発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器
【課題】動作環境の変動等による発光装置の温度変化に伴う駆動トランジスタの特性変動を補償することができる発光装置及びその駆動制御方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7とを有し、表示パネル2は、画素駆動回路20Dを有する表示画素20と画素駆動回路21Dを有するダミー画素21とを備え、これらを制御して、ダミー画素21の画素駆動回路21Dの駆動トランジスタT22の特性値を取得し、取得した特性値に基づいて表示パネル2の表示画素20を画像データに対応した輝度で発光させることができるように階調電圧を補正する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7とを有し、表示パネル2は、画素駆動回路20Dを有する表示画素20と画素駆動回路21Dを有するダミー画素21とを備え、これらを制御して、ダミー画素21の画素駆動回路21Dの駆動トランジスタT22の特性値を取得し、取得した特性値に基づいて表示パネル2の表示画素20を画像データに対応した輝度で発光させることができるように階調電圧を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器に関し、特に、画素に発光素子を備える発光装置及びその駆動制御方法、並びに該発光装置を実装した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL素子、無機EL素子、LED等のように光学要素として発光素子を有する複数の画素がマトリクス(行列)状に配列されて、各発光素子が発光することによって表示を行う発光素子型ディスプレイ(発光装置)が知られている。
【0003】
特に、アクティブマトリクス駆動方式の発光素子型ディスプレイは、高輝度、高コントラスト、高精細、低電力等の点で、優位性を有しており、特に、有機EL素子が注目されている。
【0004】
有機EL素子を画素に有する発光装置として、有機EL素子を駆動するための駆動トランジスタを含む複数のトランジスタを備える画素駆動回路を各画素に備え、供給された画像データの輝度が得られるように、有機EL素子に供給する電流の電流値を制御するアクティブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置がある。
【0005】
このような表示装置においては、周囲の動作環境の変動や表示装置の動作状態並びに動作履歴に伴って各画素が備える駆動トランジスタの特性が変動することで、表示品質が低下することがある。すなわち、駆動履歴においては、表示装置の駆動時間の経過に伴って各画素の駆動トランジスタの閾値電圧が変動することがある。また、動作状態においては、例えば、表示装置は、使用開始時点では室温であるが、開始後、駆動トランジスタや有機EL素子に電流が流れることに伴って温度が上昇することがある。さらに、例えば動作環境に温度変化があると、その影響を受けて表示装置の温度も変動することがある。このような温度変化に伴って、各画素の駆動トランジスタの特性が変動する。各画素の駆動トランジスタの特性の変動により、同一の階調電圧を画素に印加した場合でも、有機EL素子に流れる電流が変化し、発光輝度が変動し、ひいては、表示品質が低下してしまう。
【0006】
このような問題に関連して、各画素の画素駆動回路を構成する駆動トランジスタの駆動履歴に伴う特性変動を検出し、これを補償するように駆動して表示品位の低下を抑制する技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−252110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の手法は、駆動トランジスタの特性の駆動履歴に伴う特性変動の補償には有効であるものの、各画素の駆動トランジスタの特性値の検出に比較的長い時間を要するため、表示動作中に実行することはできない。このため、周囲の動作環境の変化や表示装置の動作状態による表示装置の温度変動等に伴う画素駆動回路の駆動トランジスタの特性の時間的な変動による発光輝度の変動に対応することは困難である。
そのため、動作環境の変化等による表示装置の温度変動等に伴う画素駆動回路の駆動トランジスタの特性の変動を補償して、高品質の画像を表示することができる表示装置が望まれている。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、動作環境の変動等による発光装置の温度変化に伴う駆動トランジスタの特性変動を補償することができる発光装置及びその駆動制御方法、並びに、該発光装置を実装した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係る発光装置は、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、
前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、
前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、
データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、
前記ダミー画素のみに接続され、前記セレクトドライバにより前記ダミー画素が選択状態とされ、前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧が印加されたときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を測定する電流計と、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得し、予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記特性値は、例えば、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧である。
例えば、前記データドライバは、前記補正階調電圧導出部が導出した前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部を備える。
【0012】
前記発光画素と前記ダミー画素とが複数配置され、複数の前記発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配列され、複数の前記ダミー画素は、2次元配列された前記複数の発光画素の周囲における、前記複数の発光画素の少なくとも1つの行又は少なくとも1つの列に沿った位置に配設され、前記電流計は前記複数のダミー画素に共通に接続されているように構成されてもよい。
【0013】
例えば、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の総和の電流値を測定し、前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記複数の発光画素の全てに対する共通の値として生成する。
【0014】
例えば、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流に流れる電流の電流値を測定し、前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記各ダミー画素に対して測定した前記電流値に基づいて、該各ダミー画素に対応する行又は列に配設された前記各発光画素に対する値として生成する。
【0015】
例えば、前記電流計は、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値と、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値と、を測定し、前記補正階調電圧導出部は、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得し、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得し、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する。
【0016】
例えば、前記第1のタイミングは、前記発光装置の電源投入後の動作開始時のタイミングである。
【0017】
本発明の第2の観点に係る発光装置の駆動制御方法は、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、前記ダミー画素のみに接続された電流計と、を備える前記発光装置を準備する準備ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を選択状態とする選択ステップと、
前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を前記電流計により測定する電流測定ステップと、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得する特性値取得ステップと、
予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0018】
前記特性値取得ステップは、例えば、前記特性値として、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧を取得する。
【0019】
前記データドライバにより、前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算ステップを含んでもよい。
【0020】
例えば、前記電流測定ステップは、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値を測定する初動電流測定ステップと、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値を測定する検定電流測定ステップと、を含み、前記補正階調電圧導出ステップは、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得する第1の特性値取得ステップと、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得する第2の特性値取得ステップと、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する補正ステップと、を含む。
【0021】
本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記発光装置のいずれかが実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、温度変動等の動作環境の変動による発光素子の発光輝度の変動を補償することが可能となる。
また、本発明によれば、使用等による画素駆動回路の特性変化による発光素子の発光輝度の変動を特性変化量に基づいて補償することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態における有機EL表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】セレクトラインに順次出力される走査信号と電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図3】本発明のデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図4】階調値と階調電圧の関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図9】セレクトラインに順次出力される走査信号と電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態における有機EL表示装置の構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図15】本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置(発光装置)について説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における有機EL表示装置1は、図1に示すように、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7とを有している。
【0025】
表示パネル2は、表示領域にn−1行m列のマトリクス状に配置された表示画素(発光画素)20(1,1)〜20(n−1,m)と、n行目に行方向に沿って配置された1行m列のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)と、行方向(図1の左右方向)に延在し、列方向に複数配列されている複数のセレクトライン(選択ライン)Ls1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvnと、列方向(図1の上下方向)に延在し、行方向に複数配列されている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。
【0026】
表示画素20(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)およびダミー画素21(i,j)(i=n,j=1〜m)は、セレクトラインLsiとデータラインLdjの交点の近傍に配置され、セレクトラインLsiと電源ラインLviとデータラインLdjに接続されている。
【0027】
各表示画素20(i,j)は、画素駆動回路20Dと有機EL素子OELとから構成されている。
【0028】
表示画素20(i,j)の画素駆動回路20Dは、トランジスタT21、T22とコンデンサC1とを含む。
【0029】
トランジスタT21およびT22は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いたnチャネル型TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)である。
【0030】
トランジスタT21は、選択トランジスタであり、ゲートがセレクトラインLsiに接続され、ドレインがデータラインLdjに接続され、ソースがトランジスタT22のゲートとコンデンサC1の一端に接続されている。
トランジスタT22は、有機EL素子OELに電流を流すための駆動トランジスタであり、ゲートがトランジスタT21のソースとコンデンサC1の一端に接続され、ドレインが電源ラインLvjに接続され、ソースがコンデンサC1の他端に接続されている。ここで、電源ラインLviに接続されるトランジスタT22のドレインは、本発明の電源端子に対応する。
【0031】
有機EL素子OELは、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子OELのアノード電極は、コンデンサC1の他端とトランジスタT22のドレインとの接続ノードN21に接続され、カソード電極は、共通のカソードラインLcに接続されている。
【0032】
ダミー画素21は、画素駆動回路20Dと同一の構成を有する画素駆動回路21Dから構成されており、表示画素20に対して有機EL素子OELがない構成となっている。具体的には、ダミー画素21はトランジスタT21、T22とコンデンサC1とから構成され、トランジスタT22のソースとコンデンサC1の他端とが接続されているノードN21はフィードバックラインLfbを介して電流計7の一端に接続されている。
【0033】
ダミー画素21は、視認されないのが望ましいので、基本的には、表示領域外であって表示パネルを囲うシールドケースなどに覆われる場所に設けることが望ましい。ただし、直射日光が当たることによる表示パネルの温度変化を検出するようにする場合には、ダミー画素21を、表示領域の周縁又は表示領域外であって表示領域の近傍の、表示パネルを囲うシールドケースなどに覆われない、視認され難い場所に設ける。
【0034】
セレクトドライバ3は、表示画素20またはダミー画素21の行(以下、画素行とする)を選択して、表示画素20、ダミー画素21を選択状態とするための回路である。セレクトドライバ3は、通常の表示動作時には、図2(A)〜図2(D)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsn−1に、対応する画素行の選択期間tsの間には、高電位のハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)となり、それ以外の期間(非選択期間:発光期間)には低電位のロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)となる走査信号を順次出力する。
【0035】
また、セレクトドライバ3は、後述する初動電流測定動作と補正電圧導出動作では、セレクトラインLsnに、ハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)を印加し、他のセレクトラインLs1〜Lsn−1には、ロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)を印加する。
【0036】
図1に示す電源ドライバ4は、通常の表示動作時では、図2(E)〜(H)に示すように、電源ラインLv1〜Lvn−1に基準電圧Vssより高い電位の電源電圧Vccを印加する。
【0037】
また、電源ドライバ4は、電源ラインLvnに、通常の表示動作時は基準電圧Vssを印加し、後述する初動電流測定動作時と補正電圧導出動作時では電源電圧Vccを印加する。基準電圧Vssは例えば接地電位GND(=0V)である。
【0038】
図1に示すデータドライバ5は、表示動作時に、デ−タラインLd1〜Ldmに、表示画像の各画素に対する画像データの階調値に対応するアナログ電圧信号Vdataを印加する。表示動作時にデータドライバ5がデ−タラインLd1〜Ldmに印加するアナログ電圧信号Vdataは、後述するように、初期階調電圧Vgs(k)に対して補正が加えられた補正階調電圧Vgsa(k)に設定される。
【0039】
一方、データドライバ5は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時には、全てのデータラインLd1〜Ldmに、互いに異なる電位に設定された第1設定電圧Vs1と第2設定電圧Vs2とを印加する。
【0040】
具体的には、データドライバ5は、後述する初動電流取得動作時における第1初動電流Ia1、又は、補正電圧導出動作時における第1検定電流Ib1を測定する際に第1設定電圧Vs1を印加し、初動電流取得動作時における第2初動電流Ia2、又は、補正電圧導出動作時における第2検定電流Ib2を測定する際に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0041】
次に、データドライバ5について、図3を参照してより具体的に説明する。
【0042】
図示するように、データドライバ5は、シフトレジスタ回路50と、データレジスタ回路51と、データラッチ回路52と、補正演算部53と、デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(D/Aコンバータ(DAC))54と、出力回路55と、アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(A/Dコンバータ(ADC))56と、補正階調電圧導出部57と、メモリ58とを有している。
【0043】
シフトレジスタ回路50は、表示動作時には、サンプリングスタート信号STRをシフトクロック信号CLKに基づいて順次シフトして、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0044】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応じたタイミングで、各画素の表示階調を指示する画像データD1〜Dmを順次取り込む。なお、画像データは例えば8ビットのデジタル信号であるとする。この場合、有機EL素子OELの発光の階調は256階調である。
【0045】
データラッチ回路52は、データラッチ信号STBに応答して、データレジスタ回路51に取り込まれている1画素行分の画像データD1〜Dmをラッチして、保持する。
【0046】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して、画像データに応じた発光輝度を得るためにデ−タラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧値を示す補正電圧データに変換する。
【0047】
DAC54は、補正演算部53が生成した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換する。
【0048】
出力回路55は、表示動作時には、DAC54から供給されたアナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力する。
【0049】
一方、出力回路55は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時には、データラインLd1〜Ldmに第1設定電圧Vs1と第2設定電圧Vs2とを印加する。
【0050】
ADC56は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時に、電流計7が測定した電流をデジタル信号に変換して補正階調電圧導出部57に供給する。
【0051】
補正階調電圧導出部57は、初期階調電圧テーブルを有している。階調電圧テーブルは、図4(A)に例示するような、画像データの階調値kと初期階調電圧Vgs(k)との関係を記憶している。初期階調電圧Vgs(k)は、工場出荷段階等で、階調値kに対応した有機EL素子OELの発光輝度を得るために、データラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧であり、画素駆動回路20Dと有機EL素子OELの初期特性に基づいて設定されている。
【0052】
補正階調電圧導出部57は、後述する第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、第1検定電流Ib1,第2検定電流Ib2から、現在の動作状態において、画像データの階調値kに対応した有機EL素子OELの発光輝度を得るために、データラインLd1〜Ldmに印加すべき補正階調電圧Vgsa(k)を求め、各表示階調と補正階調電圧Vgsaとを対応付ける補正階調電圧テーブルを求める。補正階調電圧導出部57は、求めた補正階調電圧テーブルをメモリ58に格納する。
【0053】
メモリ58は、補正階調電圧導出部57が取得した第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、補正階調電圧導出部57が生成した補正階調電圧テーブルを記憶している。
【0054】
図1に示すシステムコントローラ6は、セレクトドライバ3,電源ドライバ4,データドライバ5に制御信号を供給して、有機EL表示装置1全体の動作を制御する。
システムコントローラ6が実行する制御内容の詳細は後述する。
【0055】
電流計7は、一端(電流流入端)が、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22のドレインとコンデンサC1の他端との接続点であるノードN21に、フィードバックラインLfbを介して接続されている。
【0056】
電流計7の他端(電流流出端)には、共通電圧Vcomが印加されている。共通電圧Vcomは例えば基準電圧Vssと同電位に設定され、例えば接地電位GND(=0V)に設定される。
【0057】
次に、上記構成を有する有機EL表示装置1の動作について説明する。
有機EL表示装置1の動作は、大きくは、電源立ち上げ時等の動作温度が室温状態で実行される初動電流測定動作、その後の任意のタイミングで実行され、動作温度の動作環境の変動による画素駆動回路の特性変動を補正する補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作、そして、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて画像データに応じた画像表示を行う表示動作に分けられる。
以下、場面を分けてその動作を説明する。
【0058】
まず、初動電流測定動作について、図5、図6を参照して説明する。
【0059】
システムコントローラ6は、有機EL表示装置1の温度が室温状態にあるイニシャライズ処理終了後等に、初動電流を測定するための制御を行う。
【0060】
制御に従って、セレクトドライバ3は、図6(A)に示すように、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を選択するために、所定の選択期間tm1の間、セレクトラインLsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0061】
電源ドライバ4は、図6(C)に示すように、電源ラインLvnに電源電圧Vccを印加する。
【0062】
データドライバ5は、図6(B)に示すように、所定の電圧印加期間td1の間、全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第1設定電圧Vs1を印加する。なお、電圧印加期間td1は、m個のダミー画素21を流れる第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0063】
これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンし、これにより、トランジスタT22のゲートに第1設定電圧Vs1(−3V)が印加され、トランジスタT22がオンする。オンしたトランジスタT22は、ゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流がドレインーソース間(電流路)に流れる。
【0064】
電流計7は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第1初動電流Ia1)を測定し、ADC56に供給する。
【0065】
ADC56は、第1初動電流Ia1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0066】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第1初動電流Ia1の値を格納する。
【0067】
次に、システムコントローラ6は、図6(B)に示すように、データドライバ5が、所定の電圧印加期間td2の間、全てのデータラインLd1〜Ldmに第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。なお、電圧印加期間td2は、m個のダミー画素21を流れる第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0068】
これにより、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2(=Vs2−Vcom)に変化し、トランジスタT22は、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流がドレインーソース間(電流路)に流れる。
【0069】
電流計7は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第2初動電流Ia2)を測定し、ADC56に供給する。
【0070】
ADC56は、第2初動電流Ia2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0071】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第2初動電流Ia2の値を格納する。
【0072】
第2初動電流Ia2の値がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0073】
初動電流測定動作が終了下後、補正電圧導出動作と表示動作とを実行する。
ここで、補正電圧導出動作は、表示動作中の適当なタイミング、例えば、一定周期、無操作時、ランダムなタイミングなどで行えばよい。本実施形態における補正電圧導出動作は、上述したように、ダミー画素21に第1、第2設定電圧を印加して電流計により駆動トランジスタに流れる電流を測定する構成であるので、比較的短時間で実行可能である。そのため、例えば表示フレーム間の帰線期間等の非表示期間に実行することができる。
ここでは、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行うようにした場合について説明する。
【0074】
まず、任意の表示フレームで、書き込み動作終了後、システムコントローラ6は、補正電圧導出動作の実行を指示する。この指示に応答し、セレクトドライバ3は、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0075】
電源ドライバ4は、電源ラインLvnに電圧Vccを印加する。
データドライバ5は、図6(B)に示すように、全てのデータラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td1の間、第1設定電圧Vs1を印加する。
【0076】
これにより、トランジスタT21とT22はオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れ、電流計7は第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第1検定電流Ib1)を測定する。
【0077】
第1検定電流Ib1は、ADC56を介して補正階調電圧導出部57に供給される。補正階調電圧導出部57は、第1検定電流Ib1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0078】
続いて、システムコントローラ6は、データドライバ5が全てのデータラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td2の間、第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。
【0079】
これにより、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2に変化し、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。電流計7は、は、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第2検定電流Ib2)を測定する。
【0080】
ADC56は、測定された第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0081】
補正階調電圧導出部57は、得られた情報を用いて、図4(B)に示す補正階調電圧テーブルを求める。
以下、補正階調電圧テーブルを求める手順を説明する。
【0082】
まず、一般的に、MOSトランジスタのゲート−ソース間電圧をVgsとすると、MOSトランジスタのドレイン−ソース間に流れる電流Idは、以下の(1)の式で表される。
Id=β(Vgs−Vth)2 ・・・(1)
ここで、βはMOSトランジスタの電流増幅率、VthはMOSトランジスタの閾値電圧である。
【0083】
この式より、トランジスタT22の、使用開始時の閾値電圧Vth0と電流増幅率β0は、第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、次の(2)、(3)式で表される。
【数1】
【数2】
【0084】
また、トランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1と電流増幅率β1は、第1検定電流Ib1、第2検定電流Ib2、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、(4)、(5)式で表される。
【数3】
【数4】
【0085】
ある階調kを得るために初期状態において有機EL素子OELに流す必要のある電流を、トランジスタT22の閾値電圧がVth0からVth1に、電流増幅率がβ0からβ1に変化した状態において、ある階調kを得るために流す必要のある電流を流すためには、初期のゲート−ソース電圧Vgsを補正されたゲート−ソース電圧Vgsaに変更(増大)する必要がある。この補正ゲート−ソース間電圧は、Vth0、Vth1、β0、β1を用いて、(6)式で表される。
【数5】
【0086】
補正階調電圧導出部57は、式(2)〜(5)に基づいてVth0,Vth1,β0,β1を導出する。次に、導出したVth0,Vth1,β0,β1を用いて、図4(A)に示す初期階調電圧テーブルを参照して階調kの際の初期階調電圧Vgs(k)を取得する。その後、上記式(6)に基づいて補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0087】
なお、表示画素20に関しては、トランジスタT22のソースが有機EL素子OELを介して、接地電圧Vssに接続されているが、トランジスタT21の電流路の抵抗と有機EL素子OELの微小抵抗を無視して考えると、補正階調テーブルに設定されたVgsa(k)をデータラインLd1〜Ldmに印加すれば、T22のゲート−ソース間には、階調kを表示するために必要となる電流が流れることになる。
【0088】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0089】
次に、導出した補正階調電圧を用いた次フレームの書き込み動作(表示動作)を開始する。
【0090】
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図2(A)〜(D)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図2(E)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0091】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0092】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0093】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応答して、画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。
【0094】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して出力する。
【0095】
具体的に説明すると、補正演算部53は、データラッチ回路52から画像データD1〜Dmを読み出し、各画像データD1〜Dmに基づいて各画像データの階調kに応じた補正階調電圧Vgsa(k)をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルから取得し、これら各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0096】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0097】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n−1,1)〜20(n−1,m)について実行する。
【0098】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0099】
即ち、本実施形態の有機EL表示装置1では、起動後に、有機EL表示装置1が動作することによる表示パネルの温度変化や直射日光が当たることによる表示パネルの温度変化等により画素駆動回路の駆動トランジスタの閾値電圧、電流増幅率等の特性が変動し、同一の信号電圧を印加した場合、流れる電流が初動電流から変動してしまう。しかし、その変動分を相殺するように印加電圧が補償(補正)されるので、有機EL表示装置1は、電源立ち上げ時と同様の輝度で発光可能となり、電源立ち上げ時と同等の表示品質が保たれる。また、ダミー画素21を配列してこれらの補正をすることから、処理時間が短く、ほぼリアルタイムに補正を行うことができる。
【0100】
<第2の実施形態>
第1実施形態においては、全ての表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成とした。しかし、表示領域内の場所によって温度が異なる温度分布が発生し、有機EL素子のOELの発光輝度が表示領域内の場所によってばらつくことがある。そこで、表示領域内の場所毎に最適な補正階調電圧Vgsaを使用するようすることが好ましい。第2の実施形態はこれに対応して、表示領域の列毎に補正階調電圧を求めて、列毎に発光輝度の補正を行うようにしたものである。
【0101】
本実施形態における有機EL表示装置1は、第1の実施形態における有機EL表示装置1と回路構成は同一であり、制御動作が異なるものである。以下、その動作を説明する。
【0102】
本実施形態においても、有機EL表示装置1の動作は、電源立ち上げ時等に実行される初動電流測定動作、その後の任意のタイミングで実行されて補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作、補正階調電圧Vgsaに基づいて画像データに応じた画像表示を行う表示動作に分けられる。
ただし、1個のダミー画素21(n、j)(j=1〜m)毎に初動電流Ia1(j),Ia2(j)を測定し、各ダミー画素21に対応する補正階調電圧Vgsa(j)を導出し、1つの列のダミー画素21(n、j)に対する補正階調電圧Vgsa(j)を、同じ列の表示画素20(i、j)(i=1〜n−1)に印加するようにしている点が第1実施形態とは異なる。以下、具体的に説明する。
【0103】
まず、初動電流測定動作について、図7、図8を参照して説明する。
有機EL表示装置1の電源投入後、システムコントローラ6は、初動電流測定動作の実行を指示する。
【0104】
この指示に従って、セレクトドライバ3は、図8(A)に示すように、第1列のダミー画素21(n,1)を選択するために、所定の選択期間tm2の間、セレクトラインLsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0105】
電源ドライバ4は、図8(F)に示すように、電源ラインLvnに、電源電圧Vccを印加する。
【0106】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、所定の電圧印加期間td3の間、第1列のデータラインLd1に、第1設定電圧Vs1を印加し、他のデータラインLd2〜Ldmに共通電圧Vcomを印加する。
なお、電圧印加期間td3は、1個のダミー画素21の第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0107】
これにより、電圧印加期間td3の間、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT21がオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が、トランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。
【0108】
一方、第n行の第2列から第m列のダミー画素21(n,2)〜21(n,m)については、トランジスタT21はオンしているが、データラインLd2〜Ldmに印加されている電圧が共通電圧VcomであるためにトランジスタT22はオフとなっており、トランジスタT22のドレイン−ソース間に電流は流れない。
【0109】
従って、電流計7を流れる電流は、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流だけである。電流計7は、このダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56は、測定した電流をデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。補正階調電圧導出部57は、供給された電流の電流値を、第1列の画素の第1初動電流Ia1(1)として、メモリ58に格納する。
【0110】
以後、図8(B)〜(E)に示すように、第2列のデータラインLd2、第3列のデータラインLd3、...第m列のデータラインLdmに所定の電圧印加期間td3だけ第1設定電圧Vs1を順次印加し、他のデータラインに共通電圧Vcomを印加する。これにより、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第1初動電流Ia1(2)〜Ia1(m)が順次測定され、測定値がメモリ58に格納される。
【0111】
次に、データドライバ5は、電圧印加期間td4の間、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加し、他のデータラインLd2〜Ldmに共通電圧Vcomを印加する。ここで、電圧印加期間td4は、1個のダミー画素21の第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0112】
これにより、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のゲート−ソース間の電圧は第2設定電圧Vs2(=Vs2−Vcom)に変化し、ゲート−ソース間の電圧Vd2(5V)に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。
【0113】
電流計7は、ダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56はデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2初動電流Ia2(1)として取得する。
【0114】
電流計7により測定された第2初動電流Ia2(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0115】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2(1)を示すデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0116】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、以後、第2列のデータラインLd2、第3列のデータラインLd3、...第m列のデータラインLdmに第2設定電圧Vs2(−5V)を印加し、他のデータラインに共通電圧Vcomを順次印加する。これにより、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第2初動電流Ia2(2)〜Ia2(m)が順次測定され、メモリ58に格納される。
全ての第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(m)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(m)がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0117】
初動電流測定動作を終了すると、次に、補正階調電圧導出動作と表示動作とを実行する。
ここでも、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正階調電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行う例を説明する。
【0118】
まず、任意の表示フレームでの書き込み動作終了後、補正階調電圧導出動作を実行する。
即ち、初動電流測定動作と同様に、セレクトドライバ3は、図8(A)に示すように、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加する。これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22がオンする。
【0119】
電源ドライバ4は、全ての電源ラインLvnに、電源電圧Vccを印加する。
【0120】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td3の間には、第1設定電圧Vs1となり、それ以外の期間には共通電圧Vcomとなる電圧を順次出力する。
【0121】
これにより、電流計7は、まず、ダミー画素21(n,1)に流れる第1検定電流Ib1を測定し、第1検定電流Ib1の測定値をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0122】
補正階調電圧導出部57は、取得した第1検定電流Ib1をメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0123】
続いて、電流計7は、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第1検定電流Ib2,Ib3...Ibmを測定してADC56に供給し、ADC56は、第1検定電流Ib2,Ib3...Ibmをデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0124】
補正階調電圧導出部57は、取得した第1検定電流Ib1〜Ibmをメモリ58に供給し、メモリ58は、第1検定電流Ib1〜Ibmの値を格納する。
【0125】
次に、データドライバ5は、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td4の間には、第2設定電圧Vs2となり、それ以外の期間には共通電圧Vcomとなる電圧を順次出力する。
【0126】
電流計7は、ダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56はデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2検定電流Ib2(1)として取得する。
【0127】
続いて、電流計7は、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)に流れる第2検定電流Ib2(2),Ib2(3)...Ib2(m)を測定し、ADC56は、第1検定電流Ib2(2),Ib2(3)...Ib2(m)をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0128】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2(1)〜Ib2(m)とメモリ58に格納されている第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(m)と第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(m)と第1検定電流Ib1(1)〜Ib1(m)とに基づいて、ダミー画素21(n,j)のトランジスタT22の使用開始時の閾値電圧Vth0と電流増幅率β0を、(7)、(8)式から導出する。
【数6】
【数7】
【0129】
また、ダミー画素21(n,j)のトランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1と電流増幅率β1を、(9)、(10)式から導出する。
【数8】
【数9】
【0130】
補正階調電圧導出部57は、式(7)〜(10)による演算を行った後、図4(B)に示す階調電圧テーブルを参照して階調電圧Vgs(k)を取得し、その後、以下の式(11)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(k)を導出する。
【数10】
【0131】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)をメモリ58に供給し、補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の各値と階調kとを対応づけて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0132】
なお、本実施形態における補正階調テーブルは、図4(B)に示されているテーブルに、階調毎に1列目からm列目まで補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の各値が配列されたテーブルである。
【0133】
補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0134】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)が開始し、画像データD1〜Dmが行単位で順次供給され、データラッチ回路52に格納される。
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出し、各画像データD1〜Dmを電圧データDV1〜DVmに変換する。
【0135】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して出力する。
【0136】
具体的に説明すると、まず、第1行の表示画素20(1,1)〜20(1,m)用の画像データD1〜Dmがデータラッチ回路52に取りこまれる。補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データD1の階調数に応じた補正階調電圧Vgsa(1,k)をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得する。続いて、補正演算部53は、2列目、3列目・・・m列目の各電圧データの階調数に応じた補正階調電圧Vgsa(2,k)、Vgsa(3,k)、・・・Vgsa(m,k)をメモリ58から取得し、これらの補正階調電圧Vgsa(1,k)〜Vgsa(m,k)を電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0137】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0138】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)について、有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度での表示がなされる。
【0139】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n,1)〜20(n,m)について実行する。
【0140】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0141】
このような構成によれば、列単位で補正階調電圧Vgsaが求められ、同一列の表示画素20に印加する階調電圧の補正に使用するので、表示装置内で温度分布が存在する場合でも、適切な補正が可能であり、高品質の画像が表示できる。
【0142】
<第3の実施形態>
第1実施形態および第2実施形態では、有機EL表示装置1の電源立ち上げ後に表示装置内の温度が変化することにより表示画素の発光輝度が変化することによる表示画像の品質が低下することを防止するようにしたが、これとは別に、有機EL表示装置1は、長期間使用することで画素駆動回路20Dの特性が変動し、同一の信号電圧を印加した場合でも、流れる電流が工場出荷時の初期電流から変動することから表示画素の発光輝度が変化することによる表示画像の品質が低下することが知られている。
そこで、本実施形態では、長期間使用したことによる画素駆動回路20Dの特性変動分を相殺するように印加電圧を補償し、工場出荷時と同様の輝度で発光し、工場出荷時と同等の表示品質が保たれることとなる有機EL表示装置1について説明する。
【0143】
なお、本実施形態における有機EL表示装置1の回路構成は、第1の実施形態における有機EL表示装置1の回路構成と同一である。
【0144】
本実施形態においては、第1実施形態において、電源立ち上げ時に実行した、初期電流測定動作を、工場出荷時等の製造段階で実行し、第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2を求め、さらに、求めた第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2から、ダミー画素21のトランジスタT22の製造段階での閾値電圧Vth0と電流増幅率β0とを求め、メモリ58に格納する。なお、この段階で、閾値電圧Vth0と電流増幅率β0とを求める手法は、第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2を測定して式(1)、(2)に代入する方法に限定されず、他の手法を使用してもよい。
【0145】
本実施形態における有機EL表示装置1の動作は、電源立ち上げ後の所定のタイミングで実行され、補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作と、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて画像を表示する表示動作とを含む。
【0146】
補正電圧導出動作は、基本的に、実施形態1における補正電圧導出動作と同一である。以下では、実施形態1と同様に、各表示フレーム終了時に補正電圧導出動作を実行するものとして、補正電圧導出動作の概略を説明する。
【0147】
システムコントローラ6は、例えば、電源立ち上げ時のイニシャライズ処理等が終了すると、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4とデータドライバ5とに制御信号を供給し、補正電圧導出動作の開始を指示する。
【0148】
セレクトドライバ3は、指示に応答して、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs1〜Lsn−1にロウレベル電圧Vlowを印加する。これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンする。
【0149】
また、電源ドライバ4は、指示に応答して、電源ラインLvnに電源電圧Vccを印加する。
【0150】
一方、データドライバ5は、指示に応答して、全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第1設定電圧Vs1を印加する。
【0151】
これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンし、さらに、トランジスタT22がオンする。電源ラインLvnに電源電圧Vccが印加され、電流計7の他端に共通電圧Vcomが印加されているため、トランジスタT22のゲート・ソース間に電圧Vd1(=Vs1−Vcom)が印加されて、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート・ソース間電圧Vd1に対応する電流が流れる。
【0152】
これにより、電流計7を流れる電流は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和である第1検定電流Ib1となる。
【0153】
この第1検定電流Ib1は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0154】
ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換して、補正階調電圧導出部57に供給し、補正階調電圧導出部57は、これをメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0155】
次に、システムコントローラ6は、データドライバ5が全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。
【0156】
トランジスタT21とトランジスタT22はオン状態を維持する。電源ラインLvnに電源電圧Vccが印加され、電流計7の他端に共通電圧Vcomが印加されているため、トランジスタT22のゲート・ソース間に電圧Vd2(=Vs2−Vcom)が印加されて、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート・ソース間電圧Vd2に対応する電流が流れる。電流計7を流れる第2検定電流Ib2は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和となる。
【0157】
この第2検定電流Ib2は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0158】
ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0159】
補正階調電圧導出部57は、第1検定電流Ib1の値と第2検定電流Ib2の値とが供給されると、メモリ58に記憶されている電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを参照して式(3)及び(5)による演算を行い、その後、式(6)による演算を行って補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
【0160】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0161】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0162】
補正電圧導出動作を終了すると、次に、表示動作を開始する。
【0163】
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図2(A)〜2(D)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図2(E)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0164】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0165】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給し、データレジスタ回路51は、シフト信号に応答して、画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトする。シフトレジスタ回路50が、1行分のデータを格納すると、データラッチ回路52が、これを保持する。
【0166】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0167】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0168】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)について、有機EL表示装置1の工場出荷時における発光輝度と同等な発光輝度での表示がなされることとなる。
【0169】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n−1,1)〜20(n−1,m)について実行する。
【0170】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の工場出荷時における発光輝度と同等な輝度での表示がなされることとなる。
【0171】
<第4の実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、全表示画素20に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、第2実施形態と同様に、表示領域の列毎に補正階調電圧を求めて、列毎に発光輝度の補正を行うようにしてもよい。
この場合には、工場出荷段階で、各ダミー画素21のトランジスタT22の電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを任意の手法で測定し、メモリ58に記憶させておく。
その後、任意のタイミング(例えば、電源立ち上げ時、表示フレーム毎に)で、各ダミー画素21のトランジスタT22を流れる第1及び第2の検定電流Ib1,Ib2を測定し、列毎の補正階調電圧Vgsaを求める。
【0172】
<第5の実施形態>
第1の実施形態〜第4実施形態では第n行に行方向に沿ってダミー画素21を配置したが、ダミー画素21の配置位置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、例えば、第1行にダミー画素21を配置してもよい。
第5の実施形態は、ダミー画素21を第1行の行方向に配置したものである。
この場合、第1行目にダミー画素21(1,1)〜21(1,m)を配置し、第2行目〜第n行目に表示画素20(2,1)〜20(n,m)を配置する。
【0173】
本実施形態における有機EL表示装置1の表示動作における動作は上記各実施形態における動作と同じである。また、初期電流取得動作時及び補正電圧導出動作時におけるセレクトドライバ3、電源ドライバ4及びデータドライバ5の動作は上記各実施形態における動作と基本的に同様である。ただし、初期電流取得動作時及び補正電圧導出動作時において、セレクトドライバ3は第1行目のダミー画素21(1,1)〜21(1,m)を選択し、電源ドライバ4は電源ラインLv1に電源電圧Vccを印加するように制御される点が相違する。
【0174】
<第6の実施形態>
第1の実施形態〜第5の実施形態では、行方向に沿ってダミー画素21を配置したが、ダミー画素21の配置位置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、例えば、ダミー画素を列方向に配置してもよい。
第6の実施形態は、ダミー画素21を第1列の列方向に配置したものである。
【0175】
本実施形態における表示パネル2は、図10に示すように、1列目に配置されたn行1列のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)と、n行m−1列のマトリクス状に配置された表示画素(発光画素)20(1,2)〜20(n,m)と、行方向(図10の左右方向)に延び、列方向に配列されている複数のセレクトライン(選択ライン)Ls1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvnと、列方向(図10の上下方向)に延び、行方向に配列されている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。
【0176】
表示画素20(i,j)(i=1〜n,j=2〜m)およびダミー画素21(i,1)(i=1〜n)は、セレクトラインLsiとデータラインLdjの交点の近傍に配置され、同一行のセレクトラインLsiと電源ラインLviと同一列のデータラインLdjに接続されている。
【0177】
なお、フィードバックラインLfbは、第1の実施形態〜第4の実施形態では、行方向に延びていたが、本実施形態では、列方向(図10の上下方向)に延びている。
【0178】
次に、上記構成を有する有機EL表示装置1の動作を説明する。
本実施形態においても、動作は、初動電流測定動作、補正階調電圧導出動作、表示動作に大別される。
【0179】
まず、初動電流測定動作について、図11、図12を参照して説明する。
有機EL表示装置1の電源立ち上げ後、セレクトドライバ3は、図12(A)に示すように、ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を選択するために、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0180】
電源ドライバ4は、図12(C)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加する。
【0181】
データドライバ5は、図12(B)に示すように、所定の電圧印加期間td5の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。なお、電圧印加期間td5は、n個のダミー画素21を流れる第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0182】
これにより、第1列目の全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21がオンし、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21のゲートに第1設定電圧Vs1が印加されて、第1列目のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22がオンする。そして、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が流れる。
【0183】
電流計7を流れる電流は、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和である第1初動電流Ia1となる。
【0184】
この第1初動電流Ia1は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0185】
ADC56は、第1初動電流Ia1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0186】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は初動電流Iaの値を格納する。
【0187】
次に、システムコントローラ6は、図12(B)に示すように、所定の電圧印加期間td6の間、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。なお、電圧印加期間td6は、n個のダミー画素21を流れる第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0188】
これにより、第1列目のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21がオンし、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2(=Vs2−Vcom)になり、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流が流れる。
【0189】
電流計7を流れる電流は、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和である第2初動電流Ia2となる。
【0190】
この第2初動電流Ia2は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0191】
ADC56は、第2初動電流Ia2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0192】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第2初動電流Ia2の値を格納する。
【0193】
第2初動電流Ia2の値がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0194】
初動電流測定工程を終了すると、次に、補正電圧導出動作と表示動作とを実行する。
【0195】
ここでも、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行う例を説明する。
【0196】
まず、各表示フレームで、第1行〜第n行の表示画素20(1,2)〜20(n、m)への書き込み動作終了後、補正階調電圧導出動作を実行する。
即ち、初動電流測定動作と同様の処理により、図12(A)〜図12(C)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加し、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加し、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。
【0197】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定し第1検定電流Ib1とする。ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0198】
次に、システムコントローラ6は、データドライバ5を制御して、図12(B)に示すように、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0199】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定し第2検定電流Ib2とする。ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0200】
補正階調電圧導出部57は、図4(A)に示す階調電圧テーブルを参照して各階調数の階調電圧Vgs(k)を取得し、また、メモリ58から第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、第1検定電流Ib1を読み出し、式(2)〜(6)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
【0201】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、図4(B)に示す補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0202】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0203】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)が開始されて、画像データD1〜Dmが行単位で順次供給され、データラッチ回路52に格納される。
【0204】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに応じた補正階調電圧をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0205】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0206】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0207】
これにより、表示画素20(1,2)〜20(n,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度での表示がなされる。
【0208】
<第7の実施形態>
第6実施形態では、全ての表示画素20(1,2)〜20(n,m)に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、表示領域内の場所によって温度が異なる温度分布が発生し、有機EL素子のOELの発光輝度が表示領域内の場所によってばらつくことがある。そこで、表示領域内の場所毎に最適な補正階調電圧Vgsaを使用するようすることが好ましく、第7の実施形態はこれに対応して、表示領域の行毎に補正階調電圧を求めて、行毎に発光輝度の補正を行うようにしたものである。
本実施形態における有機EL表示装置1は、第6の実施形態における有機EL表示装置1と回路構成は同一であり、制御動作が異なるものである。以下、その動作を説明する。
【0209】
まず、初動電流測定動作について図13、図14を参照して説明する。
【0210】
セレクトドライバ3は、図14(A)に示すように、第1行のダミー画素21(1,1)を選択するために、所定の選択期間tm4の間、セレクトラインLs1に高電位のハイレベル電圧Vhighを印加し、図4(B)〜(D)に示すように、他のセレクトラインLs2〜Lsn−1に低電位のロウレベル電圧Vlowを印加する。
【0211】
電源ドライバ4は、図14(F)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvn−1に電源電圧Vccを印加する。
【0212】
データドライバ5は、図14(E)に示すように、所定の電圧印加期間td7の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。ここで、電圧印加期間td7は、1個のダミー画素21に対する電流計7による第1初動電流Ia1(1)の測定に必要な時間に設定される。
【0213】
これにより、第1行第1列のダミー画素21(1,1)のトランジスタT21がオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が、トランジスタT22のドレイン−ソース間に電流が流れる。
【0214】
電流計7は、ダミー画素21(1,1)に流れる電流を測定する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(1,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第1初動電流Ia1(1)として取得する。
【0215】
電流計7により測定された第1初動電流Ia1(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0216】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1(1)についてのデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0217】
次に、データドライバ5は、図14(E)に示すように、所定の電圧印加期間td8の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs2を印加する。ここで、電圧印加期間td8は、1個のダミー画素21に対する電流計7による第2初動電流Ia2(1)の測定に必要な時間に設定される。
【0218】
電流計7は、ダミー画素21(1,1)に流れる電流を測定する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(1,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2初動電流Ia2(1)として取得する。
【0219】
電流計7により測定された第2初動電流Ia2(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0220】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2(1)についてのデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0221】
続いて、第2行、第3行、...第n行のダミー画素21(2,1)、21(3,1)...21(n,1)に対して同様の動作を実行して、全てのダミー画素21(1,1)〜21(n,1)に対応した第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)を測定し、メモリ58に格納する。
【0222】
全ての第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0223】
初動電流測定工程を終了した後、表示フレーム単位に、補正電圧導出動作と表示動作を実行する。
【0224】
まず、初動電流測定動作と同様の処理により、第1行、第2行、...第n行のダミー画素21(1,1)、21(2,1)...21(n,1)に流れる第1検定電流Ib1(1)、Ib1(2)...Ib1(n)を測定し、メモリ58に供給して格納する。
【0225】
次に、第1行、第2行、...第n行のダミー画素21(1,1)、21(2,1)...21(n,1)に流れる第2検定電流Ib2(1)、Ib2(2)...Ib2(n)を測定し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0226】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2(1)〜Ib2(n)とメモリ58に格納されている第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)と第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)と第1検定電流Ib1(1)〜Ib1(n)とに基づいて、以下の演算を行って使用開始時の閾値電圧Vth0(j)と電流増幅率β0(j)を導出する。
【数11】
【数12】
【0227】
また、トランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1(j)と電流増幅率β1(j)は、第1検定電流Ib1(j)、第2検定電流Ib2(j)、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、(14)、(15)式で表される。
【数13】
【数14】
【0228】
補正階調電圧導出部57は、式(12)〜(15)による演算を行った後、図4(B)に示す階調電圧テーブルを参照して階調電圧Vgs(k)を取得し、その後、以下の式(16)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(j,k)を導出する。
【数15】
【0229】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0230】
なお、本実施形態における補正階調テーブルは、図4(B)に示されているテーブルに、階調毎に1列目からn列目まで補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)の各値が配列されたテーブルである。
【0231】
補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0232】
次いで、取得した補正階調電圧Vgsaを用いた補正を行って次フレームの画像の書き込みを行う。
【0233】
補正演算部53は、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0234】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd2〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0235】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0236】
なお、第2行で使用する補正階調電圧は、対応する行の補正階調電圧Vgsa(2,k)を用い、以下同様に、第n行で使用する補正階調電圧は、対応する行の補正階調電圧Vgsa(n,k)を用いる。
【0237】
これにより、表示画素20(1,2)〜20(n,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0238】
<第8の実施形態>
第3実施形態と同様に、補正階調電圧導出部57が、有機EL表示装置1の工場出荷時におけるダミー画素21のトランジスタT22の特性値であるβおよびVthの初期値を記憶し、補正階調電圧Vgsaを求めることで、有機EL表示装置1が、工場出荷時と同様の輝度で発光可能となる実施形態とすることができる。
【0239】
この場合の動作を、図11、図12を参照して説明する。
【0240】
まず、セレクトドライバ3は、図12(A)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。電源ドライバ4は、図12(C)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加する。データドライバ5は、図12(B)に示すように、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。
【0241】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定して第1検定電流Ib1とする。ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給し、メモリ58は、第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0242】
次に、データドライバ5は、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0243】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定して第2検定電流Ib2とする。ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0244】
なお、メモリ58は、有機EL表示装置1の工場出荷時におけるダミー画素21のトランジスタT22の特性値である電流増幅率βおよび閾値電圧Vthの初期値であるβ0およびVth0を記憶し、また、階調電圧テーブルを有している。
階調電圧テーブルは、例えば図4(B)に示すような、画像データの階調数とデータドライバ5が印加すべき階調電圧Vgsとの関係を記憶している。
【0245】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2の値が供給されると、式(3)及び(5)による演算を行い、その後、式(6)による演算を行って補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0246】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0247】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)を開始する。
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図9(A)〜(E)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図8(F)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0248】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0249】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給し、データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応答して、画像データD2〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。
【0250】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD2〜Dmを読み出し、画像データに応じた補正階調電圧をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、補正電圧デ−タをDAC54に出力する。
【0251】
DAC54は、補正演算部53が出力した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd2〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧に対応する電圧を印加する。
【0252】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0253】
<第9の実施形態>
第8実施形態では、全表示画素20に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、第7の実施形態と同様に、表示領域の行毎に補正階調電圧を求めて、行毎に発光輝度の補正を行うようにしてもよい。
この場合には、工場出荷段階で、各ダミー画素21のトランジスタT22の電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを任意の手法で測定し、メモリ58に記憶させておく。
その後、任意のタイミング(例えば、電源立ち上げ時、表示フレーム毎に)で、各ダミー画素21のトランジスタT22を流れる第1及び第2の検定電流Ib1(1)〜Ib1(n),Ib2(1)〜Ib2(n)を測定し、行毎の補正階調電圧Vgsaを求める。
【0254】
<変形例>
ダミー画素の配置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、上記各実施形態において示した配置に限るものではない。例えば、ダミー画素を第m列に配置してもよい。また、ダミー画素を第1行と第n行の両方、あるいは、第1列と第m列の両方に配置してもよい。更に、表示領域の周囲の第1行、第n行、第1列及び第m列に配置してもよい。この場合、例えば第2の実施形態と第7の実施形態を組み合わせて実行することにより、行方向と列方向の両方の温度分布に対する補正を行うことができて、より適切な補正を行うことができ、より高品質の画像が表示できる。
【0255】
また、上記各実施形態では、ダミー画素は1行又は1列に配列されるものとしたが、これに限るものではなく、例えば2行または2列等の複数行又は複数列に配列されるものであってもよい。この場合、例えば、1行目又は1列目に配列されたダミー画素を用いて第1の実施形態又は第6の実施形態の処理を実行し、2行目又は2列目に配列されたダミー画素を用いて第3の実施形態又は第8の実施形態の処理を並行して実行するようにしてもよい。
【0256】
また、上記各実施の形態において、画素駆動回路20,21の特性値として、電流駆動トランジスタT22の電流増幅率βと閾値電圧Vthを使用したが、他の特性値を使用することも可能である。
【0257】
また、上記実施形態では、発光素子を有機EL素子として説明した。しかし、発光素子は、有機EL素子に限られるものではなく、例えば、無機EL素子又はLEDであってもよい。
【0258】
更に、表示装置の回路構成、動作手順などは適宜変更可能である。また、全表示フレームにおいて、補正階調電圧導出動作を行う例を中心に説明したが、例えば、タイマを配置し、一定周期で行ったり、ランダムに行ったり、無操作時等で情報処理部がアイドル状態となった場合に実行するようにしてもよい。
【0259】
<電子機器の適用例>
次に、上述した各実施形態に係る有機EL表示装置を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0260】
上述した各実施形態に示した有機EL表示装置1は、例えばデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0261】
図15は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図16は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図17は、本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す斜視図である。
【0262】
図15において、デジタルカメラ200は、図15(A)及び(B)に示すように、レンズ部201と操作部202と表示部203とファインダー204とを備える。この表示部203に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部203において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0263】
図16において、パーソナルコンピュータ210は、表示部211と操作部212とを備え、この表示部211に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部211において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0264】
図17に示す携帯電話機220は、表示部221と、操作部222と、受話部223と送話部224とを備え、この表示部221に発光装置10上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部221において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
なお、上述した各実施形態においては、有機EL表示装置が、複数の画素が二次元配列された表示パネルを備えて構成される場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る構成を、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備えて、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0265】
1…有機EL表示装置、2…表示パネル、3…セレクトドライバ、4…電源ドライバ、5…データドライバ、6…システムコントローラ、7…電流計、20…表示画素、21…ダミー画素、50…シフトレジスタ回路、51…データレジスタ回路、52…データラッチ回路、53…補正演算部、54…デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAC)、55…出力回路、56…アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(ADC)、57…補正階調電圧導出部、58…メモリ、200…デジタルカメラ、201…レンズ部、202…操作部、203…表示部、204…ファインダー、210…パーソナルコンピュータ、211…表示部、212…操作部、220…携帯電話機、221…表示部、222…操作部、223…受話部、224…送話部
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器に関し、特に、画素に発光素子を備える発光装置及びその駆動制御方法、並びに該発光装置を実装した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL素子、無機EL素子、LED等のように光学要素として発光素子を有する複数の画素がマトリクス(行列)状に配列されて、各発光素子が発光することによって表示を行う発光素子型ディスプレイ(発光装置)が知られている。
【0003】
特に、アクティブマトリクス駆動方式の発光素子型ディスプレイは、高輝度、高コントラスト、高精細、低電力等の点で、優位性を有しており、特に、有機EL素子が注目されている。
【0004】
有機EL素子を画素に有する発光装置として、有機EL素子を駆動するための駆動トランジスタを含む複数のトランジスタを備える画素駆動回路を各画素に備え、供給された画像データの輝度が得られるように、有機EL素子に供給する電流の電流値を制御するアクティブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置がある。
【0005】
このような表示装置においては、周囲の動作環境の変動や表示装置の動作状態並びに動作履歴に伴って各画素が備える駆動トランジスタの特性が変動することで、表示品質が低下することがある。すなわち、駆動履歴においては、表示装置の駆動時間の経過に伴って各画素の駆動トランジスタの閾値電圧が変動することがある。また、動作状態においては、例えば、表示装置は、使用開始時点では室温であるが、開始後、駆動トランジスタや有機EL素子に電流が流れることに伴って温度が上昇することがある。さらに、例えば動作環境に温度変化があると、その影響を受けて表示装置の温度も変動することがある。このような温度変化に伴って、各画素の駆動トランジスタの特性が変動する。各画素の駆動トランジスタの特性の変動により、同一の階調電圧を画素に印加した場合でも、有機EL素子に流れる電流が変化し、発光輝度が変動し、ひいては、表示品質が低下してしまう。
【0006】
このような問題に関連して、各画素の画素駆動回路を構成する駆動トランジスタの駆動履歴に伴う特性変動を検出し、これを補償するように駆動して表示品位の低下を抑制する技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−252110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の手法は、駆動トランジスタの特性の駆動履歴に伴う特性変動の補償には有効であるものの、各画素の駆動トランジスタの特性値の検出に比較的長い時間を要するため、表示動作中に実行することはできない。このため、周囲の動作環境の変化や表示装置の動作状態による表示装置の温度変動等に伴う画素駆動回路の駆動トランジスタの特性の時間的な変動による発光輝度の変動に対応することは困難である。
そのため、動作環境の変化等による表示装置の温度変動等に伴う画素駆動回路の駆動トランジスタの特性の変動を補償して、高品質の画像を表示することができる表示装置が望まれている。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、動作環境の変動等による発光装置の温度変化に伴う駆動トランジスタの特性変動を補償することができる発光装置及びその駆動制御方法、並びに、該発光装置を実装した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係る発光装置は、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、
前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、
前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、
データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、
前記ダミー画素のみに接続され、前記セレクトドライバにより前記ダミー画素が選択状態とされ、前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧が印加されたときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を測定する電流計と、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得し、予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記特性値は、例えば、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧である。
例えば、前記データドライバは、前記補正階調電圧導出部が導出した前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部を備える。
【0012】
前記発光画素と前記ダミー画素とが複数配置され、複数の前記発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配列され、複数の前記ダミー画素は、2次元配列された前記複数の発光画素の周囲における、前記複数の発光画素の少なくとも1つの行又は少なくとも1つの列に沿った位置に配設され、前記電流計は前記複数のダミー画素に共通に接続されているように構成されてもよい。
【0013】
例えば、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の総和の電流値を測定し、前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記複数の発光画素の全てに対する共通の値として生成する。
【0014】
例えば、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流に流れる電流の電流値を測定し、前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記各ダミー画素に対して測定した前記電流値に基づいて、該各ダミー画素に対応する行又は列に配設された前記各発光画素に対する値として生成する。
【0015】
例えば、前記電流計は、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値と、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値と、を測定し、前記補正階調電圧導出部は、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得し、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得し、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する。
【0016】
例えば、前記第1のタイミングは、前記発光装置の電源投入後の動作開始時のタイミングである。
【0017】
本発明の第2の観点に係る発光装置の駆動制御方法は、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、前記ダミー画素のみに接続された電流計と、を備える前記発光装置を準備する準備ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を選択状態とする選択ステップと、
前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を前記電流計により測定する電流測定ステップと、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得する特性値取得ステップと、
予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0018】
前記特性値取得ステップは、例えば、前記特性値として、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧を取得する。
【0019】
前記データドライバにより、前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算ステップを含んでもよい。
【0020】
例えば、前記電流測定ステップは、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値を測定する初動電流測定ステップと、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値を測定する検定電流測定ステップと、を含み、前記補正階調電圧導出ステップは、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得する第1の特性値取得ステップと、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得する第2の特性値取得ステップと、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する補正ステップと、を含む。
【0021】
本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記発光装置のいずれかが実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、温度変動等の動作環境の変動による発光素子の発光輝度の変動を補償することが可能となる。
また、本発明によれば、使用等による画素駆動回路の特性変化による発光素子の発光輝度の変動を特性変化量に基づいて補償することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態における有機EL表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】セレクトラインに順次出力される走査信号と電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図3】本発明のデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図4】階調値と階調電圧の関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図9】セレクトラインに順次出力される走査信号と電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態における有機EL表示装置の構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の有機EL表示装置における初動電流測定動作および補正階調電圧導出動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図15】本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置(発光装置)について説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における有機EL表示装置1は、図1に示すように、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7とを有している。
【0025】
表示パネル2は、表示領域にn−1行m列のマトリクス状に配置された表示画素(発光画素)20(1,1)〜20(n−1,m)と、n行目に行方向に沿って配置された1行m列のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)と、行方向(図1の左右方向)に延在し、列方向に複数配列されている複数のセレクトライン(選択ライン)Ls1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvnと、列方向(図1の上下方向)に延在し、行方向に複数配列されている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。
【0026】
表示画素20(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)およびダミー画素21(i,j)(i=n,j=1〜m)は、セレクトラインLsiとデータラインLdjの交点の近傍に配置され、セレクトラインLsiと電源ラインLviとデータラインLdjに接続されている。
【0027】
各表示画素20(i,j)は、画素駆動回路20Dと有機EL素子OELとから構成されている。
【0028】
表示画素20(i,j)の画素駆動回路20Dは、トランジスタT21、T22とコンデンサC1とを含む。
【0029】
トランジスタT21およびT22は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いたnチャネル型TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)である。
【0030】
トランジスタT21は、選択トランジスタであり、ゲートがセレクトラインLsiに接続され、ドレインがデータラインLdjに接続され、ソースがトランジスタT22のゲートとコンデンサC1の一端に接続されている。
トランジスタT22は、有機EL素子OELに電流を流すための駆動トランジスタであり、ゲートがトランジスタT21のソースとコンデンサC1の一端に接続され、ドレインが電源ラインLvjに接続され、ソースがコンデンサC1の他端に接続されている。ここで、電源ラインLviに接続されるトランジスタT22のドレインは、本発明の電源端子に対応する。
【0031】
有機EL素子OELは、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子OELのアノード電極は、コンデンサC1の他端とトランジスタT22のドレインとの接続ノードN21に接続され、カソード電極は、共通のカソードラインLcに接続されている。
【0032】
ダミー画素21は、画素駆動回路20Dと同一の構成を有する画素駆動回路21Dから構成されており、表示画素20に対して有機EL素子OELがない構成となっている。具体的には、ダミー画素21はトランジスタT21、T22とコンデンサC1とから構成され、トランジスタT22のソースとコンデンサC1の他端とが接続されているノードN21はフィードバックラインLfbを介して電流計7の一端に接続されている。
【0033】
ダミー画素21は、視認されないのが望ましいので、基本的には、表示領域外であって表示パネルを囲うシールドケースなどに覆われる場所に設けることが望ましい。ただし、直射日光が当たることによる表示パネルの温度変化を検出するようにする場合には、ダミー画素21を、表示領域の周縁又は表示領域外であって表示領域の近傍の、表示パネルを囲うシールドケースなどに覆われない、視認され難い場所に設ける。
【0034】
セレクトドライバ3は、表示画素20またはダミー画素21の行(以下、画素行とする)を選択して、表示画素20、ダミー画素21を選択状態とするための回路である。セレクトドライバ3は、通常の表示動作時には、図2(A)〜図2(D)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsn−1に、対応する画素行の選択期間tsの間には、高電位のハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)となり、それ以外の期間(非選択期間:発光期間)には低電位のロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)となる走査信号を順次出力する。
【0035】
また、セレクトドライバ3は、後述する初動電流測定動作と補正電圧導出動作では、セレクトラインLsnに、ハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)を印加し、他のセレクトラインLs1〜Lsn−1には、ロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)を印加する。
【0036】
図1に示す電源ドライバ4は、通常の表示動作時では、図2(E)〜(H)に示すように、電源ラインLv1〜Lvn−1に基準電圧Vssより高い電位の電源電圧Vccを印加する。
【0037】
また、電源ドライバ4は、電源ラインLvnに、通常の表示動作時は基準電圧Vssを印加し、後述する初動電流測定動作時と補正電圧導出動作時では電源電圧Vccを印加する。基準電圧Vssは例えば接地電位GND(=0V)である。
【0038】
図1に示すデータドライバ5は、表示動作時に、デ−タラインLd1〜Ldmに、表示画像の各画素に対する画像データの階調値に対応するアナログ電圧信号Vdataを印加する。表示動作時にデータドライバ5がデ−タラインLd1〜Ldmに印加するアナログ電圧信号Vdataは、後述するように、初期階調電圧Vgs(k)に対して補正が加えられた補正階調電圧Vgsa(k)に設定される。
【0039】
一方、データドライバ5は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時には、全てのデータラインLd1〜Ldmに、互いに異なる電位に設定された第1設定電圧Vs1と第2設定電圧Vs2とを印加する。
【0040】
具体的には、データドライバ5は、後述する初動電流取得動作時における第1初動電流Ia1、又は、補正電圧導出動作時における第1検定電流Ib1を測定する際に第1設定電圧Vs1を印加し、初動電流取得動作時における第2初動電流Ia2、又は、補正電圧導出動作時における第2検定電流Ib2を測定する際に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0041】
次に、データドライバ5について、図3を参照してより具体的に説明する。
【0042】
図示するように、データドライバ5は、シフトレジスタ回路50と、データレジスタ回路51と、データラッチ回路52と、補正演算部53と、デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(D/Aコンバータ(DAC))54と、出力回路55と、アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(A/Dコンバータ(ADC))56と、補正階調電圧導出部57と、メモリ58とを有している。
【0043】
シフトレジスタ回路50は、表示動作時には、サンプリングスタート信号STRをシフトクロック信号CLKに基づいて順次シフトして、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0044】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応じたタイミングで、各画素の表示階調を指示する画像データD1〜Dmを順次取り込む。なお、画像データは例えば8ビットのデジタル信号であるとする。この場合、有機EL素子OELの発光の階調は256階調である。
【0045】
データラッチ回路52は、データラッチ信号STBに応答して、データレジスタ回路51に取り込まれている1画素行分の画像データD1〜Dmをラッチして、保持する。
【0046】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して、画像データに応じた発光輝度を得るためにデ−タラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧値を示す補正電圧データに変換する。
【0047】
DAC54は、補正演算部53が生成した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換する。
【0048】
出力回路55は、表示動作時には、DAC54から供給されたアナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力する。
【0049】
一方、出力回路55は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時には、データラインLd1〜Ldmに第1設定電圧Vs1と第2設定電圧Vs2とを印加する。
【0050】
ADC56は、後述する初動電流取得動作時および補正電圧導出動作時に、電流計7が測定した電流をデジタル信号に変換して補正階調電圧導出部57に供給する。
【0051】
補正階調電圧導出部57は、初期階調電圧テーブルを有している。階調電圧テーブルは、図4(A)に例示するような、画像データの階調値kと初期階調電圧Vgs(k)との関係を記憶している。初期階調電圧Vgs(k)は、工場出荷段階等で、階調値kに対応した有機EL素子OELの発光輝度を得るために、データラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧であり、画素駆動回路20Dと有機EL素子OELの初期特性に基づいて設定されている。
【0052】
補正階調電圧導出部57は、後述する第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、第1検定電流Ib1,第2検定電流Ib2から、現在の動作状態において、画像データの階調値kに対応した有機EL素子OELの発光輝度を得るために、データラインLd1〜Ldmに印加すべき補正階調電圧Vgsa(k)を求め、各表示階調と補正階調電圧Vgsaとを対応付ける補正階調電圧テーブルを求める。補正階調電圧導出部57は、求めた補正階調電圧テーブルをメモリ58に格納する。
【0053】
メモリ58は、補正階調電圧導出部57が取得した第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、補正階調電圧導出部57が生成した補正階調電圧テーブルを記憶している。
【0054】
図1に示すシステムコントローラ6は、セレクトドライバ3,電源ドライバ4,データドライバ5に制御信号を供給して、有機EL表示装置1全体の動作を制御する。
システムコントローラ6が実行する制御内容の詳細は後述する。
【0055】
電流計7は、一端(電流流入端)が、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22のドレインとコンデンサC1の他端との接続点であるノードN21に、フィードバックラインLfbを介して接続されている。
【0056】
電流計7の他端(電流流出端)には、共通電圧Vcomが印加されている。共通電圧Vcomは例えば基準電圧Vssと同電位に設定され、例えば接地電位GND(=0V)に設定される。
【0057】
次に、上記構成を有する有機EL表示装置1の動作について説明する。
有機EL表示装置1の動作は、大きくは、電源立ち上げ時等の動作温度が室温状態で実行される初動電流測定動作、その後の任意のタイミングで実行され、動作温度の動作環境の変動による画素駆動回路の特性変動を補正する補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作、そして、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて画像データに応じた画像表示を行う表示動作に分けられる。
以下、場面を分けてその動作を説明する。
【0058】
まず、初動電流測定動作について、図5、図6を参照して説明する。
【0059】
システムコントローラ6は、有機EL表示装置1の温度が室温状態にあるイニシャライズ処理終了後等に、初動電流を測定するための制御を行う。
【0060】
制御に従って、セレクトドライバ3は、図6(A)に示すように、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を選択するために、所定の選択期間tm1の間、セレクトラインLsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0061】
電源ドライバ4は、図6(C)に示すように、電源ラインLvnに電源電圧Vccを印加する。
【0062】
データドライバ5は、図6(B)に示すように、所定の電圧印加期間td1の間、全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第1設定電圧Vs1を印加する。なお、電圧印加期間td1は、m個のダミー画素21を流れる第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0063】
これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンし、これにより、トランジスタT22のゲートに第1設定電圧Vs1(−3V)が印加され、トランジスタT22がオンする。オンしたトランジスタT22は、ゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流がドレインーソース間(電流路)に流れる。
【0064】
電流計7は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第1初動電流Ia1)を測定し、ADC56に供給する。
【0065】
ADC56は、第1初動電流Ia1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0066】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第1初動電流Ia1の値を格納する。
【0067】
次に、システムコントローラ6は、図6(B)に示すように、データドライバ5が、所定の電圧印加期間td2の間、全てのデータラインLd1〜Ldmに第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。なお、電圧印加期間td2は、m個のダミー画素21を流れる第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0068】
これにより、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2(=Vs2−Vcom)に変化し、トランジスタT22は、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流がドレインーソース間(電流路)に流れる。
【0069】
電流計7は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第2初動電流Ia2)を測定し、ADC56に供給する。
【0070】
ADC56は、第2初動電流Ia2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0071】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第2初動電流Ia2の値を格納する。
【0072】
第2初動電流Ia2の値がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0073】
初動電流測定動作が終了下後、補正電圧導出動作と表示動作とを実行する。
ここで、補正電圧導出動作は、表示動作中の適当なタイミング、例えば、一定周期、無操作時、ランダムなタイミングなどで行えばよい。本実施形態における補正電圧導出動作は、上述したように、ダミー画素21に第1、第2設定電圧を印加して電流計により駆動トランジスタに流れる電流を測定する構成であるので、比較的短時間で実行可能である。そのため、例えば表示フレーム間の帰線期間等の非表示期間に実行することができる。
ここでは、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行うようにした場合について説明する。
【0074】
まず、任意の表示フレームで、書き込み動作終了後、システムコントローラ6は、補正電圧導出動作の実行を指示する。この指示に応答し、セレクトドライバ3は、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0075】
電源ドライバ4は、電源ラインLvnに電圧Vccを印加する。
データドライバ5は、図6(B)に示すように、全てのデータラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td1の間、第1設定電圧Vs1を印加する。
【0076】
これにより、トランジスタT21とT22はオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れ、電流計7は第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第1検定電流Ib1)を測定する。
【0077】
第1検定電流Ib1は、ADC56を介して補正階調電圧導出部57に供給される。補正階調電圧導出部57は、第1検定電流Ib1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0078】
続いて、システムコントローラ6は、データドライバ5が全てのデータラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td2の間、第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。
【0079】
これにより、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2に変化し、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。電流計7は、は、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和(第2検定電流Ib2)を測定する。
【0080】
ADC56は、測定された第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0081】
補正階調電圧導出部57は、得られた情報を用いて、図4(B)に示す補正階調電圧テーブルを求める。
以下、補正階調電圧テーブルを求める手順を説明する。
【0082】
まず、一般的に、MOSトランジスタのゲート−ソース間電圧をVgsとすると、MOSトランジスタのドレイン−ソース間に流れる電流Idは、以下の(1)の式で表される。
Id=β(Vgs−Vth)2 ・・・(1)
ここで、βはMOSトランジスタの電流増幅率、VthはMOSトランジスタの閾値電圧である。
【0083】
この式より、トランジスタT22の、使用開始時の閾値電圧Vth0と電流増幅率β0は、第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、次の(2)、(3)式で表される。
【数1】
【数2】
【0084】
また、トランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1と電流増幅率β1は、第1検定電流Ib1、第2検定電流Ib2、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、(4)、(5)式で表される。
【数3】
【数4】
【0085】
ある階調kを得るために初期状態において有機EL素子OELに流す必要のある電流を、トランジスタT22の閾値電圧がVth0からVth1に、電流増幅率がβ0からβ1に変化した状態において、ある階調kを得るために流す必要のある電流を流すためには、初期のゲート−ソース電圧Vgsを補正されたゲート−ソース電圧Vgsaに変更(増大)する必要がある。この補正ゲート−ソース間電圧は、Vth0、Vth1、β0、β1を用いて、(6)式で表される。
【数5】
【0086】
補正階調電圧導出部57は、式(2)〜(5)に基づいてVth0,Vth1,β0,β1を導出する。次に、導出したVth0,Vth1,β0,β1を用いて、図4(A)に示す初期階調電圧テーブルを参照して階調kの際の初期階調電圧Vgs(k)を取得する。その後、上記式(6)に基づいて補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0087】
なお、表示画素20に関しては、トランジスタT22のソースが有機EL素子OELを介して、接地電圧Vssに接続されているが、トランジスタT21の電流路の抵抗と有機EL素子OELの微小抵抗を無視して考えると、補正階調テーブルに設定されたVgsa(k)をデータラインLd1〜Ldmに印加すれば、T22のゲート−ソース間には、階調kを表示するために必要となる電流が流れることになる。
【0088】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0089】
次に、導出した補正階調電圧を用いた次フレームの書き込み動作(表示動作)を開始する。
【0090】
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図2(A)〜(D)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図2(E)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0091】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0092】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0093】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応答して、画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。
【0094】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して出力する。
【0095】
具体的に説明すると、補正演算部53は、データラッチ回路52から画像データD1〜Dmを読み出し、各画像データD1〜Dmに基づいて各画像データの階調kに応じた補正階調電圧Vgsa(k)をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルから取得し、これら各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0096】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0097】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n−1,1)〜20(n−1,m)について実行する。
【0098】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0099】
即ち、本実施形態の有機EL表示装置1では、起動後に、有機EL表示装置1が動作することによる表示パネルの温度変化や直射日光が当たることによる表示パネルの温度変化等により画素駆動回路の駆動トランジスタの閾値電圧、電流増幅率等の特性が変動し、同一の信号電圧を印加した場合、流れる電流が初動電流から変動してしまう。しかし、その変動分を相殺するように印加電圧が補償(補正)されるので、有機EL表示装置1は、電源立ち上げ時と同様の輝度で発光可能となり、電源立ち上げ時と同等の表示品質が保たれる。また、ダミー画素21を配列してこれらの補正をすることから、処理時間が短く、ほぼリアルタイムに補正を行うことができる。
【0100】
<第2の実施形態>
第1実施形態においては、全ての表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成とした。しかし、表示領域内の場所によって温度が異なる温度分布が発生し、有機EL素子のOELの発光輝度が表示領域内の場所によってばらつくことがある。そこで、表示領域内の場所毎に最適な補正階調電圧Vgsaを使用するようすることが好ましい。第2の実施形態はこれに対応して、表示領域の列毎に補正階調電圧を求めて、列毎に発光輝度の補正を行うようにしたものである。
【0101】
本実施形態における有機EL表示装置1は、第1の実施形態における有機EL表示装置1と回路構成は同一であり、制御動作が異なるものである。以下、その動作を説明する。
【0102】
本実施形態においても、有機EL表示装置1の動作は、電源立ち上げ時等に実行される初動電流測定動作、その後の任意のタイミングで実行されて補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作、補正階調電圧Vgsaに基づいて画像データに応じた画像表示を行う表示動作に分けられる。
ただし、1個のダミー画素21(n、j)(j=1〜m)毎に初動電流Ia1(j),Ia2(j)を測定し、各ダミー画素21に対応する補正階調電圧Vgsa(j)を導出し、1つの列のダミー画素21(n、j)に対する補正階調電圧Vgsa(j)を、同じ列の表示画素20(i、j)(i=1〜n−1)に印加するようにしている点が第1実施形態とは異なる。以下、具体的に説明する。
【0103】
まず、初動電流測定動作について、図7、図8を参照して説明する。
有機EL表示装置1の電源投入後、システムコントローラ6は、初動電流測定動作の実行を指示する。
【0104】
この指示に従って、セレクトドライバ3は、図8(A)に示すように、第1列のダミー画素21(n,1)を選択するために、所定の選択期間tm2の間、セレクトラインLsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0105】
電源ドライバ4は、図8(F)に示すように、電源ラインLvnに、電源電圧Vccを印加する。
【0106】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、所定の電圧印加期間td3の間、第1列のデータラインLd1に、第1設定電圧Vs1を印加し、他のデータラインLd2〜Ldmに共通電圧Vcomを印加する。
なお、電圧印加期間td3は、1個のダミー画素21の第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0107】
これにより、電圧印加期間td3の間、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT21がオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が、トランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。
【0108】
一方、第n行の第2列から第m列のダミー画素21(n,2)〜21(n,m)については、トランジスタT21はオンしているが、データラインLd2〜Ldmに印加されている電圧が共通電圧VcomであるためにトランジスタT22はオフとなっており、トランジスタT22のドレイン−ソース間に電流は流れない。
【0109】
従って、電流計7を流れる電流は、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流だけである。電流計7は、このダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56は、測定した電流をデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。補正階調電圧導出部57は、供給された電流の電流値を、第1列の画素の第1初動電流Ia1(1)として、メモリ58に格納する。
【0110】
以後、図8(B)〜(E)に示すように、第2列のデータラインLd2、第3列のデータラインLd3、...第m列のデータラインLdmに所定の電圧印加期間td3だけ第1設定電圧Vs1を順次印加し、他のデータラインに共通電圧Vcomを印加する。これにより、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第1初動電流Ia1(2)〜Ia1(m)が順次測定され、測定値がメモリ58に格納される。
【0111】
次に、データドライバ5は、電圧印加期間td4の間、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加し、他のデータラインLd2〜Ldmに共通電圧Vcomを印加する。ここで、電圧印加期間td4は、1個のダミー画素21の第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0112】
これにより、第n行第1列のダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のゲート−ソース間の電圧は第2設定電圧Vs2(=Vs2−Vcom)に変化し、ゲート−ソース間の電圧Vd2(5V)に対応する電流がトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる。
【0113】
電流計7は、ダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56はデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2初動電流Ia2(1)として取得する。
【0114】
電流計7により測定された第2初動電流Ia2(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0115】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2(1)を示すデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0116】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、以後、第2列のデータラインLd2、第3列のデータラインLd3、...第m列のデータラインLdmに第2設定電圧Vs2(−5V)を印加し、他のデータラインに共通電圧Vcomを順次印加する。これにより、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第2初動電流Ia2(2)〜Ia2(m)が順次測定され、メモリ58に格納される。
全ての第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(m)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(m)がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0117】
初動電流測定動作を終了すると、次に、補正階調電圧導出動作と表示動作とを実行する。
ここでも、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正階調電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行う例を説明する。
【0118】
まず、任意の表示フレームでの書き込み動作終了後、補正階調電圧導出動作を実行する。
即ち、初動電流測定動作と同様に、セレクトドライバ3は、図8(A)に示すように、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加する。これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22がオンする。
【0119】
電源ドライバ4は、全ての電源ラインLvnに、電源電圧Vccを印加する。
【0120】
データドライバ5は、図8(B)〜(E)に示すように、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td3の間には、第1設定電圧Vs1となり、それ以外の期間には共通電圧Vcomとなる電圧を順次出力する。
【0121】
これにより、電流計7は、まず、ダミー画素21(n,1)に流れる第1検定電流Ib1を測定し、第1検定電流Ib1の測定値をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0122】
補正階調電圧導出部57は、取得した第1検定電流Ib1をメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0123】
続いて、電流計7は、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)の各々に流れる第1検定電流Ib2,Ib3...Ibmを測定してADC56に供給し、ADC56は、第1検定電流Ib2,Ib3...Ibmをデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0124】
補正階調電圧導出部57は、取得した第1検定電流Ib1〜Ibmをメモリ58に供給し、メモリ58は、第1検定電流Ib1〜Ibmの値を格納する。
【0125】
次に、データドライバ5は、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td4の間には、第2設定電圧Vs2となり、それ以外の期間には共通電圧Vcomとなる電圧を順次出力する。
【0126】
電流計7は、ダミー画素21(n,1)に流れる電流を測定してADC56に供給し、ADC56はデジタルデータに変換して補正階調電圧導出部57に供給する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2検定電流Ib2(1)として取得する。
【0127】
続いて、電流計7は、ダミー画素21(n,2)、21(n,3)...21(n,m)に流れる第2検定電流Ib2(2),Ib2(3)...Ib2(m)を測定し、ADC56は、第1検定電流Ib2(2),Ib2(3)...Ib2(m)をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0128】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2(1)〜Ib2(m)とメモリ58に格納されている第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(m)と第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(m)と第1検定電流Ib1(1)〜Ib1(m)とに基づいて、ダミー画素21(n,j)のトランジスタT22の使用開始時の閾値電圧Vth0と電流増幅率β0を、(7)、(8)式から導出する。
【数6】
【数7】
【0129】
また、ダミー画素21(n,j)のトランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1と電流増幅率β1を、(9)、(10)式から導出する。
【数8】
【数9】
【0130】
補正階調電圧導出部57は、式(7)〜(10)による演算を行った後、図4(B)に示す階調電圧テーブルを参照して階調電圧Vgs(k)を取得し、その後、以下の式(11)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(k)を導出する。
【数10】
【0131】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)をメモリ58に供給し、補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の各値と階調kとを対応づけて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0132】
なお、本実施形態における補正階調テーブルは、図4(B)に示されているテーブルに、階調毎に1列目からm列目まで補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の各値が配列されたテーブルである。
【0133】
補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(m,255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0134】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)が開始し、画像データD1〜Dmが行単位で順次供給され、データラッチ回路52に格納される。
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出し、各画像データD1〜Dmを電圧データDV1〜DVmに変換する。
【0135】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して出力する。
【0136】
具体的に説明すると、まず、第1行の表示画素20(1,1)〜20(1,m)用の画像データD1〜Dmがデータラッチ回路52に取りこまれる。補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データD1の階調数に応じた補正階調電圧Vgsa(1,k)をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得する。続いて、補正演算部53は、2列目、3列目・・・m列目の各電圧データの階調数に応じた補正階調電圧Vgsa(2,k)、Vgsa(3,k)、・・・Vgsa(m,k)をメモリ58から取得し、これらの補正階調電圧Vgsa(1,k)〜Vgsa(m,k)を電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0137】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0138】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)について、有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度での表示がなされる。
【0139】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n,1)〜20(n,m)について実行する。
【0140】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0141】
このような構成によれば、列単位で補正階調電圧Vgsaが求められ、同一列の表示画素20に印加する階調電圧の補正に使用するので、表示装置内で温度分布が存在する場合でも、適切な補正が可能であり、高品質の画像が表示できる。
【0142】
<第3の実施形態>
第1実施形態および第2実施形態では、有機EL表示装置1の電源立ち上げ後に表示装置内の温度が変化することにより表示画素の発光輝度が変化することによる表示画像の品質が低下することを防止するようにしたが、これとは別に、有機EL表示装置1は、長期間使用することで画素駆動回路20Dの特性が変動し、同一の信号電圧を印加した場合でも、流れる電流が工場出荷時の初期電流から変動することから表示画素の発光輝度が変化することによる表示画像の品質が低下することが知られている。
そこで、本実施形態では、長期間使用したことによる画素駆動回路20Dの特性変動分を相殺するように印加電圧を補償し、工場出荷時と同様の輝度で発光し、工場出荷時と同等の表示品質が保たれることとなる有機EL表示装置1について説明する。
【0143】
なお、本実施形態における有機EL表示装置1の回路構成は、第1の実施形態における有機EL表示装置1の回路構成と同一である。
【0144】
本実施形態においては、第1実施形態において、電源立ち上げ時に実行した、初期電流測定動作を、工場出荷時等の製造段階で実行し、第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2を求め、さらに、求めた第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2から、ダミー画素21のトランジスタT22の製造段階での閾値電圧Vth0と電流増幅率β0とを求め、メモリ58に格納する。なお、この段階で、閾値電圧Vth0と電流増幅率β0とを求める手法は、第1初期電流Ia1と第2初期電流Ia2を測定して式(1)、(2)に代入する方法に限定されず、他の手法を使用してもよい。
【0145】
本実施形態における有機EL表示装置1の動作は、電源立ち上げ後の所定のタイミングで実行され、補正階調電圧Vgsaを導出する補正電圧導出動作と、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて画像を表示する表示動作とを含む。
【0146】
補正電圧導出動作は、基本的に、実施形態1における補正電圧導出動作と同一である。以下では、実施形態1と同様に、各表示フレーム終了時に補正電圧導出動作を実行するものとして、補正電圧導出動作の概略を説明する。
【0147】
システムコントローラ6は、例えば、電源立ち上げ時のイニシャライズ処理等が終了すると、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4とデータドライバ5とに制御信号を供給し、補正電圧導出動作の開始を指示する。
【0148】
セレクトドライバ3は、指示に応答して、第n行のセレクトラインLsnにハイレベル電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs1〜Lsn−1にロウレベル電圧Vlowを印加する。これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンする。
【0149】
また、電源ドライバ4は、指示に応答して、電源ラインLvnに電源電圧Vccを印加する。
【0150】
一方、データドライバ5は、指示に応答して、全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第1設定電圧Vs1を印加する。
【0151】
これにより、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21がオンし、さらに、トランジスタT22がオンする。電源ラインLvnに電源電圧Vccが印加され、電流計7の他端に共通電圧Vcomが印加されているため、トランジスタT22のゲート・ソース間に電圧Vd1(=Vs1−Vcom)が印加されて、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート・ソース間電圧Vd1に対応する電流が流れる。
【0152】
これにより、電流計7を流れる電流は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和である第1検定電流Ib1となる。
【0153】
この第1検定電流Ib1は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0154】
ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換して、補正階調電圧導出部57に供給し、補正階調電圧導出部57は、これをメモリ58に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0155】
次に、システムコントローラ6は、データドライバ5が全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。
【0156】
トランジスタT21とトランジスタT22はオン状態を維持する。電源ラインLvnに電源電圧Vccが印加され、電流計7の他端に共通電圧Vcomが印加されているため、トランジスタT22のゲート・ソース間に電圧Vd2(=Vs2−Vcom)が印加されて、トランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート・ソース間電圧Vd2に対応する電流が流れる。電流計7を流れる第2検定電流Ib2は、第n行にあるm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を流れる電流の総和となる。
【0157】
この第2検定電流Ib2は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0158】
ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0159】
補正階調電圧導出部57は、第1検定電流Ib1の値と第2検定電流Ib2の値とが供給されると、メモリ58に記憶されている電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを参照して式(3)及び(5)による演算を行い、その後、式(6)による演算を行って補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
【0160】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0161】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0162】
補正電圧導出動作を終了すると、次に、表示動作を開始する。
【0163】
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図2(A)〜2(D)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図2(E)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0164】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0165】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給し、データレジスタ回路51は、シフト信号に応答して、画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトする。シフトレジスタ回路50が、1行分のデータを格納すると、データラッチ回路52が、これを保持する。
【0166】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0167】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,1)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0168】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)について、有機EL表示装置1の工場出荷時における発光輝度と同等な発光輝度での表示がなされることとなる。
【0169】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n−1行の表示画素20(2,1)〜20(2,m)、20(3,1)〜20(3,m)、,,,20(n−1,1)〜20(n−1,m)について実行する。
【0170】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について有機EL表示装置1の工場出荷時における発光輝度と同等な輝度での表示がなされることとなる。
【0171】
<第4の実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、全表示画素20に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、第2実施形態と同様に、表示領域の列毎に補正階調電圧を求めて、列毎に発光輝度の補正を行うようにしてもよい。
この場合には、工場出荷段階で、各ダミー画素21のトランジスタT22の電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを任意の手法で測定し、メモリ58に記憶させておく。
その後、任意のタイミング(例えば、電源立ち上げ時、表示フレーム毎に)で、各ダミー画素21のトランジスタT22を流れる第1及び第2の検定電流Ib1,Ib2を測定し、列毎の補正階調電圧Vgsaを求める。
【0172】
<第5の実施形態>
第1の実施形態〜第4実施形態では第n行に行方向に沿ってダミー画素21を配置したが、ダミー画素21の配置位置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、例えば、第1行にダミー画素21を配置してもよい。
第5の実施形態は、ダミー画素21を第1行の行方向に配置したものである。
この場合、第1行目にダミー画素21(1,1)〜21(1,m)を配置し、第2行目〜第n行目に表示画素20(2,1)〜20(n,m)を配置する。
【0173】
本実施形態における有機EL表示装置1の表示動作における動作は上記各実施形態における動作と同じである。また、初期電流取得動作時及び補正電圧導出動作時におけるセレクトドライバ3、電源ドライバ4及びデータドライバ5の動作は上記各実施形態における動作と基本的に同様である。ただし、初期電流取得動作時及び補正電圧導出動作時において、セレクトドライバ3は第1行目のダミー画素21(1,1)〜21(1,m)を選択し、電源ドライバ4は電源ラインLv1に電源電圧Vccを印加するように制御される点が相違する。
【0174】
<第6の実施形態>
第1の実施形態〜第5の実施形態では、行方向に沿ってダミー画素21を配置したが、ダミー画素21の配置位置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、例えば、ダミー画素を列方向に配置してもよい。
第6の実施形態は、ダミー画素21を第1列の列方向に配置したものである。
【0175】
本実施形態における表示パネル2は、図10に示すように、1列目に配置されたn行1列のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)と、n行m−1列のマトリクス状に配置された表示画素(発光画素)20(1,2)〜20(n,m)と、行方向(図10の左右方向)に延び、列方向に配列されている複数のセレクトライン(選択ライン)Ls1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvnと、列方向(図10の上下方向)に延び、行方向に配列されている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。
【0176】
表示画素20(i,j)(i=1〜n,j=2〜m)およびダミー画素21(i,1)(i=1〜n)は、セレクトラインLsiとデータラインLdjの交点の近傍に配置され、同一行のセレクトラインLsiと電源ラインLviと同一列のデータラインLdjに接続されている。
【0177】
なお、フィードバックラインLfbは、第1の実施形態〜第4の実施形態では、行方向に延びていたが、本実施形態では、列方向(図10の上下方向)に延びている。
【0178】
次に、上記構成を有する有機EL表示装置1の動作を説明する。
本実施形態においても、動作は、初動電流測定動作、補正階調電圧導出動作、表示動作に大別される。
【0179】
まず、初動電流測定動作について、図11、図12を参照して説明する。
有機EL表示装置1の電源立ち上げ後、セレクトドライバ3は、図12(A)に示すように、ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を選択するために、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。
【0180】
電源ドライバ4は、図12(C)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加する。
【0181】
データドライバ5は、図12(B)に示すように、所定の電圧印加期間td5の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。なお、電圧印加期間td5は、n個のダミー画素21を流れる第1初動電流Ia1の測定に必要な時間に設定される。
【0182】
これにより、第1列目の全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21がオンし、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21のゲートに第1設定電圧Vs1が印加されて、第1列目のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22がオンする。そして、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が流れる。
【0183】
電流計7を流れる電流は、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和である第1初動電流Ia1となる。
【0184】
この第1初動電流Ia1は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0185】
ADC56は、第1初動電流Ia1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0186】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1の値をメモリ58に供給し、メモリ58は初動電流Iaの値を格納する。
【0187】
次に、システムコントローラ6は、図12(B)に示すように、所定の電圧印加期間td6の間、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加するように制御する。なお、電圧印加期間td6は、n個のダミー画素21を流れる第2初動電流Ia2の測定に必要な時間に設定される。
【0188】
これにより、第1列目のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT21がオンし、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のゲート−ソース間の電圧はVd2(=Vs2−Vcom)になり、全ダミー画素21(1,1)〜21(n,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に、ゲート−ソース間の電圧Vd2に対応する電流が流れる。
【0189】
電流計7を流れる電流は、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和である第2初動電流Ia2となる。
【0190】
この第2初動電流Ia2は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0191】
ADC56は、第2初動電流Ia2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0192】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2の値をメモリ58に供給し、メモリ58は第2初動電流Ia2の値を格納する。
【0193】
第2初動電流Ia2の値がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0194】
初動電流測定工程を終了すると、次に、補正電圧導出動作と表示動作とを実行する。
【0195】
ここでも、理解を容易にするため、1表示フレーム毎に、補正電圧導出動作を行って補正階調電圧Vgsaを導出し、導出した補正階調電圧Vgsaを用いて次のフレームの表示画像の書き込みを行う例を説明する。
【0196】
まず、各表示フレームで、第1行〜第n行の表示画素20(1,2)〜20(n、m)への書き込み動作終了後、補正階調電圧導出動作を実行する。
即ち、初動電流測定動作と同様の処理により、図12(A)〜図12(C)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加し、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加し、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。
【0197】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定し第1検定電流Ib1とする。ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給し、メモリ58は第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0198】
次に、システムコントローラ6は、データドライバ5を制御して、図12(B)に示すように、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0199】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定し第2検定電流Ib2とする。ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0200】
補正階調電圧導出部57は、図4(A)に示す階調電圧テーブルを参照して各階調数の階調電圧Vgs(k)を取得し、また、メモリ58から第1初動電流Ia1、第2初動電流Ia2、第1検定電流Ib1を読み出し、式(2)〜(6)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
【0201】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、図4(B)に示す補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0202】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0203】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)が開始されて、画像データD1〜Dmが行単位で順次供給され、データラッチ回路52に格納される。
【0204】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに応じた補正階調電圧をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0205】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に相当する電圧を各データラインLd1〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0206】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0207】
これにより、表示画素20(1,2)〜20(n,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度での表示がなされる。
【0208】
<第7の実施形態>
第6実施形態では、全ての表示画素20(1,2)〜20(n,m)に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、表示領域内の場所によって温度が異なる温度分布が発生し、有機EL素子のOELの発光輝度が表示領域内の場所によってばらつくことがある。そこで、表示領域内の場所毎に最適な補正階調電圧Vgsaを使用するようすることが好ましく、第7の実施形態はこれに対応して、表示領域の行毎に補正階調電圧を求めて、行毎に発光輝度の補正を行うようにしたものである。
本実施形態における有機EL表示装置1は、第6の実施形態における有機EL表示装置1と回路構成は同一であり、制御動作が異なるものである。以下、その動作を説明する。
【0209】
まず、初動電流測定動作について図13、図14を参照して説明する。
【0210】
セレクトドライバ3は、図14(A)に示すように、第1行のダミー画素21(1,1)を選択するために、所定の選択期間tm4の間、セレクトラインLs1に高電位のハイレベル電圧Vhighを印加し、図4(B)〜(D)に示すように、他のセレクトラインLs2〜Lsn−1に低電位のロウレベル電圧Vlowを印加する。
【0211】
電源ドライバ4は、図14(F)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvn−1に電源電圧Vccを印加する。
【0212】
データドライバ5は、図14(E)に示すように、所定の電圧印加期間td7の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。ここで、電圧印加期間td7は、1個のダミー画素21に対する電流計7による第1初動電流Ia1(1)の測定に必要な時間に設定される。
【0213】
これにより、第1行第1列のダミー画素21(1,1)のトランジスタT21がオンし、トランジスタT22のゲート−ソース間の電圧Vd1(=Vs1−Vcom)に対応する電流が、トランジスタT22のドレイン−ソース間に電流が流れる。
【0214】
電流計7は、ダミー画素21(1,1)に流れる電流を測定する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(1,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第1初動電流Ia1(1)として取得する。
【0215】
電流計7により測定された第1初動電流Ia1(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0216】
補正階調電圧導出部57は、第1初動電流Ia1(1)についてのデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0217】
次に、データドライバ5は、図14(E)に示すように、所定の電圧印加期間td8の間、データラインLd1に第1設定電圧Vs2を印加する。ここで、電圧印加期間td8は、1個のダミー画素21に対する電流計7による第2初動電流Ia2(1)の測定に必要な時間に設定される。
【0218】
電流計7は、ダミー画素21(1,1)に流れる電流を測定する。そして、補正階調電圧導出部57は、ダミー画素21(1,1)のトランジスタT22のドレイン−ソース間に流れる電流の電流値を、第2初動電流Ia2(1)として取得する。
【0219】
電流計7により測定された第2初動電流Ia2(1)の測定値は、ADC56によりデジタルデータに変換され、補正階調電圧導出部57に供給される。
【0220】
補正階調電圧導出部57は、第2初動電流Ia2(1)についてのデジタルデータをメモリ58に格納する。
【0221】
続いて、第2行、第3行、...第n行のダミー画素21(2,1)、21(3,1)...21(n,1)に対して同様の動作を実行して、全てのダミー画素21(1,1)〜21(n,1)に対応した第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)を測定し、メモリ58に格納する。
【0222】
全ての第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)および第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)がメモリ58に格納されると、初動電流測定動作を終了する。
【0223】
初動電流測定工程を終了した後、表示フレーム単位に、補正電圧導出動作と表示動作を実行する。
【0224】
まず、初動電流測定動作と同様の処理により、第1行、第2行、...第n行のダミー画素21(1,1)、21(2,1)...21(n,1)に流れる第1検定電流Ib1(1)、Ib1(2)...Ib1(n)を測定し、メモリ58に供給して格納する。
【0225】
次に、第1行、第2行、...第n行のダミー画素21(1,1)、21(2,1)...21(n,1)に流れる第2検定電流Ib2(1)、Ib2(2)...Ib2(n)を測定し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0226】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2(1)〜Ib2(n)とメモリ58に格納されている第1初動電流Ia1(1)〜Ia1(n)と第2初動電流Ia2(1)〜Ia2(n)と第1検定電流Ib1(1)〜Ib1(n)とに基づいて、以下の演算を行って使用開始時の閾値電圧Vth0(j)と電流増幅率β0(j)を導出する。
【数11】
【数12】
【0227】
また、トランジスタT22の、使用開始後(現時点)での閾値電圧Vth1(j)と電流増幅率β1(j)は、第1検定電流Ib1(j)、第2検定電流Ib2(j)、それらを測定したときのゲート−ソース間電圧Vd1,Vd2を用いて、(14)、(15)式で表される。
【数13】
【数14】
【0228】
補正階調電圧導出部57は、式(12)〜(15)による演算を行った後、図4(B)に示す階調電圧テーブルを参照して階調電圧Vgs(k)を取得し、その後、以下の式(16)による演算を行って、補正階調電圧Vgsa(j,k)を導出する。
【数15】
【0229】
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0230】
なお、本実施形態における補正階調テーブルは、図4(B)に示されているテーブルに、階調毎に1列目からn列目まで補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)の各値が配列されたテーブルである。
【0231】
補正階調電圧Vgsa(1,0)〜Vgsa(n,255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0232】
次いで、取得した補正階調電圧Vgsaを用いた補正を行って次フレームの画像の書き込みを行う。
【0233】
補正演算部53は、画像データに対応した補正階調電圧を、メモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、各補正階調電圧Vgsaを電圧データDV1〜DVmとしてDAC54に出力する。
【0234】
DAC54は、電圧デ−タDV1〜DVmをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd2〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧Vgsaに対応する電圧を印加する。
【0235】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0236】
なお、第2行で使用する補正階調電圧は、対応する行の補正階調電圧Vgsa(2,k)を用い、以下同様に、第n行で使用する補正階調電圧は、対応する行の補正階調電圧Vgsa(n,k)を用いる。
【0237】
これにより、表示画素20(1,2)〜20(n,m)について有機EL表示装置1の電源立ち上げ時における発光輝度と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0238】
<第8の実施形態>
第3実施形態と同様に、補正階調電圧導出部57が、有機EL表示装置1の工場出荷時におけるダミー画素21のトランジスタT22の特性値であるβおよびVthの初期値を記憶し、補正階調電圧Vgsaを求めることで、有機EL表示装置1が、工場出荷時と同様の輝度で発光可能となる実施形態とすることができる。
【0239】
この場合の動作を、図11、図12を参照して説明する。
【0240】
まず、セレクトドライバ3は、図12(A)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加する。電源ドライバ4は、図12(C)に示すように、全ての電源ラインLv1〜Lvnに電源電圧Vccを印加する。データドライバ5は、図12(B)に示すように、データラインLd1に第1設定電圧Vs1を印加する。
【0241】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定して第1検定電流Ib1とする。ADC56は、第1検定電流Ib1をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給し、メモリ58は、第1検定電流Ib1の値を格納する。
【0242】
次に、データドライバ5は、データラインLd1に第2設定電圧Vs2を印加する。
【0243】
これにより、図11に示すように、第1列目にあるn個のダミー画素21(1,1)〜21(n,1)を流れる電流の総和を電流計7で測定して第2検定電流Ib2とする。ADC56は、第2検定電流Ib2をデジタルデータに変換し、補正階調電圧導出部57に供給する。
【0244】
なお、メモリ58は、有機EL表示装置1の工場出荷時におけるダミー画素21のトランジスタT22の特性値である電流増幅率βおよび閾値電圧Vthの初期値であるβ0およびVth0を記憶し、また、階調電圧テーブルを有している。
階調電圧テーブルは、例えば図4(B)に示すような、画像データの階調数とデータドライバ5が印加すべき階調電圧Vgsとの関係を記憶している。
【0245】
補正階調電圧導出部57は、第2検定電流Ib2の値が供給されると、式(3)及び(5)による演算を行い、その後、式(6)による演算を行って補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)を導出する。
補正階調電圧導出部57は、導出した補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)をメモリ58に供給し、階調kと対応付けて、補正階調テーブルとしてメモリ58に格納する。
【0246】
補正階調電圧Vgsa(0)〜Vgsa(255)の値がメモリ58に格納されると、補正電圧導出動作を終了する。
【0247】
続いて、次フレームの書き込み動作(表示動作)を開始する。
まず、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図9(A)〜(E)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図8(F)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0248】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に書き込み動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0249】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給し、データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応答して、画像データD2〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。
【0250】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD2〜Dmを読み出し、画像データに応じた補正階調電圧をメモリ58に格納されている補正階調電圧テーブルを参照して取得して、補正電圧デ−タをDAC54に出力する。
【0251】
DAC54は、補正演算部53が出力した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧に対応する電圧を各データラインLd2〜Ldmに印加する。これにより、走査信号によって選択状態にある表示画素20(1,2)〜20(1,m)に補正階調電圧に対応する電圧を印加する。
【0252】
以後同様の動作を、第2行、第3行...第n行の表示画素20(2,2)〜20(2,m)、20(3,2)〜20(3,m)、,,,20(n,2)〜20(n,m)について実行する。
【0253】
<第9の実施形態>
第8実施形態では、全表示画素20に対して共通の補正階調電圧Vgsaを使用する構成としたが、第7の実施形態と同様に、表示領域の行毎に補正階調電圧を求めて、行毎に発光輝度の補正を行うようにしてもよい。
この場合には、工場出荷段階で、各ダミー画素21のトランジスタT22の電流増幅率β0と閾値電圧Vth0とを任意の手法で測定し、メモリ58に記憶させておく。
その後、任意のタイミング(例えば、電源立ち上げ時、表示フレーム毎に)で、各ダミー画素21のトランジスタT22を流れる第1及び第2の検定電流Ib1(1)〜Ib1(n),Ib2(1)〜Ib2(n)を測定し、行毎の補正階調電圧Vgsaを求める。
【0254】
<変形例>
ダミー画素の配置は視認されない場所又は視認され難い場所であれば任意であり、上記各実施形態において示した配置に限るものではない。例えば、ダミー画素を第m列に配置してもよい。また、ダミー画素を第1行と第n行の両方、あるいは、第1列と第m列の両方に配置してもよい。更に、表示領域の周囲の第1行、第n行、第1列及び第m列に配置してもよい。この場合、例えば第2の実施形態と第7の実施形態を組み合わせて実行することにより、行方向と列方向の両方の温度分布に対する補正を行うことができて、より適切な補正を行うことができ、より高品質の画像が表示できる。
【0255】
また、上記各実施形態では、ダミー画素は1行又は1列に配列されるものとしたが、これに限るものではなく、例えば2行または2列等の複数行又は複数列に配列されるものであってもよい。この場合、例えば、1行目又は1列目に配列されたダミー画素を用いて第1の実施形態又は第6の実施形態の処理を実行し、2行目又は2列目に配列されたダミー画素を用いて第3の実施形態又は第8の実施形態の処理を並行して実行するようにしてもよい。
【0256】
また、上記各実施の形態において、画素駆動回路20,21の特性値として、電流駆動トランジスタT22の電流増幅率βと閾値電圧Vthを使用したが、他の特性値を使用することも可能である。
【0257】
また、上記実施形態では、発光素子を有機EL素子として説明した。しかし、発光素子は、有機EL素子に限られるものではなく、例えば、無機EL素子又はLEDであってもよい。
【0258】
更に、表示装置の回路構成、動作手順などは適宜変更可能である。また、全表示フレームにおいて、補正階調電圧導出動作を行う例を中心に説明したが、例えば、タイマを配置し、一定周期で行ったり、ランダムに行ったり、無操作時等で情報処理部がアイドル状態となった場合に実行するようにしてもよい。
【0259】
<電子機器の適用例>
次に、上述した各実施形態に係る有機EL表示装置を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0260】
上述した各実施形態に示した有機EL表示装置1は、例えばデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0261】
図15は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図16は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図17は、本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す斜視図である。
【0262】
図15において、デジタルカメラ200は、図15(A)及び(B)に示すように、レンズ部201と操作部202と表示部203とファインダー204とを備える。この表示部203に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部203において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0263】
図16において、パーソナルコンピュータ210は、表示部211と操作部212とを備え、この表示部211に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部211において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0264】
図17に示す携帯電話機220は、表示部221と、操作部222と、受話部223と送話部224とを備え、この表示部221に発光装置10上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部221において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
なお、上述した各実施形態においては、有機EL表示装置が、複数の画素が二次元配列された表示パネルを備えて構成される場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る構成を、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備えて、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0265】
1…有機EL表示装置、2…表示パネル、3…セレクトドライバ、4…電源ドライバ、5…データドライバ、6…システムコントローラ、7…電流計、20…表示画素、21…ダミー画素、50…シフトレジスタ回路、51…データレジスタ回路、52…データラッチ回路、53…補正演算部、54…デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAC)、55…出力回路、56…アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(ADC)、57…補正階調電圧導出部、58…メモリ、200…デジタルカメラ、201…レンズ部、202…操作部、203…表示部、204…ファインダー、210…パーソナルコンピュータ、211…表示部、212…操作部、220…携帯電話機、221…表示部、222…操作部、223…受話部、224…送話部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、
前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、
前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、
データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、
前記ダミー画素のみに接続され、前記セレクトドライバにより前記ダミー画素が選択状態とされ、前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧が印加されたときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を測定する電流計と、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得し、予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記特性値は、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記データドライバは、前記補正階調電圧導出部が導出した前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光画素と前記ダミー画素とを複数有し、
複数の前記発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配列され、
複数の前記ダミー画素は、2次元配列された前記複数の発光画素の周囲における、前記複数の発光画素の少なくとも1つの行又は少なくとも1つの列に沿った位置に配設され、
前記電流計は前記複数のダミー画素に共通に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の総和の電流値を測定し、
前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記複数の発光画素の全てに対する共通の値として生成することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流に流れる電流の電流値を測定し、
前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記各ダミー画素に対して測定した前記電流値に基づいて、該各ダミー画素に対応する行又は列に配設された前記各発光画素に対する値として生成することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記電流計は、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値と、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値と、を測定し、
前記補正階調電圧導出部は、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得し、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得し、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1のタイミングは、前記発光装置の電源投入後の動作開始時のタイミングであることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
発光装置の駆動制御方法であって、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、前記ダミー画素のみに接続された電流計と、を備える前記発光装置を準備する準備ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を選択状態とする選択ステップと、
前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を前記電流計により測定する電流測定ステップと、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得する特性値取得ステップと、
予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出ステップと、
を含むことを特徴とする発光装置の駆動制御方法。
【請求項10】
前記特性値取得ステップは、前記特性値として、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧を取得することを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項11】
前記データドライバにより、前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算ステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項12】
前記電流測定ステップは、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値を測定する初動電流測定ステップと、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値を測定する検定電流測定ステップと、を含み、
前記補正階調電圧導出ステップは、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得する第1の特性値取得ステップと、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得する第2の特性値取得ステップと、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する補正ステップと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項13】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、
前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、
前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、
データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、
前記ダミー画素のみに接続され、前記セレクトドライバにより前記ダミー画素が選択状態とされ、前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧が印加されたときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を測定する電流計と、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得し、予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記特性値は、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記データドライバは、前記補正階調電圧導出部が導出した前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光画素と前記ダミー画素とを複数有し、
複数の前記発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配列され、
複数の前記ダミー画素は、2次元配列された前記複数の発光画素の周囲における、前記複数の発光画素の少なくとも1つの行又は少なくとも1つの列に沿った位置に配設され、
前記電流計は前記複数のダミー画素に共通に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の総和の電流値を測定し、
前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記複数の発光画素の全てに対する共通の値として生成することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流に流れる電流の電流値を測定し、
前記補正演算部は、前記補正電圧データ電圧を、前記各ダミー画素に対して測定した前記電流値に基づいて、該各ダミー画素に対応する行又は列に配設された前記各発光画素に対する値として生成することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記電流計は、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値と、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値と、を測定し、
前記補正階調電圧導出部は、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得し、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得し、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1のタイミングは、前記発光装置の電源投入後の動作開始時のタイミングであることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
発光装置の駆動制御方法であって、
発光素子と該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタを有する画素駆動回路とを備える少なくとも一つの発光画素と、前記画素駆動回路を備えて前記発光画素に隣接して設けられた少なくとも一つのダミー画素と、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とするセレクトドライバと、データラインを介して前記ダミー画素に設定電圧を印加するデータドライバと、前記ダミー画素のみに接続された電流計と、を備える前記発光装置を準備する準備ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を選択状態とする選択ステップと、
前記データドライバより前記データラインを介して前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる電流の電流値を前記電流計により測定する電流測定ステップと、
前記設定電圧の電圧値と前記電流値とから前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの特性値を取得する特性値取得ステップと、
予め画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を前記特性値に応じた値に補正した補正階調電圧を導出する補正階調電圧導出ステップと、
を含むことを特徴とする発光装置の駆動制御方法。
【請求項10】
前記特性値取得ステップは、前記特性値として、前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流増幅率と閾値電圧を取得することを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項11】
前記データドライバにより、前記補正階調電圧の値に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算ステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項12】
前記電流測定ステップは、第1のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる初動電流の電流値を測定する初動電流測定ステップと、前記第1のタイミング後に所定の動作時間が経過した後の第2のタイミングで前記ダミー画素に前記設定電圧を印加したときに前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの電流路に流れる検定電流の電流値を測定する検定電流測定ステップと、を含み、
前記補正階調電圧導出ステップは、前記初動電流の電流値に基づいて、前記第1のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第1の特性値を取得する第1の特性値取得ステップと、測定された前記検定電流の電流値に基づいて第2のタイミングにおける前記ダミー画素の前記駆動トランジスタの第2の特性値を取得する第2の特性値取得ステップと、前記第1の特性値と前記第2の特性値とに基づいて、予め前記第1のタイミングにおいて画像データの階調値に対して設定された階調電圧の値を補正して、前記第2のタイミングに対応した前記補正階調電圧を導出する補正ステップと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項13】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−141456(P2012−141456A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294293(P2010−294293)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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