説明

発泡体積層体およびその製造方法

【課題】糊沈みの発生が良好に抑制され厚みにバラツキが無い発泡体積層体、並びに、該発泡体積層体を良好に製造することができる発泡体積層体の製造方法の提供。
【解決手段】発泡体2と、ホットメルト接着剤6と、両面テープ8と、をこの順に積層した発泡体積層体、並びに、発泡体2の表面にホットメルト接着剤6を付与するホットメルト接着剤付与工程と、加熱してホットメルト接着剤6を溶融させ発泡体2とホットメルト接着剤6とを接着する加熱工程と、発泡体2にホットメルト接着剤6を溶融させた積層体の、該ホットメルト接着剤6が溶融された面に両面テープ8を貼り合せる両面テープ貼り合せ工程と、を有する発泡体積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体の表面に両面テープを備えた発泡体積層体およびその製造方法に関し、特に、電子写真方式の画像形成装置における帯電ローラ用クリーニング部材等として好適に用いられる発泡体積層体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、近年では、オゾンの排出抑制、装置の小型化、および高圧電源コストの低減などを図るために、従来のスコロトロン等の非接触型帯電器に替えて、像保持体に接触あるいは近接配置されるローラ帯電器(BCR)が用いられている。
【0003】
このような接触帯電方式の帯電装置では、帯電ロールが像保持体に常時接触しているため、帯電ロール表面に異物の付着による汚れが発生しやすいという問題がある。画像形成動作を繰り返し行う像保持体の表面は、転写工程の下流側において、転写後の残留トナー等の異物除去を行うクリーニング工程を経た後、帯電工程のエリアへと進入してくるが、クリーニング工程を経てもトナーの一部やトナーの外添剤など、トナーよりも微小な粒子がクリーニングされずに像保持体上に残留し、帯電ロールの表面へと付着してしまう。帯電ロールの表面に付着した異物は、帯電ロールの表面抵抗値にムラを生じさせ、異常放電や不安定な放電となり帯電均一性を悪化させてしまう。
【0004】
そこで、このような問題を改善するために、帯電ロールの表面に発泡体部材等で形成したクリーニング部材を接触させることにより、帯電ロール表面の汚れをクリーニングする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−272594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のようなクリーニング部材としては、プレート状の発泡体部材も好適に用いられる。プレート状の発泡体部材をクリーニング部材として用いる場合、像保持体と接触しない側の面が固定部材に固定されるため、予め発泡体と両面テープとを積層した発泡体積層体が用いられる。
しかし、該発泡体積層体を作製する段階において発泡体と両面テープとを積層して接着する際、図1(A)の矢印Aにて示すように、発泡体2側の一部分を指等で押し付けて圧力をかけると、図1(B)に示すように、発泡体2中のセル4がつぶれて両面テープ8の接着剤により接着してしまい、その一部分にだけ凹みが生じて全体の厚みにバラツキが生じてしまう(以下、該現象を「糊沈み」と称す)との問題があることが、本発明者らの検討により判明した。
上記現象が問題となるのは、帯電ロール用のクリーニング部材として用いる場合には限られず、発泡体積層体に厚みの均一性が求められる分野において共通の問題である。
【0006】
即ち、本発明の目的は、糊沈みの発生が良好に抑制され厚みにバラツキが無い発泡体積層体、および該発泡体積層体を良好に製造することができる発泡体積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の本発明により解決される。
即ち、請求項1に係る発明は、発泡体と、ホットメルト接着剤と、両面テープと、をこの順に積層したことを特徴とする発泡体積層体である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記発泡体がウレタンフォームであることを特徴とする請求項1に記載の発泡体積層体である。
【0009】
請求項3に係る発明は、電子写真方式の画像形成装置における、帯電ローラの表面を清掃するクリーニング部材として用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡体積層体である。
【0010】
請求項4に係る発明は、発泡体の表面にホットメルト接着剤を付与するホットメルト接着剤付与工程と、加熱してホットメルト接着剤を溶融させ発泡体とホットメルト接着剤とを接着する加熱工程と、発泡体にホットメルト接着剤を溶融させた積層体の、該ホットメルト接着剤が溶融された面に両面テープを貼り合せる両面テープ貼り合せ工程と、を有することを特徴とする発泡体積層体の製造方法である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記加熱工程が、発泡体側およびホットメルト接着剤側の両側から圧縮しつつ加熱する工程であり、且つ前記圧縮の際に圧縮の幅を規制するスペーサを介することを特徴とする請求項4に記載の発泡体積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、糊沈みの発生が良好に抑制され厚みにバラツキが無い発泡体積層体、および該発泡体積層体を良好に製造することができる発泡体積層体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<発泡体積層体>
以下、図面を用いて本発明の発泡体積層体の好ましい態様について説明する。図2は、好ましい実施形態における発泡体積層体を示す概略断面図である。
図2に示す発泡体積層体は、セル(気泡)4を有する発泡体2と、ホットメルト接着剤6と、両面テープ8と、をこの順に積層してなる。発泡体2および両面テープ8をホットメルト接着剤6を介して積層することにより、糊沈みの現象が良好に抑制される。
【0014】
(発泡体)
発泡体2としては、所定のセル密度で形成されたプレート状の発泡体が好ましく用いられる。材質としては、例えば、ウレタンフォーム(エーテル系ウレタンフォーム、エステル系ウレタンフォーム等)、ポリエチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、メラミンフォーム、マイクロポリマー等を用いることができる。これらの中でも、特にクリーニング性能、コスト面、環境面等の観点から、ウレタンフォームが好適に用いられる。
【0015】
ここで、ウレタンフォームを例にとり、製造方法について簡単に説明すると、ポリオール、イソシアネート、水、触媒(アミン触媒、金属触媒など)および整泡剤(界面活性剤)を用いて製造され、また、用途によっては顔料などの添加剤が用いられる。これら原料を混合・攪拌すると化学反応が起き、ウレタン樹脂の発泡体を得ることができる。
【0016】
従来においては、ウレタンフォームの膜を除いた物の発泡体2を用いる場合に前記糊沈みの現象が顕著に見られたが、前述のホットメルト接着剤6を介する構成とすることにより、上記発泡倍率の発泡体を用いた場合であっても糊沈みの現象が良好に抑制される。
【0017】
(ホットメルト接着剤)
ホットメルト接着剤6とは、室温で固形状をなしている固形分の熱可塑性ポリマーをベースにした接着性混合物をさし、使用時には加熱溶融によって活性化して流動性を示し接着性を発現する。
該ホットメルト接着剤6としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、ゴム弾性を示す熱可塑性エラストマーをベースとするゴム系ホットメルト接着剤;プロピレン、エチレン、ブテン−1をランダム共重合した非晶性のポリオレフィン樹脂をベースとするオレフィン系ホットメルト接着剤;エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体をベースとするEVA系ホットメルト接着剤;アクリル樹脂をベースとするアクリル系ホットメルト接着剤;反応基を分子内に持ったタイプの反応性ホットメルト接着剤;等を用いることができ、融点温度、環境面、発泡体2との接着性、加工性等の観点から任意に選定することができる。
【0018】
また、ホットメルト接着剤6の室温時(固形状であるとき)における態様としては、シート状の基材に接着剤を含浸させた態様、接着剤を粉体状に加工した態様、接着剤自体をフィルム状に加工した態様等が挙げられるが、これらの中でも、特に発泡体2との均一な貼り合せの加工性(ムラの抑制)との観点から、シート形状の接着剤が好適に用いられる。
【0019】
(両面テープ)
両面テープ8としては、基材の両面に接着剤層を有するもの、基材が無く接着剤層のみのもの等があり、本願においては従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0020】
尚、従来においては、特に上記接着剤層の性質として、粘着力、保持力、タック力を保持した両面テープ8を用いる場合に前記糊沈みの現象が顕著に見られたが、前述のホットメルト接着剤6を介する構成とすることにより、上記性質を有する両面テープ8を用いた場合であっても糊沈みの現象が良好に抑制される。
【0021】
<発泡体積層体の製造方法>
次いで、上記発泡体積層体の製造方法について説明する。
発泡体積層体の製造方法は、発泡体の表面にホットメルト接着剤を付与するホットメルト接着剤付与工程と、加熱してホットメルト接着剤を溶融させ発泡体とホットメルト接着剤とを接着する加熱工程と、発泡体にホットメルト接着剤を溶融させた積層体の、該ホットメルト接着剤が溶融された面に両面テープを貼り合せる両面テープ貼り合せ工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
ここで、図面を用いて本発明の発泡体積層体の製造方法の好ましい態様について説明する。図3は、好ましい実施形態における発泡体積層体の製造方法の手順を示す概略図である。
【0023】
(ホットメルト接着剤付与工程)
図3に示す本実施形態における発泡体積層体の製造方法では、発泡体としてプレート状の発泡体2を用い、またホットメルト接着剤としてシート形状のホットメルト接着剤6を用いる。図3(A)に示すように、プレート状の発泡体2の片面に対し、シート形状のホットメルト接着剤6をはみ出さないように貼り合せ(付与し)、図3(B)に示すように積層する。
次の加熱工程にて、ホットプレス機の加熱圧縮部材60Aおよび60Bとホットメルト接着剤6との接着を防止する為、ホットメルト接着剤6上側および発泡体2下側に、テフロン(登録商標)シート16にて挟む(図3(C)および図3(D)参照)。
【0024】
(加熱工程)
次いで、発泡体2、ホットメルト接着剤6を積層した積層体を、図3(E)に示すように、加熱圧縮部材60A、60Bを備えるホットプレス機の下側の加熱圧縮部材60B上に設置する。その後、上側の加熱圧縮部材60Aを下ろして加熱圧縮を施し、ホットメルト接着剤6を溶融して、発泡体2とホットメルト接着剤6とを接着する。
【0025】
尚、上記ホットプレス機のように、発泡体2側およびホットメルト接着剤6側の両側から圧縮しつつ加熱する場合には、図4(A)および図4(B)に示すごとく、積層体の周囲に圧縮の幅(上記ホットプレス機であれば加熱圧縮部材60Aと60Bとの距離)を規制するスペーサ62を配置したうえで加熱圧縮を施すことが好ましい。該スペーサ62は、発泡体2が圧縮され過ぎることを抑制する目的で用いられるものであり、スペーサ62の使用により糊沈みの現象をより良好に抑制することができる。
上記スペーサ62の厚さは、求められる製品の厚みに応じて設定することが好ましい。
【0026】
また、加熱工程における加熱温度は、ホットメルト接着剤6の溶融温度以上であって、ホットメルト接着剤6に穴が生じない温度以下であることが好ましい。加熱温度は用いるホットメルト接着剤6によっても異なるが、125℃以上135℃以下であることが好ましく、127℃以上133℃以下であることがより好ましい。
また、加熱時間に関しても、用いるホットメルト接着剤6によって異なるが、2秒以上30秒以下であることが好ましく、5秒以上15秒以下であることがより好ましい。
【0027】
更に、上記ホットプレス機のように、発泡体2側およびホットメルト接着剤6側の両側から圧縮しつつ加熱する場合におけるプレス圧力に関しては、上記スペーサ62を使用する場合であれば、加熱圧縮用の部材(上記ホットプレス機であれば加熱圧縮部材60A、60B)によってスペーサ62が挟持される圧力以上であれば、特に制限されない。
【0028】
(両面テープ貼り合せ工程)
次いで上下のテフロン(登録商標)シート16を除去した後、図3(F)に示すように、プレート状の発泡体2のホットメルト接着剤6が貼り合わされた面に、両面テープ8を貼り合せ、図3(G)に示すように積層する。
【0029】
本発明に係る発泡体積層体は、発泡体の厚みの均一性が求められる分野において特に好適に用いられる。具体的には、電子写真方式の画像形成装置において、帯電ロール用のクリーニング部材、像保持体ドラム用のクリーニング部材、定着ロール用のクリーニング部材等として用いられる。
また、電子写真方式の画像形成装置以外の分野としては、電子機器類のクリーニング部材、例えば、コピー機におけるクリーニング部材や、プリンターにおけるクリーニング部材(レーザープリンターにおけるクリーニング部材、インクジェットプリンターのインクジェット記録ヘッドにおけるインク吐出部分をクリーニングする部材等)等として用いられる。
【0030】
上記の中でも、特に好ましい態様である、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール用のクリーニング部材として本発明に係る発泡体積層体を用いた実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0031】
<画像形成装置>
図5に示す本実施形態の画像形成装置10は、4連タンデム方式のカラー複写機であり、図示のように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11K)が中間転写ベルト30の移動方向に沿って並設されている。
【0032】
画像形成ユニット11には、像保持体としての感光体ドラム12(12Y,12M,12C,12K)が設けられており、この感光体ドラム12は、例えば、表面にOPC等からなる感光体層が被覆された導電性円筒体が用いられ、図示しないモータにより、図中の矢印方向(右回転方向)へ所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0033】
感光体ドラム12のほぼ真上には、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電ロール(接触帯電器)14(14Y,14M,14C,14K)を備えた帯電装置が配置され、さらに感光体ドラム12の上方には、帯電装置により帯電された感光体ドラム12の表面にレーザ光Lを照射し静電潜像を形成する露光装置13(13Y,13M,13C,13K)が配設されている。
【0034】
感光体ドラム12の右側方には、現像装置15(15Y,15M,15C,15K)が隣接配置されており、現像装置15には、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をY,M,C,Kの各色のトナー像に現像する現像ロール16(16Y,16M,16C,16K)が設けられている。
【0035】
感光体ドラム12の下方には、現像装置15によって可視化されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルト30が配設されており、さらに中間転写ベルト30を挟んで一次転写ロール18(18Y,18M,18C,18K)が対向配置されている。この感光体ドラム12と中間転写ベルト30の各接触部が一次転写部T1とされ、一次転写ロール18には正極性の一次転写バイアスが印加される。
【0036】
感光体ドラム12の左側方には、一次転写後に感光体ドラム12上に残留する転写残トナーを除去する感光体クリーナとしてのクリーニング装置が隣接配置されており、クリーニング装置には、感光体ドラム12の外周面に圧接して感光体ドラム12の回転方向と反対方向に回転駆動し感光体ドラム12から転写残トナーを擦り取るブラシロール20(20Y,20M,20C,20K)が設けられている。
【0037】
中間転写ベルト30は、駆動ロール32、張架ロール33、および二次転写バックアップロール34に巻き掛けられており、感光体ドラム12の回転に同期して同方向に回転移動する。また、上記の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、中間転写ベルト30の移動方向に対し、その順番で直列に配列されている。これにより、中間転写ベルト30は、各一次転写部T1で一次転写ロール18により感光体ドラム12上のトナー像がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に重ねて一次転写され、この一次転写されたトナー像を下記の二次転写部T2(二次転写ロール36)に向けて搬送する。
【0038】
中間転写ベルト30の右側方には、用紙搬送路40を挟んで二次転写ロール36が対向配置されている。この二次転写ロール36と中間転写ベルト30の接触部が二次転写部T2とされ、二次転写ロール36には負極性の二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写ロール36は、二次転写バックアップロール34に補助され、中間転写ベルト30に一次転写されたトナー像を二次転写部T2で用紙Pに二次転写する。また、中間転写ベルト30を回転支持する二次転写バックアップロール34の右上方には、二次転写後に中間転写ベルト30上に残留する転写残トナーを除去する中間転写ベルトクリーナ38が設けられている。
【0039】
中間転写ベルト30の下方には、用紙Pが収納される給紙トレイ42が配置され、給紙トレイ42の右側近傍には、給紙トレイ42から用紙Pを用紙搬送路40に送り出すフィードロール44、および、送り出される用紙Pを1枚ずつ捌くリタードロール46が設けられている。
【0040】
また、用紙搬送路40における二次転写部T2よりも下流側には、対向する加熱ロール52および加圧ロール54を備えた定着装置50が配置され、定着装置50の下流側には一対の排出ロール56が設けられている。そして用紙搬送路40は、フィードロール44およびリタードロール46から二次転写部T2、および定着装置50を経由して、排出ロール56まで延設されている。
【0041】
次に、上記構成の画像形成装置10に搭載された帯電ロール14と、帯電ロール14をクリーニングするクリーニング部材について詳細に説明する。
【0042】
図6に示すように、感光体ドラム12の上方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図6の矢印A方向(時計回転方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印B方向(反時計回転方向)に従動回転する。
【0043】
帯電ロール14の右上部には、帯電ロール14の表面に接触するシート状のクリーニング部材(本発明に係る発泡体積層体)100が設けられている。クリーニング部材100は帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、発泡体2が帯電ロール14の周面に沿って弾性変形してニップ部101を形成している。
【0044】
次に、本実施形態の画像形成装置10によるカラー画像形成動作ついて説明する。
【0045】
画像形成装置10に画像形成信号が入力され、感光体ドラム12が回転駆動すると、感光体ドラム12の回転に伴って帯電ロール14が従動回転し、感光体ドラム12の表面(外周面)が帯電ロール14により一様に帯電される。続いて感光体ドラム12の表面には、画像形成信号に基づいて露光装置13からレーザ光Lが照射される。このレーザ光Lにより、感光体ドラム12の表面が露光され、静電潜像が形成される。
【0046】
感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、現像装置15の現像ロール16によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を現像され、一次転写部T1で中間転写ベルト30に重ねて一次転写される。また、一次転写後に感光体ドラム12上に残留する転写残トナーは、クリーニング装置のブラシロール20によって擦り取られ除去される。
【0047】
一方、給紙トレイ42に収納された用紙Pは、フィードロール44により送り出され、リタードロール46により捌かれて最上部の用紙Pのみが用紙搬送路40に導かれ、所定のタイミングで二次転写ロール36と二次転写バックアップロール34との間、すなわち二次転写部T2に送り込まれる。この二次転写部T2で、中間転写ベルト30に一次転写されているトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは、用紙搬送路40を下流側に搬送されて定着装置50に導かれ、加熱ロール52と加圧ロール54とによる熱圧力によってトナー像が定着される。そしてこのトナー像の定着により画像形成された用紙Pは、排出ロール56により図示しない排紙トレイへ排出される。
【0048】
また、二次転写後に中間転写ベルト30の画像領域に残留した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーナ38によって擦り取られ除去される。さらに、上記の帯電ロール14の表面に付着したトナーや外添剤などの汚れ(異物)はクリーニング部材100によってクリーニングされる。以上の動作により、画像形成装置10によって用紙Pにカラー画像が形成される。
【0049】
尚、本実施形態の画像形成装置10では、上記クリーニング部材100として、発泡体の厚みにバラツキが無い本発明に係る発泡体積層体を用いていることから、優れたクリーニング性能が得られる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
・発泡体:エーテル系ウレタンフォーム
(ブリヂストン化成品東京(株)社製、商品名:EA−X50、
厚み3.9mm、縦長さ1000mm、横長さ400mm、)
・ホットメルト接着剤(ノガワケミカル(株)製、ダイアボンドTP6600、
厚み0.05mm、縦長さ950mm、横長さ380mm、)
・両面テープ((株)ブリヂストン製、T711(PET基材)、
厚み0.11mm、縦長さ920mm、横長さ360mm、)
まず、上記発泡体の片面に、上記ホットメルト接着剤をはみ出さないように貼り合せて積層した(ホットメルト接着剤付与工程)。
次に、前記発泡体とホットメルト接着剤との積層材を挟み込むように、テフロン(登録商標)シートを積層した。
ホットプレス機を用い、またスペーサとして金属素材の角柱型のスペーサ(厚み2〜3mm)を2つ準備した。上記スペーサに挟まれるようにして、ホットプレス機上に前記ホットメルト接着剤付与工程を経た積層体を設置し、下記表1に記載の温度および時間にて加熱圧縮を施してホットメルト接着剤を溶融させ、発泡体とホットメルト接着剤とを接着した(加熱工程)。次いで、ホットメルト接着剤が溶融された側の面に、上記両面テープをはみ出さないように貼り合せて積層し、更に圧力を掛けて圧着し(両面テープ貼り合せ工程)、発泡体積層体を形成した。
【0051】
〔評価:接着強度および表面バラツキ〕
得られた発泡体積層体に関し、以下の基準により評価した。
○:発泡体とホットメルト接着剤との接着強度が材料破壊を起こす事(即ち、発泡体とホットメルト接着剤との接着界面にて剥がした際に層間剥離が発生しない事)。
また、加熱工程後両面テープ貼り合せ工程前におけるホットメルト接着剤に、微小な穴が観察されない事。
△:発泡体とホットメルト接着剤との接着強度が材料破壊を起こす事。
また、加熱工程後両面テープ貼り合せ工程前におけるホットメルト接着剤に、微小な穴が観察される事(但し、最終的に得られる発泡体積層体において厚みにバラツキが発生するレベルの穴ではない事)。
×:発泡体とホットメルト接着剤との接着強度が材料破壊を起こさない事(即ち、発泡体とホットメルト接着剤との接着界面にて剥がした際に層間剥離が発生する事)。
【0052】
【表1】



【0053】
[実施例1]
上記表1に記載のものの内「130℃、10秒」の加熱圧縮を施した発泡体積層体を用いた。
【0054】
[比較例1]
上記実施例1において、ホットメルト接着剤を用いず、加熱圧縮を施さずに発泡体と両面テープとを直接張り合せたこと以外、同様にして発泡体積層体を形成した。
【0055】
〔評価:糊沈み〕
上記実施例1および比較例1の発泡体積層体において、両面テープ圧着作業前の厚み(A)と、両面テープ圧着作業後の厚み(B)と、を測定した。
具体的には、上記[実施例1]の発泡体積層体においては、まずホットメルト接着剤付与工程および加熱工程を経た後、両面テープ貼り合せ工程において、「両面テープを貼り合せて積層」する作業(両面テープ積層作業)を施した後であって、「圧力を掛けて圧着」する作業(両面テープ圧着作業)を施す前の積層体の厚み(A)を測定した。次いで、「圧力を掛けて圧着」する作業(両面テープ圧着作業)を施した後、その積層体の厚み(B)を測定した。
また、上記[比較例1]の発泡体積層体においては、発泡体(エーテル系ウレタンフォーム)上に直接「両面テープを貼り合せて積層」する作業(両面テープ積層作業)を施した後であって、「圧力を掛けて圧着」する作業(両面テープ圧着作業)を施す前の積層体の厚み(A)を測定した。次いで、「圧力を掛けて圧着」する作業(両面テープ圧着作業)を施した後、その積層体の厚み(B)を測定した。
【0056】
尚、測定箇所としては、
・積層体の全ての材料が積層されている領域内において、四隅から各々50mm中央寄りの箇所(測定箇所(1)〜(4))
・積層体の全ての材料が積層されている領域内において、長辺方向の中央部であって、短辺方向の両端から各々50mm中央寄りの箇所(測定箇所(5)〜(6))
の計6箇所について、両面テープ圧着作業前後における厚みを測定した。結果を下記表2に示す。
【0057】
【表2】



【0058】
実施例1と比較例1とでは、「作業前後の平均値の差」において0.58mmの差が発生しており、これは発泡体と両面テープとの間にホットメルト接着剤を積層することによって糊沈みが抑制されたためと推察される。
また、比較例1における「作業後の最大値と最小値の差」が0.15mmであるのに対し、実施例1における当該差が0.05mmであり、厚みのバラツキが抑制されていることが分かる。
【0059】
〔評価:クリーニング性能〕
上記実施例1の発泡体積層体を用いて画像形成を行った。
画像形成装置の帯電ロール用クリーニング部材として上記発泡体積層体を適用し、サンプルプリントを行った後に、帯電ローラ表面を観察した。表面は良好に清掃されており、クリーニング性能に優れていることが確認された。
【0060】
一方、上記比較例1の発泡体積層体を用いて画像形成を行った。上記実施例1と同様にしてクリーニング性能の評価を実施したところ、厚みのバラツキにより、クリーニングムラが発生する状態であった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(A)は従来の発泡体積層体の構成を示す概略断面図であり、(B)は従来の発泡体積層体に圧力を加えた際に生じる糊沈みの現象を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発泡体積層体を示す概略断面図である。
【図3】(A)〜(G)は本発明の実施形態における発泡体積層体の製造方法の手順を示す概略図である。
【図4】(A)はスペーサに挟持されるように積層体を設置した様子を示す上面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【図5】好ましい一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図6】図1の画像形成装置に搭載された感光体ドラム、帯電ロール、およびクリーニング部材の構成を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0062】
2 発泡体
4 セル
6 ホットメルト接着剤
8 両面テープ
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(像保持体)
14 帯電ロール
16 テフロン(登録商標)シート
60A,60B 加熱圧縮部材
62 スペーサ
100 クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体と、ホットメルト接着剤と、両面テープと、をこの順に積層したことを特徴とする発泡体積層体。
【請求項2】
前記発泡体がウレタンフォームであることを特徴とする請求項1に記載の発泡体積層体。
【請求項3】
電子写真方式の画像形成装置における、帯電ローラの表面を清掃するクリーニング部材として用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡体積層体。
【請求項4】
発泡体の表面にホットメルト接着剤を付与するホットメルト接着剤付与工程と、
加熱してホットメルト接着剤を溶融させ発泡体とホットメルト接着剤とを接着する加熱工程と、
発泡体にホットメルト接着剤を溶融させた積層体の、該ホットメルト接着剤が溶融された面に両面テープを貼り合せる両面テープ貼り合せ工程と、を有することを特徴とする発泡体積層体の製造方法。
【請求項5】
前記加熱工程が、発泡体側およびホットメルト接着剤側の両側から圧縮しつつ加熱する工程であり、且つ前記圧縮の際に圧縮の幅を規制するスペーサを介することを特徴とする請求項4に記載の発泡体積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−279807(P2009−279807A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133060(P2008−133060)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(591049055)ブリヂストン化成品東京株式会社 (9)
【Fターム(参考)】