説明

発光素子、発光装置、及び電気機器

【課題】有機化合物と無機化合物とを複合した複合材料であって、キャリア輸送性および
有機化合物へのキャリア注入性に優れ、かつ透明性にも優れた複合材料を提供することを
課題とする。
【解決手段】上記課題を解決する為に、下記一般式で表される有機化合物と無機化合物と
の複合材料を用いる。無機化合物には遷移金属の酸化物、好ましくは周期表における4〜
8族に属する金属の酸化物、特にバナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物
、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム酸化物を好適に用いることができ
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物と無機化合物とを有する複合材料に関する。また、本発明は前記
複合材料を用いた電流励起型の発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性の有機化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら
発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだもので
ある。このような素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子およびホールが
それぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリ
ア(電子およびホール)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成
し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このよう
な発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0003】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状
態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と
呼ばれている。
【0004】
このような発光素子は通常、サブミクロン程度の薄膜で形成されるため、薄型軽量に作
製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時
間はマイクロ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一
つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイに用いられる素子として好適で
あると考えられている。
【0005】
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより
、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点
光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用でき
る面光源としての利用価値も高い。
【0006】
このように、発光性の有機化合物を用いた電流励起型の発光素子は、発光装置や照明等
への応用が期待されているが、未だ課題も多い。その課題の一つとして、消費電力の低減
が挙げられる。消費電力を低減するためには、発光素子の駆動電圧を低減することが重要
である。そして、電流励起型の発光素子は流れる電流量によって発光強度が決まるため、
駆動電圧を低減するためには、低い電圧で多くの電流を流すことが必要となってくる。
【0007】
これまで、駆動電圧を低減させるための手法として、バッファ層を電極と発光性の有機
化合物を含む層との間に設けるという試みがなされている。例えば、カンファースルホン
酸をドープしたポリアニリン(PAni)からなるバッファ層をインジウム錫酸化物(I
TO:indium tin oxide)と発光層との間に設けることにより、駆動電
圧を低減できることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。これは、PAniの
発光層へのキャリア注入性が優れているためと説明されている。なお、非特許文献1では
、バッファ層であるPAniも電極の一部と見なしている。
【0008】
しかしながら、非特許文献1に記載してある通り、PAniは膜厚を厚くすると透過率
が悪くなるという問題点がある。具体的には、250nm程度の膜厚で、透過率は70%
を切ると報告されている。すなわち、バッファ層に用いている材料自体の透明性に問題が
あるため、素子内部で発生した光を効率良く取り出すことができない。
【0009】
また、特許文献1によれば、発光素子(特許文献1では発光ユニットと記載されている
)を直列に接続することにより、ある電流密度当たりの輝度、すなわち電流効率を高めよ
うという試みがなされている。特許文献1においては、発光素子を直列に接続する際の接
続部分に、有機化合物と金属酸化物(具体的には酸化バナジウムおよび酸化レニウム、)
とを混合した層を適用しており、この層はホールや電子を発光ユニットへ注入できるとさ
れている。
【0010】
しかしながら、特許文献1で開示されている有機化合物と金属酸化物との混合層は、実
施例を見てもわかる通り、赤外領域だけでなく可視光領域(500nm付近)にも大きな
吸収ピークが見られ、やはり透明性に問題が生じている。したがって、やはり素子内部で
発生した光を効率良く取り出すことができず、素子の発光効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−272860号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Y.Yang、他1名、アプライド フィジクス レターズ、Vol.64(10)、1245−1247(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明では、有機化合物と無機化合物とを有する複合材料であって、キャリア輸
送性および有機化合物へのキャリア注入性に優れ、かつ透明性にも優れた複合材料を提供
することを課題とする。
【0014】
また、本発明は前記複合材料を電流励起型の発光素子に適用することにより、駆動電圧
および発光効率の双方に優れた発光素子を提供することを課題とする。さらに、前記発光
素子を用いて発光装置を作製することにより、消費電力の小さい発光装置を提供すること
を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の複合材料は特定の骨格を有する有機化合物と無機化合物との複合材料であり、
特定の骨格を有する有機化合物とはアリールアミン骨格を有さないアリールカルバゾール
である。無機化合物は遷移金属の酸化物を用いることができ、好ましくは周期表における
4〜8族に属する金属の酸化物が望ましい。特にバナジウム酸化物、タンタル酸化物、モ
リブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム酸化物を好適に用
いることができる。
【0016】
本発明の発光素子は上記した複合材料よりなる層をその一部に含む。特に陽極として機
能する電極と発光層の間に形成することが望ましい。また、その際、本発明の複合材料よ
りなる層を陽極として機能する電極に接して設けるとなお良い。また、この場合は本発明
の複合材料よりなる層を60nm以上の厚さとしても良い。
【0017】
本発明の発光装置は上記した発光素子を備えてなる発光装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明を実施することで、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料であって、キャリ
ア輸送性および有機化合物へのキャリア注入性に優れ、かつ透明性にも優れた複合材料を
提供することができる。
【0019】
また、前記複合材料を電流励起型の発光素子に適用することにより、駆動電圧および発
光効率の双方に優れた発光素子を提供することができる。さらに、前記発光素子を用いて
発光装置を作製することにより、消費電力の小さい発光装置を提供することができる。
【0020】
また、前記複合材料よりなる層は厚膜化しても駆動電圧が上昇しないことから光学設計
を容易に行うことができ、また、発光素子の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の発光素子について説明する図。
【図2】本発明の発光素子について説明する図。
【図3】本発明の発光素子について説明する図。
【図4】本発明の発光素子について説明する図。
【図5】本発明の発光素子について説明する図。
【図6】本発明の発光素子について説明する図。
【図7】本発明の発光素子について説明する図。
【図8】発光装置について説明する図。
【図9】発光装置について説明する図。
【図10】電気機器について説明する図。
【図11】本発明の発光素子について説明する図。
【図12】CBPとCBPを用いた本発明の複合材料の吸収スペクトル。
【図13】本発明の発光素子の電圧−電流特性。
【図14】本発明の発光素子の電圧−輝度特性。
【図15】蒸着装置を表す図。
【図16】本発明の発光素子の電圧−電流特性。
【図17】本発明の発光素子の電圧−輝度特性。
【図18】本発明の発光素子の電圧−電流特性。
【図19】本発明の発光素子の電圧−輝度特性。
【図20】本発明の発光素子の電圧−電流特性。
【図21】本発明の発光素子の電圧−輝度特性。
【図22】本発明の発光素子の電圧−電流特性。
【図23】本発明の発光素子の電圧−輝度特性。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多く
の異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱すること
なくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従っ
て、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の複合材料の構成について説明する。本発明の複合材料は特定の骨格を有する有
機化合物と無機化合物との複合材料である。本発明の複合材料の作製方法には限定はない
が、当該有機化合物と無機化合物を同時に蒸着する共蒸着法により形成することができる
。本発明の有機化合物と無機化合物の混合比はモル比で1:0.1〜1:10程度が好ま
しく、さらに望ましくは1:0.5〜1:2である。混合比は複合材料を共蒸着法により
形成する場合は有機化合物と無機化合物各々の蒸着レートを調節することによって制御す
ることができる。
【0024】
本発明の複合材料に用いることが可能な有機化合物は下記一般式(1)〜(4)で表さ
れる有機化合物である。
【0025】
【化1】

式中Arは炭素数6〜42の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜3の自然数を表し、R
、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基
を表す。
【0026】
【化2】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の1価の芳香族炭化水素基を表し、R、Rは水
素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0027】
【化3】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の2価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水
素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0028】
【化4】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の3価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水
素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0029】
また、本発明の複合材料に用いることが可能な有機化合物としてより好ましくは、下記一
般式(2)〜(4)で表される有機化合物である。
【化5】

ただし、式中Arは構造式(2−1)〜(2−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれ
かを表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12
のアリール基を表す。
【0030】
【化6】

ただし、式中Arは構造式(3−1)〜(3−10)に示した芳香族炭化水素基のいず
れかを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜1
2のアリール基を表す。
【0031】
【化7】

ただし、式中Arは構造式(4−1)〜(4−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれ
かを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12
のアリール基を表す。
【0032】
なお、上述した一般式において、アルキル基として好ましくはメチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、t−ブチル基であり、アリール基として好ましくは、フェニル基、トリル
基、2−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基である。
【0033】
なお、上記した一般式で表される有機化合物のうち、特に1×10−6cm/Vsの
正孔移動度を有する有機化合物を用いることが好ましい。
【0034】
以下の構造式(5)〜(23)に上記一般式で表される有機化合物の一部を具体例とし
て示す。
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
【化13】

【0041】
【化14】

【0042】
【化15】

【0043】
【化16】

【0044】
【化17】

【0045】
【化18】

【0046】
【化19】

【0047】
【化20】

【0048】
【化21】

【0049】
【化22】

【0050】
【化23】

【0051】
【化24】

【0052】
【化25】

【0053】
【化26】

【0054】
続いて、本発明の複合材料に用いることが可能な無機化合物について説明する。本発明
の複合材料には遷移金属の酸化物を無機化合物として用いることができる。好ましくは元
素周期表における4〜8族に属する金属の酸化物が望ましい。特にバナジウム酸化物、タ
ンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム
酸化物が好ましい。この中でもモリブデンの酸化物は蒸着がしやすく、安定であることか
ら特に扱いやすい材料である。
【0055】
以上に述べた有機化合物と無機化合物とを含む本発明の複合材料は、キャリア輸送性お
よび有機化合物へのキャリア注入性に優れ、かつ透明性にも優れた複合材料である。
【0056】
また、本発明の複合材料はキャリア輸送性および有機化合物へのキャリア注入性に優れ
ることから、発光素子や、光電変換素子、薄膜トランジスタ等の半導体素子に用いること
が可能である。
【0057】
また、本発明の複合材料を用いた発光素子は本発明の複合材料がキャリア輸送性および
有機化合物へのキャリア注入性に優れることから、駆動電圧を低下させることが可能とな
る。
【0058】
また、本発明の複合材料を用いた発光素子及び光電変換素子は本発明の複合材料が透明
性に優れることから、効率の良い素子とすることができる。
【0059】
(実施の形態2)
本発明の発光素子について説明する。本発明の発光素子は、一対の電極間に発光物質を
含む層と複合材料でなる層とを含んでいる。なお、複合材料とは、実施の形態1で説明し
た本発明の複合材料である。
【0060】
図1に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極101と、第2の電極102
との間に、発光積層体103は狭持されている構成となっている。本実施の形態では、第
1の電極101は陽極として機能する電極であり、第2の電極102は陰極として機能す
る電極である場合について説明する。第1の電極101及び第2の電極102は金属、合
金、電気伝導性化合物を用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag
)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr
)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(P
d)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca
)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)などの導電性を有する金属、又はアルミニ
ウムとシリコンの合金(Al−Si)、アルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)、ア
ルミニウムとシリコンと銅の合金(Al−Si−Cu)等の合金、または窒化チタン(T
iN)等の金属材料の窒化物、インジウム錫酸化物(ITO:indium tin o
xide)、ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO
)を混合したIZO(indium zinc oxide)等の金属化合物などを用い
ることができるが、陽極として機能する電極には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事
関数4.0eV以上)材料用いることが望ましく、また陰極として機能する電極にはその
中でも、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)材料を用いることが望ましい。
【0061】
発光積層体103は、第1の層111、第2の層112が積層された構成となっている

【0062】
第1の層111は、第2の層112に正孔を輸送する機能を担う層であり、実施の形態
1に記載した本発明の複合材料よりなる層である。本発明の複合材料は優れた正孔注入性
、正孔輸送性を示すため発光素子の駆動電圧を低減することができる。なお、本発明の複
合材料を含む第1の層111は正孔輸送性、正孔注入性に優れているため、発光機能を担
う層と陽極の間に設けることが好ましい。本実施の形態では、陽極として機能する第1の
電極101に接するように第1の層111を設けた場合について説明する。
【0063】
複合材料に含まれる有機化合物、無機化合物は、実施の形態1で述べたものを用いれば
よい。
【0064】
また、上記の複合材料は、導電性が高いため、厚膜化した場合でも駆動電圧の上昇を抑
制することができる。よって、駆動電圧の上昇を招くことなく第1の層111を厚くする
ことができるため、ゴミ等に起因する素子の短絡を抑制することができる。このような効
果は第1の層111を60nm以上とすると効果的である。
【0065】
また、上記の複合材料は、無機化合物を含んでいるため、発光素子の耐熱性を向上させ
ることができる。
【0066】
第2の層112は、発光機能を担う層である。第2の層112は、単層で構成されてい
てもよいし、複数の層から構成されていてもよい。例えば、発光層以外に、電子注入層、
電子輸送層、正孔ブロッキング層、正孔輸送層、正孔注入層等の機能性の層を自由に組み
合わせて設けてもよい。また、第2の層112には、公知の材料を用いることができ、低
分子系材料および高分子系材料のいずれを用いることもできる。なお、第2の層112を
形成する材料の構成としては、有機化合物材料のみから成るものだけでなく、無機化合物
材料を一部に含む構成も含めるものとする。第2の層112にも無機化合物を含む構成と
することより、より耐熱性が向上するという効果を得ることができる。
【0067】
正孔注入層を形成する正孔注入性材料は、イオン化ポテンシャルが、正孔注入層に陽極
として機能する電極の反対側に接して形成されている機能層のイオン化ポテンシャルより
も相対的に小さい正孔輸送性を有する物質を用いることができる。正孔注入性材料はイオ
ン化ポテンシャルによって相対的に決定されるが、正孔注入層として良く用いられる物質
の例としては、酸化バナジウムや酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムな
どの金属酸化物などが挙げられる。あるいは、有機化合物を用いる場合はポルフィリン系
の化合物が有効であり、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:
CuPc)等を用いることができる。また、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施し
た材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたポリエチレンジオ
キシチオフェン(略称:PEDOT)や、ポリアニリン(略称:PAni)などを用いる
ことができる。
【0068】
正孔輸送層を形成する正孔輸送性材料には特に限定は無く、具体例としては、4,4’
−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4
,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:
TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン
(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−
フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[
4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(
略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン
(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニ
ルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(
略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。芳香族
アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)が特に好ましい化合物であ
る。
【0069】
発光層は発光性の物質を含んでおり、ここで、発光性の物質とは、光効率が良好で、所
望の発光波長の発光をし得る物質である。発光層について特に限定はないが、発光性の物
質が、発光性の物質が有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有す
る物質からなる層中に分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、発光性
の物質からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エ
ネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。
【0070】
発光層を形成する発光性の物質について特に限定はなく、発光効率が良好で、所望の発
光波長の発光をし得る物質を用いればよい。例えば、赤色系の発光を得たいときには、4
−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジ
ュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノ
メチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジン
−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2
−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イ
ル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシア
ノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン
−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピー
クを有する発光を呈する物質を用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、
N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、
トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)等、500nmから550
nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、
青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアン
トラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルア
ントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:D
NA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(
略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−
アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピー
クを有する発光を呈する物質を用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質
の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C
2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)2(pic))
、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(I
II)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフ
ルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(FIr
(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir
(ppy))等の燐光を発光する物質も発光性の物質として用いることができる。
【0071】
また、発光性の物質を分散状態にするために用いる物質について特に限定はなく、例え
ば、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−B
uDNA)等のアントラセン誘導体、または4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェ
ニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニ
ル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベ
ンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)等の金属錯体等を用いることができる。
【0072】
電子輸送層を形成する電子輸送性材料としては、公知の材料を用いることができる。具
体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキ
シベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(略称:BAlq
)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(
BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称
:Zn(BTZ))などの典型金属錯体が挙げられる。あるいは9,10−ジフェニル
アントラセンや4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)ビフェニルなどの炭化水
素系化合物なども好適である。あるいは、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−
(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾールなどの
トリアゾール誘導体、バソフェナントロリンやバソキュプロインなどのフェナントロリン
誘導体を用いても良い。
【0073】
電子注入層を形成する電子注入性材料としては、公知の材料を用いることができる。具
体的には、フッ化カルシウムやフッ化リチウム、酸化リチウムや塩化リチウムなどのアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが好適である。あるいは、トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(略称:Alq)やバソキュプロイン(略称:BCP)などの、いわ
ゆる電子輸送性の材料にリチウムなどのドナー性化合物を添加した層も用いることができ
る。
【0074】
なお、本実施の形態では、第1の層111が正孔注入層としての機能を担うため、第2
の層112に正孔注入層を設けなくてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、発光層のみに発光に預かるドーパントが添加され、このドー
パントからの発光だけが観測されるが、他の層、例えば電子輸送層や正孔輸送層に異なる
発光を示すドーパントを添加しても構わない。発光層から得られる発光と、他の層に添加
されたドーパントの発光が互いに補色の関係にある場合、白色の発光が得られる。
【0076】
なお、第1の電極101や第2の電極102の少なくとも一方の種類を変えることで、
本実施の形態の発光素子は様々なバリエーションを有する。その模式図を図3および図4
に示す。なお、図3および図4では、図1の符号を引用する。また、100は、本発明の
発光素子を担持する基板である。
【0077】
図3は、発光積層体103が、基板100側から第1の層111、第2の層112の順
で構成されている場合の例である。この時、第1の電極101を光透過性、第2の電極を
遮光性とすることで、図3(a)のように基板100側から光を射出する構成となる。ま
た、第1の電極101に遮光性材料(特に反射性も有する材料)を用い、第2の電極10
2に光透過性材料を用いることで、図3(b)のように基板100の逆側から光を射出す
る構成となる。さらに、第1の電極101、第2の電極102の両方を光透過性とするこ
とで、図3(c)に示すように、基板100側と基板100の逆側の両方に光を射出する
構成も可能となる。
【0078】
図4は、発光積層体103が、基板100側から第2の層112、第1の層111の順
で構成されている場合の例である。この時、第1の電極101に遮光性材料(特に反射性
も有する材料)を用い、第2の電極102に光透過性材料を用いることで、図4(a)の
ように基板100側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極101に光透過性材
料を用い、第2の電極102に遮光性材料(特に反射性も有する材料)を用いることで、
図4(b)のように基板100と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極
101、第2の電極102の両方を光透過性とすることで、図4(c)に示すように、基
板100側と基板100の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0079】
本実施の形態の発光素子において、第1の層111は、実施の形態1に記載の複合材料
により形成されているため、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。したがって、第
1の層111を厚くしても駆動電圧の上昇を抑制することができる。よって、駆動電圧の
上昇を抑制し、かつ、発光素子の短絡を防止することができる。また、光学設計による色
純度の向上のため、第1の層111の膜厚を自由に設定することが可能となる。また、本
発明の発光素子は第1の層111が透明性の高い実施の形態1に記載の複合材料により形
成されていることから、効率の良い発光素子とすることができる。また、本発明の複合材
料による膜は厚膜化して形成したとしても透明性に優れているため、厚膜化したことによ
る当該膜の吸収の影響が小さく、短絡防止対策や光学設計を行った上で効率の良い発光素
子とすることができる。短絡防止対策は第1の層111を60nm以上とすると効果的で
ある。
【0080】
また、図3の構成のように、第2の電極102を形成し、第2の層112、第1の層1
11を順次形成し、第1の電極101をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光
性の物質が存在する第2の層112へのダメージを低減することもできる。
【0081】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した発光素子の作製方法について説明する。
【0082】
まず第1の電極101を形成する。第1の電極101は実施の形態2に示したような材
料を用いてスパッタリング法や蒸着法など公知の方法により適宜形成すればよい。
【0083】
次に、第1の層111を形成する。第1の層111の形成方法について特に限定は無い
が、実施の形態1に記載された複合材料に用いることができる有機化合物と無機化合物を
共蒸着することにより形成することができる。
【0084】
次に、第2の層112を形成する。第2の層112は、公知の材料を用いることができ
、公知の方法により形成することができるが、蒸着法による形成が一般的である。
【0085】
第2の電極102は公知の材料を用いることができ、公知の方法により形成することが
できる。具体的には、実施の形態2に第1の電極101や第2の電極102の材料として
列挙した材料を用いることができ、スパッタリング法や蒸着法など公知の方法により形成
すればよい。蒸着法は特に第2の層へのダメージが少ないので好ましい方法である。第1
の電極101および第2の電極102はそのいずれか一方、もしくは両方が透光性を有し
ていればよい。
【0086】
上記の方法に従い、本発明の発光素子を作製することができる。なお、本実施の形態で
は、第1の電極101から形成する方法について説明したが、第2の電極102から順次
形成して発光素子を作製してもよい。
【0087】
(実施の形態4)
本実施の形態では、複合材料よりなる層を、陽極と発光層の間、かつ、陽極と接しない
ように設ける場合について説明する。
【0088】
図2に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極301と、第2の電極302
との間に、発光積層体303が狭持されている構成となっている。発光積層体303は、
第1の層311、第2の層312、第3の層313が積層された構成となっている。本実
施の形態では、第1の電極301が陽極として機能し、第2の電極302が陰極として機
能する場合について説明する。
【0089】
第1の層311は正孔を注入する機能を有する層である。正孔注入層を形成する正孔注
入性材料としては公知の材料を用いることができる。具体的には、実施の形態2で示した
正孔注入性材料を用いることができる。
【0090】
第2の層312は、実施の形態1に記載の複合材料よりなる層である。実施の形態2で
示した第1の層111と同様の構成を適用することができる。
【0091】
第3の層313は、発光機能を担う層であり、実施の形態2で示した第2の層112と
同様の構成を適用することができる。
【0092】
本実施の形態の発光素子において、第2の層312は、実施の形態1に記載の複合材料
により形成されているため、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。したがって、第
2の層312を厚くしても駆動電圧の上昇を抑制することができる。よって、駆動電圧の
上昇を抑制し、かつ、発光素子の短絡を防止することができる。また、光学設計による色
純度の向上のため、第2の層312の膜厚を自由に設定することが可能となる。また、本
発明の発光素子は第2の層312が透明性の高い実施の形態1に記載の複合材料により形
成されていることから、効率の良い発光素子とすることができる。また、本発明の複合材
料による膜は厚膜化して形成したとしても透明性に優れているため、厚膜化したことによ
る当該膜の吸収の影響が小さく、短絡防止や光学設計を行った上で効率の良い発光素子と
することができる。短絡防止効果は第2の層312を60nm以上とすると効果的である

【0093】
(実施の形態5)
本実施の形態では、他に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図5を
用いて説明する。
【0094】
図5に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極201と、第2の電極202
との間に、発光積層体203は狭持されている構成となっている。発光積層体203は、
第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214が順次積層された構
成となっている。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極
202が陰極として機能する場合について説明する。
【0095】
本実施の形態の発光素子は、次の様に動作する。まず、第2の電極202よりも第1の
電極201の電位の方が高くなるように電圧を印加すると、第4の層214から第2の電
極202へは正孔が注入され、第3の層213から第2の層212へは、電子が注入され
る。また、第1の電極201から第1の層211へは正孔が注入され、第1の層211か
ら第2の層212へ正孔が注入される。第1の層211から注入された正孔と、第3の層
213から注入された電子とは、第2の層212において再結合し、発光性の物質を励起
状態にする。そして、励起状態の発光性の物質は基底状態に戻るときに発光する。
【0096】
第1の電極201、第2の電極202、第1の層211、第2の層212は、実施の形
態2における第1の電極101、第2の電極102、第1の層111、第2の層112と
それぞれと同じ構成を適用することができる。つまり、第1の電極は公知の材料を用いる
ことができ、第1の層211は、実施の形態1に記載の複合材料よりなる層であり、第2
の層212は発光機能を担う層である。
【0097】
第3の層213は、電子を発生するドナー準位を有する材料を含む層である。このよう
な層としては、例えば、電子輸送性物質と、その物質に対して電子供与性を示す物質とを
含む層が挙げられる。ここで、電子輸送性物質とは、正孔よりも電子の輸送性が高い物質
である。電子輸送性物質について特に限定はなく、例えば、トリス(8−キノリノラト)
アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウ
ム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノ
ラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾ
オキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル
)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))等の金属錯体の他、2−(4−ビ
フェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4
−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾー
ル(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニ
ル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)
、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を
用いることができる。また、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質について特に
限定はなく、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム
等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることがで
きる。また、リチウム酸化物(LiO)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸
化物(NaO)、カリウム酸化物(KO)、マグネシウム酸化物(MgO)等、アル
カリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の中から選ばれた物質を、電子輸送性物質
に対して電子供与性を示す物質として用いても構わない。なお、アルカリ金属酸化物、ア
ルカリ土類金属酸化物等は、反応性が低く、取り扱いが容易である。また、第2の層31
2は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンのようなn型の半導体
から成る層であってもよい。
【0098】
第4の層214は、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物と
を含む構成である。したがって、第4の層に含まれる無機化合物としては実施の形態1に
て列挙した無機化合物と同様のものを用いることができる。ただし、第4の層214に含
まれる無機化合物は、第1の層211に含まれる無機化合物と同じものを用いてもよいし
、異なるものを用いてもよい。
【0099】
また、第1の層211や第4の層214は、本発明の複合材料を用いて形成されている
為高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。したがって、第1の層211を厚くしても駆動電
圧の上昇を抑制することができる。よって、本実施の形態の発光素子は、発光機能を担う
第2の層212の両側の層を非常に厚くすることが可能となり、さらに発光素子の短絡を
効果的に防止できる。また、光学設計による色純度の向上のため、第2の層212の両側
の層の膜厚を自由に設定することが可能となる。また、発光積層体203を形成した後に
、第1の電極201または第2の電極202をスパッタリングにより成膜する場合などは
、発光性の物質が存在する第2の層212へのダメージを低減することもできる。さらに
、第1の層211と第4の層214を同じ材料で構成することにより、発光積層体203
の両側が同じ材料で構成されることになるため、応力歪みを抑制する効果も期待できる。
また、第1の層211や第4の層214に透明性の高い本発明の複合材料を用いているこ
とから、本実施の形態における本発明の発光素子は効率のよい発光素子である。
【0100】
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極201や第2の電極202の種
類を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図6および図7に示す
。なお、図6および図7では、図5の符号を引用する。また、200は、本発明の発光素
子を担持する基板である。
【0101】
図6は、発光積層体203が、基板200側から第1の層211、第2の層212、第
3の層213、第4の層214の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電
極201に光透過性材料を用い、第2の電極202に遮光性材料(特に反射性も有する材
料)を用いることで、図6(a)のように基板200側から光を射出する構成となる。ま
た、第1の電極201に遮光性材料(特に反射性も有する材料)を用い、第2の電極20
2に光透過性材料を用いることで、図6(b)のように基板200の逆側から光を射出す
る構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とするこ
とで、図6(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する
構成も可能となる。
【0102】
図7は、発光積層体203が、基板200側から第4の層214、第3の層213、第
2の層212、第1の層211の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電
極201に遮光性材料(特に反射性も有する材料)を用い、第2の電極202に光透過性
材料を用いることで、図7(a)のように基板200側から光を取り出す構成となる。ま
た、第1の電極201に光透過性材料を用い、第2の電極202に遮光性材料(特に反射
性も有する材料)を用いることで、図7(b)のように基板200と逆側から光を取り出
す構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とするこ
とで、図7(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する
構成も可能となる。
【0103】
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、実施の形態3に示した方法
に準じて作製することが可能である。
【0104】
また、第1の電極201を形成した後、第1の層211、第2の層212、第3の層2
13、第4の層214を順次積層し、第2の電極202を形成してもよいし、第2の電極
202を形成した後、第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層21
1を順次積層し、第1の電極201を形成してもよい。
【0105】
なお、電子を発生するドナー準位を有する材料を用いて第1の層211を形成し、本発
明の複合材料を用いて第3の層213を形成し、電子を発生するドナー準位を有する材料
を含む材料を用いて第4の層214を形成する構成にすることも可能である。この場合、
第3の層213は、本発明の複合材料を用いて形成されているので、正孔輸送性に優れて
いる。したがって、発光素子の駆動電圧を低減することができる。また、光学設計による
色純度の向上のため、第3の層213の膜厚を自由に設定することができる。また、第3
の層213は透明性の高い本発明の複合材料を用いていることから、効率のよい発光素子
とすることができる。また、本発明の複合材料による膜は厚膜化して形成したとしても透
明性に優れているため、厚膜化したことによる当該膜の吸収の影響が小さく、短絡防止対
策や光学設計を行った上で効率の良い発光素子とすることができる。短絡防止効果は第3
の層213を60nm以上とすると効果的である。
【0106】
(実施の形態6)
本実施の形態では、発光機能を担う層を複合材料よりなる層を挟んで複数有する発光素
子の構成について説明する。
【0107】
図11に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極401と、第2の電極40
2との間に発光積層体403が挟まれている構造となっている。発光積層体403は、第
1の層411、第2の層412、第3の層413、第4の層414が積層された構成とな
っている。本実施の形態では第1の電極401が陽極として機能し、第2の電極402が
陰極として機能する場合について説明する。
【0108】
本実施の形態の発光素子は、次の様に動作する。まず、第2の電極402よりも第1の
電極401の電位の方が高くなるように電圧を印加すると、第1の電極401から第1の
層411へ正孔が注入され、第2の層412から第1の層411へ電子が注入され、第3
の層413から第4の層414へ正孔が注入され、第2の電極402から第4の層414
へ電子が注入される。第1の電極401から注入された正孔と第2の層412より注入さ
れた電子は第1の層411において再結合し、発光性の物質を励起状態にする。そして、
励起状態の発光性物質が基底状態に戻るときに発光が得られる。また、第3の層413か
ら注入された正孔と第2の電極402から注入された電子も第4の層414において再結
合し、第4の層414における発光性の物質励起状態にし、発光を得ることができる。
【0109】
第1の層411は第1の発光機能を担う層であり、第4の層414は第2の発光機能を
担う層である。第1の発光機能を担う層と第2の発光機能を担う層は実施の形態2で示し
た第2の層112と同様の構成を適用することができる。第1の発光機能を担う層と第2
の発光機能を担う層における各々の層構造については、同じであっても良いし、異なって
も良い。また、第1の発光機能を担う層における発光層の発光色と第2の発光機能を担う
層における発光層の発光色は同じであっても良いし、異なっていても良い。2層の発光色
が同じであれば同じ電流密度において約2倍の輝度を得ることができる。また、2層の発
光色を異ならせることで当該2色を混合した色の発光を得ることができる。
【0110】
第2の層412は、電子を発生するドナー準位を有する材料を含む層であり、実施の形
態5で示した第3の層213と同様の構成を適用することができる。第3の層413は実
施の形態1に記載の複合材料を用いて形成された層である。第3の層413は本発明の複
合材料を用いて形成された層であるため透明性に優れ、第一の発光機能を担う層と第二の
発光機能を担う層との間に挟まれていても発光の損失が少なく、より効率の良い発光素子
とすることができる。
【0111】
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、実施の形態3に示した方法
に準じて作製することが可能である。
【0112】
尚、本実施の形態は実施の形態1乃至実施の形態5と適宜自由に組み合わせて用いるこ
とが可能である。
【0113】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0114】
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図9を用いて
説明する。なお、図9(A)は、発光装置を示す上面図、図9(B)は図9(A)をA−
A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソー
ス側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。ま
た、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空
間607になっている。
【0115】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光
装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものと
する。
【0116】
次に、断面構造について図9(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601
と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0117】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT62
4とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公
知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施
の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその構造
の必要はなく、基板上ではなく駆動回路を外部に形成することもできる。
【0118】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより絶縁物を形成する。
【0119】
また、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする
。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物
614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好
ましい。また、絶縁物614として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となる
ネガ型の感光性アクリル樹脂膜、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の
感光性アクリル性樹脂膜のいずれも使用することができる。
【0120】
第1の電極613上には、発光積層体616、および第2の電極617がそれぞれ形成
されている。ここで、本実施の形態において陽極として機能する第1の電極613に用い
る材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、I
TSO膜、IZO膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの
単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアル
ミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、
積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれる。
【0121】
また、発光積層体616は、実施の形態1で示した正孔を発生する複合材料よりなる層
を含んでいる。実施の形態1に示した複合材料は、優れたキャリア注入性、キャリア輸送
性を有している。そのため、発光素子や発光装置の駆動電圧を低減することができる。
【0122】
さらに、発光積層体616上に形成される第2の電極617(陰極)に用いる材料とし
ては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、
MgIn、AlLi、CaF、またはCa)を用いることが好ましい。なお、発
光積層体616(陰極)で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電
極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、IZO、ITSO、
ZnO等)との積層を用いるのが良い。
【0123】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、不活性気体(窒素やア
ルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される構成も含むものとする。
【0124】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604
に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rei
nforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポ
リエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0125】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0126】
本発明の発光装置は、実施の形態1に記載の複合材料を用いているため、駆動電圧を低
減することができる。よって、消費電力を低減することが可能である。
【0127】
また、本発明の発光素子に含まれる実施の形態1に記載の複合材料は、導電性が高いた
め、駆動電圧の上昇を招くことなく発光積層体616を厚くすることができる。そのため
、ゴミ等に起因する素子の短絡も抑制することができる。よって、より欠陥の少ない発光
装置を提供することが可能となる。
【0128】
また、本発明の発光素子に含まれる実施の形態1に記載の複合材料は、透明性に優れて
いることから当該材料による膜を形成したことによる発光の損失が少なく効率の良い発光
装置とすることが出来る。また、本発明の複合材料による膜は厚膜化して形成したとして
も透明性に優れているため、厚膜化したことによる当該膜の吸収の影響が小さく、短絡防
止対策や光学設計を行った上で効率の良い発光素子とすることができる。短絡防止効果は
本発明の複合材料による層を60nm以上とすると効果的である。
【0129】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するア
クティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特
に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図8には本発明
を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図8において、基板951上
には、電極952と電極956との間には発光積層体層955が設けられている。電極9
52の端部は絶縁層903で覆われている。そして、絶縁層903上には隔壁層954が
設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方
の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向
の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層903の面方向と同様の方向を向き、絶縁層90
3と接する辺)の方が上辺(絶縁層903の面方向と同様の方向を向き、絶縁層903と
接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因し
た発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動
電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることがで
きる。また、ゴミ等に起因する素子の短絡も抑制することができ、より欠陥の少ない発光
装置を提供することが可能となる。また、効率の良い発光装置とすることが出来る。また
、短絡防止対策や光学設計を行った上で効率の良い発光素子とすることができる。
【0130】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の電気機器について説明する。
【0131】
本発明の電気機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディ
スプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ
等)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携
帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的に
はDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、そ
の画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電気機器の具体
例を図10に示す。
【0132】
図10(A)はテレビ受像機であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103
、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。実施の形態2乃至6いずれ
かに記載の発光素子を有する発光装置をその表示部9103に用いることにより作製され
る。これにより、低消費電力で、欠陥の少ない表示部を有するテレビ受像機を得ることが
できる。なお、テレビ受像機は、コンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全
ての情報表示用装置が含まれる。
【0133】
図10(B)はコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、
キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む
。実施の形態2乃至6いずれかに記載の発光素子を有する発光装置をその表示部9203
に用いることにより作製される。これにより、低消費電力で、欠陥の少ない表示部を有す
るコンピュータを得ることができる。
【0134】
図10(C)はゴーグル型ディスプレイ、本体9301、表示部9302、アーム部9
303を含む。実施の形態2乃至6いずれかに記載の発光素子を有する発光装置をその表
示部9302に用いることにより作製される。これにより、低消費電力で、欠陥の少ない
表示部を有するゴーグル型ディスプレイを得ることができる。
【0135】
図10(D)は携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声
入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、ア
ンテナ9408等を含む。実施の形態2乃至6いずれかに記載の発光素子を有する発光装
置をその表示部9403に用いることにより作製される。これにより、低消費電力で、欠
陥の少ない表示部を有する携帯電話を得ることができる。なお、表示部9403は黒色の
背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0136】
図10(E)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接
続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音
声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。実施の形態2乃至6い
ずれかに記載の発光素子を有する発光装置をその表示部9502に用いることにより作製
される。これにより、低消費電力で、欠陥の少ない表示部を有するカメラを得ることがで
きる。
【0137】
以上の様に、本発明適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気機器に適用することが
可能である。本発明の電気機器は、低消費電力で、欠陥の少ない電気機器である。
【実施例1】
【0138】
本実施例では本発明の複合材料の吸収スペクトルについて説明する。図12に上記構造
式(8)で表される有機化合物(4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称
:CBP))単独の膜及びCBPと酸化モリブデンからなる本発明の複合材料(重量比で
CBP:酸化モリブデン=1:0.25、モル比ではCBP:酸化モリブデン=1:0.
8)からなる膜の吸収スペクトルを示した。CBP単独の膜、CBPと酸化モリブデンか
らなる本発明の複合材料からなる膜はどちらも蒸着法により形成し、特にCBPと酸化モ
リブデンからなる本発明の複合材料からなる膜は共蒸着法により形成した。なお、CBP
は同仁化学社製の「DCBP(昇華精製品)」、酸化モリブデンは高純度化学株式会社製
、三酸化モリブデン、純度99.999%のものを用いた。
【0139】
図12より、CBPと酸化モリブデンからなる本発明の複合材料の吸収スペクトルは可
視光領域に大きな吸収が無く、透明性に優れた材料であることが分かる。また、CBPと
酸化モリブデンからなる本発明の複合材料の吸収スペクトルがCBPのスペクトルと異な
る形状を有していることからCBPとは異なる材料であることが示唆される。
【実施例2】
【0140】
本実施例では本発明の複合材料を用いた本発明の発光素子の特性について説明する。
【0141】
測定に用いた本発明の発光素子の作製方法について説明する。まず、基板上に発光素子
の陽極として機能する電極としてITSOをスパッタ法で110nm成膜した。
【0142】
続いて、ITSO上に本発明の複合材料を蒸着法により50nmの厚みで形成した。本
実施例の複合材料は有機化合物としてCBP、無機化合物として酸化モリブデンを含み、
質量比でCBP:酸化モリブデンが4:2となるようにした。なお、CBPは同仁化学社
製の「DCBP(昇華精製品)」、酸化モリブデンは高純度化学株式会社製の三酸化モリ
ブデン、純度99.999%を用いた。なお、CBPは、上述の一般式(3)で表される
ように、2つのカルバゾリル基を有するアリールカルバゾールの一種である。
【0143】
次に、正孔輸送層としてNPBを蒸着法により10nm形成し、その上にAlqをホ
スト材料、クマリン6をゲスト材料に用いて発光層を40nmの厚みで形成した。Alq
とクマリン6は共蒸着法により形成し、重量比で1:0.01となるように成膜した。
【0144】
その後、Alqを電子輸送層として蒸着法により10nm、正孔注入層としてAlq
とLiを共蒸着法によって30nmの厚みで形成した。正孔注入層のAlqとLiは
重量比で1:0.01となるように形成した。
【0145】
最後に発光素子の陰極として機能する電極としてAlを200nm形成し、本発明の発
光素子を形成した。
【0146】
比較例として、実施例2における本発明の発光素子の本発明の複合材料でなる層の有機
化合物をCBPとした場合の素子を測定したので、当該素子の作製方法について説明する
。まず、基板上に発光素子の陽極として機能する電極としてITSOをスパッタ法で11
0nm成膜した。
【0147】
続いて、ITSO上にCBPを蒸着法により50nmの厚みで形成した。なお、CBP
は同仁化学社製の「DCBP(昇華精製品)」を用いた。
【0148】
次に、正孔輸送層としてNPBを蒸着法により10nm形成し、その上にAlqをホ
スト材料、クマリン6をゲスト材料に用いて発光層を40nmの厚みで形成した。Alq
とクマリン6は共蒸着法により形成し、重量比で1:0.01となるように成膜した。
【0149】
その後、Alqを電子輸送層として蒸着法により10nm、正孔注入層としてAlq
とLiを共蒸着法によって30nmの厚みで形成した。正孔注入層のAlqとLiは
重量比で1:0.01となるように形成した。
【0150】
最後に発光素子の陰極として機能する電極としてAlを200nm形成し、比較例の発
光素子を形成した。
【0151】
本実施例における発光素子の構造と比較例の発光素子の構造を以下の表にまとめる。
【0152】
【表1】

【0153】
以上のように形成した本発明の発光素子と比較例の発光素子の電流−電圧特性と輝度―
電圧特性を図14及び図13に示す。
【0154】
図14では、有機化合物としてCBPを用いた本発明の発光素子の方が、代わりにCB
Pのみを用いた発光素子より低い電圧でより多くの電流を流すことができることが示され
、図13では、有機化合物としてCBPを用いた本発明の発光素子の方が、代わりにCB
Pのみを用いた発光素子より低い電圧でより高い発光輝度を得ることが出来ることが示さ
れている。これにより本発明の複合材料を用いることによって発光素子を低電圧化するこ
とができることが分かる。また本発明の発光素子は、低電圧化された素子であることが分
かる。
【実施例3】
【0155】
本実施例では、実施の形態5(図5)で示したように、本発明の複合材料を用いた層を
、発光機能を担う層の両側に設けた発光素子について例示する。以下では、図5の符号を
引用する。
【0156】
まず基板上に、発光素子の陽極として機能する第1の電極201として、ITSOをスパ
ッタ法で110nm成膜した。
【0157】
続いてITSO上に、第1の層211として、本発明の複合材料を蒸着法により50n
mの厚みで成膜した。該複合材料は、実施例2と同様、有機化合物としてCBP、無機化
合物として酸化モリブデンを含み、質量比でCBP:酸化モリブデンが4:2となるよう
にCBPと三酸化モリブデンを共蒸着することにより形成した。
【0158】
次に、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を順次積層した発光機能を担う層212
を形成した。なお、正孔輸送層は、NPBを10nm蒸着することにより形成した。また
発光層は、Alqとクマリン6を質量比で1:0.01となるように共蒸着することに
より形成した(すなわち、Alqがホスト材料、クマリン6がゲスト材料となる。)。
膜厚は40nmとした。また電子輸送層は、Alqを10nm蒸着することにより形成
した。
【0159】
さらに、AlqとLiとを共蒸着することにより、AlqとLiからなる層を第3
の層213として10nm形成した。この時、AlqとLiの割合は、質量比でAlq
:Li=1:0.01となるように調節した。なお、Alqは電子輸送性物質として
、Liは該電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質として、それぞれ機能する。
【0160】
次に、第4の層214として、本発明の複合材料を蒸着法により20nmの厚みで成膜
した。該複合材料は、第1の層211と同様、有機化合物としてCBP、無機化合物とし
て酸化モリブデンを含み、質量比でCBP:酸化モリブデンが4:2となるようにCBP
と三酸化モリブデンを共蒸着することにより形成した。
【0161】
最後に、陰極として機能する第2の電極202としてAlを200nm形成し、本実施
例の発光素子を得た。
【0162】
以上のように形成した本発明の発光素子の電流−電圧特性および輝度−電圧特性を図1
6および図17にそれぞれ示す。このことから、本発明の複合材料を用いた層を、発光機
能を担う層の両側に設けた図5のような発光素子に関しても、低い駆動電圧で動作するこ
とがわかった。
【実施例4】
【0163】
本実施例では、CBPに換えて下記構造式(24)で表されるCzPAを用いた以外は
実施例2と同様にして、発光素子を作製した。なおCzPAは、上述した一般式(2)で
表されるように、1つのカルバゾリル基を有するアリールカルバゾールの一種である。
【0164】
【化27】

【0165】
作製した本発明の発光素子の電流−電圧特性および輝度−電圧特性を図18および図1
9にそれぞれ示す。このことから、本発明の複合材料を用いた発光素子は、低い駆動電圧
で動作することがわかった。
【実施例5】
【0166】
本実施例では、CBPに換えてCzPAを用いた以外は実施例3と同様にして、発光素
子を作製した。
【0167】
作製した本発明の発光素子の電流−電圧特性および輝度−電圧特性を図20および図2
1にそれぞれ示す。このことから、本発明の複合材料を用いた層を、発光機能を担う層の
両側に設けた図5のような発光素子に関しても、低い駆動電圧で動作することがわかった

【実施例6】
【0168】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた本発明の発光素子の特性について説明する。
本実施例における本発明の複合材料の有機化合物としては、下記構造式(25)で表され
るTCzBを用いた。なおTCzBは、上述した一般式(4)で表されるように、3つの
カルバゾリル基を有するアリールカルバゾールの一種である。
【0169】
【化28】

【0170】
まず基板上に、発光素子の陽極として機能する電極として、ITSOをスパッタ法で1
10nm成膜した。
【0171】
続いてITSO上に、本発明の複合材料を蒸着法により50nmの厚みで成膜した。該
複合材料は、有機化合物としてTCzB、無機化合物として酸化モリブデンを含み、質量
比でCBP:酸化モリブデンが4:2となるようにTCzBと三酸化モリブデンを共蒸着
することにより形成した。
【0172】
次に、正孔輸送層としてTCzBを10nm蒸着した。その上に、青色に発光する発光
層としてt−BuDNAを40nm蒸着した。さらに電子輸送層として、Alqを20
nm蒸着した。最後に陰極として機能する電極としてAlを200nm蒸着し、本発明の
発光素子を得た。
【0173】
以上のように形成した本発明の発光素子の電流−電圧特性および輝度−電圧特性を図2
2および図23にそれぞれ示す。このことから、本発明の複合材料を用いた発光素子は、
低い駆動電圧で動作することがわかった。
【実施例7】
【0174】
本実施例では、本発明の複合材料からなる層を形成するための蒸着装置について説明す
る。蒸着装置の一例として、斜視図を図15(A)に示す。以下に蒸着装置の機構を簡略
に示す。
【0175】
基板701は、予め蒸着マスク702と位置合わせされており、蒸着マスクと位置合わ
せされたままの状態で矢印706の方向に基板が搬送される。基板は搬送されて、防着シ
ールド703aの上方を通過する。防着シールド703aは開口部703bを有しており
、蒸着源704からの蒸着材料が開口部703bから昇華するようになっている。開口部
703bから蒸着材料の昇華方向716を維持するために防着シールド703aは、防着
シールド自体には蒸着材料が付着しないように加熱されている。
【0176】
蒸着源704は複数のルツボが設置できるようになっており、さらに蒸着源704は矢
印705の方向に移動することが可能である。蒸着方法は、抵抗加熱法を用いる。また、
蒸着源が移動する範囲は基板の幅Waよりも広いことが望ましい。また、防着シールドの
幅Wbも基板の幅Waよりも広くすることが蒸着膜の膜厚均一性を向上させる。
【0177】
つまり、図15(A)に示す蒸着装置は、成膜室に蒸着材料の昇華方向を維持するため
に防着シールドが設けられており、開口部が複数設けられ、それらの開口部から蒸着材料
が昇華する機構となっている。防着シールドの下方には、基板の移動方向(搬送方向とも
呼ぶ)とは垂直な方向に移動可能な蒸着源を有している。また、防着シールドの幅Wbは
、基板の幅Waよりも広くさせて、蒸着膜の膜厚均一性を向上させている。
【0178】
なお、図15(A)の蒸着装置において、開口部703bの形状や数は特に限定されな
い。
【0179】
また、蒸着源のルツボに蒸着材料を補給するため、成膜室にゲートを介して連結する設
置室を設けてもよい。また、一つの成膜室に複数の蒸着源と防着シールドを設けてもよい
。複数の蒸着源を設け、設置室を設けた場合の蒸着装置の上面図を図15(B)に示す。
蒸着源の移動方向(矢印705の方向)に設置室707を設置し、蒸着材料を補給する際
には、蒸着源を設置室まで移動させて補給を行えばよい。蒸着源が成膜室に固定されてい
る場合には、蒸着源に蒸着材料を補給するためには成膜室内を大気圧としなければならず
、再度蒸着するためには成膜室内を再度真空にするのに時間を要してしまう。設置室70
7を設ければ、成膜室700の真空度を維持したまま、設置室内のみを大気圧と真空とに
切り替えればよいため、短時間で蒸着材料の補給が可能となる。
【0180】
また、防着シールド703aと平行に別の防着シールド709を設け、基板の搬送方向
と垂直方向に移動する2つ目の蒸着源708を設けてもよい。複数の蒸着源を一つの成膜
室に設けることによって、連続的な積層成膜が可能となる。ここでは一つの成膜室に2つ
の蒸着源を設けた例を示したが、一つの成膜室にそれ以上の数の蒸着源を設けてもよい。
【0181】
つまり、一つの成膜室内に対して、基板の搬送方向とは垂直な方向に2つの防着シール
ドを設け、それぞれに蒸着源を設けて同じ蒸着材料を連続的に成膜してもよい。このよう
な蒸着装置とすることで成膜速度を上げることができる。なお、2つの防着シールド同士
は平行に設けられ、十分な間隔を有している。
【0182】
また、異なる蒸着材料を2つの蒸着源にセットして連続的に積層成膜してもよい。例え
ば、蒸着源704の2つのルツボに有機化合物と無機化合物とを別々にセットし、蒸着源
704の上方に基板を通過させることで基板に本発明の複合材料からなる層を蒸着する。
次いで、基板を移動させて別の蒸着源708のルツボに発光機能を担う層の材料となる有
機化合物をセットし、別の蒸着源708の上方に基板を通過させることで本発明の複合材
料からなる層上に発光層を蒸着することができる。
【符号の説明】
【0183】
100 基板
101 第1の電極
102 第2の電極
103 発光積層体
111 第1の層
112 第2の層
200 基板
201 第1の電極
202 第2の電極
203 発光積層体
211 第1の層
212 第2の層
213 第3の層
214 第4の層
301 第1の電極
302 第2の電極
303 発光積層体
311 第1の層
312 第2の層
313 第3の層
401 第1の電極
402 第2の電極
403 発光積層体
411 第1の層
412 第2の層
413 第3の層
414 第4の層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光積層体
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
700 成膜室
701 基板
702 蒸着マスク
703a 防着シールド
703b 開口部
704 蒸着源
705 矢印
706 矢印
707 設置室
708 蒸着源
709 防着シールド
716 昇華方向
951 基板
952 電極
903 絶縁層
954 隔壁層
955 発光積層体層
956 電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9301 本体
9302 表示部
9303 アーム部
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に、第1の層及び第2の層を順に有し、
前記第1の層は、アリールアミン骨格を有さないアリールカルバゾールと、遷移金属の酸化物とを含み、
前記第2の層は、発光物質を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の層は、前記陽極と接して設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の層と第2の層との間に第3の層を有し、
前記第3の層は、アリールアミン骨格を有さないアリールカルバゾールを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項4】
陽極と陰極との間に、第2の層、第3の層、及び第1の層を順に有し、
前記第2の層は、発光物質を含み、
前記第3の層は、電子輸送性物質と、前記電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質とを含み、
前記第1の層は、アリールアミン骨格を有さないアリールカルバゾールと、遷移金属の酸化物とを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項5】
陽極と陰極との間に、第4の層、第2の層、第3の層、及び第1の層を順に有し、
前記第4の層は、アリールアミン骨格を有さない第1のアリールカルバゾールと、第1の遷移金属の酸化物とを含み、
前記第2の層は、発光物質を含み、
前記第3の層は、電子輸送性物質と、前記電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質とを含み、
前記第1の層は、アリールアミン骨格を有さない第2のアリールカルバゾールと、第2の遷移金属の酸化物とを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項6】
陽極と陰極との間に、第2の層、第3の層、第1の層、及び第4の層を順に有し、
前記第2の層は、第1の発光物質を含み、
前記第3の層は、電子輸送性物質と、前記電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質とを含み、
前記第1の層は、アリールアミン骨格を有さないアリールカルバゾールと、遷移金属の酸化物とを含み、
前記第4の層は、第2の発光物質を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記第1の層は、一般式(1)で表される有機化合物及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化1】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜3の自然数を表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記第1の層は、一般式(2)乃至一般式(4)で表される有機化合物のいずれか1つ及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化2】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の1価の芳香族炭化水素基を表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化3】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の2価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化4】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の3価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記第1の層は、一般式(2)乃至一般式(4)で表される有機化合物のいずれか1つ及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化5】


(但し、式中Arは構造式(2−1)〜(2−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化6】


(但し、式中Arは構造式(3−1)〜(3−10)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化7】


(但し、式中Arは構造式(4−1)〜(4−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項10】
請求項5において、
前記第4の層は、一般式(1)で表される有機化合物及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化8】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜3の自然数を表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項11】
請求項5において、
前記第4の層は、一般式(2)乃至一般式(4)で表される有機化合物のいずれか1つ及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化9】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の1価の芳香族炭化水素基を表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化10】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の2価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化11】


(但し、式中Arは炭素数6〜42の3価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項12】
請求項5において、
前記第4の層は、一般式(2)乃至一般式(4)で表される有機化合物のいずれか1つ及び遷移金属の酸化物を含むことを特徴とする発光素子。
【化12】


(但し、式中Arは構造式(2−1)〜(2−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化13】


(但し、式中Arは構造式(3−1)〜(3−10)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【化14】


(但し、式中Arは構造式(4−1)〜(4−3)に示した芳香族炭化水素基のいずれかを表し、R〜Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記遷移金属の酸化物は、元素周期表における4乃至8族に属する金属の酸化物であることを特徴とする発光素子。
【請求項14】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記遷移金属の酸化物は、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム酸化物のいずれかであることを特徴とする発光素子。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する手段を有することを特徴とする発光装置。
【請求項16】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の発光素子を有し、
前記発光素子の発光を制御する手段を備えたことを特徴とする電気機器電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−129541(P2012−129541A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28144(P2012−28144)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2006−78171(P2006−78171)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】