説明

画像読取装置

【課題】導光体の反射/拡散面からの光の漏れを防止することができるとともに、導光体の出射面における出射光量の主走査方向でのばらつきを確実に防止することができる仕組みを提供する。
【解決手段】画像読取装置は、原稿に向けて光を照射する照明ユニット108を備える。照明ユニット108は、主走査方向に沿って配置され、副走査方向の一側に光が入射される入射面307を有するとともに、副走査方向の他側に原稿に向けて光を照射する出射面308を有し、入射面307の側に、出射面308の反対側に突出する突起部306bが設けられる導光体301bと、入射面307に光を入射させる光源302が実装され、導光体301bより剛性が低い部材で形成されて、導光体301bに固定される基板303bと、導光体301bを支持するベース部材300と、導光体301bの突起部306bをベース部材300に固定する固定部材305bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機やファクシミリ等に用いられる画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等に用いられる画像読取装置では、原稿に光を照射する照明ユニットとして、導光体を用いたものがある。導光体は、一般に、透明な樹脂材等で形成されて主走査方向に細長い形状とされ、副走査方向の一側の入射面にLED等の光源が主走査方向に沿って所定の間隔で複数配置される。そして、光源で発光した光は、入射面から導光体に入射され、反射/拡散面で反射/拡散されながら副走査方向の他側の出射面から原稿に向けて照射される。
【0003】
ところで、このような導光体では、透明な樹脂材等で成形されることから、成形後にソリが発生して、導光体の入射面と光源との位置がずれ、出射面からの出射光量が主走査方向でばらついて光量ムラが発生することがある。このため、導光体を固定部材で押さえることで、出射面における主走査方向での出射光量のばらつきを防止している。しかし、固定部材で押える箇所が導光体の反射面/拡散面であり、また、導光体と固定部材とが密着した状態で固定されているため、導光体内の光が全反射せずに導光体と固定部材との接触部分から外部へと光が漏れ、光量をロスしてしまう問題があった。
【0004】
そこで、導光体を押さえる固定部材として、反射率の優れた白色樹脂部材を用いて導光体をケース側に押しつける技術が提案されている(特許文献1)。また、導光体の入射面に突設した突起部を接着剤やネジ等で光源基板に固定する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−52135号公報
【特許文献2】特開2007−163567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、反射率の優れた固定部材で導光体を押さえることで、導光体と固定部材との接触部分から外部へ漏れる光の量を低減させてはいるが、固定部材で導光体の反射面/拡散面を押えることに変わりはなく、光量ロスは避けられない。
【0007】
また、上記特許文献2では、導光体の入射面に突設した突起部を光源基板に固定することで、反射/拡散面からの光の漏れを防止しているが、導光体に対する光源基板の剛性が高いため、導光体の入射面と光源との位置ずれが発生しやすい。このため、導光体の出射面における出射光量が主走査方向でばらついて光量ムラが発生するのを確実に防止することができない。
【0008】
そこで、本発明は、導光体の反射/拡散面からの光の漏れを防止することができるとともに、導光体の出射面における出射光量の主走査方向でのばらつきによる光量ムラを確実に防止することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、原稿に向けて光を照射する照明ユニットを備える画像読取装置であって、前記照明ユニットは、主走査方向に沿って配置され、副走査方向の一側に光が入射される入射面を有するとともに、副走査方向の他側に前記原稿に向けて光を照射する出射面を有し、前記入射面の側に、前記出射面の反対側に突出する突起部が設けられる導光体と、前記入射面に光を入射させる光源が実装され、前記導光体より剛性が低い部材で形成されて、前記導光体に固定される基板と、前記導光体を支持するベース部材と、前記導光体の前記突起部を前記ベース部材に固定する固定部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導光体の反射/拡散面からの光の漏れを防止することができるとともに、導光体の出射面における出射光量の主走査方向でのばらつきによる光量ムラを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像読取装置の概略断面図である。
【図2】照明ユニットの斜視図である。
【図3】照明ユニットの平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】導光体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態の一例である画像読取装置の概略断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置は、枠体102の上部に、原稿を載置する原稿台ガラス101が支持されている。枠体102の内部には、原稿を走査する走査ユニット103、走査ユニット103を副走査方向に移動させるベルト104、ベルト104を駆動するプーリ105、およびプーリ105を回転させるモータ106が設けられている。
【0015】
走査ユニット103は、キャリッジ枠体107を備え、キャリッジ枠体107には、照明ユニット108、反射ミラー109〜111、結像レンズ112、CCDセンサ113、およびCCDセンサ113を駆動する電装基板114が一体に搭載されている。
【0016】
そして、原稿の画像を読み取る際には、照明ユニット108から原稿に向けて光を照射しながら、モータ106を駆動してプーリ105を回転させ、ベルト104によって走査ユニット103を副走査方向に移動させる。
【0017】
照明ユニット108から原稿に照射された光は、原稿面で反射/拡散し、反射ミラー109〜111によって結像レンズ112に導かれる。結像レンズ112で結像した光は、CCDセンサ113で光電変換されて、電気的に読み取られる。
【0018】
次に、図2〜図6を参照して、照明ユニット108について詳しく説明する。図2は照明ユニット108の斜視図、図3は照明ユニット108の平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図4の部分拡大図、図6は導光体301a,301bの斜視図である。
【0019】
図2〜図5に示すように、照明ユニット108は、ベース部材300、導光体301a,301b、LED302、LED基板303a,303b、第1の固定部材304a,304b、および第2の固定部材305a,305bを備える。ここで、LED302は、本発明の光源の一例に相当する。
【0020】
導光体301a,301bは、それぞれ透明な樹脂材等の成形品とされて、主走査方向に細長い形状とされ、副走査方向の一側の面がLED302で発光された光が入射する入射面307とされ、副走査方向の他側の面が出射面308とされている。
【0021】
入射面307から導光体301a,301bの内部に入射した光は、反射/拡散面309〜312(図5参照)で反射/拡散されて出射面308に導かれ、出射面308から原稿に向けて照射される。
【0022】
また、導光体301a,301bの入射面307の長手方向(主走査方向)の略中央部には、図6に示すように、出射面308の反対側に突出する突起部306a,306bがそれぞれ設けられている。
【0023】
導光体301a,301bの長手方向両端部の上面側には、それぞれ凹面部313a,313bが形成され、導光体301a,301bの長手方向両端部の下面側には、それぞれ突き当て部314a,314bが形成されている。
【0024】
凹面部313a,313bおよび突き当て部314a,314bは、共に副走査方向の他側で、導光体としての機能を持たない部分、すなわち入射面307、出射面308、反射/拡散面309〜312ではない部分に配置される。
【0025】
LED基板303a,303bは、導光体301a,301bと同様に、主走査方向に長い形状とされており、その表面には、LED302が長手方向に所定の間隔で複数個実装されている。
【0026】
LED302が実装されたLED基板303a,303bは、導光体301a,301bに接着剤等によって固定される。かかる固定状態においては、LED302は、導光体301a,301bの入射面307に接するように配置される。
【0027】
また、LED基板303a,303bは、導光体301a,301bの形状に倣わせて接着固定させるために、導光体301a,301bよりも剛性の低いフレキシブル基板等の柔軟性のある部材で形成されている。
【0028】
第1の固定部材304a,304bは、板バネ等の弾性部材で形成されている。第1の固定部材304a,304bは、導光体301a,301bの長手方向両端部の上面側に形成された凹面部313a,313bを押さえた状態で、導光体301a,301bをベース部材300に押し付けるように固定する。
【0029】
このとき、導光体301a,301bの長手方向両端部の下面側に形成された突き当て部314a,314bは、ベース部材300に当接して導光体301a,301bとベース部材300との位置を保証している。
【0030】
第2の固定部材305a,305bは、板バネ等の弾性部材で形成されている。第2の固定部材305a,305bは、導光体301a,301bの長手方向の略中央部に設けられた突起部306a,306bを押えた状態で、導光体301a,301bをベース部材300に押し付けるように固定する。
【0031】
ここで、導光体301a,301bを支持するベース部材300は、導光体301a,301bよりも剛性の高い金属等の部材で形成されている。このため、導光体301a,301bをベース部材300に固定することで、導光体301a,301bのソリを矯正することができるとともに、LED302やLED基板303a,303bで発生した熱を放熱することができる。
【0032】
また、本実施形態では、第1の固定部材304a,304bおよび第2の固定部材305a,305bは、導光体301a,301bの長手方向の熱膨張/熱収縮による伸縮が可能に導光体301a,301bをベース部材300に固定する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、LED302が実装されたLED基板303a,303bの剛性を導光体301a,301bよりも低くし、LED基板303a,303bを導光体301a,301bの形状に倣わせて固定している。これにより、導光体301a,301bの入射面307とLED302との位置ずれが防止される。この結果、導光体301a,301bの出射面308における出射光量が主走査方向でばらついて光量ムラが発生するのを確実に防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では、導光体301a,301bの入射面307の長手方向の略中央部に出射面308の反対側に突出する突起部306a,306bを設け、突起部306a,306bを第2の固定部材305a,305bによりベース部材300に固定している。これにより、導光体301a,301bの反射/拡散面309〜312からの光の漏れを防止することができる。
【0035】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
108 照明ユニット
300 ベース部材
301a,301b 導光体
302 LED
303a,303b LED基板
305a,305b 第2の固定部材
306a,306b 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に向けて光を照射する照明ユニットを備える画像読取装置であって、
前記照明ユニットは、
主走査方向に沿って配置され、副走査方向の一側に光が入射される入射面を有するとともに、副走査方向の他側に前記原稿に向けて光を照射する出射面を有し、前記入射面の側に、前記出射面の反対側に突出する突起部が設けられる導光体と、
前記入射面に光を入射させる光源が実装され、前記導光体より剛性が低い部材で形成されて、前記導光体に固定される基板と、
前記導光体を支持するベース部材と、
前記導光体の前記突起部を前記ベース部材に固定する固定部材と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記固定部材は、弾性部材で形成され、前記導光体の主走査方向の熱膨張/熱収縮による伸縮が可能に前記導光体を前記ベース部材に固定することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光源は、前記基板に対して主走査方向に間隔をもって複数個実装され、前記基板が前記導光体に固定された際に、前記入射面に接することを特徴とする請求項1又は2の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−9099(P2013−9099A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139587(P2011−139587)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】