説明

癌、関節炎および網膜症の治療用抗脈管形成薬

【課題】脈管形成により発生または悪化する病状を治療するのに有用なペプチド、これらを含む薬剤組成物および脈管形成を抑制する方法の提供。
【解決手段】代表的な例として式:T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Uを有するペプチド(式中、Tは存在しないか、またはN−保護基および12個までのアミノ酸残基を含み、場合によりN−保護基を末端にもつポリペプチドの中から選択され、UはArgおよびArg−NR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水素および炭素原子1〜4個のアルキルの中から選択される)の中から選択されただし、少なくとも1個のアミノ酸残基はD−アミノ酸残基である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈管形成により発生または悪化する病状を治療するのに有用な化合物に関する。特に、本発明は、脈管形成を抑制する特定のペプチド、これらの化合物を含む薬剤組成物および脈管形成を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脈管形成は、新しい血管が形成される基本的プロセスであり、種々の正常な身体活性(例えば、生殖、発育、および傷修復)に必須のものである。このプロセスは完全には理解されていないが、内皮細胞、すなわち毛細管の一次細胞の成長を刺激すると共に抑制する分子の複合的相互作用を含むと考えられている。正常状態においては、これらの分子は、微小脈管構造を、数週間、場合によっては数十年間の長期間、休止状態(すなわち毛細管が成長しない状態)に維持するようである。しかしながら、必要な場合(例えば傷修復中)、これらの細胞は5日間で急速に増殖および成長する(Folkman,J.およびShing,Y.著,The Journal of Biological Chemistry,第267(16)巻;10931〜10934頁、およびFolkman,J.およびKlagsbrun,M.著,Science,第235巻;442〜447頁(1987年))。
【0003】
脈管形成は正常状態においては高度に制御されたプロセスであるが、制御されない継続的脈管形成により多くの病気(「脈管形成的疾患」と呼ぶ)が引き起こされる。言い換えれば、非制御脈管形成は、特定の疾患を直接引き起こす、または存在している病状を悪化させ得る。例えば、眼内真性血管形成は盲目の最も一般的な原因であると言われてきており、約20種の眼疾患の原因となる。関節炎のような特定の存在している症状において、新しく形成された毛細血管は関節に侵入し、軟骨を破壊する。糖尿病においては、網膜で形成された新しい毛細管が硝子体に侵入し、出血させ、盲目を生じさせる。固体腫瘍の成長および代謝も脈管形成に依存している(Folkman,J.著,Cancer Research,第46巻;467〜473頁(1986年),Folkman,J.著,Journal of the National Cancer Institute,第82巻,4〜6頁(1989年))。例えば、2mm以上に成長する腫瘍はそれ自体の血液供給を得なければならず、新規毛細血管の成長を誘発することによりそうすることが示された。これらの新規毛細血管が一旦、腫瘍中に収められると、腫瘍細胞が循環系に入り、肝臓、肺または骨のような離れた部位に転移する手段が提供される(Widner,N.ら著,The New England Journal of Medicine,第324(1)頁;1〜8頁(1991年))。
【0004】
トロンボスポンジン(Thrombosponin−1:TSP1,分子量450,000)は生体内での新生血管形成を抑制する大きな変性マトリックスタンパクである(Goodら著,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,第87巻,6624頁(1980年))。TSP1の主要な抗脈管形成活性は、中心の70kDの柄領域に存在する。TSP1分子の中心柄領域のプロペルジン様修復領域において見られる配列に似ている合成ペプチドが調製された。これらのペプチドの一つである所謂MalIIは、19merの式:Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp―Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Argで示されるものである(Tolsmaら著,J.Cell.Biol,第122巻,497頁(1993年))。MalIIペプチドは、ラット角膜における生体内新規血管形成を阻害し、ED50が約1μMである培養内皮細胞の移動を抑制した。
【0005】
最近、脈管形成疾患の治療に用いるために幾つかの脈管形成抑制薬が開発されているが(Gasparini,GおよびHrris,A.L.著,J.Clin.Oncol,第13(3)巻;765〜782頁(1995年))、これらの化合物の幾つかには不利益があった。例えば、スラミン(suramin)は有効な脈管形成抑制薬であるが、(抗腫瘍活性の達成に必要な量の場合は)ヒトにおいて激しい全身的毒性を引き起こす。レチノイド、インターフェロンおよびアンチエストロゲンのような他の化合物はヒトの使用に安全であるが、弱い抗脈管形成効果しか有さない。さらに他の化合物は、製造が困難で費用がかかる。短いペプチドは比較的製造が簡単で、脈管形成が作用する病状の治療においておよび目的の脈管形成抑制薬の設計において費用効果的方法を提供する。
【発明の開示】
【0006】
主要な態様において、本発明は、下記式からなる群より選択されるペプチドまたはその薬学的に許容できる塩を提供する:
T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−U I、および
Z−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−U IV
ここで、Tは存在しない、またはN−保護基および任意にN−保護基が末端となる12個までのアミノ酸残基のポリペプチドから選択され:UはArgおよびArg−NR(ここでRおよびRは独立して水素および炭素原子数1〜4のアルキルから選択される)から選択され:Zは、任意に、アミノ酸残基の少なくとも一つがD−アミノ酸残基であるN−保護基で終わっている1〜12アミノ酸残基である。
【0007】
本発明の好ましい化合物は次式で示される:
T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−U
ここで、Tは存在しない、またはN−保護基および任意にN−保護基が末端となる12個までのアミノ酸残基のポリペプチドから選択され、UはArgおよびArg−NRから選択される。
【0008】
より好ましい化合物は次式で示される:
T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−U
ここで、Tは存在しないまたはアセチルであり、UはArg、Arg−NHおよびArg−NHCHCHから選択される。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、前記ペプチドの後方異性体、前記ペプチドの逆後方(retro−inverso)異性体、またはそれらの薬学的に許容できる塩を提供する。後方異性体および逆後方異性体の例は、下記群から選択される。
【0010】
V−D−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−W
II
および
X−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Y
III
ここで、Vは存在しない、またはN−保護基:WはD−ArgおよびD−ArgNRから選択され:Xは存在しない、またはN−保護基:およびYはGlyおよびGly−NRから選択される。
【0011】
もう一つの態様において、本発明は、先に定義したペプチドを薬学的に許容できるキャリアと組み合わせて含んでなる、抗脈管形成治療の必要のある患者を治療するための組成物を提供する。
【0012】
さらにもう一つの態様において、本発明は、治療有効量の先に定義したペプチドを患者に投与することを含んでなる、抗脈管形成治療の必要のある患者を治療するための方法を提供する。
【0013】
さらにもう一つの態様において、本発明は、先に定義したペプチドを薬学的に許容できるキャリアと組み合わせて含んでなる、ガン、関節炎、乾癬、感染または手術による眼脈管形成、黄斑変性および糖尿病性網膜症からなる群より選択される疾患を治療するための組成物を提供する。
【0014】
さらにもう一つの態様において、本発明は、治療有効量の先に定義したペプチドを患者に投与することを含んでなる、ガン、関節炎、黄斑変性および糖尿病性網膜症からなる群より選択される疾患の治療を提供する。
【0015】
さらにもう一つの態様において、本発明は、式IおよびIVのペプチドをレセプターに結合させ、ペプチドレセプター複合体を単離し、レセプターを精製することを含んでなる、内皮細胞からTSP−1レセプターを単離する方法を提供する。
【0016】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐鎖状飽和炭化水素から一つの水素原子を除去することにより由来する1価基を意味する。アルキル基は、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、n−、sec−、イソ−およびtert−ブチル等により例示される。
【0017】
ここで用いられる「N−保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応に対してアミノ酸を保護すると共に、選択的に除去し得ることが当業者に知られている除去の容易な基を意味する。N−保護基の使用は、合成手順中の望ましくない反応に対して基を保護することが当業者に知られており、そのような保護基が例えば、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts著,Protective Groups in
Organic Synthesis,第2版,John
Wiley & Sons,ニューヨーク在(1991年);において知られている。N−保護基の例は、限定はされないが、アセチル、トリフルオロアセチル、アシルイソチオシアネート、アミノカプロイル、ベンゾイル等を含むアシル基、t−ブチロキシカルボニル(BOC)およびカルボベンジロキシ等を含むアシロキシ基を含む。
【0018】
ここで用いられる「後方異性体」という用語は、式IおよびIVのLおよびDアミノ酸が逆転されたペプチド、すなわちLアミノ酸がDアミノ酸に置換され、Dアミノ酸がLアミノ酸に置換されたペプチドを意味する。
【0019】
ここで用いられる「逆後方異性体」という用語は、(i)式IおよびIVのLおよびDアミノ酸が後方異性体におけるように逆転され、(ii)N末端からC末端に読んだとき、配列が逆になっているペプチドを意味する。逆後方異性体の例は式IIIのものである。「逆後方異性体」という用語は、そのような異性体の断片を含む。
【0020】
「薬学的に許容できる塩」は、健全な医学的判断の範囲において、ヒトおよび下等動物の組織に、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく接触して用いるのに適しており、合理的利益/危険比に相当するものを意味する。薬学的に許容できる塩は、当業者が良く知っている。例えば、S.M.Bergeらが、J.Pharmaceutical Sciences,1977年,第66巻:1〜19頁において薬学的に許容できる塩を詳細に記載している。これらの塩は、本発明の化合物の最終的単離および精製中にその場で調製または、別途、遊離塩基を適当な有機酸と反応させることにより調製することができる。典型的酸付加塩は、酢酸塩、アピジン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロ燐酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨー化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パミン酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、燐酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉酸塩等を含む。典型的アルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マンガン塩等、ならびに限定はされないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含む非毒性アンモニウム塩、4級アンモニウム塩およびアミンカチオンを含む。
【0021】
ここで用いられる「薬学的に許容できるエステル」という用語は、生体内で加水分解するエステルを意味し、ヒトの体内で容易に分解して親化合物またはその塩を放出するものを含む。適当なエステル基は、例えば、薬学的に許容できる脂肪族カルボン酸、特に、アルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸から誘導されるものを含み、ここでアルキルまたはアルケニル部分は6個未満の原子を有することが有利である。特定のエステルの例は、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルを含む。
ここで用いられる「薬学的に許容できるプロドラッグ」という用語は、深遠な医学的判断の範囲において、ヒトおよび下等動物の組織に、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく接触して用いるのに適しており、合理的利益/危険比に相当し、意図する用途に効果的なものを意味し、可能な場合は本発明の化合物の両性イオン性物を意味する。「プロドラッグ」という用語は、例えば、血液内での加水分解により、生体内において迅速に変化して前記式で示される親化合物を産出する化合物を意味する。充分な説明が、T.HiguchiおよびV.Stella著,Pro−drug as Novel Delivery Systems,A.C.S. Synmposium Series.の第14巻およびEdward B.Roche.編,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987年になされており、いずれもここで参考として取り込む。
【0022】
接頭辞“D”で示さない限りは、この明細書および付属の請求項で説明されるペプチドにおけるアミノ酸およびアミノアシル残基のα炭素の立体配座は、本来の構造か、または“L”で示す構造となる。Caln−Ingold−Prelogの“R”および“S”で示す名称は、本発明におけるペプチドのN末端部においてアシル置換基中の特定の位置にあるキラル中心の立体配座を特定するために使用される。“R,S”なる名称は、たがいに鏡像体構造をなす2つのラセミ体の混合物を指すことが意図される。この命名法は、R.S.Caln,et.al.,Angew,Chem.Int.Ed.Engl.,5,385−415(1966)に従っている。
ほとんどの場合、本発明において使用されている自然発生型または非自然発生型のアミノアシル残基は、邦題「α−アミノ酸の命名法(推奨、1974年)」(原著:“Nomenclature of α−Amino Acids(Recommendadations.1974)”Biochemistry,,14(2),(1975)に説明されている「有機化学の命名法に関するIUPAC委員会と生化学命名法に関するIUPAC−IUB委員会」から提案されている命名上の慣例に習っている。本発明およびこれに付属する請求項において扱われるアミノ酸およびアミノアシル残基の名称ならびに略号に限っていえば、これらの委員会からの提案とは異なっており、以下に示すように、読者に対して明確にされる。
【0023】
ペプチドの生物学的機能を実質的に変化させることなくポリペプチドの構造を修飾または変化させることが可能なことは、当技術分野において周知である。たとえば、該当する特定のアミノ酸類において、その機能をいかなる程度であっても損うことなく別のアミノ酸と置換することが可能である。このように構造を変化させる点において、互いに比較的類似している側鎖置換状態にある置換物、たとえば、大きさ、電荷、疎水性、親水性等の点で、たがいに類似した置換物の間で、このようなアミノ酸残基の置換を行うことが可能である。
【0024】
本発明において参考文献として取り込まれる米国特許第4,554,101号に示すように、以下の疎水性値がアミノ酸残基に割り当てられている。Arg(+3.0):Lys(+3.0);Asp(+3.0);Glu(+3.0);Ser(+0.3);Asn(+0.2);Gln(+0.2);Gly(0);Pro(−0.5);Thr(−0.4);Ala(−0.5);His(−0.5);Cys(−1.0);Met(−1.3);Val(−1.5);Leu(−1.8);Ile(−1.8);Tyr(−2.3);Phe(−2.5)およびTrp(−3.4)である。アミノ酸残基は、類似の(プラスマイナス2.0以内の)親水性値を有する別のアミノ酸残基と置換でき、生物学的に等価のポリペプチドを得られることが理解される。
【0025】
同様に、ヒドロパシー係数が互いに近似していることを基本とした置換が可能である。各々のアミノ酸残基には、その疎水性と電荷の特徴を基としてヒドロパシー係数が割り付けられている。それらのヒドロパシー係数値は、Ile(+4.5);Val(+4.2);Leu(+3.8);Phe(+2.8);Cys(+2.5);Met(+1.9);Ala(+1.8);Gly(−0.4);Thr(−0.7);Ser(−0.8);Trp(−0.9);Tyr(−1.3);Pro(−1.6);His(−3.2);Glu(−3.5);Gln(−3.5);Asp(−3.5);Asn(−3.5);Lys(−3.9)およびArg(−4.5)である。ヒドロパシー係数値に基づく置換を実施するさいは、プラスマイナス2.0以内の数値で実施することが望ましい。
【0026】
本発明の範囲内で意図される化合物は、以下の化合物を含むが、これらに限定されない。
【0027】
【化1】




【0028】
内皮細胞の移入に関する発明の化合物が及ぼす効果
内皮細胞の移入に関する本発明のペプチドが及ぼす効果を、内皮細胞移入アッセイを使用してin vitroで測定した。このアッセイは、本質的にはPolverini,P.J.et.al.,Methods Enzymol.198:440−450(1991年)に記述されたものであった。簡潔にいうと、ウシ毛細管(副腎)内皮細胞(略号BCE、ハーバード大学医学部のJudah folkman氏より供与)を0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有DMEM中で一晩飢餓状態においた。ここで細胞をトリプシン処理によって回収し、0.1%BSA含有DMEM中に再度懸濁して細胞濃度を1.5X10Cells/mlとした。この細胞を、48穴の修飾Boydenチャンバー(Nucleopore Corporation.Cabin John.MD)の底部へ添加した。このチャンバーを組み立てて反転させ、0.1%ゼラチンで一晩洗浄しておいたポリカーボネート走化性膜(膜孔サイズは5μm)に37度で2時間付着させて乾燥した。このチャンバーを再度反転させて被験化合物をチャンバーの上層へ(総容量を50μlとして)添加し、この装置を37度で4時間培養した。膜を除去し、固定してから(DiffQuick、Fisher Schientitic、Pittsburgh、PAで)染色し、チャンバーの上層へ移入した高電場10箇所あたりの細胞数を計数した。DMEM+0.1%BSAにおけるバックグラウンドの移入値を差し引いて、高電場10箇所あたりの移入細胞数(x400)としてデータを報告するか、または複数回の実験を組み合わせた数値として報告し、同様の陽性対照に比較した最大移入値の百分率として示した。本発明における化合物は、表1に示すように細胞移入を阻害する。
【0029】
【表1】

【0030】
ラット角膜の血管新生アッセイを使い、in vivoにおける血管新生阻害を測定した。これにより、ペプチドのみを含有する6%ハイドロンペレット、または0.15ΜbFGF共存下のペプチドを、ラットの角膜から1−1.5mm離れた位置に移植し、7日目にラットを屠殺して、コロイド状カーボンを還流させて血管を目視可能にし、角膜を摘出した。活発な血管内皮の陥入を陽性の血管新生反応として記録した。誘導対照により、0.15bFGF単独への反応が認められた。陰性対照は0.1%BSAに対して実施したが、血管の陥入誘導は認められなかった。本発明における化合物がもたらす血管新生阻害を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
本発明の化合物(実施例で特定された化合物を非限定的に含む)は抗脈管形成活性を有する。このような化合物は、脈管形成阻害剤として、原発性および転移性固体腫瘍(胸、大腸、直腸、肺、口腔咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢及び胆管、小腸、尿管(腎臓、膀胱およびウロセリウムを含む)、女性生殖系(子宮頚部、子宮及び卵巣、並びに絨毛膜癌および妊娠栄養芽層疾患を含む)、男性生殖系(前立腺、精嚢、精巣、性細胞癌)、内分泌腺(甲状腺、副腎および下垂体を含む)及び皮膚の癌、血管腫、メラノーマ、サクローマ(骨及び軟組織由来のもの並びにカポジ肉腫を含む)および脳、神経、目、髄膜(星細胞腫、グリオーム、グリオーム性芽腫、レチノ芽腫、神経芽腫、神経鞘腫および髄膜腫を含む)の癌を含む)の両方の治療に有用である。かかる化合物は、白血病(例えば緑色腫、骨髄腫及び真菌症ポリープのプラーク及び腫瘍、皮膚性T細胞リンパ腫/白血病)のような造血性悪性腫瘍に由来する固体腫瘍並びにリンパ腫(ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫の両方)の治療にも有用である。加えて、これらの化合物またはこれらの発現をコードする遺伝子は単独で又は放射線治療及び/又は他の化学治療剤と組合わせて、上記腫瘍から転移を防止するのに有用であろう。
【0033】
更なる用途は自己免疫性疾患(例えばリューウマチ、免疫性及び変性関節炎;各種眼病(糖尿性網膜症、早期網膜症、網膜移植拒絶、水晶体線維組織形成、新生血管緑内障、血管新生、黄斑変性による網膜新生血管侵入、低酸素症、感染又は手術介在に関連する目の脈管形成及びその他の目の異常新生血管侵入症状;乾せんのような皮膚病;ヘマジオーマのような血管疾患及び動脈硬化プラーク内の毛細血管増殖;オスラー−ウェーバー症候群;心筋脈管形成;プラーク新生血管侵入;毛細血管拡張症;血友病性関節、腺維性血管腫及び創傷顆粒の治療及び予防を含む。その外の用途は内皮細胞の過剰又は異常刺激を特長とする疾患(非限定的に腸癒着、クローン疾患、動脈硬化症、強皮症、及びケロイドのような搬痕ケロイドを含む)の治療を含む。他の用途は排卵及び胎盤確立の阻害による産児制限剤である。本発明の化合物は猫の引っ掻き病(Rochele minalia quintosa)のような病的症状としての脈管新生を有する疾患の治療に有用である。本発明の化合物は特に切除可能な腫瘍のために手術前投与して出血を減少するのにも有用である。
【0034】
本発明の化合物は疾患治療用の他の組成物および手順と組合わせて使用し得る。例えば、腫瘍は本発明のペプチドと組合わせた手術、放射線又は化学療法により都合よく処置し得、次いで本発明のペプチドはミクロ転移の休止状態を延長するためおよび全ての残留原発性腫瘍の成長を安定化及び阻害するために患者に引き続き投与し得る。さらに、本発明の化合物は医薬的に許容可能な賦形剤及び任意に徐放性マトリクス(例えば生分解性ポリマー)と組合わせて医薬組成物としえる。
【0035】
本明細書では徐放性マトリクスは、酵素的又は酸−塩基加水分解により又は溶解により分解可能な材料(通常ポリマー)で作られたマトリクスである。マトリクスは体内に一旦挿入されると、酵素および体液によって作用をうける。好ましい徐放性マトリクスはリポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸ポリマー)、ポリアクチドコグリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸(例えばフェニルアラニン、チロシン、イソロイシン)、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドン及びシリコーンのような生体相容性材料から選択される。好ましい生分解性マトリクスはポリ乳酸、ポリグリコリド、及びポリ乳酸コグリコリド(乳酸とグルコール酸のコポリマー)の一つのマトリクスである。
【0036】
上記または他の治療で使う時、治療有効量の本発明の化合物の一つを純粋な形で又はそのような形態が存在する場合には、医薬的に許容可能な塩の形態で使うことができる。「治療有効量」の本発明化合物の一つとは、いかなる医療処置にも適用できる合理的な効果/危険比において脈管形成疾患を治療するのに充分(例えば腫瘍成長の制限又は腫瘍転移の抑制又は遮断)な量の化合物を意味する。しかし、化合物の一日当たりの総投与量は関係する医師による根拠のある医療判断により決定されることが理解されるであろう。それぞれの患者に対する特定の治療有効投与レベルは治療すべき障害、障害の程度;用いる特定の化合物の活性;用いる組成;患者の年齢、体重、健康状態、性別、食事;投与時間;投与経路;および用いる特定化合物の排泄速度;治療期間;使用特定化合物と組合わせて又は同時に用いる薬剤を含む各種要因並びに医療分野で周知の同様な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要な投与量より低い投与量で開始し、所望の投与量が得られるまで徐々に投与量を増加することは当業者の技術の範囲内である。
【0037】
本発明の化合物は無機又は有機酸から誘導した塩の形態で使用し得る。非限定的に、これらの塩はアセテート、アジペート、アルギネート、シトレート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゾスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、カンホレート、カンホスルホネート、ジグルコネート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロアイオダイド、2―ヒドロキシーエタンスロホネート、(イセチオネート)、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、ニコチネート、2−ナフタレンスルホネート、オキサレート、パモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タータレート、チオシアネート、ホスフェート、グルタメート、ビカーボネート、p−トルエンスルホネート、及びウンデカノエートを含む。水又は油溶性又は分散性産物もこれから得られる。
【0038】
医薬的に許容可能な酸付加塩を形成するのに用いる酸の例は無機酸(塩酸、硫酸、及び燐酸)及び有機酸(マレイン酸、こはく酸、クエン酸)を含む。その他の塩はアルカリ金属、又はアルカリ土類金属(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウム)との又は有機ベースとの塩を含む。本発明の化合物の好ましい塩はホスフェート、トリス及びアセテートである。
【0039】
本発明の化合物のヒト又は下等動物への一日当たりの総投与量は患者体重/日当たり約0.001〜約1 mg/kgである。もし望ましければ、効果的な一日投与量を投与の目的に応じて複数回投与量に分割してもよい。従って、単一投与組成物はこのような量又は一日投与量を作り上げるサブ多数回量を含んでもよい。
【0040】
または、本発明の化合物は目的の化合物を一つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤と組合わせて含む医薬組成物として投与し得る。医薬的に許容可能なキャリアまたは賦形剤とは全てのタイプの無毒性固体、半固体又は液体フィラー、希釈剤、カプセル化材料又は配合助剤を意味する。組成物は非経口、くも膜内、膣内、腹膜間、局所的(粉末、軟膏、ドロップ又は経皮パッチによるような)、直腸的、又は口腔的に投与し得る。用語「非経口」は静脈内、筋肉内、腹膜内、胸骨内、皮下及び関節内注射又は点滴を含む投与方法を示す。
【0041】
非経口注射のための医薬組成物は医薬的に許容可能な無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、並びに使用直前に無菌注射可能溶液を再構成するための無菌粉末を含む。適切な水性又は非水性キャリア、希釈剤、溶剤、またはビヒクルには水、エタノール、ポリオール(グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、カルボキシメチルセルロース及びこれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油、エチルオレエートのような注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーチング材料の使用により、分散物の場合は必要な粒子径を保持することにより、及び表面活性剤の使用により維持し得る。
【0042】
これらの組成物は保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤のようなアジュバントも含み得る。微生物の活動を防止することは各種抗細菌剤および抗かび剤(例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等)の封入によって達成し得る。等張剤(糖、塩化ナトリウム等)を含むことも好ましい。注射可能医薬形態のより延長された吸収は吸収を遅らせる薬剤(例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチン)を加えることによってもたらされる。
【0043】
注射可能デポー形態は生分解性のポリマー(例えばポリラクチドーポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物))中の薬剤のミクロカプセルマトリクスを形成することにより製造される。薬剤とポリマーの比率および用いる特定のポリマーの性質により、薬剤の放出速度は調整し得る。注射可能デポー配合物は薬剤を体組織と相容性のリポソーム又はミクロエマルジョン中に封入することによっても製造し得る。
【0044】
注射可能配合物は例えば細菌保持フィルターによるろ過又は使用直前に殺菌水又はその他の殺菌注射可能媒体中に溶解又は分散し得る殺菌固体組成物の形態の殺菌剤を加えることによって殺菌し得る。
【0045】
局所投与には、肺及び眼への表面を含む、皮膚又は粘膜への投与が含まれる。局所投与のための組成物は、吸入のための組成物を含み、加圧されていてもされていなくともよい乾燥粉末として調製してもよい。加圧されていない粉末組成物においては、微細に分割された形態の活性成分は、例えば直径100μmまでの粒子サイズを含むより大きなサイズの医薬的に許容される不活性担体との混合物として用いてもよい。適切な不活性担体としてラクトース等の糖が含まれる。少なくとも重量比95%の活性成分粒子が0.01から10μmの範囲の有効粒子サイズを有していることが望ましい。
【0046】
代替として、組成物が加圧され、窒素ガスまたは液化ガス推進剤のような加圧ガスを含有していてもよい。この液化推進剤媒体や実際の全体の組成物は、活性成分が実質的な範囲でそこに溶け込まないようなものが好ましい。加圧組成物はまた、液体もしくは固体の非イオン界面活性剤または固体陰イオン界面活性剤であってもよい、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0047】
局所投与のさらなる形態は眼への投与である。本発明の化合物は、医薬的に許容される目薬ビヒクル中にて、角膜及び目の内部領域(例えば前眼房、後眼房、硝子体、房水、硝子体水、角膜、虹彩/毛様体、レンズ、脈絡膜/網膜および強膜)に浸透するのに十分な時間この化合物と目表面との接触が保たれるように、送達される。医薬的に許容される目薬ビヒクルは、例えば軟膏、植物油または封入材料であってもよい。あるいは、本発明の化合物は硝子体水および房水に直接注射してもよい。
【0048】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは座薬である。座薬は、本発明の化合物と、室温では固体であって体温では液体でありしたがって直腸または膣腔において溶けて活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールもしくは座薬ワックスのような非刺激性賦形剤または担体とを、混合することによって調製してもよい。
【0049】
本発明の化合物は、また、リポソームの形態で投与してもよい。当分野でよく知られているように、リポソームはリン脂質または他の脂質物質から一般に誘導される。リポソームは、水性媒体中に分散されている単層または多層水和結晶として形成されている。非毒性であって、生理学的に許容され、代謝され得る、且つリポソームを形成することができるいかなる脂質も使用することができる。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤およびその他を含むことができる。好ましい脂質は、天然および合成の、ホスフォリピド、ホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は当分野で知られている(例えば、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, XIV巻、Academic Press, New York, N.Y.(1976), p.33からを参照)。
【0050】
本発明の化合物は、単一の医薬活性剤として投与することができるが、また、血管形成関連症(angiogenic disease)の治療のために患者に慣用的に投与されている一つまたはそれ以上の薬剤と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明の化合物は、腫瘍を短期期間に化学薬剤および放射線治療のような伝統的細胞毒性治療に対しより感受性にするために効果的である。本発明の化合物はまた、現存する細胞毒性アジュバント抗癌治療の効果を増強する。本発明の化合物はまた、その効果を増すために他の抗血管形成剤と組み合わせてもよいし、他の抗血管形成剤と組み合わせて他の細胞毒性薬剤と共に投与してもよい。特に、固形腫瘍の治療に使用されるときは、本発明の化合物は、IL−12、レチオノイド、インターフェロン、アンジオスタチン、エンドスタチン、サリドマイド、トロンボスポジン−1、トロンボスポジン−2、カプトプリル、α−インターフェロンのような抗腫瘍剤、COMP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、メトトレキセートおよびプレドニソン)、エトポシド、mBACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびデキサメタソン)、PRO−MACE/MOPP(プレドニソン、メトトレキセート(ロイコビン救助と共に)、ドキソルビシン、シクロホスファミド、タキソール、エトポシド/メクロレサミン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、血管形成阻害剤、TNP−470、ペンタサンポリサルフェート、血小板因子4、アンジオスタチン、LM―609、SU―101、CM―101、テクガラン、サリドマイド、SP―PG等と共に投与してもよいし、放射線と共に投与してもよい。
【0051】
ヒトまたは他の哺乳動物宿主に単一または分与して投与される、本発明の化合物の日々の全投与量は、例えば、0.0001から300mg/kg体重であり、より通常1から300mg/kg体重である。
【0052】
血管形成関連症の阻害、治療または予防のために本発明の化合物と組み合わせることができる薬剤は、上述のものに制限されるものではなく、原則として血管形成関連症の治療または予防のために有用ないかなる薬剤も含まれることが理解されよう。
【0053】
本発明のペプチドは、例えば培養内皮細胞中の、本発明のペプチドの血管形成活性に関連するレセプター(例えばTSP−1レセプター)の単離のためのアフィニティーカラムの開発のために使用してもよい。この分野でよく知られているように、
レセプターの単離、精製の後に、アミノ酸配列が決定されて、このレセプターをコードするポリヌクレオチドが特定および単離される。このレセプターの組換え発現は大量のレセプターの生産を可能にし、例えば他の血管形成阻害剤を特定するための時間高処理スクリーニングアッセイでの使用に十分な量の、生産を可能にしよう。
【0054】
本発明のペプチドは、アイソトープ、酵素、キャリアータンパク質、細胞毒性薬剤、蛍光分子、化学発光物質、生物発光物質および他の化合物と、多様な用途のために、化学的に結合させともよい。例えば、ペプチドの抗血清との結合能力または関連するレセプターを有する細胞型の検出能力のテストを容易にするように、ペプチドは標識してもよい。結合方法は、通常、これに制限されないが、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシル、アミド、フェノールおよびイミダゾールを含む、ペプチドのアミノ酸上の官能基に基づいて選択される。このような結合を行うために使用される種々の試薬には、とりわけ、グルタルアルデヒド、ジアゾ化ベンジジン、カルボジイミドおよびp−ベンゾキノンが含まれる。
【0055】
結合反応の効率は、特定の反応について適した、異なった方法を使用して決定される。例えば、I125を用いるペプチドの放射標識は、クロラミンTと高比活性のNaI125を用いて達成される。この反応は、ピロ亜硫酸ナトリウムにより停止され、反応混合物は使い捨てカラム上にて脱塩される。標識されたペプチドは、このカラムから溶離され、分画が収集される。一部を各分画から取り、ガンマカウンターを用いて放射活性を測定する。この方法により、未反応のNaI125を含まない標識されたペプチドを得ることができる。
【0056】
本発明のペプチドはまた、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成するための抗原として使用することができる。このような抗体は、体液または組織における本発明のペプチドまたはそれに関連するペプチドを検出または定量するための診断方法およびキットに使用することができる。これらテストの結果はそのようなペプチドの予後の関連を診断しまたは測定するために使用することができよう。
【0057】
マウス、ウサギまたはヒツジのような動物においてモノクローナル抗体を生成するための本発明のペプチドの使用は、この分野によく知られている方法に従う。望むならば、次に抗体は抗イジオタイプ抗体を形成するために使用することができ、それは、この分野で知られているように、次に免疫学的応答を阻止するためにヒト化することができる。ヒト化された抗体は血管形成を阻害するために、あるいはここに述べられているようにレセプターを検出するために、使用することができる。
【0058】
ウサギ、ヒツジ、ヤギまたは他の動物においてポリクローナル抗血清を生産するために、本発明のペプチドは、例えばリジン残基を介して、グルタルアデヒドを使用して精製したウシ血清アルブミンに結合される。この反応の効率は放射標識されたペプチドの導入を測定することにより決定することが可能である。未反応のグルタルアルデヒドとペプチドは透析により分離することができ、複合体は次の使用のために保存される。
【0059】
ポリクローナル血清の生成からの血清サンプルまたはモノクローナル抗体生産からの培地サンプルは、抗体力価の測定のために、特に高力価抗血清の決定のために分析されてもよい。次いで、最高の力価の高血清は、次のこと、a)抗原の最高の特異的結合と最低の非特異的結合のための抗血清の最適希釈、b)標準置換曲線におけるペプチドの増加量に結合する能力、c)免疫学的に関連するペプチドまたはタンパク質(プラスミノーゲン、TSP―1およびTSP―1の関連種を含む)との潜在交差反応性、およびd)血漿、尿、組織および細胞培養培地の抽出物中の本発明のペプチドを検出する能力、を確定するためにテストしてもよい。
【0060】
力価は、ドットブロットおよび密度分析、ならびにプロテインA、二次抗血清、冷エタノールまたは木炭−デキストランを用いる放射標識されたペプチドー抗体の沈澱と続いてのガンマカウンターを用いる測定等のこの分野においてよく知られているいくつかの方法により、確定することができる。望むならば、最高力価の抗血清はアフィニティカラムにより精製してもよい。例えば、本発明のペプチドは市販の樹脂と結合させてアフィニティカラムを作るために使用してもよい。抗血清サンプルを次いでそのカラムを通過させ、本発明のペプチドに対する抗体がカラムと結合(ペプチドを介して)する。この結合した抗体は次いで溶離され、集められ、そして力価と特異性決定の評価がされる。
【0061】
本発明の化合物の測定のためのキットも本発明の部分として意図されている。最高の力価と特異性を有し、血漿、尿、組織および細胞培養培地中の本発明のペプチドを検出できる抗血清は、本発明のペプチドの、迅速、確実、高感度および特異的測定と局在分析のためのキットを確立するために使用することができる。これらのアッセイキットは、次の技術(これに限定されないが)、競合および非競合アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、生物発光および化学発光アッセイ、蛍光アッセイ、サンドイッチアッセイ、免疫放射アッセイ、ドットブロット、エンザイムリンクドアッセイ(ELISAを含む)ミクロタイタープレート、尿または血液の迅速モニターのための抗体被覆ストリップまたはディップスティック、および免疫細胞化学、に使用できる。各のキットについての、アッセイの限度、感度、精度、信頼度、特異性および再現性は、この分野においてよく知られている方法により確立することができる。
【0062】
上に述べたキットは、指示書、抗血清、本発明のペプチドの一つまたはそれ以上、そして多分標識されたペプチドおよび/または結合ペプチド/抗体複合体の沈澱のための試薬を備えていよう。このようなキットは、この分野でよく知られているように、腫瘍を有しあるいは有していない動物またはヒトの生物体液および組織抽出物中の本発明のペプチドの測定のために使用することができる。
【0063】
他のキットを、組織または細胞中の本発明のペプチドを可視化したり存在位置を定めるために使用してもよい。このような技術を使用する、例えば免疫組織化学技術およびキットがこの分野においてよく知られている。そのようなキットは、本発明のペプチドへの抗血清、ならびに多分ブロッキング血清および(イソチオシアン酸フルオレセイン等の蛍光分子または第一次抗体を可視化する他の試薬に結合された)第二次抗血清を備えている。この方法を用いて、切除腫瘍のペプチド産生の場所またはペプチドレセプターの場所を調べることができよう。代替として、あるキットは、本発明の化合物をコードするメッセンジャーRNAのその場プローブハイブリダイゼーションの使用のための放射標識核酸を供給しよう。
【0064】
ペプチドの合成
本発明のペプチドは、当業界で公知の任意の方法で合成し得る。固相ペプチド合成に関しては、多くの合成法の概要が、J.M.Stewart及びJ.D.Young「Solid Phase Peptide Synthesis」W.H.Freeman Co.(サンフランシスコ)(1963年)、及び、J.Meienhofer「Hormonal Proteins and Peptides」第2巻、第46頁、Academic Press(ニューヨーク)(1973年)に記載されている。伝統的な溶液合成法に関しては、G.Schroder及びK.Lupke「The Peptides」第1巻、Academic Press(ニューヨーク)(1965年)を参照されたい。
【0065】
一般に、これらの方法は、伸長するペプチド鎖に1個以上のアミノ酸又は1個以上の適宜保護されたアミノ酸を連続的に付加することを含む。通常、第1アミノ酸のアミノ基又はカルボキシル基を適当な保護基で保護する。次いで、アミド結合を形成するのに適する条件下に適当に保護された相補的(アミノ又はカルボキシル)基を有する次のアミノ酸を順番に付加することにより、保護された又は誘導体化されたアミノ酸を溶液状で利用し得るか、又は、不活性固体支持体に結合させ得る。次いで、この新たに付加されたアミノ酸残基から保護基を除去し、(適当に保護された)次のアミノ酸を付加させる。適当な順序で全ての所望アミノ酸を結合した後、残留する全ての保護基(及び全ての支持体)を連続的に又は同時に除去して最終的なポリペプチドを得る。この一般的な合成法を僅かに変更することで、伸長するペプチド鎖に一度に2個以上のアミノ酸を付加し得る。例えば、保護されたトリペプチドに適当に保護されたジペプチドを(キラル中心をラセミ化しない条件下に)結合させて、脱保護後ペンタペプチドを得ることができる。
【0066】
本発明の化合物を調製する特に好ましい方法は、固相ペプチド合成法を使用する方法である。
【0067】
この特に好ましい方法においては、α−アミノ基を酸若しくは塩基感受性基で保護する。その様な保護基は、ペプチド結合形成条件下において安定でありながら、同時に、伸長するペプチド鎖を破壊したり当該ペプチド鎖に含まれるキラル中心をラセミ化したりすることなく容易に除去し得るという特性を有さなくてはならない。適する保護基は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、(α,α)ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロフェニルスルフェニル、2−シアノ−t−ブチルオキシカルボニル等である。9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基が好ましい。
【0068】
リシン及びアルギニンの側鎖アミノ基を保護する為の特に好ましい側鎖保護基は、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(pmc)、ニトロ、p−トルエンスルホニル、4−メトキシベンゼンスルホニル、Cbz、Boc及びアダマンチルオキシカルボニルであり、チロシン用の特に好ましい側鎖保護基は、ベンジル、o−ブロモベンジルオキシカルボニル、2,6−ジクロロベンジル、イソプロピル、t−ブチル(t−Bu)、シクロヘキシル、シクロペンチル及びアセチル(Ac)であり、セリン用の特に好ましい側鎖保護基は、t−ブチル、ベンジル及びテトラヒドロピラニルであり、ヒスチジン用の特に好ましい側鎖保護基は、トリチル、ベンジル、Cbz、p−トルエンスルホニル及び2,4−ジニトロフェニルであり、トリプトファン用の特に好ましい側鎖保護基はホルミルである。
【0069】
固相ペプチド合成法においては、C−末端アミノ酸を、適当な固体支持体又は樹脂に結合させる。上記合成法に有用な適する固体支持体は、段階的な縮合反応−脱保護反応で使用する試薬及び当該反応条件に対して不活性であり、且つ、使用する媒体に不溶である材料から成るものである。C−末端カルボキシペプチドの合成に使用する為の好ましい固体支持体は、4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル−コポリ(スチレン−1%ジビニルベンゼン)である。C−末端アミドペプチドの合成に使用する為の好ましい固体支持体は、Applied Biosystemsから入手可能な、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂である。
【0070】
C−末端アミノ酸を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)又はO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を用いて、同時に、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)又はビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCl)を用いて若しくは用いずに、ジクロロメタン又はDMFのような溶媒中、10〜50℃の温度での約1〜約24時間のカップリングを介して、樹脂に結合させる。固体支持体が4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂である場合、Fmoc基を第2級アミン(好ましくはピペリジン)で切断し、その後、上述の様に、C−末端アミノ酸を結合させる。脱保護された4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂への好ましい結合方法は、DMF中のO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1当量)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)を使用する方法である。
【0071】
連続する保護アミノ酸の結合は、当業界で公知の全自動ポリペプチド合成装置中で実施し得る。好ましい実施態様においては、伸長するペプチド鎖のアミノ酸のα−アミノ基をFmocで保護する。伸長するペプチドのN−末端側鎖のFmoc保護基は、第2級アミン(好ましくはピペリジン)で処理することにより除去する。次いで、各保護アミノ酸を約3倍モル過剰量で導入し、好ましくは、カップリングをDMF中で生起させる。カップリング試薬は、通常、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1当量)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。
【0072】
固相合成法の最後において、一連の操作又は1回の操作により、ポリペプチドを樹脂から分離し、脱保護する。ポリペプチドの分離及び脱保護は、例えば、チオアニソール、水、エタンジチオール及びトリフルオロ酢酸等の切断試薬で樹脂に結合したポリペプチドを処理することにより、1回の操作で実施し得る。
【0073】
ポリペプチドのC−末端がアルキルアミドである場合、アルキルアミンを用いたアミノリシスにより樹脂を切断する。あるいは、例えばメタノールでのエステル交換反応及びその後のアミノリシス、又は、直接的アミド交換反応により、ペプチドを分離し得る。保護されたペプチドを、この段階で精製し得るか、又は、直接次の段階で使用し得る。側鎖保護基は、上記切断用液を使用して除去し得る。
【0074】
完全に脱保護されたペプチドを、以下に示す全ての又は任意のタイプを使用する一連のクロマトグラフィー操作により精製し得る。アセテート形態の弱塩基性樹脂でのイオン交換;非誘導体化ポリスチレン−ジビニルベンゼン(例えば、AMBERLITE(登録商標)XAD)での疎水性吸着クロマトグラフィー;シリカゲル吸着クロマトグラフィー;カルボキシメチルセルロースでのイオン交換クロマトグラフィー;例えばSEPHADEX(登録商標)G−25,LH−20での分配クロマトグラフィー又は向流分配;高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、特に、オクチル−若しくはオクタデシルシリル−シリカ結合相カラムでの逆相HPLC。
【0075】
以下の実施例により、本発明の新規化合物の調製を更に説明する。
切断試薬の調製
以下に示す順序で、チオアニソール(100μL)、水(50μL)、エタンジチオール(50μL)及びトリフルオロ酢酸(1.8mL)を混合して切断試薬(2mL)を調製する。新たに調製した混合物を−5℃〜−10℃に冷却して、以下に示す様に使用する。
切断手順
樹脂結合ポリペプチドと切断試薬の混合物を0℃で10〜15分間撹拌し、次いで、周囲温度で更に1.75時間撹拌する。各アルギニンの添加につき、時間を0.5時間づつ総時間3時間まで増加させる。使用する切断試薬の量は、以下の様に決定する。
【0076】
樹脂重量(mg) 切断試薬の量(μL)
0−10 100
10−25 200
25−50 400
50−100 700
100−200 1200
【0077】
次いで、樹脂を濾去し、純粋なトリフルオロ酢酸で濯ぐ。濾液を、約8mLの冷ジエチルエーテルを含有する遠心分離管に0.5mLづつ添加する。添加した懸濁液を遠心分離して上清をデカントする。ペレットを約8mLのエーテルに再懸濁して、更に0.5mLの濾液を加える。ペプチドが全て沈殿するまで前記操作を繰り返す。濾液の沈殿物をエーテルで洗浄し、脱水し、及び凍結乾燥する。
【0078】
エーテルに添加してもペプチドが沈殿しない場合、当該混合物を30%酢酸水溶液と一緒に振盪する。次いで、有機相を30%酢酸水溶液で2度抽出し、併せた水性抽出物を凍結乾燥する。
【実施例1】
【0079】
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
Perkin Elmer/Applied Biosynthesis SYNERGY(登録商標) ペプチド合成機のペプチド合成カラム位置に、Arg(Pmc)ペプチド合成カラム(25μMアミノ酸;Applied Biosystems)を置く。アミノ酸を、以下の合成サイクルに従い順次加える:
0. DMFを用いて約5分間樹脂を溶媒和させる;
1. 約15分間、DMF中ピペリジンを用いて、α−アミノ酸官能基からFmoc基を除去するために脱ブロックすること;
2. DMFで約15分間洗浄すること;
3. DMSO−NMP(N−メチルピロリドン)中のHBTU(75μM)とHOBT(75μM)の0.2M溶液、及びDMSO−NMP中のジイソプロピルエチルアミン(150μM)の0.4M溶液を用いて、入ってくるFmoc保護アミノ酸(75μM)を活性化すること;
4. 工程3で製造された活性化Fmoc保護アミノ酸のDMF溶液を用いて約30分間カップリングさせること;及び
5. DMFで約5分間洗浄すること。
【0080】
記載した条件を用いて、以下の順序でアミノ酸を樹脂にカップリングさせる。
【0081】
【表3】

【0082】
合成が完了すると、樹脂をTHFで約5分間洗浄し、DMFを除去し樹脂を収縮させる。次いで樹脂を約10分間アルゴンで、更に10分間窒素でガス乾燥し、樹脂結合ペプチド(80mg)を得る。
【0083】
上記方法(乾燥樹脂結合ペプチド40mg,切断試薬700μL,切断時間2.5時間)を用いて切断を行い、粗ペプチド(14mg)を得る。50分間の、0.1容量%トリフルオロ酢酸を有する5〜100%アセトニトリル−水のグラジエントで変化する溶媒混合液を用い、7μm Symmetry Prep C18カラム(7.8×300mm)を用いるHPLCによる精製、次いで凍結乾燥により、Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg(5mg)を得る。MS(FAB)m/z986(M+H)
【実施例2】
【0084】
Ac−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
ペプチド合成機中に実施例1で製造した樹脂結合ペプチド40mgを入れ、Fmoc保護アミノ酸の代わりに酢酸(87μM)に置き換えることを除いて上記工程3−5を繰返し、HBTUとHOBT各87μMを用いて、所望のペプチドを製造する。実施例1で記載した切断とHPLC精製(15〜100%アセトニトリル−水のグラジエント)によりAc−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg(4mg)を得た。
【実施例3】
【0085】
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
ペプチド合成機の合成カラムでアミド合成樹脂を用いることを除いて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。記載した条件を用いて、アミノ酸を樹脂にカップリングさせる。
【0086】
【表4】

【実施例4】
【0087】
Ac−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例3で製造した樹脂結合ペプチドを用いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例5】
【0088】
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
工程1
Gly−Asp(Pmc)−Gly−Val−D−Ile−Thr(t−Bu)−Arg(Pmc)−Ile−Arg(Pmc)−NHCHCH
実施例1のように製造したペプチド結合樹脂とエチルアミンの混合液をバイアルに密封し、4時間攪拌する。次いでエチルアミンを蒸発させ、メタノールを残渣に加える。混合液を濾過し、濾液を真空濃縮する。残渣をメタノール−水(3:7)にとり、凍結乾燥し、保護ペプチドを得る。
工程2
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
上記切断試薬と方法を用いて、工程1で製造したペプチドの脱保護により所望の化合物を製造する。
【実施例6】
【0089】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0090】
【表5】

【実施例7】
【0091】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
実施例6のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/z856(M+H)
【実施例8】
【0092】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0093】
【表6】

【実施例9】
【0094】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例8のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/z855(M+H),877(M+Na)
【実施例10】
【0095】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例6の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により、所望のペプチドを製造する。
【実施例11】
【0096】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例7の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例12】
【0097】
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0098】
【表7】

【実施例13】
【0099】
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0100】
【表8】

【実施例14】
【0101】
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例12の樹脂結合ペプチドから、所望の化合物を製造する。
【実施例15】
【0102】
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
実施例2の方法により、実施例12の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例16】
【0103】
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例2の方法により、実施例13の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/z1018(M+H)
【実施例17】
【0104】
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、樹脂結合Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例18】
【0105】
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0106】
【表9】

【実施例19】
【0107】
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0108】
【表10】

【実施例20】
【0109】
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例19の樹脂結合ペプチドから所望のペプチドを製造する。
【実施例21】
【0110】
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
実施例2の方法を用い、実施例18の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例22】
【0111】
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例2の方法を用い、実施例19の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例23】
【0112】
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例21の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例24】
【0113】
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により所望の化合物を製造する。
【0114】
【表11】

【実施例25】
【0115】
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【0116】
【表12】

【実施例26】
【0117】
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例24の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例27】
【0118】
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
実施例2の方法により、実施例24の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例28】
【0119】
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例2の方法により、実施例25の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/z1018(M+H)
【実施例29】
【0120】
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例27の樹脂結合Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例30】
【0121】
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg
4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル樹脂(Applied Biosystems)を用い、記載した条件を用い以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせることを除いて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0122】
【表13】

【実施例31】
【0123】
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NH
実施例30に記載のように樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例32】
【0124】
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例30の樹脂結合ペプチドから所望のペプチドを製造する。
【実施例33】
【0125】
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg
実施例2の方法により、実施例30の樹脂結合ペウチドから所望のペプチドを製造する。
【実施例34】
【0126】
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NH
実施例2の方法を用い、実施例31の樹脂結合Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NHから所望の化合物を製造する。
【実施例35】
【0127】
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例33の樹脂結合Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Argから所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/e855(M+H)
【実施例36】
【0128】
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly
Glyペプチド合成カラムを用い、記載した条件を用い以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0129】
【表14】

【実施例37】
【0130】
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0131】
【表15】

【実施例38】
【0132】
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例36の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例39】
【0133】
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly
実施例2の方法により、実施例36の樹脂結合ペプチドから所望の化合物を製造する。
【実施例40】
【0134】
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NH
実施例2の方法を用い、実施例37の樹脂結合D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NHから所望の化合物を製造する。
【実施例41】
【0135】
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例36の樹脂結合Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Glyから所望の化合物を製造する。MS(FAB)m/e855(M+H)
【実施例42】
【0136】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0137】
【表16】

【実施例43】
【0138】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg
実施例42のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例44】
【0139】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0140】
【表17】

【実施例45】
【0141】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg−NH
実施例44のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例46】
【0142】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに、実施例42の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例47】
【0143】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例43の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ile−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例48】
【0144】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0145】
【表18】

【実施例49】
【0146】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg
実施例48のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例50】
【0147】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【0148】
【表19】

【実施例51】
【0149】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg−NH
実施例50のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例52】
【0150】
Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例48の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例53】
【0151】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例49の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Lys−Arg−Ser−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例54】
【0152】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0153】
【表20】

【実施例55】
【0154】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg
実施例54のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例56】
【0155】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により、所望の化合物を製造する。
【0156】
【表21】

【実施例57】
【0157】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg−NH
実施例56のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例58】
【0158】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例54の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例59】
【0159】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例55の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ser−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例60】
【0160】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により、所望の化合物を製造する。
【0161】
【表22】

【実施例61】
【0162】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg
実施例60のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例62】
【0163】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【0164】
【表23】

【実施例63】
【0165】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg−NH
実施例62のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例64】
【0166】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例60の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により、所望の化合物を製造する。
【実施例65】
【0167】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例61の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Ile−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例66】
【0168】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により所望の化合物を製造する。
【0169】
【表24】

【実施例67】
【0170】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg
実施例66のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例68】
【0171】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【0172】
【表25】

【実施例69】
【0173】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg−NH
実施例68のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例70】
【0174】
Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例66の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例71】
【0175】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例67の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Tyr−Arg−Asn−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例72】
【0176】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により所望の化合物を製造する。
【0177】
【表26】

【実施例73】
【0178】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg
実施例72のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例74】
【0179】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg−NH
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例3の方法により所望の化合物を製造する。
【0180】
【表27】

【実施例75】
【0181】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg−NH
実施例74のように製造した樹脂結合ペプチドを用いることを除いて、実施例2の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例76】
【0182】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg−NHCHCH
実施例1の樹脂結合ペプチドの代わりに実施例72の樹脂結合ペプチドに置き換えることを除いて、実施例5の方法により所望の化合物を製造する。
【実施例77】
【0183】
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Arg−NHCHCH
実施例5の方法を用い、実施例73の樹脂結合Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Asn−Argから所望の化合物を製造する。
【実施例78】
【0184】
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により所望の化合物を製造する。
【0185】
【表28】

【実施例79】
【0186】
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
記載した条件を用い、以下の順序で樹脂にアミノ酸をカップリングさせて、実施例1の方法により所望の化合物を製造する。
【0187】
【表29】

【実施例80】
【0188】
Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg
アミノ酸番号15の代わりにFmoc−D−Ser(tBu)に置き換え、アミノ酸番号14の代わりにFmoc−Ser(tBu)に置き換えることを除いて、実施例79の方法により、所望の化合物を製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−U、
V−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−W、
X−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Y、および
Z−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−U
より成る群の中から選択されるペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。ただし、
Tは存在しないか、またはN−保護基および12個までのアミノ酸残基を含み、場合によりN−保護基を末端にもつポリペプチドの中から選択され、
UはArgおよびArg−NR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水素および炭素原子1〜4個のアルキルの中から選択される)の中から選択され、
Vは存在しないか、またはN−保護基であり、
WはD−ArgおよびD−Arg−NRの中から選択され、
Xは存在しないか、またはN−保護基であり、
YはGlyおよびGly−NRの中から選択され、
Zは1〜12個のアミノ酸残基であり、場合によりN−保護基を末端にもつ(ここで、少なくとも1個のアミノ酸残基はD−アミノ酸残基である)。
【請求項2】

T−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−U
を有する、請求項1に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項3】
UがArgおよびArg−NHCHCHの中から選択される、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項4】
Tが存在しない、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項5】
Tがアセチルである、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項6】
Tが12個までのアミノ酸残基をもち、場合によりアセチルでキャッピングされているペプチドである、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項7】
TがGly−Asp−であり、場合によりアセチルを末端にもつ、請求項6に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項8】
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ac−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ac−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ac−D−Tyr−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ac−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH、および
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
より成る群の中から選択される、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項9】

V−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−W
を有する、請求項1に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項10】
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg、
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NH
Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NHCHCH
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg、
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NH、および
Ac−Gly−D−Val−Ile−D−Thr−D−Arg−D−Ile−D−Arg−NHCHCH
より成る群の中から選択される、請求項9に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項11】

X−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Y
を有する、請求項1に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項12】
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly、
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NH
D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NHCHCH
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly、
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NH、および
Ac−D−Arg−D−Ile−D−Arg−D−Thr−Ile−D−Val−Gly−NHCHCH
より成る群の中から選択される、請求項11に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項13】
製薬上許容可能な担体と共に請求項1記載のペプチドを含む、抗脈管形成療法が必要な患者の治療用組成物。
【請求項14】
抗脈管形成療法が必要な患者に請求項1記載のペプチドを治療上有効な量で投与することからなる患者の治療法。
【請求項15】
製薬上許容可能な担体と共に請求項1記載のペプチドを含む、癌、関節炎、乾癬、感染または手術に関連する目の脈管形成、黄斑変性および糖尿病性網膜症より成る群の中から選択される病気の治療用組成物。
【請求項16】
請求項1記載のペプチドを治療上有効な量で患者に投与することからなる、癌、関節炎、乾癬、感染または手術に関連する目の脈管形成、黄斑変性および糖尿病性網膜症より成る群の中から選択される病気の治療法。
【請求項17】
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH、および
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−D−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
より成る群の中から選択される、請求項2に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項18】

Z−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−U
を有する、請求項1に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項19】
UがArg、Arg−NHおよびArg−NHCHCHの中から選択され、Zが場合によりN−保護基を末端にもつ、請求項18に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。
【請求項20】
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ac−Ser−Pro−Trp−Ser−D−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH
Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
Ac−Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg、
Ac−Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NH、および
Ac−Ser−Pro−Trp−D−Ser−Ser−Ala−Ser−Val−Thr−Ala−Gly−Asp−Gly−Val−Ile−Thr−Arg−Ile−Arg−NHCHCH
より成る群の中から選択される、請求項18に記載のペプチドまたは製薬上許容可能なその塩。

【公開番号】特開2009−1576(P2009−1576A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164055(P2008−164055)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【分割の表示】特願平10−540765の分割
【原出願日】平成10年3月16日(1998.3.16)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【出願人】(508190322)ノースウエスタン・ユニバーシテイ (1)
【Fターム(参考)】