説明

異物粒子分離装置、および被処理流体浄化システム

【課題】特に微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子の被処理流体からの除去効率を向上させる。
【解決手段】被処理流体が旋回下降流動する円筒状の流路には、被処理流体を内周側と外周側とに分流させる分離円筒11が設けられている。この分離円筒11には、上下方向に細長いスリット11aが形成され、遠心力が作用した被処理流体中の異物粒子jが分離円筒11の外周側に移動して、円錐状部2cの下端部付近に集約され、クリーンな被処理流体と再度混ざりにくくなるようになっている。筒状排出管延長部7の下端の流体排出口7dは、上記スリット11aの下端よりも下方で、分離円筒11の下端よりも上方に位置するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械等において切削加工時や研削加工時に生じるスラッジ(加工屑)等をクーラント液(被処理流体)から分離・除去するためなどに使用される異物粒子分離装置に関し、特に、異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の異物粒子を分離して排出するサイクロン式処理容器を備えた異物粒子分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の異物粒子分離装置は、サイクロン式処理容器の内周面が下側ほど縮径する逆円錐状に形成されていて、該サイクロン式処理容器の上部側壁の導入開口から該容器内に導いたクーラント液をその内周面に沿って旋回流動させることでその遠心力により異物粒子を該内周面近傍に集約して分離する。そして、このクーラント液の旋回流動に伴いその旋回中心部に生じる上昇流によって、異物粒子を含まない浄化処理されたクーラント液を該旋回中心部に配設された排出管から容器外へと排出する。
【0003】
このような異物粒子分離装置において、異物粒子をより効率良く分離・除去するための技術が種々提案されており、例えば特許文献1に示す装置では、サイクロン式処理容器の外周面に沿って上下方向の略全体に亘って磁石を配設することで、旋回流動に伴う遠心力に加えてこの磁石の磁気吸引力でもって磁性粒子を含む異物粒子をサイクロン式処理容器の内周面近傍に集約するようにしている。
【0004】
この磁石は、サイクロン式処理容器の外周を囲むリング状の2分割体からなり、各分割体は、エアシリンダ等のアクチュエータ機構により互いに接近/離間する方向に変位可能に構成されている。そして、内周面近傍に集約された異物粒子の量が所定量以上になったときには、アクチュエータ機構により該各分割体を径方向の外側(互いに離間する方向)に変位させて異物粒子に含まれる磁性粒子に作用する磁力を弱めることで、該異物粒子を自重によりサイクロン式処理容器の下側の回収容器へと落下させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−21835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の異物粒子分離装置のように、旋回流動に伴う遠心力に加えて磁気吸引力でもって磁性粒子を含む異物粒子をサイクロン式処理容器の内周面近傍に集約するようにしても、必ずしも異物粒子の分離が十分ではなく、特に、磁性粒子に限らず微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子は、サイクロン式処理容器の中心部の上昇流に巻き込まれて排出管から容器外へと排出され、装置全体の浄化能力の低下を招きやすい。このため、異物粒子の除去効率を大幅に向上させることは困難という問題点を有していた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子であっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、
異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体中の異物粒子を分離して下方の異物粒子排出口から排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く浄化後被処理流体排出管と、
を備えた異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器の内周面と上記浄化後被処理流体排出管の外周面との間に形成される円筒状の被処理流体流路中に、被処理流体を内周側と外周側とに分流させるとともに、内周側と外周側とを連通させる貫通孔が形成された分離円筒が設けられていることを特徴とする。
【0009】
これにより、旋回下降流動する被処理流体中の異物粒子は、遠心力の影響により分離円筒の貫通孔を通って分離円筒の外周側に移動する。そこで、例えば分離円筒の上部付近で外周側に移動した異物粒子は、再度内周側に移動しにくいので、被処理流体が旋回しながら下降流動するにつれて徐々に外周側に集約され、内周側の清浄な被処理流体中に異物粒子が混入する可能性が低くなる。そして、浄化後被処理流体排出管の下端部付近、特に分離円筒の貫通孔の下端よりも下方では、異物粒子は分離円筒の内周側には移動できない。すなわち、分離円筒の内周側の被処理流体に異物粒子が混入することが防止されるので、浄化後被処理流体排出管から排出される被処理流体における異物粒子の除去効率を向上させることが容易にできる。
【0010】
第2の発明は、
第1の発明の異物粒子分離装置であって、
上記浄化後被処理流体排出管の開口部は、上記分離円筒の下端と、上記分離円筒における上記貫通孔の最下端との間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、浄化後被処理流体排出管の開口部の上下位置付近で分離円筒の外周側に存在する異物粒子が浄化後被処理流体排出管から排出される被処理流体に混入することが確実に防止される。
【0012】
第3の発明は、
第1および第2の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
上記円筒状の被処理流体流路は、被処理流体の導入口が設けられている位置から、下方に向けて、順に、第1拡径部、縮径部、および第2拡径部を有し、上記分離円筒は、上記第2拡径部付近に設けられていることを特徴とする。
【0013】
これにより、被処理流体中の異物粒子に、より強い遠心力を作用させて、一層、異物粒子の除去効率を向上させることが容易にできる。
【0014】
第4の発明は、
第1から第3の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
上記貫通孔は、長手方向が上下方向または円周方向のスリット状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
これにより、異物粒子を分離円筒の外周側に移動させて分離されやすくすることができる。
【0016】
第5の発明は、
第4の発明の異物粒子分離装置であって、
上記分離円筒におけるスリットは長手方向が円周方向に形成されるとともに、上下方向に隣り合うスリットの円周方向の位置が、互いに異なっていることを特徴とする。
【0017】
これにより、分離円筒の内周面に沿って旋回下降流動する被処理流体中の異物粒子が、何れかのスリットから分離円筒の外周側に移動しやすくなる。
【0018】
第6の発明は、
第4の発明の異物粒子分離装置であって、
上記分離円筒におけるスリットは長手方向が上下方向に形成されるとともに、分離円筒の内周面に、螺旋溝が形成されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、分離円筒の内周面に沿って旋回下降流動する被処理流体中の異物粒子を螺旋溝に捕捉してスリットに導き、より確実に分離円筒の外周側に移動させることができる。
【0020】
第7の発明は、
第1から第6の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器における分離円筒が設けられている付近の内周面には、下方ほど拡径する円錐状部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、分離円筒の貫通孔を通って外周側に移動した異物粒子は、下方に移動するほど、さらに遠心力によって分離円筒の外周面から外周側に離れるので、再度分離円筒の内周側に移動する可能性を低く抑えることができる。
【0022】
第8の発明は、
第1から第7の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
浄化後被処理流体排出管の下流側、および異物粒子排出口の下流側の少なくとも一方に、流量および圧力の少なくとも一方を調整するバルブが設けられていることを特徴とする。
【0023】
これにより、異物粒子の比重に適合するように、サイクロン式処理容器内で被処理流体の流速や流量、被処理流体中の異物粒子に作用する遠心力を調整し、異物粒子の除去効果を高めることが容易にできる。
【0024】
第9の発明は、
第1から第8の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
上記浄化後被処理流体排出管の外周面に螺旋状の凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0025】
これにより、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子に作用させることができる。
【0026】
第10の発明は、
第1から第9の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器における、被処理流体の導入口が設けられている位置の上方位置に、サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収して排出する浮上物排出口が設けられていることを特徴とする。
【0027】
これにより、被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物も、浮上物排出口から排出することにより除去することができる。
【0028】
第11の発明は、
第1から第10の発明のうち何れか1つの発明の異物粒子分離装置と、
前処理分離装置とを有し、これらの装置によって異物粒子を除去する被処理流体浄化システムであって、
上記前処理分離装置は、被処理流体の旋回流動中心軸から偏心して水平方向に設けられた被処理流体の導入口と、被処理流体の旋回流動中心軸から偏心して水平方向に設けられ、遠心力によって外周方向に移動した異物粒子を含む被処理流体を排出する異物粒子排出口と、被処理流体の旋回流動中心軸に沿って設けられ、被処理流体を上方に導く浄化後被処理流体排出管とを有し、
上記前処理分離装置の浄化後被処理流体排出管から排出された被処理流体が、上記サイクロン式分離除去装置に供給されるように構成されていることを特徴とする。
【0029】
これにより、前処理分離装置によって、比較的比重の大きな異物粒子をある程度除去することが比較的容易にでき、そのような前処理が行われた被処理流体を異物粒子分離装置に供給することによって、異物粒子分離装置で、より小さな異物粒子の除去を効率よく行わせ、種々の比重の異物粒子が混在する被処理流体に対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、サイクロン式処理容器の中央部などに存在する特に微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子などであっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図2】サイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】分離円筒11の横断面図である。
【図5】前処理分配装置50の構成を示す縦断面図である。
【図6】実施形態2のサイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図7】実施形態3のサイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】実施形態4のサイクロン式分離除去装置1の構成を示す縦断面図である。
【図10】実施形態5の分離円筒11の構成を示す縦断面図である。
【図11】実施形態6の分離円筒11の構成を示す縦断面図である。
【図12】実施形態7の分離円筒11の構成を示す縦断面図である。
【図13】実施形態8の前処理分配装置50の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0033】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る被処理流体浄化システム100を示し、本実施形態では一例として、この被処理流体浄化システム100を、工作機械101のクーラント液(被処理流体)の浄化システムに適用した例を示す。
【0034】
すなわち、上記被処理流体浄化システム100は、工作機械101において、クーラント液(すなわち被処理流体)の中に混入する切粉、或いは該切粉と砥粒との溶着したもの等からなる切削屑である磁性粒子等を含む異物粒子jと、クーラント液とを分離し、該異物粒子jを分離回収する場合に適用したものである。より具体的には、この被処理流体浄化システム100は、ダーティタンク102と、前処理分配装置50と、サイクロン式分離除去装置1(異物粒子分離装置)と、ダスト分離用タンク103と、コンベア式のダスト分離装置108と、スーパクリーンタンク104とを備えている。
【0035】
工作機械101から排出されたダーティ液(異物粒子jを除去する前の被処理流体)は、先ず、ダーティタンク102内へと導かれて貯留される。ダーティタンク102内に貯留された被処理流体は、ポンプ105により汲み上げられて前処理分配装置50に送られ、後述する比較的簡便な遠心分離作用により、比重が特に大きな異物粒子jが除去されてダスト分離用タンク103に排出され、異物粒子jが除去された被処理流体がサイクロン式分離除去装置1へと導かれる。
【0036】
サイクロン式分離除去装置1では、後に詳述するように、比重が比較的大きな異物粒子jは、遠心力により分離されて排出口4からダスト分離用タンク103へと排出され、異物粒子jが分離された浄化処理後の被処理流体は、筒状排出管6から排出されてスーパクリーンタンク104へと導かれる。
【0037】
上記排出口4から排出された異物粒子jは、ダスト分離用タンク103内でバッフル板282の右方から下方に回り込んで該ダスト分離用タンク103の底部に沈殿すると、ダスト分離装置108により回収されてダストボックス107に排出される。尚、ダスト分離装置108は、例えば特開2003−251542号公報に示す公知の構造を有するものとされ、ここではその説明を省略する。ダスト分離用タンク103内の上層の被処理流体は、その水位が所定水位h1に達すると、排出口103dから戻り管103bを介してダーティタンク102へと戻され、再度、前処理分配装置50およびサイクロン式分離除去装置1へと導かれる。
【0038】
一方、サイクロン式分離除去装置1の筒状排出管6からスーパクリーンタンク104に導かれて貯留された、異物粒子除去後のクリーンな被処理流体は、ポンプ115により工作機械101に供給され、クーラント液として使用される。ここで、スーパクリーンタンク104内の被処理流体は、その水位が所定水位h2に達すると、上壁部104aから垂下された仕切り壁104fの下方を回り込み、側壁との間を上昇して戻り管104bからダーティタンク102へと戻されるようになっている。この流れに伴って、サイクロン式分離除去装置1によっても除去されずスーパクリーンタンク104内で深部に沈殿したダストもダーティタンク102へと戻される。また、スーパクリーンタンク104内で表面に浮いた油分や軽いダスト等の浮上物も、仕切り壁104fの下方を回り込む被処理流体の流れによって、戻り管104bからダーティタンク102へと戻される。なお、図2に示すように、下端が仕切り壁104fよりも低い仕切り壁104eを仕切り壁104fよりもポンプ115の吸入口側に設け、浮上物がより工作機械101に送られにくいようにしてもよい。上記のような構成により、スーパクリーンタンク104内でのダストや浮上物の蓄積を極力抑制できるので、常時クリーンな液を工作機械101に供給することがより容易にでき、工作機械101の稼働を止めることなく、連続して使用可能にすることができる。
【0039】
−サイクロン式分離除去装置1の構成−
サイクロン式分離除去装置1は、図2に示すように、ステンレス、アルミニウムや樹脂等の非磁性体等からなるサイクロン式処理容器2と、サイクロン式処理容器2内の浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと排出する筒状排出管6とを備えている。該サイクロン式処理容器2は、上端部が閉塞された略円筒状の本体部2aと、該本体部2aの下端部に接続される略円筒状の流体渦流部2eとで構成されている。
【0040】
このサイクロン式処理容器2は、上下方向に延びる内周面2gに、円筒状部2f、円錐状部2c、および逆円錐状部2dを形成した槽体からなるものであって、後述するように、異物粒子jを含む被処理流体を該内周面2gに沿って旋回流動させることでその遠心力により該異物粒子jを分離する。
【0041】
より詳細には、サイクロン式処理容器2の内周面2gは、その上端部に形成されて内径が上下方向の全体に亘って略一定となる上記円筒状部2fと、該円筒状部2fの下方に交互に形成された2組の円錐状部2c、および逆円錐状部2dとからなる。上記円筒状部2f、円錐状部2c、及び逆円錐状部2dの軸心は一致しており、この軸心が、サイクロン式処理容器2の中心軸1Cとされる。そして、この中心軸1Cは、被処理流体の旋回中心軸に略一致している。尚、円筒状部2fは、上記本体部2aの内周面とされ、円錐状部2c、及び逆円錐状部2dは、上記流体渦流部2eの内周面とされている。
【0042】
上記円筒状部2fには、図3に示すように、上記サイクロン式処理容器2内に被処理流体を導入するための導入口3が形成されている。この導入口3は、該円筒状部2fに対してその接線方向から貫通して開口するとともに、該開口からサイクロン式処理容器2内に流入する被処理流体を該円筒状部2fの中心軸(サイクロン式処理容器2の中心軸1C)周りに図3における反時計回り方向(r)に旋回流動させるように構成されている(なお、図2に示す断面には、実際には導入口3は現れないが、図2では、便宜上、ほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)。こうして、被処理流体は、該円筒状部2fにおいて反時計回り方向に旋回流動されることで、その勢いで流体渦流部2e内においても同方向(反時計回り方向)に旋回流動される。なお、例えば導入口3の位置に応じて被処理流体を時計回り方向に旋回流動させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0043】
サイクロン式処理容器2の中心部には、上下方向に延びる筒状排出管6、および該筒状排出管6の下端部に螺合された筒状排出管延長部7が配設され、これらの筒状排出管6、および筒状排出管延長部7がサイクロン式処理容器2の内外を連通することで、該サイクロン式処理容器2内のクリーンな被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと導くように構成されている。より詳細には、筒状排出管6は、サイクロン式処理容器2の上壁部(本体部2aの上端部)を貫通して該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと延設されている。筒状排出管6と筒状排出管延長部7との螺合部は、被処理流体のサイクロン式処理容器2への導入口3よりも下方の位置に設定されるとともに、外径が導入口3の位置よりも大きい膨出部7aが形成され、比重が比較的大きな異物粒子jが外周方向に移動しやすくなるようになっている。上記膨出部7aの上下部分における中心軸1Cに対するテーパー角は、例えば45°に設定されている。
【0044】
上記筒状排出管延長部7における膨出部7aの下方にはくびれ部7bが形成されるとともに、その外周付近には、絞りリング9が設けられ、被処理流体の旋回流動半径が縮径されて被処理流体中の異物粒子jに大きな遠心力が作用するようになっている。
【0045】
絞りリング9の下方には、上記絞りリング9の内径よりも大きな内径で、かつ、下方ほど拡径する円錐状部2cが配置されている。また、筒状排出管延長部7には、くびれ部7bよりも外径がわずかに拡径した拡径部7cが形成されている。すなわち、例えば被処理流体の流路の横断面における平均径は、筒状排出管延長部7の膨出部7aの部分で拡径し、くびれ部7bの部分で縮径し、拡径部7cの部分で再度拡径するようになっている。さらに、拡径部7cと円錐状部2cとの間に形成される円筒状の被処理流体流路には、被処理流体の旋回下降流を内周側と外周側とに分流させる分離円筒11が設けられている。分離円筒11には、図2および図4に示すように上下方向に細長いスリット11aが円周方向に等間隔な4箇所に形成され、遠心力が作用した被処理流体中の異物粒子jが分離円筒11の外周側に移動して、円錐状部2cの下端部付近に集約され、クリーンな被処理流体と再度混ざりにくくなるようになっている。スリット11aの上下方向および幅方向の端縁は、被処理流体が旋回下降流動する方向に対応して斜面状に形成されている。なお、これに限らず、分離円筒11の円筒面に垂直な端縁に形成してもよい。分離円筒11は、上端に設けられたフランジ部11bが絞りリング9と円錐状部2cとに挟まれるようにして固定されている。分離円筒11の下端は、円錐状部2cと逆円錐状部2dとの接続部よりも若干下方位置になるように設定されている。分離円筒11の下端部の形状は、円錐状部2cの下端部および逆円錐状部2dの上端部の形状に対応して、下方に向けて一旦わずかに拡径した後、縮径する形状に形成されている。筒状排出管延長部7の下端の流体排出口7dは、上記スリット11aの下端よりも下方で、分離円筒11の下端よりも上方に位置するように設定されている。
【0046】
円錐状部2cおよび逆円錐状部2dの下方には、さらにもう1組、同様の円錐状部2cと逆円錐状部2dとが設けられ、下方側の逆円錐状部2dの下端(つまりサイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)の底部)には、異物粒子jを排出するための排出口4が設けられている。
【0047】
これらの円錐状部2cおよび逆円錐状部2dが構成される流体渦流部2eは、円筒外筒5に嵌合挿入されて着脱可能に構成されている。円筒外筒5は、その上端部付近に形成されたフランジ部5aに挿通されるボルト10によって本体部2aに固定されている。円筒外筒5の底部内には、流体渦流部2eを上方に押し上げるコイルばね311が設けられている。このように、円筒外筒5をボルト10によって本体部2aに固定することにより流体渦流部2eが上方に押し付けられ、組み付けられるので、組付性及びメンテナンス性に優れる。特に、異物粒子jが砥粒などを含む場合に、アグレッシブ磨耗等が生じにくいように耐磨耗性を持たせた部材と交換することなども容易にできる。上記円筒外筒5の材質は、例えば側壁部2iの外周面2hにおける筒状排出管延長部7の下端付近の上下方向位置)に、被処理流体中の磁性粒子を含む異物粒子jを外周方向に向けて吸引する磁石が設けられる場合には、ステンレス、合成樹脂等の非磁性体で構成することが考えられるが、そのような磁石が設けられる場合でも、その磁力の作用上で影響が無ければ、鋼管としてもよい。また、本体部2a及び流体渦流部2eは別体で構成しているが、一体でもよい。円筒外筒5とサイクロン式処理容器2との間、各側壁部2iどうしの間、および最下方の側壁部2iと円筒外筒5との間にはOリング8が設けられ、被処理流体の漏出が確実に防止されるようになっている。なお、上記の例では、流体渦流部2eは4つの側壁部2iに分割されている例を示すが、これに限らず、一体でもよいし、2分割などでもよい。また、円錐状部2cおよび逆円錐状部2dは1段だけ設けるなどしてもよい。
【0048】
浄化後の被処理流体が排出される筒状排出管6の下流には、浄化後の被処理流体の流量、および/または圧力を調整する流量調整バルブ31が設けられている。一方、遠心分離された異物粒子jの排出口4の下流には、異物粒子jと伴に排出される被処理流体の流量、および/または圧力を調整する流量調整バルブ32が設けられている。
【0049】
−サイクロン式分離除去装置1の動作−
以上のように構成されたサイクロン式分離除去装置1における異物粒子jの分離回収動作について説明する。
【0050】
先ず、異物粒子jを含む被処理流体が、高速で、導入口3(図2、図3参照)からサイクロン式処理容器2内に導入される。導入された被処理流体は、該サイクロン式処理容器2の内周面2gの円筒状部2fに沿って筒状排出管6周りに旋回流動しながら下降し、遠心力が作用するとともに、加えて、筒状排出管6と筒状排出管延長部7との螺合部に形成された膨出部7aの作用によって外周方向に向かう力が作用する。そこで、比重が比較的大きな異物粒子jは、外周方向に移動する。
【0051】
被処理流体が旋回流動しながら、さらに下降すると、被処理流体の旋回半径は、絞りリング9と筒状排出管延長部7のくびれ部7bとによって縮径し、異物粒子jには一層強い遠心力が作用する。被処理流体が絞りリング9よりも下方に下降すると、異物粒子jは、上記遠心力の影響により分離円筒11のスリット11aを通って分離円筒11の外周側に移動する。そして、例えば分離円筒11の上部付近で外周側に移動した異物粒子jは、再度内周側に移動しにくいので、被処理流体が旋回しながら下降流動するにつれて徐々に外周側に集約され、内周側の清浄な被処理流体中に異物粒子が混入する可能性が低くなる。特に、筒状排出管延長部7の下端部付近、すなわち分離円筒11のスリット11aの下端よりも下方では、異物粒子jは分離円筒11の内周側には移動できない。そこで、分離円筒11の内周側の被処理流体は、異物粒子jが極めて少なくなったクリーンな流体となる。ここで、異物粒子jが極めて少なくなったクリーンな流体と表現した理由は、例えば1μm〜5μmの異物粒子が、軽いためにクリーンな流体と共に筒状排出管延長部7に導かれることがあり、僅かに異物粒子が含まれている可能性があるからである。
【0052】
分離円筒11の外周側に移動した異物粒子jは、円錐状部2cと逆円錐状部2dとの接合部付近に分離集約され、いずれ団塊状になってその自重により逆円錐状部2dの傾斜面に沿って落下し、排出口4からダスト分離用タンク103に排出される。
【0053】
一方、分離円筒11の内周側でスリット11aの下端よりも下方に下降した被処理流体には上向き軸方向の力が作用して、流体排出口7dから筒状排出管延長部7および筒状排出管6を通ってスーパクリーンタンク104へと供給される。
【0054】
また、筒状排出管6、および排出口4の下流に設けられた流量調整バルブ31,32により、浄化後の被処理流体や分離された異物粒子を含む被処理流体の流量および/または圧力を調整することによって、サイクロン式処理容器2内での被処理流体の流速や流量、被処理流体中の異物粒子に作用する遠心力を異物粒子jの比重や大きさに適合するように調整して、異物粒子の高い除去効果を得ることができる。
【0055】
−前処理分配装置50の構成−
前処理分配装置50は、比較的簡便な遠心分離作用により、比重が特に大きな異物粒子jを除去するために、ダーティタンク102とサイクロン式分離除去装置1との間に設けられている。この前処理分配装置50は、図5に示すように、内周面に逆円錐状部51aが形成されたボディ51と、その上下を覆う底部54、および排出管部56とから構成されている。
【0056】
ボディ51には、その中心軸50Cに対して、それぞれ例えば図5における紙面奥行き方向に偏心して設けられた導入口52と、排出口53とが設けられている。(なお、図5では、便宜上、導入口52および排出口53をほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)底部54は、ボディ51の下部にボルト55によって取り付けられる一方、排出管部56は、ボディ51の上部にボルト57によって取り付けられている。底部54の上面中央部付近はわずかに凸に形成され、遠心力や自重によって逆円錐状部51aの内周面下部付近に移動した異物粒子jが中央部に移動しにくいようになっている。排出管部56は、フランジ56aと排出管56bとを有している。排出管56bは、軸心が中心軸50Cと一致するように設けられ、逆円錐状部51aの下部中央付近の被処理流体を上方に導き、前処理分配装置50の外部に排出するようになっている。
【0057】
ここで、排出口53や排出管56bの下流側に流量調節弁を設けて、異物粒子jの除去効率と、サイクロン式分離除去装置1に送られる被処理流体の流量とを最適化できるようにしてもよい。
【0058】
−前処理分配装置50の動作−
上記のように構成された前処理分配装置50では、偏心して設けられた導入口52から流入した被処理流体は、旋回しながら下降流動する。そこで、被処理流体中の比較的比重が大きな異物粒子は、遠心力によって外周方向に移動し、例えば常時、排出口53から排出されてダスト分離用タンク103に送られる。一方、異物粒子が分離された被処理流体は、逆円錐状部51aの中央部付近から排出管56bに流入し、上方に排出されてサイクロン式分離除去装置1に送られる。
【0059】
このような前処理分配装置50を用いることにより、簡潔、かつ小型な構成でも、比較的比重の大きな異物粒子をある程度除去することが比較的容易にできる。そして、このような前処理が行われた被処理流体をサイクロン式分離除去装置1に供給することによって、サイクロン式分離除去装置1で、より小さな異物粒子の除去を効率よく行わせ、種々の比重の異物粒子が混在する被処理流体に対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0060】
《発明の実施形態2》
サイクロン式分離除去装置1の他の例について、図6に基づいて説明する。本実施形態のサイクロン式分離除去装置1は、実施形態1のサイクロン式分離除去装置1と比べて、主として、下方分離壁12を備えている点が異なる。
【0061】
上記下方分離壁12は、流体排出口7dの下方で、分離円筒11の下部内側に配置された円筒壁12aと、底部壁12bとを有している。この下方分離壁12は、例えば円筒壁12aの外周側に放射状に4箇所程度設けられた支持部12dが、分離円筒11の下端部に形成された切り欠きを通して円錐状部2cと逆円錐状部2dとの間に挟まれるようにして固定されている。上記円筒壁12aは頂角が鋭角な円錐状に形成される一方、12bは頂角が鈍角な逆円錐状に形成されている。底部壁12bの中央部には、下方分離壁12の内側に入り込んで底に溜まった異物粒子jを下方に落とし込む孔12cが形成されている。
【0062】
このような下方分離壁12が設けられていることにより、旋回流動の遠心力によって分離円筒11のスリット11aから分離円筒11の外周側に移動した異物粒子jが分離円筒11の下端で分離円筒11の内周側に回り込むことが、円筒壁12aおよび底部壁12bによって阻止されるので、異物粒子jがクリーンな被処理流体に混入して流体排出口7dから排出されるのをより確実に防止することができる。また、スリット11aから分離円筒11の外周側に移動せず、分離円筒11の内周側を旋回下降流動する被処理流体中に含まれる異物粒子jを円筒壁12aの外周側に分離することもできる。
【0063】
なお、下方分離壁12は、上記のように支持部12dが円錐状部2cと逆円錐状部2dとの間に挟まれるようにして固定されるのに限らず、分離円筒11に固定されるなどしてもよい。また、円筒壁12aおよび底部壁12bの形状や位置は特に限定されず、筒状排出管延長部7および分離円筒11の形状や位置等に応じて異物粒子jの分離効率が高くなるように適宜決定すればよい。また、必ずしも底部壁12bを設けるのに限らず、円筒壁12aを設けるだけでも、異物粒子jが分離円筒11の下端から内周側に回り込むのを防止する効果をある程度得ることはできる。
【0064】
また、上記のような下方分離壁12の有無に係わらず、図6に併せて示すように、分離円筒11の上部の絞りリング9に、その上面側と下面側とを連通させる連通路9aを例えば4箇所程度形成してもよい。このような連通路9aを形成することによって、筒状排出管延長部7の膨出部7a付近で外周方向に移動した異物粒子jを直接分離円筒11の外周側に送り出すことができ、より異物粒子jの分離効率を高めることが容易にできる。
【0065】
《発明の実施形態3》
サイクロン式分離除去装置1のまた他の例について、図7、図8に基づいて説明する。本実施形態のサイクロン式分離除去装置1では、下方分離壁12が円筒壁12aに設けられた支持部12dによって支持されているのではなく、底部壁12bの下方に取り付けられた管部12eに設けられた支持部12fによって支持されている。より詳しくは、底部壁12bの下面中心部には下方に延びる管部12eが取り付けられている。管部12e内の孔12cは底部壁12bの底部中心部に形成された孔に連通している。管部12eの下部に設けられた支持部12fは、上下に2分割された側壁部2iにおける逆円錐状部2dの間に挟まれるようにして固定されている。
【0066】
上記のように底部壁12bの下方に管部12eが取り付けられていることによって、底部壁12bの底部に溜まった異物粒子jは、実施形態2よりも下方まで導かれて、排出口4から排出される。それゆえ、一層、流体排出口7dから排出されるクリーンな被処理流体に混入することが防止される。
【0067】
《発明の実施形態4》
サイクロン式分離除去装置1のさらに他の例について、図9に基づいて説明する。本実施形態のサイクロン式分離除去装置1は、実施形態1のサイクロン式分離除去装置1と比べて、分離円筒11のスリット11aが、上下方向に細長い形状ではなく、横方向、すなわち分離円筒11の円周に沿う方向に細長い形状に形成されている点が異なる。このような横方向のスリット11aが形成されている場合でも、やはり、遠心力が作用した異物粒子jをスリット11aを通して分離円筒11の外周側に移動させることにより、異物粒子jを除去する効果は同様に得られる。
【0068】
また、筒状排出管延長部7における膨出部7aおよび拡径部7cの外周面が螺旋状の凹凸を有するように形成され、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子jに作用させ、比較的小さな異物粒子jも、より確実に分離円筒11の外周側に移動させるようになっている。
【0069】
さらに、サイクロン式処理容器2の本体部2aの上部には、本体部2aの内周面に対してその接線方向から貫通して開口する浮上物排出口21が形成されている。より詳細には、該浮上物排出口21は、導入口3に対して、サイクロン式処理容器2の中心軸1Cを挟んで略相対向する位置に形成されており、該浮上物排出口21の軸心方向は、該導入口3の軸心方向に対して垂直な関係にある。また、筒状排出管6におけるサイクロン式処理容器2の内側上部には、仕切り部材18が設けられている。この仕切り部材18は、円筒状の仕切り円筒壁18aと、孔18dが形成された円板状の円板部18bと、筒状排出管6に嵌挿されるボス部18cとから成っている。このような浮上物排出口21、および仕切り部材18が設けられていることによって、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上した比較的比重の小さい浮上物(例えば、比重の小さい異物粒子、油成分、浮遊カーボン、浮遊ゴミ等であり、以下「浮上物」と称する。)が回収され、サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと排出されるようになっている。すなわち、被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物は、その浮力によって、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上集約され、被処理流体が筒状排出管6周りに旋回流動する過程で、浮上物排出口21から接線方向に排出され、サイクロン式分離除去装置1外へと導かれる。
【0070】
《発明の実施形態5》
分離円筒11に横方向に細長く形成されるスリット11aは、図10に示すように上下位置で互い違いになるようにしてもよい。すなわち、旋回下降流動する被処理流体の旋回速度と下降速度とに応じて、スリット11aにおける円周方向および上下方向の位置や密度を設定することにより、異物粒子jを分離円筒11の外周側に移動させる程度を増大させることが容易にできる。
【0071】
《発明の実施形態6》
また、スリット11aが上下方向に細長く形成される場合に、さらに、図11に示すように分離円筒11の内周面に螺旋溝11cを形成してもよい。このような螺旋溝11cが形成されることにより、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子jに作用させ、比較的小さな異物粒子jをより確実に除去できるようにすることができる。また、分離円筒11の内周面に沿って旋回下降する異物粒子jを螺旋溝11cに捕捉してスリット11aに導き、より確実に異物粒子jを分離円筒11の外周側に移動させることもできる。
【0072】
なお、螺旋溝11cの断面形状は、図11のような楔形に限らず、角形や円弧状などに形成してもよい。
【0073】
《発明の実施形態7》
また、分離円筒11にスリット11aを形成するのに限らず、図12に示すように、多数の孔11dを例えば螺旋に沿う位置に形成してもよい。すなわち、分離円筒11の内周部と外周部とが連通していれば、遠心力によって外周方向に移動した異物粒子jを分離円筒11の外周部に移動させて内周側のクリーンな被処理流体に再度混入する可能性を低く抑えることができる。
【0074】
《発明の実施形態8》
前処理分配装置50の他の例について、図13に基づいて説明する。本実施形態の前処理分配装置50は、有底円筒状のボディ51と、その上方を覆う蓋部材65とを備えて構成されている。
【0075】
ボディ51には、その中心軸50Cに対して、例えば図13における紙面手前方向に偏心して設けられた導入口52が設けられている。(なお、図13に示す断面には、実際には導入口52は現れないが、図13では、便宜上、ほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)また、ボディ51の下部および上部には、それぞれ、ボディ51の内周面に対してその接線方向から貫通して開口する排出口53a,53bが形成されている。より詳細には、該排出口53a,53bは、導入口52に対して、ボディ51の中心軸50Cを挟んで略相対向する位置に形成されており、該排出口53a,53bの軸心方向は、該導入口52の軸心方向に対して垂直な関係にある。
【0076】
蓋部材65は、被処理流体を上方に導く排出口64を有し、ボルト66によってボディ51に固定されている。
【0077】
ボディ51内には、内周壁部材61と、仕切り円筒壁74と、内周面に逆円錐状部63aが形成された内周壁部材63とが同心状に設けられ、蓋部材65によりコイルばね67を介して下方に押しつけられることにより固定されている。
【0078】
内周壁部材61は、略円筒状をなし、内周面には、上下方向の中央部付近を境に、下方側に円錐状部61a、上方側に逆円錐状部61bが形成されている。円錐状部61aには、ボディ51の導入口52に対応する導入口61cが形成され、上記導入口52と導入口61cとが連通するように、回り止めボルト62によって回転方向の位置決めがなされるようになっている。
【0079】
仕切り円筒壁74は、内周壁部材61との間に、排出口53bに連通するドーナツ状の流路を形成するようになっている。これにより、導入口52からボディ51内に流入し遠心力によって外周側に移動した比重が比較的大きな異物粒子jが、容易に排出口53bから排出されるようになっている。
【0080】
ボディ51の内部には、また、底部にナット72によって固定されたシャフト71が設けられている。このシャフト71は、上下方向の中央部付近に螺旋部71aが形成されるとともに、上端部には、内周壁部材63の逆円錐状部63aに対応する円錐状部71bが形成されている。シャフト71の下部には、シャフト71に嵌挿された仕切り円筒壁73が設けられている。
【0081】
上記のように構成された前処理分配装置50では、偏心して設けられた導入口52から流入した被処理流体は、シャフト71の周りを旋回しながら、比較的大部分が上昇流動し、一部は下降流動する。そこで、被処理流体中の比較的比重が大きな異物粒子jは、遠心力によって、円錐状部61aおよび逆円錐状部61bの内周面に向けて外周方向に移動し、排出口53a,53bから排出されてダスト分離用タンク103に送られる。特に、旋回しながら上昇流動する被処理流体は、シャフト71の螺旋部71aによって旋回速度が増速され、より強い遠心力が異物粒子jに作用する。それゆえ、比較的小さな異物粒子jも、外周方向に移動して排出口53bから排出されやすくなる。
【0082】
異物粒子jが分離された被処理流体は、内周壁部材63の逆円錐状部63aとシャフト71の円錐状部71bとの間に形成される流路を上昇して排出口64から上方に排出され、サイクロン式分離除去装置1に送られる。
【0083】
このような前処理分配装置50を用いることにより、やはり、簡潔、かつ小型な構成でも、比較的比重の大きな異物粒子jをある程度除去することが比較的容易にできる。
【0084】
なお、上記各実施形態、および変形例で説明した構成要素は、論理的に可能な範囲で、種々組み合わせてもよい。具体的には、例えば、実施形態2、3(図6、図7)で説明したような下方分離壁12を、実施形態4〜7(図9〜図12)で説明したように横方向に細長いスリット11a等が形成された分離円筒11を有するサイクロン式分離除去装置1に設けたりしてもよい。また、実施形態2(図6)で説明したような絞りリング9の連通路9aを他の実施形態の絞りリング9に形成してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 サイクロン式分離除去装置
2 サイクロン式処理容器
2a 本体部
2c 円錐状部
2d 逆円錐状部
2e 流体渦流部
2f 円筒状部
2g 内周面
2h 外周面
2i 側壁部
3 導入口
4 排出口
5 円筒外筒
5a フランジ部
6 筒状排出管
7 筒状排出管延長部
7a 膨出部
7b くびれ部
7c 拡径部
7d 流体排出口
8 Oリング
9 絞りリング
9a 連通路
10 ボルト
11 分離円筒
11a スリット
11b フランジ部
11c 螺旋溝
11d 孔
12 下方分離壁
12a 円筒壁
12b 底部壁
12c 孔
12d 支持部
12e 管部
12f 支持部
18 仕切り部材
18a 円筒壁
18b 円板部
18c ボス部
18d 孔
21 浮上物排出口
31 流量調整バルブ
32 流量調整バルブ
50 前処理分配装置
51 ボディ
51a 逆円錐状部
52 導入口
53 排出口
53a 排出口
53b 排出口
54 底部
55 ボルト
56 排出管部
56a フランジ
56b 排出管
57 ボルト
61 内周壁部材
61a 円錐状部
61b 逆円錐状部
61c 導入口
62 回り止めボルト
63 内周壁部材
63a 逆円錐状部
64 排出口
65 蓋部材
66 ボルト
71 シャフト
71a 螺旋部
71b 円錐状部
72 ナット
73 仕切り円筒壁
74 仕切り円筒壁
100 被処理流体浄化システム
101 工作機械
102 ダーティタンク
103 ダスト分離用タンク
103b 戻り管
103d 排出口
104 スーパクリーンタンク
104a 上壁部
104b 戻り管
104e 仕切り壁
104f 仕切り壁
105 ポンプ
107 ダストボックス
108 ダスト分離装置
115 ポンプ
282 バッフル板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体中の異物粒子を分離して下方の異物粒子排出口から排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く浄化後被処理流体排出管と、
を備えた異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器の内周面と上記浄化後被処理流体排出管の外周面との間に形成される円筒状の被処理流体流路中に、被処理流体を内周側と外周側とに分流させるとともに、内周側と外周側とを連通させる貫通孔が形成された分離円筒が設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項2】
請求項1の異物粒子分離装置であって、
上記浄化後被処理流体排出管の開口部は、上記分離円筒の下端と、上記分離円筒における上記貫通孔の最下端との間に配置されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
上記円筒状の被処理流体流路は、被処理流体の導入口が設けられている位置から、下方に向けて、順に、第1拡径部、縮径部、および第2拡径部を有し、上記分離円筒は、上記第2拡径部付近に設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
上記貫通孔は、長手方向が上下方向または円周方向のスリット状に形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項5】
請求項4の異物粒子分離装置であって、
上記分離円筒におけるスリットは長手方向が円周方向に形成されるとともに、上下方向に隣り合うスリットの円周方向の位置が、互いに異なっていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項6】
請求項4の異物粒子分離装置であって、
上記分離円筒におけるスリットは長手方向が上下方向に形成されるとともに、分離円筒の内周面に、螺旋溝が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器における分離円筒が設けられている付近の内周面には、下方ほど拡径する円錐状部が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
浄化後被処理流体排出管の下流側、および異物粒子排出口の下流側の少なくとも一方に、流量および圧力の少なくとも一方を調整するバルブが設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
上記浄化後被処理流体排出管の外周面に螺旋状の凹凸が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうち何れか1項の異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器における、被処理流体の導入口が設けられている位置の上方位置に、サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収して排出する浮上物排出口が設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうち何れか1項の異物粒子分離装置と、
前処理分離装置とを有し、これらの装置によって異物粒子を除去する被処理流体浄化システムであって、
上記前処理分離装置は、被処理流体の旋回流動中心軸から偏心して水平方向に設けられた被処理流体の導入口と、被処理流体の旋回流動中心軸から偏心して水平方向に設けられ、遠心力によって外周方向に移動した異物粒子を含む被処理流体を排出する異物粒子排出口と、被処理流体の旋回流動中心軸に沿って設けられ、被処理流体を上方に導く浄化後被処理流体排出管とを有し、
上記前処理分離装置の浄化後被処理流体排出管から排出された被処理流体が、上記サイクロン式分離除去装置に供給されるように構成されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−143722(P2012−143722A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5142(P2011−5142)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(592206112)小堀▲鉄▼工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】