画素欠陥検査装置、画素欠陥検査方法、制御プログラムおよび可読記録媒体
【課題】標準光量発生装置を必要とせず、周囲に正常でない画素があっても高精度に入射光量を推定して画素欠陥を検査する。
【解決手段】イメージセンサ1に対して、光源2から光量が異なる複数の入射光を照射して、各光量に応じた出力画像を画像メモリ3に記憶させる。演算回路4によって、全画素またはn画素おきの画素出力のメディアン値を用いて、各被検査画素の光電変換係数と入射光がないときのオフセット出力画像レベルを求め、これと、事前に設定された基準値とを比較して画素欠陥の有無を判定する。
【解決手段】イメージセンサ1に対して、光源2から光量が異なる複数の入射光を照射して、各光量に応じた出力画像を画像メモリ3に記憶させる。演算回路4によって、全画素またはn画素おきの画素出力のメディアン値を用いて、各被検査画素の光電変換係数と入射光がないときのオフセット出力画像レベルを求め、これと、事前に設定された基準値とを比較して画素欠陥の有無を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられるCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS型イメージセンサなどのイメージセンサに発生した画素欠陥を検出するための画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のイメージセンサは、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられ、入射光量に応じた出力特性を有するPD(Photo Diode;フォトダイオード)などの光電変換素子(受光部)が2次元状(またはマトリクス状)に複数配列されて各画素部が構成されている。このようなイメージセンサにおいては、複数の光電変換素子を生産するときに生じる局部的な結晶欠陥(傷)によって画質劣化を招くことが知られている。また、イメージセンサの出荷後に、宇宙線の照射などが原因となって、新たな傷が発生することもある。
【0003】
従来より、このような画素欠陥を検出して画素部の出力を補正するために、標準光量発生装置を用いて、暗いレベルから明るいレベルまでの基準入射光を各光電変換素子(各画素部)に照射して、各画素部からの出力画像特性を求める各種の装置や方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、操作が困難な標準光量発生装置を用いずに、画素欠陥を検出することが可能なイメージセンサの画素欠陥検査装置が開示されている。以下に、特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置について説明する。
【0005】
図14は、特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。
【0006】
図14において、従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100は、入射光量に応じた出力特性を有する複数の光電変換素子を配列してなる被検査イメージセンサ101に対して、光量が異なる複数の入射光を照射可能とする光源102と、各入射光量に応じた被検査イメージセンサ101の各出力画像(画像データ)を保存する画像メモリ103と、この画像メモリ103からの各出力画像(画像データ)から入射光の光量を推定し、各光電変換素子の出力特性を求めて画素欠陥の有無を判定する演算回路104と、この演算回路104で判定した検査結果を保存するEEROMメモリ105とを備えている。
【0007】
上記構成の被検査イメージセンサ101の画素欠陥検査装置100を用いて、以下のように画素欠陥の検査を行うことができる。
【0008】
まず、被検査イメージセンサ101に対して、光源102から複数の異なる強度の入射光を照射させ、複数の出力画像Pi(x,y)を得る。上記xは画像の幅方向(横方向)における画素の座標位置、yは画像の高さ方向(縦方向)における画素の座標位置を示し、i=0、1、2、3、・・・は0以上の整数である。
【0009】
次に、被検査イメージセンサ101のある一点、例えば画素(x,y)の画素欠陥の有無を検査する場合に、図15に示すように、被検査画素(x,y)の出力画像P(x,y)と、その被検査画素(x,y)の上下左右の近隣領域に含まれる隣接画素(x−1,y)、(x+1,y)、(x,y−1)および(x,y+1)の出力画像P(x−1,y)、P(x+1,y)、P(x,y−1)およびP(x,y+1)を用いる。選択された5画素の出力画像P(x,y)、P(x−1,y)、P(x+1,y)、P(x,y−1)およびP(x,y+1)の中央値(メディアン値)を、下記式(4)のメディアンフィルタによって抽出して、正常な画素の出力画像レベルC(x,y)とする。
【0010】
C(x,y)=median{P(x−1,y),P(x,y),P(x+1,y),P(x,y−1),P(x,y+1)} ・・・ 式(4)
さらに、基準となる光電変換係数a0と、入射光がない状態での基準となるオフセット出力画像レベルb0と、上記正常な画素の出力画像レベルC(x,y)から、入射光量E(x,y)を推定する。一般に、光電変換素子の入射光量E(x,y)と画素の出力画像レベルC(x,y)との間には、下記式(5)に示すような関係がある。よって、入射光量E(x,y)は下記式(1)によって求めることができる。
【0011】
C(x,y)=a0×E(x,y)+b0 ・・・式(5)
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
図16は、光電変換素子の入射光量E(x,y)と画素の出力画像レベルC(x,y)との関係を示すグラフであり、縦軸に画素の出力画像(画素出力)P、横軸に入射光量Eを示している。
【0012】
図16に示すように、光電変換素子の出力画像特性は、画素の出力画像Pを示す縦軸のオフセット出力画像レベルb0と交わり、傾きが光電変換係数a0の直線(一次関数)であり、入射光量Eを示す横軸の任意の点(入射光量E0(x,y))に対応して画素の出力画像レベルP0(x,y)となる。これは式(5)にも示されている。
【0013】
以上のように、基準光電変換係数a0と基準オフセット出力画像レベルb0とを用いて、上記式(1)により、出力画像から入射光量E(x,y)を推定することができる。同様に、複数の入射光の各々異なる入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,,,)も推定することができる。
【0014】
次に、複数の入射光量Eに応じた出力画像Pの同一座標(x,y)について、画素の出力画像P0(x,y)、P1(x,y)、P2(x,y)、・・・、Pi(x,y)と、入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、E2(x,y)、・・・、Ei(x,y)とを用いて、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。ここでは、下記式(6)によって導出される誤差の2乗の総和σを最小にすることを条件として、下記式(2)に一点の各入射光量Ei(x,y)と各光電変換素子出力Pi(x,y)を代入することによって、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求めることができる。
【0015】
【数2】
以上のようにして、各被検査画素の各入射光量Eと被検査画素の各出力画像Pとを用いて、上記式(2)によって、この被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを計算することができる。
【0016】
次に、下記式(7)を用いて、計算された各光電変換素子の光電変換係数aおよび入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbと、基準の光電変換係数a0と基準のオフセット出力画像レベルb0とを比較して、事前設定された判定基準値を超える画素については欠陥があると判定する。
【0017】
|a0−a|<Δa かつ |b0−b|<Δb:欠陥無し ・・・ 式(7)
ただし、ΔaおよびΔbは、事前設定された判定基準値としての判定閾値である。
【0018】
ここで、原色CCD型イメージセンサからの出力画像Pは、図2に示すようにRGBがBayer配列されたデータであるため、上記近傍領域に含まれる各光電変換素子として、カラー表示用の各表示色のうち、被検査光電変換素子と同一の表示色を表すものだけが選択される。
【0019】
この場合には、カラー表示用の各表示色毎に、各色の基準範囲が設定されており、欠陥があるか否かの判定は、下記式(3)を用いて行われる。
【0020】
式(3)
原色Rの場合は、
|a0R−aR|<ΔaR、かつ、|b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は、
|a0G−aG|<ΔaG、かつ、|b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は、
|a0B−aB|<ΔaB、かつ、|b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
ただし、a0Rおよびb0Rは、R(赤)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。また、a0Gおよびb0Gは、G(緑)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。さらに、a0Bおよびb0Bは、B(青)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaRおよびΔbRはR画素について事前設定された判定閾値である。また、ΔaGおよびΔbGはG画素について事前設定した判定閾値である。さらに、ΔaBおよびΔbBはB画素について事前設定された判定閾値である。
【0021】
以上のようにして検出された欠陥素子のアドレスをEEROMメモリ14に書き込むことにより、欠陥素子の検出処理が終了する。
【特許文献1】特開2004−47985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100には、以下のような問題がある。
【0023】
上記従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100においては、被検査画素(光電変換素子)の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求めるために、複数の異なる光量の入射光が利用されている。
【0024】
それらの入射光量Eを推定するために、各光電変換素子の出力画像Pを用いて、各被検査画素とその画素の上下左右に位置する近隣画素の出力画像Pのうちのメディアン値を当該被検査画素の出力画像Pとし、この出力画像Pから逆に入射光量Eを算出する処理が行われている。例えば、ある正常な画素を検査するとき、その画素の近隣に位置する4つの画素のうちの例えば3つ以上の画素が正常ではない場合には、それらの画素出力(画素の出力画像P)のメディアン値は正常な値ではないため、正しく入射光量Eを推定することができない。このため、光電変換素子の欠陥の有無を誤って判定する虞があり、検査精度に問題がある。
【0025】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、標準光量発生装置を必要とせず、周囲に正常でない画素があっても高精度に入射光量を推定して画素欠陥を検査することができるイメージセンサの画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の画素欠陥検査装置は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、入射光量が異なる入射光を照射可能とする光源装置と、該入射光の各入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データを保存すると共に、事前に設定された基準出力画像特性および判定基準値を保存する画像メモリと、該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて該基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、該判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
また、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における画像メモリに、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、前記判定基準値として、該光電変換係数用の判定閾値Δaと該オフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbが設定されている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における演算手段は、前記入射光量に応じた前記被検査イメージセンサの各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段と、 該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段と、該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段と、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段と、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段とを有する。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における入射光量推定手段は、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、前記中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める。
【0030】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における出力画像特性演算手段は、前記出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、前記入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;n,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を、後述する[数4]の下記式(2)に代入することによって、前記出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における基準出力画像特性は基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを有し、前記出力画像特性は光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbとを有し、前記画素欠陥判定手段は、該基準となる光電変換係数a0と該光電変換係数aとの差の絶対値が前記判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、該基準となるオフセット出力画像レベルb0と該オフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、該判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、前記被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における出力画像特性演算手段は、カラー表示用の各原色毎に、前記光電変換係数aおよびオフセット出力画像レベルbを求める。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記カラー表示用の各原色がR(赤)、G(緑)およびB(青)の場合に、該R、GおよびBの各色毎に、前記基準出力画像特性として基準となる光電変換係数a0および前記基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定され、前記判定基準値として判定閾値ΔaおよびΔbが設定されており、前記画素欠陥判定手段は、下記式(3)を用いて前記被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する。
【0034】
式(3)
原色Rの場合は
|a0R−aR|<ΔaR かつ |b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は
|a0G−aG|<ΔaG かつ |b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は
|a0B−aB|<ΔaB かつ |b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存する保存用メモリをさらに有する。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存させる検査結果保存制御手段をさらに有する。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と前記被検査イメージセンサとの距離が、予め定められ、該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記被検査イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動手段をさらに有する。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記距離を測定するセンサ移動距離測定手段をさらに有する。
【0038】
本発明の画素欠陥検査方法は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、該入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて、事前に設定された基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、事前に設定された判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算ステップを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
また、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法における演算ステップは、前記被検査イメージセンサから前記入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、 該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップとを有する。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法における画素欠陥判定ステップの後に、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップをさらに有する。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法において、光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と該イメージセンサとの距離が、予め定められ該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動ステップをさらに有する。
【0042】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記画素欠陥検査方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0043】
本発明の可読記録媒体は、本発明の上記制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0044】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0045】
本発明にあっては、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源から入射される光量を推定するために、各入射光量に応じた各出力画像データにおける各光電変換素子からの画素出力データのうち、全画素出力のメディアン値またはn画素おきのメディアン値(中央値)を求め、この求めたメディアン値である出力画像データから逆に入射光量を推定する。全画素のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定することが可能となり、推定入射光量を用いてより確実に画素欠陥を検査することが可能となる。例えば、従来技術の事例では5つの画素を使っていたが、本発明の事例では9つの画素あるいはもっと多い画素を使って、画素数が多いし、それに選択する範囲も広いので、検査の精度が従来技術の事例より高くなる。
【0046】
また、本発明にあっては、従来のように標準光量発生装置を用いずに、図13に示すように、光源点Pから距離D1だけ離れたA点と、距離D2だけ離れたB点の光量が下記式(8)で表される関係を有することを利用する。
【0047】
【数3】
上記式(8)を利用して、光源と被検査イメージセンサーの距離を、例えば図12に示すような比率(1、√2、2、2√2、4、・・・)となる位置に設定する。
【0048】
上記距離の比率が1である位置における入射光の光量をEとすると、E1=E、E2=E/2、E3=E/4、E4=E/8、・・・などというように、光源と被検査イメージセンサとの距離を各比率に設定したときの入射光の光量を、上記式(8)によって求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0049】
以上により、本発明によれば、全画素出力のメディアン値またはn画素おきの画素出力のメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定して、標準光量発生装置を用いなくてもイメージセンサの画素欠陥を確実に検出することができる。
【0050】
また、光源装置と被検査イメージセンサの距離を予め定められた比率に設定することによって、入射光量推定のために必要とされる計算量を減少させて、より高速にイメージセンサの画素欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に、本発明のイメージセンサの画素欠陥検査装置および画素欠陥検査方法の実施形態1,2について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0052】
図1において、本実施形態1のイメージセンサの画素欠陥検査装置10は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が2次元状(またはマトリクス状)に配列された被検査イメージセンサ1に対して、光量が異なる均一光(入射光)を照射可能とする光源装置としての光源2と、この入射光の各入射光量に応じた被検査イメージセンサ1の各出力画像データを保存する画像メモリ3と、この各出力画像データから入射光量を推定して、各光電変換素子の出力画像特性を求めて画素欠陥の有無を判定する演算手段としての演算回路4と、欠陥素子(欠陥のある光電変換素子)のアドレスをこの演算回路4による検査結果として保存する保存用メモリ5とを備えている。
【0053】
画像メモリ3は、基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、判定基準値として、光電変換係数用の判定閾値Δaとオフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbとが設定されている。
【0054】
演算回路4は、入射光量に応じた被検査イメージセンサ1の各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段41と、この各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段42と、この中央値および基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段43と、この推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段44と、基準出力画像特性と求めた出力画像特性との比較結果と、判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段45と、画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリ5に保存させる検査結果保存制御手段46とを有している。
【0055】
即ち、この演算回路4は、各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を入射光量毎に求め、この中央値を用いて基準出力画像特性から各入射光量を推定し、推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求め、基準出力画像特性と求めた出力画像特性との比較結果と、判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する。
【0056】
入射光量推定手段43は、基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める。
【0057】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
出力画像特性演算手段44は、出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;この場合のn,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を下記式(2)に代入することによって、出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。
【0058】
【数4】
画素欠陥判定手段45は、基準となる光電変換係数a0と光電変換係数aとの差の絶対値が判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、基準となるオフセット出力画像レベルb0とオフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する。
【0059】
上記構成のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10を用いて、以下のようにして画素欠陥の検査が行われる。
【0060】
まず、被検査イメージセンサ1に対して、光源2から複数の異なる強度の入射光を照射し(電流値制御など)、複数の出力画像Pi(x,y)を得て、この画像データを画像メモリ3に保存する。上記xは画像の幅方向(横方向)における画素の座標位置、yは画像の高さ方向(縦方向)における画素の座標位置を示しており、i=0、1、2,3、・・・は0以上の整数である。
【0061】
ここで、カラー表示では、例えば原色CCD型の被検査イメージセンサ1からの出力画像Pは、例えば図2に示すようにRGBがBayer(ベイヤ)配列されたデータであるため、上記各出力画像Pに対して、図2に太線で囲んだ四角で示すR画素マスク、G画素マスクおよびB画素マスクを用いて、R画素、G画素およびB画素をそれぞれ分ける。このR画素マスクは、図2の左上部分に示すように、上下方向および左右方向にG画素を間に挟んで一つおきにR画素の開口部が設けられている。また、G画素マスクは、図2の右下部分に示すように、左右方向にB画素またはR画素を間に挟み、上下方向にB画素またはR画素を間に挟んで一つおきにG画素の開口部が設けられている。さらに、B画素マスクは、図2の中央部分に示すように、上下方向および左右方向にG画素を間に挟んで一つおきにB画素の開口部が設けられている。このようにしてR画素、G画素およびB画素にそれぞれ分けられた出力画像に対して、演算回路4によって、それぞれ以下の演算処理を行う。
【0062】
まず、基準となる光電変換係数a0および、入射光がない状態での基準となるオフセット出力画像レベルb0と、正常な画素の出力画像レベルC(x,y)とから、入射光量E(x,y)を推定する。
【0063】
本実施形態1では、所定領域の各出力画像における全画素の光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの光電変換素子の出力画像のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベル(各被検査画素出力)C(x,y)として、この各被検査画素出力から入射光の光量を推定する。
【0064】
図3は、全画素の光電変換素子からの出力画像を説明するための図であり、図4は、1画素おきの光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【0065】
図3および図4において、太線で四角に囲まれた部分が選択される画素を示している。図3ではP(0,0)〜P(i,j)の全画素が選択され、図4ではP(0,0)、(P2,0)、・・・、P(i−1,0)、P(i,0)、・・・、P(0,2)、・・・、P(0,j)、・・・、P(i−1,j−1)、P(i,j)が選択されている。
【0066】
本実施形態1では、光電変換係数a0、オフセット出力画像レベルb0、所定領域の各出力画像における1画素おきの光電変換素子の出力のうちのメディアン値を正常な画素の出力画像レベル(被検査画素出力)C(x,y)として、各被検査画素出力から、下記式(1)によって入射光の光量E(x,y)を推定する。
【0067】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
例えば、R画素に対する処理時には、各出力画像Pから、図5(a)に示すように1画素おきの画素出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,31,32,33,33,33,34,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0068】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、基準となるオフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の画素出力(出力画像P)のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0069】
また、各出力画像Pから、図5(b)および図5(c)に示すように1画素おきの出力画像Pを選択して、選択された画素のメディアン値C1(x,y)=median{19,19,20,18,19,19,19,20,19}=19および、メディアン値C2(x,y)=median{12,12,11,11,12,12,12,13,12}=12をそれぞれ当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0070】
基準となる光電変換係数a0=1、基準となるオフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの各光電変換素子の出力画像のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベルC1(x,y)として、入射光量E1(x,y)=(C1(x,y)−b0)/a0=(19−5)/1=14と推定することができる。また、入射光量E2(x,y)=(C2(x,y)−b0)/a0=(12−5)/1=7と推定することができる。
【0071】
このように、図5(a)の入射光量E0では推定入射光量が28、図5(b)の入射光量E1では推定入射光量が14、図5(c)の入射光量E2では推定入射光量が7であり、入射光量を段階的に減少させている。
【0072】
これと同様にして、入射光量を変化させて得られる各出力画像から、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を計算により推定することができる。
【0073】
次に、演算回路4によって、各光電変換素子の出力画像特性として、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。ここでは、複数の入射光量Eに応じた出力画像の同一座標(x,y)について、画素出力(出力画像)P0(x,y)、P1(x,y)、P2(x,y)、・・・、Pi(x,y)と、入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、E2(x,y)、・・・、Ei(x,y)とを用いて、上記式(2)によって、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0074】
例えばP(x,y)画素を検査する場合には、上記推定した被検査画素の各入射光量E0(x,y)=28、E1(x,y)=14およびE2(x,y)=7と、当該被検査画素の各入射光量Ei(x,y)に対応する出力P0(x,y)=33、P1(x,y)=19およびP2(x,y)=12を上記式(2)に代入する。これによって、
【0075】
【数5】
が得られ、上記式(9)によって、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求めることができる。上記計算結果としては、a=1.01、b=4.5が得られる。
【0076】
次に、基準となる光電変換係数a0および入射光がない状態での基準となる光電変換素子のオフセット出力画像レベルb0と、計算された光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを比較して、事前に設定された判定閾値ΔaおよびΔbによって画素欠陥の有無を判定する。
【0077】
原色Rの場合は、
|a0R−aR|<ΔaRかつ|b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し・・・式(10)
を用いて判定する。ただし、a0Rおよびb0Rは、R画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。また、aRおよびbRは、被検査R画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaRおよびΔbRは、R画素の判定閾値である。
【0078】
事前設定された判定閾値Δa=0.1およびΔb=0.6である場合、上記計算結果では、基準となる光電変換係数a0=1およびオフセット出力画像レベルb0=5、被検査画素の光電変換係数a=1.01およびオフセット出力画像レベルb=4.5であり、上記式(10)が満たされるため、被検査画素は欠陥がないと判定することができる。
【0079】
次に、被検査画素に欠陥がある場合について、これと同様に、図6(a)〜図6(c)を用いて各出力画素値(各出力画像値)に対して計算処理を行う。
【0080】
R画素に対する処理時には、各出力画像Pから、図6(a)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,34,31,30,33,33,32,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0081】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0082】
さらに、各出力画像Pから、図6(b)および図6(c)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C1(x,y)=median{19,19,20,18,17,19,19,21,19}=19およびC2(x,y)=median{12,12,13,11,10,12,12,13,12}=12を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0083】
基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC1(x,y)として、入射光量E1(x,y)=(C1(x,y)−b0)/a0=(19−5)/1=14と推定することができる。また、入射光量E2(x,y)=(C2(x,y)−b0)/a0=(12−5)/1=7と推定することができる。
【0084】
このように、入射光量を変化させて得られる各出力画像Pから、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を計算により推定することができる。
【0085】
次に、演算回路4によって、各光電変換素子の出力画像特性として、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを求める。例えばP(x,y)画素を検査する場合には、上記被検査画素の各入射光量E0(x,y)=28、E1(x,y)=14およびE2(x,y)=7と、当該被検査画素の各入射光量Ei(x,y)に対応する出力P0(x,y)=30、P1(x,y)=17およびP2(x,y)=10を上記式(2)に代入する。これによって、
【0086】
【数6】
が得られ、上記式(11)によって、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを求めることができる。上記計算結果としては、a=0.95およびb=3.5が得られる。
【0087】
次に、基準となる光電変換係数a0および入射光がない状態での基準となる光電変換素子のオフセット出力画像レベルb0と、計算された光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを比較して、事前に設定された判定閾値ΔaおよびΔbによって画素欠陥の有無を判定する。
【0088】
事前設定された判定閾値Δa=0.1およびΔb=0.6である場合、上記計算結果では、基準となる光電変換係数a0=1およびオフセット出力画像レベルb0=5、被検査画素の光電変換係数a=0.95およびオフセット出力画像レベルb=3.5であり、これを上記式(10)に代入すると、上記式(10)が満たされないため、被検査画素は画素欠陥があると判定することができる。
【0089】
以上のように、全R画素の各光電変換素子における光電変換係数aと各光電変換素子のオフセット出力画像レベルbとを計算して、画素欠陥を判定することができる。
【0090】
同様にして、G画素およびB画素に対しても、入射光量Eを推定し、光電変換係数a(aG、aB)およびオフセット出力画像レベルb(bG、bB)を求めて、下記式(12)および下記式(13)を用いて、被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定することができる。
【0091】
原色Gの場合は、
|a0G−aG|<ΔaGかつ|b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し・・・式(12)
原色Bの場合は、
|a0B−aB|<ΔaBかつ|b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し・・・式(13)
ただし、a0Gおよびb0Gは、G画素の基準となる光電変換係数a0と入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルb0である。また、aGおよびbGは、被検査G画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaGおよびΔbGは、G画素の判定閾値である。さらに、a0Bおよびb0Bは、B画素の基準となる光電変換係数a0と入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルb0である。さらに、aBおよびbBは、被検査B画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaBおよびΔbBは、B画素の判定閾値である。
【0092】
以上のようにして、R画素、G画素およびB画素に対してそれぞれ検出された欠陥素子のアドレスを、保存用メモリ5へ書き込む。この一連の処理は、演算回路4によって行われる。本実施形態1の被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査装置10の演算回路4は、ハードウェアで構成することもできるし、ソフトウェアで構成することもできる。
【0093】
ソフトウェアで構成する場合には、演算回路4は、コンピュータを用いて、可読記録媒体に格納された被検査イメージセンサ1の制御プログラム(画素欠陥検査制御プログラム)にしたがって各処理ステップを実行する。この場合のフローチャートを図7〜図10に示すが、その基本ハード構成について説明すると、演算回路4は、全体の画素欠陥検査制御を行う制御手段としてのCPU(中央演算処理装置)と、この被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータ(CPU)に実行させるための画素欠陥検査制御プログラムが記録されたコンピュータ(CPU)読み出し可能な可読記録媒体(記憶手段)としてのROMと、このROMから本発明の画素欠陥検査制御プログラムが読み出され、ワークメモリとして働く記憶手段としてのRAMとを有している。この他に、この画素欠陥検査結果をユーザに報知するための報知手段としての表示装置が設けられていてもよい。
【0094】
この演算回路4は、ROM内の制御プログラムとしての画素欠陥検査制御プログラムに基づいて、演算ステップとして、被検査イメージセンサ1から入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、この中央値および基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、基準出力画像特性とこの求めた出力画像特性との比較結果と判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップと、画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップの各処理機能を実行する。
【0095】
この画素欠陥検査制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体としては、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成することができる。これは、携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどであってもよい。また、この携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどから本発明のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10内のハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの記憶手段に画素欠陥検査制御プログラムがインストールされるように構成してもよいし、インターネットやイントラネット(サーバ装置)を介して、本発明のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10内のハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの記憶手段に画素欠陥検査制御プログラムがインストールされるように構成してもよい。
【0096】
図7〜図10は、図1の演算回路4によって行われるイメージセンサ1の画素欠陥検出処理ステップの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0097】
まず、演算回路4は、図7のステップS1で初期設定工程を行う。この初期設定工程の詳細については図8を用いて説明する。
【0098】
図8に示すように、ステップS10において、演算回路4は、画像メモリ3から、複数光量に対する2枚以上の出力画像を読み込む。
【0099】
ステップS11において、演算回路4は所定領域の画像サイズを設定する。その画像サイズとは、ステップS10で読み込んだ画像のサイズである。
【0100】
ステップS12およびステップ13において、演算回路4は、出力画像から各色(R,G,B)の画素を選択して、色毎に行う処理を決定する。
【0101】
ステップS14、ステップS15およびステップS16において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分の画素をそれぞれ取り出して、R画像、G画像およびB画像のそれぞれを画像メモリ3に格納する。
【0102】
ステップS17において、演算回路4は、所定領域の全画素の走査が完了したか否かを判断する。全画素の走査が完了している場合(Yes)には、次のステップS18の処理に進み、全画素の走査が完了していない場合(No)には、各色(R,G,B)の画素を選択するステップS12の処理に戻る。
【0103】
ステップS18において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分に対して、それぞれの基準となる光電変換係数a0とオフセット出力画像レベルb0とを設定する。
【0104】
ステップS19において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分に対して、所定の基準値として、それそれの判定閾値ΔaおよびΔbを設定する。
【0105】
次に、演算回路4は、図7のステップS2で入射光量の推定工程を行う。この入射光量の推定工程の詳細については図9を用いて説明する。
【0106】
図9に示すように、ステップS20において、演算回路4は、画像メモリ3に格納されたR画像から、所定領域の全R画素のメディアン値または1R画素おきのR画素のメディアン値を求める。
【0107】
ステップS21において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(1)に基づいて、R成分の画素への入射光量Eを求める。
【0108】
ステップS22において、演算回路4は、G成分に対して、所定領域の全G画素のメディアン値または1G画素おきのG画素のメディアン値を求める。
【0109】
ステップS23において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(1)に基づいて、G成分の画素への入射光量Eを求める。
【0110】
ステップS24において、演算回路4は、B成分に対して、所定領域の全B画素のメディアン値または1B画素おきのB画素のメディアン値を求める。
【0111】
ステップS25において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(1)に基づいて、B成分の画素への入射光量Eを求める。
【0112】
次に、演算回路4は、図7のステップS3で各画素欠陥の検査工程を行う。この各画素欠陥の検査工程の詳細については図10を用いて説明する。
【0113】
図10に示すように、ステップS30において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(2)に基づいて、各R画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0114】
ステップS31において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(10)に基づいて、R成分画素の欠陥を判定する。
【0115】
ステップS32において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(2)に基づいて、各G画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0116】
ステップS33において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(12)に基づいて、G成分画素の欠陥を判定する。
【0117】
ステップS34において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(2)に基づいて、各B画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0118】
ステップS35において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(13)に基づいて、B成分画素の欠陥を判定する。
【0119】
その後、演算回路4は、図7のステップS4で、検出された欠陥画素のアドレスを保存用メモリ5に書き込む処理を行う。
【0120】
以上により、本実施形態1によれば、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源2から入射される光量を推定するために、各入射光量Eに応じた出力画像における各光電変換素子の出力画像Pのうち、所定領域の全画素出力のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を出力として、この出力画像Pから逆に入射光量Eを推定する。所定領域の全画素のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常ではない画素があったとしても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定することができる。例えば、従来技術の事例では5つの画素を使っていたが、本発明の事例では9つの画素あるいはもっと多い画素を使って、画素数が多いし、それに選択する範囲も広いので、検査の精度が従来技術の事例より高くなる。
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係るイメージセンサ1の画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1の構成部材と同様の構成部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0121】
図11において、本実施形態2の画素欠陥検査装置10Aは、図1に示す被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査装置10に加えて、光源2からの入射光を異なる入射光量Eに制御するために、イメージセンサ1を搭載して光源2とイメージセンサ1との距離が予め定められた比率となる位置にイメージセンサ1および光源2の少なくともいずれか(ここではイメージセンサ1)を移動させる移動手段としての移動装置6と、イメージセンサ1の移動距離を測定するセンサー移動距離測定手段としてのセンサー移動距離測定装置7とをさらに有している。
【0122】
本実施形態2では、このイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10Aを用いて、以下のようにして画素欠陥の検査を行う。
【0123】
まず、被検査イメージセンサ1に対して、光源2から図12に示す位置0で入射光を照射し、位置0の出力画像P0(x,y)を得、その出力画像P0(x,y)を画像メモリ2に保存させる。上記xは画像の幅方向における画素の座標位置、yは画像の高さ方向における画素の座標位置を示し、i=0、1、2,3、・・・は0以上の整数である。
【0124】
次に、上記各出力画像Pに対して、図2に太線で囲んだ四角で示すR画素マスク、G画素マスクおよびB画素マスクを用いて、R画素、G画素およびB画素をそれぞれ分ける。このようにしてR画素、G画素およびB画素に分けられた各出力画像Pに対して、演算回路3によって、それぞれ以下の演算処理を行う。
【0125】
本実施形態2では、各出力画像における1画素おきの光電変換素子の出力のうちのメディアン値を正常な画素の出力画像レベル(被検査画素出力)C(x,y)として、各被検査画素出力から、上記記式(1)によって入射光の光量E(x,y)を推定する。
【0126】
例えば、R画素に対する処理時には、出力画像から、図5(a)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,31,32,33,33,33,34,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0127】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0128】
次に、センサー移動距離測定装置7によって移動距離を測定しながら移動装置6によって被検査イメージセンサ1を移動させ、光源2と被検査イメージセンサ1との距離が図12に示す比率となる位置1,2、・・・に被検査イメージセンサ1を順次配置する。光源2から被検査イメージセンサ1に光を照射し、出力画像P1(x,y)、P2(x,y)、・・・を得て、画像メモリ3に保存する。例えば、図5(b)および図5(c)はそれぞれ、位置1における出力画像P1(x,y)および位置2におけるP2(x,y)である。
【0129】
本実施形態2では、図13に示すように、光源2の所定の位置PLから距離D1だけ離れたA点と、距離D2だけ離れたB点の光量が上記式(8)で表される関係を有することを利用して、位置1および位置2における入射光量Eを、右シフト演算により、E1(x,y)=E0(x,y)/2=14、E2(x,y)=E1(x,y)/2=7として求めることができる。
【0130】
これと同様に、入射光量Eを順次変化させた場合に、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を、光源2とイメージセンサ10との距離の比率から、計算により推定することができる。
【0131】
同様に、図6(a)、図6(b)および図6(c)に示す出力画素値に対しても、演算回路4によって計算処理を行うことができる。
【0132】
即ち、各出力画像Pから、図6(a)に示すように1画素おきの出力画像Pを選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,34,31,30,33,33,32,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。図6(a)は、位置0における出力画像P0(x,y)である。
【0133】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0134】
次に、移動装置6によって被検査イメージセンサ1を移動させ、光源2と被検査イメージセンサ1との距離が図12に示す比率となる位置1,2、・・・に被検査イメージセンサ1を配置する。光源2から被検査イメージセンサ1に光を照射し、出力画像P1(x,y)、P2(x,y)、・・・を得て、これを画像メモリ3に保存する。例えば、図6(b)および図6(c)はそれぞれ、位置1における出力画像P1(x,y)および位置2におけるP2(x,y)である。
【0135】
本実施形態2では、位置1および位置2における入射光量Eを、右シフト演算により、E1(x,y)=E0(x,y)/2=14、E2(x,y)=E1(x,y)/2=7として求めることができる。
【0136】
同様に、入射光量Eを変化させた場合に、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を、光源2と被検査イメージセンサ1との距離の比率から、計算により推定することができる。
【0137】
以降、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める処理、および基準光電変換係数a0と基準オフセット出力画像レベルb0と比較する処理とによって画素欠陥の有無を判断する処理は、上記実施形態1の場合と同様に行うことができる。
【0138】
したがって、本実施形態2によれば、光源2と被検査イメージセンサ1との距離を予め定められた比率に設定することによって、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源2から入射される光量を推定するために必要とされる計算量を大幅に減少させて、より高速に被検査イメージセンサ1の画素欠陥である光電変換素子を検出することができる。
【0139】
なお、上記実施形態1,2では、3つの入射光量Eに対する出力画像(画像データ)を用いて光電変換素子の出力画像特性を求め、これと基準値とを比較することによって画素欠陥を検出したが、これに限らず、2つの入射光量に対する出力画像や、4つ以上の入射光量に対する出力画像を用いてもよい。また、光電変換素子の出力画像特性についても図16に示すような1次関数に限らない。
【0140】
また、上記実施形態1,2では、入射光量Eを推定するために、所定領域の全画素または1画素おきの画素出力(出力画像P)のメディアン値を用いたが、2または3以上の画素おきの画素出力(出力画像P)のメディアン値を用いてもよい。また、メディアン値に限らず、他の統計値を用いてもよい。
【0141】
さらに、上記実施形態1,2では、カラー表示の場合、RGBの3原色の色成分について説明したが、シアン、イエロー、マゼンタなどの他の色構成を用いたイメージセンサであってもよく、さらに、ホワイトやブラックなど、4色以上の色成分を有する色構成であってもよい。さらに、色成分配列についても、ベイヤー配列に限らず、他の色配列であってもよい。
【0142】
さらに、本発明の被検査イメージセンサ1は、CCD型イメージセンサに限らず、CID型イメージセンサやCPD型イメージセンサなどであってもよく、CMOS型イメージセンサなどであってもよい。
【0143】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられるCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS型イメージセンサなどのイメージセンサに発生した画素欠陥を検出するための画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体の分野において、全画素の出力画像Pのメディアン値またはn画素おきの出力画像Pのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定して、従来のように標準光量発生装置を用いなくても被検査イメージセンサの画素欠陥をより確実に検出することができる。また、光源装置と被検査イメージセンサとの距離を予め定められた比率に設定することによって、入射光量推定のために必要とされる計算量を減少させて、より高速にイメージセンサの画素欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施形態1に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】原色CCDにおけるRGB画素のBayer配列を示す平面図である。
【図3】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、全画素の光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【図4】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、1画素おきの光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は、被検査画素に欠陥がない場合について、出力画像の例を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、被検査画素に欠陥がある場合について、出力画像の例を示す図である。
【図7】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置において、演算回路によって行われるイメージセンサの画素欠陥検出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7の初期設定工程について説明するためのフローチャートである。
【図9】図7の入射光量の推定工程について説明するためのフローチャートである。
【図10】図7の各画素欠陥の検査工程について説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図12】図11のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、光源からの距離と光量との関係を説明するための図である。
【図13】図11のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、イメージセンサの移動させ方を説明するための図である。
【図14】特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。
【図15】図14のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、入射光量の推定方法を説明するための図である。
【図16】図14のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、光電変換素子の入射光量と画素出力特性との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1 被検査イメージセンサ
2 光源
3 画像メモリ
4 演算回路(演算手段)
41 出力画像データ獲得手段
42 中央値演算手段
43 入射光量推定手段
44 出力画像特性演算手段
45 画素欠陥判定手段
46 検査結果保存制御手段
5 保存用メモリ
6 移動装置
7 センサ移動距離測定装置
10,10A イメージセンサの画素欠陥検査装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられるCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS型イメージセンサなどのイメージセンサに発生した画素欠陥を検出するための画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のイメージセンサは、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられ、入射光量に応じた出力特性を有するPD(Photo Diode;フォトダイオード)などの光電変換素子(受光部)が2次元状(またはマトリクス状)に複数配列されて各画素部が構成されている。このようなイメージセンサにおいては、複数の光電変換素子を生産するときに生じる局部的な結晶欠陥(傷)によって画質劣化を招くことが知られている。また、イメージセンサの出荷後に、宇宙線の照射などが原因となって、新たな傷が発生することもある。
【0003】
従来より、このような画素欠陥を検出して画素部の出力を補正するために、標準光量発生装置を用いて、暗いレベルから明るいレベルまでの基準入射光を各光電変換素子(各画素部)に照射して、各画素部からの出力画像特性を求める各種の装置や方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、操作が困難な標準光量発生装置を用いずに、画素欠陥を検出することが可能なイメージセンサの画素欠陥検査装置が開示されている。以下に、特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置について説明する。
【0005】
図14は、特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。
【0006】
図14において、従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100は、入射光量に応じた出力特性を有する複数の光電変換素子を配列してなる被検査イメージセンサ101に対して、光量が異なる複数の入射光を照射可能とする光源102と、各入射光量に応じた被検査イメージセンサ101の各出力画像(画像データ)を保存する画像メモリ103と、この画像メモリ103からの各出力画像(画像データ)から入射光の光量を推定し、各光電変換素子の出力特性を求めて画素欠陥の有無を判定する演算回路104と、この演算回路104で判定した検査結果を保存するEEROMメモリ105とを備えている。
【0007】
上記構成の被検査イメージセンサ101の画素欠陥検査装置100を用いて、以下のように画素欠陥の検査を行うことができる。
【0008】
まず、被検査イメージセンサ101に対して、光源102から複数の異なる強度の入射光を照射させ、複数の出力画像Pi(x,y)を得る。上記xは画像の幅方向(横方向)における画素の座標位置、yは画像の高さ方向(縦方向)における画素の座標位置を示し、i=0、1、2、3、・・・は0以上の整数である。
【0009】
次に、被検査イメージセンサ101のある一点、例えば画素(x,y)の画素欠陥の有無を検査する場合に、図15に示すように、被検査画素(x,y)の出力画像P(x,y)と、その被検査画素(x,y)の上下左右の近隣領域に含まれる隣接画素(x−1,y)、(x+1,y)、(x,y−1)および(x,y+1)の出力画像P(x−1,y)、P(x+1,y)、P(x,y−1)およびP(x,y+1)を用いる。選択された5画素の出力画像P(x,y)、P(x−1,y)、P(x+1,y)、P(x,y−1)およびP(x,y+1)の中央値(メディアン値)を、下記式(4)のメディアンフィルタによって抽出して、正常な画素の出力画像レベルC(x,y)とする。
【0010】
C(x,y)=median{P(x−1,y),P(x,y),P(x+1,y),P(x,y−1),P(x,y+1)} ・・・ 式(4)
さらに、基準となる光電変換係数a0と、入射光がない状態での基準となるオフセット出力画像レベルb0と、上記正常な画素の出力画像レベルC(x,y)から、入射光量E(x,y)を推定する。一般に、光電変換素子の入射光量E(x,y)と画素の出力画像レベルC(x,y)との間には、下記式(5)に示すような関係がある。よって、入射光量E(x,y)は下記式(1)によって求めることができる。
【0011】
C(x,y)=a0×E(x,y)+b0 ・・・式(5)
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
図16は、光電変換素子の入射光量E(x,y)と画素の出力画像レベルC(x,y)との関係を示すグラフであり、縦軸に画素の出力画像(画素出力)P、横軸に入射光量Eを示している。
【0012】
図16に示すように、光電変換素子の出力画像特性は、画素の出力画像Pを示す縦軸のオフセット出力画像レベルb0と交わり、傾きが光電変換係数a0の直線(一次関数)であり、入射光量Eを示す横軸の任意の点(入射光量E0(x,y))に対応して画素の出力画像レベルP0(x,y)となる。これは式(5)にも示されている。
【0013】
以上のように、基準光電変換係数a0と基準オフセット出力画像レベルb0とを用いて、上記式(1)により、出力画像から入射光量E(x,y)を推定することができる。同様に、複数の入射光の各々異なる入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,,,)も推定することができる。
【0014】
次に、複数の入射光量Eに応じた出力画像Pの同一座標(x,y)について、画素の出力画像P0(x,y)、P1(x,y)、P2(x,y)、・・・、Pi(x,y)と、入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、E2(x,y)、・・・、Ei(x,y)とを用いて、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。ここでは、下記式(6)によって導出される誤差の2乗の総和σを最小にすることを条件として、下記式(2)に一点の各入射光量Ei(x,y)と各光電変換素子出力Pi(x,y)を代入することによって、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求めることができる。
【0015】
【数2】
以上のようにして、各被検査画素の各入射光量Eと被検査画素の各出力画像Pとを用いて、上記式(2)によって、この被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを計算することができる。
【0016】
次に、下記式(7)を用いて、計算された各光電変換素子の光電変換係数aおよび入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbと、基準の光電変換係数a0と基準のオフセット出力画像レベルb0とを比較して、事前設定された判定基準値を超える画素については欠陥があると判定する。
【0017】
|a0−a|<Δa かつ |b0−b|<Δb:欠陥無し ・・・ 式(7)
ただし、ΔaおよびΔbは、事前設定された判定基準値としての判定閾値である。
【0018】
ここで、原色CCD型イメージセンサからの出力画像Pは、図2に示すようにRGBがBayer配列されたデータであるため、上記近傍領域に含まれる各光電変換素子として、カラー表示用の各表示色のうち、被検査光電変換素子と同一の表示色を表すものだけが選択される。
【0019】
この場合には、カラー表示用の各表示色毎に、各色の基準範囲が設定されており、欠陥があるか否かの判定は、下記式(3)を用いて行われる。
【0020】
式(3)
原色Rの場合は、
|a0R−aR|<ΔaR、かつ、|b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は、
|a0G−aG|<ΔaG、かつ、|b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は、
|a0B−aB|<ΔaB、かつ、|b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
ただし、a0Rおよびb0Rは、R(赤)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。また、a0Gおよびb0Gは、G(緑)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。さらに、a0Bおよびb0Bは、B(青)画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaRおよびΔbRはR画素について事前設定された判定閾値である。また、ΔaGおよびΔbGはG画素について事前設定した判定閾値である。さらに、ΔaBおよびΔbBはB画素について事前設定された判定閾値である。
【0021】
以上のようにして検出された欠陥素子のアドレスをEEROMメモリ14に書き込むことにより、欠陥素子の検出処理が終了する。
【特許文献1】特開2004−47985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100には、以下のような問題がある。
【0023】
上記従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置100においては、被検査画素(光電変換素子)の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求めるために、複数の異なる光量の入射光が利用されている。
【0024】
それらの入射光量Eを推定するために、各光電変換素子の出力画像Pを用いて、各被検査画素とその画素の上下左右に位置する近隣画素の出力画像Pのうちのメディアン値を当該被検査画素の出力画像Pとし、この出力画像Pから逆に入射光量Eを算出する処理が行われている。例えば、ある正常な画素を検査するとき、その画素の近隣に位置する4つの画素のうちの例えば3つ以上の画素が正常ではない場合には、それらの画素出力(画素の出力画像P)のメディアン値は正常な値ではないため、正しく入射光量Eを推定することができない。このため、光電変換素子の欠陥の有無を誤って判定する虞があり、検査精度に問題がある。
【0025】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、標準光量発生装置を必要とせず、周囲に正常でない画素があっても高精度に入射光量を推定して画素欠陥を検査することができるイメージセンサの画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の画素欠陥検査装置は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、入射光量が異なる入射光を照射可能とする光源装置と、該入射光の各入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データを保存すると共に、事前に設定された基準出力画像特性および判定基準値を保存する画像メモリと、該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて該基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、該判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
また、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における画像メモリに、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、前記判定基準値として、該光電変換係数用の判定閾値Δaと該オフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbが設定されている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における演算手段は、前記入射光量に応じた前記被検査イメージセンサの各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段と、 該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段と、該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段と、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段と、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段とを有する。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における入射光量推定手段は、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、前記中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める。
【0030】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における出力画像特性演算手段は、前記出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、前記入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;n,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を、後述する[数4]の下記式(2)に代入することによって、前記出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における基準出力画像特性は基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを有し、前記出力画像特性は光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbとを有し、前記画素欠陥判定手段は、該基準となる光電変換係数a0と該光電変換係数aとの差の絶対値が前記判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、該基準となるオフセット出力画像レベルb0と該オフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、該判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、前記被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置における出力画像特性演算手段は、カラー表示用の各原色毎に、前記光電変換係数aおよびオフセット出力画像レベルbを求める。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記カラー表示用の各原色がR(赤)、G(緑)およびB(青)の場合に、該R、GおよびBの各色毎に、前記基準出力画像特性として基準となる光電変換係数a0および前記基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定され、前記判定基準値として判定閾値ΔaおよびΔbが設定されており、前記画素欠陥判定手段は、下記式(3)を用いて前記被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する。
【0034】
式(3)
原色Rの場合は
|a0R−aR|<ΔaR かつ |b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は
|a0G−aG|<ΔaG かつ |b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は
|a0B−aB|<ΔaB かつ |b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存する保存用メモリをさらに有する。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存させる検査結果保存制御手段をさらに有する。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と前記被検査イメージセンサとの距離が、予め定められ、該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記被検査イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動手段をさらに有する。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査装置において、前記距離を測定するセンサ移動距離測定手段をさらに有する。
【0038】
本発明の画素欠陥検査方法は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、該入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて、事前に設定された基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、事前に設定された判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算ステップを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
また、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法における演算ステップは、前記被検査イメージセンサから前記入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、 該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップとを有する。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法における画素欠陥判定ステップの後に、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップをさらに有する。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の画素欠陥検査方法において、光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と該イメージセンサとの距離が、予め定められ該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動ステップをさらに有する。
【0042】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記画素欠陥検査方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0043】
本発明の可読記録媒体は、本発明の上記制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0044】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0045】
本発明にあっては、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源から入射される光量を推定するために、各入射光量に応じた各出力画像データにおける各光電変換素子からの画素出力データのうち、全画素出力のメディアン値またはn画素おきのメディアン値(中央値)を求め、この求めたメディアン値である出力画像データから逆に入射光量を推定する。全画素のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定することが可能となり、推定入射光量を用いてより確実に画素欠陥を検査することが可能となる。例えば、従来技術の事例では5つの画素を使っていたが、本発明の事例では9つの画素あるいはもっと多い画素を使って、画素数が多いし、それに選択する範囲も広いので、検査の精度が従来技術の事例より高くなる。
【0046】
また、本発明にあっては、従来のように標準光量発生装置を用いずに、図13に示すように、光源点Pから距離D1だけ離れたA点と、距離D2だけ離れたB点の光量が下記式(8)で表される関係を有することを利用する。
【0047】
【数3】
上記式(8)を利用して、光源と被検査イメージセンサーの距離を、例えば図12に示すような比率(1、√2、2、2√2、4、・・・)となる位置に設定する。
【0048】
上記距離の比率が1である位置における入射光の光量をEとすると、E1=E、E2=E/2、E3=E/4、E4=E/8、・・・などというように、光源と被検査イメージセンサとの距離を各比率に設定したときの入射光の光量を、上記式(8)によって求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0049】
以上により、本発明によれば、全画素出力のメディアン値またはn画素おきの画素出力のメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定して、標準光量発生装置を用いなくてもイメージセンサの画素欠陥を確実に検出することができる。
【0050】
また、光源装置と被検査イメージセンサの距離を予め定められた比率に設定することによって、入射光量推定のために必要とされる計算量を減少させて、より高速にイメージセンサの画素欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に、本発明のイメージセンサの画素欠陥検査装置および画素欠陥検査方法の実施形態1,2について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0052】
図1において、本実施形態1のイメージセンサの画素欠陥検査装置10は、入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が2次元状(またはマトリクス状)に配列された被検査イメージセンサ1に対して、光量が異なる均一光(入射光)を照射可能とする光源装置としての光源2と、この入射光の各入射光量に応じた被検査イメージセンサ1の各出力画像データを保存する画像メモリ3と、この各出力画像データから入射光量を推定して、各光電変換素子の出力画像特性を求めて画素欠陥の有無を判定する演算手段としての演算回路4と、欠陥素子(欠陥のある光電変換素子)のアドレスをこの演算回路4による検査結果として保存する保存用メモリ5とを備えている。
【0053】
画像メモリ3は、基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、判定基準値として、光電変換係数用の判定閾値Δaとオフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbとが設定されている。
【0054】
演算回路4は、入射光量に応じた被検査イメージセンサ1の各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段41と、この各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段42と、この中央値および基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段43と、この推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段44と、基準出力画像特性と求めた出力画像特性との比較結果と、判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段45と、画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリ5に保存させる検査結果保存制御手段46とを有している。
【0055】
即ち、この演算回路4は、各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を入射光量毎に求め、この中央値を用いて基準出力画像特性から各入射光量を推定し、推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求め、基準出力画像特性と求めた出力画像特性との比較結果と、判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する。
【0056】
入射光量推定手段43は、基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める。
【0057】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
出力画像特性演算手段44は、出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;この場合のn,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を下記式(2)に代入することによって、出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。
【0058】
【数4】
画素欠陥判定手段45は、基準となる光電変換係数a0と光電変換係数aとの差の絶対値が判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、基準となるオフセット出力画像レベルb0とオフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する。
【0059】
上記構成のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10を用いて、以下のようにして画素欠陥の検査が行われる。
【0060】
まず、被検査イメージセンサ1に対して、光源2から複数の異なる強度の入射光を照射し(電流値制御など)、複数の出力画像Pi(x,y)を得て、この画像データを画像メモリ3に保存する。上記xは画像の幅方向(横方向)における画素の座標位置、yは画像の高さ方向(縦方向)における画素の座標位置を示しており、i=0、1、2,3、・・・は0以上の整数である。
【0061】
ここで、カラー表示では、例えば原色CCD型の被検査イメージセンサ1からの出力画像Pは、例えば図2に示すようにRGBがBayer(ベイヤ)配列されたデータであるため、上記各出力画像Pに対して、図2に太線で囲んだ四角で示すR画素マスク、G画素マスクおよびB画素マスクを用いて、R画素、G画素およびB画素をそれぞれ分ける。このR画素マスクは、図2の左上部分に示すように、上下方向および左右方向にG画素を間に挟んで一つおきにR画素の開口部が設けられている。また、G画素マスクは、図2の右下部分に示すように、左右方向にB画素またはR画素を間に挟み、上下方向にB画素またはR画素を間に挟んで一つおきにG画素の開口部が設けられている。さらに、B画素マスクは、図2の中央部分に示すように、上下方向および左右方向にG画素を間に挟んで一つおきにB画素の開口部が設けられている。このようにしてR画素、G画素およびB画素にそれぞれ分けられた出力画像に対して、演算回路4によって、それぞれ以下の演算処理を行う。
【0062】
まず、基準となる光電変換係数a0および、入射光がない状態での基準となるオフセット出力画像レベルb0と、正常な画素の出力画像レベルC(x,y)とから、入射光量E(x,y)を推定する。
【0063】
本実施形態1では、所定領域の各出力画像における全画素の光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの光電変換素子の出力画像のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベル(各被検査画素出力)C(x,y)として、この各被検査画素出力から入射光の光量を推定する。
【0064】
図3は、全画素の光電変換素子からの出力画像を説明するための図であり、図4は、1画素おきの光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【0065】
図3および図4において、太線で四角に囲まれた部分が選択される画素を示している。図3ではP(0,0)〜P(i,j)の全画素が選択され、図4ではP(0,0)、(P2,0)、・・・、P(i−1,0)、P(i,0)、・・・、P(0,2)、・・・、P(0,j)、・・・、P(i−1,j−1)、P(i,j)が選択されている。
【0066】
本実施形態1では、光電変換係数a0、オフセット出力画像レベルb0、所定領域の各出力画像における1画素おきの光電変換素子の出力のうちのメディアン値を正常な画素の出力画像レベル(被検査画素出力)C(x,y)として、各被検査画素出力から、下記式(1)によって入射光の光量E(x,y)を推定する。
【0067】
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
例えば、R画素に対する処理時には、各出力画像Pから、図5(a)に示すように1画素おきの画素出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,31,32,33,33,33,34,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0068】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、基準となるオフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の画素出力(出力画像P)のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0069】
また、各出力画像Pから、図5(b)および図5(c)に示すように1画素おきの出力画像Pを選択して、選択された画素のメディアン値C1(x,y)=median{19,19,20,18,19,19,19,20,19}=19および、メディアン値C2(x,y)=median{12,12,11,11,12,12,12,13,12}=12をそれぞれ当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0070】
基準となる光電変換係数a0=1、基準となるオフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの各光電変換素子の出力画像のうちの中央値(メディアン値)を正常な画素の出力画像レベルC1(x,y)として、入射光量E1(x,y)=(C1(x,y)−b0)/a0=(19−5)/1=14と推定することができる。また、入射光量E2(x,y)=(C2(x,y)−b0)/a0=(12−5)/1=7と推定することができる。
【0071】
このように、図5(a)の入射光量E0では推定入射光量が28、図5(b)の入射光量E1では推定入射光量が14、図5(c)の入射光量E2では推定入射光量が7であり、入射光量を段階的に減少させている。
【0072】
これと同様にして、入射光量を変化させて得られる各出力画像から、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を計算により推定することができる。
【0073】
次に、演算回路4によって、各光電変換素子の出力画像特性として、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める。ここでは、複数の入射光量Eに応じた出力画像の同一座標(x,y)について、画素出力(出力画像)P0(x,y)、P1(x,y)、P2(x,y)、・・・、Pi(x,y)と、入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、E2(x,y)、・・・、Ei(x,y)とを用いて、上記式(2)によって、光電変換素子の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0074】
例えばP(x,y)画素を検査する場合には、上記推定した被検査画素の各入射光量E0(x,y)=28、E1(x,y)=14およびE2(x,y)=7と、当該被検査画素の各入射光量Ei(x,y)に対応する出力P0(x,y)=33、P1(x,y)=19およびP2(x,y)=12を上記式(2)に代入する。これによって、
【0075】
【数5】
が得られ、上記式(9)によって、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求めることができる。上記計算結果としては、a=1.01、b=4.5が得られる。
【0076】
次に、基準となる光電変換係数a0および入射光がない状態での基準となる光電変換素子のオフセット出力画像レベルb0と、計算された光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを比較して、事前に設定された判定閾値ΔaおよびΔbによって画素欠陥の有無を判定する。
【0077】
原色Rの場合は、
|a0R−aR|<ΔaRかつ|b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し・・・式(10)
を用いて判定する。ただし、a0Rおよびb0Rは、R画素の基準となる光電変換係数aと入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルbである。また、aRおよびbRは、被検査R画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaRおよびΔbRは、R画素の判定閾値である。
【0078】
事前設定された判定閾値Δa=0.1およびΔb=0.6である場合、上記計算結果では、基準となる光電変換係数a0=1およびオフセット出力画像レベルb0=5、被検査画素の光電変換係数a=1.01およびオフセット出力画像レベルb=4.5であり、上記式(10)が満たされるため、被検査画素は欠陥がないと判定することができる。
【0079】
次に、被検査画素に欠陥がある場合について、これと同様に、図6(a)〜図6(c)を用いて各出力画素値(各出力画像値)に対して計算処理を行う。
【0080】
R画素に対する処理時には、各出力画像Pから、図6(a)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,34,31,30,33,33,32,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0081】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0082】
さらに、各出力画像Pから、図6(b)および図6(c)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C1(x,y)=median{19,19,20,18,17,19,19,21,19}=19およびC2(x,y)=median{12,12,13,11,10,12,12,13,12}=12を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0083】
基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC1(x,y)として、入射光量E1(x,y)=(C1(x,y)−b0)/a0=(19−5)/1=14と推定することができる。また、入射光量E2(x,y)=(C2(x,y)−b0)/a0=(12−5)/1=7と推定することができる。
【0084】
このように、入射光量を変化させて得られる各出力画像Pから、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を計算により推定することができる。
【0085】
次に、演算回路4によって、各光電変換素子の出力画像特性として、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを求める。例えばP(x,y)画素を検査する場合には、上記被検査画素の各入射光量E0(x,y)=28、E1(x,y)=14およびE2(x,y)=7と、当該被検査画素の各入射光量Ei(x,y)に対応する出力P0(x,y)=30、P1(x,y)=17およびP2(x,y)=10を上記式(2)に代入する。これによって、
【0086】
【数6】
が得られ、上記式(11)によって、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを求めることができる。上記計算結果としては、a=0.95およびb=3.5が得られる。
【0087】
次に、基準となる光電変換係数a0および入射光がない状態での基準となる光電変換素子のオフセット出力画像レベルb0と、計算された光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbとを比較して、事前に設定された判定閾値ΔaおよびΔbによって画素欠陥の有無を判定する。
【0088】
事前設定された判定閾値Δa=0.1およびΔb=0.6である場合、上記計算結果では、基準となる光電変換係数a0=1およびオフセット出力画像レベルb0=5、被検査画素の光電変換係数a=0.95およびオフセット出力画像レベルb=3.5であり、これを上記式(10)に代入すると、上記式(10)が満たされないため、被検査画素は画素欠陥があると判定することができる。
【0089】
以上のように、全R画素の各光電変換素子における光電変換係数aと各光電変換素子のオフセット出力画像レベルbとを計算して、画素欠陥を判定することができる。
【0090】
同様にして、G画素およびB画素に対しても、入射光量Eを推定し、光電変換係数a(aG、aB)およびオフセット出力画像レベルb(bG、bB)を求めて、下記式(12)および下記式(13)を用いて、被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定することができる。
【0091】
原色Gの場合は、
|a0G−aG|<ΔaGかつ|b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し・・・式(12)
原色Bの場合は、
|a0B−aB|<ΔaBかつ|b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し・・・式(13)
ただし、a0Gおよびb0Gは、G画素の基準となる光電変換係数a0と入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルb0である。また、aGおよびbGは、被検査G画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaGおよびΔbGは、G画素の判定閾値である。さらに、a0Bおよびb0Bは、B画素の基準となる光電変換係数a0と入射光がない状態で基準となるオフセット出力画像レベルb0である。さらに、aBおよびbBは、被検査B画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbである。さらに、ΔaBおよびΔbBは、B画素の判定閾値である。
【0092】
以上のようにして、R画素、G画素およびB画素に対してそれぞれ検出された欠陥素子のアドレスを、保存用メモリ5へ書き込む。この一連の処理は、演算回路4によって行われる。本実施形態1の被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査装置10の演算回路4は、ハードウェアで構成することもできるし、ソフトウェアで構成することもできる。
【0093】
ソフトウェアで構成する場合には、演算回路4は、コンピュータを用いて、可読記録媒体に格納された被検査イメージセンサ1の制御プログラム(画素欠陥検査制御プログラム)にしたがって各処理ステップを実行する。この場合のフローチャートを図7〜図10に示すが、その基本ハード構成について説明すると、演算回路4は、全体の画素欠陥検査制御を行う制御手段としてのCPU(中央演算処理装置)と、この被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータ(CPU)に実行させるための画素欠陥検査制御プログラムが記録されたコンピュータ(CPU)読み出し可能な可読記録媒体(記憶手段)としてのROMと、このROMから本発明の画素欠陥検査制御プログラムが読み出され、ワークメモリとして働く記憶手段としてのRAMとを有している。この他に、この画素欠陥検査結果をユーザに報知するための報知手段としての表示装置が設けられていてもよい。
【0094】
この演算回路4は、ROM内の制御プログラムとしての画素欠陥検査制御プログラムに基づいて、演算ステップとして、被検査イメージセンサ1から入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、この中央値および基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、基準出力画像特性とこの求めた出力画像特性との比較結果と判定基準値とを比較して被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップと、画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップの各処理機能を実行する。
【0095】
この画素欠陥検査制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体としては、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成することができる。これは、携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどであってもよい。また、この携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどから本発明のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10内のハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの記憶手段に画素欠陥検査制御プログラムがインストールされるように構成してもよいし、インターネットやイントラネット(サーバ装置)を介して、本発明のイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10内のハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの記憶手段に画素欠陥検査制御プログラムがインストールされるように構成してもよい。
【0096】
図7〜図10は、図1の演算回路4によって行われるイメージセンサ1の画素欠陥検出処理ステップの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0097】
まず、演算回路4は、図7のステップS1で初期設定工程を行う。この初期設定工程の詳細については図8を用いて説明する。
【0098】
図8に示すように、ステップS10において、演算回路4は、画像メモリ3から、複数光量に対する2枚以上の出力画像を読み込む。
【0099】
ステップS11において、演算回路4は所定領域の画像サイズを設定する。その画像サイズとは、ステップS10で読み込んだ画像のサイズである。
【0100】
ステップS12およびステップ13において、演算回路4は、出力画像から各色(R,G,B)の画素を選択して、色毎に行う処理を決定する。
【0101】
ステップS14、ステップS15およびステップS16において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分の画素をそれぞれ取り出して、R画像、G画像およびB画像のそれぞれを画像メモリ3に格納する。
【0102】
ステップS17において、演算回路4は、所定領域の全画素の走査が完了したか否かを判断する。全画素の走査が完了している場合(Yes)には、次のステップS18の処理に進み、全画素の走査が完了していない場合(No)には、各色(R,G,B)の画素を選択するステップS12の処理に戻る。
【0103】
ステップS18において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分に対して、それぞれの基準となる光電変換係数a0とオフセット出力画像レベルb0とを設定する。
【0104】
ステップS19において、演算回路4は、R成分、G成分およびB成分に対して、所定の基準値として、それそれの判定閾値ΔaおよびΔbを設定する。
【0105】
次に、演算回路4は、図7のステップS2で入射光量の推定工程を行う。この入射光量の推定工程の詳細については図9を用いて説明する。
【0106】
図9に示すように、ステップS20において、演算回路4は、画像メモリ3に格納されたR画像から、所定領域の全R画素のメディアン値または1R画素おきのR画素のメディアン値を求める。
【0107】
ステップS21において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(1)に基づいて、R成分の画素への入射光量Eを求める。
【0108】
ステップS22において、演算回路4は、G成分に対して、所定領域の全G画素のメディアン値または1G画素おきのG画素のメディアン値を求める。
【0109】
ステップS23において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(1)に基づいて、G成分の画素への入射光量Eを求める。
【0110】
ステップS24において、演算回路4は、B成分に対して、所定領域の全B画素のメディアン値または1B画素おきのB画素のメディアン値を求める。
【0111】
ステップS25において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(1)に基づいて、B成分の画素への入射光量Eを求める。
【0112】
次に、演算回路4は、図7のステップS3で各画素欠陥の検査工程を行う。この各画素欠陥の検査工程の詳細については図10を用いて説明する。
【0113】
図10に示すように、ステップS30において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(2)に基づいて、各R画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0114】
ステップS31において、演算回路4は、R成分に対して、上記式(10)に基づいて、R成分画素の欠陥を判定する。
【0115】
ステップS32において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(2)に基づいて、各G画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0116】
ステップS33において、演算回路4は、G成分に対して、上記式(12)に基づいて、G成分画素の欠陥を判定する。
【0117】
ステップS34において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(2)に基づいて、各B画素の光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbを求める。
【0118】
ステップS35において、演算回路4は、B成分に対して、上記式(13)に基づいて、B成分画素の欠陥を判定する。
【0119】
その後、演算回路4は、図7のステップS4で、検出された欠陥画素のアドレスを保存用メモリ5に書き込む処理を行う。
【0120】
以上により、本実施形態1によれば、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源2から入射される光量を推定するために、各入射光量Eに応じた出力画像における各光電変換素子の出力画像Pのうち、所定領域の全画素出力のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を出力として、この出力画像Pから逆に入射光量Eを推定する。所定領域の全画素のメディアン値またはn画素おきのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常ではない画素があったとしても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定することができる。例えば、従来技術の事例では5つの画素を使っていたが、本発明の事例では9つの画素あるいはもっと多い画素を使って、画素数が多いし、それに選択する範囲も広いので、検査の精度が従来技術の事例より高くなる。
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係るイメージセンサ1の画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1の構成部材と同様の構成部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0121】
図11において、本実施形態2の画素欠陥検査装置10Aは、図1に示す被検査イメージセンサ1の画素欠陥検査装置10に加えて、光源2からの入射光を異なる入射光量Eに制御するために、イメージセンサ1を搭載して光源2とイメージセンサ1との距離が予め定められた比率となる位置にイメージセンサ1および光源2の少なくともいずれか(ここではイメージセンサ1)を移動させる移動手段としての移動装置6と、イメージセンサ1の移動距離を測定するセンサー移動距離測定手段としてのセンサー移動距離測定装置7とをさらに有している。
【0122】
本実施形態2では、このイメージセンサ1の画素欠陥検査装置10Aを用いて、以下のようにして画素欠陥の検査を行う。
【0123】
まず、被検査イメージセンサ1に対して、光源2から図12に示す位置0で入射光を照射し、位置0の出力画像P0(x,y)を得、その出力画像P0(x,y)を画像メモリ2に保存させる。上記xは画像の幅方向における画素の座標位置、yは画像の高さ方向における画素の座標位置を示し、i=0、1、2,3、・・・は0以上の整数である。
【0124】
次に、上記各出力画像Pに対して、図2に太線で囲んだ四角で示すR画素マスク、G画素マスクおよびB画素マスクを用いて、R画素、G画素およびB画素をそれぞれ分ける。このようにしてR画素、G画素およびB画素に分けられた各出力画像Pに対して、演算回路3によって、それぞれ以下の演算処理を行う。
【0125】
本実施形態2では、各出力画像における1画素おきの光電変換素子の出力のうちのメディアン値を正常な画素の出力画像レベル(被検査画素出力)C(x,y)として、各被検査画素出力から、上記記式(1)によって入射光の光量E(x,y)を推定する。
【0126】
例えば、R画素に対する処理時には、出力画像から、図5(a)に示すように1画素おきの出力を選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,31,32,33,33,33,34,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。
【0127】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0128】
次に、センサー移動距離測定装置7によって移動距離を測定しながら移動装置6によって被検査イメージセンサ1を移動させ、光源2と被検査イメージセンサ1との距離が図12に示す比率となる位置1,2、・・・に被検査イメージセンサ1を順次配置する。光源2から被検査イメージセンサ1に光を照射し、出力画像P1(x,y)、P2(x,y)、・・・を得て、画像メモリ3に保存する。例えば、図5(b)および図5(c)はそれぞれ、位置1における出力画像P1(x,y)および位置2におけるP2(x,y)である。
【0129】
本実施形態2では、図13に示すように、光源2の所定の位置PLから距離D1だけ離れたA点と、距離D2だけ離れたB点の光量が上記式(8)で表される関係を有することを利用して、位置1および位置2における入射光量Eを、右シフト演算により、E1(x,y)=E0(x,y)/2=14、E2(x,y)=E1(x,y)/2=7として求めることができる。
【0130】
これと同様に、入射光量Eを順次変化させた場合に、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を、光源2とイメージセンサ10との距離の比率から、計算により推定することができる。
【0131】
同様に、図6(a)、図6(b)および図6(c)に示す出力画素値に対しても、演算回路4によって計算処理を行うことができる。
【0132】
即ち、各出力画像Pから、図6(a)に示すように1画素おきの出力画像Pを選択して、選択された画素のメディアン値C0(x,y)=median{33,33,34,31,30,33,33,32,33}=33を当該被検査画素の正常出力画像レベルとする。図6(a)は、位置0における出力画像P0(x,y)である。
【0133】
例えば、基準となる光電変換係数a0=1、オフセット出力画像レベルb0=5である場合、1画素おきの光電変換素子の出力のうちの中央値を正常な画素の出力画像レベルC0(x,y)として、入射光量E0(x,y)=(C0(x,y)−b0)/a0=(33−5)/1=28と推定することができる。
【0134】
次に、移動装置6によって被検査イメージセンサ1を移動させ、光源2と被検査イメージセンサ1との距離が図12に示す比率となる位置1,2、・・・に被検査イメージセンサ1を配置する。光源2から被検査イメージセンサ1に光を照射し、出力画像P1(x,y)、P2(x,y)、・・・を得て、これを画像メモリ3に保存する。例えば、図6(b)および図6(c)はそれぞれ、位置1における出力画像P1(x,y)および位置2におけるP2(x,y)である。
【0135】
本実施形態2では、位置1および位置2における入射光量Eを、右シフト演算により、E1(x,y)=E0(x,y)/2=14、E2(x,y)=E1(x,y)/2=7として求めることができる。
【0136】
同様に、入射光量Eを変化させた場合に、入射光量Ei(x,y)(i=0,1,2,3,4,...)を、光源2と被検査イメージセンサ1との距離の比率から、計算により推定することができる。
【0137】
以降、各被検査光電変換素子の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める処理、および基準光電変換係数a0と基準オフセット出力画像レベルb0と比較する処理とによって画素欠陥の有無を判断する処理は、上記実施形態1の場合と同様に行うことができる。
【0138】
したがって、本実施形態2によれば、光源2と被検査イメージセンサ1との距離を予め定められた比率に設定することによって、従来のように標準光量発生装置を用いずに、光源2から入射される光量を推定するために必要とされる計算量を大幅に減少させて、より高速に被検査イメージセンサ1の画素欠陥である光電変換素子を検出することができる。
【0139】
なお、上記実施形態1,2では、3つの入射光量Eに対する出力画像(画像データ)を用いて光電変換素子の出力画像特性を求め、これと基準値とを比較することによって画素欠陥を検出したが、これに限らず、2つの入射光量に対する出力画像や、4つ以上の入射光量に対する出力画像を用いてもよい。また、光電変換素子の出力画像特性についても図16に示すような1次関数に限らない。
【0140】
また、上記実施形態1,2では、入射光量Eを推定するために、所定領域の全画素または1画素おきの画素出力(出力画像P)のメディアン値を用いたが、2または3以上の画素おきの画素出力(出力画像P)のメディアン値を用いてもよい。また、メディアン値に限らず、他の統計値を用いてもよい。
【0141】
さらに、上記実施形態1,2では、カラー表示の場合、RGBの3原色の色成分について説明したが、シアン、イエロー、マゼンタなどの他の色構成を用いたイメージセンサであってもよく、さらに、ホワイトやブラックなど、4色以上の色成分を有する色構成であってもよい。さらに、色成分配列についても、ベイヤー配列に限らず、他の色配列であってもよい。
【0142】
さらに、本発明の被検査イメージセンサ1は、CCD型イメージセンサに限らず、CID型イメージセンサやCPD型イメージセンサなどであってもよく、CMOS型イメージセンサなどであってもよい。
【0143】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラおよびスキャナーなどに用いられるCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS型イメージセンサなどのイメージセンサに発生した画素欠陥を検出するための画素欠陥検査装置、これを用いた画素欠陥検査方法、この画素欠陥検査方法の各処理ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラムおよびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体の分野において、全画素の出力画像Pのメディアン値またはn画素おきの出力画像Pのメディアン値を用いることにより、被検査画素の周囲に正常でない画素があっても、より多くの画素数でより広い画素領域を対象とすることで、より高精度に入射光量を推定して、従来のように標準光量発生装置を用いなくても被検査イメージセンサの画素欠陥をより確実に検出することができる。また、光源装置と被検査イメージセンサとの距離を予め定められた比率に設定することによって、入射光量推定のために必要とされる計算量を減少させて、より高速にイメージセンサの画素欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施形態1に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】原色CCDにおけるRGB画素のBayer配列を示す平面図である。
【図3】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、全画素の光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【図4】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、1画素おきの光電変換素子からの出力画像を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は、被検査画素に欠陥がない場合について、出力画像の例を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、被検査画素に欠陥がある場合について、出力画像の例を示す図である。
【図7】図1のイメージセンサの画素欠陥検査装置において、演算回路によって行われるイメージセンサの画素欠陥検出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7の初期設定工程について説明するためのフローチャートである。
【図9】図7の入射光量の推定工程について説明するためのフローチャートである。
【図10】図7の各画素欠陥の検査工程について説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2に係るイメージセンサの画素欠陥検査装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図12】図11のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、光源からの距離と光量との関係を説明するための図である。
【図13】図11のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、イメージセンサの移動させ方を説明するための図である。
【図14】特許文献1に開示されている従来のイメージセンサの画素欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。
【図15】図14のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、入射光量の推定方法を説明するための図である。
【図16】図14のイメージセンサの画素欠陥検査装置について、光電変換素子の入射光量と画素出力特性との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1 被検査イメージセンサ
2 光源
3 画像メモリ
4 演算回路(演算手段)
41 出力画像データ獲得手段
42 中央値演算手段
43 入射光量推定手段
44 出力画像特性演算手段
45 画素欠陥判定手段
46 検査結果保存制御手段
5 保存用メモリ
6 移動装置
7 センサ移動距離測定装置
10,10A イメージセンサの画素欠陥検査装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、入射光量が異なる入射光を照射可能とする光源装置と、
該入射光の各入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データを保存すると共に、事前に設定された基準出力画像特性および判定基準値を保存する画像メモリと、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて該基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、該判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算手段とを有する画素欠陥検査装置。
【請求項2】
前記画像メモリに、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、前記判定基準値として、該光電変換係数用の判定閾値Δaと該オフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbが設定されている請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項3】
前記演算手段は、
前記入射光量に応じた前記被検査イメージセンサの各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段と、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段と、
該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段と、
該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段と、
該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段とを有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項4】
前記入射光量推定手段は、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、前記中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
【請求項5】
前記出力画像特性演算手段は、前記出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、前記入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;n,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を下記式(2)に代入することによって、前記出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【数1】
【請求項6】
前記基準出力画像特性は基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを有し、前記出力画像特性は光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbとを有し、
前記画素欠陥判定手段は、該基準となる光電変換係数a0と該光電変換係数aとの差の絶対値が前記判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、該基準となるオフセット出力画像レベルb0と該オフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、該判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、前記被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項7】
前記出力画像特性演算手段は、カラー表示用の各原色毎に、前記光電変換係数aおよびオフセット出力画像レベルbを求める請求項3または5に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項8】
前記カラー表示用の各原色がR(赤)、G(緑)およびB(青)の場合に、該R、GおよびBの各色毎に、前記基準出力画像特性として基準となる光電変換係数a0および前記基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定され、前記判定基準値として判定閾値ΔaおよびΔbが設定されており、
前記画素欠陥判定手段は、下記式(3)を用いて前記被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する請求項7に記載の画素欠陥検査装置。
式(3)
原色Rの場合は
|a0R−aR|<ΔaR かつ |b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は
|a0G−aG|<ΔaG かつ |b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は
|a0B−aB|<ΔaB かつ |b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
【請求項9】
前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存する保存用メモリをさらに有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項10】
前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存させる検査結果保存制御手段をさらに有する請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項11】
前記光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と前記被検査イメージセンサとの距離が、予め定められ、該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記被検査イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動手段をさらに有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項12】
前記距離を測定するセンサ移動距離測定手段をさらに有する請求項10に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項13】
入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、
該入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて、事前に設定された基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、事前に設定された判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算ステップを有する画素欠陥検査方法。
【請求項14】
前記演算ステップは、
前記被検査イメージセンサから前記入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、
該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、
該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、
該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップとを有する請求項13に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項15】
前記画素欠陥判定ステップの後に、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップをさらに有する請求項14に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項16】
光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と該イメージセンサとの距離が、予め定められ該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動ステップをさらに有する請求項13に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれかに記載の画素欠陥検査方法の各ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体。
【請求項1】
入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、入射光量が異なる入射光を照射可能とする光源装置と、
該入射光の各入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データを保存すると共に、事前に設定された基準出力画像特性および判定基準値を保存する画像メモリと、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて該基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、該判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算手段とを有する画素欠陥検査装置。
【請求項2】
前記画像メモリに、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定されていると共に、前記判定基準値として、該光電変換係数用の判定閾値Δaと該オフセット出力画像レベル用の判定閾値Δbが設定されている請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項3】
前記演算手段は、
前記入射光量に応じた前記被検査イメージセンサの各出力画像データを得る出力画像データ獲得手段と、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算手段と、
該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定手段と、
該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算手段と、
該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定手段とを有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項4】
前記入射光量推定手段は、前記基準出力画像特性として、基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを用いて、前記中央値を正常な画素の出力画像レベルC(x,y)として、下記式(1)を用いて入射光量E(x,y)を求める請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
E(x,y)=(C(x,y)−b0)/a0 ・・・式(1)
【請求項5】
前記出力画像特性演算手段は、前記出力画像データとしてP(x,y)を検査する場合に、前記入射光量推定手段で推定した各入射光量E0(x,y)、E1(x,y)、・・・、En(x,y)と、該推定した各入射光量Ei(x,y)(0≦i≦n;n,iは0以上の整数)に対応する出力画像データP0(x,y)、P1(x,y)、・・・、Pn(x,y)を下記式(2)に代入することによって、前記出力画像特性として、被検査画素の光電変換係数aと入射光がない状態でのオフセット出力画像レベルbを求める請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【数1】
【請求項6】
前記基準出力画像特性は基準となる光電変換係数a0と基準となるオフセット出力画像レベルb0とを有し、前記出力画像特性は光電変換係数aとオフセット出力画像レベルbとを有し、
前記画素欠陥判定手段は、該基準となる光電変換係数a0と該光電変換係数aとの差の絶対値が前記判定基準値の光電変換係数用の判定閾値よりも小さい場合で、かつ、該基準となるオフセット出力画像レベルb0と該オフセット出力画像レベルbとの差の絶対値が、該判定基準値のフセット出力画像レベル用の判定閾値よりも小さい場合にのみ、前記被検査光電変換素子に画素欠陥がないと判定する請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項7】
前記出力画像特性演算手段は、カラー表示用の各原色毎に、前記光電変換係数aおよびオフセット出力画像レベルbを求める請求項3または5に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項8】
前記カラー表示用の各原色がR(赤)、G(緑)およびB(青)の場合に、該R、GおよびBの各色毎に、前記基準出力画像特性として基準となる光電変換係数a0および前記基準となるオフセット出力画像レベルb0が設定され、前記判定基準値として判定閾値ΔaおよびΔbが設定されており、
前記画素欠陥判定手段は、下記式(3)を用いて前記被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する請求項7に記載の画素欠陥検査装置。
式(3)
原色Rの場合は
|a0R−aR|<ΔaR かつ |b0R−bR|<ΔbR:欠陥無し
原色Gの場合は
|a0G−aG|<ΔaG かつ |b0G−bG|<ΔbG:欠陥無し
原色Bの場合は
|a0B−aB|<ΔaB かつ |b0B−bB|<ΔbB:欠陥無し
【請求項9】
前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存する保存用メモリをさらに有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項10】
前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存させる検査結果保存制御手段をさらに有する請求項3に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項11】
前記光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と前記被検査イメージセンサとの距離が、予め定められ、該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記被検査イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動手段をさらに有する請求項1に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項12】
前記距離を測定するセンサ移動距離測定手段をさらに有する請求項10に記載の画素欠陥検査装置。
【請求項13】
入射光量に応じた出力画像特性を有する複数の光電変換素子が配列された被検査イメージセンサに対して、
該入射光量に応じた該被検査イメージセンサの各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に求め、該中央値を用いて、事前に設定された基準出力画像特性から各入射光量を推定し、該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求め、該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、事前に設定された判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する演算ステップを有する画素欠陥検査方法。
【請求項14】
前記演算ステップは、
前記被検査イメージセンサから前記入射光量に応じた各出力画像データを得る出力画像データ獲得ステップと、
該各出力画像データにおける全画素の各光電変換素子またはn(nは1以上の整数)画素おきの各光電変換素子の出力画像データのうちの中央値を該入射光量毎に演算する中央値演算ステップと、
該中央値および前記基準出力画像特性から各入射光量を推定する入射光量推定ステップと、
該推定した各入射光量および当該各入射光量に応じた各出力画像データから該各光電変換素子の出力画像特性を求める出力画像特性演算ステップと、
該基準出力画像特性と該求めた出力画像特性との比較結果と、前記判定基準値とを比較して該被検査光電変換素子の画素欠陥の有無を判定する画素欠陥判定ステップとを有する請求項13に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項15】
前記画素欠陥判定ステップの後に、前記画素欠陥が有る光電変換素子のアドレスを検査結果として保存用メモリに保存する検査結果保存ステップをさらに有する請求項14に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項16】
光源装置からの入射光を異なる複数の入射光量に制御するために、該光源装置と該イメージセンサとの距離が、予め定められ該入射光量に対応した比率となる位置に、該光源装置および前記イメージセンサの少なくともいずれかを移動させる移動ステップをさらに有する請求項13に記載の画素欠陥検査方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれかに記載の画素欠陥検査方法の各ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−150717(P2007−150717A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342263(P2005−342263)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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