説明

発光装置、表示装置およびそれらの作製方法

【課題】有機ELを用いた発光デバイスは水分によって劣化することが知られている。そのため、透湿を防ぐ封止の技術が重要となっている。
【解決手段】放熱性が高くかつ可とう性を有する支持基板(ステンレス鋼、ジュラルミンなど)上に有機ELを用いた発光デバイスを有する発光装置を作製し、該発光装置を透光性が高くかつ非透湿性である積層体、または透光性が高くかつ非透湿性である厚さが20μm以上100μm以下のガラスを用いて封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を用いた発光デバイスに関する。該発光デバイスを用いた発光装置、照明装置、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELを用いた発光デバイスの研究開発が盛んに行われている。有機ELを用いた発光デバイスの基本的な構成は、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この発光デバイスに電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
有機ELを用いた発光デバイスは膜状に作製することが可能であるため、大面積の発光装置を容易に作製することができ、面光源としての利用価値も高い。
【0004】
例えば、特許文献1には、有機ELを用いた発光デバイスを適用した照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機ELを用いた発光デバイスは水分によって劣化することが知られている。そのため、透湿を防ぐ封止の技術が重要となっている。
【0007】
発光デバイスを封止する場合、少なくとも光の照射側には透光性と非透湿性を兼ね備える封止材料を用いる必要がある。透光性と非透湿性を兼ね備える封止材料として、例えばガラスが用いられる。
【0008】
しかしながら、通常のガラスは放熱性が低いため、有機ELを用いた発光デバイスを高輝度で長時間発光させると、発熱による劣化が起こってしまう。
【0009】
また、ガラスは強度が弱いため割れやすい。ところが、十分な強度を有するために厚さを増すと有機ELを用いた発光デバイスを有する発光装置の重量が大きくなってしまうことが問題となる。
【0010】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、劣化が少なく、かつ重量の小さい有機ELを用いた発光装置を提供することを目的の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様に係る発光装置を適用した照明装置を提供することを目的の一とする。
【0012】
または、本発明の一態様に係る発光装置を適用した表示装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る発光装置は、放熱性が高くかつ可とう性を有する支持基板(ステンレス鋼(SUSともいう。)、ジュラルミンなど)上に有機ELを用いた発光デバイスを作製し、該発光デバイスを透光性が高くかつ非透湿性である積層体、または透光性が高くかつ非透湿性である厚さが20μm以上100μm以下のガラスを用いて封止する。
【0014】
または、ガラス基板、石英基板またはシリコンウェハなどに作製したトランジスタを、剥離技術によって放熱性が高くかつ可とう性を有する支持基板上に転置する発光装置である。本明細書において、「非透湿性」または「透湿性が低い」とは、水蒸気透過率が1×10−6g/(m・day)以下、好ましくは1×10−7g/(m・day)以下であることをいう。
【0015】
または、放熱性が高くかつ可とう性を有する支持基板上の下地絶縁膜と、下地絶縁膜上の第1の電極と、第1の電極上の有機EL層と、有機EL層上の透光性を有する第2の電極と、シール材によって接合された透光性が高くかつ非透湿性である積層体、または透光性が高くかつ非透湿性である厚さが20μm以上100μm以下のガラスと、を有する発光装置およびその作製方法である。
【0016】
なお、第1の電極は可視光領域(波長が400nm〜800nmの光)の反射率が90%以上であると好ましい。また、第2の電極は可視光領域の透過率が80%以上であると好ましい。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記発光装置を用いた照明装置およびその作製方法である。
【0018】
また、本発明の一態様は、上記発光装置を用いた表示装置およびその作製方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様により、劣化が少なく、かつ重量の小さい有機ELを用いた発光装置を提供することができる。
【0020】
または、本発明の一態様に係る発光装置を適用した照明装置を提供することができる。
【0021】
または、本発明の一態様に係る発光装置を適用した表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様に係る発光装置の例を示す図。
【図2】本発明の一態様に係る発光装置の作製方法の例を示す図。
【図3】本発明の一態様に係る発光装置の作製方法の例を示す図。
【図4】本発明の一態様に係る発光装置における有機EL層周辺の構造および隔壁の形状を説明する図。
【図5】本発明の一態様に係る表示装置の例を示す図。
【図6】本発明の一態様に係る表示装置に用いるトランジスタの例を示す図。
【図7】本発明の一態様に係る表示装置の例を示す図。
【図8】本発明の一態様に係る表示装置の作製方法の例を示す図。
【図9】本発明の一態様に係る表示装置の作製方法の例を示す図。
【図10】本発明の一態様に係る表示装置の作製方法の例を示す図。
【図11】本発明の一態様に係る表示装置の作製方法の例を示す図。
【図12】本発明の一態様に係る表示装置の作製方法の例を示す図。
【図13】本発明の一態様に係る発光装置を適用した電子機器の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
「成膜する」とは、例えば、蒸着法、スパッタリング法、PLD法(Pulse Laser Deposition法)、MBE法(Molecular Beam Epitaxy法)、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition法)、熱CVD法、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition法)、ALD法(Atomic Layer Deposition法)、インクジェット法などを用いて膜を作ることをいう。
【0025】
「加工する」とは、例えば、成膜した膜をエッチングして所望の形状を得ることをいう。例えば、フォトリソグラフィ法によってレジストマスクを形成し、該レジストマスクで覆われていない領域に対しエッチング処理を行えばよい。または、感光性の材料をフォトリソグラフィ法によって所望の形状にしてもよい。または、フォトリソグラフィ法に代えてレーザー直描法を用いてもよい。
【0026】
また、単に「形成する」という場合、例えば、膜が成膜および加工の工程を経ることを示す。ただし、インクジェット法では、成膜と同時に所望の形状を得られるため、この場合も単に「形成する」と表記する。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る発光デバイスを有する発光装置について図1乃至図4を用いて説明する。図1(A)は、図1(B)に示す上面図において一点鎖線A−Bに対応する断面図である。
【0028】
図1(A)は、第1の基板100と、第1の基板100上の下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた隣接する複数の第1の電極104と、隣接する第1の電極104の端部を覆う隔壁106、および第1の電極104上の隔壁108と、第1の電極104および隔壁108上に設けられた隔壁110と、第1の電極104、隔壁106、隔壁108および隔壁110上の有機EL層112と、有機EL層112を覆い、一部が第1の電極104と接する第2の電極114と、第2の電極114を覆う保護絶縁膜116と、を有し、隔壁110は、上面から見た場合、第1の電極104と接する側の形状よりも有機EL層112と接する側の形状が大きい発光装置である。該発光装置は、シール材118を介して第2の基板150と接合され、第2の基板150上にはレンズ形状の構造物を有する樹脂151と、樹脂151上のレンズ形状の構造物を有する樹脂154と、が設けられている。なお、樹脂151および樹脂154は、レンズ形状に代えて、ハニカム構造などの立体構造を有する樹脂としても構わない。
【0029】
なお、保護絶縁膜116は、有機EL層112に水分などが入り込まないように設けているが、封止の性能が十分な場合、特に保護絶縁膜116を設けない構造としても構わない。
【0030】
なお、本実施の形態で示す発光装置は、必ずしも第2の基板150上に、樹脂151および樹脂154の一方または両方を有する構造に限定されるものではない。樹脂151および樹脂154は、レンズ形状の構造物を有するため、第1の電極104、有機EL層112および第2の電極114で構成される発光領域140から射出される光が光放出面(大気との界面)で全反射する割合を低減することができる効果を奏する。ただし、各層および基板の屈折率を適切に制御することでも、第2の基板150と大気との界面で全反射する光の割合を低減することができるため、樹脂151および樹脂154が不要となる場合がある。ここで、発光装置と第2の基板150の間には、空間120が生じる。空間120内には、有機EL層112の劣化を防止するために乾燥剤を封入してもよい。または乾燥剤は、シール材118などに含ませてもよい。なお、空間120に代えてエポキシ樹脂などの可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物を設けても構わない。
【0031】
第1の基板100は、可とう性を有し、かつ放熱性の高い材料を用いる。例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、銀、SUSおよびジュラルミンなどの金属材料または金属合金材料を、厚さを20μm以上700μm以下、好ましくは50μm以上300μm以下として用いればよい。なお、ジュラルミンは耐食性の低い材料であるため、表面を耐食性の高い材料で被覆して用いると好ましい。
【0032】
下地絶縁膜102は、絶縁性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、有機化合物を用いてもよいし、無機化合物を用いてもよい。例えば、有機化合物としては、アクリル、ポリイミド、エポキシおよびシロキサンなどがあげられる。無機化合物としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムなどがあげられる。
【0033】
酸化窒化シリコンとは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上25原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の組成は、その合計が100原子%を超えない値をとる。
【0034】
酸化窒化アルミニウムとは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示す。また、窒化酸化アルミニウムとは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示す。
【0035】
第1の電極104は、有機EL層112が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。また、第1の電極104は積層構造としてもよい。例えば、リチウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、銀、シリコンまたはニッケルを含む材料を用いると好ましい。
【0036】
第2の電極114は可視光領域で透光性を有する導電膜を用いる。可視光領域で透光性を有する導電膜としては、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITOともいう。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したITOなどを挙げることができる。また、光を透過する程度の金属薄膜(好ましくは、5nm〜30nm程度)を用いることもできる。例えば5nmの膜厚を有する銀膜、マグネシウム膜または銀−マグネシウム(Ag−Mg)合金膜を第2の電極114として用いることができる。
【0037】
「可視光領域で透光性を有する」とは、可視光領域の透過率が80%以上であることをいう。
【0038】
なお、第1の電極104または第2の電極114のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極として機能する電極には、仕事関数の大きい材料を用いることが好ましく、陰極として機能する電極には仕事関数の小さい材料を用いることが好ましい。ただし、陽極と接してキャリア発生層を設ける場合には、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極に用いることができる。
【0039】
隔壁106および隔壁108は、有機化合物を用いればよい。例えば、有機化合物としては、アクリル、エポキシ、ポリイミドおよびシロキサンなどがあげられる。
【0040】
隔壁110は、隔壁106および隔壁108と同様の材料または感光性樹脂などを用いればよい。
【0041】
隔壁110は、上面から見た場合、第1の電極104と接する側の下面形状よりも有機EL層112と接する側の上面形状が大きい、即ち、オーバーハング形状または逆テーパー形状を有する。隔壁110は、上面から見た場合、第1の電極104と接する側の下面形状よりも有機EL層112と接する側の上面形状が大きければよいため、図4(C)に示すような曲面を有する隔壁122からなる構造、または図4(D)に示すような断面が長方形の形状である隔壁124および隔壁126を重畳した形状としても構わない。
【0042】
ブロードなスペクトルを有する発光装置を作製する場合、有機EL層112は、複数種の発光材料などを積層して設けてもよい。例えば、図4(A)および図4(B)に示すような構造とすればよい。ここで、図4(A)は、図1(A)における発光領域140を拡大した図であり、図4(B)は有機EL層112の積層構造の例を詳細に説明する図である。図4(B)は、第1の中間層130、第1の発光層131、第2の中間層132、第2の発光層133、第3の中間層134、第3の発光層135および第4の中間層136の順番で積層した構造である。このとき、第1の発光層131、第2の発光層133および第3の発光層135に適切な発光色の材料を用いると演色性の高い、または発光効率の高い、発光装置を作製することができて好ましい。
【0043】
ここでは発光層を三層および中間層を四層設けた構造を示しているが、これに限定されるものではなく、適宜発光層の数および中間層の数を変更することができる。例えば、第1の中間層130、第1の発光層131、第2の中間層132、第2の発光層133および第3の中間層134のみで構成することもできる。また、第1の中間層130、第1の発光層131、第2の中間層132、第2の発光層133、第3の発光層135および第4の中間層136で構成し、第3の中間層134を省いた構造としても構わない。
【0044】
また、中間層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層などを積層構造で用いることができる。なお、中間層は、これらの層を全て備える必要はない。これらの層は必要に応じて適宜選択、または重複して設けることもできる。また、中間層としてキャリア発生層のほか、電子リレー層などを適宜加えることができる。
【0045】
第2の基板150は、厚さが20μm以上100μm以下、例えば50μm程度の極薄ガラスを用いればよい。第2の基板150として極薄ガラスを用いると、透湿性が低いだけでなく、ある程度の柔軟性を有するために割れが生じにくいなど曲げや衝撃に強くすることができる。
【0046】
または、第2の基板150は、樹脂またはガスバリア性シート上に設けられた酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化シリコン、ダイアモンドライクカーボンまたは高分子材料から選ばれる二種以上を含む可とう性および非透湿性を有する積層体としてもよい。
【0047】
第2の電極114、保護絶縁膜116、第2の基板150、樹脂151および樹脂154は可視光領域で透光性を有するため、本実施の形態に示す発光装置は、第2の基板150側が発光面となる、いわゆるトップエミッション構造の発光装置である。
【0048】
また、第1の基板100に放熱性の高い基板を用いていることによって、発光装置が放熱しやすい構造となっている。そのため、熱による信頼性の低下を抑制することができる。
【0049】
次に、図1(A)に示す発光装置の作製方法を説明する。
【0050】
まず、第1の基板100上に下地絶縁膜102を成膜する(図2(A)参照。)。
【0051】
次に、下地絶縁膜102上に導電膜を成膜し、加工して第1の電極104を形成する(図2(B)参照。)。
【0052】
次に、隣接する第1の電極104の端部を覆う隔壁106、および第1の電極104上の隔壁108を形成する。次に、隔壁108と一部が重畳する隔壁110を形成する(図2(C)参照。)。なお、隔壁108は、第1の電極104と第2の電極114とが、隔壁108の形成箇所にて接することを防ぐために設けている。
【0053】
隔壁110は、ネガ型の感光性材料を用いてフォトリソグラフィ法により形成することができる。図4(C)に示す構造の隔壁110も同様の方法で形成することができる。また図4(D)に示す構造の隔壁110は、隔壁124をポジ型の感光性材料で形成し、その後、隔壁126をネガ型の感光性材料で形成することで得ることができる。
【0054】
次に、第1の電極104、隔壁106、隔壁108および隔壁110上に、有機EL層112、第2の電極114および保護絶縁膜116の順番で成膜する(図2(D)参照。)。以上の工程によって発光領域140を有する発光装置を作製することができる。
【0055】
隔壁110が逆テーパー形状で設けられていることにより、有機EL層112、第2の電極114および保護絶縁膜116をメタルマスクを用いずに所望の形状に加工することができる。メタルマスクを用いると、高精細なパターンになるほど目詰まりやゴミが生じやすく、また、メタルマスクが発光領域140に重なることで傷が生じてしまう。その結果、発光装置の品質および信頼性が低下してしまう。
【0056】
このとき、第1の基板100の外周部のみをマスクで覆って、外周部に膜が付着しないように有機EL層112、第2の電極114および保護絶縁膜116を成膜してもよい。なお、保護絶縁膜116を成膜しなくても構わない。
【0057】
例えば、有機EL層112は膜の回り込みの少ない成膜方法(例えば蒸着法、ロングスロースパッタリング法、コリメートスパッタリング法など)で成膜する。次に、有機EL層112よりも膜の回り込みの多い成膜方法(例えばMOCVD法、またはスパッタリング法)で第2の電極114を成膜する。次に、第2の電極114の場合よりも回り込みが多いか同じ程度の成膜方法で保護絶縁膜116を成膜する。このような方法を採ることで、発光領域の異なる第1の電極104と第2の電極114とを一カ所で接することができる。即ち、隣り合う発光領域140同士が直列に接続されていることになる。そのため、駆動電圧の高い発光装置を得ることができる。
【0058】
作製した発光装置は、湿気に弱いため、適切な封止を行う。具体的には、発光装置を乾燥処理した後、シール材118を用いて第1の基板100と第2の基板150を接合する(図3(A)参照。)。乾燥処理は、例えば乾燥雰囲気での熱処理によって行う。このとき、第2の基板150と発光装置の間には空間120が生じることになる。空間120に代えてエポキシ樹脂などの可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物を設けても構わない。また、空間120には、乾燥剤を封入すると好ましい。
【0059】
次に、第2の基板150上にレンズ形状の構造物を有する樹脂151およびレンズ形状の構造物を有する樹脂154を形成する(図3(B)参照。)。
【0060】
以上の工程により、封止され、レンズ形状の構造物を有する樹脂の設けられた発光装置を作製することができる。
【0061】
なお、第1の基板100の代わりに非可とう性の基板を用いて上記作製方法を適用する場合、剥離法によって該非可とう性の基板から発光装置を分離し、該発光装置を第1の基板100に接合しても構わない。
【0062】
本実施の形態に示す発光装置は、第1の基板100に放熱性が高く、可とう性を有する材料を用い、第2の基板150に可とう性および非透湿性を有する基板を用いているため、湿気、熱による劣化が少なく、また重量を軽くすることが可能であり、曲げや衝撃に強い。
【0063】
また、本実施の形態で示した発光装置を備えた、劣化が少なく、曲げや衝撃に強い照明装置を提供することができる。
【0064】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0065】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示装置およびその作製方法について図5乃至図12を用いて説明する。
【0066】
図5(A)は、図5(B)および図5(C)に示す上面図において一点鎖線A−Bに対応する断面図である。ここで、図5(B)は第1の基板200を第2の電極224側から観察した上面図である。ただし、煩雑さを避けるため、第2の電極224、有機EL層222などを省略して示している。図5(C)は第2の基板250を着色層256、着色層258、着色層260および着色層262側から観察した上面図である。
【0067】
図5(A)に示す表示装置は、第1の基板200と、第1の基板200上の下地絶縁膜202と、下地絶縁膜202上のドレイン電極212を有するトランジスタ240と、平坦化膜216に設けられた開口部を介してドレイン電極212と接する複数の第1の電極218と、第1の電極218の端部を覆う隔壁220と、第1の電極218および隔壁220上に設けられた有機EL層222と、有機EL層222上に設けられた第2の電極224と、第2の電極224上に空間264を介して設けられた着色層256、着色層258、着色層260および着色層262の間のBM(ブラックマトリクス)254と、BM254、ならびに着色層256、着色層258、着色層260および着色層262上の絶縁膜252と、絶縁膜252上の第2の基板250と、を有する表示装置である。なお、絶縁膜252を設けない構造としても構わない。また、着色層256、着色層258、着色層260および着色層262上に保護膜を形成しても構わない。
【0068】
ここで、第2の電極224上に有機EL層222のバリア膜として機能する保護絶縁膜を設けても構わない。
【0069】
なお、図7に示すように、第2の電極224上に平坦化膜226を設け、平坦化膜226上にBM254、ならびに着色層256、着色層258、着色層260および着色層262を設け、着色層256、着色層258、着色層260および着色層262上に空間264を介して絶縁膜252および絶縁膜252上の第2の基板250を設ける構造としても構わない。
【0070】
ここで、空間264に代えてエポキシ樹脂などの可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物が充填されていても構わない。また、図示しないが、空間264内には乾燥剤、スペーサ、シール材を設けても構わない。
【0071】
ここで、第1の電極218、有機EL層222および第2の電極224によって発光領域が構成される。
【0072】
トランジスタ240は、ゲート電極204と、ゲート電極204を覆うゲート絶縁膜206と、ゲート電極204上にゲート絶縁膜206を介して設けられた半導体膜208と、半導体膜208と一部が接するソース電極210およびドレイン電極212と、少なくともソース電極210、ドレイン電極212および半導体膜208を覆う保護絶縁膜214と、を有する。
【0073】
トランジスタ240は、上記の構造に限定されるものではなく、様々な構造を採りうる。一例を図6(A)乃至図6(F)に示す。
【0074】
図6(A)に示すトランジスタは、図5(A)に示すトランジスタ240と同様の構造である。
【0075】
図6(B)に示すトランジスタは、下地絶縁膜202が設けられた第1の基板200上のゲート電極204bと、ゲート電極204b上のゲート絶縁膜206bと、ゲート絶縁膜206b上のソース電極210bおよびドレイン電極212bと、ソース電極210bおよびドレイン電極212bと一部が接する半導体膜208bと、少なくともソース電極210b、ドレイン電極212bおよび半導体膜208bを覆う保護絶縁膜214bと、を有するトランジスタである。
【0076】
図6(C)に示すトランジスタは、下地絶縁膜202が設けられた第1の基板200上の半導体膜208cと、半導体膜208cと一部が接するソース電極210cおよびドレイン電極212cと、少なくともソース電極210c、ドレイン電極212cおよび半導体膜208cを覆うゲート絶縁膜206cと、半導体膜208c上にゲート絶縁膜206cを介して設けられたゲート電極204cと、を有するトランジスタである。
【0077】
図6(D)に示すトランジスタは、下地絶縁膜202が設けられた第1の基板200上のソース電極210dおよびドレイン電極212dと、ソース電極210dおよびドレイン電極212dと一部が接する半導体膜208dと、少なくともソース電極210d、ドレイン電極212dおよび半導体膜208dを覆うゲート絶縁膜206dと、半導体膜208d上にゲート絶縁膜206dを介して設けられたゲート電極204dと、を有するトランジスタである。
【0078】
図6(E)に示すトランジスタは、下地絶縁膜202が設けられた第1の基板200上のゲート電極204eと、ゲート電極204e上のゲート絶縁膜206eと、ゲート絶縁膜206e上の半導体膜208eと、半導体膜208eを覆う保護絶縁膜214eと、保護絶縁膜214eに設けられた開口部を介して半導体膜208eと一部が接するソース電極210eおよびドレイン電極212eと、を有するトランジスタである。半導体膜208eは、一部にソース領域およびドレイン領域を有してもよい。
【0079】
図6(F)に示すトランジスタは、下地絶縁膜202が設けられた第1の基板200上の半導体膜208fと、半導体膜208f上のゲート絶縁膜206fと、ゲート絶縁膜206f上のゲート電極204fと、ゲート電極204fを覆う保護絶縁膜214fと、保護絶縁膜214fおよびゲート絶縁膜206fに設けられた開口部を介して半導体膜208fと一部が接するソース電極210fおよびドレイン電極212fと、を有するトランジスタである。半導体膜208fは、一部にソース領域およびドレイン領域を有してもよい。
【0080】
ここで、半導体膜208および半導体膜208b乃至半導体膜208fは、非晶質シリコン膜、微結晶シリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜および酸化物半導体膜のいずれか一種を用いればよい。
【0081】
酸化物半導体膜は、インジウム、ガリウム、亜鉛、錫、チタンおよびアルミニウムから選ばれた二種以上の元素を含む材料からなる。
【0082】
酸化物半導体膜は、バンドギャップが2.5eV以上、好ましくは3.0eV以上である。
【0083】
酸化物半導体膜は、水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などが低減され、極めて不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。そのため、前述の酸化物半導体膜をチャネル領域に用いたトランジスタはオフ電流を小さくできる。
【0084】
酸化物半導体膜中の水素濃度は、5×1018/cm未満、好ましくは1×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、さらに好ましくは1×1016/cm以下とする。
【0085】
酸化物半導体膜としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系の材料や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系の材料、In−Sn−Zn−O系の材料、In−Al−Zn−O系の材料、Sn−Ga−Zn−O系の材料、Al−Ga−Zn−O系の材料、Sn−Al−Zn−O系の材料や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系の材料、Sn−Zn−O系の材料、Al−Zn−O系の材料、Zn−Mg−O系の材料、Sn−Mg−O系の材料、In−Mg−O系の材料、In−Ga−O系の材料や、In−O系の材料、Sn−O系の材料、Zn−O系の材料などを用いてもよい。また、上記の材料に酸化シリコンを含ませてもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系の材料とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物、という意味であり、その組成比は特に問わない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでいてもよい。このとき、酸化物半導体膜の化学量論比に対し、Oを過剰にすると好ましい。Oを過剰にすることで酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0086】
なお、一例として、酸化物半導体膜としてIn−Zn−O系材料を用いる場合、原子数比で、In/Znが0.5〜50、好ましくはIn/Znが1〜20、さらに好ましくはIn/Znが3〜15とする。Znの原子数比を前述の範囲とすることで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。ここで、化合物の原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0087】
酸化物半導体膜として、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えば、Mとして、Ga、GaおよびAl、GaおよびMnまたはGaおよびCoなどを用いてもよい。
【0088】
酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとりうる。
【0089】
好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
【0090】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0091】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0092】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0093】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0094】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0095】
平坦化膜216は有機化合物または無機化合物を用いればよい。有機化合物を用いる場合、例えば、アクリル、ポリイミド、シロキサンなどを用いればよい。
【0096】
第1の電極218、隔壁220、有機EL層222および第2の電極224は、それぞれ実施の形態1で示した第1の電極104、隔壁106、有機EL層112および第2の電極114と同様の材料を用いて形成すればよい。
【0097】
着色層256、着色層258、着色層260および着色層262として、適切な有色層を設ける。例えば、レッド、グリーン、ブルー、イエローまたはレッド、グリーン、ブルー、ホワイトを選択する。本実施の形態では着色層を四種としているが、これに限定されない。例えば、着色層が三種以下でもよいし、五種以上でも構わない。
【0098】
本実施の形態に示す表示装置では、発光領域242から射出される白色光が、着色層256、着色層258、着色層260または着色層262を通って外部に放出されることにより、カラー表示を行うことができる。このとき、各着色層の厚みを適切に制御することで、より演色性の高いカラー表示を行っても構わない。
【0099】
このように、白色光と着色層によってカラー表示を行う方式とすることによって、例えば、各色の発光領域を並べて画素を作製した場合と比べ、色の異なる発光層を塗り分ける工程が省略されるため、より精細かつ信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0100】
着色層間の混色を防ぐために、各着色層の間にはBM254を設ける。BM254は、例えばチタン、タンタル、モリブデン、タングステンなどの金属材料および黒色樹脂などから一種以上選択して用いればよい。
【0101】
絶縁膜252は、下地絶縁膜202と同様の材料を用いればよい。
【0102】
第2の基板250は、実施の形態1で示した第2の基板150と同様の材料を用いればよい。即ち、透湿性が低く、可視光領域で透光性を有し、かつ割れが生じにくい材料を用いればよい。
【0103】
第2の電極224、絶縁膜252および第2の基板250は可視光領域で透光性を有するため、本実施の形態に示す表示装置は、第2の基板250側が発光面となる、いわゆるトップエミッション構造の表示装置である。
【0104】
また、第1の基板200に放熱性の高い基板を用いることによって、表示装置が放熱しやすい構造となっている。そのため、熱による信頼性の低下を抑制することができる。
【0105】
次に、図5(A)に示した構造の表示装置を作製する方法の一例を説明する。
【0106】
まずは、トランジスタ240を作製する(図8(A)参照。)。
【0107】
次に、トランジスタ240上に平坦化膜216を形成し、トランジスタ240のドレイン電極212を露出する開口部を形成する。その後、該開口部を介してドレイン電極212と接する複数の第1の電極218を形成する(図8(B)参照。)。
【0108】
次に、第1の電極218の端部を覆う隔壁220を形成する(図8(C)参照。)。
【0109】
次に、第1の電極218および隔壁220上に有機EL層222を形成する。その後、有機EL層222上に第2の電極224を形成し、第1の電極218、有機EL層222および第2の電極224で構成される発光領域242とする(図8(D)参照。)。
【0110】
以上の工程によって第1の基板200上にトランジスタ240および発光領域242を作製することができる。
【0111】
次に、第2の基板250を用意し、絶縁膜252を形成する。その後、BM254を形成する(図9(A)参照。)。なお、絶縁膜252を設けない構造としても構わない。
【0112】
次に、絶縁膜252およびBM254上に、着色層256、着色層258、着色層260および着色層262を形成する(図9(B)参照。)。
【0113】
次に、第1の基板200または第2の基板250の外枠にシール材を塗布し、シール材を介して第1の基板200と第2の基板250を接合することで、図5(A)に示す表示装置を作製する。
【0114】
さらに、第2の基板250として、ガラス基板を用い、かつ厚さが100μmよりも厚い場合、第2の基板250の絶縁膜252とBM254が設けられていない側を研磨することで厚さが20μm以上100μm以下の極薄ガラスとしても構わない。
【0115】
以下に、前述の作製方法と異なる作製方法で図5(A)に示す表示装置を作製する方法を示す。
【0116】
まず、基板300上に剥離層302を成膜し、剥離層302上に下地絶縁膜202を成膜する。基板300は、シリコンウェハ、ガラス基板、石英基板などを用いればよい。剥離層302は、タングステン、モリブデン、クロム、銅およびタンタルなどの金属材料を用いればよい。
【0117】
剥離層302は、剥離層302と下地絶縁膜202との界面において分断可能とする層である。剥離層302と下地絶縁膜202とは、表示装置の作製工程中には分断されず、表示装置を作製工程後にきっかけを作って分断可能な程度の密着性を有する必要がある。
【0118】
次に、下地絶縁膜202上にトランジスタ240を作製する(図10(A)参照。)。
【0119】
次に、トランジスタ240のドレイン電極212を露出する開口部を有する平坦化膜216を形成し、該開口部を介してドレイン電極212と接する複数の第1の電極218を形成する。次に、隣接する第1の電極218の端部を覆う隔壁220を形成する。次に、隔壁220および第1の電極218上に有機EL層222および第2の電極224を積層して形成する(図10(B)参照。)。
【0120】
次に、レーザー処理などで端部にきっかけを作り、剥離層302と下地絶縁膜202とを分断する(図10(C)参照。)。
【0121】
次に、接着剤304を介して下地絶縁膜202に第1の基板200を接合する(図10(D)参照。)。
【0122】
以上の工程によって第1の基板200上にトランジスタ240および発光領域242を作製することができる。
【0123】
また、第2の基板250側も同様の方法で作製することができる。
【0124】
同様に基板350上に剥離層352を成膜し、剥離層352上に絶縁膜252を成膜する。基板350および剥離層352は、基板300および剥離層302と同様の構成とすればよい。
【0125】
次に、絶縁膜252上にBM254を形成する(図11(A)参照。)。
【0126】
次に、絶縁膜252およびBM254上に、着色層256、着色層258、着色層260および着色層262を形成する(図11(B)参照。)。なお、着色層256、着色層258、着色層260および着色層262は、お互いが重畳する必要はなく、BM254の形成されない領域を埋めるように設けていればよい。
【0127】
次に、レーザー処理などで端部にきっかけを作り、剥離層352と絶縁膜252とを分断する(図11(C)参照。)。
【0128】
次に、接着剤308を介して絶縁膜252に第2の基板250を接合する(図11(D)参照。)。
【0129】
以上の工程によって、BM254、ならびに着色層256、着色層258、着色層260および着色層262を有する第2の基板250を作製することができる。
【0130】
第1の基板200と第2の基板250をシール材を介して接合することで、図5(A)と同様の表示装置を作製することができる。
【0131】
または、図10(B)に示す構造と図11(B)に示す構造をシール材を介して接合し(図12(A)参照。)、基板300と剥離層302との界面および基板350と剥離層352との界面において発光装置と基板を分断し(図12(B)参照。)、発光装置の両面を第1の基板200および第2の基板250で封止することで図5(A)に示す表示装置を作製しても構わない(図12(C)参照。)。
【0132】
本実施の形態では、第1の基板200側および第2の基板250側の両方に対し剥離層を用いる工程を示しているが、これに限定されるものではなく、第1の基板200側のみに対し剥離層を用いても構わないし、第2の基板250側のみに対し剥離層を用いても構わない。
【0133】
以上の工程により、有機ELを用いた発光装置を適用したカラー表示が可能な表示装置を作製することができる。
【0134】
本実施の形態に示した表示装置は、第1の基板200に可とう性を有し、放熱性の高い材料を用い、第2の基板250に可とう性および非透湿性を有する基板を用いているため、湿気、熱による劣化が少なく、曲げや衝撃に強い。
【0135】
また、発光層の塗り分けなどを行っていないため、信頼性が高く高精細な表示装置を得ることができる。
【0136】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0137】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2を適用した照明装置および表示装置の例について説明する。
【0138】
図13(A)は携帯型情報端末である。筐体9300と、ボタン9301と、マイクロフォン9302と、表示部9303と、スピーカ9304と、カメラ9305と、を具備し、携帯型電話機としての機能を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部9303に適用することができる。本発明の一態様に係る表示装置を適用することで、高精細で信頼性の高い携帯型情報端末を得ることができる。
【0139】
図13(B)は、パネル型照明装置である。筐体9310と、発光部9311と、を具備する。本発明の一態様に係る表示装置は、発光部9311に適用することができる。本発明の一態様に係る表示装置を適用することで、曲げや衝撃に強く、面発光の照明装置を得ることができる。
【0140】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0141】
100 第1の基板
102 下地絶縁膜
104 第1の電極
106 隔壁
108 隔壁
110 隔壁
112 有機EL層
114 第2の電極
116 保護絶縁膜
118 シール材
120 空間
122 隔壁
124 隔壁
126 隔壁
130 第1の中間層
131 第1の発光層
132 第2の中間層
133 第2の発光層
134 第3の中間層
135 第3の発光層
136 第4の中間層
140 発光領域
150 第2の基板
151 樹脂
154 樹脂
200 第1の基板
202 下地絶縁膜
204 ゲート電極
204b ゲート電極
204c ゲート電極
204d ゲート電極
204e ゲート電極
204f ゲート電極
206 ゲート絶縁膜
206b ゲート絶縁膜
206c ゲート絶縁膜
206d ゲート絶縁膜
206e ゲート絶縁膜
206f ゲート絶縁膜
208 半導体膜
208b 半導体膜
208c 半導体膜
208d 半導体膜
208e 半導体膜
208f 半導体膜
210 ソース電極
210b ソース電極
210c ソース電極
210d ソース電極
210e ソース電極
210f ソース電極
212 ドレイン電極
212b ドレイン電極
212c ドレイン電極
212d ドレイン電極
212e ドレイン電極
212f ドレイン電極
214 保護絶縁膜
214b 保護絶縁膜
214e 保護絶縁膜
214f 保護絶縁膜
216 平坦化膜
218 第1の電極
220 隔壁
222 有機EL層
224 第2の電極
226 平坦化膜
240 トランジスタ
242 発光領域
250 第2の基板
252 絶縁膜
254 BM
256 着色層
258 着色層
260 着色層
262 着色層
264 空間
300 基板
302 剥離層
304 接着剤
308 接着剤
350 基板
352 剥離層
9300 筐体
9301 ボタン
9302 マイクロフォン
9303 表示部
9304 スピーカ
9305 カメラ
9310 筐体
9311 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板と、
前記第1の基板上に設けられた、下地絶縁膜と、前記下地絶縁膜上の複数の第1の電極と、前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁と、前記第1の電極上に設けられた第2の隔壁と、前記第2の隔壁および前記第1の電極上に設けられた第3の隔壁と、前記第1の電極、前記第1の隔壁、前記第2の隔壁および前記第3の隔壁上の有機EL層と、前記有機EL層を覆う可視光領域で透光性を有する第2の電極と、
水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板と、
シール材と、
を有し、
前記第3の隔壁は、前記第1の電極と接する側よりも前記有機EL層と接する側の形状が大きく、
前記シール材によって、前記第1の基板と前記第2の基板とが接合されることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の基板が、ステンレス鋼またはジュラルミンであることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第2の基板が、厚さが20μm以上100μm以下のガラスであることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第2の基板が、樹脂またはガスバリア性を有するシート上に設けられた酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化シリコン、ダイアモンドライクカーボンまたは高分子材料から選ばれる二種以上を含む積層体であることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間が可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物で充填されていることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
ガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板と、
前記第1の基板上に設けられた、下地絶縁膜と、前記下地絶縁膜上のドレイン電極を有するトランジスタと、前記トランジスタを覆い、前記ドレイン電極を露出する開口部を有する平坦化膜と、前記開口部を介して前記ドレイン電極と接する複数の第1の電極と、前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁と、前記第1の電極上の有機EL層と、前記有機EL層上の可視光領域で透光性を有する第2の電極と、
水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板と、
前記第2の基板上に設けられた、複数の着色層と、前記着色層間のブラックマトリクスと、
シール材と、
を有し、
前記シール材によって、前記第1の基板と前記第2の基板とが接合されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1の基板が、ステンレス鋼またはジュラルミンであることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記第2の基板が、厚さが20μm以上100μm以下のガラスであることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一において、
前記第2の基板が、樹脂またはガスバリア性を有するシート上に設けられた酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化シリコン、ダイアモンドライクカーボンまたは高分子材料から選ばれる二種以上を含む積層体であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間が可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物で充填されていることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
ガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上に複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁と、前記第1の電極上の前記第1の隔壁と同一層かつ同一材料からなる第2の隔壁を形成し、
前記第1の電極および前記第2の隔壁上に第3の隔壁を形成し、
前記第1の電極、前記第1の隔壁、前記第2の隔壁および前記第3の隔壁上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層を覆う第2の電極を形成し、
前記第1の基板と、水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合し、
前記第3の隔壁は、上面から見た場合、前記第1の電極と接する側の形状よりも前記有機EL層と接する側の形状が大きくなるように形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項12】
第3の基板上に剥離層を成膜し、
前記剥離層上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上に複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁と、前記第1の電極上の前記第1の隔壁と同一層かつ同一材料からなる第2の隔壁を形成し、
前記第1の電極および前記第2の隔壁上に第3の隔壁を形成し、
前記第1の電極、前記第1の隔壁、前記第2の隔壁および前記第3の隔壁上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層を覆う第2の電極を形成し、
前記第3の基板と、水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合し、
前記剥離層と前記下地絶縁膜との界面において前記第3の基板を分断し、
前記下地絶縁膜にガラスより放熱性が高く可とう性を有する第1の基板を接合し、
前記第3の隔壁は、上面から見た場合、前記第1の電極と接する側の形状よりも前記有機EL層と接する側の形状が大きくなるように形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項13】
第3の基板上に剥離層を成膜し、
前記剥離層上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上に複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁と、前記第1の電極上の前記第1の隔壁と同一層かつ同一材料からなる第2の隔壁を形成し、
前記第1の電極および前記第2の隔壁上に第3の隔壁を形成し、
前記第1の電極、前記第1の隔壁、前記第2の隔壁および前記第3の隔壁上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層を覆う第2の電極を形成し、
前記剥離層と前記下地絶縁膜との界面において前記第3の基板を分断し、
前記下地絶縁膜にガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板を接合し、
前記第1の基板と、水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合し、
前記第3の隔壁は、上面から見た場合、前記第1の電極と接する側の形状よりも前記有機EL層と接する側の形状が大きくなるように形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか一において、
前記第2の基板として厚さが100μm以上のガラスを用い、
前記厚さが100μm以上のガラスを研磨し、厚さが20μm以上100μm以下のガラスとすることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項15】
請求項8乃至請求項14のいずれか一において、
前記第2の基板が、樹脂またはガスバリア性を有するシート上に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化シリコン、ダイアモンドライクカーボンまたは高分子材料から選ばれる二種以上を含む膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項16】
請求項7乃至請求項15のいずれか一において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間を、可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物で充填することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項17】
ガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上にトランジスタを作製し、
前記トランジスタ上に該トランジスタのドレイン電極を露出する開口部を有する平坦化膜を形成し、
前記開口部を介して前記ドレイン電極と接する複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁を形成し、
前記第1の電極上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層上の可視光領域で透光性を有する第2の電極を形成し、
水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板上にブラックマトリクスを形成し、
前記第2の基板上の、前記ブラックマトリクスの形成されない領域に着色層を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合させることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項18】
第3の基板上に剥離層を成膜し、
前記剥離層上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上にトランジスタを作製し、
前記トランジスタ上に該トランジスタのドレイン電極を露出する開口部を有する平坦化膜を形成し、
前記開口部を介して前記ドレイン電極と接する複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁を形成し、
前記第1の電極上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層上の可視光領域で透光性を有する第2の電極を形成し、
水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板上にブラックマトリクスを形成し、
前記第2の基板上の、前記ブラックマトリクスの非形成領域に着色層を形成し、
前記第3の基板と前記第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合させ、
前記剥離層と前記下地絶縁膜との界面において前記第3の基板を分断し、
前記下地絶縁膜にガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板を接合することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項19】
第3の基板上に剥離層を成膜し、
前記剥離層上に下地絶縁膜を成膜し、
前記下地絶縁膜上にトランジスタを作製し、
前記トランジスタ上に該トランジスタのドレイン電極を露出する開口部を有する平坦化膜を形成し、
前記開口部を介して前記ドレイン電極と接する複数の第1の電極を形成し、
前記第1の電極の端部を覆う第1の隔壁を形成し、
前記第1の電極上に有機EL層を形成し、
前記有機EL層上の可視光領域で透光性を有する第2の電極を形成し、
前記剥離層と前記下地絶縁膜との界面において前記第3の基板を分断し、
前記下地絶縁膜にガラスよりも放熱性が高く可とう性を有する第1の基板を接合し、
水蒸気透過率が1×10−7g/(m・day)以下である第2の基板上にブラックマトリクスを形成し、
前記第2の基板上の、前記ブラックマトリクスの非形成領域に着色層を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板とを、少なくともシール材を介して接合させることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項20】
請求項17乃至請求項19のいずれか一において、
前記第2の基板として厚さが100μm以上のガラスを用い、
前記厚さが100μm以上のガラスを研磨し、厚さが20μm以上100μm以下のガラスとすることを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項21】
請求項17乃至請求項20のいずれか一において、
前記第2の基板が、樹脂またはガスバリア性を有するシート上に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化シリコン、ダイアモンドライクカーボンまたは高分子材料から選ばれる二種以上を含む膜を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項22】
請求項17乃至請求項21のいずれか一において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間を、可視光領域で透光性を有する有機化合物または無機化合物で充填することを特徴とする表示装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−186155(P2012−186155A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27011(P2012−27011)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】