説明

異物検査装置

【課題】異物がガラス壜の壜底部にある場合、異物を確実に検出することができる異物検査装置を提供する。
【解決手段】ガラス壜1の上方に配置されガラス壜1の上方からガラス壜1内を照明する照明2と、ガラス壜1の下方に配置されガラス壜1の底部1aを透過した透過光を撮影する撮像手段3とを備え、ガラス壜1の底部1aと撮像手段3との間に、半径方向内側と半径方向外側にそれぞれ逆円錐面を有し、半径方向内側の逆円錐面の下端に環状の開口部4cを形成した逆円錐状レンズ4を設け、照明2からガラス壜の肩部1sを介してガラス壜1内に入射した光をガラス壜1の内壁面で複数回反射させた後にガラス壜の底部1aを透過させ、ガラス壜の底部1aを透過した光の一部を逆円錐状レンズ4の半径方向内側および外側の2つの逆円錐面4a,4bを介して撮像手段3に入射させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検査装置に係り、特に飲料等の液体が充填されたガラス壜の底部又は底部付近に異物が沈殿しているか否かを光学的に検査する異物検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス壜に飲料等の液体を充填した後に壜の底部又は底部付近に異物が沈殿しているか否かの検査を行っている。一般に、壜底異物検査装置においては、ガラス壜の上方からガラス壜内を照明し、ガラス壜の下方からCCDカメラによりガラス壜の底部を透過した透過光を撮影し、得られた画像を画像処理装置により処理して壜の底部又は底部付近に存在する異物を検出している。この場合、CCDカメラによる画像中では壜底部に沈殿した異物は明るい背景の中に暗い影となって映り、この暗い影を判別することにより異物を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−202300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、ガラス壜の底部又は底部付近に異物が沈殿しているか否かを光学的に検査するために、ガラス壜の上方からガラス壜内を照明し、ガラス壜の底部をCCDカメラにより撮影した画像を示す図である。図5に示すように、CCDカメラによる画像中には、壜のキャップに対応した中央部の円形の暗い画像部分と、中央部の円形の暗い画像部分の周囲にある円輪状の明るい画像部分と、この円輪状の明るい画像部分の外側にあって暗い画像部分と明るい画像部分とがまだら模様になった円輪状のまだら状画像部分と、このまだら状画像部分の外側にあって壜底外周のナーリングに沿ってできるギザギザ模様の画像部分を含む円輪状の明るい画像部分とが形成されている。
【0005】
図5に示す画像中、壜底外周のナーリングに沿ってできるギザギザ模様の画像部分の外側にある円形の太い実線(矢印で指す)は、検査領域を示すためのものであって、この円形の太い実線の内側の領域が検査領域である。図5に示すような画像について、画像処理装置により処理して壜の底部又は底部付近に存在する異物を検出する場合に、壜底外周のナーリングに沿ってできるギザギザ模様の画像部分を含む円輪状の明るい画像部分の中に異物がある場合には、明るい背景の中に暗い影となって映るので、この暗い影を判別することにより異物を検出できる。
しかしながら、前記ギザギザ模様の画像部分を含む円輪状の明るい画像部分の内側にある円輪状のまだら状画像部分に異物がある場合には、異物による暗い画像部分なのか、まだら模様による暗い画像部分なのかを峻別することができない。この円輪状のまだら状画像部分は、画像中、比較的広い範囲に亘っているために、壜底部に沈殿した異物を検出することができない場合が多くあった。
なお、壜のキャップに対応した中央部の円形の暗い画像部分の中に異物がある場合も異物を検出することはできない。
【0006】
本発明者らは、このまだら状画像部分が形成される原因を究明するために種々の実験を行うとともに実験結果の解析を進めた結果、以下の知見を得たものである。
図6は、照明からの光がガラス壜内に入射し、ガラス壜を透過した光がCCDカメラにより撮影される場合の光路を示す図である。図6においては、図5に示す画像中のまだら状画像部分が形成される光路を示している。すなわち、照明2からの光の一部はガラス壜1の肩部1sを透過してガラス壜内に入射し、ガラス壜内に入射した光の一部はガラス壜の底部1aを透過しCCDカメラ3に入射する。ガラス壜の肩部は曲面になっているため、肩部の肉厚は不均一になりがちであり、さらにガラス壜の肩部がなだらかな曲線を描いて傾斜しているためガラス壜の曲面によるレンズ効果によって、CCDカメラ3によって撮影された画像(図5)には、円輪状のまだら状画像が広範囲にわたって写し出されている。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、背景の画像部分と異物の画像部分との明暗が明瞭な画像を得ることができ、かつ異物が壜底部のどの部分にある場合であっても、異物を確実に検出することができる異物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の異物検査装置は、液体が充填されたガラス壜の底部に異物があるか否かを検査する装置において、ガラス壜の上方に配置されガラス壜の上方からガラス壜内を照明する照明と、ガラス壜の下方に配置されガラス壜の底部を透過した透過光を撮影する撮像手段とを備え、前記ガラス壜の底部と前記撮像手段との間に、半径方向内側と半径方向外側にそれぞれ逆円錐面を有し、前記半径方向内側の逆円錐面の下端に環状の開口部を形成した逆円錐状レンズを設け、前記照明からガラス壜の肩部を介してガラス壜内に入射した光をガラス壜の内壁面で複数回反射させた後にガラス壜の底部を透過させ、ガラス壜の底部を透過した光の一部を前記逆円錐状レンズの半径方向内側および外側の2つの逆円錐面を介して前記撮像手段に入射させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、照明からの光はガラス壜の肩部を透過してガラス壜内に入射する。ガラス壜内に入射した光の一部は、ガラス壜の内壁面で反射を繰り返した後にガラス壜の底部を透過する。ガラス壜の底部を透過した光の一部は、逆円錐状レンズの半径方向内側および外側の2つの逆円錐面を透過および反射をして撮像手段に入射する。本発明によれば、半径方向内側および外側の2つの逆円錐面を有した逆円錐状レンズを用いることにより、ガラス壜の壜底部を撮像手段により斜め下方から撮像する撮像系となり、そのため、撮像手段は、ガラス壜の肩部から入射してガラス壜の内壁面で反射を繰り返して斜め下方に進行し、壜底部を斜め下方に透過した光を撮像することになる。この場合、照明からの光がガラス壜の肩部を透過する際には、肩部の肉厚の不均一性や肩部の斜めに傾斜した複雑な曲面等の影響を受けて透過光の強度は均一でなくむらがあるが、この透過光がガラス壜の内壁面で反射を繰り返す間に反射光の強度が徐々に均一化されるようになる。そのため、この反射光を撮像手段により撮像すると、一様な明るさの画像部分になる。したがって、壜底部に異物がある場合には、異物は一様な明るさの背景の中に暗い影となって映り、異物を明瞭に識別することができる。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記逆円錐状レンズは、ガラス壜底部の全面を透過した光を受光して前記撮像手段に導くように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、逆円錐状レンズの半径方向内側の逆円錐面に、ガラス壜底部の全面からの透過光を入射させることができるため、ガラス壜底部の異物を確実に検出することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記撮像手段は、前記ガラス壜の底部を透過した光は、前記半径方向内側の逆円錐面を透過して前記半径方向外側の逆円錐面で反射し、前記半径方向外側の逆円錐面からの反射光は前記半径方向内側の逆円錐面の内面側で反射し、前記半径方向内側の逆円錐面からの反射光が前記撮像手段に入射することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記撮像手段は、前記逆円錐状レンズの環状の開口部を通過した光を撮像した内側の画像部分と前記逆円錐状レンズの半径方向内側の逆円錐面に入射した光を撮像した外側の画像部分とを1つの画像中に形成し、前記外側の画像部分のみを検査領域とすることを特徴とする。
本発明によれば、逆円錐状レンズを介して結像させた均一な明るさの画像部分を検査領域とすることができる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記撮像手段の光軸と前記逆円錐状レンズの半径方向内側の逆円錐面上の母線に対する垂線とのなす角度は30°から60°であることを特徴とする。
本発明によれば、所定角度の逆円錐面を有した逆円錐状レンズを用いることにより、照明からガラス壜の肩部を透過した透過光がガラス壜の内壁面で反射を繰り返しガラス壜の底部に到達し、ガラス壜の底部を透過した透過光を逆円錐状レンズにより撮像手段に導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)本発明によれば、半径方向内側および外側の2つの逆円錐面を有した逆円錐状レンズを用いることにより、ガラス壜の壜底部を撮像手段により斜め下方から撮像する撮像系となり、照明からの光がガラス壜の肩部を透過し、この透過光がガラス壜の内壁面で反射を繰り返す間に反射光の強度が徐々に均一化されるようになるため、この反射光を撮像手段により撮像すると、一様な明るさの画像部分になり、壜底部に異物がある場合には異物は一様な明るさの背景の中に暗い影となって映り、壜底部に存在する異物を明瞭に識別することができる。
(2)本発明によれば、ガラス壜の壜底部の全面から透過した透過光を逆円錐状レンズにより撮像手段に導くことができるため、異物が壜底部のどこにあっても、例えば、中央部にあっても異物を確実に検出することができる。
(3)本発明によれば、ガラス壜を回転させたり、カメラを多数設置しなくても、1つの撮像手段(カメラ)で壜底部全体の検査が可能になる。したがって、ガラス壜を搬送するための構成を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の異物検査装置の基本構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1の要部拡大図であり、ガラス壜の壜底部を透過した透過光とコーンレンズとの関係を示す図である。
【図3】図3は、図1に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。
【図4】図4は、ガラス壜を直線搬送しながら異物検査を行うことができる異物検査装置の具体的構成を示す図であり、異物検査装置の正面図である。
【図5】図5は、ガラス壜の上方からガラス壜内を照明し、ガラス壜の底部をCCDカメラにより撮影した画像を示す図である。
【図6】図6は、照明からの光がガラス壜内に入射し、ガラス壜を透過した光がCCDカメラにより撮影される場合の光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る異物検査装置の実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。図1乃至図4において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は本発明の異物検査装置の基本構成を示す模式図である。図1において、符号1は飲料等の液体が充填されたガラス壜である。ガラス壜1にはキャップ(又は王冠)1cが打栓されている。ガラス壜1は、円形断面を有し、底部外周に凹凸部からなるナーリングを有している。ガラス壜1の上方には、ガラス壜1の上方からガラス壜内を照明する照明2が配置されている。照明2は多数のLEDを配列することにより構成されている。ガラス壜1の下方には、ガラス壜1の底部を透過した透過光を撮影するCCDカメラ3が配置されている。また、ガラス壜1の壜底部1aとCCDカメラ3との間には、コーンレンズ4が配置されている。コーンレンズ4は、半径方向内側にある逆円錐面である内側逆円錐面4aと半径方向外側にある逆円錐面である外側逆円錐面4bとを有した逆円錐状レンズからなり、内側逆円錐面4aの半径方向内側に環状の開口部4cが形成されている。
【0017】
ガラス壜1の中心とコーンレンズ4の中心は、CCDカメラ3の光軸3x上に位置している。CCDカメラ3は、CCDカメラで得られた画像を処理する画像処理装置(図示せず)に接続されている。ここで、CCDカメラ3は撮像手段を構成している。
【0018】
次に、図1に示すように構成された異物検査装置の作用を説明する。
照明2からの光はガラス壜1の肩部1sを透過してガラス壜1内に入射し、ガラス壜1の内側から壜底部1aを透過する。コーンレンズ4の内側逆円錐面4aの最外端部は、ガラス壜1の底部外周部と半径方向に概略同一か半径方向外側まで延びており、コーンレンズ4の内側逆円錐面4aの傾きはガラス壜1の底部を透過した光を入射させることができるようになっている。図1における角度θ、すなわちCCDカメラ3の光軸3xとコーンレンズ4の内側逆円錐面4aの母線に対する垂線とのなす角度θは、約30°から60°になるように設定されている。このように設定することにより、ガラス壜1の肩部1sを透過し、ガラス壜の内壁面で反射を繰り返して壜底部を透過した透過光をコーンレンズ4の内側逆円錐面4aに入射させるようにすることができる。また、コーンレンズ4の環状の開口部4cは、後述するように所定範囲内に制限されている。図1に示すように、照明2からガラス壜1の肩部1sに入射した光の一部は、ガラス壜1の内壁面で反射を繰り返して壜底部1aに到達し、壜底部1aを透過した光の一部はコーンレンズ4の内側逆円錐面4aに入射する。そして、コーンレンズ4の内側逆円錐面4aに入射した光は、コーンレンズ4の内側逆円錐面4aを透過してレンズ内に入射し、その後外側逆円錐面4bで反射する。外側逆円錐面4bからの反射光は内側逆円錐面4aの内面側で反射し、内側逆円錐面4aからの反射光はCCDカメラ3に入射して撮影される。なお、光路L0のようにガラス壜1の肩部1sから壜底部1aを透過して直接CCDカメラ3に入射する光もある。
【0019】
図2は、図1の要部拡大図であり、ガラス壜1の壜底部1aを透過した透過光L1,L2,L3,L4とコーンレンズ4との関係を示す断面図である。以下の説明において、図2に示す断面図を基準に右側、左側などを用いて説明する。
ガラス壜1の壜底部1aを透過した透過光のうちL1,L2について述べると、左側の最外端部からの透過光L1はコーンレンズ4の右側の内側逆円錐面4aに入射して内側逆円錐面4aを透過し、外側逆円錐面4bで反射しその反射光が内側逆円錐面4aの内面側下端部で反射し、この反射光はCCDカメラ3に入射して撮影される。また、壜底部1aを透過した透過光のうち、透過光L2はコーンレンズ4の右側の内側逆円錐面4aの上部に入射して内側逆円錐面4aを透過し、外側逆円錐面4bで反射しその反射光が内側逆円錐面4aの内面側で反射し、この反射光はコーンレンズ4内を進みコーンレンズの外側逆円錐面4bの下端部からCCDカメラ3に入射して撮影される。
透過光のL3,L4についても同様であり、右側の最外端部からの透過光L3はコーンレンズ4の左側の内側逆円錐面4aに入射して内側逆円錐面4aを透過し、外側逆円錐面4bの下端部で反射しその反射光が内側逆円錐面4aの内面側下端部で反射し、この反射光はCCDカメラ3に入射して撮影される。また、透過光L4はコーンレンズ4の左側の内側逆円錐面4aの上部に入射して内側逆円錐面4aを透過し、外側逆円錐面4bで反射しその反射光が内側逆円錐面4aの内面側で反射し、この反射光はコーンレンズ4内を進みコーンレンズの外側逆円錐面4bの下端部からCCDカメラ3に入射して撮影される。
【0020】
コーンレンズ4の内側逆円錐面4a及び外側逆円錐面4bによって、ガラス壜1の最外端部から透過した透過光L1,L3がそれぞれコーンレンズ4の内側逆円錐面4aに入射して内側逆円錐面4aを透過し、外側逆円錐面4bで反射しその反射光が内側逆円錐面4aの内面側で反射して、これらの反射光がCCDカメラ3に入射するようにしている。この条件を満たすようにコーンレンズ4の環状の開口部4cは、所定の大きさになるように決められる。さらに壜底部の最外端から内側に向かって半径以上の範囲からの透過光をコーンレンズ4の内側逆円錐面4aで受光できるようにコーンレンズ4の形状が決められている。このように、壜底部の最外端から内側に向かって半径以上の範囲からの透過光をコーンレンズ4の内側逆円錐面4aで受光できるようになっているため、壜底部の全域を透過した光をコーンレンズ4を介してCCDカメラ3に導くことができる。したがって、ガラス壜1の壜底部1aに存在する異物は、異物がどこにあってもCCDカメラ3の画像中に映る。
【0021】
壜底部1aに遮光性異物が存在する場合には、壜底部1aを透過した光の一部は、異物により遮光されるので、この異物に対応した位置からCCDカメラ3に入射する光は存在しない。そのため、CCDカメラ3で得られた画像中では所定の明るさの背景の中に暗い点(または領域)となって映る。一方、異物がガラス片等の透光性異物であっても、異物に入射した光は異物を透過する間に光が減衰されるので、CCDカメラ3で得られた画像中では、異物に対応した部分は、所定の明るさの背景の中にこの背景よりも薄ぼんやりと暗い点(または領域)となって映る。
【0022】
図3は、図1に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。図3に示すように、CCDカメラ3による画像中には、壜のキャップに対応した中央部の円形の暗い画像部分と、中央部の円形の暗い画像部分の周囲にある円輪状の明るい画像部分と、この円輪状の明るい画像部分の外側にあって暗い画像部分と明るい画像部分とがまだら模様になった円輪状のまだら状画像部分と、この円輪状のまだら状画像部分の外側にあって壜底外周のナーリングに沿ってできるギザギザ模様の画像部分と、このギザギザ模様の画像部分の外側にあって一様な明るさの円輪状の明るい画像部分とが形成されている。図3に示す画像中、壜底外周のナーリングに沿ってできるギザギザ模様の画像部分の内側にある円形の太い実線と、ギザギザ模様の画像部分の外側にあって一様な明るさの円輪状の明るい画像部分の外側にある円形の太い実線とにより囲まれた環状の領域は検査領域を示している。
【0023】
前記内外の円形の太い実線で囲まれた検査領域においては、壜底部の外側と内側が逆に写っている。すなわち、図2で示された光路から明らかなように、壜底外周に沿ったナーリングは円の内部に写り、このナーリング部から検査領域の外周部に向かっている部分が壜底部の半径方向外側から内側に向かった部分に該当している。画像中の最外周縁の画像部分は、壜の中心付近の画像部分である。このように検査領域において内側と外側が逆に写った画像をそのまま画像処理してもよいし、反転するように画像処理してもよい。
図3に示す画像中、環状の検査領域の内側にある画像部分は、コーンレンズ4を介さずCCDカメラ3により直接壜底部1aを撮影した画像部分である(図1の光路L0を参照)。この画像部分は、暗い画像部分と明るい画像部分とが混在したまだら状画像部分を含んでいるが、検査領域外であるため異物検査には支障はない。
【0024】
次に、図1乃至図3に示す基本概念を具体化した装置であって、ガラス壜1を直線搬送しながら異物検査を行うことができる異物検査装置について説明する。
図4は、ガラス壜1を直線搬送しながら異物検査を行うことができる異物検査装置の具体的構成を示す図であり、異物検査装置の正面図である。図4に示すように、異物検査装置は、ガラス壜1を直線搬送する左右一対の搬送装置10,10を備えており、ガラス壜1は、1対の搬送装置10,10の搬送ベルト11,11により胴部が挟持された状態で紙面と直交する方向に搬送されるようになっている。搬送ベルト11,11は、搬送方向の前後に設けられた一対のプーリ(図示せず)にそれぞれ巻回されており、プーリが回転することにより、搬送ベルト11,11はガラス壜1を挟持した状態で同一速度で走行するようになっている。
【0025】
ガラス壜1の搬送経路の上方には、ガラス壜1の上方からガラス壜内を照明する照明2が配置されている。ガラス壜1の下方には、ガラス壜1の壜底部1aを透過した透過光を撮影するCCDカメラ3が配置されている。また、ガラス壜1の壜底部1aとCCDカメラ3との間には、コーンレンズ4が配置されている。
【0026】
図4に示す装置において、液体が充填されたガラス壜1は、一対の搬送ベルト11,11により挟持されて搬送されている間に、照明2の下方およびCCDカメラ3の上方を通過する。ガラス壜1が照明2の下方およびCCDカメラ3の上方を通過する間に、ガラス壜1内が照明され、壜底部1aがCCDカメラ3により撮影される。この撮影時の光路は図2と同様であり、画像は図3と同様である。
【0027】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1 ガラス壜
1a 壜底部
1s 肩部
2 照明
3 CCDカメラ
4 コーンレンズ
4a 内側逆円錐面
4b 外側逆円錐面
4c 開口部
10 搬送装置
11 搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填されたガラス壜の底部に異物があるか否かを検査する装置において、
ガラス壜の上方に配置されガラス壜の上方からガラス壜内を照明する照明と、
ガラス壜の下方に配置されガラス壜の底部を透過した透過光を撮影する撮像手段とを備え、
前記ガラス壜の底部と前記撮像手段との間に、半径方向内側と半径方向外側にそれぞれ逆円錐面を有し、前記半径方向内側の逆円錐面の下端に環状の開口部を形成した逆円錐状レンズを設け、
前記照明からガラス壜の肩部を介してガラス壜内に入射した光をガラス壜の内壁面で複数回反射させた後にガラス壜の底部を透過させ、ガラス壜の底部を透過した光の一部を前記逆円錐状レンズの半径方向内側および外側の2つの逆円錐面を介して前記撮像手段に入射させるようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記逆円錐状レンズは、ガラス壜底部の全面を透過した光を受光して前記撮像手段に導くように構成されていることを特徴とする請求項1記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記ガラス壜の底部を透過した光は、前記半径方向内側の逆円錐面を透過して前記半径方向外側の逆円錐面で反射し、前記半径方向外側の逆円錐面からの反射光は前記半径方向内側の逆円錐面の内面側で反射し、前記半径方向内側の逆円錐面からの反射光が前記撮像手段に入射することを特徴とする請求項1又は2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記逆円錐状レンズの環状の開口部を通過した光を撮像した内側の画像部分と前記逆円錐状レンズの半径方向内側の逆円錐面に入射した光を撮像した外側の画像部分とを1つの画像中に形成し、前記外側の画像部分のみを検査領域とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段の光軸と前記逆円錐状レンズの半径方向内側の逆円錐面上の母線に対する垂線とのなす角度は30°から60°であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42366(P2012−42366A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184528(P2010−184528)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】