説明

画像転送装置及びプログラム

【課題】文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させる。
【解決手段】出力先装置における要求画質レベルCが文字の認識が可能な基準画質レベルB以上の場合には、医用画像生成装置において、画質レベルAの医用画像が要求画質レベルCまで圧縮され、画像転送装置に送信される。画像転送装置では、医用画像上の文字が認識され、文字情報が医用画像に付帯されて、出力先装置に送信される。一方、出力先装置における要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合には、医用画像生成装置において、画質レベルAの医用画像は基準画質レベルBまで圧縮され、画像転送装置に送信される。画像転送装置では、医用画像上の文字が認識され、要求画質レベルCまでさらに圧縮され、文字認識によって得られた文字情報が付帯されて、出力先装置に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像生成装置から送信される医用画像を出力先装置に転送する画像転送装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CT(Computed Tomography)やCR(Computed Radiography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、乳房撮影装置、超音波診断装置等といった様々な画像生成装置によって撮影・生成された医用画像を、フィルムやイメージャに出力するシステムが知られている。
【0003】
また、X線撮影装置等で撮影された医用画像上に患者を識別するためのIDや撮影条件を示す文字の画像を重畳して出力し、このような医用画像から文字認識を行うことによって、医用画像に関する情報を取得し、医用画像に付帯させることも行われている。
【0004】
例えば、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)、RIS(Radiology Information System;放射線情報システム)等の患者受付端末とモダリティとの間に設けられ、患者受付端末から取得した患者情報と画像データから抽出した患者情報とが合致する場合に、画像データに患者情報を付加して画像サーバやイメージャに出力し、両患者情報が一致しない場合には、警告する医用画像転送装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、文字認識を使って同一患者の複数の画像に対して1つのIDを付与することによって、効率よく画像データのファイリング処理、画像データの検索及び再生を行う画像入出力装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−248723号公報
【特許文献2】特開2002−102175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、医用画像生成装置により生成された医用画像上の文字を認識し、認識された文字情報を医用画像に付帯させて転送する画像転送装置において、転送する画像のサイズが大きい場合には、画像の転送に時間がかかっていた。また、転送時間短縮のために、医用画像生成装置において画像を圧縮してから画像転送装置に送信することも考えられるが、圧縮率によっては文字が壊れてしまい、画像転送装置における医用画像の文字認識精度が低くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像圧縮が可能な医用画像生成装置から送信される文字を含む医用画像を出力先装置に転送する画像転送装置において、前記医用画像上の文字を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段により認識された文字情報を前記医用画像に付帯させる付帯手段と、前記出力先装置が要求する要求画質レベルと前記文字認識手段において前記文字の認識が可能な基準画質レベルとを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル以上の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信する画質レベル制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像転送装置において、前記画質レベル制御手段は、前記比較手段による比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル未満の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記基準画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信し、この画質レベル変更命令によって圧縮され送信された医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、コンピュータに、画像圧縮が可能な医用画像生成装置から送信される文字を含む医用画像を出力先装置に転送する機能を実現させるためのプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記医用画像上の文字を認識する文字認識機能と、前記文字認識機能において認識された文字情報を前記医用画像に付帯させる付帯機能と、前記出力先装置が要求する要求画質レベルと前記文字認識機能において前記文字の認識が可能な基準画質レベルとを比較する比較機能と、前記比較機能における比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル以上の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信する画質レベル制御機能と、を実現させるためのプログラムである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のプログラムにおいて、前記画質レベル制御機能は、前記比較機能における比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル未満の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記基準画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信し、この画質レベル変更命令によって圧縮され送信された医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、3に記載の発明によれば、要求画質レベルが基準画質レベル以上の場合に、医用画像生成装置において、医用画像を要求画質レベルに圧縮してから送信させるので、文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させることができる。
【0013】
請求項2、4に記載の発明によれば、要求画質レベルが基準画質レベル未満の場合に、医用画像生成装置において、医用画像を基準画質レベルに圧縮してから送信させるので、文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させることができる。さらに、医用画像を要求画質レベルに圧縮するので、出力先装置に適した医用画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、構成を説明する。
図1に、本発明の実施の形態における画像転送装置4を含む医用画像システム100の構成を示す。
図1に示すように、医用画像システム100は、医用画像生成装置1,2,3、画像転送装置4、フィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8を備えて構成されている。この医用画像システム100は、医用画像生成装置1,2,3で生成された医用画像を、画像転送装置4により、出力先装置としてのフィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8(これらを総称して出力先装置5〜8という。)に出力するものである。
【0015】
以下、各構成装置について説明する。
医用画像生成装置1,2,3は、撮影動作を行うとともに、その撮影により医用画像のデータを生成する。
【0016】
図2に、医用画像生成装置1の内部構成を示す。
図2に示すように、医用画像生成装置1は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、撮影部15、記憶部16、画像メモリ17を備えて構成され、各部はバス18により接続されている。
【0017】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等からなる。制御部11は、記憶部16に記憶されている各種制御プログラムを読み出し、これら制御プログラムに従って医用画像生成装置1の各部の動作を集中制御する。
【0018】
操作部12は、各種操作キーを備えて構成され、これらが操作されると、その操作に対応する操作信号を生成して制御部11に出力する。
【0019】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示ディスプレイを備え、制御部11の表示制御に従って、操作画面や制御部11の処理結果等の各種表示情報を表示する。
【0020】
通信部14は、通信用のインターフェイスを備え、外部装置と相互に通信を行う。
【0021】
撮影部15は、被写体(患者)を撮影して撮影画像を生成する。
医用画像生成装置1がX線撮影装置の場合には、被写体にX線を照射して撮影を行い、そのX線画像を生成する。X線画像はグレー画像で生成される。ここで、グレー画像とは、白、黒の無彩色又はその中間色からなる画像をいう。
【0022】
医用画像生成装置1が超音波/内視鏡撮影装置の場合には、超音波撮影又は内視鏡撮影による撮影画像を生成する。これら撮影画像はカラー画像で生成される。ここで、カラー画像とは、白、黒の無彩色に加え、赤、緑、青等の有彩色又はそれらの中間色からなる画像をいう。
【0023】
記憶部16は、制御プログラムの他、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ、制御部11の処理結果等の各種情報を記憶する。
【0024】
画像メモリ17は、画像を一時的に記憶するためのメモリである。
【0025】
制御部11は、撮影画像上に文字画像を重ねる画像処理を行い、文字を含む医用画像を生成する。例えば、操作部12から入力された撮影対象の患者の患者IDや撮影日、撮影条件等に対応する文字画像を生成して撮影画像上の所定の位置に配置し、撮影画像と合成する。文字画像の配置位置は、例えば撮影画像の上部右上等、撮影画像中の被写体領域との重複が少ない位置に予め設定されている。
【0026】
制御部11は、画像転送装置4から画質レベル変更命令が送信された場合に、医用画像を圧縮して、医用画像の画質レベルを変更する。画質レベルとは、画像の質を示すものであり、医用画像を高い圧縮率で圧縮するほど画質レベルは低くなる。
【0027】
医用画像生成装置2,3は、医用画像生成装置1と同様の構成であるため、同一の構成については同一の符号を付し、図示及び説明を省略する。
【0028】
画像転送装置4は、医用画像生成装置1,2,3から送信される医用画像上の文字を認識し、認識された文字情報を医用画像に付帯させて、フィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8に転送する。
【0029】
図3に、画像転送装置4の内部構成を示す。
図3に示すように、画像転送装置4は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45、画像メモリ46を備えて構成され、各部はバス47により接続されている。
【0030】
制御部41は、CPU、RAM等からなる。制御部41は、記憶部45に記憶されている各種制御プログラムを読み出し、これら制御プログラムに従って画像転送装置4の各部の動作を集中制御する。
【0031】
操作部42は、キーボードやマウス等を備えて構成され、これらが操作されると、その操作に対応する操作信号を生成して制御部41に出力する。
【0032】
表示部43は、LCD等の表示ディスプレイを備え、制御部41の表示制御に従って医用画像の他、操作画面や制御部41の処理結果等の各種表示情報を表示する。
【0033】
通信部44は、通信用のインターフェイスを備え、外部装置と相互に通信を行う。例えば、通信部44は、医用画像生成装置1,2,3から医用画像を受信し、フィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8へ送信する。
【0034】
記憶部45は、制御プログラムの他、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ、制御部41の処理結果等の各種情報を記憶する。例えば、記憶部45は、要求画質テーブル451、圧縮率テーブル452、辞書テーブル453を記憶している。
【0035】
要求画質テーブル451には、図4に示すように、出力先装置5〜8と、その出力先装置5〜8において要求される画質レベルを示す要求画質レベルC(C1,C2,C3,C4)とが対応付けられて記憶されている。ユーザは、予め要求画質テーブル451に、出力先装置毎の要求画質レベルCを登録しておく。
【0036】
圧縮率テーブル452には、図5に示すように、医用画像生成装置1,2,3それぞれにおける画像圧縮処理について、各出力先装置5〜8の要求画質レベルC1,C2,C3,C4及び基準画質レベルBに対応する圧縮率が記憶される。基準画質レベルBとは、画像転送装置4において、文字認識が可能な最低の画質レベルをいう。例えば、医用画像生成装置1において、医用画像生成装置1により生成された医用画像をフィルム出力装置5の要求画質レベルC1に変更する際には、圧縮率D11に基づいて画像圧縮を行う。また、医用画像生成装置2において、医用画像生成装置2により生成された医用画像を基準画質レベルBに変更する際には、圧縮率D25に基づいて画像圧縮を行う。ユーザは、予め圧縮率テーブル452に、各出力先装置5〜8の要求画質レベルCに対応する圧縮率を登録しておく。また、基準画質レベルBに対応する圧縮率は、基準画質レベル決定処理(図8参照)において決定される。
【0037】
辞書テーブル453は、文字認識のための辞書として準備された様々な文字画像(これを辞書画像という。)が設定されたものである。辞書テーブル453には、図6に示すように、辞書画像及びその辞書画像に対応する文字の情報が記憶されている。
【0038】
画像メモリ46は、画像を一時的に記憶するためのメモリである。
【0039】
制御部41は、医用画像上の文字を認識し、認識された文字情報を医用画像に付帯させる。
【0040】
制御部41は、出力先装置5〜8が要求する要求画質レベルCと基準画質レベルBとを比較し、要求画質レベルCが基準画質レベルB以上の場合に、医用画像の画質レベルAを要求画質レベルCに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を医用画像生成装置1,2,3のうち送信元として指定された医用画像生成装置に送信する。
【0041】
また、制御部41は、要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合に、医用画像の画質レベルAを基準画質レベルBに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を医用画像生成装置1,2,3のうち送信元として指定された医用画像生成装置に送信する。そして、この画質レベル変更命令によって圧縮され送信された医用画像をさらに圧縮することにより、医用画像の画質レベルを要求画質レベルCに変更する。
【0042】
フィルム出力装置5は、画像転送装置4から転送された医用画像をフィルム媒体に出力する。
【0043】
表示装置6は、画像転送装置4から転送された医用画像を表示ディスプレイに出力する。
【0044】
プリンタ7は、画像転送装置4から転送された医用画像を紙媒体に出力する。
【0045】
画像サーバ8は、大容量メモリを備え、このメモリに画像転送装置4から転送された医用画像を保存し、その入出力を管理する。
【0046】
図7に、出力先装置5〜8における要求画質レベルCに応じた医用画像の転送方法を模式的に示す。図7(a)は、出力先装置5〜8における要求画質レベルCが医用画像生成装置1〜3において生成される医用画像の画質レベルAと等しい場合の例である。この場合には、医用画像生成装置1〜3において、医用画像は圧縮されずに画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、画質レベルAの状態で医用画像が受信され、文字認識が行われ、文字認識によって得られた文字情報が医用画像に付帯されて、出力先装置5〜8に送信される。
【0047】
図7(b)は、出力先装置5〜8における要求画質レベルCが基準画質レベルB以上であって、かつ、医用画像生成装置1〜3において生成される医用画像の画質レベルA未満である場合の例である。この場合には、医用画像の画質レベルAを要求画質レベルCに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令が、画像転送装置4から医用画像生成装置1〜3に送信される。医用画像生成装置1〜3において、画質レベルAの医用画像は要求画質レベルCまで圧縮され、画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、要求画質レベルCの医用画像が受信され、文字認識が行われ、文字認識によって得られた文字情報が医用画像に付帯されて、出力先装置5〜8に送信される。
【0048】
図7(c)は、出力先装置5〜8における要求画質レベルCが基準画質レベルBと等しく、かつ、医用画像生成装置1〜3において生成される医用画像の画質レベルA未満である場合の例である。この場合には、医用画像の画質レベルAを要求画質レベルC(基準画質レベルB)に変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令が、画像転送装置4から医用画像生成装置1〜3に送信される。医用画像生成装置1〜3において、画質レベルAの医用画像は要求画質レベルCまで圧縮され、画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、要求画質レベルCの医用画像が受信され、文字認識が行われ、文字認識によって得られた文字情報が医用画像に付帯されて、出力先装置5〜8に送信される。
【0049】
図7(d)は、出力先装置5〜8における要求画質レベルCが基準画質レベルB未満であって、かつ、医用画像生成装置1〜3において生成される医用画像の画質レベルA未満である場合の例である。この場合には、医用画像の画質レベルAを基準画質レベルBに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令が、画像転送装置4から医用画像生成装置1〜3に送信される。医用画像生成装置1〜3において、画質レベルAの医用画像は基準画質レベルBまで圧縮され、画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、基準画質レベルBの医用画像が受信され、文字認識が行われる。そして、要求画質レベルCまでさらに圧縮され、文字認識によって得られた文字情報が付帯されて、出力先装置5〜8に送信される。
【0050】
次に、動作について説明する。
図8は、画像転送装置4により実行される基準画質レベル決定処理を示すフローチャートである。基準画質レベル決定処理は、画像転送装置4において、各医用画像生成装置1,2,3に対して、基準画質レベルBに対応する圧縮率を決定する処理である。ここでは、医用画像生成装置1についての基準画質レベルBに対応する圧縮率を決定する場合を例にして説明する。基準画質レベル決定処理は、制御部41と記憶部45に記憶されているプログラムとの協働により実現されるソフトウェア処理である。
【0051】
まず、医用画像生成装置1により、文字を含む医用画像が生成され、圧縮されない状態で画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、圧縮されていない文字を含む医用画像が受信され(ステップS1)、受信された画像に基づいて、辞書テーブル453の登録が行われる(ステップS2)。
【0052】
次に、医用画像生成装置1により、文字を含む医用画像が、低圧縮から高圧縮の複数の段階でそれぞれ圧縮され、画像転送装置4に送信される。画像転送装置4では、低圧縮から高圧縮の複数の段階で圧縮された画像が受信され(ステップS3)、それぞれの画像に対して文字認識が行われる(ステップS4)。
【0053】
次に、圧縮率毎に文字認識率が保存され(ステップS5)、文字認識率が100%となる最高圧縮率が抽出される(ステップS6)。そして、この最高圧縮率が基準画質レベルBに対応する圧縮率D15として決定され、圧縮率テーブル452に保存される(ステップS7)。
【0054】
医用画像生成装置2,3についても同様の処理が行われ、基準画質レベルBに対応する圧縮率D25,D35が決定される。
【0055】
次に、図9を参照して、医用画像システム100において実行される画像転送処理を説明する。画像転送処理は、医用画像生成装置1,2,3のいずれかの医用画像生成装置により生成された医用画像を、画像転送装置4により、フィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8のいずれかの出力先装置へ転送する処理である。ここでは、出力先装置5〜8が要求する要求画質レベルCが医用画像生成装置1〜3により生成される医用画像の画質レベルA未満であることを前提とする。
【0056】
医用画像生成装置1,2,3における処理は、制御部11と記憶部16に記憶されているプログラムとの協働により実現される。画像転送装置4における処理は、制御部41と記憶部45に記憶されているプログラムとの協働により実現される。
【0057】
医用画像生成装置1,2,3において、撮影部15により、患者の撮影が行われると、その撮影画像が生成される(ステップT1)。そして、撮影時に技師により操作部12から入力された患者ID等の入力情報に応じた文字画像が生成され、撮影画像上の所定の位置に合成されて、文字を含む医用画像が生成される(ステップT2)。
【0058】
一方、画像転送装置4では、ユーザの操作部42からの操作により、医用画像生成装置1,2,3の中から画像の送信元となる医用画像生成装置が指定され、フィルム出力装置5、表示装置6、プリンタ7、画像サーバ8の中から出力先となる出力先装置が指定される(ステップE1)。
【0059】
次に、要求画質テーブル451が参照され、指定された出力先装置5〜8に対応する要求画質レベルC(C1,C2,C3,C4のいずれか)が取得される。ここで、要求画質レベルCと基準画質レベルBとが比較される(ステップE2)。
【0060】
要求画質レベルCが基準画質レベルB以上の場合には(ステップE2;YES)、医用画像生成装置1〜3から送信される医用画像の画質レベルが要求画質レベルCに設定される(ステップE3)。具体的には、圧縮率テーブル452が参照され、ステップE1において指定された医用画像生成装置1〜3の、指定された出力先装置5〜8の要求画質レベルC1,C2,C3,C4に対応する圧縮率が、医用画像生成装置1〜3において実行される画像圧縮処理の圧縮率として設定される。
【0061】
要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合には(ステップE2;NO)、医用画像生成装置1〜3から送信される医用画像の画質レベルが基準画質レベルBに設定される(ステップE4)。具体的には、圧縮率テーブル452が参照され、ステップE1において指定された医用画像生成装置1〜3の基準画質レベルBに対応する圧縮率が、医用画像生成装置1〜3において実行される画像圧縮処理の圧縮率として設定される。
【0062】
次に、ステップE3又はステップE4で設定された画質レベルに対応する圧縮率を含む画質レベル変更命令が、通信部44を介して医用画像生成装置1〜3に送信される(ステップE5)。具体的には、要求画質レベルCが基準画質レベルB以上の場合には、医用画像の画質レベルAを要求画質レベルCに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令が医用画像生成装置1〜3に送信される。一方、要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合には、医用画像の画質レベルAを基準画質レベルBに変更するよう医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令が医用画像生成装置1〜3に送信される。
【0063】
医用画像生成装置1〜3では、通信部14を介して画像転送装置4から画質レベル変更命令が受信され(ステップT3)、画質レベル変更命令に含まれる圧縮率に基づいて、医用画像が圧縮される(ステップT4)。具体的には、要求画質レベルCが基準画質レベルB以上の場合には、画質レベルAから要求画質レベルCに変更され、要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合には、画質レベルAから基準画質レベルBに変更される。圧縮された医用画像は、通信部14を介して画像転送装置4に送信される(ステップT5)。
【0064】
画像転送装置4では、通信部44を介して医用画像生成装置1〜3から圧縮画像が受信され(ステップE6)、圧縮画像と辞書テーブル453の辞書画像とのマッチングが行われて文字認識が行われる(ステップE7)。
【0065】
ここで、要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合には(ステップE8;YES)、医用画像生成装置1〜3から受信した医用画像がさらに圧縮され、画質レベルが要求画質レベルCに変更される(ステップE9)。
【0066】
次に、文字認識により医用画像から得られた文字情報が、医用画像の付帯情報として画像のヘッダ領域に書き込まれる等して付帯される(ステップE10)。そして、文字情報が付帯された医用画像は、通信部44を介して出力先装置5〜8へ送信される(ステップE11)。
【0067】
出力先装置5〜8では、画像転送装置4から文字情報が付帯された医用画像が受信される(ステップP1)。
【0068】
以上説明したように、画像転送装置4によれば、出力先装置5〜8が要求する要求画質レベルCが基準画質レベルB以上の場合に、医用画像生成装置1〜3において、医用画像を要求画質レベルCに圧縮してから送信させるので、文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させることができる。
【0069】
また、要求画質レベルCが基準画質レベルB未満の場合に、医用画像生成装置1〜3において、医用画像を基準画質レベルBに圧縮してから送信させるので、文字認識精度を保ちつつ、画像転送時間を短縮させることができる。さらに、画像転送装置4において、医用画像を要求画質レベルCに圧縮するので、出力先装置5〜8に適した画質レベルに変更してから医用画像を出力することができる。
【0070】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像転送装置の例であり、これに限定されるものではない。画像転送装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
例えば、画像転送装置4において、医用画像を複数の出力先装置に同時に出力する場合には、指定された複数の出力先装置の要求画質レベルCのうち、画質レベルの高いものに合せて画質レベルを変更すればよい。
【0072】
また、カラー画像(RGB、CMYK)はグレー画像の3倍以上のデータ量となるため、医用画像生成装置1〜3又は画像転送装置4における画像圧縮処理において、入力画像(カラー画像又はグレー画像)毎に圧縮率を変えることとしてもよい。また、静止画の場合と動画の場合とで圧縮率を変えることとしてもよい。また、1つの出力画像領域に複数の撮影画像が配置されたマルチフォーマット画像等は1ファイルのデータ量が大きいため、入力画像の画像サイズ毎に圧縮率を変えることとしてもよい。
【0073】
また、医用画像システム100に、画像圧縮処理を行うことができない医用画像生成装置が含まれる場合には、画像転送装置4が、各医用画像生成装置について、画像圧縮処理を行うことができるか否かを記憶したテーブルを備え、画像圧縮処理を行うことができる医用画像生成装置に対してのみ、画質レベル変更命令を送信することとしてもよい。
【0074】
また、画像圧縮処理に要する時間が、画像圧縮により短縮される転送時間より長い場合には、圧縮しない状態で画像転送を行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態における画像転送装置4を含む医用画像システム100の構成図である。
【図2】医用画像生成装置1の内部構成図である。
【図3】画像転送装置4の内部構成図である。
【図4】要求画質テーブル451の例を示す図である。
【図5】圧縮率テーブル452の例を示す図である。
【図6】辞書テーブル453の例を示す図である。
【図7】出力先装置5〜8における要求画質レベルCに応じた医用画像の転送方法を模式的に示す図である。
【図8】画像転送装置4により実行される基準画質レベル決定処理を示すフローチャートである。
【図9】医用画像システム100において実行される画像転送処理を示すはしご図である。
【符号の説明】
【0076】
100 医用画像システム
1,2,3 医用画像生成装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 撮影部
16 記憶部
17 画像メモリ
18 バス
4 画像転送装置
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 記憶部
451 要求画質テーブル
452 圧縮率テーブル
453 辞書テーブル
46 画像メモリ
47 バス
5 フィルム出力装置
6 表示装置
7 プリンタ
8 画像サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像圧縮が可能な医用画像生成装置から送信される文字を含む医用画像を出力先装置に転送する画像転送装置において、
前記医用画像上の文字を認識する文字認識手段と、
前記文字認識手段により認識された文字情報を前記医用画像に付帯させる付帯手段と、
前記出力先装置が要求する要求画質レベルと前記文字認識手段において前記文字の認識が可能な基準画質レベルとを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル以上の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信する画質レベル制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像転送装置。
【請求項2】
前記画質レベル制御手段は、前記比較手段による比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル未満の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記基準画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信し、この画質レベル変更命令によって圧縮され送信された医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮することを特徴とする請求項1に記載の画像転送装置。
【請求項3】
コンピュータに、画像圧縮が可能な医用画像生成装置から送信される文字を含む医用画像を出力先装置に転送する機能を実現させるためのプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記医用画像上の文字を認識する文字認識機能と、
前記文字認識機能において認識された文字情報を前記医用画像に付帯させる付帯機能と、
前記出力先装置が要求する要求画質レベルと前記文字認識機能において前記文字の認識が可能な基準画質レベルとを比較する比較機能と、
前記比較機能における比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル以上の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信する画質レベル制御機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項4】
前記画質レベル制御機能は、前記比較機能における比較の結果、前記要求画質レベルが前記基準画質レベル未満の場合に、前記医用画像の画質レベルを前記基準画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮させ送信させる画質レベル変更命令を前記医用画像生成装置に送信し、この画質レベル変更命令によって圧縮され送信された医用画像の画質レベルを前記要求画質レベルに変更するよう当該医用画像を圧縮することを特徴とする請求項3に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−288415(P2007−288415A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111895(P2006−111895)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】