説明

病原微生物検出のための広視野法

病原微生物は、当該病原微生物からのラマン光分散光と供にそのスペクトル・パターンのデジタル・パターン認識により、広視野で検出され、そして分類される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析及び生物分析の分野に関し、より特異的に、生物剤及び病原菌を素早く同定するための広視野ラマン及び蛍光分光法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2002年1月10日に出願された米国仮出願第60/347,806号、並びに2003年1月10日に出願された米国特許出願第10/339,807号に基づく35 U. S. C. § 119 (e)に順ずる優先権を主張する。当該文献は物を含むその全てを本明細書中に援用する。
【0003】
化学剤及び/又は感染性の生物剤を大量破壊兵器としてテロリストが配置することにより、民衆の生活が脅かされる。テロリストが生物剤、例えば炭疽菌を使用することが現実になったので、特に米国国民において社会的関心が増した。感染しそして死んでいく数万もの罪のない犠牲者についての悪夢のイメージが、ほぼ全ての人を震え上がらせた。細菌戦争及び化学戦争は、生命が失われることのみならず、米国経済の損失の点で重大である。疾病対策センターは、100000人の命が失われることは、290億ドルの経済影響を有すると試算する。細菌戦争剤(”BWAs”)及び化学戦争剤(CWAs)の大量破壊能力は、核兵器の大量破壊能力に匹敵するか、又はさらに超えると多くの人によって考えられている。核兵器は、とても広範囲ではあるが、有限領域に影響する潜在能力を有し、そうした兵器の使用はその事実の後に即座に明らかになる。一方BWAs及びCWAsは、実質的に境界がなく、グランド・ゼロから遠く離れた住民を通して静かにかつチェックされないまま広がる可能性を有する。同様に、かなり低いレベルの放射能汚染を即座に検出し、そして定量する技術は広く利用されているが、残念なことに、同等のレベルでのBWAs及びCWAsについてのそうした技術は、信頼が置けず、そして広く利用可能ではなく、そして多くの場合迅速ではない。
【0004】
このタイプの恐怖の精神的な影響はまたかなり重大である。一般市民は、新たに出現する病原菌について次第に意識するようになっている。BWAs及びCWAsのまだ見ぬ性質に対する恐怖は、それ自体、かなり有効なテロ兵器になる。こうした認識に加えて、バイオテクノロジーの信じられないほどの進歩のため現実の脅威が存在する。現在では、最も毒性の強い細菌又はウイルスを改造することが可能であり、そして病原性及び慣用治療への抵抗性の両方を高めることが可能である。分子生物学の革命は、30年以上進行中であり、そうした大量破壊兵器を潜在的に作成するための技術的専門知識を有する人数が、結果として増加した。発達した世界交通の時代では、世界的規模でかなり短い期間においていずれかのタイプのBWAが素早く散布される可能性は高く、そして一般社会はこの事実をよく認識している。
【0005】
生物学的ツール、例えば特異的抗体、遺伝子マーカー、又はカルチャー内での増殖などを使用して病原体を同定する慣用方法は、基本的に時間がかかり、そしてかなりの手操作を必要とする。さらに、新たなBWAs及びCWAsが作成される場合、これらの慣用ツールは、益々有効でなくなってしまいそうである。テロリストによるBWAs及びCWAsの使用が現実になったので、即座にかつ正確に少量の当該物質を、それらと接触することなく、分子レベルで検出及び分類できる方法についての必要性が増大する。この方法を広く配備できるように、費用効率が高くかつ使い方が簡単である方法が必要とされている。そうした兵器剤の生物学的及び化学的基礎、及び人体に対する潜在的な影響の理解を深める手助けとなる方法がまた必要とされる。さらに、そうした分子分析を通して得られた知識は、治療及び予防薬のための新たな標的を同定する手助けとなる。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
分子分光同定システムとしても記載される広視野観察及び分光法検出システムであって、BWAs及びCWAsの特徴付けのためのラマン、蛍光、UV-可視反射/吸収及び/又は近赤外(NIR)反射/吸収分光技術を使用するシステムが開示される。
【0007】
光学分光法は、化合物から有機分子にわたる元素、分子、又は化学分析のための広く利用されるアプローチである。振動分光法を使用する分子分析により、種々の物質の詳細な構造及び化学的性質を測定することが可能になる。そうした方法は、薬品、プラスチック、ポリマーなどの均一な単純物質について理想的である。有機生物学分子は、ずっと複雑な物質であることが多い。微生物は、著しく複雑であり、そして最小単位、つまり1の細胞であっても、複雑に入り組んだ機能性生物学的構造からなり、その各々が構造独自の複雑な有機生体高分子から作られる。微生物は、核、微小繊維、原形質幕、色素、ミトコンドリア、小胞体、微絨毛、リソソーム、中心小体、ゴルジ体、及び種々の保護層などの機能性ユニットを含む。これらの複合体構造及び構造的/化学的バリエーションは、光学分析を複雑にする生物多様性を生じさせる。
【0008】
現在における物質の分析用光学計測は、典型的に2個のカテゴリーのいずれかに該当する。1のカテゴリーでは、一群の純粋な物質を、マクロサンプルとして、つまり大きなサンプル体積中で計測するために利用でき、そして第二のカテゴリーは、1の少量の対象を分析するための微少量分析技術を利用する。慣用の場面では、巨視量のサンプリングは、低濃度の病原体を検出する感度を有さず、BWAs及びCWAsを評価することについての特に重要なニーズを有さない。一方、微少量分析法は、高度に焦点化された励起ビームを使用することにより、個々の微小対象に焦点を当てることを可能にする。そうした焦点化されたビーム光学方法は、無機及び有機粒子について効果的であるが、その生物多様度及び照射に対する感受性の高さのため、微生物については効果的ではない。生物多様性には、2種の形態がある。1の形態は、微生物における異なる位置からのシグナルの変動から生じる。つまり、サンプリングプローブが生物体より小さい場合である。もう1つの形態では、同じ型の生物体の間の小さな変化から生じる。さらに、生物学的微生物は、高度に焦点化された照射ビームの高いパワー密度のもと分解されるか、又は「焼かれ」うる。これにより、生物体を破壊しないために微生物への光学放射を低減することが必要とされ、そしてそれにより低減された放出強度を補うため長時間、光学放射を収集することが必要とされる。生物多様性の効果を低減するために、多くの小さい対象をサンプリングすることも必要とされる。こうして、連続的に多くの生物体をサンプリングするために光学微小分析法を使用することは、それによりかなり時間の浪費となる。我々のアプローチは、広視野及び広視野の光学励起を使用して少数の病原微生物からの光学発光を平均化することにより、これらの制限を取り除く。得られた感度は、外部物質のマトリックス、いわゆる「マスキング剤」の存在下でさえも少しの微生物を検出し、そして信頼性を有して同定することを可能にする。
【0009】
赤外線、ラマン、可視光反射、蛍光、及び近赤外光学分光法は、微生物の検出のために適用され、限られた成功しか収めなかった。赤外及びラマン分光法は、かなり多くのスペクトルに関するフィンガープリント情報を提供できる。一方、特異的な蛍光の特徴が生じるならば蛍光は使用されうる。多くの物質が可視放射の元で幅広い蛍光バックグラウンドを有することが、光学分散技術の適用を複雑にする。そうした蛍光は、分析される視野において他の対象のスペクトルパターンを見えにくくするかなりのスペクトルのバックグラウンドを作り出す。当該バックグラウンドは、特に多種の構成要素又は構成要素の混合体を含む実際のサンプルを取り扱う場合、典型的に支持体に沿って変化する。我々は、これらの空間により左右される蛍光バックグランドが、サンプリング領域より少し大きい領域に光学プローブビームを照射することにより有意に低減され得るということを発見した。当該低減は、フォトブリーチングと呼ばれる。広視野を使用することを伴って、少数の微生物を含む範囲に対するフォトブリーチングは、本発明が規定どおりかつ正確に適用されて当該微生物を検出することを可能にする。
【0010】
妨害となる蛍光シグナルを取り除くことは、蛍光の助けを加える他の方法とは異なる。これらの生物体の特徴となる特定の生体分子に結合するように作成された蛍光リガンドが、導入されうる。当該リガンドは、通常幾つかの生物活性剤、例えば特異的生体分子構造を認識しそして結合する生物活性剤、例えば抗体を含む。ここで、当該蛍光リガンドはこれらの生物体又は当該生物体の一部に対するマーカー、ラベル、又はタグとして作用する。そうした外部蛍光マーカー/タグがコントラストを与えることができ、特定の生物特徴、生物体、又は生体材料の光学検出を手助けする一方、それらは、費用がかかり、時間がかかり、そして検出プロセスに対するさらなる操作を加える消耗性で問題となる試薬を必要とする。
【0011】
ラマン及び赤外線などの光学方法はまた、純粋な薬品からのシグナルと比較すると生体高分子からのかなり弱いシグナルを有し、そうして低濃度を検出するために多少のシグナル増幅からの利益を有する。当該方法は、赤外線において、得られたシグナルを増幅するために、サンプルからの複数の反射を含みうる。しかしながら、当該方法は、特殊化されたサンプルサイズ又はサンプリング配置を必要とし、これは適用を制限するか又はサンプリング装置の値段を増加させるであろう。ラマン分光法では、シグナルは、特殊な支持体を使用することにより増加されうる。該支持体は、3〜7桁ラマン・シグナルを増加させる。しかしながら、全ての分子がSERS活性表面に結合するわけではなく、このことはそうしたアプローチの適用を制限する。我々の発明は、特別な支持体を必要とせず、広視野を使用することによりシグナル対ノイズ比を改善する。
【0012】
ラマン・シグナルを増大させるために、高エネルギー光学放射(約400nmより小さい波長)を使用して生体分子又は生物体を励起することにより、共鳴ラマンは、生物システムに使用された。ラマンシグナルが、共鳴条件で増大される一方、より高い励起エネルギーが、生体分子の電子状態を励起し、それによりより大きなレーザーパワーの吸収をもたらし、サンプルを加熱し、それは微生物を分解又は損傷しうる。さらに、光学構成要素並びにUV照射及び検出を支えるために必要とされるUV検出器はまた、通常使用される可視光光学構成要素より高価であり、そして特殊化している。
【0013】
本発明は、病原微生物の検出のための広視野光学分光法であって、低濃度の微生物を検出するために適用されうる多くの可能な光学分光器の欠点及び制限の多くを避けた分光法の利用方法を教示する。我々の広視野分子分光法は、今日実行されているラマン分光法のワイドボディーにもかかわらず従来技術により予期されないか又は今日まで認識されなかったかなり信頼できる測定を可能にするために、幾つかのアーティファクト及び特有のサンプリングの問題を低減する。我々の方法は、光学分光システム、我々の広視野放射アプローチ、及びデジタル・スペクトル・パターン認識システムを利用して、病原性微生物を認識する。従来方法とは異なって、当該方法は高い感度を提供し、そして信頼できかつ実用的である病原微生物の同定を行う。
【0014】
本発明の重要な要素は、標的支持体の制御領域を観察及び放射するために広視野を使用することに加えて、当該広視野の同じ領域からの光学発光を収集し、そして分析することであるである。我々は広視野を、本研究において微生物と等しいか又はそれより大きい領域として定義する。我々の発明は、微生物を同定するために使用される慣用の光学方法で生じるいくつかの致命的な問題を解決するため幾つかの方法を使用する。
【0015】
顕微鏡による生物システムの研究に最も広く使用されるラマン法は、マイクロ・ラマン分光法を利用する。ここで、既に平衡化されたレーザーの密に焦点化されたビームは、約1ミクロン以下の大きさの照射スポットをもたらし、関心の標的上のラマンシグナル強度を最大化する。そうした密に焦点化されたビームは、微生物を計測しようとする間に微生物を破壊しうる。照射ビームのパワーの低下は、長時間のデーター獲得時間を必要とする。さらに、シグナルが分析される標本中の様々な位置に分配されるので、そうした小さいスポット・サイズの使用は、微生物の生物多様度を与えられる再生産不能のシグナルを導きうる。加えて、蛍光バックグラウンド・シグナルは、典型的に時間と供に、そしてサンプルの異なる領域で変動し、そして病原微生物の検出とさらに干渉する。
【0016】
本発明は、微生物を標的し、照射し、そして検出する今まで見落とされていた方法論について検討し、それにより微生物検出のための新規のアプローチを表す。標的付けは、病原菌マスキング物質の特徴である幾つかの疑特徴又は病原菌自身の種々の特徴、例えば形、大きさ、又は胞子の色、粉末、凝集体又は塊の種々の特徴、並びに対象内の蛍光特徴などを有する支持体の領域を発見することから行われる。これは、手動の検査を介して行われうるか、又は光学観察装置からの自動化画像認識技術を使用して行われうる。標的付けが完了したならば、倍率を上げ、そして標的領域内のラマン又は蛍光励起からもたらされる光学発光の大きな立体角を収集することを可能にするようにより小さな領域が選ばれた。光学観察手段により観察するとき、当該領域は、単一の顕微鏡対象物を観察するよりはむしろ広視野を観察する。分光法の励起源は、次に十分高い出力で広視野周辺領域を照射して、当該領域を光退色させ、そして安定な光学スペクトルを得ることを可能にした。少しのあふれは、スペクトルの獲得の間、サンプル位置の少しのシフト又は変動に関連するスペクトルの変化を排除するという点で、並びに次に照射された領域内のすぐ近くの隣接領域においてデーター取得する点で利点がある。広視野より実質的に大きい領域に渡る広い範囲の照射を使用する照射アプローチは、適切な光退色のための十分な出力を提供しない。ラマン散乱光の獲得は、少数の微生物からのスペクトルを十分に集めそして平均するために広視野に渡って行われ、当該ラマン散乱光は、次に病原微生物のスペクトルの特徴について分析される。当該広視野サンプリングアプローチは、ラマン分光法に使用される点又は線に焦点化された励起源を超える幾つかの決定的な利点を提供する。他の光学微小分析方法とは異なって、我々は、非共焦点無限訂正光学システム(non-confocal infinity corrected optical system)を利用し、そして広視野標的領域を、高開口数を与える対物レンズで観察する。研究対象に出力を集中する他の方法とは対照的に、我々は使用される広視野に渡って光学ビームの焦点をぼかす。本方法は総じて、現在使用される分光方法に対する以下の改善点を可能にする。
1. 調査下のサンプルの十分な領域の光退色は、全体の蛍光バックグラウンド・シグナルを低減して、シグナル対ノイズ比を高め、そして慣用の微小分析装置で典型的に起こるシグナル対ノイズ比を低下させる局所蛍光変動を避ける。
2. 広視野の照射は、生物シグナル多様性を低減し、熱管理を改善し、シグナル・レベル及び再現性を増大させる。
3. 広視野の発光は、標的病原微生物のシグナル対ノイズ比を改善する。
4. 標本又は標的微生物の客観的尺度、例えば生物対の固有の大きさに基づいて、支持体の領域を手動で又は自動的に可視化及び選択する能力は、シグナル対ノイズ比を高める。
5. 観察、照射、及び発光のための同様の広視野の使用は、支持体に基づくよく規定されかつ適切な領域は、分析のために選ばれるということを保証する。
6. 使用される構成及びアプローチは、低コストのコンパクトな分光計、例えば、調査される標本から放出されるスペクトル要素を検出するために十分な分解能を有する単純波長分散要素を有する分光計を許容する。そうした拡大縮小可能な光学要素を、広視野方法で有効に使用することは、そうした検査システムが、より小さい大きさにスケール・ダウンされることを可能にし、それゆえ持ち運び可能な手持ちユニットを可能にする。
7. 様々な支持体は、当該分析用の微生物のために使用され、それにより当該方法の自由度を高めることを可能にする。物質が生じる多くの物質、例えば紙は、支持体として使用されうる。
【0017】
広範囲の照射及び検出は、幾つかの単純なサンプル調製を必要とする。サンプル調製は、サンプルを収集し、そして薄い均一層にサンプルを配置することを含む。そうした標本について標的領域を選択することは、正しい画像プロファイル、例えば大きさ及び形を作り上げることを必要とする。標的密度は、使用される視野を決定し、そして必要とされる照射強度を決定する。これら両者は、前もって取得され又は計算された較正データーに基づく。そうした較正曲線は、当業者により容易に作られる。
【0018】
1の実施態様では、ラマンマイクロ分光法及び/又は蛍光マイクロ分光法は、BWAs、CWAs、及び脅威のない化合物を検出、分類、及び/又は同定するために使用されうる。これらのマイクロ分散分光法は、1の細菌を含む物質を検出、分類、及び同定する。得られたラマンスペクトルの適切なデジタル分析は、脅威ではない「マスキング」化合物の存在下で、BWAs及びCWAsからの標的の微生物シグナルを解くことができる。
【0019】
別の実施態様では、蛍光及びラマンマクロ分光法は、BWAs、CWAs、及び脅威のない化合物を検出、分類、及び/又は同定するために使用されうる。これらのマクロ分光技術は、BWAs及びCWAsのミリメートル・サイズ未満の粒子の検出、分類、同定(つまり凝集した細菌及び内生胞子の検出及び同定)を行うことができる。加えて、蛍光及びラマンマクロ分光法は、適切なデーター分析技術が適用される場合、脅威ではない「マスキング」化合物の存在下においてBWAs及びCWAsの検出、分類、及び同定を行うことができる。
【0020】
別の実施態様では、ラマン光ファイバーに基づく分光法は、適切なデーター分析技術が適用される場合、BWAs、CWAs、及び脅威のない化合物を検出、分類、及び/又は同定することができる。
【0021】
これらの異なる実施態様は、全て観察された光学スペクトルを、類似の条件下で得られた既知の光学スペクトルと比較するコンピューター分析方法を利用して、微生物を同定できる。
【0022】
上記システム及び方法論は、種々のモードにおいて適用される。システムは、分散ラマン分光器及びデジタルデーター分析モジュールを統合する研究室の又は運搬可能な野外のラマン分光計として適用される。当該システムはまた、UV/Vis/NIR蛍光、ラマン、又はUV/Vis/NIR/Mid-IR吸収/反射マクロスコープ・システム、例えばChemImageのCONDORマクロスコープとして適用される。代わりに、当該システムは、研究室の又は野外のファイバースコープ、例えば、ChemImageのRAVENエンドスコープとして適用される。いずれかの適用モードは別々に使用されるか、又は互いに組み合わされて、所望のスピードと結果を達成する。加えて、高領域検出方法の道具は、調査される広い領域の大きさにまでスケールダウンでき、それにより必要とされるハードウェアの小型化を可能にして、局所的サンプリング及び/又は遠隔分析の可能性を有する持ち運び可能な装置を可能にする。
【0023】
分光法技術は、BWAs、CWAs、及び脅威のない化合物を室温において検出、分類、同定するように設計されたセンサーに適用される。そうしたセンサーの模式図は、図1に示される。空気サンプリングポンプにより作られた真空は、サンプル入口を通してそっしてフィルターを通して室温の空気を引き込んだ。フィルター物質は、ディスク又はロール形態の多孔質のポリプロピレン又はセルロースを含む。空気中の微粒子は、フィルター媒体の表面上にトラップされ、そして分光イメージングシステムの視野の中に保たれる。使用される分子分光法のタイプについて特異的に選ばれる源は、トラップされた粒子の広い領域に照射し、そしてサンプルからのラマン又は蛍光発光を誘導する。発光は、収集され、そして検出器に再焦点化され、検出器は発光された光を連続波長で計測し、更なる分析に用いるデーターファイルを作る。検出器への入口は、イメージング光ファイバでありうるか、又は慣用の光学物質でありうる。既知のスペクトルのデーターベースに沿って改良された計量化学技術を使用して、BWAs、CWAs、及び脅威のない化合物を検出、分類、及び/又は同定した。
【0024】
ロボット或いはBWAs、CWAs、及び脅威のない薬品を標的するための混合型マクロ/マイクロ装置を使用することを通して当該システムは自動化されうる。レーザーアブレーション及び/又は化学アブレーションを使用して、当該システムを自動化し、標的化後のBWAs及びCWAsに照射する。
【0025】
様々なデーター加工方法が、当該システムで使用されうる。加重スペクトル・データー・サブトラクション・ルーチン(weighted spectral data subtraction routine)は、支持体又は顕微鏡スライドからの寄与を抑えるために使用されうる。或いは、主要因分析及び副要因回転(subsequent factor rotation)に関する複数の画像分析は、BWAs、CWAs、及び脅威のない「マスキング」化合物における純粋な分子特徴の違いについて使用されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
ラマン化学イメージング法及び分光法は、本発明の譲受人に対して譲渡された下記の米国特許及び米国出願によくカバーされる:米国特許第6,002,476号;2000年7月19日に出願された米国本出願第09/619,371号、2001年3月7日に出願された米国本出願第09/800,953号、2001年10月12日に出願された米国本出願第09/976,391号;2002年6月28日に出願された米国本出願第10/185,090号;2002年6月28日に出願された米国本出願第10/184,580号、1999年7月19日に出願された米国仮出願第60/144,518号;2002年1月10日に出願された米国仮出願第60/347,806号;2000年3月7日に出願された米国仮出願第60/187,560号;2000年10月13日に出願された米国仮特許出願第60/239,969号;2001年6月28日に出願された米国仮出願第60/301,708号;2002年10月31日出願された米国仮出願第60/422,604号。
【0027】
上で同定された特許及び特許出願は、参考文献を含めて、本明細書中に援用される。
【0028】
分光法は、光と物質の相互作用の研究である。外部エネルギー源により励起されると、光は物質により電磁スペクトル(例えばγ線、X線、紫外線(UV)、可視光、赤外線、電磁波、及びラジオ周波数を含む)の特徴的な波長(つまり色)で吸収され、反射され、伝達され、放出されるか、又は分散される。これらの特徴的な波長は、物質の元素及び/又は分子組成の同定を導き得る。実験は、典型的に光源、光分散要素(つまり、プリズム、格子)からなって、スペクトル及び検出装置を作り上げる。
【0029】
ラマン分光法では、関心のフォトンは、物質により散乱される。レーザー源を使用する場合であるように、入射光が単色光(単一の波長)であるならば、分散された放射の小さな分画は、レーザーの振動数(波長)とは振動数の点で異なる。さらに、分散光の振動数は、存在する分子種に対して固有である。当該現象は、ラマン効果として知られている。
【0030】
ラマン分光法では、分子のエネルギーレベルは、分散された光に存在する振動数の変化をモニターすることによりプローブされる。典型的な実験は、単色光源(通常レーザー)であって、サンプルに向けられた光源からなる。ラマン散乱を含む幾つかの現象が次に起こり、該ラマン散乱は、分光計及び電荷結合素子(CCD)検出器を使用してモニターされる。
【0031】
赤外スペクトルと同様に、ラマンスペクトルは、物質の分子組成、例えば有機及び無機分子中に存在する特定の官能基を明らかにする。ラマンは、種々の選別ルールに従って、特徴的な「フィンガープリント」スペクトルを示すので有用である。ピークの形状、ピーク位置、及び選択規則を順守することは、分子立体構造情報(結晶相、秩序度、ひずみ、粒度など)を測定するために使用されうる。赤外分光法とは異なって、単一のラマン分光計を有機物及び無機物の分子特徴づけに同時に適用できる。従来の赤外分光法を超えるラマンのほかの利点は、水相の物質を分析できる能力、及びほとんどサンプル調製を要さないか全く要さないで物質を分析する能力を含む。赤外分光法と対照的にラマン分光法の使用の阻害要因は、ラマン現象の比較的弱い性質及び蛍光のため生じる干渉を含む。過去数十年において、多くの重要な技術であって、科学者がラマン分光法に付き物である問題を克服することを可能にしてきた技術が広く使用されてきている。これらの技術は、高感度固体レーザー、レーザー阻止フィルター、及びシリコンCCD検出器を含む。
【0032】
蛍光分光法では、フォトンの吸収が生じた励起ステップに続いて、フォトンは物質から放出される。実験は、典型的に水銀(Hg)又はキセノン(Xe)ランプなどの多色励起源又はサンプル励起用のレーザーなどの単色源を含む。発光される放射の一部分は、次にCCDなどの検出装置がつけられている分散性の単色光分光器中に向けられる。物質からの蛍光スペクトルを計測することにより、無機及び有機化学種からの定性及び定量的情報を推定することができる。ラマン分光法に比べて、蛍光は元来より感度が高い。10億分の1の検出限界が一般的である。一方、蛍光は、ラマンより選択性が少なく、そして全ての化学システムが蛍光を示すわけではない。
【0033】
分子UV/可視光及びNIR吸収分光法は、UV/可視光(185〜780nm(54,054〜12,800cm-1))及びNIR(780nm〜2.5μM(12,800〜4000cm-1))スペクトル領域のそれぞれをとおしたフォトンの吸収を含む。典型的な装置は、重水素又は石英タングステンハロゲンランプ、分散要素、例えば単色分光器又は干渉計、及びSiCCD又はInGaAs焦点面アレイ検出器などの検出装置を含む。UV可視又はNIR放射に基づく吸収計測は、無機及び有機物種の定性的及び定量的検出のための多数のアプリケーションを見出す。NIRスペクトルは、基底の中赤外バンドのバンドの組合せ及び重なりから得られる。蛍光と同様に吸収スペクトルは、かなり感受性が高いが、選択性は中程度でしかない。
【0034】
ラマン分光法は、多用途の技術であり、単純及び複雑な異種の物質の分析によく適するであろう。分光分析の適用は、ポリマーブレンドの分析から、半導体物質における欠陥状態の分析、人乳房組織における封入物、腐食サンプルの特徴づけ、並びにBWAs及びCWAsの検出、分類、並びに同定にまでわたっている。デジタル・スペクトル分析と合わせた広視野ラマン分光法は、素早くに低コストで、そして他の分光法、並びにイメージング又は「ウェットな」化学方法よりも早いスピードで、分子組成についての定性的及び定量的情報を提供する。
【0035】
広視野ラマン分光法及びデジタル・スペクトル・プロセッシングは、それぞれラマン、蛍光、UV/可視光吸収/反射、及びNIR吸収/反射分光法を、物質の分子特異的分析についてのデジタルプロセッシングと混合することである。この特別な技術は、サンプルのスペクトルを不連続の波長(エネルギー)で記録することを可能にする。波長の範囲にわたってラマン分光計を調節することにより、及びシグナルを断続的に可視収集することにより、スペクトルをサンプル表面の全てのポイントから発生させた。物質及び選択された分光方法に左右されて、深度に関わる情報は、異なる励起波長を使用することにより、又は焦点の増加面で分光情報を得ることにより獲得されうる。サンプルを通して配置された異なる種により作成されたラマン散乱、蛍光発光、UV/可視吸収/反射、又はNIR吸収/反射の相対量に基づく研究の元で、物質内のコントラストが作られる。スペクトルがいくつかの構成要素物質から1回で作成されるので、デジタル分析方法、例えば相関分析、主成分分析(PCA)、及び因子軸回転、例えば多変量曲線分解能(MCR)を使用する計量化学分析などを、スペクトルデーターに適用して、そうしなければ通常の単変量解析により失われてしまう付属情報を抽出する。
【0036】
広視野ラマン分光装置に基づいた瞬間炭疽菌検出システム
有効な瞬間炭疽菌検出システムのために必要であると前述した主要装置の必要条件に適合する広視野ラマン分光法に基く多くの周辺機器構成が存在する。こうれらの構成は、顕微鏡、マクロスコープ、エンドスコープ、エアサンプラーデザイン、又は手持ちデザインに基づくプラットホームを含む。それらの各々は、以下に簡潔に記載される。
【0037】
顕微鏡に基づくシステム
広視野マイクロ分光システムは、1のプラットホーム内に、サンプル励起用固体レーザー(ラマン及びレーザー誘導性蛍光のみ)、光学反射顕微鏡のベースを含んだ。ここで当該ベースは、無限補正顕微鏡対物、自動化XYZ並進顕微鏡ステージ、及び石英タングステンハロゲン(QTH)ランプ及び/又は水銀(Hg)ランプを備える。また、顕微鏡システムの一部は、通常の光学画像収集のためのアナログ・カラー電荷結合素子(CCD)検出器であり、そして分光計誘電体又は他の帯域通過フィルターであり、そしてスペクトル収集のためのCCD検出器を備える光学単色光分光器である。そうした単色分光器は、調節可能フィルター、ライン又はスポット焦点化分散要素、或いはフーリエ変換分光計を含む多くの種類で販売される。IR画像キャプチャー用の室温又は場合により冷却IR FPA又はUV/可視のための熱電冷却(TE)Si CCD検出器、及び蛍光スペクトルキャプチャーが含まれる。遠隔、UV、可視又はNIR照射は、QTH源又は他の広域白色光源、例えば金属ハロゲン化物、Hgアークランプ又はXeアークランプを使用する反射光構成中のサンプルに向けられるか、或いはQTH又は光学反射顕微鏡プラットホームの適切な源を使用して透過光構成中のサンプルに向けられる。ラマン又はレーザー誘導性蛍光実験において、レーザー放射は、ラマン・イルミネーターの使用を介してサンプルへと誘導される。光分散、放出、反射、又は伝達は、無限相関顕微鏡対象を通して、自動化XYZ並進顕微鏡ステージ上に配置されるサンプルから集められる。各照射・スキームにおいて、広視野照射は、調査の元のサンプルの品質及び信頼性及び統合性を最適にするために選ばれる。
【0038】
発光の通常の光学画像化は、顕微鏡のタレット・ホイール内に挿入されたミラー又はビームスプリッター又はプリズム配置を使用して、そしてアナログ又はデジタル色又は単色電荷結合装置(CCD)又はCMOS検出器で画像を回収して得られうる。全体のスペクトルは回収された広視野/領域にわたり得られるか、又は拡大された分光法画像は、画像分光法を通して結合され、そしてNIR又は中赤外線焦点化面アレイ(FPA)検出器(IR分光イメージング)又はSi CCD検出器(UV/可視吸収/反射、蛍光及びラマン分光イメージング用)で収集される。IR・FPAは、典型的にインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)から構成されるが、他のIR感受性物質、例えばプラチナ・シリサイド(PtSi)、ヒ化インジウム (InSb)又はテルル化水銀カドミウム(HgCdTe)から構成されうる。
【0039】
中央演算ユニット、典型的にペンティアム(登録商標)コンピューターは、波長に対する分光強度の収集及びプロセッシングに使用される。アナログ・カラーCCD、IR・FPA、及び/又はSiCCD、コントローラーを介して制御される自動化XYZ並進顕微鏡ステージ、及び液体結晶又は(適切なイメージング分光法コントローラーを通した)他のイメージング分光計は、市販のソフトウェア、例えば、ChemAnalyze(ChemImage Corporation)と組み合わせたChemAcquire(ChemImage Corporation)で操作される。
【0040】
以下のタイプの分光計はまた、利用されうる:固定フィルター分光計;格子に基づいた分光計;フーリエ変換分光計;又は音響光学型分光計。極性独立干渉計、例えば:マイケルソン・干渉計;Sagnac干渉計;Twynam−Green干渉計;Mach-Zehnder干渉計は、フィルターとして使用されうる。小さいサイズへの光学拡大可能にする分光計デザインが、より持ち運び可能な展開可能な装置を可能にする。
【0041】
広視野分光法は、Z軸方向に焦点を合わせることを通してサンプルを動かす方法を介して、深度の計測のために使用され、焦点面の内外のデーターを収集し、そしてソフトウェア内でサンプルの体積プロファイルを再構成することができる。いくらかの体積(バルク物質、表面、インターフェース、インターフェース)を有するサンプルについて、容積測定分光イメージングは、故障解析、製品開発、及び一般的に行われる性質モニタリングに有用であると示されてきた。深度分析と同時に定量分析を行う可能性も存在する。容積測定イメージングは、開口数共焦点技術の使用を通して、サンプルを改変することなく非接触モードで行われうる。当該共焦点技術は、サンプルが不連続の焦点面で計測されうる。得られたスペクトル・プロファイルは、加工され、再構成され、そして可視化される。コンピューターによる、様々な戦略に基づいた光学切断再構成技術が行われ、例えば最近傍及び反復形状を含む。
【0042】
顕微鏡に基づく広視野光学分光システムは、例えばBWAsを単一細胞にまで検出、分類、同定、及び可視化できるという明確な利点を有する。これらのシステムは、8cm-1のスペクトル解像度を誇り、そして開口数形状方法で約200nmの空間深度を誇る。
【0043】
マクロスコープに基づくシステム
広視野マクロ・分光法システムは、単一のプラットフォーム内に、照射源(典型的に、QTH、Xe、Hg、又は他のハロゲン化金属ランプ)、バリア光学フィルター(単数又は複数)及び光配向モジュール(つまり、直接光線束、光ファイバー、又は液体導光照射)を備える。アナログカラー電荷結合装置(CCD)検出器が通常の光学及びデジタル画像収集のために使用される。ラマン波長選別が、イメージング又は非イメージング分光計を使用して行われる。検出器は、NIR画像キャプチャー用の室温又は場合により冷却NIR・FPA、又はUV/可視光及び蛍光画像キャプチャ用の熱電冷却(TE)SiCCD検出器のいずれかである。
【0044】
UV、可視又はNIR照射は、QTHソース又は他の広域白色光源、例えば金属ハロゲン化物、Hgアークランプ、又はXeアークランプを使用して、反射光配置中のサンプルに向けられるか、或いはQTH、又は直接照射、光ファイバー、若しくは液体導光を通した他の適切な源を使用して、伝達光配置中のサンプルに向けられる。放射、反射、又は伝達された光は、マクロスコープサンプルベース上に位置するサンプルから、マクロ・レンズを通して集められる。
【0045】
サンプルの通常の光学画像は、マクロスコープの収集スタック中に挿入された鏡、ビーム・スプリッター又はプリズムを使用して、そしてアナログ又はデジタル・カラー又は単色電荷結合装置(CCD)又はCMOS検出器で画像を収集して得られうる。ラマン分光モードにおいて、分光法情報は、イメージング又は非イメージング分光計を介して得られる。焦点面アレイ(FPA)検出器(NIR分光イメージング用)又はSi・CCD検出器(UV/可視光吸収/反射、蛍光及びラマン分光イメージング用)は、これを補完するために使用されうる。NIR/FPAは、典型的にインジウム・ガリウム・ヒ化物(InGaAs)であるが、他のNIR感受性物質、例えばプラチナ・シリサイド(PtSi)、ヒ化インジウム(InS(登録商標)b)、又はテルル化水銀カドミウムから構成されうる。
【0046】
中央演算ユニット、典型的にはペンティアム(登録商標)・コンピューターは、分光データー収集及び処理に使用される。アナログカラーCCD、NIR・FPA及び/又はSiCCD及び液体結晶イメージング分光計、又は他のイメージング・分光計(適切なイメージング分光計コントローラーを通して)は、市販のソフトウェア、例えばChemAcquire(ChemImage Corporation)などを、ChemAnalyze(ChemImage Corporation)と組み合わせて操作される。
【0047】
マクロスコープに基づいたシステムの使用は、さらに広い領域に渡って潜在的なBWAs及びCWAsの即座の検出を可能にする利点を有する。以前の研究は、マクロスコープシステムを使用して200mm半導体ウエハー上の0.01mmの欠陥を画像化する能力を示した。
【0048】
エンドスコープに基づくシステム
ラマン分光法は、主に研究品質の光顕微鏡技術を、画像収集プラットホームとして使用する研究室設備において広く行われる。しかしながら、ラマン分光法はまた、インサイチュ工業プロセスのモニタリングに及びインビボの臨床分析に適用される。工業及び臨床設備の両方は、しばしば慣用の分光法装置が入ることができない遠隔領域の試験に適したコンパクトで軽量な装置を必要とする。
【0049】
デジタル分析能力を備えるかなり広い視野の分光法システムが開発されてきた。当該分光法システムに繋がれたイメージング・エンドスコープ・システムは、リアルタイム・ビデオ検査能力に、スペクトル分析を提供する。エンドスコープは、分析領域のリアルタイム・ビデオイメージング用のビデオCCDに繋がれる。これは、サンプルの迅速な視覚スクリーニングを可能にする。エンドスコープチップは、レーザー照射並びに収集されたラマン散乱及び蛍光発光(ラマン及び蛍光用途)の両者をフィルターするように作られる。レーザー・デリバリー・ファイバーからの光はフィルターされ、その結果ラマン・レーザー情報は、レーザー・ラインの200cm-1内で可視化できる。ラマン・エンドスコープの遠位末端は、周囲環境に対して抵抗性であり、高温での連続操作に抵抗性であり、そして高いシグナル対バックグラウンド(S/B)パフォーマンスを維持する一方で、0〜315℃で操作することが示された。遠位末端は、顕微鏡に基づくシステムに繋がっており、分散分光法及び分光イメージングを遠隔操作することを可能にする。
【0050】
エンドスコープに基づく広視野ラマン分光システムの使用することは、箱又は封筒内などの遠隔位置において、疑われているBWAs及びCWAsの存在を検出ことができる利点を有する。
【0051】
室温空気センサーシステム
室温空気センサーシステムは、2つの部分、サンプリング・システムと分光イメージング・システムからなる。サンプリング・システムの鍵は、図1に図式的に示された光学ブロックである。当該ブロックは、フィルター媒体のある部分を支持しなければならず、そしてサンプル領域の周辺の完全な気密シールを提供しなければならない。当該ブロックは、容易に開けることができ、そうして新たなフィルター(不連続フィルター)又はフィルターの新たな部分(連続フィルター)をサンプリング/光学経路に配置できなければならない。
【0052】
サンプリングシステムは入口を有し、当該入口は試験される空気に開口されている。その寸法は、サンプリング流速及び粒子サイズの予期される範囲に対して最適化される。微粒子又はエアロゾル・サンプリングでは、入口は、収集フィルターの前に粒子の堆積を引き起こし得る急カーブ又は低線速度の領域を有してはならないということは重要である。サンプリング・システムはまた、サンプリング・ポンプを有し、フィルターを通して室温空気を引き込むための吸引を提供する。期待される流速は、0.5〜2.0L/分の範囲であり、そして予期される吸引は100in.-H2O(180mm-Hg)の範囲である。
【0053】
サンプリング・システムは、典型的に、連続して実行されず、むしろ一連の不連続のサンプリング期間で実行される。各期間の終わりでは、フィルター媒体を取り替えることが必要である。これは、オペレーターにより行われるか又は自動的に行われうる。連続サンプリングでは、フィルター媒体はテープ様の構成であり、そして新たなフィルターのサンプルは、オーディオカセットのドライブに類似するテープ・ドライブ・メカニズムにより、光学ブロック中に配置されうる。
【0054】
ひとたび微粒子が、フィルター媒体にトラップされると、広視野分光法を使用して、BWA又はCWAの存在を検出及び分類した。励起源が、慣用の又は光ファイバーを使用して光学ブロックに結合されるレーザーであり、その光が全サンプリング領域に等しく当てられるならば、ラマンイメージングが使用されうる。別の構成では、広域UV/Vis、フィルターUV/Vis、又はUV/Visレーザーから構成される光源は、自己蛍光を励起するために使用されうる。イメージング検出器は、液晶調製可能なタイプであるか、又は前記した別のイメージング・分光法のタイプであり、そしてCCD又は他のカメラの列は、複数の波長でサンプリング領域を画像化するために使用されうる。検出器を光学ブロックへ結合することは、光ファイバーに基くか又は慣用の光学技術を通してなされる。検出器のデーターは、計量化学及び画像分析ツール、例えばChemAnalyzeソフトウェア(ChemImage Corporation)において見られるツールを使用して、データーを処理した。
【0055】
室温空気モニターのこのタイプの典型的な運転モードは、通常一連のサンプリング期間として行われ、当該期間の間、一定期間の分光画像計測が行われる。以前の及び現在のサンプリング期間からの結果は、システム・コンピューターにより解釈され、当該コンピューターは結果を示し、そして警告及び危険アラームを作動しうるか、又は建物が外部の空気を取り込みをオフにするなどの幾つかの行動を開始しうる。
【0056】
手持ち生物脅威検出器
現在の分光法に基づく生物脅威検出システムは、照射を産生し、そして焦点化し、放射又は散乱光収集し、そして必要とされるスペクトル分析を行うために必要とされる個々の構成要素により、大きさ及び重量の点で制限される。病原微生物の検出の広視野方法の1の利点は、単純であることであり、当該方法は、励起及び検出システムの設計、レイアウト、及び統合を許容する。
【0057】
当該方法の機能的及び構成的必要要素は、重要なパフォーマンスの低下又は制限をすることなく、埋め込まれる構成要素のそれぞれの小型化を可能にするであろう。例えば、波長調整可能フィルター又はMOEMS加工波長分散要素(MOEMS fabricated wavelength dispersive elements)から構成される低コストでコンパクトな分光計が、調べられる標本から放射されるスペクトル要素を検出するために十分な解像度で設計され、そして組み立てられうる。活性ピクセルCMOS・CCD検出器又はアバランチ・フォトダイオードの進歩は、小さいコンパクトセンサーが得られたスペクトルを検出し、そして空間的に解明することを可能にする。当該広視野方法で、そうした計測可能な計測光学要素を有効に使用することは、そうした検出システムの全体のサイズ及び重量をスケールダウンするために適したものにして、それにより持ち運び可能な手持ちユニットを可能にした。
【0058】
結果
従来の分光方法を使用して作成されたスペクトルは、BWAs及びCWAsの分子性質についての多量の情報を潜在的に明らかにできる。本明細書中に示される広視野分光法は、これを実用的及び信頼できるものにし、さらに必要があれば単一細菌の検出を可能にする。これはまた、脅威でない「マスキング」剤の存在下で細菌胞子を特徴付けすることを可能にし、そしてBWAs及びCWAsの検出及び同定における重大な問題を表す。異なる細菌種からの胞子を区別する際の難しさが残る。図2は、3種の異なる細菌胞子タイプの分散広視野ラマンスペクトルを示す。遺伝的及び形態的類似性にもかかわらず、広視野ラマン分光法は、異なる細菌胞子の中で十分に区別するために使用された。
【0059】
図3は、どうやってイメージング分光法を通して得られる広視野蛍光分光画像が、細菌胞子タイプを区別するために使用されうるかを示す。図の下部における蛍光スペクトルは、上記蛍光蛍光分光画像に繋げられた色-コードボックス領域から得られた。これにより、バチルス・サブチリス胞子及びバチルス・ピュミルス胞子が、540nm及び630nmでそれぞれ最大蛍光ピークを示すことが見られる。
【0060】
図4は、米軍病理学研究所(AFIP)により提供された不明サンプルの迅速な広視野分光試験の結果である。これらのサンプルは、6の未知の粉末を含む4サンプルとBG胞子サンプルを含む。
図4Aは、バイアルを通した、6個の不明粉末の広視野ラマンスペクトル(緑色レーザー励起)を示す。
図4Bは、6個の不明粉末の広視野ラマンスペクトル(赤色レーザー励起)を示す。
図4C〜4D(サンプル1331-002)は、6個の不明粉末の内の1個目の広視野ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは無機物質であり、滑石のようである。
図4E〜4F(サンプル1325-002)は、6個の不明サンプル末の内の2個目の広視野ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、そしてスターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
図4G〜4H(サンプル1303-002)は、6個の不明粉末の内の3個目の広視野ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、スターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明粉末の広視野ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機性内容物であり、3個のうちの2個はアルミノケイ酸塩にかなり富む。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体のようである。
図4Oは、ラマン化学イメージングで用意に区別される2の通常の白色粉末の広視野ラマンスペクトル及び画像を示す。
図4Pは、市販のBG胞子と比較されたサンプルBG胞子の広視野ラマン・スペクトルを示す。2個のサンプルの混合体のラマンスペクトルが、同様に示される。ラマンは、サンプルが類似であり、ほぼ同一であることを示す。
図4Qは、2個の類似胞子が、自己蛍光の差に基づいて、2個の類似の胞子が区別される広視野ラマン画像を示す。
【0061】
図5は、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からの広視野ラマンスペクトルは異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。詳細は以下のとおりである。
図5Aは、BT及び懸濁残渣の広視野ラマンスペクトルの生データーを示す。当該残渣は、懸濁液から得られる。
図5Bは、バックグラウンドを補正したBT及び残渣の広視野スペクトルを示す。胞子スペクトル及び残渣スペクトルの両方が、顕微鏡スライドのスペクトルにより割られた。
図5Cは、BC及び懸濁残渣のラマンスペクトルの生データーを示す。
図5Dは、バックグラウンド補正されたBCと残渣のラマンスペクトルを示す。
図5Eは、顕微鏡スライドバックグラウンド補正されたサンプルBT、BC、及びBG分散スペクトル重ね合せを示す。これらのスペクトルは異なった。この差は、フィンガープリント領域で最大である。
図5Fは、ベースラインを引き算し、そしてCH領域スペクトル特徴(〜2950cm-1)に基準化した後の3個の胞子の重ね合わせを示す。
【0062】
図6は、どのようにして広視野ラマン分光法が、単一種の中の複数の細菌株間を区別するために適用されうるかを示す。
図7は、広視野ラマン分光法が、どうやって異なる条件下で成長する細菌の同じ種及び株の間で区別するために適用されるかを示す。
図8は、バチルス・アンスラシス(炭疽菌)胞子の興味深い様々な領域の広視野ラマン分光法を示し、そして類似の物質の間の再現性をもって区別する能力を示す。
図9は、どのようにして広視野ラマン分光法が、生存している内生胞子と生存していない内生胞子との間を区別するために適用されうるか、実際の脅威レベルの測定における決定的な変数を区別するために適用されうるかを示す。
図10は、存在する胞子及び本方法の全体感度との関数として、広視野蛍光及びラマンのシグナル対ノイズ比を示す。
図11は、広視野ラマン分光法の結果のROC分析を示し、他の類似物から炭疽菌を区別する方法の特異性を示す。
【0063】
図12は、およそ6”×3”×1”を計る手持ち病原体微生物検出を示し、そして広視野ラマン方法に基づく。当該特定のユニットは、積み重なった又はモジュール単位の機能層であって、ディスプレイ及びユーザーインターフェースを含む最上層、イルミネーター、分光計、センサー、及びコントロール・エレクトロニクスを囲う中間層、並びにサンプリング・モジュールを有する下位層からなる。各層は、特定のニーズ又は機能的な必要性に合わせるために変化され得る。例えば、サンプリングモジュールは、異なる環境における病原をサンプリングするために異なり、そして室温空気モニタリング又は表面検出モードについて示される。当該下位層のサンプリングモジュールは、様々な液体、例えば水又は血液中の病原をサンプルするために他のものに交換されうる。
【0064】
炭疽菌胞子は、バイオハザード・ラボラトリーにおいて広視野ラマンに使用された。異なる炭疽菌胞子の種は、広視野ラマン方法により区別された(図6)。さらに、広視野ラマン分光法は、異なる環境条件及び/又は成長培地のもとで成長された同じ種及び株を区別するために使用された(図7)。当該能力は、通常の有用な調査適用を有しうる。そして、広視野ラマン分光法は、生存できない内生胞子から生存できる内生胞子を区別するために使用された(図9)。疑いのある胞子の生存能力は、問題となる実際の脅威を測定する際における決定的な変数となる。
【0065】
本発明者は、広視野ラマン方法及び得られたスペクトルプロファイルにより、以下の病原微生物が、種、株、及び生存率について検出及び分類される余地があるということを期待するであろう:クリプトスポリジア;エスケリキア・コリ(Escherichia coli);ペスト(エルニシア・ペスティス(Yersinia pestis));天然痘(バリオーラ・メジャー(variola major));ツラレミア(フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis));ブルセラ症(ブルセラ種(Brucella));クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens);鼻疽(ブルコルデリア・マレイ(Burkholderia mallei));類鼻疽(バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei);オウム病(クラミジア・シタッシ(Chlamydia psittaci));Q熱(コキセラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii));チフス熱(リッケッシア・プロワゼッキ(Rickettsia prowazekii));ビブリオ;ジアルジア;カンジダ・アルビカンス(Candida albicans);エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis);スタフィロコッカス・エピデリミジス(Staphylococcus epidermidis);スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus);エンテロバクター・アエルゲンス(Enterobacter aerogenes);コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae);シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);アシネトバクター・カルコアセチカス(Acinetobacter calcoaceticus);クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae);セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens);フィロウイルス(filoviruses)(例えば、エボラウイルス及びマールブルグ・ウイルス)、ウイルス(例えば、ラッサ熱及びマクポウイルス)、及びアルファウイルス(例えばベネズエラウマ脳炎、東部ウマ脳炎、及び西部ウマ脳)。
【0066】
進んだスペクトル分析及び化学計量ツールは、これらの違いをラマン又は蛍光スペクトルにおける差をとって、図11のように種の同定を行う。同様のアプローチは、調べている支持体の表面の少なくとも2の異なる領域から連続的に得られたスペクトルを取ることにより、画像を作成するために適用され得る。以下は、そうした分析を行うための代表的なアルゴリズムである。
1) 元の画像を、(サンプルなしで得られる)バックグラウンド画像で割る
2) 得られた画像上でコスミック・フィルタリング(cosmic filtering)(値が近傍の平均から有意に異なるピクセルについての中央値フィルタリング)を行い
3) データー収集の間のサンプルの少しの動きを補正するために配列方法を使用し
4) 空間平均化フィルターを適用し
5) スペクトル・ノーマライゼーションを行い(サンプルを通過した変動性照射について補正を手助けする)
6) 3のスペクトル点の各セットに対しスペクトル・ランニング平均化(spectral running average)を行い
7) 550から620nmに対応するフレームのセットを抽出する。両方のバクテリア胞子(バチルス・サブチリス・バー・ニガー(Bacillus subtilis var niger)及びバチルス・ピュミルス)についてのスペクトルが、実質的にこの範囲にわたって線形である。バチルス・サブチリス・バー・ニガーは、正の傾きを有し、そしてバチルス・ピュミルスは、負の傾きを有する。
8) 各強度の値が、スペクトル・サブ領域(最後の画像由来)の傾きであるシングル・フレーム・画像を作成する。当該傾きは、最少二乗法の適用を介して測定される。
9) 得られた画像を0〜4095で縮尺する。前の画像における0(ゼロポイント)に対応する0〜4095の点のトラックをキープする。
10) 以下の連続ステップからマスク・イメージを作成する:
a) 配列された画像(第三ステップ)から、各ピクセルの強度が、各スペクトルについての最大強度値である単一フレームの「最も明るい」画像を計算し
b)当該最も明るい画像を0〜4095の間で測定し
c)測定された画像からの2値化された画像を作成し、ここで新たな画像においてその強度が900をこえる全てのピクセルを新たな画像において1にセットし、そしてその強度が900未満の全てのピクセルを0にセットする。
900の値を、測定された画像に付随するヒストグラムの試験により選んだ。アルゴリズムについてのさらなる改良は、自動的に与えられた画像についてのヒストグラムを数的に分析することにより自動的に選ぶことである。
11) ステップ9からの測定された画像に、ステップ10からのマスクされた画像をかける。これは、胞子に対応する領域のみへの視覚によるディスプレイを制限する。当該結果は、グレースケール画像であり、ステップ9で定義されたゼロポイント未満の強度値は、バチルス・ピュミルスに一致し、そしてゼロポイント以上の強度値は、バチルスサブチリスバーニガーに対応する。
12) 最終RGB画像は、次に全ての「負」の値を赤に、そして全ての「正」の値を緑にセットすることにより作成された。
【0067】
適用
ハイスループットで、非接触型で、リアルタイムであり、高い精度で、わずかな調製又は調製なしでBWAs及びCWAsを検出、分類、及び同定することへの高い必要性が存在する。BWAs及びCWAsの目的分析に適した装置のユーザー・ベースは、有害物質(HAZMAT)チーム、潜在的脅威が高い政府及び個人施設、郵便施設、大学、工業及び医学研究所などからなる。
【0068】
即座に炭疽菌又は他の微生物脅威を検出するシステムの標的ユーザーに対する利益は、かなりのものであるだろう。当該技術のマクロスコープ・バージョンで構成されると、分光法イメージングは、蛍光、NIR,及び/又はUV/可視光反応に基づいて、疑いのあるBWAs及びCWAsを広い領域について素早く評価するために使用されうる。顕微鏡モードで構成されると、疑いのあるBWAs及びCWAsの陽性検出、分類、同定、及び可視化が作られうる。エンドスコープ・モードで構成されると、BWAs及びCWAsは、離れて検出、分類、同定、及び可視化されうる。FASTモードで構成されると、BWAs及びCWAsは、離れて又はリアルタイムで顕微鏡で検出、分類、同定、及び可視化されうる。空気試料採取装置として構成されると、BWAs及びCWAsははっきりとした検出が行われうる。
【0069】
組合せにおいて行われるとき、BWAs及びCWAsを特徴づけの有効性は、高められるようである。利点は、非限定的に以下の:
・疑いのあるBWAs及びCWAsを検出するための早い広い領域のスキャンニング
・疑いのあるBWAs及びCWAsの陽性検出、分類、同定、及び可視化
・非接触型
・わずかなサンプル調製しかひつようとされないか又はサンプル調製が必要とされない
・固体又は気体サンプルにおいて疑いのあるBWAs及びCWAsの遠隔検出、分類、同定、及び可視化
・固体又は気体サンプルにおいて疑いのあるBWAs及びCWAsのリアルタイム検出、分類、同定、及び可視化
を含むであろう。
【0070】
即座の炭疽菌検出のための広視野イメージング及び分光システムの特異的なアプリケーションは、以下の:
・脅威及び脅威のない「マスキング」剤の検出
・BWAs及びCWAsの空間分布
・単一の細菌胞子に至るBWAs及びCWAsの空間分布
を含むであろう。
【0071】
現在利用できる技術に対する有利な点
BWAs及びCWAsの検出のための従来のアプローチは、接種方法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法、生物脅威警報(BioThreat Alert)(BTA)テストストリップ、DNAに基づく試験、DNAチップ分析、及び質量分析を含む。接種方法は、疑いのあるカルチャー又は標本を、動物へ接種し、次に疾病の発達を観察することを含む。動物虐待に加えて、さらに検出時点に達するために必要とされる多大な時間を含む当該アプローチには、不利な点が存在する。
【0072】
ELISA試験は、抗体検出を含む。当該技術はまた、時間がかかり、そして偽陽性(無関係な抗体が、抗原と非特異的に反応する)の多さと、悪いことに偽陰性(血中の妨害化合物又は検出のために十分濃縮されない抗体)の多さに悩まされる。さらに、患者は、患者が回復したずっと後に抗体に対して検査で陽性の結果が出る。
【0073】
BTAテスト・ストリップは、家庭用妊娠試験とかなり似ている小さいプラスチック装置である。当該テスト・ストリップは、生物脅威剤の存在を示す色を変化させる特異的抗体をストリップ上に含む。陰性結果は、生物脅威剤が、ストリップの検出限界内では存在しないことを意味する。結果は比較的短い期間(15分)で得られるが、偽陰性及び偽陽性の発生が多い。
【0074】
遺伝子配列を認識することによるDNAに基づいた試験は、生物剤を検出する。BTA試験ストリップより感受性が高い一方で、DNAに基づく試験は、マスキング剤に影響を受けやすく、そして非常に長い検出時間を含む。DNAチップ分析は、DNA鎖を、Si又はガラス・ウエハーチップ上に固定することを含む。DNAは、試験されるサンプルの相補的DNA鎖に結合するか又はハイブリダイズする。特別に設計された顕微鏡は、DNAがハイブリダイズする場所を検出する。増幅は、ポリメラーゼ・チェーン反応(PCR)により達成される。生物脅威剤の検出は、数分のうちに可能であることが報告される。
【0075】
DNAに基づく方法の制限は、二重である。第一に、DNA方法は、生物脅威剤を、固有のDNA配列を通して検出するように設計される。それゆえ、各DNA試験は、1の生物脅威剤に対して特異的であり、更なる生物脅威剤を検出することが所望される場合、さらなる試験試薬が開発されなければならない。第二の制限は、周囲汚染のため生じる偽陰性及び偽陽性の問題に関する。DNA試験は「実在」のサンプルにおいて正しい結果をもたらすには問題を有していることが周知である。
【0076】
質量分析(MS)は、生物体を特徴付けするために、細胞又は胞子を高真空下でイオン化プロセスにかけたときのマスフラグメントのパターンを使用する。質量分析は、かなり感受性の高い検出の利益を有するが、代表的なサンプルを電離化装置にデリバリーするために、洗練されたサンプリングシステムを必要とする。MSの主要な制限は、元々繊細であり効果である高真空ポンプの使用を必要とすることである。さらなる制限は、質量分析は、完全に非破壊技術である分光化学イメージングと対照的に、破壊的技術であることである。
【0077】
代わりの技術/機会は、迅速で、非接触型であり、正確なBWAs及びCWAsの検出であるラマン、蛍光、NIRなどを含むマイクロ-分光法に基づくマイクロ-プローブ又は顕微鏡を含む。これらのタイプのツールは、局所又は遠隔環境において、BWAs、CWAs、及び/又は脅威のない「マスキング」剤の存在下でBWAs及びCWAsを検出、分類、同定、及び可視化する可能性-従来技術が与えない特徴を提供する。そうしたツールは、擬陽性及び議員製の発生を低減し、そして本物の生物脅威が存在するかを数分のうちに決定する方法を提供する。
【0078】
他の分光法に基づく方法
分光技術は、赤外線(IR)分光法を含む前に記載された技術と競合する。IR分光法は、IR中において強い吸水の難しさのため、競合しない。結果としてBWA・IRスペクトルは、偽の強い水シグナルを有する。
明らかなように、本発明の多くの改変及びバリエーションは、上記教示の範囲内で可能である。それゆえ、本発明は、特異的に記載されたことを超えて、添付の特許請求の範囲内で行われうるということを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、光学分光検出に基づく室温空気BWA及びCWAセンサーの概略図である。
【図2】図2は、炭疽菌類似物を含む3種の異なる細菌胞子の広視野分散ラマンスペクトルを示す。
【図3】図3は、2の異なる細菌胞子型の蛍光分光法のマイクロ画像フィールドである。
【図4A】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4Aは、バイアルを通した、6個の不明粉末の分散ラマンスペクトル(緑色レーザー励起)を示す。
【図4B】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4Bは、6個の不明粉末の分散ラマンスペクトル(赤色レーザー励起)を示す。
【図4C】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4C〜4E(サンプル1331-002)は、6個の不明サンプルの内の1個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは無機物質であり、滑石のようである。
【図4D】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4C〜4E(サンプル1331-002)は、6個の不明サンプルの内の1個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは無機物質であり、滑石のようである。
【図4E】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4E〜4F(サンプル1325-002)は、6個の不明サンプルの内の2個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、スターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
【図4F】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4E〜4F(サンプル1325-002)は、6個の不明サンプルの内の2個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、スターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
【図4G】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4G〜4H(サンプル1303-002)は、6個の不明サンプルの内の3個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、スターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
【図4H】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4G〜4H(サンプル1303-002)は、6個の不明サンプルの内の3個目の分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。当該サンプルは有機物であり、スターチのようであり、おそらくコーン・スターチである。
【図4I】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4J】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4K】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4L】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4M】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4N】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4I〜4N(サンプル1291-006)は、残りの不明サンプルの分散ラマン、IR、及びSEM-EDSの結果を示す。このサンプル中には3の異なるタイプの粉末が存在する。3種全ては有機物であり、3個のうちの2個はかなり多くのアルミノケイ酸塩である。粉末の内の1つは、芳香族炭化水素の複合体であるようである。
【図4O】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4Oは、マスキング剤として使用される一般の白色粉末のラマンスペクトルを示す。
【図4P】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4Pは、種々のバチルス胞子のラマンスペクトルの差を示す。
【図4Q】図4A〜図4Qは、米軍病理学研究所(AFIP)、生物脅威検出技術の目的分析の専門家により送られたサンプルの分散分光試験の予備段階の結果を示す。これらのサンプルは、6の未知の粉末及びBG胞子サンプルを含む。 図4Qは、2個の類似胞子が、自己蛍光の差に基づいて、2個の類似の胞子が分化する識別される広視野ラマン画像を示す。
【図5A】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Aは、BTと懸濁残渣の分散ラマンスペクトルの生データーを示す。当該残渣は、懸濁液体から得られる。
【図5B】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Bは、バックグラウンドを補正したBT及び残渣のスペクトルを示す。胞子スペクトル及び残渣スペクトルの両方とも、顕微鏡スライドのスペクトルにより割られた。
【図5C】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Cは、BC及び懸濁残基の分散ラマンスペクトルの生データーを示す。
【図5D】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Dは、バックグラウンド補正されたBCと残渣の分散ラマンスペクトルを示す。
【図5E】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Eは、顕微鏡スライドバックグラウンド補正されたサンプルBT、BC、及びBG分散スペクトル重ね合せを示す。スペクトルは異なった。差は、フィンガープリント領域で最大である。
【図5F】図5A〜5Fは、特異的に選ばれたさらなる胞子サンプルからの結果を示す。なぜなら、当該種を識別する際に固有の難しさがあるからである。これらはバチルス・ツーリンゲンシス(BT)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(BC)、及びBGを含む。3個の胞子からのラマンスペクトルは、異なる。これらの差は、脅威のない細菌から炭疽菌を識別する良い機会を示唆する。この詳細は以下のとおりである。 図5Fは、ベースラインを引き算し、そしてCH領域スペクトル特徴(〜2950cm-1)に基準化した後の3個の胞子の重ね合わせを示す。
【図6】図6は、どのようにしてラマンスペクトルが、単一種の中の複数の細菌株間を区別するために適用されうるかを示す。
【図7】図7は、ラマンスペクトルが、どうやって異なる条件下で成長する細菌の同じ種及び株の間で区別するために適用されるかを示す。
【図8】図8は、炭疽菌(Anthrax)胞子の異なる領域の計測の再現性を示す。
【図9】図9は、どのようにして分散ラマンスペクトルが、生存している及び生存していない内生胞子との間を区別するために適用されうるか、実際の脅威レベルを測定における決定的な変数を区別するために適用されうるかを示す。
【図10】図10は、当該広視野方法を使用して、蛍光又はラマンスペクトル検出において得られるS/N比を示す。これは、低濃度の微生物を検出する能力を定量する。
【図11】図11は、広視野方法、並びに高感度でかつ炭疽菌の検出において選択性を示すデジタル・スペクトル分析高感度及び分散分光法から得られたROCカーブを示す。
【図12】図12は、本発明の広視野ラマン方法に基づいた手持ち病原微生物検出ユニットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上の炭疽菌(バチルス・アンスラシス(Bacillus anthracis))の存在を調べる方法であって、以下の:
a) 当該支持体の表面からの第一領域を選択し、ここで当該第一領域は、少数の炭疽菌生物を含むために十分に広く、次に
b) さらなる調査のため上記第一領域内に広視野を選択し、次に
c) 当該広視野+広視野の周囲領域を、照射された領域を光退色するために十分なエネルギーで照射し、次に
d) 当該広視野からのラマン・シフトした光を集め、次に
e) 当該ラマン・シフトした光を、炭疽菌微生物の特徴的パターンについて分析する
を含む、前記方法。
【請求項2】
ステップa)〜e)を、第二領域について繰返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分析ステップが、前記炭疽菌微生物の株を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分析ステップが、前記炭疽菌微生物の生存率を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分析ステップが、前記炭疽菌微生物が成長された成長培地を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
支持体上の病原微生物の存在を調査する方法であって、以下の:
a) 当該支持体の表面からの第一領域を選択し、ここで当該第一領域は、少数の病原微生物を含むために十分に広く、次に
b) さらなる調査のため上記第一領域内に広視野を選択し、次に
c) 当該広視野+広視野の周囲領域を、照射された領域を光退色するために十分なエネルギーで照射し、次に
d) 当該広視野からのラマン・シフトした光を集め、次に
e) 当該ラマン・シフトした光を、病原微生物の特徴的パターンについて分析する
を含む、前記方法。
【請求項7】
ステップa)〜e)を、第二領域について繰返すことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分析ステップが、前記病原微生物の株を分析することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記分析ステップが、前記病原微生物の生存率を分析することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記分析ステップが、前記病原菌微生物が成長した成長培地を分析することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
広視野由来のラマン・シフトした光が、点、線、又は画像焦点タイプの分光計を通過する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記病原微生物が炭疽菌胞子である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記病原微生物がプロトゾアである、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記病原微生物がクリプトスポリジウム微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記病原微生物が、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記病原微生物が、エスケリキア・コリ157微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記病原微生物がペスト(エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis))微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記病原性微生物が天然痘(バリオーラ・アジョール(variola ajor)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記病原性微生物がツラレミア(フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記病原性微生物がブルセラ(ブルセラ種)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項21】
前記病原性微生物がクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記病原性微生物がサルモネラ微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記病原性微生物がシゲラ微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項24】
前記病原性微生物が鼻疽(ブルクホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei))微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項25】
前記病原性微生物が類鼻疽(ブルクホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項26】
前記病原性微生物がオウム病(クラミジア・プシッシ(Chlamydia psittci)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項27】
前記病原性微生物がQ熱(コキセラ・ブルネッチ(Coxiella burnetii))微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項28】
前記病原性微生物がチフス(リッケチア・プロワゼッキ(Rickettsia prowazekii))微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項29】
前記病原性微生物がビブリオ・コレア(Vibrio cholerae)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項30】
前記病原性微生物が以下の:フィロウイルス(例えば、エボラウイルス及びマールブルグウイルス)、ウイルス (例えば、ラッサ熱及びマクポウイルス)、及びアルファウイルス (例えば、ベネズエラ・ウマ脳炎、東部ウマ脳炎、及び西部ウマ脳炎)の群から選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項31】
前記病原性微生物がジアルジア微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項32】
前記病原性微生物がカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項33】
前記病原性微生物がエンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項34】
前記病原性微生物がスタフィロコッカス・エピデリミジス(Staphylococcus epidermidis)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項35】
前記病原性微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項36】
前記病原性微生物がエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項37】
前記病原性微生物がコリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae )微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項38】
前記病原性微生物がシュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項39】
前記病原性微生物がアシネトバクター・カルコアセチカス(Acinetobacter calcoaceticus)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項40】
前記病原性微生物がクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項41】
前記病原性微生物がセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)微生物である、請求項6に記載の方法。
【請求項42】
前記照射光が、410nm未満の波長の紫外スペクトル領域である、請求項6に記載の方法。
【請求項43】
前記照射光が、410nm〜780nmの波長の可視光スペクトル領域である、請求項6に記載の方法。
【請求項44】
前記照射光が、780nm〜2500nmの波長の近赤外スペクトル領域である、請求項6に記載の方法。
【請求項45】
前記分析ステップが、病原微生物の株を分析することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項46】
前記分析ステップが、病原微生物の生存率を分析することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項47】
小型化された構成要素が、手持ち検出器を可能にするために使用される、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図4N】
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【図4O】
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【図4P】
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【図4Q】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−524389(P2007−524389A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517613(P2006−517613)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/020266
【国際公開番号】WO2005/060380
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506001309)ケムイメージ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】