説明

発光装置

【課題】半田等の導電性の接着部および材との接合強度の向上および実装精度の向上が可能である発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光素子50と、発光素子50を収納するパッケージ本体30と、パッケージ本体30の対向する面からそれぞれ突出した一対のリード10,20と、を備える発光装置である。一対のリード10,20は、それぞれ、パッケージ本体30の側面と同一平面に配置されリード基材が露出した第1側面11,21と、リード10,20の終端面であり、その表面が金属層で被覆された第2側面12,22と、を有し、第1側面11,21に、その表面が金属層で被覆された凹部14,24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、照明器具、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源、照明補助光源等に利用可能な発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な半導体装置が提案され、また、実用化されており、これらに求められる性能も高くなっている。半導体装置の中でも発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)をはじめとする発光装置については、更なる高出力(高輝度)化や信頼性の向上が要求されていると同時に、これらの特性を満たしつつ、低価格で安定供給することも要求されている。
【0003】
従来、発光装置として、金属配線を有したプリント配線基板と一体成形された熱硬化性樹脂からなる樹脂部を備えるパッケージ基板と、このパッケージ基板の上面側に設けられた凹部に収容されたLED素子と、凹部内に充填されてLED素子を被覆する透明な封止樹脂とを備えたものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
図9(a)は、従来の発光装置の製造方法を示す斜視図であり、図9(b)は従来の発光装置を示す斜視図である。この発光装置は、まず、平板状のプリント配線板やリードフレーム上に、光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入して加熱加圧成型し、複数の凹部を有する、マトリックス状の光半導体素子搭載用パッケージ基板401を作製する。そして、この光半導体素子搭載用パッケージ基板401をダイシングライン402に沿って切断する。これによって、図9(b)に示す発光装置403を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−235085号公報
【特許文献2】特開2010−062272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、個片化の際に、全ての側面においてリードが樹脂と共に切断される発光装置は、リードの露出面積が少なく、また、切断面であるリードの側面はメッキ処理されていない面となるため、リードの側面に半田等の接着部材が這い上がり難く、実装時の接合強度や実装精度が十分ではなかった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、接着部材との接合強度の向上および実装精度の向上が可能である発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、発光素子と、発光素子を収納するパッケージ本体と、パッケージ本体の対向する面からそれぞれ突出した一対のリードと、を備え、一対のリードは、それぞれ、パッケージ本体の側面と同一平面に配置されリード基材が露出した第1側面と、リードの終端面であり、その表面が金属層で被覆された第2側面と、を有し、第1側面に、その表面が金属層で被覆された凹部が設けられた。
【0009】
この発光装置においては、凹部は、リードの底面及び第1側面から凹んだ段差であることが好ましい。
また、リードは、さらに、第1側面と第2側面とを接続し、その表面が金属層で被覆された第3側面を有することが好ましい。
凹部は、リードの底面と第1側面と第3側面とから凹んだ段差であることが好ましい。
凹部は、曲面で構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光装置は、発光装置の実装に用いられる半田等の導電性の接着部材との接合強度を向上することができ、さらに、実装精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置を示す平面図および側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の発光装置の実装形態の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置を示す平面図および側面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る発光装置の製造工程を説明するための平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る発光装置の製造工程を説明するための平面図である。
【図9】従来の発光装置の製造工程および発光装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る発光装置を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。本明細書において、個片化された後の発光装置には、リード、パッケージ本体なる用語を用い、個片化される前の段階では、リードフレーム、樹脂成形体なる用語を用いる。
【0013】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る発光装置を説明する。図1(a)は第1の実施の形態に係る発光装置100を示す平面図であり、図1(b)は第1の実施の形態に係る発光装置100を示す側面図である。図2は第1の実施の形態に係る発光装置100を示す断面図である。図3(a)は第1の実施の形態に係る発光装置100を示す上面からの斜視図であり、図3(b)は第1の実施の形態に係る発光装置100を示す底面からの斜視図である。
【0014】
図1〜図3に示すように、発光装置100は、パッケージ本体30と、パッケージ本体30の対向する面からそれぞれ突出した一対のリード10,20と、パッケージ本体30のキャビティ内に収納された発光素子50と、パッケージ本体30のキャビティ内に充填されて発光素子50を被覆する透光性の封止部材40とを備えている。発光素子50のp電極およびn電極は、それぞれ、金属ワイヤ60を介してリード10,20と電気的に接続されている。
【0015】
リード10は、パッケージ本体30の側面と同一平面に配置された第1側面11と、リード10の終端面である第2側面12と、を有し、第1側面11には凹部14が設けられている。また、リード20も同様に、第1側面21と第2側面22とを有し、第1側面21には凹部24が設けられている。凹部14,24は、底面15,25から凹んだ段差として設けられているため、平面図である図1(a)においては破線で示す。リード10,20は、リード基材の一部に金属層が形成された部材であり、リード10,20の表面のうち金属層によって被覆されている領域を、図3(a)および(b)において斜線で示す。図3(a)および(b)に示すように、パッケージ本体30と同一平面に配置された第1側面11,21はリード基材が露出しており、第2側面12,22、凹部14,24は金属層で被覆されている。また、底面15,25や上面も金属層で被覆されている。
【0016】
発光装置100は、第2の実施の形態において詳述するように、リード基材の表面に金属層を形成した板状のリードフレームにパッケージ本体となる樹脂成形体を成形し、リードフレームと樹脂成形体とを一括で切断することで個片化し、製造する。このように製造することによって、低コストで小型の発光装置を得ることができるが、一方で、樹脂成形体と共に一括切断されたリードの側面はリード基材が露出する面となり、金属層が形成された面よりも半田等の導電性の接着部材が接着し難い面となる。そこで、発光装置100は、第2側面12,22をパッケージ本体30から突出させて非切断面としている。これによって、第2の側面12,22を金属層で被覆された面とすることができ、接着部材との接着面積を拡大できる。
【0017】
発光装置100の実装形態の一例を、図4(a)に示す。図4(a)は図2に示す断面図に対応している。図4(a)に示すように、接着部材70によって実装基板80に発光装置100を接着すると、金属層(図示せず)で被覆された第2側面12,22に接着部材70が這い上がり、フィレット状の這い上がり部が形成され、接合強度が向上する。さらに、このような這い上がり部によって、図4(a)において矢印で示すように、発光装置100を図中左右方向に引っ張る力が加えられるため、対向する2方向の引っ張りによって発光装置100の実装ずれを抑制でき、実装精度を向上させることができる。
【0018】
発光装置100は、さらに、リード基材が露出した第1側面11,21に、金属層で被覆された凹部14,24が設けられている。第1側面11,21は、リード基材が露出した面であるため接着部材が這い上がり難いが、凹部14,24は、第2側面12,22と同様に金属層で被覆されており、接着部材が良好に這い上がる。これによって、さらに接合強度を向上できるとともに、図1(a)中の左右方向に加えて、凹部14,24の開口方向である上下方向に引っ張る力が加えられ、図中の上下左右方向における発光装置100の実装ずれを抑制でき、実装精度をさらに向上させることができる。なお、ここで示す図中の上下方向と左右方向とは、互いに垂直に交わる方向である。
【0019】
また、発光装置100の実装形態の一例を図4(b)に示す。図4(b)はリード10の両側に配置された2つの凹部14を横断する断面の模式図である。図4(b)に示すように、リード基材が露出した第1側面11には接着部材70が這い上がり難いが、金属層で被覆された凹部14には接着部材70を這い上がらせることができる。さらに、このように凹部14を段差形状とすることで、凹部14内の天井部分にも接着部材70を這い上がらせることができ、さらに接合強度を向上できる。
【0020】
以下、各部材について詳述する。
【0021】
(リード)
リード10,20は正負一対となるように所定の間隔を空けて設ける。上述のように、パッケージ本体30から突出したリード10,20のうち、第1側面11,21はリード基材が露出した面であり、第2側面12,22および凹部14,24は金属層で被覆された面である。リード10,20の上面も金属層で被覆することができ、キャビティの内底面で露出するリード10,20の上面も金属層で被覆されていることが好ましい。金属層はメッキによって形成することができる。このメッキ処理は、個片化前の任意のタイミングで行うことができ、予めメッキ処理を施したリードフレームを用いることもできる。
【0022】
リード基材としては、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体の金属板が用いられる。金属層としては、半田等の接着部材との密着性がリード基材よりも良好な材料が用いられる。金属層を発光素子の載置面にも形成する場合には、発光素子からの光の反射率を高めるために、その最表面を、銀、アルミニウム、銅、金、またはこれらの合金とすることが好ましい。
【0023】
リード10,20は、パッケージ本体30から0.1mm以上突出していることが好ましい。これにより、発光装置100を実装基板などに接着する際に、リード10,20が突出していることに接着部材のフィレット状の這い上がりが容易に形成され、実装精度の向上、接合強度の向上を図ることができる。発光装置100の小型化のためには、リード10,20の突出長さを、少なくともリード10,20の幅よりも小さくすることが好ましく、さらに好ましくは半分以下、さらには20%以下にすることが好ましい。好ましくは、リード10,20を、その厚みと同程度に突出させる。リード10,20の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば0.1mm以上1mm以下とする。
【0024】
また、リード10,20は、略長方形状のパッケージ本体30の短辺側から突出することが好ましい。これによって、長辺側から突出する場合よりも第2側面12,22を幅狭とでき、第2側面12,22における接着部材との接触面積と、凹部14,24における接着部材の接触面積との差を小さくできるためである。接触面積の差を小さくすることで、接着部材の這い上がりによる引っ張り強度の差も小さくできるので、比較的良好なバランスで各方向に引っ張ることができ、実装精度をさらに向上できる。
【0025】
また、リード10,20の突出部と反対側、つまりパッケージ本体30に被覆される側は、リード10,20の上面だけでなく側面もパッケージ本体30に被覆されるように突出部よりも幅狭とすることが好ましい。これによって、リード10,20とパッケージ本体30との密着力を向上でき、また、製造時における熱履歴による応力を緩和することができる。具体的には、図3(b)に示すように、リード10,20の上面がパッケージ本体30に被覆される領域において、突出部と連続する部分は突出部と同じ幅の幅広部としてその側面を露出させ、それよりも内側は突出部よりも幅の狭い幅狭部としてその側面をパッケージ本体30に被覆させる。幅広部の長さは、特に限定されるものではないが、突出部の長さと同程度かそれよりも短い長さで設けることができる。
【0026】
(凹部)
凹部14,24は、第1側面11,21から凹んだ面であり、金属層で被覆されている。切断面である第1側面11,21から凹んだ面であることで、非切断面とすることができ、金属層で被覆されたまま個片化することができる。図1(a)および(b)に示すように、凹部14,24は第2側面12,22から離間した位置に設けられる。凹部14,24は、曲面で構成することで、接着部材が充填され易く、また、接着部材との接触面積を拡大することができる。さらに好ましくは、発光装置100の底面側から見て、弧状に凹んだ凹部とする。凹部14,24は、発光装置100の四隅に同一の形状および大きさで設けることが好ましい。また、凹部14,24は、第2側面12,22の面する方向、つまり第2側面12,22の法線方向とは異なる方向に開口した形状で設けられ、好ましくは、第2側面12,22の法線方向に対して垂直な方向に開口した形状とする。
【0027】
図1〜3に示す凹部14,24はリード上面まで貫通しない段差である。このように底面から凹んだ段差形状であれば、リード上面に現れない。リードの底面から上面まで貫通した欠け形状であれば、パッケージ本体30に近接した位置に形成すると、パッケージ本体30を成形する上側金型がずれた際にリードの欠けを介して成形用の樹脂が漏れる場合があるが、このようにリード上面まで貫通しない段差形状とすることで、上側金型がずれたとしても樹脂漏れが発生しないため、パッケージ本体30に近接した位置に形成できる。これによって、リード10,20の突出長さの増加を抑制でき、発光装置100を小型化できる。
【0028】
また、段差であれば、欠けの場合よりも接着部材の這い上がり量が減少するため、凹部の開口方向における接着部材の回り込み量が減少し、接着部材の広がりの抑制が期待できる。例えば、本実施形態の発光装置100であれば、図1(a)における上下方向の接着部材の広がりの抑制が期待できる。このような発光装置は、特に、発光装置の短辺側を向かい合わせて複数個配置するバー状光源用として適している。さらに、段差形状は、上述したように段差の天井部分にも接着部材を這い上がらせることができ、接着部材の接触面積を拡大できるので、接着部材の広がり抑制と接合強度の向上とを両立させることができる。また、段差の高さは、リード10,20の厚みの1/4〜4/5程度とすることが好ましく、特に好ましくは半分程度とする。
【0029】
また、凹部14,24は、リード上面まで貫通した欠け形状とすることもできる。欠け形状であれば、接着部材との接着面積を拡大でき、接合強度を向上できる。凹部を欠け形状とする場合には、パッケージ本体30の成形時に金型ずれによる樹脂漏れを防止するために、パッケージ本体30よりもリード終端面(第2側面12,22)に近い位置に配置することが好ましい。
【0030】
(パッケージ本体)
パッケージ本体30としては、リード10,20を絶縁可能な絶縁性の部材を用いる。また、発光素子50の発光に対する反射率が高い材料で構成することが好ましい。波長350nm〜800nmにおける光反射率が70%以上であることが好ましく、波長420nm〜520nmの光反射率が80%以上であることが特に好ましい。このような材料としては、透光性の熱硬化性樹脂に光反射性物質を充填したものが挙げられる。透光性の樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を用いることができるが、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
【0031】
パッケージ本体30の外形は、リード10,20を突出させる面として、少なくとも対向する一対の面を備える形状であることが好ましい。図1および図2に示すような略直方体に限定されず、略立方体、略六角柱、または、発光面側から見て他の多角形状となる外形とすることもできる。パッケージ本体30の高さは、特に限定されるものではないが、0.1mm以上とするのが好ましい。
【0032】
パッケージ本体30には、内底面と内側面とを持つ凹状のキャビティを形成することができる。キャビティの内底面にはリード10,20が配置される。キャビティは発光面側から見て、略円形形状、略楕円形状、略四角形形状、略多角形形状及びこれらの組合せなど種々の形状を採ることができる。キャビティは開口方向に拡がる形状となっていることが好ましいが、筒状となっていても良い。
【0033】
(封止部材)
封止部材40の材質は、例えば熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂である。封止部材40は、発光素子を保護するため硬質のものが好ましい。また、封止部材40は、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。封止部材40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光体、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。また、所望外の波長をカットする目的で、封止部材40に有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。
【0034】
(発光素子)
発光素子50は、フェースアップ構造のものを使用することができるほか、フェースダウン構造のものも使用することができる。発光素子50の大きさは特に限定されない。また、発光素子10は、複数個使用することができ、全て同種類のものでもよく、光の三原色となる赤・緑・青の発光色を示す異種類のものでもよい。この発光素子50は、発光ピーク波長が350nm〜800nmのものを使用することができる。特に、窒化物系半導体からなる発光素子50を用いる場合には、420nm〜550nmの可視光の短波長領域に発光ピーク波長を有するものを用いることが好ましい。発光素子50は、例えば、エポキシ、シリコーン等の樹脂、Au−Sn共晶などの半田、銀、金、パラジウム等の導電性ペースト、低融点を有する金属等のろう材等によってリード10,20に接合される。
【0035】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る発光装置を説明する。図5(a)は第1の実施の形態に係る発光装置200を示す平面図であり、図5(b)は第1の実施の形態に係る発光装置200を示す側面図である。図6(a)は第1の実施の形態に係る発光装置200を示す上面からの斜視図であり、図6(b)は第1の実施の形態に係る発光装置200を示す底面からの斜視図である。本実施形態に係る発光装置は、リード210,220の形状が異なる以外は、第1の実施の形態に係る発光装置と同様の構成を採用できる。また、第1の実施の形態に係る発光装置と共通する部材は同じ符号とし、説明を省略する。
【0036】
図5および図6に示すように、発光装置200は、パッケージ本体30と、パッケージ本体30の対向する面からそれぞれ突出した一対のリード210,220と、パッケージ本体30のキャビティ内に充填されて発光素子を被覆する透光性の封止部材40とを備えている。リード210,220は、正負一対の電極として用いられる。
【0037】
リード210は、パッケージ本体30の側面と同一平面に配置された第1側面211と、リード210の終端面である第2側面212と、第1側面211と第2側面212を接続する第3側面213と、を有し、第1側面211には凹部214が設けられている。第3側面213は、第1側面211や第2側面212と同様に、リード210の上面から底面までを繋ぐ面であり、図5(a)に示すように、平面視において、第1側面211および第2側面212のいずれとも異なる角度で配置された面である。好ましくは、凹部214の開口方向とは異なる方向に面するように、第3側面213を配置する。また、リード220も同様に、第1側面221と第2側面222と第3側面223を有し、凹部224が設けられている。凹部214,224は、底面215,225から凹んだ段差であって上面には現れないため、平面図である図5(a)においては破線で示す。また、リード210,220の表面のうち金属層によって被覆されている領域を、図6(a)および(b)において斜線で示す。図6(a)および(b)に示すように、パッケージ本体30と同一平面に配置された第1側面211,221はリード基材が露出しており、第2側面212,222、凹部214,224は金属層で被覆されている。また、底面215,225や上面も金属層で被覆されている。
【0038】
金属層で被覆された第3側面213,223を設けることで、第3側面213,223にも半田等の接着部材を這い上がらせることができる。これによって、接着強度がさらに向上する。また、第2側面212,222の面する方向および凹部214,224の開口方向のいずれとも異なる方向に面する第3側面213,223を設けることで、発光装置200に、第2側面212,222および凹部214,224とは異なる方向への引っ張りが加えられるので、さらに実装ずれを抑制でき、実装精度を向上できる。
【0039】
凹部214は、図5および図6に示すように、底面215と第1側面211と第3側面213とから凹んだ段差とすることが好ましい。凹部224も同様である。これによって、第3側面213,223の接着部材との接触面積を確保しながら、狭い範囲に凹部214,224と第3側面213,223の両方を形成することができるので、発光装置を小型化できる。また、後述するように、個片化時に刃が切り込む位置のリード厚みを薄くできるので、切り込みやすく、切断時間を短縮することができる。第3側面213,223および凹部214,224は、図5および図6に示すように、発光装置200の四隅に同一の形状および大きさで設けることが好ましい。
【0040】
図5および図6に示すように、リード210,220に貫通孔を設け、その貫通孔内にパッケージ本体30aを充填してもよい。これによって、リードとパッケージ本体との密着性を向上することができる。貫通孔は、図5および図6に示すように、その一部がリード210,220の突出部分に配置されるように形成することで、リード210,220の突出部分にパッケージ本体の一部30aが形成され、リードとパッケージ本体との剥離を抑制できる。
【0041】
また、図5および図6に示すように、第1側面211,221と同一平面であって、且つ、これらから離間した位置に、リード210aが露出していてもよい。リード210aは、個片化前のリードフレーム状態において、隣接する発光装置と連結されていた部分であり、個片化時に第1側面211,221と同様に切断された切断面である。
【0042】
(発光装置の製造方法)
図5および図6に示す発光装置200は、図7に示すリードフレーム90を用意する工程と、図8に示すように、リードフレーム90のスリット91に沿って連続する樹脂成形体94を形成する工程と、隣り合うスリットの孔部91aおよび凹部92を結ぶラインに沿って、リードフレーム90及び樹脂成形体94を切断し、個片化する工程と、を主に有する製造方法によって製造することが好ましい。
【0043】
まず、リードフレーム90について説明する。リードフレーム90は、平板状の金属板に打ち抜き加工やエッチング加工等を行ったものである。図7に示すリードフレーム90は、個片化後に発光装置となる発光装置部がマトリクス状に配置されており、発光装置部を行ごとに分離する線状のスリット91が形成されている。線状のスリット91は、列方向(図中左右方向)に長い形状である。さらに、隣接する発光装置部間に、スリット91を幅広とする孔部91aと、孔部91aの一部と連続する位置でリードフレーム90の底面から凹んだ段差である凹部92と、が形成されている。なお、凹部92は底面から凹んだ段差であるため、上面から見た平面図である図7においては破線で示す。
【0044】
また、リードフレーム90は、隣接する複数の発光装置部を離間させるための貫通孔93a、個片化後のリードを正負一対の電極とする絶縁部を設けるための貫通孔93b、樹脂成形体との密着性向上のための貫通孔93cなどを備えてよい。後の工程において、これらの貫通孔93a,93b,93cには樹脂成形体が充填される。
【0045】
このような貫通孔や段差は、エッチング加工によって形成することが好ましい。例えば、リードフレーム厚みの半分程度が加工される条件で、上面および底面からそれぞれエッチング加工することで、貫通孔や段差を形成することができる。このとき、貫通孔は、上面および底面の両方から加工することで形成でき、段差は、いずれか一方の面のみから加工することで形成できる。このような加工は、上面と底面とで異なるマスクパターンを用いることで行うことができる。また、エッチング加工による加工面は曲面となることから、エッチング加工によって段差を形成することで、曲面で構成された段差を容易に得ることができる。
【0046】
次に、図8に示すように、リードフレーム90の列方向(図中左右方向)に一体となった一列の樹脂成形体94を複数形成する。樹脂成形体94は、例えば、リードフレーム90を上金型と下金型とで挟み込み、樹脂をトランスファ・モールドして形成する。図8に示すように、樹脂成形体94は、複数の発光装置の長辺側が接続された形状とすることが好ましい。
【0047】
リード基材に金属層を形成するメッキ処理は、樹脂成形体94の形成前に行うこともできるが、樹脂成形体94の形成後に行うことが好ましい。リードフレームの表面状態は、メッキ処理前のほうが粗面であるため、メッキ処理前に樹脂成形体を形成することで、リードフレームと樹脂成形体との密着性を向上することができる。
【0048】
そして、図8に一点鎖線で示す分割予定線に沿って切断し、個片化する。分割予定線は、行方向(図中上下方向)に伸びており、この位置でリードフレーム90と樹脂成形体94を一括で切断することによって、図5および図6に示す発光装置200を得ることができる。なお、ここで示す列方向と行方向は、互いに垂直に交わる方向である。このとき、分割位置に段差形状の凹部92が設けられていることで、個片化用の刃が切り込む位置のリード厚みを薄くできるため、切り込みやすく、切断時間を短縮することができる。
【0049】
また、図8に示すように、複数の発光装置部をスリット91によって予め行ごとに分離しているため、行方向の切断のみで完全に個片化でき、工程数を低減することができる。また、樹脂成形体94を行ごとに分離していることで、製造工程中の熱履歴によるリードフレーム90と樹脂成形体94への応力が行ごとに独立して加えられるため、全ての樹脂成形体が繋がっている場合と比較して応力が緩和され、リードフレーム90の反りが抑制される。また、リードフレーム90と熱膨張係数の異なる樹脂成形体94を、リードフレーム90の上面だけでなく側面も被覆するように形成することで、熱履歴による応力をさらに緩和することができる。
【符号の説明】
【0050】
100,200 半導体装置
10,20,210,210a,220 リード
11,21,211,221 第1側面
12,22,212,222 第2側面
213,223 第3側面
14,24,214,224 凹部
15,25,215,225 底面
30,30a パッケージ本体
40 封止部材
50 発光素子
60 金属ワイヤ
70 接着部材
80 実装基板
90 リードフレーム
91 スリット
91a 孔部
92 凹部
93a,93b,93c 貫通孔
94 樹脂成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を収納するパッケージ本体と、
前記パッケージ本体の対向する面からそれぞれ突出した一対のリードと、を備え、
前記一対のリードは、それぞれ、前記パッケージ本体の側面と同一平面に配置されリード基材が露出した第1側面と、前記リードの終端面であり、その表面が金属層で被覆された第2側面と、を有し、
前記第1側面に、その表面が金属層で被覆された凹部が設けられた発光装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記リードの底面及び前記第1側面から凹んだ段差である請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記リードは、さらに、前記第1側面と前記第2側面とを接続し、その表面が金属層で被覆された第3側面を有する請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記リードの底面と前記第1側面と前記第3側面とから凹んだ段差である請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記凹部は、曲面で構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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