説明

界磁子及び回転電機

【課題】界磁子で生じる磁束密度の、軸周りでの波形を正弦波に近づけつつも、界磁磁石の製造を容易にすることが目的とされる。
【解決手段】界磁子1aは、界磁磁石12の複数を備える。界磁磁石12は、所定の方向90に沿う軸91の周りで周方向92に沿って環状に配置される。界磁磁石12はいずれも単一であって、所定の方向90側に極性の異なる第1の磁極面12aと第2の磁極面12bとを、周方向92において隣接して有する。周方向92において隣接する界磁磁石12のそれぞれに属し、同じ極性を有する第1の磁極面12a同士及び第2の磁極面12b同士は各々互いに隣接する。界磁磁石12は、周方向92について縁123,124を有する。軸91を中心とした径方向93についての長さは、縁123,124の方が、同じ界磁磁石12に属する第1の磁極面12aと第2の磁極面12bとの境界125よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界磁子及び回転電機に関し、例えば電動機や発電機などに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
電動機や発電機などには、例えばアキシャルギャップ型の界磁子及び電機子が用いられる。かかる界磁子及び電機子によれば、回転の中心である軸に沿う方向についての厚みを小さくすることができ、また磁極面積が大きいのでトルク密度を高めることができる。
【0003】
アキシャルギャップ型の界磁子には、界磁磁石が軸の周りで周方向に環状に配置され、当該界磁磁石ごとに単一の極性を呈する磁極面が電機子側に向けられている。
【0004】
そして、いずれの一の界磁磁石についても、軸を中心とする径方向についての長さは、当該一の界磁磁石の周方向についての端よりも中央付近で大きいことが望ましい。なぜなら、当該界磁子で生じる磁束密度の、軸周りでの波形を正弦波に近づけることができるからである。かかる界磁磁石の形状は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−94955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、界磁磁石の形状が複雑化すると界磁磁石の製造が困難となる。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、界磁子で生じる磁束密度の、軸周りでの波形を正弦波に近づけつつも、界磁磁石の製造を容易にすることが目的とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1にかかる界磁子は、所定の方向(90)に沿う軸(91)の周りで周方向(92)に沿って環状に配置される界磁磁石(12)の複数を備え、前記界磁磁石はいずれも単一であって、前記所定の方向側に極性の異なる第1の磁極面(12a)及び第2の磁極面(12b)を前記周方向において隣接して有し、前記周方向において隣接する前記界磁磁石のそれぞれに属し、同じ前記極性を有する前記第1の磁極面同士及び前記第2の磁極面同士は各々互いに隣接し、前記周方向についての位置ごとにそれぞれ定まる、前記軸を中心とした径方向(93)についての長さは、前記界磁磁石の前記周方向についての縁(123、124)の方が、同じ前記界磁磁石に属する前記第1の磁極面と前記第2の磁極面との境界(125)よりも大きい。
【0009】
この発明の請求項2にかかる界磁子は、請求項1記載の界磁子であって、前記所定の方向(90)から見た前記界磁磁石(12)は台形形状を呈し、前記界磁磁石の内周側に前記台形形状の上辺(121)が位置し、外周側に前記台形形状の底辺(122)が位置する。
【0010】
この発明の請求項3にかかる界磁子は、請求項1または請求項2記載の界磁子であって、前記界磁磁石(12)の前記周方向(92)についての縁(123,124)について、前記周方向(92)において隣接する前記界磁磁石(12)のそれぞれに属し、互いに隣接する前記縁の一方は他方に沿う。
【0011】
この発明の請求項4にかかる界磁子は、請求項3記載の界磁子であって、前記縁(123,124)の前記一方と前記他方とは互いに接触する。
【0012】
この発明の請求項5にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記境界(125)が延びる方向は、当該境界が設けられる前記周方向についての位置において定まる前記径方向に対して傾いている。
【0013】
この発明の請求項6にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記境界(125)は、当該境界の前記周方向(92)についての位置において定まる前記径方向(93)に沿って延び、前記所定の方向(90)から見た前記界磁磁石(12)の形状は、前記境界に対して対称である。
【0014】
この発明の請求項7にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記界磁磁石(12)は、前記第1の磁極面(12a)と前記第2の磁極面(12b)との間に、前記境界(125)に沿う無着磁の部分を有する。
【0015】
この発明の請求項8にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記周方向(92)において隣接する前記界磁磁石(12)のそれぞれに属し、同じ前記極性を呈する前記磁極面(12a;12b)のいずれにも所定の方向(90)側またはそれとは反対側から被さる単一の第1の磁性体板(141)を更に備え、前記所定の方向に垂直な面内において、前記第1の磁性体板同士は磁気的に遮断されている。
【0016】
この発明の請求項9にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記界磁磁石(12)の外周側に設けられる磁心(13)を更に備え、前記磁心は、前記周方向(92)において偏在している。
【0017】
この発明の請求項10にかかる界磁子は、請求項9記載の界磁子であって、前記所定の方向(90)から見て、前記磁心(13)は、前記界磁磁石(12)の外周側の縁(122)に外接する円(Coo)と、当該縁との間に位置する。
【0018】
この発明の請求項11にかかる界磁子は、請求項9または請求項10記載の界磁子であって、前記境界(125)の前記周方向(92)についての位置と、前記磁心(13)の前記周方向についての位置とは、前記軸(91)の周りで所定の角度(θ)だけずれている。
【0019】
この発明の請求項12にかかる界磁子は、請求項11記載の界磁子であって、前記所定の角度(θ)は、界磁磁石の個数の半分の値で90°を割ったものである。
【0020】
この発明の請求項13にかかる界磁子は、請求項11または請求項12記載の界磁子であって、前記磁心(13)の前記周方向(92)についての前記位置は、同じ前記界磁磁石(12)の前記周方向についての前記縁(123,124)のそれぞれの位置の中央付近にある。
【0021】
この発明の請求項14にかかる界磁子は、請求項9乃至請求項13のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記磁心(13)に対して所定の方向(90)側またはそれとは反対側から被さる単一の第2の磁性体板(142)を更に備え、前記所定の方向に垂直な面内において、前記第2の磁性体板同士は磁気的に遮断されている。
【0022】
この発明の請求項15にかかる界磁子は、請求項1乃至請求項14のいずれか一つに記載の界磁子であって、前記所定の方向(90)とは反対側から前記界磁磁石(12)に設けられる単一のヨーク(11)を更に備える。
【0023】
この発明の請求項16にかかる界磁子は、請求項15記載の界磁子であって、前記界磁磁石(12)が設けられる前記ヨーク(11)の表面と同じ表面で、前記界磁磁石の外周側に設けられる磁心(13)を更に備える。
【0024】
この発明の請求項17にかかる回転電機は、請求項15または請求項16に記載の界磁子(1a;・・・;1d)と、前記所定の方向(90)側から前記界磁子に対向して設けられる電機子(100)とを備える。
【0025】
この発明の請求項18にかかる回転電機は、請求項1乃至請求項14のいずれか一つに記載の界磁子(1a;・・・;1d)と、前記所定の方向(90)側から前記界磁子に対向して設けられる第1の電機子(100)とを備える。
【0026】
この発明の請求項19にかかる回転電機は、請求項18記載の回転電機であって、前記所定の方向(90)とは反対側から前記界磁子(1a;・・・;1d)に対向して設けられる第2の電機子(101)を更に備える。
【0027】
この発明の請求項20にかかる回転電機は、請求項17乃至請求項19のいずれか一つに記載の回転電機であって、前記電機子(100;101)はティース(102,104)を有し、前記ティースの外周側の縁(1042)に外接する円(Cco)の半径(Rco)は、前記界磁磁石(12)の外周側の縁(122)に内接する円(Coi)の半径(Roi)より大きく、前記ティースの内周側の縁(1041)に内接する円(Cci)の半径(Rci)は、前記界磁磁石の内周側の縁(121)に内接する円(Cii)の半径(Rii)以上であって、当該縁に外接する円(Cio)の半径(Rio)以下である。
【0028】
この発明の請求項21にかかる回転電機は、請求項20記載の回転電機であって、前記ティース(102,104)の外周側の前記縁(1042)に外接する前記円(Cco)の前記半径(Rco)は、前記界磁磁石(12)の外周側の前記縁(122)に外接する円(Coo)の半径(Roo)以上である。
【発明の効果】
【0029】
この発明の請求項1にかかる界磁子によれば、周方向において隣接する二つの磁極面によって、単一の極性を呈する磁極面が形成される。当該磁極面では、当該磁極面の径方向についての長さが、周方向において中央近傍で大きい。よって、界磁子の所定の方向側の表面に生じる磁束密度の、周方向についての波形が正弦波に近づき、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。しかも、第1及び第2の磁極面ごとに界磁磁石を成形する場合に比べて、製造が容易である。また、同じ界磁磁石には第1及び第2の磁極面の両方が設けられているので、界磁磁石の個数が増えない。
【0030】
この発明の請求項2にかかる界磁子によれば、界磁磁石の形状が台形であるので、界磁磁石の成形が容易である。
【0031】
この発明の請求項3にかかる界磁子によれば、周方向において隣接する界磁磁石の間の隙間を狭めることができるので、界磁子に生じる磁束密度を高めることができる。
【0032】
この発明の請求項4にかかる界磁子によれば、界磁子に生じる磁束密度をより高めることができる。
【0033】
この発明の請求項5にかかる界磁子によれば、境界が延びる方向を径方向に対して傾けることで、界磁子にスキューを設けることができる。よって、界磁子に電機子を設けて得た回転電機においてコギングトルクの発生が抑制される。
【0034】
この発明の請求項6にかかる界磁子によれば、周方向において隣接する二つの磁極面によって、単一の極性を呈する磁極面が形成される。当該磁極面では、周方向において中央の位置で、当該磁極面の径方向についての長さが最大となる。よって、界磁子の所定の方向側の表面に生じる磁束密度の、周方向についての波形を正弦波により近づけることができ、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分をより低減することができる。
【0035】
この発明の請求項7にかかる界磁子によれば、界磁子の所定の方向側の表面に生じる磁束密度の、周方向についての波形が正弦波に近づき、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。よって、界磁子に電機子を設けて得た回転電機において、回転むらや振動が低減できる。
【0036】
この発明の請求項8にかかる界磁子によれば、界磁磁石への減磁界の影響を低減することができる。しかも、界磁磁石内を流れる磁束の変化を小さくすることで、界磁磁石に生じる渦電流を低減することができる。さらには、第1の磁性体板同士が磁気的に遮断されているので、界磁子内での磁束の短絡が防止される。
【0037】
この発明の請求項9にかかる界磁子によれば、磁心を設けることで、q軸インダクタンスを増大させることができる。よって、界磁子に電機子を設けて得た回転電機において、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスとの差に起因して生じるリラクタンストルクが増大し、以ってトルクが増大し、機器の効率が向上する。
【0038】
この発明の請求項10にかかる界磁子によれば、所定の方向側またはそれとは反対側から界磁磁石に対向して電機子を設けて得た回転電機において、当該電機子は磁心にも対向する。
【0039】
この発明の請求項11にかかる界磁子によれば、界磁子に電機子を設けて得た回転電機において、リラクタンストルクとマグネットトルクとを有効に利用して、トルクを高めることができる。
【0040】
この発明の請求項12または請求項13にかかる界磁子によれば、界磁子に電機子を設けて得た回転電機において、所定の角度に対応する位相を有する電流を流すことで、トルクが最大となる。
【0041】
この発明の請求項14にかかる界磁子によれば、磁心の第2の磁性体板側を流れる磁束の多くを当該磁心へと導くことができる。しかも、第2の磁性体板同士が磁気的に遮断されているので、界磁子内での磁束の短絡が防止される。
【0042】
この発明の請求項15にかかる界磁子によれば、ヨークは単一のであるので、バックヨークとして働き、以って磁気抵抗が低減される。よって、磁束の多くを所定の方向側に流すことができる。
【0043】
この発明の請求項16にかかる界磁子によれば、磁心を設けることで、界磁磁石の量を減らすことなくq軸インダクタンスを増大させることができる。よって、界磁子に電機子を設けて得た回転電機において、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスの差に起因して生じるリラクタンストルクが増大し、以ってトルクが増大し、機器の効率が向上する。
【0044】
この発明の請求項17にかかる回転電機によれば、界磁子の所定の方向側の表面に生じる磁束密度の、周方向についての波形が正弦波に近づき、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。よって、回転電機においてコギングトルクが低減される。
【0045】
この発明の請求項18にかかる回転電機によれば、界磁子の所定の方向側の表面に生じる磁束密度の、周方向についての波形が正弦波に近づき、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。よって、回転電機においてコギングトルクが低減される。
【0046】
この発明の請求項19にかかる回転電機によれば、所定の方向とは反対側に流出入する磁束を、第2の電機子に鎖交させることができるので、回転電機の出力及び効率が高まる。しかも、界磁子に発生するスラスト力を低減することができ、以って軸受け損失が低減される。
【0047】
この発明の請求項20または請求項21にかかる回転電機によれば、界磁磁石の磁束を漏らさずに電機子に鎖交させることができるので、電機子に鎖交する磁束についても、正弦波に近い波形で変化させることができる。よって、回転電機で生じるコギングトルクが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
第1の実施の形態.
図1は、本実施の形態にかかる界磁子1aを概念的に示す。界磁子1aは、界磁磁石12の複数を備える。
【0049】
界磁磁石12は、所定の方向90に沿う軸91の周りで周方向92に沿って環状に配置される。界磁磁石12はいずれも単一であって、所定の方向90側に極性の異なる第1の磁極面12aと第2の磁極面12bとを、周方向92において隣接して有する。例えば第1の磁極面12aはN極を呈し、第2の磁極面12bはS極を呈する。
【0050】
界磁磁石12には、飽和磁束密度が大きく、界磁の大きい材料、例えばNd−Fe−B系の焼結磁石などを採用することが望ましい。なお、高密度でエネルギー積の大きい材料は加工が難しいが、本発明によれば、後述するように界磁磁石12の成形が容易であるので、かかる材料を採用することができる。
【0051】
界磁磁石12には、磁気異方性を有する材料を採用することが望ましい。なぜなら、磁化容易軸を軸91に沿わすことで、界磁子1aの所定の方向91についての表面に生じる磁束密度を高めることができ、しかも着磁性が高まるからである。ただし、界磁磁石12に、磁気的に等方性を有する材料を採用しても良い。この場合、着磁方向を異ならせることにより、磁極面12a,12bに現れる磁束の、所定の方向90についての成分を異ならせることができる。詳細については後述する。
【0052】
界磁磁石12は、例えば着磁によって得られる。当該着磁は、界磁磁石12を界磁子1aに組み込む前に行っても良いし、組み込んだ後に行っても良い。
【0053】
周方向92において隣接する界磁磁石12のそれぞれに属し、同じ極性を有する第1の磁極面12a同士及び第2の磁極面12b同士は各々互いに隣接する。
【0054】
界磁磁石12は、内周側に縁121、外周側に縁122、及び周方向92について縁123,124をそれぞれ有する。軸91を中心とした径方向93についての長さは、縁123,124の方が、同じ界磁磁石12に属する第1の磁極面12aと第2の磁極面12bとの境界125よりも大きい。なお、図1では、縁124の当該長さが符号L1で、境界125の当該長さが符号L2で表されている。
【0055】
ここで、径方向93は、周方向92についての位置ごとにそれぞれ定まる。具体的には、縁123,124に関しては、軸91の位置から、縁123,124の周方向についての位置へと向かう方向が、径方向93として採用される。境界125に関しては、軸91の位置から、境界125の周方向92についての位置へと向かう方向が、径方向93として採用される。
【0056】
図1では、軸91の周りで周方向92に沿って環状を呈する単一の板11も示されている。板11は、所定の方向90とは反対側から界磁磁石12に設けられて、界磁磁石12を保持する。
【0057】
板11には鉄などの軟磁性材料を採用することが望ましい。なぜなら、当該軟磁性材料はバックヨークとして働き、以って磁気抵抗が低減されるからである。これにより、磁束の多くを所定の方向90側に流すことができる。当該ヨークには、圧粉鉄心や巻鉄心を採用しても良いし、電磁鋼板を所定の方向90に積層したものを採用しても良い。
【0058】
板12はなくても良く、周方向92に沿って環状に配置された界磁磁石12を、例えば樹脂等でモールドすることで保持しても良い。かかる態様は、後述する図8に示されており、図8では樹脂を符号15で表している。この場合、界磁磁石12の磁極面12a,12bは樹脂から露出していても良いし、樹脂によって覆われていても良い。ただし、磁極面12a,12bを覆う樹脂の厚みの分だけ、エアギャップ長が大きくなるので、当該樹脂の厚みは小さいことが望ましい。
【0059】
上述した界磁子1a,1bによれば、周方向92において隣接する二つの磁極面12a(12b)によって、単一の極性を呈する磁極面が形成される。当該磁極面では、当該磁極面の径方向93についての長さが、周方向92において中央近傍で大きい。よって、界磁子1a,1bの所定の方向90側の表面に生じる磁束密度の、周方向92についての波形が正弦波に近づき、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。
【0060】
しかも、第1及び第2の磁極面12a,12bごとに界磁磁石を成形する場合に比べて、製造が容易である。型に嵌めて界磁磁石を成形した場合には、当該界磁磁石の密度が高まる。他方、一枚の磁石を成形した後に切断して、所定の形状を呈する界磁磁石を得る場合には、切断に必要とされる工程数が減少する。
【0061】
また、同じ界磁磁石12には第1及び第2の磁極面12a,12bの両方が設けられているので、界磁磁石12の個数が増えない。具体的には、第1及び第2の磁極面12a,12bごとに界磁磁石を成形した場合に比べて、界磁磁石12の個数は半分で良い。
【0062】
界磁磁石12の成形を容易にするという観点からは、所定の方向90から見た界磁磁石12は台形形状を呈することが望ましい。この場合、台形の上辺が内周側に、底辺が外周側に向けられる。すなわち、界磁磁石12の内周側(縁121)に台形形状の上辺が位置し、外周側(縁122)に台形形状の底辺が位置する。
【0063】
図1では、周方向92において隣接する界磁磁石12のそれぞれに属し、互いに隣接する縁123,124の一方は他方に沿っている。かかる形状によれば、周方向92において隣接する界磁磁石12の間の隙間を狭めることができるので、界磁子1aの所定の方向90側に生じる磁束密度を高めることができる。特に、当該縁123の一方と他方とが互いに接触する場合、すなわち周方向92において隣接する界磁磁石12が隙間なく互いに接触する場合には、当該磁束密度をより高めることができる。
【0064】
また図1では、境界125は、周方向92についての自身の位置において定まる径方向93に沿って延びている。しかも、所定の方向90から見た界磁磁石12の形状は、当該境界125に対して対称である。かかる態様によれば、周方向92において隣接する二つの磁極面12a(12b)によって形成される磁極面において、周方向92において中央の位置で、当該磁極面の径方向93についての長さが最大となる。よって、界磁子1aの所定の方向90側の表面に生じる磁束密度の、周方向92についての波形を正弦波により近づけることができ、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分をより低減することができる。
【0065】
図2は、境界125に関し、図1に示される界磁子1aとは異なる態様を示す。図2で示される界磁子1bの境界125について、当該境界125が延びる方向は、当該境界125の周方向92についての位置において定まる径方向93に対して傾いている。
【0066】
界磁子1bによれば、界磁子1bにスキューを設けることができる。よって、界磁子1bに電機子を設けて得た回転電機において、磁極の境界において滑らかに磁束が変化し、以ってコギングトルクの発生が抑制される。
【0067】
上述した界磁子1a,1bのいずれにおいても、例えば界磁磁石12は、第1の磁極面12aと第2の磁極面12bとの間に、境界125に沿う無着磁の部分を有してもよい。かかる態様においても、磁束密度の波形を正弦波に近づけることができ、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。よって、界磁子1a,1bに電機子を設けて得た回転電機において、回転むらや振動が低減できる。
【0068】
例えば、磁気異方性を有する材料を界磁磁石12として採用することができる。この場合、境界125近傍には磁化されにくい材料を用いることが望ましい。なぜなら、境界125近傍において磁束密度が緩やかに変化し、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減されるからである。
【0069】
また、磁気的に等方性を有する材料を界磁磁石12として採用しても良い。かかる場合には、境界125近傍では第1及び第2の磁極面12a,12bの一方から他方へと行くに従って、磁化の方向が所定の方向90からそれとは反対の方向へと変化する。よって、境界125近傍で磁束密度が緩やかに変化し、以って当該磁束密度に含まれる高調波成分が低減できる。
【0070】
上述した界磁磁石12の所定の方向90側の構成は、界磁磁石12の所定の方向90とは反対側の構成にも適用することができる。
【0071】
第2の実施の形態.
図3は、本実施の形態にかかる界磁子1cを概念的に示す。界磁子1cは、第1の実施の形態で説明した界磁子1a,1bであって、磁心13を更に備える。なお、図3には、界磁子1aに磁心13を設けたものが、界磁子1cとして示されている。
【0072】
磁心13は、界磁磁石12の外周側に設けられる。図3では特に、磁心13の周方向92についての位置が、同じ界磁磁石12の縁123,124のそれぞれの位置の中央付近にある場合が示されている。
【0073】
例えば、界磁磁石12が板11に設けられている場合には、界磁磁石12が設けられる板11の表面と同じ表面で、界磁磁石12の外周側に、磁心13は設けられる。磁心13には、例えば圧粉鉄心や巻鉄心が採用できる。
【0074】
板11には、第1の実施の形態と同様にヨークが採用できる。板11が設けられていない場合であっても、界磁磁石12と、界磁磁石12の外周側に配置した磁心13とを樹脂等でモールドすることで固定することができる。
【0075】
なお、磁心13は、界磁磁石12と所定の距離だけ離間していることが望ましい。なぜなら、界磁子1c内で磁束が短絡することを防止することができるからである。第3の実施の形態で説明する界磁子1cに電機子を設けて得た回転電機においては、磁心13と界磁磁石12との間の距離は、界磁子1cと電機子とのギャップ長の2倍以上であることが特に望ましい。この場合、界磁子1c内で界磁磁石12及び磁心13の一方から他方へと直接向かう磁路における磁気抵抗は、電機子を介して界磁磁石12及び磁心13の一方から他方へと向かう磁路における磁気抵抗よりも大きくなる。よって、界磁子1c内において界磁磁石12と磁心13との間で磁束の短絡が生じにくい。
【0076】
磁心13を設けることで、磁心13は周方向92において偏在しているので、q軸インダクタンスLqを増大させることができる。よって、界磁子1cに電機子を設けて得た回転電機において、q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdの差に起因して生じるリラクタンストルクが増大し、以ってトルクが増大し、機器の効率が向上する。
【0077】
リラクタンストルクTr1は、式(1)で表される。ここで、符号Pnは極対数、符号Iaは電機子の巻線に流れる電流ベクトルの大きさをそれぞれ表す。また、符号βは位相であって、電流ベクトルがq軸と成す角度(0°以上かつ90°以下)を表す。なお、界磁子1cでは、第1の実施の形態と同様に、周方向92において隣接する二つの磁極面12a(12b)によって、単一の極性を呈する磁極面が形成される。よって、界磁子1cは、磁石12の個数と同じ値の極数を有し、以って極対数は磁石12の個数の半分の値となる。
【0078】
【数1】

【0079】
図4は、磁心13の設ける位置を概念的に示す。所定の方向90から見て、磁心13は、界磁磁石12の外周側の縁122に外接する円C1と、当該縁122との間に位置する。
【0080】
かかる磁心13の位置によれば、界磁子1cに対して所定の方向90から界磁磁石12に対向して電機子を設けることで、該電機子を磁心13にも対向させることができる。よって、q軸インダクタンスが増大しやすい。なお、磁心13は、電機子と対向する範囲において突極性を有することが望ましい。また、極数に対応したピッチで、磁心13が偏在していることが望ましい。
【0081】
図5及ぶ図6は、磁心13と境界125との位置関係を概念的に示す。すなわち、磁心13の周方向92についての位置と、境界125の周方向92についての位置とは、軸91の周りで所定の角度θだけずれている。
【0082】
図5では、図3に示される界磁子1cと比較して、境界125が磁心13に対して所定の角度θだけずれている。
【0083】
図6では、図3に示される電機子1cについて、磁心13が境界125に対して所定の角度θだけずれている。具体的には、磁心13は境界125に対して周方向92と反対側へと所定の角度θだけずれている。この場合、界磁子1dは周方向93(所定の方向90から見て反時計周りの方向)へと回転させることが望ましい。
【0084】
かかる位置関係によれば、界磁子1cに電機子を設けて得た回転電機において、リラクタンストルクとマグネットトルクとを有効に利用して、トルクを高めることができる。詳細について以下に説明する。
【0085】
界磁子1cに電機子を設けて得た回転電機において発生するトルクTは、マグネットトルクTmとリラクタンストルクTr2との和によって表される。マグネットトルクTmは式(2)で表され、リラクタンストルクTr2は式(3)で表される。ここで、符号φaは、無負荷のときに電機子に鎖交する磁束を表す。また符号θ1は、所定の角度θから式(4)によって求められる電気角を表す。
【0086】
【数2】

【0087】
【数3】

【0088】
【数4】

【0089】
なお、図3で示される界磁子1cでは、磁心13と境界125とは周方向92についての位置が同じ(θ=0°)であるため、電気角θ1は0°となる。そして、式(3)にθ1=0°を代入したものが式(1)として表されている。
【0090】
電気角θ1が0°の場合、マグネットトルクTmが最大となる位相βと、リラクタンストルクTrが最大となる位相βとは異なる。例えば、マグネットトルクTmが最大となる位相β(=0°)では、リラクタンストルクTrが0となる。また、リラクタンストルクTrが最大となる位相β(=45°)では、マグネットトルクTmは最大値Pn・φa・Iaの1/√2倍となる。
【0091】
他方、電気角θ1に0°でない値を、すなわち所定の角度θに0°でない角度を採用することで、トルクTの値を電気角θ1が0°の場合よりも大きくし得る。
【0092】
特に所定の角度θに90°/(2Pn)を採用することで、電気角θ1は45°となり、マグネットトルクTmが最大となる位相β(=0°)と、リラクタンストルクTrが最大となる位相β(=0°)とを一致させることができる。よって、回転電機において最大のトルクTを得ることができる。例えば図5で示される電機子1dにおいては、極対数が3であるので、所定の角度θに15°にすることで電機角θ1が45°となる。
【0093】
第3の実施の形態.
図7及び図8は本実施の形態にかかる回転電機を概念的に示す。当該回転電機は、界磁子1aと電機子100とを備える。電機子100は、所定の方向90側から界磁子1aに対向して設けられる。界磁子1aに代えて、界磁子1b〜1dのいずれか一つを採用しても良い。
【0094】
図7に示される界磁子1aは板11を備え、図7では板11が破線で示されている。図8に示される界磁子1aは界磁磁石12を樹脂15でモールドして固定している。なお、図7及び図8では、界磁子1aと電機子100とが所定の方向90に分離して示されている。
【0095】
図9は、電機子100を概念的に示す。電機子100は、ヨーク101、ティース102、巻線103及び磁性体板104を備える。なお、図9では、ヨーク101及びティース101に対して、巻線103と磁性体板104とが軸91に沿って分離して示されている。
【0096】
ティース102は、軸91の周りで周方向92に沿って環状に、ヨーク101の所定の方向91と反対側の表面に配置されている。ティース102のそれぞれには、巻線103が集中巻で巻回されている。巻線103は、例えば分布巻や波巻でティース102に巻回されても良い。
【0097】
巻線103が集中巻でティース102に巻回される場合には、ティース102の本数Nには界磁子1aの極数2Pnの1.5倍の値が採用できる。図7及び図8では、界磁磁石12が6個設けられているので極数は6であり、ティース102の本数は9本である。集中巻の場合にはその他、界磁子1aの極数2Pnと、ティース102の本数Nとには、(2Pn,N)=(4,6)、(8,12)、(8,9)及び(10,12)などの値が採用できる。
【0098】
他方、分布巻や波巻の場合には、界磁子1aの極数2Pnと、ティース102の本数Nとには、(2Pn,N)=(4,12)、(4、24)、(4,36)、(6,18)及び(8,24)などの値が採用できる。
【0099】
巻線103のそれぞれには3相電流が流される。具体的には、U相電流、V相電流及びW相電流が流れる巻線103のそれぞれが、この順に周方向92に沿って繰り返し配置される。巻線103の配線には、スター結線やデルタ結線などが採用できる。
【0100】
磁性体板104は、ティース102のヨーク101とは反対側の端面102aに設けられる。磁性体板104のティース102とは反対側の表面104aは、界磁子1aの界磁磁石12に対向する。表面104aの面積は、端面102aの面積よりも大きい。かかる磁性体板104を設けることで、界磁子1aから流れる磁束の多くを巻線103に鎖交させることができる。なお、磁性体板104はなくても良い。
【0101】
界磁子1a〜1dを設けた回転電機によれば、第1の実施の形態で説明したように、界磁子1a〜1dの電機子100側の表面には、軸91の周りで正弦波に近い波形を有する磁束密度が生じる。よって、回転電機においてコギングトルクが低減され、以って回転電機の効率が高まる。
【0102】
特に、界磁子1bを設けた回転電機によれば、界磁子1bにスキューが設けられているので、回転電機においてコギングトルクがより低減される。
【0103】
また、界磁子1c,1dを設けた回転電機によれば、第2の実施の形態で説明したように回転電機においてリラクタンストルクが生じるので、回転電機の出力を高めることもできる。
【0104】
図10は、界磁磁石12と磁性体板104との大きさに関する関係を概念的に示す。なお、当該関係を示すために図10では、図8で示される回転電機が用いられている。
【0105】
磁性体板104の外周側の縁1042に外接する円Ccoの半径Rcoは、界磁磁石12の外周側の縁122に内接する円Coiの半径Roiよりも大きい。なお図10では、縁1042が円Ccoに沿う円弧を呈する場合が示されている。
【0106】
磁性体板104の内周側の縁1041に内接する円Cciの半径Rciは、界磁磁石12の内周側の縁121に内接する円Ciiの半径Rii以上であって、当該縁121に外接する円Cioの半径Rio以下である。なお図10では、縁1041が円Cciに沿う円弧を呈する場合が示されている。
【0107】
なお、磁性体板104とティース103とを一つのティースと把握すれば、縁1041,1042はそれぞれ当該ティースの内周側及び外周側の縁と把握することができる。また、電機子100は磁性体板104を備えなくても良く、かかる場合には界磁磁石12とティース103との間に上記関係が適用される。
【0108】
上述した関係によれば、界磁磁石12の磁束を漏らさずに電機子100に鎖交させることができるので、電機子に100に鎖交する磁束についても、正弦波に近い波形で変化させることができる。よって、回転電機で生じるコギングトルクが低減される。しかも、半径Rciを半径Rio以下とすることで、電機子100を大型化させない。
【0109】
界磁磁石12の磁束を漏らさずに電機子100に鎖交させるという観点からは、円Ccoの半径Rcoは、縁122に外接する円Cooの半径Roo以上であることが望ましい。
【0110】
上述した関係は、界磁子1a〜1dを備える回転電機にも適用することができる。なお、磁心13が設けられる界磁子1c,1dにおいては、所定の方向90から見て、磁心13を円Ccoの内側に設けることが望ましい。
【0111】
上述した回転電機のいずれにおいても、界磁子1a〜1dに対して所定の方向90とは反対側からも、電機子100と同じ構成を有する電機子101を設けても良い。この場合、界磁磁石12の所定の方向90とは反対側の表面には、電機子101の磁性体板104の表面104aが対向する。ただし、かかる回転電機には、第1及び第2の実施の形態で説明した樹脂等でモールドした界磁子1a〜1d(図8)を採用することが望ましい。なぜなら、電機子101を界磁磁石12に近接させることができるからである。
【0112】
かかる回転電機によれば、界磁子1bの所定の方向とは反対側に流出入する磁束を、電機子101に鎖交させることができるので、回転電機の出力及び効率が高まる。しかも、界磁子1a〜1dに発生するスラスト力を低減することができ、以って軸受け損失が低減される。
【0113】
また、界磁子1a〜1dと電機子101との間についても、図10に示される関係を適用することができる。
【0114】
さらには、所定の方向90について電機子の両側に界磁子1a〜1dを設けても良い。
【0115】
図11は、磁性体板141,142を備える界磁子1cを概念的に示す。なお、図11では、界磁磁石12及び磁心13に対して、板11と磁性体板141,142とが軸91に沿って分離して示されている。
【0116】
磁性体板141は単一であって、周方向92において隣接する界磁磁石12のそれぞれに属し、同じ極性を呈する磁極面12a(12b)のいずれにも所定の方向90側から被さる。所定の方向90に垂直な面内において、磁性体板141同士の間は磁気的に遮断されている。図11では、周方向92において隣接する磁性体板141の間に、内周側から外周側へと延びる空隙が設けられている。
【0117】
磁性体板141を設けることで、界磁磁石12への減磁界の影響を低減することができる。しかも、界磁磁石12内を流れる磁束の変化を小さくすることで、界磁磁石12に生じる渦電流を低減することができる。さらには、磁性体板141同士が磁気的に遮断されているので、界磁子1c内での磁束の短絡が防止される。
【0118】
磁性体板142は単一であって、磁心13に対して所定の方向90側から被さる。所定の方向90に垂直な面内において、磁性体板142同士は磁気的に遮断されている。
【0119】
磁性体板142を設けることで、磁心13の所定の方向90側を流れる磁束の多くを磁心13へと導くことができる。しかも、磁心13同士が磁気的に遮断されているので、界磁子1c内での磁束の短絡が防止される。
【0120】
なお、図11では、界磁磁石12及び磁心13のそれぞれに磁性体板141,142が設けられているが、例えば磁性体板141,142のいずれか一方のみを設ける場合であっても良い。また、界磁子1a,1bには磁性体板141を、界磁子1dには磁性体板141,142を、上述したのと同様に設けることができる。
【0121】
また、磁性体板141,142には、圧粉鉄心を採用することが望ましい。なぜなら、磁性体板141,142での渦電流の発生を抑制することができるからである。
【0122】
界磁子1a〜1dの所定の方向90とは反対側にも電機子101を設ける場合には、磁性体板141,142はそれぞれ、所定の方向90とは反対側からも界磁磁石12及び磁心13に被せられることが望ましい。
【0123】
磁性体板141,142はそれぞれ、例えば接着剤によって界磁磁石12及び磁心13に固定される。例えば、磁性体板141と界磁磁石12とを、及び磁性体板142と磁心14とをそれぞれ樹脂等でモールドすることで、磁性体板141,142をそれぞれ界磁磁石12及び磁心13に固定しても良い。
【0124】
磁性体板141同士は、磁気的に遮断したまま互いに連結されても良い(図11)。例えば、磁性体板141の内周側または外周側が連結される。かかる態様によれば、磁性体板141を一体で成形することができる。
【0125】
磁性体板142同士は、磁気的に遮断したまま互いに連結されても良い(図11)。例えば、磁性体板142の外周側が連結される。かかる態様によれば、磁性体板142を一体で成形することができる。
【0126】
磁性体板141,142同士が連結されても良い。この場合にも、磁性体板141,142同士は互いに磁気的に遮断される。図11には、かかる態様が示されている。
【0127】
また、図12に示されるように、磁性体板142と磁心13とを一体で成形しても良い。一体成形されたものを板11に固定して、界磁磁石12を板11と磁性体板142とで挟むことで、界磁磁石12を板11に固定することができる。
【0128】
図12では、界磁磁石12及び磁心13のそれぞれが嵌め込まれる溝61,62が、板11に設けられている。溝61,62を板11に設けることで、界磁磁石12及び磁心13の板11への固定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】第1の実施の形態で説明される、界磁子1aを概念的に示す上面図である。
【図2】境界125の態様を概念的に示す図である。
【図3】第2の実施の形態で説明される、界磁子1cを概念的に示す上面図である。
【図4】磁心13の設ける位置を概念的に示す図である。
【図5】磁心13と境界125との位置関係を概念的に示す図である。
【図6】磁心13と境界125との位置関係を概念的に示す図である。
【図7】第3の実施の形態で説明される、回転電機を概念的に示す斜視図である。
【図8】第3の実施の形態で説明される、回転電機を概念的に示す斜視図である。
【図9】電機子100を概念的に示す斜視図である。
【図10】界磁磁石12と磁性体板104との関係を概念的に示す図である。
【図11】磁性体板141,142を備える界磁子1cを概念的に示す図である。
【図12】一体成形された磁性体板142と磁心13とを概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1a〜1d 界磁子
11 板(ヨーク)
12 界磁磁石
12a 第1の磁極面
12b 第2の磁極面
13 磁心
90 所定の方向
91 軸
92 周方向
93 径方向
100,101 電機子
102 ティース
104 磁性体板
121〜124,1041,1042 縁
125 境界
141,142 磁性体板
Coo,Coi,Cio,Cii,Cco,Cci 円
θ 所定の角度
Roo,Roi,Rio,Rii,Rco,Rci 半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向(90)に沿う軸(91)の周りで周方向(92)に沿って環状に配置される界磁磁石(12)の複数
を備え、
前記界磁磁石はいずれも単一であって、前記所定の方向側に極性の異なる第1の磁極面(12a)及び第2の磁極面(12b)を前記周方向において隣接して有し、
前記周方向において隣接する前記界磁磁石のそれぞれに属し、同じ前記極性を有する前記第1の磁極面同士及び前記第2の磁極面同士は各々互いに隣接し、
前記周方向についての位置ごとにそれぞれ定まる、前記軸を中心とした径方向(93)についての長さは、前記界磁磁石の前記周方向についての縁(123、124)の方が、同じ前記界磁磁石に属する前記第1の磁極面と前記第2の磁極面との境界(125)よりも大きい、
界磁子。
【請求項2】
前記所定の方向(90)から見た前記界磁磁石(12)は台形形状を呈し、前記界磁磁石の内周側に前記台形形状の上辺(121)が位置し、外周側に前記台形形状の底辺(122)が位置する、請求項1記載の界磁子。
【請求項3】
前記界磁磁石(12)の前記周方向(92)についての縁(123,124)について、前記周方向(92)において隣接する前記界磁磁石(12)のそれぞれに属し、互いに隣接する前記縁の一方は他方に沿う、請求項1または請求項2記載の界磁子。
【請求項4】
前記縁(123,124)の前記一方と前記他方とは互いに接触する、請求項3記載の界磁子。
【請求項5】
前記境界(125)が延びる方向は、当該境界が設けられる前記周方向についての位置において定まる前記径方向に対して傾いている、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項6】
前記境界(125)は、当該境界の前記周方向(92)についての位置において定まる前記径方向(93)に沿って延び、
前記所定の方向(90)から見た前記界磁磁石(12)の形状は、前記境界に対して対称である、
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項7】
前記界磁磁石(12)は、前記第1の磁極面(12a)と前記第2の磁極面(12b)との間に、前記境界(125)に沿う無着磁の部分を有する、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項8】
前記周方向(92)において隣接する前記界磁磁石(12)のそれぞれに属し、同じ前記極性を呈する前記磁極面(12a;12b)のいずれにも所定の方向(90)側またはそれとは反対側から被さる単一の第1の磁性体板(141)を更に備え、
前記所定の方向に垂直な面内において、前記第1の磁性体板同士は磁気的に遮断されている、
請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項9】
前記界磁磁石(12)の外周側に設けられる磁心(13)を更に備え、
前記磁心は、前記周方向(92)において偏在している、
請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項10】
前記所定の方向(90)から見て、前記磁心(13)は、前記界磁磁石(12)の外周側の縁(122)に外接する円(Coo)と、当該縁との間に位置する、請求項9記載の界磁子。
【請求項11】
前記境界(125)の前記周方向(92)についての位置と、前記磁心(13)の前記周方向についての位置とは、前記軸(91)の周りで所定の角度(θ)だけずれている、請求項9または請求項10記載の界磁子。
【請求項12】
前記所定の角度(θ)は、界磁磁石の個数の半分の値で90°を割ったものである、請求項11記載の界磁子。
【請求項13】
前記磁心(13)の前記周方向(92)についての前記位置は、同じ前記界磁磁石(12)の前記周方向についての前記縁(123,124)のそれぞれの位置の中央付近にある、請求項11または請求項12記載の界磁子。
【請求項14】
前記磁心(13)に対して所定の方向(90)側またはそれとは反対側から被さる単一の第2の磁性体板(142)を更に備え、
前記所定の方向に垂直な面内において、前記第2の磁性体板同士は磁気的に遮断されている、
請求項9乃至請求項13のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項15】
前記所定の方向(90)とは反対側から前記界磁磁石(12)に設けられる単一のヨーク(11)
を更に備える、請求項1乃至請求項14のいずれか一つに記載の界磁子。
【請求項16】
前記界磁磁石(12)が設けられる前記ヨーク(11)の表面と同じ表面で、前記界磁磁石の外周側に設けられる磁心(13)
を更に備える、請求項15記載の界磁子。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の界磁子(1a;・・・;1d)と、
前記所定の方向(90)側から前記界磁子に対向して設けられる電機子(100)と
を備える、回転電機。
【請求項18】
請求項1乃至請求項14のいずれか一つに記載の界磁子(1a;・・・;1d)と、
前記所定の方向(90)側から前記界磁子に対向して設けられる第1の電機子(100)と
を備える、回転電機。
【請求項19】
前記所定の方向(90)とは反対側から前記界磁子(1a;・・・;1d)に対向して設けられる第2の電機子(101)
を更に備える、請求項18記載の回転電機。
【請求項20】
前記電機子(100;101)はティース(102,104)を有し、
前記ティースの外周側の縁(1042)に外接する円(Cco)の半径(Rco)は、前記界磁磁石(12)の外周側の縁(122)に内接する円(Coi)の半径(Roi)より大きく、
前記ティースの内周側の縁(1041)に内接する円(Cci)の半径(Rci)は、前記界磁磁石の内周側の縁(121)に内接する円(Cii)の半径(Rii)以上であって、当該縁に外接する円(Cio)の半径(Rio)以下である、
請求項17乃至請求項19のいずれか一つに記載の回転電機。
【請求項21】
前記ティース(102,104)の外周側の前記縁(1042)に外接する前記円(Cco)の前記半径(Rco)は、前記界磁磁石(12)の外周側の前記縁(122)に外接する円(Coo)の半径(Roo)以上である、請求項20記載の回転電機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−48571(P2008−48571A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223912(P2006−223912)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】