説明

発光表示部を備えた電子機器

【課題】第1光源により特定の形象を表示する主表示部からの光を透光表示し、かつ、その主表示部の外側に配置された1乃至複数の第2光源からの光を導光する導光板において、隣接する光源からの光の干渉を抑制し輪郭強調することにより、第2光源からの光の視認性を向上させる。
【解決手段】導光板本体部15aの前側から視認される部分に、前から見て導光板本体部15aと突出部15cとの接続部における直交断面部15dを導光方向に投影した発光領域15eを囲繞するように凹部15fを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電力用トランスデューサ、信号変換器または計測制御用遠隔入出力機などの各種計装用の電子機器において、主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示できる発光表示部を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば7つの発光ダイオード(以下、LEDと称する)が基板状に配置され、それらが選択的に発光することにより数字や文字などの特定の形象を表示することのできるセグメント表示方式の主表示部と、その主表示部の前側においてその主表示部に対して導光板が対向配置され、その導光板の延長部の端部に導光板用のLEDを配置して、特定の形象の主表示に導光板用のLED発光を重ねる構成が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その従来の技術を、図10に示した従来の表示装置100の分解斜視図を参照して説明する。
【0004】
表示装置100は、樹脂製で非透光性(例えば不透明)のケース101に、後方側からリフレクタ102と主表示部用発光素子群103とからなる主表示部104と、導光板105と導光板用発光素子対106とからなる面発光部107とがそれぞれの発光面を前方側に向けて収容され、さらに矩形状の発光基板108と裏カバー109がケース101の後方側を覆っている。
【0005】
また、面発光部107は、アクリル等の樹脂やガラス等からなる透光性の単一の導光板105と、主表示部用発光素子群103毎にその配列方向に沿う両側から挟むような対の形態で配置された6対の導光板用発光素子対106を有している。
【0006】
この構成によれば、主表示部用発光素子群103の発光に導光板用発光素子対106の装飾的な発光が加えられその分装飾性が向上するため、より娯楽性が増大できるという効果があった。
【0007】
また、その構成に類似した別の構成も知られていた(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらに、他の従来例として、テレビジョン受像機のコントロールパネルにおいて、機器本体の制御や設定の状態を表示するための単一のインジケータ部として導光板を用いた構成が知られ(例えば、特許文献3参照)、車両用の表示装置において文字盤の外側に導光板の反射によるインジケータ部を設けた構成も知られていた(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−94893号公報(第17頁、図5)
【特許文献2】特開2004−325530号公報
【特許文献3】特開平10−199314号公報
【特許文献4】特開2005−91218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の表示装置の構成では、特定の形象を表示する主表示部の発光に導光板用の発光を重ねる構成であるため、主表示部の表示と導光板用の発光を明確に分離して視認することが困難であるという課題を有していた。
【0011】
つまり、前側から視認される部分に主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示することが出来なかった。
【0012】
これにより、主表示部の表示装置とインジケータ部の表示装置を同一筐体内に別々に設ける必要が生じるので、電子機器における発光表示部の簡素化を大きく阻害していた。
【0013】
また、車両用の表示装置の構成も、同様に特定の形象を表示する主表示部の発光に導光板用の発光を重ねる構成であるため、導光板用の発光が主表示部の発光にも影響していた。
【0014】
さらに、相互に隣接する一方のインジケータ部と他方のインジケータ部との発光領域の輪郭(明部と暗部の境界をいう、以下同じ)が明瞭でないため、より集積化した場合や斜めから見た場合にはより顕著に両方の光が混じり合い、その分視認性が低下するという課題を有していた。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、前側から視認される部分に主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示しても、主表示部の表示と導光板用の発光を明確に分離して視認できるため、主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示できる、簡素な構成の発光表示部を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、第1光源により特定の形象を表示する主表示部と、主表示部の前側において主表示部に対向配置された導光板と、導光板を後側から発光させるための第2光源とを備え、導光板は、平板状の導光板本体部と、導光板本体部から導光板用の第2光源に近づく方向へ垂下するように一体的に形成された突出部とを備え、導光板本体部の前側から視認できる範囲において、導光板本体部と突出部との接続部における直交断面部を導光方向に向かって導光板本体部の表面に投影した発光領域を囲繞するように凹部を形成したことを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、導光板本体部の内部を通過する導光のうち、インジケータ部に向かわない導光を全反射し、インジケータ部に到達させることができるので、凹部の内側のインジケータ部へ導光を集めることができる。
【0018】
これにより、前側から視認される部分に主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて単一の導光板上に表示しても、主表示部の表示とインジケータ部用の発光を明確に分離して視認できる。
【0019】
つまり、主表示部用の発光がインジケータ部用の発光に影響することが軽減され、かつ、相互に隣接する一方のインジケータ部と他方のインジケータ部との発光領域の輪郭も強調され明瞭となるため、より集積化した場合や斜めから見た場合でも両方の光が混じり合うことなく視認性を向上できる。
【0020】
より詳細に説明すると、凹部の内周側の垂直方向に窪んだ側面は、導光板本体部を通過し、インジケータ部の外側へ漏れようとする導光をインジケータ部の内側に反射させることができるので、内側のインジケータ部へ導光を集めることができる。
【0021】
また、凹部の底面は、導光板本体部の内部を通過して外側に拡がる導光や外側から侵入する不要な導光を反射し、凹部の外周側の側面は、隣接する主表示部を発光するための第1光源または隣接するインジケータ部を発光するための第2光源から導光板の内部において反射、拡散して来た不要な導光を反射することができるため、凹部の前に出射される光の量を減らし容易に凹部において暗部を形成することができる。
【0022】
結果として、前述したような効果が得られるとともに、主表示部の表示装置とインジケータ部の表示装置を同一筐体内に別々に設ける必要がなくなり、簡素な構成の発光表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0023】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、導光板本体部は、その前側において突出部の接続部における直交断面部を導光方向に向かって導光板本体部の表面に投影した発光領域に平坦面を有し、その平坦面よりも垂直方向に窪むように凹部が設けられることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、平坦面が第2光源から突出部へ入射した光を導光板本体部の前面において拡散させることなく放射できるとともに、垂直方向に窪んだ凹部によって導光板本体部を通過し、インジケータ部の外側へ漏れようとする導光をインジケータ部の内側に反射させることができるので、凹部の内側のインジケータ部へ導光を集めることができる。
【0025】
これにより、主表示部や隣接するインジケータ部の発光が導光板用の発光に影響することが軽減され、かつ、その発光領域の輪郭も強調され明瞭となるため、より集積化した場合や斜めから見た場合でも両方の光が混じり合うことなく視認性を向上できる。
【0026】
特に、斜めから見た場合には、その凹部はオペレータによって容易に視認されるため、発光部分と非発光部分とが明確に分離されて視認できるので、制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部の発光状態がオペレータにより容易に確認できる。
【0027】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、突出部の接続部における直交断面部の形状は矩形で構成され、導光板本体部の前側に形成された凹部は、前から見て2つの半円部とその2つの半円部を接続する2つの平行な直線部とからなる、レーストラック形状であることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、導光板の突出部における導光の量を確保し、第2光源から前方向へ効率的に導光させることができるのに加え、導光板本体部の凹部の半円部によって外光の写り込みも軽減できるため、より視認性を向上できる。
【0029】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、突出部は、第2光源に対向する側に平坦面を有することが好ましい。
【0030】
この構成によれば、第2光源から放射される平行な光を突出部の先端部で屈折させることなく、そのまま平行な導光として選択的に導光板本体部へ侵入させることが容易となるため、導光方向から外れ途中で外部に漏れる光量を少なくし、その分インジケータ部の発光領域に到達する光量を増やすことができる。
【0031】
すなわち、より一層明瞭にインジケータ部を視認できる。
【0032】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、主表示部用の第1光源と導光板用の第2光源は、内側に主表示部用の第1光源が位置し、その外側に導光板用の第2光源が位置する形態にて、同一の基板上に配置され、導光板本体部は、共通の基板に対向する平板状であることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、単一の基板によって第1光源と第2光源のいずれにおいても、発光及び消光制御が可能となるので、より構成を簡素化できる。
【0034】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、非透光性の素材からなる筐体を備え、導光板は、その筐体において主表示部を臨むように形成された第1開口部の真上に導光板本体部が位置し、突出部が筐体の第2開口部に挿通するように嵌挿されることが好ましい。
【0035】
この構成によれば、第1開口部と第2開口部とが別々の開口部であるため、主表示部から第1開口部を通過する光と導光板の突出部に導光され第2開口部を通過する光とが相互に干渉することが軽減され、主表示部の表示とインジケータ部用の発光とを明確に分離して視認できる。
【0036】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、筐体は、第1開口部と第2開口部との間において、前側に突出して導光板本体部に当接する隆起部を有することが好ましい。
【0037】
この構成によれば、前側に突出して導光板本体部に当接する隆起部が、より遮光効果を高め、主表示部から第1開口部を通過する光と導光板の突出部に導光され第2開口部を通過する光とが相互に干渉することが軽減され、主表示部の表示とインジケータ部用の発光とを明確に分離して視認できる。
【0038】
また、本発明の発光表示部を備えた電子機器は、前記構成に加え、導光板の突出部は、後から見て導光板本体部の両側においてそれぞれ直線上に並ぶ方向に複数個配置され、仮想矩形、仮想台形または仮想平行四辺形の頂点に対応する位置にある4カ所においてフック部を有し、そのフック部を介して筐体と導光板が係合することが好ましい。
【0039】
この構成によれば、導光板を表側から容易に筐体に結合することができるばかりでなく、4カ所の突出部にフック部を設けることにより、筐体と平板状の導光板本体との結合が容易となるばかりでなく、筐体内に配置される第1光源や第2光源の実装平面に対する導光板本体部の傾きが小さくなるため、両者の平行度を所望の公差内に収めることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の発光表示部を備えた電子機器によれば、主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示できる、簡素な構成の発光表示部を備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態における電子機器の前面パネル部側から見た全体斜視図
【図2】(a)本発明の実施の形態における電子機器の正面図、(b)本発明の実施の形態における電子機器の導光板を外した部分正面図
【図3】インジケータ部とその近傍の正面図
【図4】インジケータ部の突出部の構造を示す部分断面斜視図
【図5】インジケータ部とその近傍のA−A断面図
【図6】前面パネル部と嵌挿前の導光板の関係を示す斜視図
【図7】(a)導光板嵌挿後の前面パネル部の背面図、(b)導光板の背面図
【図8】(a)電子機器のB−B断面位置を示す正面図、(b)B−B断面図
【図9】(a)凹部と発光領域の第1の変形例を示す図、(b)凹部と発光領域の第2の変形例を示す図、(c)凹部と発光領域の第3の変形例を示す図
【図10】従来の表示装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0043】
ここで、図1は、本発明の実施の形態における電子機器の前面パネル部側から見た全体斜視図で、図2(a)は、本発明の実施の形態における電子機器の正面図で、図2(b)は、本発明の実施の形態における電子機器の導光板を外した部分正面図で、図3は、インジケータ部とその近傍の正面図で、図4は、インジケータ部の突出部の構造を示す部分断面斜視図で、図5は、インジケータ部とその近傍のA−A断面図で、図6は、前面パネル部と嵌挿前の導光板の関係を示す斜視図で、図7(a)は、導光板嵌挿後の前面パネル部の背面図で、図7(b)は、導光板の背面図で、図8(a)は、電子機器のB−B断面位置を示す正面図で、図8(b)は、B−B断面図で、図9(a)は、凹部と発光領域の第1の変形例を示す図で、図9(b)は、凹部と発光領域の第2の変形例を示す図で、図9(c)は、凹部と発光領域の第3の変形例を示す図である。
【0044】
まず、図1において、本発明の実施の形態における電子機器10は、いわゆる工業用計測の分野で使用される機器であって、例えば電圧、電流、有効電力、無効電力、皮相電力、力率などの計測や計測値の表示などを可能とする電力用マルチメータや電力用トランスデューサ、各種センサーの計測信号を変換、表示、警報出力などを行う信号変換器、あるいは現場に設置された検出端(測温抵抗体、差圧発信器など)と中央制御室などに設置された受発信器(指示計、記録計、調節計、PLC、DCS、コンピュータなど)との間のデータ通信をネットワークにより行う計測制御用遠隔入出力機など各種各様に適用可能である。
【0045】
以下の説明を容易にするため、電子機器10の幅方向をX方向、奥行き方向をY方向、高さ方向をZ方向とし、X方向、Y方向及びZ方向は、相互に直交する方向と定義する。
【0046】
この場合、電子機器10が取り付けられるレール状構造物(図示せず)の延在方向はX方向と一致する。
【0047】
通常、X方向に延在するレール状構造物には、計測対象が多数存在するため数十台以上の同一または類似する電子機器が相互に隣接し、かつ、それらは密接して取り付けられることが一般的である。
【0048】
ここで、電子機器10の本体側の筐体は、レール状構造物の延在するX方向と直交するY方向において、積層するように4つに分割され、その前側から、前面パネル部11、2つの中間筐体部12、背面パネル部13の4つの筐体から構成されている。
【0049】
そして、背面パネル部13の背面側には、レール状構造物を挟み込むことにより、電子機器10を取り付けるためのスライダー14が2つ配置されている。
【0050】
一方、前面パネル部11は、例えば非透光性の素材として不透明に着色されたプラスティック素材や金属素材などからなり、その前側には、例えば、アクリル製プラスティック、ポリカーボネイト(PC)樹脂、シクロオレフィン系樹脂(COP)などの素材からなる導光板15が配置されている。
【0051】
前面パネル部11は、導光板15の後側において数字や文字などの特定の形象を表示する主表示部16(図2参照)を格納し、導光板15と主表示部16を対向配置させている。
【0052】
次に、図2(a)と図2(b)を参照してさらに詳細に説明する。
【0053】
ここで、前面パネル部11に嵌挿された導光板15は、XZ平面において拡がりをもつ平板状の導光板本体部15aを有している。
【0054】
そして、導光板15は、非透光性の素材からなる前面パネル部11に主表示部16を臨むように形成された第1開口部11aの真上に導光板本体部15aが位置し、導光板15の複数の突出部15c(図4参照)がそれぞれに対応した第2開口部11bに挿通するように嵌挿されている。
【0055】
また、導光板本体部15aは、7つのLEDからなる第1光源16aが基板18(図8(b)参照)上に配置され、それらが選択的に発光することにより数字や文字などの特定の形象を表示することのできる、セグメント表示方式の主表示部16の光を前側から視認できるように透光させている。
【0056】
そして、導光板本体部15aの上下両側と右側においては、それぞれが直線上に並ぶ複数個のインジケータ部15bが配置されている。
【0057】
次に、図3を参照して前から見たインジケータ部15bとその近傍の構成を詳細に説明する。
【0058】
ここで、導光板本体部15aの前側から視認できる範囲において、導光板本体部15aと突出部15c(図4参照)との接続部における、突出部15cの垂下方向と直交する直交断面部16d(図4参照)を、矢印で示した導光方向に向かって導光板本体部15aの表面に投影した発光領域15eは、破線の矩形と破線のハッチングで示した領域となる。
【0059】
そして、この発光領域15eに平坦面を有するインジケータ部15bを設け、前から見て発光領域15eを囲繞するように、かつ、その平坦面よりも垂直方向に窪むように凹部15fが形成されている。
【0060】
また、直交断面部15dを導光方向に向かって導光板本体部15aの表面に投影した発光領域15eの形状からも明らかなように、突出部15cの接続部における直交断面部15dの形状は前から見て矩形で構成されている。
【0061】
そして、導光板本体部15aの前側に形成された凹部15fは、内周側の側面151、底面152及び外周側の側面153から構成され、前から見て左右2つの半円部とその2つの半円部を接続する上下2つの平行な直線部とからなる、レーストラック形状となっている。
【0062】
ここで、本実施の形態においては、少なくともレーストラック形状の凹部15fは、発光領域15eを囲繞するように形成されていればよく、外周側の側面153を含み、その内側に発光領域15eが位置すればよい。
【0063】
より好ましくは、底面152の一点鎖線で示したセンターラインよりも内側に発光領域が位置するように位置関係を設定するのがよい。
【0064】
ここで、一点鎖線で示したセンターラインは、レーストラック形状であって、平行な直線部においては、内周側の側面151と外周側の側面153のいずれに対しても同じ間隔で離間し、半円部においては、内周側の側面151の半円を形成する半径と外周側の側面153の半円を形成する半径の中央値となる半径を有する半円であるものとする。
【0065】
これにより、導光板15の突出部15cにおける導光の量を確保し、第2光源17から前方向へ効率的に導光させることができるのに加え、導光板本体部15aの凹部15fの半円部によって左右の斜めから見たときの内周側の側面151への外光の写り込みも軽減できるため、より視認性を向上できる。
【0066】
次に、図4を参照して、インジケータ部15bと突出部15cとの関係を詳細に説明する。
【0067】
導光板15を後側から発光させるためのLEDの第2光源17が、基板18(図8(b)参照)上に実装され、平板状の導光板本体部15aから導光板15用の第2光源17に近づく方向へ垂下するように突出部15cが一体的に形成されている。
【0068】
ここで、市松模様で示した平行四辺形は、導光板本体部15aと突出部15cとの接続部における導光方向と直交する直交断面部15dを示している。
【0069】
この場合、矢印で示した導光方向とは、XZ平面において拡がりをもつ平板状の導光板本体部15aに対して垂下した突出部15cの垂下方向と一致するため、Y方向であるということが出来る。
【0070】
したがって、Y方向である導光方向と直交する直交断面部15dは、XZ平面により切断された仮想の断面部である。
【0071】
そして、導光板本体部15aの前側から視認できる範囲において、この直交断面部15dを矢印で示した導光方向に向かって導光板本体部15aの表面に投影した導光板本体部15aの発光領域15eに前述したインジケータ部15bが設けられている。
【0072】
一方、この図からも明らかなように、突出部15cは、第2光源17に対向する側に平坦面15g(図5参照)を有している。
【0073】
次に、図5を参照して、突出部15cの平坦面15gの導光効果について説明する。
【0074】
前述したように、突出部15cは、第2光源17に対向する側に平坦面15gを有しているため、第2光源17から放射される平行な光を突出部15cの先端部で屈折させることなく、そのまま平行な導光Aとして選択的に導光板本体部15aへ侵入させることが容易となる。
【0075】
したがって、矢印で示した導光方向から外れ途中で突出部15cの外部に漏れる光量を少なくし、その分インジケータ部15bの発光領域15e(図3参照)に到達する光量を増やすことができる。
【0076】
すなわち、より一層明瞭にインジケータ部15bを視認できる。
【0077】
同様に、図5を参照して、導光板本体部15aの前側に形成された、内周側の側面151、底面152及び外周側の側面153から構成された凹部15fの遮光効果について説明する。
【0078】
ここで、導光板本体部15aの前側から視認できる範囲において、導光板本体部15aと突出部15c(図4参照)との接続部における直交断面部15dを破線で示している。
【0079】
すなわち、直交断面部15dを矢印で示した導光方向に向かって導光板本体部15aの表面に投影した領域が前述した発光領域15e(図3参照)となる。
【0080】
そして、この発光領域15eに平坦面を有するインジケータ部15bが設けられ、前から見て発光領域15eを囲繞するように、かつ、その平坦面よりも垂直方向に窪むように凹部15fが形成されている。
【0081】
例えば、導光板15の素材として代表的なアクリル素材を用いた場合、導光板15から空気に向かう光で全反射のおきる臨界角θは、導光板の屈折率をn1、空気の屈折率をn2とした場合、次の(数1)で表される。
【0082】
【数1】

すなわち、アクリル素材の屈折率n1が1.49で、空気の屈折率n2が1であることから(数1)によって、臨界角θは、42.2°となる。
【0083】
したがって、その臨界角θを超える入射角の光は、凹部15fの内周側の側面151、底面152及び外周側の側面153のそれぞれにおいて矢印で示したように全反射される。
【0084】
まず、凹部15fの内周側の側面151によって、突出部15cから導光板本体部15aを通過する導光のうち、突出部15cから直進して来た光など前述したインジケータ部15bに向かわない導光Bを全反射し、インジケータ部15bに到達させることができるので、凹部15fの内側のインジケータ部15bへ導光Bを集めることができる。
【0085】
これにより、前側から視認される部分に主表示部16による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部15bを併せて単一の導光板15上に表示しても、主表示部16の表示とインジケータ部15b用の発光を明確に分離して視認できる。
【0086】
つまり、主表示部16用の発光がインジケータ部15b用の発光に影響することが軽減され、かつ、相互に隣接する一方のインジケータ部15bと他方のインジケータ部15bとの発光領域の輪郭も強調され明瞭となるため、より集積化した場合や斜めから見た場合でも両方の光が混じり合うことなく視認性を向上できる。
【0087】
より詳細に説明すると、凹部15fの内周側の垂直方向に窪んだ内周側の側面151は、導光板本体部15aを通過し、インジケータ部15bの外側へ漏れようとする導光をインジケータ部15bの内側に反射させることができるので、内側のインジケータ部15bへ導光Bを集めることができる。
【0088】
また、凹部15fの底面152は、導光板本体部15aの内部を通過して外側に拡がる導光Cや外側から侵入する不要な導光Dを反射し、凹部15fの外周側の側面153は、隣接する主表示部16を発光するための第1光源16aまたは隣接するインジケータ部15bを発光するための第2光源17から導光板15の内部において反射、拡散して来た不要な導光Eを反射することができるため、凹部15fの前に出射される光の量を減らし容易に凹部15fにおいて暗部を形成することができる。
【0089】
結果として、この凹部15fにより、発光領域15eの輪郭が強調され明瞭となるため、より集積化した場合や斜めから見た場合でも両方の光が混じり合うことなく視認性を向上できる。
【0090】
また、主表示部16の表示装置とインジケータ部15bの表示装置を同一筐体内に別々に設ける必要がなくなり、簡素な構成の発光表示部を備えた電子機器10を提供できる。
【0091】
また、主表示部16用の第1光源16a(図2(b)参照)と導光板15用の第2光源17は、内側に主表示部16用の第1光源16aが位置し、その外側に導光板15用の第2光源17が位置する形態にて、同一の基板18上に配置され、導光板本体部15aは、共通の基板18に対向する平板状となっている。
【0092】
これにより、単一の基板18によって第1光源16aと第2光源17のいずれにおいても、発光及び消光制御が可能となるので、より構成を簡素化できる。
【0093】
同様に、図5を参照して、インジケータ部15bの平坦面と凹部15fの構成と効果について説明する。
【0094】
導光板本体部15aは、その前側において突出部15cの接続部における直交断面部15dを導光方向に向かって導光板本体部15aの表面に投影した発光領域15eに平坦面を有し、その平坦面よりも垂直方向に窪むように凹部15fが設けられている。
【0095】
これにより、平坦面が第2光源17から突出部15cへ入射した光を導光板本体部15aの前面において拡散させることなく放射できるとともに、垂直方向に窪んだ凹部15fによって導光板本体部15aを通過し、インジケータ部15bの外側へ漏れようとする導光Bをインジケータ部15bの内側に反射させることができるので、凹部15fの内側のインジケータ部15bへ導光Bを集めることができる。
【0096】
したがって、主表示部16用の発光がインジケータ部15b用の発光に影響することが軽減され、かつ、相互に隣接する一方のインジケータ部15bと他方のインジケータ部15bとの発光領域の輪郭も強調され明瞭となるため、より集積化した場合や斜めから見た場合でも両方の光が混じり合うことなく視認性を向上できる。
【0097】
特に、斜めから見た場合には、その凹部15fの内周側の側面151はオペレータによって容易に視認されるため、発光部分と非発光部分とが明確に分離されて視認できるので、制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部15bの発光状態がオペレータにより容易に確認できる。
【0098】
次に、図6を参照して、前面パネル部11と導光板15との関係を説明する。
【0099】
前述したように、導光板15は、破線の矢印で示したY方向に向かって前面パネル部11に嵌挿される。
【0100】
ここで、XZ平面において拡がりをもつ平板状の導光板本体部15aの上下両側と右側においては、それぞれが直線上に並ぶ複数個のインジケータ部15bが配置され、それらに対応した複数の突出部15cが前面パネル部11の第2開口部11bに挿通するように嵌挿される。
【0101】
そして、嵌挿後は、導光板本体部15aが、前面パネル部11に主表示部16を臨むように形成された第1開口部11aの真上に導光板本体部15aが位置している。
【0102】
この構成によれば、第1開口部11aと第2開口部11bとが別々の開口部であるため、主表示部16から第1開口部11aを通過する光と導光板15の突出部15cに導光され第2開口部11bを通過する光とが相互に干渉することが軽減され、主表示部16の表示とインジケータ部15b用の発光とを明確に分離して視認できる。
【0103】
また、前面パネル部11は、第1開口部11aと第2開口部11bとの間において、前側に突出した隆起部11cを有し、嵌挿後に導光板本体部15aに当接するように設定されている。
【0104】
この構成によれば、前側に突出して導光板本体部15aに当接する隆起部11cが、より遮光効果を高め、主表示部16から第1開口部11aを通過する光と導光板15の突出部15cに導光され第2開口部11bを通過する光とが相互に干渉することが軽減され、主表示部16の表示とインジケータ部15b用の発光とを明確に分離して視認できる。
【0105】
また、導光板15の突出部15cは、後から見て仮想台形の頂点に対応する位置にある4カ所においてフック部15hを有し、そのフック部15hを介して前面パネル部11と導光板15が係合している。
【0106】
次に、図7(a)と図7(b)を参照して、嵌挿後の導光板15と前面パネル部11との関係を説明する。
【0107】
導光板15が前面パネル部11に嵌挿された後の状態においては、フック部15hが、前面パネル部11の第1開口部11aを上下から挟むように背面側に上下2カ所ずつ合計4カ所に形成されたサポート部11dのT字形状の頂面部と嵌合している。
【0108】
また、導光板15の突出部15cは、後から見て破線で示した仮想台形の頂点に対応する4カ所においてフック部15hを有し、フック部15hを介して前面パネル部11と導光板15が係合している。
【0109】
この構成によれば、4カ所の突出部15cにフック部15hを設けることにより、前面パネル部11と導光板15との結合が容易となっている。
【0110】
また、前面パネル部11の内部に配置される第1光源16aや第2光源17の実装平面に対する導光板本体部15aの傾きが小さくなるため、両者の平行度を所望の公差内に収めることができる。
【0111】
なお、導光板15の突出部15cは、後から見て破線で示した仮想台形の頂点に対応する4カ所においてフック部15hを有しているが、他に仮想矩形または仮想平行四辺形の頂点に対応する4カ所にフック部を有するようにしても同様の効果が得られる。
【0112】
次に、図8(a)と図8(b)を参照して、導光板15、前面パネル部11及び基板18の関係を説明する。
【0113】
基板18は、その上下方向の両側で前面パネル部11にネジ固定され、前面パネル部11に対して位置決めがなされ、前述したように導光板本体部15aが、前面パネル部11に主表示部16を臨むように形成された第1開口部11aの真上に導光板本体部15aが位置するように嵌挿されている。
【0114】
また、それぞれのインジケータ部15bに対応した突出部15cが前面パネル部11の第2開口部11bに挿通され、下側のフック部15hのようにサポート部11dのT字形状の頂面部と嵌合している。
【0115】
また、前面パネル部11は、第1開口部11aと第2開口部11bとの間において、前側に突出した隆起部11cを有し、嵌挿後に導光板本体部15aに当接している。
【0116】
一方、主表示部16用の第1光源16a(図2(b)参照)と導光板15用の第2光源17は、内側に主表示部16用の第1光源16aが位置し、その外側に導光板15用の第2光源17が位置する形態にて、同一の基板18上に配置されている。
【0117】
この構成によれば、単一の基板18によって第1光源16aと第2光源17のいずれにおいても、発光及び消光制御が可能となるので、より構成を簡素化できる。
【0118】
次に、図9(a)〜(c)を参照して、凹部15fと発光領域15eの変形例を説明する。
【0119】
図9(a)で示したように、凹部25fは、真円形状の内周側の側面251、底面252及び楕円形状の外周側の側面253から構成されている。
【0120】
この場合、破線で示した矩形の内側の領域が発光領域25eとして設定されているため、凹部25fの内周側の側面251が全方位に亘って均一的に導光を内側に反射し、インジケータ部25b全体を発光させている。
【0121】
また、凹部25fは発光領域25eを囲繞するように形成されているため、外周側の側面253の内側に発光領域25eが位置しており、発光領域25eと外周側の側面253に挟まれた底面252の領域に暗部が形成されている。
【0122】
図9(b)で示したように、内周側の側面が形成されておらず、凹部35fは、角丸四角形の側面352と底面351から構成されている。
【0123】
この場合、発光領域35eと側面352に挟まれた底面351の領域に暗部が形成され、側面352が遮光効果を有している。
【0124】
図9(c)で示したように、前述した凹部15fと同一の形状を有する凹部45fは、内周側の側面451、底面452及び外周側の側面453とから構成されている。
【0125】
この場合、破線で示した矩形の内側の領域が発光領域45eとして設定されているため、凹部45fが発光領域45eを囲繞するように形成されている。
【0126】
ここで、前述した凹部15fと発元領域15eとの関係と比較した場合、内周側の側面451よりも内側に発光領域45eが位置するため、突出部(図示せず)の先端部から直進して来た導光が内周側の側面451に反射することなく、インジケータ部45bの周部にも暗部を形成できる。
【0127】
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変形が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的な手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態の変形例についても本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明にかかる発光表示部を備えた電子機器は、例えば電力用トランスデューサ、信号変換器または計測制御用遠隔入出力機などの各種計装用の電子機器において、主表示部による透過光の周部に機器本体の制御や設定の状態に応じて発光するインジケータ部を併せて表示できる発光表示部を備えた電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0129】
10 電子機器
11 前面パネル部
11a 第1開口部
11b 第2開口部
11c 隆起部
11d サポート部
12 中間筐体部
13 背面パネル部
14 スライダー
15 導光板
15a 導光板本体部
15b インジケータ部
15c 突出部
15d 直交断面部
15e 発光領域
15f 凹部
15g 平坦面
15h フック部
151 内周側の側面
152 底面
153 外周側の側面
16 主表示部
16a 第1光源
17 第2光源
18 基板
25b インジケータ部
25e 発光領域
25f 凹部
251 内周側の側面
252 底面
253 外周側の側面
35e 発光領域
35f 凹部
351 底面
352 側面
45b インジケータ部
45e 発光領域
45f 凹部
451 内周側の側面
452 底面
453 外周側の側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源により特定の形象を表示する主表示部と、その主表示部の前側において前記主表示部に対向配置された導光板と、その導光板を後側から発光させるための第2光源とを備え、
前記導光板は、平板状の導光板本体部と、その導光板本体部から前記導光板用の第2光源に近づく方向へ垂下するように一体的に形成された突出部とを備え、前記導光板本体部の前側から視認できる範囲において、前記導光板本体部と前記突出部との接続部における直交断面部を導光方向に向かって前記導光板本体部の表面に投影した発光領域を囲繞するように凹部を形成したことを特徴とする発光表示部を備えた電子機器。
【請求項2】
前記導光板本体部は、その前側において前記突出部の接続部における直交断面部を導光方向に向かって前記導光板本体部の表面に投影した発光領域に平坦面を有し、その平坦面よりも垂直方向に窪むように前記凹部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項3】
前記突出部の接続部における直交断面部の形状は矩形で構成され、前記導光板本体部の前側に形成された前記凹部は、前から見て2つの半円部とその2つの半円部を接続する2つの平行な直線部とからなる、レーストラック形状であることを特徴とする請求項1または2記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項4】
前記突出部は、前記第2光源に対向する側に平坦面を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項5】
前記主表示部用の第1光源と前記導光板用の第2光源は、内側に前記主表示部用の第1光源が位置し、その外側に前記導光板月の第2光源が位置する形態にて、同一の基板上に配置され、前記導光板本体部は、前記共通の基板に対向する平板状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項6】
非透光性の素材からなる筐体を備え、前記導光板は、その筐体において前記主表示部を臨むように形成された第1開口部の真上に前記導光板本体部が位置し、前記突出部が前記筐体の第2開口部に挿通するように嵌挿されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項7】
前記筐体は、前記第1開口部と前記第2開口部との間において、前側に突出して前記導光板本体部に当接する隆起部を有することを特徴とする請求項6記載の発光表示部を備えた電子機器。
【請求項8】
前記導光板の突出部は、後から見て前記導光板本体部の両側においてそれぞれ直線上に並ぶ方向に複数個配置され、仮想矩形、仮想台形または仮想平行四辺形の頂点に対応する位置にある4カ所においてフック部を有し、そのフック部を介して前記筐体と前記導光板が係合することを特徴とする請求項6または7記載の発光表示部を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−63730(P2012−63730A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227931(P2010−227931)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(390001166)株式会社エム・システム技研 (25)
【Fターム(参考)】