説明

画像読取装置

【課題】 フィルムをドキュメントスキャナーで読み取ることは不可能だった。
【解決手段】 第1読取部にて反射原稿用に第1発光部からの光を当てて反射原稿の第1面を読み取り、第2読取部にて反射原稿用に第2発光部からの光を当てて反射原稿の第1面とは逆の第2面を読み取ることが可能である。また、駆動機構は、上記第1読取部の少なくとも一部を変化させることで焦点距離を変化させることが可能である。このため、制御部は上記駆動機構を制御することで、原稿を透過した光を用いて読み取りできる位置へ上記第1読取部の少なくとも一部を変化させる。このような変化後には、上記第1読取部は原稿を透過した光を用いて読み取りをできることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、両面同時読取可能なラインセンサーを備える画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムスキャンを行うにはフィルムフォルダーを使用する構造上、被写界深度を稼ぐ必要があり、CCDセンサーを用いていた。また、フィルムは透過原稿のため、CCDセンサーに対し、原稿を挟んだ反対側に光源が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−77867号公報
【特許文献2】特開2004−126284号公報
【特許文献3】特開平5−122447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CCDセンサーによるフィルムスキャナーは用途がフィルムスキャンに限定されるので、仕事で利用する人であったり、専門的な趣味を持つユーザでないと購買しづらかった。
一方、二つのラインセンサーを対面させたドキュメントスキャナーの利用が延びている。しかし、この種のラインセンサーは被写界深度が浅いのでフィルムフォルダーにフィルムを挟んだ状態では焦点距離が合わないし、透過原稿用の光源が無いので読み取りも不可能である。
【0005】
本発明は、利便性の高い画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像読取装置では、第1読取部にて反射原稿用に第1発光部からの光を当てて反射原稿の第1面を読み取り、第2読取部にて反射原稿用に第2発光部からの光を当てて反射原稿の第1面とは逆の第2面を読み取ることが可能である。また、駆動機構は、上記第1読取部の少なくとも一部を変化させることで焦点距離を変化させることが可能である。このため、制御部は上記駆動機構を制御することで、原稿を透過した光を用いて読み取りできる位置へ上記第1読取部の少なくとも一部を変化させる。このような変化後には、上記第1読取部は原稿を透過した光を用いて読み取りをできることになる。
【0007】
また、上記制御部は、読取対象が反射原稿から透過原稿に切り替わった場合に、上記第2発光部の発光量を変化させるように構成することができる。第2発光部は第1読取部に対して透過原稿の反対側に位置しており、第2発光部の光が原稿を透過して第1読取部にて読み取られる。読取対象が反射原稿から透過原稿に切り替わった場合には、その受光量が適切となる様に、上記制御部が上記第2発光部の発光量を変化させる。
【0008】
ここで、上記第1読取部は、読取対象の相対移動方向に対して幅方向に配向された第1ラインセンサーを備えると共に、上記第1発光部は当該第1ラインセンサーと略等長に一体的に形成され、同第1発光部が読取対象に光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に上記第1ラインセンサーが対面して形成され、上記第2読取部は、読取対象の相対移動方向に対して幅方向に配向された第2ラインセンサーを備えると共に、上記第2発光部は当該第2ラインセンサーと略等長に一体的に形成され、同第2発光部が読取対象に光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に上記第2ラインセンサーが対面して形成され、上記第1読取部と上記第2読取部は、互いに上記第1発光部と上記第2発光部とが対面し、上記第1ラインセンサーと上記第2ラインセンサーとが対面する位置関係を基本位置とし、上記駆動機構は、この基本位置から少なくとも上記第1ラインセンサーを移動させるように構成することができる。
【0009】
この構成では、第1読取部と第2読取部は間に読取部を挟む様に対面して配置されている。それぞれ互いに、読取対象の相対移動方向に対して幅方向に配向された第1ラインセンサーと第2ラインセンサーとを備え、これらと略等長に一体的に形成された上記第1発光部と第2発光部とが両者の間に位置する読取対象に光を当てる。反射原稿を想定して、第1発光部と第2発光部の光が同伴者原稿を照射すると、その反射光は所定の焦点距離を隔てた位置に対面して形成されている上記第1ラインセンサーと第2ラインセンサーに入光するので正確な像が読み取られることになる。反射原稿を読取対象とするときにはこの基本位置で読み取りが行われる。そして、上記駆動機構はこの基本位置から少なくとも上記第1ラインセンサーを移動させることで、移動後には、上記第1読取部は原稿を透過した光を用いて読み取りをできることになる。
【0010】
より具体的な移動として、上記駆動機構は、上記第1読取部の全体を移動させるにあたり、上記第1ラインセンサーが上記第2発光部に対面すると共に、読取対象の位置が上記基本位置における位置よりも所定距離だけ上記第1読取部よりも遠方側の所定位置へ移動することに伴って、当該所定位置に対する焦点距離となる移動位置へ移動させるように構成することができる。
【0011】
この構成では、上記駆動機構は上記第1読取部の全体を移動させる。すなわち、上記第1ラインセンサーが上記第2発光部に対面することとする。また、フィルムフォルダーに保持されたフィルムを間に挟むことになると、読取対象の位置は上記基本位置における位置よりも所定距離だけ上記第1読取部よりも遠方側の所定位置へ移動する。従って、この遠方側の所定位置への移動によってもなお焦点距離がずれない様に、当該所定位置に対する焦点距離となる移動位置へ移動させる。すなわち、第1ラインセンサーが第2発光部に対面しつつ、読取対象に近接する移動を行う。これによって光源の確保と、焦点距離の確保という二つの機能を行う。
【0012】
ここで、上記第1読取部は、読取対象の側に向けて開口する断面コ字状のフレーム内にて段差を有するカム部材に載置される様に収容され、同カム部材が上記フレームに対して上記読取対象の相対移動方向に前後動するときに、載置された上記第1読取部を、上記基本位置から上記移動位置へ移動させるカム機構を構成させることができる。

読取対象の側に向けて開口する断面コ字状のフレーム内に第1読取部が収容され、かつ、同第1読取部は段差を有するカム部材に載置されている。そして、同カム部材が上記フレームに対して上記読取対象の相対移動方向に前後動することで、載置された上記第1読取部を、上記基本位置から上記移動位置へ移動させる。
【0013】
より具体的な動作として、上記カム部材は、上記読取対象の下流側に移動した状態で、上記第1読取部を最も低い位置でかつ上記読取対象の下流側の位置に保持する第1段部と、上記カム部材が上記読取対象の上流側に移動されるときには上記第1読取部を上記読取対象の側に押し上げつつ同読取対象の上流側に移動させる第2段部を備える構成とすることができる。
【0014】
基本位置では、上記カム部材は上記読取対象の下流側に移動した状態となり、このときには、第1段部により上記第1読取部を最も低い位置でかつ上記読取対象の下流側の位置に保持する。一方、上記カム部材が上記読取対象の上流側に移動されると、第2段部により上記第1読取部を上記読取対象の側に押し上げつつ同読取対象の上流側に移動させる。このように第1段部と第2段部を有する形状としたカム部材が読取対象の送り方向にそって移動することで上記第1読取部は読取対象に応じた最適な位置に保持されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、相対面するタイプの読取部を備えた画像読取装置で、間に反射原稿を挟んだ両面の同時読取の様な画像読取に加え、間にフィルムフォルダーなどに保持されたフィルムを透過原稿とする画像読取も行うことが可能となる。
また、簡易な構成で両者の機能を実現する機構からなる画像読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像読取装置を適用したドキュメントスキャナーの正面図である。
【図2】第1の読取ユニットと第2の読取ユニットの概略的な位置関係を示す図である。
【図3】第1の読取ユニットを移動させるための駆動機構の要部を概略的に示す図である。
【図4】第1の読取ユニットを移動させるための駆動機構の要部を概略的に示す図である。
【図5】フィルムフォルダーの斜視図である。
【図6】フィルムフォルダーの断面図である。
【図7】フィルムフォルダーを利用した透過原稿読取における第1の読取ユニットと第2の読取ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像読取装置を同時両面読取可能なドキュメントスキャナーを正面図により示している。
同図において、本ドキュメントスキャナー10は、下部筺体部11と、上部ADFユニット12とを備えている。下部筺体部11は天面にガラス面を配置した筺体内に図面上幅方向に移動可能で、図面上奥行き方向に長い第1の読取ユニット(第1読取部)13を有している。同第1の読取ユニット13の詳細は後述するが、図に波線にて示す固定位置にて静止して読み取りを行うADF読取モードと、上記ガラス面の下方で移動しながら読み取りを行うフラットベッド読取モードで使用することができる。上部ADFユニット12は、全体的に下部筺体部11の上面全体を覆う形状であり、上方の原稿載置トレイ14上に置かれた原稿を上方から1枚ずつ吸い込み、図面上の矢印と一点鎖線で示す様に上方から左方へ吸引した後、先端を下方から右方へと反転させ、波線にて示す第2の読取ユニット(第2読取部)15の下方を通し、更に右方の原稿排紙位置16へと排出する。
【0018】
これらの基本的な駆動や読み取りの制御は、下部筺体部11内の制御部17が行っている。具体的な機構はこの種の既存の画像読取装置における機構を利用可能であり、詳細は省略する。
図2は、第1の読取ユニット13と第2の読取ユニット15の概略的な位置関係を示している。なお、第1の読取ユニット13については波線で示す反射原稿位置と実線で示す透過原稿位置とのいずれの位置で読み取りを行う。まず、各ユニット13,15の構成について説明する。第1の読取ユニット13は上方に透過面を有しており、図示右方には上方に読取面を配置した第1ラインセンサー13aが配置されている。この第1ラインセンサー13aの被写界深度は浅いが、反射原稿位置に置かれた場合にはガラス面の上面に接する様にして供給される反射原稿の表面である第1面までの距離がちょうど焦点距離と一致する様な位置関係となっている。
【0019】
第1ラインセンサー13aは図面の奥行き方向に所定画素数分だけ並べて形成されている。上述した様に反射原稿が供給されると、この供給方向を基準として当該反射原稿の幅方向に沿って第1ラインセンサー13aは配向されることになる。第1ラインセンサー13aの左方の空間にはLEDからなる第1発光部13bが図面の奥行き方向に複数個だけほぼ第1ラインセンサー13aと等長となる様に配設されている。第1発光部13bは上述した反射原稿の表面に所定の照明光を照射するものであり、照射ムラが生じない様に空間内の反射面を照らし、その反射光で上記反射原稿の表面を間接照明する様に形成されている。図に示す様に第1ラインセンサー13aが右方に、第1発光部13bが左方に位置する様に両者は一体的に形成されている。
【0020】
第2の読取ユニット15の構成は、第1の読取ユニット13に対して、上記反射原稿を挟んだ面対称となる様な位置関係になっており、第2ラインセンサー15aと第2発光部15bの構成もほぼ一致している。第2ラインセンサー15aについても、上述した反射原稿における逆の面の第2面までの距離が焦点距離と一致する位置関係となっている。
かかる構成において、第1の読取ユニット(第1読取部)13は、反射原稿用に第1発光部13bからの光を当てて反射原稿の第1面を読み取る。このため、第1の読取ユニット13は、読取対象である反射原稿の相対移動方向に対して幅方向に配向された第1ラインセンサー13aを備えると共に、第1発光部13bはこの第1ラインセンサー13aと略等長に一体的に形成されている。そして、第1発光部13bが反射原稿に照明光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に第1ラインセンサー13aが対面することになる。
【0021】
また、第2の読取ユニット(第2読取部)15については、反射原稿用に第2発光部15bからの光を当てて反射原稿の第2面を読み取るものであり、反射原稿の相対移動方向に対して幅方向に配向された第2ラインセンサー15aを備えると共に、第2発光部15bはこの第2ラインセンサー15aと略等長に一体的に形成され、同第2発光部15bが反射原稿に照明光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に第2ラインセンサー15aが対面することになる。
【0022】
第1の読取ユニット13が波線で示す反射原稿位置にあるときは、第2の読取ユニット15とほぼ真正面に対面している。従って、互いに第1発光部13bと第2発光部15bとが対面し、第1ラインセンサー13aと第2ラインセンサー15aとが対面する位置関係となるから、これが基本位置となる。
図3と図4は、第1の読取ユニット13を移動(変化)させるための駆動機構の要部を概略的に示している。図では波線で第1の読取ユニット13を示しており、断面コ字状のフレーム18内でカム部材19上に載置されている。
【0023】
フレーム18は、ガラス面の側、すなわち、読取対象の側に向けて開口する断面コ字状に形成されている。断面コ字状となっているので、上方が開口し第1ラインセンサー13aの読取光の受光経路を遮らない様になっている。カム部材19は以下の様な機能を有する段差を有する形状となっている。まず、カム部材19は、上述した様に反射原稿が供給される方向に往復動可能となっている。そして、図3に示す様に、この反射原稿の供給路における下流側に移動した状態では、第1の読取ユニット13を最も低いに保持する第1段部19aを有しているとともに、上流側に移動した状態では第1の読取ユニット13を最も反射原稿の側に押し上げる第2段部19bを有している。図面上では左方(上流側)に低い第1段部19aが形成され、右方(下流側)に高い第2段部19bが形成され、両者間には両者をなだらかに接続するための傾斜部19cが形成されている。
【0024】
第1の読取ユニット13はフレーム18で上流側と下流側との間の短い距離でのみ移動可能であり、カム部材19がめいっぱい下流側に移動すると第2段部19bがフレーム18の外部に出るので、第1の読取ユニット13は自ずから最も低い位置であってフレーム18内でもっとも下流側の位置に移動する。これが基本位置である。これに対して、カム部材19が上流側に移動すると、第1の読取ユニット13は傾斜部19cに沿って摺り上がり、第2段部19b上に登ると共にカム部材19の移動に伴ってフレーム18内でもっとも上流側に移動する。これが透過原稿位置であり、移動位置とも呼ぶ。このようにして、カム部材19がフレーム18に対して読取対象の相対移動方向に前後動するときに、当該カム部材19に載置された第1の読取ユニット13を、基本位置から移動位置へ移動させるカム機構を構成している。なお、カム部材19の移動に伴って第1の読取ユニット13を確実に上流側と下流側に移動させるための突き当て部19d、19eがそれぞれ第1段部19aの上流側と第2段部19bの下流側に備えられている。
【0025】
フレーム18とカム部材19とからなる駆動機構によって第1の読取ユニット13の全体が移動され、その焦点距離(光路長)は当然に変化することになる。フレーム18からカム部材19がはみ出る様な位置関係としているのは、図示しない駆動機構でフレーム18がガラス面に沿って移動するときに、その両端ではカム部材19が筺体の一部に当接して上述した様にフレーム18に対して相対移動できるようになっている。すなわち、最下流端ではカム部材19が上流側に移動して第1の読取ユニット13を上述した透過原稿位置へ移動させられるし、最上流端ではカム部材19が下流側に移動して第1の読取ユニット13を上述した反射原稿位置へ移動させられる。かかる駆動を制御するのは制御部17であり、このため、当該制御部17は原稿を透過した光を用いて読み取りできる透過原稿位置へ第1の読取ユニット13を移動させるように駆動機構を制御することになる。
【0026】
次に、透過原稿位置での読み取りについて説明する。
図5はフィルムフォルダーを斜視図により示しており、図6は断面図により示しており、図7はフィルムフォルダーを利用した透過原稿読取における第1の読取ユニット13と第2の読取ユニット15の位置関係を概略的に示している。
図5に示す様に、フィルムフォルダー20は3本の短冊形状のフィルムを収容して保持可能な様に3列の矩形窓21を形成した枠状に形成されている。図6は各矩形窓21の断面を示しており、フィルムの幅方向の両端を載置可能な様に下方側がやや幅狭に形成され、上方側はフィルムを挿入できる様にやや幅広に形成されるように、厚み方向の中程の段部21aを備えている。また、フィルムがずれない様に幅広側となる側の側壁には小突起21bが形成されている。フィルムフォルダー20にフィルムを収容した状態で上記ガラス面に載置したとすると、フィルムフォルダー20の下面から上記段部21aまでの厚み21cだけフィルムはガラス面から離れることになる。この厚み21cはラインセンサーにとっては十分に影響のある距離である。
【0027】
ここで図7を参照すると、フィルムがフィルムフォルダー20に収容されてガラス面に載置されたときに、上述した様に第1の読取ユニット13が駆動機構によって基本位置(反射原稿位置)から移動位置(透過原稿位置)へ移動すると、第1の読取ユニット13は第1段部19aと第2段部19bの段差分だけガラス面の側に近接することになる。すなわち、段差分の距離と上述した厚み21cとが一致すれば第1の読取ユニット13における第1ラインセンサー13aの焦点距離にフィルムが位置することになる。
【0028】
すなわち、フィルムがフィルムフォルダーに収容されてガラス面上に載置されたとき、言い換えると読取対象の位置が基本位置における位置よりも厚み21cの距離だけ第1の読取ユニット13よりも遠方側の所定位置へ移動するが、これに伴って駆動機構によって第1の読取ユニット13自身が当該所定位置に対する焦点距離となる移動位置へ移動させられることになる。この結果、被写界深度の浅い第1ラインセンサー13aを備えながらも、第1の読取ユニット13はフィルムに対する焦点距離を保持できる。
【0029】
また、フィルムは透過原稿であるからこれを読み取るためには照明光が必要である。上記カム機構においてカム部材19がフレーム18に対して相対移動するとき、第1の読取ユニット13は上下動のみならず、フレーム18の幅の範囲で上流側の移動位置と、下流側の基本位置との間で移動可能である。基本位置では第1の読取ユニット13の第1ラインセンサー13aは上方に位置する第2の読取ユニット15の第2ラインセンサー15aに対面しているが、移動位置まで上流側に移動すると、第1ラインセンサー13aは第2の読取ユニット15における第2発光部15bに対面する位置関係となる。すなわち、駆動機構は、第1の読取ユニット13の全体を移動させることで、第1ラインセンサー13aが第2発光部15bに対面する位置へも移動させることになる。
【0030】
この結果、第2発光部15bの照射光は間に位置することになる透過原稿を透過し、焦点距離だけ隔てた位置に待機する第1ラインセンサー13aに受光されるので、第1ラインセンサー13aは透過原稿の画像を読み取ることができる。また、このような透過原稿のための照明ユニットは本来は個別に用意しなければならないが、上述した様な構成とすることで第2の読取ユニット15の第2発光部15bを利用でき、個別のものを要しない。
【0031】
なお、透過原稿の読み取りに必要な光量が反射原稿の読み取りに必要な光量よりも多い様であれば、制御部17は上述した移動の制御に加え、第2の読取ユニット15における第2発光部15bの発光量を多くさせるようにしてもよい。また、その逆も可能である。すなわち、制御部は、読取対象が反射原稿から透過原稿に切り替わった場合に、第2発光部15bの発光量を変化させることになる。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、レンズを差し替えることや液体レンズを制御することで焦点距離を変化させるようにしても良い。
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
【0033】
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0034】
10…ドキュメントスキャナー、11…下部筺体部、12…上部ADFユニット、13…第1の読取ユニット(第1読取部)、13a…第1ラインセンサー、13b…第1発光部、14…原稿載置トレイ、15…第2の読取ユニット(第2読取部)、15a…第2ラインセンサー、15b…第2発光部、16…原稿排紙位置、17…制御部、18…フレーム、19…カム部材、19a…第1段部、19b…第2段部、19c…傾斜部、19d,19e…突き当て部、20…フィルムフォルダー、21…矩形窓、21a…段部、21b…小突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射原稿用に第1発光部からの光を当てて反射原稿の第1面を読み取る第1読取部と、
反射原稿用に第2発光部からの光を当てて反射原稿の第1面とは逆の第2面を読み取る第2読取部と、
上記第1読取部の少なくとも一部を変化させることで、焦点距離を変化させる駆動機構と、
原稿を透過した光を用いて読み取りできる位置へ上記第1読取部の少なくとも一部を変化させるように上記駆動機構を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記制御部は、読取対象が反射原稿から透過原稿に切り替わった場合に、上記第2発光部の発光量を変化させることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記第1読取部は、読取対象の相対移動方向に対して幅方向に配向された第1ラインセンサーを備えると共に、上記第1発光部は当該第1ラインセンサーと略等長に一体的に形成され、同第1発光部が読取対象に光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に上記第1ラインセンサーが対面して形成され、
上記第2読取部は、読取対象の相対移動方向に対して幅方向に配向された第2ラインセンサーを備えると共に、上記第2発光部は当該第2ラインセンサーと略等長に一体的に形成され、同第2発光部が読取対象に光を当てるとその想定される反射光と所定の焦点距離を隔てた位置で受光する様に上記第2ラインセンサーが対面して形成され、
上記第1読取部と上記第2読取部は、互いに上記第1発光部と上記第2発光部とが対面し、上記第1ラインセンサーと上記第2ラインセンサーとが対面する位置関係を基本位置とし、
上記駆動機構は、この基本位置から少なくとも上記第1ラインセンサーを移動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記駆動機構は、上記第1読取部の全体を移動させるにあたり、上記第1ラインセンサーが上記第2発光部に対面すると共に、読取対象の位置が上記基本位置における位置よりも所定距離だけ上記第1読取部よりも遠方側の所定位置へ移動することに伴って、当該所定位置に対する焦点距離となる移動位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記第1読取部は、読取対象の側に向けて開口する断面コ字状のフレーム内にて段差を有するカム部材に載置される様に収容され、同カム部材が上記フレームに対して上記読取対象の相対移動方向に前後動するときに、載置された上記第1読取部を、上記基本位置から上記移動位置へ移動させるカム機構を構成していることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
上記カム部材は、上記読取対象の下流側に移動した状態で、上記第1読取部を最も低い位置でかつ上記読取対象の下流側の位置に保持する第1段部と、上記カム部材が上記読取対象の上流側に移動されるときには上記第1読取部を上記読取対象の側に押し上げつつ同読取対象の上流側に移動させる第2段部を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−195879(P2012−195879A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59814(P2011−59814)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】