説明

発光装置及び照明装置

【課題】発光面内の輝度変化が小さく且つ発光効率が良好な発光装置でありながら、コストの大幅な増加を伴わずに作製することが可能な発光装置または照明装置を提供する。
【解決手段】反射部材と、透光性を有する封止部材と、反射部材と封止部材との間に形成された発光素子とを有し、発光素子は第1の透明電極と、第2の透明電極と、第1の透明電極と第2の透明電極との間に形成されたEL層とからなり、反射部材は、第1の透明電極の電気抵抗より小さい電気抵抗及び凹凸部を有する反射電極と反射電極を覆って平坦化する平坦化膜とを備え、平坦化膜には反射電極にまで達する貫通孔が設けられており、貫通孔を介して反射電極と第1の透明電極とが電気的に接続している発光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む発光層を有する発光素子及びそれを用いた発光装置又は照明装置に関する。また、当該発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の電極間に有機化合物を含む発光層(以下EL層とも称する)を有する発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子とも言う)の開発が盛んに行われている。その用途として注目されている分野のひとつが照明分野である。この理由として、EL素子は薄型軽量に作製できること、面での発光が可能であること等、他の照明器具にはない特徴があることが挙げられる。
【0003】
EL素子は一対の電極間に有機化合物を含む発光層を挟持した構造を有することは先に述べた。そのため、発光層からの発光は、一対の電極のうち、少なくとも一方を通過して取り出される。このことから、通常、EL素子の一対の電極のうち少なくとも片方の電極は、少なくとも可視光に対する透過性を有する導電膜(透明導電膜)により形成されている。
【0004】
ところが、この透明導電膜は、電気を流しやすい金属などと比較して、一桁から二桁比抵抗が高く、特に照明用途などに用いられる面積の大きい素子においては、電圧降下による発光素子面内の輝度変化が顕著であるという問題があった。そこで、特許文献1では、透明導電膜と有機化合物を含む発光層との間に透明導電膜より低抵抗な物質からなる金属層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、透明導電膜を用いることによる他の問題としては、光の取り出し効率の問題が大きい。有機EL素子において、発光層からの発光は全方向に向かって放出される。そのため、屈折率の異なる層同士の界面において全反射が起き、発光素子内部に閉じ込められる光が多く存在する。これら閉じ込められた光は、反射を繰り返す毎に再吸収されて減衰し、最後にはほぼ消滅してしまう。透明導電膜は有機化合物の屈折率より大きい屈折率を有するため、取り出し効率の工夫がなされていない発光素子においては、このように取り出されずに消滅する発光は実に半分を超えると言われている。そのため、有機EL素子に関する取り出し効率に対しては様々な対策がなされている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−140817号公報
【特許文献2】特開2010−182677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現状の照明機器には無い特徴を有する有機EL素子を用いた照明装置であるが、成熟した照明市場において大きな競争力を得るためには、照明品質及び発光効率が良好であることはもちろん、価格的にも対策が必要である。
【0008】
そこで、本発明では、発光面内の輝度変化が小さく且つ発光効率が良好な発光装置でありながら、コストの大幅な増加を伴わずに作製することが可能な発光装置または照明装置を提供することを課題とする。
【0009】
本発明では上記課題の少なくとも一を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を鑑み、本発明者らは、凹凸部及び導電性を有する反射電極を備えた反射部材と透光性を有する封止部材との間に発光素子を形成し、当該導電性を備える反射電極を補助電極として用いる構成を考えた。すなわち、本発明の一態様は、反射部材と、透光性を有する封止部材と、反射部材と封止部材との間に形成された発光素子とを有し、発光素子は第1の透明電極と、第2の透明電極と、第1の透明電極と第2の透明電極との間に形成されたEL層とからなり、反射部材は、第1の透明電極の電気抵抗より小さい電気抵抗及び凹凸部を有する反射電極と反射電極を覆って平坦化する平坦化膜とを備え、反射電極と第1の透明電極とが電気的に接続している発光装置である。
【0011】
以上の構成を有する発光装置では、全方向に放出される発光のうち、従来ならば全反射などの影響により、発光装置外に取り出すことができなかった角度に放出された光の一部を、凹凸部を有する反射電極を備えた反射部材によって角度を変化させて反射されることにより取り出すことが可能となり、発光装置の発光効率が向上する。また、第1の透明電極と当該第1の透明電極より電気抵抗が小さい反射電極とが電気的に接続していることにより、第1の電極の導電率の低さを反射電極が補うことが可能となり、発光領域面内の輝度変化を抑制することが可能となる。さらに、反射電極が補助電極の役割を担っていることから、発光領域全面に補助電極を形成していることとなるため、第1の電極の電圧降下をより有効に抑制することができる。また、この構成においては、反射電極が補助電極も兼ねていることから、以上で説明した効果を大幅なコストやプロセスの増加無く実現することができる。
【0012】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、第2の透明電極とEL層との間には、貫通孔に対応して絶縁層が形成されている発光装置である。
【0013】
以上の構成を有する発光装置は、信頼性が向上するため、好ましい構成である。
【0014】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、第2の透明電極は、貫通孔と重なる部分には形成されていない発光装置である。
【0015】
以上の構成を有する発光装置は、信頼性が向上するため、好ましい構成である。
【0016】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、平坦化膜は導電性を有する有機樹脂によって形成されている発光装置である。
【0017】
以上の構成を有する発光装置は、作製工程を簡略化できるため好ましい構成である。
【0018】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、平坦化膜の屈折率が1.6〜2.0である発光装置である。
【0019】
以上の構成を有する発光装置は、より多くの光を反射部材に導引することが可能となるため、好ましい構成である。
【0020】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、反射部材は、絶縁基板と導電性を有する反射電極との積層構造を有し、絶縁基板は凹凸を有しており、反射電極の凹凸は、絶縁基板の凹凸形状に対応している発光装置である。
【0021】
以上の構成を有する発光装置は、絶縁基板を加工することによって反射部材の凹凸を形成することができるため、簡便に凹凸の形成ができる。また、導電性を有する材料の使用量が少なくて済むことから、発光装置を軽量にすることができる。
【0022】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、反射部材は、絶縁基板と導電性を有する反射電極との積層構造を有し、絶縁基板は平坦であり、前記導電性を有する反射電極には凹凸が形成されている発光装置である。
【0023】
以上の構成を有する発光装置は、反射部材の凹凸形成の制御が容易である。
【0024】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、反射部材を構成する材料は、銀、アルミニウム、金、ニッケル、白金、錫、銅、マグネシウム、パラジウム、若しくはこれらの中からの少なくとも一つを含む化合物、合金又はステンレス鋼のいずれかである発光装置である。
【0025】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、反射部材の凹凸における粗さ曲線要素の平均高さRcは0.01μm以上100μm以下、好ましくは0.1μm以上100μm以下であり、反射部材の凹凸における隣り合う山頂間の距離は0.1μm以上100μm以下である発光装置である。
【0026】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する発光装置を用いた照明装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様では、発光面内の輝度変化が小さく且つ発光効率が良好な発光装置でありながら、コストの大幅な増加を伴わずに作製することが可能な発光装置または照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図2】本発明に適用可能なEL層の構成例を表す図。
【図3】本発明に適用可能なEL層の構成例を表す図。
【図4】本発明の一態様である発光装置の作製方法を表す図。
【図5】本発明の一態様である発光装置の作製方法を表す図。
【図6】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図7】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図8】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図9】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図10】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図11】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図12】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図13】本発明の一態様である発光モジュールを表す図。
【図14】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図15】本発明の一態様である発光装置及び照明装置を表す図。
【図16】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0030】
なお、説明に用いる図はわかりやすさを優先し、各要素における拡大、縮小率は一定ではない。そのため、図における各要素の厚さ、長さ、大きさの比率がそのまま本発明の一態様である発光装置の厚さ、長さ、大きさの比率を表すわけではないことに留意されたい。
【0031】
(実施形態1)
図1は本発明の一態様である発光装置の断面及び上面の模式図であり、図1(A)は図1(B)における(a)−(b)断面を拡大して示したものである。図1においては、凹凸を有する支持体100の凹凸面に接して反射電極102が形成され、またその反射電極102を覆って平坦化膜103が形成されることによって反射部材120が構成されている。反射電極102の表面は、支持体100の凹凸を反映して凹凸が形成されているが、反射部材120の表面は、当該反射電極102の凹凸を平坦化膜103が覆っていることにより、凹凸形状が緩和された状態となっている。
【0032】
反射部材120上には、第1の透明電極104、EL層105及び第2の透明電極106からなる発光素子121が形成されている。発光素子121は、凹凸が緩和された反射部材120上に形成されていることから、反射電極102表面に形成された凹凸に起因した(ショートや面内輝度異常などの)不良の発生を抑制することができる。
【0033】
平坦化膜103はその一部に反射電極102まで達する貫通孔122を有しており、貫通孔122を介して第1の透明電極104と反射電極102が電気的に接続している。なお、本明細書中において、電気的に接続とは、第1の透明電極104と反射電極102とが直接電気的に接続されることの他、間接的に電気的に接続されることも含むこととする。例えば、反射電極102と第1の透明電極104との間に第1の透明電極104より大きな導電率を有する物質が存在した場合は、もちろん電気的に接続していることとなる。また、反射電極102の表面に極薄い絶縁性の酸化膜などが形成されていたり、第1の透明電極104よりも導電率が小さい物質が存在していたりしても、膜厚などの関係において実質的にその存在が無視できる程度であれば電気的に接続されているものとする。
【0034】
反射電極102は、厚み、材料などの選択によりその電気抵抗が、第1の透明電極104の電気抵抗より小さくなるように形成する。また、反射電極102は可視光の反射率が高い材料を用いて形成する。
【0035】
以上のような構成を有する発光装置は、発光素子121において、反射部材120方向に放出された光が、反射部材120における凹凸部において反射することによってその角度が変化する。これにより、反射面が平坦であった場合には、発光素子121内部で反射を繰り返し、減衰してしまうはずであった光の一部を、発光装置外部に取り出すことができるようになる。この結果として、光の取り出し効率が向上し、発光素子の外部量子効率を向上させることができ、発光効率の良好な発光装置を提供することができるようになる。
【0036】
また、反射電極102と第1の透明電極104が電気的に接続しており、前記反射電極102の電気抵抗が第1の透明電極104の電気抵抗より小さい構成を有することによって、反射電極102を第1の透明電極104の補助配線として用いることができる。これにより、第1の透明電極104の電気抵抗が大きいことに起因する、電圧降下により発光素子121面内における輝度むらの発生を抑制することができる。反射電極102の電気抵抗は、電圧降下抑制効果の観点から、第1の透明電極104の電気抵抗の10分の1以下であることがより好ましい。
【0037】
以上のような構成を有する反射部材120及び発光素子121を封止部材(図示せず)により、外的雰囲気から遮断し、発光装置を作製することができる。発光装置は他に、コンバータなどが搭載した集積回路や外部入力端子などが設けられていても良い。102aは外部入力端子であり、図1(B)は反射電極102を形成する際、同時に外部入力端子102aを形成した例である。
【0038】
ここで、反射部材120について詳しく説明する。反射部材120は支持体100、反射電極102及び平坦化膜103から構成されている。反射電極102表面には凹凸構造が設けられ、反射した光の角度が変化する構成となっている。凹凸の大きさは、凹凸構造表面における粗さ曲線要素の平均高さRcが0.01μm以上1000μm以下であり、隣り合う山頂間の距離が0.1μm以上1000μm以下であれば良く、光の散乱が効率よく行われるには凹凸構造表面における粗さ曲線要素の平均高さRcが0.1μm以上100μm以下であり、隣り合う山頂間の距離が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0039】
凹凸のパターンとしては、半球状であっても、多角錐状であっても良く、また凹凸の底面形状は規則的であっても不規則であってもよい。底面形状が規則的である場合は、その形状は円であっても多角形であってもかまわないが、平面充填可能な三角形や四角形、六角形が好ましく、より好ましい形状は正六角形である。凹凸パターンを規則的に形成する場合には、底面形状が六角形であり、且つ垂直方向の断面形状が半球状であるパターンがさらに好ましい構成である。なお、凹凸構造がランダムな形状である場合は、光の干渉などの影響を受けにくく均一な光を得やすいという観点から、好ましい構成である。
【0040】
支持体100としては、発光素子121を保持する役割を担うことができるものであればどのようなものであってもかまわない。例えば、ガラス基板、石英基板、有機樹脂からなる基板やフィルムの他、セラミック基板、金属基板なども用いることができる。有機樹脂としては、例えばアクリル樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。支持体100は、他に保護膜や補強のための部材や、表面の絶縁性を確保するための部材(金属基板など導電性を有する基材を用いる場合)が設けられた構造体であっても良い。
【0041】
図1で説明した構成においては、支持体100の表面に凹凸構造が設けられている。凹凸構造を形成するには、エッチング加工やブラスト加工などを用いれば良い。支持体100の材料が有機樹脂である場合には、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷法、ディスペンサ法、インクジェット法などの液滴吐出法、ディッピング法、インプリント法、やその他公知の方法を適宜用いることができる。
【0042】
反射電極102は、可視光における反射率が高く且つある程度以上の導電率を有する材料で形成すれば良い。反射電極102には、第1の透明電極の電気抵抗との比較において、当該電気抵抗より小さい電気抵抗を有せしめることができれば補助電極としての役割を担うことができる。電気抵抗は抵抗率と断面積によって決定するため、材料自体の導電率や抵抗率に関しては大きな縛りはない。
【0043】
反射電極102を構成することができる材料の例としては、銀、アルミニウム、金、ニッケル、白金、錫、銅、マグネシウム、パラジウム、若しくはこれらの中からの少なくとも一つを含む化合物や合金又はステンレス鋼などが挙げられる。
【0044】
図1の構成においては、凹凸を有する支持体100上に反射電極102を構成する材料を成膜することによって、支持体100に形成された凹凸形状を反映した凹凸構造を表面に有する反射電極102を形成することができる。反射電極102を形成する方法については、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの蒸着法の他、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、グラビアコータやブレードコータなどのコータ法、スクリーン印刷などの印刷法、無電解めっき法、電解めっき法など公知の方法を用いれば良い。
【0045】
別な構成として、図11のように、凹凸構造を有さない支持体100を用い、反射電極102cを形成した後、その表面を加工することによって凹凸構造を形成しても良い。凹凸構造の形成は、エッチング加工やブラスト加工など公知の表面加工技術を用いれば良い。
【0046】
また、図12のように支持体100としてステンレスに代表される金属基板など反射性が高く、且つ導電性を有する基板を用いた場合、支持体100aに支持体100と反射電極102の両方の機能を担わせても良い。この場合、発光装置又は照明装置の表面も導電性となるため、適宜絶縁性の保護膜100bを設けても良い。
【0047】
平坦化膜103は、反射電極102表面の凹凸を平坦化し、ショートやリークなど発光素子121への悪影響を緩和するために設けられる。平坦化膜103は、凹凸構造における谷底と山頂の高さの差が最も大きい部分が少なくとも覆われる程度の厚さを有しておれば良いが、当該部分を検出することが困難である場合は、反射部材の凹凸における粗さ曲線要素の平均高さRcの2倍以上の膜厚があれば良い。
【0048】
平坦化膜103として用いることが可能な材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)などが挙げられる。また、第1の透明電極として、ITOなど屈折率の高い透明導電材料を用いた場合は、より多くの光を反射電極102に導引するため、屈折率の高い材料を用いることは有効である。高屈折率の樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)などの他、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、臭素化芳香族樹脂などの臭素又は硫黄が含まれる樹脂や、酸化チタンや酸化ジルコニアなどの微小粒を分散させた樹脂などが挙げられる。当該高い屈折率を有する樹脂の目安は、屈折率1.6〜2.0の樹脂材料である。
【0049】
平坦化膜103はスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、グラビアコータやブレードコータなどのコータ法、スクリーン印刷などの印刷法などにより形成すれば良い。
【0050】
平坦化膜103には、反射電極102に達する貫通孔122が設けられている。貫通孔122は反射電極102上全面に平坦化膜の材料を形成した後、貫通孔122となる部分のみ除去する方法で形成しても良いし、シャドウマスクを用いたり、印刷法を用いたりすることではじめから当該部分に材料層が形成されないようにして形成しても良い。
【0051】
図1においては、貫通孔122をスリット状に設ける構成を示した。図1のように、平坦化膜103は貫通孔122によって分断され、島状に複数分割されていても良い。
【0052】
図6には貫通孔122を点状に設ける構成を示した。本実施の形態における発光装置又は照明装置は、発光領域全面に形成された反射電極102を補助電極として、電圧の補完を貫通孔122によって行うことから、貫通孔122が散在する構成であっても有効に発光領域の輝度むらを抑制することができる。これにより、有効発光面積を増やすことができ、消費電力の低減につながる。
【0053】
なお、貫通孔122の形状は上記に限られることは無く、貫通孔122の形状、大きさ、設置間隔などは、第1の透明電極104の電圧降下に起因する発光素子の発光輝度のばらつきを考慮して、適宜許容される発光品質となるように決定すれば良い。
【0054】
また、別の構成として、図10のように平坦化膜103aを導電性高分子で形成しても同様に第1の透明電極104の電圧降下の影響を低減し、発光むらの発生を抑制することができる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体など、π電子共役系導電性高分子のうち、透明性が高い物を選択し、用いることができる。
【0055】
支持体100上には、透明導電膜よりなる第1の透明電極104が設けられている。透明導電膜としては、酸化インジウム(In)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO:ITOとも言う)、酸化インジウム−酸化亜鉛(In−ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)やガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いることができる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を充分な透光性を有する程度に薄く形成することによって透明導電膜とし、第1の透明電極104として用いることもできる。これらの材料は、仕事関数が大きい(具体的には4.0eV以上)ので、第1の透明電極104が陽極である場合に用いることが好ましい。
【0056】
なお、EL層105の第1の透明電極104と接する面に後述の複合材料を用いることによって、仕事関数の大小にかかわらず、電極材料を選択することができるようになる。
【0057】
第1の透明電極104が陰極である場合には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)材料、具体的には元素周期表の1族または2族に属する金属、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属およびこれらを含む合金(MgAg、AlLiなど)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、アルミニウム(Al)およびその合金等を用いることができる。これら材料も、充分な透光性を有する程度に薄く形成することによって透明導電膜とし、第1の透明電極104として用いることが可能となる。
【0058】
なお、EL層105の第1の透明電極と接する面に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物、又は電子輸送性物質に、当該電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質を添加した材料(以下ドナー準位を有する材料と称する)を用いることによって、仕事関数の大小にかかわらず電極材料を選択することができるようになる。すなわち、ITOに代表される酸化物透明導電膜を陰極の材料として用いることができる。また、複合材料からなる層とドナー準位を有する材料からなる層との積層体からなる電荷発生層を用いても同様の効果を得ることができる(但し、この場合は複合材料からなる層が第1の透明電極104と接することとする)。
【0059】
また、透光性を有する導電性高分子も第1の透明電極104として用いることが可能である。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体など、π電子共役系導電性高分子を用いることができる。
【0060】
第1の透明電極104はこれら用いられる材料に応じて、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(molecular beam epitaxy)法、CVD法(MOCVD(metal organic CVD)法やALD(atomic layer deposition)法)やゾル−ゲル法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、コータ法、印刷法など公知の方法で作製することができる。
【0061】
図1(B)において、第1の透明電極104は連続したひとつの島状に形成されている例を示したが、これは、電圧降下の抑制や発光面積の観点で好ましい一例である。第1の透明電極104は他の目的や利便性によって、複数の島状に分割して形成されていても良い。
【0062】
EL層105は第1の透明電極104、及び貫通孔122を覆って形成される。EL層105の積層構造については特に限定されず、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。なお、このような積層構造を発光ユニットとも称することもある。
【0063】
本実施形態では、EL層105は、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705を有する構成について説明する(図2参照)。各層の構成及び材料について以下に具体的に示す。
【0064】
正孔注入層701は、陽極に接して設けられ、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層701を形成することができる。
【0065】
また、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い物質に当該正孔輸送性の高い物質に対してアクセプター性を示す物質を含有させた複合材料を用いることもできる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を陽極に接して形成することにより、仕事関数に依らず陽極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、陽極を構成する材料として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0066】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0067】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0068】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0069】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0070】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0071】
複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0072】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0073】
なお、このような複合材料からなる層は、その膜厚が厚くても薄くても駆動電圧の変化がほとんど無いことから、発光層から発する光の取り出し効率や指向性などを制御するための光学設計を行う際に非常に好適に用いることができる。
【0074】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0075】
また、正孔輸送層702として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0076】
発光層703は、発光性の物質を含む層である。発光層703の種類としては、発光中心物質を主成分とする単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光中心材料を分散するいわゆるホスト−ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0077】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光又は燐光を発する材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450nm以上の4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発光性材料としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、の他、発光波長が470nm〜500nmの範囲にある、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、発光波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のような材料又は他の公知の材料の中から、各々の発光素子における発光色を考慮し選択すれば良い。
【0078】
ホスト材料を用いる場合は、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB(またはα−NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散する発光中心物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大きなエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべき輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0079】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層704として用いても構わない。
【0080】
また、電子輸送層704は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0081】
また、電子輸送層704と発光層703との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層703を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0082】
電子注入層705としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。または、電子輸送性を有する物質からなる層中に当該電子輸送性を有する物質に対して電子供与性を示す物質(代表的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物)を含有させた材料(ドナー準位を有する材料)、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させた材料等を電子注入層705として用いることができる。なお、電子注入層705として、ドナー準位を有する材料を用いた構成は、第2の透明電極106からの電子注入が効率良く行われるため、より好ましい構成である。
【0083】
第2の透明電極106を形成する物質としては、第2の透明電極106を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることができる。しかしながら、陰極と電子輸送層704との間に、電子注入層705を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を陰極として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法や真空蒸着法等を用いて成膜することが可能である。なお、本実施形態における発光装置は第2の透明電極106方向より光を取り出すため、第2の透明電極106も透光性を有することが必要である。そのため、以上で述べた材料のうち、透光性が小さい材料においては透光性を有する程度の膜厚で使用する。また、第2の透明電極106はそのような膜厚の材料層とITO等の透光性を有する導電材料との積層体であってもよい。
【0084】
また、第2の透明電極106を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0085】
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。透光性の小さいこれらの金属及び元素においては、透光性を有する程度の膜厚で使用する。第2の透明電極106はそのような膜厚の材料層とITO等の透光性を有する導電材料との積層体であってもよい。
【0086】
なお、上述の複合材料を陽極に接して設けることによって、仕事関数の高低にかかわらず電極の材料を選択することができる。
【0087】
第2の透明電極106は図1のように発光面全面に形成されていてもよいが、図7及び図8のように貫通孔122と重なる部分において非形成部106aを有する構造であっても良い。このような構成を有する発光装置及び照明装置は、第1の透明電極104と反射電極102とが接触する貫通孔122において生じた段差の側面部をEL層105が覆い切れなかったとしても、第2の透明電極106と第1の透明電極104との接触が起きないため、ショート不良の発生を抑制することができ、信頼性の高い発光装置及び照明装置とすることが可能となる。このように非形成部106aを有する第2の透明電極106を形成するには、蒸着法、スパッタ法、CVD法など、基板への堆積によって膜を形成する形成法の場合にはシャドウマスクを用いて、印刷法が利用可能な材料の場合は印刷法を用いて、非形成部106a以外の場所へ選択的に成膜することによって形成することができる。また、全面に第2の透明電極106を形成した後に、非形成部106aに対応する部分をフォトリソグラフィ法を用いたエッチングを行うことにより開口すれば良い。
【0088】
なお、図9(a)および図9(b)のように、貫通孔122に対応する部分に絶縁膜111を形成する構成であっても同様にショート不良の発生を抑制することができ、信頼性の高い発光装置及び照明装置を作製することが可能となる。絶縁膜111は有機絶縁膜や無機絶縁膜など、どのようなものであってもかまわない。公知の材料を公知の方法によって形成すれば良い。
【0089】
また、図14のように、第2の透明電極106上に補助配線112を形成しても良い。この場合、補助配線112は導電率の高い材料で形成することが好ましい。また、図14のように第2の透明電極106が非形成部106aを有し、島状に分断されている場合には、少なくとも一つの島には一つの補助配線112が接続されていることが好ましい。図14では非形成部106aを有する第2の透明電極106に補助配線112を形成する例を示したが、もちろん、図1や図6のように第2の透明電極106が発光領域全面に形成されている構成であっても、図8のように非形成部106aが散在する構成であっても同様に補助配線112を形成することができる。
【0090】
また、図16のように、第2の透明電極106の下に補助配線112aを形成しても良い。補助配線112aの形成については図14における補助配線112に順ずる。なお、補助配線112aとEL層105は接していてもかまわないが、補助配線112aと反射電極102ではさまれた部分の発光は取り出しにくいことから、補助配線112aとEL層105との間には絶縁膜112bを設けることが好ましい。絶縁膜112bを設けることによって、取り出しにくい発光を起こさないようにすることができ、発光効率を向上させることができる。
【0091】
補助配線112及び補助配線112aの形状及び設置間隔については、第2の透明電極106の電気抵抗により、所望の発光品質となるように、適宜設定すれば良い。
【0092】
なお、上述のEL層105は図3のように第1の透明電極104と第2の透明電極106との間に発光ユニットが複数積層されている構造であっても良い。この場合、積層された第1の発光ユニット800と第2の発光ユニット801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、発光ユニット間におけるエネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方の発光ユニットで燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。図3においては、二つの発光ユニット(第1の発光ユニット800及び第2の発光ユニット801)が積層されている構成を例示したが、3層以上の発光ユニットを積層することも可能である。この際も各発光ユニットの間には電荷発生層が設けられていることが好ましい。
【0093】
各発光ユニットは、図2におけるEL層105と同様の構成をそれぞれ有しており、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、図2の説明の際にEL層の構成として説明した各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。なお、これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。
【0094】
これらの層の詳しい説明は上述したとおりであるので繰り返しとなる説明を省略する。図2におけるEL層105の説明を参照されたい。
【0095】
特に図3の構成は白色の発光を得る場合に好ましく照明用途として特に有効である。図1及び図2の構成と組み合わせることによって高品質な発光装置、照明装置を得ることができる。
【0096】
続いて、上述してきたような発光装置、照明装置を作製する方法について図4及び図5を参照しながら説明する。なお、材料、構成及び詳しい作製方法などに関しては、上述したので繰り返しとなる記載は省略する。
【0097】
まず、凹凸構造部101が形成された支持体100を用意する(図4(A))。 続いて、支持体100上に凹凸構造部101を覆って反射電極102を形成する(図4(B))。図4では反射電極102と同時に外部入力端子102aを形成する例を示した。また、反射電極102と連続して形成され、凹凸構造部101と支持体100周辺部との間に位置する部分も外部入力端子102bとして用いることができる。 この後、反射電極102上に平坦化膜103を形成する(図4(C))。平坦化膜103には反射電極102が露出するように貫通孔122が設けられる。貫通孔122の形状に関しては、図4(C)のようにスリット状であり、且つ当該スリットによって平坦化膜103自身が複数の島状に分断されている形状でも良いし、格子状でも、点状でも、渦巻き状でもどのような形状であってもかまわない。その形成幅、形成間隔については、この後に形成する第1の透明電極104の電気抵抗によって異なってくるため、適宜設定すれば良い。
【0098】
以上の工程により、反射部材120を形成することができる。
【0099】
反射部材120上には第1の透明電極104を形成する(図5(D))。第1の透明電極104は貫通孔122を介して反射電極102に電気的に若しくは直接接続する。これにより、第1の透明電極104の電気抵抗の大きさを補完し、発光面における輝度むらが低減された発光装置又は照明装置を提供できるようになる。
【0100】
続いてEL層105を形成する(図5(E))。EL層105は公知のどのような構成を有するものであっても良い。
【0101】
この後、第2の透明電極106を形成し、発光素子121が完成する(図5(F))。第2の透明電極106は外部入力端子102aが形成されている部分まで伸長して形成することによって、外部信号との接続を図ることができる。
【0102】
図13には、封止構造及びモジュール化の一例を示した。反射部材120上に形成された発光素子121は、反射部材120と透明の封止部材108とをシール材107によって張り合わせることによって、外部雰囲気から遮断される。また、乾燥材113をシール材の内側に設けることによって、外部雰囲気から進入する水の影響を低減させることができ、信頼性の向上を図ることができる。また、シール材107(乾燥材113)、反射部材120、封止部材108で囲まれた空間109には、充填材を封入しても良い。当該充填材の選択によって、取り出し効率の向上や封止対策の強化を図ることもできる。
【0103】
図13(B)ではコンバータ110を反射部材120上に設ける例を示した。コンバータ110はこのようにモジュール化しても良いし、外部装置に搭載しても良い。このようにモジュール化することによって、外部装置を簡略化又は他の発光装置若しくは照明装置と共通化することができる。これは、本発光装置若しくは照明装置の普及という観点から好ましい構成である。
【0104】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様により形成された発光装置を用いた照明装置について図15(A)及び図15(B)を用いて説明する。
【0105】
図15(A)は照明装置(卓上照明装置3000)であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源スイッチ7506を含む。なお、照明装置は、本発明の一態様により形成される発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明装置には、図15(A)に示す卓上照明装置の他、天井固定型の照明装置(天井固定型照明装置)または壁掛け型の照明装置(壁掛け型照明装置)なども含まれる。
【0106】
なお、本発明の一態様を適用して形成される発光装置は、補助電極の段差由来の短絡が抑制されている上、電力損失を伴わずに面内輝度が均一化された、量産化の設備投資費が小さい発光装置であるため、照明装置(卓上照明装置3000)の照明部7501に用いることで、信頼性が高く、消費電力が小さく、高品質であり且つ安価な照明装置(卓上照明装置)を提供することができる。
【0107】
図15(B)は、本発明の一態様を適用して形成される発光装置を、室内照明装置として用いた例である。本発明の一態様の発光装置は補助電極を用いていることから、大面積化に有利であるため、天井固定型照明装置3001に示すように大面積の照明装置として用いることができる。その他、壁掛け型照明装置3002として用いることもできる。なお、本発明の一態様を適用して形成される発光装置または照明装置は、発光面内の輝度変化が小さく且つ発光効率が良好でありながら、コストの大幅な増加を伴わずに作製することが可能な発光装置または照明装置である。
【符号の説明】
【0108】
100 支持体
100a 支持体
100b 保護膜
101 凹凸構造部
102 反射電極
102a 外部入力端子
102b 外部入力端子
102c 反射電極
103 平坦化膜
103a 平坦化膜
104 第1の透明電極
105 EL層
106 第2の透明電極
106a 非形成部
107 シール材
108 封止部材
109 空間
110 コンバータ
111 絶縁膜
112 補助配線
112a 補助配線
112b 絶縁膜
113 乾燥材
120 反射部材
121 発光素子
122 貫通孔
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
800 第1の発光ユニット
801 第2の発光ユニット
803 電荷発生層
3000 卓上照明装置
3001 天井固定型照明装置
3002 壁掛け型照明装置
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射部材と、
透光性を有する封止部材と、
前記反射部材と前記封止部材との間に形成された発光素子とを有し、
前記発光素子は第1の透明電極と、第2の透明電極と、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との間に形成されたEL層とからなり、
前記反射部材は、凹凸部及び前記第1の透明電極の電気抵抗より小さい電気抵抗を有する反射電極と、前記反射電極を覆って平坦化する平坦化膜とを備え、
前記反射電極と前記第1の透明電極とが電気的に接続している発光装置。
【請求項2】
請求項1において、前記反射電極と前記第1の透明電極とは前記平坦化膜に設けられた貫通孔を介して電気的に接続している発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の透明電極と前記EL層との間には、前記貫通孔に対応して絶縁層が形成されている発光装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記第2の透明電極は、前記貫通孔に対応する部分に開口部を有する発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記平坦化膜は導電性を有する有機樹脂によって形成されている発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記平坦化膜の屈折率が1.6〜2.0である発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記反射部材は、絶縁基板と導電性を有する反射電極との積層構造を有し、
前記絶縁基板は凹凸を有しており、
前記反射電極の凹凸形状は、前記絶縁基板の凹凸形状に対応して形成されている発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記反射部材は、絶縁基板と、導電性を有する反射電極との積層構造を有し、
前記絶縁基板は平坦であり、
前記反射電極には凹凸が形成されている発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記反射電極を構成する材料は銀、アルミニウム、金、ニッケル、白金、錫、銅、マグネシウム、パラジウム、若しくはこれらの中からの少なくとも一つを含む化合物、合金又はステンレス鋼である発光装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記反射部材の凹凸における粗さ曲線要素の平均高さRcは0.01μm以上100μm以下であり、
前記反射部材の凹凸における隣り合う山頂間の距離は0.1μm以上100μm以下である発光装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置を用いた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−146641(P2012−146641A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276604(P2011−276604)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】