病原体関連分子パターンおよび抗原を含む組成物ならびに免疫応答を刺激するためのそれらの使用
組成物は抗原の少なくとも一部およびヒンジ領域を欠くフラジェリンの少なくとも一部を含む。組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドのウイルスタンパク質は、西ナイルフラビウイルスタンパク質、デング熱フラビウイルスタンパク質、ランガトフラビウイルスタンパク質、クンジンフラビウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎フラビウイルスタンパク質、日本脳炎フラビウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎フラビウイルスタンパク質、黄熱病フラビウイルスタンパク質およびC型肝炎フラビウイルスタンパク質を含むフラビウイルスタンパク質である。該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体において免疫応答を刺激するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年1月19日に出願された米国仮出願第60/645,170号、2005年2月15日に出願された米国仮出願第60/653,405号、2005年7月29日に出願された米国仮出願第60/704,160号、2005年10月4日に出願された米国仮出願第60/723,409号、および2005年10月11日に出願された米国仮出願第60/725,919号の利益を主張する。上述の出願の教示は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の背景)
西ナイルフラビウイルス、デング熱フラビウイルス、日本脳炎フラビウイルス、ランガト(Langat)フラビウイルス、クンジン(Kunjin)フラビウイルス、マリーバレー脳炎フラビウイルス、ダニ媒介フラビウイルスおよび黄熱病フラビウイルス等のフラビウイルスを含むウイルスへの感染は重篤な疾患および死の可能性をもたらし得る。蚊およびダニはフラビウイルスの多くを伝播する。例えば、西ナイルウイルス感染の重篤な症状としては、高熱、頭痛、首の硬直、昏迷、失見当、昏睡、震顫、痙攣、筋肉の虚弱(muscle weakness)、失明、しびれ、髄膜脳炎および完全麻痺が挙げられる。これらの症状は数週間続き得、神経的な影響は永続し得る。より軽い症状の場合(例えば、発熱、頭痛、および体の疼痛、悪心、嘔吐、および時にはリンパ腺の腫れまたは胸部、胃および背中の皮膚発疹)は、発熱および疼痛等の特定の症状が単独で生じ得る。より重篤な場合には、人は通常、静脈内輸液(intravenous fluids)の投与および呼吸の補助等の治療のために入院が必要となる。
【0003】
フラビウイルス感染を予防する方法としては、弱毒化および不活性化した生きたウイルスの組成物が挙げられる。しかしながら、かかる組成物は、最適に免疫原化したものよりも劣り得、不適切に調製した場合に未知の危険を生じ得、有害な副作用を有し得る。フラビウイルス感染を予防する新しい組成物および方法を開発する必要がある。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、抗原の少なくとも一部およびヒンジ領域を欠くフラジェリン、および少なくとも一つの病原体関連分子パターン(PAMP)の少なくとも一部、および少なくとも一つのフラビウイルスの少なくとも一部の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに関する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体における免疫応答を刺激する方法に使用され得る。
【0005】
一態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つはヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0006】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つはヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、および少なくとも一つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここでDen2ウイルスエンベロープタンパク質は配列番号:22および配列番号:40からなる群より選択される少なくとも一員である。
【0009】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物である。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliC、およびS. muenchen fliCからなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0012】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0013】
本発明の別の態様は配列番号:29にコードされるポリペプチドである。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:30を含むポリペプチドである。
【0015】
さらなる態様において、本発明は配列番号:30に対して少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチドである。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:31にコードされるポリペプチドである。
【0017】
別の態様において、本発明は配列番号:32を含むポリペプチドである。
【0018】
さらなる態様において、本発明は配列番号:32に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:33にコードされるポリペプチドである。
【0020】
別の態様において、本発明は配列番号:34を含むポリペプチドである。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:34対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0022】
さらなる態様において、本発明は配列番号:35にコードされるポリペプチドである。
【0023】
さらなる態様において、本発明は配列番号:36を含むポリペプチドである。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:36に対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドである。
【0025】
別の態様において、本発明は配列番号:37にコードされるポリペプチドである。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:38を含むポリペプチドである。
【0027】
別の態様において、本発明は配列番号:38に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0028】
さらなる態様において、本発明は配列番号:54にコードされるポリペプチドである。
【0029】
別の態様において、本発明は配列番号:55を含むポリペプチドである。
【0030】
本発明の別の態様は、配列番号:55に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:71および配列番号:72からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0032】
別の態様において、本発明は配列番号:70および配列番号:73からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0033】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:71および配列番号:72からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:76および配列番号:6からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0035】
さらなる態様において、本発明は配列番号:77および配列番号:5からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0036】
別の態様において、本発明は配列番号:76および配列番号:6からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0037】
さらなる態様において、本発明は配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84および配列番号:86からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0038】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85および配列番号:87からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0039】
さらなる態様において、本発明は配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84および配列番号:86からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチである。
【0040】
さらなる態様において、本発明は配列番号:159を含むポリペプチドである。
【0041】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:158にコードされるポリペプチドである。
【0042】
別の態様において、本発明は配列番号:159に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は少なくとも一つのPam3Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0044】
さらなる態様において、本発明は少なくとも一つのPam2Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでDen2エンベロープタンパク質が配列番号:20および配列番号:40からなる群より選択される、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0047】
さらに別の態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答を刺激する方法である。
【0048】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0049】
さらに別の態様において、本発明は、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS. muenchen fliCからなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0050】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0051】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0052】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリン(flaggelin)の少なくとも一部がヒンジ領域の少なくとも一部を欠く、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0053】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを用いて、被験体において免疫応答を刺激し得る。特許請求の範囲に係る発明の利点としては、例えば有効な免疫原性を有し、副作用を減じるようなフラビウイルスタンパク質等の特定の抗原もしくはウイルスに特異的な様式における、被験体におけるフラビウイルス感染の予防が挙げられ得る。特許請求の範囲に係る組成物、融合タンパク質、ポリペプチドおよび方法を使用して感染を予防または処置することで、抗原またはウイルス感染の結果の深刻な疾患を免れ得る。
【0054】
(発明の詳細な説明)
これより、本発明の工程または本発明の各部の組み合わせのいずれかで、本発明の特徴および他の詳細をより具体的に記載し特許請求の範囲に示す。本発明の特定の態様が発明を限定せずに実例として示されることを理解されたい。本発明の本質的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様において使用され得る。
【0055】
本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部およびヒンジ領域を欠くフラジェリンの少なくとも一部、ならびに少なくとも一つの病原体関連分子パターン(PAMP)の少なくとも一部および少なくとも一つのフラビウイルスの少なくとも一部の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに関する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを、被験体において免疫応答を刺激する方法に使用し得る。
【0056】
一態様において、本発明は少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0057】
フラジェリンまたは細菌のリポタンパク質等の病原体関連分子パターン(PAMP)とは、パターン認識レセプター(PRR)に結合した際に先天性の免疫応答を誘発し得る、微生物中に見出される分子(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、リポペプチド、核酸)の類のことをいう。PRRはToll様レセプター(TLR)であり得る。Toll様レセプターとは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melangogaster)Tollタンパク質に相同なレセプタータンパク質の一群のことをいう。Toll様レセプターは、細胞外ロイシンに富んだ繰り返しドメインおよびインターロイキン1レセプターに相同な細胞内ドメインを特徴とするI型膜貫通シグナル伝達レセプタータンパク質である。Toll様レセプターはTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11およびTLR12を含む。
【0058】
病原体関連分子パターンはToll様レセプターのアゴニスト、例えばTLR2アゴニスト(すなわち、Pam2Cys、Pam3Cys、細菌のリポタンパク質)またはフラジェリン等のTLR5アゴニストであり得る。TLRに関して本明細書で使用する場合、「アゴニスト」はTLRシグナル伝達経路を活性化する分子を意味する。TLRシグナル伝達経路は、TLRリガンドまたはTLRアゴニストに活性化され得る特定のTLRに用いられる細胞内シグナル情報伝達経路である。共通の細胞内経路はTLRにより使用され、例えばNF-κB、Jun N末端キナーゼおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼが挙げられる。病原体関連分子パターンとしては、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト(例えばPam3Cys、Pam2Cys、細菌のリポタンパク質)、TLR3アゴニスト(例えばdsRNA)、TLR4アゴニスト(例えば、細菌のリポ多糖類)、TLR5アゴニスト(例えば、フラジェリン)、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト(例えば、非メチル化DNAモチーフ)、TLR10アゴニスト、TLR11アゴニストおよびTLR12アゴニストからなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。
【0059】
特定の態様において、TLR2アゴニストは、Pam2Cys、Pam3Cysまたは緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)OprIリポタンパク質(OprI)等の細菌性リポタンパク質である。例示的なOprIリポタンパク質は、ATGAAAGCTACTAAACTGGTACTGGGCGCGGTAATCCTGGGTTCTACTCTGCTGGCAGGTTGCTCCAGCAAC(配列番号:180)にコードされるMNNVLKFSALALAAVLATGCSSH(配列番号:179)を含む。本明細書に記載される発明に用いる例示的な大腸菌の細菌性リポタンパク質は、ATGAAAGCTACTAAACTGGTACTGGGCGCGGTAATCCTGGGTTCTACTCTGCTGGCAGGTTGCTCCAGCAAC(配列番号:182)にコードされるMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSN(配列番号:181)である。TLR2シグナル伝達経路を活性化する細菌性リポタンパク質(TLR2アゴニスト)は、パルミトレイン酸を含む細菌性タンパク質である(Omueti, K.O., et at., J. Biol. Chem. 280: 36616〜36625(2005))。例えば、細菌発現系(例えば大腸菌)における配列番号:180および182の発現は、得られたタンパク質(例えば、配列番号:179、181)のシステイン残基へのパルミトレイン酸部分の付加を生じ、それにより本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるTLR2アゴニストを生成する。細菌におけるトリパルミトイル化リポタンパク質(トリアシルリポタンパク質ともいう)の生成は、システイン(配列番号:181のシステイン21)中のスルフヒドリル基へのジアシルグリセロール基の付加、その後のシグナル配列の切断および第三のアシル鎖の同じシステイン(配列番号:181のシステイン21)の遊離N末端基への付加により起こり(Sankaran, K., et al., J. Biol. Chem. 269:19706(1994))、例えば、図80に示されるようにトリパルミトイル化(tripalmitoylated)ペプチド(TLR2アゴニスト)を生成する。
【0060】
抗原は、PAMP(例えば、フラジェリン、Pam2Cys、Pam3Cys)と組み合わせてかまたはPAMPが非存在のいずれかで使用される場合、被験体において免疫応答を生じる任意の分子(例えば、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、炭水化物、脂質、リポペプチド、多糖類)である。抗原は、天然に存在する抗原のフラグメントもしくは部分、または天然に存在する抗原もしくは天然に存在する抗原の一部を模倣する合成分子であり得る。
【0061】
抗原はウイルス抗原であり得る。本明細書で使用する場合「ウイルス抗原」とは、PAMP(例えば、フラジェリン、Pam2Cys、Pam3Cys)と組み合わせてかまたはPAMPの非存在のいずれかで使用される場合、被験体において免疫応答を生じるウイルス(例えば、フラビウイルス)の任意の一部のことをいう。ウイルス抗原は、被験体において免疫応答を生じる、天然に存在するウイルスもしくは組換えタンパク質もしくは合成タンパク質(例えばフラビウイルス)、ペプチド、脂質、炭水化物等の天然に存在するウイルスを模倣する合成分子の一部またはフラグメントであり得る。抗原(例えばウイルス性抗原)の少なくとも一部について本明細書で使用される場合、「少なくとも一部」は抗原の任意の部分または抗原の全体を意味する。例えば、フラビウイルス抗原の少なくとも一部はエンベロープタンパク質、またはフラビウイルス抗原のエンベロープタンパク質のドメイン(例えばドメインI、II、III)であり得る。
【0062】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠損し得る。ヒンジ領域はフラジェリンのアミノ末端およびカルボキシ末端を結びつけるフラジェリンの超可変領域である。フラジェリンのヒンジ領域とはまた、本明細書で「超可変領域」または「超可変ヒンジ領域」のことをいう。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「欠損」は少なくとも一つのアミノ酸またはフラジェリンのヒンジ領域を含む少なくとも一つのアミノ酸をコードする少なくとも一つの核酸コドンがフラジェリン中に存在しないことを意味する。ヒンジ領域の例としては、配列番号:2の核酸528〜1245にコードされる配列番号:1のアミノ酸176〜415、配列番号:69の核酸522〜1266にコードされる配列番号:68のアミノ酸174〜422、または配列番号:59の核酸519〜1392にコードされる配列番号:58のアミノ酸173〜464が挙げられる。従って、アミノ酸176〜415が配列番号:1のフラジェリンに非存在である場合、フラジェリンはヒンジ領域を欠く。ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くフラジェリンはまた、本明細書でフラジェリンの「切断型(truncated version)」という。
【0063】
本明細書で使用する場合、「ヒンジ領域の少なくとも一部」とはPAMP(例えばフラジェリン)のヒンジ領域の任意の部分、またはヒンジ領域の全体のことをいう。「ヒンジ領域の少なくとも一部」とはまた、本明細書で「ヒンジ領域のフラグメント」のことをいう。例えば、ネズミチフス菌フラジェリンB(fljB、本明細書で「fljB/STF2」または「STF2」ともいう)のヒンジ領域は、配列番号:2の位置528〜1245の核酸にコードされる配列番号:1のアミノ酸176〜416である。fljB/STF2のヒンジ領域の少なくとも一部は、例えば、配列番号:1のアミノ酸200〜300であり得る。従って、アミノ酸200〜300が配列番号:1に非存在である場合、STF2の得られるアミノ酸配列はヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0064】
天然に存在するフラジェリンの少なくとも一部は人工のヒンジ領域の少なくとも一部と置換され得る。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「天然に存在する」は天然のフラジェリン中に存在するヒンジ領域を意味する。例えば、配列番号:1のアミノ酸176〜415、配列番号:68のアミノ酸174〜422および配列番号:58のアミノ酸173〜464は、それぞれSTF2、大腸菌fliCおよびS. muenchenフラジェリン、fliCの天然のヒンジ領域に相当するアミノ酸である。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「人工の」は天然のヒンジ領域を含むかまたは含んでいたフラジェリン中の任意の領域で天然のフラジェリンに挿入されるヒンジ領域を意味する。例えば、配列番号:32は天然に存在するヒンジ領域を欠き、人工のヒンジ領域であるアミノ酸176〜186で置換されている。
【0065】
人工のヒンジ領域は、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くフラジェリンに使用され、TLR5への結合ひいてはTLR5の先天的なシグナル伝達経路の活性化のためにフラジェリンのカルボキシ末端およびアミノ末端の相互作用を容易にし得る。ヒンジ領域の少なくとも一部を欠損するフラジェリンは後に「Δ」が続くフラジェリンの名称で表される。例えば、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くSTF2(例えば、配列番号:1)は「STF2Δ」または「fljB/STF2Δ」(例えば、配列番号:3)と称される。
【0066】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、fljB/STF2(ネズミチフス菌フラジェリンB、Genbank受託番号AF045151)、fljB/STF2のフラグメント、大腸菌フラジェリンfliC(本明細書で大腸菌fliCともいわれる)(Genbank受託番号AB028476)、大腸菌フラジェリンfliCのフラグメント、S. muenchenフラジェリンfliC(本明細書でS. muenchen fliCともいわれる)、およびS. muenchen フラジェリンfliCのフラグメントからなる群より選択される少なくとも一員であり得る。
【0067】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:58および配列番号:68のポリペプチド、配列番号:1の少なくとも一部、配列番号:3の少なくとも一部、配列番号:58の少なくとも一部および配列番号:68の少なくとも一部、ならびに配列番号:2、配列番号:4、配列番号:59および配列番号:69にコードされるポリペプチド、または配列番号:2、配列番号:4、配列番号:59および配列番号:69にコードされるポリペプチドの少なくとも一部を含む。
【0068】
別の態様において、本発明は少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0069】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」とは共有結合または非共有結合により結合される少なくとも二つの同様または異なる成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)から生じるタンパク質のことをいう。融合タンパク質の成分は、例えば、合成(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys)により、または組換え核酸技術(例えば、PAMPの少なくとも一部、または抗原もしくはウイルスタンパク質の少なくとも一部等の融合タンパク質の成分をコードする核酸配列を用いた宿主細胞のトランスフェクション)により作製され得る。融合タンパク質の一成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部またはウイルスタンパク質の少なくとも一部)は、ペプチド共役を含む化学共役技術を用いて、または融合タンパク質構築物の作成等の組換え技術を含む分子生物学的技術を用いて、融合タンパク質の別の成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部またはウイルスタンパク質の少なくとも一部)に結合され得る。化学的共役(本明細書で「化学的カップリング」ともいわれる)としては、チオール基(例えば、システイン残基)等の反応基、または第一の(例えば、アミノ末端)基もしくは第二の(例えば、リシン)基の誘導による共役が挙げられ得る。本発明の例示的な融合タンパク質としては配列番号:5、70、73、77、81、83、85、87および158(図5、28、31、33、37、39、41および43)にコードされる配列番号:6、71、72、76、80、82、84、86および159(図6、29、30、32、36、38、40および42)が挙げられる。
【0070】
本発明の融合タンパク質は、「.」または「-」で分けられる融合タンパク質の成分によって表わされ得る。例えば、「STF2.EIII」とは一つのfljB/STF2タンパク質および少なくとも一つの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIII(下記参照)の少なくとも一部を含む融合タンパク質のことをいい、「STF2Δ.EIII」とはそのヒンジ領域の少なくとも一部を欠き、少なくとも一つの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部を有する一つのfljB/STF2タンパク質を含む融合タンパク質のことをいう。
【0071】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにフラビウイルスタンパク質である西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。病原体関連分子パターンおよびウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0072】
フラビウイルス属はウイルスファミリーのフラビウイルス科であり約70のウイルスからなる。蚊またはダニはこれらのウイルスのほとんどを伝播する。いくつかのフラビウイルスは、四種のデング熱ウイルス(Den1、Den2、Den3およびDen4)、黄熱病(YF)、日本脳炎(JE)、西ナイル(WN、本明細書で「WNV」ともいう)およびダニ媒介脳炎(TBE)を含む重大なヒト病原体である(Weaver S.C., et al., Nat Rev Microbiol 10: 789〜801(2004))。フラビウイルス属は交差中和試験に基づいて、DEN-1、DEN-2、DEN-3およびDEN-4と呼ばれる血清学的および遺伝学的に異なる四種のウイルスを包含するデング血清グループを含む多くの血清グループに分かれる。
【0073】
フラビウイルスは、二十面体カプシドを有する小さな被覆されたウイルスである。フラビウイルスゲノムは感染後に宿主細胞機構により直接翻訳される一本鎖ポジティブセンスRNA(約11kb)である。該ウイルスゲノムは、ウイルスの酵素および細胞の酵素により翻訳同時切断および翻訳後切断を受けフラビウイルスの三つの構造タンパク質(カプシド(C)、膜(M)およびエンベロープ(E)タンパク質)、および七つの非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、およびNS5)を生じる、一本鎖ポリペプチドとして翻訳される(Weaver, et al., Annu Rev Microbiol 1990:44〜649(2004))。フラビウイルスゲノムの構成は図44に示される。ウイルスのカプシドはCタンパク質から構成され、Mタンパク質とエンベロープタンパク質の両方はビリオンのエンベロープ表面に配置される(Weaver, S. C, et al., Nat. Rev. Microbiol. 10:789〜801(2004);、Chambers et al., Annu Rev. Microbiol 44: 649〜688(1990))。フラビウイルスの主要な免疫原は膜エンベロープタンパク質である。
【0074】
フラビウイルスエンベロープタンパク質はウイルスの集合において役割を果たす。これらのタンパク質はウイルスの周縁の保護殻を形成し、宿主細胞内に放出されるまでウイルスを保護する内部の遺伝物質のための囲いとして働く。単純なウイルスはタンパク質殻および遺伝情報のみから構成されるが、フラビウイルス等のより複雑なウイルスはタンパク質殻とウイルスゲノムの間に脂質二重層も含む。ウイルスエンベロープタンパク質がレセプターに結合し、エンドソームの低いpHに対して構造の再配列により応答する場合に、フラビウイルスは宿主細胞に侵入し得る。構造の変化によりウイルス膜と宿主細胞膜の融合が誘導される。
【0075】
フラビウイルスのエンベロープはレセプター結合タンパク質として機能し得、ウイルスと宿主細胞膜の融合を容易にする。レセプター結合タンパク質として、エンベロープタンパク質は宿主域、細胞指向性、ビルレンスの決定因子であり、免疫応答の際に中和抗体を誘導する(Roehrig, Adv Virus Res 59:141〜175(2003))。エンベロープタンパク質はウイルスと宿主膜を融合させる原因である(Chu, et al., J. Virol 78: 10543〜10555(2004);Heinz, et al., Adv Virus Res 59:63〜97(2003);Chu, et al., J. Gen Virol 86:405〜412(2005))。ダニ媒介脳炎ウイルスエンベロープタンパク質およびデング-2(Den 2)ウイルスエンベロープタンパク質の結晶構造が決定されている(Rey, et al., Nature 375:291〜298(1995);Modis, et al., Proc Natl Acad Sci USA 100:6986〜6991(2003))。フラビウイルスのエンベロープタンパク質は共通の構造的特徴(ドメインI、IIおよびIII)および機能的特徴(ウイルスと宿主細胞のレセプター結合および融合機能)を有し、クラスII融合糖タンパク質である(Lescar et al., Cell 105:137〜148 (2001))。
【0076】
前融合構造において、エンベロープタンパク質はウイルス粒子の外表面にホモダイマーを形成する(Rey, et al., Nature 375:291〜298);Kuhn, et al., Cell 108:717〜725 (2002);Mukhopadhyay, et al., Science 302:248 (2003))。それぞれのエンベロープタンパク質モノマーが折り畳まれて、主にβ鎖からなる三つの構造ドメイン(ドメインI、IIおよびIII)になる。ドメインI(本明細書で「I」または「DI」ともいう)は、構造体の中心に位置し、グリコシル化エンベロープタンパク質のNグリコシル化部位を有する。エンベロープタンパク質のドメインII(本明細書で「II」または「DII」ともいう)は、二量体化を促進し、ウイルスのpH依存的な融合の際に標的宿主膜内に挿入される融合ループを有する(Modis, et al., Nature 427:313〜319 (2004);Bressanelli, et al., EMBO J 23:728〜738 (2004))。ドメインIII(本明細書で「III」または「DIII」ともいう)はエンベロープタンパク質のカルボキシ末端に存在する。ドメインIIIは初期の抗原性マッピング試験において「ドメインB」ともいわれる。ドメインIIIは、ウイルス中和抗体を誘導し得るいくつかのエピトープを有する(Roehrig, Adv Virus Res 59:141〜175 (2003))。また、ダニ媒介脳炎を含むいくつかのフラビウイルスを用いた試験(Mandle, et al., J. Virol 75:5627〜5637 (2001))は、免疫グロブリン定常ドメインの典型的な折り畳みを有するドメインIIIがフラビウイルスの宿主細胞への結合を仲介し得る(Anderson, Adv Virus Res 59:229〜274(2003))ので、レセプター結合ドメインであり得ることが示される。
【0077】
ダニ媒介脳炎フラビウイルスおよびデング2フラビウイルス由来のエンベロープタンパク質のドメインI、IIおよびIIIの結晶構造が決定されている(それぞれRey, F.A., et al., Nature 375:291〜298(1995);Modis, Y., et al., Nature 427:313〜319(2004))。ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のドメインIは配列番号:174のアミノ酸1〜51、137〜189および285〜302に相当し、配列番号:174のダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のドメインIIはアミノ酸52〜136および190〜284に相当し、ドメインIIIは配列番号:174のアミノ酸303〜395に相当する(Rey, F.A., et al., Nature 375:291〜298 (1995))。配列番号:174(図44)は配列番号:175(図78)にコードされる。デング2フラビウイルスエンベロープタンパク質のドメインIは配列番号:160(図70)のアミノ酸1〜52、132〜193および280〜296に相当し、ドメインIIは配列番号:160のアミノ酸53〜131および194〜279に相当し、ドメインIIIは配列番号:160のアミノ酸297〜495に相当する(Modis, Y., et al., Nature 427:313〜319 (2004))。他のフラビウイルス(例えば西ナイルウイルス、日本脳炎、デング1ウイルス、デング3ウイルスおよびデング4ウイルス)のドメインI、IIおよびIIIの位置は、ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質ドメインおよびデング2エンベロープタンパク質ドメインの相同性に基づく。従って、本明細書においてフラビウイルスタンパク質、特にダニ媒介脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質およびデング2フラビウイルスエンベロープタンパク質以外のフラビウイルスのドメインへの言及は、ダニ媒介脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質およびデング2フラビウイルスエンベロープタンパク質におけるドメインに対する相同性に基づく。
【0078】
DENフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIIIは、四つのDEN(DEN1、DEN2、DEN3、DEN4)ウイルスを含むフラビウイルス型特異的な連続的な決定的/ドミナント中和エピトープ(type-specific contiguous critical/dominant neutralizing epitope)の大部分をコードする(Roehring, J.T., Adv. Virus Res. 59:141 (2003))。フラビウイルスエンベロープタンパク質は高度に相同的である。例示的なエンベロープタンパク質配列を図45、68、70、72、74および77(それぞれ、配列番号:39、160、162、164、166および171)に示す。
【0079】
フラビウイルスエンベロープタンパク質の七つの非構造的タンパク質は、ウイルスの複製に関与している。NS3は、アミノ末端領域でセリンプロテアーゼ、ならびにカルボキシ末端領域においてヘリカーゼ、RNAトリホスファターゼおよびNTPase活性をコードする多機能性酵素である。NS5はメチルトランスフェラーゼおよびRNA依存RNAポリメラーゼをコードする。NS2A、NS2B、NS4AおよびNS4Bは四つの特徴の乏しいタンパク質である。NS2Bの中心ドメインはNS3セリンプロテアーゼのコファクターであり、NS2AおよびNS4Aは複製複合体の成分であることが知られている。NS1は、ウイルスが感染した細胞の細胞膜および細胞内小胞の腔の両方に局在する。NS1は、ネガティブ鎖RNA合成の前または初期のいずれかで複製サイクルの初期工程に関係しており、ウイルス成熟および/または放出に関与しているとも考えられる多機能性タンパク質である(Brinton, M.A., Annu Rev Microbiol 56:371 (2002))。
【0080】
西ナイルウイルス(WNV)は、一本鎖ポジティブセンスRNAエンベロープウイルスである。西ナイルウイルスは、1937年にウガンダの西ナイル地方で熱病の成人女性から初めて単離され、同定された(Smithburn, et al., Am J Trop Med Hyg 3:9〜18 (1954))。西ナイルウイルスは、ポリクローナル抗血清による交差中和試験を用いてフラビウイルス科の一員として分類されている(Boctor, et al., J. Virol Methods 26:305〜311 (1989))。西ナイルウイルスは神経侵入性であり(George, et al., Bull W H O 62:879〜882 (1984))、北アメリカでの大発生に見られたように、西ナイルウイルスへの感染の結果、重度のヒト髄膜脳炎が生じ得る(CDC, Update: West Nile Virus Encephalitis - New York 1999, MMWR Morbid Mortal Wkly Rep 48:994〜946;CDC, Update: West Nile Virus Encephalitis - New York 1999. MMWR Morbid Mortal Wkly Rep 51:1135〜1136)。1999年〜2002年の間、WNVは米国の東部にまでその範囲を拡大し、西半球においてその範囲は広がり続けると予想される。トリは自然の保有宿主であり、WNVは自然界において主にイエカ(Culex)属の蚊を含む蚊-トリ-蚊の伝播環で維持される。
【0081】
近年、西ナイルウイルスは欧州および北アメリカの温帯地域に出現しており、公衆衛生および動物の健康に脅威をもたらしている。WNV感染の最も深刻な症状はヒトおよびウマにおける致命的な脳炎(脳の炎症)、ならびに特定の家畜および野鳥における大量死である。西ナイルウイルス感染はまた、米国においてヒト疾病の重大な原因である。西ナイルウイルスのエンベロープ糖タンパク質(WNV-E)および他のフラビウイルスのエンベロープ糖タンパク質は、免疫応答を刺激して中和抗体および保護抗体を生じさせる組成物の調製に重要であり得る。現在、例えば被験体において免疫応答を刺激することにより西ナイルウイルス感染を予防する組成物は無い。
【0082】
日本脳炎(JE)ウイルスはアジアおよび北部オーストラリアに存在している(localize)(約50,000件の事例があり、一年間に約10,000人の死者がある)。最近、不活性化ウイルスを含む組成物が急性播種性脳脊髄炎の症例に関係したため、日本厚生労働省は不活性化ウイルスを含む組成物の全国的な使用中止を勧告した。
【0083】
デング(DEN)病は、DEN-1(本明細書で「Den1」またはDen 1」ともいわれる)、DEN-2(本明細書で「Den2」または「Den 2」ともいわれる)、DEN-3(本明細書で「Den3」または「Den 3」ともいわれる)、およびDEN-4(本明細書で「Den4」または「Den 4」ともいわれる)として知られる蚊媒介性で血清学的に関係のある四種類のフラビウイルスによって生じ、ヒトの重大なアルボウイルス疾患である。DENは世界の全熱帯地域において大きな公衆衛生問題である。約30億の人々がDENの危険にさらされており、毎年約50,000,000〜約100,000,000件のデング熱(DF)および数十万件のデング出血熱が、メキシコ、カリブ海諸国ならびにアジアおよび南太平洋諸国の一部を含む熱帯地域で生じる(Gubler, D.J., Ann Acad Med Singapore 27: 227〜34 (1998))。デング熱ウイルスは熱帯地域に住む周辺国内(peridomestic)のシマカ属の蚊により伝播され、これらの地域においてDFの地方的流行を生じる。一種類のウイルスによる感染は通常は生命の脅威とはならないデング熱(DF)という熱病を引き起こし、DEN血清型/ウイルスの感染に対して終生の防御免疫が生じる。しかし、一種類の血清型/ウイルスに感染する個体は他の三種類のDEN血清型/ウイルスに感染しやすいままになる。他のDEN血清型/ウイルスのうちの一種類によるその後の感染で生命の脅威となる疾患であるデング出血熱(DHF)またはデング熱ショック症候群(DSS)が引き起こされ得る。
【0084】
DHFは、初期DEN感染により誘導される非中和抗体が、二次感染時にFcレセプターによってマクロファージに取り込まれるウイルス-抗体複合体を形成し、ひいてはウイルス感染を増強する抗体依存性感染増強(ADE)の結果であり得る。毎年約500,000件のDHFのほとんどが子供において生じ、致死率は約5%である。600,000,000人の子供がDEN感染の危険にさらされ、毎年約60,000,000人がDEN感染を受け得、約60,000人が入院し得る。また、公衆衛生問題に対して、しばしば軍隊の人員が、DENウイルスが見られる世界の熱帯地域に海外派遣される。ソマリア戦争、グレナダ戦争、ベトナム戦争および湾岸戦争等、海外で遂行中に、かなりの数の兵士がDENで命を落とした。四種類全てのDEN血清型/ウイルスを予防する四価のワクチンを開発する必要があるため、DENワクチンを開発する試みは困難であると分かっている。
【0085】
フラビウイルス疾患を予防する方法としてはフラビウイルスに対するワクチンが挙げられる(Barrett, A.D., Ann. N.Y. Acad. Sci 951:262 (2001)。これらの組成物は二つの部類、生弱毒化および不活性化に分けられる。生フラビウイルスを含む組成物は、それぞれ17D株およびSA14-14-2株に基づいてYFおよびJE用に開発されており、それぞれニワトリおよびハムスター組織の経験的な継代によって得られた。SA14-14-2は中国で生産され、初代ハムスター腎臓細胞培養物において生育され、ごく最近中国以外での使用が認可された。両組成物は効果的であり、防御免疫を発発現するのにそれぞれ一回または二回の投与を必要とする。JEおよびTBEの不活性化ウイルス組成物がある。不活性化JE組成物はNakayama株、Beijing-1株またはP3株に基づき、不活性化TBE組成物は中央ヨーロッパTBE株NeudorflおよびK23、ならびにロシア春夏脳炎株Sofjinおよび205に基づく。これらの死滅したフラビウイルス組成物には、約二回の投与(約1週間〜約2ヵ月の間隔を空けて与えられる)、約一年での追加投与および約3年〜約4年毎の周期的な追加が必要である。抗体仲介性免疫、特に中和抗体はフラビウイルス疾患の予防に重要であり得る。フラビウイルス疾患を処置するかまたはフラビウイルス疾患を予防する組成物の投与の後の長命の中和抗体応答もまた重要であり得る。
【0086】
フラビウイルス感染を予防する組成物の開発に多くの様々なアプローチが取られているが、多くは成功していない。四種類の関連のあるウイルス(DEN1、DEN2、DEN3、DEN4)の結果である疾患DENに関して、一つ以上のDENに対して組成物を開発する必要があり得る。例えば、四価(DEN1、DEN2、DEN3およびDEN4)組成物は四種類全てのDENウイルスに対して同時に免疫応答を刺激することで、抗体依存性感染増強の可能性を除き得る。
【0087】
現在、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介ウイルス、クンジンウイルス、マリーバレー脳炎ウイルスおよび黄熱病ウイルスを含む多くのフラビウイルスによる感染を予防する効果的な組成物は無い(Chang, G.J., et al., Expert Rev Vaccine 3:199 (2004))。生弱毒化フラビウイルスにより弱毒化および免疫原性が組成物中に生じ得る。さらに、四価の生デング熱フラビウイルスを有する組成物は、四種類の各DENウイルスの種々の量で試験された多くの組成物を結果として生じる、干渉および不均衡な免疫応答に関する問題を有し得る。不活性化フラビウイルスを含む組成物は、免疫原性および複数投与の必要性に関する問題を有し得る。また、感染したマウスの脳または細胞培養における不活性化フラビウイルス組成物の生産は複雑で単調であり得、適切に不活性化がされない場合に未知の危険を生じ得、被験体に投与する際に有害な影響をもたらし得る。従って、被験体におけるフラビウイルス感染の予防に用いる新しい組成物を開発する必要がある。
【0088】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、共刺激分子の発現、重要なサイトカインおよびケモカインの分泌、ならびに効果的なプロセシングおよびT細胞に対する抗原の提示をもたらす細胞性事象を誘発する病原体関連分子パターンを用いる。上述の通り、TLRは細菌細胞壁成分(例えば、細菌リポタンパク質およびリポ多糖類)を含むPAMP、非メチル化CpG残基を含む細菌DNA配列および細菌フラジェリンを認識する。TLRは先天的免疫応答の開始剤および適応的免疫応答の監視者の役目をする(Medzhitov, R.ら, Cold Springs Harb. Symp. Quant. Biol. 64:429 (1999); Pasare, C.ら, Semin, Immunol 16:23 (2004); Medzhitov, R.ら, Nature 388:394 (1997); Barton, G.M.ら, Curr. Opin. Immunol 14:380 (2002); Bendelac, A.ら, J. Exp. Med. 195:F19 (2002))。
【0089】
上述の通り、TLRへのPAMPの結合は、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いる免疫経路を活性化し、被験体において免疫系を刺激することに用いられ得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、抗原(例えば、フラビウイルスタンパク質などのウイルスタンパク質)に対する免疫応答を誘発して、被験体の先天的および適応的免疫系のシグナル伝達経路を誘発することにより、被験体の免疫系を刺激し得る。被験体の免疫系の刺激は抗原またはウイルス(例えばフラビウイルス)による感染を予防することにより、被験体を処置するかまたは被験体を疾患、病気および、あるいは死を予防し得る。
【0090】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、例えば、1、2、3、4、5、6以上の病原体関連分子パターン(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、フラジェリン)および1、2、3、4、5、6以上の抗原を含み得る。2以上のPAMPおよび/または2以上の抗原および/またはウイルスタンパク質が本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む場合、それらはまた「多量体」といわれる。
【0091】
病原体関連分子パターンはTLR5アゴニスト(例えば、少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部)であり得る。フラジェリンは、fljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラ muenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。フラジェリンは、fljB/STF2(例えば、配列番号1)またはヒンジ領域のないフラジェリン(例えば、配列番号3)を含み得る。
【0092】
病原体関連分子パターンはTLR2アゴニストであり得る。TLR2アゴニストはPam2CysおよびPam3Cysからなる群より選ばれる少なくとも一員を含む。Pam3Cysは([パルミトイル]-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピルシステイン)である。Pam3Cysはまた本明細書では「P2」といわれる。Pam2Cysは(S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン)である。
【0093】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるウイルスタンパク質は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質、ランガトウイルスエンベロープタンパク質、クンジンウイルスエンベロープタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、日本脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、黄熱病ウイルスエンベロープタンパク質およびデング熱ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員のエンベロープタンパク質であり得る。
【0094】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、フラビウイルスのエンベロープタンパク質の任意の一部を用い得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、フラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIからなる群より選ばれる少なくとも一員を少なくとも一部を含み得る。エンベロープタンパク質のドメインに関して本明細書で使用する場合、「少なくとも一部」とはエンベロープタンパク質ドメインの任意の部分またはエンベロープタンパク質の全体を意味する。例えば、配列番号88および100〜151は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部を含む。
【0095】
本明細書で使用する場合、「EI」、「EII」、および「EIII」とは西ナイルフラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。本明細書で使用する場合、「JEI」、「JEII」、および「JEIII」とは日本脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。本明細書で使用する場合、「Den1 I」、「Den1 II」、および「Den1 III」とはデング熱1フラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。同様に、他のフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインの表示は、後にドメイン番号が続くフラビウイルス名(例えば、(ダニ媒介)TBI(ダニ媒介)、TBII、TBIII、Den2 I、Den2 II、Den2 III)で参照される。
【0096】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いられるフラビウイルスのエンベロープタンパク質の一部は、ドメインIの少なくとも一部、ドメインIIの少なくとも一部およびドメインIIIの少なくとも一部からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。ドメインが「+」、例えば「EIII+」または「JEIII+」で示される場合、「III」と参照されるエンベロープタンパク質の一部は、そのドメインにドメインIおよびIIのいずれかまたは両者の少なくとも一部の少なくとも一つを加えた全ての一成分である。例えば、「EIII+」は本明細書で使用する場合、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがドメインIIIおよびドメインIの少なくとも一部を含むことを意味する。「EIII+」はまた「EI/III」といわれる。「JEIII+」はまた「JEI/III」といわれる。同様に、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインを含む場合、ドメインはドメインI、II、およびIIIの任意の組み合わせであり得、ドメインに基づき表示され得る。例えば、EI/IIは西ナイルフラビウイルスのドメインIおよびIIを含む。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いられるエンベロープタンパク質のドメインに関して「+」がないこと(例えば、EIII、JEIII、Den1 III)は、該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが参照のドメインを含むことを意味する。例えば、「Den1 III」は、該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがデング熱1ウイルスのドメインIIIを含み、ドメインIおよびIIを含まないことを意味する。
【0097】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いる西ナイルウイルスエンベロープタンパク質は、
MEKLQLKGTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSGSSIGK(EIII+アミノ酸配列であり、イタリック体のアミノ酸はエンベロープタンパク質のドメインIであり、残りの配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIである、配列番号7);
GTTYGVCSKAFKFARTPADTGHGTVVLELQYTGKDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANSKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSG(西ナイルウイルス, Stanford, CT, また「西ナイルS」といわれる、配列番号8);
GTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYVVGRGEQQINHHWHKSG(西ナイルウイルス, New York, NY, また「西ナイルNY」といわれる、配列番号9);およびELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKS(配列番号10)からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含み得る。配列番号7は、
ATGGAAAAATTGCAGTTGAAGGGAACAACCTATGGCGTCTGTTCAAAGGCTTTCAAGTTTCTTGGGACTCCCGCAGACACAGGTCACGGCACTGTGGTGTTGGAATTGCAGTACACTGGCACGGATGGACCTTGCAAAGTTCCTATCTCGTCAGTGGCTTCATTGAACGACCTAACGCCAGTGGGCAGATTGGTCACTGTCAACCCTTTTGTTTCAGTGGCCACGGCCAACGCTAAGGTCCTGATTGAATTGGAACCACCCTTTGGAGACTCATACATAGTGGTGGGCAGAGGAGAACAACAGATCAATCACCATTGGCACAAGTCTGGAAGCAGCATTGGCAAA(配列番号11)でコードされる。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質は、西ナイルウイルスのドメインIおよびIII(本明細書で「EIII+」という)の一部を含む配列番号7を含むポリペプチドに対して、少なくとも約70%同一性、少なくとも約75%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約85%同一性、少なくとも約90%同一性、少なくとも約95%同一性および少なくとも約99%同一性を有するタンパク質を含み得る。
【0098】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるランガトウイルスエンベロープタンパク質は、GLTYTVCDKTKFTWKRAPTDSGHDTVVMEVGFSGTRPCRIPVRAVAHGVPEVNVAMLITPNPTMENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGDLNHQWFQKG(配列番号12)の少なくとも一部を含み得る。クンジンウイルスエンベロープタンパク質は、GTTYGVCSKAFRFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKIPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVSTANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSG(配列番号13)の少なくとも一部を含み得る。マリーバレー脳炎エンベロープタンパク質は、GTTYGMCTEKFTFSKNPADTGHGTVVLELQYTGSDGPCKIPISSVASLNDMTPVGRMVTANPYVASSTANAKVLVEIEPPFGDSYIVVGRGDKQINHHWHKEG(配列番号14)の少なくとも一部を含み得る。日本脳炎エンベロープタンパク質は、GTTYGMCTEKFSFAKNPADTGHGTVVIELSYSGSDGPCKIPIVSVASLNDMTPVGRLVTVNPFVATSSANSKVLVEMEPPFGSDYIVVGMGDKQINHHWHKAG(配列番号15)の少なくとも一部およびEMEPPFGDSYIVVMGDKQINHHWHKA(配列番号16)からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質は、GLTYTMCDKTKFTWKRAPTDSGHDTVVMEVTFSGTKPCRIPVRAVAHGSPDVNVAMLITPNPTIENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGELSHQWFQK(配列番号17)の少なくとも一部を含み得る。黄熱病ウイルスエンベロープタンパク質は、GLTYTMCDKTFTWKRAPTDSGHDTVVMEVTFSGTKPCRIPVRAVAHGSPDVNVAMLITPNPTIENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGELSHQWFQK(配列番号18)の少なくとも一部を含み得る。フラビウイルスのエンベロープタンパク質は、GTTYGMCSKKFTFRPADTGHGTVVLELQYSGDGPCKIPISVASKNDLTPVGRLVTVNPFVSSTANAKVLIEMEPPFGDSYIVVGGEQINHHWHKG(配列番号19)およびGMSYSMCTGKFKVVKEIAETQHGTIVIRVQYEGDGSPCKIPFEIMDLEKRHVLGRLITVNPIVTEKDSPVNIEAEPPFGDSYIIIGVEPGQLKLNWFKK(配列番号40)からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含み得る。配列番号12、13、14、15、16、17、18、19および40は、ウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの一部である。
【0099】
別の態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここでDen2ウイルスエンベロープタンパク質は、EAEPPFGDSYIIIGVEPQQLKLNWFKK(配列番号22)、配列番号40および配列番号97からなる群より選ばれる少なくとも一員である。
【0100】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、Den 1(EAEPPFGESYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号20)、Den 1 PR 94(プエルトリコ、1994)(ETEPPFGESYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号21));Den 3(EAEPPFGESNIVIGIGDKALKINWYKK(配列番号23));およびDen 4(ELEPPFGESYIVIGVGNSALTLHWFRK(配列番号24))を含み得る。配列番号20、21、22、23および24は、Den1、Den2、Den3およびDen4フラビウイルスのドメインIIIの一部である。4つのデング熱ウイルスのドメインIIIの少なくとも一部は、本発明(ivnetion)の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドにおいて一緒にまたは別々に用いられ得る。例えば、Den1(16007株)、Den2(516803株)、Den3(H53489株)およびDen4(703株)のドメインIIIは別々にまたは組み合わせて用いられ得る。病原体関連分子パターンおよびDen2エンベロープウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0101】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物である。
【0102】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるC型肝炎ウイルスタンパク質は、それぞれ配列番号66(図24)および67(図25)でコードされる、配列番号64(図22)および配列番号65(図23)からなる群より選ばれる少なくとも一員のポリペプチドを含み得る。
【0103】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0104】
本発明の融合タンパク質は、病原体関連分子パターンとウイルスタンパク質の間のリンカーをさらに含み得る。リンカーはアミノ酸リンカーであり得る。アミノ酸リンカーは、合成のまたは天然に存在するアミノ酸残基を含み得る。本発明の融合タンパク質に用いられるアミノ酸リンカーは、リジン残基、グルタミン酸残基、セリン残基、システイン残基およびアルギニン残基からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。本明細書で使用する場合、「アミノ酸リンカー」はまた「ペプチドリンカー」といわれる。アミノ酸リンカーは、AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGT(配列番号25);GAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC(配列番号27);GAATTCTCTAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC(配列番号61);AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGTCCAGTGTGGTGGAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCCAGTGTGATGGATATCTGCAGAATTCGCCCTTGCGGCCGCTC(配列番号63);
およびGAATTCTCTAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCT(配列番号74)でコードされる、KGNSKLEGQLEFPRTS(配列番号26);EFCRYPAQWRPL(配列番号28);EFSRYPAQWRPL(配列番号60);KGNSKLEGQLEFPRTSPVWWNSADIQHSGGRQCDGYLQNSPLRPL(配列番号62);EFSRYPAQWRPL(配列番号75)のペプチドからなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。
【0105】
本発明の融合タンパク質は、組成物の融合タンパク質の少なくとも一成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、フラジェリン、PAMP)と融合タンパク質の少なくとも一つの他成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、融合タンパク質の少なくとも二つの類似の成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、フラジェリン、PAMP、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0106】
本発明の融合タンパク質に関して本明細書で使用する場合、「リンカー」とは融合タンパク質の成分が直接結合しない様式の該融合タンパク質の成分間のコネクターのことをいう。例えば、融合タンパク質の一成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、PAMP)は融合タンパク質の異なる成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)に結合し得る。同様に、融合タンパク質の少なくとも二つ以上の類似または同様の成分が結合し得る(例えば、二つのPAMPは各PAMP間のリンカーをさらに含み得るか、二つの抗原は各抗原間のリンカーをさらに含み得るか、二つのウイルスタンパク質は各ウイルスタンパク質間のリンカーをさらに含み得る)。
【0107】
さらにまたはあるいは、本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質の異なる成分および融合タンパク質の類似または同様の成分間のリンカーの組み合わせを含む得る。例えば、融合タンパク質は、例えば二つ以上のPAMP間のリンカーをさらに含む少なくとも二つのPAMP、Pam3Cysおよび/もしくはPam2Cys成分;それらの間にリンカーをさらに含む少なくとも二つの抗原もしくは少なくとも二つのウイルスタンパク質;融合タンパク質の一成分(例えば、PAMP)と融合タンパク質の別の異なる成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。従って、本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの病原体関連分子パターン間のリンカー、少なくとも二つの抗原間のリンカー、少なくとも二つのウイルスタンパク質間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0108】
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンは抗原またはウイルスタンパク質の少なくとも一部(例えば、「EIII」といわれる西ナイルエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部、「Den1 III」といわれるデング熱1エンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部などの、フラビウイルスタンパク質)のカルボキシ末端、アミノ末端またはカルボキシ末端およびアミノ末端両者に融合し得る。本明細書で使用する場合「融合する」とは、共有もしくは非共有結合するかまたは組み換え技術で一緒に産生することを意味する。
【0109】
本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの抗原または少なくとも二つのウイルスタンパク質の間の少なくとも一つの病原体関連分子パターンを含み得、それは、病原体関連分子パターンと抗原またはウイルスタンパク質の間のリンカーを任意で含み得る。本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つのウイルスタンパク質間に融合する病原体関連分子パターン(例えば、「ウイルスタンパク質.PAMP.ウイルスタンパク質」と表される)を含み得る。本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの病原体関連分子パターン間に融合する抗原またはウイルスタンパク質(例えば、「PAMP.ウイルスタンパク質.PAMP」と表される)を含み得る。
【0110】
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンは、フラジェリンなどのTLR5アゴニストであり得る。本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域の少なくとも一部を欠く該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得る。例えば、配列番号1のfljB/STF2フラジェリン(図1)のヒンジ領域の少なくとも一部は削除され得、抗原またはウイルスタンパク質が欠失領域において該フラジェリンに融合し得る。
【0111】
本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域を含む該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得る。例えば、抗原またはウイルスタンパク質は、ヒンジ領域の任意の位置、例えば配列番号1のアミノ酸176〜415の任意の位置で、配列番号1のfljB/STF2フラジェリン(図1)に融合し得る。
【0112】
本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域を欠く該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得、ここでヒンジ領域がアミノ酸リンカーなどの人工のヒンジ領域で置換されている。例えば、抗原またはウイルスタンパク質は、例えば、配列番号3のアミノ酸175〜186のアミノ酸リンカー(HGAPVDPASPW、配列番号183)の配置で示されるように、アミノ酸リンカー(本明細書でまた「人工のヒンジ」または「人工のヒンジ領域」または「人工の超可変領域」といわれる)を置くことにより、配列番号3のfljB/STF2Δフラジェリン(図3)に融合し得る。
【0113】
別の態様において、本発明はfljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラmuenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。エンベロープタンパク質の一部は、エンベロープタンパク質のドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部であり得る。
【0114】
さらに別の態様において、本発明は、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、76、6、80、82、84、86および159を含むポリペプチドならびに配列番号70、73、29、31、33、35、37、54、77、5、81、83、85、87および158でコードされるポリペプチドを含む。
【0115】
さらなる態様において、本発明は、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84、86および159のポリペプチドならびに配列番号70、73、29、31、33、35、37、54、77、5、81、83、85、87および158の核酸に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%および少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0116】
さらなる態様において、本発明は、配列番号1、3、58および68のポリペプチドならびに配列番号2、4、59および69の核酸に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%および少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含むフラジェリンを有するポリペプチドを含む組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む。
【0117】
二つのアミノ酸配列(または二つの核酸配列)の同一性パーセントは、最適な比較のために配列を整列すること(例えば、第一配列の配列にギャップを導入し得る)により決定され得る。対応する位置のアミノ酸配列または核酸配列がその後に比較され、二つの配列間の同一性パーセントは、該配列に共有される同一位置の数の関数(すなわち、%同一性=同一位置の#/位置の総数#)である。PAMP、融合タンパク質の少なくとも一部、ウイルスタンパク質、または比較のために整列された本発明のポリペプチドをコードするタンパク質または核酸の長さは、参照配列、例えば、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84、86および159に示されるような、例えば、PAMPの核酸配列、ウイルスタンパク質の少なくとも一部、またはポリペプチドもしくは融合タンパク質の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%である。
【0118】
二つの配列の実際の比較は、周知の方法、例えば数学的アルゴリズムを用いてなされ得る。かかる数学的アルゴリズムの好ましい限定されない例は、Karlinら(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるProc. Natl. Acad. Sci. USA, 20:5873〜5877 (1993))に記載される。かかるアルゴリズムは、Schafferら(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるNucleic Acids Res., 29:2994〜3005 (2001))に記載されるBLASTNおよびBLASTXプログラム(2.2版)に組み込まれる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、BLASTN;全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のインターネットサイトで利用可能である)を用い得る。ある態様において、検索されるデータベースは非冗長(NR)データベースであり、配列比較のパラメータは、フィルターなし;期待値10;ワードサイズ3;マトリックスはBLOSUM62;およびギャップコストはExistence 11およびExtension 1を有する、に設定し得る。
【0119】
配列の比較に用いられる別の数学的アルゴリズムは、その教示が参照により全体として本明細書に援用されるMyersおよびMillerのアルゴリズム、CABIOS(1989)である。かかるアルゴリズムは、GCC(Accelrys, San Diego, California)配列整列ソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(2.0版)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基テーブル、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4が用いられる。配列解析のさらなるアルゴリズムは当該技術分野で公知であり、TorellisおよびRobotti(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるComput. Appl. Biosci., 10: 3〜5 (1994))に記載されるADVANCEおよびADAM、ならびにPearsonおよびLipman(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるProc. Natl. Acad. Sci USA, 85: 2444〜2448 (1988))に記載されるFASTAが挙げられる。
【0120】
さらなる態様において、本発明は、本発明の核酸配列を含む宿主細胞およびベクターである。宿主細胞は原核(例えば、大腸菌)または真核(例えば、ショウジョウバエDmel2細胞などの昆虫細胞;バキュロウイルス(Baculovirus);CHO細胞;ピキア(Pichia)などの酵母細胞)の宿主細胞であり得る。
【0121】
二つのアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、Blossom 63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップ加重12、10、8、6、または4および長さ加重2、3、または4を用いるGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)におけるGAPプログラムを用いてなされ得る。さらに別の態様において、二つの核酸配列間の同一性パーセントは、ギャップ加重50および長さ加重3を用いるGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)におけるGAPプログラムを用いてなされ得る。
【0122】
PAMP、ウイルスタンパク質の少なくとも一部、本発明の融合タンパク質および本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、fljB/STF2(例えば、配列番号2、4)、fliC(例えば、配列番号59、69)、ウイルスタンパク質の少なくとも一部(例えば、配列番号39、160、162、164、166および177ならびに本発明の融合タンパク質(例えば、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84および86)に選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)下でハイブリダイズする核酸配列を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「低ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「中位のストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「高ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、または「非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、核酸配列のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を表わす。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、水性および非水性の方法を含み得、その教示が全体として本明細書に援用されるAubusel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (2001)で見出し得る。
【0123】
高い選択性を要する用途のために、ハイブリッドを形成するために比較的高いストリンジェンシー条件が用いられ得る。いくつかの膜に基づくハイブリダイゼーションに用いる溶液にホルムアミドなどの有機溶媒を添加することで、より低温にて反応を起こすことが可能になる。高ストリンジェンシー条件は、例えば、比較的低塩および/または高温条件である。高ストリンジェンシーは、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.10M NaClによりもたらされる。高ストリンジェンシー条件は、二つの配列間の限られた数のミスマッチを許容する。より低いストリンジェントな条件を達成するために、塩濃度を増加し得る、および/または温度を下げ得る。中位のストリンジェンシー条件は、約0.1〜0.25M NaClの塩濃度、および約37℃〜約55℃の温度で達成され、一方、低ストリンジェンシー条件は、約0.15M〜約0.9M NaClの塩濃度、および約20℃から約55℃にわたる温度で達成される。ハイブリダイゼーションのための成分および条件の選択は当業者に周知であり、Ausubelら(1997, Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York N. Y., Units 2.8-2.11, 3.18-3.19および4-64.9)に概説される。
【0124】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つのPam3Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員)の少なくとも一部を含む組成物である。デング熱ウイルスタンパク質は、Den1ウイルスタンパク質、Den2ウイルスタンパク質、Den3ウイルスタンパク質およびDen4ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。Pam3Cysおよびフラビウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0125】
本発明のさらなる態様は、少なくとも一つのPam2Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員)の少なくとも一部を含む組成物である。デング熱ウイルスタンパク質は、Den1ウイルスタンパク質、Den2ウイルスタンパク質、Den3ウイルスタンパク質およびDen4ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。Pam2Cysおよびフラビウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0126】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0127】
本明細書で使用する場合、「免疫応答の刺激」とは抗原またはウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質)の少なくとも一部に対する抗体の生成のことをいう。被験体における免疫応答の刺激は、抗原またはウイルスタンパク質に対して反応性である体液性および/または細胞性の免疫応答の産生を含み得る。被験体において免疫応答を刺激する際、被験体は、抗原もしくはウイルスによる感染、または被験体における免疫応答の刺激の結果として衰退し得るかもしくは休止され得る抗原もしくはウイルスによる感染に関連する病状から防御され得る。
【0128】
被験体における免疫応答を刺激する方法に用いる本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、十分確立された方法を用いて、被験体における免疫応答を刺激する能力を評価され得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが被験体における免疫応答を刺激するかどうかを判断する典型的な方法としては、抗原またはウイルスタンパク質に特異的な抗体(例えば、IgG抗体)の産生を、ELISAアッセイ;二次感染の抗体依存性増強(ADE)を誘導する可能性;マクロファージ様アッセイ;プラーク減少中和試験(Plaque Reduction Neutralization Test)(PRNT80)を用いて評価される中和;ヒトではないモデル(例えば、マウス、ウサギ、サル)において血清抗体を生成する能力(Putnakら, Vaccine 23:4442〜4452 (2005));抗原、特にマウスやサルなどのヒトではない動物を用いるウイルス抗原への曝露攻撃を生き抜く能力などの、適切な技法によって測定することが挙げられる。
【0129】
本明細書で用いられる場合、「被験体」とは霊長類またはげっ歯類(例えば、ネズミ、マウス)などの哺乳類であり得る。特定の態様において被験体はヒトである。
【0130】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0131】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでDen2エンベロープタンパク質が配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群より選ばれる、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0132】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0133】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0134】
本発明のさらなる態様は、fljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラmuenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、KGMSYVMCTGSFKLEKEVAETQHGTVLVQVKYEGTDAPCKIPFSTQDEKGVTQNGRLITANPIVTDKEKPVNIEAEPPFGENYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号21および96))、Den2ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号22、40およびKGMSYSMCTGKFKVVKEIAETQHGTIVIRVQYEGDGSPCKTPFEIMDLEKRHVLGRLTTVNPIVTEKDSPVNIEAEPPFGDSYIIIGVEPGQLKLDWFKK(配列番号97))、Den3ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号23およびKGMSYAMCLNTFVLKKEVSETQHGTILIKVEYKGEDAPCKIPFSTEDGQGKAHNGRLITANPVVTKKEEPVNIEAEPPFGESNIVIGIGDKALKINWYRK(配列番号98))およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号24およびKGMSYTMCSGKFSIDKEMAETQHGTTVVKVKYEGAGAPCKVPIEIRDVNKEKVVGRIISPTPFAENTNSVTNIELERPLDSYIVIGVGDSALTLHWFRK(配列番号99))からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0135】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0136】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠いている、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0137】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠いている、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0138】
「有効量」とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの量に関する場合、組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドの量または投与量をいい、被験体に投与する場合は治療効力に十分な量(例えば、被験体において免疫応答を刺激するのに十分な量)である。本発明の組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドは、単回投与または複数回投与で投与され得る。
【0139】
本発明の方法は、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの経腸手段または非経口手段による投与によりなされ得る。具体的に、投与経路は組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドの経口摂取(例えば、飲料、錠剤、カプセル形態)または筋内注射によるものである。本発明にまた包含される他の投与経路としては、静脈内経路、皮内経路、動脈内経路、腹腔内経路、または皮下経路、および鼻投与が挙げられる(including)。坐剤または経皮貼布もまた用いられ得る。
【0140】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、被験体の自己樹状細胞にエクスビボで投与され得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドへの樹状細胞の曝露に続き、樹状細胞を被験体に投与し得る。
【0141】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは患者に単独で投与され得るか、または共投与され得る。共投与とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの、個々または組み合わせでの同時投与または連続投与を含むと意図されている。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドが個々に投与される場合、被験体において免疫応答を刺激する効果が最大になるように互いに十分近い時間で投与の様式(例えば、融合タンパク質の投与に近い時間での組成物の投与)が行われ得る。複数の投与経路(例えば、筋内、経口、経皮)を用いて本発明の組成物および融合タンパク質を投与し得ることがまた想定される。
【0142】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは従来の賦形剤、例えば、抽出物と有害的に反応しない、経腸使用または非経口使用に適切な薬学的または生理的に許容され得る有機担体物質または無機担体物質との混合剤として投与され得る。適切な薬学的に許容され得る担体としては、水、食塩水(リンガー溶液など)、アルコール、油、ゼラチンおよび乳糖、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)、ならびにポリビニルピロリジン(pyrolidine)が挙げられる。かかる調製物は滅菌され得、必要に応じて、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドと有害的に反応しない、滑沢剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、および/または芳香剤などの助(auxillary)剤と混合され得る。調製物はまた、必要ならば他の活性物質と組み合わされ、代謝分解を減少し得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、飲料などの経口投与、筋内注射または腹腔内注射で投与され得る。組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドのみ、または混合剤と組み合わされる場合、単回またはある期間にわたり二回以上で投与されて所望の効果(例えば、フラビウイルス感染を緩和抑制する、フラビウイルス感染の症状を緩和するため)を与え得る。
【0143】
非経口使用が必要とされるかまたは所望される場合、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドに特に適切な混合剤は、注射可能な、滅菌溶液、好ましくは油性溶液または水性溶液、ならびに懸濁液、エマルジョン、または坐剤を含む植込錠である。特に、非経口投与のための担体としては、ブドウ糖水溶液、食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロック重合体などが挙げられる。アンプルは便利な単位投薬量である。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドはまたリポソームに組み込まれ得るか、経皮ポンプまたは経皮貼布にて投与され得る。本発明に用いられる適切な医薬混合剤は当業者に周知であり、例えばその教示が参照により本明細書に援用されるPharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co., Easton, PA)およびWO 96/05309に記載されている。
【0144】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、担体上で被験体に投与され得る。「担体」とは本明細書で使用される場合、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを被験体の免疫システムに提示して、被験体において免疫応答をもたらす任意の組成物を意味する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの提示は、抗体を作り出すウイルスタンパク質の抗原性部分の曝露を好ましくは含む。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの成分(例えば、PAMPおよびウイルスタンパク質)は、担体上で物理的に互いに近くにある。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、共有結合または非共有結合で担体に結び付き得る。好ましくは、担体は生体適合性である。「生体適合性」とは本明細書で使用される場合、担体が被験体において免疫応答(例えば抗体の産生)をもたらさないことを意味する。担体はポリマービーズまたはリポソームなどの生分解性基質担体であり得る。担体はさらにミョウバンまたは他の適切なアジュバントをさらに含み得る。担体は、ウイルス(例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス)、細菌(例えば、サルモネラ属)または核酸(例えば、プラスミドDNA)であり得る。
【0145】
被験体に投与する用量および頻度(単回投与または複数回投与)は、抗原、ウイルスタンパク質への前曝露、ウイルス感染の期間、ウイルス感染の前処置、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与経路、被験体の大きさ、年齢、性別、健康状態、体重、ボディーマス指数、および食生活、フラビウイルス曝露、フラビウイルス感染および感染に関与する特定のフラビウイルス(例えば、西ナイルフラビウイルス、デング熱フラビウイルス、ランガトフラビウイルス、クンジンフラビウイルス、マリーバレー脳炎フラビウイルス、日本脳炎フラビウイルス、ダニ媒介脳炎フラビウイルス、黄熱病フラビウイルスおよびC型肝炎フラビウイルス)の症状の性質および程度、併用療法の種類、フラビウイルス曝露、フラビウイルス感染または他の健康に関する問題からの合併症を含む様々な因子により変わり得る。他の治療レジメンまたは治療剤は、本発明の方法および組成物、融合タンパク質またはポリペプチドとともに用いられ得る。例えば、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与は、他のウイルス療法またはフラビウイルス感染の症状(例えば、高熱、麻痺、DHF、髄膜脳炎)を処置する薬剤の使用を伴い得る。確立された用量の調節および操作(例えば、頻度および期間)は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0146】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、決して限定を意図しない。
【実施例】
【0147】
原料および方法
PCR増幅およびDNAプライマー
製造業者の推奨に従い、Stratagene(La Jolla, CA)のPfu Ultra Hotstart PCR Master Mix(カタログ番号600630)を用いて全PCR増幅を行った。DNAプライマーをSigma Genosysから購入し、以下に記載する。
STF28BGF-1:
CTCGGGAGATCTGCACAAGTAATCAACACTAACAGTCT(配列番号41)
STF28MCR-1:
CCATGGGCTAGCAGGATCCACCGGCGCTCCCTGCACGTTCA(配列番号42)
STF28MCF-2:
GGAGCGCCGGTGGATCCTGCTAGCCCATGGACCGAAAACCCG(配列番号43)
STF28ECR-2:
TCTGCAGAATTCACGTAACAGAGACAGCACGTTCTGCGGGACGTCCCGCAGAACGTGCTGTCTCTGTTACGTGAATTCTGCAGA(配列番号44)
pET24AR:5 TCCGGCGTAGAGGATCGAGA(配列番号45)
STF2-E3R3:
CAATTGACCTTCAAGCTTCGAATTGCCCTTACGTAACAGAGACAGCACGTTCTG(配列番号46)
AX-E3F3:
AAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGTATGGAAAAATTGCAGTTGAAG(配列番号47)
pET24AF: GCTTAATGCGCCGCTACAGG(配列番号48)
5'WNE28: GCGGCCGCTCATGGAAAAATTGCAGTTGAAGGGAACAACC(配列番号49)
3'WNE28: CCGCGGTTTGCCAATGCTGCTTCCAGACTTGT(配列番号50)
NdeI-STF2:
CCGGCATGCCATATGGCACAAGTAATCAACACTAACAGTCTGTCGCTGC(配列番号51)
BlpI-EdIII:
GCATGCTCAGCTTATTAAGGGTTTGCCAATGCTGCTTCCCAGACTTGTG(配列番号52)
JE EIIIプライマー: TACGTGAATTCAGCAGATATCCAGCAC(配列番号53)
【0148】
pET/STF2Δ.EIIIのクローニング
ネズミチフス菌fljbの全長フラジェリン(第2相フラジェリン)(本明細書でまた「STF2」という)は、1.5kb遺伝子でコードされる。配列番号1のアミノ酸170〜415にわたる超可変領域を削除してSTF2の切断型(STF2Δ、配列番号4でコードされる配列番号3)を生成した。削除した領域を、TLR5シグナル伝達に必要なNH2末端配列およびCOOH末端配列の相互作用を容易にするように設計された短く柔軟なリンカー(GAPVDPASPW、配列番号56)で置き換えた。この構築物を生成するため、二段階PCRを用いた。第一反応において、STF2.OVA((図61)図62の配列番号153のアミノ酸配列をコードする配列番号152)はDNAテンプレートの役割をし、STF28BGF-1およびSTF28MCR-1をプライマー対として用いた。別の反応において、同じDNAテンプレートをプライマーSTF28MCF-2およびSTF28ECR-2と組み合わせた。
【0149】
PCR増幅反応では、それぞれ約500bpフラグメントおよび約270bpフラグメントを生成した。プライマーとしてSTF28BGF-1およびSTF28ECR-2を用いてこれらのPCR産物を最終PCR反応において組み合わせた。この反応からの増幅DNA産物(約0.77kb)をBglII制限酵素およびEcoRI制限酵素で消化し、BglIIおよびEcoRIで予め消化し、アルカリフォスファターゼで処理したpMTBiP/V5-His B(Invitrogen, Carlsbad, CA)にライゲーションした。ライゲーション混合物のアリコートをTOP10細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)を形質転換するために用いた。ベクター特異的プライマー、pMTFOR(メチオニンプロモーター)(CATCTCAGTGCAACTAAA、配列番号156)およびBGHREV(ウシ成長ホルモンポリA)(TAGAAGGCACAGTCGAGG、配列番号157)を用いてPCRスクリーニングを行い、いくつかの陽性クローンを同定した。全ての陽性クローンを制限マッピング解析によりさらに分析し、DNA配列決定法により確認した。得られた構築物pMT/STF2Δを用いて、pMT/STF2Δ.EIII+を生成した。
【0150】
pET/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)の西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(図45および46)のドメインIIIを、ショウジョウバエ発現プラスミドpMT/STF2.Eから得た。このプラスミドは西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(アミノ酸1〜406、配列番号39、図45)に融合する全長STF2(アミノ酸1〜506、配列番号1)を含む。pMT/STF2.E(配列番号158)クローンAX-1をDNAテンプレートとして用い、5'WNE28(配列番号49)および3'WNE28(配列番号50)はPCR増幅のためのプライマーの役割をした。制限分析およびその後のクローニング段階を容易にするために、5'プライマーは新規NotI部位(New England Biolabls, Beverly, MA)をコードし、3'プライマーは単一のSacII部位を包んだ。増幅したEIII+ DNAフラグメント(345bp;配列番号39のアミノ酸292〜406をコードする配列番号178)をpCR-Blunt II-TOPOクローニングベクター(InVitrogen, Carlsbad, CA)にサブクローニングしてプラスミドTOPOEIIIを生成した。その後、T4 DNAポリメラーゼを用いてSacII制限部位およびSpeI制限部位を平滑化することにより、EIII+配列の下流に停止コドンを導入した。
【0151】
pMT/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)を生成するため、NotI制限部位およびBamHI制限部位を用いてTOPOEIII+からEIII+フラグメントを単離し、pMT/STF2ΔのNotI制限部位およびSacII制限部位にライゲーションした。ライゲーションの前に、EIII+ DNAフラグメントのBamHI部位およびpMTSTF2ΔのSacII部位をT4 DNAポリメラーゼで平滑化した。pMT/STF2Δ.EIII+からのSTF2Δ.EIII+配列(配列番号70、71)を、プライマーNdeI-STF2およびBlpI-EdIIIを用いるPCR増幅により単離した。pET/STF2Δ.EIII+(配列番号71)を生成するため、PCR産物をNdeIおよびBlpIで消化して、NdeIおよびBlpIで前消化したpET24aプラスミドにライゲーションした。ライゲーション混合物をMach-1細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換して、50μg/mlのカナマイシンを補ったLBで細胞を培養した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0152】
pET/STF2.EIII+のクローニング
pET/STF2.EIII+(配列番号54、55)の西ナイルウイルスEIII+配列をpETSTF2.E(配列番号158、159)から生じた。この大腸菌発現プラスミドは、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(配列番号7である、配列番号39のアミノ酸292〜406)に融合する全長STF2(アミノ酸1〜506)を含む。二つの独立したPCR反応において、pET/STF2.EをDNAテンプレートとして用いた。一つの反応はプライマーpET24AR:5(配列番号45)およびSTF2-E3R3:(配列番号46)を用い、もう一方はAX-E3F3(配列番号47)およびpET24AF(配列番号48)を用いた。これらのPCR反応は、全長STF2およびEIIIドメインにエンベロープタンパク質のドメインIに及ぶさらなるアミノ酸を加えたものを含む340bpフラグメントからなる1.5kbフラグメントを生成した。これらのPCR増幅反応物のアリコートを組み合わせ、二つの生成物は外部プライマーpET24AR(配列番号45)およびpET24AF(配列番号48)を用いるPCR反応のためのテンプレートの役割をした。このことが、EIII+配列(配列番号178、配列番号7である配列番号39のアミノ酸292〜406をコードする核酸配列)をSTF2に融合する約1.8kb DNAフラグメントの生成をもたらした。PCR産物をNdeIおよびBlpIで消化し、ゲル精製し、適合性のある酵素で予め消化し、脱リン酸化したpET24aベクターに適合性のある末端でライゲーションした。pET/STF2Δ.EIII+について記載される通り、ライゲーション混合物をMach-1細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、二つのクローンをDNA塩基配列決定法により確認した。
【0153】
pET/STF2Δ.JEIII+のクローニング
ドメインIIIでコードされたJEVワクチンに現在用いられる、日本脳炎ウイルス(JEV)(SA-14-14-2株(Jai, L.ら, Chin Med J (Eng) 116:941〜943 (2003))のエンベロープタンパク質の一部がDNA 2. Inc(Menlo Park, CA)によりカスタム合成された。挿入物の側面に位置するNotIおよびBlp I部位を用いて、pJ2:G01510からドメインIIIの一部を除去した。DNA挿入物をゲル単離して、適切な酵素で予め消化されたpET24A/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)に適合性のある末端によりクローニングし西ナイルウイルスEIII+挿入物を放出した。その後、削除されたベクターをゲル精製し、JE EIII+のアリコートにライゲーションした。ライゲーション混合物を用いてTOP-10細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)を形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを補ったLBで細胞を培養した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0154】
得られた構築物、pET24A/STF2Δ.JEIII(配列番号5、6)はBLR(DE3)株(Novagen)であり、いくつかのクローンにおいて、抗フラジェリン抗体を用いたウェスタンブロットにより確認された発現を、クマシーブルー染色を用いてモニターした。DNAテンプレートとしてpET24A/STF2Δ.JEIII+およびプライマーとしてJE EIII+オリゴヌクレオチド(配列番号53)を用い、製造業者の取扱説明書に従いQuikChange Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene, LaJolla, CA)を用いてSTF2ΔとJEIII+の間のリンカー領域におけるシステイン残基をセリン残基と交換した。クローンを塩基配列決定法により確認し、pET24A/STF2Δ.JEIII+について上述するように発現をアッセイした。
【0155】
リンカーにおいてシステイン残基がセリン残基に変わる場合、融合タンパク質はまた本明細書において融合タンパク質の表示で「s」を含んで称される。例えば、「STF2Δ.EIII+」はリンカーにおいてシステイン残基を含み(図29、配列番号71)、一方「STF2Δ.EIIIs+」はリンカーにおいてシステイン残基の代わりにセリン残基を含む(図30、配列番号72)。
【0156】
フラジェリン(STF2Δ)のC末端に融合する各デング熱ウイルスのEIIIドメインのクローニング
当初は、恐らくエンベロープタンパク質における複数のシステイン残基(12システイン)の存在(配列番号39、図45参照)が原因で、西ナイルウイルスの全エンベロープタンパク質の融合から生物活性物質を得ることは困難であった。しかし、タンパク質のドメインIII(EIII)をコードする領域をサブクローニングした場合、融合タンパク質は大腸菌において十分に発現され、マウスにおいて非常に有効であった。4つの異なるDENウイルス(Den1、Den2、Den3、Den4、配列番号160〜167、図67〜74)間で全体的な配列は似ていないが、エンベロープタンパク質のドメインIII内の三次元構造はフラビウイルス間で似ている。DENおよび他のフラビウイルスにおけるこのドメインは型特異的近接臨界/優性中和エピトープの大部分をコードする。デング熱ウイルス(Den1、Den2、Den3およびDen4)のドメインIIIは細菌において発現され、免疫原性であり実験動物において中和抗体を誘導する事ができることを示している(Simmons, M.ら, Am. J. Trop. Med Hyg 65:159 (2001))。4つの異なるDENウイルスの約295から約399(正確な番号付けは、例えば、配列番号160、162、164、166の特定のDENウイルスによる)の残基に対応するドメインIIIは、大腸菌における発現のためにコドンが最適化されている。合成の遺伝子はPCRを用いて増幅され、pET/STF2Δ.DENlEIII、pET/STF2Δ.DEN2EIII、pET/STF2Δ.DEN3EIIIおよびpET/STF2Δ.DEN4EIII(配列番号80、82、84および86)を生成するpET/STF2ΔベクターのNotI部位にサブクローニングされる。
【0157】
大腸菌によるSTF2.EIII+、STF2Δ.EIII+、STF2Δ.EIIIs+およびSTF2Δ.JEIII+の産生
pETSTF2.EIII+(配列番号54、55)、pETSTF2Δ.EIII+(配列番号70、71)、
pETSTF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)またはpETSTF2Δ.JEIII+ 配列番号5、6)を含むBLR(DE3)pLysSの細胞培養物(6L)を、15μg/mlのカナマイシン、12.5μg/mlのテトラサイクリンおよび24μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地で培養した。OD600が約0.6において、1mM IPTGにより約37℃で約3時間タンパク質発現を誘導した。誘導後、細胞を遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離機で7000rpm x 7分)により採取し、2xPBS、1%グリセロール、DNAse、1mM PMSF、プロテアーゼインヒビターカクテルおよび1mg/mlリゾチームに再懸濁した。懸濁液をマイクロフルイダイザーに通して細胞を溶解し、溶解物を遠心分離(Beckman Optima L超遠心分離機で45,000gを1時間)して可溶画分を封入体から分離した。これらの培養条件および誘導条件下で、STF2.EIII+を可溶タンパク質として発現し、STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)、STF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)およびSTF2Δ.JEIII+(配列番号5、6)は封入体を形成した。
【0158】
STF2.EIII+の精製
可溶STF2.EIII+(配列番号54、55)を含む細胞溶解物を、0.5M NaClの存在下でSepharose Q樹脂(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)にのせ、DNA、エンドトキシン、および他の夾雑物を減じた。フロースルー画分を回収し、バッファーA(バッファーA:100mM Tris-Cl、pH8.0)による10倍希釈で伝導率を調整した。希釈物質をQ Sepharose上に再装填して、バッファーB(バッファーB:100mM Tris-Cl、1M NaCl、pH8.0)の20%から60%の直線勾配で結合タンパク質を溶出した。STF2.EIII+を含む画分をプールし、Na-デオキシコール酸の存在下でSuperdex-200ゲル(SD200)ろ過クロマトグラフィーによりさらに処理して残りのエンドトキシンを除去した(ランニングバッファー:1%Na-デオキシコール酸、100mM NaCl、100mM Tris-HCl、1%グリセロール、pH8.0)。SD200クロマトグラフィー後、溶出タンパク質をQ Sepharose上に直接装填し、バッファーAで徹底的に洗浄して界面活性剤を除去した。20%から60%のバッファーBの直線勾配で結合タンパク質を再び溶出した。ある調製物(Batch 057)において、この工程をExtract-D界面活性剤除去ゲル(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を用いた界面活性剤除去手順に置き換えた。精製タンパク質を50mM Tris、100mM NaClおよび1%グリセロールを含むバッファーに対して透析し、-80℃で保管した。夾
【0159】
STF2Δ.EIII+の精製
STF2Δ.EIII+封入体を低速遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離機で7000rpm x 7分)により回収し、8M尿素、10OmM Tris-HCl、5mM EDTA、pH8.0を含むバッファーで可溶化した。可溶化タンパク質の尿素濃度を1Mに調整し、試料をQ Sepharoseに装填した。0%から100%のバッファーBの直線勾配を用いて結合タンパク質を溶出した。(バッファーA: 100mM Tris-HCl、5mM EDTA、1M尿素、pH8.0。 バッファーB: 100mM Tris-Cl、5mM EDTA、1M NaCl、1M尿素、pH8.0)。溶出後のタンパク質凝集体の形成の理由から、Q Sepharose物質の尿素濃度を8Mに調整した。SD200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーによりタンパク質をさらに精製した。100mM Tris-HCl、pH8.0、100mM NaCl、1%グリセロール、8M尿素に1%Na-デオキシコール酸を加えたものでカラムを前平衡化した。溶出タンパク質をSource Qを用いる第二のIEXクロマトグラフィー工程に供して、1%Na-デオキシコール酸を除去した。20%から60%のバッファーBの直線勾配を用いて結合タンパク質を溶出した。(バッファーA: 100mM Tris-HCl、pH8.0、8M尿素、5mM EDTA。 バッファーB: 100mM Tris-Cl、pH8.0、5mM EDTA、8M尿素、1M NaCl)。タンパク質の最終精製(polishing)を、SD200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにより完了した(ランニングバッファー:100mM Tris-HCl、pH8.0、8M尿素、100mM NaClおよび1%グリセロール)。SD200画分に還元剤(2.5mM DTT)を添加し、低減していく濃度の尿素に対する段階的透析によりタンパク質をリフォールディングした。100mM Tris-HCl、pH8.0、100mM NaCl、および1%グリセロールを含み、6M尿素、4M尿素、2M尿素を含むまたは尿素を含まないバッファーに対して、順次、尿素濃度を低減した。
【0160】
STF2Δ.EIII+三量体のリフォールディングおよび精製
尿素可溶化封入体からのSTF2Δ.EIII+(配列番号70、71)を効率的にリフォールディングして、上述の通りの簡単な透析により三量体生成物を形成し、三量体(3つのSTFΔ.EIII融合タンパク質)は、SDS-PAGEでの分子量に基いて推定された。透析後、Triton X-114での複数回の抽出によりエンドトキシンを除去した。三量体を精製して、S200サイズ排除クロマトグラフィーにより単量体および凝集体から分離した。最終生成物は、SDS-PAGE上で約130kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動した。
【0161】
STF2Δ.EIII+単量体のリフォールディングおよび精製
STF2Δ.EIII+の単量形態(配列番号70、71)を、急速な希釈を用いるリフォールディングにより一貫してかつ効率的に産生し、個々のSTF2Δ.EIII+融合タンパク質がお互い相互作用して三量体(上記)などの多量体(meutimer)を形成するのを阻害した。4M尿素において封入体から可溶化されたSTF2Δ.EIII+を、還元剤なしで8M尿素に上昇させた。その後、タンパク質をTris/NaCl/グリセロールバッファー、pH8.0で、約0.1mg/mlおよび室温での最終尿素濃度0.1Mに急速に希釈した。単量体をさらに精製して、S200サイズ排除クロマトグラフィーにより凝集体から分離した。最終生成物は、SDS-PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動した。
【0162】
STF2Δ.EIIIs+(STF2ΔとEIII+の間のリンカーのセリン置換、配列番号72)の精製
可溶化封入体からのSTF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)を、STF2Δ.EIII+単量体をリフォールディングするために用いた方法と似た急速希釈法を用いてリフォールディングした。エンドトキシン夾雑物の大部分を除去する間に、リフォールディングしたタンパク質をブチルセファロースカラム上で捕捉して溶出した。ブチルセファロース精製からの溶出液を濃縮し、4周期のTriton X-114抽出をして、SD200ゲルろ過での最終精製工程前にエンドトキシンレベルを約<0.1EU/μgに減じた。最終的なプールした生成物はSDS-PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動し、微量のTriton X-114(約0.000015%)を含んでいた。
【0163】
STF2Δ.JEIII+(配列番号5、6)の精製
変性条件下でタンパク質を封入体から単離した。封入体を界面活性剤(0.5% Triton X 100)で洗浄し、8M尿素で可溶化して、標的タンパク質の部分的な精製をした。エンドトキシン除去のために、タンパク質を低pH(約3.5)でSource S陽イオン交換カラムに載せ、塩勾配(0から約1M NaCl)で溶出した。STF2Δ.EIII+単量体について記載される通り、急速希釈を用いてタンパク質をリフォールディングした。その後、タンパク質を濃縮し、SD200を用いてさらに精製し、凝集体からタンパク質の単量形態を分離した。精製された物質はSDS PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有して移動し、許容レベルのエンドトキシン(約0.03EU/ug)を含んでいた。
【0164】
融合タンパク質の流加による産生
流加法を用いる好気性バイオリアクターにおいてSTF2Δ.EIIIs+を産生した。三つの制御ループを置き、pHを酸(2N HCl)または塩基(3N NH4OH)の添加により、温度を加熱(加熱ブランケット)または冷却(時間周期冷却ループ)により、ならびに溶存酸素量を圧縮気流(手動で制御される)、撹拌(混合速度)およびO2流量(時限周期)によりカスケードにおいて制御した。STF2Δ.EIIIs+を含む細胞[BLR(DE3)pLysSを、MRSF培地(上記参照)に適応させ、一列に並べ、25%グリセロール中で凍結した。バイオリアクターについて、一列に並べた細胞の1mLを1LのMRSF培地に添加して約37℃で約15.5〜約16.5時間撹拌することにより、細胞をスケールアップした。スケールアップ過程からの細胞を、約37℃で約0.5vvm気流にて、約1:10の比でMRSFまたはMRBR合成培地に添加した。
【0165】
該過程を、圧縮気流が約1.5vvmであり撹拌が最大である細胞酸素消費量になるまで、温度が約25℃〜約33℃に下がる場合、約6時間、約37℃のバッチモードにおいて実施した。供給は培養物が誘導される前、または約1時間から約30分後までに開始され得る。供給速度は一定に維持され得るか、過程の変量(溶存酸素量、グルコース濃度)に基づき調整され得る。培養物をバッチグルコース枯渇の際にIPTGで誘導した。培養物を最低で約2時間、最高で約20時間保持した。
【0166】
【0167】
STF2Δ.EIIIs+を封入体として産生した。回収の際に、細胞を、遠心分離によって馴化培地から分離し(Beckman Avanti J-20 XP, JLA 8.1000ローター, 約4℃で約20分間10k×g)、等体積の50mM Tris, 100mM NaCl, 1mM EDTA, pH8.0に再懸濁した。遠心分離を同じ条件下で繰り返し、細胞を最小体積の同じバッファに再懸濁した。懸濁物を、少なくとも2回、>10000psiでホモジナイザー(APV−1000)に通過させた。
【0168】
固体を分離し得、STF2Δ.EIIIを、以下の3つ;遠心分離、濾過または流動層クロマトグラフィーのうち1つによって可溶化した。
【0169】
方法1
固体を遠心分離によって分離し(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 4℃で20分間20k×g)、50mM tris、1m NaCl、1mM EDTA、1%グリセロール、0.5% Triton X-100、pH8.0に再懸濁した。この過程を、速度および時間を(約20分間最大約40k×gまで)上げて(全)6回まで繰り返した。最終ペレットの回収の後、ペレットを50mM Tris、0.1M NaCl、1mM EDTA、pH 8.0に再懸濁し、遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター,約4℃で約20分間40k×g)によって清浄化した。ペレットを、50mM Tris, 0.1M NaCl, 1mM EDTA, 4M尿素, pH 8.0に再懸濁し、溶解した。不溶物を遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 4℃で約50分間40k×g)によって除去し、上清をさらなる加工のために保持した。
【0170】
上記の複数回洗浄の後、STF2Δ.EIIIをまた、50mM酢酸、10mM NaCl、8M尿素、pH約4.1〜約5.3に溶解し、遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 約20分間20k×g)によって清浄化し得る。
【0171】
方法2
均質化の後、溶解物をボディーフィード(body feed)に捕捉し、STF2Δ.EIIIs+を、尿素を含むバッファを用いて抽出した。ボディーフィードは、デプスフィルター上のケーキに粒子を捕らえるように設計されたフィルターエイドである。ボディーフィード(Advanced Minerals Corporation CelPure 65)は、<0.2μm粒子を保持する高表面積および低浸透性を有する珪藻土(シリカ粉末)である。フィルターエイドは、溶解物と前もって混合され、デプスフィルター(Ertel 703)を越えてポンプされ、ボディーフィードおよび溶解物粒子の両方を含むケーキが積み上げられた。懸濁物は、粒子がフィルターパッド上に固定される場合、デプスフィルターを作り出す。5OmM Tris、10OmM NaCl pH 8.0洗浄を実施し、可溶タンパク質および核酸を除去した。50mM Tris、100mM NaCl、4M尿素、pH 8による続いての洗浄は、STF2Δ.EIIIを可溶化し、さらなる加工のためにボディーフィードからSTF2Δ.EIIIを除去する。
【0172】
方法3
細胞を最初にバッファに再懸濁した後、細胞を塩化ナトリウムおよび尿素含有バッファpH約6〜約8に再懸濁し、均質化した。溶解物を、STF2Δ.EIIIs+が樹脂に結合し粒子が通過するStreamline CST流動層カラム(GE Healthcare)にかけた。STF2Δ.EIIIs+は、Triton X-1OOまたはポリソルベート80のような界面活性剤の存在下または非存在下で、充填pHより高いpHで、低塩条件で溶出され得る。
【0173】
SDS-PAGE
タンパク質(典型的に約5μg)を、β-メルカプトエタノールを含むSDS-PAGE試料バッファおよびβ-メルカプトエタノールを含まないSDS-PAGE試料バッファ中に希釈した。試料を5分間煮沸し、4〜20% SDSポリアクリルアミドゲルに充填した。電気泳動の後、ゲルをクマシーブルーで染色し、タンパク質バンドを可視化した。
【0174】
エンドトキシンアッセイ
エンドトキシンレベルを、マイクロプレート法についての製造業者の指示書に従って、QCL-1000 Quantitative Chromogenic LAL試験キット(BioWhittaker #50-648U, Walkersville, MD)を使用して測定した。
【0175】
タンパク質アッセイ
タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用して96ウェルフォーマットでMicroBCA Protein Assay Reagent Kitによって決定した(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)。
【0176】
TLR5生物活性アッセイ
HEK293細胞(ATCC, Catalog No. CRL-1573 Manassas, Virginia)は、構成的にTLR5を発現し、TLR5シグナル伝達に応答して、IL-8を含むいくつかの可溶性因子を分泌する。細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し(約50,000細胞/ウェル)融合タンパク質を添加し、一晩インキュベートした。次の日に、馴化培地を回収し、よごれていない96ウェルマイクロプレートに移し、−20℃で凍結させた。融解の後、馴化培地を、製造業者の指示書に従って、抗ヒトIL-8適合抗体対(Pierce, #M801Eおよび#M802B, Rockford, IL)を使用して、サンドイッチELISAにおいてIL-8の存在についてアッセイした。光学密度を、マイクロプレート分光光度計(FARCyte, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を使用して測定した。
【0177】
プラーク減少中和試験(PRNT)
PRNTをWang, et al, J. Immunol. 167:5273-5277 (2001)に従って実施した。簡単に、血清試料を56℃の水浴中での30分間のインキュベーションによって熱不活性化し、5%ゼラチンを含むPBS中に、1/10〜1/2560まで連続希釈した。西ナイルウイルスを、最終濃度が約100PFU/ウェルであるように、5%ゼラチンを含むPBS中に希釈した。ウイルスを、約37℃で約1時間、96ウェルプレートにおいて約75μl血清と混合した。血清ウイルス混合物のアリコートを、6ウェル組織培養プレートにおいてベロ細胞のコンフルエントな単層に播種した。細胞を、約37℃で1時間インキュベートし、プレートを15分ごとに揺らした。次いで、アガロース重層を加えた。重層は、等体積の100ml 2×MEM (Life Technologies)からなる溶液を滅菌2%アガロースと混合することによって調製した。両方の溶液を、重層を加える前に、1時間40℃の水浴に配置した。細胞を、湿潤化5%CO2-空気混合物中に37℃で4日間インキュベートした。さらに4%のニュートラルレッドを含む第2の重層を、第5日に加えた。ウイルスプラークを約12時間後に計数した。
【0178】
STF2Δ融合タンパク質の抗原性
ELISAプレート(96ウェル)をPBS中の精製されたSTF2Δ融合タンパク質(配列番号158、159、54、55、70、71)(約2μg/ml)の連続希釈物(100μl/ウェル)を用いて、4℃で一晩コートした。プレートを、室温で1時間200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer (ADB; BD Pharmingen)でブロックした。プレートを、PBS-Tween中で3回洗浄し、次いで、フラジェリンと反応性の抗体または構築物のEドメインとインキュベートした。フラジェリンの発現をmAb 6H11(Intotek)を使用して検出し、その一方で、WNV-Eの抗原性をBioreliance (Road Rockville, MD)から購入したmAbのパネル(5C5、7H2、5H10、3A3、および3D9) (Beasley, D.W., et al, J. Virol. 76:13097-13100 (2002))を使用してモニターした。ADB中に希釈された抗体(約100μl/ウェル)を4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。ADB中に希釈されたHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunochemical, West Grove, PA)を添加し(100μl/ウェル)、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB(3,3',5,5'-テトラメンチルベンジジン)Ultra基質(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を添加し、顕色をモニタリングした後、A450をTecan Farcyte微小分光光度計で測定した。
【0179】
マウスの免疫
C3H/HeNマウス(群あたり10)を、第0日、第14日および第28日に示された濃度の融合タンパク質または合成ペプチドで腹腔内的にまたは皮下的に免疫した。第21日および第35日に、免疫された動物をレトロオービタル(retro-orbital)穿刺によって採血した。血清を、ヘパリンを含まない血液試料の凝固および遠心分離によって回収した。第35日に、マウスを致死用量のWNV株2741で攻撃した(Wang, T., et al, J. Immunol 167:5273-5277 (2001))。生存を攻撃後21日間モニターした。
【0180】
血清抗体決定
西ナイルエンベロープタンパク質特異的IgGレベルを、ELISAによって決定した。ELISAプレート(96ウェル)を、2μg/mlの濃度のPBS中の西ナイルEタンパク質mAb 5C5、7H2、5H10、3A3および3D9 (Beasley, D.W., et al, J. Viro. 76:13097-13100 (2002)) (Bioreliance, Road Rockville, MD)の100μl/ウェルで、約4℃で一晩コートした。プレートを、室温で1時間200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer (ADB; BD Pharmingen, San Diego CA)でブロックした。プレートをPBS-T中で3回洗浄した。ADB中の血清希釈物を添加し(100μl/ウェル)、プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。ADB中に希釈されたHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunochemical, West Grove, PA)を添加し(100μl/ウェル)、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB(3,3',5,5'-テトラメンチルベンジジン)Ultra基質(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を添加し、顕色をモニタリングした後、A450をTecan Farcyte微小分光光度計で測定した。
【0181】
Pam3Cys.WNV001ペプチド合成物の産生
Pam3Cys.WNV001は、Bachem Bioscience, Inc. (King of Prussia, PA)によって合成された。WNV001は、ペプチドのアミノ末端セリン残基を介してトリパルミトイルシステイン(Pam3Cys)部分に化学的に結合された西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の20アミノ酸ペプチド(配列番号168)である。Pam3Cys.WNV001の化学名は、[パルミトイル-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピル)- LTSGHLKCRVKMEKLQLKGT(配列番号168)酢酸塩]である。Pam3Cys.WNV001の分子量は、3163.3ダルトンである。ペプチドを、固相合成法およびFMOC化学を使用してBachemによって合成した。Pam3Cys.WNV001のアミノ酸配列を、固相ペプチド合成によってH-Pro-2-クロロトリチルクロリド樹脂上にアセンブルした。ペプチド鎖を、アミノ酸誘導体の連続的結合によって伸長した。各結合工程より、Fmoc脱保護工程が先行し、各結合工程は、樹脂の繰り返しの洗浄と同時に行われた。最後のアミノ酸誘導体の結合の後、最後のFmoc脱保護工程を実施した。最後に、ペプチド樹脂を洗浄し、減圧下で乾燥した。固相ペプチド合成の間、色指示薬試験を、各工程について実施し、Fmoc切断の完了および続いてのアミノ酸誘導体の結合をモニターした。Pam3Cys-OHを伸長されたペプチドに結合するために、脂質部分を1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下でN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)で前活性化した。得られた溶液を濾過し、ペプチド樹脂に加えた。反応時間の最後に、ペプチド樹脂を洗浄し、減圧下で乾燥した。色指示薬試験を実施し、Pam3Cys-OHの結合を制御した。完成したペプチドを、トリフルオロ酢酸(TFA)とインキュベートすることによって樹脂から切断した。遊離された生成物(粗ペプチド物質)を、反応混合物から沈殿し、凍結乾燥した。粗生成物を、初期免疫原性試験のために使用した。
【0182】
WNV-Eペプチドアレイの合成
ペプチドアレイ(図57および60)は、Sigma Genosys (Woodlands, TX)によって合成された。
結果:
西ナイル融合タンパク質
西ナイルウイルス(WNV)は、ヨーロッパおよび北アメリカの温帯地域に近年出現し、公衆衛生および動物の健康に脅威を与えた。WNV感染の最も深刻な発現は、ヒトおよびウマにおける致死性脳炎(脳の炎症)ならびに特定の家畜のトリおよび野生のトリにおける死亡率である。WNVは、米国においてヒトの病気の有意な原因でもある。西ナイルのエンベロープ糖タンパク質(WNV-E)および他のフラビウイルスのエンベロープ糖タンパク質は、中和抗体および保護抗体を生成し得る。この抗原をToll様レセプターリガンドに結合することによって、本明細書中に記載される組成物、融合タンパク質およびポリぺプチドは、アジュバントまたは他の免疫調節処方物の必要なしに、適切な抗原提示細胞を標的化し得る。
【0183】
本明細書中に記載されるように、いくつかの戦略が大腸菌での西ナイルウイルスエンベロープ(WNV-E)融合タンパク質の産生を容易にするために実施される。1つのアプローチは、ドメインIII(EIII)および、任意に、WNV-Eタンパク質のドメインIIのアミノ酸を全長STF2に融合することによって(例えば、STF2.E、STF2.EIII+)より小さいWNV-E抗原を遺伝子工学で作ることである。ドメインIIIは、ウイルス-宿主相互作用の原因であり、多くの西ナイルウイルス中和抗体エピトープを保持する。それはまた、全長エンベロープタンパク質内に存在する12のシステイン残基のうち2つのみを含み、大腸菌での発現をより可能にする。第2のアプローチは、フラジェリンの超可変ヒンジ領域を除去し(例えば、STF2Δ)、それによってより小さな融合タンパク質(STF2Δ.EIII+)を作製することである。フラジェリンの超可変領域は、TLR5シグナル伝達には必要とされず、その除去はまた、フラジェリンの免疫原性潜在力を減少し得る。STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の両方が、大腸菌で発現され、精製された。精製されたタンパク質は、バイオアッセイにおいてTLR5シグナル伝達活性について特徴付けられ、WNV-Eポリクローナル抗体および中和モノクローナル抗体のパネルを使用して、ELISAアッセイにおいてEエピトープディスプレイについて特徴付けられてきた。これらの研究からの結果は、STF2Δ.EIII+がSTF2.EIII+より高いPAMP活性を有し、STF2.EIII+よりコンフォメーション感受性の中和WNV-Eエピトープを有することを示す。
【0184】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の純度
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+のいくつかのロットが大腸菌において産生され、精製された(表1)。STF2.EIII+は、可溶性タンパク質として発現され、上記されるような陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過を含む4工程プロセスを使用して非変性条件下で精製された。6L培養物からの最終収量は、約0.9mg〜約3.8mgにわたり、全ての調製物は、標準LAL手順によって測定される場合低いレベルのエンドトキシン(約<0.1EU/μgタンパク質、上記参照)を含んだ。対照的に、STF2Δ.EIII+は、大腸菌において封入体を形成し、変性条件下で精製された、STF2Δ.EIII+を精製するために使用された全てのクロマトグラフィー工程は、8M尿素の使用を必要とした。精製の後、変性タンパク質は、徐々の尿素の除去を可能にする段階的な透析によってリフォールディングされた。リフォールディングは、タンパク質の沈殿による損失なしに約0.3mg/mlのタンパク質濃度で典型的に実施された。単一の6L培養物からのSTF2Δ.EIII+の2つの調製物は、約1.2mgおよび約6.7mgのタンパク質を産生し、これらの両方は、許容されるエンドトキシンレベルを有した。予想されるように、精製されたSTF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+は、還元条件下のSDS-PAGEでそれぞれ約65kDaタンパク質および約43kDaタンパク質として移動した。特に、STF2Δ.EIII+は、非還元条件下ではわずかに速く移動した。この変更された移動は、エンベロープタンパク質のドメインIIIの2つのシステイン残基を含むジスルフィド結合形成に起因し得る。その上、分子量が、タンパク質の三量体(「(STF2Δ.EIII+)×3または3単位のSTF2Δ.EIII+」)と一致するSTF2Δ.EIII+のより大きな種は、ウェスタンブロット分析によって検出された。
【0185】
【表1】
【0186】
HEK293 IL-8アッセイにおけるTLR5活性
両方の融合タンパク質のPAMP活性を比較するために、TLR5バイオアッセイを実施した。HEK293 IL-8細胞を2つの独立したタンパク質バッチの連続希釈物で処理した(図47Aおよび47B)。培養物を24時間インキュベートし、馴化培地を回収し、ELISAによってIL-8産生についてアッセイした。図47Aに示されるように、STF2Δ.EIII+は、強力なTLR-5活性を示した。滴定曲線の回帰分析は、バッチ2004−044および2004−045のEC50がそれぞれ1.13ng/mlおよび4.34ng/mlであると決定した(表1、上記)。両方の場合において、TLR5特異的活性は、コントロールタンパク質STF2.OVAより少なくとも約10倍高かった。対照的に、STF2.EIII+の2つの調製物は、STF2.OVAより有意に弱いTLR5活性を示した。STF2.EIII+バッチ054および057のEC50は、約1195.00ng/mlおよび約197.92ng/mlであった。
【0187】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の抗原性
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の抗原性を、STF2のN末端領域に特異的なフラジェリンモノクローナル抗体(6Hl1, Inotek Pharmaceuticals, Beverly, MA)およびインビトロで西ナイルウイルスを中和することが以前に示されたWNV-E特異的抗体のパネル(5C5, 5H10, 3A3, 7H2および3D9, Bioreliance, Road Rockville, MD)を使用する直接ELISAによって試験した。図48に示されるように、全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のSTF2Δ.EIII+の反応性との比較によって、西ナイルウイルスモノクローナル抗体5C5、5H10、3A3および7H2が融合タンパク質を認識するが3D9は認識しないことが示された。反応性のこのパターンは、EIII内の5C5、5H10、3A3および7H2エピトープの提唱された位置と矛盾しない。3D9に対するエピトープは、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質ドメインIIIの外にある。予想されるように、全ての西ナイルウイルスモノクローナル抗体は、全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質と反応し、フラジェリンモノクローナル抗体(monoclonal)のみが、STF2Δ.EIII+と反応した。両方のタンパク質は、ポリクローナル西ナイルウイルスエンベロープ抗血清と反応したが、STF2Δ.EIII+反応性は、おそらくより小さなドメインに存在する可能なエピトープの数の減少に起因して、いくらか減少された。
【0188】
5C5および7H10 WNVモノクローナル抗体を使用して、直接抗原性比較を、STF2.EIII+とSTF2Δ.EIII+との間で行った(図49A、49B、49Cおよび49D)。これらの研究において、プレートを示されたタンパク質でコートし、次いで、記載されるようにポリクローナルウサギ抗Eまたはマウスモノクローナル抗体で検出した。図49A、49B、49Cおよび49Dに示されるように、STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の両方を、反応性の有意な差なしに、フラジェリンモノクローナル抗体で容易に検出した。しかし、抗エンベロープモノクローナル抗体との異なる反応性を、観察した。STF2Δ.EIII+の5C5または7H2のいずれかとの反応性は、STF2.EIII+で観察されるものより有意により大きかった。集合的に、これらの結果は、STF2Δ.EIII+のフラジェリン6H11エピトープが厳密であり、STF2.EIII+のフラジェリン配列と同等であるということを示す。これらはまた、これらのタンパク質のEIIIドメインの抗原性における明確な差を強調し、STF2Δ.EIII+が決定的なコンフォメーション依存性中和エピトープをSTF2.EIII+よりも多く含むことを示す。
【0189】
効力および免疫原性
西ナイルウイルスでの攻撃後のC3H/HeNマウスにおける本出願人らの候補物に対する保護効力を試験するために設計されたいくつかの効力研究が完遂された。研究は、典型的に、第0日、第14日および第28日に腹腔内的に(i.p.)または皮下的に(s.c.)免疫されたマウスの5つの群(群あたり10匹のマウス)からなる。第21日および第35日に、血清を回収し、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質−IgG抗体(ELISA)およびインビトロで西ナイルウイルスを中和する能力(PRNTアッセイ)について試験した。第35日に、マウスを、西ナイルウイルス株2741の致死用量で攻撃した。生存を、攻撃後21日間モニターした。
【0190】
マウスを、PBS、STF2.Eを含むショウジョウバエ馴化培地(CM、ポジティブコントロール)、25μgのSTF2Δ.EIII+ i.p.、25μgのSTF2Δ.EIII+ s.c.、25μgのSTF2.EIII+ i.p.および25μgのSTF2.EIII+ s.c.で免疫した。エンベロープタンパク質抗体応答および生存データを、図50および51に示す。第35日までに、STF2Δ.EIII+を受けた全ての群は、有意なレベルの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質IgGを有した。対照的に、STF2.EIII+を受けたマウスは、測定可能な西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗体応答を有さなかった。STF2Δ.EIII+ i.p.またはSTF2Δ.EIII+ s.c.の投与は、西ナイルウイルス攻撃後に100%の生存を導いた。STF2.EIII+の弱い免疫原性に一致して、PBSコントロールと比べた場合、この候補物によって保護は、ほとんどまたは全く提供されなかった。本研究におけるSTF2.EIII+の弱い免疫原性および効力は、このタンパク質のTLR5活性の減少および/または弱いEIIIエピトープ反応性にある。
【0191】
プラーク減少中和力価
STF2Δ.EIII+によって誘発される西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗体応答をさらに評価し、中和抗体力価と保護効力を潜在的に相関させるために、プラーク減少中和試験(PRNT)を実施した。上記の効力試験からの第35日血清試料を、培養されたベロ細胞における西ナイルウイルス感染をブロックする能力について試験した。簡単に、プールされたマウス血清試料を、熱不活性化し、0.5%ゼラチンを含むPBS中で2倍に連続希釈した。1:10で開始される希釈物を、約100pfuの西ナイルウイルス株2741とインキュベートした。ウイルス/血清混合物を、約37℃で1時間インキュベートし、次いで、6ウェル組織培養プレートの二重のウェル中のベロ細胞(ATCC, Catalog Number CCL-81, Manassas, Virginia)のコンフルエントな単層に播種した。ウイルスを、1%アガロース重層を加える前に細胞単層に吸着させた。感染された細胞培養物を、37℃で4日間インキュベートし、その後、4%のナチュラルレッドを含む第2のアガロース重層を加えた。ウイルスプラークを12時間後に計数した。ウイルスプラーク数の80%の減少を導く血清力価(PRNT80)を記録した。
【0192】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+に関する効力研究からのPRNT80データの概要を、以下の表2に示す。約50%以下の生存が報告されるSTF2.EIII+に関与する2つの独立した研究において、プールされた血清は、プラーク形成を阻害しなかった。この発見は、弱い抗体応答がこの構築物によって誘発される場合、驚くべきことではない。生存が約70%以上であったSTF2Δ.EIII+を含む3つの効力研究において、プールされた血清は、1:40以上の中和力価を有した。1:40以上の中和力価は、典型的にインビボでの保護と相関する。
【0193】
【表2】
【0194】
STF2Δ.EIIIs+ STF2Δ.EIII+の改変版
上記されるマウス効力研究において試験されるSTF2Δ.EIII+のタンパク質調製物を、変性条件下で実施される陰イオン交換クロマトグラフィー工程およびサイズ排除クロマトグラフィー工程によって精製され、その後、段階的透析を使用してリフォールディングした。このプロセスに伴って、STF2Δ.EIII+の単量体形態および三量体形態に対応する2つの主な種が生成され、最終生成物中に混合物として存在した。最終生成物の不均一性を最小にするために、単量体または三量体のいずれかの生成に有利な新しいリフォールディング方法および精製方法が開発された。STF2Δ.EIII+のどの形態が活性成分であるかまたは両方が等しく強力であるかどうかがはっきりしないので、両方の種がmg量で産生され、マウスにおける効力について試験された。
【0195】
なぜSTF2Δ.EIII+リフォールディングが三量体種の形成を生じるかに関して最初ははっきりしなかった。しかし、STF2Δ.EIII+発現構築物の配列が再試験された際、本出願人らは、STF2ΔをEIII+から分離するリンカー配列内のシステイン残基を同定した。このシステインの存在は、リフォールディングの間の適切なジスルフィド結合の形成に干渉しそうであり、STF2Δ.EIII+の三量体形態を説明し得る。この不必要なシステインは、部位特異的変異誘発を使用してセリンと交換され、改変されたタンパク質(STF2Δ.EIIIs+)が、産生および精製された。セリン置換構築物をリフォールディングすることによって単量体タンパク質のみが得られたことは留意されるべきである。
【0196】
STF2Δ.EIII+(単量体)およびSTF2Δ.EIIIs+(三量体)の保護効力を、西ナイルウイルスでの攻撃の後C3H/HeNマウスにおいて評価した。マウスの5つの群(群あたり10匹)を、第0日、第14日および第28日に約25μgのタンパク質s.c.で免疫した。第21日および第35日に、血清を回収し、WNV-E IgG抗体について試験した(ELISA)。第38日に、マウスを致死用量のWNV株2741で攻撃し、生存を21日間モニターした。ブースト2(第35日、図52)および生存データ(図53)からのELISA結果は、全ての構築物がウイルス攻撃の前に有意なレベルのWNV-E反応性IgGを誘発し、致死感染に対する約90%〜約100%の保護を提供したことを示す。これらの発見は、STFΔ.EIII+の単量体形態または多量体(例えば、三量体)形態が効果的であり、構築物からのさらなるシステインの除去が効能にかなり影響を与えるわけではないことを示す。リンカー配列内のシステインの除去は、タンパク質リフォールディング後の不均一性を減少することによってタンパク質の精製を簡単にし得る。
【0197】
結論
西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のEIII+ドメインに融合されたネズミチフス菌フラジェリン(STF2)を含む2つの組換え融合タンパク質を生成した。1つは、全長STF2配列(STF2.EIII+)を含み、もう1つは、STF2の内部超可変領域を欠損したSTF2の改変版(STF2Δ.EIII+)を含む。両方のタンパク質は、大腸菌で発現され、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過を使用する従来の手段によって精製された。STF2.EIII+は、可溶性タンパク質として産生され、非変性条件下で精製された。対照的に、STF2Δ.EIII+は、不溶性タンパク質として発現され、変性条件下で精製され、尿素を除去する段階的透析によってリフォールディングされた。HEK293 IL-8アッセイにおいて、STF2Δ.EIII+の調製物は、STF2.EIII+より高いTLR-5活性を示した。
【0198】
ELISAアッセイおよび西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(prtoein)抗体を使用するエンベロープタンパク質エピトープ提示分析において、STF2Δ.EIII+は、決定的なコンフォメーション依存性中和エピトープをより多く提示した。STF2Δ.EIII+で観察される強力なTLR-5活性およびエンベロープタンパク質エピトープ抗原性に矛盾せず、STF2Δ.EIII+は、高度に免疫原性であり、致死用量の西ナイルウイルスで攻撃されたマウスにおいて効果的であった。STF2Δ.EIII+の単量体種および三量体種がこのタンパク質の精製プロセスの間に生成されるので、発現構築物のリンカー配列内のシステインは、セリンに交換された。このシステインの除去によって、リフォールディングの間のタンパク質の三量体形態の生成が排除され、インビボで強力な効力を示す単量体産物の生成が得られた。
【0199】
日本脳炎融合タンパク質
JEウイルスは、アジアおよび北オーストラリアに局在する(年間約10,000人が死亡する約50,000症例)。認可された不活性化ウイルスワクチンは、最近、急性播種性脳脊髄炎の症例と関連し、日本の厚生労働省がワクチンの全国的な中止を推奨するようになった。感染したマウスの脳または細胞培養物中にでさえ不活性化ウイルスを生成する複雑さ、および不活性化ウイルスに関連する有害な事象に対する可能性があるので、組換えベースのJEワクチンに対する機会は、興味をそそる。
【0200】
STF2Δ.JEIII+融合構築物を構築した。JE EIII+ DNA断片を合成的に生成し、大腸菌中での発現のためにコドンを最適化した。配列を、pET24STF2Δにライゲートし、pETSTF2Δ.JEIII+を生成した。発現構築物は、制限分析によっておよびIPTG誘導による大腸菌BLR(DE3)中での発現についてスクリーニングした。各構築物のDNA配列を確認し、タンパク質の産生をスケールアップした。一群の材料を生成した。約24mgの材料の全てを精製した。この材料は、強力なTLR5活性、許容可能なレベルのエンドトキシン(約0.03EU/μg)および約1.3のA280/A260比を有する。
【0201】
フラビウイルスペプチド
WNV-E特異的抗体エピトープの同定
STFΔ.EIIIs+免疫マウスからの抗血清によって認識される西ナイルウイルスエンベロープタンパク質内の直線エピトープを同定するために、いくつかの合成ペプチドアレイを生成した。1つのアレイは、全西ナイルウイルスドメインIIIおよびドメインIIの部分に及ぶ20アミノ酸長の重複するペプチドからなった(図60)。このアレイを用いたELISA結果は、ドメインIIIのN末端領域に位置し、ドメインIドメインCRVKMEKLQLKGTTYGVCSK(配列番号125)の部分を含む高度に反応性の20アミノ酸配列を同定した。このエピトープを申し分なく位置づけるために、ドメインIとIIとの結合部に焦点をあてたさらなるアレイを生成した(図57および60)。これらのアレイは、抗体結合に決定的なアミノ酸を同定するためのアラニン置換スキャンを含んだ(図60)。図54および55に示されるように、STFΔ.EIII(単量体および三量体)免疫マウスおよびSTFΔ.EIIIs+免疫マウスからの抗血清を、EI/EIII結合部(ペプチドE-30〜E-42)に及びE2-21ペプチドCRVKMEKLQLKGTTYGVCSK(配列番号125)を含んだペプチドと反応した。この反応性は、特定のアミノ酸(E6、K7、L1OおよびK11)がアラニンに交換された場合、ひどく減少した(図56)。このエピトープを認識する抗体が中和されているかどうかは公知ではないが、WNV-Eのこの領域に基づいたペプチドワクチンを設計および試験する努力は進行中である。
【0202】
Pam3Cys.WNV001ペプチドワクチンの免疫原性
N末端でPam3Cysに融合された脂質化された(lipidated)西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を、20アミノ酸配列LTSGHLKCRVKMEKLQLKGT(配列番号169)を使用して合成した(Putnak, R., et al, Vaccine 23:4442-4452 (2005))。このペプチドの免疫原性を、C3H/HeNマウスで試験し、Pam3Cysを有さないペプチドと比較した(図58)。免疫された動物からの抗血清の反応性を、説明文に記載されるように直接ELISAによって試験し、結果は、Pam3Cys.WNV001ペプチドがTLR2改変を有さないペプチドより有意に免疫原性であることを示す。これらの研究からの抗血清は、誘発された抗体がインビトロで西ナイルウイルスを中和するかどうかを決定するためにウイルス中和アッセイ(PRNT)において試験される。脂質化されたペプチドはまた、致死ウイルス攻撃に対する保護効力を評価するために西ナイルウイルス攻撃モデルにおいて試験される。
【0203】
アッセイ開発
競合ELISAアッセイ開発
免疫されたマウスに由来する抗血清の中和可能性を評価するために、培養物中で西ナイルウイルスを中和し、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗原のEIIIドメイン内のコンフォメーション感受性エピトープと反応する十分に特徴付けられたモノクローナル抗体(7H2)を使用する競合ELISAアッセイが開発された。該アッセイは、免疫された動物由来の血清の、7H2が西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を結合するのを阻害する能力を測定する捕捉ELISAとして設計された。効力研究4(図50および51、表2)からの第35日マウス抗血清の1:10〜1:5000にわたる連続希釈物を、ビオチン化された西ナイルウイルスエンベロープタンパク質とインキュベートし、次いで、7H2モノクローナル抗体でプレコートされたELISAプレート (Bioreliance, Road Rockville, MD) に添加した。結合しない物質を除去するために数回洗浄した後、結合した西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を、アビジン−HRPを使用して検出した。代表的な実験からの結果を、図54に示す。1:25の希釈時、7H2コートプレートに結合している西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の測定可能な損失は、抗血清がSTF2Δ.EIIIで免疫された動物由来の場合、試験された場所で観察された。競合は、抗原の代わりにPBSを受けたモック免疫動物由来の抗血清を用いても検出されなかった。これらの初期結果は、STF2Δ.EIII+によって誘発された抗体が西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を結合することについて7H2と競合することを示す。これらの発見は、STF2Δ.EIII+で免疫された動物において観察されるWNV感染からの保護と矛盾せず、インビトロでの抗体エピトープ反応性とインビボでの効力との間の相関を確立するのを補助する。
(等価物)
本発明がその好ましい態様に関して特に示され、記載され、その一方で、形態および詳細の種々の変化が添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱することなくその中でなされるということは当業者によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】図1は、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2、本明細書で「STF2」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヒンジ領域(本明細書で「超可変」または「超可変ヒンジ領域」ともいう)に下線を引く。
【図2】図2は、配列番号:1をコードする核酸配列(配列番号:2)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図3】図3は、fljB/STF2Δ(本明細書で「fljB/STF2Δ」または「STF2Δ」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:3)を示す。STF2Δは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くSTF2である。人工のヒンジ領域に下線を引く。
【図4】図4は、配列番号:3をコードする核酸配列(配列番号:4)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図5】図5は、pET/STF2.ΔJEIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:5)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。JEIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図6】図6は、配列番号:5にコードされるアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。人工のヒンジに二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーに下線を引く。JEIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図7】図7は、STF2.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:29)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図8】図8は、配列番号:29にコードされるアミノ酸配列(配列番号:30)を示す。STF2のヒンジ領域に下線を引く。
【図9】図9は、STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:31)を示す。STF2の天然に存在するヒンジ領域を除去して人工のヒンジ領域に置き換えている。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図10】図10は、配列番号:31にコードされるアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。人工のヒンジ領域に下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図11】図11は、STF2Δ.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:33)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。核酸配列の3’末端のベクター配列は太字にしない。
【図12】図12は、配列番号:33にコードされるアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーに下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。西ナイルウイルスタンパク質のドメインIを太字および斜体にする(MEKLQ、配列番号:172)。残りの太字の配列(LKGTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSGSSIGK、配列番号:176)は西ナイルウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIIIである。カルボキシ末端のベクター配列はカルボキシ末端で太字にしない。
【図13】図13は、STF2.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:35)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図14】図14は、配列番号:35にコードされるアミノ酸配列(配列番号:36)を示す。ヒンジ領域に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーを太字にし、下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図15】図15は、fljB/STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:37)を示す。STFΔとEIII+との間にリンカーは無い。
【図16】図16は、配列番号:37にコードされるアミノ酸配列(配列番号:38)を示す。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図17】図17は、fljB/STF2.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:54)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図18】図18は、配列番号:54にコードされるアミノ酸配列(配列番号:55)を示す。STF2のヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図19】図19は、サルモネラmuenchenフラジェリンfliCのアミノ酸配列(配列番号:58)を示す。ヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。
【図20】図20は、配列番号:58をコードする核酸配列(配列番号:59)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図21】図21は、リンカーの核酸配列(配列番号:63)を示す。
【図22】図22は、C型肝炎E1のアミノ酸配列(配列番号:64)を示す。
【図23】図23は、C型肝炎E2のアミノ酸配列(配列番号:65)を示す。
【図24】図24は、配列番号:64をコードする核酸配列(配列番号:66)を示す。
【図25】図25は、配列番号:65をコードする核酸配列(配列番号:67)を示す。
【図26】図26は、大腸菌(E. Coli)fliCのアミノ酸配列(配列番号:68)を示す。ヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。
【図27】図27は、配列番号:68をコードする核酸配列(配列番号:69)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図28】図28は、fljB/STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:70)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。配列の3'末端のベクター配列は太字にしない。
【図29】図29は、配列番号:70にコードされるアミノ酸配列(配列番号:71)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。カルボキシ末端のベクター配列は太字ではない。
【図30】図30は、fljB/STF2Δ.EIIIs+融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:72)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードするアミノ酸配列に下線を引く。西ナイルウイルスタンパク質のドメインIを太字および斜体にする(配列番号:172)。残りの太字の配列は西ナイルウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIII(配列番号:176)である。ドメインIおよびIIIの部分はEIII+という。タンパク質のカルボキシ末端のベクター配列は太字ではない。リンカー領域のセリン残基は太字であり、図29の配列番号:71のリンカーの同じ領域のシステイン残基の置換である。
【図31】図31は、配列番号:72をコードする核酸配列(配列番号:73)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。セリン残基をコードするコドンを太字にして、STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字で示す。3'末端のリンカー配列は太字ではない。
【図32】図32は、pET/STF2Δ.JEIII+融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:76)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。日本脳炎ウイルスのドメインIの一部のアミノ酸配列を太字および斜体にする(MDKLAL、配列番号:173)。日本脳炎ウイルスのドメインIIIの一部のアミノ酸配列を太字にする(KGTTYGMCTEKFSFAKNPVDTGHGTVVIELSYSGSDGPCKIPIVSVASLNDMTPVGRLVTVNPFVATSSANSKVLVEMEPPFGDSYIVVGRGDKQINHHWHKAGSTLGKA、配列番号:177)。ドメインIおよびIIIの部分は「JEIII+」という。
【図33】図33は、配列番号:76をコードする核酸配列(配列番号:77)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。日本脳炎ウイルスのドメインIの一部をコードする核酸配列を太字および斜体にする。日本脳炎ウイルスのドメインIIIの一部をコードする核酸配列を太字にする。ドメインIおよびIIIの部分は「JEIII+」という。
【図34】図34は、JEIII+をコードする核酸配列(配列番号:78)を示す。エンベロープタンパク質のドメインIの少なくとも一部をコードする核酸配列に下線を引く。残りの核酸配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部をコードする。
【図35】図35は、配列番号:78にコードされるアミノ酸配列(配列番号:79)を示す。エンベロープタンパク質のドメインIの少なくとも一部を太字および斜体にする。残りの配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部である。
【図36】図36は、pET/STF2Δ.Den1 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:80)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen1 EIIIの間のリンカーに下線を引く。
【図37】図37は、配列番号:80をコードする核酸配列(配列番号:81)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen1 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図38】図38は、pET/STF2Δ.Den2 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:82)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen2 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図39】図39は、配列番号:82にコードされる核酸配列(配列番号:83)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen2 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図40】図40は、pET/STF2Δ.Den3 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:84)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen3 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図41】図41は、配列番号:84をコードする核酸配列(配列番号:85)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen3 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図42】図42は、pET/STF2Δ.Den4 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:86)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen4 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図43】図43は、配列番号:86をコードする核酸配列(配列番号:87)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen4 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図44】図44は、ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のエンベロープタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:174)を示す。
【図45】図45は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(WNE)(アミノ酸1〜406)のアミノ酸配列(配列番号:39)を示す。EIII+構築物に組み込まれるアミノ酸配列に下線を引く(アミノ酸292〜406)。アミノ酸292〜297はドメインIの一部に相当し、アミノ酸298〜406はドメインIIIに相当する。配列番号:39は配列番号:57にコードされる(図67)。
【図46】図46は、pET24ベクターの融合構築物(contruct)を示す。T7:T7プロモーター、lacO:lacオペレーター、STF2:ネズミチフス菌フラジェリン、STF2Δ=ヒンジ領域を削除されたSTF2、EIII+はドメインIアミノ酸の6アミノ酸を有する西ナイルエンベロープタンパク質のドメインIIIである。
【図47A】図47Aは、STF2ΔEIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質のTLR-5生物活性を示す。精製タンパク質の連続希釈物を一晩かけてHEK293(TLR5+)細胞に添加し、上清のIL-8含量をELISAで測定した。陽性対照として精製STF2.OVAを使用した(図47A)。
【図47B】図47Bは、STF2.EIII+(配列番号:54、55)融合タンパク質のTLR-5生物活性を示す。精製タンパク質の連続希釈物を一晩かけてHEK293(TLR5+)細胞に添加し、上清のIL-8含量をELISAで測定した。陰性対照としてTLR-2アゴニストPam3CSK4を使用した(図47B)。
【図48】図48は、ELISAにより評価されたSTF2Δ.EIII+抗原性エピトープを示す。プレートを全長WNE(白抜きのバー)(配列番号:39)またはSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)でコートし、示した抗体(mAb)で調査した。Poly=WNEに対するポリクローナル抗血清、3D9〜7H2=WNEエピトープに対する中和モノクローナル抗体、抗フラジェリン=フラジェリンに対するモノクローナル抗体。
【図49A】図49Aは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ(develop)、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49B】図49Bは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とフラジェリンに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、フラジェリンに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49C】図49Cは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49D】図49Dは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図50】図50は、融合タンパク質注射後のIgG血清を示す。マウスをPBS、STF2.Eを含有するショウジョウバエ(Drosophila)ならし培地(CM、陽性対照)、25μgのSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)腹腔内、25μg STF2Δ.EIII+皮下、25μg STF2.EIII+(配列番号:54、55)腹腔内、25μg STF2.EIII+(配列番号:54、55)または25μg STF2.E(配列番号:158、159)のいずれかで免疫した。35日目に免疫した動物をWNVで攻撃した。個々のマウス由来の血清(35日目)を直接ELISAで特性化して、IgGレベルを測定した。このアッセイにおける抗原として精製WNV-Eタンパク質(配列番号:39)を用いた。この抗原(60)をhisタグ化タンパク質としてショウジョウバエ中で生成した。
【図51】図51は、WNVウイルス攻撃に対するSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)およびSTF2.EIII+(配列番号:54、55)防御免疫を示す。35日目にマウスを免疫化し、致死量のWNV株2741で攻撃した。21日間生存をモニターした。
【図52】図52は、融合タンパク質での免疫後のIgG血清力価を示す。STF2Δ.EIII+タンパク質はWNV特異的IgG抗体を誘導する。0、14および28日目にマウスをPBSのみまたは約25μgのSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)(045 [陽性対照])、STF2Δ.EIII+(067、三量体)、STF2Δ.EIII+(070、単量体)またはSTF2Δ.EIIIs+(配列番号:72、73)(069)で、皮下に免疫した。35日目に個々のマウス由来の血清を直接ELISAで特性化して、IgGレベルを測定した。精製WNV-Eタンパク質(06O、hisタグ化タンパク質としてショウジョウバエ中で生成)をこのアッセイの抗原として用いた。
【図53】図53は、WNV致死攻撃からのマウスにおけるSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)およびSTF2Δ.EIIIs+(配列番号:72、73)防御免疫を示す。融合タンパク質での免疫後の38日目、全グループを致死量のWNV株2741で攻撃し、生存を21日間モニターした。各グループ(10匹のマウス/グループ)についての生存をパーセントで示す。
【図54】図54は、競合アッセイを示す。免疫した動物由来の抗血清の連続希釈物(1:25から始めて5倍まで)をビオチン化WNEタンパク質(配列番号:39)とインキュベートし、次いでmAb 7H2でコートしたELISAプレートのウェルに約2mg/mlで添加した。アビジン-HRPを用いてウェルを呈色させて、mAb 7H2との競合の結果として西ナイルタンパク質結合の阻害を測定した。
【図55】図55は、STF2Δ.EIII+(配列番号:72、73)融合タンパク質に誘導された抗体応答のエピトープマッピングを示す。示されるSTF2Δ-融合タンパク質(E2-21、E27-E52、図60)で免疫された動物由来の免疫血清を、WNVエンベロープタンパク質のドメインIおよびIIIの接合部に相当する重複ペプチドを認識する能力について検査した。
【図56】図56は、STFΔ.EIIIs+(配列番号:72、73)E-21(エンベロープタンパク質)エピトープ融合タンパク質で誘導された抗体応答のエピトープマッピングを示す。示されるSTF2Δ-融合タンパク質(E2-21、E2-21-1(S、C)、E2-21-2(C、S)、E2-21-2(C、S)およびE2-21-4〜E2-21-24、図57参照)で免疫された動物由来の免疫血清を評価して西ナイルエンベロープタンパク質のE-21エピトープを規定する残基を同定した。データはシステインのセリンでの置換(C、Sで示される)後のE-21に対する血清の応答、およびアミノ酸のアラニンでの一連の置換を反映する。試験したペプチドを図57に一覧にする。
【図57】図57は、EIII+ペプチドのアレイを示す。配列は西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIおよびIIIを含む。ドメインIIIに相当するアミノ酸に下線を引く。下線を引いていないアミノ酸はドメインIに相当する。
【図58】図58は、EIII特異的IgG抗体を誘導するPam3Cys.WNV001(配列番号:168)を示す。0、14および28日目に、マウスをPBSのみ、22mgの未改変WNV001(配列番号:168)または30μgのPam3Cys.WNV001で、皮下に免疫した。35日目に個々のマウス由来の血清を直接ELISAで特性化して、合成WNV001ペプチドに対するIgGレベルを測定した。
【図59】図59は、西ナイル、日本脳炎およびデング熱(血清型1〜4)ウイルスのEI/EIII接合部のアミノ酸配列(配列番号:88〜95)を示す。STF2Δ.EIII+免疫化動物由来の抗血清を用いて同定された西ナイルのエピトープに下線を引く。この配列はペプチドE2-21(配列番号:125)に相当する。
【図60】図60は、E2-21ペプチド(配列番号:125〜151)のアラニンスキャンのアレイを示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIに相当するアミノ酸に下線を引く。下線を引いていないアミノ酸は西ナイルウイルスのドメインIに相当する。
【図61】図61は、STF2.OVA核酸配列(配列番号:152)を示す。STF2とオボアルブミン(OVA)の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。3'末端のベクター配列を太字にして下線を引く。
【図62】図62は、配列番号:152でコードされるアミノ酸配列(配列番号:153)を示す。STF2とOVAの間のリンカー配列に下線を引く。ベクター配列に下線を引き、太字にする。
【図63】図63は、オボアルブミンのアミノ酸配列(配列番号:154)を示す。
【図64】図64は、オボアルブミンの核酸配列(配列番号:155)を示す。
【図65】図65は、STF2.E融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:158)を示す。全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(E)をコードする核酸配列に下線を引く。
【図66】図66は、配列番号:158でコードされるアミノ酸配列(配列番号:159)を示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のアミノ酸配列に下線を引く。
【図67】図67は、配列番号:39(図45)をコードする核酸配列(配列番号:57)を示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の全長配列を示す。
【図68】図68は、デング1ウイルス(本明細書で「Den-1」、「Den 1」または「Den1」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:160)を示す。
【図69】図69は、配列番号:160をコードする核酸配列(配列番号:161)を示す。
【図70】図70は、デング2ウイルス(本明細書で「Den-2」、「Den 2」または「Den2」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:162)を示す。
【図71】図71は、配列番号:162をコードする核酸配列(配列番号:163)を示す。
【図72】図72は、デング3ウイルス(本明細書で「Den-3」、「Den 3」または「Den3」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:164)を示す。
【図73】図73は、配列番号:164)をコードする核酸配列(配列番号:165)を示す。
【図74】図74は、デング4ウイルス(本明細書で「Den-4」、「Den 4」または「Den4」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:166)を示す。
【図75】図75は、配列番号:166をコードする核酸配列(配列番号:167)を示す。
【図76】図76は、日本脳炎ウイルスをコードする核酸配列(配列番号:170)を示す。
【図77】図77は、配列番号:170でコードされるアミノ酸配列(配列番号:171)を示す。
【図78】図78は、図44に示される配列番号:174をコードする核酸配列(配列番号:175)を示す。
【図79】図79は、EIII+(図45および配列番号:7中に示される配列番号:39の292〜406のアミノ酸)をコードする核酸配列(配列番号:178)を示す。
【図80】図80は、トリパルミトイル化ペプチドを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年1月19日に出願された米国仮出願第60/645,170号、2005年2月15日に出願された米国仮出願第60/653,405号、2005年7月29日に出願された米国仮出願第60/704,160号、2005年10月4日に出願された米国仮出願第60/723,409号、および2005年10月11日に出願された米国仮出願第60/725,919号の利益を主張する。上述の出願の教示は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の背景)
西ナイルフラビウイルス、デング熱フラビウイルス、日本脳炎フラビウイルス、ランガト(Langat)フラビウイルス、クンジン(Kunjin)フラビウイルス、マリーバレー脳炎フラビウイルス、ダニ媒介フラビウイルスおよび黄熱病フラビウイルス等のフラビウイルスを含むウイルスへの感染は重篤な疾患および死の可能性をもたらし得る。蚊およびダニはフラビウイルスの多くを伝播する。例えば、西ナイルウイルス感染の重篤な症状としては、高熱、頭痛、首の硬直、昏迷、失見当、昏睡、震顫、痙攣、筋肉の虚弱(muscle weakness)、失明、しびれ、髄膜脳炎および完全麻痺が挙げられる。これらの症状は数週間続き得、神経的な影響は永続し得る。より軽い症状の場合(例えば、発熱、頭痛、および体の疼痛、悪心、嘔吐、および時にはリンパ腺の腫れまたは胸部、胃および背中の皮膚発疹)は、発熱および疼痛等の特定の症状が単独で生じ得る。より重篤な場合には、人は通常、静脈内輸液(intravenous fluids)の投与および呼吸の補助等の治療のために入院が必要となる。
【0003】
フラビウイルス感染を予防する方法としては、弱毒化および不活性化した生きたウイルスの組成物が挙げられる。しかしながら、かかる組成物は、最適に免疫原化したものよりも劣り得、不適切に調製した場合に未知の危険を生じ得、有害な副作用を有し得る。フラビウイルス感染を予防する新しい組成物および方法を開発する必要がある。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、抗原の少なくとも一部およびヒンジ領域を欠くフラジェリン、および少なくとも一つの病原体関連分子パターン(PAMP)の少なくとも一部、および少なくとも一つのフラビウイルスの少なくとも一部の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに関する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体における免疫応答を刺激する方法に使用され得る。
【0005】
一態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つはヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0006】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つはヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、および少なくとも一つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここでDen2ウイルスエンベロープタンパク質は配列番号:22および配列番号:40からなる群より選択される少なくとも一員である。
【0009】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物である。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliC、およびS. muenchen fliCからなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0012】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0013】
本発明の別の態様は配列番号:29にコードされるポリペプチドである。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:30を含むポリペプチドである。
【0015】
さらなる態様において、本発明は配列番号:30に対して少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチドである。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:31にコードされるポリペプチドである。
【0017】
別の態様において、本発明は配列番号:32を含むポリペプチドである。
【0018】
さらなる態様において、本発明は配列番号:32に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:33にコードされるポリペプチドである。
【0020】
別の態様において、本発明は配列番号:34を含むポリペプチドである。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:34対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0022】
さらなる態様において、本発明は配列番号:35にコードされるポリペプチドである。
【0023】
さらなる態様において、本発明は配列番号:36を含むポリペプチドである。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:36に対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドである。
【0025】
別の態様において、本発明は配列番号:37にコードされるポリペプチドである。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:38を含むポリペプチドである。
【0027】
別の態様において、本発明は配列番号:38に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0028】
さらなる態様において、本発明は配列番号:54にコードされるポリペプチドである。
【0029】
別の態様において、本発明は配列番号:55を含むポリペプチドである。
【0030】
本発明の別の態様は、配列番号:55に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:71および配列番号:72からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0032】
別の態様において、本発明は配列番号:70および配列番号:73からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0033】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:71および配列番号:72からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:76および配列番号:6からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0035】
さらなる態様において、本発明は配列番号:77および配列番号:5からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0036】
別の態様において、本発明は配列番号:76および配列番号:6からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0037】
さらなる態様において、本発明は配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84および配列番号:86からなる群より選択される少なくとも一員を含むポリペプチドである。
【0038】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85および配列番号:87からなる群より選択される少なくとも一員にコードされるポリペプチドである。
【0039】
さらなる態様において、本発明は配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84および配列番号:86からなる群より選択される少なくとも一員に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチである。
【0040】
さらなる態様において、本発明は配列番号:159を含むポリペプチドである。
【0041】
さらに別の態様において、本発明は配列番号:158にコードされるポリペプチドである。
【0042】
別の態様において、本発明は配列番号:159に対して少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチドである。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は少なくとも一つのPam3Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0044】
さらなる態様において、本発明は少なくとも一つのPam2Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでDen2エンベロープタンパク質が配列番号:20および配列番号:40からなる群より選択される、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0047】
さらに別の態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答を刺激する方法である。
【0048】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0049】
さらに別の態様において、本発明は、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS. muenchen fliCからなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0050】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0051】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0052】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリン(flaggelin)の少なくとも一部がヒンジ領域の少なくとも一部を欠く、被験体において免疫応答を刺激する方法である。
【0053】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを用いて、被験体において免疫応答を刺激し得る。特許請求の範囲に係る発明の利点としては、例えば有効な免疫原性を有し、副作用を減じるようなフラビウイルスタンパク質等の特定の抗原もしくはウイルスに特異的な様式における、被験体におけるフラビウイルス感染の予防が挙げられ得る。特許請求の範囲に係る組成物、融合タンパク質、ポリペプチドおよび方法を使用して感染を予防または処置することで、抗原またはウイルス感染の結果の深刻な疾患を免れ得る。
【0054】
(発明の詳細な説明)
これより、本発明の工程または本発明の各部の組み合わせのいずれかで、本発明の特徴および他の詳細をより具体的に記載し特許請求の範囲に示す。本発明の特定の態様が発明を限定せずに実例として示されることを理解されたい。本発明の本質的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様において使用され得る。
【0055】
本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部およびヒンジ領域を欠くフラジェリンの少なくとも一部、ならびに少なくとも一つの病原体関連分子パターン(PAMP)の少なくとも一部および少なくとも一つのフラビウイルスの少なくとも一部の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに関する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを、被験体において免疫応答を刺激する方法に使用し得る。
【0056】
一態様において、本発明は少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0057】
フラジェリンまたは細菌のリポタンパク質等の病原体関連分子パターン(PAMP)とは、パターン認識レセプター(PRR)に結合した際に先天性の免疫応答を誘発し得る、微生物中に見出される分子(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、リポペプチド、核酸)の類のことをいう。PRRはToll様レセプター(TLR)であり得る。Toll様レセプターとは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melangogaster)Tollタンパク質に相同なレセプタータンパク質の一群のことをいう。Toll様レセプターは、細胞外ロイシンに富んだ繰り返しドメインおよびインターロイキン1レセプターに相同な細胞内ドメインを特徴とするI型膜貫通シグナル伝達レセプタータンパク質である。Toll様レセプターはTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11およびTLR12を含む。
【0058】
病原体関連分子パターンはToll様レセプターのアゴニスト、例えばTLR2アゴニスト(すなわち、Pam2Cys、Pam3Cys、細菌のリポタンパク質)またはフラジェリン等のTLR5アゴニストであり得る。TLRに関して本明細書で使用する場合、「アゴニスト」はTLRシグナル伝達経路を活性化する分子を意味する。TLRシグナル伝達経路は、TLRリガンドまたはTLRアゴニストに活性化され得る特定のTLRに用いられる細胞内シグナル情報伝達経路である。共通の細胞内経路はTLRにより使用され、例えばNF-κB、Jun N末端キナーゼおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼが挙げられる。病原体関連分子パターンとしては、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト(例えばPam3Cys、Pam2Cys、細菌のリポタンパク質)、TLR3アゴニスト(例えばdsRNA)、TLR4アゴニスト(例えば、細菌のリポ多糖類)、TLR5アゴニスト(例えば、フラジェリン)、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト(例えば、非メチル化DNAモチーフ)、TLR10アゴニスト、TLR11アゴニストおよびTLR12アゴニストからなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。
【0059】
特定の態様において、TLR2アゴニストは、Pam2Cys、Pam3Cysまたは緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)OprIリポタンパク質(OprI)等の細菌性リポタンパク質である。例示的なOprIリポタンパク質は、ATGAAAGCTACTAAACTGGTACTGGGCGCGGTAATCCTGGGTTCTACTCTGCTGGCAGGTTGCTCCAGCAAC(配列番号:180)にコードされるMNNVLKFSALALAAVLATGCSSH(配列番号:179)を含む。本明細書に記載される発明に用いる例示的な大腸菌の細菌性リポタンパク質は、ATGAAAGCTACTAAACTGGTACTGGGCGCGGTAATCCTGGGTTCTACTCTGCTGGCAGGTTGCTCCAGCAAC(配列番号:182)にコードされるMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSN(配列番号:181)である。TLR2シグナル伝達経路を活性化する細菌性リポタンパク質(TLR2アゴニスト)は、パルミトレイン酸を含む細菌性タンパク質である(Omueti, K.O., et at., J. Biol. Chem. 280: 36616〜36625(2005))。例えば、細菌発現系(例えば大腸菌)における配列番号:180および182の発現は、得られたタンパク質(例えば、配列番号:179、181)のシステイン残基へのパルミトレイン酸部分の付加を生じ、それにより本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるTLR2アゴニストを生成する。細菌におけるトリパルミトイル化リポタンパク質(トリアシルリポタンパク質ともいう)の生成は、システイン(配列番号:181のシステイン21)中のスルフヒドリル基へのジアシルグリセロール基の付加、その後のシグナル配列の切断および第三のアシル鎖の同じシステイン(配列番号:181のシステイン21)の遊離N末端基への付加により起こり(Sankaran, K., et al., J. Biol. Chem. 269:19706(1994))、例えば、図80に示されるようにトリパルミトイル化(tripalmitoylated)ペプチド(TLR2アゴニスト)を生成する。
【0060】
抗原は、PAMP(例えば、フラジェリン、Pam2Cys、Pam3Cys)と組み合わせてかまたはPAMPが非存在のいずれかで使用される場合、被験体において免疫応答を生じる任意の分子(例えば、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、炭水化物、脂質、リポペプチド、多糖類)である。抗原は、天然に存在する抗原のフラグメントもしくは部分、または天然に存在する抗原もしくは天然に存在する抗原の一部を模倣する合成分子であり得る。
【0061】
抗原はウイルス抗原であり得る。本明細書で使用する場合「ウイルス抗原」とは、PAMP(例えば、フラジェリン、Pam2Cys、Pam3Cys)と組み合わせてかまたはPAMPの非存在のいずれかで使用される場合、被験体において免疫応答を生じるウイルス(例えば、フラビウイルス)の任意の一部のことをいう。ウイルス抗原は、被験体において免疫応答を生じる、天然に存在するウイルスもしくは組換えタンパク質もしくは合成タンパク質(例えばフラビウイルス)、ペプチド、脂質、炭水化物等の天然に存在するウイルスを模倣する合成分子の一部またはフラグメントであり得る。抗原(例えばウイルス性抗原)の少なくとも一部について本明細書で使用される場合、「少なくとも一部」は抗原の任意の部分または抗原の全体を意味する。例えば、フラビウイルス抗原の少なくとも一部はエンベロープタンパク質、またはフラビウイルス抗原のエンベロープタンパク質のドメイン(例えばドメインI、II、III)であり得る。
【0062】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠損し得る。ヒンジ領域はフラジェリンのアミノ末端およびカルボキシ末端を結びつけるフラジェリンの超可変領域である。フラジェリンのヒンジ領域とはまた、本明細書で「超可変領域」または「超可変ヒンジ領域」のことをいう。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「欠損」は少なくとも一つのアミノ酸またはフラジェリンのヒンジ領域を含む少なくとも一つのアミノ酸をコードする少なくとも一つの核酸コドンがフラジェリン中に存在しないことを意味する。ヒンジ領域の例としては、配列番号:2の核酸528〜1245にコードされる配列番号:1のアミノ酸176〜415、配列番号:69の核酸522〜1266にコードされる配列番号:68のアミノ酸174〜422、または配列番号:59の核酸519〜1392にコードされる配列番号:58のアミノ酸173〜464が挙げられる。従って、アミノ酸176〜415が配列番号:1のフラジェリンに非存在である場合、フラジェリンはヒンジ領域を欠く。ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くフラジェリンはまた、本明細書でフラジェリンの「切断型(truncated version)」という。
【0063】
本明細書で使用する場合、「ヒンジ領域の少なくとも一部」とはPAMP(例えばフラジェリン)のヒンジ領域の任意の部分、またはヒンジ領域の全体のことをいう。「ヒンジ領域の少なくとも一部」とはまた、本明細書で「ヒンジ領域のフラグメント」のことをいう。例えば、ネズミチフス菌フラジェリンB(fljB、本明細書で「fljB/STF2」または「STF2」ともいう)のヒンジ領域は、配列番号:2の位置528〜1245の核酸にコードされる配列番号:1のアミノ酸176〜416である。fljB/STF2のヒンジ領域の少なくとも一部は、例えば、配列番号:1のアミノ酸200〜300であり得る。従って、アミノ酸200〜300が配列番号:1に非存在である場合、STF2の得られるアミノ酸配列はヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0064】
天然に存在するフラジェリンの少なくとも一部は人工のヒンジ領域の少なくとも一部と置換され得る。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「天然に存在する」は天然のフラジェリン中に存在するヒンジ領域を意味する。例えば、配列番号:1のアミノ酸176〜415、配列番号:68のアミノ酸174〜422および配列番号:58のアミノ酸173〜464は、それぞれSTF2、大腸菌fliCおよびS. muenchenフラジェリン、fliCの天然のヒンジ領域に相当するアミノ酸である。フラジェリンのヒンジ領域について本明細書で使用する場合、「人工の」は天然のヒンジ領域を含むかまたは含んでいたフラジェリン中の任意の領域で天然のフラジェリンに挿入されるヒンジ領域を意味する。例えば、配列番号:32は天然に存在するヒンジ領域を欠き、人工のヒンジ領域であるアミノ酸176〜186で置換されている。
【0065】
人工のヒンジ領域は、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くフラジェリンに使用され、TLR5への結合ひいてはTLR5の先天的なシグナル伝達経路の活性化のためにフラジェリンのカルボキシ末端およびアミノ末端の相互作用を容易にし得る。ヒンジ領域の少なくとも一部を欠損するフラジェリンは後に「Δ」が続くフラジェリンの名称で表される。例えば、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くSTF2(例えば、配列番号:1)は「STF2Δ」または「fljB/STF2Δ」(例えば、配列番号:3)と称される。
【0066】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、fljB/STF2(ネズミチフス菌フラジェリンB、Genbank受託番号AF045151)、fljB/STF2のフラグメント、大腸菌フラジェリンfliC(本明細書で大腸菌fliCともいわれる)(Genbank受託番号AB028476)、大腸菌フラジェリンfliCのフラグメント、S. muenchenフラジェリンfliC(本明細書でS. muenchen fliCともいわれる)、およびS. muenchen フラジェリンfliCのフラグメントからなる群より選択される少なくとも一員であり得る。
【0067】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:58および配列番号:68のポリペプチド、配列番号:1の少なくとも一部、配列番号:3の少なくとも一部、配列番号:58の少なくとも一部および配列番号:68の少なくとも一部、ならびに配列番号:2、配列番号:4、配列番号:59および配列番号:69にコードされるポリペプチド、または配列番号:2、配列番号:4、配列番号:59および配列番号:69にコードされるポリペプチドの少なくとも一部を含む。
【0068】
別の態様において、本発明は少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠く。
【0069】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」とは共有結合または非共有結合により結合される少なくとも二つの同様または異なる成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)から生じるタンパク質のことをいう。融合タンパク質の成分は、例えば、合成(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys)により、または組換え核酸技術(例えば、PAMPの少なくとも一部、または抗原もしくはウイルスタンパク質の少なくとも一部等の融合タンパク質の成分をコードする核酸配列を用いた宿主細胞のトランスフェクション)により作製され得る。融合タンパク質の一成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部またはウイルスタンパク質の少なくとも一部)は、ペプチド共役を含む化学共役技術を用いて、または融合タンパク質構築物の作成等の組換え技術を含む分子生物学的技術を用いて、融合タンパク質の別の成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、抗原の少なくとも一部またはウイルスタンパク質の少なくとも一部)に結合され得る。化学的共役(本明細書で「化学的カップリング」ともいわれる)としては、チオール基(例えば、システイン残基)等の反応基、または第一の(例えば、アミノ末端)基もしくは第二の(例えば、リシン)基の誘導による共役が挙げられ得る。本発明の例示的な融合タンパク質としては配列番号:5、70、73、77、81、83、85、87および158(図5、28、31、33、37、39、41および43)にコードされる配列番号:6、71、72、76、80、82、84、86および159(図6、29、30、32、36、38、40および42)が挙げられる。
【0070】
本発明の融合タンパク質は、「.」または「-」で分けられる融合タンパク質の成分によって表わされ得る。例えば、「STF2.EIII」とは一つのfljB/STF2タンパク質および少なくとも一つの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIII(下記参照)の少なくとも一部を含む融合タンパク質のことをいい、「STF2Δ.EIII」とはそのヒンジ領域の少なくとも一部を欠き、少なくとも一つの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部を有する一つのfljB/STF2タンパク質を含む融合タンパク質のことをいう。
【0071】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部、ならびにフラビウイルスタンパク質である西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。病原体関連分子パターンおよびウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0072】
フラビウイルス属はウイルスファミリーのフラビウイルス科であり約70のウイルスからなる。蚊またはダニはこれらのウイルスのほとんどを伝播する。いくつかのフラビウイルスは、四種のデング熱ウイルス(Den1、Den2、Den3およびDen4)、黄熱病(YF)、日本脳炎(JE)、西ナイル(WN、本明細書で「WNV」ともいう)およびダニ媒介脳炎(TBE)を含む重大なヒト病原体である(Weaver S.C., et al., Nat Rev Microbiol 10: 789〜801(2004))。フラビウイルス属は交差中和試験に基づいて、DEN-1、DEN-2、DEN-3およびDEN-4と呼ばれる血清学的および遺伝学的に異なる四種のウイルスを包含するデング血清グループを含む多くの血清グループに分かれる。
【0073】
フラビウイルスは、二十面体カプシドを有する小さな被覆されたウイルスである。フラビウイルスゲノムは感染後に宿主細胞機構により直接翻訳される一本鎖ポジティブセンスRNA(約11kb)である。該ウイルスゲノムは、ウイルスの酵素および細胞の酵素により翻訳同時切断および翻訳後切断を受けフラビウイルスの三つの構造タンパク質(カプシド(C)、膜(M)およびエンベロープ(E)タンパク質)、および七つの非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、およびNS5)を生じる、一本鎖ポリペプチドとして翻訳される(Weaver, et al., Annu Rev Microbiol 1990:44〜649(2004))。フラビウイルスゲノムの構成は図44に示される。ウイルスのカプシドはCタンパク質から構成され、Mタンパク質とエンベロープタンパク質の両方はビリオンのエンベロープ表面に配置される(Weaver, S. C, et al., Nat. Rev. Microbiol. 10:789〜801(2004);、Chambers et al., Annu Rev. Microbiol 44: 649〜688(1990))。フラビウイルスの主要な免疫原は膜エンベロープタンパク質である。
【0074】
フラビウイルスエンベロープタンパク質はウイルスの集合において役割を果たす。これらのタンパク質はウイルスの周縁の保護殻を形成し、宿主細胞内に放出されるまでウイルスを保護する内部の遺伝物質のための囲いとして働く。単純なウイルスはタンパク質殻および遺伝情報のみから構成されるが、フラビウイルス等のより複雑なウイルスはタンパク質殻とウイルスゲノムの間に脂質二重層も含む。ウイルスエンベロープタンパク質がレセプターに結合し、エンドソームの低いpHに対して構造の再配列により応答する場合に、フラビウイルスは宿主細胞に侵入し得る。構造の変化によりウイルス膜と宿主細胞膜の融合が誘導される。
【0075】
フラビウイルスのエンベロープはレセプター結合タンパク質として機能し得、ウイルスと宿主細胞膜の融合を容易にする。レセプター結合タンパク質として、エンベロープタンパク質は宿主域、細胞指向性、ビルレンスの決定因子であり、免疫応答の際に中和抗体を誘導する(Roehrig, Adv Virus Res 59:141〜175(2003))。エンベロープタンパク質はウイルスと宿主膜を融合させる原因である(Chu, et al., J. Virol 78: 10543〜10555(2004);Heinz, et al., Adv Virus Res 59:63〜97(2003);Chu, et al., J. Gen Virol 86:405〜412(2005))。ダニ媒介脳炎ウイルスエンベロープタンパク質およびデング-2(Den 2)ウイルスエンベロープタンパク質の結晶構造が決定されている(Rey, et al., Nature 375:291〜298(1995);Modis, et al., Proc Natl Acad Sci USA 100:6986〜6991(2003))。フラビウイルスのエンベロープタンパク質は共通の構造的特徴(ドメインI、IIおよびIII)および機能的特徴(ウイルスと宿主細胞のレセプター結合および融合機能)を有し、クラスII融合糖タンパク質である(Lescar et al., Cell 105:137〜148 (2001))。
【0076】
前融合構造において、エンベロープタンパク質はウイルス粒子の外表面にホモダイマーを形成する(Rey, et al., Nature 375:291〜298);Kuhn, et al., Cell 108:717〜725 (2002);Mukhopadhyay, et al., Science 302:248 (2003))。それぞれのエンベロープタンパク質モノマーが折り畳まれて、主にβ鎖からなる三つの構造ドメイン(ドメインI、IIおよびIII)になる。ドメインI(本明細書で「I」または「DI」ともいう)は、構造体の中心に位置し、グリコシル化エンベロープタンパク質のNグリコシル化部位を有する。エンベロープタンパク質のドメインII(本明細書で「II」または「DII」ともいう)は、二量体化を促進し、ウイルスのpH依存的な融合の際に標的宿主膜内に挿入される融合ループを有する(Modis, et al., Nature 427:313〜319 (2004);Bressanelli, et al., EMBO J 23:728〜738 (2004))。ドメインIII(本明細書で「III」または「DIII」ともいう)はエンベロープタンパク質のカルボキシ末端に存在する。ドメインIIIは初期の抗原性マッピング試験において「ドメインB」ともいわれる。ドメインIIIは、ウイルス中和抗体を誘導し得るいくつかのエピトープを有する(Roehrig, Adv Virus Res 59:141〜175 (2003))。また、ダニ媒介脳炎を含むいくつかのフラビウイルスを用いた試験(Mandle, et al., J. Virol 75:5627〜5637 (2001))は、免疫グロブリン定常ドメインの典型的な折り畳みを有するドメインIIIがフラビウイルスの宿主細胞への結合を仲介し得る(Anderson, Adv Virus Res 59:229〜274(2003))ので、レセプター結合ドメインであり得ることが示される。
【0077】
ダニ媒介脳炎フラビウイルスおよびデング2フラビウイルス由来のエンベロープタンパク質のドメインI、IIおよびIIIの結晶構造が決定されている(それぞれRey, F.A., et al., Nature 375:291〜298(1995);Modis, Y., et al., Nature 427:313〜319(2004))。ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のドメインIは配列番号:174のアミノ酸1〜51、137〜189および285〜302に相当し、配列番号:174のダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のドメインIIはアミノ酸52〜136および190〜284に相当し、ドメインIIIは配列番号:174のアミノ酸303〜395に相当する(Rey, F.A., et al., Nature 375:291〜298 (1995))。配列番号:174(図44)は配列番号:175(図78)にコードされる。デング2フラビウイルスエンベロープタンパク質のドメインIは配列番号:160(図70)のアミノ酸1〜52、132〜193および280〜296に相当し、ドメインIIは配列番号:160のアミノ酸53〜131および194〜279に相当し、ドメインIIIは配列番号:160のアミノ酸297〜495に相当する(Modis, Y., et al., Nature 427:313〜319 (2004))。他のフラビウイルス(例えば西ナイルウイルス、日本脳炎、デング1ウイルス、デング3ウイルスおよびデング4ウイルス)のドメインI、IIおよびIIIの位置は、ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質ドメインおよびデング2エンベロープタンパク質ドメインの相同性に基づく。従って、本明細書においてフラビウイルスタンパク質、特にダニ媒介脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質およびデング2フラビウイルスエンベロープタンパク質以外のフラビウイルスのドメインへの言及は、ダニ媒介脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質およびデング2フラビウイルスエンベロープタンパク質におけるドメインに対する相同性に基づく。
【0078】
DENフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIIIは、四つのDEN(DEN1、DEN2、DEN3、DEN4)ウイルスを含むフラビウイルス型特異的な連続的な決定的/ドミナント中和エピトープ(type-specific contiguous critical/dominant neutralizing epitope)の大部分をコードする(Roehring, J.T., Adv. Virus Res. 59:141 (2003))。フラビウイルスエンベロープタンパク質は高度に相同的である。例示的なエンベロープタンパク質配列を図45、68、70、72、74および77(それぞれ、配列番号:39、160、162、164、166および171)に示す。
【0079】
フラビウイルスエンベロープタンパク質の七つの非構造的タンパク質は、ウイルスの複製に関与している。NS3は、アミノ末端領域でセリンプロテアーゼ、ならびにカルボキシ末端領域においてヘリカーゼ、RNAトリホスファターゼおよびNTPase活性をコードする多機能性酵素である。NS5はメチルトランスフェラーゼおよびRNA依存RNAポリメラーゼをコードする。NS2A、NS2B、NS4AおよびNS4Bは四つの特徴の乏しいタンパク質である。NS2Bの中心ドメインはNS3セリンプロテアーゼのコファクターであり、NS2AおよびNS4Aは複製複合体の成分であることが知られている。NS1は、ウイルスが感染した細胞の細胞膜および細胞内小胞の腔の両方に局在する。NS1は、ネガティブ鎖RNA合成の前または初期のいずれかで複製サイクルの初期工程に関係しており、ウイルス成熟および/または放出に関与しているとも考えられる多機能性タンパク質である(Brinton, M.A., Annu Rev Microbiol 56:371 (2002))。
【0080】
西ナイルウイルス(WNV)は、一本鎖ポジティブセンスRNAエンベロープウイルスである。西ナイルウイルスは、1937年にウガンダの西ナイル地方で熱病の成人女性から初めて単離され、同定された(Smithburn, et al., Am J Trop Med Hyg 3:9〜18 (1954))。西ナイルウイルスは、ポリクローナル抗血清による交差中和試験を用いてフラビウイルス科の一員として分類されている(Boctor, et al., J. Virol Methods 26:305〜311 (1989))。西ナイルウイルスは神経侵入性であり(George, et al., Bull W H O 62:879〜882 (1984))、北アメリカでの大発生に見られたように、西ナイルウイルスへの感染の結果、重度のヒト髄膜脳炎が生じ得る(CDC, Update: West Nile Virus Encephalitis - New York 1999, MMWR Morbid Mortal Wkly Rep 48:994〜946;CDC, Update: West Nile Virus Encephalitis - New York 1999. MMWR Morbid Mortal Wkly Rep 51:1135〜1136)。1999年〜2002年の間、WNVは米国の東部にまでその範囲を拡大し、西半球においてその範囲は広がり続けると予想される。トリは自然の保有宿主であり、WNVは自然界において主にイエカ(Culex)属の蚊を含む蚊-トリ-蚊の伝播環で維持される。
【0081】
近年、西ナイルウイルスは欧州および北アメリカの温帯地域に出現しており、公衆衛生および動物の健康に脅威をもたらしている。WNV感染の最も深刻な症状はヒトおよびウマにおける致命的な脳炎(脳の炎症)、ならびに特定の家畜および野鳥における大量死である。西ナイルウイルス感染はまた、米国においてヒト疾病の重大な原因である。西ナイルウイルスのエンベロープ糖タンパク質(WNV-E)および他のフラビウイルスのエンベロープ糖タンパク質は、免疫応答を刺激して中和抗体および保護抗体を生じさせる組成物の調製に重要であり得る。現在、例えば被験体において免疫応答を刺激することにより西ナイルウイルス感染を予防する組成物は無い。
【0082】
日本脳炎(JE)ウイルスはアジアおよび北部オーストラリアに存在している(localize)(約50,000件の事例があり、一年間に約10,000人の死者がある)。最近、不活性化ウイルスを含む組成物が急性播種性脳脊髄炎の症例に関係したため、日本厚生労働省は不活性化ウイルスを含む組成物の全国的な使用中止を勧告した。
【0083】
デング(DEN)病は、DEN-1(本明細書で「Den1」またはDen 1」ともいわれる)、DEN-2(本明細書で「Den2」または「Den 2」ともいわれる)、DEN-3(本明細書で「Den3」または「Den 3」ともいわれる)、およびDEN-4(本明細書で「Den4」または「Den 4」ともいわれる)として知られる蚊媒介性で血清学的に関係のある四種類のフラビウイルスによって生じ、ヒトの重大なアルボウイルス疾患である。DENは世界の全熱帯地域において大きな公衆衛生問題である。約30億の人々がDENの危険にさらされており、毎年約50,000,000〜約100,000,000件のデング熱(DF)および数十万件のデング出血熱が、メキシコ、カリブ海諸国ならびにアジアおよび南太平洋諸国の一部を含む熱帯地域で生じる(Gubler, D.J., Ann Acad Med Singapore 27: 227〜34 (1998))。デング熱ウイルスは熱帯地域に住む周辺国内(peridomestic)のシマカ属の蚊により伝播され、これらの地域においてDFの地方的流行を生じる。一種類のウイルスによる感染は通常は生命の脅威とはならないデング熱(DF)という熱病を引き起こし、DEN血清型/ウイルスの感染に対して終生の防御免疫が生じる。しかし、一種類の血清型/ウイルスに感染する個体は他の三種類のDEN血清型/ウイルスに感染しやすいままになる。他のDEN血清型/ウイルスのうちの一種類によるその後の感染で生命の脅威となる疾患であるデング出血熱(DHF)またはデング熱ショック症候群(DSS)が引き起こされ得る。
【0084】
DHFは、初期DEN感染により誘導される非中和抗体が、二次感染時にFcレセプターによってマクロファージに取り込まれるウイルス-抗体複合体を形成し、ひいてはウイルス感染を増強する抗体依存性感染増強(ADE)の結果であり得る。毎年約500,000件のDHFのほとんどが子供において生じ、致死率は約5%である。600,000,000人の子供がDEN感染の危険にさらされ、毎年約60,000,000人がDEN感染を受け得、約60,000人が入院し得る。また、公衆衛生問題に対して、しばしば軍隊の人員が、DENウイルスが見られる世界の熱帯地域に海外派遣される。ソマリア戦争、グレナダ戦争、ベトナム戦争および湾岸戦争等、海外で遂行中に、かなりの数の兵士がDENで命を落とした。四種類全てのDEN血清型/ウイルスを予防する四価のワクチンを開発する必要があるため、DENワクチンを開発する試みは困難であると分かっている。
【0085】
フラビウイルス疾患を予防する方法としてはフラビウイルスに対するワクチンが挙げられる(Barrett, A.D., Ann. N.Y. Acad. Sci 951:262 (2001)。これらの組成物は二つの部類、生弱毒化および不活性化に分けられる。生フラビウイルスを含む組成物は、それぞれ17D株およびSA14-14-2株に基づいてYFおよびJE用に開発されており、それぞれニワトリおよびハムスター組織の経験的な継代によって得られた。SA14-14-2は中国で生産され、初代ハムスター腎臓細胞培養物において生育され、ごく最近中国以外での使用が認可された。両組成物は効果的であり、防御免疫を発発現するのにそれぞれ一回または二回の投与を必要とする。JEおよびTBEの不活性化ウイルス組成物がある。不活性化JE組成物はNakayama株、Beijing-1株またはP3株に基づき、不活性化TBE組成物は中央ヨーロッパTBE株NeudorflおよびK23、ならびにロシア春夏脳炎株Sofjinおよび205に基づく。これらの死滅したフラビウイルス組成物には、約二回の投与(約1週間〜約2ヵ月の間隔を空けて与えられる)、約一年での追加投与および約3年〜約4年毎の周期的な追加が必要である。抗体仲介性免疫、特に中和抗体はフラビウイルス疾患の予防に重要であり得る。フラビウイルス疾患を処置するかまたはフラビウイルス疾患を予防する組成物の投与の後の長命の中和抗体応答もまた重要であり得る。
【0086】
フラビウイルス感染を予防する組成物の開発に多くの様々なアプローチが取られているが、多くは成功していない。四種類の関連のあるウイルス(DEN1、DEN2、DEN3、DEN4)の結果である疾患DENに関して、一つ以上のDENに対して組成物を開発する必要があり得る。例えば、四価(DEN1、DEN2、DEN3およびDEN4)組成物は四種類全てのDENウイルスに対して同時に免疫応答を刺激することで、抗体依存性感染増強の可能性を除き得る。
【0087】
現在、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介ウイルス、クンジンウイルス、マリーバレー脳炎ウイルスおよび黄熱病ウイルスを含む多くのフラビウイルスによる感染を予防する効果的な組成物は無い(Chang, G.J., et al., Expert Rev Vaccine 3:199 (2004))。生弱毒化フラビウイルスにより弱毒化および免疫原性が組成物中に生じ得る。さらに、四価の生デング熱フラビウイルスを有する組成物は、四種類の各DENウイルスの種々の量で試験された多くの組成物を結果として生じる、干渉および不均衡な免疫応答に関する問題を有し得る。不活性化フラビウイルスを含む組成物は、免疫原性および複数投与の必要性に関する問題を有し得る。また、感染したマウスの脳または細胞培養における不活性化フラビウイルス組成物の生産は複雑で単調であり得、適切に不活性化がされない場合に未知の危険を生じ得、被験体に投与する際に有害な影響をもたらし得る。従って、被験体におけるフラビウイルス感染の予防に用いる新しい組成物を開発する必要がある。
【0088】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、共刺激分子の発現、重要なサイトカインおよびケモカインの分泌、ならびに効果的なプロセシングおよびT細胞に対する抗原の提示をもたらす細胞性事象を誘発する病原体関連分子パターンを用いる。上述の通り、TLRは細菌細胞壁成分(例えば、細菌リポタンパク質およびリポ多糖類)を含むPAMP、非メチル化CpG残基を含む細菌DNA配列および細菌フラジェリンを認識する。TLRは先天的免疫応答の開始剤および適応的免疫応答の監視者の役目をする(Medzhitov, R.ら, Cold Springs Harb. Symp. Quant. Biol. 64:429 (1999); Pasare, C.ら, Semin, Immunol 16:23 (2004); Medzhitov, R.ら, Nature 388:394 (1997); Barton, G.M.ら, Curr. Opin. Immunol 14:380 (2002); Bendelac, A.ら, J. Exp. Med. 195:F19 (2002))。
【0089】
上述の通り、TLRへのPAMPの結合は、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いる免疫経路を活性化し、被験体において免疫系を刺激することに用いられ得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、抗原(例えば、フラビウイルスタンパク質などのウイルスタンパク質)に対する免疫応答を誘発して、被験体の先天的および適応的免疫系のシグナル伝達経路を誘発することにより、被験体の免疫系を刺激し得る。被験体の免疫系の刺激は抗原またはウイルス(例えばフラビウイルス)による感染を予防することにより、被験体を処置するかまたは被験体を疾患、病気および、あるいは死を予防し得る。
【0090】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、例えば、1、2、3、4、5、6以上の病原体関連分子パターン(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、フラジェリン)および1、2、3、4、5、6以上の抗原を含み得る。2以上のPAMPおよび/または2以上の抗原および/またはウイルスタンパク質が本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む場合、それらはまた「多量体」といわれる。
【0091】
病原体関連分子パターンはTLR5アゴニスト(例えば、少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部)であり得る。フラジェリンは、fljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラ muenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。フラジェリンは、fljB/STF2(例えば、配列番号1)またはヒンジ領域のないフラジェリン(例えば、配列番号3)を含み得る。
【0092】
病原体関連分子パターンはTLR2アゴニストであり得る。TLR2アゴニストはPam2CysおよびPam3Cysからなる群より選ばれる少なくとも一員を含む。Pam3Cysは([パルミトイル]-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピルシステイン)である。Pam3Cysはまた本明細書では「P2」といわれる。Pam2Cysは(S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン)である。
【0093】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるウイルスタンパク質は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質、ランガトウイルスエンベロープタンパク質、クンジンウイルスエンベロープタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、日本脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスエンベロープタンパク質、黄熱病ウイルスエンベロープタンパク質およびデング熱ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員のエンベロープタンパク質であり得る。
【0094】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、フラビウイルスのエンベロープタンパク質の任意の一部を用い得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、フラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIからなる群より選ばれる少なくとも一員を少なくとも一部を含み得る。エンベロープタンパク質のドメインに関して本明細書で使用する場合、「少なくとも一部」とはエンベロープタンパク質ドメインの任意の部分またはエンベロープタンパク質の全体を意味する。例えば、配列番号88および100〜151は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部を含む。
【0095】
本明細書で使用する場合、「EI」、「EII」、および「EIII」とは西ナイルフラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。本明細書で使用する場合、「JEI」、「JEII」、および「JEIII」とは日本脳炎フラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。本明細書で使用する場合、「Den1 I」、「Den1 II」、および「Den1 III」とはデング熱1フラビウイルスエンベロープタンパク質のそれぞれドメインI、IIおよびIIIをいう。同様に、他のフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインの表示は、後にドメイン番号が続くフラビウイルス名(例えば、(ダニ媒介)TBI(ダニ媒介)、TBII、TBIII、Den2 I、Den2 II、Den2 III)で参照される。
【0096】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いられるフラビウイルスのエンベロープタンパク質の一部は、ドメインIの少なくとも一部、ドメインIIの少なくとも一部およびドメインIIIの少なくとも一部からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。ドメインが「+」、例えば「EIII+」または「JEIII+」で示される場合、「III」と参照されるエンベロープタンパク質の一部は、そのドメインにドメインIおよびIIのいずれかまたは両者の少なくとも一部の少なくとも一つを加えた全ての一成分である。例えば、「EIII+」は本明細書で使用する場合、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがドメインIIIおよびドメインIの少なくとも一部を含むことを意味する。「EIII+」はまた「EI/III」といわれる。「JEIII+」はまた「JEI/III」といわれる。同様に、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがフラビウイルスのエンベロープタンパク質のドメインを含む場合、ドメインはドメインI、II、およびIIIの任意の組み合わせであり得、ドメインに基づき表示され得る。例えば、EI/IIは西ナイルフラビウイルスのドメインIおよびIIを含む。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いられるエンベロープタンパク質のドメインに関して「+」がないこと(例えば、EIII、JEIII、Den1 III)は、該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが参照のドメインを含むことを意味する。例えば、「Den1 III」は、該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドがデング熱1ウイルスのドメインIIIを含み、ドメインIおよびIIを含まないことを意味する。
【0097】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いる西ナイルウイルスエンベロープタンパク質は、
MEKLQLKGTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSGSSIGK(EIII+アミノ酸配列であり、イタリック体のアミノ酸はエンベロープタンパク質のドメインIであり、残りの配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIである、配列番号7);
GTTYGVCSKAFKFARTPADTGHGTVVLELQYTGKDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANSKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSG(西ナイルウイルス, Stanford, CT, また「西ナイルS」といわれる、配列番号8);
GTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYVVGRGEQQINHHWHKSG(西ナイルウイルス, New York, NY, また「西ナイルNY」といわれる、配列番号9);およびELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKS(配列番号10)からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含み得る。配列番号7は、
ATGGAAAAATTGCAGTTGAAGGGAACAACCTATGGCGTCTGTTCAAAGGCTTTCAAGTTTCTTGGGACTCCCGCAGACACAGGTCACGGCACTGTGGTGTTGGAATTGCAGTACACTGGCACGGATGGACCTTGCAAAGTTCCTATCTCGTCAGTGGCTTCATTGAACGACCTAACGCCAGTGGGCAGATTGGTCACTGTCAACCCTTTTGTTTCAGTGGCCACGGCCAACGCTAAGGTCCTGATTGAATTGGAACCACCCTTTGGAGACTCATACATAGTGGTGGGCAGAGGAGAACAACAGATCAATCACCATTGGCACAAGTCTGGAAGCAGCATTGGCAAA(配列番号11)でコードされる。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質は、西ナイルウイルスのドメインIおよびIII(本明細書で「EIII+」という)の一部を含む配列番号7を含むポリペプチドに対して、少なくとも約70%同一性、少なくとも約75%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約85%同一性、少なくとも約90%同一性、少なくとも約95%同一性および少なくとも約99%同一性を有するタンパク質を含み得る。
【0098】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるランガトウイルスエンベロープタンパク質は、GLTYTVCDKTKFTWKRAPTDSGHDTVVMEVGFSGTRPCRIPVRAVAHGVPEVNVAMLITPNPTMENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGDLNHQWFQKG(配列番号12)の少なくとも一部を含み得る。クンジンウイルスエンベロープタンパク質は、GTTYGVCSKAFRFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKIPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVSTANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSG(配列番号13)の少なくとも一部を含み得る。マリーバレー脳炎エンベロープタンパク質は、GTTYGMCTEKFTFSKNPADTGHGTVVLELQYTGSDGPCKIPISSVASLNDMTPVGRMVTANPYVASSTANAKVLVEIEPPFGDSYIVVGRGDKQINHHWHKEG(配列番号14)の少なくとも一部を含み得る。日本脳炎エンベロープタンパク質は、GTTYGMCTEKFSFAKNPADTGHGTVVIELSYSGSDGPCKIPIVSVASLNDMTPVGRLVTVNPFVATSSANSKVLVEMEPPFGSDYIVVGMGDKQINHHWHKAG(配列番号15)の少なくとも一部およびEMEPPFGDSYIVVMGDKQINHHWHKA(配列番号16)からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質は、GLTYTMCDKTKFTWKRAPTDSGHDTVVMEVTFSGTKPCRIPVRAVAHGSPDVNVAMLITPNPTIENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGELSHQWFQK(配列番号17)の少なくとも一部を含み得る。黄熱病ウイルスエンベロープタンパク質は、GLTYTMCDKTFTWKRAPTDSGHDTVVMEVTFSGTKPCRIPVRAVAHGSPDVNVAMLITPNPTIENNGGGFIEMQLPPGDNIIYVGELSHQWFQK(配列番号18)の少なくとも一部を含み得る。フラビウイルスのエンベロープタンパク質は、GTTYGMCSKKFTFRPADTGHGTVVLELQYSGDGPCKIPISVASKNDLTPVGRLVTVNPFVSSTANAKVLIEMEPPFGDSYIVVGGEQINHHWHKG(配列番号19)およびGMSYSMCTGKFKVVKEIAETQHGTIVIRVQYEGDGSPCKIPFEIMDLEKRHVLGRLITVNPIVTEKDSPVNIEAEPPFGDSYIIIGVEPGQLKLNWFKK(配列番号40)からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含み得る。配列番号12、13、14、15、16、17、18、19および40は、ウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIの一部である。
【0099】
別の態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここでDen2ウイルスエンベロープタンパク質は、EAEPPFGDSYIIIGVEPQQLKLNWFKK(配列番号22)、配列番号40および配列番号97からなる群より選ばれる少なくとも一員である。
【0100】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、Den 1(EAEPPFGESYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号20)、Den 1 PR 94(プエルトリコ、1994)(ETEPPFGESYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号21));Den 3(EAEPPFGESNIVIGIGDKALKINWYKK(配列番号23));およびDen 4(ELEPPFGESYIVIGVGNSALTLHWFRK(配列番号24))を含み得る。配列番号20、21、22、23および24は、Den1、Den2、Den3およびDen4フラビウイルスのドメインIIIの一部である。4つのデング熱ウイルスのドメインIIIの少なくとも一部は、本発明(ivnetion)の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドにおいて一緒にまたは別々に用いられ得る。例えば、Den1(16007株)、Den2(516803株)、Den3(H53489株)およびDen4(703株)のドメインIIIは別々にまたは組み合わせて用いられ得る。病原体関連分子パターンおよびDen2エンベロープウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0101】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物である。
【0102】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに用いるC型肝炎ウイルスタンパク質は、それぞれ配列番号66(図24)および67(図25)でコードされる、配列番号64(図22)および配列番号65(図23)からなる群より選ばれる少なくとも一員のポリペプチドを含み得る。
【0103】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。
【0104】
本発明の融合タンパク質は、病原体関連分子パターンとウイルスタンパク質の間のリンカーをさらに含み得る。リンカーはアミノ酸リンカーであり得る。アミノ酸リンカーは、合成のまたは天然に存在するアミノ酸残基を含み得る。本発明の融合タンパク質に用いられるアミノ酸リンカーは、リジン残基、グルタミン酸残基、セリン残基、システイン残基およびアルギニン残基からなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。本明細書で使用する場合、「アミノ酸リンカー」はまた「ペプチドリンカー」といわれる。アミノ酸リンカーは、AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGT(配列番号25);GAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC(配列番号27);GAATTCTCTAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC(配列番号61);AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGTCCAGTGTGGTGGAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCCAGTGTGATGGATATCTGCAGAATTCGCCCTTGCGGCCGCTC(配列番号63);
およびGAATTCTCTAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCT(配列番号74)でコードされる、KGNSKLEGQLEFPRTS(配列番号26);EFCRYPAQWRPL(配列番号28);EFSRYPAQWRPL(配列番号60);KGNSKLEGQLEFPRTSPVWWNSADIQHSGGRQCDGYLQNSPLRPL(配列番号62);EFSRYPAQWRPL(配列番号75)のペプチドからなる群より選ばれる少なくとも一員を含み得る。
【0105】
本発明の融合タンパク質は、組成物の融合タンパク質の少なくとも一成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、フラジェリン、PAMP)と融合タンパク質の少なくとも一つの他成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、融合タンパク質の少なくとも二つの類似の成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、フラジェリン、PAMP、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0106】
本発明の融合タンパク質に関して本明細書で使用する場合、「リンカー」とは融合タンパク質の成分が直接結合しない様式の該融合タンパク質の成分間のコネクターのことをいう。例えば、融合タンパク質の一成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、PAMP)は融合タンパク質の異なる成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)に結合し得る。同様に、融合タンパク質の少なくとも二つ以上の類似または同様の成分が結合し得る(例えば、二つのPAMPは各PAMP間のリンカーをさらに含み得るか、二つの抗原は各抗原間のリンカーをさらに含み得るか、二つのウイルスタンパク質は各ウイルスタンパク質間のリンカーをさらに含み得る)。
【0107】
さらにまたはあるいは、本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質の異なる成分および融合タンパク質の類似または同様の成分間のリンカーの組み合わせを含む得る。例えば、融合タンパク質は、例えば二つ以上のPAMP間のリンカーをさらに含む少なくとも二つのPAMP、Pam3Cysおよび/もしくはPam2Cys成分;それらの間にリンカーをさらに含む少なくとも二つの抗原もしくは少なくとも二つのウイルスタンパク質;融合タンパク質の一成分(例えば、PAMP)と融合タンパク質の別の異なる成分(例えば、抗原の少なくとも一部、ウイルスタンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。従って、本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの病原体関連分子パターン間のリンカー、少なくとも二つの抗原間のリンカー、少なくとも二つのウイルスタンパク質間のリンカー、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0108】
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンは抗原またはウイルスタンパク質の少なくとも一部(例えば、「EIII」といわれる西ナイルエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部、「Den1 III」といわれるデング熱1エンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部などの、フラビウイルスタンパク質)のカルボキシ末端、アミノ末端またはカルボキシ末端およびアミノ末端両者に融合し得る。本明細書で使用する場合「融合する」とは、共有もしくは非共有結合するかまたは組み換え技術で一緒に産生することを意味する。
【0109】
本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの抗原または少なくとも二つのウイルスタンパク質の間の少なくとも一つの病原体関連分子パターンを含み得、それは、病原体関連分子パターンと抗原またはウイルスタンパク質の間のリンカーを任意で含み得る。本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つのウイルスタンパク質間に融合する病原体関連分子パターン(例えば、「ウイルスタンパク質.PAMP.ウイルスタンパク質」と表される)を含み得る。本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つの病原体関連分子パターン間に融合する抗原またはウイルスタンパク質(例えば、「PAMP.ウイルスタンパク質.PAMP」と表される)を含み得る。
【0110】
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンは、フラジェリンなどのTLR5アゴニストであり得る。本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域の少なくとも一部を欠く該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得る。例えば、配列番号1のfljB/STF2フラジェリン(図1)のヒンジ領域の少なくとも一部は削除され得、抗原またはウイルスタンパク質が欠失領域において該フラジェリンに融合し得る。
【0111】
本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域を含む該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得る。例えば、抗原またはウイルスタンパク質は、ヒンジ領域の任意の位置、例えば配列番号1のアミノ酸176〜415の任意の位置で、配列番号1のfljB/STF2フラジェリン(図1)に融合し得る。
【0112】
本発明の融合タンパク質の抗原またはウイルスタンパク質は、フラジェリンのヒンジ領域を欠く該フラジェリンの領域において、該フラジェリンに融合し得、ここでヒンジ領域がアミノ酸リンカーなどの人工のヒンジ領域で置換されている。例えば、抗原またはウイルスタンパク質は、例えば、配列番号3のアミノ酸175〜186のアミノ酸リンカー(HGAPVDPASPW、配列番号183)の配置で示されるように、アミノ酸リンカー(本明細書でまた「人工のヒンジ」または「人工のヒンジ領域」または「人工の超可変領域」といわれる)を置くことにより、配列番号3のfljB/STF2Δフラジェリン(図3)に融合し得る。
【0113】
別の態様において、本発明はfljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラmuenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質である。エンベロープタンパク質の一部は、エンベロープタンパク質のドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部であり得る。
【0114】
さらに別の態様において、本発明は、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、76、6、80、82、84、86および159を含むポリペプチドならびに配列番号70、73、29、31、33、35、37、54、77、5、81、83、85、87および158でコードされるポリペプチドを含む。
【0115】
さらなる態様において、本発明は、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84、86および159のポリペプチドならびに配列番号70、73、29、31、33、35、37、54、77、5、81、83、85、87および158の核酸に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%および少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0116】
さらなる態様において、本発明は、配列番号1、3、58および68のポリペプチドならびに配列番号2、4、59および69の核酸に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%および少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含むフラジェリンを有するポリペプチドを含む組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む。
【0117】
二つのアミノ酸配列(または二つの核酸配列)の同一性パーセントは、最適な比較のために配列を整列すること(例えば、第一配列の配列にギャップを導入し得る)により決定され得る。対応する位置のアミノ酸配列または核酸配列がその後に比較され、二つの配列間の同一性パーセントは、該配列に共有される同一位置の数の関数(すなわち、%同一性=同一位置の#/位置の総数#)である。PAMP、融合タンパク質の少なくとも一部、ウイルスタンパク質、または比較のために整列された本発明のポリペプチドをコードするタンパク質または核酸の長さは、参照配列、例えば、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84、86および159に示されるような、例えば、PAMPの核酸配列、ウイルスタンパク質の少なくとも一部、またはポリペプチドもしくは融合タンパク質の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%である。
【0118】
二つの配列の実際の比較は、周知の方法、例えば数学的アルゴリズムを用いてなされ得る。かかる数学的アルゴリズムの好ましい限定されない例は、Karlinら(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるProc. Natl. Acad. Sci. USA, 20:5873〜5877 (1993))に記載される。かかるアルゴリズムは、Schafferら(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるNucleic Acids Res., 29:2994〜3005 (2001))に記載されるBLASTNおよびBLASTXプログラム(2.2版)に組み込まれる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、BLASTN;全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のインターネットサイトで利用可能である)を用い得る。ある態様において、検索されるデータベースは非冗長(NR)データベースであり、配列比較のパラメータは、フィルターなし;期待値10;ワードサイズ3;マトリックスはBLOSUM62;およびギャップコストはExistence 11およびExtension 1を有する、に設定し得る。
【0119】
配列の比較に用いられる別の数学的アルゴリズムは、その教示が参照により全体として本明細書に援用されるMyersおよびMillerのアルゴリズム、CABIOS(1989)である。かかるアルゴリズムは、GCC(Accelrys, San Diego, California)配列整列ソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(2.0版)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基テーブル、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4が用いられる。配列解析のさらなるアルゴリズムは当該技術分野で公知であり、TorellisおよびRobotti(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるComput. Appl. Biosci., 10: 3〜5 (1994))に記載されるADVANCEおよびADAM、ならびにPearsonおよびLipman(その教示が参照により全体として本明細書に援用されるProc. Natl. Acad. Sci USA, 85: 2444〜2448 (1988))に記載されるFASTAが挙げられる。
【0120】
さらなる態様において、本発明は、本発明の核酸配列を含む宿主細胞およびベクターである。宿主細胞は原核(例えば、大腸菌)または真核(例えば、ショウジョウバエDmel2細胞などの昆虫細胞;バキュロウイルス(Baculovirus);CHO細胞;ピキア(Pichia)などの酵母細胞)の宿主細胞であり得る。
【0121】
二つのアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、Blossom 63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップ加重12、10、8、6、または4および長さ加重2、3、または4を用いるGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)におけるGAPプログラムを用いてなされ得る。さらに別の態様において、二つの核酸配列間の同一性パーセントは、ギャップ加重50および長さ加重3を用いるGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)におけるGAPプログラムを用いてなされ得る。
【0122】
PAMP、ウイルスタンパク質の少なくとも一部、本発明の融合タンパク質および本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、fljB/STF2(例えば、配列番号2、4)、fliC(例えば、配列番号59、69)、ウイルスタンパク質の少なくとも一部(例えば、配列番号39、160、162、164、166および177ならびに本発明の融合タンパク質(例えば、配列番号71、72、30、32、34、36、38、55、75、6、80、82、84および86)に選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)下でハイブリダイズする核酸配列を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「低ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「中位のストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「高ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、または「非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、核酸配列のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を表わす。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、水性および非水性の方法を含み得、その教示が全体として本明細書に援用されるAubusel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (2001)で見出し得る。
【0123】
高い選択性を要する用途のために、ハイブリッドを形成するために比較的高いストリンジェンシー条件が用いられ得る。いくつかの膜に基づくハイブリダイゼーションに用いる溶液にホルムアミドなどの有機溶媒を添加することで、より低温にて反応を起こすことが可能になる。高ストリンジェンシー条件は、例えば、比較的低塩および/または高温条件である。高ストリンジェンシーは、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.10M NaClによりもたらされる。高ストリンジェンシー条件は、二つの配列間の限られた数のミスマッチを許容する。より低いストリンジェントな条件を達成するために、塩濃度を増加し得る、および/または温度を下げ得る。中位のストリンジェンシー条件は、約0.1〜0.25M NaClの塩濃度、および約37℃〜約55℃の温度で達成され、一方、低ストリンジェンシー条件は、約0.15M〜約0.9M NaClの塩濃度、および約20℃から約55℃にわたる温度で達成される。ハイブリダイゼーションのための成分および条件の選択は当業者に周知であり、Ausubelら(1997, Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York N. Y., Units 2.8-2.11, 3.18-3.19および4-64.9)に概説される。
【0124】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つのPam3Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員)の少なくとも一部を含む組成物である。デング熱ウイルスタンパク質は、Den1ウイルスタンパク質、Den2ウイルスタンパク質、Den3ウイルスタンパク質およびDen4ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。Pam3Cysおよびフラビウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0125】
本発明のさらなる態様は、少なくとも一つのPam2Cysおよび少なくとも一つのフラビウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員)の少なくとも一部を含む組成物である。デング熱ウイルスタンパク質は、Den1ウイルスタンパク質、Den2ウイルスタンパク質、Den3ウイルスタンパク質およびDen4ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員であり得る。Pam2Cysおよびフラビウイルスタンパク質は融合タンパク質の成分であり得る。
【0126】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0127】
本明細書で使用する場合、「免疫応答の刺激」とは抗原またはウイルスタンパク質(例えば、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質)の少なくとも一部に対する抗体の生成のことをいう。被験体における免疫応答の刺激は、抗原またはウイルスタンパク質に対して反応性である体液性および/または細胞性の免疫応答の産生を含み得る。被験体において免疫応答を刺激する際、被験体は、抗原もしくはウイルスによる感染、または被験体における免疫応答の刺激の結果として衰退し得るかもしくは休止され得る抗原もしくはウイルスによる感染に関連する病状から防御され得る。
【0128】
被験体における免疫応答を刺激する方法に用いる本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、十分確立された方法を用いて、被験体における免疫応答を刺激する能力を評価され得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが被験体における免疫応答を刺激するかどうかを判断する典型的な方法としては、抗原またはウイルスタンパク質に特異的な抗体(例えば、IgG抗体)の産生を、ELISAアッセイ;二次感染の抗体依存性増強(ADE)を誘導する可能性;マクロファージ様アッセイ;プラーク減少中和試験(Plaque Reduction Neutralization Test)(PRNT80)を用いて評価される中和;ヒトではないモデル(例えば、マウス、ウサギ、サル)において血清抗体を生成する能力(Putnakら, Vaccine 23:4442〜4452 (2005));抗原、特にマウスやサルなどのヒトではない動物を用いるウイルス抗原への曝露攻撃を生き抜く能力などの、適切な技法によって測定することが挙げられる。
【0129】
本明細書で用いられる場合、「被験体」とは霊長類またはげっ歯類(例えば、ネズミ、マウス)などの哺乳類であり得る。特定の態様において被験体はヒトである。
【0130】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0131】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでDen2エンベロープタンパク質が配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群より選ばれる、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0132】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0133】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0134】
本発明のさらなる態様は、fljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラmuenchen fliCからなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、KGMSYVMCTGSFKLEKEVAETQHGTVLVQVKYEGTDAPCKIPFSTQDEKGVTQNGRLITANPIVTDKEKPVNIEAEPPFGENYIVVGAGEKALKLSWFKK(配列番号21および96))、Den2ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号22、40およびKGMSYSMCTGKFKVVKEIAETQHGTIVIRVQYEGDGSPCKTPFEIMDLEKRHVLGRLTTVNPIVTEKDSPVNIEAEPPFGDSYIIIGVEPGQLKLDWFKK(配列番号97))、Den3ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号23およびKGMSYAMCLNTFVLKKEVSETQHGTILIKVEYKGEDAPCKIPFSTEDGQGKAHNGRLITANPVVTKKEEPVNIEAEPPFGESNIVIGIGDKALKINWYRK(配列番号98))およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質(例えば、配列番号24およびKGMSYTMCSGKFSIDKEMAETQHGTTVVKVKYEGAGAPCKVPIEIRDVNKEKVVGRIISPTPFAENTNSVTNIELERPLDSYIVIGVGDSALTLHWFRK(配列番号99))からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0135】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0136】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠いている、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0137】
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一部および少なくとも一つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を含み、ここでフラジェリンの少なくとも一つがヒンジ領域の少なくとも一部を欠いている、被験体における免疫応答の刺激方法である。
【0138】
「有効量」とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの量に関する場合、組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドの量または投与量をいい、被験体に投与する場合は治療効力に十分な量(例えば、被験体において免疫応答を刺激するのに十分な量)である。本発明の組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドは、単回投与または複数回投与で投与され得る。
【0139】
本発明の方法は、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの経腸手段または非経口手段による投与によりなされ得る。具体的に、投与経路は組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドの経口摂取(例えば、飲料、錠剤、カプセル形態)または筋内注射によるものである。本発明にまた包含される他の投与経路としては、静脈内経路、皮内経路、動脈内経路、腹腔内経路、または皮下経路、および鼻投与が挙げられる(including)。坐剤または経皮貼布もまた用いられ得る。
【0140】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、被験体の自己樹状細胞にエクスビボで投与され得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドへの樹状細胞の曝露に続き、樹状細胞を被験体に投与し得る。
【0141】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは患者に単独で投与され得るか、または共投与され得る。共投与とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの、個々または組み合わせでの同時投与または連続投与を含むと意図されている。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドが個々に投与される場合、被験体において免疫応答を刺激する効果が最大になるように互いに十分近い時間で投与の様式(例えば、融合タンパク質の投与に近い時間での組成物の投与)が行われ得る。複数の投与経路(例えば、筋内、経口、経皮)を用いて本発明の組成物および融合タンパク質を投与し得ることがまた想定される。
【0142】
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは従来の賦形剤、例えば、抽出物と有害的に反応しない、経腸使用または非経口使用に適切な薬学的または生理的に許容され得る有機担体物質または無機担体物質との混合剤として投与され得る。適切な薬学的に許容され得る担体としては、水、食塩水(リンガー溶液など)、アルコール、油、ゼラチンおよび乳糖、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)、ならびにポリビニルピロリジン(pyrolidine)が挙げられる。かかる調製物は滅菌され得、必要に応じて、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドと有害的に反応しない、滑沢剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、および/または芳香剤などの助(auxillary)剤と混合され得る。調製物はまた、必要ならば他の活性物質と組み合わされ、代謝分解を減少し得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、飲料などの経口投与、筋内注射または腹腔内注射で投与され得る。組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドのみ、または混合剤と組み合わされる場合、単回またはある期間にわたり二回以上で投与されて所望の効果(例えば、フラビウイルス感染を緩和抑制する、フラビウイルス感染の症状を緩和するため)を与え得る。
【0143】
非経口使用が必要とされるかまたは所望される場合、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドに特に適切な混合剤は、注射可能な、滅菌溶液、好ましくは油性溶液または水性溶液、ならびに懸濁液、エマルジョン、または坐剤を含む植込錠である。特に、非経口投与のための担体としては、ブドウ糖水溶液、食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロック重合体などが挙げられる。アンプルは便利な単位投薬量である。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドはまたリポソームに組み込まれ得るか、経皮ポンプまたは経皮貼布にて投与され得る。本発明に用いられる適切な医薬混合剤は当業者に周知であり、例えばその教示が参照により本明細書に援用されるPharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co., Easton, PA)およびWO 96/05309に記載されている。
【0144】
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、担体上で被験体に投与され得る。「担体」とは本明細書で使用される場合、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを被験体の免疫システムに提示して、被験体において免疫応答をもたらす任意の組成物を意味する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの提示は、抗体を作り出すウイルスタンパク質の抗原性部分の曝露を好ましくは含む。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの成分(例えば、PAMPおよびウイルスタンパク質)は、担体上で物理的に互いに近くにある。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、共有結合または非共有結合で担体に結び付き得る。好ましくは、担体は生体適合性である。「生体適合性」とは本明細書で使用される場合、担体が被験体において免疫応答(例えば抗体の産生)をもたらさないことを意味する。担体はポリマービーズまたはリポソームなどの生分解性基質担体であり得る。担体はさらにミョウバンまたは他の適切なアジュバントをさらに含み得る。担体は、ウイルス(例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス)、細菌(例えば、サルモネラ属)または核酸(例えば、プラスミドDNA)であり得る。
【0145】
被験体に投与する用量および頻度(単回投与または複数回投与)は、抗原、ウイルスタンパク質への前曝露、ウイルス感染の期間、ウイルス感染の前処置、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与経路、被験体の大きさ、年齢、性別、健康状態、体重、ボディーマス指数、および食生活、フラビウイルス曝露、フラビウイルス感染および感染に関与する特定のフラビウイルス(例えば、西ナイルフラビウイルス、デング熱フラビウイルス、ランガトフラビウイルス、クンジンフラビウイルス、マリーバレー脳炎フラビウイルス、日本脳炎フラビウイルス、ダニ媒介脳炎フラビウイルス、黄熱病フラビウイルスおよびC型肝炎フラビウイルス)の症状の性質および程度、併用療法の種類、フラビウイルス曝露、フラビウイルス感染または他の健康に関する問題からの合併症を含む様々な因子により変わり得る。他の治療レジメンまたは治療剤は、本発明の方法および組成物、融合タンパク質またはポリペプチドとともに用いられ得る。例えば、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与は、他のウイルス療法またはフラビウイルス感染の症状(例えば、高熱、麻痺、DHF、髄膜脳炎)を処置する薬剤の使用を伴い得る。確立された用量の調節および操作(例えば、頻度および期間)は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0146】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、決して限定を意図しない。
【実施例】
【0147】
原料および方法
PCR増幅およびDNAプライマー
製造業者の推奨に従い、Stratagene(La Jolla, CA)のPfu Ultra Hotstart PCR Master Mix(カタログ番号600630)を用いて全PCR増幅を行った。DNAプライマーをSigma Genosysから購入し、以下に記載する。
STF28BGF-1:
CTCGGGAGATCTGCACAAGTAATCAACACTAACAGTCT(配列番号41)
STF28MCR-1:
CCATGGGCTAGCAGGATCCACCGGCGCTCCCTGCACGTTCA(配列番号42)
STF28MCF-2:
GGAGCGCCGGTGGATCCTGCTAGCCCATGGACCGAAAACCCG(配列番号43)
STF28ECR-2:
TCTGCAGAATTCACGTAACAGAGACAGCACGTTCTGCGGGACGTCCCGCAGAACGTGCTGTCTCTGTTACGTGAATTCTGCAGA(配列番号44)
pET24AR:5 TCCGGCGTAGAGGATCGAGA(配列番号45)
STF2-E3R3:
CAATTGACCTTCAAGCTTCGAATTGCCCTTACGTAACAGAGACAGCACGTTCTG(配列番号46)
AX-E3F3:
AAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGTATGGAAAAATTGCAGTTGAAG(配列番号47)
pET24AF: GCTTAATGCGCCGCTACAGG(配列番号48)
5'WNE28: GCGGCCGCTCATGGAAAAATTGCAGTTGAAGGGAACAACC(配列番号49)
3'WNE28: CCGCGGTTTGCCAATGCTGCTTCCAGACTTGT(配列番号50)
NdeI-STF2:
CCGGCATGCCATATGGCACAAGTAATCAACACTAACAGTCTGTCGCTGC(配列番号51)
BlpI-EdIII:
GCATGCTCAGCTTATTAAGGGTTTGCCAATGCTGCTTCCCAGACTTGTG(配列番号52)
JE EIIIプライマー: TACGTGAATTCAGCAGATATCCAGCAC(配列番号53)
【0148】
pET/STF2Δ.EIIIのクローニング
ネズミチフス菌fljbの全長フラジェリン(第2相フラジェリン)(本明細書でまた「STF2」という)は、1.5kb遺伝子でコードされる。配列番号1のアミノ酸170〜415にわたる超可変領域を削除してSTF2の切断型(STF2Δ、配列番号4でコードされる配列番号3)を生成した。削除した領域を、TLR5シグナル伝達に必要なNH2末端配列およびCOOH末端配列の相互作用を容易にするように設計された短く柔軟なリンカー(GAPVDPASPW、配列番号56)で置き換えた。この構築物を生成するため、二段階PCRを用いた。第一反応において、STF2.OVA((図61)図62の配列番号153のアミノ酸配列をコードする配列番号152)はDNAテンプレートの役割をし、STF28BGF-1およびSTF28MCR-1をプライマー対として用いた。別の反応において、同じDNAテンプレートをプライマーSTF28MCF-2およびSTF28ECR-2と組み合わせた。
【0149】
PCR増幅反応では、それぞれ約500bpフラグメントおよび約270bpフラグメントを生成した。プライマーとしてSTF28BGF-1およびSTF28ECR-2を用いてこれらのPCR産物を最終PCR反応において組み合わせた。この反応からの増幅DNA産物(約0.77kb)をBglII制限酵素およびEcoRI制限酵素で消化し、BglIIおよびEcoRIで予め消化し、アルカリフォスファターゼで処理したpMTBiP/V5-His B(Invitrogen, Carlsbad, CA)にライゲーションした。ライゲーション混合物のアリコートをTOP10細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)を形質転換するために用いた。ベクター特異的プライマー、pMTFOR(メチオニンプロモーター)(CATCTCAGTGCAACTAAA、配列番号156)およびBGHREV(ウシ成長ホルモンポリA)(TAGAAGGCACAGTCGAGG、配列番号157)を用いてPCRスクリーニングを行い、いくつかの陽性クローンを同定した。全ての陽性クローンを制限マッピング解析によりさらに分析し、DNA配列決定法により確認した。得られた構築物pMT/STF2Δを用いて、pMT/STF2Δ.EIII+を生成した。
【0150】
pET/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)の西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(図45および46)のドメインIIIを、ショウジョウバエ発現プラスミドpMT/STF2.Eから得た。このプラスミドは西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(アミノ酸1〜406、配列番号39、図45)に融合する全長STF2(アミノ酸1〜506、配列番号1)を含む。pMT/STF2.E(配列番号158)クローンAX-1をDNAテンプレートとして用い、5'WNE28(配列番号49)および3'WNE28(配列番号50)はPCR増幅のためのプライマーの役割をした。制限分析およびその後のクローニング段階を容易にするために、5'プライマーは新規NotI部位(New England Biolabls, Beverly, MA)をコードし、3'プライマーは単一のSacII部位を包んだ。増幅したEIII+ DNAフラグメント(345bp;配列番号39のアミノ酸292〜406をコードする配列番号178)をpCR-Blunt II-TOPOクローニングベクター(InVitrogen, Carlsbad, CA)にサブクローニングしてプラスミドTOPOEIIIを生成した。その後、T4 DNAポリメラーゼを用いてSacII制限部位およびSpeI制限部位を平滑化することにより、EIII+配列の下流に停止コドンを導入した。
【0151】
pMT/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)を生成するため、NotI制限部位およびBamHI制限部位を用いてTOPOEIII+からEIII+フラグメントを単離し、pMT/STF2ΔのNotI制限部位およびSacII制限部位にライゲーションした。ライゲーションの前に、EIII+ DNAフラグメントのBamHI部位およびpMTSTF2ΔのSacII部位をT4 DNAポリメラーゼで平滑化した。pMT/STF2Δ.EIII+からのSTF2Δ.EIII+配列(配列番号70、71)を、プライマーNdeI-STF2およびBlpI-EdIIIを用いるPCR増幅により単離した。pET/STF2Δ.EIII+(配列番号71)を生成するため、PCR産物をNdeIおよびBlpIで消化して、NdeIおよびBlpIで前消化したpET24aプラスミドにライゲーションした。ライゲーション混合物をMach-1細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換して、50μg/mlのカナマイシンを補ったLBで細胞を培養した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0152】
pET/STF2.EIII+のクローニング
pET/STF2.EIII+(配列番号54、55)の西ナイルウイルスEIII+配列をpETSTF2.E(配列番号158、159)から生じた。この大腸菌発現プラスミドは、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(配列番号7である、配列番号39のアミノ酸292〜406)に融合する全長STF2(アミノ酸1〜506)を含む。二つの独立したPCR反応において、pET/STF2.EをDNAテンプレートとして用いた。一つの反応はプライマーpET24AR:5(配列番号45)およびSTF2-E3R3:(配列番号46)を用い、もう一方はAX-E3F3(配列番号47)およびpET24AF(配列番号48)を用いた。これらのPCR反応は、全長STF2およびEIIIドメインにエンベロープタンパク質のドメインIに及ぶさらなるアミノ酸を加えたものを含む340bpフラグメントからなる1.5kbフラグメントを生成した。これらのPCR増幅反応物のアリコートを組み合わせ、二つの生成物は外部プライマーpET24AR(配列番号45)およびpET24AF(配列番号48)を用いるPCR反応のためのテンプレートの役割をした。このことが、EIII+配列(配列番号178、配列番号7である配列番号39のアミノ酸292〜406をコードする核酸配列)をSTF2に融合する約1.8kb DNAフラグメントの生成をもたらした。PCR産物をNdeIおよびBlpIで消化し、ゲル精製し、適合性のある酵素で予め消化し、脱リン酸化したpET24aベクターに適合性のある末端でライゲーションした。pET/STF2Δ.EIII+について記載される通り、ライゲーション混合物をMach-1細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、二つのクローンをDNA塩基配列決定法により確認した。
【0153】
pET/STF2Δ.JEIII+のクローニング
ドメインIIIでコードされたJEVワクチンに現在用いられる、日本脳炎ウイルス(JEV)(SA-14-14-2株(Jai, L.ら, Chin Med J (Eng) 116:941〜943 (2003))のエンベロープタンパク質の一部がDNA 2. Inc(Menlo Park, CA)によりカスタム合成された。挿入物の側面に位置するNotIおよびBlp I部位を用いて、pJ2:G01510からドメインIIIの一部を除去した。DNA挿入物をゲル単離して、適切な酵素で予め消化されたpET24A/STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)に適合性のある末端によりクローニングし西ナイルウイルスEIII+挿入物を放出した。その後、削除されたベクターをゲル精製し、JE EIII+のアリコートにライゲーションした。ライゲーション混合物を用いてTOP-10細胞(InVitrogen, Carlsbad, CA)を形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを補ったLBで細胞を培養した。いくつかのコロニーを制限マッピングによりスクリーニングし、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0154】
得られた構築物、pET24A/STF2Δ.JEIII(配列番号5、6)はBLR(DE3)株(Novagen)であり、いくつかのクローンにおいて、抗フラジェリン抗体を用いたウェスタンブロットにより確認された発現を、クマシーブルー染色を用いてモニターした。DNAテンプレートとしてpET24A/STF2Δ.JEIII+およびプライマーとしてJE EIII+オリゴヌクレオチド(配列番号53)を用い、製造業者の取扱説明書に従いQuikChange Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene, LaJolla, CA)を用いてSTF2ΔとJEIII+の間のリンカー領域におけるシステイン残基をセリン残基と交換した。クローンを塩基配列決定法により確認し、pET24A/STF2Δ.JEIII+について上述するように発現をアッセイした。
【0155】
リンカーにおいてシステイン残基がセリン残基に変わる場合、融合タンパク質はまた本明細書において融合タンパク質の表示で「s」を含んで称される。例えば、「STF2Δ.EIII+」はリンカーにおいてシステイン残基を含み(図29、配列番号71)、一方「STF2Δ.EIIIs+」はリンカーにおいてシステイン残基の代わりにセリン残基を含む(図30、配列番号72)。
【0156】
フラジェリン(STF2Δ)のC末端に融合する各デング熱ウイルスのEIIIドメインのクローニング
当初は、恐らくエンベロープタンパク質における複数のシステイン残基(12システイン)の存在(配列番号39、図45参照)が原因で、西ナイルウイルスの全エンベロープタンパク質の融合から生物活性物質を得ることは困難であった。しかし、タンパク質のドメインIII(EIII)をコードする領域をサブクローニングした場合、融合タンパク質は大腸菌において十分に発現され、マウスにおいて非常に有効であった。4つの異なるDENウイルス(Den1、Den2、Den3、Den4、配列番号160〜167、図67〜74)間で全体的な配列は似ていないが、エンベロープタンパク質のドメインIII内の三次元構造はフラビウイルス間で似ている。DENおよび他のフラビウイルスにおけるこのドメインは型特異的近接臨界/優性中和エピトープの大部分をコードする。デング熱ウイルス(Den1、Den2、Den3およびDen4)のドメインIIIは細菌において発現され、免疫原性であり実験動物において中和抗体を誘導する事ができることを示している(Simmons, M.ら, Am. J. Trop. Med Hyg 65:159 (2001))。4つの異なるDENウイルスの約295から約399(正確な番号付けは、例えば、配列番号160、162、164、166の特定のDENウイルスによる)の残基に対応するドメインIIIは、大腸菌における発現のためにコドンが最適化されている。合成の遺伝子はPCRを用いて増幅され、pET/STF2Δ.DENlEIII、pET/STF2Δ.DEN2EIII、pET/STF2Δ.DEN3EIIIおよびpET/STF2Δ.DEN4EIII(配列番号80、82、84および86)を生成するpET/STF2ΔベクターのNotI部位にサブクローニングされる。
【0157】
大腸菌によるSTF2.EIII+、STF2Δ.EIII+、STF2Δ.EIIIs+およびSTF2Δ.JEIII+の産生
pETSTF2.EIII+(配列番号54、55)、pETSTF2Δ.EIII+(配列番号70、71)、
pETSTF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)またはpETSTF2Δ.JEIII+ 配列番号5、6)を含むBLR(DE3)pLysSの細胞培養物(6L)を、15μg/mlのカナマイシン、12.5μg/mlのテトラサイクリンおよび24μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地で培養した。OD600が約0.6において、1mM IPTGにより約37℃で約3時間タンパク質発現を誘導した。誘導後、細胞を遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離機で7000rpm x 7分)により採取し、2xPBS、1%グリセロール、DNAse、1mM PMSF、プロテアーゼインヒビターカクテルおよび1mg/mlリゾチームに再懸濁した。懸濁液をマイクロフルイダイザーに通して細胞を溶解し、溶解物を遠心分離(Beckman Optima L超遠心分離機で45,000gを1時間)して可溶画分を封入体から分離した。これらの培養条件および誘導条件下で、STF2.EIII+を可溶タンパク質として発現し、STF2Δ.EIII+(配列番号70、71)、STF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)およびSTF2Δ.JEIII+(配列番号5、6)は封入体を形成した。
【0158】
STF2.EIII+の精製
可溶STF2.EIII+(配列番号54、55)を含む細胞溶解物を、0.5M NaClの存在下でSepharose Q樹脂(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)にのせ、DNA、エンドトキシン、および他の夾雑物を減じた。フロースルー画分を回収し、バッファーA(バッファーA:100mM Tris-Cl、pH8.0)による10倍希釈で伝導率を調整した。希釈物質をQ Sepharose上に再装填して、バッファーB(バッファーB:100mM Tris-Cl、1M NaCl、pH8.0)の20%から60%の直線勾配で結合タンパク質を溶出した。STF2.EIII+を含む画分をプールし、Na-デオキシコール酸の存在下でSuperdex-200ゲル(SD200)ろ過クロマトグラフィーによりさらに処理して残りのエンドトキシンを除去した(ランニングバッファー:1%Na-デオキシコール酸、100mM NaCl、100mM Tris-HCl、1%グリセロール、pH8.0)。SD200クロマトグラフィー後、溶出タンパク質をQ Sepharose上に直接装填し、バッファーAで徹底的に洗浄して界面活性剤を除去した。20%から60%のバッファーBの直線勾配で結合タンパク質を再び溶出した。ある調製物(Batch 057)において、この工程をExtract-D界面活性剤除去ゲル(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を用いた界面活性剤除去手順に置き換えた。精製タンパク質を50mM Tris、100mM NaClおよび1%グリセロールを含むバッファーに対して透析し、-80℃で保管した。夾
【0159】
STF2Δ.EIII+の精製
STF2Δ.EIII+封入体を低速遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離機で7000rpm x 7分)により回収し、8M尿素、10OmM Tris-HCl、5mM EDTA、pH8.0を含むバッファーで可溶化した。可溶化タンパク質の尿素濃度を1Mに調整し、試料をQ Sepharoseに装填した。0%から100%のバッファーBの直線勾配を用いて結合タンパク質を溶出した。(バッファーA: 100mM Tris-HCl、5mM EDTA、1M尿素、pH8.0。 バッファーB: 100mM Tris-Cl、5mM EDTA、1M NaCl、1M尿素、pH8.0)。溶出後のタンパク質凝集体の形成の理由から、Q Sepharose物質の尿素濃度を8Mに調整した。SD200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーによりタンパク質をさらに精製した。100mM Tris-HCl、pH8.0、100mM NaCl、1%グリセロール、8M尿素に1%Na-デオキシコール酸を加えたものでカラムを前平衡化した。溶出タンパク質をSource Qを用いる第二のIEXクロマトグラフィー工程に供して、1%Na-デオキシコール酸を除去した。20%から60%のバッファーBの直線勾配を用いて結合タンパク質を溶出した。(バッファーA: 100mM Tris-HCl、pH8.0、8M尿素、5mM EDTA。 バッファーB: 100mM Tris-Cl、pH8.0、5mM EDTA、8M尿素、1M NaCl)。タンパク質の最終精製(polishing)を、SD200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにより完了した(ランニングバッファー:100mM Tris-HCl、pH8.0、8M尿素、100mM NaClおよび1%グリセロール)。SD200画分に還元剤(2.5mM DTT)を添加し、低減していく濃度の尿素に対する段階的透析によりタンパク質をリフォールディングした。100mM Tris-HCl、pH8.0、100mM NaCl、および1%グリセロールを含み、6M尿素、4M尿素、2M尿素を含むまたは尿素を含まないバッファーに対して、順次、尿素濃度を低減した。
【0160】
STF2Δ.EIII+三量体のリフォールディングおよび精製
尿素可溶化封入体からのSTF2Δ.EIII+(配列番号70、71)を効率的にリフォールディングして、上述の通りの簡単な透析により三量体生成物を形成し、三量体(3つのSTFΔ.EIII融合タンパク質)は、SDS-PAGEでの分子量に基いて推定された。透析後、Triton X-114での複数回の抽出によりエンドトキシンを除去した。三量体を精製して、S200サイズ排除クロマトグラフィーにより単量体および凝集体から分離した。最終生成物は、SDS-PAGE上で約130kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動した。
【0161】
STF2Δ.EIII+単量体のリフォールディングおよび精製
STF2Δ.EIII+の単量形態(配列番号70、71)を、急速な希釈を用いるリフォールディングにより一貫してかつ効率的に産生し、個々のSTF2Δ.EIII+融合タンパク質がお互い相互作用して三量体(上記)などの多量体(meutimer)を形成するのを阻害した。4M尿素において封入体から可溶化されたSTF2Δ.EIII+を、還元剤なしで8M尿素に上昇させた。その後、タンパク質をTris/NaCl/グリセロールバッファー、pH8.0で、約0.1mg/mlおよび室温での最終尿素濃度0.1Mに急速に希釈した。単量体をさらに精製して、S200サイズ排除クロマトグラフィーにより凝集体から分離した。最終生成物は、SDS-PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動した。
【0162】
STF2Δ.EIIIs+(STF2ΔとEIII+の間のリンカーのセリン置換、配列番号72)の精製
可溶化封入体からのSTF2Δ.EIIIs+(配列番号72、73)を、STF2Δ.EIII+単量体をリフォールディングするために用いた方法と似た急速希釈法を用いてリフォールディングした。エンドトキシン夾雑物の大部分を除去する間に、リフォールディングしたタンパク質をブチルセファロースカラム上で捕捉して溶出した。ブチルセファロース精製からの溶出液を濃縮し、4周期のTriton X-114抽出をして、SD200ゲルろ過での最終精製工程前にエンドトキシンレベルを約<0.1EU/μgに減じた。最終的なプールした生成物はSDS-PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有する単一のバンドとして移動し、微量のTriton X-114(約0.000015%)を含んでいた。
【0163】
STF2Δ.JEIII+(配列番号5、6)の精製
変性条件下でタンパク質を封入体から単離した。封入体を界面活性剤(0.5% Triton X 100)で洗浄し、8M尿素で可溶化して、標的タンパク質の部分的な精製をした。エンドトキシン除去のために、タンパク質を低pH(約3.5)でSource S陽イオン交換カラムに載せ、塩勾配(0から約1M NaCl)で溶出した。STF2Δ.EIII+単量体について記載される通り、急速希釈を用いてタンパク質をリフォールディングした。その後、タンパク質を濃縮し、SD200を用いてさらに精製し、凝集体からタンパク質の単量形態を分離した。精製された物質はSDS PAGE上で約43kDaの見掛けの分子量を有して移動し、許容レベルのエンドトキシン(約0.03EU/ug)を含んでいた。
【0164】
融合タンパク質の流加による産生
流加法を用いる好気性バイオリアクターにおいてSTF2Δ.EIIIs+を産生した。三つの制御ループを置き、pHを酸(2N HCl)または塩基(3N NH4OH)の添加により、温度を加熱(加熱ブランケット)または冷却(時間周期冷却ループ)により、ならびに溶存酸素量を圧縮気流(手動で制御される)、撹拌(混合速度)およびO2流量(時限周期)によりカスケードにおいて制御した。STF2Δ.EIIIs+を含む細胞[BLR(DE3)pLysSを、MRSF培地(上記参照)に適応させ、一列に並べ、25%グリセロール中で凍結した。バイオリアクターについて、一列に並べた細胞の1mLを1LのMRSF培地に添加して約37℃で約15.5〜約16.5時間撹拌することにより、細胞をスケールアップした。スケールアップ過程からの細胞を、約37℃で約0.5vvm気流にて、約1:10の比でMRSFまたはMRBR合成培地に添加した。
【0165】
該過程を、圧縮気流が約1.5vvmであり撹拌が最大である細胞酸素消費量になるまで、温度が約25℃〜約33℃に下がる場合、約6時間、約37℃のバッチモードにおいて実施した。供給は培養物が誘導される前、または約1時間から約30分後までに開始され得る。供給速度は一定に維持され得るか、過程の変量(溶存酸素量、グルコース濃度)に基づき調整され得る。培養物をバッチグルコース枯渇の際にIPTGで誘導した。培養物を最低で約2時間、最高で約20時間保持した。
【0166】
【0167】
STF2Δ.EIIIs+を封入体として産生した。回収の際に、細胞を、遠心分離によって馴化培地から分離し(Beckman Avanti J-20 XP, JLA 8.1000ローター, 約4℃で約20分間10k×g)、等体積の50mM Tris, 100mM NaCl, 1mM EDTA, pH8.0に再懸濁した。遠心分離を同じ条件下で繰り返し、細胞を最小体積の同じバッファに再懸濁した。懸濁物を、少なくとも2回、>10000psiでホモジナイザー(APV−1000)に通過させた。
【0168】
固体を分離し得、STF2Δ.EIIIを、以下の3つ;遠心分離、濾過または流動層クロマトグラフィーのうち1つによって可溶化した。
【0169】
方法1
固体を遠心分離によって分離し(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 4℃で20分間20k×g)、50mM tris、1m NaCl、1mM EDTA、1%グリセロール、0.5% Triton X-100、pH8.0に再懸濁した。この過程を、速度および時間を(約20分間最大約40k×gまで)上げて(全)6回まで繰り返した。最終ペレットの回収の後、ペレットを50mM Tris、0.1M NaCl、1mM EDTA、pH 8.0に再懸濁し、遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター,約4℃で約20分間40k×g)によって清浄化した。ペレットを、50mM Tris, 0.1M NaCl, 1mM EDTA, 4M尿素, pH 8.0に再懸濁し、溶解した。不溶物を遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 4℃で約50分間40k×g)によって除去し、上清をさらなる加工のために保持した。
【0170】
上記の複数回洗浄の後、STF2Δ.EIIIをまた、50mM酢酸、10mM NaCl、8M尿素、pH約4.1〜約5.3に溶解し、遠心分離(Beckman Avanti J-20 XP, JA 20ローター, 約20分間20k×g)によって清浄化し得る。
【0171】
方法2
均質化の後、溶解物をボディーフィード(body feed)に捕捉し、STF2Δ.EIIIs+を、尿素を含むバッファを用いて抽出した。ボディーフィードは、デプスフィルター上のケーキに粒子を捕らえるように設計されたフィルターエイドである。ボディーフィード(Advanced Minerals Corporation CelPure 65)は、<0.2μm粒子を保持する高表面積および低浸透性を有する珪藻土(シリカ粉末)である。フィルターエイドは、溶解物と前もって混合され、デプスフィルター(Ertel 703)を越えてポンプされ、ボディーフィードおよび溶解物粒子の両方を含むケーキが積み上げられた。懸濁物は、粒子がフィルターパッド上に固定される場合、デプスフィルターを作り出す。5OmM Tris、10OmM NaCl pH 8.0洗浄を実施し、可溶タンパク質および核酸を除去した。50mM Tris、100mM NaCl、4M尿素、pH 8による続いての洗浄は、STF2Δ.EIIIを可溶化し、さらなる加工のためにボディーフィードからSTF2Δ.EIIIを除去する。
【0172】
方法3
細胞を最初にバッファに再懸濁した後、細胞を塩化ナトリウムおよび尿素含有バッファpH約6〜約8に再懸濁し、均質化した。溶解物を、STF2Δ.EIIIs+が樹脂に結合し粒子が通過するStreamline CST流動層カラム(GE Healthcare)にかけた。STF2Δ.EIIIs+は、Triton X-1OOまたはポリソルベート80のような界面活性剤の存在下または非存在下で、充填pHより高いpHで、低塩条件で溶出され得る。
【0173】
SDS-PAGE
タンパク質(典型的に約5μg)を、β-メルカプトエタノールを含むSDS-PAGE試料バッファおよびβ-メルカプトエタノールを含まないSDS-PAGE試料バッファ中に希釈した。試料を5分間煮沸し、4〜20% SDSポリアクリルアミドゲルに充填した。電気泳動の後、ゲルをクマシーブルーで染色し、タンパク質バンドを可視化した。
【0174】
エンドトキシンアッセイ
エンドトキシンレベルを、マイクロプレート法についての製造業者の指示書に従って、QCL-1000 Quantitative Chromogenic LAL試験キット(BioWhittaker #50-648U, Walkersville, MD)を使用して測定した。
【0175】
タンパク質アッセイ
タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用して96ウェルフォーマットでMicroBCA Protein Assay Reagent Kitによって決定した(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)。
【0176】
TLR5生物活性アッセイ
HEK293細胞(ATCC, Catalog No. CRL-1573 Manassas, Virginia)は、構成的にTLR5を発現し、TLR5シグナル伝達に応答して、IL-8を含むいくつかの可溶性因子を分泌する。細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し(約50,000細胞/ウェル)融合タンパク質を添加し、一晩インキュベートした。次の日に、馴化培地を回収し、よごれていない96ウェルマイクロプレートに移し、−20℃で凍結させた。融解の後、馴化培地を、製造業者の指示書に従って、抗ヒトIL-8適合抗体対(Pierce, #M801Eおよび#M802B, Rockford, IL)を使用して、サンドイッチELISAにおいてIL-8の存在についてアッセイした。光学密度を、マイクロプレート分光光度計(FARCyte, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を使用して測定した。
【0177】
プラーク減少中和試験(PRNT)
PRNTをWang, et al, J. Immunol. 167:5273-5277 (2001)に従って実施した。簡単に、血清試料を56℃の水浴中での30分間のインキュベーションによって熱不活性化し、5%ゼラチンを含むPBS中に、1/10〜1/2560まで連続希釈した。西ナイルウイルスを、最終濃度が約100PFU/ウェルであるように、5%ゼラチンを含むPBS中に希釈した。ウイルスを、約37℃で約1時間、96ウェルプレートにおいて約75μl血清と混合した。血清ウイルス混合物のアリコートを、6ウェル組織培養プレートにおいてベロ細胞のコンフルエントな単層に播種した。細胞を、約37℃で1時間インキュベートし、プレートを15分ごとに揺らした。次いで、アガロース重層を加えた。重層は、等体積の100ml 2×MEM (Life Technologies)からなる溶液を滅菌2%アガロースと混合することによって調製した。両方の溶液を、重層を加える前に、1時間40℃の水浴に配置した。細胞を、湿潤化5%CO2-空気混合物中に37℃で4日間インキュベートした。さらに4%のニュートラルレッドを含む第2の重層を、第5日に加えた。ウイルスプラークを約12時間後に計数した。
【0178】
STF2Δ融合タンパク質の抗原性
ELISAプレート(96ウェル)をPBS中の精製されたSTF2Δ融合タンパク質(配列番号158、159、54、55、70、71)(約2μg/ml)の連続希釈物(100μl/ウェル)を用いて、4℃で一晩コートした。プレートを、室温で1時間200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer (ADB; BD Pharmingen)でブロックした。プレートを、PBS-Tween中で3回洗浄し、次いで、フラジェリンと反応性の抗体または構築物のEドメインとインキュベートした。フラジェリンの発現をmAb 6H11(Intotek)を使用して検出し、その一方で、WNV-Eの抗原性をBioreliance (Road Rockville, MD)から購入したmAbのパネル(5C5、7H2、5H10、3A3、および3D9) (Beasley, D.W., et al, J. Virol. 76:13097-13100 (2002))を使用してモニターした。ADB中に希釈された抗体(約100μl/ウェル)を4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。ADB中に希釈されたHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunochemical, West Grove, PA)を添加し(100μl/ウェル)、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB(3,3',5,5'-テトラメンチルベンジジン)Ultra基質(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を添加し、顕色をモニタリングした後、A450をTecan Farcyte微小分光光度計で測定した。
【0179】
マウスの免疫
C3H/HeNマウス(群あたり10)を、第0日、第14日および第28日に示された濃度の融合タンパク質または合成ペプチドで腹腔内的にまたは皮下的に免疫した。第21日および第35日に、免疫された動物をレトロオービタル(retro-orbital)穿刺によって採血した。血清を、ヘパリンを含まない血液試料の凝固および遠心分離によって回収した。第35日に、マウスを致死用量のWNV株2741で攻撃した(Wang, T., et al, J. Immunol 167:5273-5277 (2001))。生存を攻撃後21日間モニターした。
【0180】
血清抗体決定
西ナイルエンベロープタンパク質特異的IgGレベルを、ELISAによって決定した。ELISAプレート(96ウェル)を、2μg/mlの濃度のPBS中の西ナイルEタンパク質mAb 5C5、7H2、5H10、3A3および3D9 (Beasley, D.W., et al, J. Viro. 76:13097-13100 (2002)) (Bioreliance, Road Rockville, MD)の100μl/ウェルで、約4℃で一晩コートした。プレートを、室温で1時間200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer (ADB; BD Pharmingen, San Diego CA)でブロックした。プレートをPBS-T中で3回洗浄した。ADB中の血清希釈物を添加し(100μl/ウェル)、プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。ADB中に希釈されたHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunochemical, West Grove, PA)を添加し(100μl/ウェル)、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB(3,3',5,5'-テトラメンチルベンジジン)Ultra基質(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を添加し、顕色をモニタリングした後、A450をTecan Farcyte微小分光光度計で測定した。
【0181】
Pam3Cys.WNV001ペプチド合成物の産生
Pam3Cys.WNV001は、Bachem Bioscience, Inc. (King of Prussia, PA)によって合成された。WNV001は、ペプチドのアミノ末端セリン残基を介してトリパルミトイルシステイン(Pam3Cys)部分に化学的に結合された西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の20アミノ酸ペプチド(配列番号168)である。Pam3Cys.WNV001の化学名は、[パルミトイル-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピル)- LTSGHLKCRVKMEKLQLKGT(配列番号168)酢酸塩]である。Pam3Cys.WNV001の分子量は、3163.3ダルトンである。ペプチドを、固相合成法およびFMOC化学を使用してBachemによって合成した。Pam3Cys.WNV001のアミノ酸配列を、固相ペプチド合成によってH-Pro-2-クロロトリチルクロリド樹脂上にアセンブルした。ペプチド鎖を、アミノ酸誘導体の連続的結合によって伸長した。各結合工程より、Fmoc脱保護工程が先行し、各結合工程は、樹脂の繰り返しの洗浄と同時に行われた。最後のアミノ酸誘導体の結合の後、最後のFmoc脱保護工程を実施した。最後に、ペプチド樹脂を洗浄し、減圧下で乾燥した。固相ペプチド合成の間、色指示薬試験を、各工程について実施し、Fmoc切断の完了および続いてのアミノ酸誘導体の結合をモニターした。Pam3Cys-OHを伸長されたペプチドに結合するために、脂質部分を1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下でN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)で前活性化した。得られた溶液を濾過し、ペプチド樹脂に加えた。反応時間の最後に、ペプチド樹脂を洗浄し、減圧下で乾燥した。色指示薬試験を実施し、Pam3Cys-OHの結合を制御した。完成したペプチドを、トリフルオロ酢酸(TFA)とインキュベートすることによって樹脂から切断した。遊離された生成物(粗ペプチド物質)を、反応混合物から沈殿し、凍結乾燥した。粗生成物を、初期免疫原性試験のために使用した。
【0182】
WNV-Eペプチドアレイの合成
ペプチドアレイ(図57および60)は、Sigma Genosys (Woodlands, TX)によって合成された。
結果:
西ナイル融合タンパク質
西ナイルウイルス(WNV)は、ヨーロッパおよび北アメリカの温帯地域に近年出現し、公衆衛生および動物の健康に脅威を与えた。WNV感染の最も深刻な発現は、ヒトおよびウマにおける致死性脳炎(脳の炎症)ならびに特定の家畜のトリおよび野生のトリにおける死亡率である。WNVは、米国においてヒトの病気の有意な原因でもある。西ナイルのエンベロープ糖タンパク質(WNV-E)および他のフラビウイルスのエンベロープ糖タンパク質は、中和抗体および保護抗体を生成し得る。この抗原をToll様レセプターリガンドに結合することによって、本明細書中に記載される組成物、融合タンパク質およびポリぺプチドは、アジュバントまたは他の免疫調節処方物の必要なしに、適切な抗原提示細胞を標的化し得る。
【0183】
本明細書中に記載されるように、いくつかの戦略が大腸菌での西ナイルウイルスエンベロープ(WNV-E)融合タンパク質の産生を容易にするために実施される。1つのアプローチは、ドメインIII(EIII)および、任意に、WNV-Eタンパク質のドメインIIのアミノ酸を全長STF2に融合することによって(例えば、STF2.E、STF2.EIII+)より小さいWNV-E抗原を遺伝子工学で作ることである。ドメインIIIは、ウイルス-宿主相互作用の原因であり、多くの西ナイルウイルス中和抗体エピトープを保持する。それはまた、全長エンベロープタンパク質内に存在する12のシステイン残基のうち2つのみを含み、大腸菌での発現をより可能にする。第2のアプローチは、フラジェリンの超可変ヒンジ領域を除去し(例えば、STF2Δ)、それによってより小さな融合タンパク質(STF2Δ.EIII+)を作製することである。フラジェリンの超可変領域は、TLR5シグナル伝達には必要とされず、その除去はまた、フラジェリンの免疫原性潜在力を減少し得る。STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の両方が、大腸菌で発現され、精製された。精製されたタンパク質は、バイオアッセイにおいてTLR5シグナル伝達活性について特徴付けられ、WNV-Eポリクローナル抗体および中和モノクローナル抗体のパネルを使用して、ELISAアッセイにおいてEエピトープディスプレイについて特徴付けられてきた。これらの研究からの結果は、STF2Δ.EIII+がSTF2.EIII+より高いPAMP活性を有し、STF2.EIII+よりコンフォメーション感受性の中和WNV-Eエピトープを有することを示す。
【0184】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の純度
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+のいくつかのロットが大腸菌において産生され、精製された(表1)。STF2.EIII+は、可溶性タンパク質として発現され、上記されるような陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過を含む4工程プロセスを使用して非変性条件下で精製された。6L培養物からの最終収量は、約0.9mg〜約3.8mgにわたり、全ての調製物は、標準LAL手順によって測定される場合低いレベルのエンドトキシン(約<0.1EU/μgタンパク質、上記参照)を含んだ。対照的に、STF2Δ.EIII+は、大腸菌において封入体を形成し、変性条件下で精製された、STF2Δ.EIII+を精製するために使用された全てのクロマトグラフィー工程は、8M尿素の使用を必要とした。精製の後、変性タンパク質は、徐々の尿素の除去を可能にする段階的な透析によってリフォールディングされた。リフォールディングは、タンパク質の沈殿による損失なしに約0.3mg/mlのタンパク質濃度で典型的に実施された。単一の6L培養物からのSTF2Δ.EIII+の2つの調製物は、約1.2mgおよび約6.7mgのタンパク質を産生し、これらの両方は、許容されるエンドトキシンレベルを有した。予想されるように、精製されたSTF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+は、還元条件下のSDS-PAGEでそれぞれ約65kDaタンパク質および約43kDaタンパク質として移動した。特に、STF2Δ.EIII+は、非還元条件下ではわずかに速く移動した。この変更された移動は、エンベロープタンパク質のドメインIIIの2つのシステイン残基を含むジスルフィド結合形成に起因し得る。その上、分子量が、タンパク質の三量体(「(STF2Δ.EIII+)×3または3単位のSTF2Δ.EIII+」)と一致するSTF2Δ.EIII+のより大きな種は、ウェスタンブロット分析によって検出された。
【0185】
【表1】
【0186】
HEK293 IL-8アッセイにおけるTLR5活性
両方の融合タンパク質のPAMP活性を比較するために、TLR5バイオアッセイを実施した。HEK293 IL-8細胞を2つの独立したタンパク質バッチの連続希釈物で処理した(図47Aおよび47B)。培養物を24時間インキュベートし、馴化培地を回収し、ELISAによってIL-8産生についてアッセイした。図47Aに示されるように、STF2Δ.EIII+は、強力なTLR-5活性を示した。滴定曲線の回帰分析は、バッチ2004−044および2004−045のEC50がそれぞれ1.13ng/mlおよび4.34ng/mlであると決定した(表1、上記)。両方の場合において、TLR5特異的活性は、コントロールタンパク質STF2.OVAより少なくとも約10倍高かった。対照的に、STF2.EIII+の2つの調製物は、STF2.OVAより有意に弱いTLR5活性を示した。STF2.EIII+バッチ054および057のEC50は、約1195.00ng/mlおよび約197.92ng/mlであった。
【0187】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の抗原性
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の抗原性を、STF2のN末端領域に特異的なフラジェリンモノクローナル抗体(6Hl1, Inotek Pharmaceuticals, Beverly, MA)およびインビトロで西ナイルウイルスを中和することが以前に示されたWNV-E特異的抗体のパネル(5C5, 5H10, 3A3, 7H2および3D9, Bioreliance, Road Rockville, MD)を使用する直接ELISAによって試験した。図48に示されるように、全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のSTF2Δ.EIII+の反応性との比較によって、西ナイルウイルスモノクローナル抗体5C5、5H10、3A3および7H2が融合タンパク質を認識するが3D9は認識しないことが示された。反応性のこのパターンは、EIII内の5C5、5H10、3A3および7H2エピトープの提唱された位置と矛盾しない。3D9に対するエピトープは、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質ドメインIIIの外にある。予想されるように、全ての西ナイルウイルスモノクローナル抗体は、全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質と反応し、フラジェリンモノクローナル抗体(monoclonal)のみが、STF2Δ.EIII+と反応した。両方のタンパク質は、ポリクローナル西ナイルウイルスエンベロープ抗血清と反応したが、STF2Δ.EIII+反応性は、おそらくより小さなドメインに存在する可能なエピトープの数の減少に起因して、いくらか減少された。
【0188】
5C5および7H10 WNVモノクローナル抗体を使用して、直接抗原性比較を、STF2.EIII+とSTF2Δ.EIII+との間で行った(図49A、49B、49Cおよび49D)。これらの研究において、プレートを示されたタンパク質でコートし、次いで、記載されるようにポリクローナルウサギ抗Eまたはマウスモノクローナル抗体で検出した。図49A、49B、49Cおよび49Dに示されるように、STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+の両方を、反応性の有意な差なしに、フラジェリンモノクローナル抗体で容易に検出した。しかし、抗エンベロープモノクローナル抗体との異なる反応性を、観察した。STF2Δ.EIII+の5C5または7H2のいずれかとの反応性は、STF2.EIII+で観察されるものより有意により大きかった。集合的に、これらの結果は、STF2Δ.EIII+のフラジェリン6H11エピトープが厳密であり、STF2.EIII+のフラジェリン配列と同等であるということを示す。これらはまた、これらのタンパク質のEIIIドメインの抗原性における明確な差を強調し、STF2Δ.EIII+が決定的なコンフォメーション依存性中和エピトープをSTF2.EIII+よりも多く含むことを示す。
【0189】
効力および免疫原性
西ナイルウイルスでの攻撃後のC3H/HeNマウスにおける本出願人らの候補物に対する保護効力を試験するために設計されたいくつかの効力研究が完遂された。研究は、典型的に、第0日、第14日および第28日に腹腔内的に(i.p.)または皮下的に(s.c.)免疫されたマウスの5つの群(群あたり10匹のマウス)からなる。第21日および第35日に、血清を回収し、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質−IgG抗体(ELISA)およびインビトロで西ナイルウイルスを中和する能力(PRNTアッセイ)について試験した。第35日に、マウスを、西ナイルウイルス株2741の致死用量で攻撃した。生存を、攻撃後21日間モニターした。
【0190】
マウスを、PBS、STF2.Eを含むショウジョウバエ馴化培地(CM、ポジティブコントロール)、25μgのSTF2Δ.EIII+ i.p.、25μgのSTF2Δ.EIII+ s.c.、25μgのSTF2.EIII+ i.p.および25μgのSTF2.EIII+ s.c.で免疫した。エンベロープタンパク質抗体応答および生存データを、図50および51に示す。第35日までに、STF2Δ.EIII+を受けた全ての群は、有意なレベルの西ナイルウイルスエンベロープタンパク質IgGを有した。対照的に、STF2.EIII+を受けたマウスは、測定可能な西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗体応答を有さなかった。STF2Δ.EIII+ i.p.またはSTF2Δ.EIII+ s.c.の投与は、西ナイルウイルス攻撃後に100%の生存を導いた。STF2.EIII+の弱い免疫原性に一致して、PBSコントロールと比べた場合、この候補物によって保護は、ほとんどまたは全く提供されなかった。本研究におけるSTF2.EIII+の弱い免疫原性および効力は、このタンパク質のTLR5活性の減少および/または弱いEIIIエピトープ反応性にある。
【0191】
プラーク減少中和力価
STF2Δ.EIII+によって誘発される西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗体応答をさらに評価し、中和抗体力価と保護効力を潜在的に相関させるために、プラーク減少中和試験(PRNT)を実施した。上記の効力試験からの第35日血清試料を、培養されたベロ細胞における西ナイルウイルス感染をブロックする能力について試験した。簡単に、プールされたマウス血清試料を、熱不活性化し、0.5%ゼラチンを含むPBS中で2倍に連続希釈した。1:10で開始される希釈物を、約100pfuの西ナイルウイルス株2741とインキュベートした。ウイルス/血清混合物を、約37℃で1時間インキュベートし、次いで、6ウェル組織培養プレートの二重のウェル中のベロ細胞(ATCC, Catalog Number CCL-81, Manassas, Virginia)のコンフルエントな単層に播種した。ウイルスを、1%アガロース重層を加える前に細胞単層に吸着させた。感染された細胞培養物を、37℃で4日間インキュベートし、その後、4%のナチュラルレッドを含む第2のアガロース重層を加えた。ウイルスプラークを12時間後に計数した。ウイルスプラーク数の80%の減少を導く血清力価(PRNT80)を記録した。
【0192】
STF2.EIII+およびSTF2Δ.EIII+に関する効力研究からのPRNT80データの概要を、以下の表2に示す。約50%以下の生存が報告されるSTF2.EIII+に関与する2つの独立した研究において、プールされた血清は、プラーク形成を阻害しなかった。この発見は、弱い抗体応答がこの構築物によって誘発される場合、驚くべきことではない。生存が約70%以上であったSTF2Δ.EIII+を含む3つの効力研究において、プールされた血清は、1:40以上の中和力価を有した。1:40以上の中和力価は、典型的にインビボでの保護と相関する。
【0193】
【表2】
【0194】
STF2Δ.EIIIs+ STF2Δ.EIII+の改変版
上記されるマウス効力研究において試験されるSTF2Δ.EIII+のタンパク質調製物を、変性条件下で実施される陰イオン交換クロマトグラフィー工程およびサイズ排除クロマトグラフィー工程によって精製され、その後、段階的透析を使用してリフォールディングした。このプロセスに伴って、STF2Δ.EIII+の単量体形態および三量体形態に対応する2つの主な種が生成され、最終生成物中に混合物として存在した。最終生成物の不均一性を最小にするために、単量体または三量体のいずれかの生成に有利な新しいリフォールディング方法および精製方法が開発された。STF2Δ.EIII+のどの形態が活性成分であるかまたは両方が等しく強力であるかどうかがはっきりしないので、両方の種がmg量で産生され、マウスにおける効力について試験された。
【0195】
なぜSTF2Δ.EIII+リフォールディングが三量体種の形成を生じるかに関して最初ははっきりしなかった。しかし、STF2Δ.EIII+発現構築物の配列が再試験された際、本出願人らは、STF2ΔをEIII+から分離するリンカー配列内のシステイン残基を同定した。このシステインの存在は、リフォールディングの間の適切なジスルフィド結合の形成に干渉しそうであり、STF2Δ.EIII+の三量体形態を説明し得る。この不必要なシステインは、部位特異的変異誘発を使用してセリンと交換され、改変されたタンパク質(STF2Δ.EIIIs+)が、産生および精製された。セリン置換構築物をリフォールディングすることによって単量体タンパク質のみが得られたことは留意されるべきである。
【0196】
STF2Δ.EIII+(単量体)およびSTF2Δ.EIIIs+(三量体)の保護効力を、西ナイルウイルスでの攻撃の後C3H/HeNマウスにおいて評価した。マウスの5つの群(群あたり10匹)を、第0日、第14日および第28日に約25μgのタンパク質s.c.で免疫した。第21日および第35日に、血清を回収し、WNV-E IgG抗体について試験した(ELISA)。第38日に、マウスを致死用量のWNV株2741で攻撃し、生存を21日間モニターした。ブースト2(第35日、図52)および生存データ(図53)からのELISA結果は、全ての構築物がウイルス攻撃の前に有意なレベルのWNV-E反応性IgGを誘発し、致死感染に対する約90%〜約100%の保護を提供したことを示す。これらの発見は、STFΔ.EIII+の単量体形態または多量体(例えば、三量体)形態が効果的であり、構築物からのさらなるシステインの除去が効能にかなり影響を与えるわけではないことを示す。リンカー配列内のシステインの除去は、タンパク質リフォールディング後の不均一性を減少することによってタンパク質の精製を簡単にし得る。
【0197】
結論
西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のEIII+ドメインに融合されたネズミチフス菌フラジェリン(STF2)を含む2つの組換え融合タンパク質を生成した。1つは、全長STF2配列(STF2.EIII+)を含み、もう1つは、STF2の内部超可変領域を欠損したSTF2の改変版(STF2Δ.EIII+)を含む。両方のタンパク質は、大腸菌で発現され、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過を使用する従来の手段によって精製された。STF2.EIII+は、可溶性タンパク質として産生され、非変性条件下で精製された。対照的に、STF2Δ.EIII+は、不溶性タンパク質として発現され、変性条件下で精製され、尿素を除去する段階的透析によってリフォールディングされた。HEK293 IL-8アッセイにおいて、STF2Δ.EIII+の調製物は、STF2.EIII+より高いTLR-5活性を示した。
【0198】
ELISAアッセイおよび西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(prtoein)抗体を使用するエンベロープタンパク質エピトープ提示分析において、STF2Δ.EIII+は、決定的なコンフォメーション依存性中和エピトープをより多く提示した。STF2Δ.EIII+で観察される強力なTLR-5活性およびエンベロープタンパク質エピトープ抗原性に矛盾せず、STF2Δ.EIII+は、高度に免疫原性であり、致死用量の西ナイルウイルスで攻撃されたマウスにおいて効果的であった。STF2Δ.EIII+の単量体種および三量体種がこのタンパク質の精製プロセスの間に生成されるので、発現構築物のリンカー配列内のシステインは、セリンに交換された。このシステインの除去によって、リフォールディングの間のタンパク質の三量体形態の生成が排除され、インビボで強力な効力を示す単量体産物の生成が得られた。
【0199】
日本脳炎融合タンパク質
JEウイルスは、アジアおよび北オーストラリアに局在する(年間約10,000人が死亡する約50,000症例)。認可された不活性化ウイルスワクチンは、最近、急性播種性脳脊髄炎の症例と関連し、日本の厚生労働省がワクチンの全国的な中止を推奨するようになった。感染したマウスの脳または細胞培養物中にでさえ不活性化ウイルスを生成する複雑さ、および不活性化ウイルスに関連する有害な事象に対する可能性があるので、組換えベースのJEワクチンに対する機会は、興味をそそる。
【0200】
STF2Δ.JEIII+融合構築物を構築した。JE EIII+ DNA断片を合成的に生成し、大腸菌中での発現のためにコドンを最適化した。配列を、pET24STF2Δにライゲートし、pETSTF2Δ.JEIII+を生成した。発現構築物は、制限分析によっておよびIPTG誘導による大腸菌BLR(DE3)中での発現についてスクリーニングした。各構築物のDNA配列を確認し、タンパク質の産生をスケールアップした。一群の材料を生成した。約24mgの材料の全てを精製した。この材料は、強力なTLR5活性、許容可能なレベルのエンドトキシン(約0.03EU/μg)および約1.3のA280/A260比を有する。
【0201】
フラビウイルスペプチド
WNV-E特異的抗体エピトープの同定
STFΔ.EIIIs+免疫マウスからの抗血清によって認識される西ナイルウイルスエンベロープタンパク質内の直線エピトープを同定するために、いくつかの合成ペプチドアレイを生成した。1つのアレイは、全西ナイルウイルスドメインIIIおよびドメインIIの部分に及ぶ20アミノ酸長の重複するペプチドからなった(図60)。このアレイを用いたELISA結果は、ドメインIIIのN末端領域に位置し、ドメインIドメインCRVKMEKLQLKGTTYGVCSK(配列番号125)の部分を含む高度に反応性の20アミノ酸配列を同定した。このエピトープを申し分なく位置づけるために、ドメインIとIIとの結合部に焦点をあてたさらなるアレイを生成した(図57および60)。これらのアレイは、抗体結合に決定的なアミノ酸を同定するためのアラニン置換スキャンを含んだ(図60)。図54および55に示されるように、STFΔ.EIII(単量体および三量体)免疫マウスおよびSTFΔ.EIIIs+免疫マウスからの抗血清を、EI/EIII結合部(ペプチドE-30〜E-42)に及びE2-21ペプチドCRVKMEKLQLKGTTYGVCSK(配列番号125)を含んだペプチドと反応した。この反応性は、特定のアミノ酸(E6、K7、L1OおよびK11)がアラニンに交換された場合、ひどく減少した(図56)。このエピトープを認識する抗体が中和されているかどうかは公知ではないが、WNV-Eのこの領域に基づいたペプチドワクチンを設計および試験する努力は進行中である。
【0202】
Pam3Cys.WNV001ペプチドワクチンの免疫原性
N末端でPam3Cysに融合された脂質化された(lipidated)西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を、20アミノ酸配列LTSGHLKCRVKMEKLQLKGT(配列番号169)を使用して合成した(Putnak, R., et al, Vaccine 23:4442-4452 (2005))。このペプチドの免疫原性を、C3H/HeNマウスで試験し、Pam3Cysを有さないペプチドと比較した(図58)。免疫された動物からの抗血清の反応性を、説明文に記載されるように直接ELISAによって試験し、結果は、Pam3Cys.WNV001ペプチドがTLR2改変を有さないペプチドより有意に免疫原性であることを示す。これらの研究からの抗血清は、誘発された抗体がインビトロで西ナイルウイルスを中和するかどうかを決定するためにウイルス中和アッセイ(PRNT)において試験される。脂質化されたペプチドはまた、致死ウイルス攻撃に対する保護効力を評価するために西ナイルウイルス攻撃モデルにおいて試験される。
【0203】
アッセイ開発
競合ELISAアッセイ開発
免疫されたマウスに由来する抗血清の中和可能性を評価するために、培養物中で西ナイルウイルスを中和し、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質抗原のEIIIドメイン内のコンフォメーション感受性エピトープと反応する十分に特徴付けられたモノクローナル抗体(7H2)を使用する競合ELISAアッセイが開発された。該アッセイは、免疫された動物由来の血清の、7H2が西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を結合するのを阻害する能力を測定する捕捉ELISAとして設計された。効力研究4(図50および51、表2)からの第35日マウス抗血清の1:10〜1:5000にわたる連続希釈物を、ビオチン化された西ナイルウイルスエンベロープタンパク質とインキュベートし、次いで、7H2モノクローナル抗体でプレコートされたELISAプレート (Bioreliance, Road Rockville, MD) に添加した。結合しない物質を除去するために数回洗浄した後、結合した西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を、アビジン−HRPを使用して検出した。代表的な実験からの結果を、図54に示す。1:25の希釈時、7H2コートプレートに結合している西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の測定可能な損失は、抗血清がSTF2Δ.EIIIで免疫された動物由来の場合、試験された場所で観察された。競合は、抗原の代わりにPBSを受けたモック免疫動物由来の抗血清を用いても検出されなかった。これらの初期結果は、STF2Δ.EIII+によって誘発された抗体が西ナイルウイルスエンベロープタンパク質を結合することについて7H2と競合することを示す。これらの発見は、STF2Δ.EIII+で免疫された動物において観察されるWNV感染からの保護と矛盾せず、インビトロでの抗体エピトープ反応性とインビボでの効力との間の相関を確立するのを補助する。
(等価物)
本発明がその好ましい態様に関して特に示され、記載され、その一方で、形態および詳細の種々の変化が添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱することなくその中でなされるということは当業者によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】図1は、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2、本明細書で「STF2」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヒンジ領域(本明細書で「超可変」または「超可変ヒンジ領域」ともいう)に下線を引く。
【図2】図2は、配列番号:1をコードする核酸配列(配列番号:2)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図3】図3は、fljB/STF2Δ(本明細書で「fljB/STF2Δ」または「STF2Δ」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:3)を示す。STF2Δは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠くSTF2である。人工のヒンジ領域に下線を引く。
【図4】図4は、配列番号:3をコードする核酸配列(配列番号:4)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図5】図5は、pET/STF2.ΔJEIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:5)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。JEIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図6】図6は、配列番号:5にコードされるアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。人工のヒンジに二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーに下線を引く。JEIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図7】図7は、STF2.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:29)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図8】図8は、配列番号:29にコードされるアミノ酸配列(配列番号:30)を示す。STF2のヒンジ領域に下線を引く。
【図9】図9は、STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:31)を示す。STF2の天然に存在するヒンジ領域を除去して人工のヒンジ領域に置き換えている。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図10】図10は、配列番号:31にコードされるアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。人工のヒンジ領域に下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図11】図11は、STF2Δ.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:33)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。核酸配列の3’末端のベクター配列は太字にしない。
【図12】図12は、配列番号:33にコードされるアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーに下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。西ナイルウイルスタンパク質のドメインIを太字および斜体にする(MEKLQ、配列番号:172)。残りの太字の配列(LKGTTYGVCSKAFKFLGTPADTGHGTVVLELQYTGTDGPCKVPISSVASLNDLTPVGRLVTVNPFVSVATANAKVLIELEPPFGDSYIVVGRGEQQINHHWHKSGSSIGK、配列番号:176)は西ナイルウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIIIである。カルボキシ末端のベクター配列はカルボキシ末端で太字にしない。
【図13】図13は、STF2.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:35)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図14】図14は、配列番号:35にコードされるアミノ酸配列(配列番号:36)を示す。ヒンジ領域に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーを太字にし、下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図15】図15は、fljB/STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:37)を示す。STFΔとEIII+との間にリンカーは無い。
【図16】図16は、配列番号:37にコードされるアミノ酸配列(配列番号:38)を示す。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図17】図17は、fljB/STF2.EIII+融合タンパク質の核酸配列(配列番号:54)を示す。STF2のヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。
【図18】図18は、配列番号:54にコードされるアミノ酸配列(配列番号:55)を示す。STF2のヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。STF2とEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列を太字にし、下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。
【図19】図19は、サルモネラmuenchenフラジェリンfliCのアミノ酸配列(配列番号:58)を示す。ヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。
【図20】図20は、配列番号:58をコードする核酸配列(配列番号:59)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図21】図21は、リンカーの核酸配列(配列番号:63)を示す。
【図22】図22は、C型肝炎E1のアミノ酸配列(配列番号:64)を示す。
【図23】図23は、C型肝炎E2のアミノ酸配列(配列番号:65)を示す。
【図24】図24は、配列番号:64をコードする核酸配列(配列番号:66)を示す。
【図25】図25は、配列番号:65をコードする核酸配列(配列番号:67)を示す。
【図26】図26は、大腸菌(E. Coli)fliCのアミノ酸配列(配列番号:68)を示す。ヒンジ領域のアミノ酸配列に下線を引く。
【図27】図27は、配列番号:68をコードする核酸配列(配列番号:69)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。
【図28】図28は、fljB/STF2Δ.EIII+融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:70)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字にする。配列の3'末端のベクター配列は太字にしない。
【図29】図29は、配列番号:70にコードされるアミノ酸配列(配列番号:71)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。EIII+のアミノ酸配列を太字にする。カルボキシ末端のベクター配列は太字ではない。
【図30】図30は、fljB/STF2Δ.EIIIs+融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:72)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードするアミノ酸配列に下線を引く。西ナイルウイルスタンパク質のドメインIを太字および斜体にする(配列番号:172)。残りの太字の配列は西ナイルウイルスのエンベロープタンパク質のドメインIII(配列番号:176)である。ドメインIおよびIIIの部分はEIII+という。タンパク質のカルボキシ末端のベクター配列は太字ではない。リンカー領域のセリン残基は太字であり、図29の配列番号:71のリンカーの同じ領域のシステイン残基の置換である。
【図31】図31は、配列番号:72をコードする核酸配列(配列番号:73)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。セリン残基をコードするコドンを太字にして、STF2ΔとEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。EIII+をコードする核酸配列を太字で示す。3'末端のリンカー配列は太字ではない。
【図32】図32は、pET/STF2Δ.JEIII+融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:76)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。日本脳炎ウイルスのドメインIの一部のアミノ酸配列を太字および斜体にする(MDKLAL、配列番号:173)。日本脳炎ウイルスのドメインIIIの一部のアミノ酸配列を太字にする(KGTTYGMCTEKFSFAKNPVDTGHGTVVIELSYSGSDGPCKIPIVSVASLNDMTPVGRLVTVNPFVATSSANSKVLVEMEPPFGDSYIVVGRGDKQINHHWHKAGSTLGKA、配列番号:177)。ドメインIおよびIIIの部分は「JEIII+」という。
【図33】図33は、配列番号:76をコードする核酸配列(配列番号:77)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとJEIII+の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。日本脳炎ウイルスのドメインIの一部をコードする核酸配列を太字および斜体にする。日本脳炎ウイルスのドメインIIIの一部をコードする核酸配列を太字にする。ドメインIおよびIIIの部分は「JEIII+」という。
【図34】図34は、JEIII+をコードする核酸配列(配列番号:78)を示す。エンベロープタンパク質のドメインIの少なくとも一部をコードする核酸配列に下線を引く。残りの核酸配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部をコードする。
【図35】図35は、配列番号:78にコードされるアミノ酸配列(配列番号:79)を示す。エンベロープタンパク質のドメインIの少なくとも一部を太字および斜体にする。残りの配列はエンベロープタンパク質のドメインIIIの少なくとも一部である。
【図36】図36は、pET/STF2Δ.Den1 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:80)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen1 EIIIの間のリンカーに下線を引く。
【図37】図37は、配列番号:80をコードする核酸配列(配列番号:81)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen1 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図38】図38は、pET/STF2Δ.Den2 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:82)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen2 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図39】図39は、配列番号:82にコードされる核酸配列(配列番号:83)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen2 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図40】図40は、pET/STF2Δ.Den3 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:84)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen3 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図41】図41は、配列番号:84をコードする核酸配列(配列番号:85)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen3 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図42】図42は、pET/STF2Δ.Den4 EIII融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:86)を示す。人工のヒンジ領域に二重の下線を引く。STF2ΔとDen4 EIIIの間のリンカーのアミノ酸配列に下線を引く。
【図43】図43は、配列番号:86をコードする核酸配列(配列番号:87)を示す。人工のヒンジ領域をコードする核酸配列に二重の下線を引く。STF2ΔとDen4 EIIIの間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。
【図44】図44は、ダニ媒介脳炎エンベロープタンパク質のエンベロープタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:174)を示す。
【図45】図45は、西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(WNE)(アミノ酸1〜406)のアミノ酸配列(配列番号:39)を示す。EIII+構築物に組み込まれるアミノ酸配列に下線を引く(アミノ酸292〜406)。アミノ酸292〜297はドメインIの一部に相当し、アミノ酸298〜406はドメインIIIに相当する。配列番号:39は配列番号:57にコードされる(図67)。
【図46】図46は、pET24ベクターの融合構築物(contruct)を示す。T7:T7プロモーター、lacO:lacオペレーター、STF2:ネズミチフス菌フラジェリン、STF2Δ=ヒンジ領域を削除されたSTF2、EIII+はドメインIアミノ酸の6アミノ酸を有する西ナイルエンベロープタンパク質のドメインIIIである。
【図47A】図47Aは、STF2ΔEIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質のTLR-5生物活性を示す。精製タンパク質の連続希釈物を一晩かけてHEK293(TLR5+)細胞に添加し、上清のIL-8含量をELISAで測定した。陽性対照として精製STF2.OVAを使用した(図47A)。
【図47B】図47Bは、STF2.EIII+(配列番号:54、55)融合タンパク質のTLR-5生物活性を示す。精製タンパク質の連続希釈物を一晩かけてHEK293(TLR5+)細胞に添加し、上清のIL-8含量をELISAで測定した。陰性対照としてTLR-2アゴニストPam3CSK4を使用した(図47B)。
【図48】図48は、ELISAにより評価されたSTF2Δ.EIII+抗原性エピトープを示す。プレートを全長WNE(白抜きのバー)(配列番号:39)またはSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)でコートし、示した抗体(mAb)で調査した。Poly=WNEに対するポリクローナル抗血清、3D9〜7H2=WNEエピトープに対する中和モノクローナル抗体、抗フラジェリン=フラジェリンに対するモノクローナル抗体。
【図49A】図49Aは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ(develop)、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49B】図49Bは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とフラジェリンに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、フラジェリンに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49C】図49Cは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図49D】図49Dは、STF2.E(配列番号:158、159)、STF2.EIII+(配列番号:54、55)およびSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)融合タンパク質とWNEに対する抗体との反応性を示す。プレートを融合タンパク質でコートして、WNEに対する抗体でブロックしてインキュベートした。HRP標識種特異的IgGとのインキュベーション後に抗体の反応性を検出した。TMB基質の存在下でプレートを呈色させ、O.D.450/650はTECANプレートリーダーおよびMagellianソフトウェアを用いた。
【図50】図50は、融合タンパク質注射後のIgG血清を示す。マウスをPBS、STF2.Eを含有するショウジョウバエ(Drosophila)ならし培地(CM、陽性対照)、25μgのSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)腹腔内、25μg STF2Δ.EIII+皮下、25μg STF2.EIII+(配列番号:54、55)腹腔内、25μg STF2.EIII+(配列番号:54、55)または25μg STF2.E(配列番号:158、159)のいずれかで免疫した。35日目に免疫した動物をWNVで攻撃した。個々のマウス由来の血清(35日目)を直接ELISAで特性化して、IgGレベルを測定した。このアッセイにおける抗原として精製WNV-Eタンパク質(配列番号:39)を用いた。この抗原(60)をhisタグ化タンパク質としてショウジョウバエ中で生成した。
【図51】図51は、WNVウイルス攻撃に対するSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)およびSTF2.EIII+(配列番号:54、55)防御免疫を示す。35日目にマウスを免疫化し、致死量のWNV株2741で攻撃した。21日間生存をモニターした。
【図52】図52は、融合タンパク質での免疫後のIgG血清力価を示す。STF2Δ.EIII+タンパク質はWNV特異的IgG抗体を誘導する。0、14および28日目にマウスをPBSのみまたは約25μgのSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)(045 [陽性対照])、STF2Δ.EIII+(067、三量体)、STF2Δ.EIII+(070、単量体)またはSTF2Δ.EIIIs+(配列番号:72、73)(069)で、皮下に免疫した。35日目に個々のマウス由来の血清を直接ELISAで特性化して、IgGレベルを測定した。精製WNV-Eタンパク質(06O、hisタグ化タンパク質としてショウジョウバエ中で生成)をこのアッセイの抗原として用いた。
【図53】図53は、WNV致死攻撃からのマウスにおけるSTF2Δ.EIII+(配列番号:70、71)およびSTF2Δ.EIIIs+(配列番号:72、73)防御免疫を示す。融合タンパク質での免疫後の38日目、全グループを致死量のWNV株2741で攻撃し、生存を21日間モニターした。各グループ(10匹のマウス/グループ)についての生存をパーセントで示す。
【図54】図54は、競合アッセイを示す。免疫した動物由来の抗血清の連続希釈物(1:25から始めて5倍まで)をビオチン化WNEタンパク質(配列番号:39)とインキュベートし、次いでmAb 7H2でコートしたELISAプレートのウェルに約2mg/mlで添加した。アビジン-HRPを用いてウェルを呈色させて、mAb 7H2との競合の結果として西ナイルタンパク質結合の阻害を測定した。
【図55】図55は、STF2Δ.EIII+(配列番号:72、73)融合タンパク質に誘導された抗体応答のエピトープマッピングを示す。示されるSTF2Δ-融合タンパク質(E2-21、E27-E52、図60)で免疫された動物由来の免疫血清を、WNVエンベロープタンパク質のドメインIおよびIIIの接合部に相当する重複ペプチドを認識する能力について検査した。
【図56】図56は、STFΔ.EIIIs+(配列番号:72、73)E-21(エンベロープタンパク質)エピトープ融合タンパク質で誘導された抗体応答のエピトープマッピングを示す。示されるSTF2Δ-融合タンパク質(E2-21、E2-21-1(S、C)、E2-21-2(C、S)、E2-21-2(C、S)およびE2-21-4〜E2-21-24、図57参照)で免疫された動物由来の免疫血清を評価して西ナイルエンベロープタンパク質のE-21エピトープを規定する残基を同定した。データはシステインのセリンでの置換(C、Sで示される)後のE-21に対する血清の応答、およびアミノ酸のアラニンでの一連の置換を反映する。試験したペプチドを図57に一覧にする。
【図57】図57は、EIII+ペプチドのアレイを示す。配列は西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIおよびIIIを含む。ドメインIIIに相当するアミノ酸に下線を引く。下線を引いていないアミノ酸はドメインIに相当する。
【図58】図58は、EIII特異的IgG抗体を誘導するPam3Cys.WNV001(配列番号:168)を示す。0、14および28日目に、マウスをPBSのみ、22mgの未改変WNV001(配列番号:168)または30μgのPam3Cys.WNV001で、皮下に免疫した。35日目に個々のマウス由来の血清を直接ELISAで特性化して、合成WNV001ペプチドに対するIgGレベルを測定した。
【図59】図59は、西ナイル、日本脳炎およびデング熱(血清型1〜4)ウイルスのEI/EIII接合部のアミノ酸配列(配列番号:88〜95)を示す。STF2Δ.EIII+免疫化動物由来の抗血清を用いて同定された西ナイルのエピトープに下線を引く。この配列はペプチドE2-21(配列番号:125)に相当する。
【図60】図60は、E2-21ペプチド(配列番号:125〜151)のアラニンスキャンのアレイを示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のドメインIIIに相当するアミノ酸に下線を引く。下線を引いていないアミノ酸は西ナイルウイルスのドメインIに相当する。
【図61】図61は、STF2.OVA核酸配列(配列番号:152)を示す。STF2とオボアルブミン(OVA)の間のリンカーをコードする核酸配列に下線を引く。3'末端のベクター配列を太字にして下線を引く。
【図62】図62は、配列番号:152でコードされるアミノ酸配列(配列番号:153)を示す。STF2とOVAの間のリンカー配列に下線を引く。ベクター配列に下線を引き、太字にする。
【図63】図63は、オボアルブミンのアミノ酸配列(配列番号:154)を示す。
【図64】図64は、オボアルブミンの核酸配列(配列番号:155)を示す。
【図65】図65は、STF2.E融合タンパク質をコードする核酸配列(配列番号:158)を示す。全長西ナイルウイルスエンベロープタンパク質(E)をコードする核酸配列に下線を引く。
【図66】図66は、配列番号:158でコードされるアミノ酸配列(配列番号:159)を示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質のアミノ酸配列に下線を引く。
【図67】図67は、配列番号:39(図45)をコードする核酸配列(配列番号:57)を示す。西ナイルウイルスエンベロープタンパク質の全長配列を示す。
【図68】図68は、デング1ウイルス(本明細書で「Den-1」、「Den 1」または「Den1」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:160)を示す。
【図69】図69は、配列番号:160をコードする核酸配列(配列番号:161)を示す。
【図70】図70は、デング2ウイルス(本明細書で「Den-2」、「Den 2」または「Den2」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:162)を示す。
【図71】図71は、配列番号:162をコードする核酸配列(配列番号:163)を示す。
【図72】図72は、デング3ウイルス(本明細書で「Den-3」、「Den 3」または「Den3」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:164)を示す。
【図73】図73は、配列番号:164)をコードする核酸配列(配列番号:165)を示す。
【図74】図74は、デング4ウイルス(本明細書で「Den-4」、「Den 4」または「Den4」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:166)を示す。
【図75】図75は、配列番号:166をコードする核酸配列(配列番号:167)を示す。
【図76】図76は、日本脳炎ウイルスをコードする核酸配列(配列番号:170)を示す。
【図77】図77は、配列番号:170でコードされるアミノ酸配列(配列番号:171)を示す。
【図78】図78は、図44に示される配列番号:174をコードする核酸配列(配列番号:175)を示す。
【図79】図79は、EIII+(図45および配列番号:7中に示される配列番号:39の292〜406のアミノ酸)をコードする核酸配列(配列番号:178)を示す。
【図80】図80は、トリパルミトイル化ペプチドを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であって、ここで、フラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、組成物。
【請求項2】
フラジェリンが、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗原およびフラジェリンが融合タンパク質の構成要素である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であって、フラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、融合タンパク質。
【請求項5】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項6】
病原体関連分子パターンがTLR5アゴニストである請求項5記載の組成物。
【請求項7】
TLR5アゴニストがフラジェリンの少なくとも一部である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
フラジェリンが、fljB/STF2、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
フラジェリンがfljB/STF2を含む請求項8記載の組成物。
【請求項10】
fljB/STF2が配列番号1を含む請求項9記載の組成物。
【請求項11】
fljB/STF2が配列番号3を含む請求項9記載の組成物。
【請求項12】
病原体関連分子パターンがTLR2アゴニストである請求項5記載の組成物。
【請求項13】
TLR2アゴニストがPam2CysおよびPam3Cysからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
ウイルスタンパク質が西ナイルウイルスタンパク質である請求項5記載の組成物。
【請求項15】
西ナイルウイルスタンパク質がエンベロープタンパク質である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
エンベロープタンパク質が、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10および配列番号11からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
エンベロープタンパク質が、配列番号7を含むポリペプチドに少なくとも約70%の同一性を有する、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
ウイルスタンパク質がエンベロープタンパク質である請求項5記載の組成物。
【請求項19】
病原体関連分子パターンがTLR9アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニストおよびTLR8アゴニストからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項5記載の組成物。
【請求項20】
病原体関連分子パターンおよびウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項5記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも1つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であって、Den2ウイルスエンベロープタンパク質が、配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、組成物。
【請求項22】
病原体関連分子パターンおよびDen2エンベロープウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガト(Langat)ウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項25】
病原体関連分子パターンとウイルスタンパク質との間にさらにリンカーを含む、請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項26】
リンカーがアミノ酸リンカーである請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項27】
アミノ酸リンカーが、配列番号26、配列番号28、配列番号60または配列番号62を含む請求項26記載の融合タンパク質。
【請求項28】
少なくとも2つの病原体関連分子パターンの間にさらにリンカーを含む請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項29】
少なくとも2つのウイルスタンパク質の間にさらにリンカーを含む請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項30】
病原体関連分子パターンがウイルスタンパク質のカルボキシ末端に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項31】
病原体関連分子パターンがウイルスタンパク質のアミノ末端に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項32】
病原体関連分子パターンが少なくとも2つのウイルスタンパク質の間に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項33】
ウイルスタンパク質が少なくとも2つの病原体関連分子パターンの間に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項34】
病原体関連分子パターンがTLR5アゴニストである請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項35】
TLR5アゴニストがフラジェリンである請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項36】
ウイルスタンパク質が、フラジェリンのヒンジ領域の少なくとも一部を欠失するフラジェリンの領域でフラジェリンに融合する、請求項35記載の融合タンパク質。
【請求項37】
ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項38】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項39】
配列番号29によってコードされるポリペプチド。
【請求項40】
配列番号30を含むポリペプチド。
【請求項41】
配列番号30に少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項42】
配列番号31によってコードされるポリペプチド。
【請求項43】
配列番号32を含むポリペプチド。
【請求項44】
配列番号32に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項45】
配列番号33によってコードされるポリペプチド。
【請求項46】
配列番号34を含むポリペプチド。
【請求項47】
配列番号34に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項48】
配列番号35によってコードされるポリペプチド。
【請求項49】
配列番号36を含むポリペプチド。
【請求項50】
配列番号36に少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項51】
配列番号37によってコードされるポリペプチド。
【請求項52】
配列番号38を含むポリペプチド。
【請求項53】
配列番号38に少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項54】
配列番号54によってコードされるポリペプチド。
【請求項55】
配列番号55を含むポリペプチド。
【請求項56】
配列番号55に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項57】
配列番号71および配列番号72からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項58】
配列番号70および配列番号73からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項59】
配列番号71および配列番号72からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項60】
配列番号76および配列番号6からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項61】
配列番号77および配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項62】
配列番号76および配列番号6からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項63】
配列番号80、配列番号82、配列番号84および配列番号86からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項64】
配列番号81、配列番号83、配列番号85および配列番号87からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項65】
配列番号80、配列番号82、配列番号84および配列番号86からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項66】
配列番号159を含むポリペプチド。
【請求項67】
配列番号158によってコードされるポリペプチド。
【請求項68】
配列番号159に少なくとも約70%同一性を有するポリペプチド。
【請求項69】
少なくとも1つのPam3Cysおよび少なくとも1つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項70】
Pam3Cysおよびフラビウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である請求項69記載の組成物。
【請求項71】
フラビウイルスタンパク質が、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項69記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも1つのPam2Cysおよび少なくとも1つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項73】
Pam2Cysおよびフラビウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項72記載の組成物。
【請求項74】
フラビウイルスタンパク質が、西ナイルタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項72記載の組成物。
【請求項75】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項76】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも1つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでDen2エンベロープタンパク質は、配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、方法。
【請求項77】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガト(Langat)ウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項78】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項79】
ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項80】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項81】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでフラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、方法。
【請求項82】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでフラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、方法。
【請求項1】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物であって、ここで、フラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、組成物。
【請求項2】
フラジェリンが、ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗原およびフラジェリンが融合タンパク質の構成要素である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質であって、フラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、融合タンパク質。
【請求項5】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項6】
病原体関連分子パターンがTLR5アゴニストである請求項5記載の組成物。
【請求項7】
TLR5アゴニストがフラジェリンの少なくとも一部である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
フラジェリンが、fljB/STF2、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
フラジェリンがfljB/STF2を含む請求項8記載の組成物。
【請求項10】
fljB/STF2が配列番号1を含む請求項9記載の組成物。
【請求項11】
fljB/STF2が配列番号3を含む請求項9記載の組成物。
【請求項12】
病原体関連分子パターンがTLR2アゴニストである請求項5記載の組成物。
【請求項13】
TLR2アゴニストがPam2CysおよびPam3Cysからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
ウイルスタンパク質が西ナイルウイルスタンパク質である請求項5記載の組成物。
【請求項15】
西ナイルウイルスタンパク質がエンベロープタンパク質である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
エンベロープタンパク質が、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10および配列番号11からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
エンベロープタンパク質が、配列番号7を含むポリペプチドに少なくとも約70%の同一性を有する、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
ウイルスタンパク質がエンベロープタンパク質である請求項5記載の組成物。
【請求項19】
病原体関連分子パターンがTLR9アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニストおよびTLR8アゴニストからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項5記載の組成物。
【請求項20】
病原体関連分子パターンおよびウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項5記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも1つのDen2ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物であって、Den2ウイルスエンベロープタンパク質が、配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、組成物。
【請求項22】
病原体関連分子パターンおよびDen2エンベロープウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガト(Langat)ウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項25】
病原体関連分子パターンとウイルスタンパク質との間にさらにリンカーを含む、請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項26】
リンカーがアミノ酸リンカーである請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項27】
アミノ酸リンカーが、配列番号26、配列番号28、配列番号60または配列番号62を含む請求項26記載の融合タンパク質。
【請求項28】
少なくとも2つの病原体関連分子パターンの間にさらにリンカーを含む請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項29】
少なくとも2つのウイルスタンパク質の間にさらにリンカーを含む請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項30】
病原体関連分子パターンがウイルスタンパク質のカルボキシ末端に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項31】
病原体関連分子パターンがウイルスタンパク質のアミノ末端に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項32】
病原体関連分子パターンが少なくとも2つのウイルスタンパク質の間に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項33】
ウイルスタンパク質が少なくとも2つの病原体関連分子パターンの間に融合する請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項34】
病原体関連分子パターンがTLR5アゴニストである請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項35】
TLR5アゴニストがフラジェリンである請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項36】
ウイルスタンパク質が、フラジェリンのヒンジ領域の少なくとも一部を欠失するフラジェリンの領域でフラジェリンに融合する、請求項35記載の融合タンパク質。
【請求項37】
ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項38】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質。
【請求項39】
配列番号29によってコードされるポリペプチド。
【請求項40】
配列番号30を含むポリペプチド。
【請求項41】
配列番号30に少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項42】
配列番号31によってコードされるポリペプチド。
【請求項43】
配列番号32を含むポリペプチド。
【請求項44】
配列番号32に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項45】
配列番号33によってコードされるポリペプチド。
【請求項46】
配列番号34を含むポリペプチド。
【請求項47】
配列番号34に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項48】
配列番号35によってコードされるポリペプチド。
【請求項49】
配列番号36を含むポリペプチド。
【請求項50】
配列番号36に少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項51】
配列番号37によってコードされるポリペプチド。
【請求項52】
配列番号38を含むポリペプチド。
【請求項53】
配列番号38に少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項54】
配列番号54によってコードされるポリペプチド。
【請求項55】
配列番号55を含むポリペプチド。
【請求項56】
配列番号55に少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項57】
配列番号71および配列番号72からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項58】
配列番号70および配列番号73からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項59】
配列番号71および配列番号72からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項60】
配列番号76および配列番号6からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項61】
配列番号77および配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項62】
配列番号76および配列番号6からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項63】
配列番号80、配列番号82、配列番号84および配列番号86からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むポリペプチド。
【請求項64】
配列番号81、配列番号83、配列番号85および配列番号87からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによってコードされるポリペプチド。
【請求項65】
配列番号80、配列番号82、配列番号84および配列番号86からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーに少なくとも約70%の同一性を有するポリペプチド。
【請求項66】
配列番号159を含むポリペプチド。
【請求項67】
配列番号158によってコードされるポリペプチド。
【請求項68】
配列番号159に少なくとも約70%同一性を有するポリペプチド。
【請求項69】
少なくとも1つのPam3Cysおよび少なくとも1つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項70】
Pam3Cysおよびフラビウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である請求項69記載の組成物。
【請求項71】
フラビウイルスタンパク質が、西ナイルウイルスタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項69記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも1つのPam2Cysおよび少なくとも1つのフラビウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項73】
Pam2Cysおよびフラビウイルスタンパク質が融合タンパク質の構成要素である、請求項72記載の組成物。
【請求項74】
フラビウイルスタンパク質が、西ナイルタンパク質、デング熱ウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、黄熱病ウイルスタンパク質およびC型肝炎ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項72記載の組成物。
【請求項75】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガトウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項76】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも1つのDen2エンベロープタンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでDen2エンベロープタンパク質は、配列番号22、配列番号40および配列番号97からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、方法。
【請求項77】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびに西ナイルウイルスタンパク質、ランガト(Langat)ウイルスタンパク質、クンジンウイルスタンパク質、マリーバレー脳炎ウイルスタンパク質、日本脳炎ウイルスタンパク質、ダニ媒介脳炎ウイルスタンパク質、および黄熱病ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのウイルスタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項78】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項79】
ネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)、大腸菌fliCおよびS.muenchen fliCからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項80】
少なくとも1つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部ならびにDen1ウイルスエンベロープタンパク質、Den2ウイルスエンベロープタンパク質、Den3ウイルスエンベロープタンパク質およびDen4ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法。
【請求項81】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでフラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、方法。
【請求項82】
少なくとも1つの抗原の少なくとも一部および少なくとも1つのフラジェリンの少なくとも一部を含む融合タンパク質を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を刺激する方法であって、ここでフラジェリンの少なくとも1つは、ヒンジ領域の少なくとも一部を欠失する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図49D】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図25】
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【図29】
【図30】
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【図32】
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【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図49D】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【公表番号】特表2008−527009(P2008−527009A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551469(P2007−551469)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001623
【国際公開番号】WO2006/078657
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507203526)バクシネート コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001623
【国際公開番号】WO2006/078657
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507203526)バクシネート コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
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