説明

発光素子

【課題】全注入電流領域で高効率の発光特性を備えることができる発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムを提供すること。
【達成手段】本発明の実施形態による発光素子は、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層及び前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との間に活性層を含めて、前記活性層は、前記第2導電型半導体層に隣接する第1活性層と前記第1導電型半導体層に隣接する第2活性層及び第1活性層と前記第2活性層との間にゲート量子壁を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体の薄膜基盤の発光素子は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する機能を有する。周期律表上で3族と5族の元素が化合して形成される窒化物半導体物質を用いる発光素子は、薄膜成長技術及び素子材料の開発に従って赤色、緑色、青色及び紫外線など多様な波長(色)の光を具現することができ、蛍光物質を用いることや色を組み合わせることでよい効率の白色光を具現することができる。また、窒化物半導体薄膜基盤の発光素子は、蛍光灯、白熱灯など既存の光源に比べ低消費電力、半永久的な寿命、速い応答速度、安全性、環境に優しい所などの長所を有している。よって、LCD(Liquid Crysral Display)表示装置のバックライトを構成する冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescence Lamp)の代わりの発光ダイオードバックライト、蛍光灯や白熱電球の代わりの役割を果たすことができる白色発光ダイオード照明装置、自動車のヘッドライト及び信号灯にまでその応用が拡大されている。窒化物半導体の発光素子の応用範囲の拡大は、根本的に発光素子の高効率化の技術開発を要求する。
【0003】
従来技術による窒化物半導体の発光素子は、高電流注入のときに著しい非発光損失プロセスによる発光効率低下の問題を有しており、その原因はまだ明確に究明されていない実情で、全世界的に大勢の学者と専門家たちがその原因究明のために活発な研究を行っている。また、従来技術による窒化物半導体の発光素子は、低電流注入のときに結晶欠陥に応じた非発光損失プロセスによる発光効率低下の問題を有している。
【0004】
特に、青色及び緑色の光を放出する窒化物半導体の発光素子において、高電流の印加のときに発生する発光効率減少の問題は、高出力、高効率の照明用発光素子の具現において最も重要な技術的な問題の一つである。
【0005】
よって、注入電流量が小さい領域から注入電流量が大きい領域まで至る全注入電流領域で優れた発光量子効率を提供することができる理想的な窒化物半導体の発光素子構造の開発の要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、従来の窒化物半導体の発光素子が有している本質的な問題である高電流注入のときに発生する非発光損失による発光効率の低下の問題を克服するともに、低電流注入のときに発生する結晶欠陥に応じる非発光損失による発光効率低下の問題を画期的に克服することで、全注入電流領域で高効率の発光特性を備えることができる発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムを提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による発光素子は、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層及び前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に活性層を含めて、前記活性層は、前記第2導電型半導体層に隣接する第1活性層と前記第1導電型半導体層に隣接する第2活性層及び前記第1活性層と前記第2活性層との間にゲート量子壁を含む。
【0008】
また、本発明の実施形態による発光素子は、第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との間に活性層と、を含めて、前記活性層は、前記第1導電型半導体層に隣接する多重量子井戸構造の第3活性層と前記第2導電型半導体層に隣接する単一量子井戸構造の第4活性層及び前記第3活性層と前記第4活性層との間にゲート量子壁を含むことができる。
【0009】
また、本発明の実施形態による発光素子パッケージは、前記発光素子と、前記発光素子が配置されるパッケージ本体と、前記発光素子と前記パッケージ本体を電気的に接続する一つ以上の電極と、を含む。
【0010】
また、本発明の実施形態による照明システムは、前記発光素子パッケージを備える発光ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術の多重量子井戸構造の活性層を備える窒化物半導体の発光素子においての活性層に対するエネルギーバンドの概略図である。
【図2】従来技術の多重量子井戸構造の活性層(図1参照)を備える窒化物半導体の発光素子においての注入電流量の増加による内部発光量子効率の特性を示す図である。
【図3】従来技術の幅の広い単一量子井戸構造基盤の活性層を備える窒化物半導体の発光素子においての活性層に対するエネルギーバンドの概略図である。
【図4】従来技術の幅の広い単一量子井戸構造の活性層(図3参照)を備える窒化物半導体の発光素子においての注入電流量の増加による内部発光量子効率の特性を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る発光素子チップの断面例示図である。
【図6】第1実施形態に係る発光素子において、第1活性層と第2活性層の二重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【図7】第1実施形態に従って製造された二重活性層を備える窒化物半導体の発光素子においての注入電流による発光効率の特性を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る発光素子において、第1活性層は多重量子井戸構造で、第2活性層は超格子構造で形成される二重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【図9】第3実施形態に係る発光素子において、第2活性層は広い単一量子井戸構造で、第1活性層は狭い単一量子井戸構造で形成される二重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【図10】第3実施形態に係る発光素子において、二重活性層を備える窒化物半導体の青色発光素子においての注入電流による光出力の特性を示す図である。
【図11】第4実施形態に係る発光素子において、第1活性層と第2活性層との二重活性層を備える窒化物半導体の発光素子に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【図12】第4実施形態に係る発光素子において、二重活性層を備える発光素子に低電流が注入されるときに二重活性層の内部においての電子と正孔の分布度を示す図である。
【図13】第4実施形態に係る発光素子において、二重活性層を備える発光素子に高電流が注入されるときに二重活性層の内部においての電子と正孔の分布度を示す図である。
【図14】第4実施形態に係る発光素子において、二重活性層構造を備える窒化物半導体の青色発光素子においての注入電流密度による内部発光量子効率の変化を示す図である。
【図15】第5実施形態に係る発光素子において、一つの第1活性層は多重量子井戸構造で、電子注入層と正孔注入層に各々隣接配置される二つの第2活性層は広い単一量子井戸構造で形成される多重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【図16】第5実施形態に係る発光素子において、多重活性層構造を備える窒化物半導体の青色発光素子においての注入電流に対する光出力の変化を示す図である。
【図17】本発明の実施形態による発光素子パッケージの断面図である。
【図18】本発明の実施形態による照明ユニットの斜視図である。
【図19】本発明の実施形態によるバックライトユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムを添付の図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、従来技術の多重量子井戸構造の活性層を備える窒化物半導体の発光素子においての活性層に対するエネルギーバンドの概略図である。図2は、従来の多重量子井戸構造の活性層(図1参照)を備える窒化物半導体の発光素子においての注入電流量の増加による内部発光量子効率の特性を示す図である。
【0014】
図2に示すように、従来の多重量子井戸構造基盤の窒化物半導体の発光素子製造技術は、注入電流が増加することによって著しい発光量子効率低下の問題を有する。従来の窒化物半導体の多重量子井戸構造の活性層において、n型GaN基盤の電子注入層から注入される電子は、量子井戸伝導帯(Ec)の上に形成されている量子化エネルギー準位に位置して、p型GaN基盤の正孔注入層から注入される正孔は、量子井戸価電子帯(Ev)の下に形成されている量子化エネルギー準位に位置する。量子井戸内の基底状態の量子化エネルギー準位に各々位置した電子と正孔は、量子力学的な結合条件が満足されれば互いに結合して光を放出する。
【0015】
しかし、一つの量子井戸内において最低のエネルギー状態である基底状態(quantum number,n=1)の量子化エネルギー準位は、量子力学的に一定量の電子または正孔だけを保有することができる。また、より高い量子化エネルギー準位に位置する電子と正孔は、そのエネルギー状態が基底状態に位置する電子と正孔とに比べ高い。よって、注入される電子または正孔の量が十分である場合、一つの量子井戸内で高い量子化エネルギー準位に位置するキャリア(電子及び正孔)は、隣の他の量子井戸内の基底状態へ移り込んで発光に寄与する。
【0016】
ところで、従来の多重量子井戸構造の活性層(発光層)を備える窒化物半導体の発光素子においては、活性層内のすべての量子井戸層が注入されたキャリアを均一に分散受容することができず、正孔注入層に隣接した少数の量子井戸層のみが主に発光に寄与する問題を有している。よって、注入電流量が十分である場合、活性層内に効果的に束縛されない残りの電子または正孔が生じることになる。
【0017】
この残りの電子または正孔は、光を発生させることに寄与しなく、活性層内でオージェ非発光プロセス(Auger nonradiative recombination process)により自体消滅されるかまたは活性層の外に漏洩される。
【0018】
オージェ非発光プロセスは、Cn(C:Auger constant, n:injected carrier density)に表すことができ、量子力学的に発生する物質の本質的な属性である。活性層の外への漏洩は、主に注入キャリアの量子壁オーバーフロの形態で発生する。
【0019】
従来の窒化物半導体の発光素子は、物質の本来の極性に基づいて本質的に活性層の内部に非常に大きい内部フィールドが存在して、また、活性層に注入される電子がホットキャリア性質を有しているため著しいキャリアオーバーフローの問題を有する。
【0020】
結局、注入される電流が増加すると電子と正孔の非発光損失が増加することになって活性層の発光効率、例えば、内部量子効率が著しく減少することになる。
【0021】
従来の多重量子井戸構造の活性層基盤の窒化物半導体の発光素子において、上述の高電流の印加のときに発生する発光効率減少の問題は、高出力照明用発光素子の具現で最も重要な技術的な問題の一つである。
【0022】
図3は、従来技術で幅の広い単一量子井戸構造基盤の活性層を備える窒化物半導体の発光素子においての活性層に対するエネルギーバンドの概略図である。
【0023】
図4は、従来技術で幅の広い単一量子井戸構造の活性層(図3参照)を備える窒化物半導体の発光素子においての注入電流量の増加による内部発光量子効率の特性を示す図である。図4に示すように、従来の幅の広い単一量子井戸構造基盤の窒化物半導体の発光素子製造技術は、低電流領域において結晶欠陥に応じた非発光損失による著しい発光量子効率低下の問題を有する。
【0024】
従来技術によれば、前記高電流注入のときに発生する非発光損失の問題を解決するために活性層の厚さが相対的に厚いInGaN単一量子井戸構造層を活性層として備える。
【0025】
相対的に幅の広いInGaN単一量子井戸構造の活性層(図3参照)は、前記従来多重量子井戸構造の活性層(図1参照)に比べ、相対的に大量の電子と正孔を効果的に受容することができる。よって、注入電流量が大きいとき、活性層の発光効率が優れるという長所を有する。
【0026】
しかし、半導体薄膜を用いる発光素子は、本質的に活性層内部に存在する結晶欠陥に応じる非発光損失の属性を有する。この結晶欠陥SRH非発光プロセスは、An(A:Shockley−Read−Hall constant, n:injected carrier density)に表すことができ、低注入電流領域において主たるキャリア再結合である。
【0027】
結果的に、厚さが相対的に厚い単一量子井戸構造の活性層を備える窒化物半導体の発光素子は、活性層内に存在する結晶欠陥の総数が相対的に増加することになり、結晶欠陥に応じる非発光損失効果が増加することになる。よって、厚さが相対的に厚い単一量子井戸構造の活性層を備える窒化物半導体の発光素子は、低電流注入領域において素子の内部量子効率(発光効率)が非常に低いという問題を有する。
【0028】
結果的に、従来の多重量子井戸構造の活性層基盤の窒化物半導体の発光素子は、低電流注入領域において効果的な量子束縛効果によって優れた発光効率を有するが、高電流注入領域において非常に低い発光効率を有する問題がある。一方、従来の相対的に厚い単一量子井戸構造の活性層基盤の発光素子は、高電流注入領域において優れた発光効率を有するが、低電流注入領域において非常に低い発光効率を有する問題がある。よって、本発明の実施形態では低電流と高電流の全注入領域で優れた発光効率を有する理想的な窒化物半導体の発光素子構造を提案しようとする。
【0029】
窒化物半導体の発光素子において、キャリア注入層から活性層に注入されるキャリアは以下のように大別に四つのプロセスのうちから一つを行う。
【0030】
全体キャリア再結合、R=An+Bn+Cn+L(n),式中、n:injected carrier density, A:Shockley−Read−Hall constant, B:radiative recombination constant, C:Auger constant, L:carrier leakage process function depending on higher orders of n。
【0031】
前記四つのキャリア再結合プロセスのうちから発光プロセスは、Bn項の一つであって、残りの三つのプロセスは各々、結晶欠陥非発光プロセス、オージェ非発光プロセス、キャリア漏洩非発光プロセスである。
【0032】
よって、窒化物半導体の発光素子の内部量子効率を極大化させるためには、低電流注入のときに主たる非発光プロセスであるSRHプロセス効果を最小化させることが好ましく、高電流注入のときに主たる非発光プロセスであるオージェプロセスとキャリア漏洩プロセスを最小化することが好ましい。
【0033】
本発明の実施形態によれば、これを具現するための接近法としては、低電流注入のときは発光面積を最小化させて量子束縛効果を極大化させることが好ましく、高電流注入のときは発光面積を最大化させることが好ましい。
【0034】
本発明の実施形態によれば、一つの発光素子の内部に備えられる活性層構造が注入電流領域に応じて可変的な多機能性構造であることが好ましい。本発明の実施形態によれば、可変的な多機能性の活性層構造を具現する一つの実施形態として二重活性層の概念を以下に提示する。
【0035】
本発明の実施形態によれば、二重(または多重)活性層の概念は、低電流領域において主として作動する第1活性層と高電流領域において主として作動する第2活性層、そして第1活性層と第2活性層との間にゲート量子壁を備えることで低電流から高電流まで全注入領域において高いLED発光効率を具現するということである。本発明の実施形態によれば、主たる構成要素の機能は以下のようである。
【0036】
第1活性層は、量子井戸構造にすることで発光面積制限と量子束縛効果により低電流領域において発光効率を極大化する。第1活性層は、相対的に薄い厚さの量子井戸層を備えて、少数の量子井戸層が発光に寄与するようにすることで結晶欠陥に応じるSRH非発光プロセスを最小化させる特徴を有する。
【0037】
ゲート量子壁は、一定の注入電量以上においてキャリアの量子力学的トンネリングとドリフトトランスポート属性を制御して第2活性層が発光に主に寄与するよう調節する機能を備える。本発明の実施形態によれば、ゲート量子壁は、量子井戸構造の第1活性層と第2活性層との間に配置され、ゲート量子壁の厚さとエネルギーバンドギャップの大きさを調節して第2活性層が発光に主に寄与し始める臨界注入電流量を制御することができる。
【0038】
第2活性層は、相対的に大量のキャリアを受容することができる構造にすることで高電流領域において発光効率が優れた主活性層として作動する機能を備える。
【0039】
本発明の実施形態によれば、好ましい第2活性層構造としては、例えば、薄い量子壁を備えることで量子力学的トンネリングによるミニエネルギーバンドを形成することができる超格子構造もしくは相対的に広い幅の単一または多重量子井戸構造などが可能である。
【0040】
超格子構造もしくは幅の広い単一または多重量子井戸構造などは、高電流注入のときに大量のキャリアを効果的に受容して発光に寄与しようにすることで高電流領域において優れた発光効率特性を具現することができる。
【0041】
本発明の実施形態によれば、第1活性層と第2活性層の主たる違いは、第1活性層に比べ第2活性層が量子力学的に量子化された状態密度がより大きいことである。第2活性層は、状態密度が相対的により大きいので第1活性層よりさらに大量のキャリアを効果的に発光層内部に受容することができる。
【0042】
発光素子の活性層から放出される波長は、量子力学的に量子井戸層の幅(厚さ)とエネルギーバンドギャップの大きさに応じて決定される。よって、第2活性層が、第1活性層に比べ、同一であるか類似な波長の光を放出するためには、量子井戸層のエネルギーバンドギャップの大きさは適切に調節されることが好ましい。
【0043】
色の純度がよい単一色相または同じ波長の光を放出する一つの発光素子を具現するためには、二個の活性層(第1活性層と第2活性層)の各々の波長は同一するかまたは類似であることが好ましい。
【0044】
例えば、第1活性層と第2活性層の光を色座標に表したとき第1活性層の色座標と第2活性層の色座標を繋ぐ直線は両活性層の色座標と同じ色領域にあることができる。また、各活性層から放出された光は、色純度が80%以上であることができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、低電流領域において主に作動する第1活性層が正孔注入層に隣接するように備えられる場合、第1活性層内の量子井戸のエネルギーバンドギャップの大きさは、第2活性層内の量子井戸層のエネルギーバンドギャップの大きさと同一であるかまたはより大きいことが好ましい。図5は、本発明の実施形態による発光素子100の断面例示図である。
【0046】
本発明の実施形態は、垂直型発光素子を中心に説明しているが、これは例に過ぎず、水平型発光素子、フリップチップ型発光素子、ビアを含むハイブリッド型発光素子などに適用されてもよい。
【0047】
図5に示すように、本発明の実施形態による発光素子100は、第1導電型半導体層110、活性層120、第2導電型半導体層116を含む発光構造物と、前記第2導電型半導体層116の下に形成された第2電極層140と、前記第1導電型半導体層110の上に第1電極150を含むことができる。
【0048】
前記第1導電型半導体層110は、第1導電型ドーパントがドーピングされた3族―5族化合物半導体で具現されることができ、前記第1導電型半導体層110がn型半導体層である場合、前記第1導電型ドーパントはn型ドーパントとして、Si、Ge、Sn、Se、Teを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
前記第1導電型半導体層110は、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。
【0050】
前記第1導電型半導体層110は、GaN,InN,AlN,InGaN,AlGaN,InAlGaN,AlInN,AlGaAs,InGaAs,AlInGaAs,GaP,AlGaP,InGaP,AlInGaP,InPのうち何れか一つ以上で形成されることができる。
【0051】
前記活性層120は、低電流領域において効果的に作動する第1活性層121と高電流領域において効果的に作動する第2活性層122を共に備えて、第1活性層121と第2活性層122との間にゲート量子壁125を備えることができるが、これに限定されるものではない。活性層120に対しては下記の実施形態で具体的に述べる。
【0052】
前記第2導電型半導体層130は、第2導電型ドーパントがドーピングされた3族―5族元素の化合物半導体、例えば、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。前記第2導電型半導体層130は、例えば、GaN,AlN,AlGaN,InGaN,InN,InAlGaN,AlInN,AlGaAs,GaP,GaAs,GaAsP,AlGaInPのうちから選択されることができる。前記第2導電型半導体層116は、p型半導体層である場合、前記第2導電型ドーパントは、p型ドーパントとして、Mg,Zn,Ca,Sr,Baなどを含むことができる。前記第2導電型半導体層116は、単層または多層に形成されることができ、これに対して限定するものではない。
【0053】
本発明の実施形態で前記第1導電型半導体層110は、n型半導体層、前記第2導電型半導体層130は、p型半導体層で具現することができるが、これに限定されるものではない。また、前記第2導電型半導体層130の上には、前記第2導電型と反対の極性を有する半導体、例えば、n型半導体層(図示せず)を形成することができる。これによって発光構造物は、N−P接合構造、P−N接合構造、N−P−N接合構造、P−N−P接合構造のうち何れか一つの構造で具現することができる。
【0054】
前記第2電極層140は、結合層142、オミック層144、反射層146、伝導性支持基板148などを含むことができる。
【0055】
例えば、前記結合層142は、Ti,Au,Sn,Ni,Cr,Ga,In,Bi,Cu,AgまたはTaのうち何れか一つを含むことができる。
【0056】
例えば、前記オミック層144は、ITO(indium tin oxide),IZO(indium zinc oxide),IZTO(indium zinc tin oxid),IAZO(indium aluminum zinc oxide),IGZO(indium gallium zinc oxide),IGTO(indium gallium tin oxide),AZO(aluminum zinc oxide),ATO(antimony tin oxide),GZO(gallium zinc oxide),IZON(IZO Nitride),AGZO(Al−Ga ZnO),IGZO(In−Ga ZnO),ZnO、IrOx,RuOx,NiO,RuOx/ITO,Ni/IrOx/Au及びNi/IrOx/Au/ITO,Ag,Ni,Cr,Ti,Al,Rh,Pd,Ir,Ru,Mg,Zn,Pt,Au,Hfのうち少なくとも一つを含めて形成されることができ、この材料に限定するものではない。
【0057】
また、前記反射層146は、前記発光構造物から入射する光を反射させて、光抽出効率を改善することができる。
【0058】
前記反射層146は、Ag、Ni、Al、Rh、Rd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au、Hfのうち少なくとも一つを含む金属または合金で形成されることができる。また、前記反射層146は、前記金属または合金とIZO、IZTO、IAZO、IGZO、IGTO、AZO、ATOなどの透光性の伝導性物質を用いて多層に形成されることができ、例えば、IZO/Ni、AZO/Ag、IZO/Ag/Ni、AZO/Ag/Niなどで積層することができる。
【0059】
また、前記伝導性支持基板148は、前記発光構造物を支持し前記発光構造物に電源を提供することができる。前記伝導性支持基板148は、電気伝導性が優れた金属、金属合金、もしくは伝導性半導体物質で形成されることができる。
【0060】
例えば、前記伝導性支持基板は、銅(Cu)、銅合金(Cu Alloy)、金(Au)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅−トングステン(Cu−W)、キャリアウエハ(例えば、Si、Ge、GaAs、GaN、ZnO、SiGe、SiCなど)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0061】
前記伝導性支持基板を形成させる方法は、電気化学的な金属蒸着方法、メッキ方法や共晶金属を用いた結合方法などを採用することができる。
【0062】
以下、本発明の実施形態でエピタキシャル構造のうち主たる構成要素らの相互有機的作動原理は、以下のように幾つかの構造の例を通じてより詳しく説明する。
【0063】
(第1エピタキシャル構造)
第1構造例によるエピタキシャル構造は、電子注入層/第2活性層/ゲート量子壁/第1活性層/正孔注入層の順に形成されることを特徴とする。
【0064】
第1構造例で低電流注入のときにキャリアは、主に第1活性層に流入されて発光することになる。第1活性層のエネルギーバンドギャップは、第2活性層のエネルギーバンドギャップとその大きさが同じであるかまたはより大きいことが好ましい。注入電流量が増加して一定注入電流量以上が注入されると、正孔はゲート量子壁を乗り越えて第2活性層まで満ち始める。よって、高電流注入のときに第1活性層と第2活性層の両方が発光に寄与することになり、キャリア受容容量がより大きい第2活性層が主たる発光源になる。
【0065】
(第2エピタキシャル構造)
第2構造例による他のエピタキシャル構造は、電子注入層/第3活性層/ゲート量子壁/第4活性層/正孔注入層の順に形成されることを特徴とする。
【0066】
第2エピタキシャル構造例で低電流注入のときにキャリアは、主に第3活性層に流入されて発光することになる。第4活性層のエネルギーバンドギャップは、第3活性層のエネルギーバンドギャップより大きいことが好ましい。ゲート量子壁は、低電流注入のときに正孔が第3活性層に効果的に注入されることができるようにゲート量子壁のエネルギーバンドギャップは、その大きさが正孔注入層のエネルギーバンドギャップの大きさより小さいことが好ましい。高電流注入のとき、電子はエネルギーバンドギャップが小さい第3活性層を満ちて、ゲート量子壁を乗り越えて第4活性層に注入されて発光に寄与する。
【0067】
(第3エピタキシャル構造)
第3構造例によるエピタキシャル構造は、電子注入層/第4活性層/ゲート量子壁/第3活性層/ゲート量子壁/第4活性層/正孔注入層の順に形成されることを特徴とする。第3エピタキシャル構造で低電流注入のときにキャリアは、主に第3活性層に流入されて発光することになる。第4活性層のエネルギーバンドギャップは、第3活性層のエネルギーバンドギャップより大きいことが好ましい。ゲート量子壁は、低電流注入のときに正孔が第3活性層に効果的に注入されることができるようにゲート量子壁のエネルギーバンドギャップは、その大きさが正孔注入層のエネルギーバンドギャップの大きさより小さいことが好ましい。
【0068】
高電流注入のとき、電子はエネルギーバンドギャップが小さい第3活性層を満ちて、ゲート量子壁をドリフトトランスポートして正孔注入層に隣接する第4活性層に注入されて発光に寄与する。高電流注入のとき、正孔は第3活性層を満ちて、ゲート量子壁をドリフトトランスポートして電子注入層に隣接の第4活性層に注入されて発光に寄与する。
【0069】
本発明の実施形態の革新ポイントは単一活性層を備える従来の窒化物半導体の発光素子が有している本質的/構造的限界を克服する知能型スマート発光層構造を提案するということである。
【0070】
従来に単一色(単一波長)を放出する窒化物半導体の薄膜基板の発光素子は、薄膜内部に一つの活性層を備える。従来に二重もしくは三重色(多波長)を放出する窒化物半導体の薄膜基盤の発光素子は、薄膜内部に二もしくは三個の活性層を備えることがある。
【0071】
しかし、このような多波長発光素子は、青色と緑色、もしくは青色と緑色と赤色を同時に放出することで蛍光体物質の使用なしで白色LEDを具現しようとする技術である。本発明の実施形態による多重活性層を備える知能型活性層構造は、単一色(単一波長)を放出する窒化物半導体の発光素子が低注入電流領域から高注入電流領域までの全注入領域において優れた発光効率を具現することができるようにすることで、従来の窒化物半導体の発光素子技術が有している本質的な限界を克服することができる概念を提供することにそのポイントがある。
【0072】
以下、本発明の実施形態による発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムを実施形態別に説明する。
【0073】
(第1実施形態)
図6は、第1実施形態に係る発光素子において、第1エピタキシャル構造による二重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。第1実施形態において、第2活性層が長格子構造形態を備え、第1活性層は単一量子井戸構造を備えることができる。
【0074】
本発明の実施形態に係る発光素子100は、第1導電型半導体層110、第2導電型半導体層130、及び前記第1導電型半導体層110と前記第2導電型半導体総130との間に活性層120を含む。前記第1導電型半導体層110は電子注入層であり、前記第2導電型半導体総130は正孔注入層であることができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
前記活性層120は、前記第2導電型半導体層130に隣接した第1活性層121と、前記第1導電型半導体層110に隣接した第2活性層122及び前記第1活性層121と前記第2活性層122との間に備えられたゲート量子壁125を含む。
【0076】
第1実施形態による発光素子において、活性層120は、低電流領域において効果的に作動する単一量子井戸構造、第1活性層121と高電流領域において効果的に作動する超格子構造、第2活性層122を共に備えて、第1活性層121と第2活性層122との間にゲート量子壁125を備える。
【0077】
本発明の実施形態による発光素子において、活性層120の具現は、低電流注入のときは活性層の結晶欠陥に応じる発光効率減少の問題を克服するように量子井戸構造を活用して発光に関与する発光層領域を最小に設計して、高電流注入のときは超格子構造を活用して発光に関与する発光層領域を最大に設計することができる。
【0078】
本発明の実施形態において、低電流は5A/cm以下、高電流は35A/cm以上を意味することができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
前記第1活性層121は、量子力学的に形成される量子化エネルギー準位を備える量子井戸を含む。第1活性層121において、nは量子効果を示す量子井戸の内で電子と正孔が位置することができる量子化エネルギー準位の数を説明の便利のために概略的に表示する。
【0080】
前記第2活性層122は、超格子構造を備える発光層である。第2活性層122の多重量子井戸構造で量子壁の厚さが十分に薄く形成されると量子壁はその以上の量子束縛効果を表すことができず、量子井戸の内に束縛されていた電子もしくは正孔は薄い量子壁を量子力学的トンネル効果によって通過して超格子全体に広げて特定のミニエネルギーバンドを形成することができる。本発明の実施形態において、このバンド構造を超格子ミニバンドと称することができるが、これに限定するものはない。
【0081】
一方、本発明の実施形態において第2活性層122の超格子構造は、光が発生する発光領域であり、これは従来の応力緩衝用もしくはキャリア注入用超格子構造が発光領域でないこととは区別される。
【0082】
前記第2活性層122は、多重量子井戸122a、122b、122c、122d及び多重量子(図示せず)構造を含め、前記第2活性層の量子壁はキャリア(電子または正孔)の量子力学的トンネリングが可能である。
【0083】
例えば、前記第2活性層の量子壁は、0.2〜7nmの厚さd2を有することができる。例えば、前記第2活性層122内の超格子構造において量子壁の厚さが7nm以下でなければ効果的なミニバンドを形成することができず、注入された正孔が効果的に超格子全体に分布することができない。
【0084】
前記第2活性層122の量子井戸122a、122b、122c、122dの各々の厚さは2〜10nmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
本実施形態において、前記ゲート量子壁125は、低電流印加のとき第2導電型半導体層130を介して第1活性層121に注入される正孔が第2活性層122へ通り過ぎないように束縛することができ、一定注入電流以上の高電流印加のとき第2導電型半導体層130を介して第1活性層121に注入される正孔が第2活性層122にドリフトトランスポートして効果的に通り過ぎられるようにことができる。
【0086】
例えば、前記ゲート量子壁125の厚さdgは、0.3〜15nmであることができる。前記ゲート量子壁125が3nm未満である場合、低電流注入のとき第1活性層121内の量子井戸中に正孔を効果的に束縛することができなく、前記ゲート量子壁125が15nmを超える場合、高電流注入のときに正孔がゲート量子壁125を効果的に通り過ぎることができなくなる。
【0087】
また、前記ゲート量子壁125の厚さdgは、0.4〜12nmであることができるが、これに限定されるものではない。前記ゲート量子壁125が4nm以上である場合、低電流注入のとき第1活性層121内の量子井戸中に正孔をより効果的に束縛することができ、前記ゲート量子壁125が12nm以下である場合、高電流注入のときに正孔がゲート量子壁125をより効果的に通り過ぎて第2活性層122に注入されることができる。
【0088】
前記ゲート量子壁125のエネルギーバンドギャップの大きさは、前記第1活性層の量子井戸121のエネルギーバンドギャップの大きさより大きく、前記第2導電型半導体層130のエネルギーバンドギャップの大きさと同様であるかまたはより小さいことが好ましい。低電流注入のとき、正孔が第1活性層の量子井戸121に効果的に束縛されるためには、前記ゲート量子壁125のエネルギーバンドギャップが第1活性層の量子井戸のエネルギーバンドギャップの大きさより大きいことが必要である。
【0089】
注入電流が増加することによって、第1活性層121の量子井戸に累積される正孔量が増加することになって、正孔の一部は、注入された電子と結合して光を生成させて消える。
【0090】
高電流注入のとき、第1活性層の量子井戸121に注入される正孔が効果的に前記ゲート量子壁125を通り過ぎて第2活性層122に注入されるためには、前記ゲート量子壁125のエネルギーバンドギャップが前記第2導電型半導体層130のエネルギーバンドギャップよりその大きさが小さいことが好ましい。前記ゲート量子壁125のエネルギーバンドギャップは、窒化物半導体(InAlGa1−x−yN(0≦x、y≦1)のゲート量子壁の組成を調節することで制御することができる。
【0091】
本発明の実施形態に置いて、理想的な活性層120の主たる作動原理は、窒化物半導体の活性層120内で電子は、有効質量が小さくて移動度が高く、正孔は有効質量が相対的に大きくて移動度が非常に低いという窒化物半導体物質の固有な属性を用いる。
【0092】
低電流注入のときに第1導電型半導体層110、例えば電子注入層から活性層120に注入される電子は、活性層120内で移動度が相対的に高く、超格子構造である第2活性層122とゲート量子壁125をたやすく通り過ぎて第1活性層121内の量子井戸層に着く。
【0093】
一方、低電流注入のときに第2導電型半導体層130、例えば正孔注入層から活性層120に注入される正孔は有効質量が大きいため、移動度が低く、正孔注入層に隣接した第1活性層121内の量子井戸に量子力学的に束縛されてゲート量子壁125を効果的に通過することができない。
【0094】
一方で、高電流注入のときは正孔注入層から活性層に注入される正孔は最初に第1活性層121内の量子井戸を全て満ちて残りの正孔はゲート量子壁125を通過して超格子構造第2活性層122に着くことができる。第2活性層122は、多量の残り正孔を効果的に受容することができ発光に寄与することで高電流注入のときに主たる活性層になる。高電流注入のとき、電子注入層から活性層へ注入される電子は、活性層全体にやすく分布することができる。
【0095】
本実施形態の作動原理を図6を参照してより詳しく説明する。
【0096】
低電流注入のときに第2導電型半導体層130、例えば、正孔注入層から活性層に注入される正孔は、第1活性層121量子井戸に注入される。前記第1活性層121の量子井戸に注入される正孔は、エネルギー状態が最低の量子化エネルギー順位n=1に位置することになる。n=1の量子化エネルギー順位に位置した正孔は量子力学的に量子井戸内に束縛されて、電子対比相対的に有効質量が大きく移動度が低くてゲート量子壁125を透過して第2活性層122に移動しない。本実施形態によれば、第1活性層121の量子井戸の厚さは、2〜16nmであることが好ましい。例えば、第1活性層121の量子井戸の厚さは、2〜10nmであることがより好ましい。一方、第1導電型半導体層110、例えば電子注入層から活性層に注入される電子は、正孔対比量子力学的有効質量が小さく移動度が高くて第2活性層122とゲート量子壁125を効果的に通過して第1活性層121の量子井戸に着く。
【0097】
前記第1活性層121の量子井戸に注入された電子は、エネルギー状態が最低のn=1の量子化エネルギー順位に位置することになる。結局、低電流注入のとき注入された電子と正孔は、第1活性層121の量子井戸内で互いに結合して光を放出する。
【0098】
一方で、高電流注入のとき、第2導電型半導体層130、例えば、正孔注入層から活性層に注入される正孔は最初に第1活性層121の量子井戸内のすべての量子化エネルギー準位を満ちて残りの正孔はゲート量子壁125を通り過ぎて第2活性層122の中に流入される。第2活性層122は、超格子ミニバンドを備えているので第1活性層121の量子井戸対比相対的に大量の正孔をミニバンド内に量子力学的に受容することができる。
【0099】
本実施形態によれば、前記第2活性層122は、エネルギーバンドギャップが小さい量子井戸とエネルギーバンドギャップが大きい量子壁が交代に少なくとも2回以上反復積層されて、電子と正孔が量子力学的にトンネリングが可能な超格子構造を備えることができる。本実施形態によれば、第2活性層122の量子井戸の個数は、2〜20個を備えることができる。
【0100】
本実施形態によれば、第1活性層121の量子井戸のエネルギーバンドギャップの大きさは第2活性層内の量子井戸122a、122b、122c、122dのエネルギーバンドギャップの大きさと同一であるかより大きいことが好ましい。これは注入電流が一定値以上であるとき、正孔が第1活性層121においてゲート量子壁125を通り過ぎて第2活性層122に効果的に送ることができるためである。正孔注入効率は、エネルギー状態が高い位置から低い位置に注入されるとき本質的に増大する。
【0101】
第2活性層122に注入される正孔は、超格子全体に効果的に分散されて電子注入層から注入される電子と量子力学的に結合して効果的に光を放出する。結局、高電流注入のとき、注入された電子と正孔は、第1活性層121と第2活性層122に分散されて両発光層で効果的に結合して光を放出することができる。
【0102】
本実施形態によれば、素子作動に要する注入電流量は、低電流領域と高電流領域とに明らかに区分されることではなくて、具現しようとする発光素子製品の使用用度に応じて可変的に選択及び調節されることができる。
【0103】
本実施形態によれば、前記第1活性層121で前記第2活性層122に注入される正孔の注入効率は、ゲート量子壁125のエネルギー障壁の高さ及びゲート量子壁125の厚さによって効果的に制御することができる。さらに、本実施形態によれば、第1活性層121から第2活性層122に注入される正孔の注入効率は、第1活性層121のエネルギーバンドギャップの大きさと第2活性層122のエネルギーバンドギャップの大きさを相対的に調節することで効果的に制御されることができる。
【0104】
本実施形態によれば、前記第1活性層121のエネルギーバンドギャップが前記第2活性層122のエネルギーバンドギャップとその大きさが同一であるかより大きいとき、一定注入電流以上で、正孔が効果的に第1活性層121から第2活性層122に移送されることができる。
【0105】
図7は、第1実施形態によって製造された二重活性層を備える窒化物半導体発光素子の注入電流による発光効率特性を示す。素子製造のために薄膜成長は、LPMOCVDを使用したが、これに限定されるものではない。基板はサファイアを用い、レーザリフトオフ方式を採用して基板を除去した後、垂直型のLEDチップを製造した。
【0106】
効果比較のため、従来5個の量子井戸層を備える青色発光素子を製造した。図7によれば、従来の多重量子井戸構造基板の窒化物半導体の青色発光素子の内部発光効率対比、実施形態によって製造された二重活性層を備える発光素子が注入電流の全領域において優れた発光効率特性を示している。
【0107】
第1実施形態によれば、従来の発光素子対比、注入電流1000mAにおいて、実施形態による発光素子は30%以上の発光効率の改善効果を示す(図6参照)。
【0108】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態による二重活性層を備える発光素子(構造例1)の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。第2実施形態においては、第2活性層が超格子構造の形態を備えて、第1活性層は、2個の量子井戸層を備える多重量子井戸構造を備えている。第2実施形態は前記第1実施形態の技術的な特徴を採用することができる。
【0109】
第2実施形態による発光素子100bは、第1活性層121が多重量子井戸構造であってもよく、これによって複数個の量子井戸121a、121bと量子壁121cを含むことができる。
【0110】
第2実施形態において第1活性層121が多重量子井戸構造を備える場合、単一量子井戸を備える場合対比、低電流領域だけではなく中間領域の電流注入のときにも第1活性層121が主たる活性層として効果的に作動することができる。
【0111】
例えば、低電流注入のとき、第2導電型半導体層130、例えば、正孔注入層から注入される正孔は、最初に第1活性層121内の第1量子井戸121aに束縛されて電子と結合して発光することになる。
【0112】
一方、中間領域の電流注入のとき、正孔注入層から注入される正孔は、最初に第1活性層121内の第1量子井戸121aの量子化エネルギー順位を満ちて、残りの正孔は第1活性層内の量子壁121cを通り過ぎて第2量子井戸121bに注入された後電子と結合して発光することができる。
【0113】
第2実施形態において、前記第1活性層121の量子井戸の個数は2個または3個であることができる。
【0114】
第2実施形態において第1活性層121内の多重量子井戸構造に量子井戸の数が3個を超える場合、高電流注入のとき、正孔注入層から第2活性層122へ注入される正孔は多重量子井戸構造の第1活性層を通過するときに相対的に大きい直列抵抗を経て第2活性層122への正孔注入効率が低くなる。よって、第1活性層121内の多重量子井戸構造に量子井戸の数が3個を超える場合、高電流注入のとき、第2活性層122が効果的に主たる活性層として作動することができなくなる。
【0115】
第2実施例において第1活性層121の量子壁121cは、前記ゲート量子壁125の厚さdg以下であることができる。例えば、第2実施形態において第1活性層121の量子壁121cは、0.2〜7nmであることができる。
【0116】
第2実施形態において、第1活性層121内の量子壁121cの厚さd1が7nmを超える場合、中間電流及び高電流注入のとき、正孔注入層から活性層へ注入される正孔は最初に第1活性層121内の第1量子井戸121aを満ちて、残りの正孔は相対的に厚い量子壁121cを通過するときに高い直列抵抗を受けることになって非発光損失が発生して第1活性層121内の第2量子井戸121bと第2活性層122への正孔注入効率が低くなる。
【0117】
よって、第1活性層121内の量子壁121cの厚さd1が7nmを超える場合、中間電流及び高電流注入のとき、第1活性層121内の第2量子井戸121bと第2活性層122が効果的に発光に寄与することができなりうる。
【0118】
本実施形態によれば、第2実施形態に置いて、第1活性層121の量子井戸の厚さは、2〜10nmであることが好ましい。実施形態によれば、前記第1活性層121内の量子壁121cのエネルギーバンドギャップの大きさは、前記ゲート量子壁125のエネルギーバンドギャップの大きさと同様であるかより小さいことが好ましい。実施形態によれば、第2実施形態において、注入電流の増加のとき、第1活性層121から第2活性層122への正孔の注入効率は、第1活性層内の量子壁121cのエネルギー障壁の高さが低くて厚さが薄ければ薄いほど増大することができる。
【0119】
前記中間電流は、5〜35A/cm以下を意味することができるが、これに限定されるものではない。
【0120】
以下、第1、第2実施形態による発光素子の製造方法を説明する。
【0121】
例えば、サファイアなどの基板(図示せず)の上に第1導電型半導体層110、活性層120、第2導電型半導体層130を形成する。例えば、基板(図示せず)上に窒化物半導体電子注入層を成長して窒化物半導体層及び正孔注入層を成長製造する。
【0122】
窒化物半導体の電子注入層薄膜上に超格子構造を備える第2活性層122を製造して第2活性層122と第1活性層121との間には、ゲート量子壁125を製造することができる。
【0123】
前記第2活性層122の超格子構造は、エネルギーバンドギャップが互いに異なる複数個の窒化物半導体層を積層して製造されることができる。前記第2活性層122の超格子構造は、エネルギーバンドギャップが互いに異なる複数個の窒化物半導体層を積層して製造される場合、反復回数は少なくとも2回以上であることができる。第2活性層122の超格子構造内のエネルギーバンドギャップが大きい窒化物半導体層の厚さは、0.2〜7nmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0124】
前記第2活性層122の超格子構造内のエネルギーバンドギャップが小さい窒化物半導体層の厚さは、2〜10nmであることができるが、これに限定されるものではない。前記第2活性層122と第1活性層121との間に位置するゲート量子壁125は、その厚さは3〜15nmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0125】
前記第2活性層122と第1活性層121との間に位置するゲート量子壁125は、その厚さは3〜15nmであることができるが、これに限定されるものではない。前記第1活性層121内の量子井戸は、1〜3個程度であることができる。前記第1活性層121内の量子井戸層の厚さは、2〜10nmであることができるが、これに限定されるものではない。前記第1活性層121が多重量子井戸構造を備える場合、量子壁の厚さd2は、0.2〜7nmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態による二重活性層を備える発光素子(前記第1エピタキシャル構造例参照)の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。第3実施形態においては、第2活性層124が相対的に幅の広い単一量子井戸構造の形態を備えて、第1活性層121は相対的に幅の狭い単一量子井戸構造を備える。
【0127】
第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態の技術的な特徴を採用することができる。
【0128】
第3実施形態による発光素子において、活性層120は、低電流領域において効果的に作動する単一量子井戸構造、第1活性層124と高電流領域において効果的に作動する超格子構造、第2活性層122を共に備えて、第1活性層121と第2活性層122との間にゲート量子壁125を備える。
【0129】
また、本実施形態によれば、第3実施形態による第1活性層121は一つ、または二つ以上の量子井戸層で構成されることができる。
【0130】
本実施形態によれば、第1活性層121は第2活性層124に比べ厚さが相対的に薄く形成されて量子力学的な量子井戸の束縛効果がさらに優れる。
【0131】
第2導電型半導体層130と隣の位置する第1活性層121の厚さは、1〜10nmであることが好ましい。前記第1活性層の厚さが1nmより小さい場合、量子力学的に十分な量のエネルギー準位を活性層(発光層)内に形成することができなくなる。
【0132】
前記第1活性層の厚さが10nmより大きい場合、量子力学的に量子井戸の束縛効果が相対的に小さくなるという問題を有する。前記第1活性層は、量子束縛効果によって低電流注入のときに優れた発光効率を提供することができる。本実施形態によれば、第2活性層124はその厚さが3〜300nmであることが好ましい。前記第2活性層124の厚さが300nm以上である場合、結晶欠陥に応じる非発光損失効果が著しく増加して結果的に発光素子の発光効率を著しく低下させる。前記第2活性層124の厚さが3nmより小さく形成される場合、注入されるキャリアの量が大量である場合、効果的にキャリアを第2活性層内に受容することができなくて、結局、素子の発光効率を低下させることができる。
【0133】
本実施形態によれば、第2活性層はその厚さが第1活性層の厚さ対比相対的により厚いことを特徴とする。本実施形態によれば、電子注入層である第1導電型半導体層110に隣接に配置される第2活性層124は、n型ドーピングされることが可能である。例えば、n型にドーピングされる第2活性層124は、注入される電子は、第2活性層124を通り過ぎて効果的に第1活性層121に注入されることができる。
【0134】
実施形態による発光素子は、低電流注入のとき、第1活性層121が主たる活性層として作動して、高電流注入のときは第2活性層124が主たる活性層として作動することができる。
【0135】
本実施形態によれば、n型半導体層である第1導電型半導体層110の周辺に位置する第2活性層124のエネルギーバンドギャップは、p型半導体層である第2導電型半導体層130の周辺に位置する第1活性層121のエネルギーバンドギャップ対比その大きさが同じであるかより小さいことが好ましい。
【0136】
実施形態によれば、発光素子に低電流が注入されるとき、正孔が量子化エネルギー準位が低い第1活性層121に十分に満ちた後に束縛されて第1活性層121にて発光を行った後、第2活性層124へ移動するようにすることができる。この際、第2活性層124と第1活性層121との間にゲート量子壁125が位置し、3〜8nmの厚さで形成されることが好ましい。
【0137】
本実施形態によれば、第1活性層121は一つであることが例示されているが、第1活性層121は二つまたは三つ以上に形成されることは勿論である。図10は、第3実施形態によって製造された二重活性層を備える窒化物半導体の青色発光素子の注入電流による光出力の特性を示す図である。
【0138】
第3実施形態によれば、第10は低電流領域において幅の狭い井戸を備える第1活性層が作動して、高電流領域においては幅の広い井戸を備える第2活性層が主として作動していることを示している。
【0139】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係る発光素子において、第3活性層は多重量子井戸構造で、第4活性層は広い単一量子井戸構造である二重活性層(dual active luminescent layers)を備える窒化物半導体の発光素子に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【0140】
第4実施形態は、前記第1実施形態乃至第3実施形態の技術的な特徴を採用することができる。
【0141】
第4実施形態による電子注入層である第1導電型半導体層110に隣接した第3活性層123は、多重量子井戸構造であることができ、正孔注入層である第2導電型半導体層130に隣接した第4活性層126は、広い単一量子井戸構造であることができる。
【0142】
前記第3活性層123内の各々の量子井戸は、厚さが1〜10nmであることができ、前記第4活性層126は、厚さが少なくとも3〜300nmであることができる。第4実施形態によれば、前記第4活性層126の厚さは、前記第3活性層123内の各々の量子井戸の厚さより大きいことを主要な特徴とする。
【0143】
第4実施形態において、前記第4活性層126は、p−型ドーピングされることができる。第4実施形態によれば、前記広い井戸構造の第4活性層のエネルギーバンドギャップは、前記第3活性層内の量子井戸のエネルギーバンドギャップ対比、その大きさが同一であるか大きいことが好ましい。
【0144】
上述の発光素子に低電流が注入されるとき、前記第4活性層126は相対的にエネルギーバンドギャップが大きくて、例えば、p型ドーピングされているので注入される正孔は、第4活性層を通り過ぎて効果的に第3活性層に注入されることができる。そして、前記第1導電型半導体層110から注入される電子は、主として前記第3活性層にて前記正孔と結合して光を放出することになる。
【0145】
第4実施形態によれば、正孔注入層である第2導電型半導体層130に隣接した第4活性層126のエネルギーバンドギャップが電子注入層である第1導電型半導体層110のエネルギーバンドギャップと同一であるかより大きいことが正孔注入効率の側面から好ましい。
【0146】
ここで、前記第1エピタキシャル構造例(第1実施形態乃至第3実施形態)との違いは、p型導電型半導体層に隣接した第4活性層126が高電流用、つまり、広い幅の井戸であるので、もし、第3活性層123と第4活性層126のエネルギーバンドギャップの大きさが互いに同一であれば、第4活性層126の厚さが厚いのでより厚い量子井戸に量子化されるエネルギー順位は厚さが薄い第3活性層123内の基底状態(n=1)エネルギー順位よりエネルギー状態が量子力学的にさらに低くなる。
【0147】
よって、第1エピタキシャル構造例と同一の作動原理の側面から、つまり、正孔注入効率の増大観点から見ると、p型導電型半導体層に隣接する厚い第4活性層126は、少なくもエネルギーバンドギャップが第3活性層123と比較して、少しでもより大きいことが好ましい。
【0148】
また、第1エピタキシャル構造例対比、第2エピタキシャル構造例(第4実施形態)は、第4活性層126がp型導電型半導体層130に隣接する。よって、低電流注入のときに正孔が第3活性層123まで注入されて1次発光を行うべきなので、第1エピタキシャル構造例対比、第2エピタキシャル構造例では、ゲート量子壁125が低電流注入のときに効果的にトンネリングが発生するように厚さがより薄く設計されることができる。
【0149】
第4実施形態によれば、図12に示すように、前記発光素子に低電流が注入されるときに前記第1導電型半導体層110から注入される電子は、主に第3活性層に束縛されて、第4活性層では、相対的に電子濃度の低下が発生する。
【0150】
図12は、第4実施形態によって製造される二重活性層を備える発光素子に低電流が注入されるときに二重活性層の内部においての電子と正孔の分布度を示す図である。
【0151】
そして、前記発光素子に高電流が注入されるとき、第1導電型半導体層110から前記活性層に注入される電子のうち一部は、前記第3活性層123内の多重量子井戸内のすべての量子化エネルギー準位を満ちて、残りの電子はトンネリングもしくはドリフトトランスポートプロセスなどでゲート量子壁125を通り過ぎて前記第4活性層126に注入される。
【0152】
第4実施形態によれば、図13に示すように、前記発光素子に高電流が注入されるときに前記第1導電型半導体層110から注入される電子は、主に第4活性層126で相対的に電子濃度の増加が発生する。
【0153】
図13は、第4実施形態によって製造される二重活性層を備える発光素子に高電流が注入されるときに二重活性層の内部においての電子と正孔の分布度を示す図である。
【0154】
すなわち、第12に示すように、前記発光素子に低電流が注入されるときに前記第4活性層で電子濃度の低下によって主に第3活性層で発生するか、図13に示すように、高電流が注入されるときは、第3活性層と第4活性層の両方で均一に発光することをわかる。
【0155】
前記第4活性層126は、前記第3活性層123内の多重量子井戸より厚くて相対的に多くの電子を効果的に受容することができて、前記電子が正孔と結合して光を出す。
【0156】
よって、第4実施形態によれば、高電流注入のときに活性層の内へ注入された電子と正孔は、第3活性層と第4活性層とに分散されて両活性層に互いに効果的に結合して光を放出することで広い注入電流領域において高い発光量子効率を提供することができる。
【0157】
図14は、第4実施形態によって製造される二重活性層構造を備える窒化物半導体の青色発光素子の注入電流密度による内部発光量子効率の動きを示す。図14に示すように、多重量子井戸構造の第1活性層だけを備える発光素子と広い単一量子井戸構造の第2活性層だけを備える発光素子などと比較するとき、第4実施形態による二重活性層を備える発光素子は、相対的に広い注入電流領域において優れた内部量子効率を提供する。
【0158】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態に係る発光素子において、多重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【0159】
例えば、図15は、前記第3エピタキシャル構造例によって、一個の第3活性層123の多重量子井戸構造であり、正孔注入層と電子注入層に各々隣接して配置される第4活性層126及び第5活性層128は、幅の広い単一量子井戸構造である多重活性層を備える発光素子の活性層に対するエネルギーバンドギャップの概略図である。
【0160】
第5実施形態は、前記第5実施形態の技術的な特徴を採用することができる。
【0161】
第5実施形態においては、二つの広い単一量子井戸である第4、第5活性層126、128の間に多重量子井戸構造の第3活性層123が配置される構造を備えることを特徴とする。
【0162】
第5実施形態による発光素子で、低電流領域においては、多重活性層の中心部に位置する多重量子井戸構造の第3活性層が主に発光に寄与して、高電流領域においては二個の広い単一量子井戸の第4、第5活性層が主に効果的に発光に寄与する。
【0163】
第5実施形態において第3活性層と第4活性層との間及び前記第3活性層と前記第5活性層との間には、前記の実施形態のようにゲート量子壁を備える。
【0164】
第5実施形態による発光素子で、電流が注入されるときの発光作動原理も、前記の実施形態で説明した発光作動原理と類似に作動する。第5実施形態による発光素子の作動原理を、図15を基により詳しく説明すると以下のようである。
【0165】
低電流注入のとき、正孔注入層から活性層に注入される正孔は、最初に第4活性層126を通り過ぎて第1ゲート量子壁125aを通り過ぎて第3活性層123内の量子井戸層に注入される。
【0166】
第5実施形態によれば、第4活性層126のエネルギーバンドギャップは、第3活性層123内の量子井戸層のエネルギーバンドギャップよりその大きさが大きいことが正孔注入効率増大させることができるので好ましい。
【0167】
一方、低電流注入のとき、正孔注入層から活性層に注入される電子は、最初に第5活性層128を通り過ぎて第2ゲート量子壁125bを通り過ぎて第1活性層内の量子井戸層に注入される。
【0168】
第5実施形態によれば、第5活性層のエネルギーバンドギャップは、第3活性層内の量子井戸層のエネルギーバンドギャップよりその大きさが大きいことが電子注入効率を増大させることができるので好ましい。
【0169】
結局、低電流注入のとき電子と正孔は、効果的に、多重活性層の中心部に位置している第3活性層に注入されて互いに結合して光を放出する。
【0170】
一方、高電流注入のとき、電子注入層から活性層に注入される電子は、中心部に位置する第3活性層123内部の量子化エネルギー順位をすべて満ちて、残りの電子はゲート量子壁125a、125bを通り過ぎて正孔注入層に隣接している第4活性層126及び電子注入層に隣接している第5活性層128までに効率的に注入される。
【0171】
よって、高電流注入のときに第4活性層126及び第5活性層128は、多量のキャリアを効果的に受容して発光に主に寄与するようにする。
【0172】
図16は、第5実施形態によって製造された多重活性層を備えている窒化物半導体の青色発光素子の注入電流に対する光出力の動きを示す図である。従来の多重量子井戸構造の単一活性層を備えている窒化物半導体の窒化物半導体の青色発光素子の光出力と比較して、第5実施形態による多重活性層の発光効率が非常に優れることをよく示している。
【0173】
図17は、実施形態による発光素子のパッケージの断面図である。
【0174】
図17を参照すると、実施形態による発光素子パッケージ200は、パッケージ本体部205と、前記パッケージ本体部205に取り付けられた第3電極層213及び第4電極層214と、前記パッケージ本体部205に取り付けられて前記第3電極層213及び第4電極層214と電気的に接続される発光素子100と、前記発光素子100を囲む成型部材240が含む。
【0175】
前記パッケージ本体部205は、シリコーン材質、合成樹脂材質、または金属材質を含めて形成されることができ、前記発光素子100の周りに傾斜面が形成されることができる。
【0176】
前記第3電極層213及び第4電極層214は、互いに電気的に分離され、前記発光素子100に電源を提供する役割を果たす。また、前記第3電極層213及び第4電極層214は、前記発光素子100から発生された光を反射させて光効率を増加させる役割を果たすことができ、前記発光素子100から発生された熱を外部へ排出させる役割を果たすこともできる。
【0177】
前記発光素子100は、実施形態による前記実施形態で例示された発光素子100が適用されることができるが、これに限定されるものではなく、水平型発光素子、フリップチップ型発光素子などに採用されることができる。
【0178】
前記発光素子100は、前記パッケージ本体部205上に取り付けられるか、前記第3電極層213または第4電極層214上に取り付けられることができる。
【0179】
前記発光素子100は、ワイヤ230を介して前記第3電極層213及び/または第4電極層214と電気的に接続されることができ、実施形態では、垂直型の発光素子100が例示されて、一個のワイヤ230が用いられることが例示されているが、これに限定されるものはない。
【0180】
前記成型部材240は、前記発光素子100を囲んで前記発光素子100を保護することができる。また、前記成型部材240には、蛍光体が含められて前記発光素子100から放出された光の波長を変化させることができる。
【0181】
実施形態による発光素子パッケージは、照明システムに適用されることができる。前記照明システムは、図18に示す照明ユニット、図19に示すバックライトユニットを含めて、信号灯、車両のヘッドライト、看板などが含まれることができる。
【0182】
図18は、実施形態による照明ユニット1100の斜視図である。
【0183】
図18に示すように、前記照明ユニット1100は、ケース本体1110と、前記ケース本体1110に取り付けられた発光モジュール部1130と、前記ケース本体1110に取り付けられ外部電源から電源を提供される接続端子1120を含むことができる。
【0184】
前記ケース本体1110は、放熱特性が良好な材質から形成されることが好ましく、例えば金属材質又は樹脂材質から形成されることができる。
【0185】
前記発光モジュール部1130は、基板1132と、前記基板1132に搭載される少なくとも一つの発光素子パッケージ200とを含むことができる。
【0186】
前記基板1132は、絶縁体に回路パターンが印刷されたものであってもよく、例えば、一般の印刷回路ボード(PCB:Printed Circuit Board)、メタルコアPCB、フレキシブルPCB、セラミックPCBなどがありうる。
【0187】
また、前記基板1132は、光を効率的に反射する材質から形成されるか、表面の色を、光を効率的に反射する色、例えば白色、銀色などに形成されることができる。
【0188】
前記基板1132上には、少なくとも一つの発光素子パッケージ200が搭載されることができる。前記発光素子パッケージ200の各々は、少なくとも一つの発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)100を含むことができる。前記発光ダイオード100は、赤色、緑色、青色または白色の有色の光を各々発光する有色の発光ダイオード及び紫外線を発光するUV発光ダイオードを含むことができる。
【0189】
前記発光素子100は、実施形態による前記実施形態で例示された発光素子100が適用される。
【0190】
前記発光モジュール部1130は、色感及び輝度を得るために多様な発光素子パッケージ200の組合わせを有するように配置されることができる。例えば、高演色性(CRI)を確保するために、白色発光ダイオード、赤色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードを組み合わせて配置できる。
【0191】
前記接続端子1120は、前記発光モジュール部1130と電気的に接続されて電源を供給できる。図18に示すように、前記接続端子1120は、ソケット方式で外部電源にまわし挟まれて結合されるが、これに対して限定されるものではない。例えば、前記接続端子1120は、ピン(pin)状に形成されて外部電源に挿入されるか、配線により外部電源に接続されることもできる。
【0192】
図19は、実施形態による照明ユニット1200の分解斜視図である。
【0193】
実施形態による照明ユニット1200は、導光板1210と、前記導光板1210に光を提供する発光モジュール部1240と、前記導光板1210の下に反射部材1220と前記導光板1210、発光モジュール部1240及び反射部材1220を格納するボトムカバー1230を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0194】
前記導光板1210は、光を拡散させて面光源化させる機能を果たす。前記導光板1210は、透明な材質からなり、例えば、PMMA(polymethylmetaacrylate)のようなアクリル樹脂系、PET(polyethyleneterephthlate)、PC(polycarbonate)、COC(cycloolefin copolymer)及びPEN(polyethylene naphthalate)樹脂のうち、何れか一つを含むことができる。
【0195】
前記発光モジュール1240は、前記導光板1210の少なくとも一側面に光を提供し、最終的には、前記照明ユニットが取り付けられる表示装置の光源として作用するようになる。
【0196】
前記発光モジュール部1240は、前記導光板1210と接することができるが、これに限定されるものではない。具体的に、前記発光モジュール部1240は、基板1242と、前記基板1242に搭載される多数の発光素子パッケージ200を含むが、前記基板1242が前記導光板1210と接することができるが、これに限定されるものではない。
【0197】
前記基板1242は、回路パターン(図示せず)を含む印刷回路ボード(PCB)でありうる。ただし、前記基板1242は、一般PCBのみだけでなく、メタルコアPCB(MCPCB)、フレキシブルPCBなどを含むこともでき、これに対して限定するものではない。
【0198】
そして、前記複数の発光素子パッケージ200は、前記基板1242上に光が放出される発光面が前記導光板1210と所定距離が離隔されるように搭載されることができる。
【0199】
前記導光板1210下には、前記反射部材1220が形成されることができる。前記反射部材1220は、前記導光板1210の下面に入射された光を反射させて上に向かうようにすることによって、前記ライトユニット1050の輝度を向上させることができる。前記反射部材1220は、例えば、PET、PC、PVCレジンなどから形成されることができるが、これに対して限定するものではない。
【0200】
前記ボトムカバー1230は、前記導光板1210、発光モジュール部1240及び反射部材1220などを収納できる。このために、前記ボトムカバー1230は、上面が開口したボックス形状を有することができるが、これに対して限定しない。
【0201】
前記ボトムカバー1230は、金属材質または樹脂材質で形成されることができ、プレス成型または圧出成型などの工程を用いて製造されることができる。実施形態によれば、従来の窒化物半導体の発光素子が有している本質的な問題である高電流注入のときに発生する非発光損失の問題を克服するともに、低電流注入のときに発生する結晶欠陥に応じる非発光損失の問題を画期的に克服することで全注入電流領域で高効率の発光特性を備えることができる理想的な窒化物半導体の発光素子、発光素子パッケージ及び照明システムを提供すると期待される。
【0202】
また、実施形態によれば、窒化物半導体の発光素子の応用分野を画期的に増大すると期待される。
【0203】
また、実施形態によれば、作動の注入電流が低電流領域から高電流領域まで可変するスマート照明製品開発に大活躍すると期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体層と、
第2導電型半導体層と、
前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との間に活性層と、を含み、
前記活性層は、
前記第2導電型半導体層に隣接した第1活性層と前記第1導電型半導体に隣接した第2活性層及び前記第1活性層と前記第2活性層との間にゲート量子壁を含む発光素子。
【請求項2】
前記ゲート量子壁は、第1大きさの電流印加のときに前記第2導電型半導体層を介して前記第1活性層に注入される正孔が前記第2活性層に通り過ぎないように束縛することができ、
前記第1大きさより大きい第2大きさの電流印加のときに前記第2導電型半導体層を介して前記第1活性層に注入される正孔が前記第2活性層にドリフトトランスポートして効果的に通り過ぎるようにする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1大きさの電流は5A/cm以下の電流であり、前記第2大きさの電流は35A/cm以上の電流である請求項6に記載の発光素子。
【請求項4】
前記ゲート量子壁のエネルギーバンドギャップの大きさは、前記第1活性層の量子井戸のエネルギーバンドギャップの大きさより大きくて、前記第2導電型半導体層のエネルギーバンドギャップの大きさと同じであるかまたはより小さい請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第2活性層は、前記第1活性層に比べて量子力学的に量子化された状態密度がより大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1活性層と前記第2活性層から発光する光は、同じ色相の光または同じ波長の光であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1導電型半導体層は電子注入層であり、前記第2導電型半導体層は正孔注入層であり、
前記第1活性層のエネルギーバンドギャップは、前記第2活性層のエネルギーバンドギャップの大きさ以上である請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第2活性層が超格子構造の形態を備え、前記第1活性層は単一量子井戸構造を備える請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記第2活性層は、多重量子井戸及び多重量子壁構造を含み、
前記第2活性層の量子壁は、キャリアの量子力学的トンネリングが可能な請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第2活性層が超格子構造の形態を備え、前記第1活性層は二個の量子井戸層を備える多重量子井戸構造を備える請求項1に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1活性層の量子壁は、前記ゲート量子壁の厚さ以下である請求項10に記載の発光素子。
【請求項12】
前記第1活性層内の量子壁のエネルギーバンドギャップの大きさは、前記ゲート量子壁のエネルギーバンドギャップの大きさ以下である請求項10に記載の発光素子。
【請求項13】
前記第2活性層は、第2幅を有する単一量子井戸構造の形態を備え、前記第1活性層は前記第2幅より狭い第1幅の量子井戸構造を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1活性層は、前記第1幅を有する単一量子井戸構造を含む請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1導電型半導体層は電子注入層であり、前記第2導電型半導体層は正孔注入層であり、
前記第2活性層のエネルギーバンドギャップは、前記第1活性層のエネルギーバンドギャップ対比その大きさが同じであるかまたはより小さい請求項13に記載の発光素子。
【請求項16】
前記第2活性層は、第1導電型にドーピングされる請求項13に記載の発光素子。
【請求項17】
前記第1活性層は、前記第1幅を有する多重量子井戸構造を含む請求項13に記載の発光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate