説明

異常情報保持システム

【課題】異常原因などを解析するための情報を的確に取得できるようにした異常情報保持システムを提供する。
【解決手段】通電切替器は、CPUが通常動作しているときには表示装置が表示画像データA1、A2、A3…に同期して受信するように切替えるものの、CPUの異常が検出されたときには表示装置が異常解析データB1、B2、B3…に同期して受信するように切替える。表示装置2はこの異常解析データBを受信し画素に記憶保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出時の解析情報を扱う異常情報保持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、故障などの異常時に解析情報を保持する技術が供されている。不揮発性メモリが解析情報を保持するのが一般的であったが、このメモリを表示装置に組込む技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の技術思想では、サーバ本体にソフトウェアとして設けられた表示制御部が、サーバ本体で検出した異常内容を示す情報を電子ペーパー表示装置に表示するようにしている。電子ペーパー表示装置は、電源や冷却ファンの故障によりエラーコードを電子ペーパー表示装置に表示した後に電源が切断されても、電子ペーパーのデータ保持性により電源遮断後もエラーコードを表示し続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−225528号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術思想を適用したときには、故障などの異常状態を判断する判断系統がソフトウェアの動作に依存することから、異常が生じたときに、異常原因などを解析するためのデータを出力するまでの間に相当の時間を要する。時間を必要以上に要してしまうと、制御装置の内部状態が変化してしまうため不要な情報を出力してしまうことになり、異常原因などを解析するための情報を的確に取得することが困難となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、異常原因などを解析するための情報を的確に取得できるようにした異常情報保持システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、制御装置が画像情報を表示装置に表示させているものの、監視手段が制御装置の動作状態を監視し、付加情報生成手段が制御装置の動作状態を表す付加情報を生成しているため、制御装置の動作状態に関する付加情報を生成できる。送信手段が付加情報生成手段により生成された付加情報を画像情報に付加して表示装置に送信し受信手段は送信手段の画像情報および付加情報を受信するため、監視手段により制御装置の動作状態が異常であると検出されたときに、切替手段は受信手段の受信情報を画像情報から付加情報に即座に切替えることができる。そして、表示装置は、切替手段により受信された情報が付加情報に切替えられたときに受信手段により受信した付加情報を保持するため、異常検出される直前または/および直後における制御装置の動作状態を表示装置内に保持することができる。これにより、異常原因などを解析するための情報を的確に取得できる。
【0008】
特許文献1記載の技術思想では、電子ペーパーが故障などの異常時の情報のみを表示するものであるため、通常動作時は不要な部品となっている。そこで、請求項2記載の発明によれば、表示装置は、制御装置が通常動作するときには画像情報を表示し、前記制御装置が異常動作するときには付加情報を表示するため、画像情報を表示する装置、付加情報を表示する装置を共用することができ、異常表示用に別途表示装置を設ける必要がなくなり、システムの構成点数を削減できる。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、異常検出装置はCPUの動作とは独立に動作するため、たとえ付加情報生成手段がCPUを含む制御装置の動作状態を表す付加情報を生成した後、CPUがハングアップしたとしても、異常検出装置の制御手段は、CPUがハングアップする直前の付加情報を記憶手段に記憶させることができ、送信手段は、CPUがハングアップする直前における制御装置の動作状態を表す付加情報を表示装置2に送信できる。保持手段がこの送信手段の付加情報を保持することで、解析者はCPUがハングアップする直前における制御装置の動作状態を解析できる。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、表示装置が制御装置とは別体で電子ペーパーにより構成されているため、例えば制御装置がたとえ大装置で構成されていたとしても、解析者は当該制御装置を持ち運ぶことなく電子ペーパーのみを持ち運んで電子ペーパーに保持された付加情報を解析できるようになり、解析者にとって便利なシステムとなる。
【0011】
請求項5記載の発明によれば、コンデンサは異常検出したときに備え表示装置の電源を蓄積するが、コンデンサの容量値は、表示装置が1画面分を表示するのに必要な時間以上動作するための所定値に設定されているため、異常検出された後にコンデンサの蓄積電荷が表示装置の電源として使用され、コンデンサの蓄積電荷が放電された後には、表示装置の電源供給が断たれることになり表示装置の動画表示を停止できる。したがって、表示装置の保持手段は動画表示を停止したタイミングで付加情報を保持することができ、解析者は当該付加情報で解析できるようになる。
【0012】
請求項6記載の発明によれば、出力手段は付加情報をQRコードなどの情報コードの画像情報として表示装置に変形出力するため、付加情報をデジタル画像として扱いやすくなる。例えば解析者が情報コードの画像情報を撮影したり、電子メールなどで送信することも容易となるため利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、(a)同期信号に同期した画像信号の取得タイミングを示すタイミングチャート、(b)比較例を示すタイミングチャート
【図2】電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】制御装置の構成を概略的に示すブロック図
【図4】異常検出装置および制御装置間の具体的構成を示すハードウェア構成図
【図5】制御装置および表示装置間の通電切替器を示す概略的な構成図
【図6】付加情報の転送条件を示すフローチャート
【図7】通常動作時の信号の流れを説明する説明図
【図8】異常検出時の信号の流れを説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の異常情報保持システムを、異常解析データ保持システムに適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。図2は、異常解析データ保持システムの概略的なブロック構成図を示している。
【0015】
この図2に示すように、異常情報保持システムZは、制御装置としてのコンピュータ1、表示装置2、不揮発性メモリ3、異常検出装置4、および、切替手段としての通電切替器5を図示接続して構成されている。不揮発性メモリ3は必要に応じてシステムZから削除しても良い。
【0016】
コンピュータ1には異常検出装置4が接続されている。コンピュータ1および表示装置2間には、通電切替器5が介在して接続されている。コンピュータ1は、通常動作時に表示画像データAを生成し、通電切替器5を通じて表示装置2に表示画像データAを出力する。
【0017】
表示装置2は電子ペーパーからなるもので、同期信号、クロック、表示画像データAを入力すると、表示画像データAに基づき画像を表示しパネルの画面を書き換える。表示装置2のパネルは、電子ペーパーの特性上、書き換えられない限り画素データを保持するようになっており電源が切れても各画素データを保持する特性を備える。この表示装置2は保持された画素が外光反射により人間により外部から視認可能となっている。
【0018】
表示画像データAは、表示装置2の表示画面についてピクセル毎に複数ビットの色データが付された画像データを示している。以下、ピクセル毎の表示画像データAをピクセルデータA1、A2…と示す。
【0019】
不揮発性メモリ3は異常解析データBを保持する。異常解析データBは、コンピュータ1が通常動作時に作成するものであり異常解析時に必要と考えられるデータを示している。本実施形態では、この異常解析データBは、ピクセル毎の画像データA1、A2…毎に設けられる。以下、ピクセル毎の画像データA1、A2…にそれぞれ設けられる異常解析データBをそれぞれ異常解析データB1、B2…と示す。
【0020】
コンピュータ1の重畳部1aは、表示画像データAと異常解析データBを重畳し、コンピュータ1はこの重畳部1aのデータを表示装置2に出力する。コンピュータ1には一時記憶領域としてのメモリ1g(図4参照)が設けられており、異常解析データBをコンピュータ1のメモリ1g内に保存し、表示装置2に表示画像データAを画面出力するときに異常解析データBをメモリ1gから重畳して出力させる。
【0021】
図3は、コンピュータ内の機能的構成を概略的に示しており、図4は、コンピュータ内のハードウェア構成と異常検出装置のハードウェア構成を具体的に示している。
図3に示すように、コンピュータ1内には、画素クロック信号生成部1b、通常画像情報生成部1c、異常情報生成部1dが機能的に構成されている。通常画像情報生成部1cは、通常時の表示画面に表示する表示画像データAを生成する。異常情報生成部1dは異常解析データBを生成し、異常検出装置4に異常解析データBを付加情報として出力する付加情報生成手段としての機能を有する。
【0022】
画素クロック信号生成部1bは、表示画像データAおよび異常解析データBに同期する同期信号を生成しクロック信号CKとして表示装置2に出力する。重畳部1aは、画素クロック信号生成部1bが生成したクロック信号CKに同期して、通常画像情報生成部1cが生成した表示画像データAと、異常検出装置4から受信した異常解析データBとを画素単位で交互に重畳しData/Control信号として出力する。
【0023】
図4に示すように、コンピュータ1内には、CPU1e、レジスタ1f、メモリ1gなどが構成されているが、このCPU1eは、通常動作時にレジスタ1fやメモリ1gに計算結果などの情報を記憶させている。CPU1eは、通常動作時に、解析者が後にコンピュータ1内を解析可能な異常解析データBを生成し、レジスタ1f、メモリ1g、不揮発性メモリ3に記憶させている。これによりCPU1eは異常情報生成部1dとして機能する。コンピュータ1内には、通常画像情報生成部1cとして、垂直同期信号出力部1ca、水平同期信号出力部1cb、画素ポインタレジスタ1cc、描画回路1cd、画素バッファ1ceが構成されている。
【0024】
画素ポインタレジスタ1ccは画素クロック信号が与えられるとポインタを更新する。垂直同期信号出力部1caは、画素クロック信号に基づいて垂直同期信号を出力する。水平同期信号出力部1cbは、画素クロック信号に基づいて水平同期信号を出力する。画素バッファ1ceは例えばSRAMにより構成される。描画回路1cdは、画素バッファ1ceに対し、画素ポインタレジスタ1ccが示す画素に対応したアドレスと画素データとを指定することで画素バッファ1ceに画像情報(表示画像データA)を保存し蓄積する。
【0025】
異常検出装置4内には、異常情報転送回路4a、ウォッチドッグタイマ4b、オンオフ制御回路4cなどのハードウェアが構成されている。異常情報転送回路4aは転送制御部4aaおよび中間バッファ部4abを備える。中間バッファ部4abは例えばSRAMにより構成されている。転送制御部4aaは、トリガ生成回路4ax、DMA(Direct Memory Access)コントローラ4ayを接続して構成されている。
【0026】
ウォッチドックタイマ4bは、コンピュータ1による制御動作とは独立に動作するもので、コンピュータ1内のCPU1eに接続されている。CPU1eはウォッチドッグタイマ4bに定期的にパルスを出力する。
【0027】
CPU1eが通常問題なく動作しているときには定期的にパルスを出力するため、ウォッチドッグタイマ4bはCPU1eから当該パルスを受け付ける。ウォッチドッグタイマ4bは、コンピュータ1(CPU1e)の動作状態を監視する監視手段として機能するもので、CPU1eが何らかの問題を生じてフリーズしパルスを出力しなくなったときには、当該パルスを受け付けなくなる。このとき、ウォッチドッグタイマ4bは予め定められた所定時間を計測し、パルスを受け付けない時間が所定時間超えたときにはCPU1eがハングアップしたものとみなし、異常情報転送回路4aに異常した旨を示す異常トリガを与えるようになっている。
【0028】
他方、CPU1eが通常動作すると共に描画回路1cdが画素バッファ1ceに画素データを書き込むとき、異常情報転送回路4a内の転送制御部4aa内では、トリガ生成回路4axが定期的(例えば1ms毎)なトリガパルスを出力し当該トリガに応じてDMAコントローラ4ayが起動する。
【0029】
DMAコントローラ4ayは、通常画像情報生成部1c内の垂直同期信号出力部1caから垂直同期信号を受信すると、バス上の参照アドレス、中間バッファ部4abへの書込アドレスを指定し、コンピュータ1のレジスタ1fやメモリ1gに対して転送命令を出力する。なお、垂直同期信号出力部1caは標準画面で17[ms]程度、高精細画面で8[ms]程度の周期で垂直同期信号を出力する。
【0030】
レジスタ1f、メモリ1gは、転送制御部4aaから転送命令を受付けると、それぞれ記憶されたデータがCPU1eの指令を介在することなく、異常情報転送回路4a内の中間バッファ部4abに転送される。このようにして、CPU1eが通常動作すると共に描画回路1cdが画素バッファ1ceに画素データを書き込んでいる最中に、異常解析データBがレジスタ1f、メモリ1gから中間バッファ部4abに転送される。なお、メモリ1gはIC1個で構成されている。転送間隔は、1画面の垂直同期信号の周期よりも短い間隔であれば任意の間隔に設定すれば良い。通常は、例えば1[ms]間隔程度に設定される。CPU1eが通常動作しているときには、中間バッファ部4abの記憶データは順次書き換えられる。
【0031】
通常動作時において、コンピュータ1が、中間バッファ部4abにバッファ記憶された異常解析データBを付加情報として読出して出力するときには、画素クロック信号生成部1bが生成した画素のクロック信号CKに応じて画素ポインタレジスタ1ccを順次更新し、当該ポインタレジスタ1ccが示す画素に対応した部分について中間バッファ部4abのデータを付加情報として重畳部1aに画素単位で出力する。重畳部1aは、この中間バッファ部4abのデータ値と画素バッファ1ceに蓄積された画像情報(表示画像データA)とを重畳させて出力することになる。
【0032】
図6は、異常解析データBの転送条件を示している。この図6に示すように、コンピュータ1内の重畳部1aの動作がオンとなっているとき(S1:YES)で且つ、異常検出装置4が画面垂直同期信号を受け付けた(S2:YES)ときに、転送制御部4aaが異常解析データBを中間バッファ部4abから重畳部1aに出力(転送)し(S3:YES)、新しい異常解析データBをメモリ1gに生成し、不揮発性メモリ3に記憶させる(S4)。
【0033】
図5は通電切替器の具体的な電気的構成を示している。この図5に示すように、コンピュータ1と表示装置2の間には、クロック信号CKの接続線6、データ線7が並列に結線接続されている。
【0034】
クロック信号CKの接続線6には、コンピュータ1と表示装置2の間に介在してスイッチング素子8が設けられている。このスイッチング素子8は、その制御端子が異常検出装置4に接続されている。スイッチング素子8の入出力端子間には反転回路9およびスイッチング素子10が直列接続されている。異常検出装置4とスイッチング素子10の制御端子との間には反転回路11が接続されており、反転回路11の作用によりスイッチング素子8および10は相補的にオンオフ動作する。反転回路11は、その出力がコンデンサ12を介して表示装置2の電源端子に与えられる。
【0035】
異常検出装置4は、前述のスイッチング素子8の制御端子にオンオフ信号を与えると同時にスイッチング素子13の制御端子に同じオンオフ信号を与えるように構成されている。異常検出装置4は、スイッチング素子8、13の制御端子に対し、通常動作時または異常検出時を示す制御信号としてオンオフ信号を与える。電源回路14は、通常動作時にスイッチング素子13がオンになると電源電圧を表示装置2の電源端子に与えるようになっている。
【0036】
図7は、通常動作時の通電経路を概略的に示している。通常動作時においては、コンピュータ1内のCPU1eがパルスを出力し、異常検出装置4はこのパルスを受付けている。通常動作(正常動作)時において、異常検出装置4はスイッチング素子8、13の制御端子にオン制御信号を印加することで、スイッチング素子8、13をオンとし、スイッチング素子10をオフとする。
【0037】
電源回路14の電源電圧が、表示装置2の電源端子に与えられる。なお、このときコンデンサ12は電源回路14の電源電圧によりチャージされる。コンピュータ1は、表示装置2にクロック信号、データおよび制御信号を正常に出力するが、表示装置2は電源端子に電源電圧が与えられるため、クロック信号、データおよび制御信号を入力し、画像データを表示画面に表示する。
【0038】
図8は、異常検出時の通電経路を概略的に示している。異常検出装置4のウォッチドッグタイマ4bはコンピュータ1のCPU1eを常時監視している。CPU1eがハングアップしたときには、コンピュータ1のCPU1eは定期的なパルスを出力しなくなる。定期的なパルスが出力されなくなった後、ある一定時間この状態が続いたときには、異常検出装置4はCPU1eがハングアップしたものと判定する。
【0039】
このようにして異常検出装置4がコンピュータ1のCPU1eに異常を検出したときには、異常検出装置4のオンオフ制御回路4cはスイッチング素子8、10、13の制御端子にオフ制御信号を印加することで、スイッチング素子8、13をオフとし、スイッチング素子10をオンとする。
【0040】
異常検出装置4は、反転回路11を通じて表示装置2に異常信号を与える。このとき、異常時にはコンデンサ11の充電電圧が表示装置2に供給されるようになり、コンピュータ1が異常であったとしても表示装置2はその表示画面にメッセージを短時間表示可能となる。
【0041】
また、異常検出装置4内では、異常情報転送回路4aにウォッチドッグタイマ4bから異常トリガが与えられる。このときCPU1eがたとえ動作していなくてもDMAコントローラ4ayがレジスタ1f、メモリ1gの記憶情報をCPU1eから独立して中間バッファ部4abに転送するため、異常情報転送回路4aは、CPU1eがハングアップする直前(例えば、異常発生前1[ms])(または/および直後)においてレジスタ1f、メモリ1gに記憶された異常解析データBを中間バッファ部4abに蓄積することができる。重畳部1aは、画素クロック信号生成部1bのクロック信号CKに応じて通常の画素データによる表示画像データA(画像情報)と異常解析データB(付加情報)とを画素毎に切り替えて出力する。
【0042】
異常検出時には、通電切替器5を構成するスイッチング素子10がオンすると共にスイッチング素子8がオフするため、クロック信号CKは、反転回路9およびスイッチング素子10を通じて表示装置2にクロックとして与えられる。したがって、クロックは、通常動作時と比較して表示装置2に反転入力される。
【0043】
図1(a)は、本実施形態の特徴部分となる通常動作(正常動作)および異常検出時における表示装置2が受け付けるクロックとデータをタイミングチャートにより比較して示している。図1(b)は、比較対象となる画像データ取得タイミングを示している。
図1(a)に示すように、コンピュータ1の重畳部1aは、通常動作時には表示画像データA1、A2…と、異常解析データB1、B2…とが重畳されたデータを出力する。このとき、例えばデータA1、B1、A2、B2…のように交互に重畳されたデータを出力する。
【0044】
本実施形態において、表示装置2は、通常動作時に重畳データA1,B1、A2、B2…がコンピュータ1から順次送信されてきたとしても表示画像データAに同期して受信する。したがって、表示装置2は表示画像データAに応じた表示画面を表示できる。表示装置2には、異常検出装置4による異常検出時においてクロックが通常動作時と比較して反転入力される。したがって、表示装置2は、コンピュータ1からデータA1、B1、A2、B2…が順次送信されてきたときには異常解析データBに同期して受信できる。
【0045】
また、表示装置2は、そのパネルの各画素が異常解析データBを保持した状態で、コンデンサ12の保持電荷が消費されることになり、表示装置2の電源が遮断されることになる。このため、その時点で画素保持データは書換えられることがなくなる。つまり、表示装置2は、異常発生前において通常画面を表示するため、表示画像データAによって同期信号毎に画素を順次書き換えるものの、異常発生時には異常解析データBを画素に蓄積した状態で電源遮断されることになる。
【0046】
これにより得られる異常解析データBは、ユーザが認識する表示画像として意味をなさないものであったとしても、画素を保持する表示装置2に保存されたデータであるため、当該データを後に解析することができ、故障などの異常原因解析の材料として用いることができる。なお、コンデンサ12の容量値は、表示装置2の1画面分を表示するのに必要な時間(一般的には、数十ミリ秒程度)以上、表示装置2が動作するための所定値に設定すると良い。また、メッセージは、表示画像として意味をなす絵や文章に限らず、人では視認不能な模様などで表示装置2の画素に表示、記憶させるようにしても良い。
【0047】
例えば従来技術では、コンピュータ1内で異常状態を判定し、異常であることが判定されると異常解析データBを作成して外部に出力する方法を適用していた。すると、実際に異常と判定された時点から出力データの作成までの間にソフトウェア動作が介在して相応の時間を要し、その間にコンピュータ1の内部状態が変更されてしまう可能性が高い。
【0048】
要部をまとめると、本実施形態は次に示す特徴を備える。すなわち、転送制御部4aaは、コンピュータ1内部で通常動作時に作成した付加情報を異常解析データBとして異常情報転送回路4a内の中間バッファ部4abに転送して記憶させ、重畳部1aにより中間バッファ部4abの異常解析データBを通常の表示画像データAに付加して重畳し、画素クロック信号生成部1bの画素クロック信号CKに同期して出力する。
【0049】
通電切替器5は、CPU1eが通常動作しているときには表示装置2が表示画像データAに同期して受け付けるように切替えるものの、CPU1eの異常が検出されたときには表示装置2が異常解析データBに同期して受け付けるように切替え、表示装置2はこの異常解析データBを受信し画素に記憶保持する。
【0050】
異常検出装置4はCPU1eの動作とは独立に動作するため、たとえCPU1eがコンピュータ1の動作状態を表す異常解析データBを生成した後、CPU1eがハングアップしたとしても、転送制御部4aaはCPU1eがハングアップする直前におけるコンピュータ1の動作状態を表す異常解析データBを中間バッファ部1abに記憶させることができ、重畳部1aから当該異常解析データBを表示装置2に送信できる。
【0051】
このようにして、表示装置2は、コンピュータ1の異常検出直前または/および直後における異常解析データBを的確に取得でき、異常原因などを解析するための情報を的確に取得できる。
【0052】
表示装置2は、コンピュータ1が通常動作するときには表示画像データAを表示し、コンピュータ1に異常検出されたときには異常解析データBを表示できるため、異常表示用に表示手段を別途設ける必要がなくなり、システムの構成点数を削減できる。
表示装置2がコンピュータ1とは別体で電子ペーパーにより構成されているため、解析者は電子ペーパーのみを持ち運んで保持データを解析できるようになり、解析者にとって利便性が良い。
【0053】
異常検出したときに、表示装置2はコンデンサ12の蓄積電荷を電源として動作し、当該蓄積電荷が放電された後には、表示装置2の電源供給が断たれることになり表示装置2の動画表示を停止する。したがって、表示装置2は動画表示を停止したタイミングで電子ペーパーの特性から異常解析データBを保持することができ、解析者は当該異常解析データBで解析できるようになる。
【0054】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形または拡張が可能である。
前述実施形態では、表示装置2が画素クロック信号の立上りに同期してデータを受信して受付ける実施形態を示しているが、画素クロック信号の立下りに同期してデータを受信して受付ける形態に適用しても良い。
【0055】
表示画像データAの1画素(ピクセル)毎に異常解析データBを1データ付加した実施形態を示しているが、異常解析データBを付加する単位は1画素毎に限られず、異常解析データBを複数画素の表示画像データA毎にバースト状に付加しても良い。表示画像データAを複数画素分出力した後に、複数の画素毎に異常解析データBを付加して出力する形態に適用しても良い。
【0056】
表示装置2は、異常解析データBをQRコードなどの情報コードの画像情報として変形出力する機能を備えていても良い。この場合、異常解析データbがデジタル画像として扱いやすくなるため、例えば解析者が情報コードの画像情報を撮影したり、電子メールなどで送信することも容易となり利便性が向上する。
【0057】
コンピュータ1のCPU1eが異常解析データBをレジスタ1f、メモリ1gに書出し、当該書出されたデータを異常情報転送回路4aが転送するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、他のハードウェアデバイス(例えば画像デコーダ、音声デコーダ)が異常解析データBとしてレジスタ1f、メモリ1gに書出し、このデータを異常情報転送回路4aから転送するようにしても良い。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1はコンピュータ(制御装置)、1aは重畳部(送信手段)、1dは異常情報生成部(付加情報生成手段)、1eはCPU、2は表示装置(受信手段、保持手段、出力手段)、4は異常検出装置、4aaは転送制御部(制御手段)、4abは中間バッファ部(記憶手段)、4bはウォッチドッグタイマ(監視手段)、5は通電切替器(切替手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
画像情報を前記表示装置に表示させる制御装置と、
前記制御装置の動作状態を監視する監視手段を備えた異常検出装置と、を具備して構成されたシステムであって、
前記制御装置の動作状態を表す付加情報を生成する付加情報生成手段と、
前記付加情報生成手段により生成された付加情報を前記画像情報に付加して前記表示装置に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された画像情報および付加情報を受信する受信手段と、
前記制御装置が通常動作するときには前記受信手段が受信する情報を画像情報に切替え、前記監視手段により制御装置の動作状態が異常であると検出されると前記受信手段が受信する情報を画像情報から付加情報に切替える切替手段と、を備え、
前記表示装置は、その受信情報が前記切替手段によって付加情報に切替えられたときに前記受信手段により受信した付加情報を保持する保持手段を備えたことを特徴とする異常情報保持システム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記制御装置が通常動作するときには画像情報を表示し、前記制御装置が異常検出されたときには付加情報を表示することを特徴とする請求項1記載の異常情報保持システム。
【請求項3】
前記付加情報生成手段はCPUを含む制御装置の動作状態を表す付加情報を生成し、
前記異常検出装置は、記憶手段、前記制御装置の動作状態を記憶手段に記憶させる制御手段を備え、前記CPUの動作とは独立に動作するように構成され、
前記制御手段は、前記付加情報生成手段により生成された制御装置の動作状態を表す付加情報を前記記憶手段に記憶させ、
前記送信手段は、前記記憶手段に記憶された付加情報を前記画像情報に付加して前記表示装置に送信することを特徴とする請求項1または2記載の異常情報保持システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記制御装置とは別体で電子ペーパーにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の異常情報保持システム。
【請求項5】
前記監視手段により異常検出されたときに備えて前記表示装置の電源を蓄積するコンデンサを備え、
前記コンデンサの容量値は、前記表示装置が1画面分を表示するのに必要な時間以上動作するための所定値に設定されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の異常情報保持システム。
【請求項6】
前記付加情報をQRコードなどの情報コードの画像情報として表示装置に変形出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の異常情報保持システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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