説明

発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器

【課題】点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供する。
【解決手段】各画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12の近辺かつ周囲の任意の位置に、当該トランジスタTr11、Tr12を取り囲むように1乃至複数の突起部PLA、PLB、PLCが設けられている。ここで、突起部PLA、PLB、PLCの基板11表面からの高さ(最高点の高さ)は、画素形成領域Rpx内の他の素子(特にトランジスタTr11、Tr12)部分の高さよりも高くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器に関し、特に、画像データに応じた輝度階調で発光素子を発光させるための画素回路と発光素子とからなる画素を配列した発光パネル及びその製造方法、該発光パネルを備えた発光装置、並びに、該発光装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯音楽プレーヤ等の電子機器の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の発光素子を二次元配列した表示パネル(発光素子型表示パネル)を適用したものが知られている。特に、アクティブマトリクス駆動方式を適用した発光素子型表示パネルにおいては、広く普及している液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性も小さく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるという特長を有している。加えて、発光素子型表示パネルは、液晶表示装置のようにバックライトや導光板を必要としないので、一層の薄型軽量化が可能であるという特長を有している。
【0003】
そして、このような発光素子型ディスプレイにおいては、発光素子を発光制御するための駆動制御機構や制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1に記載されているように、表示パネルに配列される画素ごとに、発光素子である有機EL素子と、複数のスイッチング手段からなる駆動回路(画素回路)と、を備えたものが知られている。なお、駆動回路の具体例については、後述する実施形態において詳しく説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−147659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、アクティブマトリクス駆動方式を適用した表示パネルにおいては、画素ごとに、有機EL素子等の発光素子と薄膜トランジスタからなるスイッチング手段とを備えている。このような表示パネルにおいては、ガラス等の絶縁性の基板の一面側に、画素を形成する有機EL素子や薄膜トランジスタ等が形成され、さらに、各画素への水分の浸入や外部からの機械的(物理的)な圧力による損傷等から保護するために、基板に対向するように封止基板を貼り合わせた構造が適用されている。
【0006】
ここで、封止基板の内面と基板の薄膜トランジスタ等を覆う保護膜の上面との間には、ある程度の隙間を設けるように形成される。しかし、基板に封止基板を貼り合わせるために封止基板を基板側に押圧したとき、あるいは、封止基板を貼り合わせた後の使用時に外部から封止基板に押圧力が加えられたとき、封止基板の内面が基板の保護膜の上面に接触して、例えば基板側に形成された薄膜トランジスタに上記の押圧力が集中して印加され、薄膜トランジスタの素子破損やトランジスタ特性の変動を招く可能性があった。これにより、表示画面に点欠陥が発生して製造歩留まりや品質の低下を招くという問題を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、押圧力による点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る発光パネルは、第1の基板と、該第1の基板の一面上に配列された複数の画素と、前記第1の基板の一面側と所定の間隙を有して対向して設けられて、前記各画素を封止する第2の基板と、を備え、前記各画素は、表示素子と、前記表示素子を画像データに応じて駆動させるためのスイッチング素子と、前記スイッチング素子の周辺に配置され、前記第1の基板の一面側から突出する1乃至複数の突起部と、を有し、前記突起部の前記第1の基板の一面側からの突出寸法は、前記スイッチング素子が形成された領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法より大きく、前記第1の基板又は第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記突起部の上端面が前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない値に設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発光パネルにおいて、前記複数の画素は複数の行及び列方向に沿って二次元配列され、前記各画素は前記突起部を複数有し、該各突起部は、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ行方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ列方向に沿った2箇所に設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発光パネルにおいて、前記スイッチング素子は電極、絶縁膜及び半導体層を有して構成され、前記突起部は、少なくとも前記スイッチング素子の前記電極及び前記絶縁層及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発光パネルにおいて、前記画素を駆動するための信号が印加される信号線を備え、前記突起部は、前記積層構造の一部に前記信号線と同じ部材を用いていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発光パネルにおいて、前記画素は、前記表示素子として発光素子を備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の発光パネルにおいて、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子からなることを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、表示素子と、前記表示素子を画像データに応じて駆動させるためのスイッチング素子と、を有する複数の画素が複数の行及び列方向に沿って二次元配列された発光パネルの製造方法において、第1の基板の一面上に、電極、絶縁層及び半導体層を形成して前記スイッチング素子を形成する工程と、前記スイッチング素子の周囲の領域に、前記スイッチング素子が形成される領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法よりも大きく、前記第1の基板又は前記第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない突出寸法を有する1乃至複数の突起部を形成する工程と、前記第1の基板の一面側との間に所定の間隙を有するように第2の基板を接合する工程と、を含み、前記突起部を形成する工程は、前記スイッチング素子を形成する工程と同時に、前記スイッチング素子を構成する前記電極、前記絶縁層及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を形成して、少なくとも前記突起部の一部を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の発光パネルの製造方法において、前記突起部を形成する工程は、該突起部を複数形成し、該各突起部を、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ行方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ列方向に沿った2箇所に形成する工程を含むことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8に記載の発光パネルの製造方法において、前記第1の基板上に、前記画素を駆動するための信号が印加される信号線を形成する工程を有し、前記突起部を形成する工程は、前記信号線を形成する工程と同時に、該信号線をなす導電層を前記積層構造に積層して、前記突起部の一部を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項10記載の発明に係る発光装置は、第1の基板と、該第1の基板の一面上に配設された複数の選択ライン及び該各選択ラインと交差して配設された複数のデータラインと、前記第1の基板の一面上に前記各選択ラインと前記各データラインに接続されて二次元配列された複数の画素と、前記第1の基板の一面側と所定の間隙を有して対向して設けられて、前記各画素を封止する第2の基板と、を有する発光パネルと、前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、を備え、前記画素は、表示素子と、前記選択信号及び前記階調信号に基づいて、前記表示素子を駆動させるためのスイッチング素子と、前記スイッチング素子の周辺に配置され、かつ、前記第1の基板の一面側から突出する1乃至複数の突起部と、を有し、前記突起部の前記第1の基板の一面側からの突出寸法は、前記スイッチング素子が形成された領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法より大きく、前記突起部の上端面が前記第1の基板又は前記第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない値に設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発光装置において、前記各画素は前記突起部を複数有し、該各突起部は、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ前記選択ラインの延在方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ前記データラインの延在方向に沿った2箇所に設けられていることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項10又は11に記載の発光装置において、前記スイッチング素子は電極、絶縁層及び半導体層を有して構成され、前記突起部は、少なくとも前記スイッチング素子を構成する前記電極及び前記絶縁層を及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を有することを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発光装置において、前記突起部は、前記積層構造の一部に前記選択ライン及び前記データラインと同じ部材を用いていることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項12又は13に記載の発光装置において、前記発光パネルは、前記画素を駆動するための電源電圧が印加される電源ラインを備え、前記突起部は、前記積層構造の一部に前記電源ラインと同じ部材を用いていることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項10乃至14のいずれかに記載の発光装置において、前記画素は、前記表示素子として発光素子を備えることを特徴とする。
請求項16記載の発明に係る電子機器は、請求項10乃至15のいずれかに記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器によれば、点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る発光装置を適用した表示装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの具体例を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置に適用される画素の要部断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図6】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図7】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図8】第1の実施形態の比較対象となる画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図9】第1の実施形態の比較対象となる画素の要部断面図である。
【図10】比較対象となる画素を備えた表示パネルにおける問題点と、第1の実施形態に係る表示パネルにおける作用効果を説明するための概略断面図である。
【図11】本発明に係る発光装置を適用した表示装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図12】第2の実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図13】第2の実施形態に係る表示装置に適用される画素の要部断面図である。
【図14】第2の実施形態の比較対象となる画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図15】第2の実施形態の比較対象となる画素の要部断面図である。
【図16】比較対象となる画素を備えた表示パネルにおける問題点と、第2の実施形態に係る表示パネルにおける作用効果を説明するための概略断面図である。
【図17】本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る発光装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る発光装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置並びに電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明に係る発光装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係る発光装置を表示装置として適用した場合について説明する。
【0017】
(表示装置)
図1は、本発明に係る発光装置を適用した表示装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。図1(a)は、本実施形態に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図1(b)は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。また、図2は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの具体例を示す概略構成図である。図2(a)は、本実施形態に係る表示パネルの全体構成を示す概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した表示装置におけるIIA−IIA線(本明細書においては図2(a)中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる。)に沿った断面を示す図である。ここで、図2(a)においては、図示を明瞭にするため、基板と対向基板とを封止するためのシール材に便宜的にハッチングを施して示した。また、図示の都合上、図2(b)においてのみ対向基板を表示し、図2(a)においては省略した。
【0018】
図1(a)に示すように、第1の実施形態に係る表示装置(発光装置)100は、概略、複数の画素PIXが二次元配列された表示パネル(発光パネル)110と、各画素PIXを選択状態に設定するための選択ドライバ(選択駆動回路)120と、各画素PIXに画像データに応じた階調信号を供給するためのデータドライバ(信号駆動回路)130と、コントローラ140と、を備えている。
【0019】
ここで、本実施形態に適用される表示パネル110は、具体的には、図2(a)、(b)に示すように、基板11と対向基板20とが対向して配置された構成を有している。基板11の一面側(図2(b)の上面側)に複数の画素PIXが二次元配列された画素アレイ111が設けられている。また、画素アレイ111の周辺領域には、上記各画素PIXを駆動するための信号を供給するための引き出し配線Lrが設けられている。引き出し配線Lrは一端側が画素アレイ111(各画素PIX)に接続され、他端側が例えば基板11の端部に設けられた接続端子TMに接続されている。接続端子TMは、例えばフィルム基板(フレキシブルプリント基板)FPC等を介して、基板11の外部に設けられた選択ドライバ120やデータドライバ130、あるいは、これらのドライバ機能を備えたドライバチップに接続されている。そして、対向して配置された基板11と対向基板20は、図2(a)、(b)に示すように、画素アレイ111の周囲領域に設けられたシール材30を介して接合され、画素アレイ111が封止されて外的環境の影響を受けないように保護されている。シール材30内には基板11と対向基板20との間のギャップ(間隙)を設定するためのギャップ材(図示せず)が設けられている。これによって基板11の一面側と対向基板20との間隙は、対向基板20の基板11の一面側との対向面が画素アレイ111の上面に接触しない程度の値に設定されている。
【0020】
また、本実施形態に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、例えば図1(b)に示すように、発光駆動回路DCと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、画像データに応じた電流値の発光駆動電流を生成して、有機EL素子OELに供給する。有機EL素子OELは、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、画像データに応じた輝度階調で発光する。
【0021】
発光駆動回路DCは、例えば図1(b)に示すように、トランジスタTr11、Tr12とキャパシタCsとを備えている。トランジスタ(選択トランジスタ;スイッチング素子)Tr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタ(駆動トランジスタ;スイッチング素子)Tr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が高電位の電源電圧Vsaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。
【0022】
また、有機EL素子(表示素子)OELは、アノード(後述するアノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(後述するカソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0023】
ここでは、トランジスタTr11、Tr12はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。なお、トランジスタTr11、Tr12がpチャネル型であれば、ソース端子及びドレイン端子が互いに逆になる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0024】
画素PIXに接続される選択ラインLsは、例えば表示パネル110の行方向(図1(a)の左右方向)に配設されて、選択ドライバ120に接続されている。そして、選択ラインLsには、選択ドライバ120から選択レベル又は非選択レベルの選択電圧(選択信号)Vselが印加される。また、画素PIXに接続されるデータラインLdは、例えば表示パネル110の列方向(図1(a)の上下方向)に配設されて、データドライバ130に接続されている。データラインLdには、データドライバ130から画像データに応じた階調電圧(選択信号)Vdataが印加される。
【0025】
コントローラ140は、表示装置100の外部から供給される画像データに基づいて、輝度階調データを含むデジタルデータからなる表示データを生成してデータドライバ130に供給する。また、コントローラ140は、画像データに基づいて生成又は抽出されるタイミング信号に基づいて、選択ドライバ120及びデータドライバ130の動作状態を制御して、表示パネル110における所定の画像表示動作を実行するための選択制御信号及びデータ制御信号を生成して出力する。
【0026】
これにより、選択ドライバ120は、選択制御信号に基づいて、各行の選択ラインLsに所定のタイミングで選択レベルの選択電圧Vselを印加することにより、各行の画素PIXを選択状態に設定する。データドライバ130は、データ制御信号に基づいて、画像データに応じた階調電圧Vdataを生成して、各データラインLdを介して、選択状態に設定された画素PIXに供給する。
【0027】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置の表示駆動動作は、まず、所定の選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr11を介して接点N11に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0028】
これにより、トランジスタTr12が階調電圧Vdataに応じた導通状態でオン動作して、ドレイン、ソース間に所定の電流値の発光駆動電流が流れ、有機EL素子OELは、階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で発光する。このとき、トランジスタTr12のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて電荷が蓄積(充電)される。
【0029】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されて、トランジスタTr12のゲート端子に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。したがって、トランジスタTr12のドレイン、ソース間に上記の発光動作状態(選択期間)と同等の電流値の発光駆動電流が流れて、有機EL素子OELは発光状態を継続する。そして、このような表示駆動動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、例えば各行ごとに順次実行することにより、所望の画像情報が表示される。
【0030】
(画素のデバイス構造)
次いで、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでは、有機EL素子OELの有機EL層において発光した光が、透明な基板を透過して視野側(基板の他面側)に出射されるボトムエミッション型の発光構造を有する有機EL表示パネルについて示す。
【0031】
図3は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図1(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、図4は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の要部断面図である。ここでは、図4は、図3に示した平面レイアウトを有する画素におけるIVB−IVB線(本明細書においては図3中に示したローマ数字の「4」に対応する記号として便宜的に「IV」を用いる。)に沿った断面を示す。
【0032】
図1(b)に示した画素PIXは、具体的には、図3、図4に示すように、ガラス等の透明な絶縁性の基板(第1の基板)11の一面側(図4の上面側)に設定された画素形成領域Rpxごとに設けられている。この画素形成領域Rpxには、少なくとも、有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relと、隣接する画素PIXとの間の境界領域と、が設定されている。
【0033】
図3に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面右方側の領域には、選択ラインLs及び電源ラインLaに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。
【0034】
また、図3に示した表示パネル110においては、例えば図4に示すように、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁層15が設けられている。すなわち、図3に示した表示パネル110において、行方向(図面左右方向)及び列方向(図面上下方向)に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域に、図4に示すように、基板11表面から連続的に突出する隔壁層15が設けられている。そして、この隔壁層15により囲まれ、かつ、画素電極16が露出した領域(すなわち、上記の開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0035】
選択ラインLsは、例えば図3、図4に示すように、データラインLd及び電源ラインLaよりも下層側(基板11側)に設けられている。選択ラインLsは、トランジスタTr11、トランジスタTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr11g、Tr12gと同じ工程で一括して形成される。特に、選択ラインLsは、図3に示すように、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gと一体的に形成されている。
【0036】
また、データラインLdは、例えば図3、図4に示すように、電源ラインLaよりも下層側(基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に設けられている。すなわち、データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程で一括して形成される。特に、データラインLdは、図3に示すように、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dと一体的に形成されている。
【0037】
また、電源ラインLaは、例えば図3、図4に示すように、後述するトランジスタTr11、Tr12及び選択ラインLs、データラインLdを被覆する層間絶縁膜13上に設けられている。電源ラインLaは、図3に示すように、下層の層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL12を介して、トランジスタTr12のドレイン電極Tr11dに直接接続されている。
【0038】
また、図3に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。具体的には、トランジスタTr11、Tr12のチャネルの幅方向が、データラインLdに平行に延在するように設定されている。また、トランジスタTr11、Tr12は、いずれも図4に示すような電界効果型の薄膜トランジスタ構造を有している。なお、以下のトランジスタTr11についての説明では、図示の都合上、図4に示したトランジスタTr12の断面構造を参照しながら説明するものとする。
【0039】
トランジスタTr11、Tr12は、図3、図4に示すように、基板11上に形成されたゲート電極Tr11g、Tr12gを被覆するようにゲート絶縁膜12が設けられ、該ゲート絶縁膜12上の、ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に半導体層SMC(図3では省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが設けられている。ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと半導体層SMCとの間には不純物層OHMが設けられ、これにより、半導体層SMCとソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが各々オーミック接続している。
【0040】
そして、図1(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、図3に示すように、ゲート電極Tr11gが選択ラインLsと一体的に形成されている。また、ドレイン電極Tr11dは、図3に示すように、データラインLdと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr11sは、図3に示すように、ゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gに接続されている。ここで、コンタクトホールHL11は、図1(b)に示した発光駆動回路DCの接点N11に対応する。
【0041】
また、トランジスタTr12は、図3に示すように、ゲート電極Tr12gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr11のソース電極Tr11sに接続されている。また、ドレイン電極Tr12dは、図3に示すように、層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL12を介して、電源ラインLaに接続されている。また、ソース電極Tr12sは、図3、図4に示すように、有機EL素子OELの画素電極16に接続されている。
【0042】
有機EL素子OELは、図3、図4に示すように、上記画素電極(アノード電極)16と、有機EL層(発光機能層)17と、対向電極(カソード電極)18と、を順次積層した素子構造を有している。ここで、本実施形態においては、有機EL素子OELは、ボトムエミッション型の発光構造を有しているので、画素電極16は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性(高い光透過率)を有する透明な電極材料により形成されている。一方、対向電極18は、アルミニウム単体やアルミニウム合金等の光反射率の高い電極材料を含んで形成されている。
【0043】
画素電極16は、図3、図4に示すように、トランジスタTr12のソース電極Tr12sに接続されている。有機EL層17は、図3、図4に示すように、基板11上に連続的に突出して形成された隔壁層15に設けられた開口部により画定されるEL素子形成領域Relに露出する画素電極16上に形成される。有機EL層17は、例えば正孔注入層(又は、正孔注入層を含む正孔輸送層)17a及び電子輸送性発光層17bから形成される。
【0044】
対向電極18は、基板11上に二次元配列された各画素PIXの画素電極16に対して、共通に対向するように、単一の電極層(べた電極)により形成されている。また、対向電極18は、図3、図4に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定する隔壁層15上にも延在するように設けられている。さらに、対向電極18は、図示を省略したコンタクト部や引き出し配線を介して、低電位電源(基準電圧Vsc)に接続されている。
【0045】
隔壁層15は、例えば図3、図4に示すように、基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された層間絶縁膜13、及び、当該層間絶縁膜13上の電源ラインLaを被覆する保護絶縁膜14を被覆するように、基板11表面から連続的に突出するように設けられている。隔壁層15には、上記有機EL素子OELの画素電極16が露出する開口部が設けられている。ここで、隔壁層15は、例えばドライエッチング法を用いてパターニングが可能な絶縁材料、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0046】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁層15が形成された基板11の一面側には、ガラス等の対向基板(第2の基板)20が基板11の一面側と所定の間隙を有するように貼り合わされて封止されている。
【0047】
このようなデバイス構造を有する画素PIXにおいて、本実施形態においては、図3、図4に示すように、各画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12の近辺かつ周囲の任意の位置に、当該トランジスタTr11、Tr12を取り囲むように1乃至複数の突起部PLA、PLB、PLCが設けられている。ここで、突起部PLA、PLB、PLCの基板11表面からの高さ(突出寸法)は、画素形成領域Rpx内の他の素子(特にトランジスタTr11、Tr12)部分の高さよりも高くなるように形成されている。また、突起部PLA、PLB、PLCの突出寸法は、その上端面が、基板11又は対向基板20に外部から押圧力が印加されていないとき、対向基板20の基板11の一面側と対向する面に接触しない値となるように形成されている。
【0048】
これにより、後述する作用効果において説明するように、基板11に対向基板20を貼り合わせるために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧力が加えられたときに、各画素形成領域Rpx内の突起部PLA、PLB、PLCが対向基板20に当接しても、他の素子(特にトランジスタTr11、Tr12)が対向基板20に接触することがない。したがって、基板11に対向基板20を接合する際に印加される押圧力や、使用時に対向基板20に外部から印加される押圧力は突起部PLA、PLB、PLCに集中して印加され、有機EL素子OELを発光駆動するためのトランジスタTr11、Tr12に圧力が加わることがないので、トランジスタTr11、Tr12の素子破壊やトランジスタ特性の変動を防止することができる。
【0049】
突起部PLA、PLB、PLCは、具体的には図4に示すように、基板11上に、突起層PL11、ゲート絶縁膜12、突起層PL12〜PL16、層間絶縁膜13、突起層PL17及び保護絶縁膜14が順次積層された積層構造を有している。ここで、突起層PL11は、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gをなすゲートメタル(導電層)からなり、ゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr11g、Tr12g及び上記選択ラインLsと同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL12〜PL14は、各々、トランジスタTr11、Tr12の半導体層SMC、チャネル保護層BL、不純物層OHMと同じ部材からなり、各々同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL15は、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dをなすソース、ドレインメタル層(導電層)からなり、ソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、上記データラインLdと同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL16は、有機EL素子OELの画素電極16と同じ部材からなり、同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL17は、電源ラインLaをなす配線メタル層からなり、配線メタル層をパターニングすることによって、当該電源ラインLaと同じ工程で一括して形成される。
【0050】
このように、突起部PLA、PLB、PLCはいずれも、ゲートメタル層やソース、ドレインメタル層、配線メタル層、半導体層、絶縁層からなる各突起層をその一部に含む構造を有している。ここで、突起部PLA、PLB、PLCの各突起層に、選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLaをそのまま兼用することにより、図3に示すように、選択ラインLsやデータラインLd、電源ラインLaが配設される領域に、一部又は全部が平面的に重なるように、突起部PLA、PLB、PLCを配置形成することができる。これにより、基板11上に突起部PLA、PLB、PLCを設けることによる画素PIXの開口率(画素形成領域Rpx内に占めるEL素子形成領域Rel(すなわち発光部)の面積比率)の低下を抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、図3、図4に示したように、選択ラインLsが配設される領域(選択ラインLsの上層)に平面的に重なるように突起部PLAの各突起層が設けられているが、選択ラインLsは基板11上に直接形成されているので、上層に突起部PLAの各突起層が設けられていても配線の段差切れが生じることはない。また、本実施形態においては、図4に示したように、データラインLdの下層に、当該データラインLdの配設領域の略全域にわたり、突起部PLBと同様に、少なくとも突起層PL12〜PL14が設けられている。これにより、データラインLdの段差切れが抑制される。なお、図3に示したように、突起部PLBをデータラインLdの配設領域に隣接するように設けた構成は、データラインLdの下層に突起層を形成しない場合にも良好に適用することができる。これによれば、データラインLdを比較的薄いメタル層により形成した場合(例えば膜厚200nm程度;詳しくは後述する。)であっても、当該突起層による段差の影響を受けないので配線の段差切れを生じることがない。また、本実施形態においては、図3、図4に示したように、突起部PLA〜PLC及びデータラインLdによる起伏や段差が生じた層間絶縁膜13上に、電源ラインLaが配設されているが、その膜厚を比較的厚く(例えば膜厚400nm程度;詳しくは後述する。)形成することにより配線の段差切れを生じることがない。
【0052】
そして、以上説明したようなデバイス構造を有する表示パネルにおいて、画像データ(階調電圧Vdata)に応じた所定の電流値の発光駆動電流がトランジスタTr12のドレイン、ソース間に流れて画素電極16に供給されることにより、有機EL素子OELが当該画像データに応じた所定の輝度階調で発光動作する。
【0053】
このとき、表示パネル110の画素電極16が高い光透過率を有し、対向電極18が高い光反射率を有することにより、各画素PIXの有機EL層17において発光した光は、画素電極16を直接透過して、あるいは、対向電極18で反射した後、基板11を透過して、視野側である基板11の他面側(図4の図面下方側)に出射される。
【0054】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図5〜図7は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図である。ここでは、図4に示した画素PIXの断面における工程断面を示す。
【0055】
上述した表示パネルの製造方法は、まず、図5(a)〜図6(c)に示すように、ガラス基板等の基板11の一面側に、上述した発光駆動回路DC(図1(b)、図3参照)を構成するトランジスタTr11、Tr12や選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、並びに、突起部PLA〜PLCが形成される。
【0056】
具体的には、まず、透明な基板11の一面側(図面上面側)に、例えば蒸着法やスパッタリング法等のPVD法(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)を用いて、ゲートメタル層を成膜する。その後、フォトリソグラフィ法を用いて所望の平面パターンを有するレジストを形成し、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を用いて、ゲートメタル層をパターニングすることにより、図3、図5(a)に示すように、各画素PIXの画素形成領域Rpx内にゲート電極Tr11g、Tr12g及び選択ラインLs、並びに、突起層PL11が同時に形成される。ここで、図3に示すように、突起部PLAにおいては、選択ラインLsが突起層PL11を兼用する。なお、ゲート電極Tr11g、Tr12g及び選択ラインLsを形成するためのゲートメタル層は、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等の金属単体、又は、これらの合金からなる金属材料、又は、これらのいずれか含む化合物材料を用いることができる。ここで、ゲートメタル層は、例えば100nm(1000Å)程度の膜厚に形成される。
【0057】
次いで、Tr11g、Tr12g、選択ラインLs及び突起層PL11が形成された基板11上に、例えばプラズマCVD法(Chemical
Vapor Deposition:化学気相成長法)を用いて、窒化シリコンSiN等からなるゲート絶縁膜12、アモルファスシリコン半導体層SMCx、及び、窒化シリコンSiN等からなる絶縁膜を連続的に成膜する。ここで、ゲート絶縁膜12は、例えば400nm(4000Å)程度の膜厚に形成され、アモルファスシリコン半導体層SMCxは、例えば50nm(500Å)程度の膜厚に形成され、窒化シリコンSiN等からなる絶縁膜は、例えば200nm(2000Å)程度の膜厚に形成される。
【0058】
次いで、最上層の窒化シリコン等の絶縁膜を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングして、図3、図5(b)に示すように、所望の平面形状を有するチャネル保護層(エッチングストッパー層)BLを形成する。具体的には、図示を省略したフォトレジストを、トランジスタTr11、Tr12のチャネル層(半導体層SMC)となる領域であって、上記ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域上のみに残るようにパターニングし、当該フォトレジストを用いて最上層の窒化シリコン等の絶縁膜をドライエッチングする。これにより、図5(b)に示すように、アモルファスシリコン半導体層SMCx上にチャネル保護層BLが形成される。このとき、アモルファスシリコン半導体層SMCx上であって、突起層PL11に対応する領域に突起層PL13が同時に形成される。
【0059】
次いで、図5(c)に示すように、チャネル保護層BLが形成された基板11上に、例えばプラズマCVD法を用いて、n型アモルファスシリコン等からなる不純物層OHMxを成膜する。ここで、不純物層OHMxは、例えば20nm(200Å)程度の膜厚に形成される。その後、図3に示すように、少なくとも、トランジスタTr12のゲート電極Tr12g上の不純物層OHMx、アモルファスシリコン半導体層SMCx及びゲート絶縁膜12を、ドライエッチング法を用いて一括してパターニングすることにより、ゲート絶縁膜12の下層のゲート電極Tr12gの所定の位置の上面が露出するコンタクトホールHL11が形成される。
【0060】
次いで、図5(c)に示すように、基板11上に、例えばPVD法を用いて、ソース、ドレインメタル層SDxを形成する。ここで、ソース、ドレインメタル層SDxは、例えば200nm(2000Å)程度の膜厚に形成される。なお、ソース、ドレインメタル層SDxは、上述したゲートメタル層と同等の金属材料を用いることができる。
【0061】
次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、所望の平面パターンを有するレジストを形成し、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を用いて、ソース、ドレインメタル層SDxをパターニングすることにより、図5(d)に示すように、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、並びに、データラインLdが同時に形成される。これにより、少なくともトランジスタTr11のソース電極Tr11sが上記コンタクトホールHL11を介してトランジスタTr12のゲート電極Tr12gに接続される。また、このとき、不純物層OHMx上であって、上述した突起層PL11、PL13に対応する領域に突起層PL15が同時に形成される。ここで、図3、図4に示すように、突起部PLBにおいては、データラインLdが突起層PL15を兼用する。
【0062】
次いで、図5(d)に示すように、ドライエッチング法を用いて、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、データラインLd、並びに、突起層PL15をマスクとして用い、下層の不純物層OHMx及びアモルファスシリコン半導体層SMCxを連続的にエッチングする。これにより、不純物層OHMxは、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、並びに、データラインLdに整合する平面形状にパターニングされて不純物層OHMが形成される。このとき、上述した突起層PL15に対応する領域に突起層PL14が同時に形成される。また、ソース電極Tr11s、ドレイン電極Tr11d間、及び、ソース電極Tr12s、ドレイン電極Tr12d間に、チャネル保護層BLが露出する。また、アモルファスシリコン半導体層SMCxは、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、データラインLd、並びに、チャネル保護層BLに整合する平面形状にパターニングされて半導体層SMCが形成される。このとき、上述した突起層PL15、PL14、PL13に対応する領域に突起層PL12が同時に形成される。これにより、図3、図5(d)に示すように、基板11上に、ゲート電極Tr11g、Tr12g、半導体層SMC、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dからなるトランジスタTr11、Tr12が形成される。
【0063】
次いで、基板11上に錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜を成膜後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図3、図6(a)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relのゲート絶縁膜12上に、例えば矩形状の平面形状を有する画素電極(アノード電極)16が形成される。ここで、画素電極16は、その一部がトランジスタTr12のソース電極Tr12s上に延在するように形成され、ソース電極Tr12sに直接接続される。また、このとき、上述した突起層PL15上に突起層PL16が同時に形成される。ここで、画素電極16を形成するための透明電極膜は、例えば200nm(2000Å)程度の膜厚に形成される。
【0064】
次いで、基板11上に、窒化シリコン等からなる絶縁膜を成膜した後、当該絶縁膜をパターニングすることにより、図4、図6(b)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに、上記画素電極16が露出する開口部を有する層間絶縁膜13が形成される。ここで、層間絶縁膜13を形成するための絶縁膜は、例えば400nm(4000Å)程度の膜厚に形成される。その後、図3に示すように、少なくとも、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12d上のゲート絶縁膜を、ドライエッチング法を用いて同時にパターニングすることにより、層間絶縁膜13の下層のドレイン電極Tr12dの所定の位置の上面が露出するコンタクトホールHL12が形成される。
【0065】
次いで、基板11上に、例えばPVD法を用いて、配線メタル層を成膜する。ここで、配線メタル層は、例えば400nm(4000Å)程度の膜厚に形成される。なお、配線メタル層は、例えば、上述したゲートメタル層やソース、ドレインメタル層と同等の金属材料を用いることができる。その後、フォトリソグラフィ法を用いて、所望の平面パターンを有するレジストを形成し、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を用いて、配線メタル層をパターニングすることにより、図3、図6(c)に示すように、電源ラインLaが形成される。これにより、少なくとも電源ラインLaが上記コンタクトホールHL12を介してトランジスタTr12のドレイン電極Tr12dに接続される。また、このとき、層間絶縁膜13上であって、上述した突起層PL11〜PL16に対応する領域に突起層PL17が同時に形成される。ここで、図3、図4に示すように、突起部PLCにおいては、電源ラインLaが突起層PL17を兼用する。
【0066】
次いで、基板11上に、窒化シリコン等からなる絶縁膜を成膜した後、当該絶縁膜をパターニングすることにより、図4、図7(a)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに、画素電極16が露出する開口部を有する保護絶縁膜(オーバーコート絶縁膜)14が形成される。ここで、保護絶縁膜14を形成するための絶縁膜は、例えば200nm(2000Å)程度の膜厚に形成される。
【0067】
次いで、基板11上に、例えばポリイミド系やアクリル系等の感光性の有機樹脂材料を塗布して樹脂層を形成した後、当該樹脂層をパターニングすることにより、図7(b)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに、画素電極16が露出する開口部15hを有する隔壁層15が形成される。これにより、各画素形成領域Rpxにおいて、隔壁層15に形成された開口部15h内に画素電極16が露出する領域が各画素PIXのEL素子形成領域Relとして画定される。ここで、隔壁層15は、例えば1.5μm程度の膜厚に形成される。
【0068】
次いで、基板11を純水で洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理又はUVオゾン処理等を施すことにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極16の表面を、後述する正孔輸送材料や電子輸送性発光材料の有機化合物含有液に対して親液化する処理を施す。このように、隔壁層15により有機化合物含有液を塗布する領域(EL素子形成領域Rel)を画定し、加えて、各画素PIX(有機EL素子OEL)の画素電極16表面を親液化することにより、後述するように、有機化合物含有液をノズルプリンティング法やインクジェット法を用いて塗布し、有機EL層17の発光層(電子輸送性発光層17b)を形成する場合であっても、隣接して配置される異なる色の画素PIXのEL素子形成領域Relへの有機化合物含有液の漏出や乗り越えを抑制することができる。したがって、カラー表示に対応した表示パネル110を製造する場合であっても、隣接画素相互の混色を防止して、赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料の塗り分けを良好に行うことができる。
【0069】
次いで、図7(c)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに露出する画素電極16上に、例えば正孔輸送層(担体輸送層)17a及び電子輸送性発光層(担体輸送層)17bが積層形成された有機EL層(発光機能層)17を形成する。
【0070】
まず、各画素PIXのEL素子形成領域Relに対して、連続した溶液(液流)を吐出するノズルプリンティング(又はノズルコート)法、又は、互いに分離した不連続の複数の液滴を所定位置に吐出するインクジェット法等を用いて、正孔輸送材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて画素電極16上に正孔輸送層17aを形成する。
【0071】
具体的には、有機高分子系の正孔輸送材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水溶液(PEDOT/PSS;導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェンPEDOTと、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸PSSを水系溶媒に分散させた分散液)を、EL素子形成領域Relに塗布する。その後、基板11が載置されているステージを100℃以上の温度条件で加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極16上にのみ有機高分子系の正孔輸送材料を定着させて、正孔輸送層17aを形成する。
【0072】
次いで、各EL素子形成領域Relに形成された正孔輸送層17a上に、ノズルプリンティング法又はインクジェット法等を用いて、電子輸送性発光材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて電子輸送性発光層(担体輸送層)17bを形成する。
【0073】
具体的には、有機高分子系の電子輸送性発光材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料を、適宜水系溶媒或いはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解または分散した0.1wt%〜5wt%の溶液を、上記正孔輸送層17a上に塗布する。その後、窒素雰囲気中で上記ステージを加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、正孔輸送層17a上に有機高分子系の電子輸送性発光材料を定着させて、電子輸送性発光層17bを形成する。
【0074】
次いで、図4に示したように、上記隔壁層15及び有機EL層17(正孔輸送層17a及び電子輸送性発光層17b)が形成された基板11上に、光反射率が高く、かつ、各画素PIXの有機EL層17を介して画素電極16に共通に対向する対向電極(カソード電極)18を形成する。ここで、対向電極18は、例えば真空蒸着法を用いて、蒸着マスクを介して純アルミニウムからなる電極層を基板11上に成膜することにより形成される。
【0075】
次いで、後述するように、上記対向電極18が形成された基板11の一面側に、直接、あるいは、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる封止層を形成して基板面を封止した後、ガラス等の対向基板20を基板11に対向するように接合して封止することにより、表示パネル110が完成する。
【0076】
このように、本実施形態においては、各画素PIXの発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12の近辺かつ周囲に、1個以上の突起部PLA、PLB、PLCが設けられ、かつ、各突起部PLA、PLB、PLCがトランジスタTr11、Tr12や有機EL素子OELの画素電極16、データラインLd、電源ラインLaを構成する各層と同じ導電層、半導体層及び絶縁層を積層することにより形成されている。これにより、突起部PLA、PLB、PLCは、表示パネル110に設けられるトランジスタTr11、Tr12や有機EL素子OEL、配線を形成する際のプロセスにおいて同時に形成される。したがって、本実施形態によれば、製造工程の変更や工程数の増加を伴うことなく、トランジスタTr11、Tr12の近辺かつ周囲に突起部PLA、PLB、PLCを設けることができる。
【0077】
(作用効果の検証)
次に、上述した第1の実施形態に係る表示パネルを適用した表示装置における作用効果について、比較対象を示して詳しく説明する。
【0078】
図8は、上述した第1の実施形態の比較対象となる画素の一例を示す平面レイアウト図であり、図9は、比較対象となる画素の要部断面図である。ここでは、図9は、図8に示した平面レイアウトを有する画素におけるIXC−IXC線(本明細書においては図8中に示したローマ数字の「9」に対応する記号として便宜的に「IX」を用いる。)に沿った断面を示す。ここで、図8、図9においては、第1の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。図10は、比較対象となる画素を備えた表示パネルにおける問題点と、第1の実施形態に係る表示パネルにおける作用効果を説明するための概略断面図である。
【0079】
図8、図9に示す比較対象となる画素PIXは、図3、図4に示した第1の実施形態に係る画素において、突起部PLA、PLB、PLCを省いた構成を有している。比較対象となる画素PIXにおいて、第1の実施形態と同等の膜厚でトランジスタTr11、Tr12や選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、有機EL素子OELを形成した場合、図9に示すように、トランジスタTr11、Tr12部分の積層数が最も多く、基板11表面からの高さが最高になる。具体的には、図9において、トランジスタTr12部分においては、ゲート電極Tr12g、ゲート絶縁膜12、半導体層SMC、チャネル保護層BL、不純物層OHM、ソース電極Tr12s又はドレイン電極Tr12d、保護絶縁膜14、隔壁層15が順次積層され、基板11表面からの高さは概ね2.6μm以上(単純加算で2.67μm)になる。一方、例えば選択ラインLsやデータラインLd、電源ラインLa等の配線領域においては、ゲート絶縁膜12、データラインLd、保護絶縁膜14、隔壁層15が順次積層され、基板11表面からの高さは概ね2.3μm程度(単純加算で2.3μm)になる。すなわち、トランジスタTr11、Tr12部分の基板11表面からの高さが、画素形成領域Rpx内の他の素子(配線領域等)部分の高さよりも高くなるように形成されている。
【0080】
このような基板11に対向基板20を接合するために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧が加えられたとき、図10(a)に示すように、押圧力(図中矢印で表記)により画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12部分が対向基板20に当接すると、基板11表面からの高さが最高となるトランジスタTr11、Tr12部分に押圧力が集中して、トランジスタTr11、Tr12の素子破壊やトランジスタ特性の変動を招く可能性があった。これにより、表示画面に点欠陥が発生して製造歩留まりや品質の低下を招くという問題を有していた。
【0081】
これに対して、上述した第1の実施形態においては、図3、図4に示したように、画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12の近辺かつ周囲の任意の位置に、当該トランジスタTr11、Tr12を取り囲むように複数の突起部PLA、PLB、PLCが設けられている。そして、これらの突起部PLA、PLB、PLCの基板11表面からの高さが、画素形成領域Rpx内の他の素子(特にトランジスタTr11、Tr12)部分の高さよりも高くなるように形成されている。具体的には、図4において、トランジスタTr12部分においては、ゲート電極Tr12g、ゲート絶縁膜12、半導体層SMC、チャネル保護層BL、不純物層OHM、ソース電極Tr12s又はドレイン電極Tr12d、層間絶縁膜13、保護絶縁膜14、隔壁層15が順次積層され、基板11表面からの高さは概ね3.0μm程度(単純加算で3.07μm)になる。一方、突起部PLA、PLB、PLCにおいては、突起層PL11、ゲート絶縁膜12、突起層PL12〜PL16、層間絶縁膜13、突起層PL17、保護絶縁膜14、隔壁層15が順次積層され、基板11表面からの高さは概ね3.6μm程度(単純加算で3.67μm)になる。すなわち、トランジスタTr11、Tr12部分の基板11表面からの高さよりも、突起部PLA、PLB、PLCの高さの方が高くなるように形成されている。
【0082】
このような基板11に対向基板20を接合するために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧が加えられたとき、図10(b)に示すように、押圧力(図中矢印で表記)により画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12の周囲に設けられた突起部PLA、PLB、PLCが対向基板20に当接しても、基板11表面からの高さが最高となる突起部PLA、PLB、PLCに押圧力が集中して、トランジスタTr11、Tr12への押圧力の印加を回避又は抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、トランジスタTr11、Tr12の素子破壊やトランジスタ特性の変動を防止することができるので、表示画面における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0083】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置を適用した表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0084】
(表示装置)
図11は、本発明に係る発光装置を適用した表示装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。図11(a)は、本実施形態に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図11(b)は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0085】
図11(a)に示すように、第2の実施形態に係る表示装置100は、概略、表示パネル110と、選択ドライバ120と、データドライバ130と、コントローラ140と、電源ドライバ150と、を備えている。すなわち、本実施形態に示す表示装置100は、第1の実施形態に示した構成に加え、電源ドライバ150を備えた構成を有している。
【0086】
本実施形態に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、上述した第1の実施形態と同様に、例えば図11(b)に示すように、発光駆動回路DCと、有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、例えば図11(b)に示すように、トランジスタTr21〜Tr23とキャパシタCsとを備えている。
トランジスタ(選択トランジスタ)Tr21は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタ(選択トランジスタ)Tr22は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタ(駆動トランジスタ)Tr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)に接続されている。
【0087】
また、有機EL素子OELは、アノード(アノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0088】
ここで、本実施形態においても、トランジスタTr21〜Tr23はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0089】
画素PIXに接続される電源ラインLaは、例えば表示パネル110の行方向(図11(a)の左右方向)に配設されて、電源ドライバ150に接続されている。電源ドライバ150は、コントローラ140から供給される電源制御信号に基づいて、所定のタイミングで電源ラインLaに発光レベル又は非発光レベルの電源電圧Vsaを印加する。
【0090】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置の表示駆動動作は、まず、選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加するとともに、電源ドライバ150から電源ラインLaに非発光レベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた負の電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr22を介して接点N22に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0091】
これにより、トランジスタTr23がオン動作して、トランジスタTr23のゲート、ソース間に生じた電位差に応じた書込電流が、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22を介してデータラインLd方向に流れる。このとき、トランジスタTr23のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に応じた電荷が蓄積される。
【0092】
ここで、電源ラインLaには、基準電圧Vsc以下の電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が画素PIXからデータラインLd方向に引き抜くように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず、有機EL素子OELは発光しない(非発光動作)。そして、このような書込動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行する。
【0093】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、電源ドライバ150から電源ラインLaに発光レベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaを印加することにより、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0094】
ここで、キャパシタCsに蓄積される電荷(電圧成分)は、トランジスタTr23において階調電圧Vdataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となる。これにより、各画素PIXの有機EL素子OELは、書込動作時に書き込まれた画像データ(階調電圧Vdata)に応じた輝度階調で発光し、表示パネル110に所望の画像情報が表示される。
【0095】
(画素のデバイス構造)
次いで、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでは、上述した第1の実施形態と同様に、有機EL素子OELの有機EL層において発光した光が、透明な基板を透過して視野側(基板の他面側)に出射されるボトムエミッション型の発光構造を有する有機EL表示パネルについて示す。
【0096】
図12は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図11(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、図13は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の要部断面図である。ここでは、図13は、図12に示した平面レイアウトを有する画素におけるXIIID−XIIID線(本明細書においては図12中に示したローマ数字の「13」に対応する記号として便宜的に「XIII」を用いる。)に沿った断面を示す。なお、図12、図13において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0097】
図12に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように電源ラインLa及び選択ラインLsが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面左方及び図面右方の領域には、各々、上記電源ラインLa及び選択ラインLsに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLd及び補助電源ラインLayが配設されている。
【0098】
また、図12に示した表示パネル110においては、例えば図13に示すように、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁層15が設けられている。そして、この隔壁層15により囲まれ、かつ、画素電極16が露出した領域(すなわち、上記の開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0099】
データラインLdは、例えば図12、図13に示すように、選択ラインLs及び電源ラインLa、補助電源ラインLayよりも下層側(基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr21〜Tr23のゲート電極Tr21g〜Tr23gと同層に設けられている。すなわち、データラインLdは、トランジスタTr21〜Tr23のゲート電極Tr21g〜Tr23gを形成するためのゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr21g〜Tr23gと同じ工程で一括して形成される。また、データラインLdは、図12に示すように、上層のゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL24を介して、トランジスタTr22のソース電極Tr22sに直接接続されている。
【0100】
また、選択ラインLs及び電源ラインLaは、例えば図12、図13に示すように、相互に同層に設けられ、かつ、トランジスタTr21〜Tr23及びデータラインLd、補助電源ラインLayを被覆する層間絶縁膜13上に設けられている。選択ラインLsは、図12に示すように、下層の層間絶縁膜13及びゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21、Tr22のゲート電極Tr21g、Tr22gに直接接続されている。また、電源ラインLaは、例えば図12、図13に示すように、下層の層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL23を介して、補助電源ラインLayに直接接続されている。
【0101】
補助電源ラインLayは、例えば図12、図13に示すように、トランジスタTr21〜Tr23のソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと同じ工程で一括して形成される。特に、補助電源ラインLayは、図12に示すように、トランジスタTr21、Tr23のドレイン電極Tr21d、Tr23dと一体的に形成されている。
【0102】
また、図12に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr22が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。また、トランジスタTr21、Tr23が、例えば、補助電源ラインLayに沿って列方向に延在するように配置されている。
【0103】
トランジスタTr21〜Tr23は、図12、図13に示すように、基板11上に形成されたゲート電極Tr21g〜Tr23gを被覆するようにゲート絶縁膜12が設けられ、該ゲート絶縁膜12上の、ゲート電極Tr21g〜Tr23gに対応する領域に半導体層SMC(図示を省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dが設けられている。ソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと半導体層SMCとの間には不純物層OHM(図示を省略)が設けられている。
【0104】
そして、図11(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr21は、図12に示すように、ゲート電極Tr21gがトランジスタTr22のゲート電極Tr22gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr21gは、ゲート絶縁膜12及び層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr21dは、図12に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr21sは、図12に示すように、ゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL21を介して、トランジスタTr23のゲート電極Tr23g及びキャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。ここで、コンタクトホールHL11は、図11(b)に示した発光駆動回路DCの接点N21に対応する。
【0105】
また、トランジスタTr22は、図12に示すように、ゲート電極Tr22gがトランジスタTr21のゲート電極Tr21gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr22gは、ゲート絶縁膜12及び層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr22dは、図12に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16に接続されている。また、ソース電極Tr22sは、図12に示すように、ゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL24を介して、データラインLdに接続されている。
【0106】
また、トランジスタTr23は、図12、図13に示すように、ゲート電極Tr23gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21のソース電極Tr11sに接続されている。また、ゲート電極Tr23gは、キャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。また、ドレイン電極Tr23dは、図12、図13に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr23sは、図12、図13に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16に接続されている。
【0107】
キャパシタCsは、図12、図13に示すように、ITO等の透明電極材料からなる下部電極Ecaと、該下部電極Ecaに対向し、ITO等の透明電極材料からなる上部電極Ecbと、下部電極Eca及び上部電極Ecb間に介在するゲート絶縁膜12と、を有している。ここで、ゲート絶縁膜12は、キャパシタCsの誘電体層として兼用されている。また、上部電極Ecbは、有機EL素子OELの画素電極16として兼用されている。すなわち、キャパシタCsは、有機EL素子OELの下層側(基板11側)に設けられている。そして、下部電極Ecaは、図12、図13に示すように、トランジスタTr21のソース電極Tr21s及びトランジスタTr23のゲート電極Tr23gに接続されている。また、上部電極Ecbとして兼用される画素電極16は、図12、図13に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr23sに直接接続されている。ここで、画素電極16とドレイン電極Tr22d及びソース電極Tr23sとの接続部は、図11(b)に示した発光駆動回路DCの接点N22に対応する。
【0108】
有機EL素子OELは、上述した第1の実施形態と同様に、図12、図13に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr12sに接続された画素電極(アノード電極)16と、有機EL層(発光機能層)17と、対向電極(カソード電極)18と、を順次積層した素子構造を有している。
【0109】
また、隔壁層15は、上述した第1の実施形態と同様に、図12、図13に示すように、基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された層間絶縁膜13及び保護絶縁膜14を被覆するように、基板11表面から連続的に突出するように設けられている。
【0110】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁層15が形成された基板11の一面側には、対向基板20が基板11の一面側と所定の間隙を有するように貼り合わされて封止されている。また、突起部PLD、PLE、PLFの突出寸法は、その上端面が、基板11又は対向基板20に外部から押圧力が印加されていないとき、対向基板20の基板11の一面側と対向する面に接触しない値となるように形成されている。
【0111】
このようなデバイス構造を有する画素PIXにおいて、本実施形態においては、図12、図13に示すように、各画素形成領域Rpx内のトランジスタTr21〜Tr23の近辺かつ周囲の任意の位置に、1乃至複数の突起部PLD、PLE、PLFが設けられている。ここで、突起部PLD、PLE、PLFの基板11表面からの高さ(最高点の高さ)は、画素形成領域Rpx内の他の素子(特にトランジスタTr21〜Tr23)部分の高さよりも高くなるように形成されている。
【0112】
これにより、基板11に対向基板20を貼り合わせるために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧力が加えられたとき、各画素形成領域Rpx内の突起部PLD、PLE、PLFが対向基板20に当接しても、他の素子(特にトランジスタTr21〜Tr23)が対向基板20に接触することがない。したがって、基板11に対向基板20を接合する際に対向基板20に印加される押圧力や使用時に対向基板20に外部から印加される押圧力は突起部PLD、PLE、PLFに集中して、有機EL素子OELを発光駆動するためのトランジスタTr21〜Tr23に圧力が加わることがないので、トランジスタTr21〜Tr23の素子破壊やトランジスタ特性の変動を防止することができる。
【0113】
突起部PLD、PLE、PLFは、具体的には図13に示すように、基板11上に、突起層PL21、ゲート絶縁膜12、突起層PL22〜PL26、層間絶縁膜13、突起層PL27及び保護絶縁膜14が順次積層された積層構造を有している。ここで、突起層PL21は、トランジスタTr21〜Tr23のゲート電極Tr21g〜Tr23gをなすゲートメタル層(導電層)からなり、ゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr21g〜Tr23g及び上記データラインLdと同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL22〜PL24は、各々、トランジスタTr21〜Tr23の半導体層SMC、チャネル保護層BL、不純物層OHMと同じ部材からなり、各々同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL25は、トランジスタTr21〜Tr23のソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dをなすソース、ドレインメタル層(導電層)からなり、ソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23d、上記補助電源ラインLayと同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL26は、有機EL素子OELの画素電極16と同じ部材からなり、同じ工程で一括して形成される。また、突起層PL27は、選択ラインLs及び電源ラインLaをなす配線メタル層からなり、配線メタル層をパターニングすることによって、当該選択ラインLs及び電源ラインLaと同じ工程で一括して形成される。
【0114】
このように、突起部PLD、PLE、PLFはいずれも、ゲートメタル層やソース、ドレインメタル層、配線メタル層、半導体層、絶縁層からなる各突起層をその一部に含む構造を有している。ここで、突起部PLD、PLE、PLFの各突起層に、選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLaをそのまま兼用することにより、図12に示すように、選択ラインLsやデータラインLd、電源ラインLaが配設される領域に、一部又は全部が平面的に重なるように、突起部PLD、PLE、PLFを配置形成することができる。これにより、基板11上に突起部PLD、PLE、PLFを設けることによる画素PIXの開口率の低下を抑制することができる。
【0115】
そして、上述したようなデバイス構造を有する画素PIXを備えた表示パネル110は、概ね、上述した第1の実施形態に係る表示装置(表示パネル)の製造方法に示した製造プロセスをそのまま適用して製造することができる。すなわち、本実施形態においても、突起部PLD、PLE、PLFは、表示パネル110に設けられるトランジスタTr21〜Tr23や有機EL素子OEL、配線を形成する際のプロセスにおいて同時に形成される。したがって、本実施形態によれば、製造工程の変更や工程数の増加を伴うことなく、トランジスタTr21〜Tr23の近辺かつ周囲に突起部PLD、PLE、PLFを設けることができる。
(作用効果の検証)
次に、上述した第2の実施形態に係る表示パネルを適用した表示装置における作用効果について、比較対象を示して詳しく説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同様の内容については説明を簡略化する。
【0116】
図14は、上述した第2の実施形態の比較対象となる画素の一例を示す平面レイアウト図であり、図15は、比較対象となる画素の要部断面図である。ここでは、図15は、図14に示した平面レイアウトを有する画素におけるXVE−XVE線(本明細書においては図14中に示したローマ数字の「15」に対応する記号として便宜的に「XV」を用いる。)に沿った断面を示す。ここで、図14、図15においては、第2の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。図16は、比較対象となる画素を備えた表示パネルにおける問題点と、第2の実施形態に係る表示パネルにおける作用効果を説明するための概略断面図である。
【0117】
図14、図15に示す比較対象となる画素PIXは、図12、図13に示した第2の実施形態に係る画素において、突起部PLD、PLE、PLFを省いた構成を有している。比較対象となる画素PIXにおいて、第2の実施形態と同等の膜厚でトランジスタTr21〜Tr23や選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、補助電源ラインLay、有機EL素子OELを形成した場合、図15に示すように、トランジスタTr21〜Tr23部分の積層数が最も多く、基板11表面からの高さが最高になる。すなわち、トランジスタTr21〜Tr23部分の基板11表面からの高さが、画素形成領域Rpx内の他の素子(配線領域等)部分の高さよりも高くなる。
【0118】
このような基板11に対向基板20を接合するために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧力が加えられたとき、図16(a)に示すように、押圧力(図中矢印で表記)により画素形成領域Rpx内のトランジスタTr21〜Tr23部分が対向基板20に当接すると、基板11表面からの高さが最高となるトランジスタTr21〜Tr23部分に押圧力が集中して、トランジスタTr21〜Tr23の素子破壊やトランジスタ特性の変動を招く可能性がある。
【0119】
これに対して、上述した第2の実施形態においては、図12、図13に示したように、画素形成領域Rpx内のトランジスタTr21〜Tr23の近辺かつ周囲の任意の位置に、複数の突起部PLD、PLE、PLFが設けられている。そして、これらの突起部PLD、PLE、PLFの基板11表面からの高さが、画素形成領域Rpx内の他の素子(特にトランジスタTr21〜Tr23)部分の高さよりも高くなるように形成されている。
【0120】
このような基板11に対向基板20を接合するために対向基板20を基板11側に押圧したとき、あるいは、使用時に対向基板20に外部から押圧が加えられたとき、図16(b)に示すように、押圧力(図中矢印で表記)により画素形成領域Rpx内のトランジスタTr21〜Tr23の周囲に設けられた突起部PLD、PLE、PLFが対向基板20に当接しても、基板11表面からの高さが最高となる突起部PLD、PLE、PLFに押圧力が集中して、トランジスタTr21〜Tr23への押圧力の印加を回避又は抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、トランジスタTr21〜Tr23の素子破壊やトランジスタ特性の変動を防止することができるので、上述した第1の実施形態と同様に、表示画面における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0121】
なお、上述した第1及び第2の実施形態において、基板11上の各画素形成領域Rpx内に設けられる突起部PLA〜PLC、PLD〜PLF(図3、図12参照)については、各画素PIXの発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12又はトランジスタTr21〜Tr23に近接する配線層(選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、補助電源ラインLay)の形成領域に配置する場合について示した。本発明はこれに限定されるものではなく、対向基板20との接合時に印加される押圧力や使用時に外部から印加される押圧力が、トランジスタTr11、Tr12又はトランジスタTr21〜Tr23に、直接印加されない、あるいは、集中しないものであれば、突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFを他の領域に配置するものであってもよい。なお、発明者らの検証によれば、突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFをトランジスタTr11、Tr12又はトランジスタTr21〜Tr23の極力近傍に配置することが上記の作用効果を奏する上で好ましい。
【0122】
また、上述した各実施形態においては、各画素形成領域Rpx内に突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFを各3箇所ずつ設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述したように、対向基板20との接合時に印加される押圧力が、トランジスタTr11、Tr12又はトランジスタTr21〜Tr23に、直接印加されない、あるいは、集中しないものであれば、突起部の個数は特に限定されるものではない。なお、発明者らの検証によれば、突起部を1乃至3箇所程度設けることにより、上記の作用効果が良好に得られるとともに、突起部の配置に関するレイアウト設計上の制約や開口率の低下を極力抑制することができる。なお、突起部の配置に関し、上記の作用効果を良好に得るためには、図3、図12に示すように、突起部がトランジスタTr11、Tr12やトランジスタTr21〜Tr23を取り囲むように複数設けられていることが好ましく、少なくとも、駆動トランジスタTr12、Tr23の形成位置を挟んで、選択ラインLsの延在方向(行方向)に沿った2箇所、又は、データラインLdの延在方向(列方向)に沿った2箇所に設けられていることが好ましい。
【0123】
また、本発明においては、突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFの平面形状や寸法(サイズ)について特に限定するものではないが、例えば配線層の形成領域に平面的に重なるように突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFを配置する場合には、当該配線層の幅と同程度、もしくは、それよりも小さい程度の寸法に設定することが好ましい。これによれば、上述したように、突起部PLA〜PLC、PLD〜PLFを設けることによる画素PIXの開口率の低下を抑制することができる。なお、発明者らの検証によれば、12μm□の正方形からなる平面形状を有する突起部を設けることにより、上記の作用効果を良好に得ることができた。
また、仮に突起部の上端面が対向基板20の基板11の一面側と対向する面に接触するようになっていると、各突起部の突出寸法がばらついていた場合には、基板11に対向基板20を貼り合わせたとき、各突起部の突出寸法のばらつきによって基板11と対向基板20との間隙が不均一になる。これに対し、本実施形態においては、突起部の突出寸法が、基板11又は対向基板20に外部から押圧力が印加されていないときには、その上端面が対向基板20の基板11の一面側と対向する面に接触しない値に形成されているため、仮に各突起部の突出寸法がばらついていても、基板11に対向基板20を貼り合わせたときに、基板11の一面側と対向基板20との間隙に各突起部の突出寸法のばらつきは何ら影響を与えることはない。これにより基板11の一面側と対向基板20との間隙を面内で均一に形成することができる。
【0124】
また、上述した各実施形態においては、画素PIXに設けられる発光駆動回路DC(図1(b)、図11(b)参照)として、画像データに応じた電圧値の階調電圧Vdataを印加することにより、各画素PIXの発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作(表示動作)させる電圧指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えた場合について説明した。本発明に適用可能な画素回路は、これに限定されるものではなく、例えば、画像データに応じた電流値の階調電流を供給することにより、各画素に設けられた発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えたものであってもよい。
【0125】
また、上述した各実施形態においては、表示素子として有機EL素子からなる発光素子を有する画素を発光駆動するための発光駆動回路に適用した場合について説明したが、本発明に係るはこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、基板上に配列される画素が、表示素子と、これらを駆動するためのスイッチング素子(薄膜トランジスタ)と、を有するものであれば良好に適用することができるものであり、例えば、液晶表示パネル等の他の表示方法により画像情報を表示する表示パネルに適用するものであってもよい。
【0126】
<電子機器の適用例>
次に、上述した実施形態に係る表示パネル(本発明に係るデバイス構造を有する画素が配列された発光パネル)を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0127】
上述した各実施形態に示したデバイス構造を有する画素PIXが二次元配列された表示パネル110を備える表示装置100は、例えばデジタルカメラや薄型テレビジョン、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0128】
図17は、本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図18は、本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図であり、図19は、本発明に係る発光装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図20は、本発明に係る発光装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
【0129】
図17において、デジタルカメラ210は、大別して、本体部211と、レンズ部212と、操作部213と、上述した各実施形態に示した表示装置100を備える表示部214と、シャッターボタン215とを備えている。これによれば、表示部214における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0130】
また、図18において、薄型テレビジョン220は、大別して、本体部221と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部222と、操作用コントローラ(リモコン)223と、を備えている。これによれば、表示部222における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0131】
また、図19において、パーソナルコンピュータ230は、大別して、本体部231と、キーボード232と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部233とを備えている。この場合においても、表示部233における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0132】
また、図20において、携帯電話240は、大別して、操作部241と、受話口242と、送話口243と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部244とを備えている。この場合においても、表示部244における点欠陥の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0133】
なお、上述した各電子機器においては、本発明に係る画素回路を適用した発光パネルを、表示パネルとして適用した場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る画素回路及び発光装置は、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0134】
11 基板
12 ゲート絶縁膜
13 層間絶縁膜
14 保護絶縁膜
15 隔壁層
16 画素電極
17 有機EL層
18 対向電極
20 対向基板
100 表示装置
110 表示パネル
PIX 画素
Rpx 画素形成領域
Rel EL素子形成領域
PLA〜PLC、PLD〜PLF 突起部
PL11〜PL17、PL21〜PL27 突起層
Ls 選択ライン
La 電源ライン
Lay 補助電源ライン
Ld データライン
Tr11、Tr12、Tr21〜Tr23 トランジスタ
Cs キャパシタ
OEL 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
該第1の基板の一面上に配列された複数の画素と、
前記第1の基板の一面側と所定の間隙を有して対向して設けられて、前記各画素を封止する第2の基板と、
を備え、
前記各画素は、
表示素子と、
前記表示素子を画像データに応じて駆動させるためのスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の周辺に配置され、前記第1の基板の一面側から突出する1乃至複数の突起部と、
を有し、
前記突起部の前記第1の基板の一面側からの突出寸法は、前記スイッチング素子が形成された領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法より大きく、前記第1の基板又は第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記突起部の上端面が前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない値に設定されていることを特徴とする発光パネル。
【請求項2】
前記複数の画素は複数の行及び列方向に沿って二次元配列され、
前記各画素は前記突起部を複数有し、該各突起部は、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ行方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ列方向に沿った2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光パネル。
【請求項3】
前記スイッチング素子は電極、絶縁膜及び半導体層を有して構成され、
前記突起部は、少なくとも前記スイッチング素子の前記電極及び前記絶縁層及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光パネル。
【請求項4】
前記画素を駆動するための信号が印加される信号線を備え、
前記突起部は、前記積層構造の一部に前記信号線と同じ部材を用いていることを特徴とする請求項3に記載の発光パネル。
【請求項5】
前記画素は、前記表示素子として発光素子を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光パネル。
【請求項6】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子からなることを特徴とする請求項5に記載の発光パネル。
【請求項7】
表示素子と、前記表示素子を画像データに応じて駆動させるためのスイッチング素子と、を有する複数の画素が複数の行及び列方向に沿って二次元配列された発光パネルの製造方法において、
第1の基板の一面上に、電極、絶縁層及び半導体層を形成して前記スイッチング素子を形成する工程と、
前記スイッチング素子の周囲の領域に、前記スイッチング素子が形成される領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法よりも大きく、前記第1の基板又は前記第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない突出寸法を有する1乃至複数の突起部を形成する工程と、
前記第1の基板の一面側との間に所定の間隙を有するように第2の基板を接合する工程と、
を含み、
前記突起部を形成する工程は、前記スイッチング素子を形成する工程と同時に、前記スイッチング素子を構成する前記電極、前記絶縁層及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を形成して、少なくとも前記突起部の一部を形成する工程を含むことを特徴とする発光パネルの製造方法。
【請求項8】
前記突起部を形成する工程は、該突起部を複数形成し、該各突起部を、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ行方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ列方向に沿った2箇所に形成する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の発光パネルの製造方法。
【請求項9】
前記第1の基板上に、前記画素を駆動するための信号が印加される信号線を形成する工程を有し、
前記突起部を形成する工程は、前記信号線を形成する工程と同時に、該信号線をなす導電層を前記積層構造に積層して、前記突起部の一部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光パネルの製造方法。
【請求項10】
第1の基板と、該第1の基板の一面上に配設された複数の選択ライン及び該各選択ラインと交差して配設された複数のデータラインと、前記第1の基板の一面上に前記各選択ラインと前記各データラインに接続されて二次元配列された複数の画素と、前記第1の基板の一面側と所定の間隙を有して対向して設けられて、前記各画素を封止する第2の基板と、を有する発光パネルと、
前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、
前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、
を備え、
前記画素は、
表示素子と、
前記選択信号及び前記階調信号に基づいて、前記表示素子を駆動させるためのスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の周辺に配置され、かつ、前記第1の基板の一面側から突出する1乃至複数の突起部と、
を有し、
前記突起部の前記第1の基板の一面側からの突出寸法は、前記スイッチング素子が形成された領域の前記第1の基板の一面側からの突出寸法より大きく、前記突起部の上端面が前記第1の基板又は前記第2の基板に外部から押圧力が印加されていないときに、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面に接触しない値に設定されていることを特徴とする発光装置。
【請求項11】
前記各画素は前記突起部を複数有し、該各突起部は、少なくとも、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ前記選択ラインの延在方向に沿った2箇所、又は、前記スイッチング素子の形成位置を挟んだ前記データラインの延在方向に沿った2箇所に設けられていることを特徴とする請求項10記載の発光装置。
【請求項12】
前記スイッチング素子は電極、絶縁層及び半導体層を有して構成され、
前記突起部は、少なくとも前記スイッチング素子を構成する前記電極及び前記絶縁層を及び前記半導体層と同じ部材を積層した積層構造を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記突起部は、前記積層構造の一部に前記選択ライン及び前記データラインと同じ部材を用いていることを特徴とする請求項12記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光パネルは、前記画素を駆動するための電源電圧が印加される電源ラインを備え、
前記突起部は、前記積層構造の一部に前記電源ラインと同じ部材を用いていることを特徴とする請求項12又は13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記画素は、前記表示素子として発光素子を備えることを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の発光装置。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−210541(P2011−210541A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77128(P2010−77128)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】