説明

発光装置

【課題】複数の機種に対して共通の実装基板を用いることができ、しかも、指向性に悪影響を与えたり、生産コストの増大を招くことなく、目視による機種判別を可能とする発光装置100を得る。
【解決手段】実装基板101と、該実装基板101上に配置された発光素子102と、該発光素子102を封止する封止樹脂部103とを有し、該発光素子102からの出射光を出力する発光装置100において、該封止樹脂部103は、該封止樹脂部の表面の少なくとも一部に該発光素子102の周囲に均等に分布するよう形成され、該封止樹脂部103の表面を粗面化した粗面化部103aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光素子を封止樹脂部により封止した封止構造を有し、封止樹脂部の表面の粗面化により目視による機種判別を可能とした発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から発光装置には、発光素子として発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)を実装基板上に実装した構造のものがある。
【0003】
図8は、このような従来の発光装置を説明する断面図である。
【0004】
この発光装置1aは、図8に示すように、実装基板1にLEDチップ2を載置し、LEDチップ2の電極(図示せず)と実装基板1の配線パッド(図示せず)とをボンディングワイヤWで接続し、LEDチップ2およびボンディングワイヤWを透明樹脂3で封止したものである。
【0005】
ここで、LEDチップ2は青色発光ダイオードであり、封止樹脂部3に含まれる黄色の光を発する蛍光体により発光装置1aからは白色の光が出射されるようになっている。
【0006】
ところで、このような白色の光を出射する発光装置1aとしては、機種毎に出射光の色を微妙に異ならせており、赤色がかった光を出射するもの、緑色がかった光を出射するものなどがあり、ユーザには、ユーザの要求に応じた色合いの光を出射する機種の発光装置を出荷するようにしている。
【0007】
そこで、ユーザに発光装置を出荷する際に、ユーザの要求する機種とは異なる機種のものが混ざらないように、発光装置を区別する必要がある。
【0008】
現在のところ、発光装置の外観により区別する方法と、発光装置の検査により機種毎にグループ分けしておく方法がある。
【0009】
外観で発光装置を区別する方法としては、例えば、実装基板に機種に応じた印を付ける方法があり、実装基板に印を付ける方法は、例えば特許文献1および2に開示されている。
【0010】
図9は特許文献1に開示の発光装置を説明する図である。
【0011】
この特許文献1に開示の発光装置10は、発光素子11と、その発光素子11を配置する搭載部を有する基板12と、発光素子11を封止する封止部材とを備えている。ここで、基板12には、発光素子11の電極に接続する正負一対の導電配線13a、13bが形成されている。また、基板12上には、導電性材料により形成された第1のマーク15aが形成され、さらに蛍光体層により第2のマーク15bが形成されている。なお、図9中、14aは封止部材のレンズ部、14bは封止部材の鍔部である。
【0012】
図10は特許文献2に開示の発光装置を説明する図である。
【0013】
図10に示す発光装置20はリードレス形LEDである。この発光装置20は、一対の電極22および23を有するプリント基板24にLEDチップ25を実装し、透明樹脂26で該LEDチップ25を封止したものである。ここで、電極22はアノード電極、電極23はカソード電極であり、また、カソード電極23の近傍には、電極判別表示マーク27が形成されており、このマーク27側に位置する電極がカソード電極であることを示している。
【0014】
また、外観で発光装置を区別する方法としては、例えば、発光装置の封止樹脂部の形状を変える方法がある。なお、特許文献3および4には、封止樹脂部の形状を非対称な形状として発光装置の電極の極性を組み立て時に判別できるようにしたものがある。
【0015】
図11は、特許文献3に開示の表面実装型LEDとして2つの例(図11(a)および図11(b))を示す図である。
【0016】
図11(a)に示す表面実装型LED30aは、例えば長方形の基板32の一端には正極パターン33が形成され、他端には負極パターン34が形成されている。正極パターン33は、基板表面側の表正極パターン33aと、基板裏面側の裏正極パターン33bを有し、負極パターン34は、基板表面側の表負極パターン34aと、基板裏面側の裏負極パターン34bとを有している。そして、表正極パターン33aと裏正極パターン33bは、基板32の側面に形成された無電界メッキ層などにより電気的に接続され、同様に、表負極パターン34aと裏負極パターン34bもこのような無電界メッキ層などにより電気的に接続されている。
【0017】
また、基板32の表面では、表負極パターン34a上にLEDチップ35がダイボンドされ、LEDチップ35が金線36などで表正極パターン33aと接続され、更にエポキシ樹脂などによる樹脂ケース37がトランスファモールド、ポッティングモールドなど適宜な方法で形成されている。
【0018】
この表面実装型LED30aでは、例えば樹脂ケース37の負極側の角を面取りして、この面取り部分をもって極性マーク37aとすることで、誤組立をなくすようにしている。
【0019】
また、図11(b)に示す表面実装型LED30bは、図11(a)に示す表面実装型LED30aにおける樹脂ケース37の上辺を面取りしてなる面取り部37aに代えて、樹脂ケース38のコーナー部分を切落としてなる面取り部38aを極性マークとして用いるようにしている。
【0020】
また、図12は、特許文献4に開示のLED(発光ダイオード)を説明する図であり、図12(a)は該LEDの平面図で、図12(b)は該LEDの底面図、図12(c)は該LEDの側面図である。
【0021】
これらの図において、41は樹脂部、42aは表面を欠けさせた極性判別印、43は素子実装部であるボンディング面、44はアノード電極およびカソード電極となり得るリード線部である。また、42bはアノード電極あるいはカソード電極の何れか一方の側面部の中央に施した凹形状の極性判別印である。これらマークにより平面だけでなく裏面からでも極性の判別が可能になる。
【0022】
さらに、特許文献5には、発光装置の実装作業で用いる目印として、発光装置の封止樹脂部にマーク部材を張り付ける方法が開示されている。
【0023】
図13は特許文献5に開示の発光装置を説明する図である。
【0024】
発光装置51の基板51b上にカソード電極57とアノード電極58が形成されている。そして基板51b上に配置されたLEDチップ51aのカソードがカソード電極57にダイボンディングされ、アノードがアノード電極58にワイヤー52によりワイヤーボンディングされ、LEDチップ51aがワイヤー52とともに封止樹脂部53で封止されている。
【0025】
そしてカソード電極57は基板51bの側面を介して裏面側に引き回されて外部接続電極57aを形成し、またアノード電極58も基板51bの側面を介して裏面側に引き回されて外部接続電極58aを形成している。
【0026】
そして、封止樹脂部53の上面53aのカソード電極57側の端部には紫外線発光部材である紫外線発光インクまたは紫外線発光シートによって識別マーク55が設けられている。
【0027】
この識別マーク55は紫外線発光部材で形成されているので、UV光が存在しない通常状態では識別マークが透明でLEDの発光を透過させるため、LEDの発光特性を妨げず、実装作業を行う等の識別マークを必要とするときにUV光を照射することによって識別マークを発光させ、認識することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2010−199487号公報
【特許文献2】実開昭62−10456号公報
【特許文献3】特開2007−123704号公報
【特許文献4】特開2005−101283号公報
【特許文献5】特開2011−044565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
ところが、特許文献1あるいは2に開示のように実装基板に印を付ける方法で、発光装置の機種の判別をする場合には、機種毎に異なる印を付けた実装基板が必要となる。
【0030】
また、特許文献3あるいは4に開示のように、封止樹脂部の一部に面取り部や切欠部を設けて発光装置の機種の判別を行うようにすると、発光装置の出射光の指向性に悪影響が及ぶ。
【0031】
さらに、特許文献5に開示のように、封止樹脂部の一部に識別マークを貼り付ける方法では、識別マークを貼り付ける作業が発生し、さらには、識別マークを別途作成する必要があり、生産コストの増大を招く。
【0032】
また、発光装置の検査により機種を判別してグループ分けする方法では、検査工程の後で1つの機種の発光装置のロットの中に他の機種の発光装置が混入した場合、他の機種の発光装置を判別できないという問題がある。
【0033】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、複数の機種に対して共通の実装基板を用いることができ、しかも、指向性に悪影響を与えたり、生産コストの増大を招くことなく、目視による機種判別を可能とする発光装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明に係る発光装置は、実装基板と、該実装基板上に配置された発光素子と、該発光素子を封止する封止樹脂部とを有し、該発光素子からの出射光を出力する発光装置であって、該封止樹脂部は、該封止樹脂部の表面の少なくとも一部に該発光素子の周囲に分布するよう形成され、該封止樹脂部の表面を粗面化した粗面化部を有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0035】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子からの出射光は指向性を有することが好ましい。
【0036】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部は、該封止樹脂部の表面の、前記発光素子の出射光の指向性を阻害しない部位に前記粗面化部を形成したものであることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部は、前記粗面化部が前記出射光の光軸の周りに分布するよう該粗面化部を該封止樹脂部の表面に形成したものであることが好ましい。
【0038】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、その出射光が前記実装基板の上方を向くよう該出射光の指向性を持たせたものであり、前記封止樹脂部は、該実装基板上に配置された発光素子を中心とする概略半球形状を有し、前記粗面化部を該封止樹脂部の下部表面の全周に渡って形成したものであることが好ましい。
【0039】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、その出射光が前記実装基板の実装面に沿った方向を向くよう該出射光の指向性を持たせたものであり、前記封止樹脂部は、該実装基板上に配置された前記発光素子を中心とする概略半球形状を有し、前記粗面化部を該封止樹脂部の上部表面の全周に渡って形成したものであることが好ましい。
【0040】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部は、前記粗面化部が前記出射光の光軸の周りに分散して位置するよう該粗面化部を該封止樹脂部の表面に形成したものであることが好ましい。
【0041】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部の粗面化部は、所定のパターンを有していることが好ましい。
【0042】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部は、前記粗面化の程度を該発光装置の機種に応じて変更したものであることが好ましい。
【0043】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂部は、前記粗面化の位置を該発光装置の機種に応じて変更したものであるであることが好ましい。
【0044】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は青色光を発生する青色発光ダイオードであり、前記封止樹脂部は、該青色発光ダイオードからの青色光を、赤みがかった白色光あるいは緑がかった白色光に変換する蛍光体を含むものであることが好ましい。
【0045】
次に作用について説明する。
【0046】
本発明においては、封止樹脂部の表面に粗面化部を形成することで、封止樹脂部の表面に粗面化部を形成した発光装置と、封止樹脂部の表面に粗面化部を形成していない発光装置とで目視による判別が可能となる。これにより、発光装置の梱包後の最終的な確認工程で、特定の機種の発光装置のロットに混入した異なる機種の発光装置を排除することができる。
【0047】
また、本発明においては、封止樹脂部の粗面化部を出射光の光軸の周りに分布するよう形成しているので、粗面化部が発光素子の出射光の指向性を阻害するのを回避できる。
【0048】
本発明においては、粗面化部の平面パターンに文字パターンを含めることで、同一位置に形成した粗面化部でも、その平面パターンに含める文字パターンを変えることで、複数の機種の判別が可能となる効果がある。
【発明の効果】
【0049】
以上のように、本発明によれば、複数の機種に対して共通の実装基板を用いることができ、しかも、指向性に悪影響を与えたり、生産コストの増大を招くことなく、目視による機種判別を可能とする発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による発光装置の製造から検査、梱包を経て最終確認を行うまでの処理の流れを説明する模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法における樹脂封止工程を説明する図であり、実装基板を金型に対して位置決めした状態(図3(a))、および実装基板を金型に密着させた状態(図3(b))を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法における樹脂封止工程で用いる金型を説明する斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する側面図である。
【図8】図8は、従来の発光装置を説明する断面図である。
【図9】図9は、特許文献1に開示の発光装置を説明する図である。
【図10】図10は、特許文献2に開示の発光装置を説明する図である。
【図11】図11は、特許文献3に開示の表面実装型LEDとして2つの例(図11(a)および図11(b))を示す図である。
【図12】図12は、特許文献4に開示のLED(発光ダイオード)を説明する図であり、図12(a)は該LEDの平面図、図12(b)は該LEDの底面図、図12(c)は該LEDの側面図である。
【図13】図13は特許文献5に開示の発光装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0052】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する側面図である。
【0053】
この実施形態1の発光装置100は、ガラス基板あるいはセラミック基板などの実装基板101と、該実装基板上に配置された発光素子102と、該発光素子102を封止する封止樹脂部103とを有し、該発光素子102からの出射光を出力する発光装置である。
【0054】
ここで、発光素子102は、例えば青色光を発生する青色発光ダイオードであり、封止樹脂部103は、青色発光ダイオードからの青色光を、赤みがかった白色光あるいは緑がかった白色光に変換する蛍光体を含むものである。
【0055】
この封止樹脂部103は、その表面の少なくとも一部に形成され、封止樹脂部の表面を粗面化した粗面化部103aを有しており、ここでは、封止樹脂部103は、実装基板101上に配置された発光素子102を中心とする概略半球形状を有し、粗面化部103aが封止樹脂部の下部表面の全周に渡って形成されている。
【0056】
また、発光素子102では、出射光が実装基板の法線方向に向けて出射されるという指向性を有しており、この粗面化部103aは、封止樹脂部103の表面の、発光素子102の出射光の指向性を阻害しない部位に形成されている。
【0057】
このように封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成することで、封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成した発光装置と、封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成していない発光装置とで目視による判別が可能となる。これにより、発光装置の組立てなどの処理工程から検査工程、梱包工程、および確認工程を経て出荷されるまでの複数の工程で、特定機種の発光装置のロットの中に、異なる機種の発光装置が混入しても、最終的な確認工程で異なる機種の発光装置を取り除くことができる。
【0058】
図2は、上記発光装置が出荷されるまでの各工程を概略的に示す図である。
【0059】
ここでは、ロットL1は、赤みがかった白色光を出射する発光素子102aを含むロットとし、ロットL2は、緑がかった白色光を出射する発光素子102bを含むロットとする。
【0060】
例えば、処理工程S1では、樹脂封止装置を用いて発光素子102aおよび102bが樹脂封止される。このとき、ロットL1の発光素子102aも、ロットL1の発光102aとは出射光の色の異なる発光装置102bを含むロットL2の発光素子102bも、通常は同じ樹脂封止装置で処理される。なお、図2中、CL1は、発光素子102aを封止した発光装置100を示し、CL2は、発光素子102bを封止した発光装置100を示している。
【0061】
そのため、ロットL1の発光素子102aに続いてロットL2の発光素子102bが樹脂封止装置に投入された場合、処理工程S1で2つのロットL1とL2の間で異なる機種の発光装置が混入する可能性がある。
【0062】
ただし、この処理工程S1の後には検査工程S2があるので、この検査工程S2では電気的な検査、例えば実際に発光装置を動作させてみて出射光の色を測定するなどの検査により機種の判別を行って、ロットL1に混入した発光素子102b、あるいはロットL2に混入した発光素子102aを取り除く。
【0063】
また、この検査工程S2の後には、発光装置を運搬のために梱包する梱包工程S3があり、ここでも、ロットL1の発光装置CL1の梱包とロットL2の発光装置CL2の梱包とを連続して行うような場合には、梱包されたロットL1あるいはL2の発光装置CL1あるいはCL2に発光装置CL2あるいはCL1が混入するおそれがある。
【0064】
このような梱包工程で混入した異種の発光装置は、本実施形態1の発光装置のように封止樹脂部103に粗面化部103aを形成して機種の目視による判別を可能としておくことで、出荷前の確認工程S4で混入した異種の発光装置を排除することができる。
【0065】
次に、封止樹脂部の表面に粗面化部が形成されるよう発光素子を樹脂封止する方法について説明する。
【0066】
図3は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法における樹脂封止工程を説明する図であり、実装基板を金型に対して位置決めした状態(図3(a))、および実装基板を金型に密着させた状態(図3(b))を示している。
【0067】
図4は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法における樹脂封止工程で用いる金型を説明する斜視図である。
【0068】
まず、金型について説明する。
【0069】
金型Gは、その表面に形成された、液状の封止樹脂を溜める概略半円形状の窪み部Msを複数有しており、該窪み部Msの上端部には全周にわたって、上記封止樹脂部103の粗面化部103aを形成するための金型粗面化部Msaが形成されており、この金型粗面化部Msaは、金型Gの窪み部Msの表面を粗面化して形成されている。
【0070】
次に、この金型Gを用いて封止樹脂部103を形成する方法について説明する。
【0071】
ベース基板101aの素子配置領域に発光素子102をダイボンドし、該発光素子102の素子電極(図示せず)とベース基板101aの電極パッド(図示せず)とをボンディングワイヤWにより接続する。一方、金型Gの窪み部Msには液状の封止樹脂Rを充填しておく。
【0072】
その後、ベース基板101aを金型Gに対して、ベース基板101a上の発光素子102が金型Gの窪み部Msに対向するよう位置決めし(図3(a))、ベース基板101aを金型Gに密着させて加熱する(図3(b))。この加熱により、粗面化部103aを有する封止樹脂部103が形成される。
【0073】
その後、ベース基板101aを金型Gから取り外してベース基板101aを発光素子毎に分割して発光装置100を得る。
【0074】
このように本実施形態1では、封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成することで、封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成した発光装置と、封止樹脂部103の表面に粗面化部103aを形成していない発光装置とで目視による判別が可能となる。これにより、発光装置の梱包後の最終的な確認工程で、特定の機種の発光装置のロットに混入した異なる機種の発光装置を排除することができる。
【0075】
また、発光素子102では、出射光が実装基板の法線方向に向けて出射されるという指向性を有していることから、この粗面化部103aを、封止樹脂部103の下端部に形成しており、しかも、封止樹脂部103の粗面化部103aを出射光の光軸の周りに均等に分布するよう形成している。これにより、粗面化部103aが発光素子102の出射光の指向性を阻害するのを回避できる。
【0076】
なお、上記実施形態1では、封止樹脂部103の表面を粗面化した粗面化部103aは発光素子の周囲に均等に分布するよう配置しているが、この粗面化部は必ずしも発光素子の周囲に均等にあるいは均一に分布するよう配置する必要はなく、実質的に出射光の指向性を阻害しない程度に発光素子の周囲に分布させて配置すればよい。
【0077】
さらに、封止樹脂部103は、その下端部に粗面化部103aを形成した構造に限定されるものではなく、本発明の封止樹脂部は、封止樹脂部の表面の少なくとも一部に該発光素子の周囲に分布するよう形成され、該封止樹脂部の表面を粗面化した粗面化部を有するものであればどのようなものでもよい。
【0078】
例えば、封止樹脂部103は、粗面化部103aを出射光の光軸の周りに均一に分布するよう封止樹脂部103の表面に形成したものでもよく、また、封止樹脂部は、前記粗面化の程度を該発光装置の機種に応じて変更したものでもよく、さらに、封止樹脂部は、前記粗面化の位置を該発光装置の機種に応じて変更したものでもよい。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する側面図である。
【0079】
この実施形態2による発光装置100aは、実施形態1の発光装置100における粗面化部103aの配置パターンを変更したものである。
【0080】
つまり、この実施形態2の発光装置100aでは、封止樹脂部113は、実施形態1の封止樹脂部103と同様、実装基板101上に配置された発光素子102を中心とする概略半球形状を有している。
【0081】
ただし、この実施形態2の発光装置100aでは、粗面化部113aを封止樹脂部113の下部表面に均等に分散して位置するよう形成している。
【0082】
その他の点は上記実施形態1の発光装置100と同一である。
【0083】
このような構成の実施形態2の発光装置100aにおいても、上記実施形態1の発光装置100と同様の効果が得られ、上記実施形態1の発光装置100とは、封止樹脂部の粗面化部113aのパターンが異なるので、実施形態1の発光装置100とは別の機種の発光装置を示すことができる。
【0084】
なお、実施形態2では、封止樹脂部113の表面に形成した粗面化部113aは、発光素子の周囲に均等に分散するよう配置しているが、この粗面化部は必ずしも発光素子の周囲に均等にあるいは均一に分散するよう配置する必要はなく、実質的に出射光の指向性を阻害しない程度に発光素子の周囲に分散させて配置すればよい。
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する側面図である。
【0085】
この実施形態3による発光装置100bは、実施形態1の発光装置100とは発光素子の指向性が異なる発光素子102bを備え、実施形態1の発光装置100における封止樹脂部103の粗面化部103aの、実装基板上での高さ方向での位置を、発光素子102bの指向性に合わせて変更したものである。
【0086】
つまり、この実施形態3の発光装置100bでは、封止樹脂部123は、実施形態1の封止樹脂部103と同様、実装基板101上に配置された発光素子102を中心とする概略半球形状を有している。
【0087】
ただし、この実施形態3の発光装置100bでは、発光素子102bは、出射光が実装基板の実装面に沿った方向に向けて出射されるという指向性を有しており、この粗面化部123aは、封止樹脂部123の表面の、発光素子102bの出射光の指向性を阻害しない部位に形成されている。
【0088】
つまり、粗面化部123aは封止樹脂部123の頂上の近傍部分に、発光素子を中心とする円周に沿って一定の幅で全周に渡って形成している。
【0089】
その他の点は上記実施形態1の発光装置100と同一である。
【0090】
このような構成の実施形態3の発光装置100aにおいても、実施形態1と同様な効果が得られる。
【0091】
つまり、このように本実施形態3では、封止樹脂部123の表面に粗面化部123aを形成することで、封止樹脂部123の表面に粗面化部123aを形成した発光装置と、封止樹脂部123の表面に粗面化部123aを形成していない発光装置とで目視による判別が可能となる。これにより、発光装置の梱包後の最終的な確認工程で、特定の機種の発光装置のロットに混入した異なる機種の発光装置を排除することができる。
【0092】
また、発光素子102bでは、出射光が実装基板の実装面に沿った方向に向けて出射されるという指向性を有していることから、この粗面化部123aを、封止樹脂部123の頂上近傍部に形成し、しかも封止樹脂部123の粗面化部123aを出射光の光軸の周りに均等に分布するよう形成している。これにより、粗面化部123aが発光素子102の出射光の指向性を阻害するのを回避できる。
【0093】
なお、実施形態3では、封止樹脂部123の表面に形成した粗面化部123aは、発光素子の周囲に均等に分散するよう配置しているが、この粗面化部は必ずしも発光素子の周囲に均等にあるいは均一に分散するよう配置する必要はなく、実質的に出射光の指向性を阻害しない程度に発光素子の周囲に分散させて配置すればよい。
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する側面図である。
【0094】
この実施形態4の発光装置100cは、上記実施形態3の発光装置100bにおける、リング状パターンの粗面化部123aを形成した封止樹脂部123に代えて、出射光の光軸の周りに均等に分散させて配置した文字パターンを含む粗面化部133aを形成した封止樹脂部133を用いたものであり、その他の点は、実施形態3の発光装置100bと同一である。
【0095】
このような構成の実施形態4の発光装置100cでは、概略半球形状の中心軸の周りでの、粗面化部133aの均一性が多少劣化する虞があるが、粗面化部133aの平面パターンに文字パターンを含めたことで、同一位置に形成した粗面化部133aでも、その平面パターンに含める文字パターンを変えることで複数の機種の判別が可能となる効果がある。
【0096】
なお、実施形態4では、封止樹脂部133の表面に形成した粗面化部133aは、発光素子の出射光の光軸の周り均等に分散するよう配置しているが、この粗面化部は必ずしも出射光の光軸の周りに均等に分散させて配置する必要はなく、実質的に出射光の指向性を阻害しない程度に発光素子の出射光の光軸の周りに分散させて配置すればよい。
【0097】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、発光装置の分野において、複数の機種に対して共通の実装基板を用いることができ、しかも、指向性に悪影響を与えたり、生産コストの増大を招くことなく、目視による機種判別を可能とする発光装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0099】
100、100a〜100c、CL1、CL2 発光装置
101 実装基板
102、102a、102b 発光素子
103、113、123、133 封止樹脂部
103a、113a、123a、133a 粗面化部
L1、L2 ロット
S1 処理工程
S2 検査工程
S3 梱包工程
S4 確認工程
G 金型
Ms 窪み部
Msa 金型粗面化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、該実装基板上に配置された発光素子と、該発光素子を封止する封止樹脂部とを有し、該発光素子からの出射光を出力する発光装置であって、
該封止樹脂部は、
該封止樹脂部の表面の少なくとも一部に該発光素子の周囲に分布するよう形成され、該封止樹脂部の表面を粗面化した粗面化部を有する発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記発光素子からの出射光は指向性を有する発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部は、該封止樹脂部の表面の、前記発光素子の出射光の指向性を阻害しない部位に前記粗面化部を形成したものである発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記粗面化部が前記出射光の光軸の周りに分布するよう該粗面化部を該封止樹脂部の表面に形成したものである発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
前記発光素子は、その出射光が前記実装基板の上方を向くよう該出射光の指向性を持たせたものであり、
前記封止樹脂部は、該実装基板上に配置された発光素子を中心とする概略半球形状を有し、前記粗面化部を該封止樹脂部の下部表面の全周に渡って形成したものである発光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の発光装置において、
前記発光素子は、その出射光が前記実装基板の実装面に沿った方向を向くよう該出射光の指向性を持たせたものであり、
前記封止樹脂部は、該実装基板上に配置された前記発光素子を中心とする概略半球形状を有し、前記粗面化部を該封止樹脂部の上部表面の全周に渡って形成したものである発光装置。
【請求項7】
請求項3に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記粗面化部が前記出射光の光軸の周りに分散して位置するよう該粗面化部を該封止樹脂部の表面に形成したものである発光装置。
【請求項8】
請求項3に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部の粗面化部は、所定のパターンを有している発光装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記粗面化の程度を該発光装置の機種に応じて変更したものである発光装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記粗面化の位置を該発光装置の機種に応じて変更したものである発光装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記発光素子は青色光を発生する青色発光ダイオードであり、
前記封止樹脂部は、該青色発光ダイオードからの青色光を、赤みがかった白色光あるいは緑がかった白色光に変換する蛍光体を含むものである発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−51369(P2013−51369A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189596(P2011−189596)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】