説明

癒し音発生装置

【課題】 心身への高い癒し効果を発揮し、使用状況に合せて多彩な癒し音と癒し空間を創出する癒し音発生装置を提供する。
【解決手段】 収録編集工程において自然音等をステレオ収録のうえフードインフェードアウト処理してメロディー基音及びベーシック基音に区分し、且つ音色毎にグループ分けし記憶部に入力させたうえ、楽音編成制御部の楽音編成制御によりメロディー楽音及びベーシック楽音となし、更に補正制御部の補正制御により補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音に補正のうえ、この相互を適宜にミキシングして所要の増幅をなし、而してケーシング下面の発音部及び背面の間接音発音部より発音させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心身への高い癒し効果を持つ癒し音発生装置に係るもので、更に詳しくは使用状況に合せて多彩な癒し音と癒し空間を創出できる癒し音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では経済成長とともに都市化が急速に進み、これとともに都市部への人口移動が集中した結果居住形態も高層集合住宅や、都市近郊における狭少密集化した戸建住宅での居住生活を余儀なくされるに至り、本来心身の安息を図るための居住環境も常時近隣騒音や振動等によるストレッサーが付加されている状況にある。
【0003】
加えて就労環境においても情報機器類と通信手段の発達に伴う電子計算機やパソコン等のオフィスオートメーション化により、膨大量の情報検索や整理あるいは入出力操作を短時間内に処理遂行するためのストレッサ−による眼性疲労や頭脳疲労或いは手、指、腕等の筋肉痛や麻痺等、身体的疲労とストレスの加重や蓄積とも相俟って罹病誘発はもとより、特にストレスの加重と蓄積は自覚症状の知覚がなされぬまま躁鬱や精神異常が惹起され自殺行為や犯罪行為まで誘発される事実も解明されている。
【0004】
ところで身体的疲労は容易に知覚しえるため、医療機関により或いは鍼、灸、マッサージ等による対処療法が用いられ、若しくは身体に1乃至100Hz程度の低周波(パルス)を通電させて、その刺激により疲労や痛みの部位を物理的に治療する所謂低周波治療法も古くから用いられている。
反面ストレスは間脳から脳下垂体並びに副腎に亘るシステムがストレッサ−により影響を受けている状態であるから、ストレスの原因たるストレッサーの浄化除去、所謂カタルシスが不可欠となる。
【0005】
このストレスに対するカタルシスの手段としては磁気エネルギー超音波エネルギーを利用して生体部位の生体リズムの補正を図るエネルギー医学なる研究が欧米において研究がなされているものの、医療行為としてのものであって、結局は長時に亘る治療期間と且多大な治療費が強いられることとなる。
他方生体リズムの補正によりストレスや疲労回復を図る先願としては特開平5−003919号及び特開平5−068712号が挙げられるが、該特開平5−003919号では刺激条件に光を利用するものであり、且特開平5−068712号では被験者に生体用誘導電極パッドを装着させるものであって、いずれも医療機器としての使用に供するものに他ならない。
【特許文献1】 特開平5−003919号公報
【特許文献2】 特開平5−068712号公報
【0006】
而して近年に至って特定の花卉や農作物を特定の音楽環境下で育成栽培することにより大きな有意差が認められることが解明され、更には疾病や障害を持つ患者に楽器類を試奏させ、或いは特定音楽の聴取により変化する感情の機微を捉えて疾病の治療や障害の改善に役立てる音楽療法も確立されつつある。
かかる背景には植物や動物等の生体リズムには本来的にゆらぎが存在するものであり、且生体のリズムは原始より人工時計のリズムに対して58秒/分であるとされている。即ち音楽にはゆらぎが有り且つ特定の音楽には生体のリズムと合致し同調、共鳴を励起せしめるリズムが存在するために、この同調、共鳴による活性エネルギーが創出される結果によるものと考えられている。
【0007】
加えてストレスや加重な蓄積の影響を受ける間脳や脳下垂体は高周波、特には3,500Hz以上の高周波よりこの神経系が効果的に刺激されカタルシスがなされ、癒しや健康保持に大きく作用することも解明されるに至っている。
【0008】
そこで発明者はかかる経緯をもとに鋭意研究を重ねた結果、ゆらぎを保持するとともに、広い景観背景を想起しえるよう適宜音色の自然音或いは発音具音や楽器音等をステレオ収録のうえメロディー基音とベーシック基音とに区分し、且生体リズムのテンポに合せてメロディー基音やベーシック基音を条件付ランダムに使用して楽音編成し、而も使用状況により調性や発音頻度を補正させたうえ多重ステレオ音で、発音させることにより癒し効果の高い癒し空間が創出しえることに想到し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は心身への高い癒し効果を保持し、使用状況に合せて多彩な癒し音と癒し空間が創出できる癒し音発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、本来的にゆらぎや癒し効果を保持する、小鳥の声や波の音等の自然音を初め水琴窟や風鈴等の発音具の音或いはオルゴール、ハープ、チャイム、シンセサイザー若しくは琴等の楽器音を収録編集工程においてステレオ収録のうえ、適宜にフードインフェードアウト処理を施し発音の特徴となる音をメロディー基音とし、且つ景観背景を想起させ若しくは発音に調性感や安定感を付与せしめる音をベーシック基音として区分し、更には音色のそれぞれをグループ分けしたうえ、それぞれを記憶部に入力記憶させる。
【0011】
そしてこの記憶部に記憶された膨大量のメロディー基音及びベーシック基音は、本発明の使用状況がその設置場所の構造やスペース及び設置方法を初め、気象条件や被癒者の情緒や好み等により癒し効果も著しく左右されることから、可能な限り大きなゆらぎと且つ被癒者の心身への同調、共鳴を励起せしめて高い癒し効果と癒し空間を創出させるため、生体リズムに合せて1サイクルが4分の4拍子16小節の長さで、且つ全音符から16分音符に亘る音符を条件付きランダムに編成させてメロディー楽音及びベーシック楽音となす楽音編成制御部が設けられている。
【0012】
更に楽音編成制御部において編成されたメロディー楽音並びにベーシック楽音は、気象条件による被癒者の調性に対する情緒変化や楽音に対する好みの変化等広範囲に対処できるよう気圧変化を少なくとも3区分に検知できる検知センサーによりメロディー楽音並びにベーシック楽音の調性や発音頻度を補正させる補正制御部により補正メロディー楽音並びに補正ベーシック楽音に補正させる。
【0013】
而してかかる補正のなされた補正メロディー楽音並びに補正ベーシック楽音は、ミキシング部において適宜にミキシングがなされたうえ、癒し音や景観背景音、残響音、或いは調性感や安定感によるやすらぎ音を忠実に発音なさしめるため、補正メロディー楽音並びに補正ベーシック楽音それぞれを3ステレオ音以上で出力させて所要の増幅を図るために増幅部において増幅したうえ、ケーシング下面に設けたスピーカーからなる発音部及び背面に多数の孔隙からなる間接発音部より発音させる癒し音発生装置の構成に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、本発明はゆらぎや癒し効果を有し且景観背景をも想起させる小鳥の声や波の音等の自然音や水琴窟並びに風鈴の如き発音具の音、或いはオルゴール、ハープ、チャイム、シンセサイザー若しくは琴等の音を収録編集工程でステレオ収録のうえ、フードインフェードアウト処理により特徴ある音をメロディー基音とし、且つ景観背景を想起させ若しくは発音に調性感や安定音を与える音をベーシック基音として区分し、而も多種に亘る音色をグループ分けして記憶部に入力記憶される。
そしてこの記憶されたメロディー基音並びにベーシック基音を、生体リズムに合せて1サイクルが4分の4拍子16小節の長さで、且全音符から16分音符に亘る音符に亘って条件付きでランダムに使用しメロディー楽音並びにベーシック楽音に楽音編成制御部で楽音編成させるため、該メロディー楽音並びにベーシック楽音には大きなゆらぎが創出され、而も生体に対して同調、共鳴作用が働き強い癒し効果が発揮される。
【0015】
加えて本発明においては、被癒者も多様な情緒を保持し且その情緒も気圧の変動により微妙に変化し更には被癒者の好き嫌いにも対処するために、気圧変化を少なくとも3区分に検知したうえ、その検知データーによりメロディー楽音並びにベーシック楽音の調性若しくは発音頻度を補正制御部において補正して補正メロディー楽音並びに補正ベーシック楽音としたうえ、ミキシング部で相互が適宜にミキシングされるため、多様な被癒者にも大きな癒し効果が発揮されることとなる。
【0016】
そしてミキシング部で適宜にミキシングされた補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音は、それぞれが3ステレオ音以上で出力され増幅部において所要の増幅がなされるとともに、ケーシング下面に設けたスピーカーからなる発音部及びケーシング背面に設けた多数の孔隙からなる間接発音部から発音されるため、床面や壁面で反射され柔かみと深みのある心地良い癒し空間が創出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
収録編集工程でステレオ収録により、近くで鳴く小鳥の声を1乃至10秒間以内でフードインフェードアウト処理し、且つ15個以上をメロディー基音とし、更に遠くで鳴く小鳥の声を含んだ声を1乃至10秒間以内でフードインフェードアウト処理し且つ15個以上をベーシック基音として記憶部に記憶させ、1サイクルが4分の4拍子16小節とし、且全音符から16分音符までの音符でランダムに1サイクル以内に記憶されたメロディー基音及びベーシック基音が全て発音されるよう、而も4秒以上の空白と同じ音符を多用せぬように楽音編成制御部によりメロディー楽音並びにベーシック楽音に楽音編成させる。
【0018】
更に気圧変化を3区分に検知しその検知データーに基づき補正制御部において、メロディー楽音並びにベーシック楽音におけるメロディー基音やベーシック基音の1サイクル内の発音頻度を変化させ、若しくは楽器音においてはメロディー基音のA、B音の増減或いはベーシック基音のE、A音の増減を図って調性や発音頻度の補正により補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音に補正をなす。
【0019】
而してこの補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音をミキシング部で適宜にミキシングさせたうえ、少なくともそれぞれを3ステレオ音以上で出力させたうえ増幅部において所要の増幅をなしたうえ、ケーシング下面に設けたスピーカーからなる発音部とケーシング背面に設けた多数の孔隙からなる間接発音部とから発音させる。
【実施例1】
【0020】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明のブロック図であって、本発明は心身への高い癒し効果を発揮し、更には使用状況に合せて多彩な癒し音と癒し空間を創出しえる癒し音発生装置を提供するものであって、高い癒し効果の発揮には心身に付加蓄積されてなる疲労やストレスを浄化除去させるカタルシスを図ることにある。
加えて本発明では広範な使用状況においても、且つ生活活動や就労活動を何等制約することなく、癒し効果の発揮される癒し空間を創出させることによる。
【0021】
これがためには、ゆらぎが大きく且つ生体リズムに合せた楽音編成により生体への同調、共鳴作用を以って心身に対する癒し効果を持つ癒し音の発音と且つ癒し空間を創出させるうえから、原音にゆらぎと景観背景を想起させ或いは安らぎ感を感得させる小鳥の鳴き声や波の音等の自然音を初め、水琴窟や風鈴等の発音具の音、或いはオルゴールやハープ、チャイム、シンセサイザー若しくは琴等の楽器音を、予め収録編集工程1でステレオ収録のうえフードインフェードアウト処理により、その特徴的音をメロディー基音とし且つ景観背景を想起させ或いは調性感や安定感によるやすらぎを与える音をベーシック基音として区分し、而も音色毎にグループ分けして使用するものである。
【0022】
しかしながら、自然音や発音具の音、或いは楽器の音のステレオ収録音中には、広範囲に亘るリズムやテンポ、音程に加えて音色が混在するものであるから、これら収録音中より癒し音としての楽音に編成する場合には、ゆらぎの付加や景観背景の創出或いは調性感や安定感に寄与する音を、フードインフェードアウト処理による制約によりメロディー基音1Aとベーシック基音1Bとなして使用することが要請される。
【0023】
そこで具体的には、自然音の小鳥の声においては夜明けや森において近くで鳴く小鳥の声をステレオ収録のうえ、1乃至10秒間程度でフードインフェードアウト処理をなし、15個以上の小鳥の声をメロディー基音1Aとして用い、更に遠くで鳴く小鳥の声を含む音をステレオ収録し、1乃至10秒間程度でフードインフェードアウト処理をなした15個以上の小鳥の声をベーシック基音1Bとし使用する。
【0024】
更に自然音の波の音については、夜明けの浜辺において近距離で緩やかな波の音をステレオ収録のうえ1乃至10秒間程度でフードインフェードアウト処理をなした10個以上の波の音をメロディー基音1Aとして用い、且つ遠くの波の音等をステレオ収録のうえ、1乃至10秒間程度でフードインフェードアウト処理したうえ10個以上の波の音をベーシック基音1Bとして用いる。加えてせせらぎの音についても同様なフードインフェードアウト処理でメロディー基音1Aやベーシック基音1Bとして使用も可能である。
【0025】
他方水琴窟や風鈴等の発音具の音においては、水琴窟ではレコーディングスタジオでステレオ収録した単独の水滴音を1秒間程度でフードインフェードアウト処理を施した20個以上の水滴音をメロディー基音1Aとし、且つ複数の水滴音を1秒間程度でフードインフェードアウト処理した20個以上の複数水滴音をベーシック基音1Bとして使用する。
風鈴ではレコーディングスタジオでステレオ収録した単独の打鐘音を1乃至6秒間程度でフードインフェードアウト処理した10個以上の打鐘音をメロディー基音1Aとし、且つ複数の打鐘音を1乃至6秒間程度でフードインフェードアウト処理した10個以上の複数打鐘音をベーシック基音1Bとして使用する。
【0026】
かかる場合における自然音や発音具の音には、それぞれに音の長さや高低差も異なるもので、他方においてはこの収録され且つフードインフェードアウト処理されたメロディー基音1Aやベーシック基音1Bには、大きなゆらぎや生体への同調、共鳴作用を付与させるため、1サイクルが4分の4拍子16小節の長さでランダムに使用して楽音を編成させるものであって、それぞれのフードインフェードアウト処理時間と且メロディー基音1Aやベーシック基音1Bに用いるサンプル数は、多くの実験結果より導き出されたものである。
【0027】
反面楽器音においてはそれぞれに特有の音色を保持し且つ低音から高音に亘って整然と発音がなされるものであるから、大きなゆらぎと調性感や安定感によるやすらぎ感を発揮しえる楽音編成のためには、特段の工夫が要請される。
即ちオルゴールにおいては該楽器の特質上から音程が4C、4D、4E、4G、4A、5C、5D、5Eの9音をp(ピアノ)に相当する音量とmf(メゾフォルテ)に相当する音量及びf(フォルテ)に相当する音量による3段階で、それぞれ1.5秒間程度のフードインフェードアウト処理した音をメロディー基音1Aとして用い、更に該メロディー基音1Aに対して低音階の2E、2G、2A、3C、3Gの6音をmf(メゾフォルテ)に相当する音量で1.5秒間程度のフードインフェードアウト処理した音をベーシック基音1Bとして用いる。
【0028】
更にハープにおいては3C、3D、3E、3G、3A、3B、4C、4D、4Eの9音を同様に、p(ピアノ)、mf(メゾフォルテ)及びf(フォルテ)に相当する音量の3段階でフードインフェードアウト処理させた音をメロディー基音1Aとし、且つ1E、1G、1A、2C、2D、2Gの6音をmf(メゾフォルテ)に相当する音量で3秒間程度でフードインフェードアウト処理した音をベーシック基音1Bとして用いることが望ましい。
【0029】
加えてチャイム音においては4C、4D、4E、4G、4A、4B、5C、5D、5Eの9音をp(ピアノ)、mf(メゾフォルテ)及びf(フォルテ)に相当する音量の3段階で、且つ3秒間程度のフードインフェードアウト処理させた音をメロディー基音1Aとし、更に2E、2G、2A、3C、3D、3Gの6音をmf(メゾフォルテ)に相当する音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理を施した音をベーシック基音1Bとして用いることが好適である。
【0030】
そしてシンセサイザー音においては3C、3D、3E、3G、3A、3B、4C、4D、4Eの9音をp(ピアノ)、mf(メゾフォルテ)及びf(フォルテ)に相当する音量の3段階で、3秒間程度のフードインフェードアウト処理を施してなる音をメロディー基音1Aとし、且つ1E、1G、1A、2C、2D、2Gの6音をmf(メゾフォルテ)に相当する音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理された音をベーシック基音1Bとして用いる。
【0031】
加えて琴音においては3E、3F、3A、3B、4C、4E、4F、4A、4Bの9音をp(ピアノ)、mf(メゾフォルテ)及びf(フォルテ)に相当する音量の3段階で2.5秒間程度にフードインフェードアウト処理してなる音、並びにグリッサンド音及び3Aのベント音をメロディー基音1Aとし、且つ2E、2A、3C、4Eの4音をp(ピアノ)、mf(メゾフォルテ)及びf(フォルテ)に相当する3段階の音量で2.5秒間程度にフードインフェードアウト処理してなる音、並びに弦擦音をベーシック基音1Bとして用いる。
【0032】
かかる如く、予めステレオ収録され且所要のフードインフェードアウト処理が施されて作成されたそれぞれのメロディー基音1A及びベーシック基音1Bは、本発明癒し音発生装置7の記憶部2内に区分され、且つグループ分けして入力され記憶される。この記憶部2は瞬時にランダムに記憶データーの読み出し並びに書き込みを自在となすうえからRAMが用いられている。
【0033】
そして本発明においては、心身に対して高い癒し効果を発揮させ、且つ広範な使用状況にも対応して癒し音の発音による癒し空間を創出させるため、該記憶部2内に記憶されてなるメロディー基音1A並びにベーシック基音1Bを用いて、大きなゆらぎと且つ生体に対しての同調、共鳴作用を付与せしめ、更には景観背景の想起や安らぎ感を以って発音させるうえから、1サイクルが4分の4拍子16小節の長さで而も所要の条件を以って、該メモリー基音1A並びにベーシック基音1Bをランダムに抽出して楽音編成させる楽音編成制御が記憶部2に対して楽音編成制御部3によりなされる。
【0034】
即ち楽音編成に際しての条件は、メロディー基音1Aについては全音符、2分音符、4分音符、8分音符及び16分音符からランダムに抽出させ、且つ記憶部2内に記憶されたメロディー基音1Aを1サイクル以内に全て発音させ、更には4秒以上に亘る空白時間が無く、而も同一音符を連続多用しないことであり、且つベーシック基音1Bは全音符、2分音符、4分音符及び8分音符をランダムに抽出させて、メロディー基音1A同様に1サイクル以内に全てを発音させ、4秒以上に亘る空白時間が無く而も同一音符を連続多用しないことである。そしてかかる条件を楽音編成に際して忠実に実行せしめるうえから、楽音編成制御部3には条件設定部3Cが付帯されている。かかる楽音編成制御部3により編成されたメロディー楽音3A並びにベーシック楽音3Bは記憶部2内若しくは専用エイリアス20内に一時記憶がなされる。
【0035】
そして本発明は各種の施設や店舗、事務所或いは住居等に亘る広範囲の使用状況下で使用されるため、使用設置スペースや設置場所の構造の相違に加え被癒者も老若男女に亘ること等により楽音編成された癒し音も、設置場所や被癒者毎に微妙な音感を以って感得されるため、極めて多種に亘る楽音編成が要請されることとなる。
加えて重要なことは、楽音編成され発音される癒し音は、気圧変化により被癒者の情緒が変化し、これによる癒し音の感得も著しく変動する。これがためには高い癒し効果を発揮させるためには、気圧変化を検知のうえ被癒者の情緒変化に対処しえるよう楽音編成されたメロディー楽音3A並びにメロディー楽音3Bには、更に補正制御部30により補正制御がなされる。
【0036】
この補正制御は気圧変化を検知する気圧センサー3Dにより、気圧変動範囲を高い気圧、中程度の気圧及び低い気圧の3段階に検知のうえ補正制御部30に入力させ、該補正制御部30より楽音編成されてなるメロディー楽音3A並びにベーシック楽音3Bに対し、高い気圧の場合では自然音及び発音具から収録されてなるメロディー基音1A及びベーシック基音1Bの発音頻度を増加させ、且つ低い気圧時にはメロディー基音1A及びベーシック基音1Bの発音頻度を減少させる補正制御がなされる。
【0037】
更に楽器音により収録されてなるメロディー基音1Aやベーシック基音1Bの場合においては、高い気圧の場合ではメロディー楽音3Aのメロディー基音1Aの発音頻度を増加させ、且つベーシック基音1BのE、A音の発音頻度及びメロディー基音1AのA、Bの発音頻度を減少させて長調となるよう補正制御をなし補正メロディー楽音30Aに編成させ、加えて低い気圧の場合にはメロディー楽音3Aのメロディー基音1Aとベーシック楽音3Bのベーシック基音1Bの発音頻度を減少させ、且つベーシック基音1BのE、A音の発音頻度及びメロディー基音1AのA、B音の発音頻度を増加させて短調となるよう補正制御をなし、補正ベーシック楽音30Bに補正させる。
【0038】
かくして補正制御がなされて編成された補正メロディー楽音30A及び補正ベーシック楽音30Bは、ミキシング部4において適宜にミキシングがなされるもので、かかるミキシングに際しては収録音の特徴及び補正メロディー楽音30A及び補正ベーシック楽音30Bの特質を考慮のうえ、十分なゆらぎと景観背景の想起度合、調性や安定性によるやすらぎ感が聴取感得できるようミキシングしたうえ、少なくとも補正メロディー楽音30A並びに補正ベーシック楽音30Bを、それぞれ3ステレオ音以上によって増幅部5に入力させる。
【0039】
この増幅部5はステレオ音の増幅であるから当然に2チャンネル以上の増幅機能を保持するものが用いられ、且その増幅度合は使用状況に合せて癒し音が発音される程度でなされるが、この発音に際して外部の発音手段5Aで発音させる場合にはその増幅度合も勘案される。
【0040】
図2は本発明の背面説明図であって、増幅部5において所要の増幅がなされたうえは本発明を形成するケーシング6の下面に設けられた一対組以上のスピーカーからなる発音部6Aと、且つ背面に多数の孔隙で形成された間接発音部6Bとにより間接発音させるものであって、本発明による癒し音の発音と且癒し空間の形成には、適宜にミキシングされた補正メロディー楽音30A及び補正ベーシック楽音30Bを増幅のうえ直接再生させて発音させるものでは、ゆらぎはもとより景観背景の想起や、やすらぎ感或いは柔かさや深みの有る残響とともにゾーニング効果も発揮されにくい。
【0041】
これがためにはケーシング6の下面に少なくとも2スピーカー以上からなる発音部6Aと且つその背面に多数の孔隙よりなる間接発音部6Bを設けて、使用設置場所の床面や壁面からの反響音として発音させる構成を用いている。無論ケーシング6の背面には本発明を起動させる電源スイッチ6C、及び所望の音色で且つ補正メロディー楽音30A並びに補正ベーシック楽音30Bに補正し出力させるための補正制御部30に指示を与える機能選択スイッチ6D或いは外部出力端子6E等が付帯されて、本発明癒し音発生装置7が形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
使用状況に合せて設置空間の壁面に沿って設置させたうえ、機能選択スイッチ6Dにより適合する音色を選択し発音させて利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】 本発明癒し音発生装置のブロック図である。
【図2】 本発明癒し音発生装置の背面説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 収録編集工程
1A メロディー基音
1B ベーシック基音
2 記憶部
20 専用エイリアス
3 楽音編成制御部
3A メロディー楽音
3B ベーシック楽音
3C 条件設定部
3D 気圧センサー
30 補正制御部
30A 補正メロディー楽音
30B 補正ベーシック楽音
4 ミキシング部
5 増幅部
6 ケーシング
6A 発音部
6B 間接発音部
6C 電源スイッチ
6D 機能選択スイッチ
6E 外部出力端子
7 本発明癒し音発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収録編集工程でステレオ収録した収録音のうち、発音の特徴となる音をメロディー基音とし、景観背景を想起させ或いはやすらぎ感を与える音をベーシック基音として区分し、而も適宜数種に亘り収録される音色毎にそれぞれグループ分けしたうえ入力記憶される記憶部と、この記憶部に記憶されたメロディー基音及びベーシック基音を生体リズムに合わせて1サイクルが4分の4拍子16小節の長さで、且つメロディー基音を全音符乃至16分音符で条件付きランダムに使用して楽音編成させ、及びベーシック基音を全音符乃至8分音符で条件付きランダムに使用して楽音編成させる楽音編成制御部並びに条件設定部と気象条件を少なくとも3区分に検知できる気圧センサーにより、記憶部に記憶されているメロディー楽音及びベーシック楽音の調性や発音頻度を補正させる補正制御部と、この補正制御された補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音を適宜にミキシングさせるミキシング部と、このミキシング部よりミキシングされた補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音を、それぞれ3ステレオ音以上で出力させたうえ所要の増幅をなす増幅部と、増幅された出力をケーシング下面に設けたスピーカーからなる発音部及び背面に設けた多数の孔隙からなる間接音発音部より発音させる構成からなる癒し音発生装置。
【請求項2】
ステレオ収録される自然音が、近くで鳴く小鳥の声を収録のうえ1乃至10秒間程度のフードインフェードアウト処理した15個以上の音をベーシック基音とし、且つ遠くで鳴く小鳥の声を収録のうえ1乃至10秒間程度のフードインフェードアウト処理された15個以上の音をベーシック基音とし、若しくは近くで波の音を収録し1乃至10秒間程度のフードインフェードアウト処理した10個以上のメロディー基音とし、且つ遠くの波の音を収録のうえ1乃至10秒間程度のフードインフェードアウト処理した10個以上の音をベーシック基音とした、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項3】
ステレオ収録される音が水琴窟音で、単独の水滴音を1秒間程度でフードインフェードアウト処理された20個以上の水琴窟音をメロディー基音とし、且つ複数の水滴音を1秒間程度でフードインフェードアウト処理された20個以上の水琴窟音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項4】
ステレオ収録される音が風鈴音で、単独の打鐘音を1乃至6秒間内でフードインフェードアウト処理された10個以上の打鐘音をメロディー基音とし、且複数の打鐘音を1乃至6秒間内でフードインフェードアウト処理された10個以上の打鐘音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項5】
ステレオ収録される音がオルゴール音で、且つその音程が4C、4D、4E、4G、4A、4B、5C、5D、5Eの9音を、それぞれ低、中、高の3段階の音量で1.5秒間程度のフードインフェードアウト処理されたオルゴール音をメロディー基音とし、その音程が2E、2G、2A、3C、3D、3Gの6音を中段階の音量で1.5秒間程度のフードインフェードアウト処理されたオルゴール音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項6】
ステレオ収録される音がハープ音で、且つその音程が3C、3D、3E、3G、3A、3B、4C、4D、4Eの9音を低、中、高の3段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたハープ音をメロディー基音とし、更にその音程が1E、1G、1A、2C、2D、2Gの6音を中段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたハープ音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項7】
ステレオ収録される音がチャイム音で、且つその音程が4C、4D、4E、4G、4A、4B、5C、5D、5Eの9音を低、中、高の3段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたチャイム音をメロディー基音とし、その音程が2E、2G、2A、3C、3D、3Gの6音を中段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたチャイム音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項8】
ステレオ収録される音がシンセサイザー音で、且その音程が3C、3D、3E、3G、3A、3B、4C、4D、4Eの9音を低、中、高の3段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたシンセサイザー音をメロディー基音とし、その音程が1E、1G、1A、2C、2D、2Gの6音を中段階の音量で3秒間程度のフードインフェードアウト処理されたシンセサイザー音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。
【請求項9】
ステレオ収録される音が琴音で、且その音程が3E、3F、3A、3B、4C、4E、4F、4A、4Bの9音を低、中、高の3段階の音量で2.5秒間程度にフードインフェードアウト処理された琴音及びグリサンド音並びに音程3Aのベント音をメロディー基音とし、その音程が2E、2A、3C、3Eの4音を低、中、高の3段階の音量で2.5秒間程度にフードインフェードアウト処理された琴音、及び弦擦音をベーシック基音とする、請求項1記載の癒し音発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−293224(P2007−293224A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142057(P2006−142057)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506143609)埼玉音楽放送株式会社 (4)
【Fターム(参考)】