説明

発光装置及びその製造方法

【課題】光取り出し効率の調整を容易に行うことができる発光装置を提供する。
【解決手段】第1の光を発光する第1の発光層(青色有機発光層23B)と、第2の光を発光する第2の発光層(赤色有機発光層23R)と、第1の発光層及び第2の発光層に対向するカラーフィルター層50とを備え、カラーフィルター層50は、第1の光から第1の色の光を選択的に透過し、第1の発光層からの距離が第1の距離である第1のカラーフィルター部(青色カラーフィルター51B)と、第2の光から第2の色の光を選択的に透過し、第2の発光層からの距離が第1の距離とは異なる第2の距離である第2のカラーフィルター部(赤色カラーフィルター52R)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関し、特に、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)表示装置等の発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話をはじめとするモバイル機器の用途又は壁掛けテレビをはじめとする据え置き機器の用途として、発光装置(発光素子)を有するディスプレイデバイスの開発研究が進められている。
【0003】
なかでも、有機EL素子を有する有機EL表示装置は、薄膜化、高輝度化及び省エネルギー化できるという期待から、次世代の表示装置として実用化が積極的に進められている。
【0004】
具体的に、従来の有機EL表示装置の一例について、図25を用いて説明する。図25は、従来の有機EL表示装置の要部断面図である。
【0005】
図25に示すように、有機EL表示装置100は、TFT基板110上に形成された有機EL素子130を備えている。有機EL素子130は、反射電極131(下部電極)と、透明電極132(上部電極)と、反射電極131及び透明電極132の間に形成された有機EL層120とからなる。
【0006】
有機EL層120は、光の発生源となる有機発光層123を有すると共に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)などを含んでいる。なお、図25において、有機EL層120は、正孔注入層121、正孔輸送層122、有機発光層123及び電子輸送層124によって構成されている。
【0007】
有機EL素子を有する有機EL表示装置では、表示性能を向上させることを目的として、既にいくつかの態様が提案されている。
【0008】
例えば、図25に示される有機EL表示装置100のように、光の色純度を向上させることを目的として、光反射性を有する反射電極131と光透過性を有する透明電極132との間に、有機発光層123を含む有機EL層120を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このように構成される有機EL表示装置100は、有機発光層123で発生した光が反射電極131と透明電極132との間において反射及び共振されたのちに有機EL素子130から放出されるという、いわゆる光共振機能を有する。この光共振機能を担う有機EL素子130の素子構造は、一般に「共振器構造」と呼ばれており、一種の狭帯域フィルターとして機能する。共振器構造による光共振作用に基づいて、有機EL素子130から放出する光の色純度を向上させることができる。
【0010】
また、図25に示される有機EL表示装置100では、封止層140上にカラーフィルター層150が配置されている。
【0011】
カラーフィルター層150は、有機発光層123において発生した画像表示用の光を選択的に透過させるものであり、赤色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBの各有機発光層123に対応して配置された3色の光学フィルターである。すなわち、カラーフィルター層150は、赤色カラーフィルター150R、緑色カラーフィルター150G及び青色カラーフィルター150Bを含む1層からなる。なお、カラーフィルター層150の上には、透光基板160が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−127662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の有機EL表示装置100では、例えば、有機EL層120の発光色が異なる(例えば、赤色光、緑色光及び青色光)有機EL素子130同士において、反射電極131と透明電極132との間の距離(いわゆる光学的距離)が互いに異なっている場合がある。
【0014】
例えば、各画素部の有機EL層120における光学的距離が各色の波長に応じて設定されており、図26に示すように、各色に対応する有機EL素子130R、130G及び130Bでは、各色の波長に応じて反射電極131と透明電極132との間の有機EL層120の厚さを各々異ならせている場合がある。あるいは、各色に対応する有機EL素子130R、130G及び130Bにおいて、各有機発光層123が別々のプロセスで作製される場合があり、結果として各有機EL層120同士の厚さが異なってしまう場合もある。
【0015】
この結果、各色に対応する有機EL層120同士の屈折率(光屈折率)が異なってしまうので、赤色、緑色及び青色に対応する各有機EL素子130R、130G及び130Bから放出される光の取り出し効率が均一にならない。この場合、所望の屈折率となるように、有機EL素子ごとに、正孔注入層121、正孔輸送層122、有機発光層123、電子輸送層124又は電子注入層などの膜厚を変更して、有機EL層120を作製することも考えられる。しかしながら、これには多くの製造工程が必要となり、製造時間が増加するだけではなくコストも増加してしまう。
【0016】
このように、従来の有機EL表示装置100では、放出される光の取り出し効率の調整を行うことが難しいという問題がある。
【0017】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、光取り出し効率の調整を容易に行うことができる発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係る発光装置の一態様は、第1の光を発光する第1の発光層と、第2の光を発光する第2の発光層と、前記第1の光から第1の色の光を選択的に透過する第1のカラーフィルター部及び前記第2の光から第2の色の光を選択的に透過する第2のカラーフィルター部を有するカラーフィルター層とを備え、前記第1のカラーフィルター部は、前記第1の発光層に対向し、かつ、前記第1の発光層からの距離が第1の距離であり、前記第2のカラーフィルター部は、前記第2の発光層に対向し、かつ、前記第2の発光層からの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の平面図である。
【図2】図1のA−A’線に沿って切断した本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の断面図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる第1のカラーフィルター層及び第2のカラーフィルター層の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における樹脂封止層形成工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における第1のカラーフィルター層配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における第2のカラーフィルター層配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における透光基板配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の要部断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層及びレンズ部の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の要部断面図である。
【図14】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図15】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図16】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置における光取り出し効率の効果を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層及び第3のカラーフィルターの構成を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における樹脂封止層形成工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における第1のカラーフィルター層配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図20】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における第2のカラーフィルター層配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図21】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における第3のカラーフィルター層配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における透光基板配置工程を示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその断面図である。
【図23】本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置の要部断面図である。
【図24】本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層、第3のカラーフィルター層及びレンズ部の構成を示す図である。
【図25】従来の有機EL表示装置の要部断面図である。
【図26】従来の有機EL表示装置の要部断面図であって、膜厚が異なる有機EL層を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る発光装置の一態様は、第1の光を発光する第1の発光層と、第2の光を発光する第2の発光層と、前記第1の光から第1の色の光を選択的に透過する第1のカラーフィルター部及び前記第2の光から第2の色の光を選択的に透過する第2のカラーフィルター部を有するカラーフィルター層とを備え、前記第1のカラーフィルター部は、前記第1の発光層に対向し、かつ、前記第1の発光層からの距離が第1の距離であり、前記第2のカラーフィルター部は、前記第2の発光層に対向し、かつ、前記第2の発光層からの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離である。
【0022】
本態様によれば、カラーフィルター層が、第1の発光層からの距離が第1の距離である第1のカラーフィルター部と、第2の発光層からの距離が第1の距離とは異なる第2の距離である第2のカラーフィルター部とを有する。これにより、カラーフィルター層よりも発光層側の層(下の層)において屈折率が異なり光取り出し効率が異なる場合であっても、第1のカラーフィルター部及び第2のカラーフィルター部によって屈折率を所望に調整することができるので、発光装置全体として所望の光取り出し効率とすることができる。
【0023】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記カラーフィルター層は、第1のカラーフィルター層と、前記第1のカラーフィルター層上に配置された第2のカラーフィルター層とを有し、前記第1のカラーフィルター層は、前記第1のカラーフィルター部と前記第2の光を透過する第1の透光部とを有し、前記第2のカラーフィルター層は、前記第2のカラーフィルター部と前記第1の光を透過する第2の透光部とを有することが好ましい。
【0024】
本態様によれば、第1のカラーフィルター部を第1のカラーフィルター層によって構成することができる。また、第2のカラーフィルター部を第2のカラーフィルター層によって構成することができる。これにより、発光層からの距離が異なる第1のカラーフィルター部及び第2のカラーフィルター部を2層に分けて作製することができるので、発光層からの距離が異なる2つのカラーフィルター部を有する1つのカラーフィルター層を容易に作製することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第1のカラーフィルター部の屈折率をn11とし、前記第1の透光部の屈折率をn12とし、前記第2のカラーフィルター部の屈折率をn21とし、前記第2の透光部の屈折率をn22とすると、n21<n12、及び、n22<n11とすることが好ましい。
【0026】
本態様によれば、カラーフィルター層を透過する光を屈折させて集光させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、第3の光を発光する第3の発光層と、前記第3の光から第3の色の光を選択的に透過する第3のカラーフィルター部とを備え、前記第3のカラーフィルター部は、前記第3の発光層に対向し、かつ、前記第3の発光層からの距離が第3の距離であることが好ましい。
【0028】
本態様によれば、カラーフィルター部を透過させた色純度の高い3色の光を得ることができる。例えば、赤色光、緑色光及び青色光の画像表示用の3色光を得ることができるので、表示性能に優れた表示装置を得ることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第3の距離は、前記第1の距離及び前記第2の距離の一方と同じであり、かつ、前記第1の距離及び前記第2の距離の他方と異なることが好ましい。
【0030】
本態様によれば、第3のカラーフィルター部を第1のカラーフィルター部又は第2のカラーフィルター部と同層とすることができるので、簡単な製造工程により、3つのカラーフィルター部を有する1つのカラーフィルター層を得ることができる。
【0031】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記カラーフィルター層は、前記第1のカラーフィルター部を有する第1のカラーフィルター層と、前記第1のカラーフィルター層上に配置され、前記第2のカラーフィルター部を有する第2のカラーフィルター層とを備え、前記第1のカラーフィルター層又は前記第2のカラーフィルター層は、前記第3のカラーフィルター部を有することが好ましい。
【0032】
本態様によれば、第3のカラーフィルター部を第1のカラーフィルター層又は第2のカラーフィルター層に形成することができる。これにより、簡単な製造工程により、3つのカラーフィルター部を有する1つのカラーフィルター層を得ることができる。
【0033】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第3の距離は、前記第1の距離及び前記第2の距離と異なることが好ましい。
【0034】
本態様によれば、1つのカラーフィルター層に発光層からの距離が互いに異なる3つのカラーフィルター部を形成することができる。
【0035】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記カラーフィルター層は、第1のカラーフィルター層と、前記第1のカラーフィルター層上に配置された第2のカラーフィルター層と、前記第2のカラーフィルター層上に配置された第3のカラーフィルター層とを有し、前記第1のカラーフィルター層は、前記第1のカラーフィルター部を有するとともに、前記第2の光及び前記第3の光を透過する第1の透光部を有し、前記第2のカラーフィルター層は、前記第2のカラーフィルター部を有するとともに、前記第1の光及び前記第3の光を透過する第2の透光部を有し、前記第3のカラーフィルター層は、前記第3のカラーフィルター部を有するとともに、前記第1の光及び前記第2の光を透過する第3の透光部を有することが好ましい。
【0036】
本態様によれば、3つのカラーフィルター部が3層それぞれのカラーフィルター層に形成される。これにより、3層のカラーフィルター層それぞれで屈折率を調整することができるので、屈折率を調整する自由度が大きくなる
【0037】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第1のカラーフィルター部の屈折率をn11とし、前記第1の透光部の屈折率をn12とし、前記第2のカラーフィルター部の屈折率をn21とし、前記第2の透光部の屈折率をn22とし、前記第3のカラーフィルター部の屈折率をn31とし、前記第2の透光部の屈折率をn32とすると、n31<n22≦n12、n32<n21≦n12≦n22≦n11の関係を満たすことが好ましい。
【0038】
本態様によれば、カラーフィルター層を透過する光を屈折させて集光させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第1の光と前記第2の光とは、異なる色の光であることが好ましい。
【0040】
本態様によれば、異なる色の光を発する複数の発光層が存在し、各発光層の領域(画素部等)において膜厚が異なり領域ごとに屈折率が異なる場合であったとしても、カラーフィルター層において屈折率を調整することができる。
【0041】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記第1の発光層は、青色の光を発光する青色有機発光層であり、前記第1のカラーフィルター部は、前記青色の光から所定の青色の光を選択的に透過することが好ましい。
【0042】
本態様によれば、劣化しやすく光取り出し効率が低い青色有機発光層を備えている場合であっても、カラーフィルター層によって容易に光取り出し効率の調整を行うことができるので、青色有機発光層に対応する領域(青色画素部)における光取り出し効率のみを容易に向上させることができる。
【0043】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、前記カラーフィルター層を透過した光を集光するレンズを備えることが好ましい。
【0044】
本態様によれば、光取り出し効率をさらに向上させることができる。
【0045】
さらに、本発明に係る発光装置の一態様において、基板と、前記基板の上方に形成され、前記第1の発光層から放出される前記第1の光を反射する第1の反射電極と、前記基板の上方に形成され、前記第2の発光層から放出される前記第2の光を反射する第2の反射電極と、前記第1の反射電極及び前記第2の反射電極に対向し、前記第1の光及び前記第2の光を透過する透明電極とを備え、前記第1の発光層は、前記第1の反射電極と前記透明電極との間に配置され、前記第2の発光層は、前記第2の反射電極と前記透明電極との間に配置されることが好ましい。
【0046】
本態様によれば、共振器構造を有する発光装置とすることができるので、発光層から放出される光の色純度を向上させることができる。
【0047】
また、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様は、第1の光を発光する第1の発光層を形成する工程と、第2の光を発光する第2の発光層を形成する工程と、前記第1の発光層及び前記第2の発光層に対向させてカラーフィルター層を形成する工程とを備え、前記カラーフィルター層を形成する工程は、前記第1の光から前記第1の色の光を選択的に透過するとともに前記第1の発光層からの距離が第1の距離である前記第1のカラーフィルター部と、前記第2の光を透過する第1の透光部とを有する第1のカラーフィルター層を形成する工程と、前記第2の光から前記第2の色の光を選択的に透過するとともに前記第2の発光層からの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離である前記第2のカラーフィルター部と、前記第1の光を透過する第2の透光部とを有する第2のカラーフィルター層を、前記第1のカラーフィルター層上に形成する工程とを含むものである。
【0048】
本態様によれば、簡単な製造工程により、発光層からの距離が異なる複数のカラーフィルター部を有するカラーフィルター層を形成することができる。
【0049】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記第1のカラーフィルター層の上面に凹部が形成され、前記第2のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、前記第2のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第1のカラーフィルター層上に前記第2のカラーフィルター層を配置することが好ましい。
【0050】
本態様によれば、第1のカラーフィルター層に形成された凹部と第2のカラーフィルター層に形成された凸部とをアライメントマークとして利用して第2のカラーフィルター層の位置合わせを行うことができる。これにより、第2のカラーフィルター層の貼り合わせずれを防止することができるので、第2のカラーフィルター層の貼り合せずれによる光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0051】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記カラーフィルター層を形成する工程の前に、前記第1の発光層及び前記第2の発光層の上方に封止層を形成する工程を含み、前記封止層の上面に凹部が形成され、前記第1のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、前記第1のカラーフィルター層を形成する工程において、前記封止層に形成された前記凹部に前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記封止層上に前記第1のカラーフィルター層を配置することが好ましい。
【0052】
本態様によれば、封止層に形成された凹部と第1のカラーフィルター層に形成された凸部とをアライメントマークとして利用して第1のカラーフィルター層の位置合わせを行うことができる。これにより、第1のカラーフィルター層の貼り合わせずれを防止することができるので、第1のカラーフィルター層の貼り合せずれによる光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0053】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きいことが好ましい。
【0054】
本態様によれば、第1のカラーフィルター層の貼り合せ間違いを防止することができる。
【0055】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記カラーフィルター層を形成する工程の前に、第3の光を発光する第3の発光層を形成する工程を含み、前記カラーフィルター層を形成する工程は、さらに、前記第3の光から前記第3の色の光を選択的に透過するとともに前記第3の発光層からの距離が前記第3の距離である第3のカラーフィルター部と、前記第1の光及び前記第2の光を透過する第3の透光部とを有する第3のカラーフィルター層を、前記第2のカラーフィルター層上に形成する工程を有することが好ましい。
【0056】
本態様によれば、3つのカラーフィルター部が3層それぞれのカラーフィルター層が形成されているので、3つのカラーフィルター部を有するカラーフィルター層を容易に製造することができる。
【0057】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記第1のカラーフィルター層及び前記第2のカラーフィルター層の上面に凹部が形成され、前記第2のカラーフィルター層及び前記第3のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、前記第2のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第1のカラーフィルター層上に前記第2のカラーフィルター層を配置し、前記第3のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第3のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第2のカラーフィルター層上に前記第3のカラーフィルター層を配置することが好ましい。
【0058】
本態様によれば、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層及び第3のカラーフィルター層に形成された凸部及び凹部をアライメントマークとして利用して、第1のカラーフィルター層又は第2のカラーフィルター層の位置合わせを行うことができる。これにより、第1のカラーフィルター層及び第2のカラーフィルター層の貼り合わせずれを防止することができるので、カラーフィルター層の貼り合せずれによる光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0059】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きく、前記第3のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きいことが好ましい。
【0060】
本態様によれば、第1のカラーフィルター層の貼り合せ間違いを防止することができる。
【0061】
さらに、本発明に係る発光装置の製造方法の一態様において、前記カラーフィルター層の上方に、前記カラーフィルター層を透過した光を集光するレンズを有するレンズ基板を配置する工程を含むことが好ましい。
【0062】
本態様によれば、光取り出し効率に優れた発光装置を製造することができる。
【0063】
以下、本発明の実施の形態に係る発光装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0064】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の平面図である。また、図2は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の断面図(図1のA−A’断面図)である。本実施の形態では、発光装置として有機EL表示装置を用いた場合について説明する。
【0065】
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1は、行方向及び行方向と直交する列方向に(マトリクス状に)配列される複数の画素部を備える。複数の画素部は、画像が表示される画像表示領域(表示部)を構成し、赤色の光を放出する赤色画素部PXR(第1の画素部)、緑色の光を放出する緑色画素部PXG(第2の画素部)及び青色の光を放出する青色画素部PXB(第3の画素部)を有する。
【0066】
また、複数の画素部の各画素部は、光源として発光層を備えており、図1に示すように、赤色画素部PXRは、赤色光を発光する赤色有機発光層23Rを有し、緑色画素部PXGは、緑色光を発光する緑色有機発光層23Gを有し、青色画素部PXBは、青色光を発光する青色有機発光層23Bを有する。なお、画素部の列配列方向には、同じ色の光を発光する画素部が繰り返して配置され、画素部の行配列方向には、赤色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBがこの順で繰り返して配置されている。
【0067】
図2に示すように、本実施の形態に係る有機EL表示装置1は、トップエミッション型の有機EL表示装置であって、TFT基板10と、有機EL層20を有する有機EL素子30と、封止層40と、カラーフィルター層50と、透光基板60とを備える。以下、各構成要素について詳述する。
【0068】
まず、TFT基板10について説明する。TFT基板10は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたアクティブマトリクス型のTFT基板(アレイ基板)であって、基板11と駆動回路部12とを備える。
【0069】
基板11は、例えば、透明なガラス基板である。基板11としては、樹脂からなる可撓性を有するフレキシブル基板を用いることもできる。なお、基板11は必ずしも透明である必要はなく、例えばシリコン基板等の非透明な基板を用いることもできる。
【0070】
駆動回路部12は、各画素部を駆動制御する回路を備えており、画素部を選択するためのスイッチングトランジスタ、及び、各画素部における有機発光層の発光を制御する駆動トランジスタ等の薄膜トランジスタ、あるいは、その他電源供給線又は映像信号線の配線等からなる。
【0071】
次に、有機EL素子30について説明する。有機EL素子30は、赤色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBの各画素部に対応して形成されており、各色に対応する有機EL素子30は、画素部ごとに所定の色の光を発光する有機発光層23(赤色有機発光層23R、緑色有機発光層23G及び青色有機発光層23B)を備える。
【0072】
各有機EL素子30は、駆動回路部12が平坦化膜によって平坦化されたTFT基板10上に形成される。また、各有機EL素子30は、いわゆる共振器構造を有する素子であり、第1の電極31と、第2の電極32と、第1の電極31及び第2の電極32の間に配置された有機EL層20とを有する。
【0073】
第1の電極31は、平坦化された駆動回路部12上に形成された陽極となる下部電極であって、画素部ごとに分離形成されている。すなわち、第1の電極31は、赤色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBの各画素部のそれぞれに対応して形成されている。
【0074】
また、第1の電極31は、光反射性を有する反射電極であって、反射率の高い金属によって形成されており、例えばAl、Ag、またはそれらの合金によって形成することができる。すなわち、各画素部における第1の電極31は、各有機発光層から放出された光(赤色光、緑色光又は青色光)を第2の電極32側に反射する。
【0075】
なお、本実施の形態において、各画素部における第1の電極31の厚みは同じであり、全ての第1の電極31は同時にパターン形成される。
【0076】
第2の電極32は、第1の電極31と対向するように形成された陰極となる上部電極である。本実施の形態において、第2の電極32は、有機EL層20上に形成されている。第2の電極32は、第1の電極31に対して負の電圧を有機発光層23に印加して、電子を有機発光層23等に注入する機能を有する。
【0077】
本実施の形態において、第2の電極32は、各画素部に共通となるように形成された共通電極である。すなわち、第2の電極32は、赤色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBの各画素部に跨るようにして形成されている。従って、各有機EL素子30における第2の電極32の厚みは同じである。
【0078】
また、第2の電極32は、透光性を有する透明電極であって、透明材料によって構成されている。第2の電極32の材料としては、特に限定されるものではないが、透過率の高い物質及びおよび構造を用いることが好ましい。これにより、発光効率が高いトップエミッション型の有機EL素子を用いた発光装置を実現することができる。なお、第2の電極32としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO:Indium Zinc Oxide)等からなる金属酸化物を用いることができる。
【0079】
次に、有機EL層20について説明する。各画素部における有機EL層20は、各有機EL素子30の第1の電極31上に形成された積層膜であり、所望の有機EL材料からなる有機発光層(発光層)23を含む。本実施の形態では、赤色画素部PXRでは、赤色の光を発光する赤色有機発光層23Rが形成されており、緑色画素部PXGでは、緑色の光を発光する緑色有機発光層23Gが形成されており、また、青色画素部PXBでは、青色の光を発光する青色有機発光層23Bが形成されている。
【0080】
また、有機EL層20としては、有機発光層23の他に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子注入層(EIL)及び電子輸送層(ETL)のうち少なくとも1つを含むように構成することが好ましい。本実施の形態における各有機EL層20は、図2に示すように、TFT基板10の上方に、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23、電子輸送層24が順に形成されて構成されている。
【0081】
正孔注入層21は、第1の電極31の表面上に形成され、正孔を安定的に、又は正孔の生成を補助して、有機発光層23及び正孔輸送層22へ正孔を注入する機能を有する。正孔注入層21を形成することにより、駆動電圧が低電圧化され、また、正孔注入が定化して素子が長寿命化される。正孔注入層21は、所定の有機材料を用いて形成することができ、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)などを用いることができる。
【0082】
なお、本実施の形態において、正孔注入層21は、画素部ごとに分離形成されている。また、各色画素部における正孔注入層21の厚みは同じであり、同層に形成される。
【0083】
正孔輸送層22は、正孔注入層21の表面上に形成され、正孔注入層21から注入された正孔を有機発光層23内へ効率良く輸送し、有機発光層23と正孔注入層21との界面での励起子の失活防止をし、さらには電子をブロックする機能を有する。正孔輸送層22としては、例えば、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を有する有機高分子材料を用いて形成することができ、例えば、トリフェルアミン、ポリアニリンなどを用いることができる。
【0084】
なお、本実施の形態において、正孔輸送層22も画素部ごとに分離形成されている。また、各色画素部における正孔輸送層22の厚みは同じであり、同層に形成される。
【0085】
有機発光層23は、正孔輸送層22の表面上に形成されており、第1の電極31と第2の電極32とに所定の電圧が印加されることによって注入された電子と正孔とが結合することによって発光する。
【0086】
有機発光層23は、画素部ごとに所定の電界発光機能を有する有機材料によって構成される。本実施の形態では、上述のとおり、赤色有機発光層23R、緑色有機発光層23G及び青色有機発光層23Bとからなり、画像表示用のRGB3色光を発するように構成されている。
【0087】
なお、本実施の形態において、有機発光層23も画素部ごとに分離形成されている。また、本実施の形態において、各色画素部における有機発光層の厚みは、同じになるように形成しても構わないし異なるように形成しても構わない。
【0088】
電子輸送層24は、有機発光層23と第2の電極32との間に形成され、第2の電極32から注入された電子を有機発光層23内へ効率良く輸送し、有機発光層23と第2の電極32との界面での励起子の失活防止をし、さらには正孔をブロックする機能を有する。
【0089】
なお、本実施の形態において、電子輸送層24は、各画素部に共通となるように形成されており、各色画素部における電子輸送層24の厚みは同じである。
【0090】
次に、封止層40について説明する。封止層40は、有機EL素子30を封止する層である。封止層40は、薄膜封止膜41と樹脂封止層42とからなり、第2の電極32の上に、薄膜封止膜41及び樹脂封止層42がこの順で形成されている。
【0091】
薄膜封止膜41は、第2の電極32の表面上に形成される。薄膜封止膜41は、有機EL素子30における有機発光層23等を水分から保護する機能を有する。ここで、薄膜封止膜41は、透明であることが要求されることから、薄膜封止膜41の材料としては、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化膜(SiON)、または有機膜等の透明絶縁材料が用いられる。
【0092】
樹脂封止層42は、水分や酸素の浸入を防ぐ機能を有するとともに、有機EL素子30上に薄膜封止膜41が形成された有機EL基板と、カラーフィルター層50とを接合させるための接着剤としての機能を有する。樹脂封止層42の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などが挙げられる。本実施の形態では、樹脂封止層42として、屈折率が1.5である紫外線硬化型の透明なエポキシ樹脂を用いた。
【0093】
次に、カラーフィルター層50について説明する。カラーフィルター層50は、入射光から所定の色(波長)の光を選択して透過させる色選択透光層であって、第1のカラーフィルター層51と、第2のカラーフィルター層52との2層からなる。
【0094】
カラーフィルター層50は、封止層40を介して有機EL素子30上に形成される。また、カラーフィルター層50は、赤色有機発光層23R、緑色有機発光層23G及び青色有機発光層23Bに対向するようにして配置されており、後述するように、赤色有機発光層23R上に対向配置される赤色カラーフィルター52R、緑色有機発光層23Gに対向配置される緑色カラーフィルター52G及び青色有機発光層23Bに対向配置される青色カラーフィルター51Bを有する。以下、カラーフィルター層50の各層について詳述する。
【0095】
下層の第1のカラーフィルター層51は、青色有機発光層23Bが発する光から所望の波長の青色光を選択的に透過する青色カラーフィルター(第1のカラーフィルター部)51Bと、入射した光を変化させずにそのまま透過する第1の透光部51Cとを有する。第1のカラーフィルター層51は、樹脂封止層42上に形成される。
【0096】
第1のカラーフィルター層51において、青色カラーフィルター51Bは、青色画素部PXBに配置されており、青色有機発光層23Bの上方に形成される。従って、青色有機発光層23Bから放出された青色光は、青色カラーフィルター51Bを透過することにより色純度の高い所望の波長の青色光となって第2のカラーフィルター層52に入射する。
【0097】
また、第1の透光部51Cは、第1のカラーフィルター層51における青色カラーフィルター51B以外の部分であり、透明樹脂層によって構成される。第1の透光部51Cは、赤色画素部PXR及び緑色画素部PXGに跨って形成されており、赤色有機発光層23R及び緑色有機発光層23Gの上方に形成される。従って、赤色有機発光層23R及び緑色有機発光層23Gから放出された光は、色選択されることなく第1の透光部51Cをそのまま透過して第2のカラーフィルター層52に入射する。
【0098】
なお、第1のカラーフィルター層51において膜厚は均一であり、第1の透光部51Cの膜厚が第1のカラーフィルター層51の膜厚となる。また、青色カラーフィルター51Bの膜厚は、第1の透光部51Cの膜厚と同じである。
【0099】
上層の第2のカラーフィルター層52は、赤色有機発光層23Rが発する光から所望の波長の赤色光を選択的に透過する赤色カラーフィルター(第2のカラーフィルター部)52Rと、緑色有機発光層23Gが発する光から所望の波長の緑色光を選択的に透過する緑色カラーフィルター(第3のカラーフィルター部)52Gと、入射した光を変化させずにそのまま透過する第2の透光部52Cとを有する。なお、第2のカラーフィルター層52は、第1のカラーフィルター層51上に配置されることによってカラーフィルター層50として第1のカラーフィルター層51と一体化される。
【0100】
第2のカラーフィルター層52において、赤色カラーフィルター52Rは、赤色画素部PXRに配置されており、赤色有機発光層23Rの上方に形成される。従って、赤色有機発光層23Rから放出された赤色光は、第1のカラーフィルター層51の第1の透光部51Cをそのまま通過して、赤色カラーフィルター52Rを透過することにより色純度の高い所望の波長の赤色光となって透光基板60に入射する。
【0101】
また、緑色カラーフィルター52Gは、緑色画素部PXGに配置されており、緑色有機発光層23Gの上方に形成される。従って、緑色有機発光層23Gから放出された緑色光は、第1のカラーフィルター層51の第1の透光部51Cをそのまま通過して、緑色カラーフィルター52Gを透過することにより色純度の高い所望の波長の緑色光となって透光基板60に入射する。
【0102】
また、第2の透光部52Cは、第2のカラーフィルター層52における赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52G以外の部分であり、透明樹脂層によって構成される。第2の透光部52Cは、青色画素部PXBに配置されており、青色カラーフィルター51Bの上方に形成されている。従って、青色有機発光層23Bから放出された光のうち青色カラーフィルター51Bを透過した所望の波長の青色光は、色選択されることなく第2の透光部52Cをそのまま透過して透光基板60に入射する。
【0103】
なお、第2のカラーフィルター層52において膜厚は均一であり、第2の透光部52Cの膜厚が第2のカラーフィルター層52の膜厚となる。また、赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gの膜厚は、第2の透光部52Cの膜厚と同じである。
【0104】
このように構成されるカラーフィルター層50において、青色有機発光層23Bから青色カラーフィルター51Bまでの距離LB(光学的距離)と、赤色有機発光層23Rから赤色カラーフィルター52Rまでの距離LR(光学的距離)とは異なる。本実施の形態では、青色カラーフィルター51Bは赤色カラーフィルター52Bよりも有機発光層23に近い位置に配置されているので、青色光に関する距離LBは、赤色光に関する距離LRよりも短くなるように構成されている。
【0105】
さらに、本実施の形態では、緑色カラーフィルター52Gは、赤色カラーフィルター52Rと同層の第2のカラーフィルター層52に形成されているので、緑色有機発光層23Gから緑色カラーフィルター52Bまでの距離LG(光学的距離)は、青色光に関する距離LBよりも長く、かつ、赤色光に関する距離LRと同じである。
【0106】
また、カラーフィルター層50の材料としては、光硬化性樹脂等の樹脂を用いることができ、青色カラーフィルター51B、赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G、第1の透光部51C及び第2の透光部52Cは、所定の屈折率を有する樹脂を所望に組み合わせて形成することができる。
【0107】
例えば、青色カラーフィルター51B、赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gの各色のカラーフィルターは、紫外線硬化型のエポキシ樹脂(屈折率1.5)又は無機微粒子が添加された多官能アクリレート(屈折率1.9)等の光硬化性樹脂を用いることができる。また、第1の透光部51C及び第2の透光部52Cは、青色カラーフィルター51B、赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gをカラーフィルター層50内に封止するための接着層として機能させるために、アクリレート系モノマーとフッ素系ポリマーとの合成樹脂からなる光硬化性を有する透明樹脂を用いることができる。
【0108】
なお、本実施の形態において、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とは同じ材料の光硬化性樹脂によって形成されているので、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52との界面(境界)は光硬化工程においてほぼ消滅してしまう。従って、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とは切れ目なく1つの層として一体化される。これにより、青色カラーフィルター51Bと、赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gとは、1つのカラーフィルター層50内において異なる深さ方向の位置に存在する状態となる。
【0109】
また、下層の第1のカラーフィルター層51に形成されるカラーフィルター(本実施の形態では、青色カラーフィルター51B)の屈折率をn11とし、第1の透光部51Cの屈折率をn12とし、また、上層の第2のカラーフィルター層52に形成されるカラーフィルター(本実施の形態では、赤色カラーフィルター52R又は緑色カラーフィルター52G)の屈折率をn21とし、第2の透光部52Cの屈折率をn22とすると、n21<n12、及び、n22<n11の関係を満たすように構成することが好ましい。これにより、カラーフィルター層50を透過する光を集光させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0110】
次に、透光基板60について説明する。透光基板60は、有機EL素子30における有機EL層20の各有機発光層23による光を透過する基板である。本実施の形態において、透光基板60は、有機EL素子30の各有機発光層23から放出される光であってカラーフィルター層50を通過した光を透過する。
【0111】
また、本実施の形態における透光基板60は、有機EL表示装置1の外面を構成するものであり、カラーフィルター層50を通過した光は透光基板60を通って有機EL表示装置1の外部に放射される。透光基板60としては、例えば、ガラス基板又は透明樹脂基板等の透明基板を用いることができる。本実施の形態では、透光基板60として、屈折率が1.5であるガラス基板を用いた。
【0112】
以上のようにして、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1が構成される。なお、図2に示すように、隣り合う画素部の間には、第1の電極31、正孔注入層21、正孔輸送層22及び有機発光層23を区画するためのバンクBNKが設けられている。バンクBNKは、黒色の感光性樹脂によって形成されている。また、有機発光層23が形成されていない非発光領域には、所定の配線LNが形成されている。
【0113】
また、本実施の形態では、青色カラーフィルター51Bを下層の第1のカラーフィルター層51に形成し、赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gを上層の第2のカラーフィルター層52に形成したが、これに限らない。少なくとも、下層の第1のカラーフィルター層51には3色のカラーフィルターのうち1つ又は2つが形成され、上層の第2のカラーフィルター層52には第1のカラーフィルター層51に形成しなかった色のカラーフィルターを形成すればよい。
【0114】
次に、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1においてカラーフィルター層50内の屈折率を変更した場合における各色画素部の光取り出し効率について、図3〜図5を用いて説明する。図3〜図5は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1における光取り出し効率の効果を説明するための図であり、各図においてカラーフィルター層50の構成のみを変更した場合の結果を示している。
【0115】
なお、各図において、破線で示される光取り出し効率が「1.0倍」の構成は、カラーフィルター層を形成せずに、樹脂封止層42上に透光基板60を貼り合せた構造の場合である。また、第1のカラーフィルター層51及び第2のカラーフィルター層52の膜厚はいずれも5μm程度とし、樹脂封止層42及び透光基板60の屈折率はいずれも1.5とした。
【0116】
図3(a)は、第1のカラーフィルター層51に、青色カラーフィルター51B及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、赤色カラーフィルター52Rの屈折率n、緑色カラーフィルター52Gの屈折率n、青色カラーフィルター51Bの屈折率n、第1の透光部51Cの屈折率nC1及び第2の透光部52Cの屈折率nC2を、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0117】
この場合、図3(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは2.1倍、緑色画素部PXGでは1.3倍、青色画素部PXBでは1.1倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0118】
図3(b)は、第1のカラーフィルター層51に、赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、青色カラーフィルター51B及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0119】
この場合、図3(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXGでは1.1倍、青色画素部PXBでは1.3倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0120】
図4(a)は、第1のカラーフィルター層51に、緑色カラーフィルター52G、青色カラーフィルター52B及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、赤色カラーフィルター52R及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0121】
この場合、図4(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは2.1倍、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBでは1.1倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0122】
図4(b)は、第1のカラーフィルター層51に、赤色カラーフィルター52R及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、緑色カラーフィルター52G、青色カラーフィルター52B及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0123】
この場合、図4(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBでは1.3倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。また、この場合、3つの画素部における光取り出し効率のばらつきを低減できることも分かる。
【0124】
図5(a)は、第1のカラーフィルター層51に、緑色カラーフィルター52G及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、赤色カラーフィルター52R、青色カラーフィルター52B及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0125】
この場合、図5(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは2.1倍、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBでは1.1倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0126】
図5(b)は、第1のカラーフィルター層51に、赤色カラーフィルター52R、青色カラーフィルター52B及び第1の透光部51Cを形成し、第2のカラーフィルター層52に、緑色カラーフィルター52G及び第2の透光部52Cを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=1.9、nC2=1.4とした場合である。
【0127】
この場合、図5(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBでは1.3倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。また、この場合、3つの画素部における光取り出し効率のばらつきを低減できることも分かる。
【0128】
以上、本実施の形態に係る有機EL表示装置1によれば、カラーフィルター層50は、青色有機発光層23Bからの距離が距離LBである青色カラーフィルター51Bと、赤色有機発光層23Rからの距離が距離LRである赤色カラーフィルター52Rと、緑色有機発光層23Gからの距離が距離LGである緑色カラーフィルター52Gを有する。すなわち、1つのカラーフィルター層に、有機発光層からの距離が異なる複数の色のカラーフィルターが含まれている。
【0129】
これにより、複数の色のカラーフィルター又は複数の色のカラーフィルター以外の透明領域における配置又は材料等を適宜組み合わせることにより、カラーフィルター層50における屈折率を画素部ごとに対応させて所望に調整することができる。
【0130】
また、本実施の形態では、少なくとも2つの色のカラーフィルターが異なる層に形成されているので、屈折率の調整を層ごとに行うことができる。例えば、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とを異なる屈折率の材料とすることができる。これにより、1つのカラーフィルター層50を用いてキャビティー調整をすることができる。
【0131】
従って、有機EL素子30において、画素部ごとに膜厚が異なる等によって各色における有機EL素子30の光取り出し効率が異なる場合であったとしても、カラーフィルター層50によって発光層領域(画素部)ごとに屈折率を調整することができるので、有機EL表示装置全体として所望の光取り出し効率に調整することができる。
【0132】
例えば、色違いによって画素部間において光取り出し効率に差が生じる場合があるが、この光取り出し効率の差が小さくなるように屈折率を調整し、画素部間における光取り出し効率のばらつきを小さくすることもできる。
【0133】
あるいは、各色の有機EL素子の特性に応じて光取り出し効率を設定することもできる。特に、青色有機発光層の有機材料は、赤色有機発光層や緑色有機発光層の有機材料と比べて発光効率が低いことから、青色有機発光層を有する有機EL素子の光取り出し効率は、他の色の有機EL素子の光取り出し効率と比べて低くなる傾向にある。従って、青色の有機EL素子に対応する光取り出し効率が他の色の有機EL素子に対応する光取り出し効率よりも高くなるようにカラーフィルター層50の屈折率を調整することが好ましい。これにより、青色画素部の発光輝度が赤色画素部(緑色画素部)の発光輝度よりも低くなることを補うために青色の有機EL素子に赤色(緑色)の有機EL素子に比べてより大きな電圧を印加する必要がなくなる。従って、青色の有機EL素子の消費電力が大きくなることを抑制することができるとともに、高電圧の印加によって青色有機発光層の寿命が短くなることも抑制することができる。
【0134】
このように、本実施の形態によれば、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【0135】
次に、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1の製造方法について、図6〜図10を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる第1のカラーフィルター層及び第2のカラーフィルター層の構成を示す図である。また、図7〜図10は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における各工程を示す平面図及び断面図である。
【0136】
まず、カラーフィルター層50を形成するための光学部品として、図6に示すように、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とを準備しておく。
【0137】
図6に示すように、下層の第1のカラーフィルター層51は、接着性及び光硬化性を有する透明樹脂に青色カラーフィルター51Bが形成されたシート状の接着性樹脂フィルムである。
【0138】
第1のカラーフィルター層51の下面には、三角錐状の凸部511が形成されている。この凸部511は、第1の透光部51Cの一部が下方に向かって突出するように形成されている。また、第1のカラーフィルター層51の上面には、三角錐状に窪んだ凹部512が形成されている。凹部512は、第1の透光部51Cの表面が内部に向かって陥凹するように形成されている。なお、凹部512の凹形状の開口の大きさ(図6の三角形の高さ)は、凸部511の底面の大きさ(図6の三角形の高さ)よりも大きい。
【0139】
なお、第1のカラーフィルター層51において、凸部511と凹部512とは重畳しないように配置されている。すなわち、第1のカラーフィルター層51を平面視したときに、凸部511と凹部512とが重ならないように形成されている。このように構成される第1のカラーフィルター層51は、例えば、ロール状に巻回して保管することができる。
【0140】
また、同図に示すように、上層の第2のカラーフィルター層52は、接着性及び光硬化性を有する透明樹脂に赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gが形成されたシート状の接着性樹脂フィルムである。
【0141】
第2のカラーフィルター層52の下面には、三角錐状の凸部521が形成されている。この凸部521は、第2の透光部52Cの一部が下方に向かって突出するように形成されている。第2のカラーフィルター層52の当該凸部521は、第1のカラーフィルター層51の凹部512と嵌合するように構成されている。すなわち、凸部521の凸形状と凹部512の凹形状とはほぼ一致する形状となっている。
【0142】
本実施の形態では、凹部512及び凸部521をアライメントマークとして利用して、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52との位置合わせを行う。すなわち、凹部512と凸部521とを嵌合させて第2のカラーフィルター層52を第1のカラーフィルター層51上に載置する。
【0143】
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、TFT基板10上に有機EL層20を含む有機EL素子30を形成して、有機EL素子30を薄膜封止膜41及び樹脂封止層42によって封止する。なお、樹脂封止層42としては、光硬化性樹脂からなる接着剤を用いた。
【0144】
その後、樹脂封止層42の表面に、三角錐状に窪んだ凹部421を形成する。凹部421は、樹脂封止層42の表面が陥凹するように形成される。凹部421は、図6に示す第1のカラーフィルター層51の凸部511と嵌合するように構成されている。すなわち、凹部421の凹形状と凸部511の凸形状とはほぼ一致する形状となっている。
【0145】
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、樹脂封止層42の上に第1のカラーフィルター層51を配置する。このとき、第1のカラーフィルター層51の凸部511が樹脂封止層42の凹部421と嵌合するように第1のカラーフィルター層51を配置する。これにより、第1のカラーフィルター層51の青色カラーフィルター51Bは、青色有機発光層23Bの上方に位置するように所定の青色画素部に対応して配置される。
【0146】
このように、樹脂封止層42の凹部421と第1のカラーフィルター層51の凸部511とをアライメントマークとして利用することによって、樹脂封止層42に対する第1のカラーフィルター層51の位置合わせを行うことができる。
【0147】
なお、この位置合わせは、例えば、凹部421と凸部511とを平面視方向からの画像処理によって行うことができる。すなわち、平面視方向における凹部421の外郭線と凸部511の外郭線とを画像認識し、これらの外郭線を一致させるようにして位置合わせを行うことができる。
【0148】
また、第1のカラーフィルター層51を樹脂封止層42上に載置したときに、低光出力又は短時間による紫外線の照射を行って仮硬化することが好ましい。これにより、第1のカラーフィルター層51と樹脂封止層42とを仮接合することができるので、その後に工程において第1のカラーフィルター層51の位置ずれが生じることを防止することができる。
【0149】
次に、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1のカラーフィルター層51の上に第2のカラーフィルター層52を配置する。このとき、第2のカラーフィルター層52の凸部521が第1のカラーフィルター層51の凹部512と嵌合するように第2のカラーフィルター層52を配置する。これにより、第2のカラーフィルター層52の赤色カラーフィルター52R及び緑色カラーフィルター52Gは、それぞれ赤色有機発光層23R及び緑色有機発光層23Gの上方に位置するように所定の赤色画素部及び緑色画素部に対応して配置される。
【0150】
このように、第1のカラーフィルター層51及び第2のカラーフィルター層52についても、凹部512と凸部521とをアライメントマークとして利用して位置合わせを行う。なお、この位置合わせについても上述の画像処理によって行うことができる。
【0151】
次に、図10(a)及び図10(b)に示すように、第2のカラーフィルター層52上に透光基板60を載置する。その後、透光基板60を通して紫外線を照射することによって、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51及び第2のカラーフィルター層52を光硬化(本硬化)する。これにより、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び透光基板60が互いに接合する。
【0152】
なお、上述のとおり、当該本硬化によって第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52との界面はほぼ消滅し、図2に示すように、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とは切れ目なく1つの層として一体化される。
【0153】
以上、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置1の製造方法によれば、簡単な製造工程により、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を製造することができる。
【0154】
さらに、本実施の形態によれば、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51及び第2のカラーフィルター層52に、アライメントマークとしての凸部又は凹部が形成されているので、各色の有機発光層(画素部)に対応する赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G及び青色カラーフィルター51Bの位置合わせを容易に行うことができる。さらに、これらの凸部又は凹部によって、第1のカラーフィルター層51又は第2のカラーフィルター層52の貼り合わせずれを防止することができるので、カラーフィルター層の貼り合せずれによる光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0155】
また、本実施の形態において、アライメントマークとして利用する同層の凸部及び凹部については、下側に位置する凸部及び凹部の大きさが上側に位置する凸部又は凹部の大きさよりも小さくなっている。すなわち、上層から下層に向かって順に凸部及び凹部の大きさが小さくなっている。これにより、第1のカラーフィルター層51又は第2のカラーフィルター層52の貼り合せ間違いを防止することができる。
【0156】
また、本実施の形態において、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、平面視形状が三角形あるいは矢印形状となっている。これにより、凸部及び凹部の形状によって、赤色画素部、緑色画素部及び青色画素部の並び方向と、カラーフィルター層50における赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G及び青色カラーフィルター51Bの並び方向とを一致させることができる。従って、第1のカラーフィルター層51又は第2のカラーフィルター層52を配置するときの方向間違いを防止することができる。
【0157】
また、本実施の形態において、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部は、有機発光層23上には形成せずに、例えば、隣り合う有機発光層の間の領域上に形成することが好ましい。これにより、凸部及び凹部が、各色の有機発光層から放出される光に対して影響を及ぼすことを防止することができ、凸部及び凹部によって光取り出し効率が低下することを防止することができる。すなわち、光硬化後に凸部と凹部との界面の一部が残ってしまうような場合、有機発光層上に当該界面が存在すると、有機発光層から放出される光は当該界面で反射して光取り出し効率が低下してしまうが、凸部及び凹部を隣り合う有機発光層の間の領域上に形成することによって、当該界面による反射を防止することができる。
【0158】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置2について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の要部断面図である。なお、図11において、図2に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0159】
本実施の形態に係る有機EL表示装置2は、実施の形態1に係る有機EL表示装置1に対して、さらに、レンズ部70及び接着層80を備える。
【0160】
レンズ部70は、光を集光するレンズ71と、レンズ71を支持するレンズ基板72とからなるレンズシートである。
【0161】
レンズ71は、レンズ基板72の表面から突出するように形成された凸レンズであり、図11に示すように、赤色画素部PXRに対応する赤色光用レンズ71Rと、緑色画素部PXGに対応する緑色光用レンズ71Gと、青色画素部PXBに対応する青色光用レンズ71Bとからなる。
【0162】
赤色光用レンズ71R、緑色光用レンズ71G及び青色光用レンズ71Bは、それぞれ、カラーフィルター層50から放出される赤色光、緑色光及び青色光を屈折させて集光する。これにより、透光基板60と接着層80との界面で全反射する光を減少させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0163】
各レンズ71の断面形状は、図11に示すように、外郭線が所定の曲率を有する楕円弧となるような形状である。また、有機EL表示装置2を平面視したときの各レンズの形状は、列方向に長尺状をなす矩形状である。すなわち、各レンズは、長尺半円柱形状の凸状レンズである。
【0164】
本実施の形態において、各レンズ71は、列方向に延設された複数の同色画素部に共通のレンズである。なお、レンズは、複数の画素部に共通とするのではなく、各画素部の1つずつに対応するように設けても構わない。
【0165】
また、レンズ基板72は、複数のレンズ71を形成するための土台となる平面状の基底部である。
【0166】
本実施の形態において、レンズ71及びレンズ基板72は同一材料で形成されており、例えば、エポキシ樹脂(屈折率1.5)又は無機微粒子が添加された多官能アクリレート(屈折率1.9)等の光硬化性の透明樹脂を用いることができる。
【0167】
接着層80は、レンズ部70と透光基板60とを接着するための透明樹脂層であり、透光基板60とレンズ部70との間に充填されている。従って、接着層80は、レンズ71及びレンズ基板72の上面にわたって形成されている。
【0168】
また、本実施の形態において、接着層80の屈折率は、レンズ71の屈折率よりも低くなるように構成されている。これにより、レンズ71と接着層80との間において光を屈折させて集光させることができる。なお、接着層80の材料としては、光硬化性樹脂を用いることができ、例えば、アクリレート系モノマー及びフッ素ポリマーの混合物が挙げられる。
【0169】
以上、本実施の形態に係る有機EL表示装置2によれば、実施の形態1と同様に、1つのカラーフィルター層50に、有機発光層からの距離が異なる複数の色のカラーフィルターが含まれている。これにより、カラーフィルター層50における屈折率を画素部ごとに対応させて所望に調整することができるので、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【0170】
また、本実施の形態に係る有機EL表示装置2によれば、レンズ71を有するので、さらに光取り出し効率を向上させることができる。
【0171】
次に、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置2の製造方法について、図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層及びレンズ部の構成を示す図である。なお、図12において、図6に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0172】
まず、図12に示すように、実施の形態1と同様に、カラーフィルター層50を形成するための光学部品として、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52とを準備する。
【0173】
本実施の形態では、さらに、光学部品としてレンズ部70を準備する。レンズ部70は、透明樹脂からなり、上述のとおり、レンズ71とレンズ基板72とを有する。
【0174】
図12に示すように、レンズ基板72の下面(レンズ71が形成されていない面)には、三角錐状の凸部73が形成されている。凸部73は、レンズ基板72の一部が下方に向かって突出するように形成されている。なお、光取り出し効率が低下しないように、凸部73は、レンズ71と重畳しない位置に形成される。
【0175】
また、第2のカラーフィルター層52の上面には、三角錐状に窪んだ凹部522が形成されている。凹部522は、第2のカラーフィルター層52の表面が内部に向かって陥凹するように形成されている。なお、第2のカラーフィルター層52の凹部522の開口の大きさ(図12の三角形の高さ)は、第1のカラーフィルター層51の凹部512の開口の大きさ(図12の三角形の高さ)よりも大きい。
【0176】
レンズ部70の凸部73は、第2のカラーフィルター層52の凹部522と嵌合するように構成されている。すなわち、凸部73の凸形状と凹部522の凹形状とはほぼ一致する形状となっている。
【0177】
本実施の形態では、凹部522及び凸部73をアライメントマークとして利用して、第2のカラーフィルター層52に対するレンズ部70の位置合わせを行う。これにより、レンズ部70の位置合わせを容易に行うことができる。
【0178】
なお、本実施の形態に係る有機EL表示装置2の製造方法は、実施の形態1と同様に行うことができる。
【0179】
例えば、第1のカラーフィルター層51の上に第2のカラーフィルター層52を配置した後に、仮硬化を行って、レンズ部70の凸部73が第2のカラーフィルター層52の凹部522と嵌合するようにレンズ部70を配置する。これにより、レンズ部70の各レンズ71は、所定の色の有機発光層23の上方に位置するように所定の色の画素部に対応して配置される。
【0180】
次に、光硬化性樹脂からなる接着層80を充填し、その上に透光基板60を載置する。その後、透光基板60を通して紫外線を照射することによって、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び接着層80を光硬化(本硬化)させて、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52、レンズ部70、接着層80及び透光基板60を互いに接合する。
【0181】
以上、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置2の製造方法によれば、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0182】
なお、実施の形態1と同様に、レンズ部70を含めてアライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、上層から下層に向かって順に凸部及び凹部の大きさが小さくなすように構成することが好ましい。また、本実施の形態においても、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、平面視形状が三角形あるいは矢印形状とすることが好ましい。さらに、本実施の形態においても、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部は、有機発光層23上には形成せずに、例えば、隣り合う有機発光層の間の領域上に形成することが好ましい。
【0183】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置3について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の要部断面図である。なお、図13において、図2に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0184】
本実施の形態に係る有機EL表示装置3が実施の形態1に係る有機EL表示装置1と異なる点は、カラーフィルター層50の構成である。
【0185】
すなわち、本実施の形態におけるカラーフィルター層50は、3層構造となっており、第1のカラーフィルター層51及び第2のカラーフィルター層52に加えて、さらに、第3のカラーフィルター層53を有する。そして、各色のカラーフィルターは、それぞれ異なる層のカラーフィルター層に形成されている。
【0186】
最下層の第1のカラーフィルター層51は、実施の形態1と同様に、青色カラーフィルター51B及び第1の透光部51Cを有する。
【0187】
中層の第2のカラーフィルター層52は、実施の形態1と同様に、緑色カラーフィルター52G及び第2の透光部52Cとを有する。但し、本実施の形態における第2のカラーフィルター層52には、赤色カラーフィルター52Rが形成されていない。従って、第2の透光部52Cは、赤色画素部PXR及び青色画素部PXBに跨って形成されており、赤色有機発光層23R及び青色有機発光層23Bの上方に形成される。
【0188】
なお、第2のカラーフィルター層52は、第1のカラーフィルター層51と第3のカラーフィルター層53とによって挟まれている。従って、緑色有機発光層23Gから放出された緑色光は、第1のカラーフィルター層51の第1の透光部51Cをそのまま通過して、緑色カラーフィルター52Gを透過することにより色純度の高い所望の波長の緑色光となって第3のカラーフィルター層53に入射する。
【0189】
最上層の第3のカラーフィルター層53は、赤色有機発光層23Rが発する光から所望の波長の赤色光を選択的に透過する赤色カラーフィルター53Rと、入射した光を変化させずにそのまま透過する第3の透光部53Cとを有する。
【0190】
第3のカラーフィルター層53において、赤色カラーフィルター53Rは、実施の形態1の赤色カラーフィルター52Rと同様に、赤色画素部PXRに配置されており、赤色有機発光層23Rの上方に形成される。従って、赤色有機発光層23Rから放出された赤色光は、第1のカラーフィルター層51の第1の透光部51C及び第2のカラーフィルター層52の第2の透光部52Cをそのまま通過して、赤色カラーフィルター53Rを透過することにより色純度の高い所望の波長の赤色光となって透光基板60に入射する。
【0191】
また、第3の透光部53Cは、第3のカラーフィルター層53における赤色カラーフィルター53R以外の部分であり、透明樹脂層によって構成される。第3の透光部53Cは、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBに跨って形成されており、緑色有機発光層23G及び青色有機発光層23Bの上方に形成される。
【0192】
従って、緑色有機発光層23Gから放出された光は、緑色カラーフィルター52Gを通過して色純度の高い所望の波長の緑色光となった後、第3のカラーフィルター層53の第3の透光部53Cをそのまま通過して透光基板60に入射する。また、青色有機発光層23Bから放出された光は、第1のカラーフィルター層51の青色カラーフィルター51Bを通過することにより色純度の高い所望の波長の青色光となり、その後、第2のカラーフィルター層52の第2の透光部52C及び第3のカラーフィルター層53の第3の透光部53Cをそのまま通過して透光基板60に入射する。
【0193】
なお、第3のカラーフィルター層53において膜厚は均一であり、第3の透光部53Cの膜厚が第3のカラーフィルター層53の膜厚となる。また、赤色カラーフィルター53Rの膜厚は、第3の透光部53Cの膜厚と同じである。
【0194】
このように構成されるカラーフィルター層50において、赤色有機発光層23Rから赤色カラーフィルター53Rまでの距離LR(光学的距離)と、緑色有機発光層23Gから緑色カラーフィルター52Gまでの距離LG(光学的距離)と、青色有機発光層23Bから青色カラーフィルター51Bまでの距離LB(光学的距離)とは互いに異なる。本実施の形態では、赤色光に関する距離LRと、緑色光に関する距離LGと、青色光に関する距離LBとは、LR>LG>LBの関係となっている。
【0195】
また、第3のカラーフィルター層53の材料としては、第1のカラーフィルター層51又は第2のカラーフィルター層52と同様の光硬化性樹脂等の樹脂を用いることができる。また、赤色カラーフィルター52R及び第3の透光部53Cは、緑色カラーフィルター52G、青色カラーフィルター51B、第1の透光部51C及び第2の透光部52Cとともに、所定の屈折率を有する光硬化性樹脂等を適宜組み合わせて形成することができる。
【0196】
なお、本実施の形態において、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53とは同じ材料の光硬化性樹脂によって形成されているので、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52との界面(境界)及び第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53との界面(境界)は、光硬化工程においてほぼ消滅してしまう。従って、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53とは切れ目なく1つの層として一体化される。これにより、青色カラーフィルター51Bと、赤色カラーフィルター52Rと、緑色カラーフィルター52Gとは、1つのカラーフィルター層50内において異なる深さ方向の位置に存在する状態となる。
【0197】
また、最下層の第1のカラーフィルター層51に形成されるカラーフィルター(本実施の形態では、青色カラーフィルター51B)の屈折率をn11とし、第1の透光部51Cの屈折率をn12とし、中層の第2のカラーフィルター層52に形成されるカラーフィルター(本実施の形態では、緑色カラーフィルター52G)の屈折率をn21とし、第2の透光部52Cの屈折率をn22とし、さらに、最上層の第3のカラーフィルター層53に形成されるカラーフィルター(本実施の形態では、赤色カラーフィルター53R)の屈折率をn31とし、第3の透光部53Cの屈折率をn32とすると、n31<n22≦n12、n32<n21≦n12≦n22≦n11の関係を満たすように構成することが好ましい。これにより、カラーフィルター層50を透過する光を集光させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0198】
次に、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置3においてカラーフィルター層50内の屈折率を変更した場合における各色画素部の光取り出し効率について、図14〜図16を用いて説明する。図14〜図16は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置3における光取り出し効率の効果を説明するための図であり、各図においてカラーフィルター層50の構成のみを変更した場合の結果を示している。
【0199】
なお、各図において、破線で示される光取り出し効率が「1.0倍」の構成は、カラーフィルター層を形成せずに、樹脂封止層42上に透光基板60を貼り合せた構造の場合である。また、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び第3のカラーフィルター層53の膜厚はいずれも5μm程度とし、樹脂封止層42及び透光基板60の屈折率はいずれも1.5とした。
【0200】
図14(a)は、第1のカラーフィルター層51に青色カラーフィルター51Bを形成し、第2のカラーフィルター層52に緑色カラーフィルター52Gを形成し、第3のカラーフィルター層53に赤色カラーフィルター53Rを形成した場合であって、赤色カラーフィルター53Rの屈折率n、緑色カラーフィルター52Gの屈折率n、青色カラーフィルター51Bの屈折率n、第1の透光部51Cの屈折率nC1、第2の透光部52Cの屈折率nC2及び第3の透光部53Cの屈折率nC3を、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0201】
この場合、図14(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.0倍(変化なし)、緑色画素部PXGでは1.3倍、青色画素部PXBでは1.1倍となっており、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBにおいて光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0202】
図14(b)は、第1のカラーフィルター層51に青色カラーフィルター51Bを形成し、第2のカラーフィルター層52に赤色カラーフィルター53Rを形成し、第3のカラーフィルター層53に緑色カラーフィルター52Gを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0203】
この場合、図14(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXGでは1.0倍(変化なし)、青色画素部PXBでは1.1倍となっており、赤色画素部PXR及び青色画素部PXBにおいて光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0204】
図15(a)は、第1のカラーフィルター層51に赤色カラーフィルター53Rを形成し、第2のカラーフィルター層52に青色カラーフィルター51Bを形成し、第3のカラーフィルター層53に緑色カラーフィルター52Gを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0205】
この場合、図15(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXGでは1.0倍(変化なし)、青色画素部PXBでは1.1倍となっており、赤色画素部PXR及び青色画素部PXBにおいて光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0206】
図15(b)は、第1のカラーフィルター層51に赤色カラーフィルター53Rを形成し、第2のカラーフィルター層52に緑色カラーフィルター52Gを形成し、第3のカラーフィルター層53に青色カラーフィルター51Bを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0207】
この場合、図15(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXGでは1.3倍、青色画素部PXBでは1.0倍(変化なし)となっており、赤色画素部PXR及び緑色画素部PXGにおいて光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0208】
図16(a)は、第1のカラーフィルター層51に緑色カラーフィルター52Gを形成し、第2のカラーフィルター層52に赤色カラーフィルター53Rを形成し、第3のカラーフィルター層53に青色カラーフィルター51Bを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0209】
この場合、図16(a)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXGでは1.1倍、青色画素部PXBでは1.0倍(変化なし)となっており、赤色画素部PXR及び緑色画素部PXGにおいて光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0210】
図16(b)は、第1のカラーフィルター層51に緑色カラーフィルター52Gを形成し、第2のカラーフィルター層52に青色カラーフィルター51Bを形成し、第3のカラーフィルター層53に赤色カラーフィルター53Rを形成した場合であって、n=n=n=1.5、nC1=nC2=1.5、nC3=1.4とした場合である。
【0211】
この場合、図16(b)のグラフに示すように、各画素部における光取り出し効率は、赤色画素部PXRでは1.8倍、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBでは1.1倍となっており、いずれの画素部でも光取り出し効率が向上していることが分かる。
【0212】
以上、本実施の形態に係る有機EL表示装置3によれば、実施の形態1同様に、1つのカラーフィルター層50に、有機発光層からの距離が異なる複数の色のカラーフィルターが含まれている。これにより、複数の色のカラーフィルター又は複数の色のカラーフィルター以外の透明領域における配置又は材料等を適宜組み合わせることにより、カラーフィルター層50における屈折率を画素部ごとに対応させて所望に調整することができる。
【0213】
また、本実施の形態では、3つの色のカラーフィルターが異なる層に形成されているので、屈折率の調整を層ごとに行うことができる。例えば、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53とを、異なる屈折率の材料とすることができる。これにより、1つのカラーフィルター層50を用いてキャビティー調整をすることができる。しかも、本実施の形態では、実施の形態1と異なり、3層のカラーフィルター層によってキャビティー調整をすることができるので、3色のカラーフィルター又は各層の透光部における材料を選択する幅が大きくなるので、屈折率を調整する自由度が大きくなる。
【0214】
従って、有機EL素子30において、画素部ごとに膜厚が異なる等によって各色における有機EL素子30の光取り出し効率が異なる場合であったとしても、カラーフィルター層50によって発光層領域(画素部)ごとに屈折率を調整することができるので、有機EL表示装置全体として所望の光取り出し効率に調整することができる。
【0215】
このように、本実施の形態によれば、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【0216】
次に、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置3の製造方法について、図17〜図22を用いて説明する。図17は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層及び第3のカラーフィルターの構成を示す図である。また、図18〜図22は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置の製造方法における各工程を示す平面図及び断面図である。なお、図17〜図22において、図6〜図10に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0217】
まず、カラーフィルター層50を形成するための光学部品として、図17に示すように、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び第3のカラーフィルター層53を準備する。
【0218】
最下層の第1のカラーフィルター層51は、実施の形態1と同様の構成である。また、中層の第2のカラーフィルター層52は、図12に示す実施の形態2における第2のカラーフィルター層52と同様の構成であり、上面に凹部522が形成されている。但し、本実施の形態における第2のカラーフィルター層52には、赤色カラーフィルターが形成されておらず、緑色カラーフィルター52Gのみが形成されている。
【0219】
最上層の第3のカラーフィルター層53は、接着性及び光硬化性を有する透明樹脂に赤色カラーフィルター53Rが形成されたシート状の接着性樹脂フィルムである。
【0220】
第3のカラーフィルター層53の下面には、三角錐状の凸部531が形成されている。凸部531は、第3の透光部53Cの一部が下方に向かって突出するように形成されている。第3のカラーフィルター層53の凸部531は、第2のカラーフィルター層52の凹部522と嵌合するように構成されている。すなわち、凸部531の凸形状と凹部522の凹形状とはほぼ一致する形状となっている。なお、光取り出し効率が低下しないように、凸部531は、有機発光層と重畳しない位置に形成される。
【0221】
本実施の形態では、凹部522及び凸部531をアライメントマークとして利用して、第2のカラーフィルター層52に対する第3のカラーフィルター層53の位置合わせを行う。
【0222】
次に、図18(a)及び図18(b)に示すように、TFT基板10上に有機EL層20を含む有機EL素子30を形成して、有機EL素子30を薄膜封止膜41及び樹脂封止層42によって封止する。なお、樹脂封止層42としては、光硬化性樹脂からなる接着剤を用いた。
【0223】
その後、樹脂封止層42の表面に、三角錐状に窪んだ凹部421を形成する。凹部421は、樹脂封止層42の表面が陥凹するように形成される。また、凹部421は、第1のカラーフィルター層51の凸部511と嵌合するように構成されている。すなわち、凹部421の凹形状と凸部511の凸形状とはほぼ一致する形状となっている。
【0224】
次に、図19(a)及び図19(b)に示すように、樹脂封止層42の上に第1のカラーフィルター層51を配置する。このとき、第1のカラーフィルター層51の凸部511が樹脂封止層42の凹部421と嵌合するように第1のカラーフィルター層51を配置する。すなわち、樹脂封止層42の凹部421と第1のカラーフィルター層51の凸部511とをアライメントマークとして利用する。これにより、第1のカラーフィルター層51の青色カラーフィルター51Bは、青色有機発光層23Bの上方に位置するように所定の青色画素部に対応して配置される。
【0225】
なお、この位置合わせは、上述の画像処理等によって行うことができる。また、その後の工程における第1のカラーフィルター層51の位置ずれを防止するために、第1のカラーフィルター層51を樹脂封止層42上に載置したときに、低光出力又は短時間の紫外線照射による仮硬化を行っても構わない。
【0226】
次に、図20(a)及び図20(b)に示すように、第1のカラーフィルター層51の上に第2のカラーフィルター層52を配置する。このとき、第2のカラーフィルター層52の凸部521が第1のカラーフィルター層51の凹部512と嵌合するように第2のカラーフィルター層52を配置する。すなわち、第1のカラーフィルター層51の凹部512と第2のカラーフィルター層52の凸部521とをアライメントマークとして利用する。これにより、第2のカラーフィルター層52の緑色カラーフィルター52Gは、緑色有機発光層23Gの上方に位置するように所定の緑色画素部に対応して配置される。
【0227】
なお、この位置合わせは、上述の画像処理等によって行うことができる。また、その後の工程における第2のカラーフィルター層52の位置ずれを防止するために、第2のカラーフィルター層52を第1のカラーフィルター層51上に載置したときに、低光出力又は短時間の紫外線照射による仮硬化を行っても構わない。
【0228】
次に、図21(a)及び図21(b)に示すように、第2のカラーフィルター層52の上に第3のカラーフィルター層53を配置する。このとき、第3のカラーフィルター層53の凸部531が第2のカラーフィルター層52の凹部522と嵌合するように第3のカラーフィルター層53を配置する。すなわち、第2のカラーフィルター層52の凹部522と第3のカラーフィルター層53の凸部531とをアライメントマークとして利用する。これにより、第3のカラーフィルター層53の赤色カラーフィルター53Rは、赤色有機発光層23Rの上方に位置するように所定の赤色画素部に対応して配置される。
【0229】
なお、この位置合わせも、上述の画像処理等によって行うことができる。また、その後の工程における第3のカラーフィルター層53の位置ずれを防止するために、第3のカラーフィルター層53を第2のカラーフィルター層52上に載置したときに、低光出力又は短時間の紫外線照射による仮硬化を行っても構わない。
【0230】
次に、図22(a)及び図22(b)に示すように、第3のカラーフィルター層53上に透光基板60を載置する。その後、透光基板60を通して紫外線を照射することによって、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び第3のカラーフィルター層53を光硬化(本硬化)する。これにより、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52、第3のカラーフィルター層53及び透光基板60が互いに接合する。
【0231】
なお、上述のとおり、当該本硬化によって第1のカラーフィルター層51又は第3のカラーフィルター層53と第2のカラーフィルター層52との界面はほぼ消滅し、図13に示すように、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53とは切れ目なく1つの層として一体化される。
【0232】
以上、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示装置3の製造方法によれば、簡単な製造工程により、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を製造することができる。
【0233】
さらに、本実施の形態によれば、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び第3のカラーフィルター層53にアライメントマークとしての凸部又は凹部が形成されているので、各色の有機発光層(画素部)に対応する赤色カラーフィルター52R、緑色カラーフィルター52G及び青色カラーフィルター51Bの位置合わせを容易に行うことができる。さらに、これらの凸部又は凹部によって、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52又は第3のカラーフィルター層53の貼り合わせずれを防止することができるので、カラーフィルター層の貼り合せずれによる光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0234】
また、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、アライメントマークとして利用する同層の凸部及び凹部については、上層から下層に向かって順に凸部及び凹部の大きさが小さくなっている。これにより、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52又は第3のカラーフィルター層53の貼り合せ間違いを防止することができる。
【0235】
また、本実施の形態において、実施の形態1と同様に、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、平面視形状が三角形あるいは矢印形状となっている。これにより、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52又は第3のカラーフィルター層53を載置するときの方向間違いを防止することができる。
【0236】
また、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部は、有機発光層23上には形成せずに、例えば、隣り合う有機発光層の間の領域上に形成することが好ましい。これにより、凸部及び凹部が、各色の有機発光層から放出される光に対して影響を及ぼすことを防止することができる。
【0237】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置4について、図23を用いて説明する。図23は、本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置の要部断面図である。なお、図23において、図2及び図13に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0238】
本実施の形態に係る有機EL表示装置4は、実施の形態3に係る有機EL表示装置3に対して、さらに、レンズ部70及び接着層80を備える。なお、レンズ部70及び接着層80の構成は、実施の形態2に係るレンズ部70及び接着層80と同様であるので、その説明は省略する。
【0239】
以上、本実施の形態に係る有機EL表示装置4によれば、実施の形態3と同様に、1つのカラーフィルター層50に、有機発光層からの距離が異なる複数の色のカラーフィルターが含まれている。これにより、カラーフィルター層50における屈折率を画素部ごとに対応させて所望に調整することができるので、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【0240】
また、本実施の形態に係る有機EL表示装置4によれば、レンズ71を有するので、透光基板60と接着層80との界面で全反射する光を減少させることができる。これにより、さらに光取り出し効率を向上させることができる。
【0241】
このように、本実施の形態によれば、光取り出し効率及び色純度に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
【0242】
次に、本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置4の製造方法について、図24を用いて説明する。図24は、本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置を製造するときに用いられる、第1のカラーフィルター層、第2のカラーフィルター層、第3のカラーフィルター層53及びレンズ部の構成を示す図である。なお、図24において、図17に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0243】
まず、図24に示すように、実施の形態3と同様に、カラーフィルター層50を形成するための光学部品として、第1のカラーフィルター層51と第2のカラーフィルター層52と第3のカラーフィルター層53を準備する。
【0244】
本実施の形態では、さらに、光学部品としてレンズ部70を準備する。レンズ部70は、透明樹脂からなり、レンズ71とレンズ基板72とを有する。
【0245】
図24に示すように、実施の形態2と同様に、レンズ基板72の下面(レンズ71が形成されていない面)には、三角錐状の凸部73が形成されている。
【0246】
また、第3のカラーフィルター層53の上面には、三角錐状に窪んだ凹部532が形成されている。凹部532は、第3のカラーフィルター層53の表面が内部に向かって陥凹するように形成されている。なお、第3のカラーフィルター層53の凹部532の開口の大きさ(図24の三角形の高さ)は、第2のカラーフィルター層52の凹部522の開口の大きさ(図24の三角形の高さ)よりも大きい。また、第2のカラーフィルター層52の凹部522の開口の大きさ(図24の三角形の高さ)は、第1のカラーフィルター層51の凹部512の開口の大きさ(図24の三角形の高さ)よりも大きい。
【0247】
なお、レンズ部70の凸部73は、第3のカラーフィルター層53の凹部532と嵌合するように構成されている。すなわち、凸部73の凸形状と凹部532の凹形状とはほぼ一致する形状となっている。
【0248】
本実施の形態においても、凹部532及び凸部73をアライメントマークとして利用して、第3のカラーフィルター層53に対するレンズ部70の位置合わせを行う。これにより、レンズ部70の位置合わせを容易に行うことができる。
【0249】
なお、本実施の形態に係る有機EL表示装置4の製造方法は、実施の形態3と同様に行うことができる。
【0250】
例えば、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52及び第3のカラーフィルター層53を順次配置した後に、レンズ部70の凸部73が第3のカラーフィルター層53の凹部532と嵌合するようにレンズ部70を配置する。これにより、レンズ部70の各レンズ71は、所定の色の有機発光層23の上方に位置するように所定の色の画素部に対応して配置される。
【0251】
次に、光硬化性樹脂からなる接着層80を充填し、その上に透光基板60を載置する。その後、透光基板60を通して紫外線を照射することによって、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52、第3のカラーフィルター層53及び接着層80を光硬化(本硬化)させて、樹脂封止層42、第1のカラーフィルター層51、第2のカラーフィルター層52、第3のカラーフィルター層53、レンズ部70、接着層80及び透光基板60を互いに接合する。
【0252】
以上、本発明の実施の形態4に係る有機EL表示装置4の製造方法によれば、実施の形態3と同様の作用効果を奏する。
【0253】
なお、実施の形態3と同様に、レンズ部70を含めてアライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、上層から下層に向かって順に凸部及び凹部の大きさが小さくすることが好ましい。また、本実施の形態においても、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部については、平面視形状が三角形あるいは矢印形状とすることが好ましい。さらに、本実施の形態においても、アライメントマークとして利用する凸部及び凹部は、有機発光層23上には形成せずに、例えば、隣り合う有機発光層の間の領域上に形成することが好ましい。
【0254】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0255】
例えば、上記の実施の形態では、発光層として有機材料からなる有機発光層23を用いたが、これに限らない。例えば、発光層として、ZnS、CdS、ZnSe(Gaドープ:Ga、GaSe、GaAs、Alドープ:Al、AlSe、Inドープ:In、InSe)等の無機発光体を用いても構わない。
【0256】
また、上記の実施の形態では、表示装置として有機EL表示装置の例を示したが、これに限らない。無機EL表示装置等のその他の表示装置としても構わない。
【0257】
また、上記の実施の形態では、赤色画素部PXRには赤色有機発光層23Rを形成し、緑色画素部PXGには緑色有機発光層23Gを形成し、青色画素部PXBには青色有機発光層23Bを形成したが、これに限らない。例えば、色画素部PXR、緑色画素部PXG及び青色画素部PXBに対応する発光層を同じ発光層(例えば、白色光を発する白色発光層)としても構わない。
【0258】
また、上記の実施の形態では、1つのカラーフィルター層50に、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター及び青色カラーフィルターの3つのカラーフィルターを形成したが、これに限らない。1つのカラーフィルター層には、発光層からの距離の異なる少なくとも2つのカラーフィルターが形成されていればよい。
【0259】
また、上記の実施の形態では、青色カラーフィルターを第1のカラーフィルター部に対応させ、赤色カラーフィルターを第2のカラーフィルター部に対応させ、緑色カラーフィルターを第3のカラーフィルター部に対応させたが、これに限らない。第1のカラーフィルター部、第2のカラーフィルター部及び第3のカラーフィルター部のそれぞれは、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター及び青色カラーフィルターといずれかと対応するように、その組み合わせは自由に変更することができる。
【0260】
また、上記の実施の形態では、発光装置として表示装置の例を示したが、これに限らない。本発明は、表示装置以外の発光装置にも適用することができる。
【0261】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明に係る発光装置は、有機EL表示装置等の表示装置として有用であり、テレビジョンセット、携帯電話機又はパーソナルコンピュータ等の表示装置等を備える電子機器において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0263】
1、2、3、4、100 有機EL表示装置
10、110 TFT基板
11 基板
12 駆動回路部
20、120 有機EL層
21、121 正孔注入層
22、122 正孔輸送層
23、123 有機発光層
23R 赤色有機発光層
23G 緑色有機発光層
23B 青色有機発光層
24、124 電子輸送層
30、130、130R、130G、130B 有機EL素子
31 第1の電極
32 第2の電極
40、140 封止層
41 薄膜封止膜
42 樹脂封止層
50、150 カラーフィルター層
51 第1のカラーフィルター層
51B、150B 青色カラーフィルター
51C 第1の透光部
52 第2のカラーフィルター層
52R、53R、150R 赤色カラーフィルター
52G、150G 緑色カラーフィルター
52C 第2の透光部
53 第3のカラーフィルター層
73、511、521、531 凸部
512、522、532、421 凹部
60、160 透光基板
70 レンズ部
71 レンズ
71R 赤色光用レンズ
71G 緑色光用レンズ
71B 青色光用レンズ
72 レンズ基板
80 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を発光する第1の発光層と、
第2の光を発光する第2の発光層と、
前記第1の光から第1の色の光を選択的に透過する第1のカラーフィルター部及び前記第2の光から第2の色の光を選択的に透過する第2のカラーフィルター部を有するカラーフィルター層とを備え、
前記第1のカラーフィルター部は、前記第1の発光層に対向し、かつ、前記第1の発光層からの距離が第1の距離であり、
前記第2のカラーフィルター部は、前記第2の発光層に対向し、かつ、前記第2の発光層からの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離である
発光装置。
【請求項2】
前記カラーフィルター層は、第1のカラーフィルター層と、前記第1のカラーフィルター層上に配置された第2のカラーフィルター層とを有し、
前記第1のカラーフィルター層は、前記第1のカラーフィルター部と前記第2の光を透過する第1の透光部とを有し、
前記第2のカラーフィルター層は、前記第2のカラーフィルター部と前記第1の光を透過する第2の透光部とを有する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1のカラーフィルター部の屈折率をn11とし、前記第1の透光部の屈折率をn12とし、前記第2のカラーフィルター部の屈折率をn21とし、前記第2の透光部の屈折率をn22とすると、
21<n12、及び、n22<n11
の関係を満たす
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
さらに、第3の光を発光する第3の発光層と、
前記第3の光から第3の色の光を選択的に透過する第3のカラーフィルター部とを備え、
前記第3のカラーフィルター部は、前記第3の発光層に対向し、かつ、前記第3の発光層からの距離が第3の距離である
請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第3の距離は、前記第1の距離及び前記第2の距離の一方と同じであり、かつ、前記第1の距離及び前記第2の距離の他方と異なる
請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記カラーフィルター層は、
前記第1のカラーフィルター部を有する第1のカラーフィルター層と、
前記第1のカラーフィルター層上に配置され、前記第2のカラーフィルター部を有する第2のカラーフィルター層とを備え、
前記第1のカラーフィルター層又は前記第2のカラーフィルター層は、前記第3のカラーフィルター部を有する
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第3の距離は、前記第1の距離及び前記第2の距離と異なる
請求項4に記載の発光装置。
【請求項8】
前記カラーフィルター層は、第1のカラーフィルター層と、前記第1のカラーフィルター層上に配置された第2のカラーフィルター層と、前記第2のカラーフィルター層上に配置された第3のカラーフィルター層とを有し、
前記第1のカラーフィルター層は、前記第1のカラーフィルター部を有するとともに、前記第2の光及び前記第3の光を透過する第1の透光部を有し、
前記第2のカラーフィルター層は、前記第2のカラーフィルター部を有するとともに、前記第1の光及び前記第3の光を透過する第2の透光部を有し、
前記第3のカラーフィルター層は、前記第3のカラーフィルター部を有するとともに、前記第1の光及び前記第2の光を透過する第3の透光部を有する
請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1のカラーフィルター部の屈折率をn11とし、前記第1の透光部の屈折率をn12とし、前記第2のカラーフィルター部の屈折率をn21とし、前記第2の透光部の屈折率をn22とし、前記第3のカラーフィルター部の屈折率をn31とし、前記第2の透光部の屈折率をn32とすると、
31<n22≦n12、n32<n21≦n12≦n22≦n11
の関係を満たす
請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1の光と前記第2の光とは、異なる色の光である
請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1の発光層は、青色の光を発光する青色有機発光層であり、
前記第1のカラーフィルター部は、前記青色の光から所定の青色の光を選択的に透過する
請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
さらに、前記カラーフィルター層を透過した光を集光するレンズを備える
請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
さらに、基板と、
前記基板の上方に形成され、前記第1の発光層から放出される前記第1の光を反射する第1の反射電極と、
前記基板の上方に形成され、前記第2の発光層から放出される前記第2の光を反射する第2の反射電極と、
前記第1の反射電極及び前記第2の反射電極に対向し、前記第1の光及び前記第2の光を透過する透明電極とを備え、
前記第1の発光層は、前記第1の反射電極と前記透明電極との間に配置され、
前記第2の発光層は、前記第2の反射電極と前記透明電極との間に配置される
請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
第1の光を発光する第1の発光層を形成する工程と、
第2の光を発光する第2の発光層を形成する工程と、
前記第1の発光層及び前記第2の発光層に対向させてカラーフィルター層を形成する工程とを備え、
前記カラーフィルター層を形成する工程は、
前記第1の光から前記第1の色の光を選択的に透過するとともに前記第1の発光層からの距離が第1の距離である前記第1のカラーフィルター部と、前記第2の光を透過する第1の透光部とを有する第1のカラーフィルター層を形成する工程と、
前記第2の光から前記第2の色の光を選択的に透過するとともに前記第2の発光層からの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離である前記第2のカラーフィルター部と、前記第1の光を透過する第2の透光部とを有する第2のカラーフィルター層を、前記第1のカラーフィルター層上に形成する工程とを含む
発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1のカラーフィルター層の上面に凹部が形成され、前記第2のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、
前記第2のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第1のカラーフィルター層上に前記第2のカラーフィルター層を配置する
請求項14に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
さらに、前記カラーフィルター層を形成する工程の前に、前記第1の発光層及び前記第2の発光層の上方に封止層を形成する工程を含み、
前記封止層の上面に凹部が形成され、前記第1のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、
前記第1のカラーフィルター層を形成する工程において、前記封止層に形成された前記凹部に前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記封止層上に前記第1のカラーフィルター層を配置する
請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きい
請求項16に記載の発光装置の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記カラーフィルター層を形成する工程の前に、第3の光を発光する第3の発光層を形成する工程を含み、
前記カラーフィルター層を形成する工程は、さらに、
前記第3の光から前記第3の色の光を選択的に透過するとともに前記第3の発光層からの距離が前記第3の距離である第3のカラーフィルター部と、前記第1の光及び前記第2の光を透過する第3の透光部とを有する第3のカラーフィルター層を、前記第2のカラーフィルター層上に形成する工程を有する
請求項14に記載の発光装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1のカラーフィルター層及び前記第2のカラーフィルター層の上面に凹部が形成され、前記第2のカラーフィルター層及び前記第3のカラーフィルター層の下面に凸部が形成されており、
前記第2のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第1のカラーフィルター層上に前記第2のカラーフィルター層を配置し、
前記第3のカラーフィルター層を形成する工程において、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凹部に前記第3のカラーフィルター層に形成された前記凸部が対応するように、前記第2のカラーフィルター層上に前記第3のカラーフィルター層を配置する
請求項18に記載の発光装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第1のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きく、
前記第3のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさは、前記第2のカラーフィルター層に形成された前記凸部の大きさよりも大きい、
請求項19に記載の発光装置の製造方法。
【請求項21】
さらに、前記カラーフィルター層の上方に、前記カラーフィルター層を透過した光を集光するレンズを有するレンズ基板を配置する工程を含む
請求項14〜19のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2012−190626(P2012−190626A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52334(P2011−52334)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】