、で構成される。
【0058】
画像読取装置2は、コンタクトガラス7と、原稿台表示用光源であるプロジェクタ部15と、スキャナセンサ13と、スキャナ用光源ユニット11と、スキャナカバーの開閉状態を検知するスキャナカバーオープンセンサ(検知手段)16と、コンタクトガラス7に置かれた原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知センサ20と、これらを制御し、本体制御部21と通信を行うスキャナ制御部14と、で構成される。
【0059】
<画像読取装置の原稿読み取り時の制御手順:第1の実施の形態>
図12は、本発明に係る画像形成装置における画像読取装置の制御手順(1)を示すフローチャートである。ここでは、ユーザが最初に操作パネル3でスキャナ条件を入力した場合を示す。
【0060】
先ずユーザが操作パネル3の入力部18よりスキャナ条件を入力すると(S11の入力あり)、操作パネル制御部19はその入力情報(スキャナ条件データ)を本体制御部21へ送信する(S12)。
次いで、スキャナカバーオープンセンサ16は、スキャナカバー25が開かれているか否かを検知する(S13)。スキャナカバー開が検知されると(S13の開)、スキャナ制御部14は、スキャナカバー開情報を本体制御部21へ送信する(S14)。
本体制御部21は、スキャナカバー開情報を受けると、スキャナ制御部14にスキャナ表示モード(スキャナ部非動作時である。)への切り替え指示とユーザから入力されたスキャナ条件(入力スキャナ条件)とを送信する(S15)。
【0061】
スキャナ制御部14は、キャナ表示モードへの切り替え指示とスキャナ条件とを受け、スキャナ表示モード(図10(b))となる(S16)。具体的には、スキャナ制御部14は、電圧印加を停止あるいは印加する電圧を低下させてコンタクトガラス7の透過率を低くして、コンタクトガラス7を曇りガラス状態や黒くなった状態とし、プロジェクタ部15に前記入力スキャナ条件に基づいた表示データを送信する。また、スキャナ用光源ユニット11は光路上にあると表示できないので、そのまま下方向に移動する指示を出す。これにより、プロジェクタ部15からコンタクトガラス7に投影されて、前記入力スキャナ条件に基づいた特定のパターンおよび/または文字情報が表示される原稿台表示が行われる。なお、スキャナカバー25が開状態の時に、コンタクトガラス7へ印加する電圧および/またはプロジェクタ部15の投影出力をユーザ(操作者)が目視可能な状態で調整可能とするとよい。
【0062】
原稿台表示の例としては図1(c)に示すものが挙げられる。図1(c)は、スキャナカバー25が開けられて、コンタクトガラス7にプロジェクタ部15から投影された所定の情報が表示されている状態を示している。
【0063】
プロジェクタ部15が投影する画像情報は、パターンで表示される原稿の読み取り領域情報(画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域情報)に加えて、読取可能な原稿サイズ情報、原稿の縦横情報、カラーまたは白黒の設定情報から少なくとも1つの文字情報を投影することが好ましい。
【0064】
プロジェクタ部15が投影する情報の例を図13(a),(b)に示す。
図13(a)は、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域と文字部を投影像とした表示例である。すなわち、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域に投影し、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域以外の領域を光の当たらないコンタクトガラス7の透過率が低い時の地色(曇りガラスまたは黒色)の表示としている。また、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域以外の領域に読取可能な原稿サイズ情報、原稿の縦横情報、カラーまたは白黒の設定情報(A4/ヨコ/カラー)の文字情報を表示している。
【0065】
図13(b)は、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域をコンタクトガラス7の透過率が低い時の地色(曇りガラスまたは黒色)のままの領域とした表示例である。すなわち、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域以外の領域に投影し、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域を光の当たらないコンタクトガラス7の透過率が低い時の地色(曇りガラスまたは黒色)の表示としている。また、画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域に読取可能な原稿サイズ情報、原稿の縦横情報、カラーまたは白黒の設定情報(A4/ヨコ/カラー)の文字情報を表示している。
【0066】
図13(a),(b)の表示形式(プロジェクタ部15で投影する原稿の読み取り領域の表示として、該プロジェクタ部15での投影像とする形式、該原稿の読み取り領域をコンタクトガラス7の透過率が低い時の地色とする形式)については、ユーザがいずれの表示形式にするかを選択可能とするとよい。
【0067】
ユーザは、コンタクトガラス7の原稿台表示に基づいて該コンタクトガラス7上に原稿の読み取らせたい部分を適切に配置することができる。また、コンタクトガラス7上には、画像読取可能エリアと共に、載置する原稿の情報やスキャナの実行モード、条件に関する情報が文字や図として投影されるので、ユーザは操作パネル3に視点を移動させることなく、正確にスキャナを使用することができる。
【0068】
次いで、図12において、原稿サイズ検知センサ20により、原稿がコンタクトガラス7上に置かれたか否かを検知する(S17)。原稿が検知されると(S17のセットされた)、原稿サイズ検知センサ20で確認された原稿サイズがユーザから操作パネルで入力された条件に基づくスキャナサイズと同じか否かを比較する(S18)。同じではない場合(S18の同じでない)は、その旨を警告表示する。例えば、操作パネル3、あるいはスキャナ表示モードとしてコンタクトガラス7に表示して警告すればよい。次に、操作パネル3におけるユーザによる了解(OK)入力があるか否かを確認する(S1a)。ユーザによるOKがではない場合(S1aのNo)は、ステップS18に戻り、再度原稿サイズ比較を実施する。
ユーザによるOK確認の場合(S1aのYes)もしくは原稿サイズがスキャナサイズと同じ場合(S18の同じ)は、スキャナカバーオープンセンサ16により、スキャナカバー25の閉状態が検知されるのを待つ(S1b)。
【0069】
スキャナカバー25が閉状態となると(S1bの閉)、画像読取装置2はスキャナ表示モードからスキャナ読取モード(図10(a);スキャナ部動作時)となり、原稿から画像読取ができる状態となる(S1c)。すなわち、スキャナ制御部14は、電圧印加をしてコンタクトガラス7の透過率を高くして、コンタクトガラス7を透明状態とし、スキャナ用光源ユニット11を原稿読み取りの待機位置(画像読取装置上方向の副走査方向の始点)に移動させ、ユーザのスキャナスタート指示待ちの状態となる(S1d)。
【0070】
最後に、ユーザにより操作パネル3からスキャナスタート(スキャナ部の読み取り実行)の入力があると(S1dの有)、原稿読み取りを開始する(S1e)。すなわち、スキャナ用光源ユニット11が副走査方向に移動しながら原稿に光を照射し、スキャナセンサ13によってその反射光から原稿データを取得して、スキャナ制御部14に送信する。次いで、スキャナ制御部14は、該原稿データを本体制御部21に送信し、記憶部22に記憶させるようにする。
【0071】
<画像読取装置の原稿読み取り時の制御手順:第2の実施の形態>
図14は、本発明に係る画像形成装置における画像読取装置の別の制御手順(制御手順(2))を示すフローチャートである。ここでは、ユーザがスキャナ条件を入力せずに、初期設定またはそれまでに入力済のスキャナ条件を現在のスキャナ条件として用いる場合を示す。
【0072】
先ず、スキャナカバーオープンセンサ16は、スキャナカバー25が開かれているか否かを検知する(S21)。スキャナカバー開が検知されると(S21の開)、スキャナ制御部14は、スキャナカバー開情報を本体制御部21へ送信する(S22)。
本体制御部21は、スキャナカバー開情報を受けると、スキャナ制御部14にスキャナ表示モードへの切り替え指示と初期設定またはそれまでに入力済のスキャナ条件(現在のスキャナ条件)とを送信する(S23)。
【0073】
スキャナ制御部14は、それを受け、スキャナ表示モード(図10(b);スキャナ部非動作時)となる(S24)。具体的には、スキャナ制御部14は、電圧印加を停止あるいは印加する電圧を低下させてコンタクトガラス7の透過率を低くして、コンタクトガラス7を曇りガラス状態や黒くなった状態とし、プロジェクタ部15に前記現在のスキャナ条件に基づいた表示データを送信する。また、スキャナ用光源ユニット11は光路上にあると表示できないので、そのまま下方向に移動する指示を出す。これにより、プロジェクタ部15からコンタクトガラス7に投影されて、前記現在のスキャナ条件に基づいた読取可能な原稿サイズ情報、原稿の縦横情報、カラーまたは白黒の設定情報に加えて、「原稿をセットして下さい」等のコンタクトガラス7上への原稿セットを促すメッセージを表示する。
【0074】
次いで、原稿サイズ検知センサ20により、原稿がコンタクトガラス7上に置かれたか否かを検知する(S25)。
原稿が検知されると(S25のセットされた)、スキャナ制御部14は、原稿サイズ検知センサ20により該原稿のサイズを検知し、スキャナ表示モード(図10(b))において、この検知された原稿サイズに対する画像読取装置2が読み取る原稿サイズの領域(原稿読取エリア)をコンタクトガラス7上に原稿台表示を行う(S26)。このときの原稿台表示の表示形式は、例えば、図13(a),(b)に示す表示でよい。またこの場合も、図13(a),(b)の表示形式について、ユーザがいずれの表示形式にするかを選択可能とするとよい。
ユーザは、コンタクトガラス7の原稿台表示に基づいて該コンタクトガラス7上に原稿の読み取らせたい部分を適切に配置できているか否かを確認することができる。
【0075】
スキャナカバーオープンセンサ16により、スキャナカバー25の閉状態が検知されるのを待つ(S27)。
スキャナカバー25が閉状態となると(S27の閉)、画像読取装置2はスキャナ表示モードからスキャナ読取モード(図10(a);スキャナ部動作時)となり、原稿から画像読取をできる状態となる(S28)。すなわち、スキャナ制御部14は、電圧印加をしてコンタクトガラス7の透過率を高くして、コンタクトガラス7を透明状態とし、スキャナ用光源ユニット11を原稿読み取りの待機位置(画像読取装置上方向の副走査方向の始点)に移動させ、ユーザのスキャナスタート指示待ちの状態となる(S29)。
【0076】
最後に、ユーザにより操作パネル3からスキャナスタートの入力があると(S29の有)、原稿読み取りを開始する(S2a)。すなわち、スキャナ用光源ユニット11が副走査方向に移動しながら原稿に光を照射し、スキャナセンサ13によってその反射光から原稿データを取得して、スキャナ制御部14に送信する。次いで、スキャナ制御部14は、該原稿データを本体制御部21に送信し、記憶部22に記憶させるようにする。
【0077】
なお、図12,図14に示した画像形成装置における画像読取装置の制御手順の中で、画像読取装置2が原稿の画像を読み取ることのできない状態であるときには、検知手段(スキャナカバーオープンセンサ16)がスキャナカバー25の開状態を検知すると(S13,S21の開)、コンタクトガラス7の透過率を低くしてスキャナ表示モードとし、画像を読み取ることができない状態である旨のメッセージ情報(SCAN NG)を投影するとよい。
【0078】
また、画像形成装置の起動直後で、画像読取装置2がすぐには原稿の画像を読み取ることのできない状態であるときには、検知手段(スキャナカバーオープンセンサ16)がスキャナカバー25の開状態を検知すると(S13,S21の開)、コンタクトガラス7の透過率を低くしてスキャナ表示モードとし、起動時の待機状態である旨のメッセージ情報(WAIT 2min)を投影するとよい。
【0079】
なお、上述の画像読取装置の制御手順の第1の実施の形態および第2の実施の形態では、スキャナカバー25の開閉に同期させてスキャナ表示モード(スキャナ部非動作時)/スキャナ読取モード(スキャナ動作時)を制御したが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
例えば、スキャナカバー25が開いた状態であっても、操作パネル3からスキャナスタートの入力があると強制的にスキャナ読取モードとしてスキャナ動作を開始してもよい。
【0080】
<コンタクトガラス7の表示(第1の画像表示)および表示部17の表示(第2の画像表示)>
本発明に係る画像読取装置では、コンタクトガラス7上に載置された原稿、あるいはADF1から送られてきた原稿は、画像情報が読み取られて記憶部22に記憶される。
なお、記憶部22に記憶される画像情報は、詳細を後述するプレビュー表示機能を行わずに即時画像形成部5に送信され、該画像情報に基づき画像形成を行うものとしてもよい。
しかしながら、出力イメージを確認せずに画像形成(印刷)を実行すると、コンタクトガラス7上に載置する時の原稿位置がずれている場合や、ADF1に原稿を表裏逆で載置した場合など、所望の画像が得られないという問題がある。さらに近年では、デジタル複写機が高機能化されてきたことに伴い、様々な画像処理機能が搭載されているが、実際の出力画像を印刷前に予測することが難しいという問題がある。
かかる問題は実際に画像を出力して(画像形成を実行して)確認することができるが、記録用紙が無駄になる。
【0081】
そこで本発明に係る画像読取装置では、コンタクトガラス7に、記憶部22に記憶された画像読取装置で読み取られた画像情報を表示させる、プレビュー表示機能が実装されている(第1の画像表示)。また、本実施の形態では表示部17においても同様に記憶部22に記憶された画像読取装置で読み取られた画像情報を表示させること(但し、縮小された状態で)ができる(第2の画像表示)。
【0082】
図15は本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7のプレビュー表示機能の一態様、及び、表示部17のプレビュー表示機能の一態様を説明するための図である。
【0083】
・サムネイル表示
図15(a)では記憶部22に記憶された複数の画像データがコンタクトガラス7にサムネイル表示されている。図15(a)に示す例では15の画像が縮小された状態でサムネイル表示されている。
ここで例えば、ADF1から数枚ないし数十枚の原稿が送られて読み取り実行した場合は、1度の読み取り実行操作により記憶部22には原稿の数に応じた複数の画像データが記憶される。この複数の画像データを1つずつ順次画像表示することは時間を要し、また操作も煩雑となる。
【0084】
このため、ユーザが認識できる程度に縮小した各画像データを複数表示した、サムネイル表示形式でコンタクトガラス7に表示することで、短時間かつ簡易な操作で複数の画像を確認することができる。なお、サムネイル表示の際には、所望の大きさ、枚数のサムネイル表示形式となるようにユーザが操作により適宜選択できることが好ましい。
【0085】
このとき表示部17では、コンタクトガラス7に表示したサムネイル表示形式の複数の画像を同様に表示するものとする。但し、コンタクトガラス7は例えばA3サイズ程度の表示エリアを有するが、これと比較して表示部17の表示エリアは狭いため、表示部17のサムネイル表示ではユーザが充分に認識できる程度の大きさで表示されてはいないこともある。
【0086】
表示部17はタッチパネル機能を有し、ユーザが表示部17に触れることで操作しコマンドを入力することができる。表示部17には、ページ送り/戻り入力SWが設けられていて、サムネイル表示されている複数の画像の中の1または2以上を指定することができる。あるいは、表示部17にサムネイル表示されている複数の画像を直接ユーザが触れること(例えばダブルクリックをすること)で、1または2以上の画像を指定することができる。
この表示部17のタッチパネル機能により、後述する選択画像表示において表示される画像を選択指定すること、及びこの表示される画像の表示順あるいは印刷出力の際の出力順を設定すること、並びに、削除画像を指定することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では表示部17がタッチパネル機能を有し、入力部18の一部の機能を備えることとしているが、一部のみを備える形態に限られるものではなく、入力部18の全ての機能を備える形態としてもよい。
【0088】
また、このコンタクトガラス7に表示されているサムネイル表示は、そのまま記録用紙に印刷することができ、記録用紙上で複数の画像を確認することもできる。
さらに、このコンタクトガラス7に表示されているサムネイル表示の状態において、それぞれの画像に画像処理(画像処理の詳細は後述する。)を行ってもよい。
【0089】
・原寸表示
図15(b)では記憶部22に記憶された画像情報が、コンタクトガラス7上に原寸(印刷する画像サイズと同サイズ)表示されている。
図15(b)に示す例では画像(図示の例では2の画像)が原寸で表示されているため、実際の出力イメージを確認することができる。この原寸での画像表示の場合においても、表示部17には原寸から縮小した画像を表示し、サムネイル表示の場合と同様にタッチパネル機能により画像を指定することができる。また、このコンタクトガラス7に表示されている原寸表示画像は、そのまま記録用紙に印刷することができ、記録用紙上で原寸画像を確認することもできる。さらに、このコンタクトガラス7に表示されている原寸表示の状態において、画像に画像処理を行ってもよい。
このように、原寸表示を可能とすることにより、ユーザのイメージに近い画像が得られる。
【0090】
・選択画像表示
図15(c)では、図15(a)や図15(b)で選択された画像がコンタクトガラス7に表示されている。図15(c)に示す例では、3の選択画像が表示されていて、この選択画像を印刷、画像処理することができる。この選択画像表示の場合においても、表示部17には原寸から縮小した画像を表示し、サムネイル表示の場合と同様にタッチパネル機能によりコマンド入力(印刷、画像処理等のコマンドを入力)することができる。なお、画像処理の詳細は後述する。
【0091】
・グリッド表示
図15(d)では、記憶部22に記憶された画像データに加えて、実際には印刷されない半透明の格子状のグリッド線が重ねられた画像情報がコンタクトガラス7に表示されている。
この半透明の格子状のグリッド線表示をすることで、原稿をスキャンしたときに曲がっていなかったかどうかを簡単に確認することができる。
また、図15(d)に示すが如く、グリッドの交点などの2点を指定して長さ(原寸)を表示させることもできる。なお、原寸表示の際には定規等を用いて実際に測定することもできる。
【0092】
<コンタクトガラス7に表示された画像の合成画像処理(素材画像の合成)>
図16は本発明に係る画像読取装置においてプレビュー表示された素材画像の合成処理の一態様を説明するための図である。
図16(a)は、素材画像となる画像が表示部17にサムネイル表示されている例を示す。図16(a)に示す例では素材画像となる5つの画像がサムネイル表示されていて、これらの素材画像は予めADF1などを用いてスキャンされて記憶部22に記憶された画像である。また、表示部17では、サムネイル表示されている素材画像となる5つの画像を、タッチパネル操作などにより画像選択することができる。
このとき、コンタクトガラス7においても素材画像となる画像を表示部17と同様にサムネイル表示する(ただし、表示部17よりも拡大された状態である。)ことが好ましい。
【0093】
次いで、メモリ合成モードを選択し、図16(a)のサムネイル表示された素材画像から画像選択し、これらを合成する。
図16(b)は表示部17で画像選択された素材画像のうちの3つの選択画像が表示部17に縮小表示された例を示す。また、表示部17では3つの選択画像をタッチパネル操作などにより画像処理することができる。
このとき、コンタクトガラス7においても表示部17に表示されている3つの選択画像が原寸表示されてなる。
図16(b)に示す例では未だ素材画像の配置が決定されていない状態であり、表示部17のタッチパネル機能によりユーザが各素材画像を移動等の画像処理を行い、適宜配置することで所望の合成画像が得られる。なお、図16(b)に示す点線の枠は、出力するA3サイズに相当する領域を表す。
【0094】
ここで、図16(b)に示す3つの画像データは、表示部17のタッチパネル操作により任意の1つの画像データを選択し、各々について移動等の画像処理を行い所望の合成画像を得る。このとき、表示部17では、画像処理の際にいずれの1つの画像データが選択されているかを認識可能に表示することが好ましい。
なお、移動等の画像処理を行う選択された1つの画像データは、(A)第2の画像表示が行われている領域とは異なる領域に表示されてなり、該異なる領域において画像処理動作を設定すること、あるいは、(B)第2の画像表示が行われている領域において、当該第2の画像表示とは表示輝度または表示色を異ならせて表示されてなり、該第2の画像表示が行われている領域において画像処理動作を設定すること、が好ましい。
【0095】
図16(c)は表示部17で画像処理された3つの選択画像(合成画像)が表示部17に縮小表示された例を示す。図16(b)の状態から移動等の画像処理が行われ、3つの選択画像が所望の合成画像を構成している。また、コンタクトガラス7には、表示部17に縮小表示されている画像処理された3つの選択画像(合成画像)が、原寸表示されている。
【0096】
図16(d)は表示部17に縮小表示された素材画像及び合成画像、並びに、ユーザインターフェース情報の例を示す。図16(d)に示す例に何ら限定されるものではないが、例えば表示部17の左上に素材画像のサムネイル表示、右上に選択画像あるいは選択画像の画像処理後の合成画像、下部にユーザインターフェース情報をそれぞれ示し、画像選択や画像処理動作等をタッチパネル機能により簡易に行うことができる。
ユーザインターフェース情報はメニューが表示され各種の画像処理動作(画像操作モード)が適宜選択することができる。画像処理動作としては例えば、切り取りモード、回転モード、移動モード、縮小モード、拡大モード、テキスト入力モード等が挙げられる。このほか、画像処理の手順など、合成画像の作成の補助となる情報をユーザに示すものとしてもよい。
【0097】
図16(e)は、さらに「コピー禁止」というテキストが合成された画像が表示部17に表示された例を示す。このとき、コンタクトガラス7においても表示部17に表示されている画像が原寸表示されてなる。
ユーザインターフェースによりテキスト入力を行うことで、合成画像にさらにテキストを追加することができる。テキスト入力は、表示部17に入力キーを表示してタッチパネル機能によりテキストを入力する入力方式でもよく、表示部17外にあるテンキーを用いて、携帯電話などで汎用されているような方式で入力する入力方式でもよい。
入力されたテキストは、さらにフォント、文字サイズ、枠などを設定することができる。
そして、図16(e)のように加工された「コピー禁止」のテキストは図示の位置に配置され、合成画像となる。
なお、定型文字、定型文章やマークなどが予め登録されていてもよく、ユーザが作成した素材画像をデフォルトで登録してもよい。
【0098】
以上のようにして得られた合成画像は、コンタクトガラス7で原寸表示されてなり、ユーザが確認をした後に、印刷ボタンが押下され印刷実行がなされる。
【0099】
<コンタクトガラス7に表示された画像の合成画像処理(追加原稿との合成)>
図17は本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に既にスキャンされた画像と追加原稿との合成処理の一態様を説明するための図である。
図17(a)は既にスキャンされた画像の例を示し、図17(b)は追加原稿の画像の例を示す。また、これらを合成することで図17(c)に示す合成画像を得る。
【0100】
以下、具体的な合成の手順について詳細に説明する。
直接合成モードを選択すると、コンタクトガラス7にはスキャンされ記憶部22に記憶された画像が、原寸かつ裏向きに表示される。(図17(d)参照。)
次いで、追加原稿を合成する領域を表示部17で操作して指定する。例えば、図17(d)に示すように点線枠で追加原稿を合成する領域を表し、コンタクトガラス7と表示部17との双方に同様に表示する。
そして、追加原稿を合成する領域が表示された状態で、追加原稿を裏返してコンタクトガラス17上に配置する。(図17(e)参照。)このとき、プロジェクタ部15の輝度を上げる、もしくはコンタクトガラス7の透過率を上げることで、追加原稿となる紙が透けて見え易くすることが好ましく、しかる後に、図17(e)に示すが如く、透けて見える星印が追加原稿を合成する領域内に収まるように追加原稿を調整配置する。
追加原稿を配置した後に、スキャナカバー15を閉じて、スキャンを実行する。
以上の操作により、先ず、図17(a)に示す画像に、図17(b)に示す画像の一部である星印が合成され、合成画像がコンタクトガラス7に原寸表示されると共に表示部17に縮小表示される。
【0101】
さらに、図17(b)に示す黒の横線を、星印を合成する場合と同様の手順により合成し、図17(c)に示す合成画像を得る。この合成画像は同様にコンタクトガラス7に原寸表示されると共に表示部17に縮小表示される。(図17(f)参照。)
以上のようにして得られた合成画像は、コンタクトガラス7で原寸表示されてなり、ユーザが確認をした後に、印刷ボタンが押下され印刷実行がなされる。
なお、既にスキャンされて記憶部22に記憶された画像は原寸で画像処理されることに限定されるものではなく、拡大/縮小、回転等の画像処理の後に直接合成モードにより、追加原稿を合成してもよい。
【0102】
<コンタクトガラス7に表示された画像の編集画像処理(切り取りモード)>
・切り取りモード
図18は本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に表示されたプレビュー画像の画像処理(切り取り処理)の一態様を説明するための図である。
図18(a)はプレビュー表示された画像の例を示し、図18(b)は図18(a)にプレビュー表示された画像の一部であり、ユーザが必要とする領域である。
コンタクトガラス7にはスキャンされ記憶部22に記憶された画像が、原寸表示される。(図18(a)参照。)
次いで、切り取りモードを選択し、ユーザが必要とする領域を指定する。この必要とする領域は、図18(a)で示す点線枠内の領域であり、A4サイズである。なお、プレビュー表示されている画像はA3サイズに相当する。
以上のようにして得られた切り取り画像は、コンタクトガラス7で原寸表示されてなり、ユーザが確認をした後に、印刷ボタンが押下され印刷実行がなされる。
【0103】
<コンタクトガラス7に表示された画像の編集画像処理(回転モード)>
・回転モード
図19は本発明に係る画像読取装置におけるコンタクトガラス7に表示されたプレビュー画像の画像処理(回転処理)の一態様を説明するための図である。
図19(a)はプレビュー表示された画像の例を示し、図19(b)は図19(a)にプレビュー表示された画像の一部を回転させた例を示す。
コンタクトガラス7にはスキャンされ記憶部22に記憶された画像が、原寸表示される。(図19(a)参照。)
図19(a)に示す例では、斜めにスキャンされたため、所望の状態から斜めになった状態でコンタクトガラス7及び表示部17に表示されてなる。
次いで、回転モードを選択し、ユーザが必要とする領域を指定する。なお、フリーサイズで領域を指定することも、A4サイズ等の所定の領域を指定することもでき、図19(a)で示すように点線枠で指定された領域が表示される(印刷エリアを示す領域表示)。しかる後に、指定された領域を適宜回転させることで所望の回転画像が得られる。
以上のようにして得られた回転画像は、コンタクトガラス7で原寸表示されてなり、ユーザが確認をした後に、印刷ボタンが押下され印刷実行がなされる。
なお、以上の例では点線枠で指定された領域を回転して所望の回転画像を得られる形態としたが、本発明はこれに限られるものではなく、点線枠(印刷エリアを示す領域表示)を固定しプレビュー表示されている画像を回転させ点線枠内に移動させる形態としてもよい。また、指定された領域あるいはプレビュー表示されている画像は、回転(傾きの変更)だけに限らず、位置の移動、及び大きさの変更(拡大/縮小)などから適宜選択される1または2以上の画像処理としてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 自動原稿送り装置(ADF)
2 画像読取装置
3 操作パネル
4 排紙トレイ
5 画像形成部
6 用紙トレイ
7 コンタクトガラス
8 原稿
11 スキャナ用光源ユニット
13 スキャナセンサ
14 スキャナ制御部
15 プロジェクタ部
16 スキャナカバーオープンセンサ
17 表示部
18 入力部
19 操作パネル制御部
20 原稿サイズ検知センサ
21 本体制御部
25 スキャナカバー
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2000−358131号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像読取装置であって、
電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス部を有し、一面が原稿を載置する原稿載置面であるコンタクトガラスと、
前記コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ部と、
前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ部と、
前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御部と、を備え、
前記スキャナ部動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、
前記スキャナ部非動作時では、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を、または画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記プロジェクタ部は、前記選択された画像表示を印刷する画像サイズで投影することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
画像情報を表示する表示部と、
前記スキャナ部の読み取り実行および前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作を設定する操作部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記第1の画像表示を縮小した第2の画像表示を表示し、
前記操作部の前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作の設定は、前記第1の画像表示及び前記第2の画像表示に連動してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記表示部はタッチパネル機能を有し、前記操作部の機能の一部または全部を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記表示部は、画像情報の表示に加えて、該画像情報への画像処理動作に関するユーザインターフェース情報を表示することを特徴とする請求項4または5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を投影して、前記第1の画像表示を行い、
前記操作部は、前記サムネイル表示において、画像表示する画像の選択、削除画像の指定、及び、画像データ出力順序の設定の中から選ばれた少なくとも1つの画像処理動作の設定を行うことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記画像処理動作は画像を縮小する縮小モードと、画像を拡大する拡大モードと、画像を回転させる回転モードと、画像を表示面方向に移動させる移動モードと、画像の一部を切り取る切り取りモードと、から選ばれる少なくとも1つのモードを有し、
前記プロジェクタ部は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行い、
前記選択された画像を表示するときに、画像データに基づく表示に加えて印刷エリアを示す領域表示を、前記第1の画像表示及び第2の画像表示に付加して表示する印刷領域表示手段を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記印刷領域表示手段は、前記印刷エリアを示す領域表示の位置、大きさ、及び傾きから選ばれる1または2以上を変更表示し、
前記選択された画像は固定されてなることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記印刷領域表示手段は、前記印刷エリアを示す領域表示を固定し、
前記操作部は、前記選択された画像の位置、大きさ、及び傾きから選ばれる1または2以上を変更する画像処理動作の設定をすることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記選択画像を表示するときに、画像データに基づく表示に加えて格子状のグリッド表示を前記第1の画像表示及び第2の画像表示領域全体に付加して表示するグリッド表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記コンタクトガラスに対して開閉可能に覆いをするスキャナカバーと、
前記スキャナカバーの開閉状態を検知する検知手段と、をさらに備え、
前記検知手段が前記スキャナカバーの閉状態を検知すると、前記制御部は、前記スキャナ部動作時には前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、
前記検知手段が前記スキャナカバーの開状態を検知すると、前記制御部は、前記スキャナ部非動作時には前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記検知手段により前記スキャナカバーの閉状態から開状態に変化したことを検知した時に、
前記記憶部に画像データが記憶されているときは、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率を低くすると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行い、
前記記憶部に画像データが記憶されていないときは、前記制御部は、前記コンタクトガラスの透過率を高くすると共に、前記プロジェクタ部は、画像情報の投影を停止することを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像を設定された用紙サイズあるいは印刷倍率に応じた印刷データとして出力する画像読取方法であって、
電圧の印加状態によって透過率が変化する調光ガラス部を有し一面が原稿を載置する原稿載置面であるコンタクトガラスに載置された原稿の画像を読み取り、記憶部に読み取った原稿の画像データを出力するスキャナ工程と、
前記コンタクトガラスの原稿載置面の反対面側から該コンタクトガラスに対して画像情報を投影するプロジェクタ工程と、
前記調光ガラス部に印加する電圧を制御する制御工程と、を備え、
前記スキャナ工程中では、前記制御工程は、前記コンタクトガラスの透過率が高くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ工程は、前記コンタクトガラスへの画像情報の投影を停止し、
前記スキャナ工程外では、前記制御工程は、前記コンタクトガラスの透過率が低くなるように制御すると共に、前記プロジェクタ工程は、画像情報として前記記憶部が記憶する画像データを前記コンタクトガラスに投影し第1の画像表示を行うことを特徴とする画像読取方法。
【請求項16】
前記プロジェクタ工程は、前記記憶部が記憶する画像データに基づいて、サムネイル表示を、または画像処理、印刷する画像として選択された画像表示を投影して、前記第1の画像表示を行うことを特徴とする請求項15に記載の画像読取方法。
【請求項17】
前記プロジェクタ工程は、前記選択された画像表示を印刷する画像サイズで投影することを特徴とする請求項16に記載の画像読取方法。
【請求項18】
画像情報を表示する表示工程と、
前記スキャナ部の読み取り実行および前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作を設定する操作工程と、をさらに備え、
前記表示工程は、前記第1の画像表示を縮小した第2の画像表示を表示し、
前記操作工程の前記記憶部が記憶する画像データに対する画像処理動作の設定は、前記第1の画像表示及び前記第2の画像表示に連動してなることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の画像読取方法を備えることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−193311(P2011−193311A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58763(P2010−58763)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】