説明

画像電子透かし埋め込み装置及び画像電子透かし検出装置

【課題】別々の電子透かし情報を埋め込んだ複数の画像からでも同一の固有IDが算出されることを保証するような電子透かし埋め込み処理を実現する。
【解決手段】ランダム信号系列計算手段11は、透かし情報ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成する。相関値計算手段12は、入力画像とランダム信号系列の相関値を計算する。透かし信号係数決定手段13は、相関値に対して、閾値情報と透かし情報ビットデータとを入力として係数を決定する。透かし信号加算手段14は、透かし信号係数決定手段13で決定された係数をランダム信号系列に乗算した値を透かし信号として入力画像のピクセル値に加算し、透かし埋め込み画像として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に電子透かしを埋め込む画像電子透かし埋め込み装置及び透かしが埋め込まれた画像から透かし情報と、画像のID情報とを検出する画像電子透かし検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像電子透かし埋め込み装置として、例えば、特許文献1には、ディジタル情報(コンテンツ)のハッシュ値を電子透かしとして埋め込む手法が開示されている。
また、非特許文献1には、原画像と複数のランダムガウス信号との相関の正負により、画像に対する固有のIDとして、ビジュアルハッシュと称するビットを生成する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3854804号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Fridrich, Jiri,“Visual Hash For Oblivious Watermarking”,Proc.SPIE Vol.3971,p.286-294,Security and Watermarking of Multimedia Contents II,Ping Wah Wong; Edward J. Delp; Eds.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される従来の電子透かし埋め込み装置では、画像信号よりハッシュ値を計算するため、画像信号がほんのわずかでも変更された(それが人間の目に感知できないほどの微小な変更であり、一般的には変更されたと見なされないような信号値の変更の)場合でも、ハッシュ情報が変化してしまう、という問題があった。
この問題を解決する方法として、非特許文献1に示されるビット生成方法が存在する。本文献では、微小な画像の変更による影響を受けにくい画像固有のIDを算出する方式が示されている。本方式を特許文献1のハッシュ値計算部として採用すれば、ハッシュ値を画像そのものに埋め込んで管理するような場合については解決する。
【0006】
ところが、ハッシュ情報を画像そのものに埋め込むのではなく、画像の発行元で一元管理するようなシステムにおいて、画像と独立した別の情報を電子透かしとして埋め込んだ画像からハッシュ値を生成する(例えば電子透かしとして配布先情報を埋め込む)ような場合には、別の問題が発生する。
【0007】
即ち、予め画像と独立した別の情報を電子透かしとして埋め込んだ画像に対してハッシュの計算を行う場合、非特許文献1に示されるハッシュビット生成方法を用いて画像の固有IDを計算しても、異なる電子透かしの情報を埋め込んだ複数の画像に対して常に同じ固有IDが計算できるとは限らない。一般的に、画像に固有のID情報を保持しつつ、画像に電子透かしを埋め込んで個別のコンテンツを区別する、という所作は相反するものであり、別々の電子透かしを埋め込んだ画像より同じ固有ID情報が抽出できる確率は低くなる。よって、ハッシュ情報を画像の発行元で一元管理する場合、埋め込んだ電子透かしの情報あるいは電子透かしを埋め込んだ画像そのものと、個別のハッシュ情報とを関連付けるデータベースを構築する必要があり、データベースの構築および運用コストが増大する問題点があった。この点について、もし埋め込んだ電子透かしの情報に依存せず、同じ画像信号からは常に一定のハッシュ情報が算出できることが保証されるのであれば、データベースの範囲は元の画像信号と単一のハッシュ情報との関連付けのみに限定されることになり、構築・運用コストの面で断然有利である。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、別々の電子透かし情報を埋め込んだ複数の画像からでも同一の固有IDが算出されることを保証するような電子透かし埋め込み処理を実現することのできる画像電子透かし埋め込み装置及びこれを検出する画像電子透かし検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る画像電子透かし埋め込み装置は、鍵情報を元に、透かし情報ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、入力画像とランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、相関値に対して、予め設定された閾値情報と透かし情報ビットデータとを入力として、透かし信号加算のための係数を決定する透かし信号係数決定手段と、ランダム信号系列に透かし信号係数決定手段で決定した係数を乗算した値を、透かし信号として入力画像のピクセル値に加算することにより電子透かしを埋め込む透かし信号加算手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の画像電子透かし埋め込み装置は、入力画像とランダム信号系列との相関値に対して、閾値情報と透かし情報ビットデータとを入力として係数を決定し、この係数をランダム信号系列に乗算した値を透かし信号として入力画像のピクセル値に加算するようにしたので、別々の電子透かし情報を埋め込んだ複数の画像からでも同一の固有IDが算出されることを保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1による画像電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による画像電子透かし埋め込み装置のランダム信号系列計算手段の動作を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による画像電子透かし埋め込み装置の相関値C,C,C,…,Cの発生確率分布を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による画像電子透かし埋め込み装置の透かし埋め込み画像に対して相関値を−α〜+αの範囲外になるよう設定するための説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による画像電子透かし検出装置の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2による画像電子透かし埋め込み装置の閾値情報を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による画像電子透かし埋め込み装置の透かし信号係数の説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3による画像電子透かし埋め込み装置の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態3による画像電子透かし埋め込み装置のビット変換の操作の概念を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態3による画像電子透かし検出装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による画像電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。図1に示す画像電子透かし埋め込み装置10は、ランダム信号系列計算手段11と相関値計算手段12と透かし信号係数決定手段13と透かし信号加算手段14とを備えている。
【0013】
ランダム信号系列計算手段11は、特定の鍵情報と透かし情報ビット数を入力として、透かし情報ビット数と同数のランダム信号系列を生成する手段である。相関値計算手段12は、透かしを埋め込む対象となる原画像とランダム信号系列計算手段11で算出された複数のランダム信号系列との相関値を計算する手段である。透かし信号係数決定手段13は、相関値計算手段12で算出された相関値を元に、透かし情報ビットデータと閾値情報を入力として後段の透かし信号加算手段14でランダム信号系列を加算するための係数を計算する手段である。透かし信号加算手段14は、ランダム信号系列計算手段11で算出された複数のランダム信号系列に透かし信号係数決定手段13で算出された係数を乗算した信号系列を原画像に加算することにより、透かし埋め込み済みの出力画像を生成する手段である。
【0014】
次に、実施の形態1の画像電子透かし埋め込み装置10の動作について説明する。
画像電子透かし埋め込み装置10は、透かし埋め込み対象となる原画像O、鍵情報K、透かし情報ビットデータW、閾値情報αを入力情報とする。
まず、ランダム信号系列計算手段11において、鍵情報K、透かし情報ビットデータWのうち透かし情報ビット数(図内では入力線を省略している)、原画像Oの画像サイズを入力として、原画像Oの画像サイズのピクセル数と同数のランダム信号から成るランダム信号系列を、透かし情報ビット数と同数分だけ算出する。
【0015】
図2にその具体的処理を示す。ランダム信号系列計算手段11は、入力された鍵情報Kを用いて、[原画像Oの画像サイズ]×[透かし情報ビット数(nビットとする)]の数だけ乱数値を生成する。図内では、その乱数値を原画像Oの画像サイズ毎にまとめ、「Random Image」としてR、R、R、・・・、Rと表現している。そして、それらの乱数値集合に対してLPF(Low Pass Filter)による処理を行う。これを図内では「Random Smooth Patterns」としてP、P、P、・・・Pとして表現している。ランダム信号系列計算手段11は、このP、P、P、・・・Pをランダム信号系列として出力する。
【0016】
次に、相関値計算手段12において、原画像Oとランダム信号系列P、P、P、・・・Pとの相関値を算出する。原画像Oとランダム信号系列Pとの相関値をC、原画像Oとランダム信号系列Pとの相関値をC、原画像Oとランダム信号系列Pとの相関値をC、・・・原画像Oとランダム信号系列Pとの相関値をCと表現し、相関値計算手段12はC、C、C、・・・Cを出力する。
【0017】
次に、透かし信号係数決定手段13において、相関値算出手段12で算出した相関値C、C、C、・・・Cを用いて、後段の透かし信号加算手段14で原画像Oにランダム信号系列計算手段で算出したランダム信号系列P、P、P、・・・Pを加算するための係数を算出する。
【0018】
ここで、電子透かしの埋め込みの方式を説明する。
図3は、相関値C、C、C、・・・Cの発生確率分布の概念を示したものである。通常、ランダム信号系列は原画像Oとはほぼ無関係の画像であるため、その相関値は0付近に集中して発生し、逆に±1付近にはほぼ発生が見られないことが想定される。そこで、相関の閾値として±α(0<α<1)という値を設定し、閾値±αの外側の事象(相関値の絶対値がα以上となる事象)の発生確率がおおむね0に近いようにする(例えば10の−8乗など)。この±αが「閾値情報」である。
【0019】
電子透かしのビット情報の埋め込み方の一例として、
・iビット目にビット1を埋め込む場合は、Pと透かし埋め込み画像との相関を−α〜+αの範囲外になるようにする。
・iビット目にビット0を埋め込む場合は、Pと透かし埋め込み画像との相関を−α〜+αの範囲内になるようにする。
という方式が考えられる。すなわち、ランダム信号系列Pとの画像相関が範囲(−α,+α)にある場合とその範囲外にある場合とで透かしビット情報を区別しようとする考え方である(もちろん、上記例とビット1/0が入れ替わっても良く、ビット1を−α〜+αの範囲内、ビット0を−α〜+αの範囲外、と設定しても良い)。
【0020】
透かし埋め込み画像に対して相関値を−α〜+αの範囲外になるよう設定するために、原画像Oにランダム信号系列Pの加算を行う。一般に、原画像Oにランダム信号系列Pを加算すると相関値は増加するため、元の相関値Cが正の値で、iビット目にビット1を埋め込む場合には、相関値を+α以上にすべくランダム信号系列Pを加算すれば良い。これを表したのが図4である。なお、図4の例は元の相関値Cが正の値の場合であり、逆に元の相関値Cが負の値なら、iビット目にビット1を埋め込む場合には、相関値を−αより小さくするため加算ではなく減算を行う必要がある。
【0021】
ただし、ただ単純に原画像Oに対してPそのものを足しあわせた(あるいは減算した)だけだと、通常は閾値+αを大きく超えることができる一方、透かし埋め込み画像が元の原画像Oに対し大きく劣化する懸念が存在する。そのため、原画像Oにランダム信号系列Pをそのまま加算するのではなく、ある特定の係数値m(0<m<1)を乗算した値を加算するものとする。これを「透かし信号係数」と呼ぶ。透かし信号係数決定手段13ではこの透かし信号係数mを計算することを主な処理とする。
【0022】
透かし信号係数算出処理の一例を次に示す。
原画像Oのピクセル値をx、ランダム信号系列Pのピクセル値をy(jはピクセル番号)とすると、入力信号Aとランダム信号系列Pの相関値rxyは、その定義より次式で表現される。


【0023】
ここで、図4に示すように、ランダム信号系列Pと、透かし信号係数mを乗算したランダム信号系列Pを原画像Oに加算した画像信号との相関値を計算する場合、その相関値rxy’は次式のようになる。



ここで、




として、式1を変形すると、次式のように表現される。


【0024】
こうして得られる相関値が範囲(−α,+α)の範囲外にあるためには、その二乗の値がαを上回る必要がある。すなわち、



を満たす必要がある。この式を変形すると、



となる。この式はmに関する連立二次不等式と見ることができる。この不等式を解くと、



となる(|α|<1、かつ相関値の定義より(v−vxy)≧0が常に成り立つため、上記不等式解の2つの境界値は、どちらも常に実数値を取ることになる)。
【0025】
従って、ビット1を埋め込む場合には、Pと透かし埋め込み画像との相関を−α〜+αの範囲外にすべく、mを上記の不等式を満たす範囲に設定し、ビット0を埋め込む場合には、Pと透かし埋め込み画像との相関を−α〜+αの範囲内にすべく、mを上記の不等式を満たさない範囲に設定(すなわち、上記不等式解の境界値の間に挟まれた範囲に設定)すれば良い(なお、m=0を取り得る場合には、画質劣化を避けるために極力m=0とする)。なお、元の相関値rxyが正であれば、上記条件の範囲下でmを正の値に、負であればmを負の値に設定する。
【0026】
このようにすれば、rxyと同一の符号に保ったまま埋め込みビット情報に合わせてrxy’を−α〜+αの範囲内外に振り分けるように透かし信号係数mを決定することは可能である。透かし信号係数決定手段13では、透かし情報ビットデータWの各ビット値に対し、原画像Oの各ピクセル値、ランダム信号系列計算手段11より出力されたランダム信号系列Pの各ピクセル値、および閾値情報αを用いて、上記方法により各ビットに対応する透かし信号係数mを算出して出力する。
【0027】
次に、透かし信号加算手段14では、透かし信号係数決定手段13で出力されたmを用いて、ランダム信号系列計算手段11より出力されたランダム信号系列Pの各ピクセル値にmを乗算し、その乗算結果を原画像Oの対応する各ピクセルに加算する。そして、その結果としての画像Eを透かし埋め込み画像として出力する。透かし埋め込み画像Eは画像電子透かし埋め込み装置10の出力画像となる。
【0028】
続いて、電子透かしの検出について説明する。
図5は本発明の示す画像電子透かし検出装置の構成図である。図5の画像電子透かし検出装置20は、ランダム信号系列計算手段21と、相関値計算手段22と、透かし情報算出手段23と、固有ID算出手段24とを備えている。
【0029】
ランダム信号系列計算手段21は、特定の鍵情報と透かし情報ビット数を入力として、透かし情報ビット数と同数のランダム信号系列を生成する手段である。相関値計算手段22は、透かしを検出する対象となる原画像とランダム信号系列計算手段21で算出された複数のランダム信号系列との相関値を計算する手段である。透かし情報算出手段23は、相関値計算手段22で算出された相関値および閾値情報を元に、透かしとして埋め込まれたビット情報を算出する手段である。固有ID算出手段24は、相関値計算手段22で算出された相関値を元に、画像に固有のID情報を算出する手段である。
【0030】
次に、画像電子透かし検出装置20の動作について説明する。
画像電子透かし検出装置20は、透かし検出対象となる画像E、鍵情報K、透かし情報ビット数n、閾値情報αを入力情報とする。
まず、ランダム信号系列計算手段21において、鍵情報K、透かし情報ビット数n、検出対象画像Eの画像サイズを入力として、検出対象画像Eの画像サイズのピクセル数と同数のランダム信号から成るランダム信号系列を、透かし情報ビット数と同数分だけ算出する。その具体的処理については画像電子透かし埋め込み装置10のランダム信号系列計算手段11と同様で、図2に示した通りなので、ここでは説明を省略する。
【0031】
次に、相関値計算手段22において、検出対象画像Eとランダム信号系列P、P、P、・・・Pとの相関値を算出する。検出対象画像Eとランダム信号系列Pとの相関値をC、検出対象画像Eとランダム信号系列Pとの相関値をC、検出対象画像Eとランダム信号系列Pとの相関値をC、・・・検出対象画像Eとランダム信号系列Pとの相関値をCと表現し、相関値計算手段22はC、C、C、・・・Cを出力する。
【0032】
次に、透かし情報算出手段23において、相関値算出手段22で算出した相関値C、C、C、・・・C、および画像電子透かし検出装置20に入力された閾値情報αを用いて、検出対象画像Eに透かしとして埋めこまれた透かし情報ビットデータWを算出する。具体的には、前述の通り、電子透かしのビット情報の埋め込み方は、
・iビット目にビット1を埋め込む場合は、相関値を−α〜+αの範囲外になるようにする。
・iビット目にビット0を埋め込む場合は、相関値を−α〜+αの範囲内になるようにする。
としていたので、透かし情報算出手段23では閾値情報αを用いて、
・Cが−α〜+αの範囲外の場合は、iビット目にビット1を埋め込んであると判断する。
・Cが−α〜+αの範囲内の場合は、iビット目にビット0を埋め込んであると判断する。
という方式で、各ビット情報の検出を実施する。その検出結果を合わせて、透かし情報ビットデータWとして出力する。透かし情報ビットデータWは画像電子透かし検出装置20の出力情報となる。
【0033】
一方、固有ID算出手段24では、相関値算出手段22で算出した相関値C、C、C、・・・Cを用いて、画像に固有のID情報を算出する。具体的には、相関値C、C、C、・・・Cの正負を見て、「正であればビット1」「負であればビット0」と判断する(もちろんその逆に「正であればビット0」「負であればビット1」と判断するとしてもよい)。その算出結果を合わせて、画像固有ID情報Iとして出力する。画像固有ID情報Iは画像電子透かし検出装置20の出力情報となる。
【0034】
なお、画像電子透かし埋め込み装置10での電子透かし埋め込み方式は、元の入力画像とランダム信号系列との相関値に対する正負を動かさないように電子透かしを埋め込んでいるため、このようにして算出される画像固有IDは、透かし埋め込み前の元画像の画像固有IDに原理的に一致する。
【0035】
以上説明したように、実施の形態1の画像電子透かし埋め込み装置によれば、鍵情報を元に、透かし情報ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、入力画像とランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、相関値に対して、予め設定された閾値情報と透かし情報ビットデータとを入力として、透かし信号加算のための係数を決定する透かし信号係数決定手段と、ランダム信号系列に透かし信号係数決定手段で決定した係数を乗算した値を、透かし信号として入力画像のピクセル値に加算することにより電子透かしを埋め込む透かし信号加算手段とを備えたので、元の画像に対してランダム信号系列との相関値の正負より固有IDを算出する方式に対してビット値の変更を伴う等の影響を与えることなく電子透かし情報を埋め込むことが可能になるという効果を有する。
【0036】
また、実施の形態1の画像電子透かし埋め込み装置によれば、透かし信号係数決定手段は、閾値情報の値として±α(0<α<1)を入力とし、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がαより小さくなるように、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がαより大きくなるように係数を決定するか、または、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値をαより小さくなるように、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がαより大きくなるように係数を決定するようにしたので、ビット値の変更を伴う等の影響を与えることなく電子透かし情報を埋め込むことができる。
【0037】
また、実施の形態1の画像電子透かし検出装置によれば、鍵情報を元に、透かし情報のビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、入力画像とランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、相関値に対して予め設定された閾値情報を入力として、透かし情報ビットデータを算出する透かし情報算出手段と、相関値の正負を元にビット情報を決定し、画像の固有IDを算出する固有ID算出手段とを備えたので、電子透かしが埋め込まれた画像に対して、ランダム信号系列との相関値を算出し、その正負を見ることにより画像固有IDを算出する一方で電子透かしとして埋め込まれた情報を同時並行的に算出することができる。
【0038】
また、実施の形態1の画像電子透かし検出装置によれば、透かし情報算出手段は、閾値情報の値として±α(0<α<1)を入力とし、相関絶対値がαより小さい場合はビット1、相関絶対値がαより大きい場合はビット0と判定するか、または、相関絶対値がαより小さい場合はビット0、相関絶対値がαより大きい場合はビット0と判定するようにしたので、電子透かしとして埋め込まれた情報を確実に検出することができる。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態1では、閾値情報αを設定してランダム信号系列との相関値を範囲(−α、+α)の範囲内外に振り分けることで電子透かしビット情報を埋め込むようにしたものであるが、次に、閾値情報を複数設定して電子透かしを埋め込むことにより、透かしが埋め込まれていない画像から電子透かし情報が検出されるのを防ぐ例を実施の形態2として示す。
【0040】
実施の形態1に示した電子透かし検出方式に従って、電子透かしが埋め込まれていない画像信号を入力画像として検出を実行した場合、ランダム信号系列との相関値の発生事象は図3に概念図として示した通り、その大部分は範囲(−α、+α)内におさまることになる。よって、電子透かしの検出結果としては、ほぼ全ての場合において「全てのビットにおいてビット0が埋め込まれている」と判断されることになる。すなわち、何も埋め込んでいないはずの画像からも(全てビット0の場合に限らず)何らかのビット情報が得られてしまうという現象が発生する(この現象が実際の利用において問題となるかどうかは、その利用方法に依存する)。
【0041】
本実施の形態では、この現象を回避することを目的とする。なお、実施の形態2における画像電子透かし埋め込み装置の図面上の構成は図1と同様であるため、図1を用いて説明を行う。
図6は、画像電子透かし埋め込み装置10の入力としての閾値情報をα1、α2と2種類設定した場合の相関値の数直線を示したものである。なお、αの値は、閾値±αの外側の事象(相関値の絶対値がα以上となる事象)の発生確率がおおむね0に近いようにする(例えば10の−8乗など)。
【0042】
ここで、透かし信号係数決定手段13では、透かし情報ビット0/1の埋め込みと相関値との関連において、以下のように判断する。
・ 〜−α:ビット1を埋め込む。
・−α〜−α:ビット0を埋め込む。
・−α〜+α:ビットを埋め込まない。
・+α〜+α:ビット0を埋め込む。
・+α〜 :ビット1を埋め込む。
そこで、各々の閾値情報α、αを実施の形態1で示した式2に当てはめ、透かし信号係数mに対する不等式境界値(αに対応するものをγ1+、γ1−、αに対応するものをγ2+、γ2−とする)を求めた上で、図7に示すような区分けで透かし信号係数mの値を決定する。
【0043】
次に、実施の形態2の画像電子透かし検出装置20について説明する。なお、実施の形態2の画像電子透かし検出装置20についても図面上の構成は図5と同様であるため、図5を用いて説明する。
実施の形態2の画像電子透かし検出装置20の透かし情報算出手段23では、相関値算出手段22で算出した相関値C、C、C、・・・C、および画像電子透かし検出装置20に入力された複数の閾値情報α、αを用いて、検出対象画像Eに透かしとして埋めこまれた透かし情報ビットデータWを算出する。具体的には、Cの値が、
・ 〜−α:ビット1を埋め込んであると判断する。
・−α〜−α:ビット0を埋め込んであると判断する。
・−α〜+α:ビットが埋め込まれていないと判断する。
・+α〜+α:ビット0を埋め込んであると判断する。
・+α〜 :ビット1を埋め込んであると判断する。
というように、透かし情報ビットデータWの各ビットに対応する相関値への判断を行う。ここで、各ビットのうち1ビットでも「ビットが埋め込まれていないと判断」された場合は、透かし情報ビットデータWの全体が無効であると判断し、該当の画像には電子透かし情報が埋め込まれていない、と判断する。
【0044】
以上説明したように、実施の形態2の画像電子透かし埋め込み装置によれば、透かし信号係数決定手段は、閾値情報の値として±α1、±α2(0<α1<α2<1)を入力とし、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さくなるように、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がα2より大きくなるように、係数を決定するか、または、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さくなるように、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がα2より大きくなるように係数を決定するようにしたので、ビットを埋め込まない相関値の区間が設けられ、何も埋め込んでいないはずの画像から電子透かし情報ビットデータが得られることを防止することができる。
【0045】
また、実施の形態2の画像電子透かし検出装置によれば、透かし情報算出手段は、閾値情報の値として±α1、±α2(0<α1<α2<1)を入力とし、相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さい場合はビット1、相関絶対値がα2より大きい場合はビット0と判定するか、または、相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さい場合はビット0、相関絶対値がα2より大きい場合はビット1と判定するようにしたので、確実に電子透かし情報を得ることができる。
【0046】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、閾値情報を複数設定して電子透かしを埋め込むことにより、透かしを埋め込んでいない画像から電子透かしが検出されるのを防ぐ例を示したが、次に、電子透かしとして埋め込む情報を誤り訂正符号化し、全てビット0となる透かし信号ビットデータが誤り訂正符号化ビットデータの訂正範囲外となるようにビット変換を行う例を実施の形態3として説明する。
【0047】
図8は本実施の形態で示す画像電子透かし埋め込み装置10aの構成図である。画像電子透かし埋め込み装置10aは、ランダム信号系列計算手段11a、相関値計算手段12、透かし信号係数決定手段13a、透かし信号加算手段14、誤り訂正符号化手段15、ビット変換手段16を備えており、相関値計算手段12及び透かし信号加算手段14は、実施の形態1、2と同様の手段である。また、誤り訂正符号化手段15は、透かし情報ビットデータを入力として誤り訂正符号化を行う手段、ビット変換手段16は、誤り訂正符号化ビットデータをビット変換する手段であり、これら手段は実施の形態3に特有の構成である。更に、実施の形態3のランダム信号系列計算手段11aは、透かし情報ビット数(nビット)ではなく誤り訂正符号化手段15で用いる誤り訂正符号化方式の冗長符号化ビット数(n+kビット)の分だけランダム信号系列P、P、P、・・・Pn+kを出力するよう構成されている。また、透かし信号係数決定手段13aは、透かし情報ビット数(nビット)ではなく、ビット変換手段16から出力された透かし信号ビットデータを入力として係数を演算するよう構成されている。
【0048】
次に、実施の形態3の動作について説明するが、ランダム信号系列計算手段11a、相関値計算手段12、透かし信号係数決定手段13a、透かし信号加算手段14の基本的な動作については、実施の形態1、2と同様なのでここでの説明を省略する。ただし、ランダム信号系列計算手段11aは、透かし情報ビット数(nビット)ではなく誤り訂正符号化手段15で用いる誤り訂正符号化方式の冗長符号化ビット数(n+kビット)の分だけランダム信号系列P、P、P、・・・Pn+kを出力する。なお、冗長符号化ビット数は誤り訂正符号化手段15の誤り訂正符号化方式に合わせて、予めプリセットされているものとする。
【0049】
誤り訂正符号化手段15では、透かし情報ビットデータWを入力として、誤り訂正のための冗長符号化(BCH符号など)を行う。冗長符号化の目的としては、誤り訂正による検出能力の向上の他、「電子透かしが検出されない」状態をこの冗長符号化ビット列の訂正能力外に作ることにより、電子透かしが埋め込まれていない画像から有意な電子透かし情報が検出されることを防ぐことにある。ビット変換手段16では、この目的に沿うためのビット変換を実施する。
【0050】
これらの操作の概念を符号空間上で示したのが図9である。透かし情報ビットデータWのビット数をnとすると、透かし情報ビットデータWは2ビット符号空間上での一つの点(要素)として表現される。これを誤り訂正符号化により(n+k)ビットの冗長符号化ビットデータRに変換したとすると、冗長符号化ビットデータRは2n+kビット符号空間上での一つの点(要素)として表現される。さらに、その誤り訂正符号のビット訂正能力をrとすると、Rに2n+kビット符号空間上の点を中心とする半径rの範囲(Rと比較して、異なるビット数がrビット以内である2n+kビット符号データの集合)は誤り訂正可能な範囲として定義される。
【0051】
ここで、例えばBCH符号のような誤り訂正符号化方式を用いた場合、情報ビットデータが全て0だと冗長符号化ビットデータも全て0より構成される(n+k)ビットのビット列となる。一方、何も電子透かしを埋め込まない画像からの電子透かし検出を行った場合、ランダム信号系列P、P、P、・・・Pn+kとの相関値の発生確率分布は図3に概念として示した通り、その大部分が0付近に集中するため、閾値±αによりビット0/1を判定した場合、その大部分がビット0と判定されてしまう。
【0052】
このため、「全てビット0」の冗長符号化ビットデータをそのまま電子透かし信号ビットデータとして画像に埋め込んでしまうと、何も電子透かしを埋め込んでいない画像からの電子透かし検出を行った場合の検出結果との区別が付かなくなり、結局、何も電子透かしを埋め込んでいない画像を「全てビット0が埋め込んである」と判定せざるを得なくなってしまう。こうした事態を防ぐため、「全てビット0」が検出される状態を「異常状態」として誤り訂正符号の訂正能力の範囲外にシフトさせることを考える。
【0053】
ビット変換手段16において、透かし情報ビットデータWより生成した冗長符号化ビットデータRに対し、冗長符号化ビットデータRと同ビット数の任意に決定した固定ビットデータとのXOR演算を行うビット変換を実施し、最終的に透かし信号として画像に埋め込むための透かし信号ビットデータQとして出力する。こうすることで、透かし情報ビットデータWが「全てビット0」の場合は透かし信号ビットデータQは「全てビット0」ではなくなり、逆に透かし信号ビットデータとして「全てビット0」が検出された状態を誤り訂正符号化訂正能力外に置くことができる(XOR演算を行う任意の固定ビット列の設定の仕方による)。そのため、「何も埋め込まれていない状態」を「誤り訂正不可」として「全てビット0」の透かし情報ビットデータを埋め込んだ場合と明確に区別することが可能となる。
【0054】
なお、言うまでもないが、誤り訂正符号化手段15で用いる誤り訂正符号化はBCH符号に限定するものではなく、ビット変換手段16で行うビット変換についても任意の固定ビットデータとのXOR演算に限定するものではない(ただし、誤り訂正符号化手段15で用いる誤り符号化方式について、そもそも「全てビット0」の符号化ビット列が誤り訂正能力外にあるような方式の場合は、後段のビット変換は不要となる)。
【0055】
次に、実施の形態3における画像電子透かし検出装置について説明する。
図10は、本実施の形態の画像電子透かし検出装置20aの構成図である。図10の画像電子透かし検出装置20aは、ランダム信号系列計算手段21a、相関値計算手段22、透かし情報算出手段23a、固有ID算出手段24、ビット変換手段25、誤り訂正復号手段26を備えている。ここで、相関値計算手段22及び固有ID算出手段24は、図5に示した実施の形態1、2と同様の構成である。ビット変換手段25は、透かし情報算出手段23aより算出された透かし信号ビットデータを変換する手段、誤り訂正復号手段26は、ビット変換手段25の出力するデータを入力として、誤り訂正復号処理を行う手段であり、これら手段は本実施の形態に特有の構成である。また、ランダム信号系列計算手段21aは、透かし情報算出手段23aの透かし信号ビットデータQのビット数と同数のランダム信号系列を生成するよう構成され、透かし情報算出手段23aは、閾値情報αに基づいて透かし信号ビットデータQを算出するよう構成されている。
【0056】
ビット変換手段25は、透かし情報算出手段23aの出力する透かし信号ビットデータQに対して図8の画像電子透かし埋め込み装置10におけるビット変換手段16におけるビット変換処理に対応するビット変換手段を行い、冗長符号化ビットデータRとして出力する。具体的には、ビット変換手段16と同様、冗長符号化ビットデータと同ビット数の任意に決定した固定ビットデータとのXOR演算を行うビット変換を実施する。誤り訂正復号手段26は、ビット変換手段25の出力する冗長符号化ビットデータRに対して図8の画像電子透かし埋め込み装置10aにおける誤り訂正符号化手段15の誤り訂正符号化方式(例えばBCH符号)に対応する誤り訂正復号処理を行い、透かし情報ビットデータWとして出力する。
【0057】
以上説明したように、実施の形態3の画像電子透かし埋め込み装置によれば、透かし情報ビットデータを入力として、冗長誤り訂正符号化した冗長符号化ビットデータを出力する誤り訂正符号化手段と、冗長符号化ビットデータを入力としてビット変換を行い、透かし信号ビットデータを出力するビット変換手段とを備え、ランダム信号系列計算手段は、透かし情報ビットデータのビット数に代えて誤り訂正符号化手段における冗長符号化ビット数とし、そのビット数と同数のランダム信号系列を生成し、透かし信号係数決定手段は、透かし情報ビットデータに代えて、ビット変換手段から出力された透かし信号ビットデータを入力として、透かし信号加算のための係数を決定するようにしたので、全てビット0となる透かし信号ビットデータがこの符号化ビット列集合の範囲外となるようにビット変換を行うことにより、何も埋め込んでいないはずの画像から電子透かし埋め込みビット情報が得られることを防止することができる。
【0058】
また、実施の形態3の画像電子透かし検出装置によれば、鍵情報を元に、透かし信号ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、入力画像とランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、相関値に対して予め設定された閾値情報を入力として、透かし信号ビットデータを算出する透かし情報算出手段と、透かし信号ビットデータを入力としてビット変換を行い、冗長符号化ビットデータを出力するビット変換手段と、冗長符号化ビットデータを入力として誤り訂正復号を行い、復号結果として透かし情報ビットデータを出力する誤り訂正復号手段とを備えたので、何も埋め込んでいないはずの画像から電子透かし埋め込みビット情報を得るのを防止することができる。
【0059】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10,10a 画像電子透かし埋め込み装置、11,11a,21,21a ランダム信号系列計算手段、12,22 相関値計算手段、13,13a 透かし信号係数決定手段、14 透かし信号加算手段、15 誤り訂正符号化手段、16 ビット変換手段、20,20a 画像電子透かし検出装置、23,23a 透かし情報算出手段、24 固有ID算出手段、25 ビット変換手段、26 誤り訂正復号手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵情報を元に、透かし情報ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、
入力画像と前記ランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、
前記相関値に対して、予め設定された閾値情報と前記透かし情報ビットデータとを入力として、透かし信号加算のための係数を決定する透かし信号係数決定手段と、
前記ランダム信号系列に前記透かし信号係数決定手段で決定した係数を乗算した値を、透かし信号として前記入力画像のピクセル値に加算することにより電子透かしを埋め込む透かし信号加算手段とを備えた画像電子透かし埋め込み装置。
【請求項2】
透かし信号係数決定手段は、閾値情報の値として±α(0<α<1)を入力とし、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がαより小さくなるように、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がαより大きくなるように係数を決定するか、または、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値をαより小さくなるように、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がαより大きくなるように係数を決定することを特徴とする請求項1記載の画像電子透かし埋め込み装置。
【請求項3】
透かし信号係数決定手段は、閾値情報の値として±α1、±α2(0<α1<α2<1)を入力とし、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さくなるように、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がα2より大きくなるように、係数を決定するか、または、ビット0を埋め込む場合は相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さくなるように、ビット1を埋め込む場合は相関絶対値がα2より大きくなるように係数を決定することを特徴とする請求項1記載の画像電子透かし埋め込み装置。
【請求項4】
透かし情報ビットデータを入力として、冗長誤り訂正符号化した冗長符号化ビットデータを出力する誤り訂正符号化手段と、
前記冗長符号化ビットデータを入力としてビット変換を行い、透かし信号ビットデータを出力するビット変換手段とを備え、
ランダム信号系列計算手段は、前記透かし情報ビットデータのビット数に代えて前記誤り訂正符号化手段における冗長符号化ビット数とし、当該ビット数と同数のランダム信号系列を生成し、
透かし信号係数決定手段は、前記透かし情報ビットデータに代えて、前記ビット変換手段から出力された透かし信号ビットデータを入力として、透かし信号加算のための係数を決定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像電子透かし埋め込み装置。
【請求項5】
鍵情報を元に、透かし情報のビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、
入力画像と前記ランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、
前記相関値に対して予め設定された閾値情報を入力として、透かし情報ビットデータを算出する透かし情報算出手段と、
相関値の正負を元にビット情報を決定し、画像の固有IDを算出する固有ID算出手段とを備えた画像電子透かし検出装置。
【請求項6】
透かし情報算出手段は、閾値情報の値として±α(0<α<1)を入力とし、相関絶対値がαより小さい場合はビット1、相関絶対値がαより大きい場合はビット0と判定するか、または、相関絶対値がαより小さい場合はビット0、相関絶対値がαより大きい場合はビット0と判定することを特徴とする請求項5記載の画像電子透かし検出装置。
【請求項7】
透かし情報算出手段は、閾値情報の値として±α1、±α2(0<α1<α2<1)を入力とし、相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さい場合はビット1、相関絶対値がα2より大きい場合はビット0と判定するか、または、相関絶対値がα1より大きく、かつα2より小さい場合はビット0、相関絶対値がα2より大きい場合はビット1と判定することを特徴とする請求項5記載の画像電子透かし検出装置。
【請求項8】
鍵情報を元に、透かし信号ビットデータのビット数と同数のランダム信号系列を生成するランダム信号系列計算手段と、
入力画像と前記ランダム信号系列との相関値を計算する相関値計算手段と、
前記相関値に対して予め設定された閾値情報を入力として、前記透かし信号ビットデータを算出する透かし情報算出手段と、
前記透かし信号ビットデータを入力としてビット変換を行い、冗長符号化ビットデータを出力するビット変換手段と、
前記冗長符号化ビットデータを入力として誤り訂正復号を行い、復号結果として透かし情報ビットデータを出力する誤り訂正復号手段とを備えた画像電子透かし検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−9162(P2013−9162A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140591(P2011−140591)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】