説明

画面遷移設計支援装置、画面遷移設計支援方法、および画面遷移設計支援プログラム

【課題】戻り遷移を含む画面遷移の設計作業を支援し、動作の検証に要する人手工数を低減することができる画面遷移設計支援装置を提供する。
【解決手段】画面遷移情報処理部12の戻り遷移可能画面情報表示部121は、画面遷移設計者端末3から入力される情報に基づき生成される画面遷移情報21と戻り遷移情報22とに基づいて、戻り遷移可能画面の一覧画面を表示する。また、画面遷移系列表示部122は、画面遷移情報21と戻り遷移情報22とに基づいて、画面遷移系列一覧画面を表示する。従って、画面遷移設計者は、戻り遷移を含む画面遷移の動作を容易に把握することができ、その設計作業を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GUI(Graphical User Interface)を有する情報システムの開発に用いられる画面遷移設計支援装置、画面遷移設計支援方法、および画面遷移設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GUIを有する多くの情報システムは、種々のメニューやボタンなどを表示した画面をユーザに提供している。ユーザは、その画面に表示されたメニューやボタンなどを、適宜、選択することによって、システムに容易に指示やデータを入力することができる。また、そのような情報システムにおいて、表示画面はその画面に表示された所定のメニューやボタンなどを選択することによって、あらかじめ定められた他の画面に遷移するように設計されている。
【0003】
従来、情報システムにおける画面遷移を開発するときには、表示中の画面と、その画面上での操作情報と、その操作情報が入力されたとき次に表示される画面との関係を表した状態遷移図(画面遷移図ともいう。)を用いるのが一般的である。
【0004】
特許文献1には、画面遷移の設計を、コンピュータにより支援するシステムの例が開示されている。そのシステムによれば、設計者が所定のGUIに従ってボタンを押したときの画面遷移先を選択するだけで、画面遷移を設計することができる。
【特許文献1】特開平8-272570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画面遷移が存在する情報システムにおいて、画面遷移の一種として、設計対象のシステムが動作時に、現在表示している画面の直前に表示していた画面に遷移する画面遷移がある。例えば、携帯電話において、メール機能初期画面を表示中に、操作者がメールを送信するために、操作者が送信メニューを選択し画面がメール送信画面に遷移したとする。そののち、過去に受け取ったメールを確認したくなった場合は、メール機能初期画面に画面を戻す必要がある。操作者は携帯電話の操作面上の操作中止を指示するボタンなどを押下げることにより、メール送信画面から直前に表示していたメール機能初期画面へ画面遷移させる。このような、現在表示している画面の直前に表示していた画面に遷移する画面遷移である戻り遷移は、操作性の向上のため、車載情報システムや携帯電話システムなどの画面遷移を持つ情報システムの多くが備えている。
【0006】
従来において、戻り遷移を持つ情報システムの画面遷移の設計であっても、その操作情報が入力されたとき次に表示される画面との関係を表した画面遷移図を用いて設計されていた。そのような状況においては、戻り遷移は、通常の画面遷移と同様に、表示中の画面と戻り遷移によって次に表示される画面との関係で表現されていた。そのため、(1)戻り遷移による遷移先は、直前に表示されていた画面であり、画面遷移先が静的に決定された通常の画面遷移とは異なるプログラム実装を行う必要があるが、戻り遷移と通常の画面遷移を区別できていないため、設計の意味が不明確であり、設計の確認作業が必要になる、(2)複数の画面から遷移し表示される画面であるため複数の戻り先が考えられる場合、戻り遷移の可能性のある全ての画面に対しての戻り遷移を記述する必要があり、人手がかかる、といった課題がある。
【0007】
この課題に対して、画面遷移図上で、戻り遷移を行う画面に対して戻り遷移を有することを指定する印を付けることにより、通常の画面遷移と区別し、明確に表現するという方法は容易に考えられる。しかし、そのような方法を採用しても、戻り遷移は直前に表示していた画面へ遷移するという動的な動作を行うため、設計時に実際の戻り遷移の動作や戻り遷移を含む連続した画面遷移の動作を確認、検証することは困難であった。
【0008】
特許文献1に開示された技術においては、戻り遷移を含む画面遷移設計を支援する手段は何ら提供されていない。従って、現状では、画面遷移を設計する場合には、通常の画面遷移図を用いられているため、開発するために多大の人手工数を要している。
【0009】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、戻り遷移を含む画面遷移設計を支援し、その確認に要する人手工数を低減することができる画面遷移設計支援装置、画面遷移設計支援方法、および画面遷移設計支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、複数の表示画面を有する情報システムに係る画面遷移情報の設計を支援する画面遷移設計支援装置は、情報システムにおける画面操作イベントに対して遷移元表示画面と遷移先表示画面とを対応付ける関係情報と、表示画面について遷移元表示画面への戻り遷移の有無を指定する情報とを、設計者端末から入力し、その入力情報から生成した画面遷移情報と戻り遷移情報を記憶装置に格納する画面遷移情報入力手段(例えば、画面遷移情報入力部11)と、画面遷移情報に含まれる表示画面に対して、画面遷移情報と戻り遷移情報とに基づいて戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の一覧の情報を生成し、設計者端末に表示する戻り遷移可能画面情報表示手段(例えば、戻り遷移可能画面情報表示部121)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画面遷移設計の戻り遷移の設計、確認作業を支援し、その設計・確認作業に要する人手工数を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画面遷移設計支援装置の機能ブロックの構成の例を示す図である。図1に示すように、画面遷移設計支援装置1は、処理部10、記憶部20、およびネットワークインタフェース30などを備える。
【0013】
処理部10は、その機能ブロックとして、画面遷移情報入力部(画面遷移情報入力手段、画面遷移情報生成・格納手段)11および画面遷移情報処理部12を含んで構成される。画面遷移情報処理部12は、戻り遷移可能画面情報表示部(戻り遷移可能画面情報表示手段)121、画面遷移系列表示部(画面遷移系列表示手段)122、遷移系列情報入力部(遷移系列情報入力手段)123を有している。記憶部20は、画面遷移情報21、戻り遷移情報22などを記憶する。
【0014】
処理部10は、記憶部20に格納されたプログラムを実行することで、各構成要素(例えば、通信部(図示せず))を統括的に制御し、様々な演算処理を行う。具体的には、処理部10は、CPU(Central Processing Unit)で実行される。記憶部20は、プログラムやデータを永続的に記憶するために用いられるものであり、大容量の磁気メモリであるハードディスクなどで構成される。ネットワークインタフェース30は、ネットワーク2を介して、データのやり取りを行うためのインタフェースである。
【0015】
以上のように、コンピュータによって構成された画面遷移設計支援装置1においては、図1に示した機能ブロックの機能は、処理部10が記憶部20に格納されている各機能ブロックに対応する所定のプログラムを実行することによって実現される。従って、画面遷移設計支援装置1の各機能ブロックの動作主体は、処理部10である。なお、このような場合、各機能ブロックの動作を記載するとき、その主語は処理部10とすべきであるが、本明細書では、各機能ブロックの動作を記載するとき、その主語としてその機能ブロック名を用いる。
【0016】
さらに、図1に示すように、画面遷移設計支援装置1は、ネットワークインタフェース30によりネットワーク2に接続され、さらに、そのネットワーク2を介して画面遷移設計者が使用する複数の画面遷移設計者端末(状態遷移設計者端末)3に接続されている。このとき、画面遷移設計者端末3は、通常、CPUと記憶装置を備えたコンピュータによって構成されるが、機能的には、画面遷移設計支援装置1の表示装置や入出力装置などとして用いられる。なお、以下、画面遷移設計者端末3を設計者端末3と適宜略記する。
【0017】
そこで、本実施形態では、画面遷移設計支援装置1の各ブロックがネットワークインタフェース30およびネットワーク2を介して設計者端末3から情報を入力(取得)したり、ネットワークインタフェース30およびネットワーク2を介して設計者端末3へ情報を出力(表示)したりする場合、単に、設計者端末3から情報を入力(取得)する、あるいは、設計者端末3へ情報を出力(表示)する、と記載する。
【0018】
なお、図1に示した機能ブロックの構成の例では、画面遷移設計支援装置1は、1つのコンピュータによって構成されているが、画面遷移設計支援装置1は、ネットワーク2などで相互に接続された複数のコンピュータによって構成されていてもよい。例えば、画面遷移情報入力部11および画面遷移情報処理部12のそれぞれが、それぞれ異なるコンピュータ上に実現されてもよい。また、設計者端末3がコンピュータによって構成された場合には、画面遷移情報入力部11の機能が設計者端末3上に実現されてもよい。
【0019】
次に、図1を参照して、画面遷移設計支援装置1の各機能ブロックの機能の概要について説明する。
【0020】
画面遷移情報入力部11は、画面遷移設計者が開発対象システムの表示画面の画面遷移を設計するのを支援する機能ブロックである。画面遷移情報入力部11は、所定の画面遷移図編集画面を設計者端末3に表示するとともに、その画面遷移図編集画面を介して入力される画面遷移に係る情報に基づき、画面遷移情報21(図3参照)と戻り遷移情報22(図4参照)とを生成して記憶部20に格納する。特に、このような機能を有する画面遷移情報入力部11は、例えば、従来の画面遷移図エディタなどを用いて実現される。
【0021】
画面遷移情報処理部12は、画面遷移設計者が画面遷移情報入力部11を用いて入力した画面遷移情報21と戻り遷移情報22から画面遷移に関する情報(例えば、遷移可能画面一覧画面600(図6参照)、画面遷移系列一覧画面1000(図10参照))を生成し、設計者端末3に表示する機能ブロックである。
【0022】
戻り遷移可能画面情報表示部121は、画面遷移情報21に含まれる表示画面に対して、画面遷移情報21と戻り遷移情報22から、戻り遷移によって遷移する可能性のある画面(以下、戻り遷移可能画面という。)の一覧情報(例えば、戻り遷移可能画面一覧画面名601)を生成し表示する処理(図5参照)を実行する。画面遷移系列表示部122は、画面遷移情報21に含まれる表示画面に対して、画面遷移情報21と戻り遷移情報22から、表示画面に至る遷移系列の情報を生成し表示する処理(図8、図9参照)を実行する。遷移系列情報入力部123は、画面遷移設計者端末3の表示部に遷移系列情報の入力画面(図7参照)を表示し、入力された対象画面情報および系列の長さ情報を、画面遷移系列表示部122に送信する処理を実行する。
【0023】
続いて、図2以降の図を参照して、画面遷移設計支援装置1の各機能ブロックの機能の詳細について説明する。以下、カーナビゲーションシステムの画面遷移設計を説明のための例として取り上げる。
【0024】
図2は、画面遷移情報入力画面の例を示す図である。図2に示す画面遷移情報入力画面は、画面遷移情報入力部11によって表示される。画面遷移情報入力部11は、所定のGUIを有する画面遷移図エディタであり、設計者端末3に画面遷移情報入力画面200を表示する。
【0025】
図2に示すように、画面遷移情報入力画面200には、画面遷移設計者が設計する画面遷移図が表示される。この画面遷移図は、画面名201を矢印202で結合して構成した有向グラフとして表される。ここで、矢印202は、画面遷移の方向を示し、また、その矢印202には、その画面遷移を発生させるイベントの名称であるイベント名203が付されている。
【0026】
例えば、図2に示した画面遷移図は、「初期画面」の画面を表示中に「AVボタン押下げ」のイベントが発生すると「AVメニュー」の画面に遷移し、「AVメニュー」の画面を表示中に「CD選択」のイベントが発生すると「CD」の画面に遷移することを表している。
【0027】
画面遷移情報入力画面200には、さらに、メニュー遷移設計者が画面遷移情報21を入力するときに用いる設計部品パレット210が表示される。設計部品パレット210には、画面名を表す設計部品205、遷移を表す設計部品206、イベント名を表す設計部品207、表示画面から戻り遷移があることを表す設計部品208が用意されている。そこで、メニュー遷移設計者は、設計部品パレット210からこれらの設計部品である205、206、207、208を、適宜、選択し、画面遷移情報入力画面200上に配置していくことによって、画面遷移図を設計することができる。
【0028】
また、図2に示すように、画面名201に戻り遷移204を結合することで、画面名201で表される画面が戻り遷移が可能な画面であることを表す。戻り遷移とは、設計対象のシステムが動作時に、現在表示している画面の直前に表示していた画面に遷移することである。通常、戻り操作を示すボタンなどをシステム操作が押下げることによって行われる。例えば、図2では、「CD」の画面に戻り遷移204を結合することで、戻り操作によって、「AVメニュー」の画面に戻り遷移をすることができることを表す。なお、AVはAudio Visual、CDはCompact Disc、HDDはHard Disk Driveの略である。
【0029】
画面遷移設計者による画面遷移図の入力、つまり、その設計が終わると、画面遷移情報入力部11は、入力された画面遷移図の情報に基づき、図3で示すデータ構造を有する画面遷移に関する情報を生成し、生成した画面遷移に関する情報を画面遷移情報21に格納し、かつ、図4で示すデータ構造を有する戻り遷移に関する情報を生成し、生成した戻り遷移に関する情報を戻り遷移情報22に格納する。
【0030】
なお、図示や詳細な説明を省略するが、画面遷移情報入力画面200には、設計部品パレット210のほかにも、前に設計した画面遷移図について、その修正、追加、削除などを行うためのメニューが用意されている。すなわち、画面遷移情報入力部11は、前に設計した画面遷移情報21と戻り遷移情報22を読み出し、その画面遷移情報21と戻り遷移情報22が表す画面遷移図を画面遷移情報入力画面200に表示する。そこで、画面遷移設計者は、そのとき表示される修正、追加、削除などを行うためのメニューを、適宜、利用することによって、表示された画面遷移図に対し、修正、追加、削除などを施すことができる。
【0031】
図3は、画面間の遷移情報のデータ構造の例を示す図である。図3に示すように、画面遷移情報21に格納される画面間の遷移情報300は、遷移元画面名301、遷移先画面名302、イベント名303などのデータフィールドを含んで構成される。具体的には、画面間の遷移情報300の1行のデータは、画面からの1つの遷移(図2の画面名201、矢印202、およびイベント名203の組)に対応するように生成される。
【0032】
図4は、戻り遷移を有する情報のデータ構造の例を示す図である。図4に示すように、戻り遷移情報22に格納される戻り遷移を有する画面情報400は、戻り遷移を有する画面の画面名401などのデータフィールドを含んで構成される。具体的には、戻り遷移を有する画面情報400の1行(1レコード)のデータは、1つの戻り遷移の指定204を持つ画面(図2の画面名201)に対応するように生成される。
【0033】
以下、画面遷移情報処理部12の処理について説明する。画面遷移情報処理部12は、戻り遷移可能画面の一覧表示機能と画面遷移系列表示機能を有する。両機能とも、特定の表示画面(対象とする表示画面)についての情報を表示する機能であり、例えば、画面遷移情報入力部11の表示する画面遷移情報入力画面200(図2参照)で、画面が選択された後、起動され、処理が開始する。まず、戻り遷移可能画面情報表示部121における戻り遷移可能画面の一覧表示機能について、説明する。
【0034】
図5は、戻り遷移によって遷移する可能性のある一覧を求める処理フローの例を示す図である。戻り遷移可能画面情報表示部121が戻り遷移可能画面を求めるには、ステップS500において、対象とする表示画面へ画面遷移(戻り遷移を含む)をする表示画面を求めればよい。以下、図3の例で対象とする表示画面をgとし、gの表示画面名を「AVメニュー」として、具体例で説明する。
【0035】
図5に示すように、戻り遷移可能画面情報表示部121は、まず、対象とする表示画面gへ遷移する全ての表示画面を集合Mに追加する(ステップS501)。ここでは、表示画面間の遷移情報300を参照し、遷移先画面名302の欄に表示画面g「AVメニュー」を含むレコードを検索し、検索されたレコード(図3では第1行目のレコード)の遷移元画面名301の欄を参照する。参照の結果として、{初期画面}を得る。
よって、
M={初期画面} …(A1)
となる。
【0036】
次に、表示画面gから遷移する表示画面のうち、戻り遷移の指定のある全ての表示画面を集合Mに追加する(ステップS502)。ここでは、画面間の遷移情報300を参照し、遷移元画面名301の欄に表示画面g「AVメニュー」を含むレコードを検索し、検索されたレコード(図3では第2行目〜第4行目)の遷移先画面名302の欄を参照する。参照の結果として、「CD」、「HDD」、「ラジオ」を得る。一方、戻り遷移を有する画面情報400を参照し、戻り遷移を有する画面として「AVメニュー」、「CD」、「HDD」を得る。画面間の遷移情報300の参照結果と、戻り遷移を有する画面情報400の参照結果とを対比すると、両者が一致する画面、即ち、「CD」、「HDD」を得る。
よって、
M={初期画面、CD、HDD} …(A2)
となる。
【0037】
以上の処理によって、表示画面gから戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の集合Mを求めることができ、Mを結果とする(ステップS503)。そして、戻り遷移可能画面情報表示部121は、設計者端末3に、戻り遷移可能画面の一覧を表示する。
【0038】
図6は、戻り遷移可能画面一覧画面の例を示す図である。戻り遷移可能画面一覧画面600は、戻り遷移可能画面情報表示部121が設計者端末3に表示する。戻り遷移可能画面一覧画面600は、戻り遷移可能画面一覧画面名601によって構成される。戻り遷移可能画面一覧画面名601は、戻り遷移可能画面の一覧を求める処理(ステップS500)の結果得られた、表示画面gから戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の集合Mを表示する。このことによって、戻り遷移による遷移先が明確になり、設計のミスを防ぐことができ、設計の人手工数を削減することができる。
【0039】
画面遷移系列表示部122における画面遷移系列表示機能について、説明する。画面遷移系列表示部122は、特定の表示画面gについて、表示画面gに至る画面遷移系列を求めるために遷移系列情報入力部123から必要な入力情報を取得する。
【0040】
図7は、遷移系列情報入力画面の例を示す図である。遷移系列情報入力画面700は、遷移系列情報入力部123が画面遷移系列を求める対象とする表示画面gと、求める画面遷移系列の長さを取得するために、画面遷移情報処理部12が設計者端末3に表示する。遷移系列情報入力画面700は、その画面に至る画面遷移系列を求める画面を選択する対象画面701と、求める遷移系列の長さを指定する系列の長さの入力欄702から構成される。対象画面701には、画面間の遷移情報300に現れるすべての画面名を遷移元画面名301と遷移先画面名302から求め,表示し、画面遷移系列を求める対象画面名が設計者端末3から選択(入力)される。系列の長さの入力欄702には、自然数が入力される。
【0041】
次に、画面遷移系列表示部122は、遷移系列情報入力画面700における情報の取得が終了すると、表示画面gに至る画面遷移系列を求める。
【0042】
図8は、画面遷移系列を求める処理フローを示す図である。図8において、画面遷移系列表示部122が表示画面gに至る画面遷移系列を求める処理(ステップS800)フローの例を示す。まず、変数iを値0で初期化する(ステップS801)。なお、表示画面g及び遷移系列の長さNは、遷移系列情報入力部123が、図7で示した遷移系列情報入力画面700を介して取得した値を用いる。
【0043】
次に、対象とする表示画面gを先頭とする長さ1の遷移系列を,集合S[0]の唯一の要素とし,S[0]を初期化する(ステップS802)。つまり,S[0]={(g)}となる。ここで,”()”は一つの遷移系列を表す。次に、iが求める遷移系列の列の長さNより小さいか否かを判定する(ステップS803)。小さくなければ(ステップS803,No)、S[i]を結果として(ステップS806)、処理を終了する。iが求める遷移系列の列の長さNより小さければ(ステップS803,Yes)、表示画面gへの長さiの遷移系列S[i]を元に表示画面gへの長さi+1の遷移系列S[i+1]を導出する(ステップS804)。ステップS804については、詳細を図9で説明する。次に、iに値i+1を代入する(ステップS805)。そして、ステップS803の処理に戻る。
【0044】
図9は、図8の画面遷移系列を求める処理フローの補助処理の例を示す図である。図9において、画面遷移系列表示部122が、表示画面gへの長さiの遷移系列S[i]を元に表示画面gへの長さi+1の遷移系列S[i+1]を導出する処理(ステップS804)について、詳細について説明する。
【0045】
画面遷移系列表示部122は、S[i]の要素である全ての遷移系列に処理を行ったか否かを判定する(ステップS901)。全ての遷移系列に処理を行っていない場合(ステップS901,No)、まず、S[i]の要素である遷移系列を1個取り出し、sとする(ステップS902)。次に、画面間の遷移情報300を参照し、sの先頭の画面の遷移元となる画面を全て求め、その遷移元画面を先頭とし、その後ろにsを連結した遷移系列をS[i+1]に追加する(ステップS903)。次に、戻り遷移を有する画面情報400に含まれる画面のうち、ステップS500の処理により求めた戻り遷移先がsを含む画面を全て求め、その画面をそれぞれ先頭としその後ろにsを連結した遷移系列をS[i+1]に追加する(ステップS904)。なお、ステップS901において、全ての遷移系列に処理を行っている場合(ステップS901,Yes)、処理を終了する。
【0046】
以上の表示画面gに至る画面遷移系列を求める処理(ステップS800)を具体例で示す。ここでは、遷移系列を求める表示画面gを「CD」の画面とし、求める遷移系列の長さを2とすると、まず、ステップS802によって、
S[0]={(CD)} …(B1)
が求まる。以降、ステップS803〜S805を繰り返す。最初のステップS803では、i=0なのでS[i+1]、つまりS[1]を求め、
S[1]={(AVメニュー→CD)} …(B2)
となる。「AVメニュー」画面から「CD」画面に画面遷移があるためである。次のステップS803では、i=1なのでS[i+1]、つまりS[2]を求め、
S[2]={(初期画面→AVメニュー→CD)、(CD→AVメニュー→CD)、(HDD→AVメニュー→CD)} …(B3)
となる。なぜなら、(B3)式は、「初期画面」画面から「AVメニュー」画面に画面遷移があり、「CD」画面と「HDD」画面の戻り遷移先が「AVメニュー」画面を含むためである。求められた結果は、画面遷移系列表示部122が設計者端末3に画面遷移系列の一覧を表示する。
【0047】
図10は、画面遷移系列一覧画面の例を示す図である。画面遷移系列表示部122が設計者端末3に表示する画面遷移系列一覧画面1000である。画面遷移系列一覧画面1000は、画面遷移系列を表示する。画面遷移系列は、画面遷移系列を求める処理(ステップS800)によって得られた、表示画面gに至る画面遷移系列を表示する。ここでは、前記した(B3)式の結果が表示されている。これにより、戻り遷移を含む遷移系列が明確になり、設計のミスを防ぐことができ、設計の人手工数を削減することができる。
【0048】
なお、画面遷移系列を求める処理(ステップS800)は、戻る遷移を含む画面遷移図を対象としているが、戻る遷移を含まない画面遷移図を対象とする場合、代替処理として、画面遷移系列を求める処理(ステップS800)の部分処理であるステップS804中のステップS904を省いた処理を用いることによって、処理の高速化が可能である。
【0049】
以上、本実施形態によれば、画面遷移情報処理部12は、設計者端末3から入力される情報に基づき生成される画面遷移情報21と、戻り遷移情報22から、戻り遷移可能画面や画面への遷移系列の情報を設計者端末3に表示する。従って、画面遷移設計者は、画面遷移の内容を容易に把握することができるようになり、画面遷移設計をより短時間で行えるようになる。
【0050】
本実施形態によれば、画面遷移設計支援装置1は、画面遷移情報入力部11、戻り遷移可能画面情報表示部121などを有している。画面遷移情報入力部11は、情報システムにおける画面操作イベントに対して遷移元表示画面と遷移先表示画面とを対応付ける関係情報と、表示画面について遷移元表示画面への戻り遷移の有無を指定する情報とを、設計者端末3から入力し、その入力情報から生成した画面遷移情報21と戻り遷移情報22を記憶部20に格納する。戻り遷移可能画面情報表示部121は、画面遷移情報21に含まれる表示画面に対して、画面遷移情報21と戻り遷移情報22とに基づいて戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の一覧の情報を生成し、設計者端末3に表示する。
【0051】
画面遷移設計支援装置1は、さらに、遷移系列情報入力部123、画面遷移系列表示部122を有している。遷移系列情報入力部123は、設計者端末3から、画面遷移情報21に含まれる表示画面のうちいずれかひとつの選択された表示画面と、選択された表示画面に至る遷移系列の長さとの入力を受付ける。画面遷移系列表示部122は、選択された表示画面と、遷移系列の長さから、画面遷移情報21と戻り遷移情報22とに基づいて、選択された表示画面に至る遷移系列の情報を生成し、設計者端末3に表示する。
【0052】
本実施形態によれば、画面遷移情報21は、画面間の遷移情報300として、遷移元画面名301、遷移先画面名302、イベント名303を関連付けたレコードを複数有し、戻り遷移可能画面情報表示部121は、遷移系列情報入力部123で受付けた対象とする表示画面名に対応する画面名を、画面間の遷移情報300の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた遷移元画面名を第1の遷移画面名とし、対象とする表示画面名を、画面間の遷移情報300の遷移元画面名から抽出し、抽出された遷移元画面名に関連付けられた遷移先画面名を抽出し、抽出された遷移先画面名のうち、戻り遷移情報に該当する抽出された遷移先画面名を第2の遷移画面名とし、第1の遷移画面名と、第2の遷移画面名とをあわせて遷移する可能性のある画面名として、設計者端末3に表示することを特徴とする。例えば、図6に示すように、対象とする表示画面名をAVメニューとすると、第1の遷移画面名は初期画面であり、第2の遷移画面名はCDとHDDである。よって、第1の遷移画面名と、第2の遷移画面名とをあわせて遷移する可能性のある画面名は、初期画面、CD、HDDとなる。
【0053】
また、画面遷移系列表示部122は、遷移系列情報入力部123で受付けた対象とする表示画面名に対応する画面名を、画面間の遷移情報300の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた遷移元画面名を第1の遷移系列名とし、第1の遷移系列名を、新しい対象とする表示画面名として、戻り遷移可能画面情報表示手段により抽出し、抽出された遷移する可能性のある画面名を第2の遷移系列名とし、対象とする表示画面名と、第1の遷移系列名と、第2の遷移系列名とを関連付けて、設計者端末3に表示することを特徴とする。例えば、図10に示すように、対象とする表示画面名をCDとすると、第1の遷移系列名は、AVメニューであり、新しい対象とする表示画面名をAVメニューとして、第2の遷移系列名は、初期画面、CD、HDDとなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る画面遷移設計支援装置の機能ブロックの構成の例を示す図である。
【図2】画面遷移情報入力画面の例を示す図である。
【図3】画面遷移情報のデータ構造の例を示す図である。
【図4】戻り遷移情報のデータ構造の例を示す図である。
【図5】戻り遷移によって遷移する可能性のある一覧を求める処理フローの例を示す図である。
【図6】戻り遷移先一覧画面の例を示す図である。
【図7】遷移系列情報入力画面の例を示す図である。
【図8】画面遷移系列を求める処理フローの例を示す図である。
【図9】図8の画面遷移系列を求める処理フローの補助処理の例を示す図である。
【図10】画面遷移系列一覧画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 画面遷移設計支援装置
2 ネットワーク
3 画面遷移設計者端末
10 処理部
20 記憶部
30 ネットワークインタフェース
11 画面遷移情報入力部(画面遷移情報入力手段、画面遷移情報生成・格納手段)
21 画面遷移情報
12 画面遷移情報処理部
121 戻り遷移可能画面情報表示部(戻り遷移可能画面情報表示手段)
122 画面遷移系列表示部(画面遷移系列表示手段)
123 遷移系列情報入力部(遷移系列情報入力手段)
22 戻り遷移情報
200 画面遷移情報入力画面
300 画面間の遷移情報
400 戻り遷移を有する画面情報
600 戻り遷移可能画面一覧画面
700 遷移系列情報入力画面
1000 画面遷移系列一覧画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画面を有する情報システムに係る画面遷移情報の設計を支援する画面遷移設計支援装置であって、
設計者端末から、前記情報システムにおける画面操作イベントに対して遷移元表示画面と遷移先表示画面とを対応付ける関係情報と、前記表示画面について遷移元表示画面への戻り遷移の有無を指定する情報との入力を受付ける画面遷移情報入力手段と、
画面遷移情報入力手段から入力された入力情報から、前記遷移元表示画面と、前記遷移先表示画面と、前記画面操作イベントとを関係づける画面間の遷移情報である画面遷移情報を生成するとともに、戻り遷移を有する画面情報である戻り遷移情報とを生成し、生成した画面遷移情報と戻り遷移情報を記憶装置に格納する画面遷移情報生成・格納手段と、
前記画面遷移情報に含まれる表示画面に対して、前記画面遷移情報と前記戻り遷移情報とに基づいて戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の一覧の情報を生成し、前記設計者端末に表示する戻り遷移可能画面情報表示手段と、を備える
ことを特徴とする画面遷移設計支援装置。
【請求項2】
前記画面遷移設計支援装置は、さらに、
前記設計者端末から、前記画面遷移情報に含まれる表示画面のうちいずれかひとつの選択された表示画面と、前記選択された表示画面に至る遷移系列の長さとの入力を受付ける遷移系列情報入力手段と、
前記選択された表示画面と、前記遷移系列の長さから、前記画面遷移情報と前記戻り遷移情報とに基づいて、前記選択された表示画面に至る遷移系列の情報を生成し、前記設計者端末に表示する画面遷移系列表示手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画面遷移設計支援装置。
【請求項3】
前記画面遷移情報は、遷移元画面名、遷移先画面名、イベント名を関連付けたレコードを複数有し、
前記戻り遷移可能画面情報表示手段は、
前記遷移系列情報入力手段で受付けた対象とする表示画面名に対応する画面名を、前記画面遷移情報の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた前記遷移元画面名を第1の遷移画面名とし、
前記対象とする表示画面名を、前記画面遷移情報の遷移元画面名から抽出し、抽出された遷移元画面名に関連付けられた前記遷移先画面名を抽出し、前記抽出された遷移先画面名のうち、前記戻り遷移情報に該当する前記抽出された遷移先画面名を第2の遷移画面名とし、
前記第1の遷移画面名と、前記第2の遷移画面名とをあわせて遷移する可能性のある画面名として、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の画面遷移設計支援装置。
【請求項4】
前記画面遷移系列表示手段は、
前記遷移系列情報入力手段で受付けた対象とする表示画面名に対応する画面名を、前記画面遷移情報の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた前記遷移元画面名を第1の遷移系列名とし、
前記第1の遷移系列名を、新しい対象とする表示画面名として、前記戻り遷移可能画面情報表示手段により抽出し、抽出された前記遷移する可能性のある画面名を第2の遷移系列名とし、
前記対象とする表示画面名と、前記第1の遷移系列名と、前記第2の遷移系列名とを関連付けて、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の画面遷移設計支援装置。
【請求項5】
複数の表示画面を有する情報システムに係る画面遷移情報の設計をコンピュータにより支援する画面遷移設計支援方法であって、
前記コンピュータは、
画面遷移情報入力手段により、設計者端末から前記情報システムにおける画面操作イベントに対して遷移元表示画面と遷移先表示画面とを対応付ける関係情報と、前記表示画面について遷移元表示画面への戻り遷移の有無を指定する情報との入力を受付け、
画面遷移情報生成・格納手段により、画面遷移情報入力手段から入力された入力情報から、前記遷移元表示画面と、前記遷移先表示画面と、前記画面操作イベントとを関係づける画面間の遷移情報である画面遷移情報を生成するとともに、戻り遷移を有する画面情報である戻り遷移情報とを生成し、生成した画面遷移情報と戻り遷移情報を記憶装置に格納し、
戻り遷移可能画面情報表示手段により、前記画面遷移情報に含まれる表示画面に対して、前記画面遷移情報と前記戻り遷移情報とに基づいて戻り遷移によって遷移する可能性のある画面の一覧の情報を生成し、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする画面遷移設計支援方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、さらに、
画面遷移系列表示手段により、前記設計者端末から前記画面遷移情報に含まれる表示画面のうちいずれかひとつの選択された表示画面と、前記選択された表示画面に至る遷移系列の長さとの入力を受付けし、
画面遷移系列表示手段により、前記選択された表示画面と、前記遷移系列の長さから、前記画面遷移情報と前記戻り遷移情報とに基づいて、前記選択された表示画面に至る遷移系列の情報を生成し、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の画面遷移設計支援方法。
【請求項7】
前記画面遷移情報は、遷移元画面名、遷移先画面名、イベント名を関連付けたレコードを複数有し、
前記戻り遷移可能画面情報表示手段は、
前記遷移系列情報入力手段で受付けた対象とする表示画面名に対応する画面名を、前記画面遷移情報の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた前記遷移元画面名を第1の遷移画面名とし、
前記対象とする表示画面名を、前記画面遷移情報の遷移元画面名から抽出し、抽出された遷移元画面名に関連付けられた前記遷移先画面名を抽出し、前記抽出された遷移先画面名のうち、前記戻り遷移情報に該当する前記抽出された遷移先画面名を第2の遷移画面名とし、
前記第1の遷移画面名と、前記第2の遷移画面名とをあわせて遷移する可能性のある画面名として、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の画面遷移設計支援方法。
【請求項8】
前記画面遷移系列表示手段は、
前記遷移系列情報入力手段で受付けた対象とする表示画面名を、前記画面遷移情報の遷移先画面名から抽出し、抽出された遷移先画面名に関連付けられた前記遷移元画面名を第1の遷移系列名とし、
前記第1の遷移系列名を、新しい対象とする表示画面名として、前記戻り遷移可能画面情報表示手段により抽出し、抽出された前記遷移する可能性のある画面名を第2の遷移系列名とし、
前記対象とする表示画面名と、前記第1の遷移系列名と、前記第2の遷移系列名とを関連付けて、前記設計者端末に表示する
ことを特徴とする請求項7に記載の画面遷移設計支援方法。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の画面遷移設計支援方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画面遷移設計支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−265799(P2009−265799A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112284(P2008−112284)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】