説明

画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置

【課題】臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すことが可能な画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置1において、複数フレームのX線透視画像を平均することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成することができる。そのため、金属板11と被検体Mとのエッジ部分の画素値差が小さい低コントラストの場合でも、エッジ部分がノイズ成分に埋もれてしまうことがないので、エッジ強調画像から適正なピーク値を取得することができる。また、エッジ強調した画像からエッジ部分のピーク値を取得している。ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値を標準偏差で除算して算出された指標値と低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルX線診断における画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線透視撮影装置は、被検体に向けてX線を照射するX線管と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを備えている。X線透視撮影装置は、X線検出器から出力されたX線検出信号をディジタル変換して収集し、透視画像(動画像)および撮影画像(静止画像)を取得している。
【0003】
このようなX線透視撮影装置においては、画質評価の指標として、DQE(detective quantum efficiency:検出量子効率)、NEQ(noise equivalent quanta:雑音等価量子数)、MTF(modulation transfer function:変調伝達関数)やCNR(contrast to noise ratio:コントラスト・ノイズ比)などが用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
MTFは、画像の輪郭や微細な部分をどれだけ明瞭に再現しているかの尺度である鮮鋭度の評価で広く用いられ、スリット法、エッジ法や矩形波チャート法等で計測される。NEQは、画像形成に役立ったX線量子数を推定する指標であり、DQEは、入射した量子がどれだけ画像化に利用されたかという利用効率を評価する指標である。NEQおよびDQEの算出には、MTFが用いられる。
【0005】
また、CNRは、例えば次のように算出される。図15を参照する。まず、アクリル製のブロックで構成された被検体に金属板111を載置して撮影されたX線透視画像を取得する。取得された金属板111および被検体のX線透視画像から、金属板111における所定の関心領域A、およびその背景の領域である所定の関心領域Bの画素値(輝度)をそれぞれ抽出し、関心領域Aの平均画素値AVEと関心領域Bの平均画素値AVEとを求める。一方、関心領域Bでは、平均画素値AVEを求めるとともに、ノイズとして画素値の標準偏差SDを求める。CNRは、「画像のコントラストとノイズとの比」であり、CNR=(AVE−AVE)/SDで算出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. N. Friedman, I. A. Cunningham, ”A small-signal approach to temporal modulation transfer functions with exposure-rate dependence and its application to fluoroscopic detective quantum efficiency” Medical Physics / Volume 36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来から用いられてきたDQE、NEQ、MTFやCNRなどの指標は、画質評価に有用である。しかしながら、実際に遭遇する画像の画質の良し悪しに対して、特に、ステントやガイドワイヤなどの低コントラスト・細線状の物体に対しては、整合性があまり感じられない。例えば、MTFの測定は、高吸収体であるタングステンエッジを用い、散乱線が無い状態で行われるので、実際の臨床状態とは異なる。そのため、MTFは、低コントラスト・細線状の物体に対して視認性を表現できているか疑わしい。すなわち、DQE、NEQ、MTFの指標は、例えばX線条件や測定物の配置など、病院等の臨床現場と異なるので臨床の画質評価として適さない。一方、CNRの評価指標は、臨床状態で比較的容易に測定可能であり、一定の大きさにおける物体の視認性評価には適する。しかしながら、上述のようにステントやガイドワイヤなどの低コントラスト・細線状の物体に対して有効なものとは言えない。そのため、散乱線やビームハードニング等があるような臨床に則した場合でも、低コントラスト・細線物体の実際の視認性と相関のある画質評価の指標が必要とされる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すことが可能な画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る画質評価方法は、金属板および前記金属板で一部の領域が覆われた被検体についての複数フレームのX線画像を取得する工程と、前記複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成する工程と、前記平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成する工程と、前記エッジ強調画像に基づいて前記金属板と前記被検体とのエッジ部分のピーク値を取得する工程と、前記複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像に基づいて標準偏差を算出する工程と、前記ピーク値を前記標準偏差で除算して指標値を算出する工程と、を備えていること特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る画質評価方法によれば、金属板およびこの金属板で一部の領域が覆われた被検体について複数フレームのX線画像を取得する。取得した複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成し、平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成する。作成されたエッジ強調画像に基づいて金属板と被検体とのエッジ部分のピーク値を取得する。また、複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像から標準偏差を算出する。そして、ピーク値を標準偏差で除算して指標値を算出する。
【0011】
複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成することができる。そのため、金属板と被検体とのエッジ部分の画素値差が小さい低コントラストの場合でも、エッジ部分がノイズ成分に埋もれてしまうことがないので、エッジ強調画像から適正なピーク値を取得することができる。また、エッジ強調した画像からエッジ部分のピーク値を取得している。ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値を標準偏差で除算して算出された指標値と低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。したがって、臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すこと可能となる。
【0012】
また、本発明に係る画質評価方法において、前記金属板は、2次元マトリクス状に配置されてX線を検出するX線検出素子をX線検出面に有するX線検出器における水平方向または垂直方向のX線検出素子列に対して、前記金属板の直線状の辺部が前記X線検出面と直交する軸を中心に傾斜して配置されることが好ましい。これにより、金属板と被検体とのエッジ部分が、X線検出器の2次元マトリクス状に配置されたX線検出素子の間に位置した場合であっても金属板が傾斜して配置されていることにより、X線検出器のいずれかのX線検出素子でエッジ部分の最大値を検出することができる。そのため、垂直方向または水平方向のX線検出素子列と金属板の直線状の辺部とを平行に配置する場合よりもより大きなピーク値を検出することができる。
【0013】
また、本発明に係る画質評価方法において、前記ピーク値を取得する工程は、前記エッジ強調画像に基づいて前記エッジ部分を含む複数のプロファイルを加算平均して平均プロファイルを作成する工程と、前記平均プロファイルに基づいて前記ピーク値を検出する工程と、を備えていることが好ましい。これにより、複数のプロファイルが加算平均されて作成された平均プロファイルからピーク値を取得しているので、安定したピーク値を検出することができる。
【0014】
また、本発明に係る画質評価方法において、前記ピーク値を取得する工程は、前記エッジ強調画像に基づいて前記エッジ部分を含む複数のプロファイルを複数の角度で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成する工程と、前記角度ごとの平均プロファイルに基づいて前記ピーク値を検出する工程と、を備えていることが好ましい。これにより、角度ごとの平均プロファイルからより高いピーク値を検出することができる。
【0015】
また、本発明に係る画質評価方法において、前記エッジ強調の一例は、一次微分を行うことが好ましい。これにより、平均画像を一次微分してエッジ強調画像に作成することができる。
【0016】
また、本発明に係る画質評価方法において、前記X線画像は、X線透視画像であることが好ましい。これにより、X線透視画像における低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すこと可能となる。
【0017】
また、本発明に係るX線透視撮影装置は、金属板および前記金属板で一部の領域が覆われた被検体について複数フレームのX線画像を取得するX線画像取得部と、前記複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成する平均画像作成部と、前記平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成するエッジ強調画像作成部と、前記エッジ強調画像に基づいて前記金属板と前記被検体とのエッジ部分のピーク値を取得するピーク値取得部と、前記複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像から標準偏差を算出する標準偏差算出部と、前記ピーク値を前記標準偏差で除算して指標値を算出する指標値算出部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明に係るX線透視撮影装置によれば、X線画像取得部は、金属板およびこの金属板で一部の領域が覆われた被検体について複数フレームのX線画像を取得する。平均画像作成部は、取得した複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成し、エッジ強調画像作成部は、その平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成する。ピーク値取得部は、エッジ強調画像に基づいて金属板と被検体とのエッジ部分のピーク値を取得し、標準偏差算出部は、複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像から標準偏差を算出する。そして、指標値算出部は、ピーク値を標準偏差で除算して指標値を算出する。
【0019】
複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成することができる。そのため、金属板と被検体とのエッジ部分の画素値差が小さい低コントラストの場合でも、エッジ部分がノイズ成分に埋もれてしまうことがないので、エッジ強調画像から適正なピーク値を取得することができる。また、エッジ強調した画像からエッジ部分のピーク値を取得している。ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値を標準偏差で除算して算出された指標値と低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。したがって、臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すこと可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画質評価方法およびそれを用いたX線透視撮影装置によれば、複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成することができる。そのため、金属板と被検体とのエッジ部分の画素値差が小さい低コントラストの場合でも、エッジ部分がノイズ成分に埋もれてしまうことがないので、エッジ強調画像から適正なピーク値を取得することができる。また、エッジ強調した画像からエッジ部分のピーク値を取得している。ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値を標準偏差で除算して算出された指標値と低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。したがって、臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すこと可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例に係るX線透視撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】X線検出器のX線検出面におけるX線検出素子の配列状況を示す模式図である。
【図3】(a)は金属板と被検体とを示す図であり、(b)はX線検出器のX線検出面におけるX線検出素子列に対して金属板が傾斜して配置されることの説明に供する図である。
【図4】(a)はX線透視画像の一例を示す図であり、(b)はX線透視画像における金属板と被検体とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図である。
【図5】(a)は平均画像の一例を示す図であり、(b)は平均画像における金属板と被検体とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図である。
【図6】(a)はエッジ強調画像の一例を示す図であり、(b)はエッジ強調画像における金属板と被検体とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図である。
【図7】平均プロファイルの作成の説明に供する図である。
【図8】角度ごとの平均プロファイルに基づくピーク値検出の説明に供する図である。
【図9】角度ごとの平均プロファイルに基づくピーク値検出の説明に供する図である。
【図10】X線透視撮影装置の動作(画質評価方法)を示すフローチャートである。
【図11】(a)はX線透視画像における金属板と被検体とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図であり、(b)は(a)のプロファイルの一次微分の結果を示す図である。
【図12】(a)は平均画像における金属板と被検体とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図であり、(b)は(a)のプロファイルの一次微分の結果を示す図である。
【図13】FCNRおよびCNRとステントの視認性との相関を示す図である。
【図14】(a)はステントの視認性評価の説明に供する図であり、(b)は(a)のJ方向から見た図である。
【図15】従来におけるCNRの算出方法の説明に供する図である。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、実施例に係るX線透視撮影装置の構成を示すブロック図であり、図2は、X線検出器のX線検出面におけるX線検出素子の配列状況を示す模式図である。図3(a)は、金属板と被検体とを示す図であり、図3(b)は、X線検出器のX線検出面におけるX線検出素子列に対して金属板が傾斜して配置されることの説明に供する図である。
【0023】
図1を参照する。X線透視撮影装置1は、被検体Mを載置する天板2と、X線を照射するX線管3と、被検体Mを透過したX線を検出するフラットパネル型X線検出器(以下適宜、「FPD」と称する)4と、を備えている。また、FPD4の後段には、FPD4から出力されたアナログのX線検出信号をディジタルに変換するA/D変換器5と、ディジタル変換されたX線検出信号に基づくX線画像に対して種々の処理を行う画像処理部6とが設けられている。
【0024】
X線管3は、X線管制御部7によりX線照射に必要な制御が実行される。X線管制御部7は、X線管2の管電圧や管電流を発生させる高電圧発生部8を有している。X線管制御部7は、管電圧や管電流や照射時間等のX線照射(曝射)条件に応じてX線管3からX線を照射する。
【0025】
FPD4は、図2に示すように、検出対象の透過X線像が投影されるX線検出面4aにX線を電気信号に変換して検出する多数のX線検出素子DUが横・縦の2次元マトリックス状に配列されている。X線検出素子DUの配列マトリックスとしては、例えば横:数千×縦:数千が挙げられる。X線検出素子DUはX線が直に電気信号に変換される直接変換タイプであっても、X線がいったん光に変換されてから更に電気信号に変換される間接変換タイプであってもよい。なお、FPD4は、本発明のX線画像取得部に相当する。
【0026】
天板2に載置された被検体Mは、図3(a)に示すように、例えば厚みが15〜20cm程で、大きさが30×30cm程のアクリル製のブロック(立方体)で構成される。この被検体Mは、人体の胸部を模している。被検体Mには、金属板11が載置される。金属板11は、銅(Cu)やステンレスなどの金属の薄い板で構成される。金属板11は、四角形等の多角形で構成される。金属板11は、例えば厚みが50μm程で、大きさが5cm×5cm程で構成される。この金属板11は、ステントやガイドワイヤといった低コントラスト・細線物体を模している。
【0027】
金属板11は、被検体Mの載置面内で傾斜して載置される。すなわち、図3(b)に示すように、金属板11は、2次元マトリクス状に配置されてX線を検出するX線検出素子DUをX線検出面4aに有するFPD4における垂直方向または水平方向のX線検出素子DU列に対して、金属板11の直線状の辺部がX線検出面4aと直交する軸を中心に傾斜して配置される。この金属板11のX線検出素子DU列に対する傾斜角dは、2〜3°程度である。なお、金属板11は、1mm厚のアクリル板に挟まれて構成されたものであってもよい。また、金属板11は、アクリル製のブロックに設けられていてもよい。
【0028】
図1に戻る。X線透視撮影装置1は、主制御部13、表示部14、入力部15および記憶部16を備えている。主制御部13は、X線透視撮影装置1の各構成を統括的に制御し、中央演算処理装置(CPU)などで構成される。主制御部13は、例えばX線管3またはFPD4を移動させる制御を行う。表示部14は、モニタ等で構成される。入力部15は、キーボードやマウス等で構成される。記憶部16は、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)またはハードディスク等の記憶媒体で構成される。
【0029】
記憶部16には、金属板11およびこの金属板11で一部の領域が覆われた被検体Mについて連続して取得された複数フレームのX線透視画像が記憶される。このX線透視画像は、臨床に則したX線条件で透視を行い、数十(〜百程度:例えば60〜100フレーム)フレームの連続撮影を行って取得される。例えば、15fps(または、pps:パルスレート)で5秒間の連続撮影を行うと、75フレームのX線透視画像が得られる。なお、X線条件は、想定する被検者の体格や撮影角度に依存する。X線条件は例えば、80kV、18mA、透視15fps(pps)や、104kV、11.4mA、透視15fpsや、90kV、14.7mA、透視14.7fps等で行われる。
【0030】
また、X線透視撮影装置1は、画質評価の指標値を取得する指標値取得部20を備えている。指標値取得部20は、平均画像作成部21、一次微分処理部23、ピーク値取得領域抽出部25およびピーク値取得部27を備えるとともに、標準偏差算出領域抽出部31および標準偏差算出部33を備えている。また、指標値取得部20は、指標値算出部35を備え、ピーク値取得部27で取得したピーク値Sdefpと、標準偏差算出部33で算出した標準偏差SDと、を用いて指標値として細線CNR(FCNR:fine line contrast to noise ratio)を算出する。なお、以下、「FCNR」を称する。また、ピーク値取得部27は、平均プロファイル作成部41とピーク値検出部43とを備えている。
【0031】
平均画像作成部21は、取得された複数フレームのX線透視画像(図4(a))を平均して、図5(a)に示す平均画像を作成する。すなわち、平均画像作成部21は、複数フレームのX線透視画像を積分してフレーム数で割ることにより1枚の平均画像を作成する。平均画像を作成することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成している。すなわち、図4(b)に示すX線透視画像のプロファイルpf1は、平均画像を作成することにより、図5(b)に示すノイズ成分が抑えられたプロファイルpf2となる。プロファイルでは、垂直方向は信号(画素値)を示す。
【0032】
一次微分処理部23は、図5(a)に示す平均画像を一次微分(エッジ強調)して図6(a)に示すエッジ強調画像(一次微分画像)を作成する。一次微分は、まず、画素上の座標(x、y)における画素値をI(x、y)とする。そして、算出されるエッジ部分の強度のうち、x方向の強度をEx(x、y)とし、y方向の強度をEy(x、y)とすると、下記の式(1)および式(2)のように表される。
Ex(x、y)=I(x、y)−I(x−1、y) …(1)
Ey(x、y)=I(x、y)−I(x、y−1) …(2)
また、エッジ部分の強度をP(x、y)とすると、P(x、y)は、下記の式(3)のように表される。
P(x、y)=√〔{Ex(x、y)}+{Ey(x、y)}〕 …(3)
平均画像の水平方向または垂直方向の隣接する画素の差分をとる一次微分を行うことにより、画像の中で濃度が急激に変化するエッジ部分の画素値が大きくなるように変換している。すなわち、図5(b)に示す平均画像のプロファイルpf2は、エッジ強調画像を作成することにより、図6(b)に示すエッジ部分が突出したプロファイルpf3となる。なお、一次微分処理部23は、本発明のエッジ強調画像作成部に相当する。
【0033】
ピーク値取得領域抽出部25は、図6(a)に示すように、エッジ強調画像のうち、金属板11と被検体Mとのエッジ部分が四角形に設定する領域の水平方向または垂直方向に通り抜けるように、ピーク値取得領域ROIを抽出する。なお、図6(a)では、ピーク値取得領域ROIをエッジ部分が垂直方向に通り抜けている。ピーク値取得領域ROIは、所定の大きさの四角形(n×n画素)で構成されるが、四角形に限定されない。
【0034】
ピーク値取得部27は、エッジ強調画像に基づいて金属板11と被検体Mとのエッジ部分のピーク値を取得する。具体的には、ピーク値取得部27は、エッジ強調画像に基づいて金属板11と被検体Mとのエッジ部分を含む複数のプロファイルを加算平均して平均プロファイルを作成する平均プロファイル作成部41と、その平均プロファイルに基づいてエッジ部分のピーク値を検出するピーク値検出部43と、を備えている。
【0035】
すなわち、図7に示すように、ピーク値取得領域抽出部25で抽出された画素値データ群51において、水平方向にエッジ部分を含むプロファイルが形成されるとする。平均プロファイル作成部41は、複数のプロファイルを加算して平均プロファイルを形成するが、図7中の破線に示すように、例えば垂直方向に各画素値を加算平均することにより、複数のプロファイルから平均プロファイルを作成する。ピーク値検出部43は、作成された平均プロファイルに基づいてエッジ部分のピーク値Sdefpを検出する。
【0036】
また、平均プロファイル作成部41は、エッジ強調画像に基づいて金属板11と被検体Mとのエッジ部分を含む複数のプロファイルを複数の角度で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成する。ピーク値検出部43は、作成された角度ごとの平均プロファイルに基づいてエッジ部分のピーク値を検出する。複数の角度とは、例えば、図7中の角度θが0〜5°の範囲を0.1°で刻むときの角度をいう。複数の角度は、金属板11の傾きd=2〜3°を包含するように設定され、角度θは、金属板11の傾きdと同じ方向に傾ける。
【0037】
すなわち、平均プロファイル作成部41は、図8に示すように、各角度(例えば、0〜5°の範囲でかつ0.1°ステップの角度θ)で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成する。そして、ピーク値検出部43は、図9に示すように、角度ごとの平均プロファイルのピーク値のうち、最大値であるピーク値Sdefpを検出する。なお、図7および図9において、一次微分後の画素値を便宜上オフセット(+1000)して表示している。
【0038】
標準偏差算出領域抽出部31は、複数フレームのX線透視画像のうちいずれか1枚のX線透視画像からノイズ成分、すなわち標準偏差SDを算出するための標準偏差算出領域ROISDを抽出する。標準偏差算出領域ROISDは、図4(a)に示すように、金属板11の背景部分、すなわちX線透視画像の被検体M部分の領域に設定される。なお、標準偏差算出領域ROISDは、四角形で構成されるが、例えば多角形や円形でもよい。
【0039】
標準偏差算出部33は、複数フレームのX線透視画像のうちいずれか1枚のX線透視画像に設定された標準偏差算出領域ROISDの画素値に基づいて標準偏差SDを算出する。標準偏差SDは、複数フレームのX線透視画像のうち、どの1枚を採用しても算出される値に差がない。
【0040】
指標値算出部35は、ピーク値取得部27で取得されたピーク値Sdefpを、標準偏差算出部33で算出された標準偏差SDにより除算して指標値FCNRを算出する。指標値FCNRは、下記の式(4)のように表される。
FCNR=Sdefp/SD …(4)
Sdefp:数十(〜百程度まで)フレームを平均してノイズを除去した平均画像を一次微分したエッジ部分のピーク値
SD:1フレームにおけるノイズ(標準偏差)
【0041】
次に、図10のフローチャートを参照してX線透視撮影装置1の動作、すなわち画質評価方法について説明する。
【0042】
〔ステップS01〕金属板および被検体の準備
天板2にアクリル製のブロックで構成された被検体Mを載置する。被検体Mには、金属板11が載置される。金属板11は、2次元マトリクス状に配置されてX線を検出するX線検出素子DUをX線検出面4aに有するFPD4における垂直方向または水平方向のX線検出素子DU列に対して、金属板11の直線状の辺部がX線検出面4aと直交する軸を中心に傾斜して配置される(図3(b))。
【0043】
〔ステップS02〕X線透視画像の取得
金属板11およびこの金属板11で一部の領域が覆われた被検体Mについての複数フレームのX線透視画像を連続して取得する。X線管3から照射されたX線は、金属板11および被検体Mを透過してFPD4に入射する。例えば、FPD4によって、15fpsで5秒間の連続撮影を行い、75フレームのX線透視画像(図4(a))を取得する。すなわち、FPD4は、入射したX線強度分布に基づいたX線検出信号を出力し、X線検出信号は、A/D変換器5でアナログ値からディジタル値に変換される。画像処理部6は、ディジタル変換されたX線検出信号に基づくX線透視画像に対して種々の処理を行い、処理されたX線透視画像は、記憶部16に記憶される。
【0044】
〔ステップS03〕平均画像の作成
複数フレームのX線透視画像は、記憶部16から平均画像作成部21に転送される。平均画像作成部21は、複数フレームのX線透視画像(図4(a))を平均して、平均画像(図5(a))を作成する。すなわち、X線透視画像のプロファイルpf1(図4(b))は、平均画像を作成することにより、ノイズ成分が抑えられたプロファイルpf2(図5(b))となる。
【0045】
〔ステップS04〕エッジ強調画像の作成
一次微分処理部23は、平均画像(図5(a))を一次微分(エッジ強調)してエッジ強調画像(図6(a))を作成する。すなわち、平均画像のプロファイルpf2(図5(b))は、エッジ強調画像を作成することにより、エッジ部分が突出したプロファイルpf3(図6(b))となる。
【0046】
〔ステップS05〕ピーク値取得領域の設定
図6(a)に示すように、エッジ強調画像のうち、金属板11と被検体Mとのエッジ部分が四角形に設定する領域の水平方向または垂直方向に通り抜けるように、ピーク値取得領域ROIを抽出する。
【0047】
〔ステップS06〕ピーク値の取得
ピーク値取得部27は、ピーク値取得領域抽出部25で抽出されたエッジ強調画像の抽出画像に基づいて金属板11と被検体Mとのエッジ部分のピーク値Sdefpを取得する。具体的には、ステップS06aの平均プロファイルの作成の工程と、ステップS06bのピーク値の検出の工程とが行われる。
【0048】
〔ステップS06a〕平均プロファイルの作成
平均プロファイル作成部41は、ピーク値取得領域抽出部25で抽出されたエッジ強調画像の抽出画像に基づいて、金属板11と被検体Mとのエッジ部分を含む複数のプロファイルを複数の角度で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成する。平均プロファイルは、角度θが0〜5°の範囲でかつ0.1°刻みで作成される(図8)。
【0049】
〔ステップS06b〕ピーク値の検出
ピーク値検出部43は、角度ごとの平均プロファイルからエッジ部分のピーク値Sdefpを検出する(図8または図9)。
【0050】
〔ステップS07〕標準偏差算出領域の抽出
標準偏差算出領域抽出部31は、複数フレームのX線透視画像のうちいずれか1枚のX線透視画像からノイズ成分、すなわち標準偏差SDを算出するための標準偏差算出領域ROISDを抽出する(図4(a))。
【0051】
〔ステップS08〕標準偏差の算出
標準偏差算出部33は、複数フレームのX線透視画像のうちいずれか1枚のX線透視画像に設定された標準偏差算出領域ROISDに基づいて標準偏差SDを算出する。
【0052】
〔ステップS09〕指標値の算出
指標値算出部35は、ピーク値取得部27で取得されたピーク値Sdefpを、標準偏差算出部33で算出された標準偏差SDにより除算して指標値FCNRを算出する。算出された指標値FCNRは、記憶部16に記憶されたり、表示部14に表示されたりする。
【0053】
本実施例に係るX線撮影装置1によれば、FPD4は、金属板11およびこの金属板11で一部の領域が覆われた被検体Mについて複数フレームのX線透視画像を連続して取得する。平均画像作成部21は、取得した複数フレームのX線透視画像を平均して平均画像を作成し、一次微分処理部23は、その平均画像を一次微分してエッジ強調画像を作成する。ピーク値取得部27は、エッジ強調画像に基づいて金属板11と被検体Mとのエッジ部分のピーク値Sdefpを取得し、標準偏差算出部33は、複数フレームのX線透視画像のうち所定のX線透視画像から標準偏差SDを算出する。そして、指標値算出部は、ピーク値Sdefpを標準偏差SDで除算して指標値FCNRを算出する。
【0054】
複数フレームのX線透視画像を平均して平均画像を作成することで、ノイズ成分を抑えた画像を作成することができる。そのため、金属板11と被検体Mとのエッジ部分の画素値差が小さい低コントラストの場合でも、エッジ部分がノイズ成分に埋もれてしまうことがないので、エッジ強調画像から適正なピーク値を取得することができる。また、エッジ強調した画像からエッジ部分のピーク値を取得している。ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値Sdefpを標準偏差SDで除算して算出された指標値FCNRと低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。したがって、臨床に則した低コントラスト・細線物体の視認性を定量的に示すこと可能となる。
【0055】
以下に具体的に説明する。図11(a)は、X線透視画像における金属板Mと被検体11とのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図であり、図11(b)は、図11(a)のプロファイルの一次微分の結果を示す図である。図12(a)は、平均画像における金属板11と被検体Mとのエッジ部分のプロファイルの一例を示す図であり、図12(b)は、図12(a)のプロファイルの一次微分の結果を示す図である。
【0056】
図11(a)において、対象物体信号Oが小さい場合、すなわち、画素値の差が小さい低コントラストの場合(符号53)、画素値の差がノイズ成分に埋もれてしまう。この場合、一次微分してエッジ部分が強調されたプロファイル(図11(b))でも、エッジ部分がわかりにくいおそれがある。しかしながら、複数フレームのX線透視画像を平均することにより、図12(a)に示すように、ノイズ成分を除去することができる。また、ノイズ成分の除去されたプロファイルから適正なピーク値を取得することができる。
【0057】
また、図12(b)に示すように、エッジ部分が一次微分して強調された突出部分をピーク値Sdefpとして検出する。図15に示す従来の方法のように、関心領域A、Bの画素値の差からコントラストを求めるのではなく、本実施例では、金属板11と被検体Mとのエッジ部分のピーク値Sdefpをコントラストとして求めている。これにより、ピーク値Sdefpを標準偏差SDで除算して算出された指標値FCNRと低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。
【0058】
図13を参照して説明する。図13は、FCNRおよびCNRと視認性との相関を示す図である。図13は、次の方法により作成した。まず、金属板11およびステントを被検体Mに載置して複数フレームのX線透視画像を取得し、複数フレームのX線透視画像を平均してノイズ成分を除去した平均画像を原画像とする。この原画像に対して、コントラストの大きさを変化させ、ローパスフィルタによるエッジ部分の傾斜の大きさ(急峻か否か)を変化させる。また、人工的な一定のノイズを付加する。これにより、原画像から異なる条件の画像を作成した。そして、それぞれの条件で作成された画像からFCNRおよびCNRを算出して、肉眼によるステントの視認性を比較した。
【0059】
図13において、横軸には、各画像で算出したCNRの指標値を示し、縦軸には、各CNRの指標値に対応するFCNRの指標値を示す。また、FCNRおよびCNRとステントの視認性との相関について、4つの評価で領域分けした。4つの領域分けは、視認性が良い方から順番に「ステントの長手方向の両端がわかる(図14(a)の符号e)」、「ステントの短手方向の両端がわかる(図14(a)の符号f)」、「ステントの存在がわかる」、「ステントが見えない」で判定される。「ステントの長手方向の両端がわかる」を視認性が良いとするのは、図14(b)に示すように、ステントの中央部gが端部hよりもX線がよく透過し、ステントの中央部gが端部hの方よりも見えにくいことによる。
【0060】
図13において、CNRの指標値が大きくなると、ステントの視認性が向上する傾向にある。しかしながら、同じ指標値であっても、ステントの長手方向の両端がわかるものから、ステントの存在がわかる程度のものまであり、ばらつきが大きい。一方、FCNRの場合は、指標値が大きくなるほど、ステントの視認性が良くなっていることがわかる。つまり、FCNRは、CNRに比べて視認性との相関が良いことがわかる。
【0061】
CNRは、主にコントラストの大きさに依存する。一方、FCNRは、コントラストにも依存するとともに、エッジ部分のシャープさの度合い(平均画像でのエッジ部分の傾きの大きさ)に依存する。すなわち、エッジ部分がぼけていなくシャープなほど、ピーク値Sdefpが大きな値を示し、指標値FCNRが大きくなる。エッジ部分がぼけている場合は、図12(a)の符号55に示すように、エッジ部分の傾斜が小さくなり、それが一次微分されると、図12(b)の符号57に示すように、ピーク値Sdefpが小さくなる。
【0062】
したがって、ピーク値は、平均画像でのエッジ部分にぼけがなくシャープなほど大きい値を示すので、ピーク値を標準偏差で除算して算出された指標値と低コントラスト・細線物体の視認性とを相関させることができる。なお、X線透視画像から平均画像を作成する際に、エッジ部分の傾斜は多少小さくなる傾向にあるが、この場合であっても、図13のように、指標値FCNRと視認性とを相関させることができる。
【0063】
また、本実施例に係るX線撮影装置1において、金属板11は、2次元マトリクス状に配置されてX線を検出するX線検出素子DUをX線検出面4aに有するFPD4における水平方向または垂直方向のX線検出素子DU列に対して、金属板11の直線状の辺部がX線検出面4aと直交する軸を中心に傾斜して配置されている。これにより、金属板11と被検体Mとのエッジ部分が、FPD4の2次元マトリクス状に配置されたX線検出素子DUの間に位置した場合であっても金属板11が傾斜して配置されていることにより、FPD4のいずれかのX線検出素子DUでエッジ部分の最大値を検出することができる。そのため、垂直方向または水平方向のX線検出素子DU列と金属板11の直線状の辺部とを平行に配置する場合よりもより大きなピーク値を検出することができる。
【0064】
また、ピーク値取得部27は、エッジ強調画像に基づいてエッジ部分を含む複数のプロファイルを加算平均して平均プロファイルを作成する平均プロファイル作成部41と、平均プロファイルに基づいてピーク値を検出するピーク値検出部43と、を備えている。これにより、複数のプロファイルが加算平均されて作成された平均プロファイルからピーク値を取得しているので、安定したピーク値を検出することができる。
【0065】
また、平均プロファイル作成部41は、エッジ強調画像に基づいてエッジ部分を含む複数のプロファイルを複数の角度で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成している。これにより、角度ごとの平均プロファイルからより高いピーク値Sdefpを検出することができる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0067】
(1)上述した実施例では、一次微分は、式(1)〜式(3)によって行っているが、式(1)と式(2)に代えて、次に示す式(4)と式(5)を用いてもよい。
Ex(x、y)=I(x+1、y)−I(x−1、y) …(4)
Ey(x、y)=I(x、y+1)−I(x、y−1) …(5)
また、エッジ強調は、一次微分に限らず、その他公知の方法を使用しても構わない。
【0068】
(2)上述した実施例では、X線を検出するX線検出器としてFPDを用いて説明したが、X線検出器は、イメージインテンシファイアであってもよい。
【0069】
(3)上述した実施例では、標準偏差算出部33は、複数フレームのX線透視画像のうちいずれか1枚のX線透視画像に基づいて標準偏差SDを算出したが、これに限定されない。例えば、2枚のX線透視画像から標準偏差SDを求めてもよい。また、2枚のX線透視画像の平均画像から標準偏差SDを求めてもよい。
【0070】
(4)上述した実施例では、動画像の撮影に用いられるX線透視画像を取得して、ピーク値Sdefpおよび標準偏差SDを取得(算出)したが、静止画の撮影に用いられるX線撮影画像からそれらを取得してもよい。
【0071】
(5)上述した実施例は、被検体Mを挟んで対向配置されたX線管とX線検出器とを被検体Mの周りで回転させながら撮影するX線CT装置であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 … X線透視撮影装置
3 … X線管
4 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
4a … X線検出面
11 … 金属板
13 … 主制御部
20 … 指標値取得部
21 … 平均画像作成部
23 … 一次微分処理部
25 … ピーク値取得領域抽出部
27 … ピーク値取得部
31 … 標準偏差算出領域抽出部
33 … 標準偏差算出部
35 … 指標値算出部
41 … 平均プロファイル作成部
43 … ピーク値検出部
M … 被検体
DU … X線検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板および前記金属板で一部の領域が覆われた被検体についての複数フレームのX線画像を取得する工程と、
前記複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成する工程と、
前記平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成する工程と、
前記エッジ強調画像に基づいて前記金属板と前記被検体とのエッジ部分のピーク値を取得する工程と、
前記複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像に基づいて標準偏差を算出する工程と、
前記ピーク値を前記標準偏差で除算して指標値を算出する工程と、
を備えていること特徴とする画質評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画質評価方法において、
前記金属板は、2次元マトリクス状に配置されてX線を検出するX線検出素子をX線検出面に有するX線検出器における水平方向または垂直方向のX線検出素子列に対して、前記金属板の直線状の辺部が前記X線検出面と直交する軸を中心に傾斜して配置されることを特徴とする画質評価方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画質評価方法において、
前記ピーク値を取得する工程は、前記エッジ強調画像に基づいて前記エッジ部分を含む複数のプロファイルを加算平均して平均プロファイルを作成する工程と、前記平均プロファイルに基づいて前記ピーク値を検出する工程と、を備えていることを特徴とする画質評価方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画質評価方法において、
前記ピーク値を取得する工程は、前記エッジ強調画像に基づいて前記エッジ部分を含む複数のプロファイルを複数の角度で斜め方向に加算平均して角度ごとの平均プロファイルを作成する工程と、前記角度ごとの平均プロファイルに基づいて前記ピーク値を検出する工程と、を備えていることを特徴とする画質評価方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画質評価方法において、
前記エッジ強調は、一次微分を行うことであることを特徴とする画質評価方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画質評価方法において、
前記X線画像は、X線透視画像であることを特徴とする画質評価方法。
【請求項7】
金属板および前記金属板で一部の領域が覆われた被検体について複数フレームのX線画像を取得するX線画像取得部と、
前記複数フレームのX線画像を平均して平均画像を作成する平均画像作成部と、
前記平均画像をエッジ強調してエッジ強調画像を作成するエッジ強調画像作成部と、
前記エッジ強調画像に基づいて前記金属板と前記被検体とのエッジ部分のピーク値を取得するピーク値取得部と、
前記複数フレームのX線画像のうち所定のX線画像から標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
前記ピーク値を前記標準偏差で除算して指標値を算出する指標値算出部と、
を備えていることを特徴とするX線透視撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−22309(P2013−22309A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161063(P2011−161063)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】