説明

発光ダイオード

【課題】輝度の均一性及び発光効率を拡大するための発光ダイオードを提供する。
【解決手段】発光ダイオードは、基板32、該基板上に配置されたn型ドープ層34、該n型ドープ層と該基板との間に配置された複数の陰極401,402、n型ドープ層上に配置された活性層36、該活性層上に配置されたp型ドープ層38、及び該p型ドープ層上に配置された複数の陽極421,422を含む。陰極は、n型ドープ層に電気接続され、該陰極のパターンは、お互いから分離されている。陽極は、p型ドープ層に電気接続され、該陽極のパターンは、お互いから分離されている。各陰極及び対応する陽極はループを形成し、各ループは独立したループである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、さらに詳細には、互いに分離されて配置された複数の独立した陰極パターン及び互いに分離されて配置された複数の独立した陽極パターンを持つ発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、環境への負担が小さいという特性、より高い電光効率、より小さい容積、より長い存続期間、安定した波長、及び、より少ない熱生成などの一定の利点により、周囲の環境において幅広く使用される。発光ダイオードは、都市における巨大な掲示板、街路の交通信号、電気設備の表示ランプ、及び掲示板のバックライト・モジュールなどの多くの応用において、従来の光源を徐々に置き換えている。その応用の範囲が拡大するにつれて、発光ダイオードにおける輝度のより高い均一性に対する需要が、急速に増えている。
【0003】
図1を参照されたい。図1は、従来の発光ダイオードを説明する概略図である。図1に示されるように、従来の発光ダイオード1は、基板10、その基板10の上に配置されたn型ドープ層12、そのn型ドープ層の上に配置されたp型ドープ層14、n型ドープ層とp型ドープ層との間に配置された活性層、n型ドープ層12の上に配置された陰極18、及びp型ドープ層14の上に配置された陽極20を含む。
【0004】
発光ダイオードにおける電流の均一性は、発光ダイオードにおける輝度の均一性及び発光効率に影響する主な要因の1つである。図1に示されるように、従来の発光ダイオード1の陽極20は、p型ドープ層14上に配置され、陰極18は、n型ドープ層12上に配置される。その発光ダイオード1が発光するとき、その発光ダイオード1を駆動するのに使用される電流が、陽極20から発生し、p型ドープ層14、活性層16、n型ドープ層12及び陰極18を順序正しく通過してループを形成する。小型の発光ダイオードに適用される場合、従来の発光ダイオードにおける電流の分布は、まだ均一であるかもしれない。長さが1000マイクロメートルよりも長い発光ダイオードなどの大型の発光ダイオードにおいて適用される場合、従来の発光ダイオード1の電極設計は、電流を均一に分布せず、不均一な輝度及び低い発光効率などの不利点が生成される可能性があり、それは、さらに改善される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、輝度の均一性及び発光効率を拡大するための発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板、その基板上に配置された第1ドープ層、その第1ドープ層と基板との間に配置された第1電極及び第2電極、第1ドープ層上に配置された活性層、その活性層上に配置された第2ドープ層、及びその第2ドープ層上に配置された第3電極及び第4電極を含む発光ダイオードを提供する。第1電極及び第2電極は、第1ドープ層に電気接続され、第3電極及び第4電極は、第2ドープ層に電気接続される。第1電極のパターンは、第2電極のパターンとは分離され、第3電極のパターンは、第4電極のパターンとは分離されている。
【0007】
本発明は、基板、第1基板上に配置されたn型ドープ層、n型ドープ層と基板との間に配置された複数の陰極、n型ドープ層上に配置された活性層、活性層上に配置されたp型ドープ層、及びp型ドープ層上に配置された複数の陽極を含む、もう1つの発光ダイオードを提供する。陰極は、n型ドープ層に電気接続され、その陰極のパターンは、お互いから分離している。陽極は、p型ドープ層に電気接続され、その陽極のパターンは、お互いから分離している。
【0008】
本発明における発光ダイオードは、複数のループ領域を含み、独立したループは、そのループ領域の各々における独立した陰極及び独立した陽極によって形成される。その独立したループによって、電流の分布がさらに均一化され、輝度の均一性及び発光効率が拡大されてよい。
【0009】
本発明のこれら及び他の目的は、当業者が、様々な図及びスケッチにおいて説明される以下の望ましい実施形態の詳細な記載を読むことによって、明確になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の発光ダイオードを説明する概略図である。
【図2】本発明の望ましい実施形態に従って発光ダイオードを説明する概略図である。
【図3】本発明の望ましい実施形態に従って発光ダイオードを説明する概略図である。
【図4】本発明のもう1つの望ましい実施形態に従って発光ダイオードを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一定の用語が、当該記載及び以下の請求項を通して、特定の構成要素を呼ぶのに使用されている。当業者が理解するように、電子機器製造業者は、異なる名称で構成要素を呼ぶ。本文献は、名称で異なるが機能では異ならない構成要素の間で区別することを目的としていない。以下の記載及び請求項において、「含む」及び「有する」という用語は、無制限の方式で使用されていることから、「含むが、・・・に限定されない」と解釈されるべきである。さらに、当該記載を簡略化し、各実施形態の間で比較するためにより便利にするために、以下の実施形態の各々において、同一の構成要素は、同一の参照符号で符号付けされている。それらの図は、説明のみのためにあり、尺度を計れるものではないかもしれない。さらに、この文脈における「第1」及び「第2」などの用語は、異なる構成要素を区別するためのみに使用され、生成の順序は制限しない。
【実施例】
【0012】
図2及び図3を参照されたい。図2及び図3は、本発明の望ましい実施形態に従って発光ダイオードを説明する概略図であり、図2は、その発光ダイオードの上面図を描く概略図であり、図3は、図2のラインA-A’に沿ってその発光ダイオードの断面図を描く該略図である。図2及び図3に示されるように、この実施形態の発光ダイオード30は、基板32、基板32上に配置された第1ドープ層34、第1ドープ層34上に配置された活性層36、活性層36上に配置された第2ドープ層38、第1ドープ層34と基板32との間に配置された第1パターンの電極層、及び第2ドープ層38上に配置された第2パターンの電極層を含む。その第1パターンの電極層は、第1電極401及び第2電極402などの複数の電極40を含み、その第1電極401及び第2電極402は、第1ドープ層34に電気接続されている。第2パターンの電極層は、第3電極421及び第4電極422などの複数の電極42を含み、その第3電極421及び第4電極422は、第2ドープ層38に電気接続されている。電極40及び電極42は、それぞれ、導体パッド40C及び導体パッド42Cを含む。その導体パッド40C及び導体パッド42Cは、回路の外に接続される次のパッキング処理における電気接続点として使用される。さらに、基板32は、第1ループ331及び第2ループ332などの複数のループ領域を含む。第1電極401及び第3電極421は、第1ループ領域331につながり、第2電極402及び第4電極422は、第2ループ領域332につながる。それに加えて、第1ドープ層34は、第1ループ領域331及び第2ループ領域332につながり、活性層36は、第1ループ領域331及び第2ループ領域332につながり、第2ドープ層38は、第1ループ領域331及び第2ループ領域332につながる。
【0013】
基板32は、サファイア基板であってもよいが、基板32はこれに限定されず、ガラス基板、ガリウムリン(GaP)基板、ガリウムヒ素リン(GaAsP)基板、セレン化亜鉛(ZnSe)基板、硫化亜鉛(ZnS)基板、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)基板、炭化ケイ素(SiC)基板などの他の基板であってもよい。第1ドープ層34、活性層36、及び第2ドープ層38は、それぞれ窒化ガリウム(GaN)エピタキシー層などのエピタキシー層であってもよいが、本発明はこれに限定されない。電極40及び電極42の材料は、高い導電性を持つ、金属、アロイ又は金属酸化物などの導体材料であってもよいが、電極40及び電極42の材料は、これらに限定されなく、単一材料又は複合材料であってもよい。この実施形態において、第1ドープ層34は、n型ドープ層(n型窒化ガリウム層など)であり、第2ドープ層38は、p型ドープ層(p型窒化ガリウム層など)である。この状況において、電極40は、陰極として使用され、電極42は、陽極として使用されるが、本発明はこれに限定されない。この実施形態において、第1電極401及び第2電極402は、それぞれ、お互いから分離された巻き(コイル)パターンを有し、第3電極421及び第4電極422は、それぞれ、お互いから分離された巻線パターンを有する(図2に表示)。第1電極401及び第3電極421は、第1ループ領域において巻かれ、第2電極402及び第4電極422は、第2ループ領域332において巻かれる。言いかえれば、第1電極401のパターン及び第3電極421のパターンは、第1ループ領域331において曲がりくねって進み、第2電極402及び第4電極422のパターンは、第2ループ領域において曲がりくねって進む。この設計によって、発光ダイオード30が駆動されるとき、電流の分布がより均一になり、輝度の均一性及び発光効率が拡大される。本発明において、第1電極401及び第2電極402は、それぞれ、お互いから分離された巻線パターンを有するが、第1電極401及び第2電極402は、外部の同一の電源に接続されてもよく、あるいは、異なる設計の選択によっては、導体パッド40Cを通して外部の異なる電源に接続されてもよい。同じ規則に基づいて、第3電極421及び第4電極422は、それぞれお互いから分離された巻線パターンを有するが、第3電極421及び第4電極422は、外部の同一の電源に接続されてもよく、あるいは、異なる設計の選択によっては、導体パッド42Cを通して外部の異なる電源に接続されてもよい。さらに、第1電極401、第2電極402、第3電極421、及び第4電極422のパターンの設計は、これに限定されておらず、必要によっては改良されてもよいことは注目に値する。例えば、電極間の距離が改良されてもよい。さらに、上面図の方向において、第1電極401及び第2電極402が、組み合わされた指のパターンを表わしてもよく、第3電極421及び第4電極は組み合わされた指のパターンを表わしてもよい。
【0014】
本発明において、陰極の各々は、対応する陽極とともにループを形成し、そのループの各々は、独立したループである。例えば、この実施形態において、第1電極401(陰極)及び第3電極421(陽極)が第1ループを形成し、第2電極402(陰極)及び第4電極422(陽極)が第2ループを形成し、第1ループ及び第2ループは、2つの独立したループである。さらに具体的には、本発明において、単一の発光ダイオードは、少なくとも2つのループ領域に分割される。第1ドープ層34、活性層36、及び第2ドープ層38は、実質的に、それぞれ、その発光ダイオードにおけるすべてのループ領域を覆う完全な界面フィルムである。各ループ領域における独立した陰極及び独立した陽極によって形成される独立したループに基づいて、電流の分布がより均一になり、輝度の均一性及び発光効率は、拡大される。本発明における発光ダイオードは、2つのループ領域に分割されることに限定されておらず、その発光ダイオードのサイズ又は他の考慮によっては、3つ、4つ又はそれ以上のループ領域にも分割されてもよいことは、注目に値する。その発光ダイオードは、3つ、4つ又はそれ以上のループ領域に分割されてよく、独立したループは、電流の分布をより均一にし、輝度の均一性及び発光効率を拡大するという目的を果たすために、各ループ領域における陰極及び陽極によって形成される。
【0015】
さらに、発光ダイオードの光抽出率を拡大するために、微細構造が基板32の任意の表面において選択的に形成されてもよい。
【0016】
本発明の発光ダイオードは、上記の実施形態に限定されない。以下の記載は、本発明の発光ダイオードの他の実施形態について詳しく述べる。各実施形態の間の相違点を都合良く比較し記載を簡略化するために、以下の実施形態の各々において、同一の構成要素が、同一の参照符号で符号付けされており、以下の記載は、異なる実施形態の中での相違点を詳しく述べる。同一の構成要素は、重複して記載されない。
【0017】
図4を参照されたい。図4は、本発明のもう1つの望ましい実施形態に従って、発光ダイオードを説明する概略図である。図4に示されるように、本発明の発光ダイオード50は、第2ドープ層38と、第3電極421及び第4電極422などの陽極との間に配置された電流拡張層52をさらに含む。その電流拡張層52は、電流分布の均一性をさらに改善するために、輝度の均一性及び発光効率を拡大するインジウムスズ酸化物などの透明な導電層であってもよい。
【0018】
上記の全ての記載をまとめると、本発明の発光ダイオードは、複数のループ領域を含み、独立したループは、各ループ領域における独立した陰極及び独立した陽極によて形成される。その独立したループによって、電流の分布はさらに均一になり、輝度の均一性及び発光効率が拡大され得る。
【0019】
当業者は、本発明の教示を維持する一方で、当該装置及び方法の多数の改良形及び変形が作成され得ることを容易に理解するであろう。

【符号の説明】
【0020】
1・・・発光ダイオード
10・・・基板
12・・・n型ドープ層
14・・・p型ドープ層
16・・・活性層
18・・・陰極
20・・・陽極
30・・・発光ダイオード
32・・・基板
331・・・第1ループ領域
332・・・第2ループ領域
34・・・第1ドープ層
36・・・活性層
38・・・第2ドープ層
40・・・複数の電極
40C・・・導体パッド
42C・・・導体パッド
401・・・第1電極
402・・・第2電極
421・・・第3電極
422・・・第4電極
50・・・発光ダイオード
52・・・電流拡張層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
該基板の上に配置された第1ドープ層;
該第1ドープ層と該基板との間に配置された第1電極及び第2電極であり、該第1ドープ層に電気接続され、該第1電極のパターンは該第2電極のパターンから分離されている、第1電極及び第2電極;
前記第1ドープ層の上に配置された活性層;
該活性層の上に配置された第2ドープ層;及び
該第2ドープ層の上に配置された第3電極及び第4電極であり、該第2ドープ層に電気接続され、該第3電極のパターンは、該第4電極のパターンから分離されている、第3電極及び第4電極;
を含む、発光ダイオード。
【請求項2】
前記第1ドープ層は、n型ドープ層であり、前記第2ドープ層は、p型ドープ層である、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記第1電極及び第2電極は、陰極であり、前記第3電極及び第4電極は、陽極である、請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記第2ドープ層と前記第3電極との間及び前記第2ドープ層と前記第4電極との間に配置された電流拡張層をさらに含む、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記基板は第1ループ領域及び第2ループ領域を含み、前記第1電極及び第3電極は、前記第1ループ領域につながり、前記第2電極及び第4電極は、前記第2ループ領域につながる、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記第1ドープ層は、前記第1ループ領域につながり、前記活性層は、前記第1ループ領域及び第2ループ領域につながり、前記第2ドープ層は、前記第1ループ領域及び第2ループ領域につながる、請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記第1電極及び第2電極は、それぞれお互いから分離された巻線パターンを有し、前記第3電極及び第4電極は、それぞれお互いから分離された巻線パターンを有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
基板;
該基板の上に配置されたn型ドープ層;
該n型ドープ層と前記基板との間に配置された複数の陰極であり、該n型ドープ層に電気接続され、該陰極のパターンは、お互いから分離されている、複数の陰極;
前記n型ドープ層の上に配置された活性層;
該活性層の上に配置されたp型ドープ層;及び
該p型ドープ層の上に配置された複数の陽極であり、該p型ドープ層に電気接続され、該陽極のパターンは、お互いから分離されている、複数の陽極;
を含む、発光ダイオード。
【請求項9】
前記p型ドープ層と前記陽極との間に配置された電流拡張層をさらに含む、請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記基板は、複数のループ領域を含み、前記陰極の各々及び対応する陽極は、それぞれ対応するループ領域につながる、請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記n型ドープ層は、前記ループ領域につながり、前記活性層は、該ループ領域につながり、前記p型ドープ層は、該ループ領域につながる、請求項10に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記陰極の各々は、巻線パターンを有し、該陰極の巻線パターンは、お互いから分離され、前記陽極の各々は、巻線パターンを有し、該陽極の巻線パターンは、お互いから分離されている、請求項8に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−64917(P2012−64917A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283489(P2010−283489)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(500428737)▲さん▼圓光電股▲ふん▼有限公司 (21)
【Fターム(参考)】