説明

異物検出装置

【課題】 テストピースの投入を伴う検出感度調整や選別確認作業を短時間で行なうことのできる異物検出装置を提供する。
【解決手段】 被検査物の搬送路11pwが形成された搬送パイプ11と、被検査物に含まれる異物を搬送方向所定位置で検出する異物検出手段12、13とを備えた異物検出装置において、被検査物が搬送路に供給される供給位置と前記検査位置との間の搬送パイプ11に装着され、検査位置11aより搬送方向上流側で搬送路11pwから分岐する分岐路51pwを形成するとともにテストピース投入口51eを形成する分岐パイプ51と、分岐路51pwを搬送路11pwに連通および遮断させるよう分岐パイプ51に装着されたバルブ52と、バルブ52が開弁したとき、投入口51eに投入されたテストピースを搬送路11pw側に付勢する付勢手段55とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送パイプで搬送される被検査物中の異物を検出する異物検出装置、特に、X線検出方式又は金属検出方式の検出手段を備えた異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異物検出装置としては、X線検出方式のものや金属検出方式のものが知られており、一般的にはコンベア搬送路の途中で異物検出を行なっているが、例えば流動性のある食品のような被検査物、あるいは水等の搬送用流体と混合して取り扱うようにした被検査物を、内部に管状搬送路を形成した搬送パイプ内を通して搬送するようにしたものがある。そのような異物検出装置、例えばX線異物検出装置では、その搬送経路中の所定検査位置で被検査物にX線を照射してそのときの透過X線量の分布を把握し、その透過X線量の分布状態から異物の存在を検出するようになっている。
【0003】
従来のこの種の異物検出装置としては、例えば特許文献1に記載のように、透過X線量の検出手段として複数のX線検出素子からなる1次元のマルチチャネルX線センサを搬送路と略直交するように配置し、被検査物の連続搬送中におけるこのX線センサの各チャネルの検出信号を異物検出用の閾値と比較して、異物の存在を所要の分解能で検出するようにしたものがある。また、この装置では、異物検出信号が出力されると、排出弁を作動させ、異物を含む被検査物を排出弁を通して外部に排出するようになっている。
【特許文献1】特許第2591171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような異物検出装置にあっては、検出手段による異物検出感度(異物検出精度)の確認や調整を行なう場合、搬送パイプ内に被検査物を給送する給送装置、例えば搬送用ポンプ等の吸込み口に、異物混入した不良品のサンプルやそれに代わるテストピース(以下、これらを総称してテストピースという)を吸入させて試験的に投入していた。
【0005】
そのため、特に異物検出装置から給送装置までの搬送距離が長い場合に、テストピースの投入から異物検出までに時間がかかり、更に異物の選別排出までのプロセスを確認する場合にはテストピースの搬送距離や搬送時間がより長くなるばかりか、テストピースが搬送系路中に詰まってしまうこともあった。
【0006】
したがって、テストピースを複数回搬送路に通して異物検出感度や選別排出を確認する必要がある場合、例えばメンテナンス時や被検査物の品種切換え時等における異物検出装置の調整に長時間を要し、前記詰まりが生じた場合には特に、装置の稼働率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題を解決すべくなされたもので、テストピースの投入を伴う検出感度調整や選別確認作業を短時間で行なうことのできる異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的達成のため、(1)被検査物を流動させて搬送する搬送路が内部に形成された搬送パイプと、前記搬送路を通して搬送される被検査物に含まれる異物を搬送方向における所定の検査位置で検出する異物検出手段と、を備えた異物検出装置において、前記被検査物が搬送路に供給される供給位置と前記検査位置との間の搬送パイプに装着され、前記搬送路の前記検査位置より搬送方向上流側で前記搬送路から分岐する分岐路を形成するとともに、所定のテストピースを投入する投入口を形成する分岐パイプと、前記分岐路を前記搬送路に連通および遮断させるよう前記分岐パイプに装着されたバルブと、前記バルブが開弁したとき、前記投入口に投入されたテストピースを前記搬送路側に付勢する付勢手段と、を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
この構成により、バルブの弁体が閉弁時の動作位置にあるとき、分岐路の投入口にテストピースが投入され、バルブの弁体が開弁動作したとき、付勢手段により付勢されたテストピースが搬送路中に移動し、搬送路中に確実に投入されることになる。また、供給位置と検査位置が離れている場合でもテストピースの搬送路中への投入位置は適宜設定可能である。したがって、検出手段による検査位置より上流側かつ検査位置の近くでテストピースの試験投入を行なうことが可能となる。
【0010】
なお、ここにいう異物検出手段は、例えばX線検出方式のものや磁界変化を検出する金属検出方式のものであるが、搬送パイプ内の異物を検出可能であれば、特にその検出方式が限定されるものではない。また、付勢手段は、テストピースを外力により搬送路側に移動させるものに限らず、テストピースの自重を利用して搬送路側に移動させるものでもよく、外力および自重の双方を付勢に利用するものでもよい。
【0011】
また、本発明の異物検出装置においては、(2)前記投入口に、前記投入口を閉塞および開放する閉塞部材が設けられ、前記投入口を開放したとき、前記テストピースの前記分岐路内への投入が可能となるのがよい。
【0012】
この構成により、テストピースの投入口が閉塞部材により閉塞され、搬送路内にテストピース以外の異物が入るのを防止することができるのみならず、搬送路側の圧力を閉塞部材で担持するので、分岐路の容積を最小限度に抑えることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の異物検出装置においては、(3)前記バルブの弁体が回動式であるとともに、該弁体に前記テストピースを保持可能な保持部が形成され、前記弁体が、閉弁状態であって前記保持部を前記投入口側に対面させる第1回動位置と、前記保持部を前記搬送路側に対面させる第2回動位置とのうち任意の位置をとるのが好ましい。
【0014】
このようにすると、搬送路と分岐路の間を第1回動位置の弁体により遮断してテストピースを弁体の保持部に保持させ、その保持部を搬送路側に対面させるように弁体を第2回動位置に回動させることで、テストピースを搬送路中に確実に投入することが可能となる。
【0015】
本発明の異物検出装置においては、また、(4)前記バルブの閉弁時に前記分岐路中の残留物を前記分岐路の外部に排出する排出手段を設けてもよい。
【0016】
この構成により、テストピースの投入に際して分岐路内の残留物が一緒に投入されたり、分岐路に残留した被検査物が劣化したりするのが未然に防止されることになる。なお、ここにいう残留物とは、保持孔内に残留した流動性の被検査物若しくは被検査物の搬送用流体等の残液である。
【0017】
本発明の異物検出装置においては、(5)前記付勢手段が、前記投入口から投入されたテストピースを前記バルブの開弁時に外力により前記搬送路中に移動させるものであってもよい。
【0018】
この構成により、テストピースの投入を適時により確実に行なうことが可能となる。
【0019】
本発明の異物検出装置は、さらに好ましくは、(6)前記付勢手段が、前記分岐路内に移動可能に挿入される押込み部材を有し、前記バルブが開弁したとき、該押込み部材が前記バルブの弁体に接近するよう操作されるようにしたものである。
【0020】
これにより、付勢手段を用いてテストピースを搬送路中に適時により確実に投入することが可能となる。
【0021】
また、(7)前記押込み部材が、前記バルブへの接近および離隔が可能な内端部、前記投入口を通る中間部および該内端部の前記バルブへの接近および離隔を操作するための操作部を有するのがよい。この構成により、付勢手段を簡素な押込み部材で構成することができる。
【0022】
さらに、(8)前記保持部が前記テストピースを収納可能な保持孔を形成するとともに、前記押込み部材が、該保持部に摺動可能に係合および離脱するピストン状に形成され、該押込み部材により前記搬送路に連通する保持部内の容積を縮小させながら、前記テストピースを前記搬送路中に移動させるようにしてもよい。
【0023】
このようにすると、例えば流動性のあるようなテストピースであっても、搬送路内に確実に投入可能となるとともに、被検査物やテストピースが押込み部材に付着し難くなる。
【0024】
さらに、本発明の異物検出装置は、(9)前記供給位置と前記検査位置との間の搬送路を形成する前記搬送パイプの一部に、搬送方向下流側ほど鉛直方向に高くなる上昇部分又は搬送方向下流側ほど鉛直方向に低くなる下降部分を設け、前記バルブを該上昇部分又は下降部分に配したものとすることができる。
【0025】
この場合、上昇区間又は下降区間を設けることで異物を検出する検査位置の高さにおける搬送パイプの水平方向長さが短縮されるから、検査ラインの短縮化または柔軟化が可能となる。また、これと相俟って、バルブの配置位置が上昇区間又は下降区間となるから、閉弁時における分岐路内の残留物の排出やテストピースの投入に適したバルブの配置姿勢を適宜選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、分岐路の搬送路からの分岐点位置を適宜設定して、検出手段による検査位置より上流側かつ検査位置の近くでテストピースの試験投入を行なうことができるので、テストピースの試験投入を伴う異物検出感度の調整や選別精度の確認作業を短時間で行なうことのできる異物検出装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を用いながら説明する。
【0028】
[第1の実施の形態]
図1〜図5は本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置の概略構成を示す図であり、本発明をX線異物検出装置に適用した例を示している。
【0029】
まず、その構成について説明する。
【0030】
図1において、内部に管状の搬送路11pwが形成された搬送パイプ11には図中の左方側から流動可能な被検査物(図示していない)が給送されるようになっており、この搬送パイプ11を通して被検査物を所定の流速で流動させながら連続的に搬送することができるようになっている。
【0031】
本実施形態では、被検査物は、例えばレトルト食品の具材のように流動性のあるもの、若しくは魚のすり身等のように伸展性のある食品、又は、貝の剥き身のような食品を水等の搬送用流体中に所定の希釈率で含んだものである。なお、ここでの稀釈率は、容量比であるが、質量から容量換算した比率又はその質量比率自体のいずれかを使用することができる。
【0032】
搬送パイプ11の近傍には、搬送パイプ11を通る被検査物にX線を照射するX線発生部12と、X線発生部12から被検査物に照射されその被検査物を透過したX線を検出するX線検出部13とが、搬送パイプ11を挟んで対向配置されている。これらX線発生部12およびX線検出部13は、異物検出手段を構成し、搬送パイプ11内の搬送路11pwを通して搬送される被検査物に含まれる異物をその搬送方向における所定の検査位置(図1中のハッチング部分)で検出するようになっている。また、この所定の検査位置に対応する搬送パイプ11の一部は、被搬送物を均一な所定の層厚に整形するとともにX線発生部12からのX線を透過させるX線検査部11aとなっており、このX線検査部11a若しくはその前後にわたって、搬送パイプ11は被検査物が安定して流れるよう水平配置されている。
【0033】
X線発生部12およびX線検出部13は、公知のものであるが、具体的には、X線発生部12は、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極の間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させてX線を発生させるX線管を含み、その下方のX線検出部13に向けて、X線を長手方向に沿った不図示のスリットを介し略三角形状のスクリーン状にして照射するようになっている。また、X線検出部13は、例えば複数のX線検出素子を搬送パイプ11の径方向に並設し所定解像度でのX線検出を行なうX線ラインセンサカメラで、画像処理可能な所定ビット数の検出信号を出力するようになっている。
【0034】
搬送パイプ11内の搬送路のうち前記検査位置より搬送方向下流側には、異物が混入した被検査物(以下、NG品ともいう)を前記検査位置から所定距離を隔てた搬送パイプ11の所定排出位置において搬送路外に排出する選別機、例えばバルブ型選別機14が設けられている。
【0035】
このバルブ型選別機14は、例えば回動アクチュエータ14aおよびこれにより駆動される三方ボール弁(詳細は図示していない)で構成され、その弁体が通常動作位置にあるときに搬送パイプ11内の検査位置側の搬送路をバルブ型選別機14より下流側の搬送路に連通させる良品搬送路11cと、前記弁体が通常動作位置から排出動作位置に回動するよう切り換えられたときに搬送パイプ11内の検査領域側の搬送路を外部に排出するNG排出路11dとを有している。
【0036】
X線検出部13からの検出信号に基づく異物検出処理やバルブ型選別機14の切り換え制御等は、制御回路30によって実行される。
【0037】
制御回路30は、X線検出部13からのX線検出信号を取り込んで所定の透過X線量分布描画のための画像処理や、検査領域の各区域で被検査物を透過した透過X線量の閾値判定等の処理を実行し、その処理結果に応じて被検査物中に異物が含まれているか否かを判別することで異物を検出する。そして、異物を検出すると、制御回路30は、バルブ型選別機14の排出動作の開始タイミングおよび保持時間を決定し、それに応じてバルブ型選別機14の弁体を開弁動作(通常動作位置から排出動作位置に回動)させ、保持し、更に閉弁動作させるようになっている。
【0038】
制御回路30は、具体的なハードウェア構成を図示していないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)および入出力インターフェース回路(以下、I/F回路という)を含んだ構成とすることができ、プログラマブルコントローラ等を含んだものでもよい。
【0039】
図4、5に示すように、被検査物は、製品受け箱41からモーター42aで駆動されるポンプ42により汲み出されて搬送パイプ11内に吐出供給され、X線検査部11aで検査された後、異物混入の有無に応じてバルブ型選別機14により搬送パイプ11の良品排出管部11cあるいはNG排出管部11dのいずれかに分配排出される。また、制御回路30は、バルブ型選別機14が異物を含むNG品の被検査物を搬送パイプ11の外部に排出するとき、その動作状態を所定表示形式の画面16への表示やプリント出力等の直接出力あるいは外部の表示器やプリンター類への情報出力(間接出力)を行なうようになっている。
【0040】
なお、図4中に示すように、搬送パイプ11のX線検査部11a、X線発生部12、X線検出部13、表示画面16等を支持する架台17は脚部高さ調整が可能であり、搬送パイプ11のX線検査部11aの近傍はX線遮蔽部材18で覆われている。また、X線遮蔽部材18を開放して搬送パイプ11のX線検査部11aを他の部分から分離させ、交換することが可能になっている。
【0041】
一方、搬送パイプ11のX線検査部11aよりも上流側には、テストピース投入部50が設けられている。
【0042】
このテストピース投入部50は、図2に示すように、X線検査部11aより搬送方向上流側で搬送パイプ11に一体的に装着された分岐パイプ51を有しており、この分岐パイプ51は、搬送パイプ11内の搬送路11pwから分岐する分岐路51pwを形成している。この分岐路51pwが搬送路11pwから分岐する分岐点(図2中のB)の位置は、搬送路11pwの中に被検査物が供給される供給位置(図4中のAの位置)とX線検査部11a(検査位置)との間で、検査位置側にある。
【0043】
より具体的には、テストピース投入部50は、例えば上流側通路部11bの下流端部に位置する上昇部分11hの直後(図4参照)に配置されており、分岐パイプ51は、一端側でX線検査部11aの近傍かつ上流側の搬送パイプ11に連結され、搬送パイプ11内の搬送路(以下、本線搬送路ともいう)11pwから分岐する分岐路(以下、支線搬送路ともいう)51pwを形成している。また、分岐パイプ51の他端部はテストピース投入口51eを形成しており、この投入口51eからテストピースを分岐路51pw内すなわち分岐パイプ51内に投入できるようになっている。なお、投入口51eは、例えば搬送用流体と共に搬送される被検査物を試験的に検査するような場合には、良品サンプルの投入口となる。
【0044】
また、分岐パイプ51には本線搬送路11pwと支線搬送路(分岐路)51pwの間の連通・遮断を切換え可能なバルブ52が収装されており、分岐パイプ51の投入口51eは通常運転時においてはこのバルブ52によって本線搬送路11pw側から遮断されるようになっている。
【0045】
具体的には、図3に示すように、バルブ52は、例えばバタフライ弁で構成されており、分岐パイプ51の基端側に支持された回動中心軸52cと、この回動中心軸52cを介して分岐パイプ51内で開弁および閉弁方向に回動可能に支持された弁体52aと、弁体52aと液体密に嵌合できるよう分岐パイプ51に一体的に装着されたブッシュシール部52b(詳細は図示していない)とを有している。このバルブ52は、弁体52aが回動中心軸52c回りに回動する回動式であるとともに、その弁体52aの片面側にテストピースを保持可能な保持面部52dが形成され、この保持面部52dが弁体52aの回動によって、投入口51eと搬送路11pwとのうち任意の一方側に対面するようになっている。すなわち、弁体52aは、閉弁状態であって保持面部52dを投入口51e側に対面させる第1回動位置と、保持面部52dを搬送路11pw側に対面させる第2回動位置とのうち任意の位置をとることができる。なお、弁体52aの保持面部52dは必ずしも平坦でなくともよく、テストピースの保持性能を高めるよう受け皿状の凹部を設けたものでもよい。
【0046】
さらに、バルブ52の回動中心軸52cは本線搬送路11pwの軸線と直交するように向けられており、バルブ52の開弁時には、開弁位置の弁体52aがその直前(上流側)の管内流体圧を高め、その直後(下流側)の管内流体圧を降下させる作用を生じさせ、弁体52aの直前で分岐路51pw内に流入し、弁体52aの直後で分岐路51pwから流出する流体流れを生じさせて、分岐路51pw内への流体導入(充填)や投入したテストピースの本線搬送路11pwへの移動を容易・確実にするようになっている。
【0047】
分岐パイプ51の開口端部には蓋状の閉塞部材53が着脱可能に設けられている。この閉塞部材53は、分岐パイプ51に装着されることで投入口51eを液体密に閉塞する一方、投入口51eから離脱することで投入口51eを開放するようになっており、バルブ52の分岐路51pwのうちバルブ開閉位置より外方側の部分51a内に前記テストピースを投入することができるようになっている。
【0048】
具体的には、閉塞部材53は、例えば分岐パイプ51の外端部にねじ結合する雌ねじ部(図示していない)が内周部に形成されたスカート部53aと、投入口51eに対面する蓋部53bとを有するものであり、投入口51eに接する蓋部53bの内面若しくはその近傍には閉塞部材53と分岐パイプ51の間の隙間を封止する図示しないシール部材が装着されている。なお、閉塞部材53は、投入口51eへの着脱が可能ならば、分岐パイプ51にヒンジ結合されたものや、チェーン結合されたものであってもよいし、キャップ状の蓋形状に限らず、栓状のもの等でもよいが、閉塞部材の分岐パイプ51へのねじ結合や係止を分岐パイプ51の外周側でなすのがよい。
【0049】
分岐パイプ51内にはピストン状の押込み部材55がバルブ52に接近および離隔可能に設けられており、この押込み部材55は、バルブ52の弁体52aが開弁したとき、分岐路51pwのバルブ開閉位置より外方側に投入されたテストピースを外力により前記本線搬送路11pwの中に強制的に移動させることができる付勢手段となっている。なお、図2に例示した態様においては、投入口51eをバルブ52の保持面部52dより上方に配置し、開弁時に投入口51eから開弁したバルブ52を通して真っ直ぐに本線搬送路11pwにテストピースを自重落下させ得る略鉛直の連通路を構成する配置をとっており、これも付勢手段の一部を構成している。
【0050】
押込み部材55は、また、バルブ52が開弁したときのその弁体52aに接近するよう操作され、弁体52aの上半分を先端側の略半円形の凹部55aに収納するとともに、バルブ52が設置された分岐パイプ51の内周部に摺動可能に嵌合するようになっている。さらに、押込み部材55は、この接近動作によって、本線搬送路11pwに連通する分岐路内の容積を縮小するとともに、投入されたテストピースを本線搬送路11pw内に搬入することができる。
【0051】
さらに、押込み部材55は、バルブ52の弁体52aの保持面部52dに接近するとき、分岐路51pwの基端側に所定閉止位置で分岐路51pwを内外に仕切り、本線搬送路11pwに連通する内側部分の容積を縮小させ、前記テストピースが分岐路51pw内に滞留している場合にこれを本線搬送路11pw中に強制的に投入(搬入)する機能を有する。また、押込み部材55は、押込み方向の操作力が解除されると、本線搬送路11pw側の流体圧によって後退側に付勢され、あるいは復帰操作力によって再度投入口51e側に後退し、閉塞部材53によってその復帰位置を規定されるようになっている。
【0052】
このような押込み部材55は、バルブ52への接近および離隔が可能なピストン状の内端部55b、投入口51eを通る丸棒状の中間部55c、および、その内端部55bのバルブ52への接近および離隔を手動操作可能にするための把手状の操作部55dで構成されている。
【0053】
また、分岐パイプ51のバルブ開閉位置よりわずかに外側には、分岐路51pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分51aに残った被検査物若しくは搬送用流体(以下、残液ともいう)を分岐路51pwの外部に排出する排出手段として、開閉可能な排出用開閉蓋57が設けられている。この排出用開閉蓋57については、詳細は図示していないが、閉塞部材53のようなキャップ状のものでよいし、これに代わる雄ねじ付プラグ若しくは開閉バルブでもよい。分岐路51pwの外側部分51a内の残液の排出動作については後述する。
【0054】
次に、動作について説明する。
【0055】
上述のように構成された本実施形態の異物検出装置では、被検査物が、製品受け箱41からポンプ42により汲み出されて搬送パイプ11内に吐出供給され、搬送パイプ11のX線検査部11a内でX線発生部12からのX線を照射される。そして、その透過X線量がX線検出部13で検出され、異物混入の有無がチェックされる。
【0056】
すなわち、X線発生部12から検査領域内の被検査物に均一にX線が照射され、検査領域の幅方向の各区域において被検査物からの透過X線量がラインセンサであるX線検出部13によって検出され、その所定ビット数の検出信号に基づいて制御回路30内の判定部(図示していない)の画像処理回路で所定の画像処理が実行され、異物混入の有無が判定される。
【0057】
そして、その判定結果に応じて、バルブ型選別機14の空圧アクチュエータが駆動され、異物混入のない被検査物は搬送パイプ11の良品排出管部11cから良品受け箱43に搬出され、異物の混入した被検査物はNG排出管部11dから搬送系の外部に分配排出される。
【0058】
一方、上述のような通常運転に先立って、あるいは、品種切換えや搬送パイプ11のX線検査部11a付近のパイプ交換に際して、異物検出感度の調整等を行なう場合には、テストピース投入部50から被検査物を投入して試験的な検査が行なわれる。
【0059】
図3(a)および図3(b)は、このテストピース投入部50によるテストピース投入の一連の手順を示している。
【0060】
図3(a)に示すように、まず、バルブ52が開弁状態とされ、分岐路51pw内に通常の被検査物又は搬送用流体が充填される(同図中(1));ハッチング部が流体である)。そして、この充填工程が完了すると、バルブ52の弁体52aが図中反時計方向に回動されてバルブ52が閉弁され、本線搬送路11pwと分岐路51pwとが仕切られた状態となる(同図中(2))。この状態で、閉塞部材53が分岐パイプ51の投入口51eから離脱するよう開放され(同図中(3))、テストピースが分岐路51pw内に投入され、その後、閉塞部材53が分岐パイプ51の投入口51eを閉塞するように、再度分岐パイプ51に取り付けられる(同図中(4))。なお、図3では、閉塞部材53および分岐パイプ51のうちバルブ開閉位置より投入口51e側を導入部とし、バルブ開閉位置および搬送路11pw側を投入部として、それらの開閉状態を附記している。
【0061】
次いで、図3(b)に示すように、バルブ52の弁体52aが図中時計方向に回動され、分岐路51pw内と本線搬送路11pwの間での流体の移動が可能な開弁状態にされた後(同図中(5))、押込み部材55が押し込まれ、分岐路51pwのバルブ開閉位置より外方側にテストピースが滞留していた場合でもそのテストピースを前記本線搬送路11pwの中に強制的に移動させる操作(搬入)がなされる(同図中(6))。すなわち、押込み部材55のバルブ52への接近動作によって、テストピースを含んだ本線搬送路11pw側の分岐路内の容積が縮小するとともに、テストピースが本線搬送路11pw内に確実に投入される。
【0062】
次いで、この押込み部材55は、押込み方向の操作力が解除され、更に、本線搬送路11pw側の流体圧によって後退側に付勢され、あるいは復帰操作力によって再度投入口51e側に戻される(同図中(7))。そして、押込み部材55が投入口51eを閉止すると、バルブ52が閉弁され、本線搬送路11pwと分岐路51pwとが仕切られた状態となった後に、分岐路51pw内の残液が排出用開閉蓋57(又は開閉プラグ等)の開放によって外部に排出される(同図中(8))。なお、この排出に際しては、排出用開閉蓋57を周辺部の一部を支点として回動させるなどして分岐路51pwをその容積を増減させることなく開放するか、閉塞部材53又は排出用開閉蓋57に逆止弁を設けて外部からの空気の導入を可能にするようにしてもよい。
【0063】
上述のような本実施形態においては、バルブ52の弁体52aが閉弁時の動作位置にあるとき、分岐路51pwの投入口51eにテストピースが投入され、バルブ52の弁体が開弁動作したとき、押込み部材55等の付勢手段により付勢されたテストピースが搬送路11pw中に移動し、投入されることになる。したがって、分岐路51pwの本線搬送路11pwからの分岐点位置(図2中のB)を適宜設定して、検出手段による検査位置より上流側かつ検査位置の近くでテストピースの試験投入を行なうことが可能となり、テストピースを用いた検査や調整の時間が短縮されることになる。
【0064】
また、テストピースの投入口51eが閉塞部材53により閉塞され、搬送路11pw内にテストピース以外の異物が入るのを防止することができるのみならず、付勢手段を支持させたり搬送路11pw側から分岐路51pw側への被検査物の流入(逆流)を抑えたりすることが可能となる。また、搬送路11pw側の圧力を閉塞部材53で担持するので、分岐路51pwの容積を最小限度に抑えることが可能となる。
【0065】
さらに、搬送路11pwと分岐路51pwの間をバルブ52により適宜遮断しながら、テストピースを弁体52aの保持部52dに保持させ、その保持部52dを搬送路11pwに対面させるように弁体52を回動させることで、テストピースを搬送路11pw中に確実に投入することができる。
【0066】
しかも、テストピースの投入後に分岐路51pwのうちバルブ開閉位置より外側部分51aに残留した残液を排出用開閉蓋57等を開放して排出させるようにしているので、テストピースの投入に際し以前の残液が一緒に投入されてしまったり、分岐路51pwの外側部分51aに残留した被検査物が劣化したりするのを未然に防止することができる。
【0067】
また、テストピースを搬送路中に適時に確実に投入することが可能な付勢手段を、簡素な押込み部材で構成することができ、流動性のあるようなテストピースであっても、搬送路内に確実に投入可能となる。
【0068】
[第2の実施の形態]
図6および図7は本発明の第2の実施の形態に係る異物検出装置を示す図であり、図6にその腰部概略構成を、図7にそのテストピース投入手順を示している。
【0069】
なお、以下に説明する実施形態は、上述の第1の実施形態におけるテストピース投入部50に代えて以下に述べるテストピース投入部を設けたものであり、その要部の構成を除き、上述した第1の実施形態とほぼ同一の構成を有している。したがって、上述の実施形態と同一の構成要素については、図1〜5に示された記号番号を用いて詳細な説明を省略若しくは簡略にし、上述の実施形態と類似の構成要素については図1〜5に示されたものと下2桁が同一の記号番号を用いて説明する。
【0070】
まず、その要部の構成について説明する。
【0071】
図6に示すように、本実施形態のテストピース投入部70は、X線検査部11aより搬送方向上流側で搬送パイプ11に一体的に装着された分岐パイプ151を有しており、この分岐パイプ151は、搬送パイプ11内の搬送路11pwから分岐する分岐路151pwを形成している。この分岐路151pwが搬送路11pwから分岐する分岐点(図6中のB)は、搬送路11pwの中に被検査物が供給される供給位置(図4中のAの位置)とX線検査部11a(検査位置)との間で、検査位置側に位置する。
【0072】
より具体的には、図7(a)、図7(b)に示すように、テストピース投入部70は、例えば上流側通路部11bの下流側に位置する上昇部分11hに配置されており、分岐パイプ151は搬送パイプ11の上昇部分11hにほぼ水平に連結され、本線搬送路11pwから分岐する分岐路151pwを形成している。上昇部分11hは、搬送方向下流側ほど鉛直方向高さが高くなるが、前後の搬送パイプ11の設置高さや配管経路に応じて搬送方向下流側ほど鉛直方向高さが低くなる下降部分としてもよい。
【0073】
また、図6に示すように、分岐パイプ51の他端部はテストピース投入口151eを形成しており、この投入口151eからテストピースを分岐路151pw内、すなわち分岐パイプ151内に投入できるようになっている。
【0074】
また、分岐パイプ151には本線搬送路11pwと分岐路151pwの間の連通・遮断を切換え可能なバルブ72が収装されており、分岐パイプ151の投入口151eは通常運転時においてはこのバルブ72によって本線搬送路11pw側から遮断されるようになっている。
【0075】
バルブ72は、具体的には、図6に示すように、例えば3方ボール弁で構成されており、分岐パイプ151に回動可能に支持された回動中心軸72cと、この回動中心軸72cを介して分岐パイプ151内で開弁および閉弁方向に回動可能に支持された球状の弁体72aと、弁体72aを回動可能に保持するよう分岐パイプ151に一体的に結合された弁座部72b(詳細は図示していない)とを有している。このバルブ72は、弁体72aが回動中心軸72c回りに回動する回動式であるとともに、その弁体72aにテストピースを保持可能な保持孔部72d、72eが形成され、両保持孔部72d、72eが全体として3方で開口したT字形の孔を形成している。そして、弁体72aの回動によって、保持孔部72dおよび保持孔部72eからなる保持孔の1つ開口が、投入口151eと搬送路11pwとのうち任意の一方に選択的に対面し連通し得るようになっている。具体的には、弁体72aは、保持孔部72dと保持孔部72eの双方を投入口151eに連通させる一方で投入口151eと搬送路11pwの間を遮断する第1の切換え位置(図6に示す閉弁時のバルブ動作位置;第1回動位置)と、この第1の切換え位置から図6中時計方向に90度回動して保持孔部72eにより投入口151eと搬送路11pwを連通させる第2の切換え位置(開弁時のバルブ動作位置;第2回動位置)とに、切換え操作される。
【0076】
分岐パイプ151の開口端部には蓋状の閉塞部材53が着脱可能に設けられている。この閉塞部材53は、分岐パイプ151に装着されることで投入口151eを液体密に閉塞する一方、投入口151eから離脱することで投入口151eを開放するようになっており、バルブ72の分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外方側の部分151a内にテストピースを投入することができるようになっている。なお、閉塞部材53自体の形状や分岐パイプ151への取り付け構造は第1の実施形態について説明した通りである。
【0077】
分岐パイプ151内には先端面が略平坦なピストン状の押込み部材75がバルブ72に接近および離隔可能に設けられており、この押込み部材75は、バルブ72の弁体72aが開弁位置に回動したとき、分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分151a内に投入されたテストピースを、外力によって本線搬送路11pwの中に移動させることができる。この押込み部材75は、次のようなテストピース投入経路の配置と共に、テストピースを外力および自重により本線搬送路11pwの中に付勢し移動させる付勢手段を構成している。すなわち、図6に例示した態様においては、投入口151eをバルブ72の保持孔部72d、72eより上方に配置し、開弁時に投入口151eから保持孔部72eを通して真っ直ぐに本線搬送路11pwにテストピースを移動させ得る通路配置をとっている。なお、分岐パイプ151は投入口151eの高さが本線搬送路11pwとの接続高さ程度以上の高さであればその向きは問われないが、図示のような水平姿勢を選択した場合には押込み部材75は単独で付勢手段となり、テストピースの自重による付勢はないことになる。
【0078】
押込み部材75は、バルブ72が開弁したときのその弁体72aに接近するよう押込み操作され、第2の切換え位置にある弁体72aの保持孔部72e内に摺動可能に嵌合するようになっている。
【0079】
また、押込み部材75は、バルブ72の弁体72aの保持孔部72e内に押し込まれるとき、分岐路51pwを内外に仕切るとともに、本線搬送路11pwに連通する内側部分の容積を縮小させ、前記テストピースが分岐路51pw内に滞留している場合にこれを本線搬送路11pw中に強制的に、すなわち外力を加えて投入することができる。また、押込み部材75は、前記テストピースの投入直後に押込み方向の操作力が解除されると、本線搬送路11pw側の流体圧によって後退側に付勢され、あるいは復帰操作力によって、再度投入口151e側に後退し、閉塞部材53により復帰位置を規定され停止する。
【0080】
このような押込み部材75は、バルブ72への接近および離隔が可能なピストン状の内端部75a、投入口151eを通る丸棒状の中間部75b、および、その内端部75aの保持孔部72eへの係合および離脱を手動操作可能にするための把手状の操作部75cで構成されている。
【0081】
また、分岐パイプ151のバルブ開閉位置よりわずかに外側には、分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分151aに残った残液を分岐路151pwの外部に排出する排出手段として、排出用開閉蓋57又はこれに代わるねじ付プラグ若しくは開閉バルブが設けられている。さらに、図7に示す設置姿勢におけるバルブ72の上部側(図6中の左方側)には図示しないエアーブリード用のバルブが設けられており、閉塞部材53の閉蓋状態で分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分151aに搬送流体や被検査物が導入又は排出されるときには、そのエアーブリード用バルブを介して外部に余計な空気が放出され又は外部から導入されるようになっている。
【0082】
次に、テストピース投入部70から被検査物を投入して試験的な検査を行なう際の手順について説明する。
【0083】
図7(a)および図7(b)は、このテストピース投入部70によるテストピース投入の一連の手順を示している。
【0084】
図7(a)に示すように、まず、バルブ72が閉弁状態となっている状態、すなわち、本線搬送路11pwと分岐路151pwとが仕切られた状態で、閉塞部材53が分岐パイプ51の投入口51eから離脱するよう開放される(同図中(1))。なお、分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分151aは清浄に保たれているものとする。
【0085】
次いで、テストピースが分岐路151pw内に投入された後(同図中(2))、閉塞部材53が再度分岐パイプ151の投入口151eを閉塞するよう分岐パイプ151に取り付けられる(同図中(3))。
【0086】
次いで、バルブ72が開弁状態とされると、所定供給圧で供給されている被検査物又は搬送用流体が分岐路151pw内に流入し、充填される(同図中(4))。なお、このとき、前記エアーブリードバルブを介して、分岐路151pwのうちバルブ開閉位置より外側の部分151aに残っていた空気が外部に放出される(図中破線矢印)。
【0087】
次いで、図7(b)に示すように、押込み部材75が押し込まれ、分岐路151pw内のバルブ開閉位置より外方側にあったテストピースを本線搬送路11pwの中に強制的に移動させる操作がなされる(同図中(5))。すなわち、図7(b)の押し込み段階5)に示すように、押込み部材75のバルブ72への接近動作によって、テストピースを含んだ本線搬送路11pw側の分岐路内の容積が縮小するとともに、テストピースが本線搬送路11pw内に確実に投入される。
【0088】
次いで、この押込み部材75は、押込み方向の操作力を解除され、更に、本線搬送路11pw側の流体圧によって後退側に付勢され、あるいは復帰操作力によって再度投入口151e側に戻される(同図中(6))。なお、この際、エアーブリードバルブを介して残留空気は外部に放出される。そして、押込み部材75が投入口151e内に戻ると、バルブ72が閉弁され、本線搬送路11pwと分岐路151pwとが仕切られた状態となった後に、分岐路51pw内の残液が閉塞部材53および排出用開閉蓋57(又は開閉弁等)のうち少なくとも一方の開放によって外部に排出される(同図中(7))。なお、テストピース投入部70を使用しないときには、押込み部材75は必要に応じて内方に押し込んでおくことができ、上述の一連のテストピース投入工程は押込み部材75の押し込み段階(5)までで終了することもできるが、戻し段階(6)および残液排出段階(7)によって本線搬送路11pw側からの搬送用流体を流出させることで、テストピース投入経路の確実な洗浄等が実行できる。
【0089】
このように、本実施形態においては、バルブ72の弁体72aが閉弁時の動作位置にあるとき、分岐路151pwの投入口151eにテストピースが投入され、バルブ72の弁体72aが開弁動作したとき、付勢手段により付勢されたテストピースが本線搬送路11pw中に移動し、搬送路11pw中に投入される。したがって、分岐路151pwの本線搬送路11pwからの分岐点位置Bを適宜設定して、X線検出部13による検査位置より上流側かつその検査位置(X線検査部11a)の近くでテストピースの試験投入を行なうことが可能となり、被検査物の供給位置と検査位置が離れている場合でも、テストピースを用いた検査や調整の時間が大幅に短縮されることになる。
【0090】
さらに、搬送路11pwと分岐路151pwの間をバルブ72により適宜遮断しながら、テストピースを弁体72aの保持孔部72d、72eに収納・保持させ、その保持孔を搬送路11pwに連通させるように弁体72aを回動させることで、テストピースを本線搬送路11pw中に確実に投入することができる。
【0091】
また、テストピースの投入口151eが閉塞部材53により閉塞され、搬送路11pw内にテストピース以外の異物が入るのを防止することができるのみならず、押込み部材75を支持させたりバルブ72の開弁時に本線搬送路11pw側から分岐路151pw側への被検査物の流入を抑えたりすることが可能となる。また、搬送路11pw側の圧力を閉塞部材53で担持するので、分岐路151pwの容積を最小限度に抑えることが可能となる。
【0092】
また、テストピースを搬送路11pw中に適時に確実に投入することが可能な付勢手段を、簡素な押込み部材75で構成することができ、流動性のあるようなテストピースであっても、搬送路11pw内に確実に投入することができる。
【0093】
なお、上述した搬送パイプ11へのバルブ72の装着姿勢は、図6、図7に示すように弁体72aの回動中心軸72cが搬送パイプ11と直交するものに限らないことはいうまでもなく、例えば弁体72aの回動中心軸72cが搬送パイプ11と平行になる姿勢を採用することもできるし、傾斜させた姿勢でもよい。
【0094】
[第3の実施の形態]
図8は本発明の第3の実施の形態に係る異物検出装置を示す図である。
【0095】
まず、その要部の構成について説明する。
【0096】
図8に示すように、本実施形態のテストピース投入部80は、X線検査部11aより搬送方向上流側で搬送パイプ11に一体的に装着された分岐パイプ251を有しており、この分岐パイプ251は、搬送パイプ11内の搬送路11pwから分岐する分岐路251pwを形成している。この分岐路251pwが搬送路11pwから分岐する分岐点(図8中のB)は、搬送路11pwの中に被検査物が供給される供給位置(図4中のAの位置)とX線検査部11a(検査位置)との間で、検査位置側に位置する。
【0097】
より具体的には、図8に示すように、テストピース投入部80は、例えば上流側通路部11bの下流側に位置する上昇部分11hに配置されており、分岐パイプ251は搬送パイプ11の上昇部分11hにほぼ水平に連結され、本線搬送路11pwから分岐する分岐路251pwを形成している。また、分岐パイプ251はL字形に屈曲しており、この分岐パイプ251の下端側の角部に押し込み部材75の着脱可能な取り付け穴251dが設けられ、押し込み部材75がバルブ72の弁体72a内に進入および退避可能に装着されている。
【0098】
また、分岐パイプ251の上端部251fは弁体72aのほぼ真上に位置するとともに上端で開口した投入口251eを形成している。そして、この投入口251eからテストピースを分岐路251pw内、すなわち分岐パイプ251内に投入し、自重で沈んだテストピースがバルブ72の保持孔部72e内に導入されるようになっている。
【0099】
バルブ72は、上述の実施形態と同様に構成されており、分岐パイプ251内で本線搬送路11pwと分岐路251pwの間の連通・遮断を切換えることができ、分岐パイプ251の投入口251eは通常運転時においてはこのバルブ72によって本線搬送路11pw側から遮断される。
【0100】
すなわち、バルブ72の弁体72aは回動中心軸72c回りに回動する回動式であるとともに、その弁体72aにはテストピースを保持可能な保持孔部72d、72eが形成され、両保持孔部72d、72eが全体として3方で開口したT字形の孔を形成している。そして、弁体72aの回動によって、保持孔部72dおよび保持孔部72eからなる保持孔の1つ開口が、投入口251eと搬送路11pwとのうち任意の一方に選択的に対面し連通し得るようになっている。
【0101】
なお、投入口251eを閉塞する着脱可能な蓋部材を設けてもよいし、分岐パイプ251の上端部251fを着脱可能な透明円筒体で構成したり、上端部251fに外部から分岐路251pw内の液面高さを目視できるようにする透明な窓を形成したりすることもできる。
【0102】
このような本実施形態の動作時には、まず、バルブ72を開弁させて分岐路251pw内に本線搬送路11pw側からの被検査物又は搬送用流体を導入し(図7の開弁動作と同様なバルブ動作位置)、分岐路251pw内の液面高さが所定高に達した段階であるいは安定した後、図8に示すように、バルブ72を一端閉弁させてテストピースを投入口251eから分岐路251pw内に投入する。なお、ここでバルブ72を一旦閉弁するのはテストピースの投入タイミングを以後の押し込み段階でのみ確実に行なうためであり、必ずしも閉弁する必要はない。すなわち、弁体72aを図7の開弁動作と同様なバルブ動作位置にしたままでテストピースを投入口251eから投入することもできる。
【0103】
次いで、押込み部材75が押し込まれ、分岐路251pw内のバルブ開閉位置より外方側にあったテストピースを本線搬送路11pwの中に強制的に移動させる操作がなされる(図7中の押し込み段階5)と同様)。
【0104】
その後、押込み部材75を取付け穴251d内に戻す場合には、その戻し動作に次いでバルブ72が閉弁され、本線搬送路11pwと分岐路251pwとが仕切られた状態となった後に、分岐路51pw内の残液が閉塞部材53および排出用開閉蓋57(又は開閉弁等)のうち少なくとも一方の開放によって外部に排出される(図7中の残液排出動作7)と同様)。勿論、この残液排出段階を押し込み部材75の押し込み後にそのまま行ない、押し込み部材75を戻さない(例えばロックする)ようなことも考えられる。
【0105】
本実施形態においても、上述の各実施の形態と同様に、分岐路251pwの投入口251eにテストピースが投入され、バルブ72の弁体が開弁動作したとき、押込み部材75(付勢手段)により付勢されたテストピースが搬送路11pw中に移動し、投入されるから、異物検出手段であるX線検査位置より上流側かつ検査位置の近くでテストピースの試験投入を行なうことができ、テストピースを用いた検査や調整の時間を短縮可能な異物検出装置を提供することができる。
【0106】
なお、上述の各実施形態は、テストピース投入部を1つ設けた場合であったが、テストピース投入部を複数設けることがでいるのは言うまでもない。また、そのような場合に、搬送パイプの一部にバルブ開閉可能なバイパス搬送路を設けておき、テストピース投入時には、そのバイパス搬送路を搬送パイプの一部とすることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明したように、本発明は、分岐路の搬送路からの分岐点位置を適宜設定して、異物検出手段による検査位置より上流側かつ検査位置の近くでテストピースの試験投入を行なうことができるので、テストピースの試験投入を伴う異物検出感度の調整や選別精度の確認作業を短時間で行なうことのできる異物検出装置を提供することができるという効果を奏するものであり、搬送パイプ内を流動する被検査物中の異物を検出する異物検出装置全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置の要部正面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置におけるテストピース投入手順を説明する説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置の全体の概略構成を示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る異物検出装置の全体の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る異物検出装置の要部正面断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る異物検出装置におけるテストピース投入手順を説明する説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る異物検出装置の要部正面断面図である。
【符号の説明】
【0109】
11 搬送パイプ
11a X線検査部(検査位置)
11h 上昇部分(上昇区間)
11pw 搬送路
12 X線発生部(異物検出手段)
13 X線検出部(異物検出手段)
30 制御回路(制御部)
50、70、80 テストピース投入部
51、151、251 分岐パイプ
51a、151a、251a 外側部分
51e、151e、251e テストピース投入口
51pw、151pw、251pw 分岐路
52、72 バルブ
52a、72a 弁体
52c、72c 回動中心軸
52d 保持面部(保持部)
53 閉塞部材
55、75 押込み部材(付勢手段)
55b、75a 内端部
55c、75b 中間部
55d、75c 操作部
57 排出用開閉蓋(排出手段)
72d、72e 保持孔部(保持孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を流動させて搬送する搬送路(11pw)が内部に形成された搬送パイプ(11)と、
前記搬送路を通して搬送される被検査物に含まれる異物を搬送方向における所定の検査位置で検出する異物検出手段(12,13)と、を備えた異物検出装置において、
前記被検査物が搬送路に供給される供給位置と前記検査位置との間の搬送パイプに装着され、前記搬送路の前記検査位置より搬送方向上流側で前記搬送路から分岐する分岐路(51pw;151pw;251pw)を形成するとともに、所定のテストピースを投入する投入口(51e;151e;251e)を形成する分岐パイプ(51;151;251)と、
前記分岐路を前記搬送路に連通および遮断させるよう前記分岐パイプに装着されたバルブ(52;72)と、
前記バルブが開弁したとき、前記投入口に投入されたテストピースを前記搬送路側に付勢する付勢手段(55;75)と、を設けたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記投入口に、該投入口を閉塞および開放する閉塞部材(53)が設けられ、
前記投入口を開放したとき、前記テストピースの前記分岐路内への投入が可能となることを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記バルブの弁体(52a;72a)が回動式であるとともに、該弁体に前記テストピースを保持可能な保持部(52d;72d,72e)が形成され、
前記弁体が、閉弁状態であって前記保持部を前記投入口側に対面させる第1回動位置と、前記保持部を前記搬送路側に対面させる第2回動位置とのうち任意の位置をとることを特徴とする請求項1又は2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記バルブの閉弁時に前記分岐路中の残留物を前記分岐路の外部に排出する排出手段(57)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記付勢手段(55;75)が、前記投入口から投入されたテストピースを前記バルブの開弁時に外力により前記搬送路中に移動させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記付勢手段が、前記分岐路内に移動可能に挿入される押込み部材(55;75)を有し、前記バルブが開弁したとき、該押込み部材が前記バルブの弁体に接近するよう操作されることを特徴とする請求項5に記載の異物検出装置。
【請求項7】
前記押込み部材が、前記バルブへの接近および離隔が可能な内端部(55b;75a)、前記投入口を通る中間部(55c;75b)および該内端部の前記バルブへの接近および離隔を操作するための操作部(55d;75c)を有することを特徴とする請求項6に記載の異物検出装置。
【請求項8】
前記保持部が前記テストピースを収納可能な保持孔(72d,72e)を形成するとともに、
前記押込み部材が、該保持部に摺動可能に係合および離脱するピストン状に形成され、該押込み部材により前記搬送路に連通する保持部内の容積を縮小させながら、前記テストピースを前記搬送路中に移動させるようにしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の異物検出装置。
【請求項9】
前記供給位置と前記検査位置との間の搬送路を形成する前記搬送パイプの一部に、搬送方向下流側ほど鉛直方向に高くなる上昇部分(11h)又は搬送方向下流側ほど鉛直方向に低くなる下降部分を設け、
前記バルブを該上昇部分又は下降部分に配したことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−145380(P2006−145380A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335957(P2004−335957)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】