説明

発光装置

【課題】発光装置の色度を安定化させること、外力の影響に対して強くすること、及び熱抵抗の低い発光装置を実現する。
【解決手段】発光装置の発光ダイオードチップ24は、カバーとして働き発光ダイオードチップへの外力を軽減できる堅い樹脂で形成された透光性部材20とこの透光性部材20より柔らかい色度調整用樹脂の2種の樹脂で覆われており、透光性部材20には、発光ダイオードチップ24の光出射方向に設けた指向性を調節するよう形成したレンズ20−1部の近辺に樹脂注入口及び空気抜き口が設けられ、樹脂注入口及び空気抜き口以外の部分は密閉構造となっており、更に、容器内には樹脂注入口より注入された染料もしくは顔料もしくは蛍光体を混入した色度調整用樹脂が充填されていて、色度調整用樹脂は樹脂内において染料もしくは顔料もしくは蛍光体が発光ダイオードチップ24側に位置が安定するよう沈殿した状態で固化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の照明装置、カメラのフラッシュ等に使用する発光装置、特に発光ダイオードを光源とする発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の照明装置、カメラのフラッシュ等に使用する発光装置、特に発光ダイオード(以下LEDと略記する)を光源とする発行装置はポッティング方式もしくはトランスファー成形によって樹脂封止されている。
【0003】
しかし、LED光源においては封止樹脂に染料もしくは顔料もしくは蛍光体を混入し、該染料もしくは顔料もしくは蛍光体によって色度補正をすることが一般的になっているため、封止樹脂の量を一定にすることが色度を安定させる上で重要である。
ところが、ポッティング方式は製造設備が比較的安定ではあるものの、機械によって樹脂の排出時間、排出圧力を制御しているため、機械精度による樹脂量すなわち蛍光体量のばらつきが生じてしまう。またそれに加えて環境条件の影響も受けてしまい樹脂量の管理が難しい。その結果LED発光装置色度を安定化させることは困難であった。
【0004】
また、トランスファー成形を用いれば、ポッティング方式よりは樹脂量を管理できるが、後述するように使用する樹脂に制約が出てしまうこと、金型が非常に高価なため製造設備投資が大きくなってしまうこと、金型を用いるためには樹脂に樹脂と金型とが接着されてしまわないように離型剤を混入する必要があり、該離型剤が発光装置の光学特性に影響を及ぼしたり、発光装置の他の部品と透明樹脂との接着強度を弱くすること、というような問題を生じてしまう。
【0005】
さらにまた、リードフレーム上にLEDチップを実装してトランスファーモールドにより成形すると、製品の厚さを厚くせざるを得ないということも指摘されている(例えば、特許文献1の段落番号〔0007〕参照)。
【0006】
第2の問題はLEDを保護する封止樹脂強度の問題である。
樹脂は発光装置の光を出力するために、カバーなどで覆われていなく露出しているため、外力の影響を受けやすい。しかし、外力の影響を緩和するために高硬度の樹脂を用いると剥離等の問題で信頼生上問題となるし、樹脂封止の際にLEDチップを電気的に接続するワイヤーがダメージを受けて大きく変形してしまう傾向もある。
【0007】
第3の問題は発光装置パッケージの熱抵抗問題で、例えば、エポキシのような従来の封止樹脂は発光源からの熱を放射しにくいため、発光装置の熱が上昇→VF値下がる→さらに電流が流れる→さらに熱が上がって絶対最大定格を超える→保障範囲外となる、の破綻過程に入ってしまうおそれがあった。
【0008】
この問題に関しては多くの提案がある。
例えば、基板に穴を開けて基板の裏面に設けた金属の上にLEDチップを実装し、LEDチップから放熱特性を向上させると同時に、発光装置の薄型化及び発光効率の改善を実現しようという提案がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしこの提案にも第1の問題である色度の安定化、第2の問題である封止樹脂強度の問題については触れられていない。
【0009】
また基本的には特許文献1と同様の手法について述べたものだが、基板に穴を開ける方法を詳述し、封止をトランスファーモールドによると良いと述べた提案もある(例えば特許文献3参照)。
この提案に関しても第1の問題である色度の安定化、第2の問題である封止樹脂強度の問題については触れられていないことは同様である。
【0010】
さらに、低熱抵抗、薄型パッケージにおいて、封止の際の気泡を減少させて式度を安定化させようという提案もある(例えば特許文献2参照)。
しかし、この提案は気泡が無ければ色度が安定することを前提としており、気泡が無くても不安定な色度問題の解決、外力の影響の問題解決を目指す本願発明とは、目的及び手段を異にしている。
【0011】
これとは別に、特許文献4には、LEDを実装した回路基板10にカバー60を設けこのカバーの中にカプセル剤76を封入した構成が開示されていて、このカプセル剤を基板に開けた開口部80,82より封入する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3137823号
【特許文献2】特開2000−12576号
【特許文献3】特開2003−31850号
【特許文献4】特表2007−535175号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする第1の課題は、発光装置の色度を安定化させることであり、第2の課題は外力の影響に対して強くすることであり、第3の課題は第1と第2の課題を解決しつつ熱抵抗の低い発光装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の発光装置は、光源となる発光ダイオードチップを実装する基材と、該発光ダイオードチップの光出射方向に設け且つほぼ透明または拡散効果を持たせた樹脂より成る透光性部材とより容器を形成した発光ダイオード発光装置において、前記発光ダイオードチップは、カバーとして働き前記発光ダイオードチップへの外力を軽減できる堅い樹脂で形成された前記透光性部材と該透光性部材より柔らかい前記色度調整用樹脂の2種の樹脂で覆っており、前記透光性部材には、樹脂注入口及び空気抜き口が形成されるとともに、前記発光ダイオードチップの光出射方向に設けた指向性を調節するレンズが形成されており、該レンズ部の近辺に前記樹脂注入口及び空気抜き口が設けられているものであって、前記樹脂注入口及び空気抜き口以外の部分は密閉構造となっており、更に、前記容器内には前記樹脂注入口より注入された染料もしくは顔料もしくは蛍光体を混入した色度調整用樹脂が充填されており、該色度調整用樹脂は、該樹脂内において染料もしくは顔料もしくは蛍光体が前記発光ダイオードチップ側に位置が安定するよう沈殿した状態で固化されていることを特徴とする。
【0015】
また本発明の発光装置は、前記色度調整用樹脂よりも前記透光性樹脂の方が、より大きい屈折率の樹脂であることを特徴とする。
【0016】
また本発明の発光装置は、前記色度調整用樹脂として屈折率が1.4のシリコン樹脂を用い、前記透光性樹脂として屈折率が1.55のエポキシ樹脂を使用したことを特徴とする。
【0017】
また本発明の発光装置は、前記基材に穴を形成し、前記基材の裏面に設けた金属基材上の前記穴内に前記発光ダイオードチップが実装されていることを特徴としている。
【0018】
また本発明の発光装置は、前記金属基材の下方には、前記金属基材に密着して金属もしくはセラミックから成る高放熱ブロックが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、色度調整用の樹脂量を一定に出来るため色度を精度良く安定化させることが出来る。
また、容器内に注入する樹脂の粘度を低くすることが出来るため、応力を緩和し、ワイヤーへのダメージも少なくすることが出来る。
さらに、トランスファー成形方式ではないため、離型剤の影響を排除でき、金型投資も軽減できる。
さらにまた、色度調整用の樹脂の外側に比較的硬度の高い樹脂部品を置いたため、この硬度の高い樹脂部品がカバーとして働き、外力の影響を軽減できる。
また、基材を金属としたため、ダイボンドエリアのメタル部から高放熱が可能なため信頼性の向上、高出力化、小型化が可能である。
さらに、色度調整用の樹脂を前記発光装置が作動する間も液状を保つ樹脂としたため、熱流動により発光源の熱を樹脂部分及び、ダイボンドエリアのメタル部から高効率で放熱することが可能となり、さらなる信頼性の向上、高出力化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による発光装置の第1の実施例を示した図である。
【図2】図1の発光装置に注入した色度調整用樹脂が固化した状態を示した断面図である。
【図3】本発明による発光装置の第2の実施例を示した断面図である。
【図4】第2の実施例の光利用効率及び指向性を改善した例を示した断面図である。
【図5】色度調整用樹脂の量が若干異なった場合の断面図である。
【図6】液状の色度調整用樹脂を用いる場合の例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発光ダイオード発光装置において、発光ダイオードチップを樹脂注入口及び空気抜き口を有する容器内に実装し、該発光ダイオードチップを容器内に実装した後樹脂を注入した。また前記容器は前記発光ダイオードチップを実装する基材と、前記発光装置の光出射方向に設けた透光性部材とからなる。また前記樹脂は染料もしくは顔料もしくは蛍光体を混入した色度調整用樹脂である。また前記透光性部材の前記発光装置の光出射方向には、前記発光装置の指向性を調節するレンズが形成されている。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明による発光装置の第1の実施例を示した図で、(a)が平面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
図1(a)において、10は基材、12,14はそれぞれ発光装置上部に設けられた透光性部材の輪郭で、14が全体の輪郭、12がレンズ部の輪郭である。基材10の一辺につき3つ設けられている16はLEDチップの電極に接続される電極で、トータルで少なくとも2電極あれば作動可能であるが、消費電力が大きい場合は図1(a)に示したように多数の電極を設ける方が好ましい。4カ所に設けられた18は樹脂注入口もしくは空気抜き口で、それぞれをどちらの用途に用いても良い。
【0023】
図1(b)において、基材10上にLEDチップ24がダイボンディングされており、LEDチップ24の電極は細い金属線26により基材10上の電極22にワイヤボンディングされて電気的に接続されている。基材10上の電極22が図1(a)の電極16に相当し、図示のように、例えばスルーホールによって、基材10の反対側、すなわち発光装置の裏面に引き回されて外部端子となっている。
【0024】
透光性部材20は透明で、比較的硬度の高い樹脂から成り、LEDチップ24に対向する上面は平坦形状に形成されている。そして、発光装置の光出射方向にあたる透光性部材20の平坦形状の中央には発光装置の指向性を調節するレンズ部20−1が形成されている。図示のように主にLEDチップ24を実装する基材10と発光装置の光出射方向に設けた透光性部材20によって容器が形成され、該容器の透光性部材20に設けたレンズ部20−1の近傍の前記の平坦形状部分に樹脂注入口18−1及び空気抜き口18−2が設けられており、該樹脂注入口、空気抜き口以外の部分は密閉構造となっている。すなわち、LEDチップ24は樹脂注入口18−1及び空気抜き口18−2を有する容器内に実装されている。
【0025】
該LEDチップ24を容器内に実装した後に色度調整用樹脂が注入される。
色度調整用樹脂には染料もしくは顔料もしくは蛍光体が混入されており、該色度調整用樹脂は樹脂注入口18−1から前記容器内に注入され、前記容器内の気体や空気を空気抜き口18−2から追い出しながら前記容器内に充填される。
注入樹脂は非常に柔らかいものを選択可能なため、樹脂注入の際のワイヤー流れ等のワイヤーへのダメージを軽減でき、また発光装置全体の応力も緩和し得る。
なお以下の図において、同様の部材には同様の番号を付している。
【0026】
図2は図1の発光装置に注入した色度調整用樹脂が固化した状態を示した断面図である。図2が図1(b)と異なるのは、注入後固化した色度調整用樹脂28を図示したことである。注入した色度調整用樹脂28は通常は固化されるよう成分を設定するが、樹脂内に混入された染料もしくは顔料もしくは蛍光体30は図示のように沈殿ぎみとなり位置が安定する。
【0027】
図2から明らかなように、LEDチップから発光装置の光出射方向であるレンズ20−1方向に関しては特に色度調整用樹脂28の量、厚さ、が一定しており、色度の安定化が顕著である。このような状態は、例えばポッティング法によれば樹脂自体の表面張力等によって光出射方向の樹脂量が決まってしまうため樹脂量の管理が難しく、その結果色度がばらつくのに対し、大きな効果を有している。
【0028】
さらに、トランスファー成形方式ではないため、色度調整用樹脂28に離型剤を混入する必要がない。従って離型剤が発光装置の光学特性に影響を及ぼしたり、発光装置の他の部品と透明樹脂との接着強度を弱くするというような問題を生じてしまう可能性を排除でき、またトランスファー成形に必要な金型投資も軽減できる。
さらにまた、注入する色度調整用樹脂28をシリコン(屈折率約1.4)、カバーである透光性部材20として屈折率1.4よりも大きいもの、例えばエポキシレンズ(屈折率約1.55)を使用することにより、屈折率1.4の材質から屈折率1.55の材質に光が通過する際、入射角に比べて屈折角が小さくなるため、集光するのが容易となる。
【0029】
図2において、LEDチップ24上方が比較的柔らかい色度調整用の樹脂28と比較的堅く、かつ中央にレンズ部20−1を形成した透光性部材20とによって構成されていることは重要である。このようにLEDチップ24を比較的柔らかい樹脂と比較的堅い樹脂の2種の樹脂部品で覆ったため、該堅い樹脂はカバーとして働き、LEDチップ24への外力の影響を軽減し、該柔らかい樹脂はLEDチップのワイヤー26に与えるダメージを軽減している。
【実施例2】
【0030】
図3は本発明による発光装置の第2の実施例を示した断面図である。
図3において、金属基材32上にLEDチップ24がダイボンディングされており、LEDチップ24の電極は細い金属線であるワイヤー26により基材42上の電極22にワイヤボンディングされて電気的に接続されている。すなわちLEDチップ24を実装する部分は金属で形成されている。基材42上の電極22が図1(a)の電極16に相当し、図示のように、例えばスルーホールによって、基材42の反対側、すなわち発光装置の裏面に引き回されて外部端子となっている。
【0031】
透光性部材20は透明の、比較的硬度の高い樹脂から成り、発光装置の光出射方向にあたる中央には発光装置の指向性を調節するレンズ部20−1が形成されている。図示のように主にLEDチップを実装する金属基材32と発光装置の光出射方向に設けた透光性部材20と基材42とによって容器が形成され、又該容器には樹脂注入口18−1及び空気抜き口18−2が設けられており、該樹脂注入口18−1、空気抜き口18−2以外の部分は密閉構造となっている。すなわち、LEDチップ24は樹脂注入口18−1及び空気抜き口18−2を有する容器内に実装されている。
LEDチップ24を実装する部分は基材42に穴を開けることで作ることが出来、その手法は特許文献1,3に詳述されている。
【0032】
金属基材32の下方には放熱特性を高めるため、金属基材32に密接して、例えば金属もしくはセラミックから成る、高放熱ブロック34を設けることも出来る。
LEDチップ24を容器内に実装した後色度調整用樹脂36が注入される。
色度調整用樹脂36には染料もしくは顔料もしくは蛍光体が混入されており、該色度調整用樹脂36は樹脂注入口18−1から前記容器内に注入され、前記容器内の気体や空気を空気抜き口18−2から追い出しながら前記容器内に充填される。
発光装置としての上方の堅さは透光性部材20で確保できるため、注入樹脂は非常に柔らかいものを選択可能である。したがって樹脂注入の際のワイヤー流れ等のワイヤー26へのダメージを軽減でき、また発光装置全体の応力も緩和し得る。
【0033】
このように構成したことにより、図1,2で説明した色度の安定化、外力の影響に強いという効果を維持しつつ発光装置の放熱特性を高められる。
高消費電力の発光装置においては、熱が上昇→VF値下がる→さらに電流が流れる→さらに熱が上がって絶対最大定格を越える→保証範囲外となる、という破綻サイクルに陥ってしまうことが大きな問題となっている。
発光装置の放熱特性を高めることでこの問題を解決することが出来、効果は大である。
【0034】
また基材42に穴を開けてLEDチップ24を実装しているため、透光性部材20の高さを低くすることが可能で、すなわちパッケージ高さを低くして薄型タイプとすることが可能である。
【0035】
図4は図3に示した第2の実施例の発光装置に対し、光利用効率及び指向性を改善した例を示した断面図である。
図4が図3と異なるのは面40で、図示のようにLEDチップ24の側面から出射された光が上方に反射するように勾配を持たせている。
このように構成したことにより、LEDチップ24側面から出射された光が、少ない反射回数で上方に出射され、また上方に集光されやすくなるため、発光装置の光利用効率及び指向性が改善される。
【0036】
図5は図3とほぼ同じ図であるが、図5(a)は色度調整用樹脂の量が若干少なかった場合を表した図、図5(b)は色度調整用樹脂の量が若干多かった場合を表した図である。
図示したように色度調整用樹脂の量が若干多くとも少なくとも空気抜き口18−2近傍の樹脂形状が46,48と変わるのみで、発光装置の光出射方向であるLEDチップ24上方の樹脂量には変化がない。従ってポッティング法とは異なり、色度調整用樹脂の量の変動に対し安定な色度を得ることが出来る。
なおこのように色度調整用樹脂の量の変動が発光装置の光出射方向の樹脂量に変化を与えない状況は、図1,2に示した第1の実施例でも同様であることは勿論である。
【0037】
図6は色度調整用樹脂として液状の樹脂を用いる場合の例を示した参考例としての断面図である。
図6が図3と異なるのは樹脂注入口18−1、空気抜き口18−2部分が樹脂52によって封止されている点で、このように樹脂注入口18−1、空気抜き口18−2を封止したため液状の色度調整用樹脂50を使用可能としている。色度調整用樹脂50は発光装置が作動している間も液状を保つよう成分を設定された樹脂である。
なお細かいサイズの染料もしくは顔料もしくは蛍光体は、熱対流が起きても均一に分散したまま、樹脂と一緒に対流する様に調整され、大きいサイズの蛍光体は、熱対流が起きても沈殿したままで、樹脂と一緒に対流しない様に調整されている。
【0038】
このように液状の樹脂を用いたため、樹脂が発熱による対流で流動することが可能となり、青色素子からの紫外線による樹脂の変色などが起きにくく、径時劣化を防げるという効果がある。
また染料もしくは顔料もしくは蛍光体が均一に分散しているので、発光色のバランスが良いという効果もある。
さらに、基板に凹部が形成されている場合、蛍光体が沈殿することで、凹部内のLED素子近傍に蛍光体が集中しやすいので、変換効率が良いという効果もある。
さらにまた 樹脂にゲル状の樹脂を追加すると樹脂内の染料もしくは顔料もしくは蛍光体がより均一に分散出来る。
【0039】
このように液状の色度調整用樹脂の使用を可能にすると、発光源であるLEDチップ24からの熱は、液状樹脂の熱流動により放熱され、発光装置パッケージの放熱特性が著しく向上する。したがって信頼性も向上する。また液状樹脂は非常に柔らかいため、発光装置に与える応力は緩和され、またワイヤーへのダメージも非常に少なく出来る。
【符号の説明】
【0040】
24 発光ダイオードチップ
30 染料もしくは顔料もしくは蛍光体
18−1 樹脂注入口
18−2 空気抜き口
26、32 基材
20 透光性部材
28,36,46,50 色度調整用樹脂
20−1 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となる発光ダイオードチップを実装する基材と、該発光ダイオードチップの光出射方向に設け且つほぼ透明または拡散効果を持たせた樹脂より成る透光性部材とより容器を形成した発光ダイオード発光装置において、
前記発光ダイオードチップは、カバーとして働き前記発光ダイオードチップへの外力を軽減できる堅い樹脂で形成された前記透光性部材と該透光性部材より柔らかい前記色度調整用樹脂の2種の樹脂で覆っており、前記透光性部材には、樹脂注入口及び空気抜き口が形成されるとともに、前記発光ダイオードチップの光出射方向に設けた指向性を調節するレンズが形成されており、該レンズ部の近辺に前記樹脂注入口及び空気抜き口が設けられているものであって、前記樹脂注入口及び空気抜き口以外の部分は密閉構造となっており、更に、前記容器内には前記樹脂注入口より注入された染料もしくは顔料もしくは蛍光体を混入した色度調整用樹脂が充填されており、該色度調整用樹脂は、該樹脂内において染料もしくは顔料もしくは蛍光体が前記発光ダイオードチップ側に位置が安定するよう沈殿した状態で固化されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記色度調整用樹脂よりも前記透光性樹脂の方が、より大きい屈折率の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記色度調整用樹脂として屈折率が1.4のシリコン樹脂を用い、前記透光性樹脂として屈折率が1.55のエポキシ樹脂を使用したことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基材に穴を形成し、前記基材の裏面に設けた金属基材上の前記穴内に前記発光ダイオードチップが実装されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記金属基材の下方には、前記金属基材に密着して金属もしくはセラミックから成る高放熱ブロックが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−44209(P2012−44209A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232035(P2011−232035)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2005−380585(P2005−380585)の分割
【原出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】