説明

異物排除装置

【課題】検査対象物に含まれる異物を選択的に容易かつ確実に排除することができる異物排除装置を提供する。
【解決手段】異物排除装置1は、検査対象物9中に混在する異物を検出して該異物を排除する装置であって、ドラム10、対象物供給部20、第1撮像部31、第2撮像部32、解析部60、分離部70および加圧エアーノズル81を備える。分離部70は、ドラム10から検査対象物9が落下する前に、加圧エアーノズル71によりドラム10の上方から検査対象物9に加圧エアーを吹き付けて、ドラム10から検査対象物9を分離させ落下させる。加圧エアーノズル81は、すなわち、ドラム10から検査対象物9が落下しているときに、異物通過時に選択的に加圧エアーを噴射して、検査対象物9のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物中に混在する異物を検出して該異物を排除する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検査対象物(例えば食品・薬品など)中に混入している異物の検査を実施する技術として、可視光を用いる検査、金属探知機を用いる検査、磁気センサーを用いる検査、X線を用いる検査が知られている。しかし、これらの検査技術では、或る特定の異物だけの検査に限られていて、例えば金属を検査することができても毛髪を検査することができない。
【0003】
具体的には、可視光を用いる検査では、同系色の異物に対しては、コントラストを得ることができず、検出を行うのが困難である。金属探知機を用いる検査では、金属異物の検査を容易に実施できる反面、非金属のものについては検査が不可能である。磁気センサーは、異物が磁性体である必要があり、対象が非磁性である場合の検査が不可能である。また、X線検査では、包装外部からの検査が可能であるものの、食品に放射線を当てるといった問題に加え、毛髪などのX線が透過してしまう異物の検査には不適である。
【0004】
特許文献1,2には、検査対象物中に混在する異物を検査して、異物を排除する発明が開示されている。特許文献1,2に記載された異物排除技術は、回転ドラムの表面に供給されて該表面にある検査対象物を撮像し、その撮像により得られた画像を解析して異物の有無を判定し、異物が検出された場合には該異物を排除する。特許文献1に記載された異物排除技術は、ドラムから検査対処物が自由落下している状態で、その検査対象物に含まれる異物を排除する。一方、特許文献2に記載された異物排除技術は、ドラムの表面に検査対処物が存在している状態で、その検査対象物に含まれる異物を吸引して排除する。
【特許文献1】特開平10−272427号公報
【特許文献2】特開平11−190697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された異物排除技術のようにドラムの表面に検査対処物が存在している状態で該検査対象物に含まれる異物を吸引して排除する場合には、個々の検査対象物の相互間距離が短いので、検査対象物に含まれる異物を選択的に排除することが容易でない。
【0006】
一方、特許文献1に記載された異物排除技術のようにドラムから検査対処物が自由落下している状態で該検査対象物に含まれる異物を排除する場合には、個々の検査対象物の相互間距離が長くなるので、この点では、検査対象物に含まれる異物を選択的に排除することが容易である。
【0007】
しかし、ドラムの表面にある検査対象物を撮像して得られた画像の解析結果に基づいて自由落下中の検査対象物から異物を選択的に排除するので、撮像から解析を経て異物排除までの遅延時間は正確に制御されなければならない。ところが、本発明者の知見によれば、上記のような遅延時間が正確に制御されたとしても、自由落下中の検査対象物から異物を排除できない場合がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、検査対象物に含まれる異物を選択的に容易かつ確実に排除することができる異物排除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る異物排除装置は、検査対象物中に混在する異物を検出して該異物を排除する装置であって、(1) 円筒形状を有し水平な中心軸の周りに回転するドラムと、(2) ドラムの表面のうち検査対象物との間で滑りが生じない所定領域上に検査対象物を供給する対象物供給部と、(3) ドラムから検査対象物が落下する前に、検査対象物中における異物の有無を検出する検出部と、(4) ドラムから検査対象物が落下する前に、ドラムの上方から検査対象物に加圧エアーを吹き付けて、ドラムから検査対象物を分離させ落下させる分離部と、(5) 検出部による検出結果に基づいて、ドラムから検査対象物が落下しているときに、検査対象物のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する分別手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る異物排除装置では、分離部が、ドラムの中心軸に平行なライン上の各位置から検査対象物に加圧エアーを吹き付けるのが好適である。本発明に係る異物排除装置では、分離部による加圧エアーの吹き付けの圧力が0.1MPa以下であるのが好適である。本発明に係る異物排除装置では、分離部による加圧エアーの吹き付けの方向が、ドラムの頂上部から20°以上のドラムの表面上の位置に対して、その位置における接線に対して40°〜50°の範囲にあるのが好適である。本発明に係る異物排除装置では、ドラムの表面がフッ素コーティングされているのが好適である。
【0011】
本発明に係る異物排除装置では、分別手段が、ドラムから落下している異物に対して選択的に加圧エアーを吹き付けて該異物を排除するのが好適であり、ドラムから落下している異物に対して選択的に吸引して該異物を排除するのも好適であり、また、ドラムから落下している異物に対して選択的に行路を機械的に変化させて該異物を排除するのも好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検査対象物に含まれる異物を選択的に容易かつ確実に排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る異物排除装置1の構成を示す側面図である。また、図2は、本実施形態に係る異物排除装置1の構成を示す斜視図である。異物排除装置1は、検査対象物9中に混在する異物を検出して該異物を排除する装置であって、ドラム10、対象物供給部20、第1撮像部31、第2撮像部32、第1照明部41、第2照明部42、第1吸収板51、第2吸収板52、解析部60、分離部70および加圧エアーノズル81を備える。なお、図1において、解析部60を除く他の構成要素については、円筒形状を有するドラム10の中心軸の方向に見た図が示されている。
【0015】
ドラム10は、円筒形状を有し、水平な中心軸の周りに回転するものであって、透明な材料(例えば石英ガラス)からなる。ドラム10の材料は、ドラム10の内部に設けられた第2撮像部32および第2照明部42による検査対象物10の観察がドラム10を介して可能である程度に透明である必要がある。対象物供給部20は、ドラム10の表面のうち検査対象物9との間で滑りが生じない所定領域上に検査対象物9を供給する。
【0016】
第1撮像部31は、ドラム10の外部に設けられ、ドラム10の所定領域に含まれる第1撮像領域上にある検査対象物9をドラム10の外部から撮像する。また、この第1撮像部31による撮像のために、第1照明部41がドラム10の外部に設けられているのが好適であり、第1吸収板51がドラム10の内部に設けられているのが好適である。第1照明部41は検査対象物9を照明し、この照明に伴う検査対象物9からの散乱光を第1撮像部31が受光して撮像をする。第1吸収板51は、第1撮像部31による撮像の際の背景となるもので、その吸収面が第1撮像部41に対向している。第1撮像部41の光軸はドラム10の中心軸に垂直であるのが好ましく、第1吸収板51の吸収面は第1撮像部41の光軸に直交するのが好ましい。
【0017】
第2撮像部32は、ドラム10の内部に設けられ、ドラム10の所定領域に含まれる第2撮像領域上にある検査対象物9をドラム10の内部から撮像する。また、この第2撮像部32による撮像のために、第2照明部42がドラム10の内部に設けられているのが好適であり、第2吸収板52がドラム10の外部に設けられているのが好適である。第2照明部42はドラム10を通して検査対象物9を照明し、この照明に伴う検査対象物9からの散乱光を第2撮像部32が受光して撮像をする。第2吸収板52は、第2撮像部32による撮像の際の背景となるもので、その吸収面が第2撮像部42に対向している。第2撮像部42の光軸はドラム10の中心軸に垂直であるのが好ましく、第2吸収板52の吸収面は第2撮像部42の光軸に直交するのが好ましい。
【0018】
解析部60は、第1撮像部31および第2撮像部32それぞれによる撮像結果に基づいて、検査対象物9中における異物の有無を解析する。第1撮像部31,第2撮像部32および解析部60は、ドラム10から検査対象物9が落下する前に該検査対象物9中における異物の有無を検出する検出部を構成する。
【0019】
分離部70は、加圧エアーノズル71を含み、ドラム10から検査対象物9が落下する前に、加圧エアーノズル71によりドラム10の上方から検査対象物9に加圧エアーを吹き付けて、ドラム10から検査対象物9を分離させ落下させる。
【0020】
分別手段として作用する加圧エアーノズル81は、検出部による検出結果(すなわち、解析部60による解析結果)に基づいて、ドラム10から検査対象物9が落下しているときに、異物通過時に選択的に加圧エアーを噴射して、検査対象物9のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する。このとき、加圧エアーノズル81による加圧エアー噴射は解析部60からの指示に基づいて行われ、また、そのタイミングは種々の遅延時間が考慮されて決定される。異物を含む部分とは、異物のみであってもよいし、異物に加えて良品を含んでいてもよい。
【0021】
このような異物排除装置1において、第1撮像部31による第1撮像領域および第2撮像部32による第2撮像領域それぞれは、ドラム10の中心軸に平行なライン状の領域であるのが好ましい。なお、図2には、ライン状の第1撮像領域Lおよび第2撮像領域Lが示されている。
【0022】
ドラム10はガラスからなり、第1撮像部31および第2撮像部32それぞれは近赤外領域の光を受光して撮像するのが好ましい。また、第1撮像部31および第2撮像部32それぞれは、近赤外領域の光のスペクトルを取得することができるのが好ましい。このような第1撮像部31および第2撮像部32は、近赤外領域の光を分光する分光器(例えばプリズムや回折格子)と二次元受光素子とを備えて構成され、その二次元受光素子の受光面において特定方向が撮像位置を表し、特定方向に直交する方向が光の波長を表すようにすることで、実現され得る。
【0023】
第1撮像部31および第2撮像部32それぞれが近赤外光のスペクトルを取得して検査対象物9中の異物を検査することにより、可視光では異物を識別することができない場合であっても近赤外光では異物を識別することができて、異物検出能が向上する。また、ドラム10の内側および外側の双方から検査対象物9を撮像して検査対象物9中の異物を検査することにより、異物をより充分に検出することができる。
【0024】
また、ドラム10の表面のうち検査対象物9との間で滑りが生じない所定領域の第1撮像領域および第2撮像領域にある検査対象物9を撮像して異物を検査するので、ドラム10から自由落下している検査対象物9を撮像する場合と比較して、撮像および解析のための時間を充分に確保することができ、また、第1撮像部31および第2撮像部32として応答が遅い近赤外光用のものを用いることができる。
【0025】
ドラム10の表面のうち検査対象物9との間で滑りが生じない所定領域上に対象物供給部20が検査対象物9を供給するとともに、第1撮像部31,第2撮像部32がドラム10の上記所定領域に含まれる第1撮像領域上,第2撮像領域上にある検査対象物9を撮像するためには、ドラム10の外径が100mm以上であり、ドラム10の厚みが20mm以下であるのが好ましい。このようにすることで、上記所定領域,第1撮像領域および第2撮像領域を充分に確保することができ、また、ドラム10の内部に第2撮像部32および第2照明部42を配置する空間を充分に確保することができる。
【0026】
また、第1撮像部31によりドラム10の外側から検査対象物9を撮像するとともに、第2撮像部32によりドラム10の内側から検査対象物9を撮像するためには、図3(a)に示されるように、対象物供給部20はドラム10の頂上部に検査対象物を供給し、第1撮像部31はドラム10の中心軸を含む鉛直平面に対する角度が0°〜10°の方向を撮像し、第2撮像部32はドラム10の中心軸を含む鉛直平面に対する角度が10°〜20°の方向を撮像し、第1撮像部31および第2撮像部32それぞれの撮像方向の間の相対角度が5°以上であることが好ましい。このようにすることにより、第1撮像部31および第2撮像部32それぞれによる撮像の際の相互干渉が回避され得る。例えば、図3(b)に示されるように、第1撮像部31の撮像方向が8°であるとすると、第2撮像部32の撮像方向は13°〜20°の範囲にあることが好ましい。
【0027】
また、図2の斜視図に示されるように、対象物供給部20によるドラム10の頂上部への検査対象物9の供給が該頂上部ラインに沿った複数の位置に行われる場合には、分離部70はドラム10の中心軸に平行なライン上の各位置から検査対象物9に加圧エアーを吹き付けるのが好ましく、また、複数の供給位置に対応して複数の加圧エアーノズル81a〜81eが配置されることが好ましい。
【0028】
また、分離部70は、ドラム10の表面にある検査対象物9に対して加圧エアーを吹き付ける加圧エアーノズル71に加えて、該検査対象物9を除電する除電部72をも含むことも好ましい。この場合、図2に示されるように、検査対象物9を除電する位置またはラインLは、検査対象物9に対して加圧エアーを吹き付ける位置またはラインLに対して、ドラム10の表面上で上流側にあるのが好ましい。
【0029】
図4は、本実施形態に係る異物排除装置1の要部構成を示す側面図である。この図には、ドラム10の一部および分離部70が示されている。この図に示されるように、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けの方向は、ドラム10の頂上部からの角度θが20°以上のドラム10の表面上の位置に対して、その位置における接線に対する角度θが40°〜50°の範囲にあるのが好ましい。また、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けの圧力が0.1MPa以下であるのが好ましい。このようにすることにより、加圧エアー吹き付けによりドラム10の表面から検査対象物9を分離する際に、ドラム10の表面から検査対象物9が必要以上に浮き上がることが抑制され、ドラム10からの検査対象物9の落下の行路が安定するので、好都合である。
【0030】
図5および図6は、本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として吸引部82を備える場合の構成を示す図である。図5は側面図を示し、図6は斜視図を示す。分別手段として作用する吸引部82は、検出部による検出結果(すなわち、解析部60による解析結果)に基づいて、ドラム10から検査対象物9が落下しているときに、異物通過時に選択的に異物を吸引して、検査対象物9のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する。このとき、吸引部82による異物の吸引は解析部60からの指示に基づいて行われ、また、そのタイミングは種々の遅延時間が考慮されて決定される。異物を含む部分とは、異物のみであってもよいし、異物に加えて良品を含んでいてもよい。加圧エアーノズル81が異物を吹き飛ばすものであったのに対して、吸引部82は異物を吸引するものであり、両者は異物の回収方向の点で異なる。
【0031】
図7および図8は、本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として行路変更板83を備える場合の構成を示す図である。図7は側面図を示し、図8は斜視図を示す。分別手段として作用する行路変更板83は、検出部による検出結果(すなわち、解析部60による解析結果)に基づいて、ドラム10から検査対象物9が落下しているときに、異物通過時に選択的に異物の行路を機械的に変更して、検査対象物9のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する。このとき、行路変更板83による異物の行路変更は解析部60からの指示に基づいて行われ、また、そのタイミングは種々の遅延時間が考慮されて決定される。異物を含む部分とは、異物のみであってもよいし、異物に加えて良品を含んでいてもよい。
【0032】
次に、図1〜図4に示される構成の異物排除装置1を用いて行った実験の結果について説明する。図9は、本実施形態に係る異物排除装置1を用いて行った実験の結果を示すグラフである。ここでは、ドラム10の外径を400mmとし、ガラス10の材質をガラスとした。分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けの方向は、ドラム10の頂上部からの角度θが30°であるドラム10の表面上の位置に対して、その位置における接線に対する角度θを45°とした。また、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けの圧力を0.08MPaとした。検査対象物9としては、乾燥しているものと未乾燥のものとを用いた。また、ガラスからなるドラム10の表面がフッ素コーティングされている場合についても実験を行った。そして、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをした場合と、吹き付けをしない場合とで、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置(ドラム10の頂上部からの角度)を測定した。
【0033】
図9(a)は、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていない場合であって、検査対象物9として乾燥しているものを用いたときの結果を示す。図9(b)は、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていない場合であって、検査対象物9として未乾燥のものを用いたときの結果を示す。また、図9(c)は、ドラム10の表面がフッ素コーティングされている場合であって、検査対象物9として未乾燥のものを用いたときの結果を示す。
【0034】
図9(a)に示されるように、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていない場合であって、検査対象物9として乾燥しているものを用いたとき、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをしないと、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置が30°から70°までの範囲で分布したが、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをすることにより、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置は30°付近で安定した。
【0035】
図9(b)に示されるように、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていない場合であって、検査対象物9として未乾燥のものを用いたとき、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをしたときも、吹き付けをしないときも、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置は30°から90°までの範囲で分布した。
【0036】
図9(c)に示されるように、ドラム10の表面がフッ素コーティングされている場合であって、検査対象物9として未乾燥のものを用いたとき、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをしないと、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置が30°から60°までの範囲で分布したが、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをすることにより、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置は30°付近で安定した。
【0037】
これら図9(a)〜(c)から判るように、検査対象物9が乾燥したものであれば、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていなくても、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをすることにより、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置は安定するので、ドラム10からの検査対象物9の落下の行路も安定して、検査対象物9に含まれる異物が選択的に容易かつ確実に排除され得る。一方、検査対象物9が未乾燥のものであっても、ドラム10の表面がフッ素コーティングされていれば、分離部70の加圧エアーノズル71による加圧エアーの吹き付けをすることにより、ドラム10からの検査対象物9の落下開始位置は安定するので、ドラム10からの検査対象物9の落下の行路も安定して、検査対象物9に含まれる異物が選択的に容易かつ確実に排除され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係る異物排除装置1の構成を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る異物排除装置1の構成を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る異物排除装置1における第1撮像部31および第2撮像部32それぞれの撮像方向を説明する図である。
【図4】本実施形態に係る異物排除装置1の要部構成を示す側面図である。
【図5】本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として吸引部82を備える場合の構成を示す側面図である。
【図6】本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として吸引部82を備える場合の構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として行路変更板83を備える場合の構成を示す側面図である。
【図8】本実施形態に係る異物排除装置1において分別手段として行路変更板83を備える場合の構成を示す斜視図である。
【図9】本実施形態に係る異物排除装置1を用いて行った実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1…異物排除装置、10…ドラム、20…対象物供給部、31…第1撮像部、32…第2撮像部、41…第1照明部、42…第2照明部、51…第1吸収板、52…第2吸収板、60…解析部、70…分離部、71…加圧エアーノズル、72…除電部、81…加圧エアーノズル、82…吸引部、83…行路変更板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物中に混在する異物を検出して該異物を排除する装置であって、
円筒形状を有し水平な中心軸の周りに回転するドラムと、
前記ドラムの表面のうち前記検査対象物との間で滑りが生じない所定領域上に前記検査対象物を供給する対象物供給部と、
前記ドラムから前記検査対象物が落下する前に、前記検査対象物中における異物の有無を検出する検出部と、
前記ドラムから前記検査対象物が落下する前に、前記ドラムの上方から前記検査対象物に加圧エアーを吹き付けて、前記ドラムから前記検査対象物を分離させ落下させる分離部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記ドラムから前記検査対象物が落下しているときに、前記検査対象物のうち異物を含まない部分と異物を含む部分とに分別する分別手段と、
を備えることを特徴とする異物排除装置。
【請求項2】
前記分離部が、前記ドラムの中心軸に平行なライン上の各位置から前記検査対象物に加圧エアーを吹き付ける、ことを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項3】
前記分離部による加圧エアーの吹き付けの圧力が0.1MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項4】
前記分離部による加圧エアーの吹き付けの方向が、前記ドラムの頂上部から20°以上の前記ドラムの表面上の位置に対して、その位置における接線に対して40°〜50°の範囲にある、ことを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項5】
前記ドラムの表面がフッ素コーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項6】
前記分別手段が、前記ドラムから落下している異物に対して選択的に加圧エアーを吹き付けて該異物を排除する、ことを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項7】
前記分別手段が、前記ドラムから落下している異物に対して選択的に吸引して該異物を排除する、ことを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。
【請求項8】
前記分別手段が、前記ドラムから落下している異物に対して選択的に行路を機械的に変化させて該異物を排除する、ことを特徴とする請求項1に記載の異物排除装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−117262(P2010−117262A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291277(P2008−291277)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】