説明

異物検出方法および異物検出装置

【課題】液晶表示パネルの表面の押圧を一定にすることが可能な異物検出方法を提供すること。
【解決手段】一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーを、液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させることにより、基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルの基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法および異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやテレビなどの家電製品の表示部として、液晶表示パネルが広く用いられている。液晶表示パネルは、一般には薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板とカラーフィルタ(CF)基板とからなる一対の基板が所定の間隔を置いて平行に対向配置され、両基板間に液晶が充填された構成をなしている。TFTアレイ基板には複数の画素電極がマトリクス状に形成され、CF基板にはほぼ全面に共通電極が形成されており、これら電極間に印加する電圧を変化させることで、液晶を配向制御することができるようになっている。
【0003】
このような液晶表示パネルは、TFTアレイ基板およびCF基板をそれぞれ製作した後に、両基板を貼り合わせ、それら基板間に液晶を封止することにより製造される。通常、製造された液晶表示パネルは、点灯検査等の品質検査が行われる。
【0004】
点灯検査では、液晶表示パネルの背面から光を照射すると共に、TFTアレイ基板の画素電極とCF基板の共通電極にそれぞれ検査用の信号電圧を印加して全画素を点灯状態にすることにより、液晶表示パネルの表示画面に検査用画像を可視状態にして、作業者が目視等により欠陥画素の有無が検査される。
【0005】
この場合、TFTアレイ基板に形成されたソース電極、ゲート電極、画素電極と、CF基板に形成された共通電極との間に導電性の異物が混入して両電極間が短絡している場合は、点状や線状の表示欠陥として検出されることになる。
【0006】
このような点灯検査では、導電性異物の大きさがTFTアレイ基板の各電極とCF基板の共通電極の間隔を越えるものであれば両電極間が導電性異物により短絡した欠陥箇所を検出することができるが、導電性異物の大きさがTFTアレイ基板の各電極とCF基板の共通電極の間隔程度のものでは、導電性異物による両電極間の短絡が不安定で常時発生しない場合があり、このような導電性の異物が混入した箇所のライン状や点状の表示欠陥として検出することができないことがあった。
【0007】
このような点灯検査では検出されなかった導電性異物による両電極間の短絡が不安定な状態を有した液晶表示パネルが市場において表示欠陥を発生するおそれがある。
【0008】
そこで、これを改善するため、下記特許文献1に記載されるように、液晶表示パネルの表面を図6に示されるようなゴムローラ治具50で押圧して、上述した導電性異物により両電極間の短絡が不安点な状態から短絡させた状態にすることによって表示欠陥として顕在化させることが行われている。
【0009】
ゴムローラ治具50は、ブチルゴム等から構成される円柱状のローラ51と、このローラ51が回転可能に取り付けられたグリップ部52を備えている。点灯検査の際には、液晶表示パネルの表面にローラ51を転動させながら、そのローラ51の周りの液晶表示パネルの表面を斜め上方から観察することが行われる。
【0010】
図7は、導電性の異物が混入した液晶表示パネル30の断面構造を示した図である。図示されるようにTFTアレイ基板31は、可撓性のガラス基板32の上面に画素電極33がマトリクス状に形成された構成となっている。また、CF基板36は、同じく可撓性のガラス基板37の下面に共通電極38が形成された構成となっている。そして、これら両電極33,38間には、液晶34が封入されている。
【0011】
また、TFTアレイ基板31には複数本のゲート電極41と同じく複数本のソース電極42とが交差するように形成され、隣り合うゲート電極41,41と隣り合うソース電極42,42とで囲まれた領域にはそれぞれ上述した画素電極33が形成されている。更に、ゲート電極41とソース電極42の交差部近傍には薄膜トランジスタ(TFT)43が形成されている。
【0012】
TFT43はゲート電極41に印加されるゲート信号電圧によりオン・オフされて、ソース電極42からのソース信号電圧が半導体層44とドレイン電極45を介して画素電極33に印加されるようになっている。
【0013】
また、CF基板36には、上述したゲート電極41とソース電極42を遮光するように格子形状のブラックマトリクス46が形成されており、隣り合うブラックマトリクス46,46で囲まれた領域には、赤、青、緑等の着色層47が形成されている。
【0014】
図7に示されるように、何らかの理由により、導電性異物48が画素電極43上に混入してしまっている。この場合、導電性異物48の大きさは画素電極33と共通電極38の間の間隔程度の大きさを有している。
【0015】
図示されるように、この状態では導電性異物48による両電極33,38間の短絡は発生していないが、何らかの理由で導電性異物48の先端が共通電極38に接触すると両電極33,38間の短絡が発生するという不安定な状態となっている。
【0016】
このような導電性異物48による両電極33,38間の短絡が不安点な状態から両電極33,38間を短絡させた状態にするために上述したゴムローラ治具50で液晶表示パネル30の表面を押圧して両電極間33,38の間隔を狭めることにより、導電性異物48の先端が共通電極38に接触されて、両電極33,38間の短絡による表示欠陥を生じさせることができる。
【0017】
【特許文献1】特開昭63−293581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、ゴムローラ治具50を用いて液晶表示パネル30の表面を押圧することが作業者によって行われていたため、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じている。
【0019】
したがって、例えば同一の液晶表示パネルに対するゴムローラ治具50を用いた異物検出において、ある作業者による押圧では表示欠陥が発生しなくても、別の作業者による押圧では表示欠陥が発生する場合など、作業者の違いによるバラツキがあるため、異物検出の正確さが欠けていた。
【0020】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、液晶表示パネルの表面の押圧を一定にすることが可能な異物検出方法および異物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、前記液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーを、前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させることにより、前記基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させることを要旨とするものである。
【0022】
また、上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出装置であって、前記液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーと、該エア噴出バーを前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるバー移動手段とを備えたことを要旨とするものである。
【0023】
このような構成の異物検出方法および異物検出装置によれば、液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーを、液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させることにより、基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させるので、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じないことにより、液晶表示パネルの表面の押圧を再現性良く一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【0024】
この場合、前記エア噴出口からのエアの噴出が間欠的である構成にすれば、液晶表示パネルの表面を均一に押圧することができる。
【0025】
また、前記エア噴出口からのエアの噴出方向が前記液晶表示パネルの表面に対して所定角度傾斜されている構成にすれば、液晶表示パネルの表面に発生した表示欠陥がエア噴出バーによって隠れてしまうことが防止されるので、表示欠陥の視認性が向上する。更に、前記エア噴出バーから噴出されるエアによって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持ローラにより支持する構成にすれば、液晶表示パネルの裏面側への撓み過ぎによる破損を防止しつつ基板間の間隙を狭めることができるので、更に液晶表示パネルの異物による表示欠陥の顕在化が容易になる。
【0026】
また、前記支持ローラの表面が白色である構成にすれば、液晶表示パネルの表面に発生した表示欠陥が支持ローラの影によって遮られることが緩和されるので、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。更に、前記エア噴出バーが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されている構成にすれば、液晶表示パネルに表面に発生した縦または横の線状の表示欠陥の視認性が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る異物検出方法および異物検出装置によれば、エア噴出バーから噴出されるエアのエア圧によって液晶表示パネルの表面が押圧されるので、液晶表示パネルの表面の押圧をバラツキなく一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明に係る異物検出方法および異物検出装置の実施の形態ついて、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の説明においては、図8で説明した液晶表示パネル30を構成する部材と同一の構成については同符号を付して説明は省略する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る異物検出装置の概略構成を示した上面図、図2は図1の異物検出装置の側面図である。
【0030】
図1および図2に示されるように異物検出装置1には、液晶表示パネル30の画像表示領域30aが露出するように矩形状に開口された開口部2aを有して液晶表示パネル30が載置されるステージ2が備えられている。
【0031】
ステージ2の上側には、ステージ2に載置された液晶表示パネル30の表面をエア圧により押圧するエア噴出バー3が、ステージ2の上辺と下辺との間を跨ぐように設けられている。
【0032】
エア噴出バー3には、エアが噴出されるエア噴出口6a,6bが開口形成されたノズル5,5,5,・・・が長手方向に沿って複数配置されている。図2に示されるようにエア噴出口6a,6bからのエアの噴出方向が液晶表示パネル30の表面に対して所定角度傾斜されるように、ノズル5はエア噴出バー3の本体部4の下方に傾斜して取り付けられている。
【0033】
エア噴出バー3の本体部4の内部には、図示されるような2つの圧空通路7,8が形成されており、それぞれ一つおきに配置されたノズル5のエア噴出口6a,6bに接続されている。具体的には、ノズル5のエア噴出口6aに圧空通路7が接続され、その隣りのノズル5のエア噴出口6bに圧空通路8が接続されている。
【0034】
このような圧空通路7,8には、図示されるような空気圧回路9が接続されている。空気圧回路9は、圧縮エアの送出先を2方向に切り換え可能な切換バルブ10と、この切換バルブ10に接続された圧空バルブ11と、この圧空バルブ11に接続された圧空ポンプ12を備えている。切換バルブ10と圧空バルブ11の動作は制御部13により制御される。
【0035】
尚、圧空バルブ11と圧空ポンプ12との間には図示しない圧空レギュレータが設けられており、供給する圧縮エアの圧力が所定の圧力になるように一定に保たれている。
【0036】
また、切換バルブ10の一方の圧縮エアの送出先が、圧空通路7に接続され、他方の圧縮エアの送出先が、圧空通路8に接続されている。したがって、切換バルブ10の圧縮エアの送出先の切換動作によって、エア噴出口6a,6bからは交互にエアが噴出されることになる。この切換バルブ10の切換動作は制御部13により制御されている。
【0037】
尚、図1は、切換バルブ10により圧縮エアの送出先が圧空通路7に切り換えられて、エア噴出口6aからエアが噴出された状態を示しており、図3は、この図1の状態からエア噴出バー3が右方向に所定距離移動した後、切換バルブ10により圧縮エアの送出先が圧空通路8に切り換えられて、エア噴出口6bからエアが噴出された状態を示している。
【0038】
また、このような切換バルブ10の切換動作と共に、圧空バルブ11の開栓・閉栓動作が間欠的に制御部13によって制御されるようになっている。図4は、エア噴出口6a,6bから間欠的に噴出されたエアにより押圧される液晶表示パネル30の表面の部位27を示した図である。図示されるように、エア噴出口6a,6bから交互に噴出されたエアにより押圧される液晶表示パネル30の表面の部位27は、液晶表示パネル30の画像表示領域30aに対して均一になるように配置されている。
【0039】
エア噴出バー3に設けられたノズル5は、透明な樹脂により形成されている。このようにノズル5を透明な樹脂により形成することで、液晶表示パネル30の表面に発生した表示欠陥がノズル5によって隠れてしまうことが防止されて、表示欠陥の視認性が向上している。
【0040】
エア噴出バー3の本体部4の両端からは、それぞれ連結部15,15が突設されている。連結部15,15はそれぞれ支持ブラケット16,16に支持されている。尚、エア噴出バー3のノズル5から噴出されるエアの角度を調整できるように、連結部15,15を支持ブラケット16,16に取り付ける構成にすると良い。
【0041】
エア噴出バー3の両端を支持する支持ブラケット16,16は、ステージ2の上辺と下辺にそれぞれ設けられたベース部17,17の上面に取付固定されている。ベース部17,17は、ステージ2の上辺と下辺のそれぞれに沿って延びるように設けられたスライドレール18,18により、ステージ2の上辺と下辺のそれぞれに沿って左右に移動可能になっている。
【0042】
このベース部17,17には、モータ19,19が内蔵されており、このモータ19,19が制御部13によって駆動されると、ベース部17,17がスライドレール18,18に沿って左右方向へ移動されるようになっている。したがって、エア噴出バー3は、ベース部17,17によって液晶表示パネル30の表面に対して平行に移動されることになる。
【0043】
また、ステージ2の下側には、ステージ2に載置された液晶表示パネル30の裏面に当接して支持する表面が白色の支持ローラ20が設けられている。この支持ローラ20は、ステージ2の上辺と下辺との間でステージ2の開口部2aを跨ぐように設けられている。
【0044】
この場合、支持ローラ20の表面が白色であることにより、後述するバックライト24から照射される光による支持ローラ20の影によって、液晶表示パネル30の表面に発生した表示欠陥が遮られることが緩和されるようになっており、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。
【0045】
この支持ローラ20の両端からはそれぞれ支軸21,21が突設されている。支軸21,21は、それぞれ支持ブラケット22,22により回転自在に支持されている。
【0046】
支持ブラケット22,22は、ベース部17,17の下面に取付固定されており、ベース部17,17の移動に伴って左右に移動される。したがって、支持ローラ20は、液晶表示パネル30の裏面に当接しつつ転動されることになる。この場合、図示されるように支持ローラ20はエア噴出バー3から噴出されるエアによって押圧される液晶表示パネル30の表面に対応した裏面を支持するように設けられている。
【0047】
図2に示されるように異物検出装置1には、ステージ2に載置された液晶表示パネル30に向かって下方から光を照射するバックライト24が備えられている。また、ステージ2に載置された液晶表示パネル30の端部に形成された信号入力部に検査信号を入力する信号入力ピン25を有したフレーム26が備えられている。
【0048】
次に、このような構成の異物検出装置1の動作の手順について図1〜図4を用いて説明する。先ず、図1に示されるように異物検出装置1のステージ2上に液晶表示パネル30を載置する。このとき、液晶表示パネル30の表面の画像表示領域30aが、ステージ2の開口部2a内に位置するように載置される。
【0049】
次に、フレーム26を下降させて液晶表示パネル30の信号入力部に信号入力ピン25を接触させる。これにより図示しない検査信号を発生する回路と液晶表示パネル30の信号入力部が信号入力ピン25を介して電気的に接続された状態になる。
【0050】
そして、図2に示されるようにバックライト24を点灯させた状態で、液晶表示パネル30の信号入力部に検査信号を入力することにより、液晶表示パネル30の画像表示領域30aの全ての画素が可視状態にされる。
【0051】
次に、制御部13によりモータ19,19がそれぞれ駆動されると、ベース部17,17に両端が固定されたエア噴出バー3が右方向に移動される。
【0052】
制御部13により、圧空バルブ11が開栓されると共に、切換バルブ10による圧縮エアの送出先が圧空通路7に切り換えられると、図1に示されるようにエア噴出バー3のノズル5のエア噴出口6aからエアが噴出される。噴出されたエアのエア圧により液晶表示パネル30の表面が押圧される。このとき、液晶表示パネル30は、エア噴出口6aから噴出されたエアによるエア圧と支持ローラ20の上面との間に挟まれて、その基板31,36間の間隙が狭められることになる。
【0053】
この場合、ノズル5が透明な樹脂により形成されているので、噴出されたエアによる押圧の際に液晶表示パネル30の画像表示領域30aに発生した表示欠陥がノズル5によって隠れてしまうことが防止されており、表示欠陥の視認性が良くなっている。
【0054】
また、図2に示されるようにノズル5から噴出されるエアの噴出方向が液晶表示パネル30の表面に対して所定角度傾斜されているので、押圧された領域がノズル5の影になりにくくなっている。
【0055】
次に、制御部13によって圧空バルブ11が閉栓されると、エア噴出バー3のノズル5のエア噴出口6aからのエアの噴出がストップされる。
【0056】
次に、図1の状態からエア噴出バー3が右方向に所定距離移動した後、制御部13によって圧空バルブ11が再び開栓されると共に、切換バルブ10からの圧縮エアの送出先が圧空通路8に切り換えられると、図3に示されるようにエア噴出口6bからエアが噴出されて、液晶表示パネル30の表面が押圧される。
【0057】
このときも、液晶表示パネル30は、エア噴出口6bから噴出されたエアによるエア圧と支持ローラ20の上面との間に挟まれて、その基板31,36間の間隙が狭められることになる。
【0058】
このような切換バルブ10の切換動作と共に、圧空バルブ11の開栓・閉栓動作を間欠的に繰り返しながら、エア噴出バー3を液晶表示パネル30の左端部から右端部へと移動させると、図4に示されるようにエア噴出口6a,6bから間欠的に噴出されエアによ押圧された部位27が、液晶表示パネル30の画像表示領域30aの全面に亘って均一に配置されることになる。
【0059】
そして、このようなエア噴出バー3から噴出されたエアによって押圧されたとき、および押圧された後の液晶表示パネル30の検査画像を観察して、表示欠陥の有無を確認する。具体的には、図2の矢印18に示されるように、エア噴出バー3のノズル5の周りの液晶表示パネル30の表面を斜め上方から観察する。
【0060】
このとき図7に示されるように、液晶34に混入した導電性の異物48が、例えば画素電極33と共通電極38を短絡させる場合には点状の表示欠陥として検出される。
【0061】
また、導電性の異物48がゲート電極41と共通電極38を短絡させる場合には、横方向に延びる線状の表示欠陥として検出される。更に、導電性の異物48がソース電極42と共通電極38を短絡させる場合には、縦方向に延びる線状の表示欠陥として検出される。
【0062】
このように可視状態にされた液晶表示パネル30に表示された検査画像が作業者の目視により観察されて、その検査画像中に導電性の異物48が原因の点状の表示欠陥や線状の表示欠陥がある場合は不良品とされる。
【0063】
このような異物検出装置1では、液晶表示パネル30の表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口6a,6bが長手方向に複数配置されたエア噴出バー3を、バー移動手段(ベース部17,スライドレール18,モータ19等)によって液晶表示パネル30の表面に対して平行に移動させることにより、基板31,36間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させることが可能になっている。
【0064】
したがって、図6に示すゴムローラ治具50を用いて液晶表示パネル30の表面を押圧することが作業者によって行われる場合と比べて、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じず、液晶表示パネル30の表面の押圧を再現性良く一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【0065】
この場合、上述したようにエア噴出バー3に設けられた複数のエア噴出口6a,6bからのエアの噴出を間欠的にすれば、液晶表示パネル30の表面を均一に押圧することができる。
【0066】
また、エア噴出口6a,6bからのエアの噴出方向が液晶表示パネル30の表面に対して所定角度傾斜されているので、液晶表示パネル30の表面に発生した表示欠陥がエア噴出バー3やノズル5によって隠れてしまうことが防止され、表示欠陥の視認性が向上する。
【0067】
更に、エア噴出バー3から噴出されるエアによって表面が押圧される液晶表示パネル30の裏面が支持ローラ20により支持されているので、液晶表示パネル30の裏面側への撓み過ぎによる破損を防止しつつ基板31,36間の間隙を狭めることができ、更に液晶表示パネル30の異物による表示欠陥の顕在化が容易になっている。
【0068】
また、この支持ローラ20の表面が白色であるので、液晶表示パネル30の表面に発生した表示欠陥が支持ローラ20の影によって遮られることが緩和され、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、図5の変形例に示されるような、異物検出装置1に設けられたエア噴出バー3が、液晶表示パネル30の一辺に対して所定角度傾斜されている構成にしても良い。
【0070】
このようにすれば、上述したような液晶表示パネル30の一辺に対して平行にエア噴出バー3を設けた場合よりも、図示されるような液晶表示パネル30に表面に発生した縦の線状表示欠陥29の視認性が向上することになる。
【0071】
また、1本のエア噴出バー3と1本の支持ローラ20を備えた異物検出装置1について説明したが、これらの本数には限定されず、更に多くのエア噴出バー3と支持ローラ20を備えた構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示パネルの異物検出装置の概略構成を示した上面図である。
【図2】図1の異物検出装置を側方から見た側面図である。
【図3】図1の異物検出装置が備えるエア噴出バーが右方向に移動しつつエアを噴出した状態を示した図である。
【図4】図1の異物検出装置によって押圧された液晶表示パネルの部位を示した図である。
【図5】図1の異物検出装置の変形例を示した図である。
【図6】従来用いられてきた液晶表示パネルの表面を押圧するゴムローラ治具の概略構成を示した外観斜視図である。
【図7】液晶表示パネルの基板間に導電性異物が混入された状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 異物検出装置
2 ステージ
3 エア噴出バー
5 ノズル
6a,6b エア噴出口
7,8 圧空通路
9 空気圧回路
10 切換バルブ
11 圧空バルブ
12 圧空ポンプ
13 制御部
17 ベース部
18 スライドレール
19 モータ
20 支持ローラ
24 バックライト
25 信号入力ピン
26 フレーム
27 押圧部位
29 表示欠陥
30 液晶表示パネル
30a 画像表示領域
31 TFTアレイ基板
34 液晶
36 CF基板
48 導電性異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、前記液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーを、前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させることにより、前記基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させることを特徴とする異物検出方法。
【請求項2】
前記エア噴出口からのエアの噴出が間欠的であることを特徴とする請求項1に記載の異物検出方法。
【請求項3】
前記エア噴出口からのエアの噴出方向が前記液晶表示パネルの表面に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項1または2に記載の異物検出方法。
【請求項4】
前記エア噴出バーから噴出されるエアによって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持ローラにより支持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項5】
前記支持ローラの表面が白色であることを特徴とする請求項4に記載の異物検出方法。
【請求項6】
前記エア噴出バーが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項7】
一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出装置であって、前記液晶表示パネルの表面をエア圧により押圧するためのエアが噴出されるエア噴出口が長手方向に複数配置されたエア噴出バーと、該エア噴出バーを前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるバー移動手段とを備えたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項8】
前記エア噴出口からのエアの噴出方向が前記液晶表示パネルの表面に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項7に記載の異物検出装置。
【請求項9】
前記エア噴出口からのエアの噴出が間欠的であることを特徴とする請求項7または8に記載の異物検出装置。
【請求項10】
前記エア噴出バーから噴出されるエアによって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持する支持ローラを備える共に、該支持ローラが前記バー移動手段により前記液晶表示パネルの裏面に対して平行に移動されることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の異物検出装置。
【請求項11】
前記支持ローラの表面が白色であることを特徴とする請求項10に記載の異物検出装置。
【請求項12】
前記エア噴出バーが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−14425(P2010−14425A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172296(P2008−172296)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】