説明

癌および/または腫瘍を治療するためのプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁

【課題】 癌および/または腫瘍を治療するために有効な組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明は、有効量のプレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)の葉汁を含むことを特徴とする腫瘍を治療するための組成物に関する。本発明はさらに、その組成物を生成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌および/または腫瘍を治療するための植物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)(Lour.)Spreng.、コリウス・アンボイニクス(Coleus amboinicus)Lour.、コリウス・アロマチクス(Coleus aromaticus)Benth.、コリウス・クラシフォリウス(Coleus crassifolius)Benth.、プレクトランサス・アロマチクス(Plectranthus aromaticus)(Benth.)Roxb.、コリウス・スガンダ(Coleus suganda)Blanco、コリウス・カルノサス(Coleus carnosus)Hassk.、およびマジャンダ・アンボイニカ(Majana amboinica)(Lour.)Kuntzeの別名でも知られるプレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)は、シソ(Labiatae)属に属し、以下の一般名を有する。野生のルリチシャ(country borage)、キューバンオレガノ、インディアンルリチシャ (borage)、アンボイニ(Amboini)コリウス、フレンチタイム、メキシカンミント、スパニッシュタイム、タオシュウシアン(Tao−shou−hsiang)、およびスープミント。プレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)は、熱帯地方(アフリカ、インド、東南アジア、西インド諸島、メキシコ、近年は米国南部の一部)で、薬用植物、香味野菜、および香辛料として栽培されている。その芳香性の葉は、肉に風味をつける、肉、スープ、魚、地ビールに味をつける、野菜として摂取する、衣類および髪を洗うために使用するために用いられている。プレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)はまた、極東においてその精油のために、ならびに観賞植物として栽培されている。
【0003】
プレクトランサス・アンボイニクスはまた、伝統的な治療において用いられている。例えば、葉を煎じた液(ハチミツで甘味をつけたもの)は、咳および感冒を緩和することができる。さらに、葉を強く摩擦することによって得られた気体は、鼻詰まりを解消するのに役立つ。台湾では、プレクトランサス・アンボイニクスは、局所適用、例えば熱傷、咬傷、白癬、および水腫など、ならびに内服適用、例えば駆風および喘息鎮静などのために広く用いられている。さらに、プレクトランサス・アンボイニクスは、何十年にもわたって、その抗菌および抗真菌性がよく知られている。最近、プレクトランサス・アンボイニクス由来のジテルペンラクトン類、トリテルペン類、およびオレアノール酸が、誘導性COX−1およびCOX−2活性を阻害することによって、動物において炎症反応を阻害することが明らかにされた(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6)。
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0068098号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0076452号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0077350号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0110604号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0108628号明細書
【特許文献6】米国特許第6629835号明細書
【特許文献7】米国特許第5382510号明細書
【特許文献8】米国特許第5840579号明細書
【特許文献9】米国特許第6183964号明細書
【特許文献10】米国特許第6472385号明細書
【特許文献11】米国特許第6531512号明細書
【非特許文献1】Lanni S. Jennifer, Lowe W. Scott, Licitra J. Edward, Liu O. Jun, Jacks Tyler, P53-independent apoptosis induced by paclitaxel through an indirect mechanism, Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol94, September 1997, 9979-9683
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術の文献はいずれもプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁が、癌および/または腫瘍の治療に効果を有することを教示または示唆していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有効量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁を含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物を提供する。
【0007】
本発明はさらに、そのような治療を必要としている対象に本発明の組成物を投与することを含む、癌および/または腫瘍を治療するための方法を提供する。
【0008】
本発明はさらに、本発明の組成物を生成する方法であって、葉汁が、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去するステップ、および
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップを含む方法によって生成される方法を提供する。
【0009】
本発明の特定の一つの実施形態は、50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物である。
【0010】
したがって、本発明はさらに、50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物を生成する方法であって、50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分が、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去するステップ、
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップ、および
(e)葉汁から50kD未満の分子量画分を除去し、50kDを超える分子量画分を得るために、ステップ(d)の葉汁をフィルタに通すステップを含む
方法によって生成される方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によって、プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁は、意外にも癌および/または腫瘍の治療において劇的な効果を有することが見出される。
【0012】
本発明によって、有効量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁を含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物が提供される。
【0013】
本明細書では、「葉抽出物」とも称される「葉汁」という用語は、天然に葉に含まれる流体を指す。葉汁は、組織片および/または残留物を除去することによって得ることができる。
【0014】
本明細書では、「腫瘍」という用語は、身体の任意の部分における病的腫脹、隆起、または増殖、特に新しい組織の沈着によって生成された増殖、新生物(腫瘍)を指す。本明細書では、「悪性腫瘍性疾患」または「癌」とも称される「悪性腫瘍」という用語は、異常かつ無制御な細胞分裂に起因する腫瘍増殖を指し、これはリンパ系または血流によって身体の他の部分に広がるかもしれない。
【0015】
本明細書では、「有効量」という用語は、動物に投与されたとき、その動物において所望の効果を有する組成物の量を指す。例えば、腫瘍を治療するための組成物の有効量は、動物において腫瘍増殖を制御し、および/または腫瘍を消失させる量である。
【0016】
本発明の一つの実施形態において、本発明による組成物は、悪性腫瘍の増殖を阻害するために用いられる。本発明の他の実施形態において、本発明による組成物で処理されたとき、HepG2、Huh7、およびBowesなどの悪性腫瘍細胞の数は減少し、さらには除去される。
【0017】
本発明による組成物に応答する腫瘍細胞系をスクリーニングすると、この組成物がp53ネットワークによって腫瘍の増殖を調節することが見出される。本発明による組成物は、そのp53遺伝子が、野生型、部分的に機能性を有するもの、および突然変異活性を有するものを含む機能性を有するものである腫瘍細胞の細胞増殖を阻害する。したがって、本発明によって治療される腫瘍は、p53関連腫瘍である。
【0018】
p53ネットワークは、細胞周期Gチェックポイントの分子センサーであり、DNA損傷、ヌクレオチドプールのレベル、紡錘体の状態、および遺伝毒性ストレスをモニターする。p53ネットワークはさらに、細胞周期の進行、プログラムされた細胞死、複製による老化、および場合により分化を調節する。したがって、p53は腫瘍抑制遺伝子とされている。実際、すべてのヒトの癌の半分以上が、1つまたは複数のp53の変化に関連する。代わりに、突然変異p53タンパク質は、野生型p53と無関係である新しい腫瘍促進活性を獲得した可能性がある。p53ネットワークを対象とする悪性腫瘍を治療するいくつかの方策が開発されている(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、および特許文献11)。
【0019】
本発明の一つの実施形態において、治療される腫瘍は、肝細胞癌および黒色腫(メラノーマ)を含む。より好ましくは、治療される腫瘍は、p53ネットワークに関連する肝細胞癌および黒色腫を含む。
【0020】
本発明によるプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析および同定することができる。例えば、内径(I.D.)4.6mm、長さ(L)15cmのZORBAX(商標)C18カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって214nmで得られたプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁50μLのスペクトログラムは、流速1mL/分、30分で0〜30%アセトニトリルおよび0.1%TFAの直線勾配溶出で分離される場合、保持時間(retention time)1.756、2.573、7.118、7.851、9.715、10.278、10.864、11.212、12.287、12.799、13.178、13.413、14.027、14.794、16.253、および18.742分のピークを含む。
【0021】
プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分の薬学上の効果を調べると、癌および/または腫瘍の治療において、50kDを超える分子量の画分が他の画分に比べてより強い効果を有することが見出される。本発明の一つの実施形態において、50kDを超える分子量の画分の0.001%は、肝細胞癌(HepG2)増殖を阻害する強い能力を示し、他の画分は、同様の効果を得るために0.5%までの用量を要する。
【0022】
本発明による50kDを超える分子量の画分は、高速液体クロマトグラフィーによって分析および同定することができる。例えば、内径(I.D.)4.6mm、長さ(L)15cmのZORBAX(商標)C18カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって214nmで得られた50kDを超える分子量の画分50μLのスペクトログラムは、50kDを超える分子量の画分が流速1mL/分、30分で0〜30%アセトニトリルおよび0.1%TFAの直線勾配溶出で分離される場合、保持時間(retention time)2.574、4.798、5.728、7.101、9.701、10.279、10.808、11.189、12.235、13.35、13.584、13.903、14.113、15.114、16.206、16.736、18.619、22.137、24.676、および26.902分のピークを含む。
【0023】
本発明の一つの実施形態において、組成物はさらに抗腫瘍薬を含む。腫瘍の増殖は複雑なネットワーク共同作用を含むので、異なるネットワークを対象とする抗腫瘍薬を組合せることにより、合理的に治療効果を高めることができる。本発明の好ましい一つの実施形態において、抗腫瘍薬はパクリタキセルである。パクリタキセル(タキソールとも称される)は、後期GM期において強い有糸分裂抑制特性を有する臨床抗癌剤であり、Bcl−2リン酸化およびパクリタキセル誘発のアポトーシス機構を仲介することによって強い抗腫瘍特性を示す。さらに、パクリタキセルは、微小管に結合することによって、有糸分裂の阻害を促進することが見出されている(非特許文献1)。本発明の一つの実施形態において、プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の5%および50nMのパクリタキセルを含む組成物は、プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁またはパクリタキセルを単独で含む組成物に比べて、腫瘍増殖の阻害においてより強い効果を有する。これはp53およびBcl−xLアポトーシス経路のクロストーク(cross-talking)が、癌および/または腫瘍の治療において有効な方法であることを示唆している。
【0024】
都合よく適用するために、本発明による組成物は、薬学上許容可能な担体中に配合される。
【0025】
本明細書では、「薬学上許容可能な担体」には、任意かつすべての溶媒、分散媒、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。これらの薬学上許容可能な担体は、希釈剤、結合剤および接着剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、充填剤、ならびに種々の材料、例えば特定の治療組成物を調製するために必要となる可能性のある緩衝剤および吸収剤などを含む広範な材料から調製することができるが、これらに限定されるものではない。薬学上活性な物質にそのような媒質および薬剤を用いることは、当分野においてよく知られている。任意の従来からの媒質および薬剤が有効成分と不適合である場合を除いて、本発明の組成物においてその使用が企図される。
【0026】
本発明による組成物は、いくつかの方法で対象に投与することができる。好ましくは、組成物は、注射、経口投与、または局所投与によって対象に適用される。
【0027】
本発明による組成物を生成する方法も提供される。特に、葉汁は、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去する、好ましくは風乾によって除去するステップ、および
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップを含む方法によって生成される。
【0028】
本発明の一つの実施形態において、葉は、粉砕する、攪拌する、乱す、切断する、または切り刻むなどの従来からの方法で小片に処理される。
【0029】
任意選択的に、葉汁を生成する方法は、ステップ(d)の葉汁を遠心分離して、組織繊維を除去するステップ(d2)をさらに含む。本発明の一つの実施形態において、24℃、5分間、15000rpmの遠心分離を2回行う。
【0030】
任意選択的に、葉汁を生成する方法は、葉汁を滅菌するステップをさらに含む。本発明の一つの実施形態において、葉汁は、濾過によって滅菌される。
【0031】
任意選択的に、葉汁を生成する方法は、葉汁を濃縮するステップをさらに含む。
【0032】
本発明はさらに、50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物を提供する。
【0033】
50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含む、癌および/または腫瘍を治療するための組成物を生成する方法であって、50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分は、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去するステップ、
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップ、および
(e)葉汁から50kD未満の分子量画分を除去し、50kDを超える分子量の画分を得るために、ステップ(d)の葉汁をフィルタに通すステップを含む方法によって生成される。
【0034】
50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を生成する方法は、ステップ(e)を除いて、上述の生成する方法と類似している。分子量の範囲によって画分を分離する方法は、当分野で十分に開発されている。本発明の一つの実施形態は、分子量によって画分を分離するために、異なる孔径を有するフィルタが提供されるAmicon(登録商標)超遠心フィルタ装置を用いる。
【0035】
以下の実施例は、例示のために示されるものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0036】
プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の調製
プレクトランサス・アンボイニクスを、Taiwan Endemic Species Research Institute(NanTao、Taiwan)から得た。プレクトランサス・アンボイニクスを、多量の水で栽培した。プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取し、蒸留水で洗浄、風乾して残存する水を除去した。組織を、葉汁を含む微粒子に粉砕した。この葉汁を、24℃、5分間、15000rpmの遠心分離によって減じた。透明な溶液を回収し、さらに5分間、24℃、15000rpmで遠心分離し、可能な限り組織繊維を除去した。この汁を、0.22μmのシリンジフィルタで濾過して滅菌した。この新鮮な葉汁を、使用前暗所に4℃で保存した。すべての植物粗抽出物は、3日以内に用いるか、長期貯蔵のために−80℃で保存した。
【0037】
クロマトグラフ測定は、脱気装置(Degasser)を備えた1100クォータナリポンプ、1100可変波長検出器、および1100標準オートサンプラーからなるAgilent(登録商標)1100シリーズ液体クロマトグラフシステムで行った。さらなるピーク分析は、ChemStation(登録商標)ソフトウェアを用いて行った。
【0038】
バルク溶媒および移動相を、Millipore(登録商標)溶媒濾過装置(Millipore(登録商標)、Bedford、MA)を用いて、0.22μmのナイロン膜フィルタ(Alltech(登録商標)Associates、Pty.Ltd)で濾過した。
【0039】
カラムを流速1ml/分、Milli−Q、0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)で平衡化した。PBS中の1X未精製試料50μLを、ZORBAX(登録商標)C18カラム(内径4.6mm×15cm)に注入し、25℃に温度を設定したカラムオーブンにカラムを保持した。注入後、分析物を30分で0〜60%アセトニトリルおよび0.1%TFAの直線勾配溶出で分離した。分析物は214nmで検出する。
【0040】
クロマトグラフィーの結果を図1に示し、顕著なピークを表1に要約する。
【0041】
【表1】

【実施例2】
【0042】
葉汁に応答する細胞系のスクリーニング
細胞系:異なる組織学的起源の以下の9種のヒト腫瘍細胞系を、他に記載のない限り、市販の細胞培養コレクションから得た。HepG2(肝細胞癌、肝臓、Dr.CH Huang、National Health Research Institute、Taipei、Taiwanにより提供)、Hep3B(肝細胞癌、肝臓、Dr.CH Huang、National Health Research Institute、Taipei、Taiwanにより提供)、U937(骨髄性白血病)、K562(慢性骨髄性白血病、骨髄)、Calu−1(類表皮癌、肺、Dr.YC Kuo、National Institute of Traditional Chinese Medicine、Taipei、Taiwanにより提供)、TL(栄養膜様細胞系、胎盤、Dr.CK Ho、Veteran General Hospital、Taipei、Taiwan)、Jurket(ヒトリンパ芽球様(lymphoblastoid)T細胞系)、Bowes(ヒト黒色腫細胞)、およびHuh7(肝細胞癌/外胚葉)。
【0043】
HepG2およびHep3B細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、50IU/mLのペニシリン、および50μg/mLのストレプトマイシンを加えた最小必須培地で培養した。U937およびK562細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、50IU/mLのペニシリン、および50μg/mLのストレプトマイシンを加えたRPMI−1640で維持した。Calu−1およびTL細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、50IU/mLのペニシリン、および50μg/mLのストレプトマイシンを加えた高グルコース、ダルベッコ改変イーグル培地で培養した。
【0044】
培養物を、5%COを含む加湿雰囲気中、37℃で維持した。すべての細胞試薬は、Gibco−Invitrogen Co.,Ltd(Grand Island、N.Y.、U.S.A.)およびHyClone(Logan、Utah、U.S.A.)から得た。
【0045】
処理:すべてのin vitro実験において、実施例1に従って調製した3%の葉汁を、継代培養後の細胞に直接加えた。
【0046】
細胞数カウント:20μLの細胞懸濁液を20μLの0.4%トリパンブルーに添加することによって総細胞数カウントを行い、位相差顕微鏡下でカウントした。
【0047】
結果を表2に示す。「O」は、その細胞が葉汁に応答する(すなわち、処理後に細胞数が減少する)ことを示し、「X」は、その細胞が葉汁に応答しない(すなわち、処理後に細胞数が増加する)ことを示す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示した結果によれば、p53遺伝子が機能性である細胞系が、葉汁に応答する。これにより葉汁がp53ネットワークによって腫瘍増殖を調節することが証明された。
【実施例3】
【0050】
肝細胞癌を治療するための葉汁
この実施例に用いた肝細胞癌細胞系はHepG2およびHuh7であり、細胞培養および処理の操作は実施例2に記載のとおりである。細胞を、コントロール群(無処理)、および1%、3%、5%、7%、または9%の葉汁で処理した実験群に分類した。各群を8回(HepG2)または4回(Huh7)繰り返した。
【0051】
第1日、3日、および5日に各群のHepG2細胞の細胞数を求め、図2および3、ならびに表3に示した。図2および3に関して、葉汁の阻害効果は、第1日(P<0.001)、第3日(P<0.001)、および第5日(P<0.001)において、用量依存的に増大する。さらに、葉汁の阻害効果は、第1日(阻害細胞数/葉汁%:1.2×10)、第3日(阻害細胞数/葉汁%:6.18×10)、および第5日(阻害細胞数/葉汁%:10.44×10)において、処理期間が長くなるにつれて増大する。
【0052】
【表3】

【0053】
第1日、3日、および5日に各群のHuh7細胞の細胞数を求め、図4および5、ならびに表4に示した。図4および5に関して、葉汁の阻害効果は、第1日(P<0.05)、第3日(P<0.001)、および第5日(P<0.001)において、用量依存的に増大する。さらに、葉汁の阻害効果は、第1日(阻害細胞数/葉汁%:0.49×10)、第3日(阻害細胞数/葉汁%:2.47×10)、および第5日(阻害細胞数/葉汁%:3.63×10)において、処理期間が長くなるにつれて増大する。
【0054】
【表4】

【実施例4】
【0055】
黒色腫を治療するための葉汁
この実施例に用いた黒色腫細胞系はBowesであり、細胞培養および処理の操作は実施例2に記載のとおりであった。細胞を、コントロール群(無処理)、および1%または3%の葉汁で処理した実験群に分類した。各群を5回繰り返した。
【0056】
第1日、3日、および5日に各群のBowes細胞の細胞数を求め、図6に示した。図6に関して、葉汁の阻害効果は、第1日(P<0.05)および第5日(P<0.005)において、強い用量依存性を伴って増大する。さらに、葉汁の阻害効果は、第1日(阻害細胞数/葉汁%:2.22×10)、第3日(阻害細胞数/葉汁%:3.26×10)、および第5日(阻害細胞数/葉汁%:25.8×10)において、処理期間が長くなるにつれて増大する。
【実施例5】
【0057】
肝細胞癌を治療するための葉汁および/またはパクリタキセル
この実施例に用いた肝細胞癌細胞系はHepG2およびHuh7であり、細胞培養および処理の操作は実施例2に記載のとおりである。細胞を、コントロール群(無処理)、ならびに5%の葉汁、50nMのパクリタキセル、5%の葉汁と50nMのパクリタキセルとの組合せで処理した実験群に分類した。各群を6回繰り返した。
【0058】
第3日に各群のHepG2細胞の細胞数を求め、図7に示した。図7に関して、すべての実験群で細胞増殖が有意に阻害されたことがわかる。各実験群の阻害率は、52.13%(5%の葉汁:P=0.017)、43.77%(50nMのパクリタキセル:P=0.052)、または76.57%(5%の葉汁と50nMのパクリタキセルとの組合せ:P=0.000)である。本発明による葉汁とパクリタキセルとの組合せが、単独の葉汁またはパクリタキセルに比べて、細胞増殖阻害により強い効果を示すことがわかる。
【0059】
第3日に各群のHuh7細胞の細胞数を求め、図8に示した。図8に関して、すべての実験群で細胞増殖が有意に阻害されたことがわかる。各実験群の阻害率は、50.21%(5%の葉汁:P=0.110)、66.09%(50nMのパクリタキセル:P=0.023)、または74.68%(5%の葉汁と50nMのパクリタキセルとの組合せ:P=0.009)である。本発明による葉汁とパクリタキセルとの組合せが、単独の葉汁またはパクリタキセルに比べて、細胞増殖阻害により強い効果を示すことがわかる。
【実施例6】
【0060】
肝細胞癌を治療するための葉汁の動物モデル
接種:実施例2に記載の条件で、Huh7細胞を培養して総数3×10の細胞を得た。次いで、それらの細胞を、細胞密度2×10細胞/mLでDMEMに懸濁した。0.1mLの細胞溶液を、5から6週齢、体重約20gのNOD−SCIDマウスの右背の皮下部に接種した。コントロールグループは、マウスに0.1mLのDMEMを接種した。
【0061】
処理:大腫瘍(大きさ10mm×10mmを超える、マウス1匹)、中腫瘍(大きさ7mm×7mmから10mm×10mm、マウス1匹)、または小腫瘍(大きさ7mm×7mm未満、マウス2匹)を有するマウスを、実施例1の方法に従って調製した葉汁で処理した。葉汁の用量は10%×マウス体重であった。葉汁を含むシリンジの針を、腫瘍周囲部の皮下空隙に貫通させ、その後、腫瘍内部に葉汁を注入した。この処理を腫瘍の寸法測定および体重計量と共に、毎月曜日、水曜日、および金曜日に行った。ブランク群は、10%のPBSを投与した。
【0062】
結果:結果を図9に示す。葉汁による処理後、小腫瘍面積は減少した(R=0.564、B=−2.09mm/日、P<0.01)。中腫瘍の増殖(R=0.834、B=6.19mm/日、P<0.01)は阻害され、コントロール群のわずか27.1%であった。しかしながら、大腫瘍の増殖(R=0.995、B=34.38mm/日、P<0.01)は阻害されなかった。さらに、葉汁で処理したすべてのマウスの体重が減少した(無接種:R=0.178、B=−0.13g/日、P<0.05、小腫瘍:R=0.281、B=−0.09g/日、P<0.051、中腫瘍:R=0.576、B=−0.11g/日、P<0.05、大腫瘍:R=0.210、B=−0.11g/日、P<0.302)。無処理のマウスのみ、体重が増加した(R=0.730、B=0.24g/日、P<0.001)(図10に示す)。
【0063】
再発:小腫瘍を有する群の投与を第13日に停止し、腫瘍面積を継続的にモニターした。結果を図11に示す。小腫瘍(R=0.558、B=0.72mm/日、P<0.05)が、コントロール群(R=0.622、B=30.62mm/日、P<0.01)のわずか2.4%の増殖速度で増殖することがわかる。さらに、投与停止後、すべてのマウスの体重が増加した(ブランク:R=0.743、B=0.53g/日、P<0.001、小腫瘍:R=0.045、B=0.02g/日、P<0.615、コントロール群:R=0.214、/B=0.11g/日、P<0.05)(図12に示す)。
【実施例7】
【0064】
黒色腫を治療するための葉汁の動物モデル
接種:実施例2に記載の条件で、Bowes細胞を培養して総数3×10の細胞を得た。次いで、それらの細胞を、細胞密度2×10細胞/mLでDMEMに懸濁した。0.1mLの細胞溶液を、5から6週齢、体重約20gのNOD−SCIDマウスの右背の皮下部に接種した。コントロールグループは、マウスに0.1mLのDMEMを接種した。
【0065】
処理:大腫瘍(大きさ10mm×10mmを超える、マウス1匹)または小腫瘍(大きさ10mm×10mm未満、マウス2匹)を有するマウスを、実施例1の方法に従って調製した葉汁で処理した。葉汁の用量は10%Xマウス体重であった。葉汁を含むシリンジの針を、腫瘍周囲部の皮下空隙に貫通させ、その後、腫瘍内部に葉汁を注入した。この処理を腫瘍の寸法測定および体重計量と共に、毎月曜日、水曜日、および金曜日に行った。ブランク群は、10%のPBSを投与した。
【0066】
結果:結果を図13に示す。葉汁による処理後、大腫瘍面積は減少した(R=0.924、B=−3.08mm/日、P<0.01)。小腫瘍の増殖(R=0.564、B=1.50mm/日、P<0.01)は阻害され、コントロール群のわずか37.7%であった。さらに、有意に体重の増加した無処理のマウスを除いて(R=0.897、B=0.09g/日、P<0.001)、葉汁で処理したすべてのマウスの体重が少し増加した(図14に示す)。
【0067】
再発:小腫瘍を有する群の投与を第24日に停止し、腫瘍面積を継続的にモニターした。結果を図15に示す。投与停止後の小腫瘍の増殖速度(R=0.750、B=4.1mm/日、P<0.001)が、投与時の増殖速度(R=0.564、B=1.50mm/日、P<0.01)に比べて173%高いことがわかる。さらに、PBS投与停止後のブランクマウスの腫瘍増殖速度(R=0.320、B=5.13mm/日、P<0.001)は、投与時の増殖速度(R=0.608、B=3.98mm/日、P<0.001)に比べて29%高い。小腫瘍群およびブランク群は、継続投与の停止後、類似の増殖速度を有した。さらに、葉汁による処理を停止した後、すべてのマウスの体重が少し増加し、ブランク群は小腫瘍群より有意に体重が増加した(R=0.315、B=−0.03g/日、P<0.05)(図16に示す)。
【実施例8】
【0068】
HepG2細胞増殖の阻害における葉汁の画分の効果
画分:実施例1で調製した葉汁を、Amicon(登録商標)超遠心フィルタ装置(Amicon Ultra PL−10、10000公称分画分子量(Nominal Molecular Weight Limit)(NMWL)、Amicon Ultra PL−30、30000NMWL、Amicon Ultra PL−50、50000NMWL、Millipore(登録商標))を用いて、画分#1(分子量<10K、25×葉汁)、#2(分子量<10kD、1×葉汁)、#3(分子量10kDから30kD、25×葉汁)、#4(分子量10kDから30kD、1×葉汁)、#5(分子量30kDから50kD、25×葉汁)、#6(分子量30kDから50kD、1×葉汁)、#7(分子量<50kD、25×葉汁)、#8(分子量>50kD、25×葉汁)、および#9(分子量>50kD、1×葉汁)に分けた。
【0069】
処理:葉汁の画分のスクリーニングに用いた細胞系はHepG2である。細胞系の操作は実施例2に記載のとおりであり、細胞数を第4日にカウントした。
【0070】
第4日のHepG2の細胞生存を表5に例示する。
【0071】
【表5】

【0072】
画分#1、#2、#3、#7、#8、および#9が用量依存的に腫瘍増殖を阻害することがわかる。さらに、画分#2および#9は、他の画分に比べて、HepG2細胞系においてより強い増殖阻害効果を有する。
【0073】
1×および25×葉汁、0%、0.01%、0.1%、0.5%、1%、および3%の画分#1、#2、および#9をさらにHepG2細胞の処理に用いた。各群を4から7回繰り返した。
【0074】
この結果は、0.5%(P<0.05)、1%(P<0.001)、および3%(P<0.001)画分#2、0.01%画分#9(P<0.001)、1%葉汁(P<0.05)、1%(P<0.01)および3%(P<0.001)25×葉汁が、HepG2増殖を有意に阻害することを示している。他方、1%1×葉汁(P=0.848)および1%画分#1(P=0.052)は、有意な阻害効果を持たない。有効用量がわずか0.01%である画分#9がもっとも強い効果を有することがわかる。有効用量が0.5%である画分#2も強い効果を有する。25×葉汁の有効用量は1%である。0.5%、1%、および3%画分#2、0.01%画分#9、3%1×葉汁、ならびに1%および3%25×葉汁の阻害率は、それぞれ34.3%、62.8%、98.7%、39.7%、54.8%、53.6%、および83.8%である。
【0075】
1×および25×葉汁、ならびに画分#1、#2、および#9のパーセント当たりの阻害細胞数を図17に示す。
【0076】
1×(P<0.001、R=0.525)および25×(P=0.001、R=0.689)葉汁、ならびに画分#1(P<0.001、R=0.333)、#2(P<0.001、R=0.792)、および#9(P<0.001、R=0.498)がHepG2増殖を用量依存的に有意に阻害することがわかる。第4日の1×および25×葉汁、ならびに画分#1、#2、および#9のパーセント当たりの阻害細胞数は、それぞれ10.2、15.7、9.22、18.4、および43.7×10である。阻害効果は、画分#9>画分#2>25×葉汁>1×葉汁>画分#1である。
【0077】
同一用量の1×および25×葉汁、画分#1、#2、および#9の効果も分析する。結果を図18に示す。
【0078】
用量が0.1%および0.5%であるとき、画分#9の効果は、1×および25×葉汁、ならびに画分#1および#2の効果より有意に高い(すべてP<0.001)。
【0079】
用量が1%であるとき、画分#9の効果は、1×葉汁(P=0.001)の効果より有意に高く、25×葉汁、ならびに画分#1(P=0.059)および#2(P=0.072)の効果より有意である。さらに、画分#2の効果は、1×葉汁の効果より有意に高い(P=0.05)。
【0080】
用量が0.001%であるとき、画分#9の効果は、25×葉汁の効果より有意に高い(P=0.063)。
【0081】
用量が0.1%であるとき、画分#9の効果は、1×および25×葉汁、ならびに画分#1および#2の効果より有意に高い(すべてP<0.001)。
【実施例9】
【0082】
肝細胞癌HepG2を治療するための葉汁の画分#9
画分#9のクロマトグラフ測定を、実施例1に記載のとおり行った。
【0083】
クロマトグラフィーの結果を図19に示し、顕著なピークを表6に要約する。
【0084】
【表6】

【0085】
この実施例に用いた肝細胞癌細胞系はHepG2であり、細胞培養および処理の操作は実施例2に記載のとおりである。細胞を、コントロール群(無処理)、および実施例8に記載の1×葉汁、0%、0.001%、0.01%、0.1%、0.5%、または1%の画分#9で処理した実験群に分類した。各群を4から8回繰り返した。
【0086】
第4日に各群のHepG2細胞の細胞数を求め、図20に示した。図20に関して、1%(P<0.001)、0.5%(P<0.001)、0.1%(P<0.001)、および0.01%(P<0.001)の画分#9は有意な阻害効果を示す。さらに、0.001%の画分#9(P=0.092)は、ほぼ有意に細胞増殖を阻害する。1%、0.5%、0.1%、0.01%、および0.001%の画分#9の阻害率は、それぞれ93.6%、94.7%、93.8%、39.7%、および18.5%である。画分#9のパーセント当たりの阻害細胞数は43.65×10である。
【実施例10】
【0087】
Huh7細胞増殖の阻害における葉汁の画分の効果
葉汁の画分を実施例8に記載のとおり調製する。
【0088】
処理:葉汁の画分のスクリーニングに用いた細胞系はHuh7である。細胞系の操作は実施例2に記載のとおりであり、細胞数を第4日にカウントした。
【0089】
第4日のHuh7の細胞生存を表7に例示する。
【0090】
【表7】

【0091】
画分#1、#2、および#9が用量依存的に腫瘍増殖を阻害することを示す。
【0092】
1×および25×葉汁、0%、0.01%、0.1%、0.5%、1%、および3%の画分#1、#2、および#9をさらにHuh7細胞の処理に用いた。各群を4から7回繰り返した。
【0093】
この結果は、1%(P<0.01)および3%(P=0.001)画分#1、1%(P<0.05)および3%(P<0.05)画分#2、0.01%画分#9(P=0.01)、ならびに0.5%(P<0.05)、1%(P<0.05)、および3%(P<0.01)25×葉汁が、Huh7増殖を有意に阻害することを示している。他方、1%(P=0.937)および3%(P=0.666)1×葉汁は、有意な阻害効果を示さない。有効用量がわずか0.01%である画分#9がもっとも強い効果を有することが示された。有効用量が0.5%である25×葉汁も強い効果を有する。画分#1および#2の有効用量は1%である。1%および3%画分#1、1%および3%画分#2、0.01%画分#9、ならびに0.5%、1%、および3%25×葉汁の阻害率は、それぞれ59.3%、76.2%、53.9%、64.2%、53.7%、49.9%、53.9%、および67.1%である。
【0094】
1×および25×葉汁、ならびに画分#1、#2、および#9のパーセント当たりの阻害細胞数を図21に示す。
【0095】
1×(P=0.001、R=0.346)葉汁、ならびに画分#1(P<0.001、R=0.429)、#2(P=0.001、R=0.354)、および#9(P<0.001、R=0.440)が、Huh7増殖を用量依存的に有意に阻害することがわかる。第4日の25×葉汁、ならびに画分#1、#2、および#9のパーセント当たりの阻害細胞数は、それぞれ4.41、5.22、4.52、15.8×10である。阻害効果は、画分#9>画分#1>画分#2>25×葉汁>1×葉汁である。
【0096】
同一用量の1×および25×葉汁、画分#1、#2、および#9の効果も分析する。結果を図22に示す。
【0097】
用量が1%(P<0.01)および0.5%(P<0.01)であるとき、画分#9の効果は、1×葉汁の効果より有意に高い。さらに、用量が0.5%であるとき、画分#9の効果は、画分#2の効果より有意に高い(P=0.05)。
【実施例11】
【0098】
肝細胞癌Huh7を治療するための葉汁の画分#9
この実施例に用いた肝細胞癌細胞系はHuh7であり、細胞培養および処理の操作は実施例2に記載のとおりである。細胞を、コントロール群(無処理)、および実施例10に記載のように1×葉汁、0%、0.001%、0.01%、0.1%、0.5%、または1%の画分#9で処理した実験群に分類した。各群を4から6回繰り返した。
【0099】
第4日に各群のHuh7細胞の細胞数を求め、図23に示した。図23に関して、1%(P<0.001)、0.5%(P<0.001)、0.1%(P<0.05)、および0.01%(P<0.05)の画分#9は有意な阻害効果を示す。さらに、0.001%の画分#9(P=0.067)は、ほぼ有意に細胞増殖を阻害する。1%、0.5%、0.1%、0.01%、および0.001%の画分#9の阻害率は、それぞれ90.8%、88.6%、58.5%、53.7%、および48.5%である。画分#9のパーセント当たりの阻害細胞数は15.8×10である。
【0100】
本発明の実施形態を例示および記載したが、当分野の技術者は様々な変更および改良を行うことができる。したがって、本発明の実施形態は限定的な意味ではなく、例として記載されたものである。本発明は例示した特定の形態に限定されるものではなく、本発明の精神および範囲から逸脱しないすべての修正は添付の請求の範囲に定義した範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】プレクトランサス・アンボイニクスの葉汁のHPLCスペクトログラムを例示する図である。
【図2】実施例3に記載の、葉汁のパーセンテージとHepG2細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図3】実施例3に記載の、葉汁処理後の日数とHepG2細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図4】実施例3に記載の、葉汁のパーセンテージとHuh7細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図5】実施例3に記載の、葉汁処理後の日数とHuh7細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図6】実施例4に記載の、葉汁処理後の日数とBowes細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図7】実施例5に記載の、第3日の葉汁および/またはパクリタキセルで処理したHepG2の細胞数変化の結果を例示する図である。
【図8】実施例5に記載の、第3日の葉汁および/またはパクリタキセルで処理したHuh7の細胞数変化の結果を例示する図である。
【図9】実施例6に記載の、葉汁で処理したHuh7接種マウスの腫瘍面積変化の結果を例示する図である。
【図10】実施例6に記載の、葉汁で処理したHuh7接種マウスの体重変化の結果を例示する図である。
【図11】実施例6に記載の、葉汁処理停止後のHuh7接種マウスの腫瘍面積変化の結果を例示する図である。
【図12】実施例6に記載の、葉汁処理停止後のHuh7接種マウスの体重変化の結果を例示する図である。
【図13】実施例7に記載の、葉汁で処理したBowes接種マウスの腫瘍面積変化の結果を例示する図である。
【図14】実施例7に記載の、葉汁で処理したBowes接種マウスの体重変化の結果を例示する図である。
【図15】実施例7に記載の、葉汁処理停止後のBowes接種マウスの腫瘍面積変化の結果を例示する図である。
【図16】実施例7に記載の、葉汁処理停止後のBowes接種マウスの体重変化の結果を例示する図である。
【図17】実施例8に記載の、葉汁およびその画分のパーセンテージとHepG2細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図18】実施例8に記載の、葉汁およびその画分で処理したHepG2の細胞数変化の結果を例示する図である。
【図19】50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分のHPLCスペクトログラムを例示する図である。
【図20】実施例9に記載の、葉汁およびその画分で処理したHepG2の細胞数変化の結果を例示する図である。
【図21】実施例10に記載の、葉汁およびその画分のパーセンテージとHepG2細胞数とを対比したプロットを例示する図である。
【図22】実施例10に記載の、葉汁およびその画分で処理したHuh7の細胞数変化の結果を例示する図である。
【図23】実施例11に記載の、葉汁およびその画分で処理したHuh7の細胞数変化の結果を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁を含むことを特徴とする癌および/または腫瘍を治療するための組成物。
【請求項2】
悪性腫瘍を治療するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記腫瘍は、p53関連腫瘍であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記腫瘍は、肝細胞癌および黒色腫を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
内径(I.D.)4.6mm、長さ(L)15cmを有するZORBAX(商標)C18カラムを用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって214nmで得られたプレクトランサス・アンボイニクス(Plectranthus amboinicus)の葉汁50μLのスペクトログラムは、保持時間1.756、2.573、7.118、7.851、9.715、10.278、10.864、11.212、12.287、12.799、13.178、13.413、14.027、14.794、16.253、および18.742分のピークを含み、前記葉汁は、流速1mL/分、30分で0〜30%アセトニトリルおよび0.1%TFAの直線勾配溶出で分離されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
抗腫瘍薬をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗腫瘍薬は、パクリタキセルであることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
薬学上許容可能な担体中に製剤されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
注射、経口投与、または局所投与によって対象に適用されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を生成する方法であって、前記葉汁は、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去するステップ、および
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップ
を含む方法によって生成されることを特徴とする方法。
【請求項12】
葉汁を生成する前記方法は、ステップ(d)の葉汁を遠心分離して、組織繊維を除去するステップ(d2)をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
葉汁を生成する前記方法は、葉汁を滅菌するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記葉汁は、濾過によって滅菌されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
葉汁を生成する前記方法は、葉汁を濃縮するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
50kDを超える分子量のプレクトランサス・アンボイニクスの葉汁の画分を有効量含むことを特徴とする癌および/または腫瘍を治療するための組成物。
【請求項17】
内径(I.D.)4.6mm、長さ(L)15cmを有するZORBAX(商標)C18カラムを用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって214nmで得られた50kDを超える分子量の画分50μLのスペクトログラムは、保持時間2.574、4.798、5.728、7.101、9.701、10.279、10.808、11.189、12.235、13.35、13.584、13.903、14.113、15.114、16.206、16.736、18.619、22.137、24.676、および26.902分のピークを含み、50kDを超える分子量の前記画分は、流速1mL/分、30分で0〜30%アセトニトリルおよび0.1%TFAの直線勾配溶出で分離されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
悪性腫瘍を治療するためのものであることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記腫瘍は、p53関連腫瘍であることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記腫瘍は、肝細胞癌および黒色腫を含むことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
抗腫瘍薬をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記抗腫瘍薬は、パクリタキセルであることを特徴とする請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
薬学上許容可能な担体中に製剤されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
注射、経口投与、または局所投与によって対象に適用されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
請求項16に記載の組成物を生成する方法であって、50kDを超える分子量の葉汁の前記画分は、
(a)プレクトランサス・アンボイニクスの葉を採取するステップ、
(b)ステップ(a)の葉を蒸留水で洗浄するステップ、
(c)葉から水を除去するステップ、
(d)ステップ(c)の葉から葉汁を得るステップ、および
(e)分子量50kD未満の葉汁の画分を除去し、50kDを超える分子量の画分を得るために、ステップ(d)の葉汁をフィルタに通すステップ
を含む方法によって生成されることを特徴とする方法。
【請求項26】
50kDを超える分子量の葉汁の画分を生成する前記方法は、ステップ(d)の葉汁を遠心分離して、組織繊維を除去するステップ(d2)をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
50kDを超える分子量の葉汁の画分を生成する前記方法は、50kDを超える分子量の葉汁の画分を滅菌するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
50kDを超える分子量の葉汁の前記画分は、濾過によって滅菌されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
50kDを超える分子量の葉汁の画分を生成する前記方法は、50kDを超える分子量の葉汁の画分を濃縮するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
癌および/または腫瘍を治療する薬剤の製造において、請求項1に記載の組成物を使用する方法。
【請求項31】
癌および/または腫瘍を治療する薬剤の製造において、請求項16に記載の組成物を使用する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2006−193471(P2006−193471A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−6793(P2005−6793)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505016724)ウィー ジーン テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【出願人】(505016735)
【Fターム(参考)】