説明

発動機の据付状況計測方法及び計測装置

【課題】 発動機の据付け状況変化をモニタ表示して容易に知ることができる据付方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 据付け調整可能に配置した発動機2の周りに複数の歪センサ3を配置し、前記発動機2の所定位置に計測用ピアノ線を設けて据付け状況を計測し、この計測結果を前記歪センサ3の初期値として設定して目視可能なディスプレイ8に表示し、このディスプレイ8に表示された発動機2の据付け状況に基いて発動機2の据付け調整を行い、この発動機2の据付け状況変化を前記該歪センサ3からの信号に基いて前記ディスプレイ8に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発動機の据付状況を計測する方法と装置に関し、特に、大型の発動機を据付ける時の据付状況の計測方法と計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼル機関、タービン等の発動機(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、これらを総称して「発動機」という)は、据付時にレベル調整等が行われ、規定の状態に据付けられる。この発動機の据付け調整は、発動機内の軸受荷重調整及び発動機によって駆動される軸との位置合わせも含むため、発動機の据付状況の精密な計測が必要とされる。しかも、この計測は、据付を調整するたびに計測を行い、再調整する作業を繰り返す必要がある。
【0003】
この種の従来技術として、例えば、船舶の主機関として用いられている発動機は、船舶の建造時における据付け時に、プロペラ軸系の軸継手部との位置決めを行いながら、発動機を上下、左右及び前後に移動さて、撓み量等が許容値以内となるように発動機の状態の計測と位置の調整とを行いながら行われている。
【0004】
図6は、このような発動機の据付方法の一例を示す模式図である。この方法は、発動機51の軸方向に形成された機械加工面52の両端に、この機械加工面52から所定距離離れた基準位置を設定する基準ブロック53を立設し、これらの基準ブロック53の間に計測用ピアノ線54を所定の張力55で張り、この計測用ピアノ線54と機械加工面52との距離を計測することによって発動機51の据付け状況を計測する方法である。この方法によれば、基準ブロック53によって発動機51の機械加工面52から所定距離離された計測用ピアノ線54との距離を、発動機長手方向に所定間隔で設定した計測位置56で計測し、計測用ピアノ線54に加わっている張力55から計測位置における計測用ピアノ線54の垂れ量を計算によって算出し、前記計測した距離からこの垂れ量を補正することにより発動機51の機械加工面52における変形量を算出して発動機51の据付け状況が計測されている。
【0005】
図7は、このような据付状況計測方法を示すブロック図である。図6の符号を参照しながら説明すると、図示するように、この方法の場合、準備として、発動機51の据付位置に高さ調整治具57を設置し(a) 、その上部に発動機51を配置し(b) 、その発動機51の機械加工面52に基準ブロック53を設置し(c) 、その基準ブロック53に計測用ピアノ線54を取付ける(d) 。
【0006】
そして、レベル調整として、前記した計測用ピアノ線54による発動機51のレベル測定を行い(e) 、計測用ピアノ線54の撓みを算出して値を補正することにより発動機51のレベルを算出した後(f) 、その結果に基いて高さ調整治具により発動機51のレベル調整を行う(g) 。その調整結果は、再度、計測用ピアノ線54による発動機51のレベル測定を行い(h) 、計測用ピアノ線54の撓みを算出して発動機51のレベルを算出することにより行われる(i) 。その結果、再度の調整が必要であれば、高さ調整治具により発動機51のレベル調整を行い(j) 、その調整結果は、計測用ピアノ線54による発動機51のレベル測定をし(k) 、計測用ピアノ線54の撓みを算出して値を補正することにより発動機51のレベルを算出することにより行われる(l) 。以後、調整結果が基準値内に入るまで繰り返される(m)。
【0007】
その後、発動機51の据付け調整が終了すると、最終据付として、計測用ピアノ線54、基準ブロック53等が撤去され(n) 、発動機51をその状態で保持する発動機支持台58が設置され(o) 、高さ調整治具57が撤去される(p) 。
【0008】
なお、この種の従来技術として、主機関とそのプロペラ軸系とを連結する前後1対のカップリングの対向面間に歪センサーを設け、この歪センサーの出力からカップリングの心合わせ誤差をパソコンで演算してCRTに表示するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、他の従来技術として、内燃機関のクランク角を検出し得る角度センサと、クランクアーム間隔を検出し得る間隔センサとを設け、これらのセンサからの検出信号を演算器で演算しながらレベル調整するようにした内燃機関の据付装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−91283号公報
【特許文献2】実開昭62−84637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記したように計測用ピアノ線54を用いて計測する方法の場合、計測用ピアノ線54と機械加工面52との距離を、例えば、0.数mmの精度で正確に計測するには熟練を要し、熟練作業者しかできない。しかし、近年、熟練作業者が減少し、迅速な計測が難しくなっている。しかも、複数の計測点を一点ごとに計測して発動機長手方向の複数箇所を順に計測する作業は、発動機全体を一回計測するだけでも長時間を要する。
【0011】
その上、発動機の据付け時には発動機の位置調整と、出力側に設けられるプロペラシャフトの軸心と発動機の出力軸軸芯とを一致させる軸系の位置決めとを必要とするため、発動機51を位置調整する毎にクランクシャフトを複数回ターニングして軸継手部のサグ及びギャップ量、及びその各シリンダのクランクデフレクション量の計測を行い、その計測値が許容値以内に収めるまで調整を繰り返す必要がある。そのため、ターニングに要する時間は計測も含めて非常に多くの時間を要し、例えば、発動機の据付け調整に1週間を要する場合もあり、これらの調整に多大な時間、工費、及び労力を必要とし、発動機据付け工程上の制約となっている。
【0012】
また、前記した方法の場合、計測用ピアノ線54が振動している状況では計測できないので、発動機稼働中等に据付け状況を計測することはできない。このことは、前記特許文献1,2でも同様であり、特許文献1,2はセンサをクランク軸に設けるので、クランク軸が停止した状態でなければ計測できない。
【0013】
一方、この種の発動機の据付け時に、サグ据付(SAG据付)といわれる、通常運転時に好ましい状態となるように、発動機が冷えている据付け時には予め所定の撓みを与えて据付ける方法がある。このサグ据付は、例えば、発動機の据付台そのものが温度変化によって変形するような場合に行われ、例えば、据付け時に、十数メートルの発動機で中央部が0.数mm程度下がるように発動機が据付けられる。この場合も、前記したように複数回の位置調整を行うことにより、その都度計測と調整とを必要とするので、非常に多くの時間と労力を要する。このような据付けは、前記特許文献1,2ではできない。
【0014】
そこで、本発明は、発動機の据付け状況変化を表示装置に表示して容易に知ることができ、その据付け状況変化に基いて据付け調整ができる据付方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の据付け状況計測方法は、据付け調整可能に配置した発動機の周りに複数の歪センサを設け、前記発動機の所定位置に計測用ピアノ線を設けて発動機の据付け状況を計測し、該計測結果を前記歪センサの初期値として設定して目視可能な表示装置に表示し、該表示装置に表示された発動機の据付け状況に基いて発動機の据付け調整を行い、該発動機の据付け状況変化を前記歪センサからの信号に基いて前記表示装置に表示するようにしている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「歪センサ」は、電気的、光学的、その他、発動機の歪みを計測することができる歪計測用センサを総称して用いる。また、「据付け調整」は、発動機の高さ方向、幅方向、軸方向の少なくとも1つを含む調整をいう。これにより、計測用ピアノ線で計測した発動機の据付け状況を初期値とし、その初期値からの変化を発動機の周りに設置した複数の歪センサからの信号に基いて表示装置に表示するので、表示装置に表示された据付け状況を目視で確認しながら発動機の据付け調整を行うことができ、熟練を要することなく発動機の据付け調整を迅速に行うことができる。
【0016】
また、前記歪センサからの信号に基いて初期値からの変化を演算し、初期値と据付け状況変化後の値とを前記表示装置に表示するようにしてもよい。これにより、発動機の据付け調整状態の変化を表示装置で連続的に知ることができ、発動機の据付け調整を容易に確認しながら行うことができる。
【0017】
さらに、前記発動機の運転時における据付け状況の変化を前記歪センサからの信号に基いて検出し、該検出結果が規定値を超えたときに警告又は発動機を減速するようにしてもよい。これにより、発動機の運転中において据付け状況が変化したとしても、その検出結果が規定値を超えたときに警告によって人に知らせたり、発動機を自動的に減速させることができ、据付け状況の悪化に迅速に対応できる。
【0018】
一方、本発明の据付け状況計測装置は、前記いずれかの発動機の据付状況計測方法を実施するための据付状況計測装置であって、前記複数の歪センサからの信号を受信する歪センサ受信器と、該歪センサ受信器からの信号に基いて据付け状況変化を演算する電子計算機と、該電子計算機の演算結果を表示する表示装置とを備えている。この据付け状況計測装置によっても、計測用ピアノ線で計測した発動機の据付け状況を初期値とし、その初期値からの変化を発動機の周りに設置した複数の歪センサから歪センサ受信器を介して電子計算機に入力された信号に基いて演算して表示装置に表示するので、表示装置に表示された据付け状況を目視で確認しながら発動機の据付け調整を行うことができ、熟練を要することなく発動機の据付け調整を迅速に行うことができる。
【0019】
さらに、前記電子計算機に、前記歪センサから歪センサ受信器を介して電子計算機に入力された信号に基いて発動機の運転時における据付け状況変化を演算する機能を具備させ、該演算結果が規定値を超えたときに警告又は発動機を減速させる警告手段を備えさせてもよい。これによっても、発動機の運転中において据付け状況が変化したとしても、その検出結果が規定値を超えたときに警告によって人に知らせたり、発動機を自動的に減速させることができ、据付け状況の変化に迅速に対応できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したような手段により、発動機の据付け状況変化を表示装置に表示して容易に知ることができるので、熟練を要することなく据付時の計測時間の短縮と迅速な調整とが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態を示す発動機の据付状況計測装置の模式図であり、図2は、図1に示す発動機を模式的に示す側面図、図3は、図2に示す発動機を模式的に示す正面図、図4は、図2に示す発動機の据付部を模式的に示す平面図である。これらの図は模式的に記載したものであり、主要な構成を誇張して記載している。また、この実施の形態では、発動機を前記サグ据付する場合を例に説明する。
【0022】
図1に示すように、この実施の形態の据付状況計測装置1は、発動機2の所定位置に設けられた複数個の歪センサ3と、これらの歪センサ3と配線4で接続された歪センサ受信器5と、この歪センサ受信器5と配線6で接続されたコンピュータ7(電子計算機)と、このコンピュータ7に接続されたディスプレイ8(表示装置)とを備えている。このディスプレイ8としては、コンピュータ7に接続されたディスプレイ以外であってもよく、コンピュータ7の演算結果を表示できれば、作業者が携帯できるような表示装置であってもよい。また、コンピュータ7の演算結果を表示できれば、有線でも無線でもよい。
【0023】
また、この実施の形態では、歪センサ3が、発動機2の高さ方向の中間部に設けられた機械加工面9に近接した軸方向と、発動機2の下部の軸方向とに所定間隔で設けられている。この歪センサ3は、発動機2の種類や大きさ、気筒数等、発動機2に応じて設ける位置や個数が決定される。また、歪センサ3としては、設けた部位の変位に応じて電気信号が変化するものや、変位に応じて光信号が変化するものが用いられる。
【0024】
さらに、前記歪センサ受信器5は、前記歪センサ3の種類に応じて、その歪センサ3からの信号を電気信号に変換してコンピュータ7に送信する機能を備えている。前記コンピュータ7は、いわゆるパーソナルコンピュータが用いられ、歪センサ受信器5からの信号を作業者が目視で確認できるように演算して処理し、ディスプレイ8上に表示する機能を備えている。このディスプレイ8上に表示する機能としては、発動機2に応じて計測位置と変位、基準値との差、等を作業者が認識しやすいように表示するソフトウエアによって達成することができる。
【0025】
図2,3に示すように、前記発動機2を据付ける場合、発動機2の据付け位置となる部分に高さ調整治具10が配置され、その上部に発動機2が配置される。この例では、発動機2の軸方向左右位置に複数個(図では4個)の高さ調整治具10が配置されている。図2では、高さ調整治具10の間に後述する発動機支持台11を示している。また、前記歪センサ3は、この例では発動機2の高さ方向の中間部と下部の軸方向にそれぞれ7個づつ設けられている。さらに、発動機2の中間部に設けられた機械加工面9には、両端に基準ブロック12が設置され、これらの基準ブロック12の間に計測用ピアノ線13が設けられている。この計測用ピアノ線13は、矢印の方向に所定の張力14で張られており、その張力14から基準ブロック12の間の計測位置15における各撓み量が算出できるようになっている。また、機械加工面9と計測用ピアノ線13との間に示す矢印15が計測位置であり、この例では7箇所を計測する場合を示している。図2の右方が発動機2の出力側であり、出力軸16が設けられている。
【0026】
なお、図2では前記サグ据付による発動機2の湾曲状態を誇張して記載しているが。サグ据付の場合、通常、発動機2の両端部が上がり、中央部を下げるような状態で据付けられる。図では誇張しているが、中央部を下げる量としては、例えば、0.数mmであり、発動機2は高い据付け精度で据付けられる。
【0027】
また、この実施の形態では、発動機2の軸方向に歪センサ3を設けて軸方向の撓みを計測する状態を示しているが、歪センサ3を幅方向にも設け、発動機2の据付け状況を2次元又は3次元でディスプレイ上に表示できるようにしてもよい。
【0028】
図4に示すように、前記高さ調整治具10を設けた位置に対して、発動機支持台11が高さ調整治具10の間に設けられている。この例では、軸方向に設けられた高さ調整治具10によって基準値内にレベル調整された発動機2は、高さ調整治具10の間に発動機支持台11が設けられて調整位置に固定される。この発動機支持台11としては、発動機2の下部へ流動的に流し込むことができる樹脂で、流し込んだ後に所定時間経過すると硬化して発動機2を定位置で支持できる台となるようなものが用いられる。この発動機支持台11は、他の構成であってもよい。そして、発動機2を調整した状態で固定した後は、高さ調整治具10を取外して発動機2の据付けが完了する。これらの手順を、以下に説明する。
【0029】
図5は、前記図1の据付状況計測装置1において行われる据付状況計測方法を示すブロック図である。図1,2の符号を参照しながら説明すると、図示するように、この方法の場合、準備として、発動機2の据付け位置に高さ調整治具10を設置し(a) 、その上部に発動機2を配置し(b) 、その発動機2の機械加工面9に基準ブロック12を設置し(c) 、その基準ブロック12に計測用ピアノ線13を所定の張力14で張って取付ける(d) 。また、発動機2の所定位置に歪センサ3を取付け、それらの歪センサ3を配線4で歪センサ受信器5に接続し、歪センサ受信器5を配線6でコンピュータ7と接続する(e) 。
【0030】
その後、基準計測として、前記した計測用ピアノ線13からの距離を計測することにより発動機2のレベル測定を行い(f) 、計測用ピアノ線13の撓みを算出して値を補正することにより発動機2のレベルを算出し(g) 、その算出結果をコンピュータ7における基準値となる初期値として設定する(h) 。このコンピュータ7に設定した初期値が発動機2を配置した状態であり、その配置状態がディスプレイ8上に表示される(i) 。
【0031】
そして、レベル調整として、ディスプレイ8上に表示された配置状態(レベル)を見ながら作業者が高さ調整治具10で発動機2のレベル調整を行う(j) 。この調整状況は歪センサ3からの信号が歪センサ受信器5を介してコンピュータ7にリアルタイムで入力されて演算され、その調整状況もディスプレイ8上にリアルタイムで表示される(k) 。これにより、作業者は調整中の発動機2の据付け状況変化をディスプレイ8上の表示によって目視で容易に確認することができる。そのため、作業者は、ディスプレイ8上に表示された発動機2の据付け状況を見ながら、高さ調整治具10によって発動機2の据付け調整を迅速に行うことができる。そして、ディスプレイ8上に表示された調整結果が基準値内に入るまで調整作業を行う(l) 。
【0032】
このようにして発動機2の据付け調整が終了すると、最終据付として、発動機2をその状態で保持する発動機支持台11が設置され(m) 、高さ調整治具10が撤去される(n) 。なお、前記計測用ピアノ線13や基準ブロック12等は、不要と判断された時点で撤去される。
【0033】
なお、この実施の形態では、据付け後も発動機2の据付け状況変化を計測できるように、歪センサ3を発動機2に取付けた状態とし、歪センサ受信器5とコンピュータ7とが接続された状態を保つようにしている。これにより、例えば、発動機2の運転中における据付け状況変化も計測できる。
【0034】
以上のように、据付状況計測装置1によれば、発動機2の据付状況計測を、連続的に、しかも瞬時に行ってコンピュータ7のディスプレイ8上に表示することができる。これにより、計測用ピアノ線13を用いた計測を、最初の基準値設定時のみとすることができ、発動機2の据付け作業現場において、工事の短期間化、熟練技術者の省力化を実現することができる。
【0035】
また、発動機2の運用現場では、据付け状況を運転者等が目視で確認できるように表示するとともに、据付け状況が悪化した際には、運転者に警報を与える他、発動機2を自動で減速させることもできる。このことは、船舶のように、発動機2を据付けている台そのものが変形し得るような状況では、据付け状況を操縦者に表示し、状況が変化して発動機2の据付け状況が悪化した時には、操縦者に対して警報を発するとともに、発動機2を自動で減速させることができるので、発動機2の据付け状況悪化に対して迅速に対応することができる。
【0036】
従って、大型の発動機2の据付けと運用において、熟練作業者による作業を大幅に削減することができるとともに、据付け調整に要する労力と時間を大幅に削減することができ、大幅な労力軽減と費用削減を図ることができる。また、運転時においても発動機2の据付け状況を正確に計測することができるので、発動機2の運用時における監視等が可能となる。
【0037】
なお、前記実施の形態では7個の歪センサ3を設けているが、模式的に示したものであり、また、前記計測用ピアノ線13を用いて計測する位置も7箇所を示したが、図では模式的に示したものであり、これらの構成は前記実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
さらに、前記実施の形態では発動機2の軸方向における据付け状況を計測する例を説明したが、発動機全体に歪センサ3を設け、それらの歪センサ3からの信号を連続的にコンピュータ7で演算して発動機全体の据付け状況変化を算出し、その算出結果をディスプレイ8上に表示するようにしてもよい。
【0039】
また、前述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る発動機の据付状況計測方法は、据付け時の調整に時間を要する大型の舶用発動機等の据付け時に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態を示す発動機の据付状況計測装置の模式図である。
【図2】図1に示す発動機を模式的に示す側面図である。
【図3】図2に示す発動機を模式的に示す正面図である。
【図4】図2に示す発動機の据付部を模式的に示す平面図である。
【図5】図1の計測装置において行われる据付状況計測方法を示すブロック図である。
【図6】従来の発動機の据付状況計測方法を模式的に示す側面図である。
【図7】従来の据付状況計測方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1…据付状況計測装置
2…発動機
3…歪センサ
4…配線
5…歪センサ受信器
6…配線
7…コンピュータ
8…ディスプレイ(表示装置)
9…機械加工面
10…高さ調整治具
11…発動機支持台
12…基準ブロック
13…計測用ピアノ線
14…張力
15…矢印(計測位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付け調整可能に配置した発動機の周りに複数の歪センサを設け、
前記発動機の所定位置に計測用ピアノ線を設けて発動機の据付け状況を計測し、
該計測結果を前記歪センサの初期値として設定して目視可能な表示装置に表示し、
該表示装置に表示された発動機の据付け状況に基いて発動機の据付け調整を行い、
該発動機の据付け状況変化を前記歪センサからの信号に基いて前記表示装置に表示するようにしたことを特徴とする発動機の据付状況計測方法。
【請求項2】
前記歪センサからの信号に基いて初期値からの変化を演算し、初期値と据付け状況変化後の値とを前記表示装置に表示するようにした請求項1に記載の発動機の据付状況計測方法。
【請求項3】
前記発動機の運転時における据付け状況の変化を前記歪センサからの信号に基いて検出し、該検出結果が規定値を超えたときに警告又は発動機を減速するようにした請求項1又は請求項2に記載の発動機の据付状況計測方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発動機の据付状況計測方法を実施するための据付状況計測装置であって、
前記複数の歪センサからの信号を受信する歪センサ受信器と、該歪センサ受信器からの信号に基いて据付け状況変化を演算する電子計算機と、該電子計算機の演算結果を表示する表示装置とを備えたことを特徴とする発動機の据付状況計測装置。
【請求項5】
前記電子計算機に、前記歪センサから歪センサ受信器を介して電子計算機に入力された信号に基いて発動機の運転時における据付け状況変化を演算する機能を具備させ、
該演算結果が規定値を超えたときに警告又は発動機を減速させる警告手段を備えさせた請求項4に記載の発動機の据付状況計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−69112(P2009−69112A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240822(P2007−240822)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(502400005)株式会社川崎造船 (30)
【Fターム(参考)】