発光装置
【課題】コンパクト化及びローコスト化を図る。
【解決手段】巻き取り部12は、面発光部を有する弾性自在な照明シート11を後端からロール状に巻き取る巻き取り室を備えている。引き出し部13は、照明シート11の先端が固定されており、巻き取り部12から離間することで照明シート11を帯状に引き出す。巻き取り部12と引き出し部13は、互いに密着される合わせ面12a,13aがそれぞれ設けられている。合わせ面12a,13aには、それぞれ磁石23〜26が設けられている。合わせ面12a,13a同士を磁着させることで、外形輪郭が略円形になる。
【解決手段】巻き取り部12は、面発光部を有する弾性自在な照明シート11を後端からロール状に巻き取る巻き取り室を備えている。引き出し部13は、照明シート11の先端が固定されており、巻き取り部12から離間することで照明シート11を帯状に引き出す。巻き取り部12と引き出し部13は、互いに密着される合わせ面12a,13aがそれぞれ設けられている。合わせ面12a,13aには、それぞれ磁石23〜26が設けられている。合わせ面12a,13a同士を磁着させることで、外形輪郭が略円形になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り部に設けた巻き取り室にロール状に収納した弾性自在な発光シートを引き出して、発光シートの発光面を面発光させる照明装置、又は発光面で画像を表示する表示装置を含む発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクトに収納でき、また持ち運びが簡便になる表示装置が知られている(特許文献1)。この表示装置には、表示部、丸棒形状の巻き取り部、及び丸棒形状の引き出し部で構成されている。表示部は、有機EL素子ディスプレイや発光素子等を用いた巻き取り可能なシート状になっている。巻き取り部の内部には、表示部を巻き取るための収納室を持っている。収納室には、軸が設けられており、軸には、表示部の一端部が接続されている。引き出し部には、表示部の他端部が接続されている。引き出し部を巻き取り部から離間して表示部を帯状に引き出して使用する。この表示装置には、引き出した表示部を弛ませることなく緊張状態に保持するために、表示部の背面に保持部が設けられている。この保持部は、平行リンク機構を構成するように複数のレール部材を組み合わせてなり、表示部の引き出しに伴って複数のレール部材を折り畳み状態から伸長状態に展開することで表示部を弛みのない緊張状態に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−249828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の保持部は、複数のレール部材を組み合わせているため、折り畳んだ状でも表示部の裏面から出っ張っている。このため、表示部を巻き取った不使用状態では、巻き取り部、及び引き出し部との2本の丸棒形状を合わせることに加えて、保持部を折り畳んだ分が増える。このため、コンパクト化を疎外し、携帯性の面で低下していた。また、保持部を複数のレール部材で作っているため、コストが高く付く。
【0005】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、ローコストで、かつ簡便に発光シートを弛み無く緊張状態に保持することができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の発光装置では、発光シートをロール状に収納する巻き取り部と、巻き取り部から離間されることで発光シートを帯状に引き出す引き出し部とに、相手側取り付け対象になる被取付部との間で着脱自在に固定される固定部材をそれぞれ設けたものである。固定部材としては、磁石、吸盤、あるいはマジックテープ(登録商標)等を用いるのが好適である。発光素子としては、例えば、有機EL素子や無機EL素子等のエレクトロルミネッセンスを利用する面発光素子が好適である。
【0007】
巻き取り部と引き出し部とに、互いを合わせるための合わせ面をそれぞれ設け、また、双方の合わせ面に固定部材を設ける。そして、互いの合わせ面を合わせたときに外形輪郭が略円形、又は多角形になるように構成すると、発光シートを巻き取った不使用状態のときに、ひとまとまりになった長物部材として携帯することができるので簡便である。
【0008】
引き出し部を巻き取り部に対して離間させると、発光シートが巻き取り室から引き出されて使用状態になる。固定部材、例えば磁石を被取付部、例えばホワイトボードやキャビネットに固定することで、発光シートを弛みなく緊張状態にして保持することができる。巻き取り部の外部に発光操作部材を設け、発光操作部材を操作することに応答して発光部を発光させる。発光部を白色で面発光させることで照明装置として使用することができ、また、発光部に画像を表示することで表示装置として使用することができる。
【0009】
電源としては、交換式の電池を内蔵することでコードレスになるので簡便である。また、電池の代わりに、発電機構を設けてもよい。この場合には、巻き取り軸が回転する動作又は巻き取り部を振る動作により発電する発電機と、発電機で発電された交流電流を直流電流に変換する整流器と、直流電流を蓄える蓄電池と、を備え、蓄電池に蓄えた直流電流を利用して発光部を発光させればよい。
【0010】
また、送り出し操作を自動的に行うようにしてもよい。この場合には、巻き取り室に設けられ発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、巻き取り部の外部に設けられている送り出し操作部材と、巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、巻き取り軸の引き出し量を検出する送り出し量検出部と、送り出し操作部材の操作に応答してモータを駆動する制御部と、を備えればよい。
【0011】
さらに、特定の音声に応答して発光シートを自動的に送り出すように構成してもよい。この場合には、巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、発話時の音声が入力される音声入力部と、入力された音声の特徴データを抽出する音声抽出部と、前記音声の特徴データと予め決められている特定の音声の特徴データとを照合する音声照合部と、照合結果が一致した場合に前記モータを駆動する制御部と、を備えればよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置は、巻き取り部と引き出し部とに固定部材をそれぞれ設けたから、発光シートを弛みなく緊張した状態で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の照明装置を示す斜視図であり、照明シートを引き出した状態を示している。
【図2】照明装置の断面図であり、照明シートを巻き込んだ状態を示している。
【図3】照明装置の背面側斜視図であり、照明シートを引き出した状態を示している。
【図4】照明装置を略丸棒形状の不使用状態にする手順を示す説明図である。
【図5】巻き取り部の内部構造を示す説明図である。
【図6】照明装置を行灯型で使用する状態を示す斜視図である。
【図7】フックを設けた別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の表示装置の実施形態を示す説明であり、巻き取り部の内部構造を示している。
【図9】巻き取り軸の回転を利用して発電する実施形態を示す説明図である。
【図10】巻き取り部を長手方向に振ることで発電する実施形態を示す説明図である。
【図11】送り出し操作部材を操作することに応答して照明シートを自動的に送り出す実施形態を示す説明図である。
【図12】特定の音声を認識することに応答して照明シートを自動的に送り出す実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
照明装置10は、図1に示すように、照明シート(本発明の発光シート)11、巻き取り部12、及び引き出し部13が設けられている。照明シート11は、可撓性を有する横長シート状に作られている。照明シート11の内部には、有機EL素子を内蔵した発光部を有している。発光部は、巻き取り部12から延出された一方の面(表面)に表れる矩形枠が発光面14になっている。なお、発光部としては、無機EL素子、又はLEDの発光素子を内蔵したものであってもよい。巻き取り部12には、外部に、点灯操作部材(発光操作部材)15、巻き取り操作部材16、電池交換用蓋17、及び照明シート11の一端が出入りするスリット18が設けられている。
【0015】
巻き取り部12の内部には、図2に示すように、スリット18に繋がる巻き取り室19が設けられている。巻き取り室19には巻き取り軸20が回転自在に設けられており、巻き取り軸20には、照明シート11の一端11aが固定されている。引き出し部13には、照明シート11の他端11bが固定されている。巻き取り部12の内部には、巻き取り室19とは別の小部屋21が設けられており、この小部屋21に有機EL素子を駆動するための点灯回路等が収納されている。
【0016】
引き出し部13と巻き取り部12とには、互いを密着させるための平らな合わせ面12a,13aがそれぞれ設けられている。照明装置10は、合わせ面12a,13aを合わせたときに、平面から見て外形輪郭が略円形になる。なお、互いを合わせたときの外形輪郭としては、携帯し易い形状であれば、例えば楕円形、あるいは多角形等にしてもよい。合わせ面12a、13aには、図3に示すように、複数の磁石23〜26がそれぞれ埋め込まれている。互いを合わせたときには、図4に示すように、磁石23が磁石25に、磁石24が磁石26にそれぞれ磁着することで略円形の外形輪郭をした棒形状に保持される。なお、各合わせ面12a,13aに設ける磁石23〜26の数は、2個に限らず、1個でもよいし3個以上でもよい。
【0017】
巻き取り軸20には、図5に示すように、ロック機構付き巻取機構28が連結されている。ロック機構付き巻取機構28は、巻上スプリング29、爪歯車30、ストップレバー31、バネ32、及び巻き取り操作部材16等で構成されている。巻上スプリング29は、巻き取り軸20を巻き取り方向に付勢する。爪歯車30は、複数の逆止爪を周面に設けた逆止爪列を有し、巻き取り軸20と一体に回転する。ストップレバー31は、先端に送り爪を有しており、ロック位置とロック解除位置との間で回転自在に設けられ、バネ32によりロック位置に向けて付勢されている。ロック位置では、送り爪が前記逆止爪列のうちの何れかの逆止爪に係合した状態になり、この状態では巻き取り軸20の引き出し方向への回転を許容し、かつ巻き取り方向への回転をロックする。ロック解除位置では、送り爪が逆止爪列から退避して前記ロックを解除する。巻き取り操作部材16は、一部がストップレバー31のうちの回転軸を挟んだ後端に当接しており、ストップレバー31をロック位置に保持する初期位置と、ストップレバー31を解除位置に回転させる押圧位置との間で変位し、バネ(図示せず)により初期位置に向けて付勢されている。
【0018】
引き出し部13を巻き取り部12から引き出すと、送り爪が逆止爪を乗り越えるためストップレバー31が巻き取り軸20の引き出し方向への回転を許容する。引き出し操作を所定長さで止めると、送り爪が逆止爪に係合して巻き取り軸20の巻き取り方向への回転をロックする。収納時には、巻き取り操作部材16を押圧位置に押し込むことで、ストップレバー31がロック解除位置に回転するため、巻き取り軸20が巻上スプリング29の付勢により照明シート11を自動的に巻き込む。なお、ロック機構付き巻取機構28としては、本発明の好適な実施形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0019】
発光部は、表面側となる樹脂基板、陽極、有機層、陰極、及び裏面側となる樹脂基板とを順に積層して形成されている。表面側の樹脂基板は、透明かつ防湿性を有する。陽極は、は、平行な複数のストライプ状の透明電極からなる。有機層は、各陽極と垂直に交差するようにかつ複数のストライプ状に積層された赤色、緑色、及び青色に発色する蛍光色素部を形成する白色発光層である。陰極は、同じく各陽極と垂直に交差するように複数のストライプ状に形成されている。裏面側の樹脂基板は、透明かつ防湿性を有している。なお、裏面側の樹脂基板は、透明でなくてもよい。また、有機層としては、白色発光EL材料とカラーフィルターを組み合わせた構成のもでもよい。
【0020】
各陽極と各陰極が交差する領域にEL素子が形成されており、EL素子がマトリックス状に複数集合して発光部を形成する。各陽極の一端は、発光部の周辺外部に端子群として露呈されており、陽極用の端子群は陽極引き出し部を構成する。また、各陰極の一端も同様に発光部の周辺外部に端子群として露呈されており、陰極用の端子群は、陰極引き出し部を構成する。
【0021】
巻き取り軸20の一端には、有機EL素子に接続されている複数の摺動リング35と、各摺動リング35に摺動する複数の摺動子36とからなる摺動式の接続端子が設けられている。各摺動子36は点灯回路37に接続されており、接続端子は巻き取り軸20の回転を許容しながら電気的接続を維持する。点灯回路37は、陽極引出部に接続されているデータドライバ37aと陰極引出部に接続されている走査ドライバ37bを有している。
【0022】
電池交換用蓋17は、巻き取り部12の軸方向の端に着脱自在に取り付けられている。点灯回路37は、点灯操作部材15がオンすることに応答して電源電池38から供給される入力電流を発光部に供給電流として供給する。発光部は、赤色、緑色、及び青色を合成して作った白色光を発光する。これにより自然でやわらかい色合いで、かつ紫外線も含まない目にやさしい光が得られる。なお、発光部としては、有機EL素子を複数用いて構成したものでもよい。この場合には、複数の有機EL素子を並列に接続して成る発光部を用いればよい。
【0023】
巻き取り部12と引き出し部13との合わせ面12a,13aに磁石23〜26をそれぞれ設けているため、例えばホワイトボードやキャビネット等に磁着すれば、照明シート11を弛みなく緊張した平面状態に維持することができる。勿論、磁石23〜26の代わりに、吸盤やマジックテープ(登録商標)等の固着部材を設けても良い。
【0024】
有機EL素子は、発光面から均一な明かりを得られるというメリットがある。非常に薄型なので、壁や天井などにパネル状に張り付けることで部屋の一面そのものを照明にすることが可能である。
【0025】
また、図6に示すように、照明シート11を延出した状態で巻き取り部12と引き出し部13との合わせ面12a,13aを磁石23〜26で磁着し、かつ照明シート11を丸めて行灯型にすれば、例えば和室の隅に据置して間接照明として使用することができる。
【0026】
さらに、図7に示すように、巻き取り部12にフック40を設け、磁石23〜26を利用できない環境下では、フック40を利用して、例えばテント内に吊り下げて照明として使用してもよい。このような使い方をしても、引き出し部13の重みで照明シート11を弛みなく延出した状態に維持することができる。なお、フック40としては、使用しないときには巻き取り部12の合わせ面12aに設けた凹部41に収納することができる折り畳み構造のものが好適である。
【0027】
次に、本発明の表示装置を説明する。表示装置39は、前述した照明装置の照明シートの代わりに、図示していない表示シート(本発明の発光シート)を用いる。また、点灯操作部材15の代わりに、図8に示すように、表示操作部材42が設けられている。
【0028】
表示シートには、有機EL素子を用いた表示部が内蔵されている。表示部を駆動する駆動回路としては、画像表示制御部43、データドライバ44、走査ドライバ45、及びメモリ46等で構成される。画像表示制御部43には、メモリカード用のドライブ47が接続されている。ドライブ47のスロット48は、巻き取り部12の外部に露呈している。スロット48にはメモリカード49が着脱自在に挿入される。
【0029】
ドライブ47は、メモリカード49に記憶されている画像データを読み取り、その画像データを画像表示制御部43に送る。画像表示制御部43には、メモリ46が接続されており、読み出した画像データはメモリ46に格納される。画像表示制御部43は、表示操作部材42の操作に応答して、メモリ46に格納した画像データに基づいて走査信号とデータ信号を生成し、走査信号を走査ドライバ45に、データ信号をデータドライバ44にそれぞれ送る。走査ドライバ45は、走査信号に対して増幅等の予め設定した処理を施した後に摺動式の接続端子を介して表示部に送る。他方、データドライバ44は、データ信号に対して同様の増幅等の予め設定された処理を施した後に、摺動式の接続端子を介して表示部に送る。走査信号は表示部の各陰極の一端部である陰極引出部に供給され、また、データ信号は、表示部の各陽極の一端部である陽極引出部に供給される。これら走査信号とデータ信号が各々陰極引出部と陽極引出部とに供給されるごとに表示部の表示面に画像が表示される。
【0030】
なお、前述した照明装置10、及び表示装置39は、電源電池38を使用しているが、巻き取り部12の内部に電源回路を、また巻き取り部12の外部に電源コネクタをそれぞれ設けて、商用電源を利用してもよい。前記電源回路としては、例えばトランス、整流器、及び平滑化コンデンサ等からなる交流−直流変換回路をもって構成することができる。また、表示装置39としては、例えばUSB端子やLAN端子等の画像データ入力用の外部接続端子を巻き取り部12の外部に設け、外部から直接に画像データを取り込むように構成してもよい。また外部接続端子の代わりに、無線LAN機能を巻き取り部12の内部に搭載して画像データを無線で取り込むようにしてもよい。
【0031】
上記各実施形態では、電源電池38、又は商用電源を利用しているが、図9に示すように、巻き取り軸20に発電機52を連結し、発電機52から得られる電源を利用して照明部、あるいは表示部等を駆動してもよい。この場合には、発電機52で発電された交流電流を整流回路53で直流電流に変換して蓄電池54に送り、蓄電池54に蓄えられた電源を利用して画像表示制御部43等の各回路を駆動すればよい。発電機52を巻き取り部12に内蔵することでコンパクトな形状を維持することができる。
【0032】
図9で説明した発電機52は巻き取り軸20の回転を利用して発電するものであるが、図10に示す発電機55は、巻き取り部12を長手方向に振ることで発電するタイプである。巻き取り部12の内部に長手方向に長くしたスペースが形成されており、このスペースの中に、発電機55を構成するコイル56と可動式の磁石57が置かれていて、振ると磁石57がコイル56の中を往復して発電する。
【0033】
なお、発電機の代わりに、太陽電池パネルを用いても良い。太陽電池パネルは、太陽電池(セル)を複数枚直並列接続して必要な電圧と電流を得られるようにしたパネル状のものである。この太陽電池パネルの発生電力を整流器で整流し、整流した電力の電圧変換を直流変換器で変換して、電圧変換した電力を蓄電池で蓄電して使用すればよい。太陽電池パネルは、巻き取り部の表面に設けても良いし、照明シート11、又は表示シートの裏面に取り付けてもよい。
【0034】
上記各実施形態では、照明シート11、又は表示シートを手動で引き出すようにしているが、この引き出しを自動的に行うように構成してもよい。この場合には、図11に示すように、送り出し操作部材60を巻き取り部12の外部に設け、また巻き取り部12の内部に制御部61、ドライバ62、モータ63、及び送り出し量検出部64を内蔵する。送り出し操作部材60の操作に応答して制御部61がモータ63を送り出し方向に駆動するようにドライバ62を制御する。モータ63の回転軸は巻き取り軸20に連結されている。送り出し操作部材60を再び操作すると、制御部61がモータ63の駆動を停止する。送り出し操作部材60を繰り返し操作することで引き出し量を調節することができる。
【0035】
最大引き出し量に到達した場合には、送り出し量検出部64がその旨の信号を制御部61に送ることで、制御部61がモータ63の駆動を停止する。送り出し量検出部64としては、巻き取り軸20、又はモータ63の回転角を検出するロータリ・エンコーダを用いるのが好適である。送り出し量検出部64が最大送り出し量を検知している場合に送り出し操作部材60を操作すると、制御部61は、モータ63を逆方向に駆動して巻き取る。送り出し量がゼロである初期位置を検出すると、制御部61はモータ63の駆動を停止する。なお、過負荷保護の目的で、モータ63と巻き取り軸20との間にトルクリミッターを設けておくのが好適である。
【0036】
また、特定の音声に反応して自動的に引き出すように構成してもよい。この場合には、図12に示すように、マイク66、アンプ67、A/D68、メモリ69、D/B(データーベース部)70、制御部71、モード切替操作部材72、送り出し量検出部64、ドライバ62、及びモータ63を設ける。送り出し量検出部64、ドライバ62、及びモータ63は、図11で説明したものと同じ構成であるので、同符号を用いて詳しい説明を省略する。
【0037】
マイク66は、音声を取得して音声信号をアンプ67に出力する。アンプ67は、音声信号を増幅してA/D68に出力する。A/D68は、アナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換して制御部71に送る。メモリ69は、取得した音声信号を一旦記憶するためのものである。D/B70には、基準となる特定の音声の特徴データが登録される。制御部71は、入力される音声信号から音声の特徴データを抽出して、そのデータとD/B70に格納されている基準の音声の特徴データとを照合し、一致することに応答してドライバ62を介してモータ63の駆動を制御する。モード切替操作部材72は、登録モードと通常モードを切り替えるための操作部であり、巻き取り部12の外部に露呈して設けられている。
【0038】
登録モードに切り替えることで、制御部71は入力された音声信号を特定の音声信号としてその特徴データを抽出してD/B70に登録する。D/B70には、マイク66からの入力より不特定話者の任意の単語を複数登録することができる。通常モードでは、制御部71が特定の音声を認識することに応答してドライバ62を介してモータ63を駆動して照明シート11、又は表示シートを延出させる。なお、表示シートの場合には、計数回路(タイマ回路)を設けて、一定時間経過後に自動的に巻き取るように構成してもよい。なお、前述したマイク66、アンプ67、及びA/D68が本発明の音声入力手段に、制御部71が音声抽出部に、制御部71とD/B70が音声照合部に、それぞれ相当する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、撮像画像や再生画像を表示する表示部を有するデジタルカメラや情報を表示する表示部を有する情報表示端末装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 照明装置
11 照明シート
12 巻き取り部
13 引き出し部
23〜26 磁石
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り部に設けた巻き取り室にロール状に収納した弾性自在な発光シートを引き出して、発光シートの発光面を面発光させる照明装置、又は発光面で画像を表示する表示装置を含む発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクトに収納でき、また持ち運びが簡便になる表示装置が知られている(特許文献1)。この表示装置には、表示部、丸棒形状の巻き取り部、及び丸棒形状の引き出し部で構成されている。表示部は、有機EL素子ディスプレイや発光素子等を用いた巻き取り可能なシート状になっている。巻き取り部の内部には、表示部を巻き取るための収納室を持っている。収納室には、軸が設けられており、軸には、表示部の一端部が接続されている。引き出し部には、表示部の他端部が接続されている。引き出し部を巻き取り部から離間して表示部を帯状に引き出して使用する。この表示装置には、引き出した表示部を弛ませることなく緊張状態に保持するために、表示部の背面に保持部が設けられている。この保持部は、平行リンク機構を構成するように複数のレール部材を組み合わせてなり、表示部の引き出しに伴って複数のレール部材を折り畳み状態から伸長状態に展開することで表示部を弛みのない緊張状態に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−249828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の保持部は、複数のレール部材を組み合わせているため、折り畳んだ状でも表示部の裏面から出っ張っている。このため、表示部を巻き取った不使用状態では、巻き取り部、及び引き出し部との2本の丸棒形状を合わせることに加えて、保持部を折り畳んだ分が増える。このため、コンパクト化を疎外し、携帯性の面で低下していた。また、保持部を複数のレール部材で作っているため、コストが高く付く。
【0005】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、ローコストで、かつ簡便に発光シートを弛み無く緊張状態に保持することができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の発光装置では、発光シートをロール状に収納する巻き取り部と、巻き取り部から離間されることで発光シートを帯状に引き出す引き出し部とに、相手側取り付け対象になる被取付部との間で着脱自在に固定される固定部材をそれぞれ設けたものである。固定部材としては、磁石、吸盤、あるいはマジックテープ(登録商標)等を用いるのが好適である。発光素子としては、例えば、有機EL素子や無機EL素子等のエレクトロルミネッセンスを利用する面発光素子が好適である。
【0007】
巻き取り部と引き出し部とに、互いを合わせるための合わせ面をそれぞれ設け、また、双方の合わせ面に固定部材を設ける。そして、互いの合わせ面を合わせたときに外形輪郭が略円形、又は多角形になるように構成すると、発光シートを巻き取った不使用状態のときに、ひとまとまりになった長物部材として携帯することができるので簡便である。
【0008】
引き出し部を巻き取り部に対して離間させると、発光シートが巻き取り室から引き出されて使用状態になる。固定部材、例えば磁石を被取付部、例えばホワイトボードやキャビネットに固定することで、発光シートを弛みなく緊張状態にして保持することができる。巻き取り部の外部に発光操作部材を設け、発光操作部材を操作することに応答して発光部を発光させる。発光部を白色で面発光させることで照明装置として使用することができ、また、発光部に画像を表示することで表示装置として使用することができる。
【0009】
電源としては、交換式の電池を内蔵することでコードレスになるので簡便である。また、電池の代わりに、発電機構を設けてもよい。この場合には、巻き取り軸が回転する動作又は巻き取り部を振る動作により発電する発電機と、発電機で発電された交流電流を直流電流に変換する整流器と、直流電流を蓄える蓄電池と、を備え、蓄電池に蓄えた直流電流を利用して発光部を発光させればよい。
【0010】
また、送り出し操作を自動的に行うようにしてもよい。この場合には、巻き取り室に設けられ発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、巻き取り部の外部に設けられている送り出し操作部材と、巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、巻き取り軸の引き出し量を検出する送り出し量検出部と、送り出し操作部材の操作に応答してモータを駆動する制御部と、を備えればよい。
【0011】
さらに、特定の音声に応答して発光シートを自動的に送り出すように構成してもよい。この場合には、巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、発話時の音声が入力される音声入力部と、入力された音声の特徴データを抽出する音声抽出部と、前記音声の特徴データと予め決められている特定の音声の特徴データとを照合する音声照合部と、照合結果が一致した場合に前記モータを駆動する制御部と、を備えればよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置は、巻き取り部と引き出し部とに固定部材をそれぞれ設けたから、発光シートを弛みなく緊張した状態で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の照明装置を示す斜視図であり、照明シートを引き出した状態を示している。
【図2】照明装置の断面図であり、照明シートを巻き込んだ状態を示している。
【図3】照明装置の背面側斜視図であり、照明シートを引き出した状態を示している。
【図4】照明装置を略丸棒形状の不使用状態にする手順を示す説明図である。
【図5】巻き取り部の内部構造を示す説明図である。
【図6】照明装置を行灯型で使用する状態を示す斜視図である。
【図7】フックを設けた別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の表示装置の実施形態を示す説明であり、巻き取り部の内部構造を示している。
【図9】巻き取り軸の回転を利用して発電する実施形態を示す説明図である。
【図10】巻き取り部を長手方向に振ることで発電する実施形態を示す説明図である。
【図11】送り出し操作部材を操作することに応答して照明シートを自動的に送り出す実施形態を示す説明図である。
【図12】特定の音声を認識することに応答して照明シートを自動的に送り出す実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
照明装置10は、図1に示すように、照明シート(本発明の発光シート)11、巻き取り部12、及び引き出し部13が設けられている。照明シート11は、可撓性を有する横長シート状に作られている。照明シート11の内部には、有機EL素子を内蔵した発光部を有している。発光部は、巻き取り部12から延出された一方の面(表面)に表れる矩形枠が発光面14になっている。なお、発光部としては、無機EL素子、又はLEDの発光素子を内蔵したものであってもよい。巻き取り部12には、外部に、点灯操作部材(発光操作部材)15、巻き取り操作部材16、電池交換用蓋17、及び照明シート11の一端が出入りするスリット18が設けられている。
【0015】
巻き取り部12の内部には、図2に示すように、スリット18に繋がる巻き取り室19が設けられている。巻き取り室19には巻き取り軸20が回転自在に設けられており、巻き取り軸20には、照明シート11の一端11aが固定されている。引き出し部13には、照明シート11の他端11bが固定されている。巻き取り部12の内部には、巻き取り室19とは別の小部屋21が設けられており、この小部屋21に有機EL素子を駆動するための点灯回路等が収納されている。
【0016】
引き出し部13と巻き取り部12とには、互いを密着させるための平らな合わせ面12a,13aがそれぞれ設けられている。照明装置10は、合わせ面12a,13aを合わせたときに、平面から見て外形輪郭が略円形になる。なお、互いを合わせたときの外形輪郭としては、携帯し易い形状であれば、例えば楕円形、あるいは多角形等にしてもよい。合わせ面12a、13aには、図3に示すように、複数の磁石23〜26がそれぞれ埋め込まれている。互いを合わせたときには、図4に示すように、磁石23が磁石25に、磁石24が磁石26にそれぞれ磁着することで略円形の外形輪郭をした棒形状に保持される。なお、各合わせ面12a,13aに設ける磁石23〜26の数は、2個に限らず、1個でもよいし3個以上でもよい。
【0017】
巻き取り軸20には、図5に示すように、ロック機構付き巻取機構28が連結されている。ロック機構付き巻取機構28は、巻上スプリング29、爪歯車30、ストップレバー31、バネ32、及び巻き取り操作部材16等で構成されている。巻上スプリング29は、巻き取り軸20を巻き取り方向に付勢する。爪歯車30は、複数の逆止爪を周面に設けた逆止爪列を有し、巻き取り軸20と一体に回転する。ストップレバー31は、先端に送り爪を有しており、ロック位置とロック解除位置との間で回転自在に設けられ、バネ32によりロック位置に向けて付勢されている。ロック位置では、送り爪が前記逆止爪列のうちの何れかの逆止爪に係合した状態になり、この状態では巻き取り軸20の引き出し方向への回転を許容し、かつ巻き取り方向への回転をロックする。ロック解除位置では、送り爪が逆止爪列から退避して前記ロックを解除する。巻き取り操作部材16は、一部がストップレバー31のうちの回転軸を挟んだ後端に当接しており、ストップレバー31をロック位置に保持する初期位置と、ストップレバー31を解除位置に回転させる押圧位置との間で変位し、バネ(図示せず)により初期位置に向けて付勢されている。
【0018】
引き出し部13を巻き取り部12から引き出すと、送り爪が逆止爪を乗り越えるためストップレバー31が巻き取り軸20の引き出し方向への回転を許容する。引き出し操作を所定長さで止めると、送り爪が逆止爪に係合して巻き取り軸20の巻き取り方向への回転をロックする。収納時には、巻き取り操作部材16を押圧位置に押し込むことで、ストップレバー31がロック解除位置に回転するため、巻き取り軸20が巻上スプリング29の付勢により照明シート11を自動的に巻き込む。なお、ロック機構付き巻取機構28としては、本発明の好適な実施形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0019】
発光部は、表面側となる樹脂基板、陽極、有機層、陰極、及び裏面側となる樹脂基板とを順に積層して形成されている。表面側の樹脂基板は、透明かつ防湿性を有する。陽極は、は、平行な複数のストライプ状の透明電極からなる。有機層は、各陽極と垂直に交差するようにかつ複数のストライプ状に積層された赤色、緑色、及び青色に発色する蛍光色素部を形成する白色発光層である。陰極は、同じく各陽極と垂直に交差するように複数のストライプ状に形成されている。裏面側の樹脂基板は、透明かつ防湿性を有している。なお、裏面側の樹脂基板は、透明でなくてもよい。また、有機層としては、白色発光EL材料とカラーフィルターを組み合わせた構成のもでもよい。
【0020】
各陽極と各陰極が交差する領域にEL素子が形成されており、EL素子がマトリックス状に複数集合して発光部を形成する。各陽極の一端は、発光部の周辺外部に端子群として露呈されており、陽極用の端子群は陽極引き出し部を構成する。また、各陰極の一端も同様に発光部の周辺外部に端子群として露呈されており、陰極用の端子群は、陰極引き出し部を構成する。
【0021】
巻き取り軸20の一端には、有機EL素子に接続されている複数の摺動リング35と、各摺動リング35に摺動する複数の摺動子36とからなる摺動式の接続端子が設けられている。各摺動子36は点灯回路37に接続されており、接続端子は巻き取り軸20の回転を許容しながら電気的接続を維持する。点灯回路37は、陽極引出部に接続されているデータドライバ37aと陰極引出部に接続されている走査ドライバ37bを有している。
【0022】
電池交換用蓋17は、巻き取り部12の軸方向の端に着脱自在に取り付けられている。点灯回路37は、点灯操作部材15がオンすることに応答して電源電池38から供給される入力電流を発光部に供給電流として供給する。発光部は、赤色、緑色、及び青色を合成して作った白色光を発光する。これにより自然でやわらかい色合いで、かつ紫外線も含まない目にやさしい光が得られる。なお、発光部としては、有機EL素子を複数用いて構成したものでもよい。この場合には、複数の有機EL素子を並列に接続して成る発光部を用いればよい。
【0023】
巻き取り部12と引き出し部13との合わせ面12a,13aに磁石23〜26をそれぞれ設けているため、例えばホワイトボードやキャビネット等に磁着すれば、照明シート11を弛みなく緊張した平面状態に維持することができる。勿論、磁石23〜26の代わりに、吸盤やマジックテープ(登録商標)等の固着部材を設けても良い。
【0024】
有機EL素子は、発光面から均一な明かりを得られるというメリットがある。非常に薄型なので、壁や天井などにパネル状に張り付けることで部屋の一面そのものを照明にすることが可能である。
【0025】
また、図6に示すように、照明シート11を延出した状態で巻き取り部12と引き出し部13との合わせ面12a,13aを磁石23〜26で磁着し、かつ照明シート11を丸めて行灯型にすれば、例えば和室の隅に据置して間接照明として使用することができる。
【0026】
さらに、図7に示すように、巻き取り部12にフック40を設け、磁石23〜26を利用できない環境下では、フック40を利用して、例えばテント内に吊り下げて照明として使用してもよい。このような使い方をしても、引き出し部13の重みで照明シート11を弛みなく延出した状態に維持することができる。なお、フック40としては、使用しないときには巻き取り部12の合わせ面12aに設けた凹部41に収納することができる折り畳み構造のものが好適である。
【0027】
次に、本発明の表示装置を説明する。表示装置39は、前述した照明装置の照明シートの代わりに、図示していない表示シート(本発明の発光シート)を用いる。また、点灯操作部材15の代わりに、図8に示すように、表示操作部材42が設けられている。
【0028】
表示シートには、有機EL素子を用いた表示部が内蔵されている。表示部を駆動する駆動回路としては、画像表示制御部43、データドライバ44、走査ドライバ45、及びメモリ46等で構成される。画像表示制御部43には、メモリカード用のドライブ47が接続されている。ドライブ47のスロット48は、巻き取り部12の外部に露呈している。スロット48にはメモリカード49が着脱自在に挿入される。
【0029】
ドライブ47は、メモリカード49に記憶されている画像データを読み取り、その画像データを画像表示制御部43に送る。画像表示制御部43には、メモリ46が接続されており、読み出した画像データはメモリ46に格納される。画像表示制御部43は、表示操作部材42の操作に応答して、メモリ46に格納した画像データに基づいて走査信号とデータ信号を生成し、走査信号を走査ドライバ45に、データ信号をデータドライバ44にそれぞれ送る。走査ドライバ45は、走査信号に対して増幅等の予め設定した処理を施した後に摺動式の接続端子を介して表示部に送る。他方、データドライバ44は、データ信号に対して同様の増幅等の予め設定された処理を施した後に、摺動式の接続端子を介して表示部に送る。走査信号は表示部の各陰極の一端部である陰極引出部に供給され、また、データ信号は、表示部の各陽極の一端部である陽極引出部に供給される。これら走査信号とデータ信号が各々陰極引出部と陽極引出部とに供給されるごとに表示部の表示面に画像が表示される。
【0030】
なお、前述した照明装置10、及び表示装置39は、電源電池38を使用しているが、巻き取り部12の内部に電源回路を、また巻き取り部12の外部に電源コネクタをそれぞれ設けて、商用電源を利用してもよい。前記電源回路としては、例えばトランス、整流器、及び平滑化コンデンサ等からなる交流−直流変換回路をもって構成することができる。また、表示装置39としては、例えばUSB端子やLAN端子等の画像データ入力用の外部接続端子を巻き取り部12の外部に設け、外部から直接に画像データを取り込むように構成してもよい。また外部接続端子の代わりに、無線LAN機能を巻き取り部12の内部に搭載して画像データを無線で取り込むようにしてもよい。
【0031】
上記各実施形態では、電源電池38、又は商用電源を利用しているが、図9に示すように、巻き取り軸20に発電機52を連結し、発電機52から得られる電源を利用して照明部、あるいは表示部等を駆動してもよい。この場合には、発電機52で発電された交流電流を整流回路53で直流電流に変換して蓄電池54に送り、蓄電池54に蓄えられた電源を利用して画像表示制御部43等の各回路を駆動すればよい。発電機52を巻き取り部12に内蔵することでコンパクトな形状を維持することができる。
【0032】
図9で説明した発電機52は巻き取り軸20の回転を利用して発電するものであるが、図10に示す発電機55は、巻き取り部12を長手方向に振ることで発電するタイプである。巻き取り部12の内部に長手方向に長くしたスペースが形成されており、このスペースの中に、発電機55を構成するコイル56と可動式の磁石57が置かれていて、振ると磁石57がコイル56の中を往復して発電する。
【0033】
なお、発電機の代わりに、太陽電池パネルを用いても良い。太陽電池パネルは、太陽電池(セル)を複数枚直並列接続して必要な電圧と電流を得られるようにしたパネル状のものである。この太陽電池パネルの発生電力を整流器で整流し、整流した電力の電圧変換を直流変換器で変換して、電圧変換した電力を蓄電池で蓄電して使用すればよい。太陽電池パネルは、巻き取り部の表面に設けても良いし、照明シート11、又は表示シートの裏面に取り付けてもよい。
【0034】
上記各実施形態では、照明シート11、又は表示シートを手動で引き出すようにしているが、この引き出しを自動的に行うように構成してもよい。この場合には、図11に示すように、送り出し操作部材60を巻き取り部12の外部に設け、また巻き取り部12の内部に制御部61、ドライバ62、モータ63、及び送り出し量検出部64を内蔵する。送り出し操作部材60の操作に応答して制御部61がモータ63を送り出し方向に駆動するようにドライバ62を制御する。モータ63の回転軸は巻き取り軸20に連結されている。送り出し操作部材60を再び操作すると、制御部61がモータ63の駆動を停止する。送り出し操作部材60を繰り返し操作することで引き出し量を調節することができる。
【0035】
最大引き出し量に到達した場合には、送り出し量検出部64がその旨の信号を制御部61に送ることで、制御部61がモータ63の駆動を停止する。送り出し量検出部64としては、巻き取り軸20、又はモータ63の回転角を検出するロータリ・エンコーダを用いるのが好適である。送り出し量検出部64が最大送り出し量を検知している場合に送り出し操作部材60を操作すると、制御部61は、モータ63を逆方向に駆動して巻き取る。送り出し量がゼロである初期位置を検出すると、制御部61はモータ63の駆動を停止する。なお、過負荷保護の目的で、モータ63と巻き取り軸20との間にトルクリミッターを設けておくのが好適である。
【0036】
また、特定の音声に反応して自動的に引き出すように構成してもよい。この場合には、図12に示すように、マイク66、アンプ67、A/D68、メモリ69、D/B(データーベース部)70、制御部71、モード切替操作部材72、送り出し量検出部64、ドライバ62、及びモータ63を設ける。送り出し量検出部64、ドライバ62、及びモータ63は、図11で説明したものと同じ構成であるので、同符号を用いて詳しい説明を省略する。
【0037】
マイク66は、音声を取得して音声信号をアンプ67に出力する。アンプ67は、音声信号を増幅してA/D68に出力する。A/D68は、アナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換して制御部71に送る。メモリ69は、取得した音声信号を一旦記憶するためのものである。D/B70には、基準となる特定の音声の特徴データが登録される。制御部71は、入力される音声信号から音声の特徴データを抽出して、そのデータとD/B70に格納されている基準の音声の特徴データとを照合し、一致することに応答してドライバ62を介してモータ63の駆動を制御する。モード切替操作部材72は、登録モードと通常モードを切り替えるための操作部であり、巻き取り部12の外部に露呈して設けられている。
【0038】
登録モードに切り替えることで、制御部71は入力された音声信号を特定の音声信号としてその特徴データを抽出してD/B70に登録する。D/B70には、マイク66からの入力より不特定話者の任意の単語を複数登録することができる。通常モードでは、制御部71が特定の音声を認識することに応答してドライバ62を介してモータ63を駆動して照明シート11、又は表示シートを延出させる。なお、表示シートの場合には、計数回路(タイマ回路)を設けて、一定時間経過後に自動的に巻き取るように構成してもよい。なお、前述したマイク66、アンプ67、及びA/D68が本発明の音声入力手段に、制御部71が音声抽出部に、制御部71とD/B70が音声照合部に、それぞれ相当する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、撮像画像や再生画像を表示する表示部を有するデジタルカメラや情報を表示する表示部を有する情報表示端末装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 照明装置
11 照明シート
12 巻き取り部
13 引き出し部
23〜26 磁石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を用いた発光面を有する可撓性の発光シートと、
前記発光シートを一端から巻き取る巻き取り室を内蔵する巻き取り部と、
前記発光シートの他端が固定されており、前記巻き取り部から離間することで前記発光シートを引き出す引き出し部と、を備えた発光装置において、
前記巻き取り部と前記引き出し部とに、相手側取り付け対象になる被取付部との間で着脱自在に固定される固定部材を設けたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記引き出し部と前記巻き取り部とは、互いを合わせるための合わせ面をそれぞれ有し、双方の合わせ面に前記固定部材が設けられており、互いの合わせ面を合わせたときに平面外形輪郭が略円形、又は多角形になることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸が回転する動作、又は前記巻き取り部を振る動作により発電する発電機と、
前記発電機で発電された交流電流を直流電流に変換する整流器と、
前記直流電流を蓄える蓄電池と、を備え、前記発光素子は、蓄電池に蓄えた直流電流を利用して発光することを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、
前記巻き取り部の外部に設けられている送り出し操作部材と、
前記巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、
前記巻き取り軸の引き出し量を検出する送り出し量検出部と、
前記送り出し操作部材の操作に応答して前記モータを駆動する制御部と、を備えていることを特徴する請求項1ないし3いずれか記載の発光装置。
【請求項5】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、
前記巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、
発話時の音声が入力される音声入力部と、
入力された音声の特徴データを抽出する音声抽出部と、
前記音声の特徴データと予め決められている特定の音声の特徴データとを照合する音声照合部と、
前記照合部による照合結果が一致した場合に前記モータを駆動する制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の発光装置。
【請求項1】
発光素子を用いた発光面を有する可撓性の発光シートと、
前記発光シートを一端から巻き取る巻き取り室を内蔵する巻き取り部と、
前記発光シートの他端が固定されており、前記巻き取り部から離間することで前記発光シートを引き出す引き出し部と、を備えた発光装置において、
前記巻き取り部と前記引き出し部とに、相手側取り付け対象になる被取付部との間で着脱自在に固定される固定部材を設けたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記引き出し部と前記巻き取り部とは、互いを合わせるための合わせ面をそれぞれ有し、双方の合わせ面に前記固定部材が設けられており、互いの合わせ面を合わせたときに平面外形輪郭が略円形、又は多角形になることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸が回転する動作、又は前記巻き取り部を振る動作により発電する発電機と、
前記発電機で発電された交流電流を直流電流に変換する整流器と、
前記直流電流を蓄える蓄電池と、を備え、前記発光素子は、蓄電池に蓄えた直流電流を利用して発光することを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、
前記巻き取り部の外部に設けられている送り出し操作部材と、
前記巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、
前記巻き取り軸の引き出し量を検出する送り出し量検出部と、
前記送り出し操作部材の操作に応答して前記モータを駆動する制御部と、を備えていることを特徴する請求項1ないし3いずれか記載の発光装置。
【請求項5】
前記巻き取り室に回転自在に設けられ前記発光シートの一端が固定されている巻き取り軸と、
前記巻き取り軸を引き出し方向に駆動するモータと、
発話時の音声が入力される音声入力部と、
入力された音声の特徴データを抽出する音声抽出部と、
前記音声の特徴データと予め決められている特定の音声の特徴データとを照合する音声照合部と、
前記照合部による照合結果が一致した場合に前記モータを駆動する制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−49411(P2011−49411A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197627(P2009−197627)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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