説明

発光装置及び電子機器

【課題】明るく色温度が高い白色表示が可能な発光装置及びその発光装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】ハーフミラー25を、膜厚10nmのアルミニウム薄膜で構成した。従って、ハーフミラー25は、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーとして機能する。この結果、ハーフミラー25を透過する光は、青色の光の成分が緑色の光の成分に比べて多く含むことにより、赤、緑及び青用画素DR,DG,DBからの各光によって生成される白色の光を、色温度の高い色にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性有機材料を発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」という)素子を備えた画素を有した有機エレクトロルミネッセンス発光装置の開発が進められている。一般に、有機EL素子は、2つの電極間に少なくとも発光層を含んだ機能層を挟持した構成をしており、発光層から発せられた光をそのまま表示光として利用するようになっている。
【0003】
しかし、有機EL素子からそのまま取り出された光は、スペクトルがブロードであり、発光輝度も低いため、発光装置に適用した場合、十分な色再現性が得られないという問題があった。そこで、各画素に半透明反射層(ハーフミラー層)を設け、発光層から発せられた光を、一方の電極と半透明反射層(ハーフミラー層)との間で往復するように反射させて、その光学的距離に対応した共振波長の光のみを増幅させて外部に取り出すようにした共振器構造を備えた発光装置が提案されている。このような共振器構造を備えた発光装置は、光学的距離を適宜変更することで、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応した波長の光を取り出すことも可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2797883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半透明反射層(ハーフミラー層)とし、酸化インジウム亜鉛(IZO)を使用した共振器構造を備えた発光装置がある。酸化インジウム亜鉛(IZO)は、透明導電材料であることから、画素電極に対向する対向電極としての機能を兼ねることができる。しかしながら、酸化インジウム亜鉛(IZO)は、波長が長くなる(振動数が低くなる)につれて光透過率が高くなるという光透過特性を有する。従って、白色光(特に明るい白色の光)を表示させると、色温度が低い白色光(赤っぽい白色光)となり、色温度が高い白色光(青っぽい白色光)を再現することができないという問題があった。
【0005】
本発明では、このような事情に鑑みてなされたものであって、明るく色温度が高い白色表示が可能な発光装置及びその発光装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、基板上に、光反射層、画素電極、少なくとも発光層を含む機能層、光半透過反射層が積層されるとともに、前記光反射層と前記光半透過反射層との間に前記機能層が挟持され、前記光反射層と前記光半透過反射層との間で前記発光層から発光した光を共振させる構成を有する発光装置であって、前記光半透過反射層が、短波長側から長波長側へ光透過率が低くなる材料で構成されている。
【0007】
また、前記光反射層と前記光半透過反射層との間の各層の光学的距離に応じて、青色の光に対応した共振波長の光を出射する青用画素、緑色の光に対応した共振波長の光を出射する緑用画素、赤色の光に対応した共振波長の光を出射する赤用画素が形成され、前記光半透過反射層は、前記青用画素から出射される光に対する透過率が前記緑用画素から出射される光に対する透過率に比べて高い材料で構成されている。
【0008】
これによれば、光半透過反射層を透過する光は、青色の光の成分が緑色の光の成分に比
べて多く含む。つまり、光半透過反射層を透過する光は、より波長が短い、即ち振動数が高い成分を有している。従って、赤、緑及び青用画素からの各光によって生成される白色の光は、色温度の高い色(青っぽい白色)になる。この結果、明るく色温度の高い白色表示が可能な発光装置を実現することができる。
【0009】
この発光装置において、前記青用画素から出射される光に対する透過率とは、波長が450nmの光に対する透過率であり、前記緑用画素から出射される光に対する透過率とは、波長が550nmの光に対する透過率であってもよい。
【0010】
これによれば、光半透過反射層を透過する光は、波長が450nmの光の成分が、波長が550nmの光の成分に比べて多く含ませることができる。この結果、明るく色温度の高い白色表示が可能な発光装置を実現することができる。
【0011】
この発光装置において、前記光半透過反射層は、金属薄膜であってもよい。
これによれば、光半透過反射層を画素電極に対向した電極として使用することができる。従って、発光層から発光(内部発光)した光(表示光)を基板とは反対側から取り出す、所謂トップエミッション型の発光装置に対して、明るく色温度の高い白色表示が可能にすることができる。
【0012】
この発光装置において、前記金属薄膜は、アルミニウムで構成されてもよい。
これによれば、光半透過反射層を、例えばスパッタ法といった公知の方法によって容易に形成することができる。
【0013】
この発光装置において、前記金属薄膜は、マグネシウムと銀の化合物であってもよい。
これによれば、光半透過反射層を、例えばスパッタ法といった公知の方法によって容易に形成することができる。
【0014】
この発光装置において、前記光半透過反射層は、前記画素電極に対向し前記発光層にキャリアを供給する対向電極であってもよい。
これによれば、光半透過反射層は、光反射層とで共振器構造を形成するとともに発光層にキャリアを供給するために電極としての機能を兼ねるとなる。従って、各画素の構成部材数を少なくすることができる。
【0015】
この発光装置において、前記赤用画素に相対向する位置に赤色変換層、前記緑用画素に相対向する位置に緑色変換層及び前記青用画素に相対向する位置に青色変換層を備えたカラーフィルタをさらに有していてもよい。
【0016】
これによれば、カラーフィルタが設けられているので、青、緑及び赤用画素の視角特性はカラーフィルタで補正される。この結果、より色再現性の良好な発光装置を製造することができる。
【0017】
この発光装置において、前記光反射層と前記画素電極との間には、前記反射層全体を覆う保護層が形成されていてもよい。
これによれば、光反射層は、一般的に、アルミニウム(Al)や銀(Ag)で形成されている。従って、画素電極を形成する際に使用される公知の現像液や剥離液の溶剤によって光反射層が劣化してしまうが、本発明のように、光反射層上には保護層が形成されているため、劣化しない。この結果、画素電極は、その光反射率が高い状態となるので、光取り出し効率の高い、即ち、高輝度の発光装置を実現できる。
【0018】
この発光装置において、前記保護層は、前記画素電極より屈折率が低くてもよい。
これによれば、各画素の光共振波長は、光反射層と光半透過反射層との間の光学的距離、つまり、光反射層と光半透過反射層との間に配置される画素電極、機能層、保護層の光学的距離の総和に対応し、また、各層の光学的距離は、その膜厚と屈折率との積によって求められることが知られている。本発明では、保護層の屈折率は画素電極より低いので、光共振波長は保護層の影響を受けない。保護層の屈折率が大きい場合、光共振器の観点から画素電極の膜厚を非常に薄く形成する必要が生じるが、これを抑制することができるので、画素電極の膜厚を製造しやすい厚みで形成することができる。
【0019】
本発明の電子機器は、上記記載の発光装置を備えている。
これによれば、明るく色温度の高い白色を表示することができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の発光装置としての有機EL装置の概略構成を示す断面図である。
【0021】
本実施形態の有機EL装置10は、発光層から発光(内部発光)した光(表示光)を基板とは反対側から取り出す、所謂トップエミッション型の有機EL装置である。
図1に示すように、有機EL装置10は、光透過性を有する基板(透明基板)11を備えるとともに、該基板11上には、青用画素形成領域ZB、緑用画素形成領域ZG及び赤用画素形成領域ZRがマトリクス状に配置されている。各青、緑及び赤用画素形成領域ZB,ZG,ZRは、図1においてX矢印方向に沿って、青用画素形成領域ZB→緑用画素形成領域ZG→赤用画素形成領域ZR→…の順に繰り返して配置されるとともに、Z矢印方向(紙面奥側方向)に沿っては同色の画素形成領域ZB,ZG,ZRが配置されている。
【0022】
また、基板11上には、各同色の画素形成領域ZB,ZG,ZRに沿ってストライプ状に、光反射性の高い材料等で構成された複数の光反射層12が延設されている。本実施形態の光反射層12は、アルミニウム(Al)で構成されている。
【0023】
各光反射層12上には、該光反射層12を被覆するように保護層13が形成されている。この保護層13は、光透過性に優れ、かつ電気絶縁性を有した材料で構成されている。本実施形態では、保護層13は、後記する青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rより屈折率が低い材料で構成されている。本実施形態では、窒化珪素(SiN)(屈折率1.8)で構成されている。
【0024】
各青、緑及び赤用画素形成領域ZB,ZG,ZR内の保護層13上には、光透過性を有した導電性材料で構成された画素電極としての青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rが区画形成されている。つまり、複数の青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rは、保護層13を介して各光反射層12と相対向するようにマトリクス状に配置されている。本実施形態の画素電極15B,15G,15Rは、インジウム−錫酸化物(ITO)で構成されている。
【0025】
また、基板11上には、各青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rを覆うように機能層20が形成されている。本実施形態の機能層20は、正孔輸送層21、発光層22及び電子輸送層23を備え、基板11側から正孔輸送層21、発光層22及び電子輸送層23の順に積層されている。
【0026】
正孔輸送層21は、青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rから発光層22へ
の電荷の注入効率を高めるとともに、発光層22内を移動する電子をブロッキングする機能を有し、発光層22内でのキャリアとしての電子と正孔との再結合確率を高める作用を奏する。この正孔輸送層21には、青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rからの注入障壁が低く、正孔移動度の高い材料が好適に用いられる。このような材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体など、またはそれらのドーピング体などが用いられる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオキシオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)[商品名;バイトロン−p(Bytron-p):バイエル社製]の分散液、即ち、分散媒としてポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液などを用いられる。また、本実施形態では、正孔輸送層21は、各青、緑及び赤用画素電極15B,15G,15Rに対して均一な膜厚である。
【0027】
発光層22は、蛍光或いは燐光を発光することが可能な公知の有機高分子発光材料で構成されている。このような材料としては、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオレン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系などを好適に用いることができる。また、これらの各発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。また、本実施形態では、発光層22は、正孔輸送層21上の全面に渡って均一な膜厚である。
【0028】
電子輸送層23は、発光層22への電子注入効率を高めるとともに、正孔ブロッキング機能を有する。この電子輸送層23は、オキサジアゾール誘導体やAlq3などの有機材料で構成されている。本実施形態では、電子輸送層23は、発光層22上の全面に渡って均一な膜厚である。
【0029】
機能層20上(電子輸送層23上)の全面には、光半透過反射層としてのハーフミラー25が形成されている。ハーフミラー25は、本実施形態では、金属薄膜であるアルミニウム(Al)膜(膜厚:10nm)で構成されている。アルミニウム(Al)膜で構成されたハーフミラー25は、発光層22から発せられた光の一部を透過して、残りの光の一部または全部を光反射層12側に反射する半透明反射層として機能する。また、ハーフミラー25は、図示しない外部電源端子に接続され、共通電位が供給されるようになっている。そして、ハーフミラー25は、電子輸送層23を介して発光層22にキャリアとしての電子を供給する電極として機能する。
【0030】
尚、青用画素電極15B、ハーフミラー25、及び各青用画素電極15Bとハーフミラー25とに挟持された機能層20とで青用有機EL素子28Bが構成される。そして、青用画素形成領域ZBには青用有機EL素子28Bを含む青用画素DBが形成される。また、緑用画素電極15G、ハーフミラー25、及び緑用画素電極15Gとハーフミラー25とに挟持された機能層20とで緑用有機EL素子28Gが構成される。そして、緑用画素形成領域ZGには緑用有機EL素子28Gを含む緑用画素DGが形成される。さらに、赤用画素電極15R、ハーフミラー25、及び各赤用画素電極15Rとハーフミラー25とに挟持された機能層20とで赤用有機EL素子28Rが構成される。そして、赤用画素形成領域ZRには赤用有機EL素子28Rを含む赤用画素DRが形成される。即ち、本実施形態における画素DB,DG,DRは各色用(青用・緑用・赤用)に、画素電極15B,15G,15R、ハーフミラー25、機能層20とで構成された有機EL素子28B,28G,28Rを含むとともに、ハーフミラー25と対向して配置された光反射層12から
構成されてなるものであり、且つ、少なくともこの構成を有する領域である。
【0031】
そして、各画素DB,DG,DRは、各発光層22から発せられた光を各画素電極15B,15G,15Rの直下に配置された光反射層12とハーフミラー25との間で往復するように反射させて共振させる光共振器構造が形成される。
【0032】
図2、図3及び図4は、それぞれ、青用画素DB、緑用画素DG及び赤用画素DRの拡大断面図である。図2に示すように、青用画素DBにおける光反射層12とハーフミラー25との間の距離をLBで示し、図3に示すように、緑用画素DGにおける光反射層12とハーフミラー25との間の距離をLGで示し、図4に示すように、赤用画素DRにおける光反射層12とハーフミラー25との間の距離をLRで示す。
【0033】
ところで、各画素DB,DG,DRから出射される光は、該画素DB,DG,DRに形成された光共振器構造の共振条件に従った共振波長の光となる。この共振波長は、光反射層12とハーフミラー25との間の光学的距離、つまり、光反射層12とハーフミラー25との間に配置される各層の光学的距離の総和に対応する。各層の光学的距離は、その膜厚と屈折率との積によって求められる。本実施形態では、各有機EL素子28B,28G,28Rは全て共通の材料で構成されているので、各層の屈折率は等しい。従って、各画素DB,DG,DRの光学的距離は、各層の膜厚の総和である各距離LB,LG,LRによって決定される。尚、共振波長は、光学的距離が長くなるのに伴って(本実施形態では、各距離LB,LG,LRが長くなるのに伴って)長くなる。
【0034】
そして、青用画素DBは、青用画素電極15Bの膜厚d1を調整することで、距離LBに対応した光学的距離を青系の色の光が生成される光学的距離に、緑用画素DGは、緑用画素電極15Gの膜厚d2を調整することで、距離LGに対応した光学的距離を緑系の色の光が生成される光学的距離に設定されている。また、赤用画素DRは、赤用画素電極15Rの膜厚d3を調整することで、距離LRに対応した光学的距離を赤系の色の光が生成される光学的距離に設定されている。因みに、本実施形態では、青用画素電極15Bの膜厚d1は20nmであり、緑用画素電極15Gの膜厚d2は65nmであり、赤用画素電極15Rの膜厚d3は95nmである。
【0035】
そして、図2に示すように、青用画素DBからはその光学的距離に対応した共振波長を有する青系の色の光HBが出射され、図3に示すように、緑用画素DGからはその光学的距離に対応した共振波長を有する緑系の色の光が出射され、図3に示すように、赤用画素DRからはその光学的距離に対応した共振波長を有する赤系の色の光が出射される。
【0036】
図1に示すように、ハーフミラー25上には、カラーフィルタ51が取り付けられている。カラーフィルタ51は、光透過性を有したカラーフィルタ基板52を備え、そのカラーフィルタ基板52には、各画素DB,DG,DRから出射される光HB,HG,HRを透過する青色、緑色及び赤色変換層53B,53G,53Rが設けられている。各色変換層53B,53G,53Rは、ブラックマトリクスBMによってマトリクス状に区画配置されている。そして、青色変換層53Bが青用画素DBに相対向する位置に、緑色変換層53Gが緑用画素DGに相対向する位置に、赤色変換層53Rが赤用画素DRに相対向する位置にそれぞれ配置されるように配置されている。
【0037】
図5は、各青色、緑色及び赤色変換層53B,53G,53Rの波長に対する光透過分光特性を示すグラフである。図5中、曲線55Bは青色変換層53Bの光透過率を示す曲線、曲線55Gは緑色変換層53Gの光透過率を示す曲線、曲線55Rは赤色変換層53Rの光透過率を示す曲線である。また、図5中、曲線Lbは、青用画素DBから出射される光HBの発光スペクトルであり、曲線Lgは、緑用画素DGから出射される光HGの発
光スペクトルであり、曲線Lrは、青用画素DBから出射される光HRの発光スペクトルである。
【0038】
図5に示すように、本実施形態では、各光HB,HG,HRの共振波長PB,PG,PRが、青色、緑色及び赤色変換層53B,53G,53Rの各光透過率特性における最大透過率を示す波長と一致するように、各距離LB,LG,LRが適宜調整されている。
【0039】
尚、基板11には、図示しない複数のデータ線や複数の走査線が形成され、これら各データ線と走査線との交差に対応した位置に各画素DB,DG,DRが形成される。また、各画素DB,DG,DRに対応した基板11上には各有機EL素子28B,28G,28Rの発光を制御する図示しないスイッチングトランジスタやドライビングトランジスタ等の駆動用TFTが形成されている。
【0040】
次に、前記のように構成された有機EL装置10の作用について図6に従って説明する。
図6において、曲線S1は、膜厚10nmのアルミニウム薄膜で構成したハーフミラー25における光の波長に対する光透過率の関係を示している。また、曲線Soは、比較例としての酸化インジウム亜鉛(IZO)で構成した薄膜における光の波長に対する光透過率の関係を示している。
【0041】
図6に示すように、膜厚10nmのアルミニウム薄膜で構成したハーフミラー25は、波長が長くなるのに伴って光透過率が徐々に低下する。そして、波長が450nmの光(青系の色の光)に対する透過率が、波長が550nmの光(緑系の色の光)に対する透過率に比べて高い光透過特性を有する。これに対して、比較例としての酸化インジウム亜鉛(IZO)で構成された薄膜では、波長が長くなるのに伴って光透過率が高くなる。そして、波長が450nmの光(青系の色の光)に対する透過率は、波長が550nmの光(緑系の色の光)に対する透過率に比べて低くなる光透過特性を有する。
【0042】
このように、アルミニウム薄膜で構成されたハーフミラー25では、白色光の色温度は7000Kであった。また、このとき、青用画素DBの電流輝度効率は1.8cd/Aであった。これに対して、酸化インジウム亜鉛(IZO)で構成された薄膜では、白色光の色温度は4100Kであった。このとき、青用画素DBの電流輝度効率は1.0cd/Aであった。この結果、明るく色温度が高い白色表示が可能な有機EL装置を実現できた。
【0043】
次に、有機EL装置10の製造方法について、特にその有機EL素子28B,28G,28Rの形成方法について図7〜図9に従って説明する。
まず、ガラス等で構成された光透過性を有する基板(透明基板)11を用意し、公知の方法によって、基板11上に図示しないデータ線、走査線、スイッチングトランジスタ及びドライビングトランジスタ等の駆動用TFTを形成する。そして、図7(a)に示すように、列状に配置形成された青、緑及び赤用画素形成領域ZB,ZG,ZR上にストライプ状の光反射層12を形成する。本実施形態では、基板11上の全面にアルミニウム(Al)をスパッタし、これをパターニングすることによって光反射層12を形成する。
【0044】
続いて、基板11上の全面に対して光反射層12上に渡って窒化珪素(SiN)をスパッタし、これをパターニングすることによって光反射層12上を被覆するように保護層13を形成する。本実施形態では、膜厚50nmの保護層13を形成する。
【0045】
次に、赤用画素電極形成領域SR上に、赤用画素電極15Rの膜厚d3と緑用画素電極15Gの膜厚d2との差分(=d3−d2=30nm)の膜厚を有する光透過性を有した導電性膜をフォトリソグラフィー法によって形成する。具体的には、図7(b)に示すよ
うに、各保護層13上にて膜厚30nmとなるようにインジウム−錫酸化物(ITO)からなる導電性膜61をスパッタ法にて形成する。その後、導電性膜61上の全面に公知のレジスト膜を塗布し、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像を順次施すことで赤用画素電極形成領域SR上の導電性膜61上にのみレジスト膜62を形成する。
【0046】
続いて、そのレジスト膜62を介して導電性膜61をエッチングし、さらに、レジスト膜62を剥離除去する。この結果、図7(c)に示すように、赤用画素電極形成領域SR上の保護層13上にのみ膜厚30nmの導電性膜61がパターニング形成される。以下、説明の便宜上、このとき、赤用画素電極形成領域SR上の保護層13上に形成された導電性膜61を第1電極層Q1といい、その膜厚T1は30nmとなる。
【0047】
次に、赤用画素電極形成領域SR上及び緑用画素電極形成領域SG上に、緑用画素電極15Gの膜厚d2と青用画素電極15Bの膜厚d1との差分(=d2−d1=45nm)の膜厚を有する光透過性を有した導電性膜をフォトリソグラフィー法にて形成する。具体的には、図7(d)に示すように、各保護層13上にて膜厚45nmとなるようにインジウム−錫酸化物(ITO)からなる導電性膜63をスパッタ法にて形成する。その後、導電性膜63上の全面に公知のレジスト膜を塗布し、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像を順次施すことで、赤用画素電極形成領域SR及び緑用画素電極形成領域SG上の導電性膜63上にレジスト膜64を形成する。
【0048】
続いて、そのレジスト膜64を介して導電性膜63をエッチングし、さらに、レジスト膜64を剥離除去する。この結果、図8(a)に示すように、赤用画素電極形成領域SR上の各保護層13上には、先に形成された第1電極層Q1上に膜厚45nmの導電性膜63がパターニング形成される。また、緑用画素電極形成領域SG上の各保護層13上には、膜厚45nmの導電性膜63がパターニング形成される。以下、説明の便宜上、このとき、赤及び緑用画素電極形成領域SR,SG上の各保護層13上に形成される導電性膜63を第2電極層Q2といい、その膜厚T2は45nmである。
【0049】
次に、赤、緑及び青用画素電極形成領域SR,SG,SBに、それぞれ、青用画素電極15Bの膜厚d1(20nm)の膜厚を有する光透過性を有した導電性膜をフォトリソグラフィー法にて形成する。具体的には、図8(b)に示すように、各保護層13上にて膜厚25nmとなるようにインジウム−錫酸化物(ITO)からなる導電性膜65をスパッタ法にて形成する。その後、導電性膜65上の全面に公知のレジスト膜を塗布し、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像を順次施すことで、各赤、緑及び青用画素電極形成領域SR,SG,SB上の導電性膜65上にレジスト膜66を形成する。
【0050】
続いて、そのレジスト膜66を介して導電性膜65をエッチングし、さらに、レジスト膜66を剥離除去する。この結果、図8(c)に示すように、赤、緑及び青用画素電極形成領域SR,SG,SB上の各保護層13上には、先に形成された第2電極層Q2上には膜厚20nmの導電性膜65がパターニング形成される。以下、説明の便宜上、このとき、赤、緑及び青用画素電極形成領域SR,SG,SB上の各保護層13上に形成される導電性膜65を第3電極層Q3といい、その膜厚T3は20nmとなる。
【0051】
以上により、赤用画素電極形成領域SRの保護層13上には第1〜第3電極層Q1,Q2,Q3が積層されて膜厚d3(=T1+T2+T3=95nm)の赤用画素電極15Rが形成される。また、緑用画素電極形成領域SGの保護層13上には第2及び第3電極層Q2,Q3が積層されて膜厚d2(=T2+T3=65nm)の緑用画素電極15Gが形成される。さらに、青用画素電極形成領域SBの保護層13上には第3電極層Q3が積層されて膜厚d1(=T3=20mn)の青用画素電極15Bが形成される。
【0052】
続いて、図9(a)に示すように、基板11上の全面に、各画素電極15B,15G,15R上に渡って、正孔輸送層21、発光層22及び電子輸送層23を順に形成する。これらの層21,22,23は、それぞれ、蒸着法によって形成する。正孔輸送層21、発光層22及び電子輸送層23により機能層20が形成される。本実施形態では、発光層22は発光性有機材料によって形成されている。
【0053】
その後、図9(b)に示すように、機能層20上にハーフミラー25を形成する。本実施形態では、膜厚10nmのアルミニウム(Al)をスパッタ法によって形成する。このようにして、膜厚10nmのアルミニウム(Al)で構成されたハーフミラー25と画素電極15B,15G,15Rとで発光層22から発せられた光を共振させる光共振器構造を形成する。その後、基板11に駆動用ドライバ等(図示略)を実装するとともに、別途公知の方法で作製されたカラーフィルタ50をハーフミラー25上に接着することにより、有機EL装置10が完成する。
【0054】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ハーフミラー25を、膜厚10nmのアルミニウム薄膜で構成した。従って、ハーフミラー25は、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーとして機能する。この結果、ハーフミラー25を透過する光は、青色の光の成分が緑色の光の成分に比べて多く含むことにより、赤、緑及び青用画素DR,DG,DBからの各光によって生成される白色の光は、色温度の高い色(青っぽい白色)になる。その結果、明るく色温度の高い白色表示ができる。
【0055】
(2)また、本実施形態によれば、ハーフミラー25をアルミニウム薄膜で構成したので、光反射層12とで共振器構造を構成する半透明反射層としての機能の他に、本来の画素電極15B,15G,15Rに対する対向電極として機能を有している。従って、所謂トップエミッション型の有機EL装置10に対して、明るく色温度の高い白色表示をさせることができる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、ハーフミラー25をアルミニウム薄膜で構成したので、スパッタ法といった公知の方法によって容易に形成することができる。
(4)本実施形態によれば、赤用画素電極15Rは、他の緑用画素電極15G及び青用画素電極15Bに比べて膜厚が厚いが、この赤用画素電極15Rを3つのフォトリソグラフィー工程で形成されるように分割しているので、画素電極15B,15G,15Rを形成する際のエッチング時間をそれぞれ概ね同じ時間にすることができる。この結果、膜厚が厚くなるとエッチング時間が長くなるためサイドエッチが生じやすいが、これを抑制することができる。
【0057】
(5)本実施形態によれば、光共振構造を有した各画素DB,DG,DRから出射された光のうち、カラーフィルタ51を透過した光のみ外部に取り出されるので、より色再現性の良好な有機EL装置を実現することができる。
【0058】
(6)本実施形態によれば、カラーフィルタ51の青色、緑色及び赤色変換層53B,53G,53Rは、光HB,HG,HRの各共振波長PB,PG,PRが、青色、緑色及び赤色変換層53B,53G,53Rの各光透過率特性における最大透過率を示す波長と一致している。従って、輝度を低下させることなく、赤、緑及び青色の光の色ずれが抑制された有機EL装置を実現することができる。
【0059】
(7)本実施形態によれば、光反射層12と各画素電極15B,15G,15Rとの間に、光反射層12全体を覆うように保護層13を形成した。従って、画素電極15B,1
5G,15Rを形成する際に使用される公知の現像液や剥離液の溶剤が光反射層12に直接接触することはないので、光反射層12が現像液や剥離液の溶剤によって劣化することはない。この結果、各画素電極15B,15G,15Rは、その光反射率が高い状態となるので、光取り出し効率の高い、即ち、高輝度の有機EL装置を実現することができる。
【0060】
(8)本実施形態によれば、保護層13は、各画素電極15B,15G,15Rより屈折率が低い材料で構成した。従って、光HB,HG,HRの各共振波長PB,PG,PRは保護層13の影響を受けない。従って、保護層13の屈折率が大きい場合、光共振器の観点から画素電極15B,15G,15Rの膜厚を非常に薄く形成する必要が生じるが、これを抑制することができる。この結果、画素電極15B,15G,15Rの各膜厚を製造しやすい厚みで形成することができる。
【0061】
(9)本実施形態によれば、保護層13及び機能層20の各層を、各画素DB,DG,DRに対して均一な膜厚とした。従って、発光層22の膜厚を変化させることはないので、各画素DB,DG,DRの発光特性を変化させることなく、各青用画素DBに2以上の異なる共振条件を設けることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る有機EL装置について図10に従って説明する。本発明の有機EL装置は、ハーフミラー25を構成する材料が上記第1実施形態と異なる他は、全て同じ構成である。従って、各構成部材の詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施形態に係る有機EL装置10は、そのハーフミラー25を、金属薄膜であるマグネシウムと銀の化合物(MgAg)膜(膜厚:10nm)で構成した。図10に、膜厚10nmのマグネシウム―銀膜で構成したハーフミラー25における光の波長に対する光透過率の関係を曲線S2で示す。また、比較例としての酸化インジウム亜鉛(IZO)で構成した薄膜における光の波長に対する光透過率の関係を曲線Soで示す。
【0063】
図10に示すように、ハーフミラー25を膜厚10nmのマグネシウム―銀(MgAg)で構成した場合では、上記第1実施形態と同様に、波長が長くなるのに伴って光透過率が低下する。そして、前記したように、波長が450nmの光(青系の色の光)に対する透過率が、波長が550nmの光(緑系の色の光)に対する透過率に比べて高い光透過特性を有する。そして、膜厚10nmのマグネシウム―銀(MgAg)で構成したハーフミラー25は、白色光の色温度は8000Kであった。また、このとき、青用画素DBの電流輝度効率は2.0cd/Aであった。これに対して、酸化インジウム亜鉛(IZO)で構成した薄膜では、白色光の色温度は4100Kであった。このとき、青用画素DBの電流輝度効率は1.0cd/Aであった。
【0064】
この結果、明るく色温度が高い白色表示が可能な有機EL装置を実現できた。尚、本実施形態に係る有機EL装置の製造方法については、スパッタ法によってマグネシウム―銀(MgAg)からなるハーフミラー25を形成する他は全て上記第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0065】
(1)本実施形態によれば、ハーフミラー25を、膜厚10nmのマグネシウム―銀(MgAg)薄膜で構成した。従って、上記第1実施形態と同様に、ハーフミラー25は、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーとして機能する。この結果、明るく色温度の高い白色表示ができる。
【0066】
(2)また、本実施形態によれば、ハーフミラー25をマグネシウム―銀(MgAg)薄膜で構成したので、光反射層12とで光共振器構造を構成するハーフミラーとしての機
能の他に、本来の画素電極15B,15G,15Rに対する対向電極として機能を有している。従って、所謂トップエミッション型の有機EL装置10に対して、明るく色温度の高い白色表示をさせることができる。
【0067】
(3)本実施形態によれば、ハーフミラー25をマグネシウム―銀(MgAg)薄膜で構成したので、スパッタ法といった公知の方法によって容易に形成することができる。
(第3実施形態)
次に、上記第1及び第2実施形態に係る有機EL装置10を備えた電子機器を一例について説明する。
【0068】
図11は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11に示す携帯電話80は、複数の操作ボタン81、受話口82、送話口83及び表示部84を備えている。このような構成をした携帯電話80は、その表示部84が上記第1及び第2実施形態に係る有機EL装置10の何れかを備えている。従って、携帯電話80の表示部84には、明るく色温度の高い白色表示が表示される。
【0069】
尚、本発明は、以下のように変更して具体化することもできる。
・上記第1実施形態では、ハーフミラー25を、アルミニウム(Al)薄膜で構成し、上記第2実施形態では、マグネシウム―銀(MgAg)薄膜で構成したが、本発明は、これに限定さるものではない。要は、ハーフミラー25は、導電性に優れ、且つ、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーとして機能する材料であれば、アルミニウム(Al)及びマグネシウム―銀(MgAg)以外の他の材料で構成してもよい。例えば、銀(Ag)で構成されていてもよい。
【0070】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、ハーフミラー25を、アルミニウム(Al)薄膜やマグネシウム―銀(MgAg)薄膜といった導電性を有する金属薄膜で構成することで共通電極としての機能を兼ねていたが、本発明は、これに限定さるものではない。要は、ハーフミラー25は、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーとして機能する材料であればよい。
【0071】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、発光層22から発光した光を基板11とは反対側から取り出す、所謂トップエミッション型の有機EL装置10に具体化したが、本発明はこれに限定されない。発光層22から発光した光を基板11側から取り出す、所謂ボトムエミッション型の有機EL装置においても、その画素電極15B,15G,15Rの製造方法に適用可能である。有機EL装置が、ボトムエミッション型のものである場合、ハーフミラー25は、導電性を有している必要はなく、波長が450nmの光に対する透過率が550nmの光に対する透過率に比べて高い光透過特性を有するハーフミラーであればよい。
【0072】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、発光層22に発光性有機材料を用いた有機EL装置10に適用したが、これを発光性有機材料以外の材料を備えた発光素子(例えば、発光ダイオード(LED)素子)を用いた発光装置であっても本発明は適用可能である。
【0073】
・上記第3実施形態では、電子機器として携帯電話80について説明したが、これに限定されるものではなく、モバイル型のパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等のディスプレイを備えた電子機器に広く適用可能である。
【0074】
・上記第1及び第2実施形態では、正孔輸送層21、発光層22及び電子輸送層23で機能層20を構成したが、本発明はこれに限定されない。上記各層21〜23のうち、発光層22以外の他の層(正孔注入層や電子注入層)のいずれかまたは全てが含まれていてもよい。要は、機能層20は、発光層22を含んでいればよい。このようにすることで、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、基板11を、ガラス等の光透過性を有した基板(透明基板)としたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、光透過性を有しない基板(不透明基板)も用いることもできる。基板11を、光透過性を有しない基板(不透明基板)とした場合では、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらには、そのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。要は、画素が形成可能であるものであれば、どんなものであってもよい。
【0076】
・上記第1及び第2実施形態では、保護層13は窒化珪素(SiN)で構成したが、本発明はこれに限定されない。酸窒化珪素(SiON)、酸化珪素(SiOn)またはアクリル系樹脂で構成されていてもよい。要は、光透過性を有し、且つ、屈折率が画素電極15B,15G,15Bに比べて高い材料であればよい。
【0077】
なお、本発明は以上に記載の実施形態に限定されるものではなく、例えば、青用画素DB、緑用画素DG、及び赤用画素DRが分別されない(画素電極15B,15G,15Rの膜厚d1,d2,d3が素子全体に一定)場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置の断視図。
【図2】青用画素の拡大断面図。
【図3】緑用画素の拡大断面図。
【図4】赤用画素の拡大断面図。
【図5】カラーフィルタの光透過分光特性を示すグラフ。
【図6】アルミニウム膜で構成した共通電極層の光透過率のグラフ。
【図7】(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、有機EL装置の製造方法を説明するための図。
【図8】同じく、(a),(b),(c)は、それぞれ、有機EL装置の製造方法を説明するための図。
【図9】同じく、(a),(b)は、それぞれ、有機EL装置の製造方法を説明するための図。
【図10】マグネシウム―銀膜で構成した共通電極層の光透過率のグラフ。
【図11】電子機器としての携帯電話の斜視図。
【符号の説明】
【0079】
DB…青用画素、DG…緑用画素、DR…赤用画素、10…発光装置としての有機EL装置、11…基板、12…光反射層、15B…画素電極としての青用画素電極、15G…画素電極としての緑用画素電極、15R…画素電極としての赤用画素電極、20…機能層、21…正孔輸送層、22…発光層、23…電子輸送層、25…光半透過反射層としてのハーフミラー、51…カラーフィルタ、53B…青色変換層、53G…緑色変換層、53R…赤色変換層、80…電子機器としての携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、光反射層、画素電極、少なくとも発光層を含む機能層、光半透過反射層が積層されるとともに、前記光反射層と前記光半透過反射層との間に前記機能層が挟持され、前記光反射層と前記光半透過反射層との間で前記発光層から発光した光を共振させる構成を有する発光装置であって、
前記光半透過反射層が、短波長側から長波長側へ光透過率が低くなる材料で構成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記光反射層と前記光半透過反射層との間の各層の光学的距離に応じて、青色の光に対応した共振波長の光を出射する青用画素、緑色の光に対応した共振波長の光を出射する緑用画素、赤色の光に対応した共振波長の光を出射する赤用画素が形成され、
前記光半透過反射層は、前記青用画素から出射される光に対する透過率が前記緑用画素から出射される光に対する透過率に比べて高い材料で構成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、
前記青用画素から出射される光光に対する透過率とは、波長が450nmの光に対する透過率であり、前記緑用画素から出射される光に対する透過率とは、波長が550nmの光に対する透過率であることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の発光装置において、
前記光半透過反射層は、金属薄膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
前記金属薄膜は、アルミニウムで構成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の発光装置において、
前記金属薄膜は、マグネシウムと銀の化合物であることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか一つに記載の発光装置において、
前記光半透過反射層は、前記画素電極に対向し前記発光層にキャリアを供給する対向電極であることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記赤用画素に相対向する位置に赤色変換層、前記緑用画素に相対向する位置に緑色変換層及び前記青用画素に相対向する位置に青色変換層を備えたカラーフィルタをさらに有することを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記光反射層と前記画素電極との間には、前記反射層全体を覆う保護層が形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の発光装置において、
前記保護層は、前記画素電極より屈折率が低いことを特徴とする発光装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれか一つに記載の発光装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−128664(P2007−128664A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318019(P2005−318019)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】