説明

畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置及びその処理方法

【課題】脱窒、脱リンを効果的に行う畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明は、スクリーン槽10、流量調節槽20、曝気段階70、発生スラッジ濃縮槽及び嫌気槽50からなる畜産廃水及び糞尿等のような高濃度窒素を含む汚廃水の処理装置及びこれを用いた処理方法である。 曝気槽70内の側方上部に隔壁52を設けて下部を曝気槽70と連通させて嫌気槽50を形成し、該嫌気槽50内には緩速攪拌を行う羽根車81が多段に形成された攪拌機80を設け、さらに曝気槽70内には、下部に空気噴出口110配置し、その上側に微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット容器120が設けられている。曝気槽の内部は適正の酸素分圧による好気性状態が維持され、好気性状態による汚染物質の酸化及び分解と、嫌気性状態による有機物質及び窒素とリンの除去を行うように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曝気槽にスラッジ(sludge)層が形成された嫌気槽を一体に形成して好気性状態で汚染物質を酸化・分解した後、通性嫌気性(Facultative anaerobic)及び嫌気性状態での有機物質と窒素を除去し、そしてリンを過剰摂取したスラッジの除去によりリンも同時に除去すると共に、畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の性状及び要求される処理水質によって前記工程を一段階または多段階に繰り返すことによって、処理効率が向上することは勿論、特に、嫌気槽に設置される撹拌機のメッシュまたはバー状の羽根車を緩速に回転駆動して嫌気槽内部をもれなく掻きまぜ、前記曝気槽の下側に下/廃水の処理に必要な酸素を供給するために多数設置される空気噴出口の上側に微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット(pellet)容器の下側及び上部周面にワイヤメッシュを形成して、前記下/廃水が円滑にペレット容器内部へ流入及び外部に流出される撹拌作用を遂行して嫌気槽及び曝気槽内部に全体的な反応を誘導して汚染物質の処理と窒素ガスを容易に排出しながら、嫌気性スラッジを容易に管理することができる畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置及びその処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、知られている各種下水及び廃水の処理においては、窒素・リン等のような栄養物質による緑藻及び赤潮現象を誘発することを防止するために、下/廃水内に含有された有機物質の除去と共に、窒素及びリンのような栄養物質の除去も要求される。
【0003】
したがって、前記下水及び廃水の処理は所定の下水及び廃水処理装置を通じて下水及び廃水を浄化して放流するようになり、この時、発生されたスラッジは嫌気性消化工程を経るか、濃縮工程を経て所定の脱水工法を通じて脱水させた後、埋め立てるか、焼却して処理する。
【0004】
前記のような技術と係わる従来の下/廃水処理装置及び方法に対しては本出願人が大韓民国登録特許第10-0369924号で特許登録された事がある。
【0005】
すなわち、その技術的な構成は図1及び図2に図示したように、一側に原水流入口12が形成され、その道中にスクリーン11が設置されたスクリーン槽10と、前記スクリーン槽10の後端に設置されて下水の水質濃度を均質化し、下水の流出量を調節する流量調節槽20と、前記下水を流入して適正の酸素分圧を維持する曝気槽70と、前記曝気槽70から発生されたスラッジを濃縮する濃縮槽90と、前記濃縮されたスラッジを脱水してスラッジケーキを形成する脱水器100をそれぞれ設置する。
【0006】
この時、前記曝気槽70の一側に嫌気槽50を定義する隔壁52をその上向縦端が下/廃水の水面より高く位置するように一体に形成するが、前記嫌気槽50の上部が下部に比べて広くなるように隔壁52を傾けて設置し、嫌気槽50の下部は曝気槽70と連通されるように前記隔壁52の下部が曝気槽の壁面と離隔されるようにし、前記隔壁52によって形成された嫌気槽50の上部に処理水流出口53を形成する構成で成り立つ。
【0007】
したがって、原水流入口12を通じてスクリーン槽10に流入された下/廃水はスクリーンによって比較的に嵩が大きいきょう雑物及び浮遊性物質が除去された後、流量調節槽20によって曝気槽70に流入される。
【0008】
この時、前記流量調節槽20は曝気槽70の内部で下/廃水が適正に処理されるように均質化された一定量の下/廃水を曝気槽70へ流入させる。
【0009】
そして、前記曝気槽70に流入された下/廃水は曝気槽70の内部を経て嫌気槽50の下部に流入され、重量を持つスラッジは嫌気槽50の内部に形成されている通性嫌気性及び嫌気性スラッジ層によって濾過されてまた曝気槽70の底部に循環され、嫌気槽50の上部には液状層が形成されて処理水流出口を通じて持続的に次の段階に排出される。この時、前記曝気槽70は曝気時間と休止時間を繰り返すようになり、曝気時間の間、曝気槽70内部の下/廃水は活性スラッジと混合して曝気され、休止時間の間、曝気槽70の底部でスラッジが沈積して、次の曝気時間の間、スラッジはまた流入される下/廃水と混合する。
【0010】
前記したように、曝気と沈澱及び混合過程を行う曝気槽70と嫌気槽50で構成された反応槽を多段に設置することによって、各曝気槽70には流入される下/廃水の濃度によって最適な活性度を持つスラッジが主流であるので、下/廃水処理効率を進めるようにし、前記したように、曝気槽70から排出されたスラッジは濃縮槽90で濃縮された後、脱水装置100によって脱水されてスラッジケーキで排出される。
【0011】
しかし、前記嫌気槽に重量を持つスラッジが通性嫌気性及び嫌気性スラッジ層によってゆっくり濾過されてまた曝気槽70の底部に循環される場合、嫌気槽の内部で部分的な反応が起きるようになるので、微生物による硝化反応速度が遅く進行されて窒素ガスがまともに放出されることができず、嫌気性スラッジの浮上が発生して前記スラッジをまともに管理することができなくなるなどの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような問題点を解消するために創出された本発明の目的は、曝気槽にスラッジ(sludge)層が形成された嫌気槽を一体に形成して好気性状態で汚染物質を酸化・分解した後、通性嫌気性(Facultative anaerobic)及び嫌気性状態での有機物質と窒素を除去し、そしてリンを過剰摂取したスラッジの除去によりリンも同時に除去すると共に、畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の性状及び要求される処理水質によって、前記工程を一段階または多段階に繰り返すことによって、処理効率が向上することは勿論、特に、嫌気槽に設置される撹拌機のメッシュまたはバー状の羽根車を緩速に回転駆動して嫌気槽内部をもれなく掻きまぜ、前記曝気槽の下側に下/廃水の処理に必要な酸素を供給するために多数設置される空気噴出口の上側に微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット(pellet)容器の下側及び上部周面にワイヤメッシュを形成して、前記下/廃水が円滑にペレット容器内部へ流入及び外部に流出される撹拌作用を遂行して嫌気槽及び曝気槽内部に全体的な反応を誘導し、好気性状態による汚染物質の酸化及び分解と嫌気性状態による有機物質及び窒素とリンをとり除く、好気性及び嫌気性スラッジを容易に管理することができる畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置及びその処理方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するための本発明の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置によれば、原水流入口及びスクリーンが設置されたスクリーン槽と、前記スクリーン槽の後端に設置されて下水の水質濃度を均質化して下水の流出量を調節する流量調節槽と、前記下水を流入して適正な酸素分圧を維持する曝気槽と、前記曝気槽から発生されたスラッジを濃縮する濃縮槽と、前記濃縮されたスラッジを脱水してスラッジケーキを形成する脱水器とで構成される下/廃水処理装置において、前記曝気槽の一側に嫌気槽を形成する隔壁をその上向縦端が下/廃水の水面より高く位置されるように一体に形成するが、前記嫌気槽の上部が下部に比べて広くなるように前記隔壁を傾けて設置し、上部に処理水流出口を形成し、前記嫌気槽の下部は曝気槽と連通されるように前記隔壁の下部が曝気槽の壁面と離隔されるようにし、前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車が多数形成される撹拌機を設置し、前記曝気槽の下側で下/廃水の流動のために多数設置される空気噴出口の上側には微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット容器が支持台を介在して設置し、この時、前記ペレット容器の下側及び上側周面にはワイヤメッシュをそれぞれ形成して、前記下/廃水がペレット容器の内部へ流入及び 前記ワイヤメッシュによって外部に流出される撹拌作用を遂行ことを特徴とする。
【0014】
この時、前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車はメッシュまたはバー状に形成され、前記ペレット容器は曝気槽の内部に一つまたは多数設置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水処理方法によれば、原水流入口を通じてスクリーン槽に流入される下水から嵩が大きいきょう雑物及び浮遊性物質をスクリーンでとり除く段階と、前記スクリーンを経た下水を流量調節槽に流入して適正な流量で流出するが、前記流量調節槽で下水を底流・混合して下水の水質を均質化させる段階と、前記均質化された下水を曝気槽に流入するが、適正な酸素分圧を維持して好気性状態で汚染物質を酸化・分解する曝気段階と、前記曝気過程から発生された液状層は処理水流出口に排水しスラッジは濃縮して脱水する段階を遂行する下/廃水処理方法において、前記曝気段階で、前記曝気槽の一側には嫌気槽を定義する隔壁を形成するが、前記嫌気槽の下部は前記曝気槽と連通されるようにし、前記嫌気槽の上部は処理水流出口を形成し、前記嫌気槽内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車が多数形成される撹拌機を設置して、前記嫌気槽の内部には嫌気性スラッジ層を形成及び撹拌し、前記曝気槽の内部は適正の酸素分圧による好気性状態が維持され、前記嫌気槽の内部全体には撹拌機による撹拌と、前記曝気槽の下側の空気噴出口の上側に設置される楕円状のペレット(Pellet)容器の内部にワイヤメッシュを通じる下/廃水の流入及び外部流出作用による撹拌作用の遂行と、前記ペレット容器の内部に微生物の活性化を誘導するための微生物活性誘導剤の充填により、通性嫌気性スラッジ層及び嫌気性スラッジ層による通性嫌気性及び嫌気性状態が維持されて、好気性状態による汚染物質酸化及び分解と、嫌気性状態による有機物質及び窒素とリンの除去を遂行することを特徴とする。
【0016】
この時、前記前記嫌気槽の内部には全体的な反応のためにメッシュまたはバー状に形成される羽根車を0.1~30m/minで回転駆動することを特徴とする。
【0017】
また、前記ペレット容器内部に充填される微生物活性誘導剤は、土壌等に残存する有機物33重量%、SiO2 53.4重量%、Al2O3 7.8重量%、Fe2O3 4.0重量%、Na2O 0.5重量%、K2O 0.3重量%、CaO 0.5重量%、MgO 0.5重量%で構成されることを特徴とする。
【0018】
以上のような本発明の目的と別の特徴及び長所などは次に参照する本発明の好適な実施例に対する以下の説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0019】
上述されたように、本発明によれば、曝気槽にスラッジ(sludge)層が形成された嫌気槽を一体に形成して好気性状態で汚染物質を酸化・分解した後、通性嫌気性(Facultative anaerobic)及び嫌気性状態での有機物質と窒素を除去し、そしてリンを過剰摂取したスラッジの除去によりリンも同時に除去すると共に、畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の性状及び要求される処理水質によって前記工程を一段階または多段階に繰り返すことによって、処理効率が向上することは勿論、特に、嫌気槽に設置される撹拌機のメッシュまたはバー状の羽根車を緩速に回転駆動して嫌気槽内部をもれなく掻きまぜ、前記曝気槽の下側に下/廃水の処理に必要な酸素を供給するために多数設置される空気噴出口の上側に微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット(pellet)容器の下側及び上部周面にワイヤメッシュを形成して、前記下/廃水が円滑にペレット容器内部へ流入及び外部に流出される撹拌作用を遂行してペレット容器内部に充填される微生物活性誘導剤と下/廃水中の微生物が接触して活性化されることによって、前記曝気槽では活性化された好気性微生物による汚染物質の酸化及び分解が起こり、嫌気槽では通性嫌気性及び嫌気性微生物による有機物質及び窒素とリンをとり除く反応を誘導して窒素ガスを容易に排出しながら、好気性スラッジと嫌気性スラッジを容易に管理することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。
【0021】
図3は本発明による畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置の曝気槽と嫌気槽を表す図面であり、図4は本発明の嫌気槽内部に設置される撹拌機羽根車の概略設置構造図、及び図5は本発明の曝気槽の内部下側に設置されるペレット容器の概略設置構造図であり、図1及び図2と共に本発明を説明する。
【0022】
すなわち、上部に処理水流出口53が形成された嫌気槽50の下部を曝気槽70の中低部と連結して、スクリーン槽10で比較的に嵩が大きいきょう雑物及び浮遊物をとり除くようになり、流量調節槽20に流入された畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水を均質化させて曝気槽70へ持続的に決まった量を流入させるようになる。
【0023】
前記曝気槽70に流入された畜産廃水及び糞尿等の汚廃水は曝気槽70の内部を経て嫌気槽50の下部に流入され、混合液中で活性スラッジは嫌気槽50に形成されたスラッジ階によって濾過され、嫌気槽50の上部には濾過・分離した液状層が形成されて処理水流出口53を通じて持続的に次の段階へ排出されるようにする。
【0024】
一方、前記嫌気槽50は図4に図示したように、嫌気槽50の内部には全体的な反応のために、緩速に回転駆動されるメッシュまたはバー状で形成された羽根車81が多数形成される撹拌機80を設置して0.1~30m/minの速度、望ましくは 0.1~2m/minの緩速で嫌気槽の内部を撹拌させることによって、嫌気槽の内部をもれなく掻きまぜ、これによって、嫌気槽の内部に全体的な反応を誘導して窒素ガスを容易に排出しながら、嫌気性スラッジを容易に管理するようにする。
【0025】
前記嫌気槽50の内部に全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車81はメッシュ状で形成することによって、嫌気性スラッジを容易に濾すようにするか、または前記羽根車81をバー状で形成することによって、比較的大きな大きさの嫌気性スラッジを粉砕するようにする。
【0026】
この時、好気性状態と無酸素及び嫌気性状態で成り立つ汚染物質の除去反応と原理は下記のようである。
【0027】
畜産廃水及び糞尿等のような汚廃水中の窒素は有機性窒素(Org-N)、アンモニア性窒素(NH3-N)、亜硝酸性窒素(NO2-N) 及び硝酸性窒素(NO3-N)の形態で存在し、未処理の畜産廃水及び糞尿等の汚廃水中の主な形態は有機窒素とアンモニア性窒素である。汚染初期には主にアンモニア性窒素で存在し、汚染が回復することによって、好気性状態から硝酸性窒素にまた酸化される硝化(Nitrification)過程が成り立つ。
【0028】
畜産廃水及び糞尿等の汚廃水処理工程で生物学的硝化はアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素に酸化させるNitrosomonasと亜硝酸性窒素を硝酸性窒素に酸化させるNitrobacterの二種によって成り立つ。これら微生物は従属栄養微生物(Heterotrophic organisms)が有機化合物を酸化させながらエネルギーを得る一方、無機化合物からエネルギーを得る独立栄養微生物(Autotrophic organisms)である。
【0029】
アンモニア性窒素の硝化は二つの段階で成り立つ。一番目の段階はNitrosomonasによってアンモニア性窒素が亜硝酸性窒素に転換される段階であり、二番目の段階はNitrobacterによって亜硝酸性窒素が硝酸性窒素に転換されるものであり、二つの段階を化学式で表せば、
NH4+ + 1.502 -> NO2- + H2O +2H+
NO2- + 0.5O2 -> NO3-
【0030】
上の反応式で酸素はアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素の生物化学的酸化の電子伝達体である。酸素はNitrosomonasとNitrobacterが利用することができる唯一の電子伝達体である。従って、硝化過程が進行されるためには、好気性条件が必須であり、このように酸化された硝酸イオン(Nitrate ion)を NO、N2O、N2 に還元させてとり除くのが脱窒工程である。
【0031】
前記脱窒化に関与する微生物は Achromobacter、 Bacillus、 Brevibacterium、 Enterobacter、 Lactobacillus、 Micrococcus、 Paracalobactrum、 Pseudomonas、 Spirillumなどである。これら微生物は従属栄養微生物(Heterotrophic organisms)である。これらは好気性、通性嫌気性、嫌気性などとして、多様であるが、自然界に存在する80%以上が通性嫌気性と知られているし、これら微生物は有機化合物を酸化させるのに、電子伝達体として酸素を利用する。酸素がないか、不足な状態では無酸素呼吸をし、この時、最終電子収溶体として化学的に結合した形態の酸素(NO3-、 SO42- など)を利用する。このように溶存酸素(分子上酸素)がなく、化学的に結合した形態の酸素だけが存在する場合を嫌気性状態(Anaerobic condition)と区別して無酸素状態(Anoxic condition)と言う。無酸素状態で酸素の存在は通性嫌気性微生物の呼吸での酸素作用を統制するようになり、これは最終電子収溶体として化学的に結合された酸素よりは溶存酸素を利用する時ずっと多いエネルギーが発生するので、通性嫌気性(無酸素)微生物が溶存酸素をより好むからである。したがって、脱窒のためには溶存酸素(分子上酸素)が存在してはいけない。
【0032】
生物学的なリン除去のためのすべての工程は反応槽の周期的な嫌気/好気状態を維持している。すなわち、リン放出(Phosphorus release) 及び過剰摂取(Luxury uptake)を利用してリンをとり除いている。
【0033】
リン除去の微生物(PAOs)は嫌気性条件で細胞内にある無機リン(Poly-P)を分解する時発生されるエネルギーを利用して酢酸(Acetic acid)のような有機酸を取った後、PHA(Poly Hydroxy Acetate)に伝えられ、この時、流離された正リン酸(Ortho-P)を溶液内で放出させるが、この現象をリンの放出(Phosphorus release)と言う。嫌気性条件から好気性条件に変えれば、リンの除去微生物は貯蔵されたPHAを分解してATP(Adenosine Tri-Phosphate)を合成し、これを利用して溶液内から正リン酸を取って無機リンで合成して細胞内に貯蔵させる。
【0034】
また、重要な事実は好気性状態でリンの過剰摂取が起きることと同様に、酸素外に他の電子収溶体(Electron acceptor) すなわち、NO3-のような物質が存在すれば、酸素がない状態でもリンの放出が妨害される。 嫌気槽でリンの放出は効率的にするためにはNO3-をとり除かなければならない。
【0035】
本発明による畜産廃水及び糞尿等の汚廃水の処理装置は曝気槽70では流入される畜産廃水及び糞尿等の汚廃水の性状によってそれぞれ違うように設定された時間の間歇曝気を行うことによって、曝気時間の中には流入水の中に含まれたアンモニア性窒素が酸素と硝酸性バクテリアによって硝酸性窒素に酸化され、特に嫌気槽50の下部に流入されて嫌気槽50内部に形成されている通性嫌気性及び嫌気性スラッジ層を撹拌機80のメッシュ状またはバー状の羽根車81を0.1~30m/minの緩速で回転させて掻きまぜることによって、前記嫌気槽50全体に反応を誘導して窒素ガスを容易に排出しながら、嫌気性スラッジを容易に管理して、これをパスしながら曝気槽70で酸化された硝酸性窒素NO3-Nを窒素ガス(N2)で還元させてとり除くことができる。
【0036】
また、リンはPoly-P微生物が嫌気状態で短鎖脂肪酸を利用してリンを放出した後、曝気時間にまたリンを過剰に摂取させて嫌気時間の中に放出されたリンの量よりもっと多い量のリンを過剰に取って流入水のリンをとり除いて、システム全体のリンの除去は余剰スラッジの廃棄によって成り立つ。
【0037】
A2/O工程などのような主類工程(main-stream process)で窒素除去のためには硝酸性窒素が含有された曝気槽70のスラッジ混合液を無酸素槽への内部返送(internal recycle)することが必ず必要であり、最終沈澱槽80から高液分離を経たスラッジは各反応槽に微生物量を補うか、嫌気槽50へのスラッジ返送のために工程の全段にスラッジ移送(return activated sludge: RAS)が必要であり、本発明では嫌気槽50に形成されたスラッジ層によって濾過されることによって、曝気槽70には高いスラッジ濃度(高濃度微生物)を維持しての運転が可能なので、畜産廃水及び糞尿等の汚廃水処理施設の建設時、敷地が節約され、建設費用が安価であり、有機物濃度及びC/N比の低い下水はもちろん高濃度の窒素・リン及び有機物が含まれた畜産廃水及び糞尿等の汚廃水も効果的に処理することができる。このように、本発明による下/廃水処理装置は下/廃水流入口12から流量調節槽20までは従来の装置と等しいが、曝気槽70の一側に嫌気槽50を定義する隔壁52をその上向縦端が畜産廃水及び糞尿等の汚廃水の水面より高く位置されるように一体に形成し、この時、嫌気槽50の下部に流入されて嫌気槽50内部に形成されている通性嫌気性及び嫌気性スラッジ層を、撹拌機80のメッシュ状またはバー状の羽根車81を0.1~30m/minの緩速で回転させて掻きまぜる。
【0038】
これに加えて、前記曝気槽70の下側に下/廃水の流動のために多数設置される空気噴出口110の上側には楕円状のペレット120(Pellet)容器が三角支持台121を介在して設置し、この時、前記ペレット容器120の下側及び上側周面にはワイヤメッシュ122、123(Mesh)をそれぞれ形成することによって、前記空気噴出口110の空気噴出によって、前記下/廃水が下部ワイヤメッシュ122を通じてペレット容器120の内部に流入された後、前記ペレット容器120の上部周面に形成されるワイヤメッシュ123によって外部に流出されて撹拌作用を遂行する。
【0039】
一方、前記ペレット容器120の内部には、畜産廃水及び糞尿等の汚廃水の汚染物質を処理する微生物の活性化を誘導するための微生物活性誘導剤を、ペレット容器120のワイヤメッシュ123上側ふたを開いて内部に充填させ、この時、前記微生物活性誘導剤は土壌等に残存する有機物33重量%、SiO2 53.4重量%、Al2O3 7.8重量%、Fe2O3 4.0重量%、Na2O 0.5重量%、K2O 0.3重量%、 CaO 0.5重量%、 MgO 0.5重量%で構成される。
【0040】
したがって、前記のように嫌気槽50の内部に形成されている通性嫌気性及び嫌気性スラッジ層を撹拌機80によって撹拌しながら、曝気槽70のペレット容器120の内部に充填される微生物活性誘導剤と下/廃水中の微生物が接触して活性化されることによって、前記曝気槽70では活性化された好気性微生物による汚染物質の酸化及び分解が起こり、嫌気槽50では通性嫌気性及び嫌気性微生物による有機物質及び窒素とリンをとり除く反応を誘導して窒素ガスを容易に排出しながら、好気性スラッジと嫌気性スラッジを容易に管理することができる。
【0041】
以上では本発明を特定の望ましい実施例に対して図を示して説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることはなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が特許請求範囲で請求する本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で実施できる多様な形態の変形例をすべて含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来の下/廃水処理装置及び工程を表す図面である。
【図2】従来の下/廃水処理装置の曝気槽と嫌気槽を表す図面である。
【図3】本発明による畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置の曝気槽と嫌気槽を表す図面である。
【図4】本発明の嫌気槽内部に設置される撹拌機羽根車の概略設置構造図である。
【図5】発明の曝気槽の内部下側に設置されるペレット容器の概略設置構造図である。
【符号の説明】
【0043】
10 スクリーン槽(screen tank)
11 スクリーン
12 原水流入口
20 流量調節槽
50 嫌気槽(anaerobic tank)
52 隔壁
53 処理水流出口
70 曝気槽(aeration tank)
80 撹拌機
81 羽根車(impeller)
90 濃縮槽
100 脱水器




【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水流入口及びスクリーンが設置されたスクリーン槽と、前記スクリーン槽の後端に設置されて下水の水質濃度を均質化して下水の流出量を調節する流量調節槽と、前記下水を流入して適正な酸素分圧を維持する曝気槽と、前記曝気槽から発生されたスラッジを濃縮する濃縮槽と、前記濃縮されたスラッジを脱水してスラッジケーキを形成する脱水器とで構成される下/廃水処理装置において、
前記曝気槽の一側に嫌気槽を形成する隔壁をその上向縦端が下/廃水の水面より高く位置されるように一体に形成するが、前記嫌気槽の上部が下部に比べて広くなるように前記隔壁を傾けて設置し、上部に処理水流出口を形成し、前記嫌気槽の下部は曝気槽と連通されるように前記隔壁の下部が曝気槽の壁面と離隔されるようにし、前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車が多数形成される撹拌機を設置し、前記曝気槽の下側で下/廃水の流動のために多数設置される空気噴出口の上側には微生物活性誘導剤が充填された楕円状のペレット容器が支持台を介在して設置し、この時、前記ペレット容器の下側及び上側周面にはワイヤメッシュをそれぞれ形成して、前記下/廃水がペレット容器の内部へ流入及び前記ワイヤメッシュによって外部に流出される撹拌作用を遂行ことを特徴とする畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置。
【請求項2】
前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車はメッシュ状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置。
【請求項3】
前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車はバー状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置。
【請求項4】
前記ペレット容器は、前記曝気槽の内部下側に一つまたは多数設置されることを特徴とする請求項1に記載の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水の処理装置。
【請求項5】
原水流入口を通じてスクリーン槽に流入される下水から嵩が大きいきょう雑物及び浮遊性物質をスクリーンでとり除く段階と、前記スクリーンを経った下水を流量調節槽に流入して適正な流量で流出するが、前記流量調節槽で下水を底流・混合して下水の水質を均質化させる段階と、前記均質化された下水を曝気槽に流入するが、適正な酸素分圧を維持して好気性状態で汚染物質を酸化・分解する曝気段階と、前記曝気過程から発生された液状層は処理水流出口に排水し、スラッジは濃縮して脱水する段階を遂行する下/廃水処理方法において、
前記曝気段階で、前記曝気槽の一側には嫌気槽を定義する隔壁を形成するが、前記嫌気槽の下部は前記曝気槽と連通されるようにし、前記嫌気槽の上部は処理水流出口を形成し、前記嫌気槽内部には全体的な反応のために緩速に回転駆動される羽根車が多数形成される撹拌機を設置して、前記嫌気槽の内部には嫌気性スラッジ層を形成及び撹拌し、前記曝気槽の内部は適正の酸素分圧による好気性状態が維持され、前記嫌気槽の内部全体には撹拌機を通じての撹拌と、前記曝気槽の下側の空気噴出口の上側に設置される楕円状のペレット(Pellet)容器の内部にワイヤメッシュを通じる下/廃水の流入及び外部流出作用による撹拌作用の遂行と、前記ペレット容器の内部に微生物の活性化を誘導するための微生物活性誘導剤の充填により、通性嫌気性スラッジ層及び嫌気性スラッジ層による通性嫌気性及び嫌気性状態が維持されて、好気性状態による汚染物質酸化及び分解と、嫌気性状態による有機物質及び窒素とリンの除去を遂行することを特徴とする畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水処理方法。
【請求項6】
前記嫌気槽の内部には全体的な反応のために羽根車を0.1~30m/minで回転駆動することを特徴とする請求項5に記載の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水処理方法。
【請求項7】
前記ペレット容器内部に充填される微生物活性誘導剤は、土壌等に残存する有機物33重量%、SiO2 53.4重量%、Al2O3 7.8重量%、Fe2O 4.0重量%、Na2O 0.5重量%、K2O 0.3重量%、CaO 0.5重量%、MgO 0.5重量%で構成されることを特徴とする請求項5に記載の畜産廃水及び糞尿等のような高濃度の窒素を含む汚廃水処理方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−314991(P2006−314991A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127832(P2006−127832)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(506150928)
【Fターム(参考)】