説明

異なるチャンバーにおいて電界を発生する容器及び装置

本発明は、第1(4)および第2電極(5)を含む少なくとも一対の電極をそれぞれ備えるチャンバー(2)を備え、一対の電極に電圧を印加することにより1つのチャンバー(2)内に電界を発生させる容器(1)に関連する。異なるチャンバー(3)の少なくとも2つの第1電極(4)は導電結合しており、チャンバー(2)の少なくとも1つの第2電極(5)は単独に導電結合可能である。本発明はさらに、このような容器(1)を製造する方法ならびにこのような容器(1)の少なくとも1つと電気的に接触する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのチャンバー内に電界を発生させるために電圧を印加する第1および第2電極を含む少なくとも一対の電極をそれぞれ含む各チャンバーを備えた容器に関する。本発明はさらに、このような容器を製造する方法ならびにこのような容器の少なくとも1つと電気的に接触する装置に関する。
【0002】
上述のような性質の幾つかのチャンバーを備えた容器は、十分に確立されており、主に生化学や製薬の用途において複数のプローブを同時に試験する必要がある場合に用いられる。特定の用途としては例えば、生細胞の電気穿孔法、電気融合および電気刺激ならびにプローブを電界に曝す必要があるような用途がある。その目的は、最大量の試料を最小時間フレームで試験する必要があるので、特にHT−分析(HT=ハイスループット)を行う例えば96または384個等の多数チャンバーを提供することである。通常、このような容器は、マルチウェルプレート、マイクロタイタープレートまたはマルチウェルと呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
周知の容器は通常、2つの電極をそれぞれ備えた幾つかのチャンバーからなり、これらの電極は、プローブ、例えばチャンバー内の細胞懸濁液と接触する。電圧が加わると、チャンバーの2つの電極によって、チャンバー内部に電界が発生し、これによって例えば直流が使用された場合には電極はそれぞれ異なる極性を示す。異なるチャンバーの同じ極性の電極、すなわち、すべての陰極および/またはすべての陽極は、共通の電圧源を介して電気的に接続可能なようにすべて一体化されているか、電気的に結合している。このような装置は、組立が比較的簡単であるという長所を有するが、すべてのチャンバーに関して電気パラメータが同じであり、従って個々のチャンバーを個別に動作させることはできないという短所がある。
【0004】
生細胞の電気刺激用の装置は、例えば米国特許出願公開第2002/0028480号明細書から公知である。一実施態様において、帯状電極がマルチウェルプレートのグランド(ground)上に2個ずつ配置される。帯状電極は、このプレートの個々のチャンバー内にそれぞれ突出しており、従ってプローブと電気的に接触している。各帯状電極は,その開放端の1つに接触領域を有し、そこに電圧発生装置を接続可能である。一対の電極がそれぞれ一列のチャンバーに割り当てられる。特定の実施態様において電極のうちの幾つか、例えばすべての陽極は短絡されており、一列の電極のその他の部分、例えば陰極はそれぞれ単独で接続されている。しかしながら、いずれにせよこれらの周知の装置では、チャンバーの列全体をアクティブな状態にすることしかできず、即ち、電気パラメータはチャンバーのグループ全体に関してのみ調整可能であって、各チャンバーに関して個々に調整することはできない。
【0005】
独国特許出願公開第19917571号明細書によれば、電気穿孔法分析用の電極アレイが公知であり、電気絶縁体の表面上に導電路を平面的に配置したものからなる。導電路は、対向して配置された分枝状(ramifications)に配置され、電気穿孔用のプローブを受け入れる単一反応領域を備える。対向して配置される導電路は、電圧が印加された際電極として作用し、これによって各導電路が合成されて主導電路となり、電圧発生装置に接続される。この結果、この公知の装置によっても、電気パラメータを可変に調整することはできず、反応領域はすべて同じ電気状態に曝されることとなる。
【0006】
中でも、国際公開第03/057819号パンフレットは、異なるチャンバーの電極が少なくとも2個ずつ電気的に接続されており、電気パラメータが単一グループのチャンバーに関してのみ調整可能であり、各チャンバーに関して個々に調整可能ではないことを記載している。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0028480号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19917571号明細書
【発明の開示】
【0007】
斯くして、容器内の個々のチャンバーにおいて柔軟に個々の電界を迅速に発生可能な上述の容器を提供すると共に、このような容器に安全かつ信頼性をもって電気的に接触するための装置を提供することが、本発明の目的である。さらに、このような容器の低コストな製造方法を作り出す必要がある。
【0008】
本発明によれば、上述のような種類の容器によって目的が達成され、異なるチャンバーの少なくとも2つの第1電極は導電結合しており、チャンバーの少なくとも1つの第2電極は単独に導電結合可能である。このように、容器の各チャンバーは簡便な方法で単独に選択、制御およびスイッチングが可能であり、各プローブを異なる状態に曝すことが可能である。本発明に係るこのような容器によれば、容器またはプローブを変更する必要なく短時間で多くの試料を異なる条件下で試験することが可能となり、したがって本発明に係る容器は自動化されたHT方法に特に適している。幾つかの電極が導電接続しているので、電極の接触に関する限り技術的な複雑さが最小化される。
【0009】
少なくとも同一極性の電極グループまたは同一極性のすべての電極、即ち直流が印加された場合に、同一の極性を有する異なるチャンバーに割り当てられた電極は導電結合が可能であるので、本発明に係る方法によれば、スピードアップが図れると共に電極の接触を単純にできる。
【0010】
本発明の有利な実施態様において、電圧印加のために電気的に接触可能な特定の接触領域が電極に割り当てられている。異なるチャンバーの少なくとも2つの結合した電極は、共通接触領域によって接触可能である。したがって、製造工程が簡略化可能であり、電気接点および配線の必要量も最小化が可能である。
【0011】
本発明に係る容器の特定の実施態様において、チャンバーの第2電極はそれぞれそれ専用に割り当てられた接触領域を有する。このような実施態様の容器により、単一容器を個別に作動させるために確実に各電極に直接かつ安全に接触可能となる。このように、本発明の好ましい実施態様において、接触領域は、電極に直接取り付けられる。
【0012】
本発明の有利な実施態様において、電極は、容器のグランド上の電極の底面側(下)に配置され、底面からの接触が可能となり、容器は上部からも側面からもアクセスが可能なので特に自動化された方法に有利である。接触領域は、電極の下側底面の少なくとも全体とすることが可能であり、電極が導電性ポリマーからなる場合にチャンバー内の電界の分布が均一になり好ましい効果が得られる。
【0013】
特定の用途、特にHT−用途に関して、複数のチャンバー、好ましくは、6、8、12、16、24、32、48、64、96、128、192、384、1536、3456または6144個のチャンバーを設けることを提案する。
【0014】
本発明の有利な実施態様において、幾つかのチャンバーが一列または少なくとも2つの平行な列に配置され、一列の異なるチャンバーの同じ側に配置される電極の少なくとも一部が導電結合している。このような特別な装置によって、容器の製造が非常に簡略化され、さらに材料費が削減されるので、より低コストとなる。
【0015】
隣接する列の異なるチャンバーの少なくとも2つの向かい合って配置される電極が、導電結合しているので、本発明に係る装置の製造が簡略化され、より低コストな方法で実施される。
【0016】
少なくとも1つの電極は、例えば金属、好ましくは金、銀またはアルミニウムで形成することができる。
【0017】
本発明の特に有利な実施態様において、少なくとも1つの電極は、導電性材料をドープしたポリマーからなり、特にカーボンファイバー、グラファイト、カーボンブラックおよび/またはカーボンナノチューブを、好ましくは40〜80重量%のドーピング濃度でドープしている。ポリマーは、例えばポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリアミドであり、好ましくは、ポリアミド6またはポリアミド66、ポリフェニレンサルファイドまたはこれらのポリマーの混合物であり、またはこれらのポリマーの1つまたは幾つかを主成分として含む。高い導電性を有するこのようなポリマー電極は射出成形工程により製造可能であり、試験結果に影響するまたは悪化させるような細胞毒性の物質を放出しない。
【0018】
本発明の有利な実施態様において、接触領域は、電極に取り付けられた接触材料を備え、電極の材料よりも23℃での比抵抗または境界抵抗が低い。好ましくは、接触材料は金属、好ましくは銅であり、または本質的に導電性の複合材料であり、および/または前記接触材料は、23℃での比抵抗が1×10-5オーム・cmより小さく、好ましくは1×10-6〜2×10-6オーム・cmである。比較的入力抵抗が高いポリマー電極を使用する場合に特に、接触材料の作用により、電極全体の抵抗を大幅に減少可能である。
【0019】
上述の課題は、容器の製造方法によっても解決され、この方法によれば、チャンバーを構築し、チャンバー毎に少なくとも2つの予備領域を備える壁領域は、最初は非導電性ポリマーの射出成形により作成され、その後予備領域に導電性材料が付与されるかまたは、まずチャンバー毎の少なくとも2つの領域を導電性材料で製造または成形フレーム内に配置し、次に、チャンバーを構築する壁領域を非導電性ポリマーの射出成形により少なくとも2つの領域の周辺に作成する方法であって、導電性材料を含む、異なるチャンバーの少なくとも2つの領域は、互いに導電結合しており、チャンバーの少なくともその他の部分はそれぞれ電気接触に対して単独で接続する。この方法によれば、本発明に係る容器がトラブル無く、低コストで製造可能となる。
【0020】
製造方法の特に有利な実施態様において、電気接触のために接触材料を導電性材料に取り付ける、または導電性材料、好ましくは金属または本質的に導電性の複合材料を圧力および/または熱の作用、好ましくはホットエンボスにより、および/または好ましくはより低い比抵抗を有する接着層の作用により、導電性材料に取り付ける。
【0021】
この製造方法によれば、少なくとも1つのグループのチャンバーまたはすべてのチャンバーが導電性材料を備える少なくとも1つの各領域を介して導電接続していることが好ましい。
【0022】
導電性材料は、例えば金属電極であればよく、金、銀またはアルミニウムであることが好ましく、これらの材料は予備領域に配置可能である。あるいは、成形フレーム内に配置した後に導電性材料の周辺に射出成形することができる。
【0023】
別のさらに好ましい製造方法において、導電性材料として、ポリマー電極、好ましくは導電性材料、特に、カーボンファイバー、グラファイト、すす(煤)および/またはカーボンナノチューブ等を、好ましくは40〜80重量%のドーピング濃度でドープしたポリマーを、成形フレーム内または予備領域内で射出成形すればよい。
【0024】
さらに、上述のような電気接触のための装置によって課題が解決され、この装置によれば容器の1つのチャンバーの少なくとも1つの第2電極それぞれに対して1つの接触素子がそれぞれ設けられ、電気的に結合した第1電極に対して幾つかの接触素子、好ましくは1〜6個の接触素子が設けられる。この実施態様において、結合しない第2電極は、1つの接触素子とそれぞれ接触するので各チャンバーを単独にスイッチングすることが可能である。結合する第1電極に関して幾つかの接触素子のみが必要であり、構成上の手間が削減されるので、本発明に係る装置の製造が簡略化可能である。接触素子は、ピン接触、バネ接触等であってよい。
【0025】
本発明の有利な実施態様において、好ましくは平板である構造体が設けられ、その上に接触素子が配置される、これによって構造体は、特にモータによって垂直方向および/または水平方向に可動である。
【0026】
容器を設置するためのプラットフォームが設けられ、特にモータによって水平方向および/または垂直方向に可動であることが好ましい。プラットフォームは、少なくとも1つの開口を備え、または穴開けされた平板であり、穴の数は好ましくは接触素子の数に対応する。開口または穴には、電極との接触のために接触素子を挿入する。
【0027】
さらに、内部空間が設けられ、その中に接触素子が配置され、および/または少なくとも1つの開口が設けられ、この開口を介して接触素子が挿入可能である。このように、電気接点を装置の内部空間に配置し、装置を操作する人の安全を確保する。
【0028】
本実施態様の利点は、ケースの開口が設けられ、この開口を介して容器および/またはプラットフォームが前記内部空間に挿入可能であり、装置の安全性が増すことである。
【0029】
有利な実施態様において、本発明に係る装置は、少なくとも1つの蓄積部を備え、または少なくとも1つの蓄積部に接続可能であって、蓄積部は好ましくはコンデンサである。幾つかの蓄積部を並列または直列に接続することも可能である。
【0030】
さらに、蓄積部と容器の電極との間に少なくとも1つのスイッチング素子が配置され、および/または各内部空間および/または各結合した電極グループにスイッチング素子が割り当てられ、前記スイッチング素子は好ましくはリレーである。スイッチング素子を操作(制御)することにより、個々の電極またはチャンバーを個別にかつ安全にスイッチング可能である。
【0031】
本発明の特別な実施態様において、スイッチング素子は、接触素子に直接取り付けられ、好ましくは接触素子がその上に配置される構造体の下に取り付けられる。このような有利な装置によれば、本発明の装置を非常に小型の構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明に係る容器1の特に優れた実施態様を異なる位置から見た様子をそれぞれ示したものである。a)は容器1の斜視図であり、b)は上面図、c)は底面図である。本発明に係る容器1は、16個のチャンバー2を備えており、それぞれが壁領域3によって構築される。各チャンバー2は、第1電極4および第2電極5を含む一対の電極を備える。壁領域3は、ガラス、プラスチック等の非導電性材料からなるが、電極4,5は、導電性材料で出来ている。例えば、電極4,5は、金属、即ちアルミニウム、銅、銀または金からなる。ただし、導電性材料をドープしたポリマー製の電極も好ましい。この場合、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンブラック(すす(煤))および/またはカーボンナノチューブ等でドープすればよい。このようなポリマーのドーピング濃度は、40〜80重量%とするとよい。このような導電性ポリマーは、好ましいコストで射出成形により簡単に製造可能であり、金属製の電極とは違って細胞毒性の金属イオンを発しないので有益である。ポリマー内のドーピング濃度は、一方でポリマーが十分な導電性を有し、もう一方で射出成形が可能であるような濃度とする必要がある。40〜80重量%の範囲の濃度であれば、このような特性が確保される。
【0034】
各チャンバー2において、第1電極4と第2電極5とにより空隙6が形成され、核酸等の生理活性分子を生細胞と共に溶解する細胞懸濁液を空隙6に入れる。電極対に電圧を印加すると、空隙6内の細胞懸濁液内を電流が流れ、これによって生理活性分子が生細胞内に移動する。この技術は、電気穿孔法として一般に知られている。電圧が印加されると、電極4,5はそれぞれ異なる極性を有し、即ち、電極4,5のうち一方は負の電位を示して陰極として機能し、電極4,5のうちもう一方は正の電位を示して陽極として作用する。このように、電流の方向に応じて第1電極4および第2電極5がそれぞれ陰極または陽極として作用する。なお、本発明において、見た目の極性は重要ではない。例えば、直流を用いると両極性は固定されるが、交流を用いれば極性は二方向に共振するので交流電界が発生する。
【0035】
電気的接点を設けるための接触領域7が各電極4,5に確保されている。これらの接触領域7は、例えば蓄積部(storage unit)、好ましくはコンデンサに接続しており、空隙6内に電界を発生させるために選択的に放電を行うことが可能である。図1に示した容器によれば、図c)から明らかなように、接触領域7は電極4,5の底面側(下部)に配置されている。本実施態様において、電極4,5は、導電性材料をドープしたポリマーからなる。接触領域7は、好ましくは圧力および熱の作用により、すなわちホットエンボスにより導電性ポリマーに密着させた接触材料を備える。接触材料は、(23℃での)抵抗率、入力または境界抵抗がそれぞれ電極4,5の材料である導電性材料よりも低い。本実施態様において、接触領域は、ホットエンボスにより電極4,5に取り付けた銅箔を備える。図c)からさらに明らかなように、第1電極4はすべて、例えば容器1のすべての電極の一部である共通の接触領域8を有し、電圧が印加されると同一の極性を示す。例えば直流を用いる場合すべてが陰極となる。このような接触領域8は、すべての第1電極4に延在しそれらを完全に覆う連続した細片または帯状体を備える。従って、容器1の第1電極4はすべて導電結合している。本発明に係る容器1が低コストで簡単に製造可能であり、同極の電極が単一の電気接続を介して電気的に接触していることによって、複雑さが非常に減少することがこのような方法の利点の一つである。チャンバー2の第2電極5は、それぞれ、それ専用に割り当てられた接触領域9を備える。従って、すべてのチャンバー2の第2電極5は、個々の接触領域9を介して個別に接続可能である。このように、各チャンバー2の電界を別々に発生させることが可能である。電気パラメータをチャンバー毎に個々に調整可能であり、異なるチャンバー2内に配置された個々の細胞懸濁液およびプローブ毎に異なる条件を適用することが可能となるので、個々のチャンバー2を別々に制御することは有利である。
【0036】
本実施態様において、16個のチャンバー2を2列10,11に配置しており、各列は8個のチャンバー2を備える。このような列の配置により、列10,11のうち1つの列の同じ側に配置された第1電極4および隣り合う列10,11のそれぞれ対向して配置された第1電極4は、電気的に結合可能である。このように、本発明に係る容器1の製造は簡略化されており、必要な材料は少なく、さらに電気接続も容易である。本実施態様において接触領域7,8,9は、容器1のグランド13上の電極4,5の底面側、即ち下部に配置されているので、底部から電気接触が可能となる。従って、特に例えば96以上の多くのチャンバーを有する容器を使用する必要がある場合、構成上の手間がさらに削減可能となる。加えて、底部から電極4,5の両方に接触可能であるので、上部から細胞懸濁液に電極を浸さずにすみ、空隙6内の電界の均質性によい影響がある。
【0037】
図2は、本発明に係る容器15の特定の実施態様の上面図であり、図1に示した容器1に概ね対応している。容器15も細片状に設計されており、少なくとも1つの自由上端部に特別な締結部材16を備えており、細片をフレーム17内に締結する役目を果たす。図a)に示すように、それぞれ16個のチャンバーを有する単一の容器15をフレーム16に挿入したり、そこから外したりすることが可能である。従って、個別の容器15を配置する必要がある場合であっても、フレーム17を再利用可能である。この結果、必要な材料が少なくなり、環境との適応性も改善される。さらに、図示したシステムは、フレーム17の大きさに応じて、異なる数のチャンバーを可変に装備することができる。図b)に6個の容器15を装備した満載の状態のフレーム17を示す。このように、96個のチャンバーを使用可能であり、これは標準的なマイクロタイタープレートに対応する。
【0038】
図3は、本発明に係る更なる実施態様である容器20を示したものであり、図1に示した容器1に概ね対応している。上述の容器1とは違って、容器20は、12列に配置された計96個のチャンバーを備え、各列は8個のチャンバー21を有する。1つの単一チャンバー21の概略を斜視図で示す。このチャンバー21は、円筒状に形成された導電性ポリマー製の壁領域22を有する。チャンバー21はさらに、第1電極23と第2電極24とを備える一対の電極を含む。両電極23と24とにより空隙25が形成され、それぞれ細胞懸濁液とプローブとを受け入れる役目を果たす。チャンバー21の壁領域22の頂部は開口を有し、空隙25への充填が可能となる。その内面26は、空隙25の方向に向かって開口27から内側へと狭くなっている。開口27がこのように漏斗状に設計されていることにより、開口27がピペットの先端を誘導することになり、チャンバー21の充填が容易となる。空隙25は、底部に向かう方向に側壁28が横方向に先細になっていることによりさらに細くなり、実際にはグランド領域においてチップ状になって終端する。従って、例えば100μl未満の少量であっても、電極23,24間の空隙25に確実に受け入れ可能となる。さらに、空隙25がこのように設計されていることにより、チャンバー21の外形寸法、すなわちチャンバー21全体を変更する必要なく、様々な量を受け入れられるようチャンバー21を改造することが可能となる。この結果、容器20が自動化プロセスに供給される場合に、特に有用となる。チャンバー21を様々な容量用に改造するには、製造プロセスにおいて側壁28の傾きを変えるだけでよい。
【0039】
図4は、図3に記載した容器20の底面側を示す図である。図1c)に示した容器1と同様、本実施態様においても、隣接する2列の第1電極、この図では判らないが、例えば直流電圧を印加した際に同じ極性を示す電極は、共通の接触領域29を備える。従って、この例では、16個のチャンバー21がその第1電極23を介して、常に電気的に結合している。つまり、容器20は、計6個の共通接触領域29を備える。例えば、直流電圧が印加された場合には逆の極性を示す、各チャンバー21の第2電極24は、それぞれ全く結合されておらず、各第2電極24は、固有の接触領域30を備える。この特有の構成により、本発明に係る容器20の製造は簡略化されており、またすべての個別のチャンバー21を別々に制御することも可能である。容器内の複数の第1電極が電気的に結合しているので、全体としての構成上の手間が低減され、さらに電極との接触を有効かつ安全に底部から取り出すことが可能となる。このことは、図5および6から明らかとなるであろう。
【0040】
上述の実施態様において、各電極4,5,23,24は、半円状に設計されているが、少なくとも部分的に電極を平板状、即ち平坦に形成してもよい。好ましい実施態様において、容器の底部において電極を半円状に設計し、空隙に沿った上部において平板状に設計してもよい。ただし、この他の設計も可能である。
【0041】
図5は、本発明に係る容器との接触のための本発明に係る装置における接触素子31の配置を示す概略図である。接触素子31は、専用に設計された構造体32上にまたはその内部に配置される。このような構造体32は、例えば平板またはフレーム枠等であってよい。このような接触素子31は、例えばピン接触、バネ接触等であってよい。本実施態様において、接触素子31は、図3および4の発明性を有する容器20それぞれの電気接触を得るために、特に適するように構造体32上に配置される。図において、黒い点として表されている様々な接触素子33は、電気的に結合した第1電極および共通の接触領域とそれぞれ接触するために設けられている。一方、図で白抜きで表されている接触素子34は、別々に接触可能な第2電極と接触するために設けられている。このように、この実施態様において、非結合の第2電極それぞれに対して1つの接触素子34が設けられるのに対して、電気的に結合した第1電極すべてに対して唯一の接触素子33が設けられる。従って、2列のチャンバー1つの場合は、1つの接触素子33だけでよいことになる。さらに、接触素子33はすべて電気的に結合していてもよく、電気接続数を大幅に減らすことが出来る。従って、製造コストおよび構造上の手間が減少する。ただし、各チャンバーに個々の接触素子34が割り当てられているので、各チャンバーを別々に制御することは可能である。
【0042】
図6は、接触素子31の別の構成を示す図であり、計3つの接触素子33が結合電極に対して設けられているという特徴を除けば、図5に示した構造に対応する。これら3つの接触素子33は、結合した第2電極の共通する接触領域に沿って一列に配置される。接触素子33を2つ追加することにより、電気接触が改善される。さらに、接触の不良や欠損の可能性も非常に減少する。この実施態様により、図2に示したフレーム17内に単一容器15が在るかどうかを確認するために抵抗を測定するために、これら3つの接触要素33のうちの2つを用いることも可能となる。
【0043】
接触素子31は、例えば図3および4に示した容器20の底面側を、構造体32上に単純に合わせれば電気接触が得られるように、図5および6に示した構造体32上に配置される。接触素子31の配置は、結合第1電極と非結合第2電極24の接触領域29,30の配置とそれぞれ正確に対応する。
【0044】
図7は、本発明に係る容器と接触するための本発明に係る装置35の概略斜視図である。装置35は、ケース36とケース36の内部に配置された平板37とを備え、その上にピン状の接触素子38が固定される。平板37は、図5および6に示した構造体32にそれぞれ相当する。平板37は、垂直方向に可動であるが、平板37を移動させる機構については、この図には詳細に示されていない。装置35は、さらに、水平方向に可動であるプラットフォーム39を備えるが、プラットフォーム39を移動させる機構についてもこの図には詳細に示されていない。プラットフォーム39は、ケース36の開口40を介してケース36の内部空間41内に移動可能である。従って、ケース36は実際、内部で放電が可能な一種のガレージのようである。例えば、電気穿孔法は高電圧パルスの使用を伴うので、ユーザに危険な場合があるかもしれず、安全上の理由によりこのような構造は有利である。本実施態様において、ユーザは、プラットフォーム39上にプローブを含む容器を置くだけでよく、更なる処理を行う間、本発明に係る装置35にさらに接する必要は無い。例えば、本発明に係る容器、例えば、図3および4に示した容器20をプラットフォーム39に置けば、容器を含むプラットフォーム39が開口40を介して本発明に係る装置35のケース36の内部空間41内に移動する。この動作は、モータ駆動機構によって自動的に行えばよい。容器を含むプラットフォーム39が内部空間41に完全に配置されると、接触素子38を含む平板37が上方に移動する。これによって、ピン状の接触素子38がプラットフォーム39のそれぞれの穴42に挿入され、容器の接触領域と接触可能となる。これによって、接触素子38と容器の電極との電気接触がなされる。この後、保護ケース36内部で、個々のチャンバー内に電界を発生させるための電圧パルスを作動させることが可能となる。
【0045】
本発明に係る装置35は、完全自動化プロセスで本発明に係る容器の接触を行うのにも適しており、特に非常にハイスループットの特徴を有する方法にも適している。本発明に係る装置によれば、確実にこのような方法を安全かつ信頼性高く実施することができる。別の異なる実施態様において、容器を含むプラットフォームをケースの外側に残しておき、接触素子を備えた構造体のみを垂直方向および/または水平方向に移動させて電極と接触させることも可能であろう。この場合、ユーザがプラットフォーム上に容器を既に置いていて、装置には触れていない時にのみ、電気接触するようにすればよい。完全自動化プロセスでは、容器の設置は手動ではなく機械的に行うので、本発明に係る装置の小型化が可能となり、このような別の実施態様もまた有利である。
【0046】
図8a)は、本発明に係る方法を実施するための本発明に係る装置45の実施態様の概略回路図である。装置45は、2つの蓄積部47,48を含むパルス発生器46を備える。これら蓄積部47および48はそれぞれ、所定の電荷まで充電されるコンデンサであり、選択的に放電することによって決まった電圧パルスを提供可能である。蓄積部47,48は、更なる蓄積部49,50によって予め設定された電荷まで充電される。なお、蓄積部49,50もまたコンデンサであり、エネルギー蓄積部51に含まれる。このために、蓄積部49,50は、電源52によって通電されている。電源52と蓄積部49,50との間にさらに蓄積部49,50を挿入すると、蓄積部47,48がより速く充電され、従ってより高速な一連のパルスが実現可能となるので有益である。蓄積部47,48は、電力半導体(図示せず)に直接接続されており、これによって蓄積部47,48の選択的な放電を制御している。電力半導体は、例えばIGBTやMOSFETであればよい。ただし、必要な回路時間(circuit time)で動作するよう電圧または電流を制御可能なその他の電子部品も使用可能である。2つの蓄積部47,48を使用することによって、2つの電圧パルスが、次々に短い間隔でまたは途切れることなく供給されることとなる。これは、特定種類の細胞の電気穿孔法には有利である。このような特定の用途において、短い時間幅の高電圧パルスの次により長い低電圧パルスが続き、第2のパルスは途切れることなく第1のパルスに続く場合がある。
【0047】
本実施態様において、パルス発生器46、即ち、蓄積部48ならびに蓄積部47は、センサ抵抗55を介して共通電極56と接続している。共通電極56は、例えば本発明の容器の底部に配置され、すべてのチャンバー、本実施態様では96のチャンバーに渡って延在する電極板とすればよい。従って、本実施態様において、容器のすべての第1電極は電気的に結合しており、すなわち直流電圧が印加される場合は同じ極性を示す。さらに、蓄積部47,48は、1つのチャンバーにそれぞれ割り当てられるスイッチング素子57を介してチャンバーのそれぞれの第2電極に接続される。スイッチング素子57は、好ましくはリレーである。例えば、直流電圧が印加された際に電極56と逆の極性を示す第2電極58は、単一のピン状電極であり、上方からチャンバーおよび細胞懸濁液またはプローブ内に浸漬される。96個のチャンバーのうちの1つの各第2電極58に、1つのリレーが割り当てられているので、チャンバーはすべて別々にスイッチングされ制御され、パルス発生器46によって供給される電圧パルスそれぞれが各活性化されたチャンバーの電界の発生にそれぞれつながる。第1電極は、電気的に結合して1つの共通電極56であるため、構造上の手間、特に単一電極の配線の手間が大幅に減少する。本実施態様において、容器内の96個のチャンバーを96個のスイッチング素子57を介して別々に動作させることが可能であり、一つ一つのチャンバーすべてにおいて電気パラメータを変えることが可能である。スイッチング素子57を連続的に接続するのが好ましく、即ち、異なるチャンバー内の電界の発生を連続的に行うことが好ましい。あるいは、例えば2つのパルス発生器を設けて、例えば全体的な動作速度を上げるために2つのリレーを並行に動作可能としてもよい。ただし、この場合、容器内のチャンバーを2つの領域に区分する必要があり、それぞれをパルス発生器に接続しなければならず、全体的な構造上の手間が増すことになる。
【0048】
蓄積部49,50および蓄積部47,48の充電、ならびに電力半導体およびスイッチング素子57の操作は、例えば従来のコンピュータ60を用いて操作可能な制御部59によって制御される。優れた本実施態様において、電圧パルスを印加している間、センサ抵抗55を介して調節部61により電流を計測可能であり、予め設定されたタイムスライス内の電流を積分することにより求められる総供給電荷によって、プロセスを制御することが可能である(Q制御)。こうすれば、制御部59によって、例えば、所定の総電荷量に達したらすぐに各リレーを開放するようにできる。制御部59を用いた本発明に係る方法の制御については、図9を参照して後に詳しく述べる。
【0049】
図8b)は、本発明に係る方法を実施するための更なる実施態様である装置62を示す図であり、この装置は、図8a)に示した装置45と概ね対応している。装置62が前述の装置45と異なる点は、共通の第1電極ではなく、電気的に結合した計6グループの第1電極63を有する点である。この実施態様は、図3および4に示した容器20および図5に示した構造体32それぞれと使用するのに適している。1つの容器の8個のチャンバーの2列の第1電極63それぞれ、即ち、計16の電極が電気的に結合、即ち、共通の接触領域を有する。従って、本実施態様においてパルス発生器は、結合した第1電極63それぞれに関して、センサ抵抗55を介して計6つの接触領域と接続している。各チャンバーの第2電極64はそれぞれ、スイッチング素子65を介してパルス発生器と接続されている。本実施態様において1つのチャンバーの各第2電極は、第2電極それぞれ専用に付与されるスイッチング素子65を介して別々に動作可能なので、96個のチャンバーそれぞれにおいて電界の発生を別々に制御可能であり、動作させるべきチャンバーをそれぞれ自由に選択可能である。
【0050】
図9は、本発明に係る方法の一実施態様においてそれぞれの工程70〜84を示すフローチャートである。ルーチンがスタートすると、まずステップ70において、電圧パルス用のプログラムが取得される。次に、ステップ71において、所定のチャンバーに関してパルスパラメータのリストが作成される。ステップ72において、ステップ71のリストに応じて、第1および次のスイッチング素子または特定の実施態様によっては第1および次の複数のスイッチング素子を動作させる。これによって、所定の1つのチャンバーまたは複数のチャンバーを、別々に動作させることが可能となる。ステップ73において、動作させるべきチャンバーの電気抵抗を測定する。ステップ74において、測定した抵抗値を目標値と比較する。測定した抵抗値が目標範囲内にない場合、例えば、チャンバーが空の場合には、ステップ75においてルーチンはステップ72に戻り、リスト内の次のスイッチング素子(または複数のスイッチング素子)を動作させる。即ち、次の所定のチャンバーにルーチンを切り替える。これによって、エラーループをもう一度通過することになる。抵抗値が目標範囲内にある場合、即ち、チャンバーが正しい細胞懸濁液で充填されている場合は、ルーチンはステップ76に移る。ステップ76において、蓄積部または複数の蓄積部を所定の電圧(U1)または所定の電圧U1およびU2まで充電する。蓄積部が1つの場合は、本発明に係る方法は、電圧U1を有する1つの電圧パルスで実現される。一方、蓄積部が2つの場合には、本発明に係る方法は、電圧U1およびU2を有する、短い間隔でまたは途切れることなく次々に供給される2つの電圧パルスで実現可能である。ステップ77において、蓄積部を充填する電圧をオフにして、所定のチャンバーが電圧パルスに曝されるように第1蓄積部(U1)の電力半導体を閉じる。これによって、センサ抵抗を介して電流を測定および制御可能となる。1つの蓄積部および1つの電圧パルスを使用している場合には、ルーチンは直接ステップ79またはステップ80に移る。あるいは、第1蓄積部(U1)の電力半導体も所定時間後に開放可能であり、その場合ルーチンは直接ステップ84に移る。一方、2つの電圧パルスを供給するための2つの蓄積部が使用されている場合には、ルーチンはまずステップ78に移る。ステップ78において、所定の時間後に第1蓄積部(U1)の電力半導体を開放し、第2蓄積部(U2)の電力半導体を閉じて第2電圧パルスを供給する。ステップ79において、周期的に測定した電流値を用いて電荷を積分し、総電荷量をそれぞれ求める。ステップ80において、まず電圧パルスの所定最大時間に到達しているかどうかを判断する。到達している場合には、エラーループを介して電圧パルスを遮断する(ステップ82)、すなわち、ルーチンはステップ83に移る。パルスの最大時間に到達していない場合には、ステップ81において所定の総電荷量に到達しているかどうかを判断する。到達していない場合は、ルーチンはステップ79に戻り、もう一度ループを通過する。所定の総電荷量に到達している場合は、ルーチンはステップ83に移り、第1蓄積部(U1)の電力半導体または該当する場合は第2蓄積部(U2)を開放する。ステップ84において、リストの最後に到達したかどうかを判断する。到達していない場合は、ルーチンはステップ72に戻り、ループ全体をもう一度通過する。リストの最後に到達していた場合は、ルーチンを終了する。各チャンバーにおける電界の発生はこのように別々に制御され、パルスパラメータは個々のチャンバー毎に別々に予め設定および制御可能である。各単一のチャンバー内の電界の発生は順次行われ、動作すべきチャンバーの順序は任意に予め設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明に係る方法を示すために、本発明に係る装置の一実施態様を異なる位置から見た様子をそれぞれ示したものであり、a)は斜視図であり、b)は上面図、c)は底面図である。
【図2】図2は、本発明に係る装置の特別な実施態様の異なる上面図をそれぞれ示す図であり、特別に設計されたフレーム内に細片を挿入可能である。a)はフレームが部分的に充填された様子、b)はフレームが完全に充填された様子を示す。
【図3】図3は、96個のチャンバーを有する本発明の容器の一実施例の斜視図であり、a)はマイクロタイタープレート全体を示し、b)は1つのチャンバーを特に示したものである。
【図4】図4は、図3に示した装置の底面側を示す概略上面図である。
【図5】図5は、本発明に係る装置の接触素子の配置を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明に係る装置において他の実施態様の接触素子の配置を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明に係る容器と電気的に接触する本発明に係る装置の概略斜視図である。
【図8】図8は、本発明に係る方法を実施するための装置の回路図であって、a)は共通/共同陰極を備える実施態様を示し、b)は図5に示した接触素子の配置用の実施態様を示す。
【図9】図9は、本発明に係る方法の一実施例のそれぞれの工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 容器
2 チャンバー
3 壁領域
4 第1電極
5 第2電極
6 空隙
7 接触領域
8 接触領域
9 接触領域
10 列
11 列
12 下部
13 グランド
15 容器
16 締結部材
17 フレーム
20 容器
21 チャンバー
22 壁領域
23 第1電極
24 第2電極
25 空隙
26 表面
27 開口
28 側壁
29 接触領域
30 接触領域
31 接触素子
32 構造体
33 接触素子
34 接触素子
35 装置
36 ケース
37 平板
38 接触素子
39 プラットフォーム
40 ケースの開口
41 内部空間
42 穴
45 装置
46 パルス発生器
47 蓄積部
48 蓄積部
49 蓄積部
50 蓄積部
51 エネルギー蓄積部
52 電源
55 センサ抵抗
56 電極
57 スイッチング素子
58 電極
59 制御部
60 コンピュータ
61 調節部
62 装置
63 第1電極
64 第2電極
65 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1(4、23)および第2(5、24)電極を含む少なくとも一対の電極をそれぞれ備える各チャンバー(2、21)を備え、前記一対の電極に電圧を印加することにより1つのチャンバー(2、21)内に電界を発生させる容器(1、15、20)であって、
異なるチャンバー(2、21)の少なくとも2つの第1電極(4、23)は導電結合しており、前記チャンバー(2、21)の少なくとも1つの第2電極(5、24)は単独に導電結合可能である容器。
【請求項2】
前記電圧印加のために電気的に接触可能な特定の接触領域(7、8、9、29、30)が前記電極(4、5、23、24)に割り当てられている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
異なるチャンバー(2、21)の前記少なくとも2つの結合した電極(4、23)は、共通接触領域(8、29)によって接触可能である、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
チャンバー(2、21)の前記第2電極(5、24)はそれぞれそれ専用に割り当てられた接触領域(9、30)を有する、請求項2または3に記載の容器。
【請求項5】
前記接触領域(7、8、9、29、30)は、前記電極(4、5、23、24)に直接取り付けられる、請求項2、3または4に記載の容器。
【請求項6】
前記接触領域(7、8、9、29、30)は、前記容器(1、15、20)のグランド(13)上の前記電極(4、5、23、24)の底面側に配置される、請求項2〜5に記載の容器。
【請求項7】
複数のチャンバー(2、21)、好ましくは6、8、12、16、24、32、48、64、96、128、192、384、1536、3456または6144個のチャンバーが設けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
幾つかのチャンバー(2、21)が一列または少なくとも2つの平行な列に配置され、一列の前記異なるチャンバー(2、21)の同じ側に配置される電極(4、5、23、24)の少なくとも一部が導電結合している、請求項1〜7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
隣接する列の異なるチャンバー(2、21)の少なくとも2つの向かい合って配置される電極(4、5、23、24)が導電結合している、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
少なくとも1つの電極(4、5、23、24)は、導電性材料をドープしたポリマーからなり、特にカーボンファイバー、グラファイト、カーボンブラックおよび/またはカーボンナノチューブを好ましくは40〜80重量%のドーピング濃度でドープしている、請求項1〜9のいずれかに記載の容器。
【請求項11】
前記接触領域(7、8、9、29、30)は、前記電極(4、5、23、24)に取り付けられた接触材料を備え、前記電極(4、5、23、24)の材料よりも23℃での比抵抗または境界抵抗が低い、請求項2〜10のいずれかに記載の容器。
【請求項12】
前記接触材料は金属、好ましくは銅であり、または本質的に導電性の複合材料であり、および/または前記接触材料は、23℃での比抵抗が1×10-5オーム・cmより小さく、好ましくは1×10-6〜2×10-6オーム・cmである、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の容器(1、15、20)の製造方法であって、前記チャンバー(2、21)を構築し、チャンバー(2、21)毎に少なくとも2つの予備領域を備える壁領域(3)は、最初は非導電性ポリマーの射出成形により作成され、その後前記予備領域に導電性材料が付与されるかまたは、まずチャンバー(2、21)毎の少なくとも2つの領域を導電性材料で製造または成形フレーム内に配置し、次に、前記チャンバー(2、21)を構築する壁領域(3)を非導電性ポリマーの射出成形により前記少なくとも2つの領域の周辺に作成する方法であって、導電性材料を含む、異なるチャンバー(2、21)の少なくとも2つの領域は、互いに導電結合しており、チャンバー(2、21)の少なくともその他の部分はそれぞれ前記電気接触に対して単独で接続する方法。
【請求項14】
電気接触のために接触材料を前記導電性材料に取り付ける、または導電性材料、好ましくは金属または本質的に導電性の複合材料を圧力および/または熱の作用、好ましくはホットエンボスにより、および/または好ましくはより低い比抵抗を有する接着層の作用により、前記導電性材料に取り付ける、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれかに記載の容器(1、15、20)の少なくとも1つと電気的に接触するための装置(35)であって、前記容器(1、15、20)の1つのチャンバー(2、21)の少なくとも1つの第2電極(5、24)それぞれに対して1つの接触素子(31、34、38)がそれぞれ設けられ、前記電気的に結合した第1電極(4、23)に対して幾つかの接触素子(31、33)、好ましくは1〜6個の接触素子が設けられる装置。
【請求項16】
好ましくは平板(37)である構造体(32)が設けられ、その上に前記接触素子(31、33、34、38)が配置される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記構造体(32)は、特にモータによって垂直方向および/または水平方向に可動である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記容器(1、15、20)を設置するためのプラットフォーム(39)が設けられ、特にモータによって水平方向および/または垂直方向に可動である、請求項15、16または17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記プラットフォーム(39)は、少なくとも1つの開口を備え、または前記プラットフォーム(39)は穴開けされた平板(punched plate)であり、穴(42)の数は好ましくは接触素子(31、33、34、38)の数に対応する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
内部空間(41)が設けられ、その中に前記接触素子(38)が配置され、および/または少なくとも1つの開口が設けられ、前記開口を介して前記接触素子(38)が挿入可能である、請求項15〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
ケースの開口(40)が設けられ、前記開口を介して容器(1、15、20)および/またはプラットフォーム(39)が前記内部空間(41)に挿入可能である、請求項15〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つの蓄積部(47、48、49、50)を備え、または少なくとも1つの蓄積部(47、48、49、50)に接続可能であって、前記蓄積部(47、48、49、50)は好ましくはコンデンサである、請求項15〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記蓄積部(47、48、49、50)と前記容器(1、15、20)の前記電極(4、5、23、24)との間に少なくとも1つのスイッチング素子(57、65)が配置され、および/または各内部空間(2、21)および/または各結合した電極グループ(4、23)にスイッチング素子(57、65)が割り当てられ、前記スイッチング素子(57、65)は好ましくはリレーである、請求項15〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記スイッチング素子(57、65)は、前記接触素子(31、33、34、38)に直接取り付けられ、好ましくは前記接触素子(31、33、34、38)がその上に配置される前記構造体(32)の下に取り付けられる、請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−529215(P2007−529215A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503439(P2007−503439)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000663
【国際公開番号】WO2005/090547
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503147734)アマクサ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】