説明

癌の治療用の置換ピリミジン

【課題】癌の治療の為の癌の治療用の置換ピリミジンを提供する。
【解決手段】本発明は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に好適な下記一般式(1)
【化1】


(式中、B、R1〜R5、Rx、m及びnは、請求項1の定義どおり)の化合物、及び該治療におけるそれらの使用を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(1)
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基B、R1〜R5、Rx、m及びnは、請求項及び明細書に記載の意味を有する)の新しい2,4-ジアミノピリミジン、その異性体、これらのピリミジンの調製方法及びそれらの薬物としての使用に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
浸潤及び転移の特性を獲得する腫瘍細胞は特異的な生存シグナルを必要とする。これらのシグナルは、とりわけ、細胞接着の欠損によって引き起こされる特有のアポトーシス機構(アノイキス)を腫瘍細胞が克服できるようにする。このプロセスでは、接着斑キナーゼ(focal adhesion kinase)(FAK/PTK2)が必須シグナル分子の1つであり、これは一方で「接着斑(focal adhesion)」を介して細胞マトリックス相互作用を制御し、他方でアノイキス抵抗性を与える。PTK2を阻害することによるこれらの機構の妨害が腫瘍細胞のアポトーシス細胞死をもたらし、腫瘍の浸潤及び転移性成長を制限し得る。加えて、接着斑キナーゼは、腫瘍関連内皮細胞の成長、遊走及び生存にとって主要な意義を有する。従ってPTK2を阻害することによって、抗血管新生活性を達成することもできる。
ピリミジンは一般的にキナーゼの阻害薬として知られている。従って、例えば、国際特許出願WO2005/118544、WO2007/003596及びWO2007/132010には、4位に非芳香族基のある置換ピリミジンが抗癌活性を有する活性成分として記載されているが、これらの特許明細書中の多くの化合物はアミド置換基[-C(O)NH-]を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の予防及び/又は治療のために使用できる活性物質として新しいジアミノピリミジンを示すことである。本発明のさらなる目的は、in vitro及び/又はin vivoで酵素PTK2に阻害作用を及ぼし、かつ薬物として使用できるようにするのに適した薬理学的及び/又は薬物動態学的特性を有するジアミノピリミジンを示すことである。これらの特性には、とりわけ既知の細胞周期キナーゼに関連してPTK2に及ぼす選択的阻害作用、好ましくはオーロラBに関連してPTK2に及ぼす選択的阻害作用が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の詳細な説明)
驚くべきことに、一般式(1)(式中、基B、R1〜R5、Rx、m及びnは後述する意味を有する)の化合物がPTK2に特異的な阻害薬として作用することが分かった。従って、本発明の化合物を、例えばPTK2の活性と関係があり、かつ過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療するために使用し得る。
本発明は、下記一般式(1)
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
Bは、C3-10-シクロアルキル及び3〜8員ヘテロシクロアルキルの中から選択される任意に1個以上のR4で置換されていてもよい基であり;
R1、R2及びR4は、それぞれ独立に、Ra、Rb並びに1個以上の同一若しくは異なるRc及び/又はRbで置換されているRaの中から選択される基を表し;
Rxは、水素或いはRa、Rb並びに1個以上の同一若しくは異なるRc及び/又はRbで置換されているRaの中から選択される基を表し;
R3は、-NRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc及び-N(Rg)C(NRg)NRcRcの中から選択される基、
或いは任意にRc及び/又はRdで置換されていてもよいN結合3〜8員ヘテロシクロアルキルであり;
R5は、ハロゲン、-CN、-NO2、-ORc、-C(O)Rc、-NRcRc、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル及び3〜8員ヘテロシクロアルキルの中から選択される基であり;
mは、1、2又は3に等しく;
nは、0、1、2、3又は4に等しく;
各Raは、相互独立にC1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択され;
各Rbは適切な基であり、いずれの場合も相互独立に=O、-ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRc、=NRc、=NORc、=NNRcRc、=NN(Rg)C(O)NRcRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2NRcRc、-OS(O)Rc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2NRcRc、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)SRc、-C(O)NRcRc、-C(O)N(Rg)NRcRc、-C(O)N(Rg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NOH)Rc、-C(NOH)NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-OC(NRg)NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(NRg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc及び-N(Rg)C(NRg)NRcRcの中から選択され;
各Rcは、相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択される基を表し;
各Rdは適切な基を表し、いずれの場合も相互独立に=O、-ORe、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRe、=NRe、=NORe、=NNReRe、=NN(Rg)C(O)NReRe、-NReRe、-ONReRe、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2NReRe、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2NReRe、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)SRe、-C(O)NReRe、-C(O)N(Rg)NReRe、-C(O)N(Rg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NOH)Re、-C(NOH)NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-OC(NRg)NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(NRg)NReRe、-N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]2、-N(ORg)C(O)Re、-N(Rg)C(NRg)Re、-N(Rg)N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N(Rg)C(S)Re、-N(Rg)S(O)Re、-N(Rg)S(O)ORe -N(Rg)S(O)2Re、-N[S(O)2Re]2、-N(Rg)S(O)2ORe、-N(Rg)S(O)2NReRe、-N(Rg)[S(O)2]2Re、-N(Rg)C(O)ORe、-N(Rg)C(O)SRe、-N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(O)NRgNReRe、-N(Rg)N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(S)NReRe、-[N(Rg)C(O)]2Re、-N(Rg)[C(O)]2Re、-N{[C(O)]2Re}2、-N(Rg)[C(O)]2ORe、-N(Rg)[C(O)]2NReRe、-N{[C(O)]2ORe}2、-N{[C(O)]2NReRe}2、-[N(Rg)C(O)]2ORe、-N(Rg)C(NRg)ORe、-N(Rg)C(NOH)Re、-N(Rg)C(NRg)SRe及び-N(Rg)C(NRg)NReReの中から選択され;
各Reは、相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択される基を表し;
各Rfは適切な基を表し、いずれの場合も相互独立にハロゲン、-ORg及び-CF3の中から選択され;かつ
各Rgは、相互独立に水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキル、5〜12員ヘテロアリール又は6〜18員ヘテロアリールアルキルを表し;
但し、フェニル環Aは、同時に2個の塩素置換基を持たない)
の化合物
(必要に応じてその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物の形態、並びに必要に応じてその薬理学的に許容できる酸付加塩であってよい)
に関する。
【0009】
好ましい実施形態(A1)では、本発明は、式中、Rxが水素である、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(B1)では、本発明は、式中、BがC3-8シクロアルキルである、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(B2)では、本発明は、式中、Bがシクロヘキシルである、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(B3)では、本発明は、式中、Bがシクロペンチルである、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(B4)では、本発明は、
式中、基R3及び下記基
【0010】
【化3】

【0011】
が環系Bに関してトランス配置をとる、
好ましい実施形態(B2)及び/又は(B3)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(C1)では、本発明は、式中、R5がハロゲン、-CF3及びC1-4ハロアルキルの中から選択される基である、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(C2)では、本発明は、式中、R5が臭素、塩素及び-CF3の中から選択される、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(C3)では、本発明は、式中、R5が-CF3である、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(C4)では、本発明は、式中、R5が塩素である、一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(C5)では、本発明は、式中、R5が臭素である、一般式(1)の化合物に関する。
【0012】
別の好ましい実施形態(D1)では、本発明は、
式中、R3が、-NRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)C(O)Rc、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N(Rg)C(O)ORc及び-N(Rg)C(O)NRcRcの中から選択され、
或いは任意にRc及び/又はRdで置換されていてもよいN結合4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、かつ
Rc、Rd及びRgが前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D2)では、本発明は、
式中、R3が-NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc及び-N(Rg)S(O)2Rcの中から選択され、かつ
Rc及びRgが前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D3)では、本発明は、
式中、R3が-N(Rg)C(O)Rc1及び-N(Rg)S(O)2Rc1の中から選択され;
Rc1が基Rcに相当し、かつ
Rc及びRgが前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D4)では、本発明は、
式中、R3が-NHC(O)Rc1、-N(C1-4アルキル)C(O)Rc1、-NHS(O)2Rc1及び-N(C1-4アルキル)S(O)2Rc1の中から選択され;
Rc1が基Rcに相当し、かつ
Rcが前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D5)では、本発明は、
式中、R3が、-NHC(O)Rc1、-N(Me)C(O)Rc1、-N(Et)C(O)Rc1、-N(iPr)C(O)Rc1、-N(nPr)C(O)Rc1、-NHS(O)2Rc1、-N(Me)S(O)2Rc1、-N(Et)S(O)2Rc1、-N(iPr)S(O)2Rc1及び-N(nPr)S(O)2Rc1の中から選択され;
Rc1が基Rcに相当し、かつ
Rcが前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D6)では、本発明は、
式中、Rc1がC1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、C1-4アルコキシメチル、(C1-4アルキル)NH-CH2-及び(C1-4アルキル)2N-CH2-の中から選択される、
好ましい実施形態(D3)及び/又は(D4)及び/又は(D5)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D7)では、本発明は、
式中、Rc1がメチル及びエチルの中から選択される、
好ましい実施形態(D3)及び/又は(D4)及び/又は(D5)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(D8)では、 本発明は、
式中、R3が-NHS(O)2Me及び-N(Me)S(O)2Meの中から選択される、
一般式(1)の化合物に関する。
【0013】
別の好ましい実施形態(E1)では、本発明は、
式中、nが値0を有する、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(F1)では、本発明は、
式中、mが値1又は2を有し;
各R2が、いずれの場合も相互独立にハロゲン、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシの中から選択され、かつ
R1が前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(F2)では、本発明は、
式中、フェニル環Aが下記部分構造
【0014】
【化4】

【0015】
を有し;
R2a及びR2cがそれぞれ独立にC1-6アルコキシを表し;
R2bがハロゲン及びC1-6アルキルの中から選択され、かつ
R1が前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(F3)では、本発明は、
式中、R2a及びR2cがメトキシを表し;
R2bがフッ素、塩素、メチル及びエチルの中から選択され、かつ
R1が前記定義どおりである、
好ましい実施形態(F2)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(F4)では、本発明は、
式中、フェニル環Aが下記部分構造
【0016】
【化5】

【0017】
を有し;
R2d及びR2eが、それぞれ独立にC1-6アルコキシを表し;
R2fがハロゲン及びC1-6アルキルの中から選択され、かつ
R1が前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(F5)では、本発明は、
式中、R2d及びR2eがメトキシを表し;
R2fがフッ素及びメチルの中から選択され、かつ
R1が前記定義どおりである、
好ましい実施形態(F4)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G1)では、本発明は、
式中、R1が、Ra2、Rb2並びに1個以上の同一若しくは異なるRb2及び/又はRc2で置換されているRa2の中から選択され;
各Ra2が、いずれの場合も相互独立にC1-6アルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択され;
各Rb2が適切な置換基を表し、いずれの場合も相互独立に-ORc2、-NRc2Rc2、-C(O)Rc2、-C(O)ORc2、-C(O)NRc2Rc2、-C(O)N(Rg2)ORc2、-N(Rg2)C(O)Rc2、-N(Rg2)C(O)ORc2及び-N(Rg2)C(O)NRc2Rc2の中から選択され;
各Rc2が独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRd2及び/又はRe2で置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択される基を表し;
各Rd2が適切な置換基を表し、いずれの場合も相互独立に-ORe2、-NRe2Re2及び-C(O)NRe2Re2の中から選択され;
各Re2が独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRf2及び/又はRg2で置換されていてもよい、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルの中から選択される基を表し;
各Rf2が独立に-ORg2を表し、かつ
各Rg2が独立に水素又はC1-6アルキルを表す、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G2)では、本発明は、
式中、各Rb2が適切な置換基を表し、いずれの場合も相互独立に-ORc2、-NRc2Rc2、-C(O)ORc2、-C(O)NRc2Rc2、-C(O)N(Rg2)ORc2及び-N(Rg2)C(O)Rc2の中から選択され、かつ
Rc2及びRg2が前記定義どおりである、
好ましい実施形態(G1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G3)では、本発明は、
式中、R1が-C(O)NRc2Rc2を表し、かつ
Rc2が前記定義どおりである、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G4)では、本発明は、
式中、ヘテロシクロアルキルRa2及び/又はRc2が、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル及びモルフォリニルの中から選択されるヘテロシクロアルキルである、
好ましい実施形態(G1)及び/又は(G2)及び/又は(G3)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G5)では、本発明は、
式中、R1が下記基
【0018】
【化6】

【0019】
の中から選択される、
一般式(1)の化合物に関する。
別の好ましい実施形態(G6)では、本発明は、
式中、R1が下記基
【0020】
【化7】

【0021】
の中から選択される、
一般式(1)の化合物に関する。
一般式(1)の特に好ましい化合物は、以下の化合物である。
【0022】
【化8】

【化9】

【化10】

【0023】
本発明の化合物(1)の異なる分子部分について上述した全ての好ましい実施形態をいずれの所望様式で相互に組み合わせても、本発明の好ましい化合物(1)又は一般的部分量の本発明の好ましい化合物(1)をもたらし得る。この組合せによって固定されるそれぞれ個々の実施形態又は部分量も明白に包含され、かつ本発明の主題である。
【0024】
本発明は、無機又は有機酸との本発明の化合物の薬理学的に許容できる塩にも関する。 別の態様では、本発明は、薬物として使用するための一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩に関する。
別の態様では、本発明は、癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防のための一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩に関する。
別の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防のための一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩に関する。
別の態様では、本発明は、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌及び非小細胞気管支癌の治療及び/又は予防のための一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩に関する。
別の態様では、本発明は、必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と組み合わせて、活性物質として1種以上の一般式(1)の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含む医薬製剤に関する。
本発明は、一般式(1)の化合物(ここで、該化合物(1)は、必要に応じてその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物の形態で、又は全ての前記形態の薬理学的に許容できる塩として存在してもよい)と、式(1)とは異なる少なくとも1種の他の細胞分裂停止又は細胞障害活性物質とを含む医薬製剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(定義)
本明細書では、特に断らない限り、以下の定義が適用される。
アルキルは、亜群飽和炭化水素鎖及び不飽和炭化水素鎖で構成され、この亜群は、二重結合を有する炭化水素鎖(アルケニル)と三重結合を有する炭化水素鎖(アルキニル)にさらに細分され得る。アルケニルは少なくとも1つの二重結合を含み、アルキニルは少なくとも1つの三重結合を含む。炭化水素鎖が少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つの三重結合を両方持っている場合、定義により、それはアルキニル亜群に属することになる。全ての上記亜群は、直鎖(不分岐)及び分岐にさらに細分され得る。アルキルが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。
個々の亜群の代表例を以下に列挙する。
直鎖(不分岐)又は分岐飽和炭化水素鎖:
メチル;エチル;n-プロピル;イソプロピル(1-メチルエチル);n-ブチル;1-メチルプロピル;イソブチル(2-メチルプロピル);sec.-ブチル(1-メチルプロピル);tert.-ブチル(1,1-ジメチルエチル);n-ペンチル;1-メチルブチル;1-エチルプロピル;イソペンチル(3-メチルブチル);ネオペンチル(2,2-ジメチル-プロピル);n-ヘキシル;2,3-ジメチルブチル;2,2-ジメチルブチル;3,3-ジメチルブチル;2-メチル-ペンチル;3-メチルペンチル;n-ヘプチル;2-メチルヘキシル;3-メチルヘキシル;2,2-ジメチルペンチル;2,3-ジメチルペンチル;2,4-ジメチルペンチル;3,3-ジメチルペンチル;2,2,3-トリメチルブチル;3-エチルペンチル;n-オクチル;n-ノニル;n-デシル等。
直鎖(不分岐)又は分岐アルケニル:
ビニル(エテニル);プロパ-1-エニル;アリル(プロパ-2-エニル);イソプロペニル;ブタ-1-エニル;ブタ-2-エニル;ブタ-3-エニル;2-メチル-プロパ-2-エニル;2-メチル-プロパ-1-エニル;1-メチル-プロパ-2-エニル;1-メチル-プロパ-1-エニル;1-メチリデンプロピル;ペンタ-1-エニル;ペンタ-2-エニル;ペンタ-3-エニル;ペンタ-4-エニル;3-メチル-ブタ-3-エニル;3-メチル-ブタ-2-エニル;3-メチル-ブタ-1-エニル;ヘキサ-1-エニル;ヘキサ-2-エニル;ヘキサ-3-エニル;ヘキサ-4-エニル;ヘキサ-5-エニル;2,3-ジメチル-ブタ-3-エニル;2,3-ジメチル-ブタ-2-エニル;2-メチリデン-3-メチルブチル;2,3-ジメチル-ブタ-1-エニル;ヘキサ-1,3-ジエニル;ヘキサ-1,4-ジエニル;ペンタ-1,4-ジエニル;ペンタ-1,3-ジエニル;ブタ-1,3-ジエニル;2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン等。
直鎖(不分岐)又は分岐アルキニル:
エチニル;プロパ-1-イニル;プロパ-2-イニル;ブタ-1-イニル;ブタ-2-イニル;ブタ-3-イニル;1-メチル-プロパ-2-イニル等。
用語プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等は、いずれのさらなる定義もなければ、対応する数の炭素原子を有する飽和炭化水素基を意味し、全ての異性形が含まれる。
用語プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等は、いずれのさらなる定義もなければ、対応する数の炭素原子と二重結合を有する不飽和炭化水素基を意味し、全ての異性形、すなわち当てはまる場合は(Z)/(E)異性体が含まれる。
用語プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等は、いずれのさらなる定義もなければ、対応する数の炭素原子と二重結合を有する不飽和炭化水素基を意味し、全ての異性形が含まれる。
用語ヘテロアルキルは、アルキルの最も広い意味の前記定義どおりのアルキルから、その炭素鎖中、1個以上の基-CH3を相互独立に基-OH、-SH又は-NH2と置き換えるか、1個以上の基-CH2-を相互独立に基-O-、-S-若しくは-NH-と置き換えるか、1個以上の下記基
【0026】
【化11】

【0027】
を下記基
【0028】
【化12】

【0029】
と置き換えるか、1個以上の基=CH-を基=N-と置き換えるか、1個以上の基=CH2を基=NHと置き換えるか、又は1個以上の基≡CHを基≡Nと置き換えれば、誘導できる基を意味し、その上、全体としてヘテロアルキル中に最大3個だけのヘテロ原子が存在してよく、2個の酸素原子間及び2個のイオウ原子間又は1個の酸素原子と1個のイオウ原子の間には少なくとも1個の炭素原子が存在しなけれならず、かつ基は全体として化学的に安定性でなければならない。
アルキルからの間接的定義/誘導から、ヘテロアルキルはヘテロ原子を有する亜群飽和炭化水素鎖、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルで構成され、かつさらに直鎖(不分岐)及び分岐へのさらなる細分化を行なえることが即座に分かる。ヘテロアルキルが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての酸素、イオウ、窒素及び/又は炭素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。ヘテロアルキル自体は、炭素原子を介してもヘテロ原子を介しても置換基として分子に結合し得る。
典型例を以下に列挙する:
ジメチルアミノメチル;ジメチルアミノエチル(1-ジメチルアミノエチル;2-ジメチル-アミノエチル);ジメチルアミノプロピル(1-ジメチルアミノプロピル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル);ジエチルアミノメチル;ジエチルアミノエチル(1-ジエチルアミノエチル、2-ジエチルアミノエチル);ジエチルアミノプロピル(1-ジエチルアミノプロピル、2-ジエチルアミノ-プロピル、3-ジエチルアミノプロピル);ジイソプロピルアミノエチル(1-ジイソプロピルアミノエチル、2-ジ-イソプロピルアミノエチル);ビス-2-メトキシエチルアミノ;[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-メチル;3-[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-プロピル;ヒドロキシメチル;2-ヒドロキシ-エチル;3-ヒドロキシプロピル;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;メトキシメチル;2-メトキシエチル等。
【0030】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子を表す。
ハロアルキルは、アルキルの最も広い意味の前記定義どおりのアルキルから、炭素鎖の1個以上の水素原子を同一又は異なってよいハロゲンで相互独立に置き換えると誘導される。アルキルからの間接的定義/誘導から、ハロアルキルは亜群飽和ハロ炭化水素鎖、ハロアルケニル及びハロアルキニルで構成され、かつさらに直鎖(不分岐)及び分岐へのさらなる細分化を行なえることが即座に分かる。ハロアルキルが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。
典型例として、-CF3;-CHF2;-CH2F;-CF2CF3;-CHFCF3;-CH2CF3;-CF2CH3;-CHFCH3;-CF2CF2CF3;-CF2CH2CH3;-CF=CF2;-CCl=CH2;-CBr=CH2;-CI=CH2;-C≡C-CF3;-CHFCH2CH3;及び-CHFCH2CF3が挙げられる。
シクロアルキルは、亜群単環式炭化水素環、二環式炭化水素環及びスピロ炭化水素環で構成され、その上、各亜群をさらに飽和及び不飽和(シクロアルケニル)に細分し得る。不飽和という用語は、問題の環系内に少なくとも1つの二重結合があるが、芳香族系が形成されていないことを意味する。二環式炭化水素環では、2つの環が少なくとも2個の炭素原子を共有するように結合している。スピロ炭化水素環では、1個の炭素原子(スピロ原子)が2つの環によって共有される。シクロアルキルが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。シクロアルキル自体は、その環系の適切ないずれの位置を介しても置換基として分子に結合し得る。
個々の亜群の典型例を以下に列挙する。
単環式飽和炭化水素環:
シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロヘプチル等。 単環式不飽和炭化水素環:
シクロプロパ-1-エニル;シクロプロパ-2-エニル;シクロブタ-1-エニル;シクロブタ-2-エニル;シクロペンタ-1-エニル;シクロペンタ-2-エニル;シクロペンタ-3-エニル;シクロヘキサ-1-エニル;シクロヘキサ-2-エニル;シクロヘキサ-3-エニル;シクロヘプタ-1-エニル;シクロヘプタ-2-エニル;シクロヘプタ-3-エニル;シクロヘプタ-4-エニル;シクロブタ-1,3-ジエニル;シクロペンタ-1,4-ジエニル;シクロペンタ-1,3-ジエニル;シクロペンタ-2,4-ジエニル;シクロヘキサ-1,3-ジエニル;シクロヘキサ-1,5-ジエニル;シクロヘキサ-2,4-ジエニル;シクロヘキサ-1,4-ジエニル;シクロヘキサ-2,5-ジエニル等。
飽和及び不飽和二環式炭化水素環:
ビシクロ[2.2.0]ヘキシル;ビシクロ[3.2.0]ヘプチル;ビシクロ[3.2.1]オクチル;ビシクロ[2.2.2]オクチル;ビシクロ[4.3.0]ノニル(オクタヒドロインデニル);ビシクロ[4.4.0]デシル(デカヒドロナフタレン);ビシクロ[2,2,1]ヘプチル(ノルボルニル);(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエニル(ノルボルナ-2,5-ジエニル);ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2-エニル(ノルボルネニル);ビシクロ[4.1.0]ヘプチル(ノルカラニル);ビシクロ-[3.1.1]ヘプチル(ピナニル)等。
飽和及び不飽和スピロ炭化水素環:
スピロ[2.5]オクチル、スピロ[3.3]ヘプチル、スピロ[4.5]デカ-2-エン等。
シクロアルキルアルキルは、上で定義した基アルキル及びシクロアルキルのいずれの場合もそれらの最も広い意味の組合せを表す。アルキル基が置換基として分子に直接結合され、次にシクロアルキル基で置換される。アルキル及びシクロアルキルは、この目的に適したいずれの炭素原子によっても両基内で結合され得る。アルキル及びシクロアルキルのそれぞれの亜群も、この2つの基の組合せに含まれる。
【0031】
アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する単環式、二環式又は三環式炭素環を意味する。アリールが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。アリール自体は、その環系の適切ないずれの位置を介しても置換基として分子に結合し得る。
典型例として、フェニル、ナフチル、インダニル(2,3-ジヒドロインデニル)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル及びフルオレニルが挙げられる。
アリールアルキルは、前記定義どおりの基アルキル及びアリールのいずれの場合もそれらの最も広い意味の組合せを表す。アルキル基が置換基として分子に直接結合され、次にアリール基で置換される。アルキル及びアリールは、この目的に適したいずれの炭素原子によっても両基内で結合され得る。この2つの基の組合せにもアルキル及びアリールのそれぞれの亜群が含まれる。
典型例として、ベンジル;1-フェニルエチル;2-フェニルエチル;フェニルビニル;フェニルアリル等が挙げられる。
【0032】
ヘテロアリールは、対応するアリール又はシクロアルキルと比べて、1個以上の炭素原子の代わりに、相互独立に窒素、イオウ及び酸素の中から選択される1個以上の同一若しくは異なるヘテロ原子を含み、その上、結果として生じる基が化学的に安定性でなければならない、単環式芳香環又は少なくとも1つの芳香環を有する多環を意味する。ヘテロアリールが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素及び/又は窒素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。ヘテロアリール自体が置換基として、その環系のいずれの位置(炭素でも窒素でも)を介しても分子に結合し得る。
典型例を以下に列挙する。
単環式ヘテロアリール:
フリル;チエニル;ピロリル;オキサゾリル;チアゾリル;イソオキサゾリル;イソチアゾリル;ピラゾリル;イミダゾリル;トリアゾリル;テトラゾリル;オキサジアゾリル;チアジアゾリル;ピリジル;ピリミジル;ピリダジニル;ピラジニル;トリアジニル;ピリジル-N-オキシド;ピロリル-N-オキシド;ピリミジニル-N-オキシド;ピリダジニル-N-オキシド;ピラジニル-N-オキシド;イミダゾリル-N-オキシド;イソオキサゾリル-N-オキシド;オキサゾリル-N-オキシド;チアゾリル-N-オキシド;オキサジアゾリル-N-オキシド;チアジアゾリル-N-オキシド;トリアゾリル-N-オキシド;テトラゾリル-N-オキシド等。
多環式ヘテロアリール:
インドリル;イソインドリル;ベンゾフリル;ベンゾチエニル;ベンゾオキサゾリル;ベンゾチアゾリル;ベンゾイソオキサゾリル;ベンゾイソチアゾリル;ベンゾイミダゾリル;インダゾリル;イソキノリニル;キノリニル;キノキサリニル;シンノリニル;フタラジニル;キナゾリニル;ベンゾトリアジニル;インドリジニル;オキサゾロピリジル;イミダゾピリジル;ナフチリジニル;インドリニル;イソクロマニル;クロマニル;テトラヒドロイソキノリニル;イソインドリニル;イソベンゾテトラヒドロフリル;イソベンゾテトラヒドロチエニル;イソベンゾチエニル;ベンゾオキサゾリル;ピリドピリジル;ベンゾテトラヒドロフリル;ベンゾテトラヒドロ-チエニル;プリニル;ベンゾジオキソリル;フェノキサジニル;フェノチアジニル;プテリジニル;ベンゾチアゾリル;イミダゾピリジル;イミダゾチアゾリル;ジヒドロベンゾイソキサジニル;ベンゾイソキサジニル;ベンゾオキサジニル;ジヒドロベンゾイソチアジニル;ベンゾピラニル;ベンゾチオピラニル;クマリニル;イソクマリニル;クロモニル;クロマノニル;テトラヒドロキノリニル;ジヒドロキノリニル;ジヒドロキノリノニル;ジヒドロイソキノリノニル;ジヒドロクマリニル;ジヒドロイソクマリニル;イソインドリノニル;ベンゾジオキサニル;ベンゾオキサゾリノニル;キノリニル-N-オキシド;インドリル-N-オキシド;インドリニル-N-オキシド;イソキノリル-N-オキシド;キナゾリニル-N-オキシド;キノキサリニル-N-オキシド;フタラジニル-N-オキシド;インドリジニル-N-オキシド;インダゾリル-N-オキシド;ベンゾチアゾリル-N-オキシド;ベンゾイミダゾリル-N-オキシド;ベンゾ-チオピラニル-S-オキシド及びベンゾチオピラニル-S,S-ジオキシド等。
【0033】
ヘテロアリールアルキルは、前記定義のアルキル及びヘテロアリールのいずれの場合もそれらの最も広い意味の組合せを表す。アルキル基が置換基として分子に直接結合され、次にヘテロアリール基で置換される。アルキルとヘテロアリールの結合は、アルキル側についてはこの目的に適したいずれの炭素原子を介しても達成され、ヘテロアリール側についてはこの目的に適したいずれの炭素又は窒素原子を介しても達成され得る。この2つの基の組合せにもアルキル及びヘテロアリールのそれぞれの亜群が含まれる。
用語ヘテロシクロアルキルは、前記定義どおりのシクロアルキルから、該炭化水素環中、1個以上の基-CH2-が相互独立に基-O-、-S-又は-NH-と置き換わるか、又は1個以上の基=CH-が基=N-と置き換わると、誘導される基を意味し、その上、合計5個以下のヘテロ原子が存在してよく、2個の酸素原子間及び2個のイオウ原子間又は1個の酸素原子と1個のイオウ原子との間には少なくとも1個の炭素原子が存在しなければならず、かつ該基は全体として化学的に安定性でなければならない。ヘテロ原子は同時に全ての可能な酸化段階で存在してよい(イオウ→スルホキシド-SO-、スルホン-SO2-;窒素→N-オキシド)。シクロアルキルからの間接的定義/誘導から、ヘテロシクロアルキルは亜群単環式ヘテロ環、二環式ヘテロ環及びスピロヘテロ環で構成され、その上、各亜群をさらに飽和及び不飽和(ヘテロシクロアルケニル)に細分することもできることが即座に分かる。不飽和という用語は、問題の環系内に少なくとも1つの二重結合があるが、芳香族系は形成されていないことを意味する。二環式ヘテロ環では、2つの環が少なくとも2個の原子を共有するように結合している。スピロヘテロ環では、1個の炭素原子(スピロ原子)が2つの環によって共有される。ヘテロシクロアルキルが置換される場合、その置換は、いずれの場合も、水素を持っている全ての炭素及び/又は窒素原子において、相互独立に一置換又は多置換であってよい。へテロシクロアルキル自体は、置換基として、その環系のいずれの適切な位置を介しても分子に結合し得る。
個々の亜群の典型例を以下に列挙する。
単環式ヘテロ環(飽和及び不飽和):
テトラヒドロフリル;ピロリジニル;ピロリニル;イミダゾリジニル;チアゾリジニル;イミダゾリニル;ピラゾリジニル;ピラゾリニル;ピペリジニル;ピペラジニル;オキシラニル;アジリジニル;アゼチジニル;1,4-ジオキサニル;アゼパニル;ジアゼパニル;モルフォリニル;チオモルフォリニル;ホモモルフォリニル;ホモピペリジニル;ホモピペラジニル;ホモチオモルフォリニル;チオモルフォリニル-S-オキシド;チオモルフォリニル-S,S-ジオキシド;1,3-ジオキソラニル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロチオピラニル;[1,4]-オキサゼパニル;テトラヒドロチエニル;ホモチオモルフォリニル-S,S-ジオキシド;オキサゾリジノニル;ジヒドロピラゾリル;ジヒドロピロリル;ジヒドロピラジニル;ジヒドロピリジル;ジヒドロ-ピリミジニル;ジヒドロフリル;ジヒドロピラニル;テトラヒドロチエニル-S-オキシド;テトラヒドロチエニル-S,S-ジオキシド;ホモチオモルフォリニル-S-オキシド;2,3-ジヒドロアゼト;2H-ピロリル;4H-ピラニル;1,4-ジヒドロピリジニル等。
二環式ヘテロ環(飽和及び不飽和):
8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル;8-アザビシクロ[5.1.0]オクチル;2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;2,5-ジアザ-ビシクロ-[2.2.1]ヘプチル;1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル;3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;3,9-ジアザ-ビシクロ[4.2.1]ノニル;2,6-ジアザ-ビシクロ[3.2.2]ノニル;ヘキサヒドロ-フロ[3,2-b]フリル等。
スピロ-ヘテロ環(飽和及び不飽和):
1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デシル;1-オキサ-3,8-ジアザ-スピロ[4.5]デシル;及び2,6-ジアザ-スピロ[3.3]ヘプチル;2,7-ジアザ-スピロ[4.4]ノニル;2,6-ジアザ-スピロ[3.4]オクチル;3,9-ジアザ-スピロ[5.5]ウンデシル;2,8-ジアザ-スピロ[4.5]デシル等。
ヘテロシクロアルキルアルキルは、前記定義のアルキル及びヘテロシクロアルキル基のいずれの場合もそれらの最も広い意味の組合せを表す。アルキル基が置換基として分子に直接結合され、次にヘテロシクロアルキル基で置換される。アルキルとヘテロシクロアルキルの結合は、アルキル側についてはこの目的に適したいずれの炭素原子を介しても達成され、ヘテロシクロアルキル側についてはこの目的に適したいずれの炭素又は窒素原子を介しても達成され得る。この2つの基の組合せには、アルキル及びヘテロシクロアルキルのそれぞれの亜群も含まれる。
用語「適切な置換基」は、一方ではその原子価の理由で適合しており、他方では化学的安定性を有する系をもたらす置換基を意味する。
【0034】
「プロドラッグ」は、その前駆代謝物の形態の活性物質を意味する。部分的多成分担体-プロドラッグシステム(partly multi-part carrier-prodrug systems)と生体内変換システム(biotransformation system)に分類することができる。後者は、化学的又は生物学的代謝を必要とする形態で活性物質を含む。当業者は、この種のプロドラッグシステムに精通しているであろう(Sloan, Kenneth B.;Wasdo, Scott C. 「浸透促進におけるプロドラッグの役割(The role of prodrugs in penetration enhancement)」 Percutaneous Penetration Enhancers (第2版) (2006).51-64;Lloyd, Andrew W. Prodrugs. Smith and Williams' Introduction to the Principles of Drug Design and Action (4th Edition) (2006), 211-232;Neervannan, Seshadri. 「薬物リード最適化中の溶解度及び溶解速度に影響を与える戦略:塩の選択及びプロドラッグデザインアプローチ(Strategies to impact solubility and dissolution rate during drug lead optimization: salt selection and prodrug design approaches)」 American Pharmaceutical Review (2004), 7(5), 108.110-113)。適切なプロドラッグは、例えば、酵素的に切断できるリンカー(例えばカルバマート、ホスファート、N-グリコシド又はジスルフィド基)を介して溶解改善物質(例えばテトラエチレングリコール、サッカリド、アミノ酸)に結合している一般式の物質を含む。担体-プロドラッグシステムは、最も単純な考えられる制御可能な機構で切断できるマスキング基にそれ自体結合している活性物質を含む。本発明の化合物中の本発明のマスキング基の機能は、細胞取り込みを改善するため電荷を中和することである。本発明の化合物をマスキング基と共に使用すれば、これらは、例えば経口バイオアベイラビリティー、組織分布、薬物動態及び非特異性ホスファターゼに対する安定性のような他の薬理学的パラメーターにさらに影響を与えることもできる。活性物質の遅延放出は、徐放作用にも関与し得る。加えて、改変された代謝が起こり、結果として活性物質又は器質特異性(organic specificity)の高い効率をもたらし得る。プロドラッグ製剤の場合、マスキング基又は該マスキング基を活性物質に結合するリンカーは、該プロドラッグが血清に溶解するのに十分に親水性であり、活性部位に到達するのに十分な化学的及び酵素的安定性を有し、かつ拡散律速型膜輸送に確実に適するにも十分に親水性であるように選択される。さらに、プロドラッグは、妥当な時間内で活性物質の放出を化学的又は酵素的に誘導できなければならず、かつ言うまでもないが、放出される補助成分は無毒でなければならない。しかし、本発明の範囲内では、摂取された化合物から、まず最初に酵素的及び生化学的プロセスによって細胞内でマスク又はリンカーのない化合物、及びマスクを調製しなければならない化合物をプロドラッグとみなしてよい。
【0035】
(略語のリスト)
【0036】



【0037】
本発明の範囲を制限することなく、本発明の基本を例として説明する以下の詳細な実施例から、本発明の特徴及び利点が明白になるであろう。
【実施例】
【0038】
(本発明の化合物の調製)
(通則)
特に断らない限り、全ての反応は、商業的に得られる装置で、化学実験室で常用される方法を用いてを行なわれる。
空気及び/又は湿気に敏感な出発原料は、保護ガス下で貯蔵され、それらを用いる対応する反応及び操作は、保護ガス(窒素又はアルゴン)下で行なわれる。
マイクロ波反応は、Biotage製のイニシエーター(Initiator)又はCEM製のエクスプローラー(Explorer)で封止容器(好ましくは2、5又は20mL)内で、好ましくは撹拌しながら行なわれる。
(クロマトグラフィー)
分取用中圧クロマトグラフィー(MPLC、順相)では、Millipore製のシリカゲル(名称:Granula Silica Si-60A 35-70μm)又はMacherey Nagel製のC-18 RP-シリカゲル(RP-相)(名称:Polygoprep 100-50 C18)を使用する。
Merc製のガラス上の既製シリカゲル 60 TLCプレート(蛍光指示薬F-254を備える)上で薄層クロマトグラフィーを行なう。
Waters製カラム(名称:XTerra Prep. MS C18、5μM、30×100mm又はXTerra Prep. MS C18、5μm、50×100mm OBD又はSymmetrie C18、5μm、19×100mm又はSunfire C18 OBD、19×100mm、5μm又はSunfire Prep C 10μm OBD 50×150mm又はX-Bridge Prep C18 5μm OBD 19×50mm)、Agilent製カラム(名称:Zorbax SB-C8 5μm PrepHT 21.2×50mm)及びPhenomenex製カラム(名称:Gemini C18 5μm AXIA 21.2×50mm又はGemini C18 10μm 50×150mm)を用いて分取用高速クロマトグラフィー(HPLC)を行ない、Agilent製カラム(名称:Zorbax SB-C8、5μm、21.2×50mm又はZorbax SB-C8、3.5μm、2.1×50mm)及びPhenomenex製カラム(名称:Gemini C18 3μm 2×30mm)を用いて分析用HPLC(反応コントロール)を行なう。
【0039】
(HPLC質量分析/UV分光分析)
Agilent製のHPLC-MS装置(質量検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー)を用いて、実施例を特徴づけるための保持時間/MS-ESI+を得る。注入ピークで溶出する化合物は保持時間tRet.=0.00を与えられる。
方法A:
カラム:Waters、Xterra MS C18、2.5μm、2.1×30mm、部品番号186000592
溶出液:A:H2Oと0.1% HCOOH;B:アセトニトリル(HPLCグレード)
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:120〜900m/z
フラグメンター:120
ゲインEM:1;閾値:150;刻み幅:0.25;UV:254nm;バンド幅:1
注入:注入体積5μL
分離:流速1.10mL/分
カラム温度:40℃
勾配:0.00分:5%溶媒B
0.00〜2.50分:5%→95%溶媒B
2.50〜2.80分:95%溶媒B
2.81〜3.10分:95%→5%溶媒B
方法B:
カラム:Waters、Xterra MS C18、2.5μm、2.1×50mm、部品番号186000594
溶出液:A:H2Oと0.1% HCOOH;B:アセトニトリルと0.1% HCOOH
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:100〜1200m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV: 閾値:1mAU;刻み幅:2nm;UV:254nm及び230nm
注入:標準1μL
流速:0.6mL/分
カラム温度:35℃
勾配:0.00分:5%溶媒B
0.00〜2.50分:5%→95%溶媒B
2.50〜4.00分:95%溶媒B
4.00〜4.50分:95%→5%溶媒B
4.50〜6.00分:95%溶媒A
方法C:
カラム:Waters、X-Bridge C18、3.5μm、2.1×50mm、
溶出液:A:H2Oと10mM NH3;B:アセトニトリルと10nM NH3
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:100〜800m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV: 閾値:1mAU;刻み幅:2nm;UV:220〜320nm
注入:標準1μL
流速:0.8mL/分
カラム温度:25℃
勾配:0.00分:2%溶媒B
0.00〜4.00分:2%→98%溶媒B
4.00〜6.00分:98%溶媒B
方法D:
カラム:Waters、X-Bridge C18、3.5μm、2.1×50mm、
溶出液:A:H2Oと0.1% HCOOH;B:アセトニトリルと0.1% HCOOH
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:100〜800m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV: 閾値:1mAU;刻み幅:2nm;UV:220〜320nm
注入:標準1μL
流速:0.8mL/分
カラム温度:35℃
勾配:0.00分:2%溶媒B
0.00〜4.00分:2%→98%溶媒B
4.00〜6.00分:98%溶媒B
方法E:
カラム:Phenomenex Gemini C18、3.0μm、2.0×50mm、
溶出液:A:H2Oと10mM NH3;B:アセトニトリルと10nM NH3
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:100〜800m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV: 閾値:1mAU;刻み幅:2nm;UV:220〜320nm
注入:標準1μL
流速:1.0mL/分
カラム温度:35℃
勾配:0.00分:2%溶媒B
0.00〜3.50分:2%→98%溶媒B
3.50〜6.00分:98%溶媒B
方法F:
カラム:Phenomenex Gemini C18、3.0μm、2.0×50mm、
溶出液:A:H2Oと0.1% HCOOH;B:アセトニトリルと0.1% HCOOH
検出:MS:陽性及び陰性モード
質量範囲:100〜800m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV: 閾値:1mAU;刻み幅:2nm;UV:220〜320nm
注入:標準1μL
流速:1.0mL/分
カラム温度:35℃
勾配:0.00分:2%溶媒B
0.00〜3.50分:2%→98%溶媒B
3.50〜6.00分:95%溶媒B
【0040】
後述する合成方法(一般式の置換基は本明細書で前述した意味を有する)で本発明の化合物を調製する。これらの方法は、本発明を説明することを意図しており、本発明をそれらの内容に限定することはなく、又はこれらの実施例に請求化合物の範囲を制限することはない。出発化合物の調製について述べていない場合、出発化合物は商業的に得られるか或いは既知化合物又は本明細書に記載の方法と同様に調製され得る。文献に記載の物質は、その公表された合成方法に従って調製される。
(反応スキームA)
【0041】
【化13】

【0042】
タイプIの実施例化合物は、5位にてR5で置換された2,4-ジクロロピリミジンA-1から、1種以上のアミンRyNH2及びRzNH2を使用する芳香族求核置換によって調製される。置換の順序は、使用するアミン、反応条件(酸性又は塩基性反応条件及びルイス酸の添加)及び置換基R5に大いに左右される。Ry及びRzは、いずれの場合も本発明の実施例化合物を得るのに適した基である。
A-1、A-2及びA-3における芳香族求核置換は、例えばTHF、DCM、NMP、EtOH、MeOH、DMSO又はDMF等の通常の溶媒中、例えばDIPEA若しくはK2CO3等の塩基、又は例えばHCl等の酸を用いて、文献公知の方法に従って行なわれる。使用するアミンRyNH2及びRzNH2は、商業的に得られるか又は文献公知の方法に従って調製される。そして、これらの方法で直接得られるタイプIのジアミノピリミジンに、文献公知又は文献と同様のやり方でRy及びRzに修飾を加えてタイプIのさらなるジアミノピリミジンを形成してよい。従って、例えば、直接得られるタイプIのジアミノピリミジン(カルボン酸置換、スルホン酸置換、ハロゲン置換又はアミノ置換されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルから成る)の基Ry及びRzを、置換(ヘテロアリール自体における)、アルキル化、アシル化、アミノ化又は付加反応によって修飾し得る。
【0043】
(出発化合物の調製)
特に断らない限り、全ての出発原料は商業供給者から購入して直接合成で使用する。文献記載の物質は、その公表された合成方法で調製される。
a) 2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン(A-1a)
【0044】
【化14】

【0045】
5-トリフルオロメチルウラシル(48.0g,267mmol)を210mLのオキシ塩化リン(POCl3)に水分を排除しながら懸濁させる。この懸濁液に温度が25℃〜30℃のままであるようにジエチルアニリン(47.7g,320mmol)をゆっくり一滴ずつ添加する。添加が終了した後、混合物を水浴内でさらに5〜10分間撹拌し、水分を排除しながら混合物を80〜90℃で5〜6時間加熱する。氷水と混合した約1200gの硫酸に撹拌しながら加えることによって過剰のPOCl3を破壊し、即座に水相を各場合500mLのジエチルエーテル又はtert.-ブチルメチルエーテルで3回抽出する。混ぜ合わせたエーテル性抽出物を、氷水と混合した(約0.1M)硫酸300mL×2及び冷却生理食塩水で洗浄し、即座に硫酸ナトリウム上で乾燥させる。乾燥剤をろ別し、真空中で溶媒を除去する。短カラム(20cm)(加熱温度:65〜70℃)を通して残留物を真空(10mbar)中で蒸留して無色液体を得、ビンづめしてアルゴン下で貯蔵する。
TLC:Rf=0.83(cHex:EE=3:1)
この手順と同様にさらなるピリミジンA-1が、対応する中間体/遊離体又は対応する商業的に入手可能な遊離体から得られる。
b) 4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-3-メトキシ-安息香酸ベンジル(A-3a)
【0046】
【化15】

【0047】
4-アミノ-3-メトキシ安息香酸ベンジル(1.92g,6.8mmol)及びK2CO3(2.38g,17mmol)を4mLのジオキサンに懸濁させてから2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリミジン(1.48mL,6.8mmol)と混合する。次に懸濁液を油浴(約130℃)内で100分間撹拌しながら還流させる。反応が終了したらすぐに反応混合物をろ過し、ろ液を回転エバポレーションで濃縮し、順相カラムクロマトグラフィーで精製する。A-3aの生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.94分;MS(M-H)+=436)を混ぜ合わせて回転エバポレーションで濃縮する。
c) 4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-3-メトキシ-安息香酸(A-4a)
【0048】
【化16】

【0049】
化合物A-3a(1.3g,3mmol)を水素化オートクレーブ内で50mLのTHFに懸濁させ、炭素上Pd(OH)2(180mg,装填20%,約50%の水)と混合する。次に4.5バールのH2圧をかけて反応混合物を24時間撹拌する。反応が終了した後、反応混合物をろ過し、ろ液をエバポレートし、粗生成物A-4a(HPLC-MS:tRet.=1.24分;MS(M-H)+=346)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
d) 4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-5a)
【0050】
【化17】

【0051】
化合物A-4a(2.0g,5.6mmol)を70mLのトルエンに懸濁させ、塩化チオニル(840μL,11.5mmol)と混ぜ合わせ、撹拌しながら120℃に2時間加熱する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物を50mLのTHFに懸濁させ、0℃に冷却し、20mLのTHFに溶かした4-アミノ-1-メチルピペリジン(657mg,5.75mmol)とDIPEA(1.97mL,11.5mmol)の溶液と一滴ずつ混合する。反応混合物をゆっくりRTまで戻してさらに12時間RTで撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、生成物A-5aをろ別し(HPLC-MS:tRet.=2.06分;MS(M+H)+=444)、さらに精製せずに使用する。
e) 4-[4-((1R,2R)-2-アミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロ-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-6a)
【0052】
【化18】

【0053】
化合物A-5a(1.5g,3.38mmol)と(1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン(463mg,4.06mmol)を15mLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(4.9mL,26.5mmol)と混ぜ合わせて70℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物をDMFに取って分取用HPLCで精製する。A-6aの生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=0.56分;MS(M+H)+=522)を凍結乾燥させる。
f) 3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-4-[4-((1R,2R)-2-プロピオニルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-ベンズアミド(I-1)
【0054】
【化19】

【0055】
プロピオン酸(12mg,0.15mmol)及びHATU(58mg,0.15mmol)をDMF(500μL)に懸濁させ、DIPEA(80μL,0.48mmol)と混ぜ合わせ、反応混合物をRTで15分間撹拌する。次にA-6a(50mg,0.1mmol)を加えて反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、分取用HPLCで精製する。I-1の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.82分;MS(M+H)+=578)を凍結乾燥させる。
g) 4-[4-(2-アミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-安息香酸ベンジル(A-7a)
【0056】
【化20】

【0057】
化合物A-3a(1.0g,2.28mmol)及びtrans-シクロヘキサン-1,2-ジアミン(313mg,2.74mmol)を10mLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(3.3mL,17.3mmol)と混ぜ合わせて70℃で一晩撹拌する。反応の終了後、反応混合物をエバポレートし、粗生成物A-7a(HPLC-MS:tRet.=1.11分;MS(M-H)+=516)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
h) 4-[4-(2-アセチルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-安息香酸ベンジル(A-8a)
【0058】
【化21】

【0059】
化合物A-7a(500mg,0.97mmol)をDCMに懸濁させ、0℃に冷却してからトリエチルアミン(161μL,1.16mmol)及び無水酢酸(100mg,0.97mmol)と混合する。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、水と混合し、DCMで抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、ろ液をエバポレートし、粗生成物A-8a(HPLC-MS:tRet.=1.78分;MS(M-H)+=558)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
i) 4-[4-(2-アセチルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-安息香酸(A-9a)
【0060】
【化22】

【0061】
化合物A-8a(510mg,0.92mmol)を水素化オートクレーブ内で10mLのTHFに懸濁させ、炭素上Pd(50mg,装填10%)と混合する。次に5バールのH2で加圧して反応混合物を24時間撹拌する。反応の終了後、反応混合物をろ過し、ろ液をエバポレートし、粗生成物A-9a(HPLC-MS:tRet.=1.27分;MS(M-H)+=468)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
j) 4-[4-(2-アセチルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-イソプロピル-3-メトキシ-ベンズアミド(I-2)
【0062】
【化23】

【0063】
ピリミジンA-9a(50mg,0.11mmol)及びTBTU(38mg,0.12mmol)をDMF(400μL)に懸濁させ、DIPEA(110μL,0.64mmol)と混ぜ合わせて反応混合物をRTで15分間撹拌する。次にイソプロピルアミン(27mg,0.46mmol)を加えて反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、分取用HPLCで精製する。I-2の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.85分;MS(M+H)+=509)を凍結乾燥させる。
k) 4-{4-[ベンジル-((1R,2R)-2-ベンジルアミノ-シクロヘキシル)-アミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-10a)
【0064】
【化24】

【0065】
化合物A-5a(500mg,1.13mmol)及び(1R,2R)-N,N'-ジベンジル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン(364mg,1.24mmol)(S.E. Denmark, J. E. Marlin J. Org. Chem. 1991, 56, 5063-5079. H. Tye, C. Eldred, M. Wills Tetrahedron Lett. 2002, 43, 155-158)を5mLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(570μL,3.36mmol)と混合して70℃で撹拌する。反応が終了した後、反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。粗生成物A-10a(HPLC-MS:tRet.=0.91分;MS(M-H)+=702)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
l) 4-(4-{ベンジル-[(1R,2R)-2-(ベンジル-メチル-アミノ)-シクロヘキシル]-アミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-11a)
【0066】
【化25】

【0067】
化合物A-10a(750mg,1.07mmol)とホルムアルデヒド(164μL,2.36mmol,37%w/w)を25mLのTHFに懸濁させ、酢酸(370μL,6.42mmol)と混ぜ合わせてRTで10分間撹拌する。次に反応混合物を0℃に冷却し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.05g,9.66mmol)と混ぜ合わせる。反応が終了した後、反応混合物を水と混合し、1MのNaOHでわずかに塩基性のpHに調整し、EtOAcで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中でエバポレートする。粗生成物A-11a(HPLC-MS:tRet.=1.09分;MS(M-H)+=716)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
m) 3-メトキシ-4-[4-((1R,2R)-2-メチルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-12a)
【0068】
【化26】

【0069】
化合物A-11a(850mg,1.09mmol)を水素化オートクレーブ内で20mLのTHFに懸濁させ、炭素上Pd(OH)2(180mg,装填10%,約50%の水)と混ぜ合わせる。次に7バールのH2で加圧して反応混合物を70℃で72時間撹拌する。反応の終了後、反応混合物をろ過し、ろ液をエバポレートし、粗生成物A-12a(HPLC-MS:tRet.=0.66分;MS(M-H)+=536)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
n) 3-メトキシ-4-(4-{(1R,2R)-2-[(2-メトキシ-アセチル)-メチル-アミノ]-シクロヘキシルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-3)
【0070】
【化27】

【0071】
メトキシ酢酸(15mg,0.17mmol)及びHATU(64mg,0.17mmol)をDMF(600μL)に懸濁させ、DIPEA(58μL,0.34mmol)と混ぜ合わせて反応混合物をRTで15分間撹拌する。次にDMF(200μL)に溶かしたA-12a(60mg,0.11mmol)を加えて反応混合物をRTで3時間撹拌する。反応混合物をろ過し、分取用HPLCで精製する。I-3の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.78分;MS(M+H)+=608)を凍結乾燥させる。
o) (1R,2R)-N-(2,5-ジクロロ-ピリミジン-4-イル)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン (A-2b)
【0072】
【化28】

【0073】
2.4,5-トリクロロピリミジン(1.0g,5.45mmol)を65mLのイソPrOHに懸濁させ、K2CO3(10.55g,76.33mmol)と混ぜ合わせる。次に(1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン(685mg,5.99mmol)を加えて反応混合物を55℃で3時間撹拌する。反応混合物をエバポレートし、水と混合し、DCMで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中でエバポレートする。粗生成物をろ過し、分取用HPLCで精製し、A-2bの生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=0.61分;MS(M+H)+=261/263)を凍結乾燥させる。
p) N-[(1R,2R)-2-(2,5-ジクロロ-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロヘキシル]-アセトアミド(A-3b)
【0074】
【化29】

【0075】
化合物A-2b(500mg,1.92mmol)を5mLのDCMに懸濁させ、反応混合物を0℃に冷却する。次にDIPEA(408μL,2.3mmol)と無水酢酸(195mg,1.95mmol)を加えて混合物を0℃で1時間撹拌する。水と混合したDCMで反応混合物を希釈し、DCMで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中でエバポレートする。粗生成物A-13a(HPLC-MS:tRet.=1.19分;MS(M+H)+=303/305)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
q) N-{(1R,2R)-2-[5-クロロ-2-(2-メトキシ-フェニルアミノ)-ピリミジン-4-イルアミノ]-シクロヘキシル}-アセトアミド(I-4)
【0076】
【化30】

【0077】
4
ピリミジンA-13a(70mg,0.23mmol)及び2-メトキシアニリン(57mg,0.46mmol)をMeOH(1.8mL)に懸濁させ、ジオキサン中のHCl(75μL,0.3mmol,4M)と混ぜ合わせて反応混合物をマイクロ波反応器内で30分間130℃に加熱する。反応が終了した後、全ての揮発成分を真空中で除去し、反応混合物をDMFと混ぜ合わせて分取用HPLCで精製する。I-4の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.92分;MS(M+H)+=390/392)を凍結乾燥させる。
実施例I-1〜I-4を合成するために上述した反応方法a)〜q)と同様に、さらなる実施例I-5〜I-123(表1)又は匹敵する他の例を対応する前駆物質(商業的に入手可能であるか又は文献公知の方法で調製可能)から得ることができる。
【0078】
表1:実施例I-1〜I-123
【表1−1】

【0079】
【表1−2】

【0080】
【表1−3】

【0081】
【表1−4】

【0082】
【表1−5】

【0083】
【表1−6】

【0084】
【表1−7】

【0085】
【表1−8】

【0086】
【表1−9】

【0087】
【表1−10】

【0088】
【表1−11】

【0089】
【表1−12】

【0090】
【表1−13】

【0091】
【表1−14】

【0092】
【表1−15】

【0093】
【表1−16】

【0094】
【表1−17】

【0095】
【表1−18】

【0096】
【表1−19】

【0097】
【表1−20】

【0098】
【表1−21】

【0099】
【表1−22】

【0100】
【表1−23】

【0101】
【表1−24】

【0102】
【表1−25】

【0103】
【表1−26】

【0104】
N-((1R,2R)-2-アミノ-シクロペンチル)-N-メチル-メタンスルホンアミド(B-4a)の合成
工程1:(1S,2R)-2-メタンスルホニルアミノ-シクロペンチルメタンスルホナート(B-1a)
【0105】
【化31】

【0106】
(1S,2R)-2-アミノ-シクロペンタノール(10g,72.67mmol)を300mLのDCMに入れ、0℃に冷却し、連続的にトリエチルアミン(60.7mL,436mmol)及び塩化メタンスルホニル(17mL,218mmol)と混ぜ合わせる。混合物を0℃で1時間撹拌する。混合物を水及び飽和NaHCO3溶液と混ぜ合わせて抽出する。有機相を分別し、1×水/1N HClで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ別し、回転エバポレーションで濃縮する。生成物B-1a(HPLC-MS:tRet.=0.77分;MS(M-H)-=256)をさらに精製せずに使用する。
工程2:N-((1R,2R)-2-アジド-シクロペンチル)-メタンスルホンアミド(B-2a)
【0107】
【化32】

【0108】
化合物B-1a(17.8g,69.17mmol)を450mLのDMFに入れ、NaN3(13.5g,207.5mmol)と混ぜ合わせ、60℃に加熱して一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻して7倍の水を加える。混合物を30分間撹拌してから生成物をEEで抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ別し、回転エバポレーションで濃縮する。回転エバポレーションによって濃縮された残留物を水及びジエチルエーテルと混合し、有機相を分別し、MgSO4上で乾燥させ、ろ別し、回転エバポレーションで濃縮する。生成物B-2a(HPLC-MS:tRet.=0.97分;MS(M-H)-=203)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
工程3:N-((1R,2R)-2-アジド-シクロペンチル)-N-メチル-メタンスルホンアミド(B-3a)
【0109】
【化33】

【0110】
化合物B-2a(9.8g,47.98mmol)を600mLのDMEに入れてから炭酸カリウム(13.3g,95.96mmol)及びヨウ化メチル(12mL,191.92mmol)と混合する。混合物を85℃に加熱して一晩撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、水及びエーテルと混合し、有機相を分別する。水相を再びEEで抽出し、有機相を混ぜ合わせる。これらをMgSO4上で乾燥させ、ろ別し、回転エバポレーションで濃縮する。粗生成物B-3aをさらに精製せずに次反応で使用する。
工程4:N-((1R,2R)-2-アミノ-シクロペンチル)-N-メチル-メタンスルホンアミド(B-4a)
【0111】
【化34】

【0112】
化合物B-3a(9.8g,44.90mmol)を水素化オートクレーブ内で100mLのEtOHに懸濁させ、炭素上Pd(1g,装填5%)と混ぜ合わせる。次に6バールのH2で加圧して反応混合物をRTで3時間撹拌する。反応の終了後、反応混合物をろ過し、ろ液をエバポレートし、粗生成物B-4a(HPLC-MS:tRet.=0.45分;MS(M+H)+=193)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
N-((1R,2R)-2-アミノ-シクロヘキシル)-N-メチル-メタンスルホンアミド (B-8a)の合成
工程1:2-((1R,2R)-2-アミノ-シクロヘキシル)-イソインドール-1,3-ジオン(B-5a)
【0113】
【化35】

【0114】
(1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン(12.70g,111.21mmol)を90mLのEtOHに入れ、0℃に冷却し、フタルイミド試薬と混合する(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸エチル;24.38g,111.21mmol)。短い反応時間後、生成物が溶液から沈殿する。混合物を0℃で1時間撹拌する。それを次に再び0℃に冷却し、さらに30分間撹拌し、生成物をろ別する。粗生成物B-5a(HPLC-MS:tRet.=1.40分;MS(M+H)+=245)を乾燥させ、さらに精製せずに次の反応で使用する。
工程2:N-[(1R,2R)-2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-シクロヘキシル]-メタンスルホン-アミド(B-6a)
【0115】
【化36】

【0116】
化合物B-5a(15g,61.4mmol)を105mLのDCMに入れ、トリエチルアミン(25.7mL,184.2mmol)と混ぜ合わせ、次に45mLのDCMに溶かした塩化メタンスルホニル(4.8mL,61.4mmol)を一滴ずつ添加する。混合物をRTで1時間撹拌する。混合物を水と混合し、相を分けて水相をDCMで2回以上抽出する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートする。得られた固体B-6aをさらに精製せずに次の反応で使用する(HPLC-MS:tRet.=1.22分;MS(M+H)+=323)。
工程3:N-[(1R,2R)-2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-シクロヘキシル]-N-メチル-メタンスルホンアミド(B-7a)
【0117】
【化37】

【0118】
化合物B-6a(20.1g,62.38mmol)を200mLのDMEに入れてから炭酸カリウム(17.2g,124.7mmol)及びヨウ化メチル(11.65mL,187.1mmol)と混ぜ合わせる。混合物を85℃に加熱して一晩撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、水及びEEと混合し、有機相を分別する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートする。粗生成物B-7a(HPLC-MS:tRet.=1.34分;MS(M+H)+=337)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
工程4:N-((1R,2R)-2-アミノ-シクロヘキシル)-N-メチル-メタンスルホンアミド(B-8a)
【0119】
【化38】

【0120】
化合物B-7a(19.6g,58.38mmol)を505mLのEtOHに入れ、35%のヒドラジン水溶液(15.9mL,175.1mmol)と混ぜ合わせ、撹拌しながら3時間還流させる。反応混合物をRTに冷まし、結果として生じる固体をろ別し、少量のEtOHで洗浄し、回転エバポレーションで濃縮する。残留物をDCMと撹拌し、ろ別し、DCMで洗浄し、混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ別し、回転エバポレーションで濃縮する。油性残留物をジエチルエーテルと混ぜ合わせると、生成物が晶出し始める。それを30分間還流させて撹拌する。次にそれを0℃に冷却し、さらに30分間撹拌し、固体をろ別する。固体B-8a(HPLC-MS:tRet.=1.81分;MS(M+H)+=207)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
r) 4-{4-[(1R,2R)-2-(メタンスルホニル-メチル-アミノ)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-124)
【0121】
【化39】

【0122】
化合物A-5a(50mg,0.113mmol)及び化合物B-4a(43.3mg,0.225mmol)を500μLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(75μL,0.451mmol)と混ぜ合わせて75℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物をDMFに取って分取用HPLCで精製する。I-124の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.77分;MS(M+H)+=600)を凍結乾燥させる。
s) 4-{4-[(1R,2R)-2-(メタンスルホニル-メチル-アミノ)-シクロヘキシルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-90)
【0123】
【化40】

【0124】
化合物A-5a(129mg,0.291mmol)及び化合物B-8a(60mg,0.291mmol)をDIPEA(193μL,1.16mmol)と共に1.2mLのEtOHに入れて70℃で2時間撹拌する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物をDMFに取って分取用HPLCで精製する。I-90の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.85分;MS(M+H)+=614)を凍結乾燥させる。
t) 4-[4-((1R,2R)-2-メタンスルホニルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-125)
【0125】
【化41】

【0126】
化合物A-6aをDCMに取って10%のK2CO3溶液で抽出し、乾燥させてエバポレートする。A-6a(50mg,0.096mmol)を1mLのDCMに懸濁させて40μLのトリエチルアミン(0.288mmol)と混ぜ合わせる。次に8μL(0.105mmol)の塩化メタンスルホニルをゆっくり一滴ずつ加えて混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物をエバポレートし、残留物をDMFに取り、分取用HPLCによって直接クロマトグラフィーで精製する。I-125の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.78分;MS(M+H)+=600)を凍結乾燥させる。
u) 4-[4-((1R,2R)-2-アミノ-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-6b)
【0127】
【化42】

【0128】
化合物A-5a(300mg,0.676mmol)及び(1R,2R)-trans-1,2-シクロペンタンジアミン二塩酸塩(117mg,0.676mmol)を4mLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(447μL,2.71mmol)と混合して80℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物をDMFに取って分取用HPLCで精製する。A-6bの生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=0.60分;MS(M+H)+=508)を凍結乾燥させる。
v) 4-[4-((1R,2R)-2-メタンスルホニルアミノ-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-126)
【0129】
【化43】

【0130】
化合物A-6bをDCMに取って10%のK2CO3溶液で抽出し、乾燥させてエバポレートする。A-6b(65mg,0.128mmol)を700μLのDCMに懸濁させ、72μLのトリエチルアミン(0.512mmol)と混ぜ合わせる。次に0℃で10μL(0.134mmol)の塩化メタンスルホニルをゆっくり一滴ずつ添加して混合物をRTで1時間撹拌する。反応混合物をエバポレートし、残留物をDMFに取り、分取用HPLCを用いて直接クロマトグラフィーで精製する。I-126の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.83分;MS(M+H)+=586)を凍結乾燥させる。
w) 2,5-ジクロロ-4-メチルスルファニル-ピリミジン(A-14a)
【0131】
【化44】

【0132】
2.4,5-トリクロロピリミジン(10.9g,59.4mmol)を110mLのTHFに入れ、0℃に冷却してからナトリウムメタンチオラート(5g,71.3mmol)と混合する。温度をゆっくりRTに上げて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応の終了後、反応混合物を回転エバポレーションで濃縮し、100mLの水と混合し、DCMで2回抽出する。有機相を分別し、MgSO4上で乾燥させ、ろ別して回転エバポレーションで濃縮する。生成物A-14aをさらに精製せずに使用する。
x) 4-(5-クロロ-4-メチルスルファニル-ピリミジン-2-イルアミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-安息香酸ベンジル(A-15a)
【0133】
【化45】

【0134】
化合物A-14a(2g,10.3mmol)及び4-アミノ-2-フルオロ-5-メトキシ-安息香酸ベンジル(3.4g,12.3mmol)を3mLのNMPに入れ、ジオキサン中のHCl(2.8mL,11.3mmol,4Mol/L)と混ぜ合わせる。混合物を100℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻してアセトニトリルと混ぜ合わせる。それをさらに15分間撹拌し、反応混合物を水上に注ぎ、さらに30分間撹拌する。沈殿物A-15a(HPLC-MS:tRet.=2.05分;MS(M+H)+=434)をろ過し、乾燥させ、さらに精製せずに使用する。
y) 4-(5-クロロ-4-メタンスルホニル-ピリミジン-2-イルアミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-安息香酸ベンジル(A-16a)
【0135】
【化46】

【0136】
化合物A-15a(11.1g,23.0mmol)を350mLのDCMに懸濁させ、ゆっくり3-クロロ-過安息香酸(mCPBA)(13g,52.9mmol)と混ぜ合わせて反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物を水及び1M NaOHで2回抽出し、混ぜ合わせた水相を再びDCMで抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートする。粗生成物A-16a(HPLC-MS:tRet.=1.69分;MS(M+H)+=466)をさらに精製せずに次の反応で使用する。
z) 4-(5-クロロ-4-ヒドロキシ-ピリミジン-2-イルアミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-安息香酸(A-17a)
【0137】
【化47】

【0138】
化合物A-16a(5g,10.7mmol)を10mLのTHFに入れてから8N NaOH溶液(8mL,64.4mmol)と混ぜ合わせる。混合物をまずRTで1時間、次に65℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、水と混合し、有機相を分別し、水相を8N HClで酸性にする。微細なガラス繊維フィルターで生成物をろ過する。生成物A-17a(HPLC-MS:tRet.=1分;MS(M-H)-=312)を乾燥させ、さらに精製せずに次の反応で使用する。
aa) 4-(4,5-ジクロロ-ピリミジン-2-イルアミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-安息香酸(A-18a)
【0139】
【化48】

【0140】
化合物A-17a(3.3g,10.5mmol)を48mLの塩化ホスホリルに懸濁させ、撹拌しながら2時間還流させる。塩化ホスホリルを回転エバポレーションで除去し、残留物を水と撹拌する。混合物をRTでさらに30分間撹拌し、固体をろ別する。それを水で洗浄し、残留物をTHFに懸濁させ、水及び飽和Na2CO3溶液と混合して一晩撹拌する。THFを回転エバポレーションで除去し、水溶液を8N HClでpH 2に調整する。それを30分間撹拌し、ろ別し、水で洗浄する。生成物A-18a(HPLC-MS:tRet.=1.52分;MS(M-H)-=330)を乾燥させ、さらに精製せずに次の反応で使用する。
ab) 4-(4,5-ジクロロ-ピリミジン-2-イルアミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(A-19a)
【0141】
【化49】

【0142】
化合物A-18a(3.4g,10.1mmol)を100mLのトルエンに懸濁させ、塩化チオニル(2.2mL,30.4mmol)と混合し、撹拌しながら120℃に2時間加熱する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物を130mLのTHFに懸濁させ、0℃に冷却し、50mLのTHFに溶かした,4-アミノ-1-メチルピペリジン(1.2g,10.1mmol)とDIPEA(5.2mL,30.4mmol)の溶液をそれに一滴ずつ添加する。反応混合物をゆっくりRTまで戻してRTで12時間撹拌する。生成物A-19a(HPLC-MS:tRet.=0.87分;MS(M+H)+=428)を沈殿させ、ろ別し、乾燥させ、さらに精製せずに次の反応で使用する。
ac) 4-{5-クロロ-4-[(1R,2R)-2-(メタンスルホニル-メチル-アミノ)-シクロペンチルアミノ]-ピリミジン-2-イルアミノ}-2-フルオロ-5-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(I-127)
【0143】
【化50】

【0144】
化合物A-19a(3.7g,8.6mmol)及び化合物B-4a(2.2g,11.2mmol)を40mLのEtOHに懸濁させ、DIPEA(5.9mL,34.5mmol)と混ぜ合わせて75℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに戻し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残留物をDMFに取って分取用HPLCで精製する。I-127の生成物含有フラクション(HPLC-MS:tRet.=1.99分;MS(M+H)+=584)を凍結乾燥させる。
実施例I-124〜I-127及びI-90を合成するため本明細書で前述した反応方法a)〜ac)と同様に、対応する前駆物質(商業的に入手可能であるか又は文献公知の方法で調製できる)から、さらなる実施例I-128〜I-195(表2)及び匹敵するさらなる例を得ることができる。
【0145】
表2:実施例I-124〜I-195
【表2−1】

【0146】
【表2−2】

【0147】
【表2−3】

【0148】
【表2−4】

【0149】
【表2−5】

【0150】
【表2−6】

【0151】
【表2−7】

【0152】
【表2−8】

【0153】
【表2−9】

【0154】
【表2−10】

【0155】
【表2−11】

【0156】
【表2−12】

【0157】
【表2−13】

【0158】
【表2−14】

【0159】
【表2−15】

【0160】
以下の実施例は、これらの実施例に本発明を限定することなく、本発明の化合物の生物学的活性について記述する。
(PTK2酵素試験)
(アッセイ1)
この試験は、キナーゼ基質として活性PTK2酵素(Invitrogen Code PV3832)及びポリ-Glu-Tyr(4:1,Sigma P-0275)を使用する。キナーゼ活性は、DELFIATMアッセイで該基質のリン酸化を通じて検出される。リン酸化した基質は、ユーロピウム標識ホスホチロシン抗体PT60(Perkin Elmer,品番:AD00400)を用いて検出される。
PTK2阻害薬による濃度-活性曲線を決定するため、化合物を10%DMSO/H2Oで段階希釈し、10μLの各希釈物を96ウェルマイクロタイタープレート(U-形底のクリアプレート,Greiner,品番:650101)の各ウェルに入れ(阻害薬を二通り試験する)、10μL/ウェルのPTK2キナーゼ(0.01μg/ウェル)と混合する。対応してPTK2キナーゼを前もってキナーゼ希釈緩衝液(20mM TRIS/HCl pH 7.5、0.1mM EDTA、0.1mM EGTA、0.286mMオルトバナジン酸ナトリウム、10%グリセロール、調製したばかりのBSA(フラクションV,1mg/mL)とDTT(1mM)を添加)で希釈した。試験化合物及びPTK2キナーゼをRTで1時間プレインキュベートし、毎分500回転で振とうさせる。10μL/ウェルのポリ(Glu,Tyr)基質(25μg/ウェルのポリ(Glu, Tyr)、0.05μg/ウェルのビオチン標識ポリ(Glu,Tyr)を250mM TRIS/HCl pH 7.5、9mM DTTに溶解した)(DMSOの最終濃度は2%である)を添加して反応を開始する。次に20μLのATP Mix(30mM TRIS/HCl pH 7.5、0.02% Brij、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、10mM 酢酸マグネシウム、0.1mM EGTA、1×ホスファート阻害薬カクテル1(Sigma,品番:P2850)、50μM ATP(Sigma,品番:A3377;15mM原液))を加える。1時間のキナーゼ反応(プレートを500rpmで振とうさせる)後、12μL/ウェルの100mM EDTA、pH8.0を添加して反応を停止させてRTでさらに5分間振とうさせる(500rpm)。55μLの反応混合物をストレプトアビジンプレート(Strepta Well High Bind(透明、96ウェル)Roche製、品番:11989685001)に移してRTで1時間インキュベートする(500rpmで振とう)。次にマイクロタイタープレートを3回200μL/ウェルのD-PBS(Invitrogen,品番:14190)で洗浄する。次にDELFIA Eu-N1抗ホスホチロシンPT60抗体(Perkin Elmer,品番:AD0040、DELFIA試験緩衝液(Perkin Elmer,品番:1244-111)で1:2000に希釈)を含む溶液100μLを添加して混合物をRTで1時間インキュベートする(500rpmで振とう)。次にプレートを3回200μL/ウェルのDELFIA洗浄緩衝液(Perkin Elmer,品番:1244-114)で洗浄し、200μL/ウェルの強化溶液(Perkin Elmer,品番:1244-105)を添加して混合物をRTで10分間インキュベートする(300rpmで振とう)。
次にマイクロタイタープレートリーダー(VICTOR3, Perkin Elmer)で時間遅延ユーロピウム蛍光を測定する。使用するポジティブコントロールは、溶媒コントロール(試験緩衝液中2%のDMSO)を含み、かつ無抑制キナーゼ活性を示すウェルである。酵素に代えて試験緩衝液を含むウェルをバックグラウンドキナーゼ活性のコントロールとして使用する。
可変Hill係数と共にS字形曲線解析アルゴリズム(FIFTY、GraphPAD Prism Version 3.03に基づく)を活用した反復計算による濃度-活性の分析からIC50値を決定する。
【0161】
(アッセイ2)
この試験は、キナーゼ基質として活性PTK2酵素(Invitrogen Code PV3832)及びポリ-Glu-Tyr(4:1, Sigma P-0275)を使用する。キナーゼ活性は、DELFIATMアッセイで該基質のリン酸化を利用して検出される。リン酸化した基質は、ユーロピウム標識ホスホチロシン抗体PT60(Perkin Elmer,品番:AD0040)を用いて検出される。
PTK2阻害薬による濃度-活性曲線を決定するため、化合物をまず最初に10%DMSO/H2O、次にキナーゼ希釈緩衝液(20mM TRIS/HCl pH7.5、0.1mM EDTA、0.1mM EGTA、0.286mMオルトバナジン酸ナトリウム、10%グリセロール、調製したばかりのBSA(フラクションV,1mg/mL)とDTT(1mM)を添加)で段階希釈し、10μLの各希釈物を96ウェルマイクロタイタープレート(U-形底のクリアプレート,Greiner,品番:650101)のウェル毎に分配し(阻害薬を二通り試験する)、10μL/ウェルのPTK2キナーゼ(0.01μg/ウェル)と混合する。それに応じてPTK2キナーゼを前もってキナーゼ希釈緩衝液で希釈する。希釈したPTK2阻害薬及びPTK2キナーゼをRTで1時間プレインキュベートし、毎分500回転で振とうさせる。次に10μL/ウェルのポリ-Glu-Tyr基質(25μg/ウェルのポリ-Glu-Tyr、0.05μg/ウェルのビオチン標識ポリ-Glu-Tyrを250mM TRIS/HCl pH 7.5、9mM DTTに溶解した)を添加する。20μLのATP Mix(30mM TRIS/HCl pH 7.5、0.02% Brij、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、10mM 酢酸マグネシウム、0.1mM EGTA、1×ホスファート阻害薬カクテル1(Sigma,品番:P2850)、50μM ATP(Sigma,品番:A3377;15mM原液))(DMSOの最終濃度は0.5%である)を添加して反応を開始する。1時間のキナーゼ反応(プレートを500rpmで振とうさせる)後、12μL/ウェルの100mM EDTA、pH 8を添加して反応を停止させてRTでさらに5分間振とうさせる(500U/分)。55μLの反応混合物をストレプトアビジンプレート(Strepta Well High Bind(透明、96ウェル)Roche製、品番:11989685001)に移してRTで1時間インキュベートする(500rpmで振とう)。次にマイクロタイタープレートを200μL/ウェルのD-PBS(Invitrogen,品番:14190)で5回洗浄する。次にDELFIA Eu-N1抗ホスホチロシンPT66抗体(Perkin Elmer,品番:AD0040、DELFIA試験緩衝液(Perkin Elmer,品番:1244-111)で1:9000に希釈)を含む溶液100μLを添加し、それをRTで1時間インキュベートする(500rpmで振とう)。次にプレートを3回200μL/ウェルのDELFIA洗浄緩衝液(Perkin Elmer,品番:1244-114)で洗浄し、200μL/ウェルの強化溶液(Perkin Elmer,品番:1244-105)を添加し、その全体をRTで10分間インキュベートする(300rpmで振とう)。
次にマイクロタイタープレートリーダー(Victor, Perkin Elmer)で時間遅延ユーロピウム蛍光を測定する。使用するポジティブコントロールは、溶媒(試験緩衝液中0.5%のDMSO)を含み、かつ無抑制キナーゼ活性を示すウェルから成る。酵素に代えて試験緩衝液を含むウェルは、バックグラウンドキナーゼ活性のコントロールとして作用する。
可変Hill係数と共にS字形曲線解析アルゴリズム(FIFTY、GraphPAD Prism Version 3.03に基づく)を用いた反復計算による濃度-活性の分析からIC50値を決定する。
以下の表3は、アッセイ1又はアッセイ2(*)から決定することによって得たほとんど全ての実施例化合物I-1〜I-195のIC50値を与える。このように、本発明の化合物の阻害活性が十分に実証される。
【0162】
【表3】

【0163】
(軟寒天アッセイ)
この細胞試験を利用して、軟寒天内におけるPC-3前立腺癌細胞の増殖(「足場非依存性増殖」)に及ぼすPTK2阻害薬の影響を決定する。2週間のインキュベーション時間後、アラマーブルー(Alamar Blue)(レサズリン)染色によって細胞の生命力を実証する。
10%ウシ胎仔血清(Invitrogen,品番:16000-044)で補充したF12 Kaighn's Medium(Gibco,品番:21127)を含む細胞培養フラスコ(175cm2)内でPC-3細胞(ATCC CRL-1435)を培養する。培養をインキュベーター内で37℃及び5%CO2にてインキュベートし、1週間に2回試験を行なう。試験Iは96ウェルマイクロタイタープレート(Greiner,品番:655 185)内で行なわれ、1.2%のアガロース(Invitrogen,4%アガロース1×液体40mL,品番:18300-012)を含む90μLの培地で構成される下層、次に60μLの培地と0.3%のアガロース内の細胞層及び最後に希釈試験化合物を含有する30μLの培地(アガロースの添加なし)を含む上層から成る。下層を調製するため、4%アガロースを10×D-PBS(Gibco,品番:14200)及びH2Oと煎じ、このようにして1×D-PBS中3%のアガロースに向けて前希釈する。後者を培養液(F12 Kaighn's/10%FCS)及びFCSで調整して、10%FCSを含むF12 Kaighn's Medium中1.2%のアガロースという最終希釈にする。マイクロタイタープレートの各ウェルに下層用懸濁液90μLを供給して1時間RTに冷ます。細胞層では、トリプシン(Gibco,0.05%;品番:25300)を用いてPC-3細胞を引き離し、カウントし、各場合1ウェル当たり0.3%のアガロースを添加した60μLのF12 Kaighn's(10%FCS)に400個の細胞を播種する(37℃)。2時間RTに冷却後、試験化合物(段階希釈から30μL)を三通りの測定用に添加する。試験化合物の濃度は、通常1μM〜0.06nMの試験範囲を網羅する。化合物(原液:100%DMSO中10mM)をまず100%DMSOで段階希釈してからF12 Kaighn's Mediumで前希釈して最終濃度0.8%DMSOを得る。細胞を蒸気飽和雰囲気内で37℃及び5%CO2にて14日間インキュベートする。次に生細胞の代謝活性を色素アラマーブルー(AbD Serotec,品番:BUF012B)で実証する。これを行なうため、25μL/ウェルのアラマーブルー懸濁液を添加し、全体をインキュベーター内で37℃にて約8時間インキュベートする。ポジティブコントロールは空のウェルから成り、加圧滅菌によって還元された25μLのアラマーブルーと175μLのF12 Kaighn's Medium(10%FCS)の混合物が満たされる。使用するネガティブコントロールは、細胞のない2つのアガロース層及び培地の上層を含むウェルである。蛍光分光計(SpectraMAX GeminiXS, Molecular Devices)を利用して蛍光強度を決定する。励起波長は530nmであり、発光波長は590nmである。
可変Hill係数と共にS字形曲線解析アルゴリズム(FIFTY、GraphPAD Prism Version 3.03に基づく)を用いた反復計算による濃度-活性の分析からEC50値を決定する。
【0164】
(ホスホ-PTK2(pY397)アッセイ)
この細胞試験を利用して、チロシン397におけるPTK2リン酸化(pY397)の状態に及ぼすPTK2阻害薬の影響を決定する。
10%ウシ胎仔血清(Invitrogen,品番:16000-044)を添加したF12 Kaighn's Medium(Gibco,品番:21127)を含む細胞培養フラスコ(175cm2)内でPC-3細胞(前立腺癌,ATCC CRL-1435)を培養する。培養をインキュベーター内で37℃及び5%CO2にてインキュベートし、1週間に2回試験を行なう。
試験のため、ウェル/180μLの培地当たり2×104個の細胞を96ウェルマイクロタイタープレート(Costar,品番:3598)にプレートアウトし(plate out)、インキュベーター内で一晩37℃及び5%CO2にてインキュベートする。次の日に試験化合物(段階希釈から20μL)を添加する。試験化合物の濃度は、通常10μM〜5fMの範囲を網羅する。試験化合物(原液:100%DMSO中10mM)をまず100%DMSOで段階希釈してから最終濃度が0.5%DMSOになるように培地で希釈する。次に細胞をインキュベーター内で37℃及び5%CO2にて2時間インキュベートする。次に培養の上清を除去し、D-PBS中4%のホルムアルデヒド100μLで20分間RTで細胞を固定する。ホルムアルデヒド溶液の除去後、細胞を300μlの洗浄緩衝液(0.1% Triton X-100、D-PBS中)で1回5分間洗浄する。次にそれらをウェル毎に100μlのクエンチング溶液(洗浄緩衝液中過酸化水素30%、ナトリウムアジド10%)内で周囲温度にて20分間インキュベートする。細胞菌叢を再び300μlの洗浄緩衝液で1回5分間、次いでウェル毎に100μlの遮断緩衝液(TBST(25mM Tris/HCl、pH 8.0、150mM NaCl、0.05%Tween20中5%の脱脂粉乳(Maresi Fixmilch))で1時間洗浄する。遮断緩衝液を50μLの一次抗体、抗ホスホ-PTK2[pY397]ウサギモノクロナール(Invitrogen/Biosource,品番:44-625G)(遮断緩衝液で1:1000希釈してある)と交換する。コントロールの目的では、代わりに遮断緩衝液で1:400希釈したPTK2[総]抗体(クローン4.47マウスモノクロナール,Upstate,品番:05-537)を使用する。このインキュベーションは4℃で一晩行なわれる。次に細胞菌叢を300μLの洗浄緩衝液で1回5分間洗浄し、50μL/ウェルの二次抗体を添加する。結合したホスホ-PTK2[pY397]抗体を検出するため、ヤギ抗ウサギ抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ(Dako,品番:P0448;遮断緩衝液で1:750希釈)を伴う)を使用する。結合したPTK2[総]抗体を検出するため、ウサギ抗マウス抗体(これも西洋ワサビペルオキシダーゼ(Dako,品番:P0161;遮断緩衝液で1:1000希釈)を伴う)を使用する。このインキュベーションは穏やかに振とうさせながらRTで1時間行なわれる。そして細胞菌叢を再び300μLの洗浄緩衝液で1回5分間、次に300μlのPBSで洗浄する。吸引ろ過でPBSを除去し、100μLの染色溶液(TMBペルオキシダーゼ基質(KPL,品番:50-76-02)とペルオキシダーゼ溶液B(H2O2)(KPL,品番:50-65-02)の1:1混合物)を添加することによってペルオキシダーゼ染色を行なう。染色の発生は暗所にて10〜30分間で起こる。100μL/ウェルの1Mリン酸溶液を添加して反応を停止させる。吸収測定装置(VICTOR3 PerkinElmer)を用いて450nmにて測光法で吸収を決定する。抗ホスホ-PTK2[pY397]免疫染色の阻害を利用してEC50値を決定する。抗PTK2[総]抗体による染色はコントロール目的のためであり、阻害薬の影響下では一定のままでなければならない。可変Hill係数と共にS字形曲線解析アルゴリズム(FIFTY、GraphPAD Prism Version 3.03に基づく)を活用した反復計算による濃度-活性の分析からEC50値を決定する。
表3に列挙した全ての実施例化合物は、上記ホスホ-PTK2(pY397)アッセイで10μM以下、一般的に1μM未満のEC50値(PC-3)を有する。
【0165】
(オーロラBキナーゼアッセイ)
アフリカツメガエル(Xenopus laevis)INCENP(アミノ酸790〜847)との複合体(細菌から得て精製する)のN末端位にGSTタグ(アミノ酸60〜361)を備えた大腸菌発現組換えアフリカツメガエルオーロラB野生型タンパク質を用いて放射性酵素阻害アッセイを展開した。同等のやり方でアフリカツメガエルINCENP790-847との複合体のアフリカツメガエルオーロラB変異体(G96V)を使用してもよい。
(発現及び精製)
アフリカツメガエル由来のオーロラB60-361のコード配列を、BamHI及びSalI切断部位を介してpGEX-6T(Amersham Biotech)の修飾異形にクローン化する。このベクターは、リボソーム結合部位で隔てられた2つのクローン化カセットを含み、バイシストロニックな発現を可能にする。この構成では、アフリカツメガエルオーロラBは第1のカセットによって発現され、アフリカツメガエルINCENP790-847は第2のカセットによって発現される。結果として生じるベクターはpAUB-IN847である。
まず最初に大腸菌株BL21(DE3)をpUBS520ヘルパープラスミド及びpAUB-IN847で同時形質変換させた後、0.3mM IPTGを0.45〜0.7のOD600で用いてタンパク質発現を誘導する。そして撹拌しながら23〜25℃で約12〜16時間発現を続ける。
次に遠心分離で細菌を取り出し、このペレットをリーシス緩衝液(50mM Tris/Cl pH 7.6、300mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、5%グリセロール、Roche Complete Protease Inhivitor錠剤)に、超音波を用い、大腸菌培養1リットル当たり20〜30mLのリーシス緩衝液を用いて溶解させる。溶解した材料から遠心分離(12000rpm、45〜60分、JA20ローター)でデブリを除去する。大腸菌培養1リットル当たり300μLの平衡化GST Sepharose Fast Flow(Amersham Biosciences)と共に上清を4℃で4〜5時間インキュベートする。次にカラム材料を30ボリュームのリーシス緩衝液で洗浄してから30ボリュームの切断緩衝液(50mM Tris/Cl pH 7.6、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA)で平衡にする。GSTタグをオーロラBから切断するため、基質1ミリグラム当たり10単位のPrescission Protease(Amersham Biosciences)を用いて混合物を4℃で16時間インキュベートする。切断生成物を含む上清を、イオン交換緩衝液(50mM Tris/Cl pH 7.6、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA)と平衡化した6mLのResource Qカラム(Amersham Biosciences)上に装填する。オーロラB/INCENP複合体が通過するときにそれを捕えてから濃縮し、SEC緩衝液(10mM Tris/Cl pH 7.6、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA)と平衡化したSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム上に装填する。オーロラB/INCENP複合体を含むフラクションを収集し、Vivaspin濃縮器(分子量排除3000〜5000Da)を用いて最終濃度12mg/mLに濃縮する。この原液からキナーゼアッセイ用に一定分量(例えば240ng/μL)を凍結緩衝液(50mM Tris/Cl pH 8.0、150mM NaCl、0.1mM EDTA、0.03% Brij-35、10% グリセロール、1mM DTT)に移して-80℃で貯蔵する。
【0166】
(キナーゼアッセイ)
10μM〜0.0001μMの濃度枠を網羅するため、試験物質をポリプロピレン皿(96ウェル,Greiner #655 201)に入れる。このアッセイのDMSOの最終濃度は5%である。30μLのタンパク質ミックス(凍結緩衝液中50mM Tris/Cl pH 7.5、25mM MgCl2、25mM NaCl、167μM ATP、10ngのアメリカツメガエルオーロラB/INCENP複合体)を、25%DMSO中で準備した10μlの試験物質にピペットで移し、これをRTで15分間インキュベートする。次に10μLのペプチドミックス(100mM Tris/Cl pH 7.5、50mM MgCl2、50mM NaCl、5μM NaF、5μM DTT、1μCiのγ-P33-ATP[Amersham]、50μMの基質ペプチド[ビオチン-EPLERRLSLVPDS若しくはそのマルチマー、又はビオチン-EPLERRLSLVPKM若しくはそのマルチマー、又はビオチン-LRRWSLGLRRWSLGLRRWSLGLRRWSLG])を加える。反応を75分間(周囲温度)インキュベートし、180μLの6.4%トリクロロ酢酸を添加して反応を停止させ、氷上で20分間インキュベートする。マルチスクリーンろ過プレート(Millipore, MAIP NOB10)をまず最初に100μLの70%エタノールと平衡させてから180μLのトリクロロ酢酸と平衡させ、適切な吸引ろ過装置を用いて液体を除去する。次に、停止したキナーゼ反応を適用する。各場合180μLの1%トリクロロ酢酸による5回の洗浄工程後、皿の下方部分を乾燥させ(55℃で10〜20分)、25μLのシンチレーションカクテル(Microscint, Packard # 6013611)を加える。組み込まれたγ-ホスファートをWallac 1450 Microbeta Liquid Scintillation Counterで定量する。試験物質又は基質ペプチドのないサンプルをコントロールとして使用する。Graph Pad Prismソフトウェアを用いてIC50値を得る。
以下の表4では、本発明の化合物(1)の選択性を実証するため、本発明の代表として選択した化合物について、PTK2に対する阻害定数をオーロラBの当該定数と比較する。
【0167】
【表4】

【0168】
本発明の物質はPTK2キナーゼ阻害薬である。それらの生物学的性質に照らして、一般式(I)の新規化合物、その異性体及びその生理学的に許容できる塩は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適している。
該疾患として、例えば、ウイルス感染症(例えばHIV及びカポジ肉腫);炎症性及び自己免疫性疾患(例えば、大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、糸球体腎炎及び創傷治癒);細菌、真菌及び/又は寄生虫感染症;白血病、リンパ腫及び固形腫瘍(例えば癌及び肉腫)、皮膚疾患(例えば乾癬);細胞数の増加を特徴とする過形成に基づく疾患(例えば線維芽細胞、肝細胞、骨及び骨髄の細胞、関節又は平滑筋の細胞又は上皮細胞(例えば子宮内過形成));骨疾患及び心血管疾患(例えば再狭窄及び肥大)が挙げられる。
例えば、以下の癌を本発明の化合物で治療できるが、これらに限定されない:脳腫瘍、例えば聴神経炎、星細胞腫、例えば線維性星細胞腫、原形質星細胞腫、大円形細胞性星細胞腫、未分化星細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、グリオブラストーマ、膠肉腫、多形黄色星細胞腫(pleomorphic xanthoastrocytoma)、上衣下大細胞型巨細胞星状細胞腫(subependymal large-cell giant cell astrocytoma)及び線維形成性乳児性星状細胞腫;脳リンパ腫、脳転移、下垂体腫瘍、例えばプロラクチノーマ、下垂体偶発腫瘍、HGH(ヒト成長ホルモン)産生性腺腫及び副腎皮質刺激ホルモン分泌腺腫(corticotrophic adenoma)、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫(meningeoma)及び乏突起神経膠腫;神経腫瘍、例えば例えば植物性神経系の腫瘍、例えば神経芽細胞腫、神経節性神経腫、傍神経節腫(褐色細胞腫、クロム親和性細胞腫)及び頚動脈小体腫瘍、抹消神経系上の腫瘍、例えば断端神経腫、神経線維腫、神経鞘腫(neurinoma)(神経鞘腫(neurilemmoma)、シュワン腫)及び悪性シュワン腫、並びに中枢神経系の腫瘍、例えば脳及び骨髄腫瘍;腸癌、例えば直腸、結腸、肛門及び十二指腸の癌;眼瞼腫瘍(眼瞼器の基底細胞癌又は基底細胞癌腫);網膜芽細胞腫;膵臓癌;膀胱癌;肺腫瘍(気管支癌−小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、例えば、紡錘細胞板上皮癌、線腫(腺房状、乳頭状、細気管支肺胞性)及び大細胞大細胞気管支癌(巨細胞癌、腎明細胞癌));乳癌、例えば乳管癌、小葉癌、粘液性癌又は管状癌、ページェット癌(Paget's carcinoma);非ホジキンリンパ腫(B-リンパ性又はT-リンパ性NHL)、例えばヘアリーセル白血病、バーキットリンパ腫又は菌状息肉腫;ホジキン病;子宮癌(体癌又は子宮内膜癌);CUP症候群(原発不明癌);卵巣癌(卵巣癌腫−粘液性又は漿液性嚢胞腫、類内膜腫瘍、腎明細胞腫瘍、ブレンナー腫瘍);胆嚢癌;胆管癌、例えばクラッツキン腫瘍;精巣癌(肺性又は非肺性生殖細胞腫瘍);喉頭癌、例えば声帯の声門上、声門及び声門下腫瘍;骨癌、例えば骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、軟骨肉腫、骨腫、類骨腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、非骨化性骨線維腫(non-ossifying bone fibroma)、骨線維腫、線維形成性骨線維腫、骨線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨巨細胞腫又は骨巨細胞腫瘍、ユーイング肉腫及び形質細胞腫、頭頚部腫瘍(HNO腫瘍)、例えば唇及び口腔の腫瘍(唇、舌、口腔の癌)、上咽頭癌(鼻の腫瘍、リンパ上皮腫)、咽頭癌、扁桃癌(扁桃マリグノーマ(malignoma))、及び舌根部癌腫、下咽頭癌、喉頭癌(喉頭の癌)、副鼻腔及び鼻腔の腫瘍、唾液腺及び耳の腫瘍;肝臓細胞癌(肝細胞癌(HCC));白血病、例えば急性白血病、例えば急性リンパ性/リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML);胃癌(乳頭状、管状又は粘液腺癌)、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌又は未分化癌;悪性黒色腫、例えば表面伝播性(superficially spreading) 黒色腫(SSM)、結節性黒色腫(NMM)、悪性黒子黒色腫(LMM)、末端黒子型黒色腫(ALM)又は無色素性黒色腫(AMM);腎臓癌、例えば腎細胞癌(副腎腫(hypernephroma)又はグラヴィッツ腫瘍);食道癌;陰茎癌;前立腺癌;腟癌又は膣細胞癌;甲状腺癌、例えばば乳頭状、小嚢状、髄質性又は未分化甲状腺癌;胸腺癌(胸腺腫);尿道癌(尿道細胞癌、尿路上皮癌)及び外陰癌。
【0169】
上記疾患の短期又は長期治療のため新規化合物を使用することができ、必要に応じて放射線療法又は他の「最先端の」化合物、例えば細胞分裂停止又は細胞障害物質、細胞増殖阻害薬、抗血管新生物質、ステロイド又は抗体などと併用してもよい。
一般式(1)の化合物を単独で又は本発明の他の活性物質と共に使用してよく、或いは必要に応じて他の薬理学的に活性な物質と併用してもよい。
本発明の化合物と併用して投与し得る化学療法薬としては、限定するものではないが、ホルモン、ホルモン類似体及び抗ホルモン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、酢酸メゲストロール、フルトアミド、ニルトアミド、ビカルトアミド、アミノグルテチミド、酢酸シプロテロン、フィナステリド、酢酸ブセレリン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール、ボロゾール、エキセメスタン、アタメスタン)、LHRH作動薬s及び拮抗薬(例えば酢酸ゴセレリン、ルプロリド)、成長因子の阻害薬(成長因子、例えば「血小板由来成長因子」及び「肝細胞成長因子」阻害薬は例えば「成長因子」抗体、「成長因子受容体」抗体及びチロシンキナーゼ阻害薬、例えばゲフィチニブ、ラパチニブ及びトラスツズマブ);シグナル伝達阻害薬(例えばイマチニブ及びソラフェニブ);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、プレメトレキセド及びラルチトレキセド等、ピリミジン類似体、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン及びゲムシタビン等、プリン及びアデノシン類似体、例えばメルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン、フルダラビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン系薬剤、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン);アルキル化薬(例えばエストラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスフアミド、テモゾロミド、ニトロソウレアス例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテパ);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びビンクリスチン;及びタキサネス スク as パクリタキセル、ドセタキセル);トポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポホース、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン)及び種々の化学療法薬、例えばアミホスチン、アナグレリド、クロドロナト、フィルグラスチン、インターフェロンα、ロイコボリン、リツキシマブ、プロカルバジン、レバミソール、メスナ、ミトタン、プアミドロナート及びポルフィマー等が挙げられる。
【0170】
適切な製剤として、例えば錠剤、カプセル剤、坐剤、溶液、特に注射(皮下、静脈内、筋肉内)及び点滴用溶液、エリキシル剤、エマルション又は分散性粉末が挙げられる。医薬的に活性な化合物の含量は、全体として、組成物の0.1〜90wt.-%、好ましくは0.5〜50wt.-%の範囲、すなわち、以下に指定する薬用量範囲を達成するのに十分な量でなければならない。必要な場合、指定用量を1日数回与えてもよい。
適切な錠剤は、例えば、活性物質を既知賦形剤、例えば不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはラクトース等、崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン若しくはアルギン酸等、結合剤、例えばデンプン若しくはゼラチン等、潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム若しくはタルク等及び/又は放出を遅延させるための薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、若しくはポリ酢酸ビニル等と混合することによって得られる。
従って、錠剤と同様に作製したコアを、錠剤コーティングに常用される物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタン又は糖でコーティングすることによって、コーティング錠を調製することができる。遅延放出を達成するため又は配合忌避を防止するため、コアがいくつかの層から成ってもよい。同様に、おそらく錠剤について上述した賦形剤を用いて、錠剤コーティングがいくつかの層から成って、遅延放出を達成し得る。
【0171】
本発明の活性物質又はその組合せを含むシロップ剤又はエリキシル剤は、甘味料、例えばサッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖など及び風味向上剤、例えばバニリン若しくはオレンジエキス等の調味料をさらに含有し得る。シロップ剤又はエリキシル剤は、懸濁アジュバント又は増粘剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース等、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物など、又は保存剤、例えばp-ヒドロキシベンゾアート等を含んでもよい。
注射及び点滴用溶液は、常法で、例えば、等張剤、保存剤、例えばp-ヒドロキシベンゾアート等、又は安定剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩などを添加して調製され、任意に乳化剤及び/又は分散剤を使用してよく、さらに希釈剤として水を使用する場合、例えば、必要に応じて溶媒和剤若しくは溶解助剤として有機溶媒を使用してよく、注射及び点滴用溶液は注射用バイアル若しくはアンプル又は点滴ビンに移される。
1種以上の活性物質又は活性物質の組合せを含むカプセル剤は、例えば、活性物質を不活性な担体、例えばラクトース又はソルビトール等と混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることによって調製される。
適切な坐剤は、例えば、この目的のために提供された担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール若しくはその誘導体と混合することによって作製される。
使用し得る賦形剤として、例えば、水、医薬的に許容できる有機溶媒、例えばパラフィン(例えば石油留分)、植物油(例えば落花生油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えばエタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然鉱物粉末(例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えばショ糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えばリグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0172】
一般的な方法、好ましくは経口又は経皮経路、最も好ましくは経口経路で製剤を投与する。経口投与では、当然、錠剤は、上記担体以外に、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等の種々の添加剤と共に、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウム等の添加剤を含んでよい。さらに、潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等を錠剤化プロセスと同時に使用してよい。水性懸濁液の場合、上記賦形剤に加えて種々の風味向上剤又は着色剤と活性物質を併用してよい。
非経口使用では、活性物質と適切な液体担体の溶液を使用し得る。
静脈内使用の薬用量は、1時間当たり1〜1000mg、好ましくは1時間当たり5〜500mgである。
しかし、体重、投与経路、薬物に対する個体の反応、その製剤の性質及び薬物を投与する時間又は間隔によっては、指定量を逸脱する必要があることもある。従って、時には、上記最小用量未満の使用で十分であり、一方で上限を超えなければならない場合がある。大量に投与する場合は、薬用量を1日にわたって数回の小量に分割するのが賢明である。
【0173】
以下の製剤例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例証する。
(医薬製剤の例)
A) 錠剤 1錠当たり
式(1)の活性物質 100mg
ラクトース 140mg
トウモロコシデンプン 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
500mg
微細に粉砕した活性物質、ラクトース及びいくらかのトウモロコシデンプンを一緒に混合する。この混合物をふるいにかけてからポリビニルピロリドンの水溶液で湿らせ、混練し、湿式造粒して乾燥させる。この顆粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、一緒に混合する。混合物を圧縮して適切な形状と大きさの錠剤を作製する。
【0174】
B) 錠剤 1錠当たり
式(1)の活性物質 80mg
ラクトース 55mg
トウモロコシデンプン 190mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウム-カルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
400mg
微細に粉砕した活性物質、いくらかのトウモロコシデンプン、ラクトース、微結晶性セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、この混合物をふるいにかけ、残りのトウモロコシデンプン及び水とこねて顆粒を形成し、乾燥させてふるいにかける。ナトリウムカルボキシメチルデンプンとステアリン酸マグネシウムを加え、混合し、混合物を圧縮して適切な大きさの錠剤を形成する。
【0175】
C) アンプル溶液
式(1)の活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用水 5ml
活性物質をそれ自体のpH又は必要に応じて5.5〜6.5のpHで水に溶かし、塩化ナトリウムを加えて等張にする。得られた溶液を熱源なしでろ過し、ろ液を無菌条件下でアンプルに移してから滅菌し、融解により閉じる。アンプルは、5mg、25mg及び50mgの活性物質を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、
Bは、C3-10-シクロアルキル及び3〜8員ヘテロシクロアルキルの中から選択される任意に1個以上のR4で置換されていてもよい基であり;
R1、R2及びR4は、それぞれ独立に、Ra、Rb並びに1個以上の同一若しくは異なるRc及び/又はRbで置換されているRaの中から選択される基を表し;
Rxは、水素或いはRa、Rb並びに1個以上の同一若しくは異なるRc及び/又はRbで置換されているRaの中から選択される基を表し;
R3は、-NRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc及び-N(Rg)C(NRg)NRcRcの中から選択される基、
或いは任意にRc及び/又はRdで置換されていてもよいN結合3〜8員ヘテロシクロアルキルであり;
R5は、ハロゲン、-CN、-NO2、-ORc、-C(O)Rc、-NRcRc、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル及び3〜8員ヘテロシクロアルキルの中から選択される基であり;
mは、1、2又は3に等しく;
nは、0、1、2、3又は4に等しく;
各Raは、相互独立にC1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択され;
各Rbは適切な基であり、いずれの場合も相互独立に=O、-ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRc、=NRc、=NORc、=NNRcRc、=NN(Rg)C(O)NRcRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2NRcRc、-OS(O)Rc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2NRcRc、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)SRc、-C(O)NRcRc、-C(O)N(Rg)NRcRc、-C(O)N(Rg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NOH)Rc、-C(NOH)NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-OC(NRg)NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(NRg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc及び-N(Rg)C(NRg)NRcRcの中から選択され;
各Rcは、相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択される基を表し;
各Rdは適切な基を表し、いずれの場合も相互独立に=O、-ORe、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRe、=NRe、=NORe、=NNReRe、=NN(Rg)C(O)NReRe、-NReRe、-ONReRe、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2NReRe、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2NReRe、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)SRe、-C(O)NReRe、-C(O)N(Rg)NReRe、-C(O)N(Rg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NOH)Re、-C(NOH)NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-OC(NRg)NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(NRg)NReRe、-N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]2、-N(ORg)C(O)Re、-N(Rg)C(NRg)Re、-N(Rg)N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N(Rg)C(S)Re、-N(Rg)S(O)Re、-N(Rg)S(O)ORe -N(Rg)S(O)2Re、-N[S(O)2Re]2、-N(Rg)S(O)2ORe、-N(Rg)S(O)2NReRe、-N(Rg)[S(O)2]2Re、-N(Rg)C(O)ORe、-N(Rg)C(O)SRe、-N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(O)NRgNReRe、-N(Rg)N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(S)NReRe、-[N(Rg)C(O)]2Re、-N(Rg)[C(O)]2Re、-N{[C(O)]2Re}2、-N(Rg)[C(O)]2ORe、-N(Rg)[C(O)]2NReRe、-N{[C(O)]2ORe}2、-N{[C(O)]2NReRe}2、-[N(Rg)C(O)]2ORe、-N(Rg)C(NRg)ORe、-N(Rg)C(NOH)Re、-N(Rg)C(NRg)SRe及び-N(Rg)C(NRg)NReReの中から選択され;
各Reは、相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキル、5〜12員ヘテロアリール及び6〜18員ヘテロアリールアルキルの中から選択される基を表し;
各Rfは適切な基を表し、いずれの場合も相互独立にハロゲン、-ORg及び-CF3の中から選択され;かつ
各Rgは、相互独立に水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2〜6員ヘテロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、4〜14員ヘテロシクロアルキル、5〜12員ヘテロアリール又は6〜18員ヘテロアリールアルキルを表し;
但し、フェニル環Aは、同時に2個の塩素置換基を持たない)
の化合物
(必要に応じてその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物の形態、並びに必要に応じてその薬理学的に許容できる酸付加塩であってよい)。
【請求項2】
式中、Rxが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、BがC3-8シクロアルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式中、R5がハロゲン、-CF3及びC1-4ハロアルキルの中から選択される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
式中、R3が、-NRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)C(O)Rc、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N(Rg)C(O)ORc及び-N(Rg)C(O)NRcRcの中から選択され、
或いは任意にRc及び/又はRdで置換されていてもよいN結合4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、かつ
Rc、Rd及びRgが請求項1の定義どおりである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
式中、R3が-NHC(O)Rc1、-N(C1-4アルキル)C(O)Rc1、-NHS(O)2Rc1及び-N(C1-4アルキル)S(O)2Rc1の中から選択され;
Rc1が基Rcに相当し、かつ
Rcが請求項1の定義どおりである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式中、Rc1がC1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、C1-4アルコキシメチル、(C1-4アルキル)NH-CH2-及び(C1-4アルキル)2N-CH2-の中から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式中、nが値0を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
式中、
mが値1又は2を有し;
各R2が、相互独立にハロゲン、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシの中から選択され、かつ
R1が請求項1の定義どおりである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
式中、
R1が、Ra2、Rb2並びに1個以上の同一若しくは異なるRb2及び/又はRc2で置換されているRa2の中から選択され;
各Ra2が、相互独立にC1-6アルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択され;
各Rb2が適切な置換基を表し、相互独立に-ORc2、-NRc2Rc2、-C(O)Rc2、-C(O)ORc2、-C(O)NRc2Rc2、-C(O)N(Rg2)ORc2、-N(Rg2)C(O)Rc2、-N(Rg2)C(O)ORc2及び-N(Rg2)C(O)NRc2Rc2の中から選択され;
各Rc2が相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRd2及び/又はRe2で置換されていてもよい、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択される基を表し;
各Rd2が適切な置換基を表し、いずれの場合も相互独立に-ORe2、-NRe2Re2及び-C(O)NRe2Re2の中から選択され;
各Re2が相互独立に水素或いは任意に1個以上の同一若しくは異なるRf2及び/又はRg2で置換されていてもよい、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルの中から選択される基を表し;
各Rf2が独立に-ORg2を表し、かつ
各Rg2が相互独立に水素又はC1-6アルキルを表す、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
下記化合物
【化2】

【化3】

【化4】

の中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
薬物として使用するための請求項1〜11のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項13】
癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防のための請求項1〜11のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項14】
必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と組み合わせて、活性物質として請求項1〜11のいずれか1項に記載の一般式(1)の1種以上の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含む医薬製剤。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物(ここで、前記化合物(1)は、必要に応じてその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物の形態で存在してもよく、又は全ての前記形態のそれぞれの薬理学的に許容できる塩として存在してもよい)と、式(1)とは異なる少なくとも1種のさらなる細胞分裂停止又は細胞障害活性物質とを含む医薬製剤。

【公表番号】特表2012−520850(P2012−520850A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500237(P2012−500237)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053451
【国際公開番号】WO2010/106097
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】