説明

発光素子駆動用のスイッチング電源の制御回路、発光素子の駆動回路、およびそれらを用いた発光装置および電子機器

【課題】調光用パルス信号のデューティ比が小さいと、起動時間が長くなる。
【解決手段】gmアンプ21は、電流駆動回路8(CS)に生ずる検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じた電流を生成する。フィードバックスイッチSW1は、フィードバックキャパシタCFBが接続されるフィードバック端子FBとgmアンプ21の出力端子との間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオンする。ソフトスタート回路32は、時間とともに変化するソフトスタート電圧VSSを生成する。クランプ回路40は、スイッチング電源4の動作開始からある期間、アクティブとなり、フィードバック端子FBに生ずるフィードバック電圧VFBを、検出電圧VLEDのレベルにかかわらずソフトスタート電圧VSSと等しくなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルのバックライトや照明機器として、LED(発光ダイオード)をはじめとする発光素子を利用した発光装置が利用される。図1は、本発明者が検討した発光装置の構成例を示す回路図である。ここで説明される発光装置1003およびその動作は、本出願人が従来技術と認めるものではない。発光装置1003は、複数(nチャンネル)のLEDストリング6_1〜6_nと、スイッチング電源1004と、電流駆動回路1008を備える。
【0003】
各LEDストリング6は、直列に接続された複数のLEDを含む。スイッチング電源1004は、入力電圧VINを昇圧して複数のLEDストリング6_1〜6_nのアノード側の一端に駆動電圧VOUTを供給する。
【0004】
電流駆動回路1008は、アナログ調光およびバースト調光(PWM調光ともいう)を併用して、LEDストリング6の輝度を調節する。電流源CSi(1≦i≦n)は、対応するLEDストリング6_iのカソード側の一端に接続され、LEDストリング6_iに、目標輝度に応じた駆動電流ILEDを供給する。駆動電流ILEDの大きさにもとづく調光をアナログ調光という。
【0005】
PWMコントローラ1009は、目標輝度に応じたデューティ比を有する調光用パルス信号PWM〜PWMを生成し、調光用パルス信号PWMに応じたデューティ比で電流源CS1〜CSnを間欠的にオンさせる。これにより、デューティ比に応じたオン期間(点灯期間)TONにのみ、LEDストリング6に駆動電流ILEDが流れることになり、駆動電流ILEDの時間平均が制御され、輝度が調節される。
【0006】
スイッチング電源1004は、出力回路1102と、制御IC1100を備える。出力回路1102は、インダクタL1、スイッチングトランジスタM1、整流ダイオードD1、出力キャパシタC1を含む。制御IC1100は、スイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を制御することにより、駆動電圧VOUTを調節する。
【0007】
制御IC1100は、電流源CSの両端間の電圧、つまりLEDストリング6のカソード側の一端の電位(検出電圧という)VLEDが、所定の基準電圧VREFと一致するように、駆動電圧VOUTを安定化させる。
【0008】
誤差増幅器22は、複数チャンネルの検出電圧VLED1〜VLEDnのうち最も低いひとつ(単に検出電圧VLEDという)と基準電圧VREFの誤差を増幅し、フィードバック電圧VFBを生成する。誤差増幅器22は、トランスコンダクタンスアンプ(gmアンプ)21、フィードバックスイッチSW1、位相補償用の抵抗RFBおよびキャパシタCFBを含む。フィードバックスイッチSW1は、調光用パルス信号PWMが点灯期間を示すときにオンする。gmアンプ21は、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じた電流を生成する。この電流によってキャパシタCFBが充放電され、フィードバック(FB)端子にフィードバック電圧VFBが発生する。
【0009】
パルス変調器20は、フィードバック電圧VFBに応じたデューティ比を有するパルス信号SPWMを生成する。ドライバDRは、パルス信号SPWMにもとづきスイッチングトランジスタM1を駆動する。ドライバ28は、バースト調光の点灯期間TONにのみスイッチングトランジスタM1をスイッチングし、消灯期間TOFFにおいてスイッチングを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−114324号公報
【特許文献2】特開2008−300208号公報
【特許文献3】特開2006−339298号公報
【特許文献4】特開2008−064477号公報
【特許文献5】特開2008−258428号公報
【特許文献6】特開2007−158083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図1の発光装置1003の起動動作を検討する。
スタンバイ信号STBがローレベルのとき、制御IC1100はシャットダウンしており、出力電圧VOUTは0Vとなっている。また起動直後において、フィードバック電圧VFBもゼロである。
【0012】
スタンバイ信号STBがハイレベルとなると、制御IC100がシャットダウンから復帰し、スイッチング電源1004の昇圧動作が開始する。
スイッチングトランジスタM1は、バースト調光の点灯期間TONにのみスイッチングするため、調光用パルス信号PWMのデューティ比が小さい場合、出力キャパシタC1に電荷が供給される時間が短くなるため、出力電圧VOUTの上昇速度が遅くなり、起動時間が長くなる。
【0013】
加えて起動直後、検出電圧VLEDは基準電圧VREFより低いため、gmアンプ21が電流を出力してキャパシタCFBを充電することにより、フィードバック電圧VFBが上昇する方向にフィードバックがかかる。ところがgmアンプ21の出力電流は、調光用パルス信号PWMが点灯期間TONにのみ、キャパシタCFBに供給される。したがって、調光用パルス信号PWMのデューティ比が小さい場合、キャパシタCFBを充電する時間が短くなるため、フィードバック電圧VFBの上昇速度、つまりPWM信号SPWMのデューティ比の増加速度が遅くなり、結果として起動時間が長くなる。
【0014】
なお、この課題を本発明の分野における共通の一般知識の範囲として捉えてはならない。さらに言えば、上記検討自体が、本出願人がはじめて想到したものである。
【0015】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、調光用パルス信号のデューティ比が小さくても短時間で起動可能な、スイッチング電源の制御回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のある態様は、発光素子の第1端子に駆動電圧を供給するスイッチング電源を制御するとともに、発光素子に流れる駆動電流を生成する制御回路に関する。制御回路は、発光素子の第2端子に接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を発光素子に供給する電流駆動回路と、電流駆動回路の両端間に生ずる検出電圧と所定の基準電圧の誤差に応じた電流を生成するトランスコンダクタンスアンプと、フィードバックキャパシタが接続されるべきフィードバック端子と、フィードバック端子とトランスコンダクタンスアンプの出力端子との間に設けられ、調光用パルス信号に応じてオンするフィードバックスイッチと、時間とともに変化するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート回路と、スイッチング電源の動作開始からある期間、アクティブとなり、フィードバック端子に生ずるフィードバック電圧を、検出電圧のレベルにかかわらずソフトスタート電圧と等しくなるように制御するクランプ回路と、フィードバック電圧に応じたデューティ比を有するパルス信号を生成するパルス変調器と、調光用パルス信号が点灯を指示する期間、パルス信号にもとづきスイッチング電源のスイッチング素子を駆動し、調光用パルス信号が消灯を指示する期間、スイッチング素子をオフするドライバと、を備える。
【0017】
この態様によると、調光用パルス信号のデューティ比が小さい場合であっても、フィードバック電圧を、ソフトスタート電圧に追従して上昇させることができ、出力電圧を短時間で上昇させることができる。また、スイッチング電源の動作開始からある期間が経過した後に、クランプ回路を非アクティブとしてソフトスタート電圧に応じたフィードバック電圧の制御を解除することにより、検出電圧が基準電圧と近づくようなフィードバック制御に移行させることができる。
【0018】
フィードバックスイッチは、クランプ回路が非アクティブであり、かつ調光用パルス信号が点灯を指示する期間においてオンしてもよい。
【0019】
クランプ回路は、その第1端子がフィードバック端子に接続された第1トランジスタと、その第1端子が第1トランジスタの制御端子に接続され、その制御端子にソフトスタート電圧が入力される第1トランジスタと相補的な第2トランジスタと、を含んでもよい。
第1端子は、電界効果トランジスタ(FET)のソース、バイポーラトランジスタのエミッタであり、第2端子はFETのドレイン、バイポーラトランジスタのコレクタであり、制御端子は、FETのゲート、バイポーラトランジスタのベースであってもよい。
【0020】
クランプ回路は、クランプ回路が非アクティブの期間に、第1トランジスタの制御端子の電位を、第1トランジスタがオフするレベルに固定するオフ回路をさらに含んでもよい。
【0021】
クランプ回路は、フィードバック端子と固定電圧端子の間に設けられ、クランプ回路がアクティブの期間にオンするインピーダンス回路をさらに含んでもよい。
【0022】
クランプ回路は、スイッチング電源の起動開始後、発光素子に流れる駆動電流が所定レベルに達するまでの期間、アクティブとなってもよい。
この場合、発光素子に所定レベルの駆動電流が流れ始めると、通常のフィードバック制御に移行させることができる。
【0023】
電流駆動回路は、発光素子の第2端子と固定電圧端子の間に設けられた駆動トランジスタおよび電流検出抵抗と、その反転入力端子が駆動トランジスタおよび電流検出抵抗の接続点と接続され、その非反転入力端子に駆動電流を指示する制御電圧が印加された演算増幅器と、を含んでもよい。制御回路は、調光用パルス信号が点灯を指示する期間における駆動トランジスタの制御端子の電位を、所定の電圧レベルと比較することにより、発光素子に流れる駆動電流が所定レベルに達したことを検出する点灯検出回路をさらに備えてもよい。
駆動トランジスタの制御端子の電位は、駆動電流が増大するにしたがい低下する。したがってしきい値レベルを適切に設定することにより、所定レベルの駆動電流が流れはじめたことを好適に検出できる。
【0024】
電流駆動回路は、駆動トランジスタの制御端子と固定電圧端子の間に設けられ、調光用パルス信号に応じてオン、オフが制御される調光用スイッチをさらに含んでもよい。
【0025】
点灯検出回路は、そのソースが演算増幅器の上側電源端子に接続され、そのゲートが駆動トランジスタの制御端子に接続されたPチャンネルMOSFETと、PチャンネルMOSFETのドレインと演算増幅器の下側電源端子の間に設けられた電流源と、そのゲートが、PチャンネルMOSFETのドレインに接続され、そのソースが下側電源端子に接続されたNチャンネルMOSFETと、NチャンネルMOSFETのドレインと上側電源端子の間に設けられた負荷と、を含んでもよい。点灯検出回路は、調光用パルス信号が点灯を指示する期間におけるNチャンネルMOSFETのドレイン電位に応じた信号を、検出結果を示す信号として出力してもよい。
駆動トランジスタの制御端子の電位が低下すると、PチャンネルMOSFETのゲートソース間電圧が大きくなる。この態様によれば、MOSFETのゲートソース間しきい値電圧を利用することにより駆動電流が流れ始めたことを検出できる。
【0026】
点灯検出回路は、そのデータ端子にNチャンネルMOSFETのドレイン電位が入力され、そのクロック端子に、調光用パルス信号と同期クロック信号の論理積に応じた信号が入力されたフリップフロップをさらに含み、フリップフロップの出力信号を、検出結果を示す信号として出力してもよい。
【0027】
クランプ回路は、スイッチング電源の起動開始後、スイッチング電源の出力電圧に応じた電圧が、所定のレベルより低い期間、アクティブとなってもよい。
【0028】
クランプ回路は、スイッチング電源の出力電圧が発光素子が点灯するレベルより低い期間、アクティブとなってもよい。
【0029】
クランプ回路は、ソフトスタート電圧が所定のしきい値電圧より低い期間、アクティブとなってもよい。
【0030】
パルス変調器は、所定の周波数を有する三角波または鋸波の周期電圧を生成する発振器と、フィードバック電圧と、周期電圧を比較することによりパルス信号を生成するパルス幅変調用コンパレータと、を含んでもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、発光装置である。この発光装置は、発光素子と、発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を備える。スイッチング電源は、スイッチング素子を含む出力回路と、スイッチング素子を駆動する上述のいずれかの態様の制御回路と、を含む。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルのバックライトとして設けられた上述の発光装置と、を備える。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、発光素子の駆動回路である。この発光素子の駆動回路は、発光素子の第2端子に接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を発光素子に供給する電流駆動回路と、発光素子が発光可能な状態となったことを検出する点灯検出回路と、を備える。電流駆動回路は、発光素子の前記第2端子と固定電圧端子の間に設けられた駆動トランジスタおよび電流検出抵抗と、その反転入力端子が前記駆動トランジスタおよび電流検出抵抗の接続点と接続され、その非反転入力端子に前記駆動電流を指示する制御電圧が印加された演算増幅器と、を含む。点灯検出回路は、調光用パルス信号が点灯を指示する期間における駆動トランジスタの制御端子の電位を所定の電圧レベルと比較することにより、発光素子に流れる駆動電流が所定レベルに達したことを検出する。
【0034】
点灯検出回路は、そのソースが演算増幅器の上側電源端子に接続され、そのゲートが駆動トランジスタの制御端子に接続されたPチャンネルMOSFETと、PチャンネルMOSFETのドレインと演算増幅器の下側電源端子の間に設けられた電流源と、そのゲートが、PチャンネルMOSFETのドレインに接続され、そのソースが下側電源端子に接続されたNチャンネルMOSFETと、NチャンネルMOSFETのドレインと上側電源端子の間に設けられた負荷と、を含んでもよい。調光用パルス信号が点灯を指示する期間におけるNチャンネルMOSFETのドレイン電位に応じた信号を、検出結果を示す信号として出力してもよい。
【0035】
点灯検出回路は、そのデータ端子にNチャンネルMOSFETのドレイン電位が入力され、そのクロック端子に、調光用パルス信号と同期クロック信号の論理積に応じた信号が入力されたフリップフロップをさらに含み、フリップフロップの出力信号を、検出結果を示す信号として出力してもよい。
【0036】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0037】
本発明のある態様によれば、調光用パルス信号のデューティ比が小さくても、短時間で起動できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明者が検討した発光装置の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態に係るスイッチング電源を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【図3】図2のクランプ回路の構成例を示す回路図である。
【図4】点灯検出回路および電流源の構成を示す回路図である。
【図5】図2の発光装置の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0040】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0041】
図2は、実施の形態に係るスイッチング電源を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【0042】
電子機器2は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの電池駆動型の機器であり、発光装置3とLCD(Liquid Crystal Display)パネル5を備える。発光装置3はLCDパネル5のバックライトとして設けられる。
【0043】
発光装置3は、発光素子であるLEDストリング6_1〜6_nと、電流駆動回路8と、スイッチング電源4と、を備える。
【0044】
各LEDストリング6は、直列に接続された複数のLEDを含む。スイッチング電源4は、昇圧型のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に入力された入力電圧(たとえば電池電圧)VINを昇圧して、出力端子P2に接続される出力ラインに、出力電圧(駆動電圧)VOUTを発生させる。複数のLEDストリング6_1〜6_nそれぞれの一端(アノード)は、出力ラインに共通に接続される。
【0045】
スイッチング電源4は、制御IC100および出力回路102を備える。出力回路102は、インダクタL1、整流ダイオードD1、スイッチングトランジスタM1、出力キャパシタC1を含む。出力回路102のトポロジーは一般的であるため、説明を省略する。またそのトポロジーにさまざまな変形があることが当業者には理解され、本発明において限定されるものではない。
【0046】
制御IC100のスイッチング端子P4は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接続される。制御IC100は、LEDストリング6の点灯に必要な出力電圧VOUTが得られるように、フィードバックによりスイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を調節する。なおスイッチングトランジスタM1は制御IC100に内蔵されてもよい。
【0047】
電流駆動回路8は、複数のLEDストリング6_1〜6_nの他端(カソード)と接続される。電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nそれぞれに、目標輝度に応じた間欠的な、あるいは直流の駆動電流ILED1〜ILEDnを供給する。具体的には電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられた複数の電流源CS〜CSと、PWMコントローラ9を備える。i番目の電流源CSは、対応するi番目のLEDストリング6_iのカソードと接続されている。電流源CSは、PWMコントローラ9から出力される制御信号PWMに応じて、駆動電流ILEDiを出力する動作(アクティブ)状態φONと、駆動電流ILEDiを停止する停止状態φOFFが切りかえ可能に構成される。PWMコントローラ9は、目標輝度に応じたデューティ比を有する制御信号PWM〜PWMを生成し、電流源CS〜CSに出力する。制御信号PWMがアサート(たとえばハイレベル)される期間(点灯期間TON)、対応する電流源CSは動作状態φONとなり、LEDストリング6_iは点灯する。制御信号PWMがネゲート(たとえばローレベル)される期間(消灯期間TOFF)、対応する電流源CSは停止状態φOFFとなり、LEDストリング6_iは消灯する。点灯期間TONと消灯期間TOFFの時間比率を制御することにより、LEDストリング6_iに流れる駆動電流ILEDの実効値(時間平均値)が制御され、輝度を調節することができる。電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数は数十〜数百Hzである。
【0048】
電流駆動回路8は、制御IC100に集積化される。あるいは、制御IC100と電流駆動回路8を別のチップに集積化してもよい。それらは、単一のパッケージ(モジュール)を構成してもよいし、別々のパッケージを構成してもよい。
【0049】
以上が発光装置3全体の構成である。続いて制御IC100の構成を説明する。制御IC100は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられたLED端子LED〜LEDを備える。各LED端子LEDは、対応するLEDストリング6_iのカソード端子と接続される。なお、LEDストリングは複数である必要はなく、1個であってもよい。
【0050】
制御IC100は、主としてパルス生成部19、ドライバ28、ソフトスタート回路32、クランプ回路40、点灯検出回路60を備える。
【0051】
パルス生成部19は、LEDストリング6の点灯期間TONにおいて、出力電圧VOUTに応じた検出電圧が所定の基準電圧VREFと一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号SPWMを生成する。図2において、検出電圧は、LEDストリング6のカソード端子に生ずる電圧(LED端子電圧)VLED1〜VLEDnのうち、最も低いひとつであり、以下ではVLEDと記す。
【0052】
ドライバ28は、調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間TON、パルス信号SPWMにもとづきスイッチング信号SWOUTを生成し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。また調光用パルス信号PWMが消灯を指示する期間TOFF、スイッチングトランジスタM1をオフ状態で固定する。
【0053】
点灯期間TONにおいて制御IC100は、スイッチング電源4の出力電圧VOUTを、LEDストリング6_1〜6_nの駆動に最適な電圧レベルに調節する。消灯期間TOFFにおいては、LEDストリング6_1〜6_nに供給される駆動電流ILED1〜ILEDnがゼロ、すなわちスイッチング電源4が無負荷状態となる。ドライバ28は、消灯期間TOFFにおいて制御IC100はスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。
【0054】
続いてパルス生成部19の構成を説明する。パルス生成部19は、誤差増幅器22、パルス変調器20を含む。誤差増幅器22は、LEDストリング6の点灯期間において、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差を増幅し、誤差に応じたフィードバック電圧VFBを生成する。
【0055】
誤差増幅器22は、gmアンプ21、フィードバックスイッチSW1、位相補償用の抵抗RFBおよびキャパシタCFBを含む。制御IC100には、FB端子が設けられ、FB端子と外部の接地端子の間には、抵抗RFBおよびキャパシタCFBが直列に外付けされる。
【0056】
gmアンプ21は、電流源CSの両端間に生ずる検出電圧VLEDと所定の基準電圧VREFの誤差に応じた電流を出力(ソースまたはシンク)する。具体的にはgmアンプ21は、複数の反転入力端子(−)と、ひとつの非反転入力端子(+)を有する。複数の反転入力端子にはそれぞれ、LED端子電圧VLED1〜VLEDnが入力され、非反転入力端子には基準電圧VREFが入力される。誤差増幅器22は、最も低いLED端子電圧(検出電圧)VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じた電流を生成する。
【0057】
フィードバックスイッチSW1は、FB端子とgmアンプ21の出力端子との間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオンする。調光パルス信号PWMは、各チャンネルの調光パルス信号PWM〜PWMの論理和であり、少なくともひとつのチャンネルが点灯期間を示すときに、所定レベル(たとえばハイレベル)となる。
【0058】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがスタンバイ状態から通常の動作状態の復帰を指示すると、時間とともに変化するソフトスタート電圧VSSを生成する。また、ソフトスタート回路32は、ソフトスタート電圧VSSがあるしきい値電圧に達するとアサート(ハイレベル)されるソフトスタート完了信号(SS_END信号)を出力する。
【0059】
点灯検出回路60は、LEDストリング6が発光可能な程度まで駆動電圧VOUTが上昇したことを検出し、検出するとアサート(ハイレベル)されるフラグ信号(LED_ON_ALL信号)を出力する。LED_ON_ALL信号は、駆動電圧VOUTが少なくともひとつのLEDストリング6を発光可能なレベルより高いときにハイレベル、低いときハイレベルとなる。つまり、LED_ON_ALL信号は、少なくともひとつのLEDストリング6が発光可能なときにアサート(ハイレベル)される。
【0060】
ORゲート56は、LED_ON_ALL信号とSS_END信号の論理和をとることにより、START_OK信号を生成する。つまり、START_OK信号は、起動直後にローレベルをとり、その後、ソフトスタートが完了するか、いずれかのLEDが点灯するとハイレベルに遷移する。
【0061】
クランプ回路40は、スイッチング電源4の起動開始後、言い換えればスタンバイ信号STBがスタンバイ状態から動作状態への復帰を指示してからある期間、アクティブとなる。アクティブなクランプ回路40は、FB端子に生ずるフィードバック電圧VFBを、検出電圧VLEDのレベルにかかわらず、ソフトスタート電圧VSSと等しくなるように制御する。クランプ回路40は、イネーブル端子EN#(反転論理)を有し、イネーブル端子EN#に入力される信号がローレベルの期間アクティブとなる。本実施の形態において、イネーブル端子EN#には、START_OK信号が入力される。
【0062】
ANDゲート23は、START_OK信号と調光用パルス信号PWMの論理積にもとづき、フィードバックスイッチSW1を制御する。これによりフィードバックスイッチSW1は、START_OK信号がハイレベル、つまりクランプ回路40が非アクティブであり、かつ調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間TONにオンする。
【0063】
パルス変調器20は、たとえばパルス幅変調器であり、フィードバック電圧VFBに応じたデューティ比を有し、かつ固定された周期を有するパルス信号SPWMを生成する。具体的にはフィードバック電圧VFBが高いほどパルス信号SPWMのデューティ比は大きくなる。
【0064】
たとえばパルス変調器20は、オシレータ24、PWMコンパレータ26を含む。オシレータ24は、三角波もしくはのこぎり波の周期電圧VOSCを生成する。PWMコンパレータ26はフィードバック電圧VFBを周期電圧VOSCと比較し、比較結果に応じたレベルを有するPWM信号SPWMを生成する。なお、パルス変調器20としてパルス周波数変調器などを用いてもよい。PWM信号SPWMの周波数は、電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数に比べて十分に高く、数百kHz(たとえば600kHz)である。
【0065】
図3は、図2のクランプ回路40の構成例を示す回路図である。クランプ回路40は、主として、NチャンネルMOSFETの第1トランジスタM11と、第1トランジスタM11と相補的な、すなわちPチャンネルMOSFETの第2トランジスタM12と、を備える。第1トランジスタM11の第1端子(ソース)は、FB端子に接続される。第2トランジスタM12のソースは、第1トランジスタM11の制御端子(ゲート)に接続され、第2トランジスタM12の制御端子(ゲート)には、ソフトスタート電圧VSSが入力される。
【0066】
第1トランジスタM11に対する負荷としてインピーダンス回路51が設けられる。インピーダンス回路51は、FB端子と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。インピーダンス回路51は、抵抗11およびスイッチM13を含む。インバータ54は、START_OK信号を反転し、スイッチM13のゲートに入力する。こうしてスイッチM13は、クランプ回路40がアクティブの期間にオンするよう制御される。
【0067】
第2トランジスタM12のソースと固定電圧端子(電源端子)の間には、第2トランジスタM12に対する負荷として電流源52が設けられる。
【0068】
第1トランジスタM11、第2トランジスタM12それぞれのゲートソース間電圧をVと書くとき、トランジスタM12のソース電位、すなわちトランジスタM11のゲート電位は、VSS+Vとなる。FB端子の電位は、トランジスタM11のゲート電位よりもV低いため、ソフトスタート電圧VSSと等しくなる。
【0069】
オフ回路53は、クランプ回路40が非アクティブの期間に、第1トランジスタM11のゲートの電位を、第1トランジスタM11がオフするレベルに固定する。たとえばオフ回路53は、第1トランジスタM11のゲートと固定電圧端子(接地端子)の間に設けられ、その制御端子にSTART_OK信号が入力されたNチャンネルMOSFET(トランジスタM14)で構成できる。START_OK信号がハイレベルとなると、トランジスタM14がオンし、第1トランジスタM11がオフする。
【0070】
クランプ回路40は、LEDストリング6に流れる駆動電流ILEDが所定レベルより低い期間にアクティブとなり、高い期間に非アクティブとなる。別の観点から見ると、クランプ回路40は、LEDストリング6が発光可能となるまでの期間、アクティブとなり、発光可能となった後に非アクティブとなる。
【0071】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがハイレベルに遷移すると、クロック信号CLKに応じてカウントアップするデジタルカウンタ34と、カウンタ34のカウント値をアナログ電圧に変換し、ソフトスタート電圧VSSを生成するD/Aコンバータ36を含んでもよい。カウンタ34は、カウント値CNTが所定値に達するとハイレベルとなるSS_END信号を生成する。SS_END信号は、ソフトスタート電圧VSSが所定レベルより低いときローレベル、高いときハイレベルとなる。
【0072】
ソフトスタート回路32は、キャパシタおよびキャパシタを充電、あるいは放電する回路の組み合わせで構成してもよい。
【0073】
続いて点灯検出回路60によるLED_ON_ALL信号の生成について説明する。図4は、点灯検出回路60および電流源CSの構成を示す回路図である。図4には、全nチャンネルのうち、1チャンネル(第iチャンネル)の構成が示される。電流駆動回路8の電流源CSは、駆動トランジスタM21、電流検出抵抗R21、演算増幅器OA1、調光用スイッチM22を備える。
【0074】
接地端子LED_GNDは、外部の接地電位と接続される。駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21は、LEDストリング6のカソードであるLED端子LEDと接地端子LED_GNDの間に順に直列に設けられる。演算増幅器OA1の反転入力端子は、駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21の接続点と接続され、その非反転入力端子には、駆動電流ILEDiを指示する制御電圧VDIMが印加される。この電流源CSによって、駆動電流ILEDiが生成される。
LEDi=VDIM/R21
【0075】
調光用スイッチM22は、駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)と接地端子LED_GNDの間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオン、オフが制御される。インバータ63は、調光用パルス信号PWMを反転し、調光用スイッチM22のゲートに入力する。調光用パルス信号PWMがローレベルの期間(消灯期間TOFF)、調光用スイッチM22がオンし、駆動トランジスタM21のゲートがローレベルとなり、駆動トランジスタM21がオフする。
【0076】
点灯検出回路60は、調光用パルス信号PWMが点灯を指示する点灯期間TONにおいて、駆動トランジスタM21のゲートの電位Vを所定のレベルVaと比較することにより、LEDストリング6に流れる駆動電流ILEDiが所定レベルに達したことを検出する。検出結果を示すLED_ON信号は、V>Vaのときローレベル、V<Vaのときハイレベルとなる。
【0077】
具体的に点灯検出回路60は、トランジスタM31、電流源62、抵抗68、トランジスタM32を含む。PチャンネルMOSFETであるトランジスタM31のソースは、演算増幅器OA1の上側電源端子VDDに接続され、そのゲートは駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)に接続される。電流源62は、トランジスタM31のドレインと演算増幅器OA1の下側電源端子(LED_GND)の間に設けられる。トランジスタM32はNチャンネルMOSFETであり、そのゲートが、トランジスタM31のドレインに接続され、そのソースが下側電源端子(LED_GND)に接続される。トランジスタM32のドレインと上側電源端子VDDの間には、トランジスタM32に対する負荷として抵抗68が設けられる。
【0078】
点灯検出回路60は、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32に応じてLED_ON信号を生成する。インバータ65は、インバータ63の出力を反転する。インバータ65の出力信号は、調光用パルス信号PWMと同じ論理レベルを有する。ANDゲート67は、インバータ65の出力である調光用パルス信号PWMと同期クロックCLKの論理積を生成し、インバータINV1は、ANDゲート67の出力を反転し、フリップフロップ69のクロック端子に入力する。インバータINV2は、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32を反転し、フリップフロップ69のデータ端子(D)に入力する。フリップフロップ69の出力が、LED_ON信号となる。LED_ON信号は、第iチャンネルのLEDストリング6にあるレベルの駆動電流ILEDiが流れているとき、言い換えれば、出力電圧VOUTがある電圧レベル以上となっているときにアサート(ハイレベル)される。
【0079】
ORゲート71は、全チャンネルのLED_ON〜LED_ON信号の論理和をとり、LED_ON_ALL信号を生成する。
【0080】
以上が発光装置3の構成である。続いてその動作を説明する。
図5は、図2の発光装置3の動作を示す波形図である。時刻t1にスタンバイ信号STBがハイレベルに遷移し、スイッチング電源4の起動が指示される。起動開始とともにソフトスタート電圧VSSが上昇し始める。このときクランプ回路40はアクティブであり、フィードバック電圧VFBも、ソフトスタート電圧VSSに追従して上昇する。これによりパルス信号SPWMのデューティ比は、ソフトスタート電圧VSSに応じて増大していく。
【0081】
フィードバック電圧VFBが周期電圧VOSCの下限レベルより高くなると(時刻t2)、パルス信号SPWMが生成される。そして調光用パルス信号PWMが点灯期間TONを示す間、ドライバ28によってスイッチング信号SWOUTが生成され、スイッチングトランジスタM1がスイッチングされる。スイッチング信号SWOUTは、調光用パルス信号PWMより高い周波数でパルス変調されているが、図5ではスイッチング信号SWOUTのパルス変調の様子は省略している。
【0082】
スイッチングトランジスタM1がスイッチングする期間と、出力電圧VOUTが上昇する。なお出力電圧VOUTが低い間は、点灯期間TONであっても駆動電流ILEDiが流れない。駆動電流ILEDiが流れ始める前において、駆動トランジスタM21のゲート電圧Vは、点灯期間TONにおいてハイレベル(VDD)、消灯期間TOFFにおいてローレベル(0V)を調光用パルス信号PWMと同期して交互に繰り返す。
【0083】
出力電圧VOUTが上昇するに従い、駆動電流ILEDiが増加していく。駆動電流ILEDiの増加にともない、点灯期間TONにおける駆動トランジスタM21のゲート電圧Vは低下しはじめる。そして、駆動電流ILEDiがあるレベルに達すると、ゲート電圧Vが所定レベルVaに低下し、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32がハイレベルとなる。ハイレベルのドレイン電位VD_M32が同期クロックCLKによってフリップフロップ69に取り込まれ、LED_ON信号がハイレベルとなる。つまり、あるレベルの駆動電流ILEDiが流れ始めたことが検出される(時刻t3)。
【0084】
LED_ON信号がハイレベルとなると、クランプ回路40が非アクティブに切りかえられ、フィードバックスイッチSW1がオンする。これにより検出電圧VLEDに応じたフィードバックが有効となり、フィードバック電圧VFBが、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じたレベルとなる。
【0085】
以上が発光装置3の起動動作である。
この発光装置3によれば、スタンバイ状態からの復帰時に、調光用パルス信号PWMのデューティ比が小さい場合であっても、フィードバック電圧VFB、つまりパルス信号SPWMのデューティ比を、ソフトスタート電圧VSSに追従して増大させることができ、出力電圧VOUTを短時間で上昇させる。また、スイッチング電源4の動作開始からある期間が経過した後に、クランプ回路40を非アクティブとしてソフトスタート電圧VSSに応じたフィードバック電圧VFBの制御を解除することにより、検出電圧VLEDが基準電圧VREFと近づくようなフィードバック制御に移行させることができる。
【0086】
移行の直前において、フィードバック電圧VFBの電圧レベルは、ソフトスタート電圧VSSと等しく、移行後は、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じて定まる電圧レベルとなる。この回路では、あるレベルの駆動電流ILEDが流れ始めると、フィードバック制御へと移行させるため、2つの電圧レベルを近づけることができる。これにより移行の前後でフィードバック電圧VFBが大きく変動し、出力電圧VOUTが変動するのを抑制することができる。
【0087】
またクランプ回路40の点灯検出回路60は、駆動トランジスタM21の制御端子の電圧Vにもとづいて所定レベルの駆動電流ILEDが流れ始めたことを検出している。これは、出力電圧VOUTに応じたOVP電圧VOVPにもとづいて検出する場合に比べて以下の利点を有する。
【0088】
LEDストリング6にあるレベルの駆動電流ILEDが流れているときの電圧降下(順方向電圧)Vは、駆動電流ILEDの大きさや、LEDストリング6に含まれるLEDの個数に応じてさまざまである。したがってOVP電圧VOVPによって駆動電圧VOUTが十分なレベルに上昇しているかを検出する場合、LEDストリング6に応じて、OVP電圧VOVPと比較すべきしきい値レベルを最適化する必要がある。駆動トランジスタM21の制御端子の電圧にもとづく検出では、LEDストリング6に応じてしきい値レベルを変化させる必要がないという利点がある。これは、さまざまなLEDストリング6を駆動する汎用性が求められる制御IC100において、きわめて重要なメリットである。
【0089】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセス、それらの組み合わせには、さまざまな変形例が存在しうる。以下、こうした変形例について説明する。
【0090】
LEDストリング6の種類が予め決められている場合には、OVP電圧VOVPにもとづいて、クランプ回路40のアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
あるいは、電流検出抵抗R21に生ずる電圧降下VR21にもとづいてアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
【0091】
当業者には、MOSFETとバイポーラトランジスタを置換しうることが理解される。またNチャンネルとPチャンネル、NPN型とPNP型、を適切に入れかえ、電源端子と接地端子を天地反転した変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0092】
実施の形態ではインダクタを用いた非絶縁型のスイッチング電源を説明したが、本発明はトランスを用いた絶縁型のスイッチング電源にも適用可能である。
【0093】
実施の形態では、発光装置3のアプリケーションとして電子機器を説明したが、用途は特に限定されず、照明などにも利用できる。
【0094】
また、本実施の形態において、各信号のハイレベル、ローレベルの論理信号の設定は一例であって、インバータなどによって適宜反転させることにより自由に変更することが可能である。
【0095】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0096】
2…電子機器、3…発光装置、4…スイッチング電源、5…LCDパネル、6…LEDストリング、8…電流駆動回路、9…PWMコントローラ、100…制御IC、102…出力回路、19…パルス生成部、20…パルス変調器、22…誤差増幅器、21…gmアンプ、SW1…フィードバックスイッチ、24…オシレータ、26…PWMコンパレータ、28…ドライバ、32…ソフトスタート回路、34…カウンタ、36…D/Aコンバータ、40…クランプ回路、M11…第1トランジスタ、M12…第2トランジスタ、M13…第3トランジスタ、M14…第4トランジスタ、60…点灯検出回路、M21…駆動トランジスタ、M22…調光用スイッチ、R21…電流検出抵抗、OA1…演算増幅器、L1…インダクタ、C1…出力キャパシタ、D1…整流ダイオード、M1…スイッチングトランジスタ、PWM…調光用パルス信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の第1端子に駆動電圧を供給するスイッチング電源を制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流を生成する制御回路であって、
前記発光素子の第2端子に接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を前記発光素子に供給する電流駆動回路と、
前記電流駆動回路の両端間に生ずる検出電圧と所定の基準電圧の誤差に応じた電流を生成するトランスコンダクタンスアンプと、
フィードバックキャパシタが接続されるべきフィードバック端子と、
前記フィードバック端子と前記トランスコンダクタンスアンプの出力端子との間に設けられ、前記調光用パルス信号に応じてオンするフィードバックスイッチと、
時間とともに変化するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート回路と、
前記スイッチング電源の動作開始からある期間、アクティブとなり、前記フィードバック端子に生ずるフィードバック電圧を、前記検出電圧のレベルにかかわらず前記ソフトスタート電圧と等しくなるように制御するクランプ回路と、
前記フィードバック電圧に応じたデューティ比を有するパルス信号を生成するパルス変調器と、
前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間、前記パルス信号にもとづき前記スイッチング電源のスイッチング素子を駆動し、前記調光用パルス信号が消灯を指示する期間、前記スイッチング素子をオフするドライバと、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記フィードバックスイッチは、前記クランプ回路が非アクティブであり、かつ前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間においてオンすることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記クランプ回路は、
その第1端子が前記フィードバック端子に接続された第1トランジスタと、
その第1端子が前記第1トランジスタの制御端子に接続され、その制御端子に前記ソフトスタート電圧が入力された、第1トランジスタと相補的な第2トランジスタと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項4】
前記クランプ回路は、前記クランプ回路が非アクティブの期間に、前記第1トランジスタの制御端子の電位を、前記第1トランジスタがオフするレベルに固定するオフ回路をさらに含む請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記クランプ回路は、
前記フィードバック端子と固定電圧端子の間に設けられ、前記クランプ回路がアクティブの期間にオンするインピーダンス回路をさらに含むことを特徴とする請求項3または4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記クランプ回路は、前記スイッチング電源の起動開始後、前記発光素子に流れる前記駆動電流が所定レベルに達するまでの期間、アクティブとなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項7】
前記電流駆動回路は、
前記発光素子の前記第2端子と固定電圧端子の間に設けられた駆動トランジスタおよび電流検出抵抗と、
その反転入力端子が前記駆動トランジスタおよび前記電流検出抵抗の接続点と接続され、その非反転入力端子に前記駆動電流を指示する制御電圧が印加された演算増幅器と、
を含み、
前記制御回路は、前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間における前記駆動トランジスタの制御端子の電位を、所定の電圧レベルと比較することにより、前記発光素子に流れる前記駆動電流が所定レベルに達したことを検出する点灯検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の制御回路。
【請求項8】
前記電流駆動回路は、前記駆動トランジスタの制御端子と前記固定電圧端子の間に設けられ、前記調光用パルス信号に応じてオン、オフが制御される調光用スイッチをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の制御回路。
【請求項9】
前記点灯検出回路は、
そのソースが前記演算増幅器の上側電源端子に接続され、そのゲートが前記駆動トランジスタの制御端子に接続されたPチャンネルMOSFETと、
前記PチャンネルMOSFETのドレインと前記演算増幅器の下側電源端子の間に設けられた電流源と、
そのゲートが、前記PチャンネルMOSFETのドレインに接続され、そのソースが前記下側電源端子に接続されたNチャンネルMOSFETと、
前記NチャンネルMOSFETのドレインと前記上側電源端子の間に設けられた負荷と、
を含み、
前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間における前記NチャンネルMOSFETのドレイン電位に応じた信号を、検出結果を示す信号として出力することを特徴とする請求項7に記載の制御回路。
【請求項10】
前記点灯検出回路は、
そのデータ端子に前記NチャンネルMOSFETのドレイン電位が入力され、そのクロック端子に、前記調光用パルス信号と同期クロック信号の論理積に応じた信号が入力されたフリップフロップをさらに含み、前記フリップフロップの出力信号を、検出結果を示す信号として出力することを特徴とする請求項9に記載の制御回路。
【請求項11】
前記クランプ回路は、前記スイッチング電源の起動開始後、前記スイッチング電源の出力電圧に応じた電圧が、所定のレベルより低い期間、アクティブとなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項12】
前記クランプ回路は、前記スイッチング電源の出力電圧が前記発光素子が点灯するレベルより低い期間、アクティブとなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項13】
前記クランプ回路は、前記ソフトスタート電圧が所定のしきい値電圧より低い期間、アクティブとなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項14】
前記パルス変調器は、
所定の周波数を有する三角波または鋸波の周期電圧を生成する発振器と、
前記フィードバック電圧と、前記周期電圧を比較することによりパルス信号を生成するパルス幅変調用コンパレータと、
を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の制御回路。
【請求項15】
発光素子と、
前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、
を備え、前記スイッチング電源は、
スイッチング素子を含む出力回路と、
前記スイッチング素子を駆動する請求項1から14のいずれかに記載の制御回路と、
を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項16】
液晶パネルと、
前記液晶パネルのバックライトとして設けられた請求項15に記載の発光装置と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項17】
発光素子の第2端子に接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を前記発光素子に供給する電流駆動回路と、
前記発光素子が発光可能な状態となったことを検出する点灯検出回路と、
を備え、
前記電流駆動回路は、
前記発光素子の前記第2端子と固定電圧端子の間に設けられた駆動トランジスタおよび電流検出抵抗と、
その反転入力端子が前記駆動トランジスタおよび前記電流検出抵抗の接続点と接続され、その非反転入力端子に前記駆動電流を指示する制御電圧が印加された演算増幅器と、
を含み、
前記点灯検出回路は、前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間における前記駆動トランジスタの制御端子の電位を所定の電圧レベルと比較することにより、前記発光素子に流れる前記駆動電流が所定レベルに達したことを検出することを特徴とする発光素子の駆動回路。
【請求項18】
前記点灯検出回路は、
そのソースが前記演算増幅器の上側電源端子に接続され、そのゲートが前記駆動トランジスタの制御端子に接続されたPチャンネルMOSFETと、
前記PチャンネルMOSFETのドレインと前記演算増幅器の下側電源端子の間に設けられた電流源と、
そのゲートが、前記PチャンネルMOSFETのドレインに接続され、そのソースが前記下側電源端子に接続されたNチャンネルMOSFETと、
前記NチャンネルMOSFETのドレインと前記上側電源端子の間に設けられた負荷と、
を含み、
前記調光用パルス信号が点灯を指示する期間における前記NチャンネルMOSFETのドレイン電位に応じた信号を、検出結果を示す信号として出力することを特徴とする請求項17に記載の駆動回路。
【請求項19】
前記点灯検出回路は、
そのデータ端子に前記NチャンネルMOSFETのドレイン電位が入力され、そのクロック端子に、前記調光用パルス信号と同期クロック信号の論理積に応じた信号が入力されたフリップフロップをさらに含み、前記フリップフロップの出力信号を、検出結果を示す信号として出力することを特徴とする請求項18に記載の駆動回路。
【請求項20】
発光素子と、
前記発光素子を駆動する請求項17から19のいずれかに記載の駆動回路と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項21】
液晶パネルと、
前記液晶パネルのバックライトとして設けられた請求項20に記載の発光装置と、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−205360(P2012−205360A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66268(P2011−66268)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】