説明

画素回路、その駆動方法、電気光学装置および電子機器

【課題】簡易な構成で高精細度かつ低消費電力の2画面表示装置を提供する。
【解決手段】画素回路20は、第1電源線16aに接続する第1対向電極24aと共通電極22と寄生容量C1とを含む第1発光素子E1と、第2電源線16bに接続する第2対向電極24bと共通電極22と寄生容量C2とを含む第2発光素子E2とを備える。第1電源線16aには第1電源電位Vct1[i]が供給され、第2電源線16bには第2電源電位Vct2[i]が供給される。第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]は、交互に、低電位である第1電位VLから高電位である第2電位VHへと一定の傾きで上昇するような電位を変化させ、寄生容量C1またはC2から他方の発光素子に電流を流すことで、第1発光素子および第2発光素子E2が交互に発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)素子などの発光素子を備える画素回路、その駆動方法、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2画面表示機能を有するカーナビゲーションシステムや3Dテレビ等の普及に伴い、左右用の異なる2つの画像を表示する2画面表示装置あるいは、右目用画像と左目用画像とを同時に出力して3D表示を行う3Dディスプレイのニーズが高まりつつある。
一般的に、2画面表示装置は、右側用の画像を表示するための画素と、左側用の画像を表示するための画素とを交互に配列し、画素と観察者との間にレンチキュラレンズや視差バリア等の画素に対応する光学装置により左右の画像を光学的に分離することで、左右で異なる画像の表示を実現している。
【0003】
また、自発光素子である有機EL素子(以下、「OLED素子」と称する)を2画面表示装置に適用することで装置の小型化を図り、HMD(Head Mounted Display)等に適用するというニーズも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−259192号公報
【特許文献2】特開2009−211035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような2画面表示装置においては、左側用の画像と右側用の画像を同時に表示するため、通常の1画面表示装置に比べて2倍の画素数を要する。
通常の1画面表示装置に比べて表示の精細度を落とさずに2画面表示を実現させるためには、倍の密度で画素を配置する必要があり、製造工程の複雑化による製品価格の上昇や、歩留まり低下等が問題となる。
【0006】
また、有機EL素子に電流が流れる期間が1水平走査期間に限定された場合、電流が流れる期間が1垂直走査期間の場合と比較して、有機EL素子を高い輝度で発光させる必要がある。このため、有機EL素子には大きな電流を流す必要がある。有機EL素子に大きな電流が流れる場合、有機EL素子の寿命が短くなるといった問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情を考慮して、簡易な構成で高精細度の2画面表示装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の係る画素回路は、一方の端子に書込電圧が供給され、他方の端子がノードに電気的に接続され、書込期間においてオン状態となり、発光期間においてオフ状態となるスイッチング素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され、他方の電極が第1電源線と電気的に接続される第1発光素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され、他方の電極が第2電源線と電気的に接続される第2発光素子と、前記第1発光素子と並列に設けられた第1容量と、前記第2発光素子と並列に設けられた第2容量と、を備え、前記書込期間において、前記第1容量および前記第2容量には前記書込電圧が供給されることによって電荷が蓄積され、前記発光期間において、前記第1容量および前記第2容量のうち、一方の容量から、他方の容量に並列に設けられた発光素子に電流が流れ、当該電流に応じて当該発光素子が発光することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、書込期間において、書込電圧を第1容量および第2容量に書き込むことができる。そして、第1容量および第2容量は第1電源線と第2電源線とに各々接続されているので、それらの電位を制御することによって、発光期間において一方の容量から、他方の容量に並列に設けられた発光素子に電流を流すことができる。これにより、当該発光素子を発光させることができる。
【0010】
上述した画素回路において、前記第1容量の一部又は全部は、前記第1発光素子の寄生容量であり、前記第2容量の一部又は全部は、前記第2発光素子の寄生容量であることが好ましい。この場合には、寄生容量を用いて第1容量および第2容量を構成するので、容量素子を不要、あるいはその面積を小さくすることができる。この結果、画素回路を簡素化できるとともに、発光素子の面積を大きくすることが可能となる。
【0011】
次に、本発明に係る画素回路の駆動方法は、上述した画素回路の駆動する方法であって、前記第1電源線に、前記第1発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、前記第2電源線に、前記第2発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給することを特徴とする。この発明によれば、書込期間において第1発光素子および第2発光素子を非発光とすることができるので、正確な輝度を表示することが可能となる。
【0012】
上述した画素回路の駆動方法は、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込み、前記発光期間において、前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流すことが好ましい。
【0013】
この発明によれば、第2容量を第1発光素子の電流源として機能させ、第1発光素子を発光させることが可能となる。より具体的には、発光期間において、ノードの電位が、書込電圧に相当する電位から、所定電位に上昇するように、第2電源線の電位を第2電位から第2電位よりも高い第1電位に単調増加させるように変化させることが好ましい。また、所定電位は、ノードの電位と第1電源線の電位との電位差が第1発光素子の発光閾値電圧以上となるとなることが好ましい。
【0014】
上述した画素回路の駆動方法において、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流し、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2電源線に固定電位を供給し、且つ前記第1電源線の電位を変化させて、前記第1容量から前記第2発光素子に電流を流すことが好ましい。この発明によれば、第1発光素子と第2発光素子とを選択的に発光させることができ、2画面表示装置や3D表示装置に適用することが可能となる。
【0015】
上述した画素回路の駆動方法において、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2容量から前記第1発光素子に電流が流れるように、前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させ、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第1容量から前記第2発光素子に電流が流れるように、前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させる、ことが好ましい。
【0016】
この発明によれば、第1電源線と第2電源線の両方の電位を制御するので、一方の電位のみを制御する場合と比較して、発光素子に供給する電流を大きくすることができる。また、発光期間において、第1電源線の電位と2電源線の電位を差動形式で変化させることにより、第1電源線および第2電源線の電位のダイナミックレンジを狭くすることができ、駆動が容易となる。
【0017】
より具体的には、第1電位よりも低い電位を第2電位としたとき、書込期間において、第1電源線には、第1電位または第2電位のうち一方の電位を出力し、第2電源線には、第1電位または第2電位のうち他方の電位を出力し、ノードには、スイッチング素子を介して、ノードの電位と第2電位の電位差が、発光閾値電圧未満となるような、書込電圧が供給され、発光期間において、ノードの電位が、書込電圧に相当する電位から、ノードの電位と第2電位との電位差が発光閾値電圧以上に相当する電位へと変化するように、第1電源線に出力される電位が、第1電位または第2電位のうち一方の電位から、第1電位または第2電位のうち他方の電位へと直線的に変化させ、第2電源線に出力される電位が、第1電位または第2電位のうち他方の電位から、第1電位または前記第2電位のうち一方の電位へと直線的に変化させることが好ましい。
【0018】
次に、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の第1電源線と、複数の第2電源線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して各々設けられ、前記データ線とノードの間に設けられ選択信号によってオン状態となるスイッチング素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され他方の電極が前記第1電源線と電気的に接続される第1発光素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され他方の電極が前記第2電源線と電気的に接続される第2発光素子と、前記第1発光素子と並列に設けられた第1容量と、前記第2発光素子と並列に設けられた第2容量とを備える画素回路と、前記複数の走査線に対して前記選択信号を順次排他的に出力する走査線駆動回路と、前記選択信号により選択される前記走査線に対応して設けられた複数の前記画素回路に対して、書込電圧を前記複数のデータ線を介して供給するデータ線駆動回路と、前記複数の第1電源線および前記複数の第2電源線に電位を供給する電位制御回路とを備え、前記複数の画素回路の各々において、前記選択信号が供給される期間を書込期間、前記選択信号が供給されない期間を発光期間としたとき、前記電位制御回路は、前記書込期間となる画素回路に接続された前記第1電源線に、前記第1発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、前記書込期間となる画素回路に接続された前記第2電源線に、前記第2発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、前記発光期間となる画素回路に接続された前記第1電源線および第2電源線に供給する電位を、前記第1容量および前記第2容量のうち、一方の容量から、他方の容量に並列に設けられた発光素子に電流が流れるように設定することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、書込期間において、第1発光素子および第2発光素子が非発光となるので、正確な輝度を表示でき、さらに、第1発光素子と第2発光素子とを選択的に発光させるので、2画面表示装置や3D表示装置に適用することが可能となる。
【0020】
また、上述した電気光学装置において、前記電位制御回路は、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、当該画素回路に対応する前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ当該画素回路に対応する前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流し、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2電源線に固定電位を供給し、且つ前記第1電源線の電位を変化させて、前記第1容量から前記第2発光素子に電流を流すことが好ましい。この場合は、非発光とする発光素子に接続された電源線の電位を変化させることによって、発光させる発光素子に電流を流すことができる。
【0021】
また、上述した電気光学装置において、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、前記第2容量から前記第1発光素子に電流が流れるように、当該画素回路に対応する前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させ、前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、前記第1容量から前記第2発光素子に電流が流れるように、当該画素回路に対応する前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させることが好ましい。この発明によれば、第1電源線と第2電源線の両方の電位を制御するので、一方の電位のみを制御する場合と比較して、発光素子に供給する電流を大きくすることができる。また、発光期間において、第1電源線の電位と2電源線の電位を差動形式で変化させることにより、第1電源線および第2電源線の電位のダイナミックレンジを狭くすることができ、駆動が容易となる。
【0022】
次に、本発明に係る電子機器は、上記のうちいずれかの電気光学装置を備えることを特徴とする。このような電子機器として、カーナビゲーション装置、およびHMDなどの2画面表示装置や、パーソナルコンピュータ、および携帯電話などの1画面表示装置が該当する。この電子機器によれば、2画面表示を行う場合にも、それぞれ異なる電気光学装置で表示するのではなく、1つの電気光学装置により表示するため、装置の小型化および軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図2】画素回路を示す回路図である。
【図3】表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】画素回路の各期間における状態を示す図である。
【図7】表示装置の陰極の配置を示すブロック図である。
【図8】表示装置の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係る表示装置の発光パターンを示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る表示装置に視差バリアまたはレンチキュラーレンズを適用した場合の、表示装置の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る画素回路の各期間における状態を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る画素回路の各期間における状態を示す図である。
【図16】本発明の変形例2に係る表示装置の陰極の配置を示すブロック図である。
【図17】HMD(Head Mounted Display)の構成を示す平面図である。
【図18】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図19】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<A:第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置1のブロック図である。表示装置1は、複数の画素回路20が配列された表示領域10と、各画素回路20を駆動する駆動回路30とを備える。駆動回路30は、例えば複数の集積回路に分散して実装される。ただし、駆動回路30の少なくとも一部は、画素回路20とともに基板上に形成された薄膜トランジスタで構成され得る。
【0026】
表示領域10には、X方向に延在するM本の走査線12と、X方向に延在するM本の第1電源線16aおよびM本の第2電源線16bと、X方向に交差するY方向に延在するN本のデータ線14とが形成される(M、Nは1以上の自然数)。なお、M本の走査線12とM本の第1電源線16aとは1対1に対応しており、M本の走査線12とM本の第2電源線16bとは1対1に対応している。複数の画素回路20は、各走査線12と各データ線14との交差に対応して、縦M行×横N列の格子状に配列される。
【0027】
駆動回路30は、走査線駆動回路31と、データ線駆動回路32と、電位制御回路33とを備える。走査線駆動回路31は、複数の画素回路20を行単位で順次選択するための手段であり、複数の画素回路20を行単位で順次に選択するための選択信号G[i](iは1≦i≦Mを満たす整数)を生成して、各走査線12へ出力する。
データ線駆動回路32は、jは1≦j≦Nを満たす整数としたとき、j列目のデータ線14に、各画素回路20の発光素子が発光すべき階調(以下、「指定階調」という)に応じたデータ電位VD[j]を出力する。なお、j列の画素回路20は、第1行から第M行までのM個の回路がある。このため、以下の説明では、j列目のデータ線14に供給する電位はデータ電位VD[j]と記載し、i行j列の画素回路20に供給する電位はデータ電位VD[i、j]と記載する。
電位制御回路33は、第1電源電位Vct1[i]を生成し各第1電源線16aに出力するとともに、第2電源電位Vct2[i]を生成し各第2電源線16bへ出力する。
【0028】
図2は、画素回路20の回路図である。図2においては、第i行の第j列に位置する画素回路20が代表的に図示されている。
画素回路20は、選択トランジスタTr1、第1発光素子E1、および第2発光素子E2を備える。選択トランジスタTr1のゲートは、i行目の走査線12に接続される。選択トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち一方はj列目のデータ線14に接続され、選択トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち他方はノードNDに接続される。第1実施形態において選択トランジスタTr1はnチャネルで構成される。
i行目の走査線12に供給される選択信号G[i]がハイレベルになると、選択トランジスタTr1はオン状態となり、データ線14およびノードNDが電気的に接続される。一方、選択信号G[i]がローレベルの期間では、選択トランジスタTr1はオフ状態となり、データ線14と第1ノードNDは非導通となる。
【0029】
第1発光素子E1および第2発光素子E2は、発光ダイオードで構成することができる。この例では、陽極と陰極との間に有機EL(Electroluminescence)材料の発光層を介在させた有機EL素子を採用する。
第1発光素子E1は、ノードNDに電気的に接続される共通電極22を陽極とし、第1電源線16aに電気的に接続される第1対向電極24aを陰極として構成される。第2発光素子E2は、共通電極22を陽極とし、第2電源線16bに電気的に接続される第2対向電極24bを陰極として構成される。第1対向電極24aは、第1電源線16aを介して電位制御回路33に電気的に接続され、第2対向電極24bは、第2電源線16bを介して電位制御回路33に電気的に接続される。
共通電極22は、第1発光素子E1および第2発光素子E2の共通の陽極として機能する。第1発光素子E1には並列に寄生容量C1が付随し、第2発光素子E2には並列に寄生容量C2が付随する。
第1発光素子E1および第2発光素子E2は、陽極と陰極との間に発光閾値電圧Vth以上の電圧が印加されると、発光層には陽極から陰極へと向かう方向に電流が流れる。発光層はこの電流の大きさに応じた輝度で発光する。
なお、第1実施形態では、第1発光素子E1のみがデータ電位VD[j]に応じた輝度で発光し、第2発光素子E2は発光しない。この例の第2発光素子E2は、その寄生容量C2にデータ電位に応じた電荷が供給される。
【0030】
なお、第1実施形態においては、共通電極22を陽極とし、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bを陰極としているが、本発明はこのような形態に限定されず、共通電極22を陰極とし、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bを陽極として構成しても良い。
また、第1実施形態においては、共通電極22が、第1発光素子E1および第2発光素子E2に共通する陽極として形成されているが、本発明はこのような形態に限定されず、第1発光素子E1の陽極と、第2発光素子の陰極とを区分けして個別に形成しても良い。
さらに、本実施形態においては、第1発光素子E1には並列に寄生容量C1が付随し、第2発光素子E2には並列に寄生容量C2が付随するが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、第1発光素子E1と並列に容量素子を設け、第2発光素子E2と並列に容量素子を設けても良い。すなわち、第1発光素子E1および第2発光素子に並列に設けられた容量は、寄生容量であってもよいし、容量素子であってもよいし、あるいは、寄生容量と容量素子とで構成されてもよい。
【0031】
図3は、表示装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3に示す通り、選択信号G[i]は、1垂直走査期間に相当する周期を有するパルス信号であり、i行目の走査線12に供給される。選択信号G[i]のパルス幅、つまり選択信号G[i]がハイレベルである期間は、1水平走査期間に相当する。また、選択信号G[i]は、選択信号G[i−1]より1水平走査期間に相当する期間だけ遅れてハイレベルに立ち上がる。この選択信号G[1]〜G[M]により、M本の走査線12は、1水平走査期間毎に順次排他的に選択される。
選択信号G[i]がハイレベルである期間、すなわち、第i行の走査線12が選択されている期間において、データ線駆動回路32から、第i行に属するN個の画素回路20に、画素回路20の階調を規定するデータ電位VD[i、1]〜VD[i、N]が供給される。
データ電位VD[i、j]は、画素回路20のうち、第1発光素子E1の階調を規定する第1データ電位VD1[i、j]、および第2発光素子E2の階調を規定する第2データ電位VD2[i、j]より構成することができる。但し、第1実施形態においては、上述したように第1発光素子E1のみが発光するので、第1各画素回路20には、第1データ電位VD1[i、j]のみが選択信号G[i]がハイレベルになる期間において供給される。
【0032】
図4は、図3のうち、第i行第j列の画素回路20に対して供給される、第1電源電位Vct1[i]、第2電源電位Vct2[i]、第1データ電位VD1[i、j]、および、ノードNDの電位VND[i,j]について、概略をY軸方向の同一目盛上にプロットした図である。図3および図4に示すとおり、第1実施形態においては、第1電源電位Vct1[i]は、一定の固定電位Vcstに保たれる。なお、固定電位Vcstとして、接地電位Vgndを供給しても良いし、接地電位Vgnd以外の一定の電位を供給しても構わない。
第2電源電位Vct2[i]は、1垂直走査期間に相当する周期のランプ波形を有する信号である。第2電源電位Vct2[i]は、選択信号G[i]がハイレベルの期間において第1電位VLに保たれる一方、選択信号G[i]がローレベルとなった期間において、第1電位VLから第1電位VLよりも高い電位の第2電位VHへと、一定の傾きで直線的に上昇する。
【0033】
ノードNDの電位VND[i、j]は、選択信号G[i]がハイレベルの書込期間において、データ線駆動回路32から供給されるデータ電位VD[i,j]に設定される。
また、選択信号G[i]がローレベルとなる発光期間において、第2電源電位Vct2[i]が一定の傾きで上昇するのに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]も第2電源電位Vct2[i]と共に一定の傾きで直線的に上昇する。これは、寄生容量C2がカップリング容量として機能するからである。
【0034】
ところで、発光素子の電圧電流特性は、その陽極と陰極との間に発光閾値電圧Vth以上の電圧が印加されると、発光素子には陽極から陰極へと向かう電流が流れるが、その電流量は指数関数的に増大する。すなわち、発光素子の電圧電流特性に応じて、印加電圧に対応する電流が発光素子に流れ、逆に、電流に対応する電圧が発光素子の両端に発生する。
ここで、発光素子の印加電圧が0Vであったとする。この状態において、発光閾値電圧Vth以上の電圧に対応する電流を発光素子に供給したとすると、発光素子の電圧は電流電圧特性によって定まる動作電圧に達するまで上昇し、動作電圧に到達した後は一定となる。
【0035】
この実施形態において、第1発光素子E1に流れる電流の大きさは、第2電源電位Vct2[i]の傾きで定まる。ここで、第1発光素子E1に流れる電流を「I1」とする。第1発光素子E1に電流I1を定常的に流した場合において、第1発光素子E1の電圧(陰極と陽極の電位差)を動作電圧Vxとする。
図4(a)に示すように、ノードNDの電位VND[i、j]は、第1電源電位Vct1[i]として設定される固定電位Vcstよりも動作電圧Vxだけ高い電位に達した後は、選択信号G[i]がローレベルである間は、当該電位Vcst+Vxで一定に保たれる。
【0036】
ノードNDの電位VND[i、j]が、第1電源線16aの供給する第1電源電位Vct1[i]よりも、発光閾値電圧Vth以上高い電位となった場合、第1発光素子E1が発光する。また、ノードNDの電位VND[i、j]が、第2電源線16bの供給する第2電源電位Vct2[i]よりも、発光閾値電圧Vth以上高い電位となった場合、第2発光素子E2が発光する。
【0037】
選択信号G[i]がハイレベルの期間においてノードNDに設定されるデータ電位VD[i,j]は、以下の式(1)〜式(3)を満たす。
VD[i、j]−VL < Vth ……(1)
VD[i、j]−Vcst < Vth ……(2)
VD[i、j]+(VH−VL)−Vcst ≧ Vth ……(3)
【0038】
式(1)は、データ電位VD[i,j]と、第1電位VLとの電位差が、発光閾値電圧Vth未満であることを表す。
選択信号G[i]がハイレベルの期間では、ノードNDの電位VND[i、j]はデータ電位VD[i,j]に等しく、第2電源電位Vct2[i]は第1電位VLに設定される。従って、式(1)を満たす場合、選択信号G[i]がハイレベルの期間において第2発光素子E2は発光不能となる。
なお、式(1)を満たす場合、ノードNDの電位VND[i、j]と第2電源電位Vct2[i]との電位差は、選択信号G[i]がローレベルの期間においても発光閾値電圧Vth未満の値に保たれるため、第2発光素子E2は1垂直走査期間にわたり発光不能となる。
【0039】
式(2)は、データ電位VD[i,j]と、固定電位Vcstとの電位差が、発光閾値電圧Vth未満であることを表す。
選択信号G[i]がハイレベルの期間では、ノードNDの電位VND[i、j]はデータ電位VD[i,j]に等しく、第1電源電位Vct1[i]は固定電位Vcstに設定される。従って、式(2)を満たす場合、選択信号G[i]がハイレベルの期間において第1発光素子E1は発光しない。
【0040】
式(3)は、データ電位VD[i,j]に対して、第2電位VHと第1電位VLとの差分に相当する電圧を加算した場合に、固定電位Vcstよりも発光閾値電圧Vth以上の電位となることを表す。
選択信号G[i]がハイレベルの期間では、ノードNDの電位VND[i、j]はデータ電位VD[i,j]に等しいが、選択信号G[i]がローレベルとなる期間において、第2電源電位Vct2[i]が第1電位VLより第2電位VHへと上昇するのに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]も上昇する。一方、第1電源電位Vct1[i]は固定電位Vcstに設定されている。従って、選択信号G[i]がローレベルの期間において第1発光素子E1が発光可能となるためには、少なくとも、式(3)を満たす必要がある。
【0041】
このように、上記の式(1)〜式(3)の制約の下、データ電位VD[i,j]を画素回路20に対して供給することで、選択信号G[i]がローレベルの期間において、データ電位VD[i、j]により規定される輝度で第1発光素子が発光可能となるが、選択信号G[i]がハイレベルの期間においては、第1発光素子E1および第2発光素子E2は発光しない。
【0042】
なお、画素回路20を黒表示とする場合、すなわち、第1発光素子E1(および第2発光素子E2)を発光させない場合には、式(3)を満たさないことが条件となる。すなわち、以下の式(4)を満たすデータ電位VD[i,j]を供給すれば、当該画素回路20を黒表示とすることができる。
VD[i、j]+(VH−VL)−Vcst < Vth ……(4)
図4(b)に、式(4)を満たす場合の、第1電源電位Vct1[i]、第2電源電位Vct2[i]、第1データ電位VD1[i、j]、および、ノードNDの電位VND[i,j]について示す。
図4(b)に示されたとおり、ノードNDの電位VND[i、j]として式(4)を満たす第1データ電位VD1[i,j]が設定された場合には、その後、1垂直走査期間にわたり、ノードNDの電位VND[i、j]は、固定電位Vcstよりも発光閾値電圧Vth以上高い電位とはならない。従って、この場合は、第1発光素子E1は発光不能となる。
【0043】
なお、図4においては、第1電位VL、第2電位VH、および固定電位Vcstは、以下の式(5)を満たす関係であった。
Vcst ≦ VL < VH ……(5)
しかし、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、以下の式(6)を満たす関係でもよい。
VL ≦ Vcst < VH ……(6)
図5に、式(6)を満たす場合の、第1電源電位Vct1[i]、第2電源電位Vct2[i]、第1データ電位VD1[i、j]、および、ノードNDの電位VND[i,j]を示す。なお、図5に示す通り、式(6)の関係を満たす場合には、図4に示した式(5)を満たす場合に比べて、第1発光素子E1の発光期間が短くなる。そのため、発光効率を考慮した場合には、式(5)を満たすことが望ましい。
【0044】
図6を参照して、第i行第j列の画素回路20の動作を説明する。図6(a)は、選択信号G[i]がハイレベルである期間における、画素回路20の動作を示す図である。
選択信号G[i]がハイレベルである期間において、選択トランジスタTr1はオンとなる。データ線14からは、第1データ電位VD1[i,j]がノードNDを介して、寄生容量C1および寄生容量C2に対して供給される。これにより、ノードNDの電位VND[i、j]は第1データ電位VD1[i,j]に設定され、寄生容量C1には第1データ電位VD1[i、j]に対応する電荷Q1が供給され、寄生容量C2には第1データ電位VD1[i、j]に対応する電荷Q2が供給される。なお、第1データ電位VD1[i,j]は、式(1)〜式(3)を満たすように設定される。
また、第1電源電位Vct1[i]は、固定電位Vcstに設定される。式(2)より、第1発光素子E1の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満となるため、第1発光素子E1は発光しない。また、第2電源電位Vct2[i]は第1電位VLに設定される。式(1)より、第2発光素子E2の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満となるため、第2発光素子E2は発光しない。
【0045】
図6(b)は、図6(a)の期間に後続する期間、すなわち、選択信号G[i]がローレベルに立ち下がった直後の期間における、画素回路20の動作を示す図である。図6(b)の期間においては、選択信号G[i]がローレベルであるため、選択トランジスタTr1はオフとなり、データ線14と第1ノードNDとが非導通となる。
第2電源電位Vct2[i]は、第1電位VLより第2電位VHへと一定の傾きで上昇する。これに伴い、寄生容量C2から寄生容量C1に向けて流れる電流が発生し、ノードNDの電位VND[i、j]が上昇する。第1電源電位Vct1[i]は、固定電位Vcstに設定される。第1発光素子E1の両極間の電位差VND[i]−Vcstが発光閾値電圧Vth未満である間は、第1発光素子E1は発光しない。
【0046】
図6(c)は、選択信号G[i]がローレベルの期間のうち、図6(b)の期間に後続する期間における、画素回路20の動作を示す図である。図6(c)に示す期間では、図6(b)の期間に引き続き第2電源電位Vct2[i]が一定の傾きで上昇した結果、ノードNDの電位VND[i、j]もこれに伴い上昇し、第1発光素子E1の両極間の電位差VND[i]−Vcstが発光閾値電圧Vthを超える。これにより、第1発光素子E1には、寄生容量C2から第1データ電位VD1[i、j]に基づく大きさの電流I1が流れ、第1データ電位VD1[i、j]により規定される輝度で発光する。
【0047】
図7および図8を用いて、各画素回路20の共通電極22、第1発光素子E1、および第2発光素子E2に対する、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bの配置の一例を説明する。
図7は、各画素回路20に対する第1対向電極24aおよび第2対向電極24bの配置を示したブロック図である。図7に示すとおり、各画素回路20には、Y軸と平行な長辺とX軸に平行な短辺とからなる長方形の形状を有する発光層23が形成される。
第1対向電極24aは、X軸と平行な長辺とY軸に平行な短辺とからなる長方形の形状を有し、各走査線12に接続するN個の画素回路20にそれぞれ備えられたN個の第1発光素子E1に共通するように設けられている。そして第1対向電極24aは、M本の走査線12に対応してM個形成される。同様に、第2対向電極24bは、X軸と平行な長辺とY軸に平行な短辺とからなる長方形の形状を有し、各走査線12に接続するN個の画素回路20にそれぞれ備えられたN個の第2発光素子E2に共通するように設けられている。そして第2対向電極24bは、M本の走査線12に対応してM個形成される。1対の第1対向電極24aおよび第2対向電極24bは、各走査線12に接続されるN個の画素回路20の発光層23と重なるように、互いに一定の距離をあけて配置される。
M個の第1対向電極24aは、M本の第1電源線16aにより、それぞれ電位制御回路33に接続され、M個の第2対向電極24bは、M本の第2電源線16bにより、それぞれ電位制御回路33に接続される。
【0048】
図8(a)は、図7に示された画素回路20をZ〜Z´で切断した断面図である。図8(a)に示すとおり、基板19上には、各画素回路20と1対1に対応して共通電極22が形成され、基板19および共通電極22の上に発光層23が形成される。発光層23上には、各共通電極22に対応する位置に、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bが一定の間隔を隔てて形成される。
第1発光素子E1は、発光層23のうち第1対向電極24aおよび共通電極22の間に位置する第1発光部23aと、第1対向電極24aと、共通電極22のうち第1発光部23aに接する部分とから形成される。同様に、第2発光素子E2は、発光層23のうち第2対向電極24bおよび共通電極22の間に位置する第2発光部23bと、第2対向電極24bと、共通電極22のうち第2発光部23bに接する部分とから形成される。すなわち、各画素回路20において、第1発光素子E1および第2発光素子E2は、Y軸に沿った方向に並ぶように配置される。
なお、図示は省略するが、基板19上には、走査線12、およびデータ線14が形成される。
【0049】
また、図7および図8(a)においては、発光層23は各画素回路20と1対1となるように形成されているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
すなわち、図8(b)に示すとおり、発光層23が複数の画素回路20に共通に形成されても良い。この場合には発光層23を画素回路20毎に区分けして形成する必要が無いため、製造工程の簡素化が可能となる。
また、図示はしないが、第1発光素子E1および第2発光素子E2の間に隔壁を形成して、第1発光素子E1と第2発光素子E2とを区分けして形成しても良い。この場合、隣接する発光層相互間での光の漏れ等を低減することが可能となり、より鮮明な画像の表示が可能となる。
【0050】
このように第1実施形態においては、画素回路20に第1発光素子E1と第2発光素子E2とを備え、一方の発光素子を発光させるために、他方の発光素子に接続される電源線の電位を変化させ、その寄生容量に供給された電荷を一方の発光素子に電流として流すようにしたので、簡易な構成で一方の発光素子を発光させることができる。
また、選択信号G[i]がハイレベルとなる書込期間において、画素回路20に書き込むデータ電位VD[j]は、第1発光素子E1および第2発光素子E2の発光閾値電圧Vth未満となるように設定されているので、書込期間において第1発光素子E1および第2発光素子E2を非発光とすることができる。
【0051】
また、第1実施形態では、各共通電極22の長辺と、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bの長辺とが直交するように、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bを配置した。これにより、各共通電極22の短辺と、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bの長辺とが直交するように、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bを配置した場合に比べて、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bの短辺を長くすることが可能となる。従って、第1実施形態の表示装置1は、製造の簡易化、歩留まりの向上という利点を有する。
【0052】
<B:第2実施形態>
第1実施形態に係る表示装置は、第1電源電位Vct1[i]を固定電位Vcstとする一方、第2電源電位Vct2[i]をランプ波形とすることで第1発光素子E1を発光させ、第2発光素子E2を非発光とした。これに対して、第2実施形態に係る表示装置は、固定電位Vcstとランプ波形のうち、第1電源電位Vct1[i]を一方とし、第2電源電位Vct2[i]を他方とし、1垂直走査期間ごとに一方と他方を入れ替える点で、第1実施形態の表示装置と相違する。
第2実施形態の表示装置は、電位制御回路33で生成する第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]の波形が異なる点を除き、第1実施形態の表示装置1と同様に構成されている。
【0053】
図9に第2実施形態に係る表示装置のタイミングチャートを示す。この図に示すように、奇数フレームFaでは第1電源電位Vct1[i]が固定電位Vcstであり、且つ第2電源電位Vct2[i]がランプ波形である一方、偶数フレームFbでは第1電源電位Vct1[i]がランプ波形であり、且つ第2電源電位Vct2[i]が固定電位Vcstである。そして、j番目のデータ線には、奇数フレームFaにおいて第1発光素子E1に対応する第1データ電位VD1[i、j]が供給される一方、偶数フレームFbにおいて第2発光素子E2に対応する第2データ電位VD2[i、j]が供給される。
【0054】
これにより、奇数フレームFaにおいては、第1発光素子E1を発光させ、偶数フレームFbにおいては第2発光素子E2を発光させることができる。この場合、寄生容量C1は第2発光素子E2に電流を供給する電流源として機能する一方、寄生容量C2は第1発光素子E1に電流を供給する電流源として機能する。この結果、1個の選択トランジスタTr1と2個の発光素子といった簡易な構成で画素回路20を構成することができるので、開口率を向上させることが可能となる。
【0055】
図10は、表示領域10の発光パターンを表した図である。表示領域10は、奇数フレームでは、各行の画素回路20の第1発光素子E1が第1データ電位VD1[i、j]に基づいて第1発光期間TL1毎に順次発光し、偶数フレームでは、各行の画素回路20の第2発光素子E2が第2データ電位VD2[i、j]に基づいて第2発光期間TL2毎に順次発光する。
図10(a)に示す例では、R色、G色、B色のうちいずれか一色で発光するN個の画素回路20をX軸方向に延在する方向に1行に並べ、このようなR色、G色、B色に発光するN個の画素回路20の列をY軸方向にストライプ状に配置しても良い。この場合、各水平走査期間において、データ線駆動回路32より供給されるデータ電位VD[i]は、R色、G色、B色のうち一色のみを表す信号となるため、データ電位VD[i]の生成が容易となる。
また、図10(b)のように、R色、G色、B色のうちいずれか一色で発光するM個の画素回路20をY軸方向に延在する方向に一列に並べ、このようなR色、G色、B色に発光するM個の画素回路20の行をX軸方向にストライプ状に配置しても良い。
【0056】
以上のように、第2実施形態の表示装置は、第1発光素子E1が第1データ電位VD1[i、j]に基づいて第1の画像を表示し、第2発光素子E2が第2データ電位VD2[i、j]に基づいて第2の画像を表示する。従って、第1の画像を観察できる領域と第2の画像を観察できる領域とを、光学的な手法等を用いて分離することにより、左右で異なる画像を表示できる2画面表示装置を実現することができる。この場合、例えば、第1の画像を観察できる領域を観察者の右目に位置するように設定し、第2の画像を観察できる領域を観察者の左目に位置するように設定することで、両眼で異なる画像を観察することが可能となり、3D表示装置等を実現することができる。
【0057】
図11に、第1発光素子E1が表示する第1の画像と、第2発光素子E2が表示する第2の画像とを光学的に分離する、2画面表示装置の例を示す。図11(a)は、視差バリア40を用いて、第1発光素子E1が表示する第1の画像および第2発光素子E2が表示する第2の画像を分離して表示する表示装置の断面図である。視差バリア40は、遮光部41と開口部42とを備える。開口部42は、第1発光素子E1および第2発光素子E2の間に配置され、第1発光素子E1の発する光のうち、左領域FLに向かう光は遮光部41により吸収される一方、右領域FRに向かう光は、開口部42より出射される。同様に、第2発光素子E2が発する光は、開口部42より、左領域FLにのみ出射される。
【0058】
この場合、視差バリア40の位置と開口部42の位置および大きさを、右領域FRおよび左領域FLが、それぞれ観察者の右目および左目に位置するように設定することで、観察者の観察者は右目と左目で異なる画像を観察することが可能となり、例えば、3D表示装置が実現される。
また、視差バリア40の位置と開口部42の位置および大きさを、右領域FRおよび左領域FLが、異なる二人の観察者のそれぞれの位置に合致するように設定することで、表示装置1の両側に位置する2名の観察者に対してそれぞれ異なる画像を表示可能な2画面表示装置を実現することができる。
【0059】
なお、このような2画面表示装置は、視差バリア40の代わりにレンチキュラーレンズ50を用いても実現可能である。図11(b)は、レンチキュラーレンズ50を用いて第1および第2の画像を分離する表示装置の断面を示した図である。
レンチキュラーレンズ50は、レンチキュラーレンズ50を構成する各レンズを第1発光素子E1および第2発光素子E2の中間に配置し、第1発光素子E1が発する光は右領域FRに出射され、第2発光素子E2が発する光は左領域FLに出射される。これにより、右領域FRおよび左領域FLとで異なる画像を表示する2画面表示装置を実現できる。
このように第2実施形態においては、第1発光素子E1と第2発光素子E2とを選択的に発光させたので、異なる画像を表示させることができ、これらを分離して異なる領域に導くことによって、2画面表示や3D表示が可能となる。しかも、寄生容量C1および寄生容量C2を電流源として機能させたので、画素回路20の構成を簡素化することが可能となった。
【0060】
<C:第3実施形態>
図12は、第3実施形態に係る表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
第3実施形態の表示装置は、電位制御回路33で生成する第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]の波形が異なる点を除き、第1実施形態の表示装置1と同様に構成されている。
すなわち、第1実施形態では、第2電源電位Vct2[i]がランプ波形で第1電位VLと第2電位VHの間を変動するランプ波形である一方、第1電源電位Vct1[i]は固定電位Vcstに保たれていた。これに対して、第3実施形態においては、第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]の双方が、第1電位VLおよび第2電位VHの間を一定周期で変動する波形となるように、電位制御回路33から出力される。
【0061】
図12に示すとおり、選択信号G[i]がハイレベルである期間において、データ線駆動回路32から、第i行に属するN個の画素回路20に、画素回路20の階調を規定するデータ電位VD[i、1]〜VD[i、N]が供給される。データ電位VD[i、j]は、画素回路20のうち、第1発光素子E1の階調を規定する第1データ電位VD1[i、j]、および第2発光素子E2の階調を規定する第2データ電位VD2[i、j]より構成される。
なお、第3実施形態においては、選択信号G[i]がハイレベルである期間のうち、奇数フレームFaにおいて、第1データ電位VD1[i、j]が供給される期間を第1書込期間TW1と定義し、第1書込期間TW1の後、選択信号G[i]がローレベルである期間を第1発光期間TL1と定義する。また、選択信号G[i]がハイレベルである期間のうち、偶数フレームFbにおいて、第2データ電位VD2[i、j]が供給される期間を第2書込期間TW2と定義し、第2書込期間TW2の後、選択信号G[i]がローレベルである期間を第2発光期間TL2と定義する。第1発光期間TL1と、第2発光期間TL2とは、1垂直走査期間毎に交互に設けられる。
【0062】
図13は、図12のうち、第i行第j列の画素回路20に対して供給される、第1電源電位Vct1[i]、第2電源電位Vct2[i]、第1データ電位VD1[i、j]、第2データ電位VD2[i、j]、および、ノードNDの電位VND[i,j]について、概略をY軸方向の同一目盛上にプロットした図である。
図12および図13に示すとおり、第3実施形態においては、第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]は、2垂直走査期間に相当する周期を有する。
【0063】
第1電源電位Vct1[i]は、第1書込期間TW1において第2電位VHに設定され、第1発光期間TL1において第2電位VHから第1電位VLへと一定の傾きで直線的に変化する。そして、第2書込期間TW2において第1電位VLに設定され、第2発光期間TL2において第2電位VLから第2電位VHへと一定の傾きで直線的に変化する。
第2電源電位Vct2[i]は、第1書込期間TW1において第1電位VLに設定され、第1発光期間TL1において第1電位VLから第2電位VHへと一定の傾きで直線的に変化する。そして、第2書込期間TW2において第2電位VHに設定され、第2発光期間TL2において第2電位VHから第1電位VLへと一定の傾きで直線的に変化する。
【0064】
第1発光期間TL1において、第2電源電位Vct2[i]が一定の傾きで上昇するのに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]も上昇する。そして、ノードNDの電位VND[i、j]が、第1電源電位Vct1[i]よりも、発光閾値電圧Vthだけ高い電位に達すると、第1発光素子E1が発光する。
第2発光期間TL2において、第1電源電位Vct1[i]が一定の傾きで上昇するのに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]も上昇する。そして、ノードNDの電位VND[i、j]が、第2電源電位Vct2[i]よりも、発光閾値電圧Vthだけ高い電位に達すると、第2発光素子E2が発光する。
ノードNDの電位VND[i、j]は、第1電源電位Vct1[i]または第2電源電位Vct2[i]のうち低い電位より動作電圧Vxだけ高い電位に達すると、その後、次に選択信号G[i]がハイレベルに立ち上がるまでの間は、第1電源電位Vct1[i]または第2電源電位Vct2[i]のうち低い電位よりも動作電圧Vxだけ高い電位となったまま、変化する。
すなわち、第1発光期間TL1において、ノードNDの電位VND[i、j]が、第1電源電位Vct1[i]よりも動作電圧Vxだけ高い電位に達すると、その後、選択信号G[i]がハイレベルに立ち上がるまで、電位VND[i、j]は、第1電源電位Vct1[i]と等しい傾きで降下する。同様に、第2発光期間TL2において、ノードNDの電位VND[i、j]が、第2電源電位Vct2[i]よりも動作電圧Vxだけ高い電位に達すると、その後、選択信号G[i]がハイレベルに立ち上がるまで、電位VND[i、j]は、第2電源電位Vct2[i]と等しい傾きで降下する。
【0065】
ノードNDの電位VND[i、j]は、奇数フレームFaの第1書込期間TW1において第1データ電位VD1[i,j]に設定され、偶数フレームFbの第2書込期間TW2において第2データ電位VD2[i,j]に設定される。これら、データ電位VD[i,j]は、以下の式(8)および式(9)を満たすように設定される。
VD[i、j]−VL < Vth ……(8)
(VD[i、j]+VH−VL)−VL ≧ Vth ……(9)
式(8)は、データ電位VD[i,j]と、第1電位VLとの電位差が、発光閾値電圧Vth未満であること表す。
第1書込期間TW1および第2書込期間において、ノードNDの電位VND[i、j]はデータ電位VD[i,j]に設定され、第1電源電位Vct1[i]または第2電源電位Vct2[i]のうち低い方の電位は、第1電位VLに等しい。従って、式(8)を満たす場合、第1発光素子E1および第2発光素子E2は発光不能となる。
【0066】
第1発光期間TL1において、ノードNDの電位VND[i、j]は、第2電源電位Vct2[i]の上昇に伴い上昇する。従って、第1発光期間TL1において、第2発光素子E2は発光しない。
同様に、第2発光期間TL2において、ノードNDの電位VND[i、j]は、第1電源電位Vct1[i]の上昇に伴い上昇する。従って、第2発光期間TL2において、第1発光素子E1は発光しない。
【0067】
式(9)は、データ電位VD[i,j]に対して、第2電位VHと第1電位VLとの差分に相当する電位差を加算した場合の電位と、第1電位VLとの電位差が、発光閾値電圧Vth以上であることを表す。
第1発光期間TL1において、第2電源電位Vct2[i]は、第1電位VLから第2電位VHへと電位差VH−VLだけ上昇する。第1発光素子E1および第2発光素子E2が共に発光しない場合、ノードNDの電位VND[i、j]も、第2電源電位Vct2[i]の上昇に伴い、第1データ電位VD1[i,j]よりも電位差VH−VLの分だけ高い電位へと、一定の傾きで上昇する。一方、第1電源電位Vct1[i]は、第2電位VHから第1電位VLへと一定の傾きで降下する。従って、ノードNDの電位VND[i、j]と第1電源電位Vct1[i]との電位差(VD1[i、j]+VH−VL)−VLが、発光閾値電圧Vth以上となる場合には、第1発光素子E1が発光する。
同様に、第2発光期間TL2において、第1電源電位Vct1[i]は、第1電位VLから第2電位VHへと電位差VH−VLだけ上昇する。第1発光素子E1および第2発光素子E2が共に発光しない場合、ノードNDの電位VND[i、j]も、第1電源電位Vct1[i]の上昇に伴い、第2データ電位VD2[i,j]よりも電位差VH−VLの分だけ高い電位へと、一定の傾きで上昇する。一方、第2電源電位Vct2[i]は、第2電位VHから第1電位VLへと一定の傾きで降下する。従って、ノードNDの電位VND[i、j]と第2電源電位Vct2[i]との電位差(VD2[i、j]+VH−VL)−VLが、発光閾値電圧Vth以上となる場合には、第2発光素子E2が発光する。
【0068】
なお、画素回路20を黒表示とする場合、すなわち、第1発光素子E1(および第2発光素子E2)を発光させない場合には、式(9)を満たさないことが条件となる。すなわち、従って、以下の式(10)を満たすデータ電位VD[i,j]を供給すれば、当該画素回路20を黒表示とすることができる。
(VD[i、j]+VH−VL)−VL < Vth ……(10)
図13(b)に式(10)を満たす場合の、第1電源電位Vct1[i]、第2電源電位Vct2[i]、第1データ電位VD1[i、j]、第2データ電位VD2[i、j]、および、ノードNDの電位VND[i,j]について示す。
図13(b)に示すとおり、ノードNDの電位VND[i、j]として、式(10)を満たすデータ電位VD[i,j]が設定された場合には、その後、第1発光期間TL1または第2発光期間TL2において、ノードNDの電位VND[i、j]は、第1電源電位Vct1[i]または第2電源電位Vct2[i]のうち低い方の電位よりも発光閾値電圧Vth以上高い電位とはならない。従って、この場合は、第1発光素子および第2発光素子は発光不能となる。
【0069】
図14および図15を参照して、第i行第j列の画素回路20の動作を説明する。図14(a)は、第1書込期間TW1における、画素回路20の動作を示す図である。第1書込期間TW1においては、選択信号G[i]がハイレベルであり、選択トランジスタTr1はオンとなる。データ線14からは、第1データ電位VD1[i,j]がノードNDを介して、寄生容量C1および寄生容量C2に対して供給される。これにより、ノードNDの電位VND[i、j]は第1データ電位VD1[i,j]に設定され、寄生容量C1および寄生容量C2には、第1データ電位VD1[i、j]に対応する電荷Q1および電荷Q2がそれぞれ供給される。なお、第1データ電位VD1[i,j]は、式(8)および(9)を満たすように設定される。
第1電源電位Vct1[i]は、第2電位VHに設定される。式(8)より、第1発光素子E1の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満であり、第1発光素子E1は発光しない。また、第2電源電位Vct2[i]は、第1電位VLに設定される。式(8)より、第2発光素子E2の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満であり、第2発光素子E2は発光しない。
【0070】
図14(b)は、図14(a)の期間に後続する第1発光期間TL1における、画素回路20の動作を示す図である。第1発光期間TL1においては、選択信号G[i]がローレベルであるため、選択トランジスタTr1はオフとなり、データ線14と第1ノードNDとが非導通となる。
第2電源電位Vct2[i]は、第1電位VLより第2電位VHへと一定の傾きで上昇する。これに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]が上昇する。一方、第1電源電位Vct1[i]は、第2電位VHより第1電位VLへと一定の傾きで下降する。そして、式(9)を満たす場合、第1発光素子E1の両極間の電位差VND[i、j]−Vct1[i]が発光閾値電圧Vth以上となったときに、第1発光素子E1が発光する。
【0071】
図15(a)は、図14(b)の期間に後続する第2書込期間TW2における、画素回路20の動作を示す図である。第2書込期間TW2においては、第1書込期間と同様、選択信号G[i]がハイレベルとなり、データ線14からは、第2データ電位VD2[i,j]がノードNDを介して、寄生容量C1および寄生容量C2に対して供給される。これにより、ノードNDの電位VND[i、j]は第2データ電位VD2[i,j]に設定され、寄生容量C1および寄生容量C2には、第2データ電位VD2[i、j]に対応する電荷Q1´および電荷Q2´がそれぞれ供給される。なお、第2データ電位VD2[i,j]は、式(8)および(9)を満たすように設定される。
第1電源電位Vct1[i]は、第1電位VLに設定される。式(8)より、第1発光素子E1の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満となり、第1発光素子E1は発光しない。また、第2電源電位Vct2[i]は、第2電位VHに設定される。式(8)より、第2発光素子E2の両極間の電位差は発光閾値電圧Vth未満となり、第2発光素子E2は発光しない。
【0072】
図15(b)は、図15(a)の期間に後続する第2発光期間TL2における、画素回路20の動作を示す図である。第2発光期間TL2においては、選択信号G[i]がローレベルであるため、データ線14と第1ノードNDとが非導通となる。
第1電源電位Vct1[i]は、第1電位VLより第2電位VHへと一定の傾きで上昇する。これに伴い、ノードNDの電位VND[i、j]が上昇する。一方、第2電源電位Vct2[i]は、第2電位VHより第1電位VLへと一定の傾きで下降する。そして、式(9)を満たす場合、第2発光素子E2の両極間の電位差VND[i、j]−Vct2[i]が発光閾値電圧Vth以上となったときに、第2発光素子E2が発光する。
【0073】
このように、第3実施形態においては、第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]の差動形式で駆動するので、第1実施形態に比べて、第1電源電位Vct1[i]および第2電源電位Vct2[i]のダイナミックレンジを半分に抑えることができる。従って、第3実施形態の表示装置は、低消費電力化が可能という利点を有する。
【0074】
<D:変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。
(1)変形例1
上述した第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態においては、第1対向電極24aは第1電源線16aを介して電位制御回路33に電気的に接続し、第2対向電極24bは第2電源線16bを介して電位制御回路33に電気的に接続しているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
すなわち、第1電源線16aの一部または全部を第1対向電極24aにより構成してもよい。また、第2電源線16bの一部または全部を第2対向電極24bにより構成してもよい。
第1電源線16aの全部を第1対向電極24aで構成し、第2電源線16bの全部を第2対向電極24bで構成する場合、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bは、直接電位制御回路33に接続される。
この場合、表示領域10には、2M本の電源線を形成する必要が無いため、製造工程の簡易化による歩留まり向上が可能になるという利点を有する。
【0075】
(2)変形例2
上述した第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態においては、第1発光素子E1および第2発光素子E2は、各画素回路20において、Y軸に沿った方向に並ぶように配置されているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
すなわち、図16に示すとおり、各画素回路20において、第1発光素子E1および第2発光素子E2を、X軸に沿った方向に並ぶように配置してもよい。
この場合、第1対向電極24aおよび第2対向電極24bは、各画素回路20にそれぞれ個別に形成される。また、第1電源線16aは、同一の走査線12に接続するN個の画素回路20に備えられたN個の第1対向電極24aと接続するように、M本の走査線12に対をなしてM本配置される。同様に、第2電源線16bは、同一の走査線12に接続するN個の画素回路20に備えられたN個の第2対向電極24bと接続するように、M本の走査線12に対をなしてM本配置される。
【0076】
(3)変形例3
上述した第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態において、発光期間(第1発光期間、第2発光期間)において、第1電源電位Vct1[i]または第2電源電位Vct2[i]はランプ波形となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。要は、非発光の発光素子に付随する寄生容量から発光させる発光素子に電流が流れ、当該電流に応じて当該発光素子が発光すれば、どのような波形であってもよい。例えば、第1電位VLから第2電位VHに単調増加する波形であってもよいし(第1実施形態および第2実施形態に適用)、そのよう波形と、第2電位VHから第1電位VLに単調減少する波形と用いてもよい(第3実施形態に適用)。
【0077】
<E:応用例>
次に、以上の各態様に係る表示装置1を利用した電子機器について説明する。図17ないし図19には、表示装置1を表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
図17は、表示装置1を採用したHMD(Head Mounted Display)1000の構成を示す断面図である。HMD1000は、第1の画像1002Lおよび第2の画像1002Rを表示する表示装置1、第1の画像1002Lを観察者の左目へと導く導光板1001L、第2の画像1002Rを観察者の右目へと導く導光板1001R、およびフレーム1003を具備する。HMD1000は、3D表示装置としても活用することができる。
表示装置1を採用したHMD1000は、第1の画像1002Lおよび第2の画像1002Rをそれぞれ異なる表示装置で表示するのではなく、1つの表示装置1により表示するため、装置の小型化および軽量化が可能になるという利点を有する。
【0078】
図18は、表示装置1を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置1と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0079】
図19は、表示装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置1とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置1に表示される画面がスクロールされる。
【0080】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図17から図19に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0081】
1…表示装置、12…走査線、14…データ線、16a…第1電源線、16b…第2電源線、20…画素回路、22…共通電極、23…発光層、24a…第1対向電極、24b…第2対向電極、30…駆動回路、31…走査線駆動回路、32…データ線駆動回路、33…電位制御回路、C1…寄生容量、C2…寄生容量、E1…第1発光素子、E2…第2発光素子、G[i]…選択信号、ND…ノード、VD[i、j]…データ電位、VD1[i、j]…第1データ電位、VD2[i、j]…第2データ電位、VL…第1電位、VH…第2電位、VND[i、j]…ノードNDの電位、Vcst…固定電位、Vct1[i]…第1電源電位、Vct2[i]…第2電源電位、Vth…発光閾値電圧、Vx…動作電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端子に書込電圧が供給され、他方の端子がノードに電気的に接続され、書込期間においてオン状態となり、発光期間においてオフ状態となるスイッチング素子と、
一方の電極が前記ノードと電気的に接続され、他方の電極が第1電源線と電気的に接続される第1発光素子と、
一方の電極が前記ノードと電気的に接続され、他方の電極が第2電源線と電気的に接続される第2発光素子と、
前記第1発光素子と並列に設けられた第1容量と、
前記第2発光素子と並列に設けられた第2容量と、を備え、
前記書込期間において、前記第1容量および前記第2容量には前記書込電圧が供給されることによって電荷が蓄積され、
前記発光期間において、前記第1容量および前記第2容量のうち、一方の容量から、他方の容量に並列に設けられた発光素子に電流が流れ、当該電流に応じて当該発光素子が発光する、
ことを特徴とする画素回路。
【請求項2】
前記第1容量の一部又は全部は、前記第1発光素子の寄生容量であり、
前記第2容量の一部又は全部は、前記第2発光素子の寄生容量である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画素回路。
【請求項3】
請求項1に記載の画素回路の駆動する方法であって、
前記書込期間において、
前記第1電源線に、前記第1発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、
前記第2電源線に、前記第2発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給する、
ことを特徴とする画素回路の駆動方法。
【請求項4】
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込み、
前記発光期間において、前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流す、
ことを特徴とする請求項3に記載の画素回路の駆動方法。
【請求項5】
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流し、
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2電源線に固定電位を供給し、且つ前記第1電源線の電位を変化させて、前記第1容量から前記第2発光素子に電流を流す、
ことを特徴とする請求項3に記載の画素回路の駆動方法。
【請求項6】
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2容量から前記第1発光素子に電流が流れるように、前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させ、
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第1容量から前記第2発光素子に電流が流れるように、前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画素回路の駆動方法。
【請求項7】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の第1電源線と、複数の第2電源線と、
前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して各々設けられ、前記データ線とノードの間に設けられ選択信号によってオン状態となるスイッチング素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され他方の電極が前記第1電源線と電気的に接続される第1発光素子と、一方の電極が前記ノードと電気的に接続され他方の電極が前記第2電源線と電気的に接続される第2発光素子と、前記第1発光素子と並列に設けられた第1容量と、前記第2発光素子と並列に設けられた第2容量とを備える画素回路と、
前記複数の走査線に対して前記選択信号を順次排他的に出力する走査線駆動回路と、
前記選択信号により選択される前記走査線に対応して設けられた複数の前記画素回路に対して、書込電圧を前記複数のデータ線を介して供給するデータ線駆動回路と、
前記複数の第1電源線および前記複数の第2電源線に電位を供給する電位制御回路とを備え、
前記複数の画素回路の各々において、前記選択信号が供給される期間を書込期間、前記選択信号が供給されない期間を発光期間としたとき、
前記電位制御回路は、
前記書込期間となる画素回路に接続された前記第1電源線に、前記第1発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、
前記書込期間となる画素回路に接続された前記第2電源線に、前記第2発光素子に印加される電圧が発光閾値電圧未満となる電位を供給し、
前記発光期間となる画素回路に接続された前記第1電源線および第2電源線に供給する電位を、前記第1容量および前記第2容量のうち、一方の容量から、他方の容量に並列に設けられた発光素子に電流が流れるように設定する、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記電位制御回路は、
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、当該画素回路に対応する前記第1電源線に固定電位を供給し、且つ当該画素回路に対応する前記第2電源線の電位を変化させて、前記第2容量から前記第1発光素子に電流を流し、
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込んだ場合、前記発光期間において、前記第2電源線に固定電位を供給し、且つ前記第1電源線の電位を変化させて、前記第1容量から前記第2発光素子に電流を流す、
ことを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第1発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、前記第2容量から前記第1発光素子に電流が流れるように、当該画素回路に対応する前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させ、
前記書込期間において、前記書込電圧として前記第2発光素子の輝度に応じた電圧を書き込まれた前記画素回路に対して、前記発光期間において、前記第1容量から前記第2発光素子に電流が流れるように、当該画素回路に対応する前記第1電源線および前記第2電源線の電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項7乃至10に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−93424(P2012−93424A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238532(P2010−238532)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】