説明

畳縁体

【課題】畳職人としての経験を有しない人でも簡単且つ確実に、畳表の張り替えを綺麗に行うことができる畳縁体を得る。
【解決手段】 細長の縁下紙20とこれを覆うように装着される縁布30を重ね合わせて成り、前記縁布30の表面の1/3幅に両面テープ11を貼着し、前記縁布30の裏面に、前記両面テープ11の貼着位置から最遠側に一定幅の折り込み縁布部31を残存させるように縁下紙を装着し、前記縁下紙20の幅方向に、前記両面テープ11の貼着部に対応する基部21と、該基部に連設し基部と同じ幅の重ね合わせ部22と、前記重ね合わせ部に連設し前記基部より前記折り込み縁布部31だけ幅狭となる折り込み部23をそれぞれ設けて成ることで、縁下紙20を縁布30で覆った表面端に両面テープ11を貼着しているので、両面テープ11部分を畳表の端縁に合わせて固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳床に新たな畳表を張り替える場合に際して、畳表に装着される畳縁体に関し、特に畳表への装着を容易且つ確実に行うことができる畳縁体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋に敷設される畳は、畳床の表面を畳表で覆い、両側の長手辺に畳縁を装着して構成されている。畳床への畳表の固定は、図5に示すように、畳床1の一方側の長手辺1aに、畳表2を直線的に切断した側を合わせ、畳表2の両端を引っ張りながら畳床1の側面から下端まで巻き込み、コ字形などの釘3を一定間隔に打ち込むことで行われる。そして、図6に示すように、畳表の長手辺に沿って直線的に畳縁4が装着されるようになっている。
畳を取り替える場合には、畳床1に張付けられる畳表2及び畳縁4を張り替えることで行われる。
【0003】
従来、畳床1に畳表2を張り替えする場合、畳における長手辺に縁布のみから成る畳縁4を直線的に取り付けることは、永年の経験を有する職人でないと綺麗に行うことができなかった。
【0004】
そこで近年、畳職人としての経験を有しない人でも簡単に、しかも、正確できれいに畳表の張り替えのできる畳縁用縁下紙が提案されている。
この畳縁用縁下紙は、図7に示されるように、縁布111と細長の縁下紙114を重ね合わせてなる畳縁131において、縁下紙114を幅方向におよそ4等分して折り込み部134、芯部135、重ね合わせ部136及び折り込み部137とし、折り込み部134と芯部135の間に山折り目125を形成し、芯部135と重ね合わせ部136の間及び重ね合わせ部136と折り込み部137の間にそれぞれ谷折り目124を形成するとともに、折り込み部134と芯部135を山折り目125で山折りとしたときの山折り目部分を畳表2の端縁に合わせて定規代わりとすることで、正確且つ綺麗に畳縁131を装着することができるというものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−34824
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造によれば、畳縁用縁下紙114に形成した山折り目125を畳表2の端縁に合わせて定規代わりとするので、山折り目125を畳縁用縁下紙114の正確な位置に確実に設ける必要があり、山折り目125の位置が正確でないと畳縁131が綺麗に装着できないという問題点があった。
また、山折り目125を畳表2の端縁に合わせた後に、釘3などで畳縁用縁下紙114を固定するに際して、畳縁用縁下紙114がずれる場合があり、綺麗に仕上げるには注意が必要であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、畳職人としての経験を有しない人でも簡単且つ確実に、畳表の張り替えを綺麗に行うことができる畳縁体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の畳縁体10は、 細長の縁下紙20とこれを覆うように装着される縁布30を重ね合わせて成り、次の構成を含むことを特徴としている。
前記縁布30の表面の1/3幅に両面テープ11を貼着する。
前記縁布30の裏面に、前記両面テープ11の貼着位置から最遠側に一定幅の折り込み縁布部31を残存させるように縁下紙を装着する。
前記縁下紙20の幅方向に、前記両面テープ11の貼着部に対応する基部21と、該基部に連設し基部と同じ幅の重ね合わせ部22と、前記重ね合わせ部に連設し前記基部より前記折り込み縁布部31だけ幅狭となる折り込み部23をそれぞれ設ける。
【0008】
請求項2の畳縁体10は、請求項1において、基部21と重ね合わせ部22との間、及び、重ね合わせ部22と折り込み部23との間に、縁布側が突状となる山折り目24,25を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項3の畳縁体10は、 細長の縁下紙20とこれを覆うように装着される縁布30を重ね合わせてなる畳縁体10において、次の構成を含むことを特徴としている。
前記縁下紙20は、長手方向に沿って形成された二つの山折り部24,25を有することで、幅方向に、基部21と、該基部と同じ幅の重ね合わせ部22と、前記基部より幅狭の折り込み部23をそれぞれ形成する。
前記縁布30は前記折り込み部23の内側に回り込み可能なように、折り込み部23の外側位置までの幅を有する。
前記基部21を覆う縁布30上に両面テープ11を貼着して成る。
【0010】
請求項4の畳縁体は、請求項2又は請求項3において、前記基部21の山折り目24側に、山折り目24に直交する位置に間隔を空けて複数の釘打ち込み印26を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の畳縁体10によれば、縁下紙20を縁布30で覆った表面端に両面テープ11を貼着しているので、両面テープ11部分を畳表の端縁に合わせて固定することができ、畳表の正確な位置に畳縁体を装着することができ、畳職人としての経験を有しない人でも簡単且つ綺麗に畳表の張り替えをすることができる。
【0012】
また、上記構成によれば、基部21に山折り目24に直交する釘打ち込み印26を設けているので、畳縁体10を畳表2に固定するに際して打ち込む釘を畳表2の網目に沿って装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る畳縁体に関する実施の形態の一例について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は本発明に係る畳縁体の平面図、図2は裏面図である。
【0014】
畳縁体10は、図1及び図2の上下方向に細長い縁下紙20と、これを覆うように装着される縁布30を重ね合わせて構成されている。
縁下紙20は、畳縁体10の取り扱いを容易にするため設けられたものであり、幅方向が85mmの厚紙などが用いられる。この縁下紙20には、図2に示すように、右側一端縁から、30mm、32mmの幅の位置に山折り目24、山折り目25がそれぞれ形成され、右側より基部21、重ね合わせ部22、折り込み部23を設けている。そして、基部21部分に両面テープ11が貼着されている。
また、縁布30は、折り込み部23側の辺に、折り込み縁布部31分だけはみ出すように縁下紙20に装着されている。
【0015】
縁下紙20は、縁布30に対して、図2に示されるようにその左側において、10mm幅程度の折り込み縁布部31を設ける(前記両面テープの貼着位置から最遠側に一定幅の折り込み縁布部31を残存させる)ように縁布30の裏面側に装着されている。
また、縁下紙14の基部21における山折り目24側には、山折り目24に直交する位置に一定間隔を空けて複数の釘打ち込み印26が印刷により設けられている。
【0016】
したがって、縁下紙20は、その幅方向に、両面テープ11の貼着部に対応する基部21と、この基部21に連設し基部21と同じ幅の重ね合わせ部22と、この重ね合わせ部22に連設し前記基部21より前記折り込み縁布部だけ幅狭となる折り込み部23をそれぞれ設けた構成となっている。
【0017】
縁布11には、幅が95〜100mmの木綿布、麻布、化学繊維布などが用いられる。
そして、縁布30の表面側の前記基部21に対応する位置に両面テープ11を貼着することで、縁布30全体幅の1/3幅が両面テープ11で被覆されている。
【0018】
両面テープ11は、両面に粘着材を有するシートの両面に保護シートを有して成るものを使用し、その一方側の保護シートを剥がすことで表れる粘着面を縁布30に貼着する。両面テープ11の他方の保護シートは、畳縁体10を畳表2に装着する際に剥がし、畳表2との固定に使用する。
【0019】
次に、上記構造の畳縁体10を使用して畳み張り替えを行う場合の手順について、図3及び図4を参照しながら説明する。
先ず、1畳に相当する大きさの畳床1と畳表2を用意する。畳床1は、例えば、藁を圧縮したもの、厚さ20mm程度の発泡スチロール板の上下面に、厚さ15mm程度の木材のチップを圧縮した軟質パーチクル板を重ね合わせ、さらに最下面にシートを積層して全体を縫製したもの、等を使用する。
【0020】
畳床1に張付けられる畳表2は、天然い草を畳糸で縫製したものであり、厚さは、通常2.5mm程度である。この畳表2の大きさは、図5に示したように、畳床2の両端から下端まで巻き込めるような長さを有している。また、幅方向は、手前側を直線的に切断し、奥側が畳床1の端より長く形成し、辺を覆うように(点線部分)構成されている。
【0021】
畳床1に畳表2を張付ける場合、図5に示すように、畳床1の手前側に畳表2を直線的に切断した側を合わせ、畳表2の両端を引っ張りながら畳床1の側面から下端まで巻き込み、コ字形などの釘3を一定間隔で打ち込むことで畳床1に対して畳表2を固定する。
【0022】
次に、畳表2の手前側の辺に畳縁体10を取り付ける。先ず、畳縁体10を取り付けるに際して、前記両面テープ11の保護シートを剥がし、表れた粘着面を畳表2の一辺に沿って押し付けることで、畳縁体10と畳表2とを固定する。この時、粘着面は縁下紙20の基部21の設けられているので、粘着面を畳表2の一辺に容易に位置合わせすることができ、畳表2に対して畳縁体10の基部21とを正確な位置で固定できる。
縁下紙20に印刷されている釘打ち込み印26に沿ってコ字状の釘を専用の打ち込み機(図示せず)で打ち込み、畳縁体10の基部21を畳表2に頑固に固定する。この釘24は、金属、プラスチックなどで幅15〜16mm、長さ22〜25mm程度のコ字形に形成されたものを使用する。
【0023】
釘打ち込み印26は、基部21に山折り目24に直交するよう印刷されているので、畳縁体10を畳表2に固定するに際して打ち込む釘を畳表2の網目に沿って装着することができる。
従来例(図7)では、釘3は網目を跨ぐように装着していたので、畳縁体10の表側を触った場合に釘の存在により違和感があったが、本例では畳表の網目に沿うように配置することで従来例に比較して違和感を減少させることができる。
【0024】
続いて、図4に示すように、畳縁体10を山折り目24で折り込むことで、基部21と重ね合わせ部22を密着させて基部21上に重ね合わせ部22を位置させ、更に畳縁体10を山折り目25で折り込み縁布部31を折り込み部23内側に位置させ、折り込み部23の表面側からコ字状の釘を打ち込み機で打ち込むことで、畳縁体10を畳表2側に完全に固定する。
【0025】
上記構成の畳縁体10によれば、縁下紙20を縁布で覆った表面端に両面テープ11を貼着しているので、両面テープ11部分を畳表2の縁に合わせて固定することができ、畳表2の正確な位置に畳縁体10を装着することができ、畳職人としての経験を有しない人でも簡単且つ綺麗に畳表2の張り替えをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例の畳畳縁体の平面説明図である。
【図2】図1の畳縁体の裏面説明図である。
【図3】畳縁体を畳表に装着する状態を説明するための斜視説明図である。
【図4】畳縁体を畳表に装着する状態を説明するための正面説明図である。
【図5】畳表を畳床に装着する状態を説明するための斜視説明図である。
【図6】従来の畳みを示す斜視説明図である。
【図7】従来の畳縁用縁下紙を畳表に装着する状態を説明するための斜視説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 畳床
2 畳表
3 釘
10 畳縁体
11 両面テープ
20 縁紙体
21 基部
22 重ね合わせ部
23 折り込み部
24 山折り目
25 山折り目
30 縁布
31 折り込み縁布部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長の縁下紙とこれを覆うように装着される縁布14を重ね合わせて構成する一方、
前記縁布の表面の1/3幅に両面テープを貼着し、
前記縁布の裏面に、前記両面テープの貼着位置から最遠側に一定幅の折り込み縁布部を残存させるように縁下紙を装着し、
前記縁下紙の幅方向に、前記両面テープの貼着部に対応する基部と、該基部に連設し基部と同じ幅の重ね合わせ部と、前記重ね合わせ部に連設し前記基部より前記折り込み縁布部だけ幅狭となる折り込み部をそれぞれ設けた
ことを特徴とする畳縁体。
【請求項2】
基部と重ね合わせ部との間、及び、重ね合わせ部と折り込み部との間に、縁布側が突状となる山折り目を設けたことを特徴とする請求項1に記載の畳縁体。
【請求項3】
細長の縁下紙とこれを覆うように装着される縁布14を重ね合わせて構成する一方、
前記縁下紙は、長手方向に沿って形成された二つの山折り目を有することで、幅方向に、基部と、該基部と同じ幅の重ね合わせ部と、前記基部より幅狭の折り込み部をそれぞれ形成するとともに、
前記縁布は前記折り込み部の内側に回り込み可能なように、折り込み部の外側位置までの幅を有し、
前記基部を覆う縁布上に両面テープを貼着して成る
ことを特徴とする畳縁体。
【請求項4】
前記基部の山折り目側に、山折り目に直交する位置に間隔を空けて複数の釘打ち込み印を設けた請求項2又は請求項3に記載の畳縁体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−2546(P2006−2546A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183039(P2004−183039)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(503297866)
【Fターム(参考)】