説明

界面活性剤組成物

【課題】無機塩濃度が低い場合でも良好な増粘効果を示す界面活性剤組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物を含有する界面活性剤組成物。
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1とR2は同一又は異なっていても良い炭素数8〜24のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基、AOは炭素数3もしくは4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な界面活性剤組成物に関し、具体的には、特定の構造を有するアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有する界面活性剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在汎用的に使用されている陰イオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)などが挙げられる。これらは食器用洗剤、シャンプー、身体洗浄料、衣料用洗剤、住居用洗剤などの家庭用のみならず、乳化重合用乳化剤、染色助剤といった化学品用途としても広く使用されている。これらの活性剤は製品配合系においては約20質量%以下の低濃度で配合されることが一般的であるが、この濃度領域においてはAS、AES水溶液は低粘性であるため、用途に応じて適当な粘度に調整する必要があった(特許文献1、2)。そのためこれまで数多くの増粘剤の検討がなされてきている。
【0003】
従来、種々の界面活性剤における増粘剤としては、脂肪酸モノエタノールアミド(特許文献3)、脂肪酸ジグリコールアミド、及び脂肪酸ジエタノールアミドなどのように、皮膚や毛髪に対して刺激が少ない脂肪酸アルカノールアミドが好んで用いられていた。しかし脂肪酸モノエタノールアミドや脂肪酸ジグリコールアミドは、増粘作用には極めて優れているが、それ自体の融点が高く、このために洗浄剤や化粧料に配合する際の溶解性が悪いという欠点を有していた。特に脂肪酸モノエタノールアミドは、その配合量が多い場合や低温で保存した場合には、濁りやクスミを生じる原因となり、このためその使用量や製品形態、用途に制限があった。
【0004】
また、陰イオン界面活性剤水溶液を増粘させる方法としては、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムといった無機塩を添加し、ミセルの凝集により水溶液濃度を上昇させる方法(シックニング)がある。無機塩は上記記載の増粘剤に比べ、溶解性に優れることから広く汎用的に使用されている。しかし、添加量に対しての増粘効果が低く、所望の粘度まで調整する際に多量の無機塩を添加しなければならない。多量の塩は粘度変化が生じたり、洗浄中に刺激感を覚える等の問題があった。
【特許文献1】特開昭55−84399号
【特許文献2】特開昭56−72092号
【特許文献3】特開昭61−114727号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者等は、シックニング効果に優れる、すなわち、無機塩濃度が低い場合でも優れた増粘効果を示す陰イオン界面活性剤組成物の探索を開始した。優れたシックニング効果を有する界面活性剤組成物が得られれば、洗浄成分で増粘挙動の制御が可能となり、各種製品の原料として陰イオン界面活性剤の用途を拡大することができると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意に検討を行った結果、特定のアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有する界面活性剤組成物が優れたシックニング効果をもたらすことができ、塩濃度を変化させずに水溶液を増粘させ、その増粘度合いをコントロールできることを見出した。更にはその有利な効果が当該界面活性剤組成物から誘導した種々の製品(例えば洗浄剤組成物)においても有利な作用効果を発現することを見出した。
【0007】
本発明は、 下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表される化合物を混合して得られる界面活性剤組成物に関する。
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1とR2は同一又は異なっていても良い炭素数8〜24のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基、AOは炭素数3もしくは4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)
【0008】
また、本発明は、上記本発明の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、無機塩と陰イオン界面活性剤とを含有する水溶液に、下記一般式(2)で表される化合物を添加して、当該水溶液を増粘させる方法に関する。
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R2は炭素数8〜24のアルキル基を示し、AOは炭素数3、もしくは4のアルキレンオキシ基である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の界面活性剤組成物は、無機塩に対し良好な感度を示し、シックニング効果が高い。更に無機塩濃度を変化させずに、一般式(2)の化合物の添加量により増粘挙動を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の界面活性剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物を任意の割合で混合することにより得られる。
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1とR2は同一又は異なっていても良い炭素数8〜24のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基、AOは炭素数3もしくは4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)
【0012】
ここで一般式(1)、及び(2)中のRのアルキル基は、炭素数8〜16が好ましく、より好ましくは炭素数10〜14であり、特に好ましくは炭素数12〜14である。さらに、起泡力、乳化力といった性能面やカーボンニュートラルという環境面から、油脂原料由来の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0013】
また、一般式(1)中のmはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数であり、シックニング効果の調整の利便さという理由から、好ましくは0≦m≦2.5であり、より好ましくは0.1≦m≦2、特に好ましくは1≦m≦2である。
【0014】
また、一般式(2)中のnは炭素数3、もしくは4のアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0<n≦3の数であるが、製造時における反応性とシックニング性能の理由から、好ましくは0.1≦n≦2であり、より好ましくは0.1≦n≦1.6、より好ましくは0.2≦n≦1、特に好ましくは0.5≦n≦1である。
【0015】
製造時における反応性、シックニング性能、及びシックニング効果の調整の利便さを総合的に考えたとき、一般式(2)で表される化合物及び一般式(1)で表される化合物中のAO、及びEOの平均付加モル数は、AOが0.1〜2且つEOが0〜2.5であることが好ましく、より好ましくはAOが0.2〜1且つEOが0〜2であり、特に好ましくはAOが0.5〜1且つEOが1〜2である。
【0016】
本発明の界面活性剤組成物は、一般式(1)の化合物と一般式(2)とを混合して得られるものであり、一般式(1)で表される化合物〔化合物(1)〕及び前記一般式(2)で表される化合物〔化合物(2)〕を、下記式(α)を満たす条件で混合して得られるものが、シックニング性能の観点から、好ましい。
【0017】
【数2】

【0018】
ここで、式(α)は、化合物(1)と化合物(2)の総モル数に対するAOの平均付加モル数が0を超えて2未満であることを意味する。
【0019】
また、一般式(1)及び一般式(2)中のMは、塩を形成する陽イオン基であり、同一又は異なっていても良い。具体例としてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、及びトリエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどが、またアルカリ土類金属としてはカルシウムが挙げられるが、これらの中でナトリウム、カリウムがより好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
【0020】
本発明の界面活性剤組成物は、取り扱い性の観点から水溶液や含水ペーストの形で製造・使用されるが、一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなるものであってもよい。さらに一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物と、水とからなるものであってもよい。
【0021】
本発明の界面活性剤組成物に用いられる一般式(1)で表される化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の工程(I)と(II)を含む工程から製造することができる。
工程(I):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール1モルにエチレンオキサイドを平均で0<m≦3モルの範囲で付加させる工程。
工程(II):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール、もしくは工程(I)にて得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程。
【0022】
本発明の界面活性剤組成物に用いられる一般式(2)で表される化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の工程(I’)と(II’)を含む工程から製造することができる。
工程(I’):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール1モルにプロピレンオキサイド、もしくはブチレンオキサイドを平均で0<n≦3モルの範囲で付加させる工程
工程(II’):上記工程(I’)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程。
【0023】
工程(I)は、炭素数8〜24のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を有するアルコールにエチレンオキサイドを平均で0モル超、3モル以下の範囲で付加させる工程である。本発明で用いられるアルコールのアルキル基は炭素数8〜24のアルキル基であるが、原料の汎用性、取り扱い性の理由から、炭素数8〜16が好ましく、より好ましくは炭素数10〜14であり、特に好ましくは炭素数12〜14である。さらに、起泡力、乳化力といった性能の理由から、直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0024】
また、上記アルコール1モルに対するエチレンオキサイドの使用量は、0モル超であって3モル以下の数であるが、シックニング性能の理由から、好ましくは0.1〜2.5モルであり、より好ましくは0.5〜2モルである。
【0025】
工程(I’)は、炭素数8〜24のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を有するアルコールにプロピレンオキサイド、もしくはブチレンオキサイドを平均で0モル超、3モル以下の範囲で付加させる工程である。本発明で用いられるアルコールのアルキル基は炭素数8〜24のアルキル基であるが、原料の汎用性、取り扱い性の理由から、炭素数8〜16が好ましく、より好ましくは炭素数10〜14であり、特に好ましくは炭素数12〜14である。さらに、起泡力、乳化力といった性能の理由から、直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0026】
また、上記アルコール1モルに対するプロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイドの使用量は、0モル超であって3モル以下の数であるが、シックニング性能の理由から、好ましくは0.1〜2モルであり、より好ましくは0.2〜1モルである。
【0027】
工程(I)、(I’)を実施する方法としては、従来公知の方法が使用可能である。すなわち、オートクレーブにアルコールとアルコールに対し0.5〜1モル%のKOH等を触媒として仕込み、昇温・脱水し、110〜160℃の温度で、それぞれ所定量のアルキレンオキサイドを付加反応させることにより製造できる。使用するオートクレーブには攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えられていることが望ましい。
【0028】
工程(II)及び(II’)は、炭素数8〜24のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を有するアルコール、もしくは上記工程(I)、及び(I’)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和させる工程である。硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好ましい。
【0029】
硫酸化物の中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行う連続式などが挙げられるが、本発明では中和方法に限定はない。ここで使用される中和剤としてはアルカリ金属水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、アルカリ金属水溶液が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0030】
また、本発明の界面活性剤組成物は、上記一般式(1)で表される化合物〔化合物(1)〕と、上記一般式(2)で表される化合物〔化合物(2)〕とを、合計で、5〜80質量%、更に5〜30質量%、特に10〜25質量%含有することが好ましい。
【0031】
また、本発明の界面活性剤組成物は、化合物(1)及び化合物(2)の総量中、化合物(1)の比率が20〜95質量%、更に30〜80質量%、特に50〜80質量%、また、化合物(2)の比率が5〜80質量%、更に20〜70質量%、特に20〜50質量%であることが好ましい。
【0032】
なお、本発明の界面活性剤組成物は、無機塩を含有することもできる。具体的には、化合物(1)及び化合物(2)を合計で5〜27質量%、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等のアルカリ金属塩から選ばれる一種以上の無機塩を1〜3質量%、好ましくは1〜2質量%、及び水を含有し、30℃における粘度が10〜3000mPa・sである界面活性剤組成物が提供される。この粘度は、後述の実施例の条件で測定されたものである。
【0033】
本発明の界面活性剤組成物は、実質的に、上記一般式(1)で示される化合物、上記一般式(2)で示される化合物、無機塩、及び水からなるものであってもよい。ここで、「実質的」とは、上記化合物4成分を90〜100質量%含む状態を意味する。
【0034】
本発明の界面活性剤組成物の一例として、下記(A)、(B)の混合物は無機塩濃度が低い場合でも、良好なシックニング効果を得ることが出来、かつ(B)の配合量を調整することにより増粘挙動をコントロールすることが可能である。
(A)炭素数12/炭素数14混合アルコール1モルに対し、エチレンオキサイドを平均で0〜2.5モル付加させたアルコキシレートを硫酸化/中和して得られるアルキル硫酸エステル塩。
(B)炭素数12/炭素数14混合アルコール1モルに対し、プロピレンオキサイドを平均で0.1〜2モル付加させたアルコキシレートを硫酸化/中和して得られるアルキル硫酸エステル塩。
【0035】
本発明は、化合物(1)と化合物(2)とを、下記式(α)を満たすように混合する、界面活性剤組成物の製造方法も包含する。
【0036】
【数3】

【0037】
<洗浄剤組成物>
本発明の界面活性剤組成物は、増粘効果に優れるという特徴を有することから、その用途や目的に応じて、洗浄剤組成物、化粧料組成物などの各種の製品に配合することができる。特に、増粘効果を訴求したい洗浄剤組成物において有効である。洗浄剤組成物としては、身体用(毛髪用を含む)洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物等が挙げられる。
【0038】
洗浄剤組成物中の本発明の界面活性剤組成物の含有量は、化合物(1)及び(2)の合計含有量として、好ましくは0.5〜27質量%、より好ましくは1〜25質量%、更に好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0039】
洗浄剤組成物には、本発明の界面活性剤組成物の他に、この分野において通常用いられる界面活性剤、粘度調整剤、増泡剤、アルカリ剤、金属封鎖剤、防腐剤、香料、色素、無機塩などを配合することができる。無機塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等のアルカリ金属塩から選ばれる一種以上の無機塩が好ましく、中でも塩酸のアルカリ金属塩、例えば、塩化ナトリウムなどがより好ましい。また、無機塩の含有量は洗浄剤組成物中、1〜3質量%、特に1〜2質量%が好ましい。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物や本発明の界面活性剤組成物の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが例示されるが、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムであり、より好ましくは塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムである。
【0041】
<陰イオン界面活性剤水溶液の増粘方法>
本発明によれば、無機塩と陰イオン界面活性剤とを含有する水溶液に、上記一般式(2)で表される化合物を添加して、当該水溶液を増粘させる方法が提供される。この方法の対象となるアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)などのアルコール系のアニオン界面活性剤が挙げられる。また、この方法の対象となる水溶液は、上記一般式(2)で表される化合物の添加前の粘度(初期粘度)が10〜3000mPa・s(30℃)であるものが挙げられ、この粘度となるように陰イオン界面活性剤と無機塩を含有することが好ましい。無機塩は上記で述べたものが用いられる。上記一般式(2)で表される化合物を添加することで、初期粘度が200〜4000%増加することが好ましく、一般式(2)の化合物の添加量はこれを満たすような量が好ましい。
【実施例】
【0042】
実施例1及び比較例1
平均PO付加モル数が1モルであるアルキル(炭素数12/14=72質量%/28質量%)エーテル硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(2−1)〕に、平均EO付加モル数が2モルであるアルキル(炭素数12/14=75質量%/25質量%)エーテル硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(1−1)〕を表1の比率で混合し、さらに塩化ナトリウム、イオン交換水を添加し、総界面活性剤濃度が20質量%、塩化ナトリウム濃度が1.5質量%の評価サンプルを調製した。得られた評価サンプルの粘度をB型粘度計にて測定した。測定条件を下記に示す。評価サンプル組成、及び粘度測定結果を表1に示す。
(測定条件)
・粘度測定機器:B型粘度計、TOKIMEC社「DVL−B II」
・サンプル温度:30℃
・測定時間:90秒間
・ロータNo.:1〜4
・回転数:30rpm
【0043】
【表1】

【0044】
実施例2
平均PO付加モル数が2モルであるアルキル(炭素数12/14=72質量%/28質量%)硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(2−2)〕に、平均EO付加モル数が2モルであるアルキル(炭素数12/14=75質量%/25質量%)エーテル硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(1−1)〕を表1の比率で混合し、さらに塩化ナトリウム、イオン交換水を添加し、総界面活性剤濃度が20質量%、塩化ナトリウム濃度が1.5質量%の評価サンプルを調整した。得られた評価サンプルの粘度を実施例1と同様条件でB型粘度計にて測定した。測定結果を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例3及び比較例3
平均PO付加モル数が1モルであるアルキル(炭素数12/14=72質量%/28質量%)エーテル硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(2−1)〕に、アルキル(炭素数12/14=72質量%/28質量%)硫酸エステルナトリウム〔界面活性剤(1−2)〕を表1の比率で混合し、さらに塩化ナトリウム、イオン交換水を添加し、総界面活性剤濃度が20質量%、塩化ナトリウム濃度が1.5質量%の評価サンプルを調整した。得られた評価サンプルの粘度を実施例1と同様条件でB型粘度計にて測定した。測定結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
表1〜3から明らかなように、上記一般式(2)で表される化合物はシックニング効果が大きく、シックニング効果の小さい陰イオン界面活性剤水溶液粘度を増加させることができ、かつ上記一般式(2)で表される化合物の添加量を変えることで、水溶液の増粘挙動を制御することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表される化合物を混合して得られる界面活性剤組成物。
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1とR2は同一又は異なっていても良い炭素数8〜24のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基、AOは炭素数3もしくは4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物〔化合物(1)〕及び前記一般式(2)で表される化合物〔化合物(2)〕を、下記式(α)を満たす条件で混合して得られるものである、請求項1記載の界面活性剤組成物。
【数1】

【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物及び前記一般式(2)で表される化合物の総量中、前記一般式(1)で表される化合物の比率が20〜95質量%、前記一般式(2)で表される化合物の比率が5〜80質量%である、請求項1又は2記載の界面活性剤組成物。
【請求項4】
更に、無機塩及び水を含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物。
【請求項6】
無機塩と陰イオン界面活性剤とを含有する水溶液に、下記一般式(2)で表される化合物を添加して、当該水溶液を増粘させる方法。
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R2は炭素数8〜24のアルキル基を示し、AOは炭素数3、もしくは4のアルキレンオキシ基である。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0<n≦3の数である。Mは陽イオンである。)
【請求項7】
陰イオン界面活性剤が下記一般式(1)で表される化合物である、請求項6記載の方法。
1O−(EO)mSO3M (1)
(式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基である。mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す0≦m≦3の数である。Mは陽イオンである。)

【公開番号】特開2009−120664(P2009−120664A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294252(P2007−294252)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】